(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-07
(45)【発行日】2025-01-16
(54)【発明の名称】光ファイバ用ガラス母材を製造する製造方法、および、光ファイバ用ガラス母材を製造する装置
(51)【国際特許分類】
C03B 37/014 20060101AFI20250108BHJP
【FI】
C03B37/014 Z
(21)【出願番号】P 2021149134
(22)【出願日】2021-09-14
【審査請求日】2023-07-21
(31)【優先権主張番号】P 2020174010
(32)【優先日】2020-10-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002060
【氏名又は名称】信越化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】柏木 佑介
【審査官】永田 史泰
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-261336(JP,A)
【文献】特開2019-163189(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03B37/012-37/018
C03B8/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ファイバ用ガラス母材を製造する製造方法であって、
光ファイバ用多孔質母材を収容した石英炉心管内に、少なくともハロゲンおよびアルゴンを含む混合ガスを流通させながら、前記光ファイバ用多孔質母材を脱水する第1の工程と、
前記第1の工程の後、前記石英炉心管内に、主成分がヘリウムであるガスを流通させて前記石英炉心管内を少なくとも部分的に換気する第2の工程と、
前記第2の工程の後、前記石英炉心管内に、主成分がヘリウムであるガスを流通させながら、前記光ファイバ用多孔質母材を透明ガラス化する第3の工程と
を備え、
前記第2の工程において、前記石英炉心管内に流通させる主成分がヘリウムであるガスの積算流量V2は、前記石英炉心管の容積V1に対して、下記の[数1]式を満たし、
前記第1の工程において、前記石英炉心管内に流通させる前記混合ガスの全流量の20%以上がハロゲンである、
製造方法。
【数1】
【請求項2】
前記第2の工程は、前記石英炉心管内に、主成分がヘリウムであるガスを流通させて前記石英炉心管内を少なくとも部分的に換気することによって、前記第1の工程で前記石英炉心管内に前記混合ガスを流通させたことにより前記光ファイバ用多孔質母材に残存している前記混合ガスの除去を促す、
請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記第1の工程における前記混合ガスは、塩素ガスおよびフッ素ガスの少なくとも一方と、アルゴンガスとを含む混合ガスである、
請求項1または2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記第2の工程における前記ガスは、純ヘリウムガスである、
請求項1から
3の何れか一項に記載の製造方法。
【請求項5】
前記第1の工程は、前記石英炉心管内で、前記光ファイバ用多孔質母材の延在方向に沿って前記光ファイバ用多孔質母材を移動させながら、前記光ファイバ用多孔質母材を脱水する、
請求項1から
4の何れか一項に記載の製造方法。
【請求項6】
前記第3の工程は、前記石英炉心管内で、前記光ファイバ用多孔質母材の延在方向に沿って前記光ファイバ用多孔質母材を下方へ向かって移動させながら加熱することにより、前記光ファイバ用多孔質母材を下方の末端から順次に透明ガラス化する、
請求項1から
5の何れか一項に記載の製造方法。
【請求項7】
前記第3の工程は、前記石英炉心管の内部の温度が1400~1650℃に到達した後に、前記延在方向に沿う前記光ファイバ用多孔質母材の下方への移動を開始する、
請求項
6に記載の製造方法。
【請求項8】
前記第1の工程は、前記光ファイバ用多孔質母材を全体に亘って加熱することにより、前記光ファイバ用多孔質母材を脱水する、
請求項1から
7の何れか一項に記載の製造方法。
【請求項9】
前記第1の工程は、前記石英炉心管の周囲において、前記光ファイバ用多孔質母材の延在方向に沿うように並べて配置される複数の加熱装置を用いて、前記光ファイバ用多孔質母材を全体に亘って加熱する、
請求項
8に記載の製造方法。
【請求項10】
