(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-07
(45)【発行日】2025-01-16
(54)【発明の名称】搬送装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/677 20060101AFI20250108BHJP
B25J 9/06 20060101ALN20250108BHJP
【FI】
H01L21/68 A
B25J9/06 D
(21)【出願番号】P 2021046144
(22)【出願日】2021-03-19
【審査請求日】2024-02-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】100075384
【氏名又は名称】松本 昂
(74)【代理人】
【識別番号】100172281
【氏名又は名称】岡本 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100206553
【氏名又は名称】笠原 崇廣
(74)【代理人】
【識別番号】100189773
【氏名又は名称】岡本 英哲
(74)【代理人】
【識別番号】100184055
【氏名又は名称】岡野 貴之
(74)【代理人】
【識別番号】100185959
【氏名又は名称】今藤 敏和
(72)【発明者】
【氏名】西川 浩太郎
【審査官】湯川 洋介
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-233427(JP,A)
【文献】特開2004-266221(JP,A)
【文献】特開平05-286526(JP,A)
【文献】特開2014-099576(JP,A)
【文献】国際公開第2017/150551(WO,A1)
【文献】特開2015-119070(JP,A)
【文献】特開2001-077178(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/677
B25J 9/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高さ方向に離隔した複数の収容面のそれぞれにおいてウェーハを収容可能なカセットが載置される載置面を有するカセットテーブルと、
該ウェーハが収容されている該複数の収容面のいずれかから該ウェーハを搬出する搬送ロボットと、
該ウェーハを支持可能な支持面を有する支持テーブルと、
該搬送ロボットの動作を制御する処理部を有する制御ユニットと、を含み、
該搬送ロボットは、
該高さ方向に移動可能な搬送アームと、
該搬送アームの先端に配設され、かつ、該ウェーハを保持可能な保持面を有するロボットハンドと、
該搬送アームとともに該高さ方向に移動可能な非接触型センサと、を有し、
該処理部は、
該非接触型センサを用いて、該ウェーハが収容されている該複数の収容面のいずれかの該高さ方向における位置を検出した後に、この位置を参照して、該ウェーハを該カセットから搬出する際に該カセットに挿入される該ロボットハンドの該高さ方向における位置を決定し、かつ、
該非接触型センサを用いて、該支持面の該高さ方向における位置を検出した後に、この位置を参照して、該支持面に該ウェーハを搬入する際の該ロボットハンドの該高さ方向における位置を決定する、搬送装置。
【請求項2】
高さ方向に離隔した複数の収容面のそれぞれにおいてウェーハを収容可能なカセットが載置される載置面を有するカセットテーブルと、
該ウェーハが収容されていない該複数の収容面のいずれかに該ウェーハを搬入可能な搬送ロボットと、
該ウェーハを支持する支持面を有する支持テーブルと、
該複数の収容面のうち該搬送ロボットによって該ウェーハが収容される収容予定面を記憶する記憶部と、該搬送ロボットの動作を制御する処理部と、を有する制御ユニットと、を含み、
該搬送ロボットは、
該高さ方向に移動可能な搬送アームと、
該搬送アームの先端に配設され、かつ、該ウェーハを保持可能な保持面を有するロボットハンドと、
該搬送アームとともに該高さ方向に移動可能な非接触型センサと、を有し、
該処理部は、
該非接触型センサを用いて、該支持面の該高さ方向における位置を検出した後に、この位置を参照して、該支持面から該ウェーハを搬出する際の該ロボットハンドの該高さ方向における位置を決定し、かつ、
該非接触型センサを用いて、該収容予定面に別のウェーハが収容されていないことを確認し、かつ、該収容予定面の該高さ方向における位置を検出した後に、この位置を参照して、該ウェーハを該カセットに搬入する際に該カセットに挿入される該ロボットハンドの該高さ方向における位置を決定する、搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェーハを搬送する搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
IC(Integrated Circuit)及びLSI(Large Scale Integration)等のデバイスのチップは、携帯電話及びパーソナルコンピュータ等の各種電子機器において不可欠の構成要素である。このようなチップは、例えば、表面に多数のデバイスが形成されたウェーハを個々のデバイスを含む領域毎に分割することで製造される。
【0003】
デバイスが形成されたウェーハは、チップの小型化及び軽量化等を目的として、その分割前に薄化されることが多い。ウェーハを薄化する方法としては、例えば、ウェーハの表面(下面)側を保持面で吸引保持するチャックテーブルと、チャックテーブルの上方に設けられ、かつ、環状に離散して配置された複数の研削砥石を備える研削ホイールとを有する研削装置による研削が挙げられる。
【0004】
このようにウェーハを研削するためには、その前提としてウェーハを研削装置に搬入することが必要となる。例えば、一般的なチップの製造工程では、1ロット分(25枚程度)のウェーハがカセットに収容され、このカセットが研削装置に設けられたカセットテーブルの載置面に搬入される。また、研削装置は、一般的に、カセットから未研削のウェーハを搬出し、また、研削済みのウェーハをカセットに搬入するための搬送ロボット(搬出手段)を有する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この搬送ロボットは、未研削のウェーハをカセットから搬出して、例えば、位置合わせを行うための支持テーブルの支持面等に搬入する。具体的には、搬送ロボットは、ウェーハを保持可能な保持面を有するロボットハンドを有し、その動作は、搬送ロボット又は研削装置に設けられた制御ユニットによって制御される。
