(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-08
(45)【発行日】2025-01-17
(54)【発明の名称】給送装置、及び、画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B65H 1/26 20060101AFI20250109BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20250109BHJP
B41J 11/66 20060101ALI20250109BHJP
B65B 69/00 20060101ALN20250109BHJP
【FI】
B65H1/26 310M
B65H1/26 310L
G03G15/00 402
B41J11/66
B65B69/00 Z
(21)【出願番号】P 2021069797
(22)【出願日】2021-04-16
【審査請求日】2024-02-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100117215
【氏名又は名称】北島 有二
(72)【発明者】
【氏名】水沢 浩
(72)【発明者】
【氏名】中村 和音
(72)【発明者】
【氏名】江口 陽介
【審査官】前田 浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-125205(JP,A)
【文献】実開昭64-009110(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 1/26
G03G 15/00
B41J 11/66
B65B 69/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを所定の給送方向に給送する給送装置であって、
シート束と、シート束を包む包装材と、からなる略長方体状のシートパックを載置可能な載置部と、
前記載置部に載置された前記シートパックの4つの側面のうち前記給送方向に直交する幅方向の一端側に位置する第1側面の上部と下部とをそれぞれ前記給送方向に切断する第1カット部材と、
前記載置部に載置された前記シートパックの前記4つの側面のうち前記給送方向の下流側に位置する第2側面の上部と下部とをそれぞれ前記幅方向に切断する第2カット部材と、
前記載置部に載置された前記シートパックの前記4つの側面のうち前記幅方向の他端側に位置する第3側面の上部と下部とをそれぞれ前記給送方向に切断する第3カット部材と、
前記載置部に載置された前記シートパックの前記幅方向の位置を定める一対のサイドフェンスと、
前記載置部に載置された前記シートパックの前記給送方向の下流側の位置を定める基準フェンスと、
を備え、
前記第1カット部材は、前記一対のサイドフェンスのうち前記幅方向の一端側に位置する第1サイドフェンスにおいて前記給送方向に延びるように形成された第1案内部に沿って移動し、
前記第2カット部材は、前記基準フェンスにおいて前記幅方向に延びるように形成された第2案内部に沿って移動し、
前記第3カット部材は、前記一対のサイドフェンスのうち前記幅方向の他端側に位置する第2サイドフェンスにおいて前記給送方向に延びるように形成された第3案内部に沿って移動し、
前記第1案内部と前記第2案内部と前記第3案内部とは、互いに隣接するもの同士が同じ高さ位置で連結していることを特徴とする給送装置。
【請求項2】
前記第1カット部材によって切断される高さ位置と、前記第2カット部材によって切断される高さ位置と、前記第3カット部材によって切断される高さ位置と、が一致するとともに、互いに切断される部分が繋がることを特徴とする請求項1に記載の給送装置。
【請求項3】
前記第1カット部材又は前記第3カット部材が、前記給送方向の下流側において前記第2案内部に入り込む位置まで移動可能であることを特徴とする
請求項1又は請求項2に記載の給送装置。
【請求項4】
前記第2カット部材が、前記幅方向の他端側において前記第3案内部に入り込む位置まで移動可能であるか、又は、前記幅方向の一端側において前記第1案内部に入り込む位置まで移動可能であることを特徴とする
請求項1~請求項3のいずれかに記載の給送装置。
【請求項5】
前記第1案内部と前記第2案内部と前記第3案内部とが1つの部材として形成されたことを特徴とする
請求項1~請求項4のいずれかに記載の給送装置。
【請求項6】
前記第1カット部材は、前記給送方向の上流側又は下流側から下流側又は上流側に移動して前記シートパックを切断して、
前記第2カット部材は、前記幅方向の一端側又は他端側から他端側又は一端側に移動して前記シートパックを切断して、
前記第3カット部材は、前記給送方向の下流側又は上流側から上流側又は下流側に移動して前記シートパックを切断することを特徴とする請求項1~請求項5のいずれかに記載の給送装置。
【請求項7】
前記載置部は、載置された最上方のシートの前記給送方向の下流側が所定の高さ位置に達するように、その一部又は全部が昇降可能に構成されたことを特徴とする請求項1~請求項6のいずれかに記載の給送装置。
【請求項8】
請求項1~請求項7のいずれかに記載の給送装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、シートを給送する給送装置と、それを備えた複写機、プリンタ、ファクシミリ、又は、それらの複合機や印刷機等の画像形成装置と、に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、複数枚のシートが重ねられたシート束を包んだシートパックの包装材を切断するカッター部材を、移動手段によって移動させる装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