前記第3の工程は、前記第1の工程によって昇温された前記石英炉心管の内部の温度を、前記複数の加熱装置の一部を用いて更に昇温することにより、前記光ファイバ用多孔質母材を透明ガラス化する、
請求項
9に記載の製造方法。
【請求項11】
前記第1の工程は、前記石英炉心管の内部を昇温して1000℃~1300℃とし、
前記第3の工程は、前記第1の工程によって昇温された前記石英炉心管の内部の温度を更に昇温して1400℃~1650℃とする、
請求項
10に記載の製造方法。
【請求項12】
前記第1の工程は、前記石英炉心管の内部を昇温して1000℃~1300℃とすることにより、前記光ファイバ用多孔質母材を脱水する、
請求項1から
11の何れか一項に記載の製造方法。
【請求項13】
前記第3の工程は、前記石英炉心管の内部を昇温して1400℃~1650℃とすることにより、前記光ファイバ用多孔質母材を透明ガラス化する、請求項1から
12の何れか一項に記載の製造方法。
【請求項14】
光ファイバ母材を製造する装置であって、
光ファイバ用多孔質母材を収容可能な容積V1の石英炉心管と、
前記石英炉心管の周囲に配置される加熱装置と、
を備え、
前記光ファイバ用多孔質母材を収容した前記石英炉心管内に、少なくともハロゲンおよびアルゴンを含む混合ガスを流通させながら、前記加熱装置で前記光ファイバ用多孔質母材を脱水する第1の工程と、
前記第1の工程の後、前記石英炉心管内に、主成分がヘリウムであるガスを流通させて前記石英炉心管内を少なくとも部分的に換気する第2の工程と、
前記第2の工程の後、前記石英炉心管内に、主成分がヘリウムであるガスを流通させながら、前記加熱装置で前記光ファイバ用多孔質母材を透明ガラス化する第3の工程と
を実行し、
前記第2の工程において、前記石英炉心管内に流通させる主成分がヘリウムであるガスの積算流量V2は、前記石英炉心管の容積V1に対して、下記の[数3]式を満たし、
前記第1の工程において、前記石英炉心管内に流通させる前記混合ガスの全流量の20%以上がハロゲンである、
装置。
【数3】
【請求項15】
前記石英炉心管の一端の開口部から挿入される前記光ファイバ用多孔質母材を前記石英炉心管の長手方向に沿って移動させる移動機構を更に備える、
請求項
14に記載の装置。
【請求項16】
前記第2の工程における前記ガスは、純ヘリウムガスである、
請求項
14または15に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバ用ガラス母材を製造する製造方法、および、光ファイバ用ガラス母材を製造する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、「光ファイバ母材の製造方法は、…炉心管11,11A内に不活性ガスを含有する脱水剤を供給して多孔質ガラス母材1,1A(多孔質スート体)を脱水処理する脱水工程と、脱水処理された多孔質ガラス母材1,1Aを焼結する焼結工程とを有する」(段落0022)、「脱水剤と混合される不活性ガスとしてはアルゴンガスを用い、脱水工程で多孔質ガラス母材1,1Aを昇温する前に、アルゴンガスより高い熱伝導率を有するガス(以下、これを「高熱伝導率ガス」と略称する。)を多孔質ガラス母材1,1A内に残留させる」(段落0024)と記載されている。
[先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1] 特許第5298186号公報
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明の第1の態様においては、光ファイバ用ガラス母材を製造する製造方法を提供する。製造方法は、光ファイバ用多孔質母材を収容した石英炉心管内に、少なくともハロゲンまたはアルゴンを含むガスを流通させながら、光ファイバ用多孔質母材を脱水する第1の工程を備えてもよい。製造方法は、第1の工程の後、石英炉心管内に、主成分がヘリウムであるガスを流通させて石英炉心管内を少なくとも部分的に換気する第2の工程を備えてもよい。製造方法は、第2の工程の後、石英炉心管内に、主成分がヘリウムであるガスを流通させながら、光ファイバ用多孔質母材を透明ガラス化する第3の工程を備えてもよい。
【0004】
第2の工程において、石英炉心管内に流通させる主成分がヘリウムであるガスの積算流量V2は、石英炉心管の容積V1に対して、下記の[数1]式を満たしてもよい。
【数1】
【0005】
第2の工程におけるガスは、純ヘリウムガスであってもよい。
【0006】
第1の工程における少なくともハロゲンまたはアルゴンを含むガスは、主成分がハロゲンであるガス、または、希ガスとハロゲンガスとの混合ガスであってもよい。
【0007】
