(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-07
(45)【発行日】2025-01-16
(54)【発明の名称】クライオポンプ及びクライオポンプのための入口流量制限器
(51)【国際特許分類】
F04B 37/08 20060101AFI20250108BHJP
【FI】
F04B37/08
(21)【出願番号】P 2023524912
(86)(22)【出願日】2021-10-26
(86)【国際出願番号】 IB2021059877
(87)【国際公開番号】W WO2022090923
(87)【国際公開日】2022-05-05
【審査請求日】2023-04-24
(32)【優先日】2020-11-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】517316096
【氏名又は名称】エドワーズ バキューム リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100196221
【氏名又は名称】上潟口 雅裕
(72)【発明者】
【氏名】カセロ ジョン
【審査官】丹治 和幸
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第03390536(US,A)
【文献】国際公開第2004/092585(WO,A1)
【文献】特開2017-015098(JP,A)
【文献】特開2017-020446(JP,A)
【文献】特開2004-239239(JP,A)
【文献】米国特許第03103108(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 25/00-37/20、
41/00-41/06
F04D 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
クライオポンプに流入するガスの流量を制限するための流量制限器であって、前記流量制限器は、前記クライオポンプの入口に取り付けられるように構成され、前記流量制限器は、
前記クライオポンプにガス流路を提供するための
オリフィスを備える入口構成要素と、
前記入口構成要素を通る前記ガス流路
を遮蔽するように取り付けられた遮蔽プレートと、
前記遮蔽プレートを前記入口構成要素に結合する中間構成要素であって、前記中間構成要素は、
複数の開口を備え、前記
複数の開口は、前記クライオポンプへ
のガス流路を定める中間構成要素と、
を備え、
前記入口構成要素は、前記中間構成要素により、前記遮蔽プレートと平行であり前記遮蔽プレートからオフセットされた平面上にあり、前記クライオポンプの入口に取り付けられたときに、前記入口構成要素は、前記クライオポンプのポンプチャンバと前記遮蔽プレートとの間にあるようになっており、
前記遮蔽プレートは、前記入口構成要素
の前記オリフィスを通る前記ガス流路を遮蔽するように構成されており、前記クライオポンプに取り付けられたときに、前記クライオポンプの中のクライオパネルへの前記入口構成要素
の前記オリフィスを通る直接的な見通し線経路がないようになって
おり、前記入口構成要素の外周は、前記遮蔽プレートの外周を越えて延び、前記遮蔽プレートの外周は、前記入口構成要素の前記オリフィスの周囲を越えて延びる、流量制限器。
【請求項2】
前記入口構成要素は、オリフィスを定める環状形態を有し、前記オリフィスは前記ガス流路を定める、請求項1に記載の流量制限器。
【請求項3】
前記
複数の開口を含む前記中間構成要素の表面は、前記遮蔽プレートに対して120°と60°との間の角度にある、請求項1
又は2に記載の流量制限器。
【請求項4】
前記
複数の開口を含む前記中間構成要素の前記表面は、前記遮蔽プレートに対して実質的に垂直である、請求項
3に記載の流量制限器。
【請求項5】
前記中間構成要素は、円筒を含む、請求項1から
4のいずれか一項に記載の流量制限器。
【請求項6】
前記遮蔽プレート及び前記
入口構成要素は、実質的に円形の外周を有する、請求項1から
5のいずれか一項に記載の流量制限器。
【請求項7】
前記中間構成要素の前記
