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<図1>
  • 特許-ウレタン系二液硬化型接着剤 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-08
(45)【発行日】2025-01-17
(54)【発明の名称】ウレタン系二液硬化型接着剤
(51)【国際特許分類】
   C09J 175/04 20060101AFI20250109BHJP
   C08G 18/10 20060101ALI20250109BHJP
   C08G 18/36 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
C09J175/04
C08G18/10
C08G18/36
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2024522700
(86)(22)【出願日】2023-06-16
(86)【国際出願番号】 JP2023022420
(87)【国際公開番号】W WO2024004715
(87)【国際公開日】2024-01-04
【審査請求日】2024-04-16
(31)【優先権主張番号】P 2022106202
(32)【優先日】2022-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002886
【氏名又は名称】DIC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100193725
【弁理士】
【氏名又は名称】小森 幸子
(74)【代理人】
【識別番号】100163038
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 武志
(72)【発明者】
【氏名】菅沼 肇
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 岳
【審査官】河内 浩志
(56)【参考文献】
【文献】特表2021-536501(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00- 5/10
7/00- 7/50
9/00-201/10
C08G18/00- 18/87
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリイソシアネートとポリオールAの反応から得られるイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーを含む主剤と、グリセロールエステル系ポリオールを含む硬化剤とを含む二液硬化型接着剤であって、
前記グリセロールエステル系ポリオールは、下記式(1)で表される化合物を含み、
前記グリセロールエステル系ポリオール中のオレイン酸由来の脂肪酸残基の含有量は、前記グリセロールエステル系ポリオール中の脂肪酸残基の総量を基準として70モル%以上である、二液硬化型接着剤。
【化1】
(X及びXは、一方が水素で、かつ他方がメチロール基であり、
及びXは、一方が水素で、かつ他方がメチロール基であり、
及びXは、一方が水素で、かつ他方がメチロール基である。)
【請求項2】
前記主剤中のイソシアネート基の含有率(NCO%)が、2.0~15.0%の範囲である、請求項1に記載の二液硬化型接着剤。
【請求項3】
前記グリセロールエステル系ポリオールが、下記式(2-1)及び/又は式(2-2)で表される化合物をさらに含む、請求項1に記載の二液硬化型接着剤。
【化2】
(X及びXは、一方が水素で、かつ他方がメチロール基であり、
及びXは、一方が水素で、かつ他方がメチロール基であり、
及びXは、一方が水素で、かつ他方がメチロール基であり、
R及びR’は、それぞれ独立して下記式(3)で表される基以外の不飽和脂肪酸もしくは飽和脂肪酸の残基、又は水素である。)
【化3】
(Y及びYの対は、一方が水素で、かつ他方がメチロール基であり、*は結合手である。)
【請求項4】
前記ポリオールAが、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリアクリルポリオール、ポリオレフィンポリオール、ポリカーボネートポリオール、エポキシ樹脂ポリオール、低分子多価アルコール、及びこれらの部分変性物からなる群から選択される少なくとも1種を含む、請求項1に記載の二液硬化型接着剤。
【請求項5】
前記ポリイソシアネートが、ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメリックジフェニルメタンジイソシアネート、変性ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネートと多価アルコールからなるアダクト型ポリイソシアネート、トリレンジイソシアネートのヌレート型ポリイソシアネート、及びトリレンジイソシアネートとアルコールから得られるアロハネート型ポリイソシアネートからなる群から選択される少なくとも1種を含む、請求項1に記載の二液硬化型接着剤。
【請求項6】
前記ウレタンプレポリマーが、ジフェニルメタンジイソシアネート及びトリレンジイソシアネートから選択される少なくとも1種と、ポリエーテルポリオールとの反応から得られる、請求項1に記載の二液硬化型接着剤。
【請求項7】
前記主剤中のイソシアネート基の前記硬化剤中のグリセロールエステル系ポリオールの水酸基に対する当量比(イソシアネート基/水酸基)が、0.3~3.0である、請求項1に記載の二液硬化型接着剤。
【請求項8】
前記グリセロールエステル系ポリオールが、トリオレイン、オリーブ油、高オレイン酸ベニバナ油、高オレイン酸椿油、及び藻類由来高オレイン酸油脂からなる群から選択される少なくとも1種から得られる、請求項1に記載の二液硬化型接着剤。
【請求項9】
完全に硬化させたときの剪断強度が、JIS K6859に準拠した方法で測定したときに15MPa以上であり、かつ硬化反応後7日後の剪断強度を100%としたときの硬化反応後1日後の剪断強度の割合が75%以上である、請求項1~8のいずれか1項に記載の二液硬化型接着剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メチロール基を有するグリセロールエステル系ポリオールを用いたウレタン系二液硬化型接着剤に関する。
