(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-07
(45)【発行日】2025-01-16
(54)【発明の名称】センサインターフェース回路及びセンサモジュール
(51)【国際特許分類】
H03L 7/093 20060101AFI20250108BHJP
【FI】
H03L7/093
(21)【出願番号】P 2023523817
(86)(22)【出願日】2021-05-26
(86)【国際出願番号】 JP2021020031
(87)【国際公開番号】W WO2022249346
(87)【国際公開日】2022-12-01
【審査請求日】2024-02-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000191238
【氏名又は名称】日清紡マイクロデバイス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】304021417
【氏名又は名称】国立大学法人東京科学大学
(73)【特許権者】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 裕樹
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 征幸
(72)【発明者】
【氏名】白川 貴啓
(72)【発明者】
【氏名】潘 春暉
(72)【発明者】
【氏名】石原 昇
(72)【発明者】
【氏名】村田 眞司
【審査官】柳下 勝幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-124394(JP,A)
【文献】特開2005-85193(JP,A)
【文献】特開2015-197414(JP,A)
【文献】登録実用新案第3063715(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03L 7/093
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサに接続可能である周波数同期回路を備え、
前記周波数同期回路は、
基準電圧を生成する基準電圧源と、
前記基準電圧源に接続され、前記基準電圧を用いて電流を生成する電流源と、
前記基準電圧源に接続された第1の入力ノードと前記電流源に接続された第2の入力ノードと出力ノードとを有し、前記第1の入力ノードで受ける電圧と前記第2の入力ノードで受ける電圧との一方が前記センサの検出値に対応し、前記第1の入力ノードで受ける電圧と前記第2の入力ノードで受ける電圧との差分に応じて制御電圧を生成する電圧差検出回路と、
前記電圧差検出回路の出力ノードに接続され、前記制御電圧に応じて発振信号を生成する電圧制御発振回路と、
前記電圧制御発振回路と前記電圧差検出回路の第2の入力ノードとの間に接続され、前記発振信号に応じた信号の周波数をインピーダンスに変換する周波数インピーダンス変換回路と、
を備えたセンサインターフェース回路。
【請求項2】
前記電流源は、前記センサに接続可能であり、前記基準電圧と前記センサの検出値とを用いて電流を生成し、
前記電圧差検出回路は、前記第2の入力ノードで受ける電圧が前記センサの検出値と前記周波数とに対応する
請求項1に記載のセンサインターフェース回路。
【請求項3】
前記基準電圧源と前記電圧差検出回路との間に接続され、前記センサに接続可能であり、前記基準電圧と前記センサの検出値との差分を増幅し、増幅された差分に応じた電圧を出力する増幅回路をさらに備え、
前記電圧差検出回路は、前記第1の入力ノードで受ける電圧が前記センサの検出値に対応し、前記第2の入力ノードで受ける電圧が前記周波数に対応する
請求項1に記載のセンサインターフェース回路。
【請求項4】
前記電圧制御発振回路と前記周波数インピーダンス変換回路との間に接続され、前記発振信号を分周する分周回路をさらに備え、
前記周波数インピーダンス変換回路は、前記分周された信号の周波数をインピーダンスに変換する
請求項1に記載のセンサインターフェース回路。
【請求項5】
前記周波数インピーダンス変換回路は、スイッチトキャパシタ回路で構成される
請求項1に記載のセンサインターフェース回路。
【請求項6】
前記周波数インピーダンス変換回路は、
一端が第1の電位に接続された第1の容量素子と、
一端が前記第1の電位に接続され、他端が前記電圧差検出回路の第2の入力ノードに接続された第2の容量素子と、
一端が前記電圧差検出回路の第2の入力ノードに接続され、他端が前記第1の容量素子の他端に接続され、制御端が前記電圧制御発振回路に接続された第1のスイッチと、
前記電圧制御発振回路に接続されたインバータと、
一端が前記第1の容量素子の他端に接続され、他端が前記第1の電位に接続され、制御端が前記インバータに接続された第2のスイッチと、
を有する
請求項5に記載のセンサインターフェース回路。
【請求項7】
前記電流源は、
第2の電位と前記電圧差検出回路の第2の入力ノードとの間に接続された第1のトランジスタと、
前記第2の電位と前記センサとの間に接続可能である第2のトランジスタと、
前記基準電圧源に接続された第1の入力ノードと前記第2のトランジスタ及び前記センサの間のノードに接続された第2の入力ノードと前記第1のトランジスタのゲート及び前記第2のトランジスタのゲートに共通接続された出力ノードとを有する差動増幅回路と、
を有する
請求項2に記載のセンサインターフェース回路。
【請求項8】
前記電流源は、
抵抗素子と、
第2の電位と前記電圧差検出回路の第2の入力ノードとの間に接続された第1のトランジスタと、
前記第2の電位と前記抵抗素子との間に接続された第2のトランジスタと、
前記増幅回路に接続された第1の入力ノードと前記第2のトランジスタ及び前記抵抗素子の間のノードに接続された第2の入力ノードと前記第1のトランジスタのゲート及び前記第2のトランジスタのゲートに共通接続された出力ノードとを有する差動増幅回路と、
を有する
請求項3に記載のセンサインターフェース回路。
【請求項9】
アンテナと、
インピーダンス変換回路と、
センサと、
前記センサと前記アンテナとの間に接続された請求項1から8のいずれか1項に記載のセンサインターフェース回路と、
を備えたセンサモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサインターフェース回路及びセンサモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
発振回路を有するセンサインターフェース回路は、センサの信号のレベルに応じて発振回路を発振させ、センサの信号に応じた周波数を有する発振信号を生成して出力する。このとき、センサインターフェース回路は、センサの信号を高精度に周波数に変換することが要求される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】宮内 楓, 田口 泰地, 石川 洋介, 伊藤 浩之, 道正 志郎, 益 一哉, 石原 昇, 「RFバックスキャッタリングによる低電力ワイヤレスセンサ端末モジュールの試作評価結果」, 2018年 電子情報通信学会総合大会, 日本, 2018年3月20日-23日, B-18-17, p.361