複数の開口は、前記クライオポンプへの流れを所定の流量に制限するように構成されている、請求項1から
6のいずれか一項に記載の流量制限器。
【請求項8】
ポンプ入口と
冷凍ユニットと、
前記冷凍ユニットによって冷却されるように構成されたクライオパネルと、
請求項1から
7のいずれか一項に記載の流量制限器と、
を備えるクライオポンプであって、
前記流量制限器は、前記クライオポンプの入口に取り付けられ、前記流量制限器は、前記入口へのガスの流れを制限するようになっている、クライオポンプ。
【請求項9】
クライオポンプを改善する方法であって、
前記クライオポンプへの流れを制限するために前記クライオポンプの入口を横切って取り付けられたスロットルプレートを取り外すステップと、
前記スロットルプレートを、請求項1から
7のいずれか一項に記載の流量制限器に置き換えるステップと、
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野は、クライオポンプ及びクライオポンプのための入口流量制限器に関する。
【背景技術】
【0002】
流量制限器又はスロットルプレートは、例えばPVD物理蒸着プロセスにおいて、ポンプのポンピング速度を制限してプロセスチャンバ内の所望の圧力を維持するために、クライオポンプへのガスの流れを制限するために使用することができる。これらの流量制限器プレートは、従来、II型ガス及びIII型ガスがポンプに入る様々な幾何学的形状の複数のオリフィスを備え、そのサイズ及び数で流量又は速度を制御していた。穴又はオリフィスを有するプレートの潜在的な問題は、粘性流又は連続流の間に、オリフィスがポンプ内の第2ステージクライオパネルの見通し線を持ち、これは輻射熱負荷を増加させ、これらの部位で優先的ガスポンピングを引き起こす可能性があることである。優先的ガスポンピングは、詳細には大きなガス流量の間に、第2ステージクライオパネルからプレート開口に向かって「霜」として凝縮されたガス分子の柱が成長するようにさせる可能性がある。柱がクライオパネルから遠くなるとこれは暖かくなり、輻射負荷が増加し、ガス放出が発生し、チャンバ内の圧力が上昇する可能性がある。輻射負荷及び/又は暖かい気柱(gas column)に起因する第2ステージの高い温度により、II型ガスの蒸気圧が上昇し、ポンプ/チャンバ内の圧力もそれにつれて高くなる。II型ガスは、クライオポンプの第2ステージクライオパネルの温度で凝縮する窒素などのガスであり、III型ガスはこの温度では凝縮せず、一般にクライオパネル上の吸着剤で捕捉される。
【0003】
図1は、先行技術によるスロットル又は流量制限器プレート5を有するクライオポンプの一例を示す。流量制限器プレート5は、ポンプの入口を横切って位置し、ガスがポンプに流入する複数のオリフィス7を備える。オリフィスのサイズは、ポンプの所望のポンピング速度に合わせて選択される。ポンプはクライオポンプであり、真空容器9の外側ハウジングから隔離されているポンプの内側ハウジングに結合された第1の冷凍機ヒートステーション10を有する冷凍機ユニット15を含む。また、ポンプは、第2ステージクライオパネル12及び他の吸着剤クライオパネル13に結合する第2ステージヒートステーション11を有する。上部のクライオパネル12は、クライオパネルの上面上に霜の蓄積体14を生じ、特定の蓄積体は、オリフィス7に対応する位置に尖塔を形成することなる。霜の不均一な蓄積及び輻射熱負荷による潜在的な問題は、チャンバ内の圧力回復に時間がかかり、早期の再生が必要になる可能性があることである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
