(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-08
(45)【発行日】2025-01-17
(54)【発明の名称】エポキシ(メタ)アクリレート樹脂、硬化性樹脂組成物、硬化物及び物品
(51)【国際特許分類】
C08G 59/17 20060101AFI20250109BHJP
C08F 290/14 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
C08G59/17
C08F290/14
(21)【出願番号】P 2021072511
(22)【出願日】2021-04-22
【審査請求日】2024-02-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000002886
【氏名又は名称】DIC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100177471
【氏名又は名称】小川 眞治
(74)【代理人】
【識別番号】100163290
【氏名又は名称】岩本 明洋
(74)【代理人】
【識別番号】100149445
【氏名又は名称】大野 孝幸
(72)【発明者】
【氏名】山田 駿介
(72)【発明者】
【氏名】恩田 真司
【審査官】赤澤 高之
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-113550(JP,A)
【文献】特開平08-259663(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G
C08F
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表されるエポキシ樹脂(A)と、
不飽和一塩基酸(B)と、
を必須の反応原料とすることを特徴とするエポキシ(メタ)アクリレート樹脂。
【化1】
〔式(1)中、Gはグリシジル基であり、R
1はそれぞれ独立して水素原子又はアルキル基であり、R
2はそれぞれ独立して水素原子又はアルキル基であり、R
3はそれぞれ独立して水素原子、アルキル基又はアリール基であり、nは0~3の整数であり、mは0~6の整数であり、lは1~4の整数であり、n+lは4である。〕
【請求項2】
前記一般式(1)におけるR
2及びR
3が水素原子である請求項1記載のエポキシ(メタ)アクリレート樹脂。
【請求項3】
前記不飽和一塩基酸(B)が有する酸基のモル数が、前記エポキシ樹脂(A)が有するエポキシ基1モルに対して、0.2~0.8の範囲である請求項1又は2記載のエポキシ(メタ)アクリレート樹脂。
【請求項4】
前記エポキシ(メタ)アクリレート樹脂が、エポキシ基及び(メタ)アクリロイル基を有するものである請求項1~3の何れか1項記載のエポキシ(メタ)アクリレート樹脂。
【請求項5】
請求項1~4の何れか1項記載のエポキシ(メタ)アクリレート樹脂と、光重合開始剤とを含有することを特徴とする硬化性樹脂組成物。
【請求項6】
さらに、(メタ)アクリレートモノマーを含有するものである請求項5記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項7】
請求項5又は6記載の硬化性樹脂組成物の硬化物。
【請求項8】
請求項7記載の硬化物からなる塗膜を有することを特徴とする物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エポキシ(メタ)アクリレート樹脂、硬化性樹脂組成物、硬化物及び物品に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、紫外線等の活性エネルギー線により硬化可能な活性エネルギー線硬化性組成物や、熱により硬化可能な熱硬化性組成物などの硬化性組成物は、インキ、塗料、コーティング剤、接着剤、光学部材等の分野において広く用いられている。なかでも、前記コーティング剤用途としては、一般に、各種基材表面へ意匠性を付与できるとともに、優れた硬化性を有しており、また、基材表面の劣化を防止可能な塗膜を形成できることが求められている。さらに、近年は、得られた硬化物の耐熱性だけでなく優れた誘電特性を有する材料が産業界から求められている。
【0003】
従来の活性エネルギー線硬化性組成物としては、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂とアクリル酸と無水フタル酸とを反応させて得られる中間体に、更にテトラヒドロ無水フタル酸を反応させて得られるエポキシアクリレート樹脂を含む感光性樹脂組成物が知られているが(例えば、特許文献1参照。)、耐熱性においては今後ますます高まる要求特性を満足するものではなく、また、誘電特性においても昨今の市場要求に対し十分なものではなかった。
【0004】
そこで、耐熱性に加え、優れた誘電特性を有する材料が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、優れた耐熱性及び誘電特性を有する硬化物を形成可能なエポキシ(メタ)アクリレート樹脂、硬化性樹脂組成物、硬化物及び物品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討を行った結果、特定のエポキシ樹脂と、不飽和一塩基酸とを必須の反応原料とするエポキシ(メタ)アクリレート樹脂を用いることによって、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
【0008】
すなわち、本発明は、下記一般式(1)で表されるエポキシ樹脂(A)と、不飽和一塩基酸(B)と、を必須の反応原料とすることを特徴とするエポキシ(メタ)アクリレート樹脂、硬化性樹脂組成物、硬化物及び物品に関するものである。
【0009】
【化1】
〔式(1)中、Gはグリシジル基であり、R
1はそれぞれ独立して水素原子又はアルキル基であり、R
2はそれぞれ独立して水素原子又はアルキル基であり、R
3はそれぞれ独立して水素原子、アルキル基又はアリール基であり、nは0~3の整数であり、mは0~6の整数であり、lは1~4の整数であり、n+lは4である。〕
【発明の効果】
【0010】
本発明のエポキシ(メタ)アクリレート樹脂は、優れた耐熱性及び誘電特性を有する硬化物を形成可能なことから、前記エポキシ(メタ)アクリレート樹脂と光重合開始剤とを含有した硬化性樹脂組成物は、コーティング剤や接着剤として好適に用いることができる。なお、本発明でいう「優れた誘電特性」とは、低誘電率及び低誘電正接のことを云う。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明のエポキシ(メタ)アクリレート樹脂は、エポキシ樹脂(A)と、不飽和一塩基酸(B)とを必須の反応原料とすることを特徴とする。
【0012】
なお、本発明において、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート及び/またはメタクリレートを意味する。また、「(メタ)アクリロイル」とは、アクリロイル及び/またはメタクリロイルを意味する。さらに、「(メタ)アクリル」とは、アクリル及び/またはメタクリルを意味する。
【0013】
前記エポキシ樹脂(A)としては、下記一般式(1)で表されるものを用いる。
【0014】
【化2】
〔式(1)中、Gはグリシジル基であり、R
1はそれぞれ独立して水素原子又はアルキル基であり、R
2はそれぞれ独立して水素原子又はアルキル基であり、R
3はそれぞれ独立して水素原子、アルキル基又はアリール基であり、nは0~3の整数であり、mは0~6の整数であり、lは1~4の整数であり、n+lは4である。〕
【0015】
前記アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、へキシル基、オクチル基、シクロへキシル基等の炭素原子数1~8のアルキル基が挙げられる。
【0016】
前記アリール基としては、例えば、フェニル基、アルコキシフェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アルコキシナフチル基等の炭素原子数6~20のアリール基が挙げられる。
【0017】
前記エポキシ樹脂(A)のエポキシ当量としては、優れた耐熱性及び誘電特性を有する硬化物を形成可能なエポキシ(メタ)アクリレート樹脂が得られることから、160~300g/当量の範囲が好ましく、170~270g/当量の範囲がより好ましく、170~250g/当量の範囲がさらに好ましい。
【0018】
また、前記エポキシ樹脂(A)の150℃における溶融粘度としては、優れた耐熱性及び誘電特性を有する硬化物を形成可能なエポキシ(メタ)アクリレート樹脂が得られることから、0.1~2dPa・sの範囲が好ましく、0.1~1dPa・sの範囲がより好ましい。
【0019】
前記エポキシ樹脂(A)の製造方法としては、例えば、多官能フェノール樹脂をエポキシ化する方法等が挙げられる。
【0020】
前記エポキシ化の方法は、特に制限されず、公知技術を適宜適用することができるが、例えば、多官能フェノール樹脂をエピハロヒドリンと反応させてエポキシ化させる方法等が挙げられる。
【0021】
前記多官能フェノール樹脂としては、例えば、下記一般式(2)で表されるもの等が挙げられる。
【0022】
【化3】
〔式(2)中、R
1はそれぞれ独立して水素原子又はアルキル基であり、R
2はそれぞれ独立して水素原子又はアルキル基であり、R
3はそれぞれ独立して水素原子、アルキル基又はアリール基であり、nは0~3の整数であり、mは0~6の整数であり、lは1~4の整数であり、n+lは4である。〕
【0023】
なお、前記式(2)において、ナフタレン環と置換基を有していてもよいメチレン基との結合位置は任意であり、水酸基を有する環上であっても、水酸基を有さない環上で結合していてもよいことを示すものであり、lが2以上の場合、同一構造であっても異なる構造であってもよい。
【0024】
前記アルキル基としては、上述したアルキル基と同様のものを用いることができる。
【0025】
前記アリール基としては、上述したアリール基と同様のものを用いることができる。
【0026】
前記多官能フェノール樹脂の製造方法としては、例えば、特に限定されず、どのような方法で製造してもよい。例えば、ナフトール化合物とカテコール化合物とアルデヒド化合物とを反応させて得る方法等が挙げられる。
【0027】
前記ナフトール化合物としては、例えば、置換基を有していてもよいα-ナフトール、β-ナフトール、各種ジヒドロキシナフタレン等が挙げられる。これらのナフトール化合物は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。また、これらの中でも優れた耐熱性及び誘電特性を有する硬化物を形成可能なエポキシ(メタ)アクリレート樹脂が得られることから、無置換のβ-ナフトールを用いることが好ましい。
【0028】
前記カテコール化合物としては、例えば、カテコール、メチルカテコール、n-ブチルカテコール、sec-ブチルカテコール、t-ブチルカテコール、4-オクチルカテコール、3,5-ジ-t-ブチルカテコール等が挙げられる。これらのカテコール化合物は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0029】
前記アルデヒド化合物としては、例えば、ホルムアルデヒド、トリオキサン、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、テトラオキシメチレン、ポリオキシメチレン、クロラール、ヘキサメチレンテトラミン等が挙げられる。これらのアルデヒド化合物は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。また、これらの中でも優れた耐熱性及び誘電特性を有する硬化物を形成可能なエポキシ(メタ)アクリレート樹脂が得られることから、ホルムアルデヒドを用いることが好ましい。前記ホルムアルデヒドは、水溶液の状態であるホルマリンとして用いてもよいし、固形の状態であるパラホルムアルデヒドとして用いてもよい。
【0030】
また、ナフトール化合物とカテコール化合物との使用割合としては、優れた耐熱性及び誘電特性を有する硬化物を形成可能なエポキシ(メタ)アクリレート樹脂が得られることから、モル比でナフトール化合物/カテコール化合物=7/3~3/7の範囲で用いることが好ましい。
