(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-08
(45)【発行日】2025-01-17
(54)【発明の名称】液体吐出装置、及び液体吐出方法
(51)【国際特許分類】
B41J 2/165 20060101AFI20250109BHJP
B41J 2/175 20060101ALI20250109BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20250109BHJP
B41J 2/17 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
B41J2/165 401
B41J2/175 501
B41J2/175 111
B41J2/175 121
B41J2/175 503
B41J2/01 401
B41J2/165 501
B41J2/17
B41J2/17 201
(21)【出願番号】P 2021072386
(22)【出願日】2021-04-22
【審査請求日】2024-02-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】濱口 昌也
(72)【発明者】
【氏名】戸田 直博
(72)【発明者】
【氏名】石川 禎一郎
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 敏哉
(72)【発明者】
【氏名】船田 康平
(72)【発明者】
【氏名】柴崎 英尚
(72)【発明者】
【氏名】大村 裕二
【審査官】岩本 太一
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-269291(JP,A)
【文献】国際公開第2017/154793(WO,A1)
【文献】特開2014-080008(JP,A)
【文献】特開2012-020235(JP,A)
【文献】特開2002-248794(JP,A)
【文献】特開2006-272830(JP,A)
【文献】特開2007-190882(JP,A)
【文献】特開2005-271266(JP,A)
【文献】特開2006-015637(JP,A)
【文献】特開2001-219574(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の液体吐出ヘッドと、
第1の液体を貯留する第1貯留部と、
第2の液体を貯留する第2貯留部と、
前記複数の液体吐出ヘッドの各々に前記第1の液体を送液する第1送液部と、
気体を用いて前記複数の液体吐出ヘッドの各々に前記第2の液体を送液する第2送液部と、
第1マニホールドを含み、前記複数の液体吐出ヘッドの各々と、前記第1貯留部と、の間で前記第1の液体が送液される第1流路と、
第2マニホールドを含み、前記複数の液体吐出ヘッドの各々と、前記第2貯留部と、の間で前記第2の液体が送液される第2流路と、
前記第1マニホールドと、対応する前記液体吐出ヘッドと、の間の流路に設けられ、それぞれが、前記複数の液体吐出ヘッドの各々に送液される液体を前記第1の液体又は前記第2の液体の何れか一方に切り替える
複数の切替部と、
前記
複数の切替部
の各々による切替を制御する制御部と、
前記気体が流れる気体流路の開閉量を調整する空気規制部と、
前記気体の圧力を測定する気圧測定部と、を有し、
前記第1流路と前記第2流路は長さが異なり、
前記空気規制部は、前記気圧測定部による測定結果に基づき、前記気体が流れる気体流路の開閉量を調整する液体吐出装置。
【請求項2】
前記複数の液体吐出ヘッドのうち、吐出異常が生じた前記液体吐出ヘッドを検知する異常検知部を有し、
前記制御部は、前記吐出異常の検知結果に基づき、前記
複数の切替部
の各々による切替を制御する請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項3】
前記異常検知部は、前記複数の液体吐出ヘッドの各々に送液される前記第1の液体の流量に基づき、前記吐出異常を検知する請求項2に記載の液体吐出装置。
【請求項4】
前記液体吐出装置は、前記第1の液体を吐出することで記録媒体に画像を形成し、
前記異常検知部は、前記記録媒体に形成された前記画像に基づき、前記吐出異常を検知する請求項2に記載の液体吐出装置。
【請求項5】
前記第2マニホールドには、前記第2流路内を送液される前記第2の液体を加熱する加熱部が設けられている請求項1乃至4の何れか1項に記載の液体吐出装置。
【請求項6】
前記複数の液体吐出ヘッドの各々から前記第2の液体が排出される排出経路と、
前記排出経路を通って排出された前記第2の液体が貯留される廃液貯留部と、をさらに有する請求項1乃至5の何れか1項に記載の液体吐出装置。
【請求項7】
無停電電源装置をさらに有する請求項1乃至
6の何れか1項に記載の液体吐出装置。
【請求項8】
前記第2マニホールドは、重力方向における前記複数の液体吐出ヘッドの各々よりも高い位置に配置されており、
前記液体吐出ヘッドに送液される液体を、前記第1の液体又は前記第2の液体の何れかに一方に手動で切替可能な手動切替部をさらに有する請求項1乃至
7の何れか1項に記載の液体吐出装置。
【請求項9】
複数の液体吐出ヘッドと、
第1の液体を貯留する第1貯留部と、
第2の液体を貯留する第2貯留部と、
前記複数の液体吐出ヘッドの各々に前記第1の液体を送液する第1送液部と、
気体を用いて前記複数の液体吐出ヘッドの各々に前記第2の液体を送液する第2送液部と、
第1マニホールドを含み、前記複数の液体吐出ヘッドの各々と、前記第1貯留部と、の間で前記第1の液体が送液される第1流路と、
第2マニホールドを含み、前記複数の液体吐出ヘッドの各々と、前記第2貯留部と、の間で前記第2の液体が送液される第2流路と、
前記第1マニホールドと、対応する前記液体吐出ヘッドと、の間の流路に設けられ、それぞれが、前記複数の液体吐出ヘッドの各々に送液される液体を、前記第1の液体又は前記第2の液体の何れか一方に切り替える
複数の切替部と、
前記気体が流れる気体流路の開閉量を調整する空気規制部と、
前記気体の圧力を測定する気圧測定部と、を有する液体吐出装置による液体吐出方法であって、
前記第1流路と前記第2流路は長さが異なり、
異常検知部により、前記複数の液体吐出ヘッドのうち、吐出異常が生じた前記液体吐出ヘッドを検知する工程と、
制御部により、前記吐出異常の検知結果に基づき、前記
複数の切替部