各再生の間の時間が長く、チャンバ内の圧力回復時間が短いクライオポンプを提供することが望まれることになる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の態様は、クライオポンプに流入するガスの流量を制限するための流量制限器を提供し、流量制限器は、クライオポンプの入口に取り付けられるように構成され、流量制限器は、クライオポンプにガス流路を提供するための入口構成要素と;入口構成要素を通るガス流路を少なくとも部分的に遮蔽するように取り付けられた遮蔽プレートと;遮蔽プレートを入口構成要素に結合する中間構成要素であって、中間構成要素は、少なくとも1つの開口を備え、少なくとも1つの開口は、クライオポンプへの少なくとも1つのガス流路を定める中間構成要素と;を備え、遮蔽プレートは、入口構成要素を通るガス流路を遮蔽するように構成されており、クライオポンプに取り付けられたときに、クライオポンプの中のクライオパネルへの入口構成要素を通る直接的な見通し線経路がないようになっている。
【0006】
いくつかの実施形態では、入口構成要素は、遮蔽プレートと平行であり遮蔽プレートからオフセットされた平面上にあり、クライオポンプに取り付けられたときに、入口構成要素は、クライオポンプのポンプチャンバと遮蔽プレートとの間にあるようになっている。
【0007】
本発明者は、クライオポンプの入口に取り付けられた従来の流量制限器プレートに関連する問題を認識し、遮蔽プレートから軸方向に変位する入口構成要素を有する2ステージ流量制限器を提供することによってこれらの問題に対処した。遮蔽プレートは、入口からポンプに入るガスから入口構成要素を遮蔽し、遮蔽プレートの周りのガスを、中間構成要素を介して入口構成要素を通るガス流路に押し込む。従って、クライオポンプに入るガスは、遮蔽構成要素を迂回し、中間構成要素の少なくとも1つの開口を通って、入口構成要素を通る流路に入る。このようにして、入口の直接的な見通し線は、遮蔽構成要素によってクライオパネルから遮蔽され、クライオパネルを直視するオリフィスによって提供される優先的ポンピング経路が回避される。
【0008】
いくつかの実施形態では、入口構成要素は、オリフィスを定める環状形態を有し、オリフィスは、ガス流路を定める。単一のオリフィスを形成する入口構成要素の環状形態は、入口の断面積にわたってより均一な流れを提供し、特定の部位でサイパネル上に霜が優先的に蓄積されるのを阻止するのを助ける。
【0009】
いくつかの実施形態において、中間構成要素は、複数の開口を備える。
【0010】
中間構成要素は、遮蔽プレートと入口構成要素とを結ぶ表面の周りに延在する単一の開口を備えること、又は複数の開口を備えることができる。開口のサイズ及び/又は開口の数は、クライオポンプの要件に応じて、流量を所望の量に制限するように選択することができる。複数の開口がある場合、開口のサイズ及び数の両方を選択することで、流量を正確に制御することができる。
【0011】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの開口を含む中間構成要素の表面は、遮蔽プレートに対して120°と60°との間の角度にある。
【0012】
中間構成要素は、開口がクライオパネルを直視しないように、遮蔽プレート及び入口構成要素に対して角度が付けられる場合が有利である。この点で、遮蔽プレートの平面に対して60°と120°との間の角度である場合が有利であり、いくつかの実施形態では、遮蔽プレートに対して実質的に垂直である場合が有利である。
【0013】
いくつかの実施形態では、中間構成要素は、円筒を含む。
【0014】
いくつかの実施形態では、入口構成要素の外周は、遮蔽プレートの外周を越えて延びる。
【0015】
遮蔽プレート及び入口構成要素の有利な幾何学的形状は、遮蔽プレートが入口構成要素の外周ほどには延びないが、入口構成要素のオリフィスの外周よりもさらに延びる形状とすることができる。このようにして、オリフィスは遮蔽プレートによって直接遮蔽されるが、ガスが遮蔽プレートの縁部を回って中間構成要素を通ってポンプ内に入る経路が提供される。
【0016】
遮蔽プレート及び入口構成要素の幾何学的形状は、矩形、正方形又は楕円形などの多数の形態を有することができるが、いくつかの実施形態では、遮蔽プレート及び内部構成要素は、実質的に円形の外周を有する。
【0017】
クライオポンプのための円形断面は、一般に、より均一な流れのために有利である。
【0018】
いくつかの実施形態では、中間構成要素の少なくとも1つの開口は、クライオポンプへの流れを所定の流量に制限するように構成されている。
【0019】