【背景技術】
【0002】
ウレタン系接着剤は高い強度を発現するとともに、ウレタン特有の柔軟性により、金属とプラスチック等の異種素材同士の接着にも使用できることから、様々な分野で幅広く利用されている。例えば、近年自動車産業では軽量化の観点から、鋼板に代えて繊維強化プラスチック(FRP)等の樹脂材料が使用されるようになってきており、これに伴いより性能が高いウレタン系接着剤が求められている。
【0003】
また、二酸化炭素濃度増加に伴う地球温暖化、世界的な異常気象の発生から、接着剤用樹脂においても植物由来等のバイオ(非石油)由来の樹脂に対する需要が高まりつつある。しかし、例えば、特許第5398715号に開示されている植物由来のポリオールは、ヒマシ油由来の2級水酸基を有するポリオールであり、2級水酸基を有するポリオールは1級水酸基を有するポリオールに比べ、ポリイソシアネートに対する反応性が低いという問題があった。特表2008-504287号には、ヒドロホルミル化した大豆油から得られたポリオールが開示されているが、大豆油はオレイン酸含有量が25%と低く、ポリイソシアネートとの反応により理想的な架橋構造を有するウレタン硬化物が得られず、硬度や物性において劣るという問題があった。
【0004】
特表2021-536501号には、藻類由来のトリアシルグリセロールをヒドロホルミル化及び水素化した1級水酸基を有するポリオールが開示されている。しかし、同文献には実用レベルの要求を満たすポリウレタン系接着剤は示されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第5398715号公報
【文献】特表2008-504287号公報
【文献】特表2021-536501号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、高反応性で毒性の高いアミン系反応促進剤を低減し、作業者の健康にも配慮したグリセロールエステル系ポリオールとポリイソシアネートからなるウレタン系二液硬化型接着剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、特定のグリセロールエステル系ポリオールを硬化剤として用いることにより、アミン類等の反応促進剤を用いることなく、硬化性、接着強度等の接着性能が顕著に向上することを見出し、本発明を完成した。
【0008】
すなわち、本発明は以下の態様を含む。
[1]ポリイソシアネートとポリオールAの反応から得られるイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー、及び/又はトリレンジイソシアネート系ポリイソシアネートを含む主剤と、グリセロールエステル系ポリオールを含む硬化剤とを含む二液硬化型接着剤であって、
前記トリレンジイソシアネート系ポリイソシアネートは、トリレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネートと多価アルコールからなるアダクト型ポリイソシアネート、トリレンジイソシアネートの重合したヌレート型ポリイソシアネート、及びトリレンジイソシアネートとアルコールから得られるアロハネート型ポリイソシアネートからなる群から選択される少なくとも1種を含み、
前記グリセロールエステル系ポリオールは、下記式(1)で表される化合物を含み、
前記グリセロールエステル系ポリオール中のオレイン酸由来の脂肪酸残基の含有量は、前記グリセロールエステル系ポリオール中の脂肪酸残基の総量を基準として70モル%以上である、二液硬化型接着剤。
【化1】
(X及びXは、一方が水素で、かつ他方がメチロール基であり、
及びXは、一方が水素で、かつ他方がメチロール基であり、
及びXは、一方が水素で、かつ他方がメチロール基である。)
【0009】
[2]前記グリセロールエステル系ポリオールが、下記式(2-1)及び/又は式(2-2)で表される化合物をさらに含む、[1]に記載の二液硬化型接着剤。
【化2】
(X及びXは、一方が水素で、かつ他方がメチロール基であり、
及びXは、一方が水素で、かつ他方がメチロール基であり、
及びXは、一方が水素で、かつ他方がメチロール基であり、
R及びR’は、それぞれ独立して下記式(3)で表される基以外の不飽和脂肪酸もしくは飽和脂肪酸の残基、又は水素である。)
【化3】
(Y及びYの対は、一方が水素で、かつ他方がメチロール基であり、*は結合手である。)
[3]前記ポリオールAが、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリアクリルポリオール、ポリオレフィンポリオール、ポリカーボネートポリオール、エポキシ樹脂ポリオール、低分子多価アルコール、及びこれらの部分変性物からなる群から選択される少なくとも1種を含む、[1]に記載の二液硬化型接着剤。
[4]前記ポリイソシアネートが、ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメリックジフェニルメタンジイソシアネート、変性ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネートと多価アルコールからなるアダクト型ポリイソシアネート、トリレンジイソシアネートのヌレート型ポリイソシアネート、及びトリレンジイソシアネートとアルコールから得られるアロハネート型ポリイソシアネートからなる群から選択される少なくとも1種を含む、[1]に記載の二液硬化型接着剤。
[5]前記ウレタンプレポリマーが、ジフェニルメタンジイソシアネート及びトリレンジイソシアネートから選択される少なくとも1種と、ポリエーテルポリオールとの反応から得られる、[1]に記載の二液硬化型接着剤。
[6]前記主剤中のイソシアネート基の前記硬化剤中のグリセロールエステル系ポリオールの水酸基に対する当量比(イソシアネート基/水酸基)が0.3~3.0である、[1]に記載の二液硬化型接着剤。
[7]前記グリセロールエステル系ポリオールが、トリオレイン、オリーブ油、高オレイン酸ベニバナ油、高オレイン酸椿油、及び藻類由来高オレイン酸油脂からなる群から選択される少なくとも1種から得られる、[1]に記載の二液硬化型接着剤。
[8]完全に硬化させた接着剤の剪断強度が、JIS K6859に準拠した方法で測定したときに15MPa以上であり、かつ硬化反応後7日後の剪断強度を100%としたときの硬化反応後1日後の剪断強度の割合が75%以上である、[1]~[7]のいずれかに記載の二液硬化型接着剤。