の各々による切替を制御する工程と、
前記空気規制部により、前記気圧測定部による測定結果に基づき、前記気体が流れる気体流路の開閉量を調整する工程と、を含む液体吐出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体吐出装置、及び液体吐出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の液体吐出ヘッドを有する液体吐出装置が知られている。液体吐出ヘッドは、長期間吐出が行われずに内部のインクが増粘すること等により、吐出異常が生じる場合がある。吐出異常が生じた液体吐出ヘッドには洗浄が求められる。
【0003】
複数の液体吐出ヘッドを洗浄可能な液体吐出装置として、複数のヘッドブロックを有するインクジェットヘッドを有し、複数のヘッドブロックのうち、選択された1つのヘッドブロックに洗浄液を流すものが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の装置では、選択された1つのヘッドブロックに洗浄液を流すため、複数の液体吐出ヘッドを効率的に洗浄できない懸念がある。
【0005】
本発明は、複数の液体吐出ヘッドを効率的に洗浄することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る液体吐出装置は、複数の液体吐出ヘッドと、第1の液体を貯留する第1貯留部と、第2の液体を貯留する第2貯留部と、前記複数の液体吐出ヘッドの各々に前記第1の液体を送液する第1送液部と、気体を用いて前記複数の液体吐出ヘッドの各々に前記第2の液体を送液する第2送液部と、第1マニホールドを含み、前記複数の液体吐出ヘッドの各々と、前記第1貯留部と、の間で前記第1の液体が送液される第1流路と、第2マニホールドを含み、前記複数の液体吐出ヘッドの各々と、前記第2貯留部と、の間で前記第2の液体が送液される第2流路と、前記第1マニホールドと、対応する前記液体吐出ヘッドと、の間の流路に設けられ、それぞれが、前記複数の液体吐出ヘッドの各々に送液される液体を前記第1の液体又は前記第2の液体の何れか一方に切り替える複数の切替部と、前記複数の切替部の各々による切替を制御する制御部と、前記気体が流れる気体流路の開閉量を調整する空気規制部と、前記気体の圧力を測定する気圧測定部と、を有し、前記第1流路と前記第2流路は長さが異なり、前記空気規制部は、前記気圧測定部による測定結果に基づき、前記気体が流れる気体流路の開閉量を調整する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、複数の液体吐出ヘッドを効率的に洗浄できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態に係る画像形成装置の全体構成例を示す図である。
【
図2】第1実施形態に係る液体供給部の構成例を示す正面図である。
【
図3】第1実施形態に係る液体供給部の構成例を示す側面図である。
【
図4】加圧側洗浄液マニホールドに設けられた加熱部を示す図であり、
図4(a)は側面図、
図4(b)は正面図である。
【
図5】廃液排出経路及び廃液タンクを説明する図である。
【
図6】気体流路における空気規制部を説明する図である。
【
図7】無停電電源装置の利用例を説明する図である。
【
図8】流路の手動切替のための構成例を示す図である。
【
図9】第2実施形態に係る液体供給部の構成例を示す正面図である。
【
図10】第2実施形態に係る制御部の機能構成例を示すブロック図である。
【
図11】第2実施形態に係る画像形成装置の動作例のフローチャートである。
【
図12】吐出異常の検知手段の他の例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について詳細に説明する。各図面において、同一の構成部分には同一符号を付し、重複した説明を適宜省略する。
【0010】
なお、以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するための液体吐出装置を例示するものであって、本発明を以下に示す実施形態に限定するものではない。以下に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、特定的な記載がない限り、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、例示することを意図したものである。また図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため、誇張している場合がある。
【0011】
以下、長尺の記録媒体に液体吐出方式で画像を形成する画像形成装置を液体吐出装置の一例として説明する。長尺の記録媒体は、例えば連続用紙である。なお、実施形態の用語における画像形成、記録、印字、印写、印刷は何れも同義語とする。
【0012】
[第1実施形態]
<画像形成装置100の構成例>
図1は、画像形成装置100の構成の一例を示す図である。
図1は、連続用紙102の搬送方向30と略直交する方向から透視した画像形成装置100の内部を示している。
【0013】
図1に示すように、画像形成装置100は、液体供給部110と、インクジェットヘッド103と、を有する。搬送方向30におけるインクジェットヘッド103の上流側には巻出部101が設けられている。搬送方向30におけるインクジェットヘッド103の下流側には、ヒートドラム105、温風乾燥部106、搬送ローラ107及び巻取部108が各々設けられている。また、インクジェットヘッド103に向き合う位置にはプラテン104が設けられている。
【0014】
画像形成装置100は、巻出部101及び巻取部108により連続用紙102を搬送しながら、インクジェットヘッド103により吐出されたインクを連続用紙102に付与することで、連続用紙102に画像を形成する。以下、各構成部について詳細に説明する。
【0015】
(巻出手段、巻取手段)
本実施形態では、連続用紙102の巻出手段には巻出部101を、連続用紙102の巻取手段には巻取部108を用いる。巻出部101は、ロール状に収納された連続用紙102を回転させることで、連続用紙102を画像形成装置100の搬送経路に供給する。巻取部108は、画像が形成された連続用紙102を巻き取ってロール状に収納する。
【0016】
(搬送手段)