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、インターフェース回路において、センサの信号を高精度に周波数を変換するために、水晶などの原発振器を用いると、原発振器の発振信号に応じた電流を流し続けることになり、消費電流が増大することがあるため、消費電流を低減することが望まれる。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、消費電流を低減できるセンサインターフェース回路及びセンサモジュールを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の1つの側面にかかるセンサインターフェース回路は、センサに接続可能である周波数同期回路を有し、前記周波数同期回路は、基準電圧を生成する基準電圧源と、前記基準電圧源に接続され、前記基準電圧を用いて電流を生成する電流源と、前記基準電圧源に接続された第1の入力ノードと前記電流源に接続された第2の入力ノードと出力ノードとを有し、前記第1の入力ノードで受ける電圧と前記第2の入力ノードで受ける電圧との一方が前記センサの検出値に対応し、前記第1の入力ノードで受ける電圧と前記第2の入力ノードで受ける電圧との差分に応じて制御電圧を生成する電圧差検出回路と、前記電圧差検出回路の出力ノードに接続され、前記制御電圧に応じて発振信号を生成する電圧制御発振回路と、前記電圧制御発振回路と前記電圧差検出回路の第2の入力ノードとの間に接続され、前記発振信号に応じた信号の周波数をインピーダンスに変換する周波数インピーダンス変換回路とを有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、消費電流を低減できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1の実施形態に係るセンサインターフェース回路を含むセンサモジュールが適用された通信システム構成を示す図。
【
図2】第1の実施形態にかかるセンサインターフェース回路を含むセンサモジュールの構成を示す図。
【
図3】第1の実施形態における周波数同期回路の構成を示す図。
【
図4】第1の実施形態における周波数インピーダンス変換回路の動作を示す図。
【
図5】第1の実施形態における周波数同期回路の動作を示す波形図。
【
図6】第2の実施形態にかかるセンサインターフェース回路を含むセンサモジュールの構成を示す図。
【
図7】第2の実施形態における周波数同期回路の構成を示す図。
【
図8】第2の実施形態における周波数同期回路の動作を示す波形図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、センサインターフェース回路の実施形態について詳細に説明する。以下の実施形態では、同一の参照符号を付した部分は同様の動作をおこなうものとして、重複する説明は適宜省略する。
【0010】
(第1の実施形態)
第1の実施形態にかかるセンサインターフェース回路は、センサの信号を周波数に変換する回路である。この回路をIoT(Internet of Things)技術へ適用する場合、センサインターフェース回路で変換された周波数に応じた信号をRFバックスキャッタ通信で通信可能に構成することが考えられる。
【0011】
例えば、センサインターフェース回路1を含むセンサモジュール100は、
図1に示すように構成される。
図1は、センサインターフェース回路1が適用されたセンサモジュール100を含む通信システム300の構成を示す図である。
【0012】
通信システム300において、複数のセンサモジュール100-1~100-n及び情報収集端末200は、RFバックスキャッタ通信が可能に構成されている。nは1以上の整数である。情報収集端末200は、RF信号を各センサモジュール100へ送信可能である。各センサモジュール100は、そのRF信号を用いて、センサの検出値に応じた信号を情報収集端末200へ送信可能である。
【0013】
各センサモジュール100は、センサ2、センサインターフェース回路1、インピーダンス変換回路4、及びアンテナ5を有する。センサインターフェース回路1は、センサ2及びアンテナ5の間に電気的に接続される。センサインターフェース回路1は、発振回路及びRFスイッチを有し、センサ2からの信号により発振回路の周波数を変化させ、その発振信号によりRFスイッチのオン・オフを制御することにより、RFバックスキャッタ通信を行う。すなわち、センサインターフェース回路1は、アンテナ5から見たRFスイッチ側のインピーダンスを変化させ、情報収集端末200からのRF信号をセンサ情報に応じて反射及び吸収させて情報収集端末200へ送信する。これにより、センサインターフェース回路1において、消費電流を低減しながらセンサ情報の信号を情報収集端末200へ送信できる。
【0014】
発振回路の発振周波数は、例えば、増幅回路と、抵抗、容量、インダクタ、遅延素子、の何れか、或いは組み合わせで構成される。発振回路がインバータと抵抗Rと容量Cで構成される弛張発振回路である場合、発振周期Tは、理論上、次の数式1で表される。
T=2・ln3・(R・C)+Td・・・数式1
【0015】
数式1において、Tdはインバータの遅延時間である。この弛張発振回路で温度に対して高い安定性能を得るためには、抵抗R、容量C、遅延時間Tdの温度係数をゼロに近づけることが望まれる。遅延時間Tdは、インバータの遅延時間であるため電源電圧変動や温度変動に対して大きく変化するため、温度に対して高い安定性能を得ることが困難である。
【0016】
温度安定性が問題となる具体例として、周波数の変化量を検出するアプリケーションが挙げられる。センサを弛張発振回路に接続することによって、例えばセンサの抵抗の変化に応じて発振周波数の変化が得られる。センサの抵抗の変化量と発振周波数の変化量とは相関がある。例えば、センサの信号が1%変化した時に周波数は1%変化する。弛張発振回路を100kHzで発振させた場合、周波数変化は1kHzとなり、1kHzの変化を例えば64階調で検出するためには、1kHz/64=15.625Hzの変動量に対応した精度で発振周波数が生成されることが望まれる。
【0017】
発振回路の発振周波数を高精度化するために、発振回路を周波数同期回路で実現することが考えられる。例えば、周波数同期回路は原発振器、周波数比較回路、分周回路、電圧制御発振回路(VCO)で構成される周波数負帰還回路である。電圧制御発振回路の発振周波数と原発振器の基準発振周波数との周波数差を検出し、周波数差がゼロに近づくように電圧制御発振回路を電圧制御する。その結果、基準発振周波数の周波数精度で電圧制御発振回路が発振することになり、電圧制御発振回路の特性要求を緩和できることになる。
【0018】
ここで、周波数同期回路において、基準周波数を生成するための原発振器は、水晶振動子又はレゾネータなどが用いられ得る。しかし、センサインターフェース回路1において、水晶振動子又はレゾネータなどの原発振器を用いることは、次の理由から困難である。
【0019】
例えば、IoTに適用する場合にセンサインターフェース回路1には低消費電力化が要求されるが、水晶振動子又はレゾネータなどの原発振器を用いると、原発振器の発振信号に応じた電流を流し続けることになる。これにより、センサインターフェース回路1の消費電流が増大し、低消費電力化の要求を満たすことが困難になる可能性がある。
【0020】
各センサモジュール100は、情報収集端末200から受信されるRF信号を用いて発電することがあるが、電波法の制限により発電から動作までの時間が限られる。周波数同期回路において、水晶振動子又はレゾネータなどの原発振器を用いると、基準周波数信号の周波数を安定させるまでのロック時間が長いため、電波法の制限を満たすことが困難になる可能性がある。
【0021】
トランジスタなどの回路素子に比べると、水晶振動子又はレゾネータなどの原発振器は物理的に大きくなりやすい。そのため、周波数同期回路において、水晶などの原発振器を用いると、センサインターフェース回路1が大型化しやすく、例えばIoT技術に要求される実装サイズの要求を満たすことが困難になる可能性がある。
【0022】
トランジスタなどの回路素子に比べると、水晶振動子又はレゾネータなどの原発振器はコスト的に高い。このため、周波数同期回路において、水晶振動子又はレゾネータなどの原発振器を用いると、センサインターフェース回路1のコストが増加しやすい。