【発明の効果】
【0010】
本発明に用いるグリセロールエステル系ポリオールは1級水酸基を含むため、イソシアネート基との反応性が高い。また、オレイン酸由来の脂肪酸残基の割合が高く、構造の規則性が高いため、速硬化性及び接着性が高く、良好な耐薬品性を有する。本発明では、ポリイソシアネートとポリオールAの反応によるウレタンプレポリマー、及び/又はトリレンジイソシアネート系ポリイソシアネートを含む主剤と、グリセロールエステル系ポリオールを含む硬化剤との二液硬化型接着剤としているため、速硬化性、接着強度等の接着性能をより向上させることができる。さらに、本発明の接着剤は硬化性が高いため、毒性の高いアミン類等の反応促進剤を低減することができ、また、バイオ由来のトリアシルグリセロールを用いることにより、石油原料を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、LC/CAD(液体クロマトグラフィー/荷電化粒子検出器)によるポリオール5の測定結果である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の接着剤は、主剤と硬化剤を含む二液硬化型接着剤である。主剤と硬化剤の適切な組み合わせにより硬化をより促進し、接着性能をより向上させることが可能である。
【0013】
(主剤)
本発明の二液硬化型接着剤に用いる主剤は、ポリイソシアネートとポリオールAの反応から得られるイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー、及び/又はトリレンジイソシアネート(TDI)系ポリイソシアネート(以下、TDI系ポリイソシアネートと記す)を含む。すなわち、主剤は、ウレタンプレポリマーとTDI系ポリイソシアネート、ウレタンプレポリマー、又はTDI系ポリイソシアネートのいずれかを含む。TDI系ポリイソシアネートは、トリレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネートと多価アルコールからなるアダクト型ポリイソシアネート、トリレンジイソシアネートの重合したヌレート型ポリイソシアネート、及びトリレンジイソシアネートとアルコールから得られるアロハネート型ポリイソシアネートからなる群から選択される少なくとも1種を含む。
主剤としてポリイソシアネートとポリオールAの反応により得られるウレタンプレポリマーを含む場合は、ポリイソシアネートとポリオールAが反応することにより、分子末端に複数のイソシアネート基を含むウレタンプレポリマーが得られる。ウレタンプレポリマーの数平均分子量は好ましくは500~10,000であり、より好ましくは1,000~5,000である。
【0014】
<ポリイソシアネート>
本発明のウレタンプレポリマーに用いる好ましいポリイソシアネートは、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、脂環式のポリイソシアネート等であり、これらの2種以上を組み合わせて用いることができる。芳香族ポリイソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート(TDI)[例えば、2,4-トリレンジイソシアネート(2,4-TDI)、2,6-トリレンジイソシアネート(2,6-TDI)等]、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)[例えば、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4’-MDI)、2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(2,4’-MDI)等]、1,4-フェニレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、トリジンジイソシアネート(TODI)、1,5-ナフタレンジイソシアネート(NDI)、トリフェニルメタントリイソシアネート、ポリメリックジフェニルメタンジイソシアネート(ポリメリックMDI)(ジフェニルメタンジイソシアネートを高分子量化した化合物)、変性ジフェニルメタンジイソシアネート(変性MDI)[例えば、イソシアヌレート変性MDI、カルボジイミド変性MDI、ウレタン変性MDI等]等が挙げられる。脂肪族又は脂環式のポリイソシアネートとしては、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMHDI)、リジンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート(NBDI)、トランスシクロヘキサン-1,4-ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン(H6XDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)、これらのカルボジイミド変性体、イソシアヌレート変性体等が挙げられる。本発明に用いるポリイソシアネートは、より好ましくはMDI、ポリメリックMDI、変性MDI、TDI、TDIと多価アルコールから得られるアダクト型ポリイソシネート、TDIのヌレート型ポリイソシアネート、TDIとアルコールから得られるアロハネート型ポリイソシアネート、又はこれらの組み合わせである。
【0015】
<ポリオールA>
本発明に用いるポリオールAは、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリアクリルポリオール、アルキレンポリオール、エポキシ樹脂ポリオール、ポリオレフィンポリオール、低分子多価アルコール、又はこれらの部分変性物、又はこれらの組み合わせである。本発明に用いるポリオールAは、好ましくはポリエーテルポリオールを含む。
【0016】
<<ポリエーテルポリオール>>
