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特許7615150両面静電クランプを製造するためのシステムおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-07
(45)【発行日】2025-01-16
(54)【発明の名称】両面静電クランプを製造するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/20 20060101AFI20250108BHJP
   H01L 21/683 20060101ALI20250108BHJP
   H02N 13/00 20060101ALI20250108BHJP
【FI】
G03F7/20 521
G03F7/20 501
H01L21/68 R
H02N13/00 D
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2022540655
(86)(22)【出願日】2020-12-04
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-09
(86)【国際出願番号】 EP2020084727
(87)【国際公開番号】W WO2021136628
(87)【国際公開日】2021-07-08
【審査請求日】2023-12-04
(31)【優先権主張番号】62/955,489
(32)【優先日】2019-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/965,101
(32)【優先日】2020-01-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503195263
【氏名又は名称】エーエスエムエル ホールディング エヌ.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100134256
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 武司
(72)【発明者】
【氏名】リプソン、マシュー
(72)【発明者】
【氏名】アクバス、メフメト、アリ
【審査官】植木 隆和
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-534620(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0348816(US,A1)
【文献】特開2018-014515(JP,A)
【文献】特表2016-509258(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/027
G03F 7/20
H01L 21/68
H02N 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1表面と、前記第1表面とは反対側に配置される第2表面と、前記第1表面と前記第2表面の間に横方向に配置される第1セットの電極と、前記第1表面の上に配置される複数のバールとを備える上部クランプを、第1時間を備える第1期間中に形成することと、
第3表面と、前記第3表面とは反対側に配置される第4表面と、前記第3表面と前記第4表面の間に配置され、熱的に調整される流体を運ぶよう構成される複数の流体チャネルとを備えるコアを、前記第1時間と重なる第2時間を備える第2期間中に形成することと、
第5表面と、前記第5表面とは反対側に配置される第6表面と、前記第5表面と前記第6表面の間に横方向に配置される第2セットの電極とを備える下部クランプを、前記第1時間および前記第2時間と重なる第3時間を備える第3期間中に形成することと、を備え
前記上部クランプを形成することは、前記上部クランプを約0.5ミリメートルの第1厚さに形成することを備え、
前記コアを形成することは、前記コアを約8.0ミリメートルの第2厚さに形成することを備え、
前記下部クランプを形成することは、前記下部クランプを約0.5ミリメートルの第3厚さに形成することを備える、装置を製造する方法。
【請求項2】
第1表面と、前記第1表面とは反対側に配置される第2表面と、前記第1表面と前記第2表面の間に横方向に配置される第1セットの電極と、前記第1表面の上に配置される複数のバールとを備える上部クランプを、第1時間を備える第1期間中に形成することと、
第3表面と、前記第3表面とは反対側に配置される第4表面と、前記第3表面と前記第4表面の間に配置され、熱的に調整される流体を運ぶよう構成される複数の流体チャネルとを備えるコアを、前記第1時間と重なる第2時間を備える第2期間中に形成することと、
第5表面と、前記第5表面とは反対側に配置される第6表面と、前記第5表面と前記第6表面の間に横方向に配置される第2セットの電極とを備える下部クランプを、前記第1時間および前記第2時間と重なる第3時間を備える第3期間中に形成することと、を備え
前記複数のバールは、第1の複数のバールであり、
前記コアを形成することは、前記第4表面の下に第2の複数のバールを形成することを備え、
前記上部クランプを形成することは、前記第1の複数のバールの第1部分を第1厚さに形成することを備え、
前記コアを形成することは、前記第2の複数のバールの第2部分を前記第1厚さより大きい第2厚さに形成することを備える、装置を製造する方法。
【請求項3】
前記コアの前記第4表面を前記下部クランプの前記第5表面に陽極接合を用いずに取り付けることをさらに備え、
前記下部クランプは、前記第2の複数のバールを受け入れるよう構成される複数の開口を画定し、
前記コアの前記第4表面を前記下部クランプの前記第5表面に取り付けることは、前記第2の複数のバールのそれぞれを前記複数の開口のそれぞれの一つに挿入することを備える、請求項に記載の方法。
【請求項4】
前記上部クランプを形成することは、陽極接合を用いずに前記上部クランプを形成することを備え、
前記コアを形成することは、陽極接合を用いずに前記コアを形成することを備え、
前記下部クランプを形成することは、陽極接合を用いずに前記下部クランプを形成することを備える、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記上部クランプを形成することは、前記上部クランプの少なくとも一部をホウケイ酸ガラスで形成することを備える、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記コアを形成することは、前記コアの少なくとも一部をシリコン化炭化シリコン(SiSiC)で形成することを備える、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記下部クランプを形成することは、前記下部クランプの少なくとも一部をホウケイ酸ガラスで形成することを備える、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記複数のバールを形成することは、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化シリコン(SiN)、または窒化クロム(CrN)からなる群から選択される少なくとも一つの材料で前記複数のバールを形成することを備える、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記コアの前記第4表面を前記下部クランプの前記第5表面に取り付けることは、前記コアの前記第4表面を前記下部クランプの前記第5表面に定着的に取り付けることを備える、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記コアの前記第4表面を前記下部クランプの前記第5表面に定着的に取り付けることは、前記コアの前記第4表面を前記下部クランプの前記第5表面に接着剤接合することを備える、請求項に記載の方法。
【請求項11】
前記コアの前記第4表面を前記下部クランプの前記第5表面に接着剤接合することは、二液型エポキシ接着剤を用いて、前記コアの前記第4表面を前記下部クランプの前記第5表面にエポキシ接合することを備える、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
第1表面を備える上部クランプを、第1時間を備える第1期間中に形成することと、
第2表面と、前記第2表面とは反対側に配置される第3表面とを備えるコアを、前記第1時間と重なる第2時間を備える第2期間中に形成することと、
第4表面を備える下部クランプを、前記第1時間および前記第2時間と重なる第3時間を備える第3期間中に形成することと、
前記上部クランプの前記第1表面を前記コアの前記第2表面に陽極接合を用いずに取り付けることと、
前記コアの前記第3表面を前記下部クランプの前記第4表面に陽極接合を用いずに取り付けることと、を備え
前記上部クランプの前記第1表面を前記コアの前記第2表面に取り付けることは、前記上部クランプの前記第1表面を前記コアの前記第2表面にオプティカル接合することを備え、
前記上部クランプの前記第1表面を前記コアの前記第2表面にオプティカル接合する前に、前記コアの前記第2表面を研磨することをさらに備え、
前記上部クランプの前記第1表面を前記コアの前記第2表面に取り付けることは、前記上部クランプの前記第1表面を前記コアの前記第2表面に着脱可能に取り付けることを備える、装置を製造する方法。
【請求項13】
第1表面を備える上部クランプを、第1時間を備える第1期間中に形成することと、
第2表面と、前記第2表面とは反対側に配置される第3表面とを備えるコアを、前記第1時間と重なる第2時間を備える第2期間中に形成することと、
第4表面を備える下部クランプを、前記第1時間および前記第2時間と重なる第3時間を備える第3期間中に形成することと、
前記上部クランプの前記第1表面を前記コアの前記第2表面に陽極接合を用いずに取り付けることと、
前記コアの前記第3表面を前記下部クランプの前記第4表面に陽極接合を用いずに取り付けることと、を備え
前記コアを形成することは、前記第3表面の下に複数のバールを形成することを備え、
前記下部クランプは、前記複数のバールを受け入れるよう構成される複数の開口を画定し、
前記コアの前記第3表面を前記下部クランプの前記第4表面に取り付けることは、前記複数のバールのそれぞれを前記複数の開口のそれぞれの一つに挿入することを備える、装置を製造する方法。
【請求項14】
第1セットの電極および複数のバールを備える上部クランプと、
熱的に調整される流体を運ぶように構成される複数の流体チャネルを備えるコアと、
第2セットの電極を備える下部クランプと、を備え、
前記上部クランプは、陽極接合を含まず、
前記コアは、陽極接合を含まず、
前記下部クランプは、陽極接合を含まず、
前記上部クランプは、オプティカル接合によって前記コアに着脱可能に取り付けされる、装置。
【請求項15】
第1セットの電極および第1の複数のバールを備える上部クランプと、
熱的に調整される流体を運ぶように構成される複数の流体チャネルを備えるコアと、
第2セットの電極を備える下部クランプと、を備え、
前記上部クランプは、陽極接合を含まず、
前記コアは、陽極接合を含まず、
前記下部クランプは、陽極接合を含まず、
前記コアは、第2の複数のバールを備え、
前記下部クランプは、前記第2の複数のバールを受け入れるよう構成される複数の開口を画定し、
前記コアは、前記第2の複数のバールのそれぞれを前記複数の開口のそれぞれの一つに挿入することによって前記下部クランプに取り付けされる、装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願へのクロスリファレンス]