【0023】
そこで、第1の実施形態では、センサインターフェース回路1において、周波数同期回路を、周波数ドメインに代えて電圧ドメインで周波数同期ループのフィードバック動作を行うよう構成することで、原発振器を用いることなく周波数同期回路の高精度化を図る。
【0024】
具体的には、センサインターフェース回路1において、周波数同期回路は、基準周波数信号に代えて基準電圧を生成する。基準電圧は、抵抗素子などの回路素子で生成可能である。周波数同期回路は、発振動作を行って生成した発振信号の発振周波数をインピーダンスに変換する。例えば、スイッチトキャパシタ回路を用いることで、発振信号の発振周波数をインピーダンスに変換できる。変換されたインピーダンスは、センサの検出値に応じた電流を用いてさらに電圧に変換される。変換された電圧は、センサの検出値に応じた電圧である。周波数同期ループのフィードバック動作は、センサの検出値に応じた電圧と基準電圧との差分がゼロに近づくように行われる。これにより、電圧ドメインで周波数同期機能を実現でき、基準電圧の精度に影響されにくく高精度かつロバスト性の高い発振周波数を得ることができる。この結果、原発振器を用いることなく周波数同期回路を高精度化できる。したがって、例えば、センサインターフェース回路1の消費電流を低減でき、低消費電力化の要求を満たすことができる。周波数同期ループのロック時間を短縮でき、電波法の制限を満たすことができる。センサインターフェース回路1の大型化を抑制でき、IoT技術に要求される実装サイズの要求を満たすことができるため、発振周波数精度を劣化させることなく、集積回路への集積も可能である。また、原発振器を用いる場合に比べて、センサインターフェース回路1のコストを低減できる。
【0025】
より具体的には、周波数同期回路10を含むセンサインターフェース回路1は、
図2に示すように構成され得る。
図2は、センサインターフェース回路1を含むセンサモジュール100の構成を示す図である。
【0026】
センサモジュール100において、センサインターフェース回路1は、センサ2とインピーダンス変換回路4及びアンテナ5との間に接続される。インピーダンス変換回路4は、センサインターフェース回路1及びアンテナ5の間に電気的に接続される。
【0027】
センサ2は、抵抗性のセンサであり、その検出値に応じて、等価的に、抵抗値が変化する可変抵抗素子RSENSを含む。可変抵抗素子RSENSは、一端がセンサインターフェース回路1の端子1aに接続され、他端がグランド電位に接続される。
【0028】
インピーダンス変換回路4は、インピーダンス変換器4a及びインピーダンス変換器4bを有する。インピーダンス変換器4a及びインピーダンス変換器4bは、センサインターフェース回路1及びアンテナ5の間に並列に接続される。インピーダンス変換器4aは、一端がアンテナ5に接続され、他端がセンサインターフェース回路1の端子1bに接続される。インピーダンス変換器4bは、一端がアンテナ5に接続され、他端がセンサインターフェース回路1の端子1cに接続される。
【0029】
センサインターフェース回路1は、周波数同期回路10、LPF(Low Pass Filter)7、RFスイッチ6、発電回路8、及び電圧制御回路9を有する。
【0030】
発電回路8は、端子1c及び電圧制御回路9の間に電気的に接続される。発電回路8は、容量素子等の蓄積素子を有し、アンテナ5からインピーダンス変換器4b及び端子1c経由でRF信号が伝達される。
【0031】
電圧制御回路9は、発電回路8及び周波数同期回路10の間に電気的に接続される。電圧制御回路9は、充電期間に、周波数同期回路10への電力供給を遮断して蓄積素子に電荷を蓄積させ、放電期間に、蓄積素子に蓄積された電荷を用いて周波数同期回路10への電力供給を行う。これにより、周波数同期回路10の入力ノード10aに電源電位VDDが供給され得る。
【0032】
周波数同期回路10は、入力ノード10aが電圧制御回路9に電気的に接続され、入力ノード10bが端子1aを介してセンサ2に電気的に接続され、出力ノード10cがLPF7に電気的に接続される。周波数同期回路10は、センサ2の検出値(例えば、可変抵抗素子RSENSの抵抗値)に応じて発振動作を行う。このとき、周波数同期回路10は、電圧ドメインで周波数同期ループのフィードバック動作を行う。
【0033】
周波数同期回路10は、基準電圧VREFを生成する。それとともに、周波数同期回路10は、発振動作を行って生成した発振信号の発振周波数FOUTをインピーダンスに変換する。周波数同期回路10は、変換されたインピーダンスを、可変抵抗素子RSENSの抵抗値に応じた電流ISENSを用いてさらに電圧VSENSに変換する。変換された電圧VSENSは、センサの検出値に応じた電圧である。周波数同期回路10は、周波数同期ループのフィードバック動作を、センサの検出値に応じた電圧VSENSと基準電圧VREFとの差分がゼロに近づくように行う。これにより、電圧ドメインで周波数同期機能を高精度に実現できる。
【0034】
例えば、周波数同期回路10は、
図2に示すように、電圧制御発振回路11、分周回路12、周波数インピーダンス変換回路13、基準電圧源14、電流源15、電圧差検出回路16、及びフィルタ17を有する。電圧差検出回路16、フィルタ17、電圧制御発振回路11、分周回路12、周波数インピーダンス変換回路13は、ループ状に接続される。このループ状の接続が周波数同期ループを構成する。また、周波数同期回路10は、センサ2が電流源15に接続され、センサ2の検出値に応じて電流源15が流す電流I
SENSが変化する。周波数同期回路10は、電流変化型の周波数同期回路と呼ぶことができる。
【0035】
基準電圧源14は、電流源15及び電圧差検出回路16に並列に接続されている。基準電圧源14は、出力ノード14aが電流源15の制御ノード15cと電圧差検出回路16の入力ノード16aとに接続されている。基準電圧源14は、基準電圧を生成する。例えば、基準電圧源14は、
図3に示すように抵抗分圧で基準電圧V
REFを生成する。
図3は、周波数同期回路10の構成を示す図である。基準電圧源14は、複数の抵抗素子141,142を有する。抵抗素子141は、一端がグランド電位に接続され、他端が抵抗素子142に接続される。抵抗素子142は、一端が抵抗素子141に接続され、他端が電源電位V
DDに接続される。抵抗素子141の抵抗値をRとし、抵抗素子142の抵抗値をRとすると、基準電圧源14は、次の数式2に示す基準電圧V
REFを生成し得る。
V
REF={R/(R+R)}×V
DD=V
DD/2・・・数式2
【0036】
図3では、抵抗分圧比が1/2の構成が例示されているが、基準電圧源14は、要求される基準電圧V
REFの値に応じて0より大きく1より小さい他の抵抗分圧比の値で構成されてもよい。
【0037】
図2に示す基準電圧源14は、基準電圧V
REFを電流源15及び電圧差検出回路16へそれぞれ供給する。
【0038】
電流源15は、基準電圧源14、電圧差検出回路16、周波数インピーダンス変換回路13に電気的に接続され、センサ2に電気的に接続可能である。電流源15は、入力ノード15aが電圧制御回路9に接続され、入力ノード15cが基準電圧源14に接続され、入力ノード15dがセンサ2に接続され、出力ノード15bが電圧差検出回路16の入力ノード16bに接続されている。電流源15は、センサ2の検出値に応じた電流ISENSを発生させて電圧差検出回路16の入力ノード16bに流す。
【0039】
例えば、電流源15は、
図3に示すように構成され得る。電流源15は、トランジスタ151、トランジスタ152、及び差動増幅回路153を有する。トランジスタ151は、電源電位V