詳しくは、特許文献1における装置は、印刷用紙(シート束)を包装したワンプ包装(シートパック)の4つの側面のうち3つの側面に沿って、1つのカッターをコの字を描くように移動させて、3つの側面を切断するように構成されている。そして、ユーザーは、3つの側面が切断されたワンプ包装から印刷用紙を取り出すことになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の技術は、シートパック(ワンプ包装)の3つの側面を1つのカッター部材(カッター)で切断するものであるため、3つの側面の切断が完了するまでに時間が掛かってしまっていた。
特に、特許文献1の技術は、シートパックの包装材を切断する装置が、シートを給送する給送装置とは別に設けられている。そのため、3つの側面が切断されたシートパックからシート束を取り出してから、その取り出したシート束を給紙装置にセットすることになり、手間がかかってしまっていた。
【0005】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、切断が完了するまでの時間が短縮化されるとともに、シートパックからシート束を取り出す手間がかからない、給送装置、及び、画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明における給送装置は、シートを所定の給送方向に給送する給送装置であって、シート束と、シート束を包む包装材と、からなる略長方体状のシートパックを載置可能な載置部と、前記載置部に載置された前記シートパックの4つの側面のうち前記給送方向に直交する幅方向の一端側に位置する第1側面の上部と下部とをそれぞれ前記給送方向に切断する第1カット部材と、前記載置部に載置された前記シートパックの前記4つの側面のうち前記給送方向の下流側に位置する第2側面の上部と下部とをそれぞれ前記幅方向に切断する第2カット部材と、前記載置部に載置された前記シートパックの前記4つの側面のうち前記幅方向の他端側に位置する第3側面の上部と下部とをそれぞれ前記給送方向に切断する第3カット部材と、前記載置部に載置された前記シートパックの前記幅方向の位置を定める一対のサイドフェンスと、前記載置部に載置された前記シートパックの前記給送方向の下流側の位置を定める基準フェンスと、を備え、前記第1カット部材は、前記一対のサイドフェンスのうち前記幅方向の一端側に位置する第1サイドフェンスにおいて前記給送方向に延びるように形成された第1案内部に沿って移動し、前記第2カット部材は、前記基準フェンスにおいて前記幅方向に延びるように形成された第2案内部に沿って移動し、前記第3カット部材は、前記一対のサイドフェンスのうち前記幅方向の他端側に位置する第2サイドフェンスにおいて前記給送方向に延びるように形成された第3案内部に沿って移動し、前記第1案内部と前記第2案内部と前記第3案内部とは、互いに隣接するもの同士が同じ高さ位置で連結しているものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、包装材の切断が完了するまでの時間が短縮化されるとともに、シートパックからシート束を取り出す手間がかからない、給送装置、及び、画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】この発明の実施の形態における画像形成装置を示す全体構成図である。
【
図5】シートパックにおける切断箇所を示す斜視図である。
【
図6】第1~第3カット部材の動作を示す上面図である。
【
図8】シートパックの包装材を切断して上面を捲った後の給送装置を示す概略図である。
【
図10】(A)シートパックが正常に切断されたときの動作を示す図と、(B)、(C)シートパックが正常に切断されなかったときの動作を示す図と、である。
【
図11】変形例としての、給送装置におけるカット部材の動作を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、この発明を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
【0010】
まず、
図1にて、画像形成装置1における全体の構成・動作について説明する。
図1において、1は画像形成装置としての複写機、2は原稿Dの画像情報を光学的に読み込む原稿読込部、3は原稿読込部2で読み込んだ画像情報に基づいた露光光Lを感光体ドラム5上に照射する露光部、4は感光体ドラム5上にトナー像(画像)を形成する作像部、7は感光体ドラム5上に形成されたトナー像をシートPに転写する転写部(画像形成部)、を示す。
また、10はセットされた原稿Dを原稿読込部2に搬送する原稿搬送部(自動原稿搬送装置)、12、13は給紙カセット内に収容されたシートPを給送する給送装置、を示す。
また、17は転写部7に向けてシートPを搬送するレジストローラ対(搬送ローラ対)、20はシートP上に担持されたトナー像(未定着画像)を定着する定着装置、21は定着装置20に設置された定着ローラ、22は定着装置20に設置された加圧ローラ、31は装置本体1から排紙されたシートPが積載される排紙トレイ、を示す。
また、105は各給送装置12、13において昇降可能な昇降板106が設けられた載置部、50は各給送装置12、13に設置された給送手段としての給送機構、を示す。
【0011】
図1を参照して、画像形成装置本体1における、通常の画像形成時の動作について説明する。
まず、原稿Dは、原稿搬送部10の搬送ローラによって、原稿台から図中の矢印方向に搬送(給送)されて、原稿読込部2上を通過する。このとき、原稿読込部2では、上方を通過する原稿Dの画像情報が光学的に読み取られる。
そして、原稿読込部2で読み取られた光学的な画像情報は、電気信号に変換された後に、露光部3(書込部)に送信される。そして、露光部3からは、その電気信号の画像情報に基づいたレーザ光等の露光光Lが、作像部4の感光体ドラム5上に向けて発せられる。
【0012】
一方、作像部4において、感光体ドラム5は