【0031】
前記原料の使用割合としては、分子量分布制御の観点から、ナフトール化合物とカテコール化合物の合計1モルに対して、アルデヒド化合物を0.1~1.1モルの範囲が好ましい。
【0032】
前記ナフトール化合物と、前記カテコール化合物と、前記アルデヒド化合物との反応は、通常のノボラック化反応と同様の条件で実施することができる。また、必要に応じて有機溶剤中で行ってもよく、さらに、必要に応じて反応触媒を用いてもよい。
【0033】
前記有機溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、ヘプタン、ヘキサン、ミネラルスピリット等の炭化水素系溶剤、メチルエチルケトン、アセトン、ジメチルホルムアミド、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジメチルアセトアミド等のケトン溶剤;テトラヒドロフラン、ジオキソラン等の環状エーテル溶剤;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル溶剤;トルエン、キシレン、ソルベントナフサ等の芳香族溶剤;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環族溶剤;カルビトール、セロソルブ、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、シクロヘキサノール、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのアルコール溶剤;プロピルエーテル、メチルセロソルブ、セロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルカルビトール等のエーテル系溶剤;アルキレングリコールモノアルキルエーテル、ジアルキレングリコールモノアルキルエーテル、ジアルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート等のグリコールエーテル溶剤;大豆油、亜麻仁油、菜種油、サフラワー油等の植物油脂;メトキシプロパノール、シクロヘキサノン、メチルセロソルブ、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等が挙げられる。これらの有機溶剤は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。また、前記有機溶剤の使用量としては、前記ナフトール化合物、及び前記カテコール化合物の使用量の合計に100質量部に対して、10~1000質量部の範囲が好ましい。
【0034】
前記反応触媒としては、例えば、塩酸、硫酸、リン酸等の無機酸、シュウ酸、パラトルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸等の有機酸などが挙げられる。これらの反応触媒は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。また、前記反応触媒の使用量としては、前記ナフトール化合物、及び前記カテコール化合物の使用量の合計100質量部に対して1~20質量部の範囲が好ましい。
【0035】
前記ナフトール化合物と、前記カテコール化合物と、前記アルデヒド化合物との反応における反応温度としては、60~180℃の範囲であることが好ましく、反応で生成する水は留去しながら実施することが好ましい。また、反応時間は、1~16時間が好ましく、2~12時間がより好ましい。
【0036】
前記反応によって、前記一般式(2)で表される多官能フェノール樹脂が得られるが、その他副生成物を含むことがある。この副生成物を除去して、前記一般式(2)で表される化合物のみを取り出して用いてもよいが、副生成物を含んだままエポキシ樹脂(A)の前駆体として用いることもできる。
【0037】
また、前記多官能フェノール樹脂は、本発明の効果を損なわない範囲で、その他のフェノール性水酸基を有する化合物を併用してもよい。
【0038】
前記その他のフェノール性水酸基を有する化合物としては、例えば、分子内にフェノール性水酸基を少なくとも1つ有する化合物を用いることができる。
【0039】
前記分子内にフェノール性水酸基を少なくとも1つ有する化合物としては、例えば、下記一般式(1-1)~(1-4)で表される化合物が挙げられる。
【0040】
【0041】
上記一般式(1-1)~(1-4)において、R1は、炭素原子数1~20のアルキル基、炭素原子数1~20のアルコキシ基、アリール基、ハロゲン原子の何れかであり、R2は、それぞれ独立して、水素原子又はメチル基である。また、pは、0又は1以上の整数であり、好ましくは0又は1~3の整数であり、より好ましくは0又は1であり、さらに好ましくは0である。qは、1以上の整数であり、好ましくは、2又は3である。なお、上記一般式における芳香環上の置換基の位置については、任意であり、例えば、一般式(1-2)のナフタレン環においてはいずれの環上に置換していてもよく、一般式(1-3)では、1分子中に存在するベンゼン環のいずれの環上に置換していてもよく、一般式(1-4)では、1分子中に存在するベンゼン環のいずれかの環上に置換していてもよいことを示し、1分子中における置換基の個数がp及びqであることを示している。
【0042】
また、前記その他のフェノール性水酸基を有する化合物としては、例えば、分子内にフェノール性水酸基を少なくとも1つ有する化合物と下記一般式(x-1)~(x-5)の何れかで表される化合物とを必須の反応原料とする反応生成物なども用いることができる。また、分子内にフェノール性水酸基を少なくとも1つ有する化合物の1種又は2種以上を反応原料とするノボラック型フェノール樹脂なども用いることができる。
【0043】
【0044】
[式(x-1)中、hは0又は1である。式(x-2)~(x-5)中、R3は、炭素原子数1~20のアルキル基、炭素原子数1~20のアルコキシ基、アリール基、ハロゲン原子の何れかであり、iは、0又は1~4の整数である。式(x-2)、(x-3)及び(x-5)中、Zは、それぞれ独立してビニル基、ハロメチル基、ヒドロキシメチル基、アルキルオキシメチル基の何れかである。式(x-5)中、Yは、炭素原子数1~4のアルキレン基、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基の何れかであり、jは1~4の整数である。]
【0045】
これらのその他のフェノール性水酸基を有する化合物は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0046】
前記エピハロヒドリンとしては、例えば、エピクロルヒドリン、エピブロモヒドリン、β-メチルエピクロルヒドリン、β-メチルエピブロモヒドリン等が挙げられる。これらのエピハロヒドリンは、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。また、これらの中でもエピクロルヒドリンが好ましい。
【0047】
前記多官能フェノール樹脂と前記エピハロヒドリンとの反応は、例えば、前記多官能フェノール樹脂に含まれる水酸基1モルに対し、前記エピハロヒドリンを1~10モルを添加し、更に、原料の水酸基1モルに対し0.9~2.0モルの塩基性触媒を一括添加又は徐々に添加しながら20~120℃の温度で0.5~10時間反応させる方法等が挙げられる。この塩基性触媒は固形でもその水溶液を使用してもよく、水溶液を使用する場合は、連続的に添加すると共に、反応混合物中から減圧下、又は常圧下、連続的に水及びエピハロヒドリンを留出せしめ、更に分液して水は除去しエピハロヒドリンは反応混合物中に連続的に戻す方法でもよい。
【0048】
なお、工業生産を行う際、エポキシ樹脂生産の初バッチでは仕込みに用いるエピハロヒドリンの全てが新しいものであるが、次バッチ以降は、粗反応生成物から回収されたエピハロヒドリンと、反応で消費される分で消失する分に相当する新しいエピハロヒドリンとを併用することが好ましい。この際、グリシドール等、エピクロルヒドリンと水、有機溶剤等との反応により誘導される不純物を含有していても良い。
【0049】
前記塩基性触媒としては、例えば、N-メチルモルフォリン、ピリジン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン-7(DBU)、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン-5(DBN)、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、トリ-n-ブチルアミンもしくはジメチルベンジルアミン、ブチルアミン、オクチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、イミダゾール、1-メチルイミダゾール、2,4-ジメチルイミダゾール、1,4-ジエチルイミダゾール、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-(N-フェニル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3-(2-アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3-(2-アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド等のアミン化合物類;トリオクチルメチルアンモニウムクロライド、トリオクチルメチルアンモニウムアセテート等の四級アンモニウム塩類;トリメチルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン等のホスフィン類;テトラメチルホスホニウムクロライド、テトラエチルホスホニウムクロライド、テトラプロピルホスホニウムクロライド、テトラブチルホスホニウムクロライド、テトラブチルホスホニウムブロマイド、トリメチル(2-ヒドロキシルプロピル)ホスホニウムクロライド、トリフェニルホスホニウムクロライド、ベンジルホスホニウムクロライド等のホスホニウム塩類;ジブチル錫ジラウレート、オクチル錫トリラウレート、オクチル錫ジアセテート、ジオクチル錫ジアセテート、ジオクチル錫ジネオデカノエート、ジブチル錫ジアセテート、オクチル酸錫、1,1,3,3-テトラブチル-1,3-ドデカノイルジスタノキサン等の有機錫化合物;オクチル酸亜鉛、オクチル酸ビスマス等の有機金属化合物;オクタン酸錫等の無機錫化合物;無機金属化合物などが挙げられる。また、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩及びアルカリ金属水酸化物等を用いることもできる。これらの塩基性触媒は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0050】
前記多官能フェノール樹脂と前記エピハロヒドリンとの反応は、必要に応じて有機溶剤中で行ってもよく、前記有機溶剤としては、上述の有機溶剤として例示したものと同様のものを用いることができ、前記有機溶剤は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。また、前記反応により得られた反応物を水洗後、加熱減圧下、蒸留によって未反応のエピハロヒドリンや併用する有機溶剤を留去してもよい。さらに、加水分解性ハロゲンの少ないエポキシ樹脂とするために、得られた反応物、即ちエポキシ樹脂を再びトルエン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトンなどの有機溶剤に溶解し、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物の水溶液を加えてさらに反応を行うこともできる。この際、反応速度の向上を目的として、4級アンモニウム塩やクラウンエーテル等の相関移動触媒を存在させてもよい。相関移動触媒を使用する場合のその使用量としては、用いるエポキシ樹脂に対して0.1質量%~3.0質量%の範囲が好ましい。反応終了後、生成した塩を濾過、水洗などにより除去し、更に、加熱減圧下トルエン、メチルイソブチルケトンなどの溶剤を留去することにより高純度のエポキシ樹脂を得ることもできる。
【0051】