【0007】
この制御ユニットは、例えば、支持テーブルの支持面へのウェーハの搬入に先立って支持面の位置を記憶する記憶部と、この位置にウェーハを搬入するように搬送ロボットを制御する処理部とを有する。この記憶部に支持テーブルの支持面の位置を記憶させる作業(ティーチング作業)は、例えば、以下の順序で行われる。
【0008】
まず、オペレータが、搬送ロボットのロボットハンドの位置を目視で確認しながら、支持テーブルの支持面の位置に対応させるようにロボットハンドの位置を調整する。そして、オペレータが、調整されたロボットハンドの位置を支持テーブルの支持面の位置として記憶部に記憶させる。
【0009】
しかしながら、このようなティーチング作業においては、オペレータの操作ミスによってロボットハンドの保持面が支持テーブルの支持面に衝突して、ロボットハンドが破損するおそれがある。また、オペレータには慎重かつ正確に作業を行うことが要求されるため、その手間が多くなり、また、その所要時間が長くなるおそれもある。
【0010】
他方、ロボットハンドの保持面が支持テーブルの支持面に衝突する直前に警告を発するセンサをそれらの近傍に新たに設け、この警告が発せられた場合に搬送ロボットの動作を停止させることによって、ロボットハンドの破損を防止できる。ただし、この場合には、搬送ロボット及び研削装置の製造コストが増加するおそれがある。
【0011】
これらの点に鑑み、本発明の目的は、搬送ロボットのロボットハンドの破損を防止するための専用のセンサを設けることなく、オペレータによる上記のティーチング作業を簡素化して、その所要時間を低減できる搬送装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一側面によれば、高さ方向に離隔した複数の収容面のそれぞれにおいてウェーハを収容可能なカセットが載置される載置面を有するカセットテーブルと、該ウェーハが収容されている該複数の収容面のいずれかから該ウェーハを搬出する搬送ロボットと、該ウェーハを支持可能な支持面を有する支持テーブルと、該搬送ロボットの動作を制御する処理部を有する制御ユニットと、を含み、該搬送ロボットは、該高さ方向に移動可能な搬送アームと、該搬送アームの先端に配設され、かつ、該ウェーハを保持可能な保持面を有するロボットハンドと、該搬送アームとともに該高さ方向に移動可能な非接触型センサと、を有し、該処理部は、該非接触型センサを用いて、該ウェーハが収容されている該複数の収容面のいずれかの該高さ方向における位置を検出した後に、この位置を参照して、該ウェーハを該カセットから搬出する際に該カセットに挿入される該ロボットハンドの該高さ方向における位置を決定し、かつ、該非接触型センサを用いて、該支持面の該高さ方向における位置を検出した後に、この位置を参照して、該支持面に該ウェーハを搬入する際の該ロボットハンドの該高さ方向における位置を決定する、搬送装置が提供される。
【0013】
また、本発明の他の側面によれば、高さ方向に離隔した複数の収容面のそれぞれにおいてウェーハを収容可能なカセットが載置される載置面を有するカセットテーブルと、
該ウェーハが収容されていない該複数の収容面のいずれかに該ウェーハを搬入可能な搬送ロボットと、該ウェーハを支持する支持面を有する支持テーブルと、該複数の収容面のうち該搬送ロボットによって該ウェーハが収容される収容予定面を記憶する記憶部と、該搬送ロボットの動作を制御する処理部と、を有する制御ユニットと、を含み、該搬送ロボットは、該高さ方向に移動可能な搬送アームと、該搬送アームの先端に配設され、かつ、該ウェーハを保持可能な保持面を有するロボットハンドと、該搬送アームとともに該高さ方向に移動可能な非接触型センサと、を有し、該処理部は、該非接触型センサを用いて、該支持面の該高さ方向における位置を検出した後に、この位置を参照して、該支持面から該ウェーハを搬出する際の該ロボットハンドの該高さ方向における位置を決定し、かつ、該非接触型センサを用いて、該収容予定面に別のウェーハが収容されていないことを確認し、かつ、該収容予定面の該高さ方向における位置を検出した後に、この位置を参照して、該ウェーハを該カセットに搬入する際に該カセットに挿入される該ロボットハンドの該高さ方向における位置を決定する、搬送装置が提供される。
【発明の効果】
【0014】
本発明においては、非接触型センサがウェーハの搬出元の位置を検出した後に、この位置を参照して、ウェーハを搬出する際のロボットハンドの位置が決定され、かつ、非接触型センサがウェーハの搬入先の位置を検出した後に、この位置を参照して、ウェーハを搬入する際のロボットハンドの位置が決定される。
【0015】
すなわち、本発明においては、搬出元の位置及び搬入先の位置の双方が単一の非接触型センサによって特定される。これにより、搬送ロボットのロボットハンドの破損(ロボットハンドの保持面及び支持テーブルの支持面の衝突)を防止するための専用のセンサを設ける必要がなく、また、オペレータによる上記のティーチング作業を簡素化して、その所要時間を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、ウェーハを搬送する搬送装置を含む研削装置の一例を模式的に示す斜視図である。
【
図2】
図2は、搬送ロボットの一例を模式的に示す斜視図である。
【
図3】
図3は、ウェーハの一例を模式的に示す斜視図である。
【
図4】
図4は、カセットの一例を模式的に示す斜視図である
【
図5】
図5は、ターンテーブル及びその周辺の構造を模式的に示す平面図である。
【
図6】
図6(A)~
図6(C)は、支持面の高さ方向における位置を処理部が記憶部に記憶させる際の搬送ロボットの動作の一例を模式的に示す断面図である。
【
図7】
図7(A)及び
図7(B)は、収容面の高さ方向における位置を処理部が記憶部に記憶させる際の搬送ロボットの動作の一例を模式的に示す断面図であり、
図7(C)は、収容面からウェーハを搬出する際の搬送ロボットの動作の一例を模式的に示す断面図である。
【
図8】
図8(A)及び
図8(B)は、収容予定面の高さ方向における位置を処理部が記憶部に記憶させる際の搬送ロボットの動作の一例を模式的に示す断面図である。
【
図9】
図9(A)~
図9(C)は、支持面の高さ方向における位置を処理部が記憶部に記憶させる際の搬送ロボットの動作の一例を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
図1は、ウェーハを搬送する搬送装置を含む研削装置の一例を模式的に示す斜視図である。なお、