中間構成要素の開口(複数可)のサイズ及び/又は数は、クライオポンプによって排気されるチャンバ内で実行されるプロセスの所望の流量に応じて選択することができる。
【0020】
第2の態様は、ポンプ入口と、冷凍ユニットと、冷凍ユニットによって冷却されるように構成されたクライオパネルと、第1の態様による流量制限器とを備えるクライオポンプを提供し、流量制限器は、クライオポンプの入口に取り付けられ、流量制限器は、入口へのガスの流れを制限するようになっている。
【0021】
第3の態様は、クライオポンプを改善する方法を提供し、本方法は、クライオポンプへの流れを制限するためにクライオポンプの入口を横切って取り付けられたスロットルプレートを取り外すステップと、スロットルプレートを、第1の態様による流量制限器に置き換えるステップとを含む。
【0022】
さらなる特定の及び好ましい態様は、独立請求項及び従属請求項に記載されている。従属請求項の特徴は、適宜、独立請求項の特徴と組み合わせること、又は、請求項に明示的に規定されている以外の組み合わせで組み合わせることができる。
【0023】
装置の特徴が、ある機能を提供するために動作可能であると説明される場合、これは、その機能を提供する、又はその機能を提供するように適合又は構成される装置の特徴を含むことを理解されたい。
【0024】
本発明の実施形態は、以下に、添付の図面を参照してさらに説明される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】先行技術によるクライオポンプ及び流量制限器プレートを示す。
【
図3】遮蔽プレートを取り外した状態の流量制限器の上面図を示す。
【
図4】一実施形態による流量制限器の上面図及び流量制限器を備えるクライオポンプを示す。
【
図5】一実施形態によるポンプの内部から流量制限器の入口に向かう図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
実施形態を詳細に説明する前に、まず、概要について説明する。
【0027】
実施形態は、II型ガス又は輻射物(radiation)の優先的ポンピングが第2ステージの霜又はクライオパネルに悪影響を及ぼすことを抑制するように配置された間接的なオリフィス/開口スキームを利用するスロットルプレート、スパッタプレート又は流量制限器を提供する。このアイデアは、第2ステージクライオパネル上にモノリシックなII型ガス貯蔵を可能にし、貯蔵できるII型ガスの量が増える。この点で、ガスが均一にポンプ送給される場合、より多くのガスを貯蔵することができるが、ある領域が他の領域よりも早く凝縮ガスを蓄積する場合、ポンプ内のガス分圧は上昇することになる。
【0028】
実施形態の流量制限器は、オリフィス(1又は複数の開口を備える)として機能し、II型ガス及びIII型ガスが、オリフィスのサイズ及び数によって制御される速度又は割合でポンプに入るのを可能にする。これらは、オリフィスがポンプ入口に対して所定の角度となるように配置され、クライオパネルへの直接的な見通し線は提供されない。
【0029】
クライオポンプは、流量制限器が45Kから110Kの温度で動作するように構成されており、すなわち、これは2ステージ冷凍装置の第1ステージに結合されている。実施形態では、流量制限器は、第1ステージヒートステーションによって冷却されるポンピングチャンバの内壁に取り付けられている。第2ステージクライオパネルは、8Kから16Kの間で動作し、III型ガスポンピングのためのチャコール又は同様の吸着剤を有することができる。第2ステージクライオパネルは、III型ガスの吸着剤からII型ガスを遮蔽するように構成することができるが、そのように構成されなくてもよい。この点に関して、
図4の実施形態のパネル13は、上側クライオパネル12によって遮蔽されるチャコールで覆われたクライオパネルを備えることができる。
【0030】
流量制限器は、(PVD)プロセスガス流量を一致させ、真空チャンバ内で予測される圧力を達成するように、II型ガス及びIII型ガスのためのポンプの速度を調整する。開口又はオリフィスの数量は、ポンプが予測可能で一貫したポンピング速度を提供するように慎重に設計する必要がある。流量制限器をポンプ入口に使用すると、流量制限器の開口の下でより高い真空が達成され、チャンバ側ではより低い真空が達成される。