本出願は、2019年12月31日に出願された米国仮特許出願第62/955,489号および2020年1月23日に出願された米国仮特許出願第62/965,101号の優先権の利益を主張し、これら両方の全体が参照により本書に組み込まれる。
【0002】
[技術分野]
本開示は、基板テーブルに関し、基板テーブル表面上にバールおよびナノ構造を形成する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
リソグラフィ装置は、所望のパターンを基板上に、通常、基板のターゲット部分に付与する装置である。リソグラフィ装置は、例えば集積回路(IC)の製造に用いることができる。この場合、パターニングデバイス(代わりにマスクまたはレチクルとも呼ばれる)は、ICの個々の層に形成されるべき回路パターンを生成するために使用できる。このパターンは、基板(例えばシリコンウェハ)上の(例えばダイの一部、一つのダイまたはいくつかのダイを備える)ターゲット部分に転写されることができる。パターンの転写は、典型的に基板上に設けられる放射感受性材料(レジスト)の層への結像を介する。一般に、単一の基板は、連続的にパターニングされる隣接するターゲット部分のネットワークを含むであろう。典型的なリソグラフィ装置は、ターゲット部分にパターン全体を一度に露光することにより各ターゲット部分が照射されるいわゆるステッパと、放射ビームを通じてパターンを所定の方向(「走査」方向)に走査しながらこの方向と平行または反平行に基板を同期走査して各ターゲット部分が照射されるいわゆるスキャナとを含む。また、パターンを基板上にインプリントすることによって、パターニングデバイスから基板にパターンを転写することも可能である。
【0004】
極端紫外(EUV)光、例えば、約50ナノメートル(nm)以下の波長を有する電磁放射(しばしば軟X線とも呼ばれる)、および約13nmの波長の光を含む電磁放射は、基板、例えば、シリコンウェハに極めて小さなフィーチャを生成するためにリソグラフィ装置で使用することができる。EUV光を生成する方法は、例えば、キセノン(Xe)、リチウム(Li)、スズ(Sn)などのEUV領域の輝線を有する元素をプラズマ状態に変換することを含むが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、レーザ生成プラズマ(LPP)と呼ばれるそのような方法の一つでは、例えば、材料の液滴、プレート、テープ、ストリーム(流れ)またはクラスタの形態で、ターゲット材料(LPP源の文脈では同義で燃料とも呼ばれる)に増幅光ビーム(駆動レーザと呼ぶことができる)を照射することによってプラズマを生成できる。このプロセスのため、プラズマは、典型的に密閉容器、例えば真空チャンバ内で生成され、様々なタイプの計測機器を用いてモニタされる。
【0005】
別のリソグラフィシステムは、パターニングデバイスが存在しない干渉リソグラフィシステムである。正確には、干渉リソグラフィシステムは、光ビームを二つのビームに分割し、反射システムの使用を通じて、基板のターゲット部分で二つのビームの干渉を生じさせる。干渉は、基板のターゲット部分で形成されるべきラインを生じさせる。
【0006】
リソグラフィ工程の間、異なる処理ステップで、基板上に異なる層を順次形成することが必要かもしれない。したがって、基板上に形成された前のパターンに対して、基板を高い精度で位置決めすることが必要になる場合がある。一般に、アライメントマークは、アライメントされる基板上に配置され、第2の物体を基準として位置決めされる。リソグラフィ装置は、マスクからの正確な露光を確保するために、アライメントマークの位置を検出し、アライメントマークを用いて基板をアライメントするためのアライメント装置を使用しうる。二つの異なる層でのアライメントマーク間の位置ずれ(ミスアライメント)は、オーバーレイエラーとして測定される。
【0007】
リソグラフィプロセスをモニタするために、パターニングされた基板のパラメータが測定される。パラメータは、例えば、パターニングされた基板内または基板上に形成された連続する層の間のオーバーレイエラーと、現像された感光性レジストの臨界線幅とを含みうる。この測定は、製品基板、専用の計測ターゲット、またはその両方に対して実行できる。リソグラフィプロセスで形成される微細構造を測定するための様々な技術があり、走査型電子顕微鏡や様々な専用ツールを用いることが含まれる。専用検査ツールの高速かつ非侵襲な形態は、散乱計であり、基板の表面上のターゲットに放射ビームが照射され、散乱ビームまたは反射ビームの特性が測定される。基板で反射または散乱される前と後のビームの特性を比較することによって、基板の特性を決定することができる。これは、例えば、反射ビームを、既知の基板特性に関連する既知の測定値のライブラリに格納されたデータと比較することによって実行できる。分光散乱計は、広帯域の放射ビームを基板に向けて、特定の狭い角度範囲に散乱された放射のスペクトル(波長の関数としての強度)を測定する。対照的に、角度分解散乱計は、単色の放射ビームを使用し、散乱された放射の強度を角度の関数として測定する。
【0008】
このような光学散乱計は、現像された感光性レジストの臨界寸法や、パターニングされた基板内または基板上に形成された二つの層の間のオーバーレイエラーといったパラメータを測定するために使用できる。基板の特性は、照明ビームが基板で反射または散乱される前と後の特性を比較することによって、決定できる。
【0009】
基板テーブルの表面上のトライボロジ特性(例えば、摩擦、硬度、摩耗)を規定し、維持することが望ましい。ある実施例では、ウェハクランプが基板テーブルの表面上に配置されてもよい。基板テーブル、またはそれに取り付けられたウェハクランプは、リソグラフィプロセスおよび計測プロセスの精度要件のために、満たすことが困難となる可能性のある表面レベル公差を有する。ウェハ(例えば、半導体基板)は、その表面積の幅(例えば、100.0mm幅より大きい)に比べて比較的薄い(例えば、1.0ミリメートル(mm)厚より小さい)ため、基板テーブルの凹凸に特に敏感である。加えて、接触する超平滑面は、互いにくっつくかもしれず、基板を基板テーブルから係止解除しなければならないときに問題となるかもしれない。ウェハとの界面である表面の平滑性を低下させるために、基板テーブルまたはウェハクランプの表面は、ガラス基板のパターニングやエッチングによって形成されたガラスバールを含みうる。しかし、これらガラスバールは、約6.0ギガパスカル(GPa)の硬度しかなく、その結果、リソグラフィ装置の動作中にクラックが生じ、クランプされたウェハによってガラスバールに無理に押し込まれる粒子によって押し潰される可能性がある。さらに、従来のクランプは通常、(例えば、ガラスと金属を接合するために)陽極接合を用いて順次製造されるが、このプロセスは完了までに1年以上かかることがある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示は、コアの形成と並行し、さらに下部クランプの形成と並行して上部クランプを形成し、その後に上部クランプをコアに取り付けし、コアを下部クランプに取り付けするプロセスを介する、陽極接合を含まない、静電クランプの製造のためのシステム、装置および方法の様々な態様を記載する。
【0011】
いくつかの態様において、本開示は、装置を製造する方法を記載する。この方法は、第1時間を含む第1期間中に上部クランプを形成することを含むことができる。上部クランプは、第1表面と、第1表面とは反対側に配置される第2表面と、第1表面と第2表面の間に横方向に配置される第1セットの電極と、第1表面の上に配置される複数のバールとを含むことができる。この方法は、第1時間と重なる第2時間を備える第2期間中にコアを形成することをさらに含むことができる。コアは、第3表面と、第3表面とは反対側に配置される第4表面と、第3表面と第4表面の間に配置され、熱的に調整される流体を運ぶよう構成される複数の流体チャネルとを含むことができる。この方法は、第1時間および第2時間と重なる第3時間を含む第3期間中に下部クランプを形成することを含むことができる。下部クランプは、第5表面と、第5表面とは反対側に配置される第6表面と、第5表面と第6表面の間に横方向に配置される第2セットの電極とを含むことができる。
【0012】
いくつかの態様において、本開示は、装置を製造する別の方法を記載する。この方法は、第1表面を含む上部クランプを、第1時間を含む第1期間中に形成することを含むことができる。この方法は、第2表面と、第2表面とは反対側に配置される第3表面とを含むコアを、第1時間と重なる第2時間を含む第2期間中に形成することを含むことができる。この方法は、第4表面を含む下部クランプを、第1時間および第2時間と重なる第3時間を含む第3期間中に形成することを含むことができる。この方法は、上部クランプの第1表面をコアの第2表面に陽極接合を用いずに取り付けることをさらに含むことができる。この方法は、コアの第3表面を下部クランプの第4表面に陽極接合を用いずに取り付けることをさらに含むことができる。
【0013】
いくつかの態様において、本開示は、装置を記載する。この装置は、上部クランプ、コアおよび下部クランプを含むことができる。上部クランプは、第1セットの電極および複数のバールを含むことができる。コアは、熱的に調整される流体を運ぶよう構成される複数の流体チャネルを含むことができる。下部クランプは、第2セットの電極を含むことができる。いくつかの態様において、上部クランプ、コアおよび下部クランプはいずれも陽極接合を含まない。いくつかの態様において、この装置は、陽極接合を含まない。
【0014】
さらなる特徴は、様々な態様の構造および動作とともに、添付の図面を参照して以下に詳細に説明される。本開示は、本書に記載される特定の態様に限定されないことに留意されたい。そのような態様は、例示のみを目的として本書に提示される。追加の態様は、本書に含まれる教示に基づけば、関連する技術の当業者にとって明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本書に組み込まれて本明細書の一部を形成する添付の図面は、本開示を例示し、詳細な説明とともに、本開示の態様の原理を説明し、関連する技術における当業者が本開示の態様の実施を可能にするためにさらに役立つものである。
【0016】
図1A】本開示のいくつかの態様に係る反射型リソグラフィ装置の例を模式的に示す図である。
【0017】
図1B】本開示のいくつかの態様に係る透過型リソグラフィ装置の例を模式的に示す図である。
【0018】
図2】本開示のいくつかの態様に係る図1Aに示される反射型リソグラフィ装置のより詳細を模式的に示す図である。
【0019】
図3】本開示のいくつかの態様に係る例示的なリソグラフィセルを模式的に示す図である。
【0020】
図4】本開示のいくつかの態様に係る例示的な基板ステージを模式的に示す図である。
【0021】
図5】本開示のいくつかの態様に係る例示的なクランプのある領域の断面を示す図である。
【0022】
図6】本開示のいくつかの態様に係る別の例示的なクランプのある領域の断面を示す図である。
【0023】
図7A】本開示のいくつかの態様に係る例示的な静電クランプの分解断面視を概略的に示す図である。
【0024】
図7B】本開示のいくつかの態様に係る例示的な静電クランプの断面視を概略的に示す図である。
【0025】
図8】本開示のいくつかの態様に係る装置またはその一部を製造する例示的な方法である。
【0026】