ポリエーテルポリオールとしては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、テトラヒドロフラン等のアルキレンオキサイド、スチレンオキサイド等を組み合わせてなるポリマー、又は共重合体が挙げられる。具体例としては、ポリオキシエチレンジオール(ポリエチレングリコール:PEG)、ポリオキシプロピレンジオール(ポリプロピレングリコール:PPG)、ポリテトラメチレンエーテルポリオール(PTMEG)、ポリオキシプロピレントリオール、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド共重合体(ジオール)、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド共重合体(トリオール)等が挙げられる。
【0017】
<<低分子多価アルコール>>
低分子多価アルコールしては、エチレングリコール(EG)、ジエチレングリコール、プロピレングリコール(PG)、ジプロピレングリコール、(1,3-又は1,4-)ブタンジオール、ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、グリセリン、1,1,1-トリメチロールプロパン(TMP)、1,2,5-ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール等の低分子ポリオール、ソルビトール等の糖類等が挙げられる。
【0018】
<<ポリエステルポリオール>>
ポリエステルポリオールとしては、縮合系ポリエステルポリオール、ラクトン系ポリエステルポリオール等が挙げられる。縮合系ポリエステルポリオールは、例えば、上記低分子多価アルコールと、多価塩基性カルボン酸(グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、フマル酸、マレイン酸、ピメリン酸、スベリン酸、セバシン酸、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ダイマー酸、ピロメリット酸、オリゴマー酸等)との反応生成物である。ラクトン系ポリエステルポリオールは、例えば、ε-カプロラクトン、α-メチル-ε-カプロラクトン、ε-メチル-ε-カプロラクトン等のラクトンを開環重合して得られるポリカプロラクトンポリオールである。
【0019】
<<ポリカーボネートポリオール>>
ポリカーボネートポリオールは、例えば、ポリオール(1,6-ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、オクタンジオール、1,4-ブチンジオール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等の飽和もしくは不飽和の各種グリコール類、1,4-シクロヘキサンジグリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール等の脂環族グリコール等)と、ジアルキルカーボネート(ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等)、エチレンカーボネート、ジフェニルカーボネート等との反応によって得られるポリオールである。
【0020】
<<ポリアクリルポリオール>>
ポリアクリルポリオールは、例えば、1分子中に1個以上の水酸基を有する重合性アクリルモノマーと、これに共重合可能な他のモノマー(例えば、他の(メタ)アクリル酸系モノマー及び/又は他の不飽和モノマー)を共重合することによって得られる。ポリアクリルポリオールの具体例としては、1分子中に1個以上の水酸基を有する重合性アクリルモノマーとビニルモノマーとの共重合体、重合性アクリルモノマーとε-カプロラクロン、γ-バレロラクトン等のラクトン類との開環重合付加物等が挙げられる。重合性アクリルモノマーとしては、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシペンチル、グリセリンの(メタ)アクリル酸モノエステル、トリメチロールプロパンの(メタ)アクリル酸モノエステル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシ-3-クロロプロピル等が挙げられる。ビニルモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸と炭素数2~10のグリコールとのモノエステル(ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート等)、カルボキシル基含有ビニルモノマー、アマイド系ビニルモノマー、グリシジル基含有ビニルモノマー、スチレン及びその誘導体、アクリロニトリル、ビニルトルエン、塩化ビニル、酢酸ビニル等が挙げられる。
【0021】
<<アルキレンポリオール>>
アルキレンポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、3,3-ジメチロールヘプタン、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、1,12-ドデカンジオール、1,18-オクタデカンジオール、2-ヒドロキシステアリルアルコール、12-ヒドロキシステアリルアルコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、1,2,2-トリメチル-1,3-プロパンジオール、2,2-ジメチル-3-イソプロピル-1,3-プロパンジオール、2,2-ジメチル-3-ベンジル-1,3-プロパンジオール、2,2-ジメチル-3-イソブチル-1,3-プロパンジオール、2,2,3,3-テトラメチル-1,4-ブタンジオール、2,2,4-トリメチル-1,5-ペンタンジオール、2,2,4-トリメチル-1,6-ヘキサンジオール、2-ヒドロキシパルミチルアルコール、2,2-ビス(4-ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン(水添ビスフェノールA)等が挙げられる。
【0022】
<<ポリオレフィンポリオール>>
ポリオレフィンポリオールとしては、ポリエチレン系ポリオール、ポリプロピレン系ポリオール、ポリブタジエンポリオール、水素添加ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオール、水素添加ポリイソプレンポリオール等が挙げられる。
【0023】
<<エポキシ樹脂ポリオール>>
