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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-08
(45)【発行日】2025-01-17
(54)【発明の名称】現像装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/08 20060101AFI20250109BHJP
【FI】
G03G15/08 390B
G03G15/08 390A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021093424
(22)【出願日】2021-06-03
(65)【公開番号】P2022185662
(43)【公開日】2022-12-15
【審査請求日】2024-02-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100098626
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 壽
(72)【発明者】
【氏名】久保田 智広
(72)【発明者】
【氏名】菅沼 卓也
(72)【発明者】
【氏名】薮田 裕太
(72)【発明者】
【氏名】藤原 香弘
【審査官】佐藤 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-123052(JP,A)
【文献】特開2018-049118(JP,A)
【文献】特開2017-003682(JP,A)
【文献】特開2001-183903(JP,A)
【文献】特開2004-093824(JP,A)
【文献】特開2006-284728(JP,A)
【文献】特開平10-207229(JP,A)
【文献】特開昭62-280880(JP,A)
【文献】特開昭63-108369(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像剤担持体と、
前記現像剤担持体の表面を露出させる開口を備えた現像ケースと、を備えた現像装置において、
前記現像剤担持体に担持されて前記開口を通過し前記現像ケース内に進入してきた現像剤に接触する可撓性のシート部材を備え、
前記シート部材の一端は、前記現像ケースに固定され、
前記シート部材の他端は、前記一端よりも現像動作時の現像剤移動方向下流側に位置し、固定されておらず、
前記シート部材は、前記一端と前記他端との間に前記現像ケースに接触するケース接触部を有し、前記一端と前記ケース接触部との間に、前記現像剤担持体上の現像剤に接触する部分を有し、
前記シート部材の前記他端を、前記現像剤担持体の表面に対して覆い、前記他端と前記現像ケースとの間へ向かう現像剤をブロックする現像剤ブロック手段を設けたことを特徴とする現像装置。
【請求項2】
請求項1に記載の現像装置において、
前記シート部材の前記他端は、前記ケース接触部よりも前記現像剤担持体上の現像剤から離れた位置に位置することを特徴とする現像装置。
【請求項3】
求項1または2に記載の現像装置において、
所定のタイミングで、現像動作時の表面移動方向とは逆方向に前記現像剤担持体を規定量表面移動させる逆転動作を行うことを特徴とする現像装置。
【請求項4】
潜像担持体と、
前記潜像担持体の潜像を、現像剤を用いて現像する現像装置と、を備えた画像形成装置において、
前記現像装置として、請求項1乃至3いずれか一項に記載の現像装置を用いたことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像装置及び画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、現像剤担持体と、現像剤担持体の表面を露出させる開口を備えた現像ケースと、を備えた現像装置が知られている。
【0003】
特許文献1には、上記現像装置として、現像剤担持体に担持されて開口を通過し現像ケース内に進入してきた現像剤に接触する現像ケース部分を設け、現像剤の搬送に伴って現像剤担持体の回りの空気も現像ケース内吸引するものが記載されている。これによれば現像領域からのトナー飛散を抑制できるとされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
トナー飛散抑制のさらなる改善が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するために、本発明は、現像剤担持体と、前記現像剤担持体の表面を露出させる開口を備えた現像ケースと、を備えた現像装置において、前記現像剤担持体に担持されて前記開口を通過し前記現像ケース内に進入してきた現像剤に接触する可撓性のシート部材を備え、前記シート部材の一端は、前記現像ケースに固定され、前記シート部材の他端は、前記一端よりも現像動作時の現像剤移動方向下流側に位置し、固定されておらず、前記シート部材は、前記一端と前記他端との間に前記現像ケースに接触するケース接触部を有し、前記一端と前記ケース接触部との間に、前記現像剤担持体上の現像剤に接触する部分を有し、前記シート部材の前記他端を、前記現像剤担持体の表面に対して覆い、前記他端と前記現像ケースとの間へ向かう現像剤をブロックする現像剤ブロック手段を設けたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、良好にトナー飛散を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】複写機の概略構成図。