本開示の特徴および利点は、全体を通して同様の参照符号が対応する要素を識別する図面と併せて解釈される場合に、以下に記載される詳細な説明からより明らかになるであろう。図面において、同様の参照符号は、たいていの場合、同一の、機能的に類似の、および/または構造的に類似の要素を示す。さらに、たいていの場合、参照符号の左端の数字は、参照符号が最初に現れる図面を特定する。特に明記されない限り、本開示の全体を通して提示される図面は、縮尺通りの図面として解釈されるべきではない。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本明細書は、本開示の特徴を包含する一以上の実施形態を開示する。開示される実施形態は、本開示を例示するにすぎない。本開示の範囲は、開示される実施形態に限定されない。本開示の幅および範囲は、本書に添付される請求項およびその等価物によって定義される。
【0028】
説明される実施形態、および本明細書における「一実施形態」、「ある実施形態」、「ある例示的な実施形態」等への言及は、説明された実施形態が特定の特徴、構造、または特性を含むことができるが、必ずしも全ての実施形態が特定の特徴、構造、または特性を含まなくてもよいことを示すものである。さらに、このようなフレーズは、必ずしも同じ実施形態を指すものではない。さらに、特定の特徴、構造、または特性がある実施形態に関連して説明される場合、明示的に説明されているか否かによらず、他の実施形態に関連するそのような特徴、構造、または特性に影響を与えることは、当業者の知識の範囲内であると理解される。
【0029】
空間的に相対的な用語、例えば、「下方」、「下」、「下側」、「上方」、「上」、「上側」などは、図面に例示される一つの要素または特徴の別の要素または特徴に対する関係性を記述する説明を分かりやすくするために本書で使用されうる。空間的に相対的な用語は、図面に描かれた向きに加えて、使用または動作における装置の異なる向きを包含することが意図される。装置は、その他の向き(90度回転または他の向き)となることができ、本書で使用される空間的に相対的な記述語は、状況に応じて同じように解釈されてもよい。
【0030】
本書で使用される「約」の用語は、特定の技術に基づいて変化することのできる所定量の値を示す。特定の技術に基づいて、「約」の用語は、例えば、値の10~30%(例えば、値の±10%、±20%、または±30%)の範囲内で変化する所定量の値を示すことができる。
【0031】
概要
【0032】
EUV放射源を使用する従来のリソグラフィ装置は、典型的に、リソグラフィ工程の間、EUV放射ビーム経路またはその少なくとも実質的な部分を真空に保つことが必要である。リソグラフィ装置のそのような真空領域において、静電クランプは、パターニングデバイス(例えば、マスクもしくはレチクル)または基板(例えば、ウェハ)といった物体を、それぞれパターニングデバイステーブルまたは基板テーブルといったリソグラフィ装置の構造にクランプするために使用できる。従来の静電クランプは、静電クランプの一方の表面に電極を含むことができ、静電クランプの反対側の表面上に複数のバールを配置できる。静電クランプが通電され(例えば、クランプ電圧を用いて)、レチクルまたはウェハをバールに接触するように引っ張ると、導電性バールの頂部は、レチクルまたはウェハの裏面とは異なる電位になることができる。接触の瞬間、この電位差は、二つの電位が等しくなるように放電メカニズムを生じさせる。さらに、従来のウェハクランプは、ガラス基板のパターニングおよびエッチングによって形成されたガラスバールを典型的に含む。これらガラスバールは、約6.0GPaの硬度しかなく、その結果、リソグラフィ装置の動作中にクラックが生じ、クランプされたウェハによってガラスバールに無理に押し込まれる粒子によって押し潰される可能性がある。また、これらの従来の静電クランプは、通常いくつかの陽極接合を含み、製造に70週間以上かかることがあり、これは長すぎる。
【0033】
これらの従来のシステムとは対照的に、本開示は、上部クランプ上のバールが壊れた場合に上部クランプを極めて迅速に除去および交換できるモジュール設計を有するようにするために、(i)重要なタスクを並列して実行し、(ii)上部クランプをコアに結合するオプティカル接合を用いることにより、最終的な静電クランプの迅速な製造およびより高い歩留まりを可能にする並列処理技術を含む静電クランプの製造方法を提供する。オプティカル接合は、リソグラフィ装置の動作中の静電クランプの加速度を支えるのに十分な強度があるが、上部クランプを取り外して交換できるような可逆性がある。また、下部クランプは、構造物(例えば、コアおよび下部クランプ)を450℃に焼き、接着剤をアッシングすることによって、同様に比較的簡単に取り外すことができる。選択的に、いくつかの態様において、静電クランプは、不可逆な高いレベルの応力を含む陽極接合を用いずに製造できる。しかしながら、他の態様において、静電クランプは、コアを一緒に保持するための陽極接合、および/または、コアと上部クランプの間の陽極接合と組み合わされるコアと下部クランプの間の陽極接合といった、一以上の陽極接合を用いて製造することができる。
【0034】
いくつかの態様において、本開示は、上部クランプ、コアおよび下部クランプを含むが、いかなる陽極接合も含まない静電クランプを製造する方法が提供される。本書に記載されるいくつかの態様において、静電クランプを製造するための例示的な方法は、コアを形成することと並行し、さらに下部クランプを形成することと並行して、上部クランプを形成することを含むことができる。その後、例示的な方法は、上部クランプをコアに取り付けすることと、コアを下部クランプに取り付けることとを含むことができる。上部クランプ、コアおよび下部クランプを並行して陽極接合工程を用いずに形成することにより、本書に記載される方法は、直列プロセスおよび陽極接合を利用する従来技術よりも極めて迅速に静電クランプを製造できる。例えば、従来の静電クランプが製造に1年以上かかる場合があるのに対し、本書に開示される静電クランプは、製造に3月未満しかかからず、その結果、製造時間を約75%以上短縮することができる。
【0035】
加えて、本開示は、壊れたガラスバールを有するために現場から戻ってくる上部クランプを有する静電クランプを修復する方法を提供する。この方法は、コアから上部クランプを除去すること(例えば、上部クランプは、コアにオプティカル接合されてもよい)と、壊れたバールを修復すること、または、新規の上部クランプを製造することと、新規または修復済の上部クランプをコアにオプティカル接合することとを含み、これにより、既存のコアおよび下部クランプを維持および再使用する。したがって、本開示は、静電クランプの構成要素の全ての要素を処分せずに、静電クランプを修復することを提供する。
【0036】
いくつかの態様において、本開示は、従来のウェハクランプと機能的に等価であるが、並列で陽極接合を含まないプロセスを介して、静電クランプを生成する方法を提供する。さらに、本書で開示される静電クランプは、上部クランプがコアに陽極接合される従来の静電クランプに比べて、非常に簡単に再加工することができる。例えば、現場での不具合は通常、上部クランプの表面上のバールの破損を含む。上部クランプをコアにオプティカル接合することにより、本書に開示される静電クランプは、上部クランプをコアから接触解除することが可能であり、その後、再加工済または新規の上部クランプをコアに再接触させることが可能である。
【0037】
いくつかの態様において、本開示は、他の態様の中でもとりわけ、以下の三つの並行する製造フローを含む、静電クランプを製造する方法を提供する。
【0038】
1.上部クランプのための0.5mm厚のホウケイ酸ガラスクランプの製造。この構造は、電極およびバールを含み、選択的に、研磨されたSiSiCのコアの表面にオプティカル接触することができる。
【0039】
2.8.0mm厚のSiSiCのコアの製造。この構造は、冷却およびガスの分配と、研磨された上面と、その裏面上の長いバールとを含む。いくつかの態様において、コアは、陽極接合を用いずに製造できる。他の態様において、コアは、一以上の陽極接合を用いて製造できる。
【0040】
3.下部クランプのための0.5mm厚のホウケイ酸ガラスクランプの製造。この構造は、電極と、コアの長いバールが貫通する開口とを含む。この下部クランプは、コアとエポキシ接合することができる。
【0041】
本書に開示される製造技術および静電クランプには、多くの利点および利益がある。本開示は、従来の技術に比べて、単純で、迅速で、安く、より良い製造歩留まりを有する方法で、静電クランプを製造することを提供する。さらに、本開示は、従来の技術に比べて、単純で、迅速で、安く、より良い修復歩留まりを有する方法で、静電クランプを修復することを提供する。例えば、本開示は、他の態様の中でもとりわけ、静電クランプの一部(例えば、上部クランプ、コアおよび下部クランプ)を並行して陽極接合工程を用いずに形成することによって、実質的に短い時間(例えば、従来の静電クランプを製造するのに必要な時間の約4分の1以下)で静電クランプを製造することを提供する。別の例において、本開示は、約6.0GPaより大きい、いくつかの態様では約20.0GPaより大きい硬度を有する硬いバールを含むウェハクランプおよび静電クランプを提供する。これらの硬いバールは、従来のガラスバールを上回る増加した耐摩耗性を提供し、リソグラフィ装置の動作中に、クラックまたは破損を生じさせずに、基板またはパターニングデバイスを係止および解放させることに貢献する摩擦特性を提供する。さらに、本開示は、現場から戻される壊れたバールを有するクランプの再加工を支援する。本開示に記載の技術の結果、関連するリソグラフィ装置は、以前の技術よりも速く、安く、かつ確実にサービスに戻されることができる。いくつかの態様において、本開示は、リソグラフィ工程中に簡単には破損しないであろう、はるかに硬いバールを有する再加工されたクランプを現場に戻すことを支援する。
【0042】
しかしながら、このような態様をより詳細に説明する前に、本開示の態様を実装することのできる例示的な環境を示すことが有益である。
【0043】
例示的なリソグラフィシステム
【0044】
図1Aおよび図1Bは、本開示の態様を実装することのできるリソグラフィ装置100およびリソグラフィ装置100’をそれぞれ模式的に示す。図1Aおよび図1Bに示されるように、リソグラフィ装置100および100’は、XZ平面(例えば、X軸は右を指し、Z軸は上を指す)に垂直な視点(例えば、側面視)で示される一方、パターニングデバイスMAおよび基板Wは、XY平面(例えば、X軸は右を指し、Y軸は上を指す)に垂直な追加の視点(例えば、上面視)で提示される。
【0045】
リソグラフィ装置100およびリソグラフィ装置100’のそれぞれは、放射ビームB(例えば、深紫外(DUV)放射ビームまたは極端紫外(EUV)放射ビーム)を調整するよう構成された照明システムIL(例えば、イルミネータ)と;パターニングデバイスMA(例えばマスク、レチクルまたはダイナミックパターニングデバイス)を支持するよう構成され、パターニングデバイスMAを正確に位置決めするよう構成される第1位置決め装置PMに接続されるサポート構造MT(例えば、マスクテーブル)と;基板W(例えば、レジストコートされたウェハ)を保持するよう構成され、基板Wを正確に位置決めするよう構成され第2位置決め装置PWに接続される基板テーブルWT(例えば、ウェハテーブル)といった基板ホルダとを含む。リソグラフィ装置100および100’は、パターニングデバイスMAにより放射ビームBに付されるパターンを基板Wのターゲット部分C(例えば、一以上のダイを含む部分)に投影するよう構成される投影システムPSも有する。リソグラフィ装置100において、パターニングデバイスMAおよび投影システムPSは反射型である。リソグラフィ装置100’において、パターニングデバイスMAおよび投影システムPSは透過型である。
【0046】
照明システムILは、放射を方向付け、整形し、または制御するために、屈折型、反射型、反射屈折型、磁気型、電磁気型、静電型または他のタイプの光学素子といった様々なタイプの光学素子、または、これらの任意の組み合わせを含むことができる。
【0047】