図1においては、研削装置の構成要素の一部が機能ブロックで示されている。また、
図1に示されるX軸方向(前後方向)及びY軸方向(左右方向)は、水平面上において互いに垂直な方向であり、また、Z軸方向(上下方向、高さ方向)は、X軸方向及びY軸方向に垂直な方向(鉛直方向)である。
【0018】
図1に示される研削装置2は、各種の構成要素を支持する基台4を備える。基台4の上面の前端側には開口4aが形成されており、開口4a内には搬送ロボット6が設けられている。
図2は、搬送ロボット6を模式的に示す斜視図である。搬送ロボット6は、開口4aの底面に固定され、Z軸方向に沿って延在する円柱状の第1駆動部8を有する。
【0019】
第1駆動部8の内部には、Z軸方向に沿って移動可能なピストンロッドを有し、Z軸方向に沿った回転軸の周りに回転可能なエアシリンダ等のアクチュエータ(不図示)が設けられている。また、第1駆動部8の上面側には、このピストンロッドが通る開口が設けられている。このピストンロッドの上端部には、搬送アーム10が連結されている。
【0020】
搬送アーム10は、複数の関節を持つロボットアームである。具体的には、搬送アーム10は、Z軸方向に垂直な方向に延在する板状の第1腕部10aを有する。第1腕部10aの一端部の下側は、ピストンロッドとともに移動及び回転するようにピストンロッドの上端部に連結され、また、その他端部の上側には円柱状の第1関節部(不図示)の下側が連結されている。
【0021】
この第1関節部の上側には、Z軸方向に垂直な方向に延在する板状の第2腕部10bが連結されている。第2腕部10bの一端部の下側は、Z軸方向に沿った回転軸の周りに回転可能な態様で第1関節部を介して第1腕部10aの他端部の上側に連結され、また、その他端部の上側には円柱状の第2関節部10cの下側が連結されている。
【0022】
第2関節部10cの上側には、Z軸方向に垂直な方向に延在する直方体状の第2駆動部10dが連結されている。第2駆動部10dの一端部の下側は、Z軸方向に沿った回転軸の周りに回転可能な態様で第2関節部10cを介して第2腕部10bの他端部の上側に連結されている。
【0023】
また、第2駆動部10dの上面の一端側には、第2駆動部10dからみて、第2駆動部10dの他端から一端に向かう方向に存在する構造物を検出する非接触型センサ12が設けられている。非接触型センサ12は、例えば、この方向に向けて光(例えば、レーザービーム)を投光する投光部と、構造物によって反射された光を受光する受光部とを有する光センサである。
【0024】
また、第2駆動部10dの内部には、Z軸方向に垂直な方向に沿って回転可能なスピンドル10eを回転させるモータ(不図示)が設けられている。このスピンドル10eは、第2駆動部10dの他端側の側面に設けられた開口を通り、その先端部が外部に露出している。また、スピンドル10eの先端部には、板状の連結部10fを介して、ロボットハンド14の直方体状の基端部が連結されている。
【0025】
さらに、ロボットハンド14は、その基端部と一体化されている楕円板状の部分を有する。具体的には、この部分は、楕円の長軸がスピンドル10eと平行になるような形状を有し、また、この部分には、その中心から先端に向けて線状の切り欠きが設けられている。また、ロボットハンド14の楕円板状の部分の一面には、例えば、複数の吸引穴(不図示)が設けられている。
【0026】
この吸引穴は、ロボットハンド14の内部に設けられた流路及び気体の流れを制御するバルブ等を介して、エジェクタ等の吸引源(不図示)に接続されている。そして、このバルブを開いた状態で吸引源を動作させることで、ロボットハンド14の楕円板状の部分の一面には負圧が生じる。
【0027】
そのため、この一面は、ウェーハを吸引保持する保持面として機能する。また、搬送ロボット6においては、ウェーハがロボットハンド14の保持面で吸引保持された状態でスピンドル10eを回転させることで、ウェーハの上下を反転させることもできる。すなわち、ウェーハは、ロボットハンド14の上側及び下側のいずれでも保持され得る。
【0028】
図3は、搬送ロボット6によって搬送されるウェーハの一例を模式的に示す斜視図である。
図3に示されるウェーハ11は、例えば、シリコン(Si)等の半導体材料からなる。また、ウェーハ11の表面11a側は、互いに交差する複数の分割予定ライン13で複数の領域に区画されており、各領域には、IC又はLSI等のデバイス15が形成されている。
【0029】
なお、ウェーハ11の材質、形状、構造及び大きさ等に制限はない。例えば、ウェーハ11は、他の半導体材料、セラミックス、樹脂及び金属等の材料でなる基板であってもよい。同様に、デバイス15の種類、数量、形状、構造、大きさ及び配置等にも制限はない。
【0030】
また、ウェーハ11の表面11aには、ウェーハ11の径と概ね等しい径を有するフィルム状のテープが貼着されていてもよい。このテープは、例えば、樹脂からなり、ウェーハ11の裏面11b側を研削する際に表面11a側に加わる衝撃を緩和してデバイス15を保護する。
【0031】
図4は、ウェーハ11を収容するカセットの一例を模式的に示す斜視図である。
図4に示されるカセット16は、平板状の天板16aを有する。この天板16aは、矩形状の平板の4つの角のうち隣接する一対の角が面取りされ、かつ、残りの一対の角が面取りされることなく残存したような形状を有する。そして、天板16aの面取りされた一対の部分の間に位置する端部(後端部)の下側には、天板16aに垂直な方向(高さ方向)に延在する側壁(不図示)の上端部が固定されている。
【0032】
また、天板16aの面取りされた部分と面取りされていない角との間に位置する2つの端部(左端部及び右端部)のそれぞれの下側には、高さ方向に延在する側壁16b,16cの上端部が固定されている。他方、天板16aの面取りされていない一対の角の間に位置する端部(前端部)の下側には、高さ方向に延在する側壁が固定されていない。すなわち、天板16aの前端部の下側は、開放されている。
【0033】
側壁16b,16cの内側面には、高さ方向に所定の間隔で、高さ方向に垂直な方向に沿うウェーハ支持溝16dが設けられている。具体的には、側壁16bの内側面に設けられた複数のウェーハ支持溝16dのそれぞれは、側壁16cの内側面に設けられた複数のウェーハ支持溝16dのいずれかに対向するように設けられている。
【0034】
また、天板16a及び側壁16b,16cに垂直な平面におけるウェーハ支持溝16dの断面形状は、概ね長方形状である。換言すると、ウェーハ支持溝16dは、高さ方向に概ね垂直な一対の内側面と、高さ方向に概ね平行な底面とを有する。
【0035】