エポキシ樹脂ポリオールとしては、例えば、ジグリシジル化合物(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル等)と、ビスフェノール化合物(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビフェノール等)、及び/又は多価塩基性カルボン酸(グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、フマル酸、マレイン酸、ピメリン酸、スベリン酸、セバシン酸、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ダイマー酸、ピロメリット酸、オリゴマー酸等)、及び/又はポリアミン(モノメチルアミン、モノエチルアミン、モノプロピルアミン、モノブチルアミン、モノメタノールアミン、モノエタノールアミン、モノプロパノールアミン、モノブタノールアミン、ジアミノメタン、ジアミノエタン、ジアミノプロパン、ジアミノブタン、ジアミノポリエチレンオキサイド、ジアミノポリプロピレンオキサイド等)との反応生成物が挙げられる。
【0024】
<その他の成分>
主剤は、ウレタンプレポリマーの構成要素としてポリオールA以外に、活性水素基を有する化合物としてポリアミン化合物を含有してもよく、また、添加剤を本発明の目的を損なわない範囲で含有してもよい。
【0025】
<<ポリアミン化合物>>
ポリアミン化合物としては、脂肪族ポリアミン(エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ブチレンジアミン、ジエチレントリアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、トリエチレンテトラミン等)、芳香族ポリアミン(ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン、ベンジジン等)、ポリエーテルポリアミン(ポリオキシプロピレンジアミン等)等が挙げられる。アミン類は毒性が高いことから、本発明では、ポリアミン化合物はポリオールAに対し、好ましくは0.1モル%以下、より好ましくは0.01モル%以下であり、さらに好ましくはポリアミン化合物を全く含まない。
【0026】
<<添加剤>>
添加剤としては、ウレタン系接着剤に一般に用いられる添加剤、例えば、充填剤(ヒュームドシリカ、焼成シリカ等のシリカ、ケイソウ土、タルク、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、焼成クレー、カーボンブラック等)、可塑剤(フタル酸ジイソノニル、アジピン酸ジオクチル、コハク酸イソデシル、ジエチレングリコールジベンゾエート、ペンタエリスリトールエステル等)、老化防止剤(ヒンダードフェノール系化合物等)、酸化防止剤(ブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール等)、紫外線吸収剤、難燃剤、界面活性剤、分散剤、脱水剤、接着付与剤(フェノール樹脂、ロジン樹脂等)、帯電防止剤(第四級アンモニウム塩;ポリグリコール、エチレンオキサイド誘導体等)等が挙げられる。
【0027】
<主剤ウレタンプレポリマーの調製>
主剤ウレタンプレポリマー中のポリイソシアネートとポリオールAの配合量は、好ましくはポリイソシアネート中のイソシアネート基がポリオールA中の水酸基に対して過剰になるように配合する。ポリイソシアネート中のイソシアネート基のポリオールA中の水酸基に対する当量比(イソシアネート基/水酸基)が、好ましくは1.5~5.0、より好ましくは2.5~4.0となるようにポリオールAとポリイソシアネートを配合し、好ましくは50~110℃で4~20時間、より好ましくは70~100℃で6~12時間反応する。ポリイソシアネートとポリオールAとの反応により、好ましくはポリオールAのすべてが反応してウレタンプレポリマーを形成する。得られた主剤中には、好ましくは未反応のポリイソシアネートが残存ポリイソシアネートとして存在する。主剤は、ウレタンプレポリマー以外に残存ポリイソシアネートを含有してよい。ポリイソシアネートとポリオールAを反応して得られた主剤中のイソシアネート基の含有率(NCO%:重量%)は、JIS K-1603-1:2007に準拠した方法により測定したときに、好ましくは2.0~15.0%、より好ましくは4.0~12.0%である。イソシアネート基の含有率を上記範囲にすることにより、得られる接着剤硬化物は高い接着強度と高い弾性率を達成することができる。
【0028】
(硬化剤)
硬化剤はメチロール基を有するグリセロールエステル系ポリオールを含む。メチロール基を有するグリセロールエステル系ポリオールは、主剤中のウレタンプレポリマー及び未反応の残存ポリイソシアネートと速やかに反応して硬化物を形成する。
【0029】
<グリセロールエステル系ポリオール>
本発明に用いるグリセロールエステル系ポリオールは、分子内にメチロール基を含む。すなわち、本発明に用いるグリセロールエステル系ポリオールは、下記式(1)で表される化合物を含み、前記グリセロールエステル系ポリオール中のオレイン酸由来の脂肪酸残基の含有量は、前記グリセロールエステル系ポリオール中の脂肪酸残基の総量を基準として70モル%以上である。
【0030】
【化4】
【0031】
(X及びXは、一方が水素で、かつ他方がメチロール基であり、
及びXは、一方が水素で、かつ他方がメチロール基であり、
及びXは、一方が水素で、かつ他方がメチロール基である。)
【0032】
本発明に用いるグリセロールエステル系ポリオールは、下記式(2-1)及び/又は式(2-2)で表される化合物をさらに含んでもよい。
【0033】
【化5】
【0034】
(X及びXは、一方が水素で、かつ他方がメチロール基であり、
及びXは、一方が水素で、かつ他方がメチロール基であり、
及びXは、一方が水素で、かつ他方がメチロール基であり、
R及びR’は、それぞれ独立して下記式(3)で表される基以外の不飽和脂肪酸もしくは飽和脂肪酸の残基、又は水素である。)
【0035】
【化6】
【0036】
(Y及びYの対は、一方が水素で、かつ他方がメチロール基であり、*は結合手である。)
【0037】