図2】本発明を適用可能な現像装置の説明図。
図3】従来構成の現像装置の説明図。
図4】本実施形態の現像装置構成の特徴部を説明する図。
図5】可撓性シートの下流側端部を保持する保持部を設けた現像装置の要部拡大図。
図6】現像ローラカバーの変形例を示す図。
図7】保持部の変形例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を適用可能な画像形成装置としてのタンデム型カラー複写機(以下、複写機500という)の実施形態について説明する。
図1は、複写機500の概略構成図である。複写機500は、画像形成装置の本体部としてのプリンタ部100の上方に、原稿読込部4及び原稿搬送部3を備え、プリンタ部100の下方に給紙部7を備える。原稿搬送部3は、原稿読込部4に原稿を搬送し、原稿読込部4は搬送されてきた原稿の画像情報を読み込む。給紙部7は、記録媒体である転写紙Pが収容される給紙カセット26、給紙カセット26内の転写紙Pをプリンタ部100に向けて送り出す給紙ローラ27を備える。図1中の一点鎖線は、複写機500内での転写紙Pの搬送経路を示す。
【0009】
プリンタ部100の上部は、出力画像が形成された転写紙Pが積載される排紙トレイ30となっている。プリンタ部100は、各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)のトナー像を形成する作像部としての四つの作像ユニット6(Y,M,C,K)と、中間転写ユニット10とを備える。
【0010】
各作像ユニット6(Y,M,C,K)は、作像プロセスに用いられるトナーの色が異なる以外は、その構成・動作がほぼ同様である。作像ユニット6(Y,M,C,K)は、潜像担持体たる感光体1及び現像装置5を一体的に支持するプロセスカートリッジとなっており、このプロセスカートリッジは複写機500本体に対して着脱可能となっている。また、作像ユニット6(Y,M,C,K)は、感光体1の周囲に現像装置5(Y,M,C,K)の他、感光体クリーニング装置2(Y,M,C,K)、及び、帯電装置12(Y,M,C,K)等を備える。本実施形態の作像ユニット6(Y,M,C,K)では、感光体クリーニング装置2(Y,M,C,K)は、クリーニングブレードによってクリーニングする構成であり、帯電装置12は帯電ローラによって帯電する構成である。
【0011】
中間転写ユニット10は、中間転写ベルト8や一次転写バイアスローラ9(Y,M,C,K)を備える。中間転写ベルト8は、各感光体1(Y,M,C,K)の表面上に形成された各色トナー像が重ねて転写され、表面上でカラートナー像が形成される中間転写体である。また、一次転写バイアスローラ9(Y,M,C,K)は、各感光体1(Y,M,C,K)の表面上に形成されたトナー像を中間転写ベルト8に転写する一次転写手段である。
【0012】
プリンタ部100は、中間転写ベルト8上のカラートナー像を転写紙P上に転写するための二次転写バイアスローラ19を備える。また、給紙ローラ27によって送り出された転写紙Pを中間転写ベルト8と二次転写バイアスローラ19とが対向する二次転写ニップに搬送するタイミングを調整するレジストローラ対28を備える。さらに、プリンタ部100は、二次転写ニップの上方に転写紙P上の未定着トナー像を定着する定着装置20を備える。
【0013】
プリンタ部100内の排紙トレイ30の下方、且つ、中間転写ユニット10の上方には、各色のトナー容器11(Y,M,C,K)が配置されている。各色のトナー容器11(Y,M,C,K)は、各現像装置5(Y,M,C,K)に供給する各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)のトナーを収容する。
【0014】
以下、本実施形態の複写機500における通常のカラー画像形成時の動作について説明する。まず、原稿搬送部3の原稿台に原稿がセットされた状態で、スタートボタンが押されると、原稿は、原稿搬送部3の搬送ローラによって原稿台から搬送されて、原稿読込部4のコンタクトガラス上に載置される。そして、原稿読込部4で、コンタクトガラス上に載置された原稿の画像情報が光学的に読み取られる。
【0015】
詳しくは、原稿読込部4は、コンタクトガラス上の原稿の画像に対して、照明ランプから発した光を照射しながら走査させる。そして、原稿読込部4は、原稿にて反射した光を、ミラー群及びレンズを介して、カラーセンサに結像する。原稿のカラー画像情報は、カラーセンサにてRGB(レッド、グリーン、ブルー)の色分解光ごとに読み取られた後に、電気的な画像信号に変換される。さらに、RGBの色分解画像信号をもとにして画像処理部で色変換処理、色補正処理、空間周波数補正処理等の処理がおこなわれ、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのカラー画像情報を得る。
【0016】
そして、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色の画像情報は、書込み部に送信される。そして、書込み部からは、各色の画像情報に基づいたレーザ光Lが、それぞれ、対応する感光体1(Y,M,C,K)上に向けて発せられる。
【0017】
一方、四つの感光体1(Y,M,C,K)は、それぞれ、図1中の時計回り方向に回転している。そして、まず、感光体1(Y,M,C,K)の表面は、帯電装置12(Y,M,C,K)の帯電ローラとの対向部で、一様に帯電される(帯電工程)。こうして、感光体1(Y,M,C,K)の表面上は、帯電電位となる。その後、帯電された感光体1(Y,M,C,K)表面は、レーザ光Lの照射位置に達する。書込み部において、四つの光源から画像信号に対応したレーザ光Lが各色に対応してそれぞれ射出される。各レーザ光Lは、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの色成分ごとに別の光路を通過して、各感光体1(Y,M,C,K)の表面に照射される(露光工程)。