主成分がハロゲンであるガスは、塩素およびフッ素の少なくとも一方を主成分として含むガスであってもよく、希ガスとハロゲンガスとの混合ガスは、塩素ガスおよびフッ素ガスの少なくとも一方と、ヘリウムガスおよびアルゴンガスの少なくとも一方とを含む混合ガスであってもよい。
【0008】
第1の工程において、石英炉心管内に流通させるガスの全流量のうち、希ガスの流量U1およびハロゲンの流量U2は、下記の[数2]式を満たしてもよい。
【数2】
【0009】
第1の工程は、石英炉心管内で、光ファイバ用多孔質母材の延在方向に沿って光ファイバ用多孔質母材を移動させながら、光ファイバ用多孔質母材を脱水してもよい。
【0010】
第3の工程は、石英炉心管内で、光ファイバ用多孔質母材の延在方向に沿って光ファイバ用多孔質母材を下方へ向かって移動させながら加熱することにより、光ファイバ用多孔質母材を下方の末端から順次に透明ガラス化してもよい。
【0011】
第3の工程は、石英炉心管の内部の温度が1400~1650℃に到達した後に、延在方向に沿う光ファイバ用多孔質母材の下方への移動を開始してもよい。
【0012】
第1の工程は、石英炉心管内で、延在方向に沿って光ファイバ用多孔質母材を下方へ向かって移動させながら、光ファイバ用多孔質母材を脱水してもよい。第2の工程は、後続の第3の工程で延在方向に沿う光ファイバ用多孔質母材の下方への移動を開始することによって光ファイバ用多孔質母材を下方の末端から順次に透明ガラス化できるように、第1の工程で下方に移動された光ファイバ用多孔質母材を上昇させながら石英炉心管内を少なくとも部分的に換気してもよい。
【0013】
第1の工程は、光ファイバ用多孔質母材を全体に亘って加熱することにより、光ファイバ用多孔質母材を脱水してもよい。
【0014】
第1の工程は、石英炉心管の周囲において、光ファイバ用多孔質母材の延在方向に沿うように並べて配置される複数の加熱装置を用いて、光ファイバ用多孔質母材を全体に亘って加熱してもよい。
【0015】
第3の工程は、第1の工程によって昇温された石英炉心管の内部の温度を、複数の加熱装置の一部を用いて更に昇温することにより、光ファイバ用多孔質母材を透明ガラス化してもよい。
【0016】
第1の工程は、石英炉心管の内部を昇温して1000℃~1300℃としてもよい。第3の工程は、第1の工程によって昇温された石英炉心管の内部の温度を更に昇温して1400℃~1650℃としてもよい。
【0017】
第1の工程は、石英炉心管の内部を昇温して1000℃~1300℃とすることにより、光ファイバ用多孔質母材を脱水してもよい。
【0018】
第3の工程は、石英炉心管の内部を昇温して1400℃~1650℃とすることにより、光ファイバ用多孔質母材を透明ガラス化してもよい。
【0019】
本発明の第2の態様においては、光ファイバ母材を製造する装置を提供する。装置は、光ファイバ用多孔質母材を収容可能な容積V1の石英炉心管を備えてもよい。装置は、石英炉心管の周囲に配置される加熱装置を備えてもよい。装置は、光ファイバ用多孔質母材を収容した石英炉心管内に、少なくともハロゲンまたはアルゴンを含むガスを流通させながら、加熱装置で光ファイバ用多孔質母材を脱水する第1の工程を実行してもよい。装置は、第1の工程の後、石英炉心管内に、主成分がヘリウムであるガスを流通させて石英炉心管内を少なくとも部分的に換気する第2の工程を実行してもよい。装置は、第2の工程の後、石英炉心管内に、主成分がヘリウムであるガスを流通させながら、加熱装置で光ファイバ用多孔質母材を透明ガラス化する第3の工程を実行してもよい。
【0020】
装置は更に、石英炉心管の一端の開口部から挿入される光ファイバ用多孔質母材を石英炉心管の長手方向に沿って移動させる移動機構を備えてもよい。
【0021】
第2の工程において、石英炉心管内に流通させる主成分がヘリウムであるガスの積算流量V2は、石英炉心管の容積V1に対して、下記の[数3]式を満たしてもよい。
【数3】
【0022】
第2の工程は、石英炉心管内に、純ヘリウムガスを流通させて石英炉心管内を少なくとも部分的に換気してもよい。
【0023】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の第1の実施形態において使用した焼結装置の概略を示す図である。
【
図2】本発明の第2の実施形態において使用した焼結装置の概略を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0026】