プラテン104は、連続用紙102を、搬送経路に沿って搬送されるようにガイドする。また搬送ローラ107の他、符号のつけられていない搬送ローラ等も搬送手段として用いている。搬送手段と巻出手段及び巻取手段とによって、連続用紙102の搬送手段を構成する。
【0017】
他の工程にも関連するが、画像形成装置100による画像形成速度としては、30[m/分]~100[m/分]であることが好ましい。これにより、高速の画像形成が求められる場合にも好適に用いることができる。
【0018】
連続用紙102は、搬送方向30に沿って連続する用紙である。画像形成装置100は、巻出部101と巻取部108の間の搬送経路に沿って連続用紙102を搬送する。連続用紙102の搬送方向30に沿う長さは、少なくとも巻出部101と巻取部108の間の搬送経路よりも長い。画像形成装置100は、連続用紙102に対し、連続して画像形成を行うことができる。
【0019】
(インク)
インクは、複数のインクジェットヘッドの各々により吐出される第1の液体の一例である。インクジェットヘッドから吐出可能な粘度や表面張力を備えるものであればよく、特に限定されないが、常温、常圧下において、または加熱、冷却により粘度が30[mPa・s]以下となるものであることが好ましい。
【0020】
より具体的には、水や有機溶媒等の溶媒、染料、顔料、重合性化合物、樹脂、界面活性剤等の機能性付与材料、DNA、アミノ酸やたんぱく質、カルシウム等の生体適合材料、天然色素等の可食材料等を含む溶液、懸濁液、エマルジョン等である。これらは例えば、印刷用インク、表面処理液、電子素子や発光素子の構成要素や電子回路レジストパターン等の各種デバイスの形成用液等の用途で用いることができる。
【0021】
(液体供給部)
液体供給部110は、インクジェットヘッド103に含まれている複数のインクジェットヘッドの各々に対し、インク及び洗浄液を供給する。洗浄液は、複数のインクジェットヘッドの各々の内部を洗浄するための液体であり、第2の液体の一例である。
【0022】
(液体吐出ヘッド)
液体吐出ヘッドは、インクを吐出して、連続用紙102上にインクを付与する。画像形成装置100は、
図1に示すように、液体吐出ヘッドの一例としてインクジェットヘッド103を有する。
【0023】
画像形成装置100は、インクジェットヘッド103として、連続用紙102の搬送方向30に沿ってインクジェットヘッド103A、103B、103C及び103Dを備え、また搬送方向30と交差する連続用紙102の幅方向にも複数のインクジェットヘッドを備えている。以降では、インクジェットヘッド103に含まれている複数のインクジェットヘッドを、特に区別しない場合には、複数のインクジェットヘッド103と総称する。
【0024】
インクジェットヘッド103は、連続用紙102の幅方向に沿って複数のノズルが配列されたノズル列を複数有する。インクジェットヘッド103は、ノズルからのインクの吐出方向が連続用紙102に向くように設けられている。
【0025】
インクジェットヘッド103は、例えばライン型のインクジェットヘッドである。ライン型のインクジェットヘッドとは、連続用紙102の幅方向の全幅にわたってインクを吐出するノズルが配置されたインクジェットヘッドをいう。
【0026】
画像形成装置100が産業用途で用いられる場合には、長時間連続して画像形成を行うため、ライン型のヘッドを用いた場合、形成される画像の形態によっては、長時間インクの吐出が行われない一部のノズルが存在する。それらのノズルでは、ノズル中のインクの乾燥やインク中の粒子成分の沈降等により、インク中のインク成分が不均一になり、吐出異常が生じる場合がある。
【0027】
そのため、インクを吐出しないノズルにおいて、ノズル内のインクの界面を振動させることや吐出ヘッド中のインクを常時循環させることが好ましい。ノズル内のインクの界面を振動させることや吐出ヘッド中のインクを常時循環させることにより、ノズル内のインクと、ノズルに連通する圧力室等のインクジェットヘッドにおけるインク流路内のインクとを均一な状態にでき、ノズル内におけるインクの不均一性を抑制できる。これにより、吐出異常による異常画像をより抑制できる。なお、ノズル内のインクの界面とは、大気又は気体と接するインクの界面である。
【0028】
インクジェットヘッド103において、インクに刺激を印加してインクを吐出させる手段としては、目的に応じて適宜選択でき、例えば、加圧装置、圧電素子、振動発生装置、超音波発振器、ライト等を使用できる。具体的には、圧電素子等の圧電アクチュエータ、温度変化による金属相変化を用いる形状記憶合金アクチュエータ、静電力を用いる静電アクチュエータ等がある。
【0029】
これらの中でも、特にインクジェットヘッド103内のインク流路内にある圧力室(液室等とも称する)と呼ばれる位置に接着された圧電素子に電圧を印加するものが好ましい。このインクジェットヘッド103は、電圧の印加により圧電素子が撓み、圧力室の容積が縮小することで圧力室中のインクを加圧し、ノズルからインクを液滴として吐出する。
【0030】
インクジェットヘッド103は、インクジェット吐出ユニットを備える。インクジェット吐出ユニットとは、インクジェットヘッド103からのインク吐出に関連する機能部品、機構の集合体である。インクジェット吐出ユニットは、供給機構、維持回復機構、液体吐出ヘッド移動機構の構成の少なくとも一つをインクジェットヘッド103と組み合わせたもの等を含む。
【0031】
(乾燥手段)
乾燥手段は、インクが吐出された後に、連続用紙102上のインクを乾燥させる手段である。
図1では、ヒートドラム105と、温風乾燥部106とを含んで乾燥手段200を構成している。
【0032】
ヒートドラム105は回転可能なドラムである。ヒートドラム105はインクが付与されて搬送される連続用紙102に外周面を接触させ、連続用紙102を加熱又は冷却する。
【0033】
ヒートドラム105による温度調節方法は、ヒートドラム105の内部に充填した液体又は気体を熱交換媒体として連続用紙102を加熱又は冷却する方法やヒートドラム105の内部に熱源装置を設ける方法等である。乾燥手段200は、ヒートドラム105の内部に充填した液体又は気体を熱交換媒体として用い、ヒートドラム105の外部に設けられたチラー等の外部装置との間を循環させることで、熱交換媒体を所定の温度に維持する。乾燥手段200は、この熱交換媒体との熱交換により連続用紙102を加熱又は冷却して所定の温度に調節する。
【0034】