【0018】
イエロー成分に対応したレーザ光Lは、図1中の紙面左側から一番目のイエロー用感光体1Y表面に照射される。このとき、イエロー成分のレーザ光Lは、高速回転するポリゴンミラーにより、イエロー用感光体1Yの回転軸方向(主走査方向)に走査される。こうして、帯電装置12Yによって帯電された後のイエロー用感光体1Yの表面上には、イエロー成分に対応した静電潜像が形成される。
【0019】
同様に、マゼンタ成分に対応したレーザ光Lは、図1中の紙面左から二番目のマゼンタ用感光体1M表面に照射されて、マゼンタ成分に対応した静電潜像が形成される。シアン成分のレーザ光Lは、図1中の紙面左から三番目のシアン用感光体1C表面に照射されて、シアン成分の静電潜像が形成される。ブラック成分のレーザ光Lは、図1中の紙面左から四番目のブラック用感光体1K表面に照射されて、ブラック成分の静電潜像が形成される。
【0020】
その後、各色の静電潜像が形成された感光体1(Y,M,C,K)表面は、それぞれ、現像装置5との対向位置に達する。そして、各色トナーとキャリアとからなる現像剤を収容する現像装置5(Y,M,C,K)の現像ローラ50上の現像剤から感光体1(Y,M,C,K)の表面上に各色トナーが供給されて、感光体1(Y,M,C,K)上の潜像が現像される(現像工程)。現像ローラ50による現像剤の搬送の向きは矢印Bで示す反時計回りである。
【0021】
現像装置5との対向部を通過した後の感光体1(Y,M,C,K)表面は、それぞれ、中間転写ベルト8との対向部に達する。ここで、それぞれの対向部には、中間転写ベルト8の内周面に当接するように一次転写バイアスローラ9(Y,M,C,K)が設置されている。この中間転写ベルト8を挟んで感光体1(Y,M,C,K)と一次転写バイアスローラ9(Y,M,C,K)とが対向することで、一次転写ニップを形成する。そして、この一次転写ニップで、各感光体1(Y,M,C,K)上に形成された各色のトナー像が、中間転写ベルト8上に、順次重ねて転写される(一次転写工程)。
【0022】
一次転写ニップを通過した後の感光体1表面は、それぞれ、感光体クリーニング装置2との対向位置に達する。そして、感光体クリーニング装置2との対向位置で、感光体1上に残存する未転写トナーがクリーニングブレード2aによって掻き取られ、回収される(感光体クリーニング工程)。感光体クリーニング装置2との対向部を通過した感光体1の表面は、除電部を通過して残留電荷が除電され、感光体1における一連の作像プロセスが終了し、次の作像動作に備える。
【0023】
一方、四つの感光体1(Y,M,C,K)上の各色トナー像が重ねて転写され、カラートナー像を担持する中間転写ベルト8は、図1中の反時計方向に表面移動して、二次転写バイアスローラ19との対向位置である二次転写ニップに達する。また、転写紙Pを収納する給紙カセット26から、給紙ローラ27により給送された転写紙Pが、搬送ガイドを通過してレジストローラ対28に導かれ、レジストローラ対28に突き当たり、一度停止する。レジストローラ対28に突き当たった転写紙Pは、中間転写ベルト8上に形成されたカラートナー像が二次転写ニップに向かうタイミングに合わせて二次転写ニップに向けて搬送される。そして、二次転写ニップで中間転写ベルト8上に担持されたカラートナー像が転写紙P上に転写される(二次転写工程)。
【0024】
二次転写ニップを通過した中間転写ベルト8表面は、中間転写ベルトクリーニング装置との対向部に達する。この対向部で、中間転写ベルト8上に付着した転写残トナーが中間転写ベルトクリーニング装置に回収されて、中間転写ベルト8における一連の転写プロセスが終了する。
【0025】
感光体1の表面上からクリーニングブレード2aによって掻き落とされた未転写トナーは回収トナー搬送経路を通って排トナー収容容器に収容される。また、中間転写ベルトクリーニング装置によって中間転写ベルト8の表面上から掻き落とされた未転写トナーやプロセスコントロール用のパターン像のトナーも回収トナー搬送経路を通って排トナー収容容器に収容される。
【0026】
二次転写ニップでカラートナー像が転写された転写紙Pは、定着装置20に導かれる。定着装置20では、定着ローラと加圧ローラとによって形成される定着ニップにて、熱と圧力とによってカラー画像が転写紙P上に定着される。定着装置20を通過した転写紙Pは、排紙ローラ対25によってプリンタ部100の外に出力画像として排出されて、排紙トレイ30上にスタックされて、一連の画像形成プロセスが完了する。
【0027】
図2は本発明を適用可能な現像装置5の説明図である。図2(a)はその断面図、図2(b)は部分拡大図である。
この現像装置5は現像剤担持体としての現像ローラ50と、現像剤担持体の表面を露出させる開口を備えた現像ケースとしてのケーシング58とを備えている。開口を介して現像ローラ50と感光体1とが対向する領域が現像領域である。ケーシング58は、現像下ケース58aと、現像上ケース58bと、現像ローラカバー58cとフィルタカバー58dとから構成される。また、現像装置5は、現像剤担持体に担持されて開口を通過し現像ケース内に進入してきた現像剤に接触する可撓性のシート部材としての可撓性シート70を備えている。
【0028】