図1は、本発明における第1の実施形態において使用した焼結装置の概略を示す図であり、(A)は第1の工程の一例の様子を示し、上部から下方へ向かって移動させながら脱水を行っている。(B)は、(A)の工程の後に続く第2の工程の一例の様子を示し、内部ガスの換気を行っている。なお、第2の工程が開始されるのと同時に光ファイバ用多孔質母材(以下、単に多孔質母材と称する場合がある)02を第3の工程を開始するときに必要とされる位置まで上昇させている。(C)は、(B)の工程の後に続く第3の工程の一例の様子を示し、多孔質母材02を下方に向けて移動させつつ透明ガラス化を行っている。
【0027】
第1の実施形態による焼結装置は、光ファイバ母材を製造する装置であって、石英炉心管04と、加熱装置10とを備える。石英炉心管04は、多孔質母材02を収容可能な容積V1を有する。加熱装置10は、石英炉心管04の周囲に配置される。
【0028】
焼結装置は更に、石英炉心管04の一端の開口部から挿入される多孔質母材02を石英炉心管04の長手方向に沿って移動させる移動機構を備えてもよい。多孔質母材02は、移動機構に接続されたシャフト03によって、石英炉心管04上部の開口部から石英炉心管04の長手方向に沿って挿入される。
【0029】
焼結装置は、第1の工程を実行することにより、多孔質母材02を収容した石英炉心管04内に、少なくともハロゲンまたはアルゴンを含むガスを流通させながら、加熱装置10で多孔質母材02を脱水する。第1の工程は、石英炉心管04内で、多孔質母材02の延在方向に沿って多孔質母材02を移動させながら、多孔質母材02を脱水してもよい。第1の工程はまた、石英炉心管04の内部を昇温して1000℃~1300℃とすることにより、多孔質母材02を脱水してもよい。
【0030】
具体的な一例として、第1の工程は、多孔質母材02を石英炉心管04内に挿入後、石英炉心管04の上部の開口部を閉じた後に開始される。焼結装置は、第1の工程を開始するのと同時に、純ハロゲンガス、または、希ガスとハロゲンガスとを混合した混合ガスを石英炉心管04内へガス導入ポート01から流入する。焼結装置は更に、石英炉心管04内の圧力を一定に保つため、ガス排出ポート05から一定量のガスを排気する。焼結装置は、第1の工程から第3の工程まで、石英炉心管04内の圧力を一定に保つため、ガス排出ポート05から一定量のガスを排気し続ける。
【0031】
焼結装置はまた、第1の工程を開始するのと同時に、加熱装置10による昇温を開始し、石英炉心管04の加熱を行う。このとき、石英炉心管04内部の温度は、1100℃~1300℃とするのが多孔質母材02を脱水する上で好ましい。第1の工程では、上述の移動機構により、多孔質母材02を石英炉心管04の上部から下方へ向かって移動させる。
【0032】
上述した純ハロゲンガスは、主成分がハロゲンであるガスの一例である。また、純ハロゲンガス、および、希ガスとハロゲンガスとを混合した混合ガスは何れも、少なくともハロゲンまたはアルゴンを含むガスの一例である。
【0033】
また、主成分がハロゲンであるガスは、塩素およびフッ素の少なくとも一方を主成分として含むガスであってもよい。塩素およびフッ素の少なくとも一方を主成分として含むガスは、脱水処理上好ましい。また、希ガスとハロゲンガスとの混合ガスは、塩素ガスおよびフッ素ガスの少なくとも一方と、ヘリウムガスおよびアルゴンガスの少なくとも一方とを含む混合ガスであってもよい。
【0034】
第1の工程において、石英炉心管04内に流通させるガスの全流量のうち、希ガスの流量U1およびハロゲンの流量U2は、下記の[数2]式を満たす。
【数2】
すなわち、焼結装置は、第1の工程において、石英炉心管04内に流入させる全ガス量の20%~100%をハロゲンとする。
【0035】
焼結装置は、上述の通り、第1の工程において、少なくともハロゲンまたはアルゴンを含むガスを石英炉心管04内に流通させる。換言すると、焼結装置は、第1の工程において、純ヘリウムガスのみを石英炉心管04内に流通させない。これにより、焼結装置は、第1の工程において、純ヘリウムガスのみを使用する場合に比べて、他の元素から成るガスよりも高価なヘリウムガスの使用量を少なくすることができ、光ファイバ母材の製造コストを低減することができる。
【0036】
第1の工程において、少なくともハロゲンまたはアルゴンを含むガス、例えばアルゴンガスや、ハロゲンガスや、ヘリウムガスとこれらとの混合ガスを石英炉心管04内に流通させた場合、第1の工程が終了した時点で、多孔質母材中にこれらのガスが残存する。これらの元素は、ヘリウムに比べて熱伝導率が低い。
【0037】