ヒートドラム105の内部に流す液体は、水やオイル等の流動性を有するものであれば、特に制限はないが、取り扱いが容易である水が望ましい。ヒートドラム105内部に流す気体としては加温された空気を用いることがコストや安全面で望ましい。
【0035】
乾燥手段200は、チラー等の外部装置との間で循環する液体又は気体を、ヒートドラム105の両端部(搬送方向30と直交する方向の端部)に設けられたバルブを介して、ヒートドラム105の内部に吸入し、また外部に排出する。
【0036】
またヒートドラム105の内部に熱源装置を設ける方法は、熱源装置としてハロゲンヒーターや赤外線ヒータや、ニクロムヒータ等を含む。
【0037】
温風乾燥部106は、ヒートドラム105の外周面に対向して設けられ、幅方向に延伸する開口を備えたノズルを含む。温風乾燥部106は、ヒートドラム105に巻き付けられた連続用紙102にノズルから温風を吹き送ることで、連続用紙102を加熱して連続用紙102上のインクを乾燥させる。また温風乾燥部106に代え、又は温風乾燥部106に加えて赤外線加熱器を備え、連続用紙102の表面に赤外線を照射して連続用紙102上のインクを乾燥させることもできる。
【0038】
ヒートドラム105の温度や、温風乾燥部106による温風温度、温風乾燥部106が吹き送る温風の風速が、インクに用いる溶剤の乾燥性や使用する被塗布材へのダメージの影響に応じて適切な範囲に設定されると、乾燥に必要な消費電力が低減する。
【0039】
<液体供給部110の構成例>
図2及び
図3を参照して、画像形成装置100が有する液体供給部110の構成について説明する。
図2は液体供給部110の構成の一例を示す正面図、
図3は側面図である。
【0040】
図2及び
図3に示すように、液体供給部110は、加圧側インクタンク1aと、減圧側インクタンク1bと、インク送液部2aと、インク吸液部2bと、加圧側インク流路4aと、減圧側インク流路4bと、を有する。また加圧側洗浄液タンク9aと、減圧側洗浄液タンク9bと、洗浄液送液部8aと、洗浄液吸液部8bと、加圧側洗浄液流路7aと、減圧側洗浄液流路7bと、電磁弁6と、制御部10と、を有する。
【0041】
加圧側インクタンク1aは、インクを貯留する第1貯留部の一例である。インク送液部2aは、複数のインクジェットヘッド103の各々に対してインクを送液する。例えば、インク送液部2aは加圧した空気を用いてインクを送液する空気圧機構である。
【0042】
加圧側インク流路4aは、加圧側インクマニホールド3aを含み、複数のインクジェットヘッド103の各々と、加圧側インクタンク1aと、の間でインクが流れる第1流路の一例である。例えば、加圧側インク流路4aは、加圧側インクマニホールド3aを経路に含むインクチューブ等により構成される。以降に示す加圧側インク流路4a以外の各流路についても、同様に主にインクチューブを含んで構成可能である。
【0043】
加圧側インクマニホールド3aは、加圧側インクタンク1aと、複数のインクジェットヘッド103の各々と、を連通させるための分岐流路であり、第1マニホールドの一例である。インク送液部2aは、加圧側インクタンク1aにより貯留されているインクを、加圧側インク流路4aを通して複数のインクジェットヘッド103に供給できる。
【0044】
また、インク吸液部2bは、複数のインクジェットヘッド103内のインクを吸液し、減圧側インク流路4bを通して減圧側インクタンク1bに送液する。例えば、インク吸液部2bは減圧した空気を用いてインクを送液する空気圧機構である。減圧側インク流路4bは、減圧側インクマニホールド3bを含み、複数のインクジェットヘッド103の各々と、減圧側インクタンク1bと、の間でインクが流れる流路である。減圧側インクマニホールド3bは、減圧側インクタンク1bと、複数のインクジェットヘッド103の各々と、を連通させるための分岐流路である。
【0045】
加圧側インクタンク1aと、減圧側インクタンク1bと、は連通しており、インクは、加圧側インクタンク1a、インクジェットヘッド103及び減圧側インクタンク1bの各々を通って循環できる。
【0046】
加圧側洗浄液タンク9aは、洗浄液を貯留する第2貯留部の一例である。洗浄液送液部8aは、複数のインクジェットヘッド103の各々に対して洗浄液を送液する。例えば、洗浄液送液部8aは加圧した空気を用いてインクを送液する空気圧機構である。
【0047】
加圧側洗浄液流路7aは、加圧側洗浄液マニホールド5aを含み、複数のインクジェットヘッド103の各々と、加圧側洗浄液タンク9aと、の間で洗浄液が流れる第2流路の一例である。加圧側洗浄液マニホールド5aは、加圧側洗浄液タンク9aと、複数のインクジェットヘッド103の各々と、を連通させるための分岐流路であり、第2マニホールドの一例である。洗浄液送液部8aは、加圧側洗浄液タンク9aにより貯留されている洗浄液を、加圧側洗浄液流路7aを通して複数のインクジェットヘッド103に供給できる。
【0048】
また、洗浄液吸液部8bは、複数のインクジェットヘッド103内の洗浄液を吸液し、減圧側洗浄液流路7bを通して減圧側洗浄液タンク9bに送液する。例えば、洗浄液吸液部8bは減圧した空気を用いてインクを送液する空気圧機構である。
【0049】
減圧側洗浄液流路7bは、減圧側洗浄液マニホールド5bを含み、複数のインクジェットヘッド103の各々と、減圧側洗浄液タンク9bと、の間で洗浄液が流れる流路である。減圧側洗浄液マニホールド5bは、減圧側洗浄液タンク9bと、複数のインクジェットヘッド103の各々と、を連通させるための分岐流路である。
【0050】
加圧側洗浄液タンク9aと、減圧側洗浄液タンク9bと、は連通しており、洗浄液は、加圧側洗浄液タンク9a、インクジェットヘッド103及び減圧側洗浄液タンク9bの各々を通って循環できる。
【0051】
電磁弁6は、複数のインクジェットヘッド103の各々に送液される液体を、インク又は洗浄液の何れか一方に切り替える切替部の一例である。電磁弁6は、複数のインクジェットヘッド103と対になるように複数の電磁弁を有しており、対になるインクジェットヘッド103に送液される液体を、弁の開閉により切り替える。例えばインクを送液する場合には、インク側の弁を開放し、洗浄液側の弁を閉鎖する。洗浄液を送液する場合には、インク側の弁を閉鎖し、洗浄液側の弁を開放する。
【0052】