また、前記多官能フェノール樹脂と前記エピハロヒドリンとの反応において、副反応が起こり、カテコール構造における隣接する水酸基同士、あるいは、ベンゼン環上の水酸基とナフタレン環上の水酸基とが環化することがあるが、このような副生成物は、除去してもよいし、含んだままエポキシ樹脂(A)として用いてもよい。
【0052】
前記不飽和一塩基酸(B)としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、桂皮酸、α-シアノ桂皮酸、β-スチリルアクリル酸、β-フルフリルアクリル酸等が挙げられる。また、前記不飽和一塩基酸の酸ハロゲン化物、エステル化物も用いることができる。さらに、下記一般式(3)で表される化合物等も用いることができる。
【0053】
【化6】
[式(3)中、Xは、炭素数1~10のアルキレン鎖、ポリオキシアルキレン鎖、(ポリ)エステル鎖、芳香族炭化水素鎖、または(ポリ)カーボネート鎖を表し、構造中にハロゲン原子やアルコキシ基等を有していても良い。Yは、水素原子またはメチル基である。]
【0054】
前記ポリオキシアルキレン鎖としては、例えば、ポリオキシエチレン鎖、ポリオキシプロピレン鎖等が挙げられる。
【0055】
前記(ポリ)エステル鎖としては、例えば、下記一般式(X-1)で表される(ポリ)エステル鎖が挙げられる。
【0056】
【化7】
[式(X-1)中、R
1は、炭素原子数1~10のアルキレン基であり、nは1~5の整数である。]
【0057】
前記芳香族炭化水素鎖としては、例えば、フェニレン鎖、ナフチレン鎖、ビフェニレン鎖、フェニルナフチレン鎖、ビナフチレン鎖等が挙げられる。また、部分構造として、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環等の芳香環を有する炭化水素鎖も用いることができる。
【0058】
前記(ポリ)カーボネート鎖としては、例えば、下記一般式(X-2)で表される(ポリ)カーボネート鎖が挙げられる。
【0059】
【化8】
[式(X-2)中、R
2は、炭素原子数1~10のアルキレン基であり、nは1~5の整数である。]
【0060】
前記一般式(3)で表される化合物の分子量は、100~500の範囲が好ましく、150~400の範囲がより好ましい。
【0061】
これらの不飽和一塩基酸(B)は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0062】
前記不飽和一塩基酸(B)の使用量は、優れた耐熱性及び誘電特性を有する硬化物を形成可能なエポキシ(メタ)アクリレート樹脂が得られることから、前記エポキシ樹脂(A)が有するエポキシ基1モルに対して、前記不飽和一塩基酸(B)が有する酸基が、0.2~0.8モルとなる範囲で用いることが好ましい。
【0063】
本発明のエポキシ(メタ)アクリレート樹脂は、必要に応じて、原料として前記エポキシ樹脂(A)及び前記不飽和一塩基酸(B)以外のその他の化合物を用いることもできる。
【0064】
前記その他の化合物としては、例えば、不飽和一塩基酸無水物等が挙げられる。
【0065】
前記不飽和一塩基酸無水物としては、例えば、アクリル酸無水物、メタクリル酸無水物等が挙げられる。これらの不飽和一塩基酸無水物は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0066】
本発明のエポキシ(メタ)アクリレート樹脂の原料(固形分)中における前記エポキシ樹脂(A)及び前記不飽和一塩基酸(B)の合計質量割合は、優れた耐熱性及び誘電特性を有する硬化物を形成可能なエポキシ(メタ)アクリレート樹脂が得られることから、60質量%以上が好ましい。
【0067】
本発明のエポキシ(メタ)アクリレート樹脂の製造方法としては、特に制限されず、どのような方法にて製造してもよい。例えば、前記エポキシ樹脂(A)と、前記不飽和一塩基酸(B)と、を含有する反応原料の全てを一括で、酸性触媒又は塩基性触媒の存在下、70~140℃の温度範囲で反応させて製造する方法が好ましい。
【0068】
また、前記エポキシ樹脂(A)と、前記不飽和一塩基酸(B)との反応は、必要に応じて有機溶剤中で行うこともできる。
【0069】
前記塩基性触媒としては、上述の塩基性触媒として例示したものと同様のものを用いることができ、前記塩基性触媒は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0070】
前記塩基性触媒の使用量は、優れた耐熱性及び誘電特性を有する硬化物を形成可能なエポキシ(メタ)アクリレート樹脂が得られることから、前記エポキシ樹脂(A)及び前記不飽和一塩基酸(B)の合計100質量部に対して、0.01~1.0質量部の範囲が好ましく、0.05~0.8の範囲がより好ましい。
【0071】
前記有機溶剤としては、上述の有機溶剤として例示したものと同様のものを用いることができ、前記有機溶剤は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0072】
本発明のエポキシ(メタ)アクリレート樹脂は、光重合開始剤を添加することにより硬化性樹脂組成物として用いることができる。
【0073】
前記光重合開始剤としては、例えば、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、1-〔4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル〕-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、チオキサントン及びチオキサントン誘導体、2,2’-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、ジフェニル(2,4,6-トリメトキシベンゾイル)ホスフィンオキシド、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-1-ブタノン等の光ラジカル重合開始剤などが挙げられる。
【0074】
前記その他の光重合開始剤の市販品としては、例えば、「Omnirad 1173」、「Omnirad 184」、「Omnirad 127」、「Omnirad 2959」、「Omnirad 369」、「Omnirad 379」、「Omnirad 907」、「Omnirad 4265」、「Omnirad 1000」、「Omnirad 651」、「Omnirad TPO」、「Omnirad 819」、「Omnirad 2022」、「Omnirad 2100」、「Omnirad 754」、「Omnirad 784」、「Omnirad 500」、「Omnirad 81」(IGM Resins社製);「KAYACURE DETX」、「KAYACURE MBP」、「KAYACURE DMBI」、「KAYACURE EPA」、「KAYACURE OA」(日本化薬株式会社製);「Vicure 10」、「Vicure 55」(Stoffa Chemical社製);「Trigonal P1」(Akzo Nobel社製)、「SANDORAY 1000」(SANDOZ社製);「DEAP」(Upjohn Chemical社製)、「Quantacure PDO」、「Quantacure ITX」、「Quantacure EPD」(Ward Blenkinsop社製);「Runtecure 1104」(Runtec社製)等が挙げられる。これらの光重合開始剤は、単独で用いることも、2種以上を併用することもできる。
【0075】
前記光重合開始剤の添加量は、例えば、前記硬化性樹脂組成物中に、0.5~20質量%の範囲で用いることが好ましい。
【0076】
本発明の硬化性樹脂組成物は、前述した本発明のエポキシ(メタ)アクリレート樹脂以外の樹脂成分(以下、「その他の樹脂成分」と称することがある。)を含有しても良い。前記その他の樹脂成分としては、エポキシ樹脂、重合性不飽和基を有する樹脂、各種の(メタ)アクリレートモノマー等が挙げられる。
【0077】
前記エポキシ樹脂としては、上述のエポキシ樹脂(A)として例示したものと同様のものを用いることができ、前記エポキシ樹脂は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0078】
前記重合性不飽和基を有する樹脂としては、樹脂中に重合性不飽和基を有するものであれば何れでもよく、例えば、重合性不飽和基を有するエポキシ樹脂、重合性不飽和基を有するウレタン樹脂、重合性不飽和基を有するアクリル樹脂、重合性不飽和基を有するアミドイミド樹脂、重合性不飽和基を有するアクリルアミド樹脂、重合性不飽和基を有するエステル樹脂等が挙げられる。
【0079】
前記重合性不飽和基を有するエポキシ樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂と不飽和一塩基酸、及び必要に応じて多塩基酸無水物とを反応させて得られたエポキシ(メタ)アクリレート樹脂や、エポキシ樹脂、不飽和一塩基酸、ポリイソシアネート化合物、及び水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物、及び必要に応じて多塩基酸無水物とを反応させて得られたウレタン基を有するエポキシ(メタ)アクリレート樹脂などが挙げられる。
【0080】
前記エポキシ樹脂としては、上述のエポキシ樹脂(A)として例示したものと同様のものを用いることができ、前記エポキシ樹脂は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0081】
前記不飽和一塩基酸としては、上述の不飽和一塩基酸(B)として例示したものと同様のものを用いることができ、前記不飽和一塩基酸は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0082】
前記多塩基酸無水物としては、例えば、脂肪族多塩基酸無水物、脂環式多塩基酸無水物、芳香族多塩基酸無水物等が挙げられる。
【0083】
前記脂肪族多塩基酸無水物としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸の酸無水物等が挙げられる。また、前記脂肪族多塩基酸無水物としては、脂肪族炭化水素基は直鎖型及び分岐型のいずれでもよく、構造中に不飽和結合を有していてもよい。
【0084】
前記脂環式多塩基酸無水物としては、本発明では、酸無水物基が脂環構造に結合しているものを脂環式多塩基酸無水物とし、それ以外の構造部位における芳香環の有無は問わないものとする。前記脂環式多塩基酸無水物としては、例えば、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、メチルヘキサヒドロフタル酸、シクロヘキサントリカルボン酸、シクロヘキサンテトラカルボン酸、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2,3-ジカルボン酸、メチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2,3-ジカルボン酸、4-(2,5-ジオキソテトラヒドロフラン-3-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-1,2-ジカルボン酸の酸無水物等が挙げられる。
【0085】
前記芳香族多塩基酸無水物としては、例えば、フタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレンジカルボン酸、ナフタレントリカルボン酸、ナフタレンテトラカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、ビフェニルトリカルボン酸、ビフェニルテトラカルボン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸の酸無水物等が挙げられる。
【0086】
これらの多塩基酸無水物は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0087】