現像装置5は、現像剤搬送部材である供給スクリュ53と回収スクリュ54とを備えている。また、現像装置5は、現像領域に向かう現像剤量を規制する現像剤規制部材であるドクタブレード52を備えている。ドクタブレード52は、現像スリーブ51に担持された現像剤を所定の厚さに整えるために、現像スリーブ51の表面に対して所定の隙間を有して対向している。さらに、現像装置5は、圧抜き機構を構成する圧抜きフィルタ60を備える。ドクタブレード52が現像ローラ50と対向するドクタ部と現像領域との間に、トナー飛散を防止するための現像領域入口シール57を配置してもよい。図2中に符号58b´で示すハッチングを付した箇所は、現像ローラ50の両端部の周面と、この周面と対向する現像ローラカバー58cの面部分との間をシールする端部シール部材である。供給スクリュ53と回収スクリュ54は、回転軸に螺旋状の羽部を設けたスクリュ部材であり、回転することにより、その回転軸に平行な軸方向で互いに逆向きに現像剤を搬送する。現像剤は、トナーとキャリアとからなる二成分の現像剤(添加剤等を添加する場合も含む)である。
【0029】
供給スクリュ53と回収スクリュ54とで現像剤を長手方向(現像ローラ50の軸方向)に搬送し、循環経路が形成されている。この循環経路の一部、たとえば、回収スクリュ54の一端にトナー補給口を介してトナーが補給される。トナーの補給のために、補給トナーを収容するトナー容器、トナー容器からのトナーが補給されるトナーホッパ、現像装置5に設けられたトナー濃度セントの出力に基づいてトナーホッパから上記循環経路にトナーを補給するトナー補給スクリュなども備えている。
【0030】
現像装置5のケーシング内の空間のうち、供給スクリュ53が配置された供給搬送路53aと、回収スクリュ54が配置された回収搬送路54aとは仕切り板によって空間的に仕切られている。補給されたトナーは回収スクリュ54によって現像剤と攪拌されながら搬送される。補給トナーと十分混合された現像剤は、循環経路の一端部に形成された受け渡し部を通って供給スクリュ53に受け渡され、供給搬送路53aから磁力によって現像ローラ50にくみあげられる。
【0031】
現像ローラ50は、内部に固設された複数の磁石からなるマグネットローラ55と、マグネットローラ55の周囲を回転する現像スリーブ51とから構成される。現像スリーブ51はマグネットローラ55を内包し、回転自在な非磁性材料からなる円筒形状の部材である。本実施形態のマグネットローラ55は、複数の磁極として、第一磁極P1(N極)、第二磁極P2(S極)、第三磁極P3(N極)、第四磁極P4(N極)、及び、第五磁極P5(S極)の5つの磁極が設けられている。図2(a)中のP1~P5は、各磁極によって形成される磁場の現像スリーブ51の表面上における法線方向磁束密度(絶対値)の分布を示している。以下、各磁極を符号でP1極~P5極という。
【0032】
本実施形態の現像装置5の具体例は次のとおりである。二成分の現像剤として、ポリエステル樹脂を主成分とするトナー(平均粒径5.2[μm])と磁性微粒子であるキャリア(平均粒径35[μm])とを、トナー濃度が7[WT%]となるように均一混合した二成分現像剤が250[g]充填されている。現像装置5は、並列に配置された供給スクリュ53と回収スクリュ54とを600[RPM]で回転させ、現像剤の搬送とトナー補給口から補給される新品のトナーの撹拌とを同時に行い、トナーとキャリアとの均一混合と帯電付与を行っている。
【0033】
均一混合された現像剤は現像スリーブ51に近接して平行に設けられた供給スクリュ53によって長手方向に搬送されながら、現像スリーブ51に内包されたマグネットローラ55の第五磁極P5の磁力によって現像スリーブ51の外周表面に受け渡される。現像スリーブ51の表面に受け渡された現像剤は、現像スリーブ51が図2(a)中矢印Bに示すように、反時計回り方向に回転することによって現像領域に到達する。高圧電源から現像スリーブ51に電圧が印加されることにより、現像領域では現像スリーブ51と感光体1との間に現像電界が形成されている。この現像電界により、感光体1の表面上の潜像に現像スリーブ51の表面上の現像剤中のトナーが供給され、感光体1上の潜像が現像される。
【0034】
現像領域を通過した後の現像スリーブ51の表面上の現像剤は、現像スリーブ51の回転に伴って可撓性シート70と現像スリーブ51の間を通り抜ける。この際、現像剤に巻き込まれた空気が図2(b)に白抜きの矢印Fで示す方向の気流を発生させ、ケーシング58内に吸い込まれる。吸い込まれた気流は、圧抜きフィルタ60を通って、現像器外に排出される。可撓性シート70は、ウレタンシートであり、厚さは0.1mmである。可撓性シート70は可撓性を備えていれば厚みや材質はこれに限られない。
【0035】
ケーシング内に混入した異物や、現像装置が設置される環境条件などによってケーシング内で形成されたトナー凝集体が、ドクタブレード52に堰き止められて、現像スリーブ51とドクタブレード52との隙間を塞ぐおそれがある。異物やトナー凝集体により上記隙間が塞がれてしまうと、その隙間が塞がれた箇所は、現像剤が通過できないため、その箇所に対応する潜像部分は現像されず、スジ状の白抜け画像が発生してしまう。
【0036】
そのため、現像装置5は、所定枚数出力時などの所定のタイミングで現像スリーブ51を逆回転させる逆回転動作を実行している。逆回転動作を実行することで、ドクタブレード52に堰き止められた異物やトナー凝集体を取り除くことができ、現像スリーブ51とドクタブレード52との間の詰まりを解消することができる。
【0037】
図3は従来構成の説明図である。