図1の時計方向に回転しており、所定の作像プロセス(帯電工程、露光工程、現像工程)を経て、感光体ドラム5上に画像情報に対応した画像(トナー像)が形成される。
その後、感光体ドラム5上に形成された画像は、画像形成部としての転写部7で、レジストローラ対17により搬送されたシートP上に転写される。
【0013】
一方、転写部7(画像形成部)に搬送されるシートPは、次のように動作する。
まず、画像形成装置本体1の複数の給送装置12、13のうち、1つの給送装置が自動又は手動で選択される(例えば、下段の給送装置13が選択されたものとする。)。そして、給送装置13に収納された用紙などのシートPの最上方の1枚が、給送機構50によって給送されて、搬送経路Kに向けて搬送される。その後、シートPは、複数の搬送ローラが配設された搬送経路Kを通過して、レジストローラ対17の位置に達する。このとき、レジストローラ対17は、回転停止した状態であって、そのニップにシートPの先端が突き当たることで、シートPの斜行(スキュー)が補正されることになる。
そして、レジストローラ対17の回転が開始されて、レジストローラ対17によって、斜行(スキュー)が補正された後のシートPが、感光体ドラム5上に形成された画像と位置合わせをするためにタイミングを合わせて、転写部7(画像形成部)に向けて搬送される。
【0014】
そして、転写工程後のシートPは、転写部7の位置を通過した後に、搬送経路を経て定着装置20に達する。定着装置20に達したシートPは、定着ローラ21と加圧ローラ22との間に送入されて、定着ローラ21から受ける熱と双方の部材21、22から受ける圧力とによってトナー像が定着される(定着工程である)。トナー像が定着された定着工程後のシートPは、定着ローラ21と加圧ローラ22との間(定着ニップである。)から送出された後に、画像形成装置本体1から排出されて、出力画像として排紙トレイ31上に積載されることになる。
こうして、一連の画像形成プロセスが完了する。
【0015】
次に、
図2等を用いて、本実施の形態における給送装置について詳述する。
なお、以下、装置本体1に内接された複数の給送装置12、13のうち、下段の給送装置13について説明するが、上段の給送装置12も設置位置が異なる点を除いて下段の給送装置13とほぼ同様の構成となっているため、その説明を省略することにする。
【0016】
図2等を参照して、給送装置13には、複数枚のシートPを積載できるように形成された載置部105、載置部105に載置されたシートPを給送するための給送機構50、等が設置されている。
載置部105は、載置された最上方のシートPの給送方向下流側(
図2の右側である。)が所定の高さ位置(ピックアップローラ51の位置である。)に達するように、その一部が昇降可能に構成されている。具体的に、載置部105は、回転中心軸106aに回動可能な昇降板106と、昇降しない固定板108と、で構成されている。昇降板106は、固定板108よりも給送方向下流側に配置されていて、回転中心軸106aを中心に正逆方向に回動することで昇降するように構成されている。
また、
図2を参照して、給送機構50は、フィードローラ52、ピックアップローラ51、分離ローラ53、等で構成されている。
【0017】
フィードローラ52は、載置部105に載置されたシートPに対して給送方向(
図2の白矢印方向である。)の先端側(下流側)に設置されていて、最上方のシートPの上面に接触してシートPの給送方向に沿うように回転(
図2の反時計方向の回転である。)してシートPを一点鎖線矢印で示す給送方向に給送するものである。
ピックアップローラ51は、載置部105に載置された最上方のシートPの表面(上面)に当接した状態で、走行方向に沿うように
図2の反時計方向に回転して、そのシートPをフィードローラ52の位置に向けて搬送するものである。なお、ピックアップローラ51は、載置部105(昇降板106)に載置されたシートP(最上方のシートP)に対して接離可能に構成されている。すなわち、ピックアップローラ51は、載置部105に載置されたシートPに対して、当接しない退避位置と、当接する当接位置(
図2に示す位置である。)と、の間を移動可能に形成されている。
分離ローラ53は、フィードローラ52との間にニップ部を形成するように設置されている。
そして、分離ローラ53は、ニップ部に1枚のシートPが挟持されたときと、ニップ部にシートPが挟持されていないときと、には、給送方向に沿うように順方向(
図2の破線矢印方向であって、時計方向である。)に回転する。これに対して、分離ローラ53は、ニップ部に複数枚のシートが挟持されたときには、上述した順方向に対して逆方向(
図2の実線矢印方向であって、反時計方向である。)に回転する。これにより、ニップ部に挟持された複数枚のシートPのうち最上方のシートPがフィードローラ52の回転に沿って給送方向に給送されて、下方のシートPが給送方向(順方向)に対して逆方向に搬送されて、シートPの重送が抑止される。
【0018】
ここで、本実施の形態における給送装置13は、ピックアップローラ51が載置部105(昇降板106)に積載された最上方のシートPに当接できるように、載置部105(昇降板106)上に積載されるシートPの枚数によって、昇降板106が上下方向に昇降する。そして、上下方向の位置が調整された載置部105(昇降板106)に載置されたシートPの上面に当接する位置までピックアップローラ51が降下してから、シートPの給送動作がおこなわれることになる。
また、本実施の形態における給送装置13には、載置部105上に載置されたシートPの幅方向(
図2の紙面垂直方向である。)の位置を規制する一対のサイドフェンス101、102(
図3参照)が設けられている。サイドフェンス101、102は、シートPを挟むように幅方向両端部にそれぞれ設置されていて、手動移動機構によってシートPの幅方向のサイズに合わせて幅方向に互いに連動して移動可能に構成されている(幅方向の間隔を増減可能に構成されている)。
また、本実施の形態における給送装置13には、載置部105上に載置されたシートPの給送方向(