前記ポリイソシアネート化合物としては、例えば、ブタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート化合物;ノルボルナンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネート化合物;トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、4,4’-ジイソシアナト-3,3’-ジメチルビフェニル、o-トリジンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート化合物;下記一般式(4)で表される繰り返し構造を有するポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート;これらのイソシアヌレート変性体、ビウレット変性体、アロファネート変性体等が挙げられる。また、これらのポリイソシアネート化合物は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0088】
【化9】
[式中、R
1はそれぞれ独立に水素原子、炭素原子数1~6の炭化水素基の何れかである。R
2はそれぞれ独立に炭素原子数1~4のアルキル基、又は一般式(4)で表される構造部位と*印が付されたメチレン基を介して連結する結合点の何れかである。lは0又は1~3の整数であり、mは1~15の整数である。]
【0089】
前記水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトール(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパン(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。また、前記各種の水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物の分子構造中に(ポリ)オキシエチレン鎖、(ポリ)オキシプロピレン鎖、(ポリ)オキシテトラメチレン鎖等の(ポリ)オキシアルキレン鎖を導入した(ポリ)オキシアルキレン変性体や、前記各種の水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物の分子構造中に(ポリ)ラクトン構造を導入したラクトン変性体等も用いることができる。これらの水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物は、単独で用いることも、2種以上を併用することもできる。
【0090】
前記重合性不飽和基を有するエポキシ樹脂の製造方法としては、特に限定されず、どのような方法で製造してもよい。前記重合性不飽和基を有するエポキシ樹脂の製造においては、必要に応じて有機溶剤中で行ってもよく、また、必要に応じて塩基性触媒を用いてもよい。
【0091】
前記有機溶剤としては、上述の有機溶剤として例示したものと同様のものを用いることができ、前記有機溶剤は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0092】
前記塩基性触媒としては、上述の塩基性触媒として例示したものと同様のものを用いることができ、前記塩基性触媒は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0093】
前記重合性不飽和基を有するウレタン樹脂としては、例えば、ポリイソシアネート化合物、水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物、及び必要に応じてポリオール化合物、多塩基酸無水物とを反応させて得られたもの等が挙げられる。
【0094】
前記ポリイソシアネート化合物としては、上述のポリイソシアネート化合物として例示したものと同様のものを用いることができ、前記ポリイソシアネート化合物は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0095】
前記水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物としては、上述の水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物として例示したものと同様のものを用いることができ、前記水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0096】
前記ポリオール化合物としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等の脂肪族ポリオール化合物;ビフェノール、ビスフェノール等の芳香族ポリオール化合物;前記各種のポリオール化合物の分子構造中に(ポリ)オキシエチレン鎖、(ポリ)オキシプロピレン鎖、(ポリ)オキシテトラメチレン鎖等の(ポリ)オキシアルキレン鎖を導入した(ポリ)オキシアルキレン変性体;前記各種のポリオール化合物の分子構造中に(ポリ)ラクトン構造を導入したラクトン変性体、2,2-ジメチロールプロピオン酸、2,2-ジメチロールブタン酸、2,2-ジメチロール吉草酸等が挙げられる。前記ポリオール化合物は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0097】
前記多塩基酸無水物としては、上述の多塩基酸無水物として例示したものと同様のものを用いることができ、前記多塩基酸無水物は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0098】
前記重合性不飽和基を有するウレタン樹脂の製造方法としては、特に限定されず、どのような方法で製造してもよい。前記重合性不飽和基を有するウレタン樹脂の製造においては、必要に応じて有機溶剤中で行ってもよく、また、必要に応じて塩基性触媒を用いてもよい。
【0099】
前記有機溶剤としては、上述の有機溶剤として例示したものと同様のものを用いることができ、前記有機溶剤は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0100】
前記塩基性触媒としては、上述の塩基性触媒として例示したものと同様のものを用いることができ、前記塩基性触媒は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0101】
前記重合性不飽和基を有するアクリル樹脂としては、例えば、水酸基やカルボキシル基、イソシアネート基、グリシジル基等の反応性官能基を有する(メタ)アクリレート化合物(α)を必須の成分として重合させて得られるアクリル樹脂中間体に、これらの官能基と反応し得る反応性官能基を有する(メタ)アクリレート化合物(β)をさらに反応させることにより(メタ)アクリロイル基を導入して得られる反応生成物や、必要に応じて前記反応生成物中の水酸基に多塩基酸無水物を反応させて得られるもの等が挙げられる。
【0102】
前記アクリル樹脂中間体は、前記(メタ)アクリレート化合物(α)の他、必要に応じてその他の重合性不飽和基を有する化合物を共重合させたものであってもよい。前記その他の重合性不飽和基を有する化合物は、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボロニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート等の脂環式構造含有(メタ)アクリレート;フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチルアクリレート等の芳香環含有(メタ)アクリレート;3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のシリル基を有する(メタ)アクリレート;スチレン、α-メチルスチレン、クロロスチレン等のスチレン誘導体等が挙げられる。これらは単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0103】
前記(メタ)アクリレート化合物(β)は、前記(メタ)アクリレート化合物(α)が有する反応性官能基と反応し得るものであれば特に限定されないが、反応性の観点から以下の組み合わせであることが好ましい。即ち、前記(メタ)アクリレート化合物(α)として水(メタ)アクリレートを用いた場合には、(メタ)アクリレート化合物(β)としてイソシアネート基を有する(メタ)アクリレートを用いることが好ましい。前記(メタ)アクリレート化合物(α)としてカルボキシル基を有する(メタ)アクリレートを用いた場合には、(メタ)アクリレート化合物(β)としてグリシジル基を有する(メタ)アクリレートを用いることが好ましい。前記(メタ)アクリレート化合物(α)としてイソシアネート基を有する(メタ)アクリレートを用いた場合には、(メタ)アクリレート化合物(β)として水(メタ)アクリレートを用いることが好ましい。前記(メタ)アクリレート化合物(α)としてグリシジル基を有する(メタ)アクリレートを用いた場合には、(メタ)アクリレート化合物(β)としてカルボキシル基を有する(メタ)アクリレートを用いることが好ましい。前記(メタ)アクリレート化合物(β)は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0104】
前記多塩基酸無水物は、上述の多塩基酸無水物として例示したものと同様のものを用いることができ、前記多塩基酸無水物は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0105】
前記重合性不飽和基を有するアクリル樹脂の製造方法としては、特に限定されず、どのような方法で製造してもよい。前記重合性不飽和基を有するアクリル樹脂の製造においては、必要に応じて有機溶剤中で行ってもよく、また、必要に応じて塩基性触媒を用いてもよい。
【0106】
前記有機溶剤としては、上述の有機溶剤として例示したものと同様のものを用いることができ、前記有機溶剤は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0107】
前記塩基性触媒としては、上述の塩基性触媒として例示したものと同様のものを用いることができ、前記塩基性触媒は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0108】
前記重合性不飽和基を有するアミドイミド樹脂としては、例えば、酸基及び/又は酸無水物基を有するアミドイミド樹脂と、水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物及び/又はエポキシ基を有する(メタ)アクリレート化合物と、必要に応じて、水酸基、カルボキシル基、イソシアネート基、グリシジル基、及び酸無水物基からなる群より選ばれる1種以上の反応性官能基を有する化合物を反応させて得られるものが挙げられる。なお、前記反応性官能基を有する化合物は、(メタ)アクリロイル基を有していてもよいし、有していなくてもよい。
【0109】
前記アミドイミド樹脂としては、酸基又は酸無水物基のどちらか一方のみを有するものであってもよいし、両方を有するものであってもよい。水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物や(メタ)アクリロイル基を有するエポキシ化合物との反応性や反応制御の観点から、酸無水物基を有するものであることが好ましく、酸基と酸無水物基との両方を有するものであることがより好ましい。前記アミドイミド樹脂の固形分酸価は、中性条件下、即ち、酸無水物基を開環させない条件での測定値が60~350mgKOH/gの範囲であることが好ましい。他方、水の存在下等、酸無水物基を開環させた条件での測定値が61~360mgKOH/gの範囲であることが好ましい。
【0110】
前記アミドイミド樹脂としては、例えば、ポリイソシアネート化合物と、多塩基酸無水物とを反応原料として得られるものが挙げられる。
【0111】
前記ポリイソシアネート化合物としては、上述のポリイソシアネート化合物として例示したものと同様のものを用いることができ、前記ポリイソシアネート化合物は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0112】
前記多塩基酸無水物としては、上述の多塩基酸無水物として例示したものと同様のものを用いることができ、前記多塩基酸無水物は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0113】
また、前記アミドイミド樹脂は、必要に応じて、前記ポリイソシアネート化合物及び多塩基酸無水物以外に、多塩基酸を反応原料として併用することもできる。
【0114】