サポート構造MTは、基準フレームに対するパターニングデバイスMAの向き、リソグラフィ装置100および100’の少なくとも一つのデザイン、および、例えばパターニングデバイスMAが真空環境で保持されるか否かといった他の条件に応じた態様で、パターニングデバイスMAを保持する。サポート構造MTは、パターニングデバイスMAを保持するために、機械式、真空式、静電式、または他のクランプ技術を用いることができる。サポート構造MTは、フレームまたはテーブルであることができ、例えば、これらは必要に応じて固定することができ、または、移動可能とすることができる。センサを用いることによって、サポート構造MTは、パターニングデバイスMAが例えば投影システムPSに対して所望の位置にあることを確実にすることができる。
【0048】
「パターニングデバイスMA」の用語は、基板Wのターゲット部分Cにパターンを生成するといった目的のために、放射ビームBの断面にパターンを付与するために用いることができる任意のデバイスを指すものと広く解釈されるべきである。放射ビームBに付与されるパターンは、集積回路を形成するためのターゲット部分Cに生成されているデバイスの特定の機能層に対応することができる。
【0049】
パターニングデバイスMAは、(図1Bのリソグラフィ装置100’のように)透過型であることができ、または(図1Aのリソグラフィ装置100のように)反射型であることができる。パターニングデバイスMAの例は、マスク、プログラマブルミラーアレイおよびプログラマブルLCDパネルを含む。マスクは、バイナリマスクやレベンソン型位相シフトマスク、ハーフトーン型位相シフトマスクといったマスクタイプを含むとともに、様々なハイブリッド型のマスクタイプを含む。プログラマブルミラーアレイの例は、マトリックス状に配列される小型ミラーを採用し、各ミラーは入射する放射ビームを異なる方向に反射するように個別に傾斜されることができる。傾斜されるミラーは、小型ミラーのマトリックスによって反射される放射ビームBにパターンを付与する。
【0050】
「投影システムPS」の用語は、使用する露光放射、または基板W上の液浸液の使用や真空の使用といった他の要因において適切となるように、屈折型、反射型、反射屈折型、磁気型、電磁気型および静電型の光学システム、またはこれらの任意の組み合わせを含む、任意のタイプの投影システムを包含することができる。EUVまたは電子ビーム放射では、他のガスが放射または電子を吸収しすぎるため、真空環境を用いることができる。したがって、真空壁および真空ポンプの助けを借りて、ビーム経路の全体に真空環境を提供することができる。
【0051】
リソグラフィ装置100および/またはリソグラフィ装置100’は、二つ(デュアルステージ)またはそれより多い基板テーブルWT(および/または二以上のマスクテーブル)を有するタイプであることができる。このような「マルチステージ」の機械において、追加の基板テーブルWTを並行して用いることができ、または、準備ステップを一以上のテーブルで実行する間、一以上の他の基板テーブルWTを露光に用いることができる。いくつかの状況において、追加のテーブルは、基板テーブルWTでなくてもよい。
【0052】
リソグラフィ装置は、投影システムと基板の間の空間を満たすように、基板の少なくとも一部を比較的高い屈折率を有する液体、例えば、水によって覆うことができるタイプのものであることもできる。液浸液は、リソグラフィ装置内の他の空間、例えば、マスクと投影システムの間にも適用することができる。液浸技術は、投影システムの開口数の増加をもたらす。本書で使用される「液浸」の用語は、基板などの構造を液体中に水没させなければならないことを意味せず、むしろ露光中に投影システムと基板の間に液体が配置されることのみを意味する。
【0053】
図1Aおよび図1Bを参照すると、照明システムILは、放射源SOから放射ビームBを受け取る。放射源SOおよびリソグラフィ装置100または100’は、例えば、放射源SOがエキシマレーザである場合、別々の物理的実体であることができる。そのような場合、放射源SOは、リソグラフィ装置100または100’の一部を形成するとみなされず、放射ビームBは、例えば適切な方向付けミラーおよび/またはビームエキスパンダを含むビームデリバリシステムBD(例えば、図1Bに示される)の助けによって、放射源SOから照明システムILに通過する。他の場合、例えば、放射源SOが水銀ランプである場合、放射源SOは、リソグラフィ装置100または100’の一体的な部分であることができる。放射源SOおよびイルミネータILは、必要に応じて、ビームデリバリシステムBDとともに、放射システムと称されることができる。
【0054】
照明システムILは、放射ビームの角度強度分布を調整するためのアジャスタAD(例えば、図1Bに示される)を含むことができる。一般に、イルミネータの瞳面内の強度分布の少なくとも外側径範囲および/または内側径範囲(通常、それぞれσ-アウタおよびσ-インナと呼ばれる)を調整できる。加えて、照明システムILは、インテグレータINや放射コレクタCO(例えば、コンデンサまたはコレクタ光学系)といった様々な他の構成要素(例えば、図1Bに示される)を含むことができる。照明システムILは、ビーム断面において所望の均一性および強度分布を有する放射ビームBを調整するために用いることができる。
【0055】
図1Aを参照すると、放射ビームBは、サポート構造MT(例えば、マスクテーブル)に保持されたパターニングデバイスMA(例えば、マスク)に入射し、パターニングデバイスMAによりパターン化される。リソグラフィ装置100において、放射ビームBは、パターニングデバイスMAから反射される。放射ビームBは、パターニングデバイスMAから反射された後、投影システムPSを通過し、放射ビームBを基板Wのターゲット部分Cに合焦させる。第2位置決め装置PWおよび位置センサIFD2(例えば、干渉計デバイス、リニアエンコーダ、または静電容量センサ)の助けにより、基板テーブルWTを正確に(例えば、放射ビームBの経路に異なるターゲット部分Cが位置決めされるように)移動させることができる。同様に、第1位置決め装置PMおよび別の位置センサIFD1(例えば、干渉計デバイス、リニアエンコーダ、または静電容量センサ)を用いて、放射ビームBの経路に対してパターニングデバイスMAを正確に位置決めすることができる。パターニングデバイスMAおよび基板Wは、マスクアライメントマークM1およびM2と、基板アライメントマークP1およびP2とを用いてアライメントできる。
【0056】
図1Bを参照すると、放射ビームBは、サポート構造MT上に保持されたパターニングデバイスMAに入射し、パターニングデバイスMAによってパターン化される。パターニングデバイスMAを横切ると、放射ビームBは、基板Wのターゲット部分Cにビームを合焦させる投影システムPSを通過する。投影システムは、照明システムの瞳IPUに対する瞳共役PPUを有する。放射の各部分は、照明システムの瞳IPUでの強度分布から発し、マスクパターンでの回折の影響を受けずにマスクパターンを横切り、照明システムの瞳IPUで強度分布の像を生成する。
【0057】
投影システムPSは、マスクパターンMPの像MP’を基板W上にコートされたレジスト層に投影する。ここで、像MP’は、強度分布からの放射によってマスクパターンMPから生じる回折ビームによって形成される。例えば、マスクパターンMPは、ラインとスペースのアレイを含むことができる。アレイでの放射の回折であって、ゼロ次回折とは異なる回折は、ラインに垂直な方向の方向変化を伴うように逸れた回折ビームを発生させる。非回折ビーム(例えば、いわゆるゼロ次回折ビーム)は、伝搬方向の変化を伴わずにパターンを横切る。ゼロ次回折ビームは、投影システムPSの瞳共役PPUの上流側にある投影システムPSの上側レンズまたは上側レンズ群を横切って、瞳共役PPUに到達する。瞳共役PPUの面内の強度分布の部分であって、ゼロ次回折ビームに関連する部分は、照明システムILの照明システム瞳IPUにおける強度分布の像である。アパチャデバイスPDは、例えば、投影システムPSの瞳共役PPUを含む平面、または、ほぼその平面に配置される。
【0058】
投影システムPSは、レンズまたはレンズ群Lによって、ゼロ次回折ビームだけでなく、1次回折ビームまたは1次および高次回折ビーム(図示せず)も捉えるように構成される。いくつかの態様において、ラインに垂直な方向に延びるラインパターンを結像するためのダイポール照明は、ダイポール照明の解像度向上効果を利用するために用いることができる。例えば、1次回折ビームは、基板Wのレベルで、対応するゼロ次回折ビームと干渉し、可能な限り高い解像度およびプロセスウィンドウ(例えば、許容露光量偏差と組み合わされる使用可能な焦点深度)でマスクパターンMPの像を形成できる。いくつかの態様において、非点収差は、放射ポール(図示せず)を照明システム瞳IPUの対向する象限に設けることによって低減できる。さらに、いくつかの態様において、非点収差は、対向する象限内の放射ポールに関連する投影システムの瞳共役PPUのゼロ次ビームをブロックすることによって低減できる。これは、2009年3月31日に発行された米国特許第7,511,799号により詳細に説明されており、その全体が参照により本書に組み込まれる。
【0059】
第2位置決め装置PWおよび位置センサIFD(例えば、干渉計デバイス、リニアエンコーダ、または静電容量センサ)の助けを借りて、基板テーブルWTを正確に(例えば、放射ビームBの経路に異なるターゲット部分Cが配置されるように)移動させることができる。同様に、第1位置決め装置PMおよび別の位置センサ(図1Bに図示せず)は、(例えば、マスクライブラリからの機械検索後、またはスキャン中に)放射ビームBの経路に対してパターニングデバイスMAを正確に位置決めするために用いることができる。
【0060】
一般に、サポート構造MTの移動は、第1位置決め装置PMの一部を形成するロングストローク位置決め装置(粗動位置決め)およびショートストローク位置決め装置(微動位置決め)の助けを借りて実現できる。同様に、基板テーブルWTの移動は、第2位置決め装置PWの一部を形成するロングストローク位置決め装置とショートストローク位置決め装置を用いて実現できる。ステッパの場合(スキャナとは対照的に)、サポート構造MTはショートストロークアクチュエータのみに接続することができ、または固定することもできる。パターニングデバイスMAおよび基板Wは、マスクアライメントマークM1、M2および基板アライメントマークP1、P2を用いてアライメントできる。基板アライメントマークは(図示されるように)専用のターゲット部分を占めるが、ターゲット部分の間のスペースに配置することもできる(例えば、スクライブラインアライメントマーク)。同様に、パターニングデバイスMA上に複数のダイが設けられる状況では、マスクアライメントマークは、ダイの間に配置することができる。
【0061】
サポート構造MTおよびパターニングデバイスMAは、真空チャンバV内にあることができ、真空内ロボットIVRは、マスクなどのパターニングデバイスを真空チャンバの内外に移動させるために使用できる。あるいは、サポート構造MTおよびパターニングデバイスMAが真空チャンバの外にある場合、真空内ロボットIVRと同様に、真空外ロボットを様々な搬送動作に使用できる。いくつかの場合、真空内ロボットおよび真空外ロボットの双方は、任意の搭載物(例えば、マスク)を搬送ステーションの固定キネマティックマウントに円滑に搬送するために較正される必要がある。
【0062】
リソグラフィ装置100および100’は、以下のモードの少なくとも一つで用いることができる。
【0063】
1.ステップモードでは、サポート構造MTおよび基板テーブルWTが実質的に静止状態とされる間、放射ビームBに付与されるパターン全体がターゲット部分Cに1回で投影される(例えば、単一静的露光)。基板テーブルWTはその後、Xおよび/またはY方向にシフトされるため、異なるターゲット部分Cを露光できる。