DDと電圧差検出回路16の入力ノード16bとの間に電気的に接続される。トランジスタ151は、例えばPMOSトランジスタであり、ソースが電源電位V
DDに接続され、ドレインが電圧差検出回路16の入力ノード16bに接続され、ゲートが差動増幅回路153の出力ノード153cに接続される。トランジスタ152は、電源電位V
DDとセンサ2との間に電気的に接続可能である。トランジスタ152は、例えばPMOSトランジスタであり、ソースが電源電位V
DDに接続され、ドレインがセンサ2における可変抵抗素子R
SENSの一端に接続され、ゲートが差動増幅回路153の出力ノード153cとトランジスタ151のゲートとに接続される。差動増幅回路153は、入力ノード153a、入力ノード153b及び出力ノード153cを有する。入力ノード153aは、基準電圧源14に電気的に接続され、基準電圧源14から基準電圧V
REFを受ける。入力ノード153bは、トランジスタ152及びセンサ2の間のノード154に電気的に接続される。出力ノード153cは、トランジスタ151のゲート及びトランジスタ152のゲートに共通接続される。
【0040】
すなわち、トランジスタ151及びトランジスタ152は、差動増幅回路153を介してカレントミラー回路を構成する。差動増幅回路153→トランジスタ152→ノード154→差動増幅回路153のフィードバックループを用いて、差動増幅回路153は、ノード154の電位が基準電圧VREFに等しくなるようにトランジスタ151のゲート電圧及びトランジスタ152のゲート電圧を制御する。これにより、可変抵抗素子RSENSに流れる電流ISENS’は、次の数式3のようになる。
ISENS’=VREF/RSENS・・・数式3
【0041】
カレントミラー回路のミラー比を1とすると、電流源15から電圧差検出回路16の入力ノード16bに流れる電流ISENSは、次の数式4のようになる。
ISENS=ISENS’=VREF/RSENS・・・数式4
【0042】
数式4に示されるように、電流源15の電流ISENSは、センサ2の抵抗値RSENSの変化に応じて変化する。電流ISENSは、センサ2の抵抗値RSENSの変化を示す。
【0043】
図2に示す電圧制御発振回路11は、電圧差検出回路16及び出力ノード10cの間に電気的に接続され、フィルタ17及び分周回路12の間に電気的に接続される。電圧制御発振回路11は、入力ノード11aがフィルタ17を介して電圧差検出回路16の出力ノード16cに電気的に接続され、出力ノード11bが分周回路12を介して出力ノード10cに電気的に接続される。電圧制御発振回路11は、電圧差検出回路16からフィルタ17を介して受けた制御電圧V
CTRLに応じて発振動作を行い、制御電圧V
CTRLに応じた周波数F
SENSを有する発振信号を生成する。
【0044】
例えば、電圧制御発振回路11は、
図3に示すように弛張型の発振回路で構成され得る。電圧制御発振回路11は、インバータチェーン111、可変抵抗素子112、及び容量素子113を有する。インバータチェーン111は、リング状に接続された複数段のインバータInv1~Inv3を含む。各インバータInvは、例えばNMOSトランジスタとPMOSトランジスタとをインバータ接続することで構成される。インバータInvの段数は、奇数段であり、例えば3段である。初段のインバータInv1の出力ノードは、次段のインバータInv2の入力ノードに電気的に接続されている。最終段のインバータInv3の出力ノードは、電圧制御発振回路11の出力ノード11bと初段のインバータInv1の入力ノードとにそれぞれ電気的に接続されている。可変抵抗素子112は、インバータチェーン111における複数段のインバータInv1~Inv3に直列に電気的に接続される。
図3では、可変抵抗素子112がインバータInv2の出力ノードとインバータInv3の入力ノードとの間に電気的に接続された構成が例示されている。容量素子113は、インバータチェーン111におけるインバータInv及び抵抗素子112と並列に接続される。
図3では、容量素子113が2段目のインバータInv2及び可変抵抗素子112の直列接続に対して並列に接続された構成が例示されている。
【0045】
電圧制御発振回路11では、可変抵抗素子112が制御ノードで制御電圧VCTRLを受ける。可変抵抗素子112は、制御電圧VCTRLに応じてその抵抗値RVCOが変化する。容量素子113の容量値をCVCOとすると、可変抵抗素子112の抵抗値RVCOが変化することで、可変抵抗素子112と容量素子113との時定数RVCO×CVCOが変化する。電圧制御発振回路11の発振周波数FSENSは、時定数RVCO×CVCOに応じて決まる。すなわち、電圧制御発振回路11は、制御電圧VCTRLに応じて時定数RVCO×CVCOが変化し、変化後の時定数RVCO×CVCOに応じた周波数FSENSを有する発振信号を生成する。なお、可変抵抗素子112は、例えばドレインをインバータInv2の出力ノードに接続し、ソースをインバータInv3の入力ノードに接続し、ゲートに制御電圧VCTRLが印加されるNMOSトランジスタで構成してもよい。
【0046】
図2に示す電圧制御発振回路11は、周波数F
SENSを有する発振信号を分周回路12へ供給する。
【0047】
分周回路12は、電圧制御発振回路11及び出力ノード10cの間に電気的に接続される。分周回路12は、入力ノード12aが電圧制御発振回路11の出力ノード11bに電気的に接続され、出力ノード12bが出力ノード10cに電気的に接続される。分周回路12は、入力ノード12aで受けた発振信号を分周し、周波数FOUTを有する発振信号を生成してLPF7及び周波数インピーダンス変換回路13へそれぞれ供給する。周波数FOUTは、周波数FSENSの2分の1の周波数であってもよい。このとき、分周回路12は、発振信号のデューティー比を例えば50%近傍に調整することができる。
【0048】
例えば、分周回路12は、
図3に示すように、2分周するように構成される。分周回路12は、フリップフロップ121及びインバータ122を有する。フリップフロップ121は、データ入力ノードDがインバータ122の出力ノードに接続され、クロックノードCKが電圧制御発振回路11の出力ノード11bに接続され、データ出力ノードQがインバータ122の入力ノード、LPF7、及び周波数インピーダンス変換回路13にそれぞれ接続される。フリップフロップ121は、発振信号の波形の立ち上がりエッジに同期して、その出力信号が論理反転された信号を保持するとともに、その出力信号をトグルさせる。これにより、分周回路12は、入力ノード12aで受けた発振信号を2分周し、周波数F
OUT(=F
SENS/2)を有する発振信号を生成する。また、分周回路12は、受けた発振信号の周期で出力される発振信号をトグルさせることで、発振信号のデューティー比を50%近傍に調整し得る。
【0049】
図2に示す分周回路12は、周波数F
OUTを有する発振信号を、LPF7に出力するとともに、周波数インピーダンス変換回路13へフィードバックする。
【0050】
周波数インピーダンス変換回路13は、電圧制御発振回路11と電圧差検出回路16の入力ノード16bとの間に電気的に接続され、分周回路12と電圧差検出回路16の入力ノード16bとの間に電気的に接続される。周波数インピーダンス変換回路13は、分周回路12の出力ノード12bから電圧差検出回路16の入力ノード16bに至るフィードバックライン上に配される。周波数インピーダンス変換回路13は、入力ノード13aが分周回路12に接続され、出力ノード13bが電圧差検出回路16の入力ノード16bに接続される。周波数インピーダンス変換回路13は、分周回路12から発振信号を受け、発振信号の周波数FOUTをインピーダンスに変換する。
【0051】
例えば、周波数インピーダンス変換回路13は、