制御部10は、電磁弁6に制御信号を出力することにより、電磁弁6による切替を制御する。制御部10の機能は、ソフトウェア(CPU;Central Processing Unit)によって実現することができる。また複数の回路又は複数のソフトウェアによってこれらの機能が実現されてもよい。
【0053】
例えば、複数のインクジェットヘッド103のうち、吐出異常のインクジェットヘッド103が生じた場合には、制御部10は、電磁弁6を動作させることで、吐出異常が生じたインクジェットヘッド103に洗浄液を送液し、インクの送液を停止させる。洗浄液を流すことにより、吐出異常が生じたインクジェットヘッド103が洗浄され、吐出異常の回復が促進される。
【0054】
吐出異常が生じたインクジェットヘッド103は、例えば、画像形成装置100により連続用紙102に形成された画像を、画像形成装置100のユーザが視認することで特定される。ユーザは、異常を認識すると、画像形成装置100に備えられている操作部を用いて、吐出異常が生じたインクジェットヘッドを指定する。制御部10は、ユーザにより指定されたインクジェットヘッドを示す指定信号に基づき電磁弁6を動作させることで、吐出異常が生じたインクジェットヘッド103に対し、洗浄液を送液し、インクの送液を停止させる。これにより、吐出異常が生じたインクジェットヘッド103を選択的に洗浄することができる。
【0055】
<洗浄液を加熱する加熱部の構成例>
ここで、加圧側洗浄液マニホールド5a及び減圧側洗浄液マニホールド5bの少なくとも一方には、加圧側洗浄液流路7a内を送液される洗浄液を加熱する加熱部が設けられていてもよい。
図4は、加圧側洗浄液マニホールド5aに設けられたヒータ51を示す図であり、
図4(a)は側面図、
図4(b)は正面図である。ヒータ51は洗浄液を加熱する加熱部の一例である。
【0056】
図4に示すように、加圧側洗浄液マニホールド5aの内部には、ヒータ51が設けられている。ヒータ51は、温度制御装置52からの制御信号により発熱し、加圧側洗浄液マニホールド5aの内部でヒータ51の周囲を通る洗浄液を加熱できる。温度制御装置52は、ヒータ51により加熱された洗浄液の温度が略一定になるようにヒータ51の発熱を制御する。
【0057】
洗浄液がインクジェットヘッド103を洗浄するための洗浄力は、洗浄液の温度に比例して向上する。例えば、樹脂を含有するラテックスインクであれば、洗浄液の温度を40[℃]とすることで、浸漬後の洗浄性が向上し、大部分の固形分が洗浄液内に分散する。
【0058】
そのため、加圧側洗浄液マニホールド5aに設けられたヒータ51により洗浄液を加熱し、洗浄液の温度を所定温度にすることで、異常発生時におけるインクジェットヘッド103の洗浄効果を向上させることができる。
【0059】
<洗浄液排出経路の構成例>
液体供給部110は、インクジェットヘッド103の洗浄に使用された洗浄液を廃液として排出するための廃液排出経路と、排出経路を通って排出された洗浄液を廃液として貯留する廃液タンクを備えることもできる。
【0060】
図5は、廃液排出経路11及び廃液タンク12を説明する図である。
図5に示すように、液体供給部110は、一端が電磁弁6に接続する廃液排出経路11と、廃液排出経路11の他端に接続されている廃液タンク12と、を有する。また、加圧側洗浄液マニホールド5aと減圧側洗浄液マニホールド5bとの間には送液ポンプ13が設けられており、加圧側洗浄液マニホールド5aと減圧側洗浄液マニホールド5bとの間を洗浄液が循環可能になっている。フィルタ14は、循環される洗浄液内の異物を濾過して取り除く。
【0061】
インクジェットヘッド103の内部に洗浄液を送液すると、インクジェットヘッド103内に充填されていたインクと、送液された洗浄液と、が混ざり合う。混合液体は、廃液として、廃液排出経路11の内部を通って廃液タンク12に排出される。廃液が排出される際には、廃液タンク12は減圧されているため、インクジェットヘッド103から廃液タンク12に向けて一方向に廃液を送液できる。廃液タンク12は廃液貯留部の一例である。
【0062】
この構成により、インクジェットヘッド103に洗浄液を送液した際に、インクジェットヘッド103の内部における混合液体を洗浄液にほぼ完全に置換できるため、洗浄後の不純物を抑制し、洗浄効果をより向上させることができる。
【0063】
<気体流路における空気規制部の配置例>
ここで、加圧側インク流路4a及び減圧側インク流路4bの各々と、加圧側洗浄液流路7a及び減圧側洗浄液流路7bの各々は、配置される位置の違いに従って流路の長さが異なっている。流路の長さが異なることにより、インク送液部2aにより加圧された空気の圧力は、洗浄液送液部8aにより加圧された空気の圧力と異なっている。またインク吸液部2bにより減圧された空気の圧力は、洗浄液吸液部8bにより減圧された空気の圧力と異なっている。これらの結果、インクジェットヘッド103に対して過加圧或いは過減圧の状態になることで、インクジェットヘッド103のノズル孔からインクが漏れ出して連続用紙102を汚染したり、ノズル孔から空気が吸い込まれて不吐出又は吐出曲がり等の吐出異常が生じたりしやすくなる。
【0064】
そのため、洗浄液送液部8aは、気体を用いて洗浄液を送液し、液体供給部110は、気体が流れる気体流路の開閉量を調整する規制部と、該気体の圧力を測定する気圧測定部と、を有してもよい。
図6は、気体流路に設けられた規制部を説明する図である。
【0065】
図6に示すように、液体供給部110は、洗浄液送液部8aと、加圧側洗浄液マニホールド5aと、の間に加圧側気体流路15aを有し、また洗浄液吸液部8bと、減圧側洗浄液マニホールド5bと、の間に減圧側気体流路15bを有している。加圧側気体流路15aには加圧側圧力計16aと加圧側レギュレータ17aが設けられており、減圧側気体流路15bには減圧側圧力計16bと減圧側レギュレータ17bが設けられている。加圧側圧力計16aは、気圧測定部の一例であり、加圧側レギュレータ17aは、空気規制部の一例である。
【0066】
加圧側圧力計16aは、加圧側洗浄液マニホールド5aに作用する前の気圧を測定する。加圧側レギュレータ17aは、加圧側圧力計16aによる測定値に基づき、洗浄液送液部8aの気圧を調整する。
【0067】
減圧側圧力計16bは、減圧側洗浄液マニホールド5bに作用する前の気圧を測定する。減圧側レギュレータ17bは、減圧側圧力計16bによる測定値に基づき、洗浄液吸液部8bの気圧を調整する。
【0068】