そして、カセット16においては、ウェーハ支持溝16dの内側面のうち天板16aから遠い方にウェーハ11が置かれた状態でウェーハ11を収容する。すなわち、互いに対向する一対のウェーハ支持溝16dの内側面のうち天板16aから遠い方の面を含む平面がウェーハ11を収容する収容面となる。
【0036】
また、側壁16bの下部と側壁16cの下部とは、細長い板状の接続部材16eを介して連結されている。そして、カセット16は、例えば、複数の未研削のウェーハ11を収容した状態又は研削済みのウェーハ11を収容可能な空の状態で
図1に示される研削装置2に搬入される。
【0037】
具体的には、カセット16は、側壁が設けられることなく開放された面が開口4a側に配置されるようにカセットテーブル18a,18bの概ね平坦な載置面に載置される。なお、側壁16bの内側面及び側壁16cの内側面に設けられるウェーハ支持溝16dの数に制限はない。例えば、カセット16には、1ロット分(25枚程度)のウェーハ11に対応する数のウェーハ支持溝16dが設けられていてもよい。
【0038】
以下では、再び
図1を参照して、研削装置2の残りの構成要素について説明する。搬送ロボット6の斜め後方には、ウェーハ11の位置を調整するための位置調整機構20が設けられている。位置調整機構20は、例えば、ウェーハ11を支持可能な上面(支持面)を有する円盤状のテーブル(支持テーブル)20aと、テーブル20aの周囲に配置された複数のピン20bとを備える。
【0039】
カセット16から搬送ロボット6によって搬出されたウェーハ11がテーブル20aの支持面に搬入されると、複数のピン20bは、ウェーハ11の外周と接するようにテーブル20aの径方向に沿って移動する。これにより、ウェーハ11の中心が、X軸方向及びY軸方向において所定の位置に合わせられる。なお、搬送ロボット6によるカセット16からテーブル20aへのウェーハ11の搬送の詳細については後述する。
【0040】
位置調整機構20の斜め後方(搬送ロボット6の後方)には、ウェーハ11を保持して後方に搬送する搬送機構22が設けられている。搬送機構22は、ウェーハ11を吸引して保持する保持パッドと、この保持パッドに接続されたアームとを備える。そして、搬送機構22は、アームによって保持パッドを旋回させることで、位置調整機構20で位置が調整されたウェーハ11を後方に搬送する。
【0041】
搬送機構22の後方には、円盤状のターンテーブル24が設けられている。ターンテーブル24は、モータ等の回転駆動源(不図示)に接続されており、Z軸方向に対して概ね平行な回転軸の周りに回転する。ターンテーブル24の上面には、ウェーハ11を保持できる3個のチャックテーブル26が設けられている。
【0042】
3個のチャックテーブル26は、ターンテーブル24の周方向に沿って概ね等間隔に設けられている。なお、ターンテーブル24上に設けられるチャックテーブル26の数等に制限はない。
図5は、ターンテーブル24及びその周辺の構造を模式的に示す平面図である。
【0043】
なお、
図5では、説明の便宜上、一部の構成要素が破線で示されている。搬送機構22は、保持パッドで保持したウェーハ11を、搬送機構22に隣接する搬入搬出領域A(
図5参照)に配置されたチャックテーブル26へと搬入する。ターンテーブル24は、例えば、
図1及び
図5において矢印で示される方向に回転し、各チャックテーブル26を、搬入搬出領域A、粗研削領域B、仕上げ研削領域Cの順に移動させる。
【0044】
各チャックテーブル26は、モータ等の回転駆動源(不図示)に接続されており、Z軸方向に対して概ね平行な回転軸の周りに回転する。各チャックテーブル26は、例えば、ステンレス鋼等の金属材料からなる円盤状の枠体を有する。この枠体の上面側には円形状の開口を上端に持つ凹部が形成されており、この凹部にはセラミックス等からなる円盤状のポーラス板が固定されている。
【0045】
チャックテーブル26の上面は、中心が外縁よりも僅かに突出した円錐の側面に相当する形状に構成されており、ウェーハ11を保持する保持面26aとして機能する。すなわち、チャックテーブル26は、ウェーハ11を保持する保持面26aを上部に備える。
【0046】
保持面26aは、チャックテーブル26の内部に形成された吸引路(不図示)等を介してエジェクタ等の吸引源(不図示)に接続されている。チャックテーブル26に搬入されたウェーハ11は、保持面26aに作用する吸引源の負圧によって吸引される。
【0047】
図1に示されるように、粗研削領域B及び仕上げ研削領域Cの後方(ターンテーブル24の後方)には、それぞれ、柱状の支持構造28が設けられている。支持構造28の前面側には、Z軸移動機構30が設けられている。Z軸移動機構30は、支持構造28の前面に固定され、かつ、Z軸方向に沿って延在する一対のガイドレール32を備える。
【0048】
一対のガイドレール32の前面側には、一対のガイドレール32に沿ってスライド可能な態様で移動プレート34が連結されている。また、一対のガイドレール32の間には、Z軸方向に沿って延在するねじ軸36が配置されている。ねじ軸36の一端部には、ねじ軸36を回転させるためのモータ38が連結されている。
【0049】
ねじ軸36の螺旋状の溝が形成された表面には、回転するねじ軸36の表面を転がるボールを収容するナット部(不図示)が設けられ、ボールねじが構成されている。すなわち、ねじ軸36が回転すると、ボールがナット部内を循環して、ナット部がZ軸方向に沿って移動する。また、このナット部は、移動プレート34の後面(裏面)側に固定されている。
【0050】
そのため、ねじ軸36の一端部に連結されているモータ38でねじ軸36を回転させれば、ナット部とともに移動プレート34がZ軸方向に沿って移動する。また、移動プレート34の前面(表面)側には、固定具40が設けられている。固定具40には、ウェーハ11を研削するための研削ユニット42が支持されている。研削ユニット42は、固定具40に固定されるスピンドルハウジング44を備える。
【0051】
スピンドルハウジング44には、Z軸方向に沿った回転軸の周りに回転するスピンドル46が回転できる態様で収容されている。スピンドル46の下端部は、スピンドルハウジング44の下端面から露出している。露出したスピンドル46の下端部には、円盤状のマウント48が固定されている。
【0052】
粗研削領域B側の研削ユニット42のマウント48の下面には、粗研削用の第1研削ホイール50aが装着されている。粗研削用の第1研削ホイール50aは、ステンレス鋼又はアルミニウム等の金属でマウント48と概ね同径に形成された第1ホイール基台を備える。
【0053】