図2の左右方向である。)の位置を規制する基準フェンス107とエンドフェンス103とが設けられている。基準フェンス107は、シートPの給送方向下流側の側面(先端)が突き当てられるように設置されている。エンドフェンス103は、シートPの給送方向上流側の側面(後端)に当接するように設置されていて、手動移動機構によってシートPの給送方向のサイズに合わせて給送方向に移動可能に構成されている。
【0019】
このように構成された給送装置13において、載置部105にシートPがセットされていない状態では、その状態がエンド検知センサ(不図示)によって検知されて、ピックアップローラ51が退避位置に退避した状態になっている。
そして、載置部105にシートPがセットされると、その状態がエンド検知センサによって検知されて、ピックアップローラ51が退避位置から当接位置(
図2に示す位置である。)に向けて移動される。
そして、
図2に示すように、載置部105に載置された最上方のシートPの上面にピックアップローラ51が当接した状態でピックアップローラ51の反時計方向の回転駆動が開始されて、同じタイミングでフィードローラ52と分離ローラ53との回転が開始される。これにより、ピックアップローラ51によって載置部105に載置されたシート束PTのうち最上方のシートPが、フィードローラ52と分離ローラ53とのニップ部に向けて搬送されて、さらにそのニップ部から1枚のシートPが画像形成部に向けて分離され搬送されることになる。
また、載置部105に載置されたすべてのシートPが給送されて載置部105にシートPがセットされていない状態になると、その状態がエンド検知センサによって検知されて、ピックアップローラ51が再び退避位置に移動することになる。
【0020】
以下、
図3~
図10等を用いて、本実施の形態における給送装置13(画像形成装置1)において、特徴的な構成・動作について説明する。
本実施の形態における給送装置13は、所定サイズ、所定枚数(例えば、A4サイズ、500枚である。)のシートPが積載された状態(シート束PTの状態である。)で包装されたシートパック300(
図4~
図9等参照)のままセットできるように構成されている。そして、給送装置13内で、シートパック300の包装材301(
図4等参照)がカットされて、給送装置13からのシートPの給送が可能な状態になる。
【0021】
通常、給送装置13においてシートPが無くなったときは、シートパック300においてシート束PTを包装している包装材301(例えば、紙で形成されている。)を除去して、画像形成装置本体1から引き出した給送装置13(給紙トレイ)に、包装材301が除去されたシート束PTをセットする。このとき、シート束PTのシートPが幅方向にズレるなどして、位置ズレした状態のシート束PTが、給送装置13にセットされるおそれがある。
給送装置13には、セットされたシート束PTの幅方向(
図1、
図2の紙面垂直方向である。)の位置を規制する一対のサイドフェンス101、102や、シート束PTの給送方向(
図1、
図2の左右方向である。)の位置を規制する基準フェンス107及びエンドフェンス103が設けられている。しかし、シート束PTの下側に位置するシートPは、上側に位置するものに比べて、シート間の摩擦力が強いため、先に説明したようにエンドフェンス103やサイドフェンス101、102を移動してシート束PTに突き当てたときに移動せずに、上述した位置ズレが解消されにくくなる。
これに対して、本実施の形態における給送装置13は、包装材301を除去していないシートパック300のままセット可能に構成されるとともに、セットされたシートパック300の包装材301を自動で切断(カット)するように構成されているため、上述したような不具合が生じにくくなる。
【0022】
図3に示すように、給送装置13(給紙トレイ)には、固定板108と昇降板106とからなる載置部105が設けられている。この載置部105は、略長方体状のシートパック300(
図4に示すように、シート束PTと、シート束PTを包む包装材301と、からなる。)を載置可能に構成されている。
また、給送装置13には、載置部105に載置されたシートパック300の幅方向の位置を定める一対のサイドフェンス101、102と、載置部105に載置されたシートパック300の給送方向の下流側の位置を定める基準フェンス107と、載置部105に載置されたシートパック300の給送方向の上流側の位置を定めるエンドフェンス103と、が設けられている。
なお、一対のサイドフェンス101,102とエンドフェンス103とは、それぞれ、先に
図2等を用いて説明したものと同様に、シートパック300(シート束PT)のサイズに合わせて移動される。
【0023】
ここで、本実施の形態における給送装置13には、内部にセットされたシートパック300の包装材301を切断するための第1~第3カット部材31a、31b、32a、32b、33a、33bが設けられている。
【0024】
図3、
図6、
図7等を参照して、第1カット部材31a、31bは、第1移動手段80aによって移動されて、載置部105に載置されたシートパック300の4つの側面F3~F6(
図5参照)のうち幅方向(給送方向に直交する方向である。)の一端側に位置する第1側面F6の上部と下部とをそれぞれ給送方向(
図5の矢印方向であって、
図6、
図7の矢印α方向である。)に切断(カット)するものである。
詳しくは、第1カット部材31a、31bは、一対のサイドフェンス101、102のうち幅方向の一端側に位置する第1サイドフェンス102の上部と下部とにおいてそれぞれ給送方向に延びるように形成された矩形穴状の第1案内部102aに沿って移動する。
【0025】
また、第2カット部材32a、32bは、第2移動手段80bによって移動されて、載置部105に載置されたシートパック300の4つの側面F3~F6(
図5参照)のうち給送方向の下流側に位置する第2側面F3の上部と下部とをそれぞれ幅方向(
図6、