ここで、脱水工程の後に実行される透明ガラス化工程として、透明ガラス化を促進するために、他の元素に比べて熱伝導率が高いヘリウムを主成分とするガスを石英炉心管内に流通させながら、多孔質母材を透明ガラス化させることが知られている。しかしながら、熱伝導率が相対的に低い元素を含むガスが多孔質母材中に残存している状態で透明ガラス化を開始した場合、多孔質母材における透明ガラス化工程初期に透明ガラス化される部位は、当該ガスが残留することによって不透明になりやすくなる。これは、透明ガラス化工程を開始してから当該部位がガラス化されるまでの間に、当該部位付近で十分なヘリウムガスが流通しないためである。
【0038】
これに対して、本実施形態による焼結装置は、上述の第1の工程の後、第2の工程を実行することにより、石英炉心管04内に、主成分がヘリウムであるガスを流通させて石英炉心管04内を少なくとも部分的に換気する。当該主成分がヘリウムであるガスは、純ヘリウムガスであってもよい。また、第2の工程は、第1の工程で下方に移動された多孔質母材02を上昇させながら、石英炉心管04内を少なくとも部分的に換気してもよい。
【0039】
また、第2の工程において、石英炉心管04内に流通させる主成分がヘリウムであるガスの積算流量V2は、石英炉心管04の容積V1に対して、下記の[数1]式を満たしてもよい。
【数1】
すなわち、焼結装置は、第2の工程において、第1の工程が終了した時点で石英炉心管04内に充填されている流体の半分以上を、主成分がヘリウムであるガスと入れ替えてもよい。
【0040】
具体的な一例として、第2の工程は、第1の工程が完了した後に開始される。焼結装置は、第2の工程を開始するのと同時に、純ヘリウムガスをガス導入ポート01から石英炉心管04内へ供給し、石英炉心管04内部のガス換気を行う。焼結装置はまた、第2の工程を開始するのと同時に、移動機構によって、後続の第3の工程を開始する時点で必要とされる位置まで多孔質母材02を上昇させる。焼結装置は、多孔質母材02を当該位置まで上昇させた後、移動機構を一定時間停止してもよく、上昇直後に第3の工程を開始して、移動機構により多孔質母材02を移動させ始めてもよい。
【0041】
焼結装置は、第2の工程開始から第3の工程開始までの間に、石英炉心管04内へ流入させる純ヘリウムガスの積算流量V2、すなわち体積総量V2を、上記の[数1]式で示したように、石英炉心管04の内容積V1の0.5倍以上とする。これは、多孔質母材02における第3の工程の開始初期にガラス化される部位を透明化する上で好ましい。
【0042】
焼結装置は更に、第2の工程の後、第3の工程を実行することにより、石英炉心管04内に、主成分がヘリウムであるガスを流通させながら、加熱装置10で多孔質母材02を透明ガラス化する。第3の工程は、第1の工程によって昇温された石英炉心管04の内部の温度を更に昇温して1400℃~1650℃とすることにより、多孔質母材02を透明ガラス化してもよい。
【0043】
第3の工程はまた、石英炉心管04内で、多孔質母材02の延在方向に沿って多孔質母材02を下方へ向かって移動させながら加熱することにより、多孔質母材02を下方の末端から順次に透明ガラス化してもよい。上述したように、一例として、第2の工程において、第1の工程で下方に移動された多孔質母材02を、第3の焼結工程を開始する時点で必要とされる位置まで上昇させながら石英炉心管04内を少なくとも部分的に換気する。このように、第1の工程で下方に移動させた多孔質母材02を、第2の工程で当該位置まで上昇させておくことで、第2の工程の後続の第3の工程では、多孔質母材02の延在方向に沿う多孔質母材02の下方への移動を開始することによって多孔質母材02を下方の末端から順次に透明ガラス化できる。
【0044】
具体的な一例として、焼結装置は、第3の工程を開始すると同時に、加熱装置10による昇温を開始する。第3の工程において石英炉心管04内の温度は、1400~1650℃とすることが、多孔質母材04を透明ガラス化する上で好ましい。第3の工程では、純ヘリウムガスを用いることが、多孔質母材04の長手全体を透明ガラス化する上で好ましい。
【0045】
焼結装置は、第3の工程において、多孔質母材02を、移動機構により、第3の工程を開始する時点の位置から石英炉心管04の下方に向けて移動させることで、多孔質母材02の鉛直下方の末端から順次透明ガラス化を進行させる。なお、焼結装置は、第3の工程において、石英炉心管04の内部の温度が1400~1650℃に到達した後に、多孔質母材02の延在方向に沿う多孔質母材02の下方への移動を開始することが好ましい。
【0046】