式(3)中のR及びR’としては、不飽和脂肪酸(例えば、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、サピエン酸、エライジン酸、バクセン酸、ペトロセリン酸、エイコセン(ゴンドイン)酸、パウリン酸、ガドレイン酸、エルカ酸、ブラシジン酸、ネルボン酸、ヘキサデカトリエン酸、リノール酸、リノールエライジン酸、α-リノレン酸、ピノレン酸、ステアリドン酸、エイコサジエン酸、ミード酸、エイコサトリエン酸、α-リノレン酸、γ-リノレン酸、ジホモ-γ-リノレン酸、ポドカルピン酸、アラキドン酸、エイコサテトラエン酸、エイコサペンタエン酸、ヘンエイコサペンタエン酸、ドコサジエン酸、アドレン酸、ドコサペンタエン酸(オズボンド酸)、ドコサヘキサエン酸、ドコサヘキサエン酸、テトラコサテトラエン酸、もしくはテトラコサペンタエン酸)、飽和脂肪酸(例えば、パルミチン酸、ステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、もしくはリグノセリン)から誘導される脂肪酸残基、又は水素が挙げられるが、R及びR’で表される脂肪酸残基は上記例示したものに限定されない。
【0038】
グリセロールエステル系ポリオール中のオレイン酸由来の脂肪酸残基の含有量は、該グリセロールエステル系ポリオール中の脂肪酸残基の総量を基準として(すなわち、グリセロールエステル系ポリオール中の脂肪酸残基の総量を100モル%としたときに)、好ましくは70モル%以上、より好ましくは80モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上である。また、グリセロールエステル系ポリオール中の上記式(1)で表されるトリアシルグリセロールならびに上記式(2―1)及び式(2―2)で表されるトリアシルグリセロール及び/又はジアシルグリセロールの量は、グリセロールエステル系ポリオールの総量を基準として、好ましくは80モル%以上、より好ましくは90モル%以上である。
【0039】
本発明に用いるグリセロールエステル系ポリオールは、オレイン酸残基の含有率が高く規則性が高い。また、分子内に1級水酸基(メチロール基)を有するため、イソシアネート基との反応性(硬化性)が高い。したがって、反応促進剤(第3級アミン等)や硬化触媒(金属触媒、アミン触媒等)を用いることなく、迅速に接着(硬化)することができる。
【0040】
<その他の成分>
硬化剤は、式(1)、式(2―1)及び式(2―2)で表されるグリセロールエステル系ポリオール以外の他のポリオール、ポリアミン化合物、添加剤等を本発明の目的を損なわない範囲で含有してもよい。上記他のポリオールとしては、例えば上記ポリオールAで用いることができるポリオールが挙げられる。ポリアミン化合物としては、主剤に用いることができるポリアミン化合物と同様の化合物が挙げられるが、アミン類は毒性が高いことから、硬化剤中のポリアミン化合物はグリセロールエステル系ポリオールに対し、好ましくは0.1モル%以下、より好ましくは0.01モル%以下であり、さらに好ましくは硬化剤はポリアミン化合物を全く含まない。また、添加剤は、主剤に用いることができる添加剤と同様の添加剤を添加することができる。
【0041】
<硬化剤の調製>
硬化剤中のグリセロールエステル系ポリオールは、主剤中のイソシアネート基の硬化剤中のグリセロールエステル系ポリオールの水酸基に対する当量比(イソシアネート基/水酸基)が好ましくは0.3~3.0、より好ましくは0.5~2.0となるように配合する。グリセロールエステル系ポリオールの水酸基の量に対しイソシアネート基の量が上記範囲を超えて過剰になると接着剤の弾性率が低下する傾向になり、硬化剤中の水酸基の量に対しイソシアネート基の量が上記範囲を超えて低下すると接着剤の接着強度が低下する傾向になる。
【0042】
<<硬化剤にその他のポリオールを併用する場合>>
硬化剤中に上記グリセロールエステル系ポリオール以外の他のポリオールを併用する場合は、主剤中のイソシアネート基の硬化剤中の水酸基(グリセロールエステル系ポリオールとそれ以外のポリオールの合算した水酸基)に対する当量比(イソシアネート基/水酸基)が好ましくは0.3~3.0、より好ましくは0.5~2.0となるように配合する。硬化剤中の水酸基の量に対しイソシアネート基の量が上記範囲を超えて過剰になると接着剤の弾性率が低下する傾向になり、硬化剤中の水酸基の量に対しイソシアネート基の量が上記範囲を超えて低下すると接着剤の接着強度が低下する傾向になる。
【0043】
<グリセロールエステル系ポリオールの合成>
原料の不飽和脂肪酸残基を有するグリセロールエステルをヒドロホルミル化、次いで水素化することにより、不飽和脂肪酸残基の炭素-炭素二重結合に1級水酸基(メチロール基)を導入し、グリセロールエステル系ポリオールとする。
【0044】
硬化剤の原料に用いるグリセロールエステルは、脂肪酸残基に炭素-炭素二重結合を少なくとも1つ含む。グリセロールエステルは、好ましくは2つの脂肪酸残基がオレイン酸残基であり、より好ましくは3つの脂肪酸残基がオレイン酸残基である。本発明に用いるグリセロールエステルは、トリオレイン以外のジオレイン化合物由来のトリアシルグリセロール及び/又はジアシルグリセロールを含んでもよい。本発明に用いるグリセロールエステル中のオレイン酸由来の脂肪酸残基の含有量は、グリセロールエステル中の脂肪酸残基の総量を基準として好ましくは70モル%以上、より好ましくは80モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上である。本発明で用いるグリセロールエステルは、例えば、トリオレイン、オリーブ油、高オレイン酸ベニバナ油、高オレイン酸椿油、藻類由来高オレイン酸油脂、又はこれらの1種以上の組み合わせから得られるが、これらに限定されない。本発明では、原料に用いるグリセロールエステルは好ましくは非石油由来である。非石油由来原料はバイオ由来原料を含む。
ここでバイオとは、動物、植物、微生物等の生物資源を指す。微生物とは、顕微鏡的微小生物の総称である。本明細書において微生物は、単細胞性の藻類(微細藻類を含む)、真核菌類(カビ、酵母)などの真核生物と、藍藻、細菌などの原核生物を含む。
微細藻類の中でも、次のうち1以上の属および種が、グリセロールエステルを生産するのに好ましく用いられる。微細藻類として、例えばChlorella属の種、Pseudochlorella属の種、Heterochlorella属の種、Prototheca属の種、Arthrospira属の種、Euglena属の種、Nannochloropsis属の種、Phaeodactylum属の種、Chlamydomonas属の種、Scenedesmus属の種、Ostreococcus属の種、Selenastrum属の種、Haematococcus属の種、Nitzschia、Dunaliella、Navicula属の種、Trebouxia属の種、Pseudotrebouxia属の種、Vavicula属の種、Bracteococcus属の種、Gomphonema属の種、Watanabea属の種、Botryococcus属の種、Tetraselmis属の種およびIsochrysis属の種が挙げられる。