この構成により、インクジェットヘッド103へインクを送液する状態から洗浄液を送液する状態に切り替えた場合に、インク送液と洗浄液送液との間における流路の長さの相違又は流体抵抗の相違に伴う圧力変動で、インクジェットヘッド103からインク又は洗浄液が漏れ出したり、空気が吸い込まれたりすることを抑制できる。
【0069】
<無停電電源装置の利用例>
画像形成装置100では、雷や送電線の断線により予期しないタイミングで画像形成装置100への電力供給が停止された場合に、インクジェットヘッド103内のインクが増粘すること等でインクジェットヘッド103が故障する場合がある。
【0070】
そのため、画像形成装置100は、無停電電源装置を有することもできる。
図7は無停電電源装置の利用の一例を説明する図である。
図7に示すように、画像形成装置100は、無停電電源装置300を有する。
【0071】
無停電電源装置300は、雷や送電線の断線により画像形成装置100への電力供給が停止された場合に、画像形成装置100に電力を供給する予備電源である。画像形成装置100は、無停電電源装置300から電力が供給される状態になった場合に、インクジェットヘッド103内のインクを洗浄液に置き換える動作を行う。これにより、画像形成装置100に電力が供給されない状態が長時間継続した場合にも、インクジェットヘッド103内のインクが増粘すること等によるインクジェットヘッド103の故障リスクを低減できる。
【0072】
<流路の手動切替例>
雷や送電線の断線により画像形成装置100への電力供給が停止された場合に、インクジェットヘッド103に洗浄液が供給されるように、流路を手動で切替可能にしてもよい。
【0073】
図8は、流路の手動切替のための構成の一例を示す図である。
図8に示すように、液体供給部110は、加圧側気体手動弁18aと、減圧側気体手動弁18bと、加圧側液体手動弁19aと、減圧側液体手動弁19bと、を有する。
【0074】
加圧側気体手動弁18aは、加圧側インクマニホールド3aに接続する加圧側気体流路15aに設けられており、インクジェットヘッド103に気圧がかかった状態と、かかっていない状態を切り替える開閉弁である。減圧側気体手動弁18bは、減圧側インクマニホールド3bに接続する減圧側気体流路15bに設けられており、インクジェットヘッド103に気圧がかかった状態と、かかっていない状態を切り替える開閉弁である。
【0075】
加圧側液体手動弁19aは、加圧側インクマニホールド3a及び加圧側洗浄液マニホールド5aの各々と、インクジェットヘッド103と、の間に設けられている。加圧側液体手動弁19aは、インクジェットヘッド103に送液される液体を、インク又は洗浄液の何れか一方に手動で切替可能な開閉弁であり、手動切替部の一例である。減圧側液体手動弁19bは、減圧側インクマニホールド3b及び減圧側洗浄液マニホールド5bの各々と、インクジェットヘッド103と、の間に設けられている。減圧側液体手動弁19bは、インクジェットヘッド103に送液される液体を、インク又は洗浄液の何れかに手動で切替可能な開閉弁であり、手動切替部の一例である。
【0076】
加圧側洗浄液マニホールド5a及び減圧側洗浄液マニホールド5bは、インクジェットヘッド103よりも重力方向で位置エネルギーの高い箇所に配置されていることが好ましい。また、加圧側洗浄液マニホールド5a及び減圧側洗浄液マニホールド5bは、半透明の撥水性が良いフッ素樹脂がコーティングされている窓が設けられていることがより好ましい。これらにより、画像形成装置100への電力供給が停止した場合にも、ユーザによるインクジェットヘッド103の以下の長期保管処理が可能になる。
【0077】
(長期保管処理)
(1)加圧側気体手動弁18a及び減圧側気体手動弁18bを閉じる。これによりインクジェットヘッド103に気圧がかからないようにする。
(2)加圧側液体手動弁19a及び減圧側液体手動弁19bにより、インクジェットヘッド103に洗浄液が供給されるように流路を切り替える。
(3)上記(1)と(2)により、水頭差でインクジェットヘッド103に向けて洗浄液が流れ込む。
(4)上記(3)と同時に、インクジェットヘッド103内のインクと、洗浄液の混合流体がインクジェットヘッド103のノズル孔から排出される。
(5)洗浄液が所定量(例えばインクジェットヘッド103の容量と同程度)排出されたことを、加圧側洗浄液マニホールド5a及び減圧側洗浄液マニホールド5bの各々に設けられた半透明の窓からユーザにより視認された後、加圧側液体手動弁19a及び減圧側液体手動弁19bを閉じる。
【0078】
以上の長期保管処理により、停電時であってもインクジェットヘッド103の故障を防止できる。
【0079】
<画像形成装置100の作用効果>
以上説明したように、本実施形態では、複数のインクジェットヘッド103(液体吐出ヘッド)と、インク(第1の液体)を貯留する加圧側インクタンク1a(第1貯留部)と、洗浄液(第2の液体)を貯留する加圧側洗浄液タンク9a(第2貯留部)と、を有する。また複数のインクジェットヘッド103の各々にインクを送液するインク送液部2a(第1送液部)と、複数のインクジェットヘッド103の各々に洗浄液を送液する洗浄液送液部8a(第2送液部)と、を有する。また加圧側インクマニホールド3a(第1マニホールド)を含み、複数のインクジェットヘッドの各々と、加圧側インクタンク1aと、の間でインクが送液される加圧側インク流路4a(第1流路)と、加圧側洗浄液マニホールド5a(第2マニホールド)を含み、複数のインクジェットヘッド103の各々と、加圧側洗浄液タンク9aと、の間で洗浄液が送液される加圧側洗浄液流路7a(第2流路)と、を有する。さらに、複数のインクジェットヘッド103の各々に送液される液体を、インク又洗浄液の何れか一方に切り替える電磁弁6と、電磁弁6による切替を制御する制御部10と、を有する。
【0080】
複数のインクジェットヘッド103ごとにインク又は洗浄液の何れかの一方の送液を切り替えできるため、複数のインクジェットヘッド103のうち、吐出異常が生じたインクジェットヘッド103を選択的に洗浄できる。また、吐出異常が生じたインクジェットヘッド103が複数あった場合にも、複数の吐出異常のインクジェットヘッド103を並行して洗浄できる。このようにして、複数のインクジェットヘッド103を効率的に洗浄することができる。
【0081】
[第2実施形態]
図9は、第2実施形態に係る画像形成装置100aが有する液体供給部110aの構成の一例を示す正面図である。
【0082】