図3に示すように、スイッチトキャパシタ回路で構成され得る。スイッチトキャパシタ回路とは、スイッチと容量素子とを組み合わせることで抵抗器のように電流又は電圧を制限する回路である。周波数インピーダンス変換回路13は、発振信号に応じて容量素子を充放電させることで、その回路インピーダンスを発振信号の周波数に応じた値にすることができる。
【0052】
周波数インピーダンス変換回路13は、容量素子131、容量素子132、スイッチ133、スイッチ134、及びインバータ135を有する。容量素子131は、一端がグランド電位に接続され、他端がスイッチ133及びスイッチ134の間のノード136に接続される。容量素子132は、一端がグランド電位に接続され、他端が電圧差検出回路16の入力ノード16bに接続される。スイッチ133は、一端が電圧差検出回路16の入力ノード16bに接続され、他端がノード136に接続され、制御端が分周回路12を介して電圧制御発振回路11に接続される。スイッチ134は、一端がノード136に接続され、他端がグランド電位に接続され、制御端がインバータ135に接続される。インバータ135は、入力ノードが分周回路12を介して電圧制御発振回路11に接続され、出力ノードがスイッチ134に接続される。
【0053】
周波数インピーダンス変換回路13では、スイッチ133及びスイッチ134が、発振信号のレベルに応じて相補的にオン・オフする。これにより、容量素子131が充放電される。発振信号がHレベルである場合、スイッチ133がオフ状態に維持されるとともにスイッチ134がオン状態に維持され、容量素子131の電荷がグランド電位に排出され、容量素子131が放電される。発振信号がLレベルである場合、スイッチ133がオン状態に維持されるとともにスイッチ134がオフ状態に維持され、電流ISENSに応じた電荷が容量素子131に蓄積され、容量素子131が充電される。このとき、容量素子132は、発振信号のレベルに関わらず、電流ISENSに応じた電荷を蓄積した状態を維持している。
【0054】
すなわち、周波数インピーダンス変換回路13は、周波数FOUTを有する発振信号によって容量素子131に対して周期的に充電と放電とを繰り返すことで等価的に周波数FOUTに対応するインピーダンスを発生できる。周波数インピーダンス変換回路13の出力電圧は、電圧差検出回路16の入力ノード16bの電圧VSENSとして現れる。電圧VSENSは、容量素子131の充電時において、時定数的に変化するが、電流ISENSに応じた電荷の蓄積を維持する容量素子132によって平均化されながら安定点に収束する。
【0055】
例えば、
図4に示すように、電流I
SENS=I
1のとき、安定点に収束する時における電圧V
SENS=V
1になる。電流I
SENS=I
2のとき、安定点に収束する時における電圧V
SENS=V
2になる。電流I
SENS=I
10のとき、安定点に収束する時における電圧V
SENS=V
10になる。
図4は、周波数インピーダンス変換回路13の動作を示す図であり、縦軸が電圧の大きさを示し、横軸が時間を示す。周波数インピーダンス変換回路13では、流れ込む電流I
SENSが増えると、安定点に収束する時における電圧V
SENSがそれにほぼ比例して上昇することが分かる。すなわち、容量素子132の容量値をC
AVE、容量素子131の容量値をC
SCとすると、安定点に収束する時における電圧差検出回路16の入力ノード16bの電圧V
SENSは、次の数式5のようになる。
V
SENS=I
SENS/(F
OUT・C
SC)・・・数式5
【0056】
数式5に示されるように、安定点に収束する状態において、発振信号の周波数FOUTが周波数インピーダンス変換回路13でインピーダンス1/(FOUT・CSC)に変換される。等価的には、インピーダンス1/(FOUT・CSC)の一端が電圧差検出回路16の入力ノード16bに接続され、その他端がグランド電位に接続された状態になる。このため、電圧差検出回路16の入力ノード16bでは、電流源15からの電流ISENSが等価インピーダンス1/(FOUT・CSC)に流れ込むことで、等価インピーダンス1/(FOUT・CSC)により電流ISENSが電圧VSENSに変換される。電圧VSENSは、電流ISENSを含み、センサ2の検出値に対応している。また、電圧VSENSは、周波数FOUTを含み、電圧制御発振回路11の発振周波数FSENSに対応している。
【0057】
図2に示す電圧差検出回路16の入力端子には、基準電圧源14、電流源15、周波数インピーダンス変換回路13、が接続され、フィルタ17は出力端子に電気的に接続される。電圧差検出回路16は、入力ノード16aが基準電圧源14に接続され、入力ノード16bが電流源15及び周波数インピーダンス変換回路13に接続され、出力ノード16cがフィルタ17に接続される。電圧差検出回路16は、入力ノード16aで基準電圧V
REFを受け、入力ノード16bで電流源15及び周波数インピーダンス変換回路13により電圧V
SENSが生成される。電圧差検出回路16は、基準電圧V
REF及び電圧V
SENSの差分に応じて、差分が小さくなるように制御するための制御電圧V
CTRL’を生成する。
【0058】
例えば、電圧差検出回路16は、
図3に示すように、差動増幅回路161を有する。差動増幅回路161は、非反転入力端子(+)が基準電圧源14に接続され、反転入力端子(-)が電流源15及び周波数インピーダンス変換回路13に接続され、出力端子がフィルタ17に接続される。差動増幅回路161は、基準電圧V
REF及び電圧V
SENSの差分を増幅して制御電圧V
CTRL’を生成する。
【0059】
図2に示すフィルタ17は、電圧差検出回路16及び電圧制御発振回路11の間に電気的に接続される。フィルタ17は、入力ノード17aが電圧差検出回路16に接続され、出力ノード17bが電圧制御発振回路11に接続される。フィルタ17は、電圧差検出回路16から制御電圧V
CTRL’を受け、制御電圧V
CTRL’にフィルタ処理を施す。フィルタ17は、フィルタ処理後の制御電圧V
CTRLを電圧制御発振回路11へ供給する。
【0060】
例えば、フィルタ17は、
図3に示すように、ローパスフィルタで構成され得る。フィルタ17は、抵抗素子171及び容量素子172を有する。抵抗素子171は、一端が差動増幅回路161の出力端子に接続され、他端が容量素子172の一端及び電圧制御発振回路11に接続される。容量素子172の他端は、グランド電位に接続される。この構成により、フィルタ17は、制御電圧V
CTRL’にローパスフィルタ処理を施して平滑化し、平滑化された制御電圧V
CTRLを電圧制御発振回路11へ供給できる。
【0061】
周波数同期回路10において、電圧差検出回路16→フィルタ17→電圧制御発振回路11→分周回路12→周波数インピーダンス変換回路13→電圧差検出回路16の周波数同期ループを用いて、電圧差検出回路16は、電圧VSENSが基準電圧VREFに等しくなるように、制御電圧VCTRLをフィードバック制御する。すなわち、フィードバック制御が正常に機能した場合、次の数式6が成り立つ。
VREF=VSENS・・・数式6
【0062】
数式6を数式5に代入すると、次の数式7が得られる。
VREF=ISENS/(FOUT・CSC)・・・数式7
【0063】
数式7を周波数FOUTについて解くと、次の数式8が得られる。
FOUT=1/{(VREF/ISENS)・CSC}・・・数式8
【0064】
数式8に数式4を代入すると、次の数式9が得られる。
FOUT=1/{RSENS・CSC}・・・数式9
【0065】
数式9に示されるように、周波数同期回路10では、基準電圧VREFに依存せずセンサ2の等価抵抗値RSENSに応じた発振周波数FOUTが得られることが解る。これにより、電圧ドメインで周波数同期機能を実現でき、基準電圧VREFの精度に影響されにくい発振周波数FOUTを得ることができる。すなわち、高精度かつロバスト性の高い発振周波数FOUTを得ることができる。