図3(a)に示す従来構成は、第二磁極P2の方向LP2における、現像ローラ50と現像ケースとのギャップCGを、現像剤の穂が通過することで吸い込み気流を発生させる大きさに設定し、トナー飛散を防止する構成である。現像ローラ50上の現像剤量(くみあげ量)が少なくなると、現像ローラ50とケースの隙間が、現像剤量に対して相対的に大きくなるため、吸い込み力が弱くなって逆流し、トナー飛散が生じやすい。現像ローラカバー58cと現像ローラ50とのギャップCGを狭めに設定すれば、現像ローラ50の現像剤に現像ローラカバー58cが接触して吸い込み気流を発生させることができる。しかし、くみあげ量(スリーブ上の現像剤量)が多い場合にCG部での剤滞留が発生するため一定以上狭められなかった。つまり、剤滞留余裕度が小さい。
【0038】
これに対し図3(b)の構成では、可撓性シート70は、開口の側の端部である開口側端部70aと、現像剤移動方向で開口側端部70aとは反対側の端部である下流側端部70bとが現像ケースとしての現像ローラカバー58cに支持(接触)されている。可撓性シート70の両端が現像ケースに支持(接触)されることで、現像剤移動方向で両端部の間の箇所が現像ローラ50上の記現像剤に接触する。具体的には、開口側端部70aが現像ローラカバー58cに接着などで固定され、下流側端部70bが自由端であって現像ローラカバー58cの内面に接触する。いわゆる裏当てでの接触である。裏当てで接触している可撓性シート70の部分を裏当て部70cという。裏当て部70cが当接している現像ローラカバー58cの内面部分が接触箇所に相当する。現像ローラカバー58cの固定される箇所が固定箇所に相当する。可撓性シート70は撓んで両端部の間の箇所が現像剤に当接する。いわゆる腹当たりで当接する。自由端とは接着などで固定されておらず、少なくもと接触位置が現像ローラ50の回転方向で変化し得ることをいう。
【0039】
図3(b)に点線71で示すのは、現像ローラ50を取り外したときの可撓性シート70の状態である。可撓性シート70は、開口側端部70aを両面テープなど用いた接着によって58eの貼り付け部58eに貼り付けて固定されている。可撓性シート70の下流側端部70b側の部分は、その腰により、貼り付け部58eを直線的に延ばした仮想の直線71に沿って延び、現像ローラ50が占めていた空間に延在する姿勢を取る。つまり、可撓性シート70の下流側端部70b側の部分が現像ローラ50に食い込む構成である。このような姿勢をとるように貼り付け部58eが形成されている。現像ローラ50を組み付けた場合の可撓性シート70の状態を実線が示す。可撓性シート70の開口側端部70aと下流側端部70bの間の箇所が50に当接して撓み、下流側端部70bが現像ローラカバー58cの内面に当接する。つまり、可撓性シート70は、現像ローラ50に腹当てされ、下流側端部70bの近傍部分を現像ローラカバー58cの内側壁面に裏当てされる。
【0040】
可撓性シート70を用いることで、現像ローラ50上の現像剤量(くみあげ量)に応じて、シートが撓むため、部品公差や現像剤の経時劣化によってくみあげ量が変動しても、安定した吸い込み気流を維持することができる。
【0041】
一端をケーシングに貼り付け固定し、もう一端を現像ケーシング内壁に当接させるというように可撓性シート70を現像剤移動方向の上流端・下流端の2点で支持することで、シート姿勢を安定化させることができる。
【0042】
可撓性シート70が撓んで両端部の間の箇所が現像剤に当接する、つまり、可撓性シート70を腹当てにするので、可撓性シート70を現像ローラ50上の現像剤に強くあてることができ、現像装置5のケーシング58内からの吹き出し気流を抑制できる。また、くみあげ量が変動した場合であっても、くみあげ量に応じ(追従し)てシートが撓むため、安定した吸い込み気流が確保でき、剤滞留余裕度と吹き出し気流抑制を両立できる。
【0043】
特に、一端が固定、他端が当接では次の利点がある。すなわち、シート部材の片方は現像ケース内壁に接着されずに当接しているので、くみあげ変動時にシートの撓みが追従しやすくなる。ここを接着してしまうと、くみあげが変わってもシートの撓み量が変化しにくく、剤滞留余裕度が小さくなってしまう。また貼り付け時位置がずれた場合にシートの波うちが発生しやすく、生産性が下がる場合がある。また、可撓性シート70の一端がケーシングに接着して固定され、もう一端がケーシングに裏当てされていることで、現像剤と可撓性シート70の当たる幅がひろく当たり方も強くなるため、安定した気流を確保することができる。したがって裏当て部は接着させずに上ケースに対して自由に動けるようにするのが好ましい。
【0044】
上述したように、現像装置は、現像スリーブ51とドクタブレード52との間の詰まりを解消するため、所定のタイミングで現像スリーブ51を逆回転させる逆回転動作を実行している。この逆転動作時は、現像ローラ上の現像剤が、可撓性シート70の下流側端部70bの現像ローラカバー58cの内面に接触している箇所に向けて移動する。可撓性シート70の下流側端部70bは、現像ローラカバー58cに固定されていない自由端であるため、下流側端部70bと現像ローラカバー58cとの間から、現像ローラカバー58cと可撓性シート70との間の空間に現像剤が入り込む場合があった。特に、経時使用によりウレタンの可撓性シート70がへたってくると、下流側端部70bの現像ローラカバー58cへの当接圧が減少し、逆回転動作時に下流側端部70bと現像ローラカバー58cとの間から現像剤が入り込みやすい。
【0045】
現像ローラカバー58cと可撓性シート70との間の空間に現像剤が入り込むと、入り込んだ現像剤が、マグネットローラ55の磁力により現像ローラ50側へ引き世寄せられる。その結果、可撓性シート70のくみあげ量に応じたシートの撓みが阻害され、可撓性シート70と現像ローラ50との間を現像剤が通過できなくなる。これにより、可撓性シート70の上流側で剤だまりが発生し、現像剤を現像ケース内に搬送できないおそれがある。