図7の矢印β方向である。)に切断するものである。
詳しくは、第2カット部材32a、32bは、基準フェンス107の上部と下部とにおいてそれぞれ幅方向に延びるように形成された矩形穴状の第2案内部107aに沿って移動する。
【0026】
また、第3カット部材33a、33bは、第3移動手段80cによって移動されて、載置部105に載置されたシートパック300の4つの側面F3~F6(
図5参照)のうち幅方向の他端側に位置する第3側面F4の上部と下部とをそれぞれ給送方向(
図5の矢印方向の逆方向であって、
図6、
図7の矢印γ方向である。)に切断するものである。
詳しくは、第3カット部材33a、33bは、一対のサイドフェンス101、102のうち幅方向の他端側に位置する第2サイドフェンス101の上部と下部とにおいてそれぞれ給送方向に延びるように形成された矩形穴状の第3案内部101aに沿って移動する。
【0027】
以下、さらに詳しく説明する。
第1サイドフェンス102には、第1カット部材としての第1上カット部材31aと第1下カット部材31bとが、第1サイドフェンス102のシート規制面から内側(幅方向中央側)に突出するように設けられている。第1上カット部材31aと第1下カット部材31bとは、第1案内部102aに沿って給送方向に水平移動可能に第1サイドフェンス102に設けられている。
同様に、第2サイドフェンス101には、第3カット部材としての第3上カット部材33aと第3下カット部材33bとが、第2サイドフェンス101のシート規制面から内側(幅方向中央側)に突出するように設けられている。第3上カット部材33aと第3下カット部材33bとは、第3案内部101aに沿って給送方向に水平移動可能に第2サイドフェンス101に設けられている。
また、基準フェンス107には、第2カット部材としての第2上カット部材32aと第2下カット部材32bとが、基準フェンス107のシート規制面から内側(給送方向上流側)に突出するように設けられている。第2上カット部材32aと第2下カット部材32bとは、第2案内部107aに沿って幅方向に水平移動可能に基準フェンス107に設けられている。
【0028】
なお、第1~第3カット部材31a、31b、32a、32b、33a、33bは、包装材301に対して
図5の破線f1~f6に示すようなカットを施せるようなものであって、包装材301に接触する部分がカッター状に形成されている。第1~第3カット部材31a、31b、32a、32b、33a、33bのカッター形状としては、両刃形状であっても良いし、片刃形状であっても良い。特に、本実施の形態では、後述するように、第1~第3カット部材31a、31b、32a、32b、33a、33bは、それぞれ、往復移動して包装材301を切断するものではなくて、一方向に移動して包装材301を切断するものなので、その移動方向に合わせて片刃形状とすることができる。
【0029】
さらに具体的に、
図5に示すように、包装材301において、第2サイドフェンス101に対向する給送方向に平行な面部である第3側面F4の上辺f4(上部)が、第3上カット部材33aによりカットされて、第3側面F4の下辺f3(下部)が第3下カット部材33bによりカットされる。
また、包装材301において、第1サイドフェンス102に対向する給送方向に平行な面部である第1側面F6の上辺f5(上部)が、第1上カット部材31aによりカットされて、第1側面F6の下辺f6(下部)が第1下カット部材31bによりカットされる。
また、包装材301において、基準フェンス107に対向する幅方向に平行な面部である第2側面F3の上辺f1(上部)が、第2上カット部材32aによりカットされて、第2側面F3の下辺f2(下部)が第2下カット部材32bによりカットされる。
【0030】
図6は、包装材301を切断するときの第1~第3カット部材31a、31b、32a、32b、33a、33bの動作を示す図である。
図6に示すように、第1カット部材31a、31b(第1上カット部材、及び、第1下カット部材)が同時に矢印α方向へ水平移動することにより、包装材301の第1側面F6の上辺f5と下辺f6がカットされる。
また、第2カット部材32a、32b(第2上カット部材、及び、第2下カット部材)が同時に矢印β方向へ水平移動することにより、包装材301の第2側面F3の上辺f1と下辺f2がカットされる。
また、第3カット部材33a、33b(第3上カット部材、及び、第3下カット部材)が同時に矢印γ方向へ水平移動することにより、包装材301の第3側面F4の上辺f4と下辺f3がカットされる。
【0031】
図7は、第1~第3カット部材31a、31b、32a、32b、33a、33bを移動させる第1~第3移動手段80a~80cを示す図である。
第1カット部材31a、31bを移動させる第1移動手段80aと、第2カット部材32a、32bを移動させる第2移動手段80bと、第3カット部材33a、33bを移動させる第3移動手段80cと、は、同じように構成されているため、以下、第1移動手段80aの構成について詳述して、第2、第3移動手段80b、80cについての説明は適宜省略する。
第1移動手段80aには、第1上カット部材31aと第1下カット部材31bとを支持するとともに、第1サイドフェンス102にスライド移動可能に保持された支持台131が設けられている。この支持台131は、駆動ローラ81aと従動ローラ81bとに張架・支持されたベルト81に固定して取りつけられている。駆動ローラ81aは、ウォームギヤとプーリ歯車とからなる2段歯車を介して、モータ8aから駆動力が伝達される。駆動ローラ81aがモータ8aから駆動力を受けて
図7の反時計方向に回動することで、ベルト81が反時計方向に回転する。これにより、支持台131とともに第1カット部材31a、31bが矢印α方向へ水平移動して、包装材301の第1側面F6の上辺f5と下辺f6とがカットされる。
同様に、第2移動手段80bのモータ8bが、