前記多塩基酸としては、一分子中にカルボキシル基を2つ以上有する化合物であれば何れのものも用いることができる。例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、メチルヘキサヒドロフタル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸、シクロヘキサントリカルボン酸、シクロヘキサンテトラカルボン酸、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2,3-ジカルボン酸、メチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2,3-ジカルボン酸、4-(2,5-ジオキソテトラヒドロフラン-3-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-1,2-ジカルボン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレンジカルボン酸、ナフタレントリカルボン酸、ナフタレンテトラカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、ビフェニルトリカルボン酸、ビフェニルテトラカルボン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸等が挙げられる。また、前記多塩基酸としては、例えば、共役ジエン系ビニルモノマーとアクリロニトリルとの共重合体であって、その分子中にカルボキシル基を有する重合体も用いることができる。これらの多塩基酸は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0115】
前記水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物としては、上述の水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物として例示したものと同様のものを用いることができ、前記水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0116】
前記エポキシ基を有する(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル、エポキシシクロへキシルメチル(メタ)アクリレート等のグリシジル基を有する(メタ)アクリレートモノマー;ジヒドロキシベンゼンジグリシジルエーテル、ジヒドロキシナフタレンジグリシジルエーテル、ビフェノールジグリシジルエーテル、ビスフェノールジグリシジルエーテル等のジグリシジルエーテル化合物のモノ(メタ)アクリレート化物等が挙げられる。これらのエポキシ基を有する(メタ)アクリレート化合物は、単独で用いることも、2種以上を併用することもできる。
【0117】
前記重合性不飽和基を有するアミドイミド樹脂の製造方法としては、特に限定されず、どのような方法で製造してもよい。前記重合性不飽和基を有するアミドイミド樹脂の製造においては、必要に応じて有機溶剤中で行ってもよく、また、必要に応じて塩基性触媒を用いてもよい。
【0118】
前記有機溶剤としては、上述の有機溶剤として例示したものと同様のものを用いることができ、前記有機溶剤は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0119】
前記塩基性触媒としては、上述の塩基性触媒として例示したものと同様のものを用いることができ、前記塩基性触媒は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0120】
前記重合性不飽和基を有するアクリルアミド樹脂としては、例えば、フェノール性水酸基を有する化合物と、アルキレンオキサイド又はアルキレンカーボネートと、N-アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミド化合物と、必要に応じて多塩基酸無水物、不飽和一塩基酸とを反応させて得られたものが挙げられる。
【0121】
前記フェノール性水酸基を有する化合物としては、上述のフェノール性水酸基を有する化合物(a1)として例示したものと同様のものを用いることができ、前記フェノール性水酸基を有する化合物は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0122】
前記アルキレンオキサイドとしては、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、ペンチレンオキサイド等が挙げられる。これらの中でも、耐熱性及び誘電特性に優れた硬化物を形成可能な硬化性樹脂組成物が得られることから、エチレンオキサイド又はプロピレンオキサイドが好ましい。前記アルキレンオキサイドは、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0123】
前記アルキレンカーボネートとしては、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ペンチレンカーボネート等が挙げられる。これらの中でも、耐熱性及び誘電特性に優れた硬化物を形成可能な硬化性樹脂組成物が得られることから、エチレンカーボネート又はプロピレンカーボネートが好ましい。前記アルキレンカーボネートは、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0124】
前記N-アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミド化合物としては、例えば、N-メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-エトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-メトキシエチル(メタ)アクリルアミド、N-エトキシエチル(メタ)アクリルアミド、N-ブトキシエチル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。前記N-アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミド化合物は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0125】
前記多塩基酸無水物としては、上述の多塩基酸無水物として例示したものと同様のものを用いることができ、前記多塩基酸無水物は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0126】
前記不飽和一塩基酸としては、上述の不飽和一塩基酸として例示したものと同様を用いることができ、前記不飽和一塩基酸は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0127】
前記重合性不飽和基を有するアクリルアミド樹脂の製造方法としては、特に限定されず、どのような方法で製造してもよい。前記重合性不飽和基を有するアクリルアミド樹脂の製造においては、必要に応じて有機溶剤中で行ってもよく、また、必要に応じて塩基性触媒及び酸性触媒を用いてもよい。
【0128】
前記有機溶剤としては、上述の有機溶剤として例示したものと同様のものを用いることができ、前記有機溶剤は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0129】
前記塩基性触媒としては、上述の塩基性触媒として例示したものと同様のものを用いることができ、前記塩基性触媒は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0130】
前記酸性触媒としては、上述の酸性触媒として例示したものと同様のものを用いることができ、前記酸性触媒は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0131】
前記重合性不飽和基を有するエステル樹脂としては、例えば、フェノール性水酸基を有する化合物と、アルキレンオキサイド又はアルキレンカーボネートと、不飽和一塩基酸と、必要に応じて多塩基酸無水物を反応させて得られたものが挙げられる。
【0132】
前記フェノール性水酸基を有する化合物としては、上述のフェノール性水酸基を有する化合物として例示したものと同様のものを用いることができ、前記フェノール性水酸基を有する化合物は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0133】
前記アルキレンオキサイドとしては、上述のアルキレンオキサイドとして例示したものと同様のものを用いることができる。これらの中でも、耐熱性及び誘電特性に優れた硬化物を形成可能な硬化性樹脂組成物が得られることから、エチレンオキサイド又はプロピレンオキサイドが好ましい。前記アルキレンオキサイドは、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0134】
前記アルキレンカーボネートとしては、上述のアルキレンカーボネートとして例示したものと同様のものを用いることができる。これらの中でも、耐熱性及び誘電特性に優れた硬化物を形成可能な硬化性樹脂組成物が得られることから、エチレンカーボネート又はプロピレンカーボネートが好ましい。前記アルキレンカーボネートは、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0135】
前記不飽和一塩基酸としては、上述の不飽和一塩基酸として例示したものと同様を用いることができ、前記不飽和一塩基酸は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0136】
前記多塩基酸無水物としては、上述の多塩基酸無水物として例示したものと同様のものを用いることができ、前記多塩基酸無水物は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0137】
前記重合性不飽和基を有するエステル樹脂の製造方法としては、特に限定されず、どのような方法で製造してもよい。前記重合性不飽和基を有するエステル樹脂の製造においては、必要に応じて有機溶剤中で行ってもよく、また、必要に応じて塩基性触媒及び酸性触媒を用いてもよい。
【0138】
前記有機溶剤としては、上述の有機溶剤として例示したものと同様のものを用いることができ、前記有機溶剤は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0139】
前記塩基性触媒としては、上述の塩基性触媒として例示したものと同様のものを用いることができ、前記塩基性触媒は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0140】
前記酸性触媒としては、上述の酸性触媒として例示したものと同様のものを用いることができ、前記酸性触媒は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0141】
前記重合性不飽和基を有する樹脂の使用量は、本発明の(メタ)アクリレート樹脂100質量部に対して、10~900質量部の範囲が好ましい。
【0142】