酵母の中でも、次のうち1以上の属および種が、グリセロールエステルを生産するのに好ましく用いられる。酵母として、例えばCandida属の種、Cryptococcus属の種、Debaromyces属の種、Endomycopsis属の種、Geotrichum属の種、Hyphopichia属の種、Lipomyces属の種、Pichia属の種、Rodosporidium属の種、Rhodotorula属の種、Sporobolomyces属の種、Starmerella属の種、Torulaspora属の種、Trichosporon属の種、Wickerhamomyces属の種、Yarrowia属の種およびZygoascus属の種が挙げられる。
細菌の中でも、次のうち1以上の属および種が、グリセロールエステルを生産するのに好ましく用いられる。細菌として、例えばFlavimonas oryzihabitans、Pseudomonas aeruginosa、Morococcus属の種、Rhodobacter sphaeroides、Rhodococcus opacus、Rhodococcus erythropolis、Streptomyces jeddahensis、Ochrobactrum属の種、Arthrobacter属の種、Nocardia属の種、Mycobacteria属の種、Gordonia属の種、Catenisphaera属の種およびDietzia属の種が挙げられる。
【0045】
ヒドロホルミル化は、例えば、不飽和脂肪酸残基を有するグリセロールエステルと一酸化炭素及び水素との反応により、不飽和脂肪酸残基の炭素-炭素二重結合にホルミル(CHO)基と水素の付加をもたらす。ヒドロホルミル化は、例えば、グリセロールエステルと触媒を入れた反応容器を一酸化炭素と水素の合成ガスにより約500psi~約1500psiに加圧し、約40℃~約200℃の温度で約1時間~約10時間反応することにより行うことができる。
【0046】
ヒドロホルミル化に用いる触媒としては、コバルトベースの触媒(ヒドリドテトラカルボニルコバルト触媒、コバルトホスフィン触媒、貴金属(例えば、パラジウム、ルテニウム、又は白金)が補充されたコバルト触媒等)、ロジウムベースの触媒(例えば、ロジウムホスフィン触媒、アセチルアセトナート-ジカルボニルロジウム(I)(Rh(CO) acac)触媒、ロジウム/シクロヘキシルジフェニルホスフィン(Rh/CHDPP)触媒等)、その他ヒドロホルミル化に適した任意の遷移金属ベースの触媒等を用いることができる。
【0047】
次いでヒドロホルミル化されたトリアシルグリセロールを水素化触媒の存在下、水素によりホルミル(CHO)基を1級アルコール(メチロール基)に還元する。水素化は、例えば、約500psi~約1500psiの圧力で、約40℃~約250℃の温度で約1時間~約10時間反応することにより行うことができる。
【0048】
水素化触媒は一般的な水素化触媒でよく、例えば、ラネーニッケル(スポンジニッケル)、漆原ニッケル、ニッケル、パラジウム、白金、ロジウム、ルテニウム等の触媒を用いることができる。
【0049】
(硬化反応)
本発明の接着剤は二液硬化型接着剤であるため、使用時に主剤と硬化剤を混合し、硬化反応を生じさせて接着する。硬化剤に使用するグリセロールエステル系ポリオールは、1級水酸基(メチロール基)を有し、イソシアネート基との反応が速やかに進行するため、硬化反応に反応促進剤や硬化触媒を必要としない。本発明の二液硬化型接着剤の硬化性能は、主剤と硬化剤の適切な組み合わせに基づく。例えば、主剤のポリオールA及びポリイソシアネートの適切な選択と硬化剤のグリセロールエステル系ポリオールの適切な選択、また、ポリイソシアネートとポリオールA、ポリイソシアネートとグリセロールエステル系ポリオールの適切な配合比に基づく。
【実施例
【0050】
以下に本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、実施例は本発明を説明するための例示であり、本発明はこれらの実施例に限定されない。
【0051】
<グリセロールエステル系ポリオールの合成>
(合成例1)ポリオール1の合成
温度調節器、ガス封入端子及び撹拌器を備えたステンレス製高圧反応容器にオリーブ油(オレイン酸含有量:75モル%、ヨウ素価:80)100g、触媒として(アセチルアセトナート)ジカルボニウムロジウム(I)(Sigma-Aldrich社製)0.1g、配位子としてトリフェニルホスフィン(東京化成(株)製)0.5gを投入した後に系内を合成ガス(一酸化炭素と水素)に置換した。撹拌を開始し90℃に昇温後、合成ガスで系内を1000psiまで加圧し6時間反応した。常温まで降温した後に合成ガスを排出した。次いでイソプロパノール50ml、ラネーニッケル10gを投入後、系内を水素ガスで置換した。撹拌を開始し110℃に昇温後、系内を水素ガスで1000psiまで加圧し5時間反応した。常温まで降温し系内のガスを排出した後にイソプロパノール22mlを投入し撹拌混合後に濾過精製した。濾液を減圧濃縮後、5%希塩酸20mlを投入し撹拌洗浄後、水相部分を除去、さらにイオン交換水10mlで2回撹拌洗浄し、油相部分を減圧乾燥した。得られたポリオール1は水酸基価:154mgKOH/g、粘度:1700mPa・sであった。
【0052】
(合成例2~6)ポリオール2~6の合成
合成例1のオリーブ油に替えて表1に記載の油脂を用いた以外は合成例1と同様にしてポリオール2~6を合成した(トリオレインはSigma-Aldrich社製の試薬を用いた)。結果を表1に示す。
【0053】
【表1】
*オレイン酸含有量は、LC/CADを用いて定量した。
【0054】
合成例1~6で得られたポリオール1~6の構造を以下に示す。
【化7】
【0055】
【表2】
【0056】
(比較合成例1~2)比較ポリオール1~2の合成
合成例1のオリーブ油に替えて表3に記載の油脂を用いた以外は合成例1と同様にして比較ポリオール1~2を合成した。結果を表3に示す。
【0057】
【表3】
【0058】
<硬化剤の調製>