図7の反時計方向に回動することで、ベルト82が反時計回りに回動して、支持台132とともに第2カット部材32a、32bが矢印β方向へ水平移動する。これにより、包装材301の第2側面F3の上辺f1と下辺f2とがカットされる。
同様に、第3移動手段80cのモータ8cが、
図7の反時計方向に回動することで、ベルト83が反時計方向に回動して、支持台133とともに第3カット部材33a、33bが矢印γ方向へ水平移動する。これにより、包装材301の第3側面F4の上辺f4と下辺f3とがカットされる。
なお、第1~第3カット部材31a、31b、32a、32b、33a、33bは、それぞれ、上述したような包装材301のカットが終了した後に、第1~第3移動手段80a~80cによって基準位置(
図6に示す位置の近傍であって、その後のシートPの給送動作を妨げない位置である。)に戻される。
【0032】
このように、本実施の形態では、第1カット部材31a、31bが、給送方向の上流側から下流側に移動してシートパック300を切断する。また、第2カット部材32a、32bは、幅方向の一端側から他端側に移動してシートパック300を切断する。また、第3カット部材33a、33bは、給送方向の下流側から上流側に移動してシートパック300を切断する。
すなわち、
図6に示すように、上方からみたときに、第1~第3カット部材31a、31b、32a、32b、33a、33bによって、シートパック300は時計方向(同じ回転方向)にカットされることになる。
このように第1~第3カット部材31a、31b、32a、32b、33a、33bを同じ回転方向に移動させることで、第1~第3カット部材31a、31b、32a、32b、33a、33b同士が衝突してしまう不具合が生じにくくなる。特に、第1~第3カット部材31a、31b、32a、32b、33a、33bを基準位置から同時に移動開始するように制御することで、そのような不具合が確実に生じにくくなる。また、そのような同時の移動開始をおこなわなくても、隣接するカット部材がカットを完了する位置に達する前に、その近傍のカット部材の移動開始をおこなうことで、そのような不具合が生じにくくなる。
なお、本実施の形態において、第1カット部材31a、31bを給送方向の下流側から上流側に移動させてシートパック300を切断して、第2カット部材32a、32bを幅方向の他端側から一端側に移動させてシートパック300を切断して、第3カット部材33a、33bを給送方向の上流側から下流側に移動してシートパック300を切断するように構成しても(
図6の逆方向(時計方向)にカットするように構成しても)、同じような効果を得ることができる。
【0033】
図8は、包装材301がカットされた状態のシートパック300(シート束PT)が収納された給送装置13を示す図である。
ユーザーは、シートパック300を給送装置13にセットすると、操作表示パネル100(
図1参照)を操作して、カットモード(シートパック300をカットする制御モードである。)を実行する。なお、給送装置13にシートパック300がセットされたことを検知する検知手段を設けて、その検知手段による検知をトリガーにして自動でカットモードを実行するようにしてもよい。
カットモードが実行されると、先に
図6、
図7を用いて説明したカット動作がおこなわれて、上述したように、包装材301の第1~第3側面F3、F4、F6の上下辺(上部、下部)がカットされる。そして、そのようなカット動作が終了したら、制御部は、操作表示パネル100にカット動作が終了した旨を報知するとともに、画像形成装置本体1から給送装置13を引き出して包装材301の上面F1を捲るように指示を出す。ユーザーは、操作表示パネル100に表示された指示に基づいて、給送装置13を引き出して、包装材301の上面F1を給送方向上流側に捲る。本実施の形態では、包装材301の第2側面F3、第1側面F6、第3側面F4の上辺f1、f4、f5がカットされているため、包装材301の上面F1は、給送方向上流側の第4側面F5(
図5参照)の上辺f7を支点にして、捲ることができる。このように、包装材301の上面F1が捲られることで、
図8(A)に示すように、包装材301に包まれていたシート束PTの上面が露出する。
そして、
図8(A)に示すように、包装材301の上面F1を捲ってシート束PTの上面を露出させたら、給送装置13を画像形成装置本体1に押し込んで、操作表示パネル100に表示された捲り作業完了ボタンを押す。これにより、カット動作が完了する。
【0034】
また、給送装置13からシートPを給送するとき、昇降板106が回転中心軸106aを中心にして、
図8の反時計方向に回動して、最上方のシートPがピックアップローラ51に当接する。このとき、包装材301の第2側面F3、第1側面F6、第3側面F4の下辺f2、f3、f6がカットされているため、第2側面F3、第1側面F6、第3側面F4の給送方向下流側が、昇降板106に積載されている包装材301の下面F2(
図5参照)に追随して上昇することなく、その場に留まる。これにより、
図8(B)に示すように、昇降板106により上昇したシート束PTの給送方向下流側の上部は、包装材301の第2側面F3、第1側面F6、第3側面F4の上辺f1、f4、f5よりも上方に位置することになる。そのため、ピックアップローラ51によりシート束PTの最上方のシートPが給送されるときに、そのシートPが包装材301の第2側面F3などに引っ掛かることなく良好に給紙されることになる。
【0035】
また、第2側面F3、第1側面F6、第3側面F4は、昇降板106とともに上昇することなく、その場に留まり続けるため、
図8(B)に示すように、給送動作が繰り返されることによってシート束PTのシート枚数が減っていってシート束PTの高さが減少しても、給送されるシートPが第2側面F3などに引っ掛かることなく良好に給紙されることになる。
第2側面F3、第1側面F6、第3側面F4は、昇降板106とともに上昇することなく、その場に留まり続けるため、第2側面F3、第1側面F6、第3側面F4が給送装置13の上方に位置する部材にぶつかって、これら側面が押し潰されてしまうような不具合も生じず、良好な給送をおこなうことができる。