このように、本実施形態による焼結装置によれば、多孔質母材02の透明ガラス化工程を開始する前、例えば石英炉心管04の内部の温度を1400℃~1650℃ほどに昇温する前に、主成分が純ヘリウムであるガスを石英炉心管04内に流通させて、石英炉心管04内を少なくとも部分的に換気する。焼結装置は、当該ガスによる石英炉心管04内の少なくとも部分的な換気によって、透明ガラス化工程を開始する前に、多孔質母材02中に残存している熱伝導率が低いガスの除去を促すことができる。その結果として、焼結装置は、透明ガラス化工程において、多孔質母材02における透明ガラス化工程初期に透明ガラス化される部位が不透明になることを防止できる。よって、焼結装置によれば、十分に透明ガラス化された光ファイバ用ガラス母材を得ることができる。
【0047】
図2は、本発明における第2の実施形態において使用した焼結装置の概略を示す図であり、(A)は第1の工程の一例の様子を示し、多孔質母材02を上下方向に移動させつつ脱水処理を行っている。(B)は、(A)の工程の後に続く第2の工程の一例の様子を示し、内部ガスの換気を行っている。(C)は、(B)の工程の後に続く第3の工程の一例の様子を示し、多孔質母材02を下方に向けて移動させて透明ガラス化を行っている。
【0048】
第2の実施形態による焼結装置では、第1の実施形態による焼結装置と異なる構成として、石英炉心管04の周囲に加熱装置10および加熱装置11が配置されている。第2の実施形態による焼結装置の他の構成については、第1の実施形態による焼結装置の構成と同様であり、対応する構成には同じ参照番号を付し、重複する説明を省略する。
【0049】
第2の実施形態による焼結装置において実行される第1の工程は、多孔質母材02を全体に亘って加熱することにより、多孔質母材02を脱水する。第1の工程は、石英炉心管04の周囲において、多孔質母材02の延在方向に沿うように並べて配置される複数の加熱装置、例えば加熱装置10および加熱装置11を用いて、多孔質母材02を全体に亘って加熱してもよい。この場合、第3の工程は、第1の工程によって昇温された石英炉心管04の内部の温度を、複数の加熱装置の一部、例えば加熱装置10のみを用いて更に昇温することにより、多孔質母材02を透明ガラス化してもよい。
【0050】
具体的な一例として、第2の実施形態による焼結装置は、第1の工程を開始するのと同時に、加熱装置10及び加熱装置11による昇温を開始し、石英炉心管04の加熱を行う。このとき、石英炉心管04内部の温度は、1100℃~1300℃とするのが多孔質母材02を脱水する上で好ましい。このように複数台の加熱装置10、11を用いることで、当該温度まで昇温する時間を短縮できる。第1の工程では、移動機構により、多孔質母材02を石英炉心管04の上部から下部へ向かって、または下部から上部へ向かって移動させてもよい。第1の工程における他の処理内容は、第1の実施形態による第1の工程と同様であり、重複する説明を省略する。以降の第2の工程および第3の工程においても同様する。
【0051】
焼結装置は、第2の工程を開始するのと同時に、多孔質母材02を第3の工程を開始する時点で必要とされる位置まで上昇させてもよく、このとき、加熱装置11による石英炉心管04の加熱を停止していてもよい。この場合、焼結装置は、第1の工程から第2の工程の間、加熱装置10による石英炉心管04の加熱を維持して、石英炉心管04の内部の温度を維持してもよい。
【0052】
焼結装置は、第3の工程を開始するのと同時に、加熱装置10による昇温を開始する。このとき、焼結装置は、第3の工程を通じて加熱装置11による石英炉心管04の加熱を停止していてもよい。
【0053】
なお、
図2に示すように、第2の実施形態では、加熱装置10の直上に加熱装置11を配置した例を説明したが、加熱装置11を加熱装置10の直下に配置しても発明の効果を損なうものではない。また、加熱装置10の直上に複数台の加熱装置を設置してもよく、直下に複数台の加熱装置を設置してもよい。
【0054】
以下、本実施形態の光ファイバ母材の製造方法について、実施例、比較例を挙げてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されず、様々な態様が可能である。
【0055】
[比較例1]
第1の工程では、石英炉心管内へ流通させるガスの成分比率をアルゴン50%+塩素50%とし、石英炉心管を加熱して内部の温度を1000~1300℃とし、光ファイバ用多孔質母材を石英炉心管内で上部から下方に向かって移動させつつ脱水を行った。
【0056】
第2の工程では、石英炉心管の内部の温度を1000~1300℃に維持して、第1の工程で流通させたガスと同じ成分比率のガスを石英炉心管内に流通させて内部ガスの換気を行った。石英炉心管内に流通させる当該ガスの体積総量を、石英炉心管の内容積の60%相当とした。なお、第2の工程が開始されるのと同時に、多孔質母材を、第3の工程を開始する時点で必要とされる位置まで上昇させておいた。