第1ホイール基台の下面には、粗研削に適したダイヤモンド等の砥粒がビトリファイド又はレジノイド等のボンドで固定されてなる複数の第1研削砥石が環状に配置されている。また、粗研削領域B側の研削ユニット42のスピンドルハウジング44には、スピンドル46の上端側に接続されるモータ等の第1回転駆動源(不図示)が収容されている。
【0054】
第1回転駆動源の動力によって、スピンドル46とともに第1研削ホイール50aが回転する。第1研削ホイール50aの傍には、ウェーハ11と第1研削砥石とが接触する部分(加工点)に純水等の液体(研削液)を供給できる液体供給用ノズル(不図示)が設けられている。ただし、この液体供給用ノズルの代わりに、又は、液体供給用ノズルとともに、液体の供給に使用される液体供給口が第1研削ホイール50aに設けられていてもよい。
【0055】
同様に、仕上げ研削領域C側の研削ユニット42のマウント48の下面には、仕上げ研削用の第2研削ホイール50bが装着されている。仕上げ研削用の第2研削ホイール50bは、ステンレス鋼又はアルミニウム等の金属でマウント48と概ね同径に形成された第2ホイール基台を備える。
【0056】
第2ホイール基台の下面には、仕上げ研削に適したダイヤモンド等の砥粒がビトリファイド又はレジノイド等のボンドで固定されてなる複数の第2研削砥石が環状に配置されている。また、仕上げ研削領域C側の研削ユニット42のスピンドルハウジング44には、スピンドル46の上端側に接続されるモータ等の第2回転駆動源(不図示)が収容されている。
【0057】
第2回転駆動源の動力によって、スピンドル46とともに第2研削ホイール50bが回転する。第2研削ホイール50bの傍には、ウェーハ11と第2研削砥石とが接触する部分(加工点)に純水等の液体(研削液)を供給できる液体供給用ノズル(不図示)が設けられている。ただし、この液体供給用ノズルの代わりに、又は、液体供給用ノズルとともに、液体の供給に使用される液体供給口が第2研削ホイール50bに設けられていてもよい。
【0058】
各チャックテーブル26に保持されたウェーハ11は、上述した2組の研削ユニット42によって順に研削される。具体的には、粗研削領域Bのチャックテーブル26に保持されたウェーハ11は、粗研削領域B側の研削ユニット42で研削され、仕上げ研削領域Cのチャックテーブル26に保持されたウェーハ11は、仕上げ研削領域C側の研削ユニット42で研削される。
【0059】
搬入搬出領域Aの前方、かつ、搬送機構22の側方には、研削済みのウェーハ11を保持して前方に搬送する搬送機構52が設けられている。搬送機構52は、ウェーハ11を吸引して保持する保持パッドと、この保持パッドに接続されたアームとを備える。そして、搬送機構52は、アームによって保持パッドを旋回させることで、研削済みのウェーハ11をチャックテーブル26から前方に搬送する。
【0060】
搬送機構52の前方には、搬送機構52によって搬出されたウェーハ11を洗浄する洗浄ユニット54が設けられている。洗浄ユニット54は、例えば、ウェーハ11を支持可能な上面(支持面)を有し、この支持面においてウェーハ11を保持した状態で回転するスピンナーテーブル(支持テーブル)54aと、スピンナーテーブル54aによって保持されたウェーハ11に洗浄用の流体を噴射するノズル(不図示)とを備える。
【0061】
洗浄ユニット54で洗浄されたウェーハ11は、搬送ロボット6によってスピンナーテーブル54aから搬出されてカセット16に搬入される。なお、搬送ロボット6によるスピンナーテーブル54aからカセット16へのウェーハ11の搬送の詳細については後述する。
【0062】
研削装置2の各構成要素の動作は、研削装置2に内蔵される制御ユニット56によって制御される。制御ユニット56は、例えば、研削装置2の構成要素を制御する処理部58と、処理部58において用いられる各種の情報(データ及びプログラム等)を記憶する記憶部60とを有する。
【0063】
処理部58の機能は、記憶部60に記憶されたプログラムを読みだして実行するCPU(Central Processing Unit)等によって具現される。また、記憶部60の機能は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、SRAM(Static Random Access Memory)及びNAND型フラッシュメモリ等の半導体メモリと、HDD(Hard Disk Drive)等の磁気記憶装置との少なくとも一つによって具現される。
【0064】
さらに、研削装置2は、上記の構成要素以外の構成要素を備えてもよい。例えば、研削装置2は、オペレータからの指示を制御ユニット56へ入力するタッチセンサと、オペレータに向けて各種の情報を出力するディスプレイとによって構成されるタッチパネルを備えてもよい。
【0065】
なお、
図1に示される研削装置2は、搬送ロボット6を中心とした搬送装置を有すると表現することもできる。具体的には、この搬送装置は、ウェーハ11を搬送する搬送ロボット6と、ウェーハ11を収容するカセット16が載置される載置面を有するカセットテーブル18a,18bと、ウェーハ11を支持するテーブル20aを有する位置調整機構20と、ウェーハ11を支持するスピンナーテーブル54aを有する洗浄ユニット54と、搬送ロボット6を制御する制御ユニット56とを含む。
【0066】
以下では、未研削のウェーハ11をカセット16から搬出してテーブル20aに搬入する際の搬送ロボット6の動作の一例について、
図6(A)~
図6(C)及び
図7(A)~
図7(C)を参照して説明する。なお、
図6(A)~
図6(C)は、テーブル20aの支持面の高さ方向における位置を処理部58が記憶部60に記憶させる際の搬送ロボット6の動作の一例を模式的に示す断面図である。
【0067】
また、
図7(A)及び
図7(B)は、ウェーハ11が収容されているカセット16の収容面の高さ方向における位置を処理部58が記憶部60に記憶させる際の搬送ロボット6の動作の一例を模式的に示す断面図である。また、
図7(C)は、ウェーハ11が収容されているカセット16の収容面からウェーハ11を搬出する際の搬送ロボット6の動作の一例を模式的に示す断面図である。
【0068】
未研削のウェーハ11をカセット16から搬出してテーブル20aに搬入する際には、テーブル20aの支持面の位置を処理部58が記憶部60に記憶させる作業(ティーチング作業)が行われる。
【0069】
このティーチング作業においては、まず、搬送ロボット6の非接触型センサ12によって構造物を検出可能な方向(例えば、ロボットハンド14から第2駆動部10dに向かう方向)にテーブル20aが位置付けられるように処理部58が搬送アーム10の状態を調整する。具体的には、処理部58が第1腕部10a、第2腕部10b及び第2駆動部10dを回転させる(