【0046】
図4は、本実施形態の現像装置の特徴部を説明する図である。
本実施形態の可撓性シート70は、開口側端部70aと下流側端部70bとの間に現像ローラカバー58cの内面に接触するケース接触部としての裏当て部70cを設けている。可撓性シート70の下流側端部70bは、裏当て部70cよりも現像ローラ50上の現像剤から離れた位置に位置している。
【0047】
本実施形態の可撓性シート70は、下流側端部70bを裏当て部70cよりも現像ローラ50上の現像剤から離れた位置に位置させている。これにより、下流側端部70bを、現像ローラカバー58cの内面に接触させ裏当て部70cとした図3(b)に示す従来構成に比べて、下流側端部70bを現像ローラ上の現像剤の層から十分に離すことができる。よって、逆回転動作時に現像ローラ上の現像剤が、下流側端部70bと現像ローラカバー58cとの隙間から入り込むのを抑制できる。
【0048】
本実施形態の可撓性シート70についても、開口側端部70aと下流側端部70bとの間に、現像ローラカバー58cの内面に接触する裏当て部70cを形成し、可撓性シート70を現像剤移動方向の上流・下流の2点で支持している。これにより、本開口側端部70aと裏当て部70cとの間で、可撓性シートを現像ローラ側に撓ませ、現像ローラ上の現像剤に腹当てすることができる。また、現像ローラ上の現像剤に軸方向に広く、かつ、強く当てることができ、現像装置5のケーシング58内からの吹き出し気流を抑制できる。
【0049】
また、裏当て部70cおよび下流側端部70bは、現像ローラカバー58cの内面に固定されていない。これにより、くみあげ量が変動した場合であっても、くみあげ量に応じ(追従し)てシートが撓み、安定した吸い込み気流が確保でき、剤滞留余裕度と吹き出し気流抑制を両立できる。
【0050】
また、可撓性シート70の裏当て部70cはP2極(LP2)とP3極(LP3)の間の現像剤の穂が寝ている部分に位置させることが好ましい。これは次の理由による。裏当て部70cが接触する現像ローラカバー58cと現像ローラ50との間のギャップが狭いほうが、P2極での可撓性シート70と現像剤のあたりが強くなり、安定した気流ができる。しかし、狭すぎると現像剤がギャップを通り抜けられずに滞留してしまう。このような滞留は穂が立っている部分でギャップを狭めた場合に起きやすい。よって、P2、P3極間の穂が寝ている部分に裏当て部70cを位置させることで、滞留を抑制しつつ、裏当て部70cが接触する現像ローラカバー58cと現像ローラ50との間のギャップを狭めることができる。これにより、P2極での可撓性シート70と現像剤のあたりが強くでき、安定した吸い込み気流を確保するのである。
【0051】
可撓性シート70と現像剤のあたりを強くすることで、現像装置5のケーシング58内からの吹き出し気流を抑制できるとともに、現像剤と一緒に巻き込まれる吸い込み気流の空気量も減る。上述したように、ケーシング58内に吸い込まれた気流は、圧抜きフィルタ60を通って、現像装置外に排出されるが、この圧抜きフィルタ60を通過する気流にはトナーが含まれている。気流に含まれるトナーは、圧抜きフィルタ60に吸着され、トナーを含まない空気が現像装置外へ排出される。吸い込み気流の空気量が減ることで、圧抜きフィルタ60を通過する空気の量も減ることになり、圧抜きフィルタに付着するトナーの量も減ることになる。その結果、圧抜きフィルタ60のトナーによる目詰まりを経時にわたり抑制することができ、圧抜きフィルタ60の寿命を延ばすことができる。
【0052】
本実施形態では、可撓性シート70と現像剤のあたりを強くし、吸い込み気流の空気量を減らせるため、現像装置内の内圧上昇が抑制される。また、可撓性シート70と現像剤のあたりを強くすることで、ケーシング58内からの吹き出し気流の発生も抑制できる。よって、多少、現像装置の内圧が上昇したとしても、吹き出し気流の発生を防止できる。従って、装置構成によっては、圧抜きフィルタ60を設けずに、ケーシング58内に吸い込まれた気流を積極的に現像装置から排出しないフィルタレスとしても、トナー飛散の発生を抑制できる。しかし、圧抜きフィルタ60を設けて、積極的にケーシング58内に吸い込まれた気流を現像装置から排出することで、効果的にトナー飛散の発生を抑制でき好ましい。
【0053】
さらに、可撓性シート70は、現像剤の穂の部分(法線方向磁力の強い部分:図2(a)のP2極方向であるLP2方向の部分)に腹当たりされていることが好ましい。吸い込み気流は穂が寝ている部分ではなく、穂立ち部分で発生するため、この部分に可撓性シート70を腹当たりさせることで、強い吸い込み気流を発生させることができる。
【0054】
可撓性シート70の軸方向端部は、端部シール部材58b´などの可撓性シートに対して軸方向で隣接する隣接部材と干渉しないように、隣接部材に対して所定の隙間を開けるのが好ましい。隣接部材と可撓性シート70との隙間は、数mm、例えば0.5mm程度が適当であり、空けすぎた場合は可撓性シート70の機能が低下し気流の吹き出しが発生する。また、可撓性シート70全体を隣接部材に対して所定の隙間を開けてもよいし、裏当て部70cから下流側端部70bまでの部分のみ隣接部材に対して所定の隙間を開けてもよい。
【0055】