【0036】
このように、本実施の形態では、シートパック300の包装材301を給送装置13内でカットして、その包装材301を残したままでシートPの給送を問題なくおこなうことができる。したがって、カットされたシートパック300からシート束PTを取り出して、その取り出したシート束PTを給送装置13にセットする場合に比べて、手間がかからないし、先に説明した給送装置13内におけるシート束PTの位置ズレも生じない。
また、本実施の形態では、包装材301の3つの側面F3、F4、F6をそれぞれ3つのカット部材31a、31b、32a、32b、33a、33bで側面ごとにカットしているため、包装材301の3つの側面F3、F4、F6を1つのカット部材でカットする場合に比べて、3つの側面F3、F4、F6のすべてのカットが完了するまでの時間が短縮化される。
また、本実施の形態では、第1カット部材31a、31bが第1サイドフェンス102に設置されて、第3カット部材33a、33bが第2サイドフェンス101に設置されて、第2カット部材32a、32bが基準フェンス107に設置されていて、第1~第3カット部材31a、31b、32a、32b、33a、33bがそれぞれ独立して対向する側面のカットをおこなうように構成されているため、給送装置13に異なるサイズのシートパック300(シート束PT)がセットされた場合であっても、それぞれのサイズのものに対してカット動作をおこなうことができる(カット可能なサイズが限定されない)。
【0037】
ここで、
図3,
図9,
図10(A)等を参照して、本実施の形態における給送装置13は、第1カット部材31a、31bによって切断される高さ位置と、第2カット部材32a、32bによって切断される高さ位置と、第3カット部材33a、33bによって切断される高さ位置と、が一致するとともに、互いに切断される部分が繋がるように構成されている。
詳しくは、第1案内部102aと第2案内部107aと第3案内部101aとは、互いに隣接するもの同士が同じ高さ位置で連結している。すなわち、第1案内部102aと第2案内部107aと第3案内部101aとが高さ方向にズレることなく、同じ高さ位置で繋がっている。
さらに具体的に、第1上カット部材31aと第2上カット部材32aと第3上カット部材33aとのそれぞれの走行路は、隣接するもの同士の高さがそれぞれ一致していて繋がっている。同様に、第1下カット部材31bと第2下カット部材32bと第3下カット部材33bとのそれぞれの走行路は、隣接するもの同士の高さがそれぞれ一致していて繋がっている。
【0038】
このように構成することにより、
図9、
図10(A)を参照して、第1上カット部材31aによってカットした上辺f5と、第2上カット部材32aによってカットした上辺f1と、が繋がり、第2上カット部材32aによってカットした上辺f1と、第3上カット部材33aによってカットした上辺f4と、が繋がることになる。また、第1下カット部材31bによってカットした下辺f6と、第2下カット部材32bによってカットした下辺f2と、が繋がり、第2上カット部材32aによってカットした上辺f1と、第3下カット部材33bによってカットした下辺f3と、が繋がることになる。すなわち、包装材301が正常にカットされることになる。
これに対して、
図10(B)を参照して、第1カット部材31a、31bと第2カット部材32a、32bと第3カット部材33a、33bとのそれぞれの走行路が、隣接するもの同士の高さが繋がっていない場合には、包装材301が正常にカットされないことになる。
また、
図10(C)を参照して、第1カット部材31a、31bと第2カット部材32a、32bと第3カット部材33a、33bとのそれぞれの走行路が、隣接するもの同士の高さが一致しない場合にも、包装材301が正常にカットされないことになる。
このように、本実施の形態では、第1~第3カット部材31a、31b、32a、32b、33a、33bによって切断される高さ位置が一致するとともに、互いに切断される部分が繋がるように構成されている。そのため、包装材301の切断不良が生じることなく、その切断が完了するまでの時間が短縮化されるとともに、シートパックからシート束を取り出す手間がかからなくなる。
【0039】
<変形例>
変形例としての給送装置13も、
図5を用いて説明したように、第1~第3カット部材31a、31b、32a、32b、33a、33bによって、シートパック300が時計方向(同じ回転方向)にカットされる。
そして、
図11に示すように、変形例としての給送装置13は、第1カット部材31a、31bが、給送方向下流側において第2案内部107aに入り込む位置まで移動可能に構成されている。このように構成することで、カット動作によって、包装材301の第1側面F6の上辺f5と第2側面F3の上辺f1とが確実に繋がった状態で切断されるとともに、包装材301の第1側面F6の下辺f6と第2側面F3の下辺f2とが確実に繋がった状態で切断されることになる。
また、図示は省略するが、変形例としての給送装置13は、第2カット部材32a、23bが、幅方向の他端側において第3案内部101aに入り込む位置まで移動可能に構成されている。このように構成することで、カット動作によって、包装材301の第2側面F3の上辺f1と第3側面F4の上辺f4とが確実に繋がった状態で切断されるとともに、包装材301の第2側面F3の下辺f2と第3側面F4の下辺f3とが確実に繋がった状態で切断されることになる。
なお、第1~第3カット部材31a、31b、32a、32b、33a、33bによって、シートパック300が
図6の反時計方向(
図6のカット方向に対して逆方向)にカットされる場合には、第3カット部材33a、33bが給送方向下流側において第2案内部107aに入り込む位置まで移動可能に構成するとともに、第2カット部材32a、32bが幅方向の一端側において第1案内部102aに入り込む位置まで移動可能に構成することで、上述したものと同様の効果を得ることができる。