図6(A)参照)。
【0070】
次いで、搬送ロボット6の非接触型センサ12によってテーブル20aの上面(支持面)が検出されない位置まで処理部58が非接触型センサ12を上昇させる。具体的には、処理部58が第1駆動部8に設けられたアクチュエータを制御してピストンロッド62を上昇させる。そして、処理部58が非接触型センサ12による構造物の検出(例えば、レーザービームの投光)を開始させる(
図6(B)参照)。
【0071】
次いで、非接触型センサ12による構造物の検出を継続させたまま、処理部58が非接触型センサ12を下降させる。具体的には、処理部58が第1駆動部8に設けられたアクチュエータを制御してピストンロッド62を下降させる。そして、テーブル20aの支持面が検出されたタイミングで処理部58がアクチュエータの動作を停止させる(
図6(C)参照)。
【0072】
次いで、テーブル20aの支持面の高さ方向における位置を処理部58が記憶部60に記憶させる。以上によって、処理部58が記憶部60にテーブル20aの支持面の位置を記憶させる作業(ティーチング作業)が完了する。
【0073】
次いで、搬送ロボット6の非接触型センサ12によって構造物を検出可能な方向(例えば、ロボットハンド14から第2駆動部10dに向かう方向)にカセットテーブル18a,18bが位置付けられるように処理部58が搬送アーム10の状態を調整する。具体的には、処理部58が、第1駆動部8に設けられたアクチュエータを制御してピストンロッド62を下降させ、かつ、第1腕部10a、第2腕部10b及び第2駆動部10dを回転させる(
図7(A)参照)。
【0074】
この時、搬送アーム10の状態は、平面視において、非接触型センサ12からみて、非接触型センサ12によって構造物を検出可能な方向にカセット16の側壁16b,16cの内側面が位置付けられるように調整される。すなわち、搬送アーム10は、非接触型センサ12を上昇させた際にウェーハ支持溝16d及びウェーハ支持溝16dにおいて支持されているウェーハ11を検出できるような状態に調整される。
【0075】
次いで、処理部58が非接触型センサ12による構造物の検出(例えば、レーザービームの投光)を開始させる。次いで、非接触型センサ12によって複数のウェーハ支持溝16dの全てが検出されるまで、処理部58が非接触型センサ12を上昇させる。具体的には、処理部58が第1駆動部8に設けられたアクチュエータを制御してピストンロッド62を上昇させる(
図7(B)参照)。
【0076】
この時、非接触型センサ12によってウェーハ支持溝16dが検出されれば、検出されたウェーハ支持溝16dが下から何段目に位置するかを示す情報(ウェーハ支持溝16dの段数)と、ウェーハ11を収容可能な収容面(ウェーハ支持溝16dの内側面のうち天板16aから遠い方の面を含む平面)の高さ方向における位置と、この収容面におけるウェーハ11の有無とを紐付けて、処理部58が記憶部60に記憶させる。
【0077】
なお、ウェーハ支持溝16dの段数とは、カセット16に含まれる複数のウェーハ支持溝16dのうち高さ方向において最も下に位置するウェーハ支持溝16dから順にカウントアップした時の値である。また、ウェーハ11は、便宜上、研削の前後においてカセット16の同じ段数のウェーハ支持溝16dに収容されることが一般的である。
【0078】
そのため、記憶部60に記憶されたウェーハ支持溝16dの段数は、例えば、このウェーハ11が研削された後に収容されるウェーハ支持溝16d(収容予定面)を特定するために利用される。換言すると、ウェーハ11を収容するウェーハ支持溝16dの段数が記憶部60に記憶された時点で、このウェーハ11が研削された後に収容されるウェーハ支持溝16dの段数(収容予定面)が記憶部60に記憶されることになる。
【0079】
次いで、非接触型センサ12によってカセット16の天板16aが検出されれば、処理部58がアクチュエータの動作を停止させる。以上によって、ウェーハ11を収容可能な収容面の高さ方向における位置等を検出する作業が完了する。
【0080】
次いで、記憶部60に記憶されたウェーハ11を収容する収容面の高さ方向における位置を参照して、カセット16に挿入されるロボットハンド14の高さ方向における位置を処理部58が決定する。具体的には、処理部58は、ロボットハンド14の上を向いた保持面の位置が記憶部60に記憶されたウェーハ11を収容する収容面の位置よりも僅かに低くなるように、カセット16に挿入されるロボットハンド14の高さ方向における位置を決定する。
【0081】
次いで、決定された高さ方向における位置でロボットハンド14がカセット16に挿入されるように、処理部58が搬送アーム10の状態を調整する。具体的には、処理部58が、第1駆動部8に設けられたアクチュエータを制御してピストンロッド62を上昇又は下降させ、かつ、第1腕部10a、第2腕部10b及び第2駆動部10dを回転させてロボットハンド14をカセット16に挿入する(
図7(C)参照)。
【0082】
次いで、ロボットハンド14の上を向いた保持面の高さ方向における位置が記憶部60に記憶されたウェーハ11を収容する収容面の高さ方向における位置よりも僅かに高くなるように、ロボットハンド14の高さ方向における位置を処理部58が調整する。具体的には、処理部58が第1駆動部8に設けられたアクチュエータを制御してピストンロッド62を上昇させる。
【0083】
次いで、ウェーハ11がロボットハンド14に吸引保持されるように処理部58がロボットハンド14を制御する。次いで、ウェーハ11がカセット16から搬出されてテーブル20aに搬入されるように処理部58が搬送アーム10の状態を調整する。具体的には、まず、処理部58が第1腕部10a、第2腕部10b及び第2駆動部10dを回転させてウェーハ11をカセット16から搬出する。
【0084】
次いで、処理部58がスピンドル10eを回転させてロボットハンド14及びウェーハ11の上下を反転させる。これにより、ウェーハ11がロボットハンド14の下側に吸引保持された状態となる。次いで、処理部58が第1腕部10a、第2腕部10b及び第2駆動部10dを回転させてテーブル20aの上方にウェーハ11を位置付ける。
【0085】
次いで、記憶部60に記憶されたテーブル20aの支持面の高さ方向における位置を参照して、この支持面にウェーハ11を搬入する際のロボットハンド14の高さ方向における位置を処理部58が決定する。例えば、処理部58は、ウェーハ11の下面の高さ方向における位置と記憶部60に記憶されたテーブル20aの支持面の高さ方向における位置とが一致するように、この支持面にウェーハ11を搬入する際のロボットハンド14の高さ方向における位置を決定する。