また、現像ローラカバー58cの可撓性シート70の裏当て部70cが接触する部分を、軸方向中央部が現像ローラの表面から離間するように凹んだ凹形状とするのが好ましい。これにより、可撓性シート70の裏当て部70cが、現像ローラカバー58cの形状に倣って変形し、可撓性シート70の軸方向端部の現像ローラ表面とのギャップを、軸方向中央の現像ローラ表面とのギャップよりも狭くすることができる。ウレタンシートの軸方向端部はコシが弱くなり現像剤と可撓性シート70の当たり方が、軸方向中央部に比べて弱い。そのため、可撓性シート70の軸方向端部のギャップを狭めることで、可撓性シート70現像剤の当たり方を軸方向で均一にでき、軸方向で均一な気流を確保することができる。
【0056】
図5は、可撓性シートの下流側端部70bを保持する保持部76を設けた概略構成図である。
現像ローラカバー58cの現像ローラ50から離間する方向に凹んだ凹部158cの現像剤移動方向の下流側を現像剤ブロック手段たるシート状の仕切り部材75により仕切ることで、保持部76が形成されている。可撓性シート70の下流側端部70bを仕切り部材75の先端と凹部158cの上流側端部との間の隙間から差し込んで、下流側端部70bを保持部76に保持させている。
仕切り部材75は、PETシートなどであり、両面テープなどにより下流側が現像ローラカバー58cに固定されている。
【0057】
図5に示す構成とすることで、可撓性シートの下流側端部70bが、現像ローラの表面に対して仕切り部材75に覆われる。これにより、逆回転動作時に可撓性シート70の下流側端部70bと現像ローラカバー58cとの隙間へ向かう現像剤を、この仕切り部材75によりブロックすることができる。その結果、より可撓性性シートと現像ローラカバー58cとの空間に現像剤が入り込むのを抑制することができる。
【0058】
さらには、経時使用などにより可撓性シート70がへたるなどして、可撓性シートの下流側端部70bが現像ローラ側へ変位したとき、可撓性シートの下流側端部70bは、仕切り部材75に当接する。これにより、可撓性シートの下流側端部70bが現像ローラ上の現像剤の層に位置するのを防止でき、下流側端部70bを保持部76に保持することができる。これにより、経時にわたり可撓性性シートと現像ローラカバー58cとの空間に現像剤が入り込むのを抑制することができる。
【0059】
現像ローラカバー58cは、樹脂材からなり、2つの金型で成型されるのが一般的である。現像ローラカバー58cの形状によっては、現像ローラカバー58cの凹部158cが形成できない場合もある。この場合は、図6に示すように、現像ローラカバー58cに貫通孔258cを設け、この貫通孔258cの外側の開口をシート部材77で塞ぐことで、凹部を形成してもよい。シート部材77は、例えば、両面テープなどにより現像ローラカバー58cに外周面に固定することができる。また、貫通孔258cの外側の開口を封止剤で塞いでもよい。
【0060】
図7は、保持部76の変形例を示す図である。
この図7に示す変形例は、図5に示す構成に比べて、より現像剤移動方向下流側に保持部76を設け、可撓性シート70の裏当て部70cからの延長距離を長くしたものである。
【0061】
図5に示す構成においては、例えば、仕切り部材75の製造誤差や組付け誤差により、仕切り部材75の先端と凹部158cの上流側端部との隙間が規定の隙間よりも狭くなることがある。この隙間が規定の隙間よりも狭くなることで、可撓性シートの裏当て部70cと下流側端部70bとの間の箇所が仕切り部材75の先端に当たってしまうことがある。可撓性シートの裏当て部70cから下流側端部70bの間の箇所が仕切り部材75の先端に当たることで、可撓性シートの姿勢に影響を与え、可撓性シートの開口側端部70aと裏当て部70cとの間の箇所の現像剤への当接圧が減少するおそれがある。その結果、現像装置5のケーシング58内からの吹き出し気流を良好に抑制できないおそれがある。
【0062】
これに対し、図7に示す変形例1の構成では、下流側端部70b付近から可撓性シートの開口側端部70aと裏当て部70cとの間の箇所は、十分に離れている。従って、保持部76の形状などのばらつきによる下流側端部70b付近の姿勢の変化の影響が、開口側端部70aと裏当て部70cとの間の箇所に及ぶのを防止できる。これにより、保持部76の形状などにばらつきがあっても、現像装置5のケーシング58内からの吹き出し気流を良好に抑制できる。
【0063】
以上に説明したものは一例であり、次の態様毎に特有の効果を奏する。
(態様1)
現像ローラ50などの現像剤担持体と、現像剤担持体の表面を露出させる開口を備えたケーシング58などの現像ケースとを備えた現像装置において、開口側端部70aなどの一端が現像ケースに固定され、下流側端部70bなどの他端が固定されていない可撓性シート70などの可撓性のシート部材を備え、シート部材は、一端と他端との間に現像ケースに接触する裏当て部70cなどのケース接触部を有し、他端は、ケース接触部よりも現像剤担持体上の現像剤から離れた位置に位置する。
特許文献1に記載の構成は、図3(a)を用いて説明したように、現像剤担持体上の現像剤量(くみあげ量)が少なくなると、現像剤担持体と現像ケースとの間に隙間が生じてしまい、トナー飛散が発生するおそれがあった。
一方、態様1では、可撓性のシート部材の一端(以下、固定端という)を現像ケースに固定し、可撓性のシート部材の一端と他端との間に現像ケースに接触するケース接触部を設けることで、可撓性のシート部材は、固定端とケース接触部との間で撓み、その撓んだ箇所を現像剤担持体の表面の現像剤に接触させることができる。また、シート部材の他端を自由端とすることで、現像剤担持体の表面の現像剤量に応じて、シート部材の撓み量が変化し、現像剤担持体上の現像剤とシート部材との間に隙間が生じるのを抑制できる。これにより、トナー飛散が発生するのを良好に抑制することができる。