【0064】
2.スキャンモードでは、サポート構造MTおよび基板テーブルWTが同期してスキャンされる間、放射ビームBに付与されるパターンがターゲット部分Cに投影される(つまり、単一動的露光)。サポート構造MT(例えば、マスクテーブル)に対する基板テーブルWTの速度および方向は、投影システムPSの拡大(縮小)特性および像反転特性によって決定できる。
【0065】
3.別のモードでは、サポート構造MTがプログラマブルパターニングデバイスを保持して実質的に静止状態を維持し、基板テーブルWTが移動またはスキャンされる間、放射ビームBに付与されるパターンがターゲット部分Cに投影される。パルス放射源SOを採用することができ、基板テーブルWTの各移動後またはスキャン中の連続する放射パルスの間に、必要に応じてプログラマブルパターニングデバイスが更新される。この動作モードは、プログラマブルミラーアレイといったプログラマブルパターニングデバイスMAを利用するマスクレスリソグラフィに容易に適用できる。
【0066】
説明したモードの使用の組み合わせや変形例、全く異なるモードの使用を採用することもできる。
【0067】
さらなる態様において、リソグラフィ装置100は、EUVリソグラフィのためのEUV放射ビームを生成するよう構成されるEUV源を含む。一般に、EUV源は、放射システム内に構成され、対応する照明システムは、EUV源のEUV放射ビームを調整するよう構成される。
【0068】
図2は、放射源SO(例えば、ソースコレクタ装置)、照明システムIL、および投影システムPSを含むリソグラフィ装置100をより詳細に示す。図2に示されるように、リソグラフィ装置100は、XZ平面(例えば、X軸は右を指し、Z軸は上を指す)に垂直な視点(例えば、側面視)で示される。
【0069】
放射源SOは、包囲構造220内に真空環境を維持できるように構築および構成されている。放射源SOは、ソースチャンバ211およびコレクタチャンバ212を含み、EUV放射を生成および伝送するよう構成される。EUV放射は、キセノン(Xe)ガス、リチウム(Li)蒸気、またはスズ(Sn)蒸気などのガスまたは蒸気によって生成することができ、そのガスまたは蒸気内でEUV範囲内の電磁スペクトルの放射を放出するEUV放射放出プラズマ210が生成される。少なくとも部分的に電離されたEUV放射放出プラズマ210は、例えば、放電またはレーザビームによって生成できる。Xeガス、Li蒸気、Sn蒸気、または任意の他の適切なガスまたは蒸気の例えば約10.0パスカル(Pa)の分圧は、放射の効率的な生成のために使用できる。いくつかの態様において、EUV放射を生成するために、励起されたスズのプラズマが提供される。
【0070】
EUV放射放出プラズマ210によって放出された放射は、ソースチャンバ211からコレクタチャンバ212に向けて、ソースチャンバ211の開口内または開口後方に配置される選択的なガスバリアまたは汚染物質トラップ230(例えば、いくつかの場合、汚染物質バリアまたはホイルトラップとも呼ばれる)を介して通過する。汚染物質トラップ230は、チャネル構造を含むことができる。汚染物質トラップ230は、ガスバリアまたはガスバリアとチャネル構造の組み合わせを含むこともできる。本書でさらに示される汚染物質トラップ230は、少なくともチャネル構造を含む。
【0071】
コレクタチャンバ212は、放射コレクタCO(例えば、コレクタ光学系)を含むことができ、これは、いわゆる斜入射コレクタとすることができる。放射コレクタCOは、上流放射コレクタ側面251および下流放射コレクタ側面252を有する。放射コレクタCOを横切る放射は、回折格子スペクトルフィルタ240で反射され、仮想ソース点IFに集光することができる。仮想ソース点IFは、一般に中間焦点と呼ばれ、ソースコレクタ装置は、仮想ソース点IFが包囲構造220の開口219またはその近傍に位置するように構成される。仮想ソース点IFは、EUV放射放出プラズマ210の像である。回折格子スペクトルフィルタ240は、特に赤外(IR)放射を抑制するために使用される。
【0072】
その後、放射は、照明システムILを横切る。照明システムILは、ファセットフィールドミラーデバイス222およびファセット瞳ミラーデバイス224を含むことができ、これらは、パターニングデバイスMAにて放射ビーム221の所望の角度分布を提供するとともに、パターニングデバイスMAにて放射強度の所望の均一性を提供するよう構成される。サポート構造MTによって保持されたパターニングデバイスMAで放射ビーム221が反射すると、パターンビーム226が形成され、パターンビーム226は、投影システムPSによって反射素子228、229を介して、ウェハステージまたは基板テーブルWTによって保持された基板Wに結像される。
【0073】
一般に、図示されるよりも多い素子が、照明システムILおよび投影システムPSに存在できる。選択的に、リソグラフィ装置のタイプに応じて、回折格子スペクトルフィルタ240が存在できる。さらに、図2に示されたものよりも多くのミラーが存在することができる。例えば、投影システムPSには、図2に示されたものよりも1から6の追加の反射素子が存在できる。
【0074】
放射コレクタCOは、図2に示されるように、コレクタ(またはコレクタミラー)の例として、かすり入射反射体253、254、255を有するネスト型コレクタとして描かれている。かすり入射反射体253、254、255は、光軸Oの周りに軸対称に配置され、このタイプの放射コレクタCOは、放電生成プラズマ(DPP)源と組み合わせて使用することが好ましい。
【0075】
例示的なリソグラフィセル
【0076】
図3は、リソセルまたはクラスタとも呼ばれるリソグラフィセル300を示す。図3に示されるように、リソグラフィセル300は、XY平面(例えば、X軸が右を指し、Y軸が上を指す)に垂直な視点(例えば、上面視)で示される。
【0077】
リソグラフィ装置100または100’は、リソグラフィセル300の一部を形成することができる。リソグラフィセル300は、基板上で露光前および露光後プロセスを実行するための一以上の装置を含むこともできる。例えば、これらの装置は、レジスト層を堆積させるスピンコータSC、露光されたレジストを現像するデベロッパDE、チルプレートCH、およびベークプレートBKを含むことができる。基板ハンドラRO(例えば、ロボット)は、入出力ポートI/O1およびI/O2から基板をピックアップし、異なるプロセス装置間で移動させ、リソグラフィ装置100または100’のローディングベイLBに搬送する。これらの装置は、しばしばトラックと総称され、トラック制御ユニットTCUの制御下にあり、TCU自体は上位制御システムSCSによって制御される。SCSは、リソグラフィ制御ユニットLACUを介してリソグラフィ装置も制御する。このように、異なる装置を操作してスループットやプロセス効率を最大化できる。
【0078】
例示的な基板ステージ
【0079】
図4は、本開示のいくつかの態様に係る例示的な基板ステージ400を概略的に示す。いくつかの態様において、例示的な基板ステージ400は、基板テーブル402、サポートブロック404、一以上のセンサ構造406、任意の他の適切な構成要素、またはそれらの任意の組み合わせを含むことができる。いくつかの態様において、基板テーブル402は、基板408を保持するためのクランプ(例えば、ウェハクランプ、レチクルクランプ、静電クランプ)を備える。いくつかの態様において、一以上のセンサ構造406のそれぞれは、透過型イメージセンサ(TIS)プレートを備える。TISプレートは、TISセンシングシステムで用いるための一以上のセンサおよび/またはマーカを備えるセンサユニットであり、リソグラフィ装置(例えば、図1A図1Bおよび図2を参照して説明したリソグラフィ装置100およびリソグラフィ装置100’)の投影システム(例えば、図1A図1Bおよび図2を参照して説明した投影システムPS)およびマスク(例えば、図1A図1Bおよび図2を参照して説明したパターニングデバイス)の位置に対するウェハの正確な位置決めに用いられる。ここで、TISプレートは説明のために示されているが、本書の態様は、いかなる特定のセンサにも限定されない。基板テーブル402は、サポートブロック404上に配置される。一以上のセンサ構造406は、サポートブロック404上に配置される。
【0080】
いくつかの態様において、基板408は、例示的な基板ステージ400が基板408を支持するときに基板テーブル402上に配置されることができる。
【0081】
「平坦」、「平坦性」などの用語は、表面の主面に関連する構造を説明するために本書で用いることができる。例えば、曲がった面や水平でない面は、平坦な面に適合していないものであることができる。また、表面上の突起および凹みも、「平坦」な平面からの逸脱として特徴づけることができる。
【0082】
「滑らか」、「粗さ」などの用語は、表面の局所的な変化、微視的な偏差、粒状性、または質感を指すために使用できる。例えば、「表面粗さ」の用語は、平均線または平面からの表面プロファイルの微視的な偏差を指すことができる。偏差は、二乗平均平方根(RMS)または算術平均偏差(Ra)(例えば、1nm RMS)といった振幅パラメータとして(長さの単位で)一般に測定される。
【0083】
いくつかの態様において、上述の基板テーブル(例えば、図1Aおよび図1Bの基板テーブルWT、図4の基板テーブル402)の表面は、平坦であることができ、またはバール加工されることができる。基板テーブルの表面が平坦である場合、基板テーブルとウェハの間に付着した任意の微粒子または汚染物質は、ウェハを通り抜けて汚染物質の印刷を生じさせ、その近傍でリソグラフィエラーが発生する原因となるであろう。その結果、汚染物質はデバイスの歩留まりを低下させ、製造コストを上昇させる。
【0084】
基板テーブル上にバールを配置することは、平坦な基板テーブルの好ましくない影響の低減を助ける。ウェハがバール加工された基板テーブルにクランプされるとき、ウェハが基板テーブルに接触していない部分において空いたスペースを利用できる。この空いたスペースは、汚染物質のポケットとして機能するため、印刷エラーを防止する。別の利点は、バール上に位置する汚染物質は、バールによって増加する負荷に起因して押し潰されやすくなる点である。汚染物質の破砕は、プリントスルーエラーの軽減にも役立つ。いくつかの態様において、バールの合計表面積は、基板テーブルの表面積のおおよそ1パーセントから5パーセントとすることができる。ここで、バールの表面積とは、ウェハと接触する表面(例えば、側壁を含まない)を指し、基板テーブルの表面積とは、バールが存在する基板テーブルの表面の全範囲(スパン)(例えば、基板テーブルの側面または裏面を含まない)を指す。ウェハがバール加工された基板テーブルにクランプされると、平坦な基板テーブルに比べて荷重が100倍に増加し、ほとんどの汚染物質を押し潰すのに十分となる。ここでは、基板テーブルを例として用いたが、この例は限定を意図するものではない。例えば、本開示の態様は、レチクルテーブル、様々なクランプ構造(例えば、静電クランプ、クランプ膜)、および様々なリソグラフィシステム(例えば、EUV、DUV)において実装することができる。
【0085】
いくつかの態様において、バールとウェハの界面は、基板テーブルの機能的性能を支配する。基板テーブルの表面が滑らかである場合、基板テーブルの滑らかな表面とウェハの滑らかな表面の間に接着力が発生する可能性がある。このように、二つの滑らかな表面同士が接触してくっつく現象は、リンギングとして知られる。リンギングは、ウェハの高い摩擦および面内応力に起因したデバイス製造における問題(例えばオーバーレイ問題)を生じさせる可能性がある (アライメント時には、ウェハが容易に滑ることが最適である)。
【0086】
例示的な硬いバールを有する表面
【0087】