図9に示すように、液体供給部110aは、流量計20と、制御部10aと、を有する。流量計20は、加圧側インク流路4a又は減圧側インク流路4bの少なくとも一方に、複数のインクジェットヘッド103の各々と対になるように設けられている。流量計20は、複数のインクジェットヘッド103の各々に送液されるインクの流量を計測する。流量計20には、電磁式、超音波式、羽根車式又はタービン式等の様々な方式の流量計を使用できる。
【0083】
図10は、制御部10aの機能構成の一例を示すブロック図である。
図10に示すように制御部10aは、異常検知部121と、切替制御部122と、を有する。これらの各機能は、ソフトウェアによって実現できる。また複数の回路又は複数のソフトウェアによってこれらの機能が実現されてもよい。
【0084】
異常検知部121は、流量計20による計測結果を入力し、該計測結果に基づいて、複数のインクジェットヘッド103のうちの吐出異常のインクジェットヘッドを検知する。例えば、異常検知部121は、流量計20による計測結果が示す流量が予め定められた流量閾値以下である場合に、該流量計20と対になるインクジェットヘッド103において吐出異常が生じていることを検知する。或いは、異常検知部121は、流量の変化が所定の流量変化閾値以上である場合に、該流量計20と対になるインクジェットヘッド103において吐出異常が生じていることを検知することもできる。異常検知部121は、吐出異常が検知された場合に、吐出異常が生じたインクジェットヘッド103を示す情報を切替制御部122に出力する。
【0085】
切替制御部122は、異常検知部121による検知結果に基づいて、吐出異常が生じたインクジェットヘッド103に洗浄液が送液させるように、吐出異常が生じたインクジェットヘッド103と対になる電磁弁6を動作させる。
【0086】
図10は、画像形成装置100aの動作の一例を示すフローチャートである。
図11は、ユーザによる画像形成の開始操作等に応じて、画像形成装置100aが画像形成を開始する時点をトリガーにし、吐出異常が生じた場合に、吐出異常が生じたインクジェットヘッド103を洗浄後、画像形成を再開する動作を示している。
【0087】
まず、ステップS111において、制御部10aにおける異常検知部121は、複数のインクジェットヘッド103のうち、吐出異常が生じたインクジェットヘッドがあるか否かを判定する。
【0088】
ステップS111で吐出異常が生じたインクジェットヘッドがあると判定された場合には(ステップS111、Yes)、異常検知部121は吐出異常が生じたインクジェットヘッド103を示す情報を切替制御部122に出力し、その後、画像形成装置100aはステップS112に動作を移行する。一方、吐出異常が生じたインクジェットヘッドがないと判定された場合には(ステップS111、No)、画像形成装置100aはステップS111の動作を再度行う。
【0089】
続いて、ステップS112において、画像形成装置100aは、インクジェットヘッド103によるインクの吐出制御と、連続用紙102の搬送と、を停止させることで、画像形成を停止する。
【0090】
続いて、ステップS113において、画像形成装置100aは、吐出異常が生じたインクジェットヘッド103をメンテナンス位置へ移動させる。メンテナンス位置は、例えば連続用紙102上の画像を形成しない領域等である。インクジェットヘッド103を移動させてもよいし、連続用紙102を搬送することで、連続用紙102上の画像を形成しない領域にインクジェットヘッド103を相対移動させてもよい。
【0091】
続いて、ステップS114において、切替制御部122は、吐出異常が生じたインクジェットヘッド103に対して洗浄液が送液させるように、電磁弁6を動作させる。
【0092】
続いて、ステップS115において、液体供給部110aは、吐出異常が生じたインクジェットヘッド103に対して洗浄液を送液する。
【0093】
続いて、ステップS116において、画像形成装置100aは、吐出異常が生じたインクジェットヘッド103に空吐出を実行させる。ここで、空吐出とは、画像を形成するための吐出ではない吐出であって、インクジェットヘッド103内の増粘インクや気泡を含むインクを排出させるための吐出をいう。
【0094】
続いて、ステップS117において、画像形成装置100aは、吐出異常が生じたインクジェットヘッド103内のインクを吸引する。この吸引は、画像形成装置100aに設けられている吸引ポンプ等により行うことができる。
【0095】
続いて、ステップS118において、切替制御部122は、吐出異常が生じたインクジェットヘッド103に対してインクが送液されるように、電磁弁6を動作させる。
【0096】
続いて、ステップS119において、液体供給部110aは、吐出異常が生じたインクジェットヘッド103に対してインクを送液する。
【0097】
続いて、ステップS120において、画像形成装置100aは、吐出異常が生じたインクジェットヘッド103に対してワイピングを実行する。ワイピングとは、インクジェットヘッド103においてノズル孔が設けられているノズル板をワイパー部材等で拭き取る動作をいう。
【0098】
続いて、ステップS121において、画像形成装置100aは、インクジェットヘッド103によるインクの吐出制御と、連続用紙102の搬送と、を再開させることで、画像形成を再開する。
【0099】
続いて、ステップS121において、画像形成装置100aは、画像形成を終了するか否かを判定する。
【0100】
ステップS121で、終了すると判定された場合には(ステップS122、Yes)、画像形成装置100aは動作を終了し、終了しないと判定された場合には(ステップS122、No)、画像形成装置100aはステップS111以降の動作を再度行う。
【0101】
このようにして、画像形成装置100aは、吐出異常が生じた場合にも、吐出異常が生じたインクジェットヘッド103を洗浄後、画像形成を行うことができる。
【0102】
ここで、本実施形態では、流量計20による測定結果に基づき、吐出異常を検知する例を示したが、吐出異常を検知する手段は、これに限定されるものではない。
図12は、吐出異常を検知する手段の他の例を示す図である。
【0103】