前記各種の(メタ)アクリレートモノマーとしては、(メタ)アクリロイル基を有するものであれば特に制限されず、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート等の脂肪族モノ(メタ)アクリレート化合物;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチルモノ(メタ)アクリレート等の脂環型モノ(メタ)アクリレート化合物;グリシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート等の複素環型モノ(メタ)アクリレート化合物;ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、フェニルベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシ(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、フェノキシベンジル(メタ)アクリレート、ベンジルベンジル(メタ)アクリレート、フェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート等の芳香族モノ(メタ)アクリレート化合物等のモノ(メタ)アクリレート化合物:前記各種のモノ(メタ)アクリレートモノマーの分子構造中に(ポリ)オキシエチレン鎖、(ポリ)オキシプロピレン鎖、(ポリ)オキシテトラメチレン鎖等のポリオキシアルキレン鎖を導入した(ポリ)オキシアルキレン変性モノ(メタ)アクリレート化合物;前記各種のモノ(メタ)アクリレート化合物の分子構造中に(ポリ)ラクトン構造を導入したラクトン変性モノ(メタ)アクリレート化合物;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等の脂肪族ジ(メタ)アクリレート化合物;1,4-シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ノルボルナンジ(メタ)アクリレート、ノルボルナンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート等の脂環型ジ(メタ)アクリレート化合物;ビフェノールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールジ(メタ)アクリレート等の芳香族ジ(メタ)アクリレート化合物;前記各種のジ(メタ)アクリレート化合物の分子構造中に(ポリ)オキシエチレン鎖、(ポリ)オキシプロピレン鎖、(ポリ)オキシテトラメチレン鎖等の(ポリ)オキシアルキレン鎖を導入したポリオキシアルキレン変性ジ(メタ)アクリレート化合物;前記各種のジ(メタ)アクリレート化合物の分子構造中に(ポリ)ラクトン構造を導入したラクトン変性ジ(メタ)アクリレート化合物;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート等の脂肪族トリ(メタ)アクリレート化合物;前記脂肪族トリ(メタ)アクリレート化合物の分子構造中に(ポリ)オキシエチレン鎖、(ポリ)オキシプロピレン鎖、(ポリ)オキシテトラメチレン鎖等の(ポリ)オキシアルキレン鎖を導入した(ポリ)オキシアルキレン変性トリ(メタ)アクリレート化合物;前記脂肪族トリ(メタ)アクリレート化合物の分子構造中に(ポリ)ラクトン構造を導入したラクトン変性トリ(メタ)アクリレート化合物;ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の4官能以上の脂肪族ポリ(メタ)アクリレート化合物;前記脂肪族ポリ(メタ)アクリレート化合物の分子構造中に(ポリ)オキシエチレン鎖、(ポリ)オキシプロピレン鎖、(ポリ)オキシテトラメチレン鎖等の(ポリ)オキシアルキレン鎖を導入した4官能以上の(ポリ)オキシアルキレン変性ポリ(メタ)アクリレート化合物;前記脂肪族ポリ(メタ)アクリレート化合物の分子構造中に(ポリ)ラクトン構造を導入した4官能以上のラクトン変性ポリ(メタ)アクリレート化合物;ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトール(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパン(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等の水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物;前記水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物の分子構造中に(ポリ)オキシエチレン鎖、(ポリ)オキシプロピレン鎖、(ポリ)オキシテトラメチレン鎖等の(ポリ)オキシアルキレン鎖を導入した(ポリ)オキシアルキレン変性体;前記水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物の分子構造中に(ポリ)ラクトン構造を導入したラクトン変性体;2-アクリロイルオキシエチルイソシアネート、2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、1,1-ビス(アクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート等のイソシアネート基を有する(メタ)アクリレート化合物;グリシジル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル、エポキシシクロへキシルメチル(メタ)アクリレート等のグリシジル基を有する(メタ)アクリレートモノマーや、ドロキシベンゼンジグリシジルエーテル、ジヒドロキシナフタレンジグリシジルエーテル、ビフェノールジグリシジルエーテル、ビスフェノールジグリシジルエーテルのジグリシジルエーテル化合物のモノ(メタ)アクリレート化物等のエポキシ基を有する(メタ)アクリレート化合物などが挙げられる。前記各種の(メタ)アクリレートモノマーは、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0143】
また、本発明の硬化性樹脂組成物には、必要に応じて、硬化促進剤、紫外線吸収剤、重合禁止剤、酸化防止剤、有機溶剤、無機質充填材やポリマー微粒子、顔料、消泡剤、粘度調整剤、レベリング剤、難燃剤、保存安定化剤等の各種添加剤を含有することもできる。
【0144】
前記硬化促進剤としては、硬化反応を促進するものであり、例えば、リン系化合物、アミン系化合物、イミダゾール、有機酸金属塩、ルイス酸、アミン錯塩等が挙げられる。これらの硬化促進剤は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。また、前記硬化促進剤の添加量は、例えば、前記硬化性樹脂組成物の固形分中に0.01~10質量%の範囲で用いることが好ましい。
【0145】
前記紫外線吸収剤としては、例えば、2-[4-{(2-ヒドロキシ-3-ドデシルオキシプロピル)オキシ}-2-ヒドロキシフェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-[4-{(2-ヒドロキシ-3-トリデシルオキシプロピル)オキシ}-2-ヒドロキシフェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン等のトリアジン誘導体、2-(2’-キサンテンカルボキシ-5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-o-ニトロベンジロキシ-5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-キサンテンカルボキシ-4-ドデシロキシベンゾフェノン、2-o-ニトロベンジロキシ-4-ドデシロキシベンゾフェノン等が挙げられる。これらの紫外線吸収剤は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0146】
前記重合禁止剤としては、例えば、p-メトキシフェノール、p-メトキシクレゾール、4-メトキシ-1-ナフトール、4,4’-ジアルコキシ-2,2’-ビ-1-ナフトール、3-(N-サリチロイル)アミノ-1,2,4-トリアゾール、N’1,N’12-ビス(2-ヒドロキシベンゾイル)ドデカンジヒドラジド、スチレン化フェノール、N-イソプロピル-N’-フェニルベンゼン-1,4-ジアミン、6-エトキシ-2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン等のフェノール化合物、ヒドロキノン、メチルヒドロキノン、p-ベンゾキノン、メチル-p-ベンゾキノン、2,5-ジフェニルベンゾキノン、2-ヒドロキシ-1,4-ナフトキノン、アントラキノン、ジフェノキノン等のキノン化合物、メラミン、p-フェニレンジアミン、4-アミノジフェニルアミン、N.N’-ジフェニル-p-フェニレンジアミン、N-i-プロピル-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン、N-(1.3-ジメチルブチル)-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン、ジフェニルアミン、4,4’-ジクミル-ジフェニルアミン、4,4’-ジオクチル-ジフェニルアミン、ポリ(2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン)、スチレン化ジフェニルアミン、スチレン化ジフェニルアミンと2,4,4-トリメチルペンテンの反応生成物、ジフェニルアミンと2,4,4-トリメチルペンテンの反応生成物等のアミン化合物、フェノチアジン、ジステアリルチオジプロピオネート、2,2-ビス({[3-(ドデシルチオ)プロピオニル]オキシ}メチル)-1,3-プロパンジイル=ビス[3-(ドデシルチオ)プロピオナート]、ジトリデカン-1-イル=3,3’-スルファンジイルジプロパノアート等のチオエーテル化合物、N-ニトロソジフェニルアミン、N-ニトロソフェニルナフチルアミン、p-ニトロソフェノール、ニトロソベンゼン、p-ニトロソジフェニルアミン、α-ニトロソ-β-ナフトール等、N、N-ジメチルp-ニトロソアニリン、p-ニトロソジフェニルアミン、p-ニトロンジメチルアミン、p-ニトロン-N、N-ジエチルアミン、N-ニトロソエタノールアミン、N-ニトロソジ-n-ブチルアミン、N-ニトロソ-N-n-ブチル-4-ブタノールアミン、N-ニトロソ-ジイソプロパノールアミン、N-ニトロソ-N-エチル-4-ブタノールアミン、5-ニトロソ-8-ヒドロキシキノリン、N-ニトロソモルホリン、N-二トロソーN-フェニルヒドロキシルアミンアンモニウム塩、二トロソベンゼン、N-ニトロソ-N-メチル-p-トルエンスルホンアミド、N-ニトロソ-N-エチルウレタン、N-ニトロソ-N-n-プロピルウレタン、1-ニトロソ-2-ナフトール、2-ニトロソ-1-ナフトール、1-ニトロソ-2-ナフトール-3,6-スルホン酸ナトリウム、2-ニトロソ-1-ナフトール-4-スルホン酸ナトリウム、2-ニトロソ-5-メチルアミノフェノール塩酸塩、2-ニトロソ-5-メチルアミノフェノール塩酸塩等のニトロソ化合物、リン酸とオクタデカン-1-オールのエステル、トリフェニルホスファイト、3,9-ジオクタデカン-1-イル-2,4,8,10-テトラオキサ-3,9-ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、トリスノニルフェニルホスフィト、亜リン酸-(1-メチルエチリデン)-ジ-4,1-フェニレンテトラ-C12-15-アルキルエステル、2-エチルヘキシル=ジフェニル=ホスフィット、ジフェニルイソデシルフォスファイト、トリイソデシル=ホスフィット、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト等のホスファイト化合物、ビス(ジメチルジチオカルバマト-κ(2)S,S’)亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジブチル・ジチオカルバミン酸亜鉛等の亜鉛化合物、ビス(N,N-ジブチルカルバモジチオアト-S,S’)ニッケル等のニッケル化合物、1,3-ジヒドロ-2H-ベンゾイミダゾール-2-チオン、4,6-ビス(オクチルチオメチル)-o-クレゾール、2-メチル-4,6-ビス[(オクタン-1-イルスルファニル)メチル]フェノール、ジラウリルチオジプロピオン酸エステル、3,3’-チオジプロピオン酸ジステアリル等の硫黄化合物などが挙げられる。これらの重合禁止剤は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0147】
前記酸化防止剤としては、前記重合禁止剤で例示した化合物と同様のものを用いることができ、前記酸化防止剤は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0148】
また、前記重合禁止剤、及び前記酸化防止剤の市販品としては、例えば、和光純薬工業株式会社製「Q-1300」、「Q-1301」、住友化学株式会社製「スミライザーBBM-S」、「スミライザーGA-80が」等が挙げられる。
【0149】
前記有機溶剤としては、上述の有機溶剤として例示したものと同様のものを用いることができ、前記有機溶剤は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0150】