【0066】
また、数式9に示されるように、周波数同期回路10では、電源電位VDDに不感な発振周波数FOUTを得ることが出来る。これにより、電源電位VDDの変動に対する耐性を強化可能で電圧制御回路9への特性要求を緩和できる。この結果、センサインターフェース回路1を半導体チップで実装する場合に、チップコストを低減できる。
【0067】
また、数式9に示されるように、周波数同期回路10では、トランジスタの特性バラツキに不感な発振周波数FOUTを得ることが出来る。これにより、トランジスタに対する特性要求を緩和できる。この結果、センサインターフェース回路1を半導体チップで実装する場合に、チップコストを低減できる。
【0068】
また、数式9に示されるように、周波数同期回路10では、温度特性の小さい抵抗値と容量値に依存する発振周波数FOUTを得ることで、温度に不感な発振周波数FOUTを得ることが出来る。これにより、水晶発振器やMEMS共振器を用いずに、安価な部品で温度変動に対する耐性を向上できる。この結果、センサインターフェース回路1を半導体チップで実装する場合に、チップコストを低減できる。
【0069】
次に、周波数同期回路10の動作について
図5を用いて説明する。
図5は、周波数同期回路10の動作を示す波形図である。
【0070】
タイミングt1において、周波数同期回路10が起動すると、電流源15がセンサ2の抵抗値RSENS=R1に応じた電流ISENS=I1を流し始める。これに応じて、周波数インピーダンス変換回路13では、電流ISENS=I1に応じた電荷を容量素子132に蓄積し、電圧VSENSが徐々に上昇する。このとき、発振信号がLレベルであり、スイッチ133がオフ状態に維持され、スイッチ134がオン状態に維持され、容量素子131は放電状態で、その電圧VSCはグランド電位に略等しい。また、基準電圧VREFが一定に維持されているので、電圧VSENSが徐々に上昇することに伴い、電圧差検出回路16は、制御電圧VCTRLを徐々に増加させる。
【0071】
タイミングt2において、電圧制御発振回路11が発振動作を開始し、発振信号のレベルがHレベルになる。これに応じて、スイッチ133がオンし、スイッチ134がオフする。電圧VSENSは、容量素子131の一端が入力ノード16bに接続されたことで一瞬引き下げられる。その後、容量素子131,132で電荷が再分配されるとともに電流ISENS=I1に応じた電荷が容量素子131,132にそれぞれ充電される事に伴い、電圧VSC及び電圧VSENSは、それぞれ、徐々に上昇する。
【0072】
タイミングt3において、発振信号のレベルがLレベルになる。これに応じて、スイッチ133がオフし、スイッチ134がオンする。容量素子131は放電され、その電圧VSCはグランド電位に引き下げられる。このとき、容量素子132は電荷を保持しているので、電流ISENS=I1に応じた電荷が容量素子132に充電される事に伴い、電圧VSENSは、引き続き、徐々に上昇する。
【0073】
タイミングt4において、発振信号のレベルがHレベルになる。これに応じて、スイッチ133がオンし、スイッチ134がオフする。電圧VSENSは、容量素子131の一端が入力ノード16bに接続されたことで一瞬引き下げられる。その後、容量素子131,132で電荷が再分配されるとともに電流ISENS=I1に応じた電荷が容量素子131,132にそれぞれ充電される事に伴い、電圧VSC及び電圧VSENSは、それぞれ、徐々に上昇する。
【0074】
タイミングt5において、発振信号のレベルがLレベルになる。これに応じて、スイッチ133がオフし、スイッチ134がオンする。容量素子131は放電され、その電圧VSCはグランド電位に引き下げられる。このとき、容量素子132は電荷を保持しているので、電流ISENS=I1に応じた電荷が容量素子132に充電される事に伴い、電圧VSENSは、引き続き、徐々に上昇する。
【0075】
タイミングt6~t14において、タイミングt4~t5と同様の動作とタイミングt5~t6と同様の動作とが交互に繰り返され、電圧VSENSが鋸歯状の波形で変動しながら時間平均で基準電圧VREFに近づいていき、制御電圧VCTRLが値V1に徐々に近づいていく。これに伴い、発振信号の周波数FOUTがセンサ2の抵抗値RSENS=R1に対応した値F1に近づいていく。
【0076】
タイミングt14で電圧VSENSが時間平均で基準電圧VREFに等しくなると、タイミングt14以降タイミングt18まで、制御電圧VCTRLが値V1で安定し、発振信号の周波数FOUTがセンサ2の抵抗値RSENS=R1に対応した値F1で安定し、周波数同期ループがロック状態になる。これにより、周波数同期回路10がセンサ2の抵抗値RSENS=R1に対応した周波数FOUT=F1を安定的に出力する。周期TP1は、周波数F1に対応する周期である。
【0077】
タイミングt18において、センサ2の検出対象の状態変化等によりセンサ2の抵抗値RSENSがR2(>R1)に変化し、電流ISENS=I2(<I1)に変化する。これに応じて、タイミングt18~t24において、タイミングt4~t5と同様の動作とタイミングt5~t6と同様の動作とが交互に繰り返され、電圧VSENSが鋸歯状の波形で変動しながら時間平均で基準電圧VREFに近づいていき、制御電圧VCTRLが値V2(>V1)に徐々に近づいていく。これに伴い、発振信号の周波数FOUTがセンサ2の抵抗値RSENS=R2に対応した値F2(<F1)に近づいていく。
【0078】
タイミングt24で電圧VSENSが時間平均で基準電圧VREFに略等しくなると、タイミングt24以降、制御電圧VCTRLが値V2で安定し、発振信号の周波数FOUTがセンサ2の抵抗値RSENS=R2に対応した値F2で安定し、周波数同期ループが再びロック状態になる。これにより、周波数同期回路10がセンサ2の抵抗値RSENS=R2に対応した周波数FOUT=F2を安定的に出力する。周期TP2は、周波数F2に対応する周期である。
【0079】
以上のように、第1の実施形態では、センサインターフェース回路1において、周波数同期回路10が、周波数ドメインに代えて電圧ドメインで周波数同期ループのフィードバック動作を行うよう構成される。これにより、基準電圧の精度に依存しない発振周波数を得ることができ、電圧ドメインで周波数同期ループのフィードバック動作を容易に高精度化できる。したがって、原発振器を用いることなく周波数同期回路10を高精度化できる。
【0080】
なお、周波数同期回路10において、電圧制御発振回路11から出力される発振信号デューティー比が50%に近い場合、分周回路12は、省略されてもよい。また、電圧差検出回路16から出力される制御電圧が平滑であれば、フィルタ17は、省略されてもよい。
【0081】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態にかかるセンサインターフェース回路1jについて説明する。以下では、第1の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0082】
電圧ドメインで周波数同期ループのフィードバック動作を行う周波数同期回路として、第1の実施形態では、電流変化型の周波数同期回路が例示されるが、第2の実施形態では、電圧変化型の周波数同期回路が例示される。センサの検出値の変化に対して、電流変化型の周波数同期回路では、電流源の電流が変化するのに対して、電圧変化型の周波数同期回路では、増幅回路で増幅して出力する電圧を変化させる。
【0083】
具体的には、センサインターフェース回路1jを含むセンサモジュール100jは、
図6に示すように構成され得る。
図6は、第2の実施形態にかかるセンサインターフェース回路1jを含むセンサモジュール100jの構成を示す図である。