図5は、例示的な静電クランプ500の上部クランプの一部(または、いくつかの態様において、静電クランプ700または701の例示的な上部クランプ702の一部)といった、例示的な静電クランプ500のある領域の断面を示す。例示的な静電クランプ500は、第1表面502aを含む第1層502(例えば、ガラス基板、ホウケイ酸ガラス基板、アルカリ土類ホウアルミノケイ酸塩基板、SiO層)を含むことができる。
【0088】
例示的な静電クランプ500は、第2表面504aと、第2表面504aとは反対側の第3表面504bとを含む第2層504(例えば、Cr、Al、Siまたは任意の適切な材料の層といった接着層)をさらに含むことができる。第2層504の第3表面504bは、第1層502の第1表面502a上に配置することができる。いくつかの態様において、第2層504は、最終ステップまたは最終に近いステップでパターニングされることができる。
【0089】
例示的な静電クランプ500は、第1層502の第1表面502aの上に配置される複数のバール506(例えば、DLCバール)をさらに含むことができる。例えば、複数のバール506は、第2層504の第2表面504a上に配置することができる。複数のバール506の部分(サブセット)の硬度は、約6.0GPaより大きくすることができ、いくつかの態様において、約10.0GPa、約15.0GPa、または約20.0GPaよりも大きい。複数のバール506の厚さは、約2.0ミクロンより大きくすることができ、いくつかの態様において、約5.0ミクロン、約7.5ミクロン、または約10.0ミクロンより大きい。複数のバール506のそれぞれの半径は、約200.0ミクロンとすることができる。いくつかの態様において、複数のバール506は、少なくとも約3万個のバールを含むことができる。いくつかの態様において、複数のバール506は、第3層(例えば、DLC層)をパターニングおよびエッチングして複数のバール506を形成することによって形成できる。
【0090】
例示的な静電クランプ500は、複数のバール506の上に配置された複数のバール頂部507(例えば、CrNバール頂部)をさらに含むことができる。複数のバール頂部507は、第4層(例えば、CrN層)をパターニングおよびエッチングして、複数のバール頂部507を形成することによって形成できる。いくつかの態様において、複数のバール506、複数のバール頂部507、またはその両方は、導電性であることができる。
【0091】
複数のバール506の各バールは、第4表面506aと、第4表面506aとは反対側の第5表面506bとを含むことができる。バールの第5表面506bは、第2層504の第2表面504a上に配置することができる。複数のバール頂部507の各バール頂部は、第6表面507aと、第6表面507aとは反対側の第7表面507bとを含むことができる。バール頂部の第7表面507bは、バールの第4表面506a上に配置することができる。
【0092】
選択的に、物体508(例えば、ウェハWまたはパターニングデバイスMA)は、複数のバール頂部507の上に位置決めされることができる。例えば、物体508の第8表面508aは、複数のバール頂部507の一以上の第6表面507a上に移動可能に配置(例えば、載置、位置決め)することができる。
【0093】
図6は、例示的な静電クランプ600の上部クランプの一部(または、いくつかの態様において、静電クランプ700または701の例示的な上部クランプ702の一部)といった、例示的な静電クランプ600のある領域の断面を示す。例示的な静電クランプ600は、第1表面602aを含む第1層602(例えば、ガラス基板、ホウケイ酸ガラス基板、アルカリ土類ホウケイ酸塩基板、SiO層)を含むことができる。
【0094】
例示的な静電クランプ600は、第1層602の第1表面602aの上に配置される複数のバール606(例えば、CrN、AlNまたはSiNバール)をさらに含むことができる。例えば、複数のバール606は、第1層602の第1表面602a上に配置することができる。複数のバール606の部分(サブセット)の硬度は、約6.0GPaより大きくすることができ、いくつかの態様において、約10.0GPa、約15.0GPa、または約20.0GPaよりも大きい。複数のバール606の厚さは、約2.0ミクロンより大きくすることができ、いくつかの態様において、約5.0ミクロン、約7.5ミクロン、または約10.0ミクロンより大きい。いくつかの態様において、複数のバール606は、少なくとも約3万個のバールを含むことができる。いくつかの態様において、複数のバール606は、第2層(例えば、CrN、AlNまたはSiN層)をパターニングおよびエッチングして複数のバール606を形成することによって形成できる。
【0095】
複数のバール606の各バールは、第2表面606aと、第2表面606aとは反対側の第3表面606bとを含むことができる。バールの第3表面606bは、第1層602の第1表面602a上に配置することができる。
【0096】
選択的に、物体608(例えば、ウェハWまたはパターニングデバイスMA)は、複数のバール606の上に位置決めされることができる。例えば、物体608の第4表面608aは、複数のバール606の一以上の第2表面606a上に移動可能に配置(例えば、載置、位置決め)することができる。
【0097】
例示的な静電クランプ
【0098】
図7Aは、本開示のいくつかの態様に係る例示的な静電クランプ700の分解断面視を概略的に示す図である。例示的な静電クランプ700は、例えば、例示的な上部クランプ702、例示的なコア704、例示的な下部クランプ706、任意の他の適切な構成要素、または任意のそれらの組み合わせを含むことができる。いくつかの態様において、例示的な静電クランプ700、例示的な上部クランプ702、例示的なコア704、例示的な下部クランプ706、またはそれらの組み合わせは、陽極接合を用いずに形成できる。いくつかの態様において、例示的な上部クランプ702は、約0.5ミリメートルの第1厚さを有することができ、例示的なコア704は、約8.0ミリメートルの第2厚さを有することができ、例示的な下部クランプ706は、約0.5ミリメートルの第3厚さを有することができる。
【0099】
例示的な上部クランプ702は、層720(例えば、ガラス基板、ホウケイ酸ガラス基板、アルカリ土類ホウケイ酸アルミノケイ酸塩)と、層724(例えば、ガラス基板、ホウケイ酸ガラス基板、アルカリ土類ホウケイ酸ガラス基板、SiOの層)と、層720および層724の間に配置され、層720および層724の間において一以上の電極を形成する一以上の層722とを含むことができる。一以上の層722は、一以上の複合層といった任意の構造の組み合わせを含むことができ、一以上の複合層のそれぞれは、交互構成で配置される一以上の導電層および一以上の絶縁層を含む。
【0100】
いくつかの態様において、例示的な上部クランプ702の層724は、約100.0ミクロンの厚さまで薄くできる。いくつかの態様において、層724を約100.0ミクロ未満の厚さに薄くする場合、SiOの層(例えば、約5.0ミクロン)を蒸着(例えばPECVD)を通じて層724の表面上に堆積できる。いくつかの態様において、層724がガラス(例えば、ホウケイ酸ガラス)の層である場合、第1の複数のバール728は、層724をパターニングおよびエッチングして第1の複数のガラスバールを形成することによって形成できる。
【0101】
選択的に、例示的な上部クランプ702は、層724の表面上(層724の表面上に堆積されるSiO層の表面上を含むが、これに限定されない)に配置された層726(例えば、Cr、Al、Siまたは任意の他の適切な材料の層といった接着層)を含むことができる。層726は、第2層504または任意の他の適切な層もしくは材料を参照して説明した態様のいずれかを含むことができる。いくつかの態様において、層726は、最終ステップまたは最終に近いステップでパターニングされることができる。
【0102】
例示的な上部クランプ702は、層724の上に配置された第1の複数のバール728をさらに含むことができる。いくつかの態様において、第1の複数のバール728は、ガラス(例えば、SiO)、DLC、AlN、SiNまたはCrNからなる群から選択される少なくとも一つの材料で形成することができる。他の態様において、第1の複数のバール728は、層724をパターニングおよびエッチングすることによって形成することができる。いくつかの態様において、第1の複数のバール728は、複数のバール506、複数のバール606、または任意の他の適切なバールもしくは材料を参照して説明した態様のいずれかを含むことができる。
【0103】
選択的に、例示的な上部クランプ702は、第1の複数のバール728の上に配置される複数のバール頂部730をさらに含むことができる。いくつかの態様において、複数のバール頂部730は、CrNなどの任意の適切な材料で形成することができる。いくつかの態様において、複数のバール頂部730は、複数のバール頂部507または任意の他の適切なバール頂部もしくは材料を参照して説明された態様のいずれかを含むことができる。
【0104】
例示的なコア704は、層740と、層742と、熱的に調整される流体を運ぶように構成される複数の流体チャネル744とを含むことができる。層740および層742の一方または双方は、シリコン化炭化シリコン(SiSiC)(反応結合炭化シリコンとも呼ばれる)または高い剛性および熱伝導率を有する任意の他の適切な材料を含むことができる。
【0105】
いくつかの態様において、図7Aに示されるように、複数の流体チャネル744は、層740をパターニングおよびエッチングすることによって形成することができる。他の態様(図7Aに図示せず)において、複数の流体チャネル744は、層742または任意の他の適切な層もしくは材料をパターニングおよびエッチングすることによって形成することができる。
【0106】
例示的なコア704は、層748(例えば、PECVDまたは任意の他の適切な技術を通じて堆積されたSiC)をさらに含むことができ、選択的に、例示的な上部クランプ702とのオプティカル接合を強化するための層750(例えば、物理蒸着(PVD)、PECVD、または任意の他の適切な技術を通じて堆積されたSiO)をさらに含むことができる。いくつかの態様において、層748の表面は、適切な研磨技術を使用して研磨されることができ、その後、層750を層748の研磨された表面上に(例えば、PVDによって)堆積することができる。いくつかの態様において、層750の表面750aは、適切な研磨技術を使用して研磨されることができる。
【0107】
例示的なコア704は、層740の下方に配置される第2の複数のバール746をさらに含むことができる。いくつかの態様において、第2の複数のバール746は、層740をパターニングおよびエッチングすることによって形成することができる。いくつかの態様において、第2の複数のバール746は、複数のバール506、複数のバール606、第1の複数のバール728、または任意の他の適切なバールもしくは材料を参照して説明された態様のいずれかを含むことができる。いくつかの態様において、第1の複数のバール728は「短い」バールと呼ぶことができ、第2の複数のバール746は「長い」バールと呼ぶことができる。例示的な一例において、第1の複数のバール728の第1部分(第1サブセット)は、約10.0ミクロンの第1厚さを有することができ、第2の複数のバール746の第2部分(第2サブセット)は、約1,000ミクロンの第2厚さを有することができる。言い換えれば、第2の複数のバール746の厚さは、第1の複数のバール728の厚さよりも大きくすることができる。いくつかの態様において、第2の複数のバール728は、少なくとも約100個のバール、約200個のバール、または約300個のバールを含むことができる。
【0108】