図12に示すように、画像形成装置100aは、搬送方向30におけるインクジェットヘッド103の下流側にカメラ21を有する。カメラ21は、複数のインクジェットヘッド103によるインクの吐出で、連続用紙102上に形成された画像を撮影し、撮影画像を制御部10aに送信する。制御部10aにおける異常検知部121は、撮影画像を画像処理することにより、吐出異常を検知し、吐出異常が生じたインクジェットヘッド103を示す情報を切替制御部122に出力する。
【0104】
画像処理による吐出異常の検知方法には、特に制限はされないが、例えばベタ画像等の吐出異常検知のための所定の画像を形成し、画像のスジや抜け等を画像処理で検出する方法等を適用できる。
【0105】
<画像形成装置100aの作用効果>
以上説明したように、本実施形態では、複数のインクジェットヘッド103のうち、吐出異常のインクジェットヘッド103を検知する異常検知部121を有し、制御部10aは、吐出異常の検知結果に基づき、電磁弁6による切替動作を制御する。
【0106】
これにより、複数のインクジェットヘッド103のうち、吐出異常が生じたインクジェットヘッド103を自動的に検知し、選択的に洗浄液を送液して洗浄を行える。また吐出異常が生じたインクジェットヘッド103が複数ある場合には、吐出異常が生じた複数のインクジェットヘッド103に対し、選択的に洗浄液を送液し、並行して洗浄できる。これにより、複数のインクジェットヘッド103をより効率的に洗浄することができる。
【0107】
複数のインクジェットヘッド103の各々に送液されるインクの流量に基づき、吐出異常を検知すると、画像形成を行っていない状態であっても異常を検知でき、複数のインクジェットヘッド103の洗浄及びメンテナンスがよりやりやすくなる。
【0108】
一方、インクを吐出することにより、連続用紙102(記録媒体)に画像を形成し、連続用紙102に形成された画像に基づき、吐出異常を検知すると、画像形成中に、吐出異常が生じたインクジェットヘッド103を洗浄できる。これにより、画像形成の中断を防ぎ、画像形成の生産性を高く確保するとともに、複数のインクジェットヘッド103を効率的に洗浄することができる。
【0109】
なお、吐出異常が生じたインクジェットヘッド103が画像形成に使用されるインクジェットヘッドであるか否かを判定し、画像形成の中断当否を決定することもできる。吐出異常が生じたインクジェットヘッド103が画像形成に使用されないものであれば画像形成を継続し、使用されるものであれば画像形成を停止する。画像形成装置100aが有する表示パネルに、吐出異常が生じたインクジェットヘッド103を示す情報又は関連する情報、画像形成の中断当否が表示されるようにしてもよい。
【0110】
以上、実施形態を説明したが、本発明は、具体的に開示された上記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。
【0111】
また、実施形態の説明で用いた序数、数量等の数字は、全て本発明の技術を具体的に説明するために例示するものであり、本発明は例示された数字に制限されない。また、構成要素間の接続関係は、本発明の技術を具体的に説明するために例示するものであり、本発明の機能を実現する接続関係はこれに限定されない。
【0112】
また、実施形態は、液体吐出方法も含む。例えば、液体吐出方法は、複数の液体吐出ヘッドと、第1の液体を貯留する第1貯留部と、第2の液体を貯留する第2貯留部と、前記複数の液体吐出ヘッドの各々に前記第1の液体を送液する第1送液部と、前記複数の液体吐出ヘッドの各々に前記第2の液体を送液する第2送液部と、第1マニホールドを介し、前記複数の液体吐出ヘッドの各々と、前記第1貯留部と、の間で前記第1の液体が送液される第1流路と、第2マニホールドを介し、前記複数の液体吐出ヘッドの各々と、前記第2貯留部と、の間で前記第2の液体が送液される第2流路と、前記複数の液体吐出ヘッドの各々に送液される液体を、前記第1の液体又は前記第2の液体の何れか一方に切り替える切替部と、を有する液体吐出装置による液体吐出方法であって、前記複数の液体吐出ヘッドのうち、吐出が異常である前記液体吐出ヘッドを検知する工程と、前記異常の検知結果に基づき、前記切替部による切替を制御する工程と、を含む。このような液体吐出方法により、上述した液体吐出装置と同様の効果を得ることができる。
【0113】
上記で説明した実施形態の各機能は、一又は複数の処理回路によって実現することが可能である。ここで、本明細書における「処理回路」とは、電子回路により実装されるプロセッサのようにソフトウェアによって各機能を実行するようプログラミングされたプロセッサや、上記で説明した各機能を実行するよう設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(digital signal processor)、FPGA(field programmable gate array)や従来の回路モジュール等のデバイスを含むものとする。
【符号の説明】
【0114】
1 インクカートリッジ(貯留部の一例)
100 画像形成装置(液体吐出装置の一例)
102 連続用紙(記録媒体の一例)
103 インクジェットヘッド(液体吐出ヘッドの一例)
110 液体供給部
1a 加圧側インクタンク(第1貯留部の一例)
1b 減圧側インクタンク
2a インク送液部(第1送液部の一例)
2b インク吸液部
3a 加圧側インクマニホールド(第1マニホールドの一例)
3b 減圧側インクマニホールド
4a 加圧側インク流路(第1流路の一例)
4b 減圧側インク流路
5a 加圧側洗浄液マニホールド(第2マニホールドの一例)
5b 減圧側洗浄液マニホールド
51 ヒータ(加熱部の一例)
52 温度制御装置
6 電磁弁
7a 加圧側洗浄液流路(第2流路の一例)
7b 減圧側洗浄液流路
8a 洗浄液送液部(第2送液部の一例)
8b 洗浄液吸液部
9a 加圧側洗浄液タンク(第2貯留部の一例)
9b 減圧側洗浄液タンク
10、10a 制御部
121 異常検知部
122 切替制御部
11 廃液排出経路
12 廃液タンク(廃液貯留部の一例)
13 送液ポンプ
14 フィルタ
15a 加圧側気体流路(気体流路の一例)
15b 減圧側気体流路
16a 加圧側圧力計(気圧測定部の一例)
16b 減圧側圧力計
17a 加圧側レギュレータ(空気規制部の一例)
17b 減圧側レギュレータ
300 無停電電源装置
18a 加圧側気体手動弁(手動切替部の一例)
18b 減圧側気体手動弁
19a 加圧側液体手動弁
19b 減圧側液体手動弁
20 流量計
21 カメラ
30 搬送方向
【先行技術文献】
【特許文献】
【0115】