(調製例1)ポリオール硬化剤(1)の調製
ポリオール1(667質量部)、フュームドシリカ(EVONIC社製AEROSIL(登録商標)200)(10質量部)、炭酸カルシウム(CaCO)(近江化学工業(株)製軽微性炭酸カルシウム)(323質量部)を容器に投入し、ディスパーで固形分が無くなるまで十分に撹拌混合し、その後この混合液を真空脱泡し白色のポリオール硬化剤(1)を得た。
【0059】
(調製例2~6)ポリオール硬化剤(2)~(6)の調製
ポリオール1に替えてポリオール2~6を用いた以外は調製例1と同様にしてポリオール硬化剤(2)~(6)を得た。配合組成を表4に示す。
【0060】
【表4】
【0061】
(比較調製例1~5)比較硬化剤(1)~(5)の調製
ポリオール1に替えて比較ポリオール1~比較ポリオール2、ならびにアクトコール(登録商標)T-1000(三井化学(株)製ポリプロピレングリコール、水酸基価:164mgKOH/g)、PTMG-650(三菱ケミカル(株)製ポリテトラメチレングリコール、水酸基価:172mgKOH/g)、及びヒマシ油(豊国製油(株)製ヒマシ油 HS2G-160R、水酸基価:158mgKOH/g)を用いた以外は調製例1と同様にして比較硬化剤(1)~(5)を調製した。配合組成を表5に示す。
【0062】
【表5】
【0063】
<主剤の調製>
(合成例7)ウレタンプレポリマー(1)の合成
温度計、撹拌器、還流冷却器、及び窒素導入管を備えたフラスコに窒素雰囲気下、東ソー(株)製ミリオネートMT(MDI:ジフェニルメタンジイソシアネート、NCO%:33.2%)(363質量部)を投入し70℃へ昇温し、MDIを溶融し撹拌を開始、同温度で三井化学(株)製ポリオキシプロピレンポリマー(アクトコール(登録商標)T-2000、Mw:2000 官能基数:3)(637質量部)を2時間かけ分割投入した。系内を80℃まで昇温し6時間反応してウレタンプレポリマー(1)を得た。得られたウレタンプレポリマー(1)のNCO%は8.0%であった。
【0064】
(合成例8~9)ウレタンプレポリマー(2)~(3)の合成
アクトコール(登録商標)T-2000及びミリオネートMTに替えて以下の表6に示すポリオール及びポリイソシアネートを用いた以外は合成例7と同様にしてウレタンプレポリマー(2)~(3)を得た。配合組成を表6に示す。
【0065】
【表6】
【0066】
アクトコールT-1000:アクトコール(登録商標)T-1000(Mw:1000 官能基数:3)(三井化学(株)製PPポリオール)
アクトコールT-2000:アクトコール(登録商標)T-2000(Mw:2000 官能基数:3)(三井化学(株)製PPポリオール)
アクトコールED-56:アクトコール(登録商標)ED-56(Mw:2000 官能基数:2)(三井化学(株)製PE-PPポリオール)
ミリオネートMT(MDI:ジフェニルメタンジイソシアネート、NCO%:33.2)(東ソー(株)製)
コロネート1391(MDI系ポリイソシアネート、NCO%:33.2)(東ソー(株)製)
【0067】
<評価方法>
<<引張剪断試験>>
JIS K6859(接着剤のクリープ破壊試験)に準拠した方法により、AUTOGRAPH AG-XPlus 100kN(島津製作所(株)製)を用いて、25℃で引張剪断強度を測定した。
【0068】
<<LC/CADによる分子構造の確認>>
合成例5で調製したポリオール5をLC/CAD(UltiMate3000RS/CoronaVeo(Thermo)(Thermo Fisher Scientific社製))により測定し、分子構造を同定した。
【0069】
<二液硬化型接着剤>
(実施例1)接着剤1の調製及び評価
接着剤1の調製と塗布は、昇温装置、並びにスタティックミキサーノズルを有する2液微少量計量混合吐出装置を用いて行った。上記の接着剤1は真空脱泡したウレタンプレポリマー(1)とポリオール硬化剤(1)とから得られ、その混合質量比は1/1(イソシアネート基/水酸基の当量比:1/1)、混合温度は50℃とした。このように調製した接着剤を用いて接着強度を引張剪断強度により評価し、乾燥時間(硬化速度)を硬化7日後の引張剪断強度を100%としたときの1日後の引張剪断強度の割合により評価した。表7に結果を示す。
【0070】
(実施例2~7)接着剤2~7の調製及び評価
実施例1のポリオール硬化剤(1)/ウレタンプレポリマー(1)の組み合わせに替えて、ポリオール硬化剤(2)/ウレタンプレポリマー(2)、ポリオール硬化剤(3)/ウレタンプレポリマー(3)、ポリオール硬化剤(4)/ウレタンプレポリマー(1)、ポリオール硬化剤(5)/ウレタンプレポリマー(1)、ポリオール硬化剤(6)/ウレタンプレポリマー(1)、又はポリオール硬化剤(6)/D-750-45*の組み合わせを用いた以外は実施例1と同様にして調製した接着剤2~7を用いて乾燥時間(硬化速度)と接着強度を評価した。表7に結果を示す。
*D-750-45:バーノックD-750-45(DIC(株)製トリレンジイソシアネートアダクト型ポリイソシアネート、NCO%:7.9%)
【0071】
【表7】
【0072】
(比較例1~5)比較接着剤1~5の調製及び評価
実施例1のポリオール硬化剤(1)/ウレタンプレポリマー(1)の組み合わせに替えて、比較硬化剤(1)/ウレタンプレポリマー(1)、比較硬化剤(2)/ウレタンプレポリマー(1)、比較硬化剤(3)/ウレタンプレポリマー(1)、比較硬化剤(4)/ウレタンプレポリマー(1)、又は比較硬化剤(5)/ウレタンプレポリマー(1)の組み合わせを用いた以外は実施例1と同様にして調製した比較接着剤1~5を用いて乾燥時間(硬化速度)と接着強度を評価した。表8に結果を示す。
【0073】
【表8】
【0074】
ポリオール1~6を用いた本発明の接着剤は、完全に硬化した7日後の引張剪断強度が19~25MPa、7日後の引張剪断強度を100%としたときの1日後の引張剪断強度の割合が79~92%であり、オレイン酸含有量が低い大豆由来の比較ポリオール1(比較硬化剤1)、菜種油由来の比較ポリオール2(比較硬化剤2)、及びポリプロピレングリコール(比較硬化剤3)、ポリテトラメチレングリコール(比較硬化剤4)、又はヒマシ油(比較硬化剤5)を用いた比較例の接着剤(7日後の引張剪断強度:5~11MPa、7日後の引張剪断強度を100%としたときの1日後の引張剪断強度の割合:57~73%)に比べ、接着強度及び硬化速度が大幅に向上した。

図1