【0031】
流量制限器又はスロットルプレートポンプは、物理的気相成長法PVDプロセスのような、粘性流又は連続流領域で主に使用される。流量制限器への粘性流では、ポンプの第2ステージクライオパネルを見通す又は直視することができる何らかの開口/オリフィスは、優先的ガスポンピングを引き起こす可能性がある。輻射熱負荷は極低温真空ポンプに常に存在するが、適切な遮蔽により第2ステージへの影響を軽減することができる。大部分のクライオポンプの第1ステージは、冷凍能力がはるかに高いため、流量制限器で熱負荷を遮断することは有利である。大部分のクライオポンプの第2ステージは、冷凍能力が低いため、高熱負荷及び不均一なガス負荷から保護する必要がある。入口開口/オリフィスからの優先的ガスポンピングが許容される場合、見通し経路は「尖塔」を成長させ、これらは経時的にポンプの性能を妨げる。従って、ガスの粘性流が流量制限器を通って第2ステージに一直線に入るのを抑制することは、ポンプ性能の向上に有利である。
【0032】
これに関連して、クライオポンプは「捕捉」ポンプであり、その表面にクライオポンプで送給された(その蒸気圧未満で)ガスは、クライオパネルが「再生」されて又は温められてリリーフバルブ/ラフバルブに放出されるまで捕捉されたままとなる。全てのクライオポンプは、ポンプの圧力低下によって目的のプロセスで使用できなくなる前にポンプ送給することができるガス量が限られている。特定のプロセスにおいてII型ガスの流量が非常に大きい場合、ポンプはこれらのガスを第2ステージプレート上に霜として貯蔵し、霜が流量制限器に達する場合又は凝縮したガス(霜)が高温になり過ぎると、ポンプは目的通りに動作しないことになる。各再生の間の時間は、主にポンプのII型ガスに関する最大貯蔵容量及びガス流量によって制御される。捕捉が増えると再生頻度が低下するので、ポンプユーザにとって捕捉は非常に重要である。より均一な捕捉を行うことで、凝縮したガスの影響が再生を必要とする程度までポンプの性能を阻害する前に捕捉できるガス量が増える。
【0033】
実施形態の流量制限器又はスロットルプレートは、円形とすることができるが任意の形状とすることができる上部又は遮蔽プレートを有する。遮蔽プレートは、入口プレートよりも小さくすることができ、2つのプレートの間には「スペーサ」又は中間構成要素が存在し、これはII型ガスがクライオポンプに入るのを可能にするのに十分な大きさで2つのプレートを分離する。「スペーサ」を通る流路は、ポンプ入口に対して実質的に90°とすることができる。「スペーサ」又は中間要素は、遮蔽プレート及び入口プレートを分離し、遮蔽プレートを迂回したガスが2つのプレートの間を流れ、入口プレートの外縁を横切って入口プレートの開口からポンプに入るための経路を提供する。開口は円形とすることができるが、任意の形状とすることができる。上部又は遮蔽プレートは、クライオポンプに入る輻射物及び不要ガスをさらに遮断するために「スペーサ」に覆いかぶさることができる。
【0034】
このように構成された流量制限器は、輻射熱負荷を低減することを可能にし、見通し線又は優先的ガスポンピングの欠点なしで、モノリシックな霜ポンピングを提供する。このように第2ステージクライオパネルへの不均一なガス負荷及び輻射を低減することで、第2ステージクライオパネルをより低温に保ち、ガス捕捉能力を向上させることができる。
【0035】
この流量制限器は、ガスが中間スペーサの任意の形状とすることができる開口/オリフィスを通って送られるように設計されている。この配置により、ランダムなガスポンピングが可能になり、第2ステージクライオパネルの全表面積にわたって実質的に均一にモノリシックな霜蓄積を提供することができる。このようなモノリシックなガスポンピングは、第2ステージクライオパネルの霜が、より高温の第1ステージ輻射シールド又は流量制限器に接触することを抑制するのに好都合である。
【0036】
遮蔽プレートは、II型ガスの霜ポンピング及び輻射低減を最大化又は少なくとも増加させ、各再生の間の時間を長くために重要である。