【0057】
第3の工程では、ヘリウム100%から成る純ヘリウムガスを石英炉心管内に流通させつつ、石英炉心管の内部の温度を1400~1650℃まで昇温し、多孔質母材を順次下方に移動させて、多孔質母材の鉛直下方の末端から透明ガラス化を行った。
【0058】
その結果、多孔質母材における透明ガラス化工程初期に透明ガラス化される部位、すなわち多孔質母材の鉛直下方の末端に不透明な部分が存在することが確認された。
【0059】
[比較例2]
第1の工程では、石英炉心管内へ流通させるガスの成分比率をアルゴン50%+塩素50%とし、石英炉心管を加熱して内部の温度を1000~1300℃とし、多孔質母材を石英炉心管内で上部から下方に向かって移動させつつ脱水を行った。
【0060】
第2の工程では、石英炉心管の内部の温度を1000~1300℃に維持して、ヘリウム100%から成る純ヘリウムガスを石英炉心管内に流通させて内部ガスの換気を行った。石英炉心管内に流通させる純ヘリウムガスの体積総量を、石英炉心管の内容積の40%相当とした。なお、第2の工程が開始されるのと同時に、多孔質母材を、第3の工程を開始する時点で必要とされる位置まで上昇させておいた。
【0061】
第3の工程では、ヘリウム100%から成る純ヘリウムガスを石英炉心管内に流通させつつ、石英炉心管の内部の温度を1400~1650℃まで昇温し、多孔質母材を順次下方に移動させて、多孔質母材の鉛直下方の末端から透明ガラス化を行った。
【0062】
その結果、多孔質母材における透明ガラス化工程初期に透明ガラス化される部位、すなわち多孔質母材の鉛直下方の末端に不透明な部分が存在することが確認された。
【0063】
[比較例3]
第1の工程では、石英炉心管内へ流通させるガスの成分比率をアルゴン50%+塩素50%とし、石英炉心管を加熱して内部の温度を1000~1300℃とし、多孔質母材を石英炉心管内で上部から下方に向かって移動させつつ脱水を行った。
【0064】
第2の工程では、石英炉心管の内部の温度を1000~1300℃に維持して、ヘリウム100%から成る純ヘリウムガスを石英炉心管内に流通させて内部ガスの換気を行った。石英炉心管内に流通させる純ヘリウムガスの体積総量を、石英炉心管の内容積の45%相当とした。なお、第2の工程が開始されるのと同時に、多孔質母材を、第3の工程を開始する時点で必要とされる位置まで上昇させておいた。
【0065】
第3の工程では、ヘリウム100%から成る純ヘリウムガスを石英炉心管内に流通させつつ、石英炉心管の内部の温度を1400~1650℃まで昇温し、多孔質母材を順次下方に移動させて、多孔質母材の鉛直下方の末端から透明ガラス化を行った。
【0066】
その結果、多孔質母材における透明ガラス化工程初期に透明ガラス化される部位、すなわち多孔質母材の鉛直下方の末端に不透明な部分が存在することが確認された。
【0067】
[実施例1]
第1の工程では、石英炉心管内へ流通させるガスの成分比率をアルゴン50%+塩素50%とし、石英炉心管を加熱して内部の温度を1000~1300℃とし、光ファイバ用多孔質母材を石英炉心管内で上部から下方に向かって移動させつつ脱水を行った。
【0068】
第2の工程では、石英炉心管の内部の温度を1000~1300℃に維持して、ヘリウム100%から成る純ヘリウムガスを石英炉心管内に流通させて内部ガスの換気を行った。石英炉心管内に流通させる純ヘリウムガスの体積総量を、石英炉心管の内容積の60%相当とした。なお、第2の工程が開始されるのと同時に、多孔質母材を、第3の工程を開始する時点で必要とされる位置まで上昇させておいた。
【0069】
第3の工程では、ヘリウム100%から成る純ヘリウムガスを石英炉心管内に流通させつつ、石英炉心管の内部の温度を1400~1650℃まで昇温し、多孔質母材を順次下方に移動させて、多孔質母材の鉛直下方の末端から透明ガラス化を行った。
【0070】
その結果、多孔質母材における透明ガラス化工程初期に透明ガラス化される部位、すなわち多孔質母材の鉛直下方の末端も透明であることが確認された。
【0071】
[実施例2]
第1の工程では、石英炉心管内へ流通させるガスの成分比率を塩素100%とし、石英炉心管を加熱して内部の温度を1000~1300℃とし、光ファイバ用多孔質母材を石英炉心管内で上部から下方に向かって移動させつつ脱水を行った。
【0072】
第2の工程では、石英炉心管の内部の温度を1000~1300℃に維持して、ヘリウム100%から成る純ヘリウムガスを石英炉心管内に流通させて内部ガスの換気を行った。石英炉心管内に流通させる純ヘリウムガスの体積総量を、石英炉心管の内容積の40%相当とした。なお、第2の工程が開始されるのと同時に、多孔質母材を、第3の工程を開始する時点で必要とされる位置まで上昇させておいた。