例示的な下部クランプ706は、層760(例えば、ガラス基板、ホウケイ酸ガラス基板、アルカリ土類ホウケイ酸アルミノケイ酸塩)と、層764(例えば、ガラス基板、ホウケイ酸ガラス基板、アルカリ土類ホウケイ酸ガラス基板)と、層760および層764の間に配置され、層760および層764の間の一以上の電極を形成する一以上の層762とを含むことができる。一以上の層762は、一以上の複合層といった任意の構造の組み合わせを含むことができ、一以上の複合層のそれぞれは、交互構成で配置される一以上の導電層および一以上の絶縁層を含む。
【0109】
例示的な下部クランプ706は、層764内に複数の開口766をさらに画定することができる。複数の開口766は、例示的なコア704の第2の複数のバール746を受け入れるよう構成されることができる。いくつかの態様において、複数の開口766は、層764内にドリルで開けられた複数の孔であることができる。他の態様において、複数の開口766は、層764にパターニングおよびエッチングされた複数の開口部であることができる。
【0110】
いくつかの態様において、例示的な上部クランプ702、例示的なコア704、および例示的な下部クランプ706のそれぞれは、陽極接合を用いずに形成することができる。いくつかの態様において、例示的な静電クランプ700は、例示的な上部クランプ702を例示的なコア704に陽極接合を用いずに取り付け、その前に、同時に、またはその後に、例示的なコア704を例示的な下部クランプ706に陽極接合を用いずに取り付けることによって、陽極接合を用いずに形成することができる。
【0111】
いくつかの態様において、矢印792によって示されるように、例示的な上部クランプ702は、陽極接合を用いずに例示的なコア704に取り付けることができる。例えば、例示的な上部クランプ702の表面720aは、例示的なコア704の表面750aに着脱可能に取り付けられる(例えば、オプティカル接合される)ことができる。用語「着脱可能に取り付けられた」「着脱可能に取り付けられる」は、オプティカル接合、または、任意の他の適切な可逆的もしくは半可逆的な取り付け技術を指すことができる。いくつかの態様において、例示的なコア704の表面750aは、例示的な上部クランプ702の表面720aを例示的なコア704の表面750aにオプティカル接合する前に、研磨されることができる。
【0112】
いくつかの態様において、矢印794によって示されるように、例示的なコア704は、陽極接合を用いずに例示的な下部クランプ706に取り付けることができる。例えば、例示的なコア704の表面は、例示的な下部クランプ706の表面に定着的に取り付けることができる。用語「定着的に取り付けられた」および「定着的に取り付けられる」は、接着剤接合技術(例えば、二液型のエポキシ接着剤を用いるエポキシ接合)、接着技術、はんだ付け技術、または任意の他の適切な不可逆的な取り付け技術を指すことができる。いくつかの態様において、第2の複数のバール746のそれぞれは、例示的なコア704の表面を例示的な下部クランプ706の表面に接着剤で接合する前に、複数の開口部766のそれぞれの一つに挿入することができる。
【0113】
いくつかの態様において、矢印796によって示されるように、例示的な上部クランプ702は、例示的な静電クランプ700にクランプされる物体708(例えば、基板WまたはパターニングデバイスMA)を受けるように構成されることができる。例示的な上部クランプ702の第1の複数のバール728(いくつかの態様における複数のバール頂部730)は、クランプ動作中に物体708と接触するように構成されることができる。第1の複数のバール728、およびいくつかの場合における複数のバール頂部730は、物体708と例示的な上部クランプ702の間の汚染の少ない接触の提供に役立つことができる。
【0114】
図7Bは、本開示のいくつかの態様に係る、製造が完了した例示的な静電クランプ701の断面視を概略的に示す図である。いくつかの態様において、例示的な静電クランプ701は、例示的な静電クランプ700を参照して上述されたように陽極接合を用いずに製造することができる。
【0115】
静電クランプを製造するための例示的な方法
【0116】
図8は、本開示のいくつかの態様に係る装置を製造するための例示的な方法800またはその部分である。例示的な方法800を参照して説明される工程は、本書に説明される、上述の図1-7を参照して説明したものといった、任意のシステム、装置、構成要素、技術またはその組み合わせによって実行されることができる。
【0117】
工程802にて、この方法は、第1時間を含む第1期間中に上部クランプ(例えば、例示的な上部クランプ702)を形成することを含むことができる。上部クランプは、第1表面(例えば、表面720aといった層720の表面)と、第1表面とは反対側に配置される第2表面(例えば、層724または層726の表面)と、第1表面と第2表面の間に横方向に配置される第1セットの電極(例えば、一以上の層722に実装される一以上の電極)と、第1表面の上に配置される複数のバール(例えば、第1の複数のバール728)とを含むことができる。いくつかの態様において、上部クランプの形成は、陽極接合を用いずに上部クランプを形成することを含むことができる。いくつかの態様において、上部クランプの形成は、上部クランプの少なくとも一部をホウケイ酸ガラスで形成することを含むことができる。いくつかの態様において、上部クランプを形成することは、上部クランプを約0.5ミリメートルの厚さに形成することを含むことができる。いくつかの態様において、複数のバールの形成は、SiO、DLC、AlN、SiN、またはCrNからなる群から選択される少なくとも一つの材料で複数のバールを形成することを含むことができる。いくつかの態様において、上部クランプの形成は、図1-7を参照して説明された態様のいずれか、または態様の組み合わせにしたがって上部クランプを形成することを含むことができる。
【0118】
工程804にて、この方法は、第1時間と重なる第2時間を含む第2期間中にコア(例えば、例示的なコア704)を形成することを含むことができる。コアは、第3表面(例えば、層742、層748または層750の表面、表面750aなど)と、第3表面とは反対側に配置される第4表面(例えば、層740または第2の複数のバール746)と、第3表面と第4表面の間に配置され、熱的に調整される流体を運ぶように構成される複数の流体チャネル(例えば、複数の流体チャネル744)とを含む。いくつかの態様において、コアの形成は、陽極接合を用いずにコアを形成することを含むことができる。いくつかの態様において、コアの形成は、コアの少なくとも一部をSiSiCで形成することを含むことができる。いくつかの態様において、コアの形成は、コアを約8.0ミリメートルの厚さに形成することを含むことができる。いくつかの態様において、後続のオプティカル接合を強化するために、コアの形成は、コアの研磨された第3表面にコーティング (例えば、PVDによって堆積されるSiOの層) を付与することを含むことができる。いくつかの態様において、コアの形成は、第4表面の下に配置される複数のバール(例えば、第2の複数のバール746)を形成することを含むことができる。いくつかの態様において、工程802にて形成される複数のバールが第1の複数のバールであり、工程804にて形成される複数のバールが第2の複数のバールである場合、工程802での上部クランプの形成は、第1の複数のバールの第1部分(第1サブセット)を第1厚さ(例えば、約10.0ミクロン)に形成することを含むことができ、工程804でのコアの形成は、第2の複数のバールの第2部分(第2サブセット)を第1厚さよりも大きい第2厚さ(例えば、約1,000.0ミクロン)に形成することを含むことができる。いくつかの態様において、複数のバールの形成は、層740をパターニングおよびエッチングすることなどによって、層740から複数のバールを形成することを含むことができる。他の態様において、複数のバールの形成は、層740の表面上に配置される層(例えば、ガラス基板、ホウケイ酸ガラス基板、アルカリ土類アルミノケイ酸ホウ素基板、SiOの層)をパターニングおよびエッチングすることなどによって、層740の表面上に配置される層から複数のバールを形成することを含むことができる。いくつかの態様において、コアの形成は、図1-7を参照して説明された態様のいずれかまたは態様の組み合わせにしたがってコアを形成することを含むことができる。
【0119】
工程806にて、この方法は、第1時間および第2時間と重なる第3時間を含む第3期間中に下部クランプ(例えば、下部クランプ706)を形成することを含むことができる。下部クランプは、第5表面(例えば、層764の表面または複数の開口766)と、第5表面とは反対側に配置される第6表面(例えば、層760の表面)と、第5表面と第6表面の間に横方向に配置される第2セットの電極(例えば、一以上の層762に実装される一以上の電極)とを含むことができる。いくつかの態様において、下部クランプの形成は、陽極接合を用いずに下部クランプを形成することを含むことができる。いくつかの態様において、下部クランプの形成は、下部クランプの少なくとも一部をホウケイ酸ガラスで形成することを含むことができる。いくつかの態様において、下部クランプの形成は、下部クランプを約0.5ミリメートルの厚さに形成することを含むことができる。いくつかの態様において、下部クランプは、コア上に配置される第2の複数のバールが下部クランプを貫通するように配置される貫通孔(例えば、開口766)を含むことができる。いくつかの態様において、下部クランプの表面は、コア上に配置される第2の複数のバールの表面から約10ミクロンにあることができる。言い換えれば、第2の複数のバールの表面は、下部クランプの表面よりも10ミクロン高くすることができる。いくつかの態様において、下部クランプの形成は、図1-7を参照して説明された態様のいずれかまたは態様の組み合わせにしたがって下部クランプを形成することを含むことができる。
【0120】
工程808にて、この方法は、上部クランプの第2表面をコアの第3表面に陽極接合を用いずに取り付けることを含むことができる。いくつかの態様において、上部クランプの第2表面をコアの第3表面に取り付けることは、上部クランプの第2表面をコアの第3表面に着脱可能に取り付けることを含むことができる。いくつかの態様において、上部クランプの第2表面をコアの第3表面に着脱可能に取り付けることは、上部クランプの第2表面をコアの第3表面にオプティカル接合することを含むことができる。いくつかの態様において、この方法は、上部クランプの第2表面をコアの第3表面にオプティカル接合する前に、コアの第3表面を研磨することをさらに含むことができる。いくつかの態様において、上部クランプをコアに取り付けることは、図1-7を参照して説明された態様のいずれかまたは態様の組み合わせにしたがって上部クランプをコアに取り付けることを含むことができる。
【0121】
工程810にて、この方法は、コアの第4表面を下部クランプの第5表面に陽極接合を用いずに取り付けることを含むことができる。いくつかの態様において、コアの第4表面を下部クランプの第5表面に取り付けることは、コアの第4表面を下部クランプの第5表面に定着的に取り付けることを含むことができる。いくつかの態様において、コアの第4表面を下部クランプの第5表面に定着的に取り付けることは、コアの第4表面を下部クランプの第5表面に接着剤接合することを含むことができる。いくつかの態様において、コアの第4表面を下部クランプの第5表面に接着剤接合することは、二液型のエポキシ接着剤を使用してコアの第4表面を下部クランプの第5表面にエポキシ接着することを含むことができる。いくつかの態様において、コアの第4表面を下部クランプの第5表面に定着的に取り付けることは、コアの第4表面を下部クランプの第5表面に、はんだ付けすることを含むことができる。いくつかの態様において、下部クランプは、複数のバール(例えば、第2の複数のバール746)を受け入れるように構成される複数の開口(例えば、複数の開口766)を画定することができ、コアの第4表面を下部クランプの第5表面に取り付けることは、第2の複数のバールのそれぞれを複数の開口のそれぞれの一つに挿入することを含むことができる。いくつかの態様において、コアを下部クランプに取り付けることは、図1-7を参照して説明された態様のいずれかまたは態様の組み合わせにしたがってコアを下部クランプに取り付けることを含むことができる。