【0037】
図2は、一実施形態による流量制限器40を示す。流量制限器40は、この実施形態では円形断面を有し、長手方向表面の周りに開口3Aを有する円筒状の中間構成要素3上に下面1Aを介して取り付けられた遮蔽プレート1を備える。中間構成要素3は、クライオポンプの内壁に流量制限器40を取り付けるための突起4を備える入口構成要素2上に取り付けられている。
【0038】
流量制限器40は、クライオポンプの入口に取り付けられ、ポンプへの流れを制限する。遮蔽プレート1は、クライオポンプ内のクライオパネルをポンプへの入口の見通し線から遮蔽するが、開口3Aは、ガスが入口構成要素2の中央のオリフィスを通ってポンプに流入する経路を提供する。これは、構成要素2のオリフィスによって提供されるガス流路の断面にわたって、実質的に均一な流れを提供する。開口3Aのサイズ及び数は、ポンプ内へのガスの流れを、所望の速度でポンプ内の圧力を維持するために必要とされ得る速度に制限するように選択することができる。
【0039】
図3は、遮蔽プレート1が取り外された状態で流量制限器の上部からポンプ内を見た図を示す。これは、ポンプへのガス流路を提供するオリフィス2Aを有する入口構成要素2を示す。中間スペーサ構成要素3の上面が示されている。
【0040】
図4は、流量制限器が取り付けられた実施形態によるクライオポンプを示す。また、流量制限器は、遮蔽プレート1が所定位置にある側面図として及び上方から示されている。
【0041】
クライオポンプは、流量制限器40が取り付けられたハウジングを冷却するために使用される第1ステージの冷凍機ヒートステーション10と、上側クライオパネル12及び他のクライオパネル13を冷却するために使用される第2ステージの冷凍機ヒートステーション11とを冷却する冷凍機ユニット15を有する。これらの下側クライオパネルには、III型ガスを吸着するための吸着剤をコーティングすることができる。上側パネル12は、上側パネル12上に凝縮するII型ガスから下側パネル13を遮蔽する。
【0042】
この図は、クライオパネル12上に捕捉されたガス分子から形成される霜14の形態での凝縮したII型ガスの蓄積を示す。この図は、所定位置の流量制限器により、霜が均一に蓄積され、霜が流量制限器に到達する前に、より多くのガスが捕捉されることを示す。より均一なガスの流れ、対応する均一な捕捉及び霜の蓄積をもたらすことは、各再生の間の時間を延ばし、いくつかの実施形態では、最大50%延ばすことができる。
【0043】
図5は、流量制限器の下からの図を示し、クライオポンプの内側ハウジングに流量制限器を取り付けるために使用される極低温ボス又は脚部4を示す。また、
図5は、入口構成要素2のオリフィス2Aを通して見た遮蔽プレートを示す。図示のように、遮蔽プレート1は、ポンプの内部と外部との間の直接的な見通し線経路からオリフィス2Aを完全に遮蔽する。
【0044】
実施形態の流量制限器40は、クライオポンプの入口の中に、いくつかの実施形態ではポンプハウジングの内壁に取り付けられるようになっている。実施形態では、クライオポンプは、何らかの既存のスロットルプレートを取り外し、実施形態の流量制限器40を入口に置くことによって改善することができ、ポンプへのガス流は、遮蔽プレートを迂回して中間構成要素を通って入口構成要素のオリフィスに入り、それによってポンプ入口の断面を横切る均一なガス流を提供するようになっている。
【0045】
本発明の例示的な実施形態は、添付の図面を参照して本明細書に詳細に開示されているが、本発明は、正確な実施形態に限定されず、添付の請求項及びその均等物によって定義される本発明の範囲から逸脱することなく、当業者によって様々な変更例及び修正例が結果として得られることを理解されたい。
【符号の説明】
【0046】
1 遮蔽プレート
1A 遮蔽プレートの下面
2 入口構成要素
2A オリフィス
3 中間構成要素
3A 中間構成要素の開口
4 極低温ボス
5 流量制限器プレート
9 真空容器
10 第1ステージヒートステーション
11 第2ステージヒートステーション
12 クライオパネル
13 吸着剤を有するクライオパネル
14 霜
14a 霜尖塔
15 冷凍機
40 流量制限器