【0084】
センサインターフェース回路1jは、周波数同期回路10(
図2参照)に代えて周波数同期回路10jを有する。周波数同期回路10jは、電流源15(
図2参照)に代えて電流源15jを有し、増幅回路18j及び抵抗素子19jをさらに有する。
【0085】
増幅回路18jは、基準電圧源14と電圧差検出回路16との間に電気的に接続され、センサ2に電気的に接続可能である。増幅回路18jは、入力ノード18aが基準電圧源14に接続され、入力ノード18bが抵抗素子19j及び可変抵抗素子RSENSの間のノード192に接続され、出力ノード18cが電圧差検出回路16に接続される。
【0086】
基準電圧源14は、電流源15j及び増幅回路18jのそれぞれに接続されている。基準電圧源14は、出力ノード14aが電流源15jの制御ノード15cと増幅回路18jの入力ノード18aとに接続されている。基準電圧源14は、基準電圧VREF’を生成する。増幅回路18jは、基準電圧VREF’を入力ノード18aで受ける。
【0087】
センサ2の可変抵抗素子RSENSは、一端がセンサインターフェース回路1jの端子1dを介して電圧制御回路9に接続され、他端がセンサインターフェース回路1jの端子1eを介して増幅回路18j及び抵抗素子19jに接続される。可変抵抗素子RSENSは、一端に電源電位VDDが供給され、他端が抵抗素子19jの一端に接続される。抵抗素子19jの他端は、グランド電位に接続される。抵抗素子19jは、参照用の抵抗素子であり、可変抵抗素子RSENSの抵抗値の変化の基準となる抵抗値を有する。これにより、電源電位VDDが可変抵抗素子RSENSの抵抗値に応じて抵抗分圧された電圧VSENS’が増幅回路18jの入力ノード18bに印加される。電圧VSENS’は、センサ2の抵抗値RSENSの変化に応じて変化する。電圧VSENS’は、センサ2の抵抗値RSENSの変化を示す。
【0088】
増幅回路18jは、基準電圧V
REF’と電圧V
SENS’との差分を増幅し、増幅された差分に応じた電圧V
SENSを出力する。電圧V
SENSは、センサ2の検出値(例えば、可変抵抗素子R
SENSの抵抗値)に対応している。すなわち、電圧差検出回路16は、センサ2の検出値に対応する電圧V
SENSを入力ノード16b(
図3参照)に代えて入力ノード16aで受け、基準電圧V
REFを入力ノード16a(
図3参照)に代えて入力ノード16bで受ける点で、第1の実施形態と異なる。
【0089】
例えば、増幅回路18jは、
図7に示すように、計装増幅回路で構成される。増幅回路18jは、複数のドライバ181~183及び複数の抵抗素子184~191を有する。ドライバ181は、第1の入力ノードが基準電圧源14に接続され、第2の入力ノードが抵抗素子184,186の一端にそれぞれ接続され、出力ノードが抵抗素子188の一端及び抵抗素子186の他端にそれぞれ接続される。ドライバ182は、第1の入力ノードがノード192に接続され、第2の入力ノードが抵抗素子185,187の一端にそれぞれ接続され、出力ノードが抵抗素子191の一端及び抵抗素子187の他端にそれぞれ接続される。ドライバ183は、第1の入力ノードが抵抗素子188の他端及び抵抗素子189の一端にそれぞれ接続され、第2の入力ノードが抵抗素子190の一端及び抵抗素子191の他端にそれぞれ接続され、出力ノードが抵抗素子189の他端に接続される。抵抗素子190の他端は、抵抗素子184,185の他端にそれぞれ接続される。複数のドライバ181~183の駆動力は、互いに均等であってもよい。複数の抵抗素子184~191の抵抗値は、互いに均等であってもよい。
【0090】
この構成により、増幅回路18jは、電圧VSENS’の基準電圧VREF’からの差分を大きくなるように増幅して電圧VSENSを生成できる。抵抗素子19jの抵抗値をRREFとし、センサ2(可変抵抗素子RSENS)の抵抗値をRSENSとすると、電圧VSENS’は次の数式10で表される。
VSENS’=VDD・{RREF/(RREF+RSENS)}・・・数式10
【0091】
また、増幅回路18jの増幅率をAとすると、増幅後の電圧VSENSは次の数式11で表される。
VSENS=(VSENS’-VREF’)・A+VREF’・・・数式11
【0092】
VREF’=VDD/2であるから、数式10を数式11に代入すると、次の数式12が得られる。
VSENS=(VDD・{RREF/(RREF+RSENS)}-VDD/2)・A+VDD/2・・・数式12
【0093】
数式11,12に示されるように、増幅回路18jは、電圧VSENS’の基準電圧VREF’からの差分を大きくなるように増幅して電圧VSENSを生成できる。
【0094】
図6に示す電流源15jは、センサ2に接続されず、基準電圧V
REF’に応じた基準電流I
REFを電圧差検出回路16の入力ノード16bに流す。
【0095】
例えば、電流源15jは、
図7に示すように、抵抗素子155jをさらに有する。抵抗素子155jは、固定的な抵抗値を有する。差動増幅回路153→トランジスタ152→ノード154→差動増幅回路153のフィードバックループを用いて、差動増幅回路153は、ノード154の電位が基準電圧V
REF’に等しくなるようにトランジスタ151のゲート電圧及びトランジスタ152のゲート電圧を制御する点は、第1の実施形態と同様である。これにより、電流源15jは、基準電圧V
REF’に応じた基準電流I
REFを電圧差検出回路16の入力ノード16bに流すことができる。V
REF’=V
DD/2であるから、抵抗素子155jの抵抗値をRとすると、次の数式13が成り立つ。
I
REF=(V
DD/2)/R・・・数式13
【0096】
周波数インピーダンス変換回路13の出力電圧は、電圧差検出回路16の入力ノード16bの電圧VREFとして現れる。電圧VREFは、容量素子131の充電時において、時定数的に変化するが、電流IREFに応じた電荷の蓄積を維持する容量素子132によって平均化されながら安定点に収束する。安定点に収束する時における電圧差検出回路16の入力ノード16bの電圧VSENSは、次の数式14のようになる。
VREF=IREF/(FOUT・CSC)・・・数式14
【0097】
数式14に示されるように、安定点に収束する状態において、発振信号の周波数FOUTが周波数インピーダンス変換回路13でインピーダンス“1/(FOUT・CSC)”に変換される。等価的には、インピーダンス“1/(FOUT・CSC)”の一端が電圧差検出回路16の入力ノード16bに接続され、その他端がグランド電位に接続された状態になる。このため、電圧差検出回路16の入力ノード16bでは、電流源15jからの電流IREFが等価インピーダンス“1/(FOUT・CSC)”に流れ込むことで、等価インピーダンス“1/(FOUT・CSC)”により電流IREFが電圧VREFに変換される。電圧VREFは、周波数FOUTを含み、電圧制御発振回路11の発振周波数FSENSに対応している点は第1の実施形態と同様であるが、センサ2の検出値には対応していない点が第1の実施形態と異なる。代わりに、数式12に示す電圧VSENSが、抵抗値RSENSを含み、センサ2の検出値に対応している。
【0098】
周波数同期回路10jにおいて、電圧差検出回路16→フィルタ17→電圧制御発振回路11→分周回路12→周波数インピーダンス変換回路13→電圧差検出回路16の周波数同期ループを用いて、電圧差検出回路16は、電圧VSENSが基準電圧VREFに等しくなるように、制御電圧VCTRLをフィードバック制御する点は、第1の実施形態と同様である。すなわち、フィードバック制御が正常に機能した場合、数式6が成り立つ。数式6を数式14に代入すると、次の数式15が得られる。
VSENS=IREF/(FOUT・CSC)・・・数式15
【0099】