【0122】
いくつかの態様において、第2の複数のバールは、図7Bに示されるように、層760から突出することができる。突出する第2の複数のクランプは、可動ウェハステージに接触するために使用できる。第2の複数のバールの構造は、本書に記載されるように、トライボロジ特性を規定および維持するために使用できる。このようにして、下部クランプ706が付勢されると、クランプアセンブリの全体は、作動可能なウエハステージ上にクランプされ、特別に設計されたトライボロジ相互作用によってウエハステージと一体となって移動することができる。
【0123】
工程812にて、この方法は、静電クランプ(例えば、静電クランプ701)を形成することを含むことができる。いくつかの態様において、静電クランプの形成は、工程808および810の双方の完了に基づいて静電クランプを形成することを含むことができる。いくつかの態様において、静電クランプの形成は、図1-7を参照して説明された態様のいずれかまたは態様の組み合わせにしたがって静電クランプを形成することを含むことができる。
【0124】
実施の形態はさらに、以下の項を用いて記載されてもよい。
(項1)第1表面と、前記第1表面とは反対側に配置される第2表面と、前記第1表面と前記第2表面の間に横方向に配置される第1セットの電極と、前記第1表面の上に配置される複数のバールとを備える上部クランプを、第1時間を備える第1期間中に形成することと、
第3表面と、前記第3表面とは反対側に配置される第4表面と、前記第3表面と前記第4表面の間に配置され、熱的に調整される流体を運ぶよう構成される複数の流体チャネルとを備えるコアを、前記第1時間と重なる第2時間を備える第2期間中に形成することと、
第5表面と、前記第5表面とは反対側に配置される第6表面と、前記第5表面と前記第6表面の間に横方向に配置される第2セットの電極とを備える下部クランプを、前記第1時間および前記第2時間と重なる第3時間を備える第3期間中に形成することと、を備える、装置を製造する方法。
(項2)前記上部クランプを形成することは、陽極接合を用いずに前記上部クランプを形成することを備える、項1に記載の方法。
(項3)前記コアを形成することは、陽極接合を用いずに前記コアを形成することを備える、項1に記載の方法。
(項4)前記下部クランプを形成することは、陽極接合を用いずに前記下部クランプを形成することを備える、項1に記載の方法。
(項5)前記上部クランプを形成することは、前記上部クランプの少なくとも一部をホウケイ酸ガラスで形成することを備える、項1に記載の方法。
(項6)前記コアを形成することは、前記コアの少なくとも一部をシリコン化炭化シリコン(SiSiC)で形成することを備える、項1に記載の方法。
(項7)前記下部クランプを形成することは、前記下部クランプの少なくとも一部をホウケイ酸ガラスで形成することを備える、項1に記載の方法。
(項8)前記上部クランプを形成することは、前記上部クランプを約0.5ミリメートルの第1厚さに形成することを備え、
前記コアを形成することは、前記コアを約8.0ミリメートルの第2厚さに形成することを備え、
前記下部クランプを形成することは、前記下部クランプを約0.5ミリメートルの第3厚さに形成することを備える、項1に記載の方法。
(項9)前記複数のバールを形成することは、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化シリコン(SiN)、または窒化クロム(CrN)からなる群から選択される少なくとも一つの材料で前記複数のバールを形成することを備える、項1に記載の方法。
(項10)前記上部クランプの前記第2表面を前記コアの前記第3表面に陽極接合を用いずに取り付けることをさらに備える、項1に記載の方法。
(項11)前記上部クランプの前記第2表面を前記コアの前記第3表面に取り付けることは、前記上部クランプの前記第2表面を前記コアの前記第3表面に着脱可能に取り付けることを備える、項10に記載の方法。
(項12)前記上部クランプの前記第2表面を前記コアの前記第3表面に着脱可能に取り付けることは、前記上部クランプの前記第2表面を前記コアの前記第3表面にオプティカル接合することを備える、項11に記載の方法。
(項13)前記上部クランプの前記第2表面を前記コアの前記第3表面にオプティカル接合する前に、前記コアの前記第3表面を研磨することをさらに備える、項12に記載の方法。
(項14)前記複数のバールは、第1の複数のバールであり、
前記コアを形成することは、前記第4表面の下に第2の複数のバールを形成することを備え、
前記上部クランプを形成することは、前記第1の複数のバールの第1部分を第1厚さに形成することを備え、
前記コアを形成することは、前記第2の複数のバールの第2部分を前記第1厚さより大きい第2厚さに形成することを備える、項1に記載の方法。
(項15)前記コアの前記第4表面を前記下部クランプの前記第5表面に陽極接合を用いずに取り付けることをさらに備え、
前記下部クランプは、前記第2の複数のバールを受け入れるよう構成される複数の開口を画定し、
前記コアの前記第4表面を前記下部クランプの前記第5表面に取り付けることは、前記第2の複数のバールのそれぞれを前記複数の開口のそれぞれの一つに挿入することを備える、項14に記載の方法。
(項16)前記コアの前記第4表面を前記下部クランプの前記第5表面に取り付けることは、前記コアの前記第4表面を前記下部クランプの前記第5表面に定着的に取り付けることを備える、項1に記載の方法。
(項17)前記コアの前記第4表面を前記下部クランプの前記第5表面に定着的に取り付けることは、前記コアの前記第4表面を前記下部クランプの前記第5表面に接着剤接合することを備える、項16に記載の方法。
(項18)前記コアの前記第4表面を前記下部クランプの前記第5表面に接着剤接合することは、二液型エポキシ接着剤を用いて、前記コアの前記第4表面を前記下部クランプの前記第5表面にエポキシ接合することを備える、項17に記載の方法。
(項19)第1表面を備える上部クランプを、第1時間を備える第1期間中に形成することと、
第2表面と、前記第2表面とは反対側に配置される第3表面とを備えるコアを、前記第1時間と重なる第2時間を備える第2期間中に形成することと、
第4表面を備える下部クランプを、前記第1時間および前記第2時間と重なる第3時間を備える第3期間中に形成することと、
前記上部クランプの前記第1表面を前記コアの前記第2表面に陽極接合を用いずに取り付けることと、
前記コアの前記第3表面を前記下部クランプの前記第4表面に陽極接合を用いずに取り付けることと、を備える、装置を製造する方法。
(項20)第1セットの電極および複数のバールを備える上部クランプと、
熱的に調整される流体を運ぶように構成される複数の流体チャネルを備えるコアと、
第2セットの電極を備える下部クランプと、を備え、
前記上部クランプは、陽極接合を含まず、
前記コアは、陽極接合を含まず、
前記下部クランプは、陽極接合を含まない、装置。
【0125】
むすび
【0126】
この文章では、ICの製造におけるリソグラフィ装置の使用について特定の言及がなされるかもしれないが、本書に記載されたリソグラフィ装置は、他の用途を有することができると理解されたい。他の用途は、集積光学システム、磁気ドメインメモリ用案内パターンおよび検出パターン、フラットパネルディスプレイ、LCD、薄膜磁気ヘッドなどである。当業者であれば、そのような代替的な用途の文脈において、本書における「ウェハ」、または「ダイ」の用語のいかなる使用も、より一般的な「基板」または「ターゲット部分」の用語とそれぞれ同義とみなすことができることが理解されよう。本書で言及される基板は、露光前または露光後において、例えばトラックユニット(典型的には、基板にレジスト層を塗布し、露光されたレジストを現像するツール)、計測ユニットおよび/または検査ユニットにおいて処理されることができる。適用可能な場合、本書の開示は、そのような基板処理ツールおよび他の基板処理ツールに適用することができる。さらに、基板は、例えば多層ICを作成するために複数回処理することができ、本書で使用する基板の用語は、複数の処理された層を既に含む基板を指してもよい。
【0127】
本書での語句および用語は、本明細書の語句および用語が本書における教示を考慮して当業者によって解釈されるように、限定ではなく説明を目的とするものであることが理解されよう。
【0128】
本書で使用される「基板」の用語は、その上に材料層が追加される材料を説明するものである。いくつかの態様において、基板自体は、パターニングされることができ、その上に追加される材料もパターニングされることができ、またはパターニングされずに残ることができる。
【0129】
本書に開示された例は、本開示の実施形態を例示するものであって、限定するものではない。当該分野で通常遭遇する、関連技術の当業者にとって自明である様々な条件およびパラメータの他の適切な修正および適合は、本開示の精神および余地の範囲内である。
【0130】
この文章では、ICの製造における装置および/またはシステムの使用について特定の言及がなされるかもしれないが、このような装置および/システムは、多くの他の取り得る用途を有することが明確に理解されるべきである。例えば、集積光学システム、磁気ドメインメモリ用案内パターンおよび検出パターン、LCDパネル、薄膜磁気ヘッドなどの製造に採用することができる。そのような代替的な用途の文脈において、この文章における「レチクル」、「ウェハ」、または「ダイ」の用語のいかなる使用も、より一般的な用語である「マスク」、「基板」および「ターゲット部分」のそれぞれに置き換えられるとみなすべきであることが理解されよう。
【0131】
本開示の特定の態様を上述してきたが、その態様は、説明された以外の方法で実施できることが理解されよう。説明は、本開示の実施形態を限定することを意図していない。
【0132】
背景、概要および要約の項目ではなく、詳細な説明の項目が請求項の解釈に使用されることが意図されていることを理解されたい。概要および要約の項目は、発明者によって企図された一以上の例示的な実施形態を規定しうるが、全ての例示的な実施形態を規定するものではなく、したがって、本実施形態および添付の請求項をいかなる方法でも制限することを意図していない。
【0133】
本開示のいくつかの態様は、特定された機能およびその関係の実装を例示する機能ブロックの助けを借りて上述された。これら機能ブロックの境界は、本書において、説明の便宜のために恣意的に定義されている。特定された機能およびその関係が適切に実行される限り、代替的な境界を定義することができる。
【0134】
本開示の特定の態様の前述の説明は、他人が、当業者の範囲内の知識を適用することによって、過度の実験をすることなく、本開示の一般概念から離れることなく、そのような特定の態様を様々な用途のために容易に修正および/または適合することができるように、その態様の一般的な性質を十分に明らかにするものである。したがって、そのような適合および修正は、本書に提示された教示および示唆に基づけば、開示された態様の意味および等価物の範囲内にあることが意図される。
【0135】
本開示の幅および範囲は、上述した例示的な態様または実施形態のいずれによっても限定されるべきではなく、以下の請求項およびその等価物にしたがってのみ定義されるべきである。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8