さらに、シート部材の他端である自由端は、ケース接触部よりも現像剤担持体上の現像剤から離れた位置に位置している。これにより、自由端が、ケース接触部と同位置に位置する場合に比べて、現像剤担持体を逆回転させる逆回転動作時に、シート部材の自由端と現像ケースとの間から現像剤担持体上の現像剤が現像ケースとシート部材との間に入り込むのを抑制することができる。その結果、現像ケースとシート部材との間に入り込んだ現像剤によりシート部材の固定端とケース接触部との間の箇所の現像剤担持体表面から離間する方向への移動が阻害されるのを抑制することができる。よって、現像剤がシート部材と現像剤担持体との間を良好に通過することができる。
【0064】
(態様2)
態様1において、可撓性シート70などのシート部材の下流側端部70bなどの他端と、現像ケースとの間へ向かう現像剤をブロックする仕切り部材75などの現像剤ブロック手段を設けた。
これによれば、図5を用いて説明したように、逆回転動作時にシート部材の他端とケーシング58などの現像ケースとの間の隙間に向かう現像剤を、仕切り部材75など現像剤ブロック手段でブロックすることで、シート部材の他端と現像ケースとの間から現像剤が現像ケースとシート部材との間に入り込むのを良好に抑制することができる。
【0065】
(態様3)
現像ローラ50などの現像剤担持体と、現像剤担持体の表面を露出させる開口を備えたケーシング58などの現像ケースとを備えた現像装置において、開口側端部70aなどの一端が現像ケースに固定され、下流側端部70bなどの他端が固定されていない可撓性シート70などの可撓性のシート部材と、可撓性シート70などのシート部材の下流側端部70bなどの他端と現像ケースとの間へ向かう現像剤をブロックする仕切り部材75などの現像剤ブロック手段を設けた。
これによれば、図5を用いて説明したように、逆回転動作時に現像剤担持体上の現像剤がシート部材の他端とケーシング58などの現像ケースとの間の隙間に向かう現像剤を、仕切り部材などの現像剤ブロック手段でブロックすることができる。これにより、シート部材の他端と現像ケースとの間から現像剤が現像ケースとシート部材との間に入り込むのを良好に抑制することができる。
【0066】
(態様4)
態様3において、可撓性シート70などのシート部材は、開口側端部70aなどの一端と下流側端部70bなどの他端との間にケーシング58などの現像ケースに接触する裏当て部70cなどのケース接触部を有する。
これによれば、実施形態で説明したように、シート部材の一端とケース接触部との間が現像剤担持体の表面の現像剤に接触して現像剤担持体と現像ケースとの間に隙間が生じないようにできる。また、シート部材の他端を自由端とすることで、現像剤担持体の表面の現像剤量に応じて、シートが撓んで、現像剤担持体の現像剤とシート部材との間に隙間が生じるのを抑制でき、トナー飛散が発生するのを良好に抑制することができる。
【0067】
(態様5)
態様1、2または4において、可撓性シート70などのシート部材は、開口側端部70aなどの一端と裏当て部70cなどのケース接触部との間に、現像剤担持体上の現像剤に接触する部分を有する。
これによれば、実施形態で説明したように、現像剤担持体の現像剤とシート部材との間に隙間が生じるのを抑制でき、トナー飛散が発生するのを良好に抑制することができる。
【0068】
(態様6)
態様1乃至5いずれかにおいて、可撓性シート70などのシート部材の下流側端部70bなどの他端は、開口側端部70aなどの一端よりも現像動作時の現像剤移動方向下流側に位置する。
これによれば、シート部材を撓ませて、シート部材を現像剤担持体上の現像剤に腹当てすることができる。
【0069】
(態様7)
態様1乃至6いずれかにおいて、所定のタイミングで、現像動作時の表面移動方向とは逆方向に前記現像剤担持体を規定量表面移動させる逆転動作を行う。
これによれば、実施形態で説明したように、現像剤担持体上の現像剤を規制するドクタブレード52などの規制部材と現像剤担持体との隙間の詰まりを解消することができ、白スジなどの異常画像の発生を抑制することができる。
また、この逆回転動作時に現像剤が、可撓性シート70などのシート部材の下流側端部70bなどの他端とケーシング58などの現像ケースとの間から現像剤が、現像ケースとシート部材との間に入り込むのを良好に抑制することができる。
【0070】
(態様8)
感光体1などの潜像担持体と、潜像担持体の潜像を、現像剤を用いて現像する現像装置5と、を備えた画像形成装置において、現像装置として、態様1乃至7いずれかの現像装置を用いた。
これによれば、現像装置からのトナー飛散による装置の汚れや、画像の乱れを抑制することができる。
【符号の説明】
【0071】
1 :感光体
5 :現像装置
50 :現像ローラ
51 :現像スリーブ
52 :ドクタブレード
55 :マグネットローラ
57 :現像領域入口シール
58 :ケーシング
58a :現像下ケース
58b :現像上ケース
58b´ :端部シール部材
58c :現像ローラカバー
58d :フィルタカバー
58e :貼り付け部
60 :圧抜きフィルタ
70 :可撓性シート
70a :開口側端部
70b :下流側端部
70c :裏当て部
75 :仕切り部材
76 :保持部
77 :シート部材
100 :プリンタ部
158c :凹部
258c :貫通孔
500 :複写機
B :矢印
CG :ギャップ
P1 :第一磁極
P2 :第二磁極
P3 :第三磁極
P4 :第四磁極
P5 :第五磁極
【先行技術文献】
【特許文献】
【0072】
【文献】特開2016‐035545号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7