【0086】
次いで、決定された高さ方向における位置にロボットハンド14を位置付けるように、処理部58が搬送アーム10の状態を調整する。具体的には、処理部58が、第1駆動部8に設けられたアクチュエータを制御してピストンロッド62を下降させる。次いで、ロボットハンド14によるウェーハ11の吸引保持を停止させるように処理部58がロボットハンド14を制御する。
【0087】
以上によって、カセット16の収容面からテーブル20aの支持面へのウェーハ11の搬送が完了する。なお、上述した搬送ロボット6の動作においては、カセット16からウェーハ11を搬出する前に上記のティーチング作業を行っていたが、上記のティーチング作業は、カセット16からウェーハ11を搬出した後、ウェーハ11をテーブル20aに搬入する前に行われてもよい。
【0088】
以下では、研削済みのウェーハ11をスピンナーテーブル54aから搬出してカセット16に搬入する際の搬送ロボット6の動作の一例について、
図8(A)及び
図8(B)並びに
図9(A)~
図9(C)を参照して説明する。
【0089】
なお、
図8(A)及び
図8(B)は、カセット16に含まれる複数の収容面のうち研削済みのウェーハ11が収容される収容面(収容予定面)の高さ方向における位置を処理部58が記憶部60に記憶させる際の搬送ロボット6の動作の一例を模式的に示す断面図である。
【0090】
また、
図9(A)~
図9(C)は、スピンナーテーブル54aの支持面の高さ方向における位置を処理部58が記憶部60に記憶させる際の搬送ロボット6の動作の一例を模式的に示す断面図である。
【0091】
研削済みのウェーハ11をスピンナーテーブル54aから搬出してカセット16に搬入する際には、まず、搬送ロボット6の非接触型センサ12によって構造物を検出可能な方向(例えば、ロボットハンド14から第2駆動部10dに向かう方向)にカセットテーブル18a,18bが位置付けられるように処理部58が搬送アーム10の状態を調整する。具体的には、処理部58が、第1駆動部8に設けられたアクチュエータを制御してピストンロッド62を下降させ、かつ、第1腕部10a、第2腕部10b及び第2駆動部10dを回転させる(
図8(A)参照)。
【0092】
この時、搬送アーム10の状態は、平面視において、非接触型センサ12からみて、非接触型センサ12によって構造物を検出可能な方向にカセット16の側壁16b,16cの内側面が位置付けられるように調整される。すなわち、搬送アーム10は、非接触型センサ12を上昇させた際にウェーハ支持溝16dを検出できるような状態に調整される。
【0093】
次いで、処理部58が非接触型センサ12による構造物の検出(例えば、レーザービームの投光)を開始させる。次いで、非接触型センサ12による構造物の検出を継続させたまま、処理部58が非接触型センサ12を上昇させる。具体的には、処理部58が第1駆動部8に設けられたアクチュエータを制御してピストンロッド62を上昇させる(
図8(B)参照)。
【0094】
この時、処理部58は、カセット16に含まれる複数のウェーハ支持溝16dのうち記憶部60に記憶されたウェーハ支持溝16の段数(収容予定面)に至るまで非接触型センサ12を上昇させる。そして、処理部58は、この収容予定面に別のウェーハが収容されているか否かを確認する。
【0095】
この収容予定面に別のウェーハが収容されていないことが確認された場合には、収容予定面の高さ方向における位置を処理部58が記憶部60に記憶させる。他方、この収容予定面に別のウェーハが収容されていることが確認された場合には、処理部58は、例えば、研削装置2に設けられたディスプレイ等を制御してエラーメッセージをオペレータに報知する。
【0096】
収容予定面の高さ方向における位置が記憶部60に記憶されれば、搬送ロボット6の非接触型センサ12によって構造物を検出可能な方向(例えば、ロボットハンド14から第2駆動部10dに向かう方向)にスピンナーテーブル54aが位置付けられるように処理部58が搬送アーム10の状態を調整する。具体的には、処理部58が、第1駆動部8に設けられたアクチュエータを制御してピストンロッド62を下降させ、かつ、第1腕部10a、第2腕部10b及び第2駆動部10dを回転させる(
図9(A)参照)。
【0097】
次いで、搬送ロボット6の非接触型センサ12によってスピンナーテーブル54aの上面(支持面)が検出されない位置まで処理部58が非接触型センサ12を上昇させる。具体的には、処理部58が第1駆動部8に設けられたアクチュエータを制御してピストンロッド62を上昇させる。そして、処理部58が非接触型センサ12による構造物の検出(例えば、レーザービームの投光)を開始させる(
図9(B)参照)。
【0098】
次いで、非接触型センサ12による構造物の検出を継続させたまま、処理部58が非接触型センサ12を下降させる。具体的には、処理部58が第1駆動部8に設けられたアクチュエータを制御してピストンロッド62を下降させる。そして、スピンナーテーブル54aの支持面が検出されたタイミングで処理部58がアクチュエータの動作を停止させる(
図9(C)参照)。
【0099】
次いで、スピンナーテーブル54aの支持面の高さ方向における位置を処理部58が記憶部60に記憶させる。次いで、この位置を参照して、この支持面からウェーハ11を搬出する際のロボットハンド14の高さ方向における位置を処理部58が決定する。
【0100】
例えば、処理部58は、ロボットハンド14の下を向いた保持面の高さ方向における位置とスピンナーテーブル54aの支持面に支持されたウェーハ11の上面の高さ方向における位置とが一致するように、この支持面からウェーハ11を搬出する際のロボットハンド14の高さ方向における位置を決定する。
【0101】
次いで、スピンナーテーブル54aの支持面に研削済みのウェーハ11が搬入されるように、処理部58が搬送機構52等を制御する。次いで、ロボットハンド14がウェーハ11の上方に位置付けられるように、処理部58が搬送アーム10の状態を調整する。具体的には、処理部58が、第1駆動部8に設けられたアクチュエータを制御してピストンロッド62を上昇させ、かつ、第1腕部10a、第2腕部10b及び第2駆動部10dを回転させる。
【0102】
次いで、決定された高さ方向における位置にロボットハンド14を位置付けるように、処理部58が第1駆動部8に設けられたアクチュエータを制御してピストンロッド62を下降させる。次いで、ウェーハ11がロボットハンド14に吸引保持されるように処理部58がロボットハンド14を制御する。