【0073】
第3の工程では、ヘリウム100%から成る純ヘリウムガスを石英炉心管内に流通させつつ、石英炉心管の内部の温度を1400~1650℃まで昇温し、多孔質母材を順次下方に移動させて、多孔質母材の鉛直下方の末端から透明ガラス化を行った。
【0074】
その結果、多孔質母材における透明ガラス化工程初期に透明ガラス化される部位、すなわち多孔質母材の鉛直下方の末端も透明であることが確認された。
【0075】
[実施例3]
第1の工程では、石英炉心管内へ流通させるガスの成分比率をヘリウム75%+塩素25%とし、石英炉心管を加熱して内部の温度を1000~1300℃とし、多孔質母材を石英炉心管内で上部から下方に向かって移動させつつ脱水を行った。
【0076】
第2の工程では、石英炉心管の内部の温度を1000~1300℃に維持して、ヘリウム100%から成る純ヘリウムガスを石英炉心管内に流通させて内部ガスの換気を行った。石英炉心管内に流通させる純ヘリウムガスの体積総量を、石英炉心管の内容積の60%相当とした。なお、第2の工程が開始されるのと同時に、多孔質母材を、第3の工程を開始する時点で必要とされる位置まで上昇させておいた。
【0077】
第3の工程では、ヘリウム100%から成る純ヘリウムガスを石英炉心管内に流通させつつ、石英炉心管の内部の温度を1400~1650℃まで昇温し、多孔質母材を順次下方に移動させて、多孔質母材の鉛直下方の末端から透明ガラス化を行った。
【0078】
その結果、多孔質母材における透明ガラス化工程初期に透明ガラス化される部位、すなわち多孔質母材の鉛直下方の末端も透明であることが確認された。
【0079】
[実施例4]
第1の工程では、石英炉心管内へ流通させるガスの成分比率をアルゴン50%+塩素50%とし、石英炉心管を加熱して内部の温度を1000~1300℃とし、多孔質母材を石英炉心管内で上部から下方に向かって移動させつつ脱水を行った。
【0080】
第2の工程では、石英炉心管の内部の温度を1000~1300℃に維持して、ヘリウム100%から成る純ヘリウムガスを石英炉心管内に流通させて内部ガスの換気を行った。石英炉心管内に流通させる純ヘリウムガスの体積総量を、石英炉心管の内容積の50%相当とした。なお、第2の工程が開始されるのと同時に、多孔質母材を、第3の工程を開始する時点で必要とされる位置まで上昇させておいた。
【0081】
第3の工程では、ヘリウム100%から成る純ヘリウムガスを石英炉心管内に流通させつつ、石英炉心管の内部の温度を1400~1650℃まで昇温し、多孔質母材を順次下方に移動させて、多孔質母材の鉛直下方の末端から透明ガラス化を行った。
【0082】
その結果、多孔質母材における透明ガラス化工程初期に透明ガラス化される部位、すなわち多孔質母材の鉛直下方の末端も透明であることが確認された。
【0083】
上記比較例、実施例のガス条件および透明ガラス化の結果を表1にまとめて示す。
【表1】
【0084】
上表から以下のことが認められる。比較例1は、第2の工程において、石英炉心管内へアルゴン50%+塩素50%の混合ガスを流通させて換気した結果、多孔質母材における透明ガラス化工程初期に透明ガラス化される部位に不透明な部分が存在している。よって、比較例1と実施例1~4との比較から、第2の工程において石英炉心管内へ流通させるガスの成分は、純ヘリウムのみとするのが好ましいことが認められる。
【0085】
また、比較例2~3は、石英炉心管内に流通させる純ヘリウムガスの体積総量V2を、石英炉心管の内容積V1の50%を下回る40~45%とした結果、多孔質母材における透明ガラス化工程初期に透明ガラス化される部位に不透明な部分が存在している。よって、比較例2~3と実施例1~4との比較から、第2の工程において石英炉心管内へ流通させる純ヘリウムガスの体積総量V2を、石英炉心管04の内容積V1の0.5倍以上とするのが好ましいことが認められる。
【0086】
このように、第2の工程における換気条件が、透明ガラス化工程初期に加熱される部位が不透明になることを防止する上で、極めて重要であることが認められる。
【0087】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0088】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0089】
01 ガス導入ポート
02 多孔質母材
03 移動機構に接続されたシャフト
04 石英炉心管
05 ガス排出ポート
10 加熱装置
11 加熱装置