前記無機質充填材としては、例えば、溶融シリカ、結晶シリカ、アルミナ、窒化珪素、水酸化アルミ等が挙げられる。
【0151】
前記顔料としては、公知慣用の無機顔料や有機顔料を使用することができる。
【0152】
前記無機顔料としては、例えば、白色顔料、アンチモンレッド、ベンガラ、カドミウムレッド、カドミウムイエロー、コバルトブルー、紺青、群青、カーボンブラック、黒鉛等が挙げられる。これらの無機顔料は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0153】
前記白色顔料としては、例えば、酸化チタン,酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、硫酸バリウム、シリカ、タルク、マイカ、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、中空樹脂粒子、硫化亜鉛等が挙げられる。
【0154】
前記有機顔料としては、例えば、キナクリドン顔料、キナクリドンキノン顔料、ジオキサジン顔料、フタロシアニン顔料、アントラピリミジン顔料、アンサンスロン顔料、インダンスロン顔料、フラバンスロン顔料、ペリレン顔料、ジケトピロロピロール顔料、ペリノン顔料、キノフタロン顔料、アントラキノン顔料、チオインジゴ顔料、ベンツイミダゾロン顔料、アゾ顔料等が挙げられる。これらの有機顔料は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0155】
前記難燃剤としては、例えば、赤リン、リン酸一アンモニウム、リン酸二アンモニウム、リン酸三アンモニウム、ポリリン酸アンモニウム等のリン酸アンモニウム、リン酸アミド等の無機リン化合物;リン酸エステル化合物、ホスホン酸化合物、ホスフィン酸化合物、ホスフィンオキシド化合物、ホスホラン化合物、有機系含窒素リン化合物、9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキシド、10-(2,5―ジヒドロオキシフェニル)-10H-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキシド、10-(2,7-ジヒドロオキシナフチル)-10H-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキシド等の環状有機リン化合物、及びそれをエポキシ樹脂やフェノール樹脂等の化合物と反応させた誘導体等の有機リン化合物;トリアジン化合物、シアヌル酸化合物、イソシアヌル酸化合物、フェノチアジン等の窒素系難燃剤;シリコーンオイル、シリコーンゴム、シリコーン樹脂等のシリコーン系難燃剤;金属水酸化物、金属酸化物、金属炭酸塩化合物、金属粉、ホウ素化合物、低融点ガラス等の無機難燃剤などが挙げられる。これらの難燃剤は、単独でも用いることも2種以上を併用することもできる。また、これら難燃剤を用いる場合は、全樹脂組成物中0.1~20質量%の範囲であることが好ましい。
【0156】
本発明の硬化物は、前記硬化性樹脂組成物に、活性エネルギー線を照射することで得ることができる。前記活性エネルギー線としては、例えば、紫外線、電子線、α線、β線、γ線等の電離放射線が挙げられる。また、前記活性エネルギー線として、紫外線を用いる場合、紫外線による硬化反応を効率よく行う上で、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下で照射してもよく、空気雰囲気下で照射してもよい。
【0157】
紫外線発生源としては、実用性、経済性の面から紫外線ランプが一般的に用いられている。具体的には、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、キセノンランプ、ガリウムランプ、メタルハライドランプ、太陽光、LED等が挙げられる。
【0158】
前記活性エネルギー線の積算光量は、特に制限されないが、0.1~50kJ/m2であることが好ましく、0.5~10kJ/m2であることがより好ましい。積算光量が上記範囲であると、未硬化部分の発生の防止又は抑制ができることから好ましい。
【0159】
なお、前記活性エネルギー線の照射は、一段階で行ってもよいし、二段階以上に分けて行ってもよい。
【0160】
また、本発明の硬化物は、耐熱性及び誘電特性に優れることから、例えば、半導体デバイス用途における、ソルダーレジスト、層間絶縁材料、パッケージ材、アンダーフィル材、回路素子等のパッケージ接着層や、集積回路素子と回路基板の接着層として好適に用いることができる。また、LCD、OELDに代表される薄型ディスプレイ用途における、薄膜トランジスタ保護膜、液晶カラーフィルタ保護膜、カラーフィルタ用顔料レジスト、ブラックマトリックス用レジスト、スペーサー等に好適に用いることができる。これらの中でも、特にソルダーレジスト用途に好適に用いることができる。
【0161】
本発明の物品は、前記硬化物からなる塗膜を有するものである。前記物品としては、例えば、携帯電話、家電製品、自動車内外装材、OA機器等のプラスチック成形品や、半導体デバイス、表示デバイス、撮像デバイスなどが挙げられる。
【実施例】
【0162】
以下、実施例と比較例とにより、本発明を具体的に説明する。なお、本発明は、以下に挙げた実施例に限定されるものではない。
【0163】
(合成例1:フェノール樹脂(a-1)の合成)
温度計、冷却管、ディーンスタークトラップ、攪拌機を取り付けたフラスコにβ‐ナフトール216.2質量部、カテコール412.9質量部、蒸留水4.1質量部を仕込み、溶解しながら150℃まで昇温した。その温度を保ったまま37質量%ホルマリン140.4質量部を3時間かけて滴下した。さらに留出水を系外へ追い出しながら150℃で6時間反応させた。反応後、150℃減圧下で、水蒸気を吹き込みながら未反応カテコールを留去することで、目的のフェノール樹脂(a-1)を得た。フェノール性水酸基当量は92g/当量であり、軟化点は94℃、150℃における溶融粘度は5.6dPa・sであった。
【0164】
(合成例2:フェノール樹脂(a-2)の合成)
温度計、冷却管、ディーンスタークトラップ、攪拌機を取り付けたフラスコにβ‐ナフトール216.2質量部、カテコール330.3質量部、蒸留水6.6質量部を仕込み、溶解しながら150℃まで昇温した。その温度を保ったまま37質量%ホルマリン140.4質量部を3時間かけて滴下した。さらに留出水を系外へ追い出しながら150℃で6時間反応させた。反応後、150℃減圧下で、水蒸気を吹き込みながら未反応カテコールを留去することで、目的のフェノール樹脂(a-2)を得た。フェノール性水酸基当量は93g/当量であり、軟化点は101℃、150℃における溶融粘度は8.8dPa・sであった。
【0165】
(合成例3:フェノール樹脂(a-3)の合成)
温度計、冷却管、ディーンスタークトラップ、攪拌機を取り付けたフラスコにβ‐ナフトール216.2質量部、カテコール495.5質量部、蒸留水9.9質量部を仕込み、溶解しながら150℃まで昇温した。その温度を保ったまま37質量%ホルマリン140.4質量部を3時間かけて滴下した。さらに留出水を系外へ追い出しながら150℃で6時間反応させた。反応後、150℃減圧下で、水蒸気を吹き込みながら未反応カテコールを留去することで、目的とするフェノール樹脂(a-3)を得た。フェノール性水酸基当量は93g/当量であり、軟化点は91℃、150℃における溶融粘度は4.5dPa・sであった。
【0166】
(合成例4:エポキシ樹脂(A-1)の合成)
温度計、冷却管、攪拌機を取り付けたフラスコにフェノール樹脂(a-1)230.0質量部、エピクロルヒドリン925.0質量部を仕込み、攪拌溶解しながら50℃に昇温した。次いで、塩化ベンジルトリメチルアンモニウムを2.30質量部仕込み、50℃の温度のまま24時間反応させた。さらに、49質量%水酸化ナトリウム水溶液224.5質量部を3時間かけて滴下し、さらに50℃で1時間反応させた。反応終了後、n-ブタノール185.0質量部添加し、攪拌を停止して、下層に溜まった水層を除去し、攪拌を再開し150℃減圧下で未反応エピクロルヒドリンを留去した。それで得られた粗エポキシ樹脂にメチルイソブチルケトン629.0質量部とn-ブタノール105.0質量部を加え溶解させた。さらにこの溶液に10質量%水酸化ナトリウム水溶液47.0質量部を添加して80℃2時間反応させた後に洗浄液のpHが中性となるまで水185.0質量部で水洗を繰り返した。次いで、共沸によって系内を脱水し、精密ろ過を経た後に、溶媒を減圧下にて留去し目的のエポキシ樹脂(A-1)を得た。得られたエポキシ樹脂(A-1)のエポキシ当量は181g/当量であり、150℃における溶融粘度は0.5dPa・sであった。
【0167】
(合成例5:エポキシ樹脂(A-2)の合成)
フェノール樹脂(a-1)230.0質量部をフェノール樹脂(a-2)232.5質量部に変更した以外は実施例3と同様の操作を行い、エポキシ樹脂(A-2)を得た。得られたエポキシ樹脂(A-2)のエポキシ当量は192g/当量であり、150℃における溶融粘度は0.9dPa・sであった。
【0168】
(合成例6:エポキシ樹脂(A-3)の合成)
フェノール樹脂(a-1)230.0質量部をフェノール樹脂(a-3)232.5質量部に変更した以外は実施例3と同様の操作を行い、エポキシ樹脂(A-3)を得た。得られたエポキシ樹脂(A-3)のエポキシ当量は181g/当量であり、150℃における溶融粘度は0.4dPa・sであった。
【0169】
(合成例7:エポキシ樹脂(A-4)の合成)
温度計、冷却管、攪拌機を取り付けたフラスコにβ-ナフトール122.5質量部、t-ブチルカテコール(DIC株式会社製「DIC-TBC」)141.2質量部、20質量%水酸化ナトリウム水溶液38.3質量部を仕込み、溶解しながら100℃まで昇温した。その温度を保ったまま37質量%ホルマリン71.0質量部を2時間かけて滴下した。次いで100℃で6時間反応させ、室温まで冷却した。リン酸二水素ナトリウム26.4質量部で中和した後、メチルイソブチルケトン380質量部加え溶解し、水洗後、減圧下にてメチルイソブチルケトンを留去した。次いで、エピクロルヒドリン1174.8質量部を仕込み、攪拌溶解しながら50℃に昇温した。次いで、塩化ベンジルトリメチルアンモニウムを9.47質量部仕込み、50℃の温度のまま24時間反応させた。さらに、49質量%水酸化ナトリウム水溶液238.2質量部3時間かけて滴下し、さらに50℃で1時間反応させた。反応終了後、n-ブタノール117.4質量部添加し、攪拌を停止して、下層に溜まった水層を除去し、攪拌を再開し150℃減圧下で未反応エピクロルヒドリンを留去した。それで得られた粗エポキシ樹脂にメチルイソブチルケトン708.9質量部とn-ブタノール105.0質量部を加え溶解した。さらにこの溶液に10質量%水酸化ナトリウム水溶液33.8質量部を添加して80℃2時間反応させた後に洗浄液のpHが中性となるまで水209.0質量部で水洗を繰り返した。次いで、共沸によって系内を脱水し、精密ろ過を経た後に、溶媒を減圧下にて留去し目的のエポキシ樹脂(A-4)を得た。得られたエポキシ樹脂(A-4)のエポキシ当量は237g/当量であり、150℃における溶融粘度は0.2dPa・sであった。
【0170】
(実施例1:エポキシアクリレート樹脂(1)の製造)
温度計、撹拌機、及び還流冷却器を備えたフラスコに、メチルイソブチルケトン54質量部、エポキシ樹脂(A-1)181質量部を仕込み、ジブチルヒドロキシトルエン0.1質量部、メトキノン0.1質量部加えた後、アクリル酸36質量部、トリフェニルホスフィン0.1質量部を添加し、空気を吹き込みながら100℃で20時間反応を行った。次いで、酸価が1mgKOH/g以下であることを確認した後、シュウ酸0.1質量部を添加し、70℃で3時間撹拌して、目的のエポキシアクリレート樹脂(1)を得た。このエポキシアクリレート樹脂(1)の不揮発分は、80質量%であり、固形分のエポキシ当量は538g/当量であった。また、エポキシ樹脂(A-1)が有するエポキシ基1モルに対するアクリル酸が有する酸基のモル数は、0.5モルであった。
【0171】
(実施例2:エポキシアクリレート樹脂(2)の製造)