【0103】
次いで、ウェーハ11がスピンナーテーブル54aから搬出されてカセット16に搬入されるように処理部58が搬送アーム10の状態を調整する。具体的には、まず、処理部58が、第1駆動部8に設けられたアクチュエータを制御してピストンロッド62を上昇させ、かつ、第1腕部10a、第2腕部10b及び第2駆動部10dを回転させてウェーハ11をスピンナーテーブル54aから搬出する。
【0104】
次いで、処理部58がスピンドル10eを回転させてロボットハンド14及びウェーハ11の上下を反転させる。これにより、ウェーハ11がロボットハンド14の上側に吸引保持された状態となる。
【0105】
次いで、記憶部60に記憶された収容予定面の高さ方向における位置を参照して、カセット16に挿入されるロボットハンド14の高さ方向における位置を処理部58が決定する。具体的には、処理部58は、ロボットハンド14の上を向いた保持面の位置が記憶部60に記憶された収容予定面の位置よりも僅かに高くなるように、カセット16に挿入されるロボットハンド14の高さ方向における位置を決定する。
【0106】
次いで、決定された高さ方向における位置でロボットハンド14がカセット16に挿入されるように、処理部58が搬送アーム10の状態を調整する。具体的には、処理部58が、第1駆動部8に設けられたアクチュエータを制御してピストンロッド62を上昇又は下降させ、かつ、第1腕部10a、第2腕部10b及び第2駆動部10dを回転させてロボットハンド14をカセット16に挿入する。
【0107】
次いで、ロボットハンド14の上を向いた保持面の高さ方向における位置が記憶部60に記憶された収容予定面の高さ方向における位置に一致するように、ロボットハンド14の高さ方向における位置を処理部58が調整する。具体的には、処理部58が第1駆動部8に設けられたアクチュエータを制御してピストンロッド62を下降させる。
【0108】
次いで、ロボットハンド14によるウェーハ11の吸引保持を停止させるように処理部58がロボットハンド14を制御する。以上によって、スピンナーテーブル54aの支持面からカセット16の収容予定面へのウェーハ11の搬送が完了する。
【0109】
なお、上述した搬送ロボット6の動作においては、スピンナーテーブル54aからウェーハ11を搬出する前にカセット16の収容予定面に別のウェーハが収容されているか否かが確認されていたが、この確認は、スピンナーテーブル54aからウェーハ11を搬出した後、ウェーハ11をカセット16に搬入する前に行われてもよい。
【0110】
上述した研削装置2に含まれる搬送装置においては、非接触型センサ12がウェーハ11の搬出元(カセット16の収容面又はスピンナーテーブル54aの支持面)の位置を検出した後に、この位置を参照して、ウェーハ11を搬出する際のロボットハンド14の位置が決定され、かつ、非接触型センサ12がウェーハ11の搬入先(テーブル20aの支持面又はカセット16の収容予定面)の位置を検出した後に、この位置を参照して、ウェーハ11を搬入する際のロボットハンド14の位置が決定される。
【0111】
すなわち、この搬送装置においては、搬出元の位置及び搬入先の位置の双方が単一の非接触型センサ12によって特定される。これにより、搬送ロボット6のロボットハンド14の破損(ロボットハンド14の保持面及びテーブル20a又はスピンナーテーブル54aの支持面の衝突)を防止するための専用のセンサを設ける必要がなく、また、オペレータによる上記のティーチング作業を簡素化して、その所要時間を低減できる。
【0112】
なお、上述した搬送装置は本発明の一態様であって、本発明の搬送装置は上述した搬送装置に限定されない。例えば、上述した搬送装置においては、非接触型センサ12が搬送アーム10の第2駆動部10dの上面の一端側に設けられていたが、非接触型センサ12の設置位置は限定されない。例えば、非接触型センサ12は、板状の連結部10fの上面に設けられていてもよい。
【0113】
また、上述した搬送装置においては、第2駆動部10dの他端から一端に向かう方向(ロボットハンド14から第2駆動部10dに向かう方向)に存在する構造物を検出する非接触型センサ12が設けられているが、この方向は限定されない。例えば、非接触型センサ12は、第2駆動部10dの一端から他端に向かう方向(第2駆動部10dからロボットハンド14に向かう方向)に存在する構造物を検出するように構成されていてもよい。
【0114】
また、上述した搬送装置においては、未研削のウェーハ11のカセット16からテーブル20aへの搬送及び研削済みのウェーハ11のスピンナーテーブル54aからカセット16への搬送の双方が単一の搬送ロボット6によって行われていたが、これらの搬送は、別々の搬送ロボット6によって行われてもよい。
【0115】
また、上述した搬送装置は研削装置2に含まれていたが、本発明の搬送装置は、研削装置2以外の装置に含まれていてもよく、また、独立した装置であってもよい。例えば、本発明の搬送装置は、切削装置又はレーザー加工装置等の半導体製造装置に含まれていてもよい。
【0116】
その他、上述した実施形態にかかる構造及び方法等は、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施できる。
【符号の説明】
【0117】
2 :研削装置
4 :基台(4a:開口)
6 :搬送ロボット
8 :第1駆動部
10 :搬送アーム(10a:第1腕部、10b:第2腕部)
(10c:第2関節部、10d:第2駆動部)
(10e:スピンドル、10f:連結部)
12 :非接触型センサ
14 :ロボットハンド
11 :ウェーハ(11a:表面、11b:裏面)
13 :分割予定ライン
15 :デバイス
16 :カセット(16a:天板、16b,16c:側壁)
(16d:ウェーハ支持溝、16e:接続部材)
18a,18b:カセットテーブル
20 :位置調整機構(20a:テーブル(支持テーブル)、20b:ピン)
22 :搬送機構
24 :ターンテーブル
26 :チャックテーブル(26a:保持面)
28 :支持構造
30 :Z軸移動機構
32 :ガイドレール
34 :移動プレート
36 :ねじ軸
38 :モータ
40 :固定具
42 :研削ユニット
44 :スピンドルハウジング
46 :スピンドル
48 :マウント
50a :第1研削ホイール
50b :第2研削ホイール
52 :搬送機構
54 :洗浄ユニット(54a:スピンナーテーブル)
56 :制御ユニット
58 :処理部
60 :記憶部