【0040】
ここで、
図11を参照して、第1案内部102aと第2案内部107aと第3案内部101aとを1つの部材として形成することもできる。
具体的に、一対のサイドフェンス101、102と基準フェンス107とを1つの部材として一体的に設けることで、それぞれのフェンスを別々に設ける場合に比べて、部品のバラツキなどなく第1案内部102aと第2案内部107aと第3案内部101aとが同じ高さ位置で簡単に繋ぐことができる。そのため、包装材301の切断不良が生じることなく、その切断が完了するまでの時間が短縮化されるとともに、シートパック300からシート束PTを取り出す手間がかからなくなる。
なお、このような構成は、セットされるシートパック300(シート束PT)のサイズが1つに定められていて、一対のサイドフェンス101、102の幅方向の位置が固定されている給送装置(例えば、
図1の下段の給送装置13のサイドフェンスを移動可能なものとして、上段の給送装置12のサイドフェンスを移動できないものとしたときの、上段の給送装置12である。)に適していることになる。
【0041】
以上説明したように、本実施の形態における給送装置は、シートPを所定の給送方向に給送する給送装置13であって、シート束PTと、シート束PTを包む包装材301と、からなる略長方体状のシートパック300を載置可能な載置部105が設けられている。また、載置部105に載置されたシートパック300の4つの側面F3~F6のうち給送方向に直交する幅方向の一端側に位置する第1側面F6の上部と下部とをそれぞれ給送方向に切断する第1カット部材31a、31bが設けられている。また、載置部105に載置されたシートパック300の4つの側面F3~F6のうち給送方向の下流側に位置する第2側面F3の上部と下部とをそれぞれ幅方向に切断する第2カット部材32a、32bが設けられている。さらに、載置部105に載置されたシートパック300の4つの側面F3~F6のうち幅方向の他端側に位置する第3側面F4の上部と下部とをそれぞれ給送方向に切断する第3カット部材33a、33bが設けられている。そして、第1カット部材31a、31bによって切断される高さ位置と、第2カット部材32a、32bによって切断される高さ位置と、第3カット部材33a、33bによって切断される高さ位置と、が一致するとともに、互いに切断される部分が繋がる。
これにより、シートパック300における包装材301の切断が完了するまでの時間が短縮化されるとともに、シートパック300からシート束PTを取り出す手間がかからなくなる。
【0042】
なお、本実施の形態では、モノクロの画像形成装置1に設置される給送装置13に対して本発明を適用したが、カラーの画像形成装置に設置される給送装置に対しても当然に本発明を適用することができる。
また、本実施の形態では、電子写真方式の画像形成装置1に設置される給送装置13に対して本発明を適用したが、本発明の適用はこれに限定されることなく、その他の方式の画像形成装置(例えば、インクジェット方式の画像形成装置や、孔版印刷機などである。)に設置される給送装置に対しても本発明を適用することができる。
また、本実施の形態では、画像形成装置1の内部に設置された給送装置13に対して本発明を適用したが、画像形成装置1の外部に露呈するように設置される給送装置に対しても本発明を適用することができる。
そして、それらのような場合であっても、本実施の形態のものと同様の効果を得ることができる。
【0043】
また、本実施の形態では、載置部105の一部(昇降板106である。)のみを昇降可能に構成したが、載置部105の全部を昇降可能に構成することもできる。
また、本実施の形態では、給送装置13内に設置されたシートパック300の包装材301のカットが終了した後に、画像形成装置本体1から給送装置13を一時的に引出して上面F1を手動で捲るように構成した。これに対して、給送装置13に上面F1を捲る捲り機構を設けて、給送装置13内に設置されたシートパック300の包装材301のカットが終了した後に、画像形成装置本体1から給送装置13を引出すことなく、捲り機構によって上面F1を自動で捲るように構成することもできる。
そして、それらのような場合であっても、本実施の形態のものと同様の効果を得ることができる。
【0044】
なお、本発明が本実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、本実施の形態の中で示唆した以外にも、本実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また、前記構成部材の数、位置、形状等は本実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。
【0045】
なお、本願明細書等において、「シート」とは、通常の用紙(紙)の他に、コート紙、ラベル紙、OHPシート等のシート状の記録媒体のすべてを含むものと定義する。
【符号の説明】
【0046】
1 画像形成装置(画像形成装置本体)、
13 給送装置、
31a、31b 第1カット部材、
32a、32b 第2カット部材、
33a、33b 第3カット部材、
80a 第1移動手段(第1移動機構)、
80b 第2移動手段(第2移動機構)、
80c 第3移動手段(第3移動機構)、
101 第2サイドフェンス(サイドフェンス)、
101a 第3案内部、
102 第1サイドフェンス(サイドフェンス)、
102a 第1案内部、
103 エンドフェンス、
105 載置部、
107 基準フェンス、
107a 第2案内部、
300 シートパック、
301 包装材、
F1 上面、 F2 下面、 F3 第2側面、
F4 第3側面、 F5 第4側面、 F6 第1側面、
P シート、 PT シート束。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0047】