温度計、撹拌機、及び還流冷却器を備えたフラスコに、メチルイソブチルケトン57質量部、エポキシ樹脂(A-2)192質量部を仕込み、ジブチルヒドロキシトルエン0.1質量部、メトキノン0.1質量部加えた後、アクリル酸36質量部、トリフェニルホスフィン0.1質量部を添加し、空気を吹き込みながら100℃で20時間反応を行った。次いで、酸価が1mgKOH/g以下であることを確認した後、シュウ酸0.1質量部を添加し、70℃で3時間撹拌して、目的のエポキシアクリレート樹脂(2)を得た。このエポキシアクリレート樹脂(2)の不揮発分は80質量%であり、固形分のエポキシ当量は551g/当量であった。また、エポキシ樹脂(A-2)が有するエポキシ基1モルに対するアクリル酸が有する酸基のモル数は、0.5モルであった。
【0172】
(実施例3:エポキシアクリレート樹脂(3)の製造)
温度計、撹拌機、及び還流冷却器を備えたフラスコに、メチルイソブチルケトン54質量部、エポキシ樹脂(A-3)181質量部を仕込み、ジブチルヒドロキシトルエン0.1質量部、メトキノン0.1質量部加えた後、アクリル酸36質量部、トリフェニルホスフィン0.1質量部を添加し、空気を吹き込みながら100℃で20時間反応を行った。次いで、酸価が1mgKOH/g以下であることを確認した後、シュウ酸0.1質量部を添加し、70℃で3時間撹拌して、目的のエポキシアクリレート樹脂(3)を得た。このエポキシアクリレート樹脂(3)の不揮発分は80質量%であり、固形分のエポキシ当量は531g/当量であった。また、エポキシ樹脂(A-3)が有するエポキシ基1モルに対するアクリル酸が有する酸基のモル数は、0.5モルであった。
【0173】
(実施例4:エポキシアクリレート樹脂(4)の製造)
温度計、撹拌機、及び還流冷却器を備えたフラスコに、メチルイソブチルケトン68質量部、エポキシ樹脂(A-4)237質量部を仕込み、ジブチルヒドロキシトルエン0.1質量部、メトキノン0.1質量部加えた後、アクリル酸36質量部、トリフェニルホスフィン0.1質量部を添加し、空気を吹き込みながら100℃で20時間反応を行った。次いで、酸価が1mgKOH/g以下であることを確認した後、シュウ酸0.1質量部を添加し、70℃で3時間撹拌して、目的のエポキシアクリレート樹脂(4)を得た。このエポキシアクリレート樹脂(4)の不揮発分は80質量%であり、固形分のエポキシ当量は636g/当量であった。また、エポキシ樹脂(A-4)が有するエポキシ基1モルに対するアクリル酸が有する酸基のモル数は、0.5モルであった。
【0174】
(実施例5:エポキシアクリレート樹脂(5)の製造)
温度計、撹拌機、及び還流冷却器を備えたフラスコに、メチルイソブチルケトン49質量部、エポキシ樹脂(A-1)181質量部を仕込み、ジブチルヒドロキシトルエン0.1質量部、メトキノン0.1質量部加えた後、アクリル酸14.4質量部、トリフェニルホスフィン0.1質量部を添加し、空気を吹き込みながら100℃で12時間反応を行った。次いで、酸価が1mgKOH/g以下であることを確認した後、シュウ酸0.1質量部を添加し、70℃で3時間撹拌して、目的のエポキシアクリレート樹脂(5)を得た。このエポキシアクリレート樹脂(5)の不揮発分は80質量%であり、固形分のエポキシ当量は297g/当量であった。また、エポキシ樹脂(A-1)が有するエポキシ基1モルに対するアクリル酸が有する酸基のモル数は、0.2モルであった。
【0175】
(実施例6:エポキシアクリレート樹脂(6)の製造)
温度計、撹拌機、及び還流冷却器を備えたフラスコに、メチルイソブチルケトン102質量部、エポキシ樹脂(A-1)181質量部を仕込み、ジブチルヒドロキシトルエン0.1質量部、メトキノン0.1質量部加えた後、アクリル酸57.6質量部、トリフェニルホスフィン0.7質量部を添加し、空気を吹き込みながら100℃で15時間反応を行った。次いで、酸価が1mgKOH/g以下であることを確認した後、シュウ酸0.7質量部を添加し、70℃で3時間撹拌して、目的のエポキシアクリレート樹脂(6)を得た。このエポキシアクリレート樹脂(6)の不揮発分は70質量%であり、固形分のエポキシ当量は1530g/当量であった。また、エポキシ樹脂(A-1)が有するエポキシ基1モルに対するアクリル酸が有する酸基のモル数は、0.8モルであった。
【0176】
(実施例7:エポキシアクリレート樹脂(7)の製造)
温度計、撹拌機、及び還流冷却器を備えたフラスコに、メチルイソブチルケトン108質量部、エポキシ樹脂(A-1)181質量部を仕込み、ジブチルヒドロキシトルエン0.1質量部、メトキノン0.1質量部加えた後、アクリル酸72質量部、トリフェニルホスフィン1.3質量部を添加し、空気を吹き込みながら110℃で12時間反応を行った。次いで、酸価が1mgKOH/g以下であることを確認した後、シュウ酸1.3質量部を添加し、70℃で3時間撹拌して、目的のエポキシアクリレート樹脂71)を得た。このエポキシアクリレート樹脂(7)の不揮発分は70質量%であり、固形分のエポキシ当量は20340g/当量であった。また、エポキシ樹脂(A-1)が有するエポキシ基1モルに対するアクリル酸が有する酸基のモル数は、1モルであった。
【0177】
(実施例8:エポキシメタクリレート樹脂(1)の製造)
温度計、撹拌機、及び還流冷却器を備えたフラスコに、メチルイソブチルケトン56質量部、エポキシ樹脂(A-1)181質量部を仕込み、ジブチルヒドロキシトルエン0.1質量部、メトキノン0.1質量部加えた後、メタクリル酸43質量部、トリフェニルホスフィン0.2質量部を添加し、空気を吹き込みながら100℃で20時間反応を行った。次いで、酸価が1mgKOH/g以下であることを確認した後、シュウ酸0.2質量部を添加し、70℃で3時間撹拌して、目的のエポキシメタクリレート樹脂(1)を得た。このエポキシメタクリレート樹脂(1)の不揮発分は80質量%であり、固形分のエポキシ当量は501g/当量であった。また、エポキシ樹脂(A-1)が有するエポキシ基1モルに対するメタクリル酸が有する酸基のモル数は、0.5モルであった。
【0178】
(比較例1:エポキシアクリレート樹脂(R1)の製造)
温度計、撹拌機、及び還流冷却器を備えたフラスコに、t-ブチルカテコール型エポキシ樹脂(DIC株式会社製「EPICLON HP-820」、エポキシ当量:208)208質量部を仕込み、ジブチルヒドロキシトルエン0.1質量部、メトキノン0.1質量部加えた後、アクリル酸36質量部、トリフェニルホスフィン0.1質量部を添加し、空気を吹き込みながら100℃で18時間反応を行った。次いで、酸価が1mgKOH/g以下であることを確認した後、シュウ酸0.1質量部を添加し、70℃で3時間撹拌して、目的のエポキシアクリレート樹脂(R1)を得た。このエポキシアクリレート樹脂(R1)の不揮発分は100質量%であり、固形分のエポキシ当量は502g/当量であった。また、t-ブチルカテコール型エポキシ樹脂が有するエポキシ基1モルに対するアクリル酸が有する酸基のモル数は、0.5モルであった。
【0179】
(比較例2:エポキシアクリレート樹脂(R2)の製造)
温度計、撹拌機、及び還流冷却器を備えたフラスコに、メチルイソブチルケトン80質量部、ナフタレン型エポキシ樹脂(DIC株式会社製「EPICLON HP-4770」、エポキシ当量:204)204質量部を仕込み、ジブチルヒドロキシトルエン0.1質量部、メトキノン0.1質量部加えた後、アクリル酸36質量部、トリフェニルホスフィン0.1質量部を添加し、空気を吹き込みながら100℃で23時間反応を行った。次いで、酸価が1mgKOH/g以下であることを確認した後、シュウ酸0.1質量部を添加し、70℃で3時間撹拌して、目的のエポキシアクリレート樹脂(R2)を得た。このエポキシアクリレート樹脂(R2)の不揮発分は75質量%であり、固形分のエポキシ当量は509g/当量であった。また、ナフタレン型エポキシ樹脂が有するエポキシ基1モルに対するアクリル酸が有する酸基のモル数は、0.5モルであった。
【0180】
(実施例9:硬化性樹脂組成物(1)の調製)
実施例1で得た不揮発分80質量%のエポキシアクリレート樹脂(1)100質量部(固形分として80質量部)と、アクリレートモノマー20質量部と、光重合性開始剤(IGM Resins社製「Omnirad 184D」5質量部と、2-エチル-4-メチルイミダゾール1.6質量部とを混合し、硬化性樹脂組成物(1)を得た。
【0181】
(実施例10~16:硬化性樹脂組成物(2)~(8)の調製)
実施例9で用いたエポキシアクリレート樹脂(1)の代わりに、実施例2~8で得たエポキシアクリレート樹脂(2)~(7)及びエポキシメタクリレート樹脂(1)を表1に示した配合量で用いた以外は、実施例9と同様にして、硬化性樹脂組成物(2)~(8)を得た。
【0182】
(比較例3:硬化性樹脂組成物(R1)の調製)
比較例1で得た不揮発分100質量%のアクリレート樹脂(R1)80質量部と、アクリレートモノマー20質量部と、光重合性開始剤(IGM Resins社製「Omnirad 184D」)5質量部と、2-エチル-4-メチルイミダゾール1.6質量部とを混合し、硬化性樹脂組成物(R1)を得た。
【0183】
上記の実施例及び比較例で得られた硬化性樹脂組成物(1)~(8)、(R1)及び(R2)を用いて、下記の評価を行った。
【0184】
[耐熱性の評価方法]
各実施例及び比較例で得られた硬化性樹脂組成物を、アプリケーターを用いて銅箔(古河産業株式会社製、電解銅箔「F2-WS」18μm)上に膜厚50μmとなるように塗布し、80℃で30分乾燥させた。次いで、メタルハライドランプを用いて10kJ/m2の紫外線を照射した後、160℃で1時間加熱して、硬化塗膜を得た。次いで、前記硬化塗膜を銅箔から剥離し、硬化物を得た。前記硬化物から6mm×35mmの試験片を切り出し、粘弾性測定装置(DMA:レオメトリック社製固体粘弾性測定装置「RSAII」、引張り法:周波数1Hz、昇温速度3℃/分)を用いて、弾性率変化が最大となる温度をガラス転移温度として評価した。なお、ガラス転移温度が高いほど耐熱性に優れていることを示す。
【0185】
[誘電率の測定方法]
各実施例及び比較例で得られた硬化性樹脂組成物を、アプリケーターを用いてガラス基材上に膜厚50μmとなるように塗布し、80℃で30分乾燥させた。次いで、メタルハライドランプを用いて10kJ/m2の紫外線を照射した後、160℃で1時間加熱して、硬化塗膜を得た。次いで、前記硬化塗膜をガラス基材から剥離し、硬化物を得た。次いで、温度23℃、湿度50%の室内に24時間保管したものを試験片とし、アジレント・テクノロジー株式会社製「ネットワークアナライザE8362C」を用いて、空洞共振法により試験片の1GHzでの誘電率を測定した。
【0186】
[誘電正接の測定方法]
各実施例及び比較例で得られた硬化性樹脂組成物を、アプリケーターを用いてガラス基材上に膜厚50μmとなるように塗布し、80℃で30分乾燥させた。次いで、メタルハライドランプを用いて10kJ/m2の紫外線を照射した後、160℃で1時間加熱して、硬化塗膜を得た。次いで、前記硬化塗膜をガラス基材から剥離し、硬化物を得た。次いで、温度23℃、湿度50%の室内に24時間保管したものを試験片とし、アジレント・テクノロジー株式会社製「ネットワークアナライザE8362C」を用いて、空洞共振法により試験片の1GHzでの誘電正接を測定した。
【0187】
実施例9~16で作製した硬化性樹脂組成物(1)~(8)、並びに比較例3及び4で作製した硬化性樹脂組成物(R1)及び(R2)の組成及び評価結果を表1に示す。
【0188】
【0189】
表1におけるエポキシアクリレート樹脂及びエポキシメタクリレート樹脂の質量部の記載は、固形分値である。
【0190】
なお、表1中の「アクリレートモノマー」は、ビスフェノールAのEO変性ジアクリレート(Miwon Specialty Chemical社製「Miramaer M240」)を示す。
【0191】
表1中の「光重合開始剤」は、IGM Resins社製「Omnirad 184D」を示す。
【0192】
表1に示した実施例9~16は、本発明のエポキシ(メタ)アクリレート樹脂を用いた硬化性樹脂組成物の例である。これらの硬化性樹脂組成物の硬化物は、優れた耐熱性及び誘電特性を有することが確認できた。
【0193】
一方、比較例3及び4は、エポキシ(メタ)アクリレート樹脂の原料として一般式(1)で表されるエポキシ樹脂を用いない硬化性樹脂組成物の例である。比較例3により得られた硬化性樹脂組成物の硬化物は、耐熱性が著しく不十分であり、また、比較例4により得られた硬化性樹脂組成物の硬化物は、誘電率、誘電正接ともに高く、誘電特性が著しく不十分であることが確認できた。