数式12,13を数式15に代入すると、次の数式16が得られる。
(VDD・{RREF/(RREF+RSENS)}-VDD/2)・A+VDD/2={(VDD/2)/R}・{1/(FOUT・CSC)}・・・数式16
【0100】
数式16で{RREF/(RREF+RSENS)}=RSとすると、数式16は次の数式17のように書き換えられる。RSは、センサ2の抵抗値RSENSの変化を示すパラメータである。
(VDD・RS-VDD/2)・A+VDD/2={(VDD/2)/R}・{1/(FOUT・CSC)}・・・数式17
【0101】
数式17を周波数FOUTについて解くと、次の数式18が得られる。
FOUT=[{(VDD/2)/R}・{1/(FOUT・CSC)}]/[(VDD・RS-VDD/2)・A+VDD/2]
={1/(CSC・R)}・[1/{2・A・RS+(1-A)}]・・・数式18
【0102】
数式18に示されるように、センサインターフェース1jでは、右辺における第1項{1/(CSC・R)}で発振周波数を設計でき、第2項[1/{2・A・RS+(1-A)}]によりセンサ2の検出値に対する感度(増幅率A)を設計できる。すなわち、第1の実施形態に比べて、さらに高精度かつロバスト性の高い発振周波数FOUTを得ることができる。
【0103】
また、周波数同期回路10jの動作が、
図8に示すように、次の点で第1の実施形態と異なる。
図8は、周波数同期回路10jの動作を示す波形図である。
【0104】
図8の波形図では、
図5の波形図に対して、鋸歯状に変化するのが電圧V
SENSから電圧V
REFに置き換わり、比較的一定であるのが電圧V
REFから電圧V
SENSに置き換わっている。電圧V
SENSは、センサ2の抵抗値R
SENSが一定の期間にほぼ一定であるが、センサ2の抵抗値R
SENSの値が変わるとそれに応じて変化する。
【0105】
タイミングt31において、周波数同期回路10jが起動すると、電流源15jが基準電圧VREF’に応じた電流IREF=I11を流し始める。これに応じて、周波数インピーダンス変換回路13では、電流IREF=I11に応じた電荷を容量素子132に蓄積し、電圧VREFが徐々に上昇する。このとき、発振信号がLレベルであり、スイッチ133がオフ状態に維持され、スイッチ134がオン状態に維持され、容量素子131は放電状態で、その電圧VSCはグランド電位に略等しい。また、基準電圧VSENSが値V11にほぼ維持されているので、電圧VREFが徐々に上昇することに伴い、電圧差検出回路16は、制御電圧VCTRLを徐々に増加させる。
【0106】
タイミングt32において、電圧制御発振回路11が発振動作を開始し、発振信号のレベルがHレベルになる。これに応じて、スイッチ133がオンし、スイッチ134がオフする。電圧VREFは、容量素子131の一端が入力ノード16bに接続されたことで一瞬引き下げられる。その後、容量素子131,132で電荷が再分配されるとともに電流IREF=I11に応じた電荷が容量素子131,132にそれぞれ充電される事に伴い、電圧VSC及び電圧VREFは、それぞれ、徐々に上昇する。
【0107】
タイミングt33において、発振信号のレベルがLレベルになる。これに応じて、スイッチ133がオフし、スイッチ134がオンする。容量素子131は放電され、その電圧VSCはグランド電位に引き下げられる。このとき、容量素子132は電荷を保持しているので、電流IREF=I11に応じた電荷が容量素子132に充電される事に伴い、電圧VREFは、引き続き、徐々に上昇する。
【0108】
タイミングt34において、発振信号のレベルがHレベルになる。これに応じて、スイッチ133がオンし、スイッチ134がオフする。電圧VREFは、容量素子131の一端が入力ノード16bに接続されたことで一瞬引き下げられる。その後、容量素子131,132で電荷が再分配されるとともに電流IREF=I11に応じた電荷が容量素子131,132にそれぞれ充電される事に伴い、電圧VSC及び電圧VREFは、それぞれ、徐々に上昇する。
【0109】
タイミングt35において、発振信号のレベルがLレベルになる。これに応じて、スイッチ133がオフし、スイッチ134がオンする。容量素子131は放電され、その電圧VSCはグランド電位に引き下げられる。このとき、容量素子132は電荷を保持しているので、電流IREF=I11に応じた電荷が容量素子132に充電される事に伴い、電圧VREFは、引き続き、徐々に上昇する。
【0110】
タイミングt36~t44において、タイミングt34~t35と同様の動作とタイミングt35~t36と同様の動作とが交互に繰り返され、電圧VREFが鋸歯状の波形で変動しながら時間平均で電圧VSENS=V11に近づいていき、制御電圧VCTRLが値V1に徐々に近づいていく。これに伴い、発振信号の周波数FOUTがセンサ2の抵抗値RSENS=R1に対応した値F1に近づいていく。
【0111】
タイミングt44で電圧VREFが時間平均で基準電圧VSENSに略等しくなると、タイミングt44以降タイミングt48まで、制御電圧VCTRLが値V1で安定し、発振信号の周波数FOUTがセンサ2の抵抗値RSENS=R1に対応した値F1で安定し、周波数同期ループがロック状態になる。これにより、周波数同期回路10jがセンサ2の抵抗値RSENS=R1に対応した周波数FOUT=F1を安定的に出力する。周期TP1は、周波数F1に対応する周期である。
【0112】
タイミングt48において、センサ2の検出対象の状態変化等によりセンサ2の抵抗値RSENSがR2(>R1)に変化し、電圧VSENS=V12(<V11)に変化する。これに応じて、タイミングt48~t58において、タイミングt34~t35と同様の動作とタイミングt35~t36と同様の動作とが交互に繰り返され、電圧VREFが鋸歯状の波形で変動しながら時間平均で基準電圧VSENSに近づいていき、制御電圧VCTRLが値V3(<V1)に徐々に近づいていく。これに伴い、発振信号の周波数FOUTがセンサ2の抵抗値RSENS=R2に対応した値F3(>F1)に近づいていく。
【0113】
タイミングt58で電圧VREFが時間平均で電圧VSENSに略等しくなると、タイミングt58以降、制御電圧VCTRLが値V3で安定し、発振信号の周波数FOUTがセンサ2の抵抗値RSENS=R2に対応した値F3で安定し、周波数同期ループが再びロック状態になる。これにより、周波数同期回路10jがセンサ2の抵抗値RSENS=R2に対応した周波数FOUT=F3を安定的に出力する。周期TP3は、周波数F3に対応する周期である。
【0114】
以上のように、第2の実施形態では、センサインターフェース回路1jにおいて、周波数同期回路10jが、電圧変化型の周波数同期回路で構成され、センサ2の検出値の変化に対して、増幅回路18jで増幅して出力する電圧を変化させる。このような構成によっても、基準電圧VREF’の精度に依存しない発振周波数を得ることができ、電圧ドメインで周波数同期ループのフィードバック動作を容易に高精度化できる。
【0115】
以上、本発明の実施形態を説明したが、上記実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。上記新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0116】
1,1j センサインターフェース回路
2 センサ
4 インピーダンス変換回路
5 アンテナ
6 RFスイッチ
7 LPF
8 発電回路
9 電圧制御回路
10,10j 周波数同期回路
11 電圧制御発振回路
12 分周回路
13 周波数インピーダンス変換回路
14 基準電圧源
15,15j 電流源
16 電圧差検出回路
17 フィルタ
18j 増幅回路
19j 抵抗素子
100,100j センサモジュール
200 情報収集端末
300 通信システム