(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-08
(45)【発行日】2025-01-17
(54)【発明の名称】バッテリ充電装置及び方法
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20250109BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20250109BHJP
H01M 10/42 20060101ALI20250109BHJP
H01M 10/44 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
H02J7/00 B
H02J7/00 Y
H01M10/48 P
H01M10/42 P
H01M10/44 Q
(21)【出願番号】P 2020137058
(22)【出願日】2020-08-14
【審査請求日】2023-07-20
(31)【優先権主張番号】10-2019-0109630
(32)【優先日】2019-09-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】390019839
【氏名又は名称】三星電子株式会社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】129,Samsung-ro,Yeongtong-gu,Suwon-si,Gyeonggi-do,Republic of Korea
(73)【特許権者】
【識別番号】590002817
【氏名又は名称】三星エスディアイ株式会社
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG SDI Co., LTD.
【住所又は居所原語表記】150-20 Gongse-ro,Giheung-gu,Yongin-si, Gyeonggi-do, 446-902 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】鄭 大 龍
(72)【発明者】
【氏名】呉 徳 鎭
(72)【発明者】
【氏名】金 振 豪
【審査官】滝谷 亮一
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-224706(JP,A)
【文献】特開2011-238526(JP,A)
【文献】特開2014-063576(JP,A)
【文献】特開2014-077785(JP,A)
【文献】国際公開第2019/053131(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/010475(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00
H01M 10/48
H01M 10/42
H01M 10/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリの充電程度によるバッテリ特性に基づいて、前記バッテリの劣化要因及び劣化程度が反映された前記バッテリの劣化モードを推定するステップと、
前記劣化モードに基づいてバッテリモデルをアップデートするステップと、
前記アップデートされたバッテリモデルを用いて、前記バッテリを充電するステップと、
を含
み、
前記充電程度によるバッテリ特性は、前記バッテリのSOC(State of Charge)に対するdQ/dVのグラフで表現され、
前記dQは電荷量変化を示し、前記dVは電圧変化を示す、バッテリ充電方法。
【請求項2】
前記バッテリの劣化モードを推定するステップは、異なる劣化要因及び/又は異なる劣化程度を有する複数の基準バッテリのうち選択された1つ又は複数の基準バッテリの劣化モードを用いて、前記バッテリの劣化モードを推定する、請求項1に記載のバッテリ充電方法。
【請求項3】
前記バッテリの劣化モードを推定するステップは、前記バッテリの充電程度によるバッテリ特性に類似する類似程度に応じて決定された加重値を、前記選択された1つ又は複数の基準バッテリそれぞれの劣化モードに適用し、前記バッテリの劣化モードを推定する、請求項2に記載のバッテリ充電方法。
【請求項4】
前記類似程度は、前記選択された基準バッテリそれぞれの充電程度によるバッテリ特性のグラフに示されたピーク特性が、前記バッテリの充電程度によるバッテリ特性のグラフに示されたピーク特性に類似する程度を示す、請求項3に記載のバッテリ充電方法。
【請求項5】
前記ピーク特性は、充電程度によるバッテリ特性のグラフに示されたピークの位置、強度、FWHM(Full Width at Half Maximum)、及び形のうち少なくとも1つの特性を含む、又は
前記ピーク特性は、充電程度によるバッテリ特性のグラフに含まれているピークのうち、充電程度が最も低い部分のピークに対する特性である、請求項4に記載のバッテリ充電方法。
【請求項6】
前記劣化モードは、
前記バッテリの劣化履歴によって前記バッテリが劣化された劣化要因と、
前記劣化要因により現在の前記バッテリが劣化された劣化程度と、
を示す、請求項1に記載のバッテリ充電方法。
【請求項7】
前記バッテリの劣化モードを推定するステップは、劣化モードの再使用条件が満足される場合、前記バッテリに対して以前に推定された劣化モードを前記バッテリの劣化モードとして決定する、請求項1に記載のバッテリ充電方法。
【請求項8】
前記劣化モードの前記再使用条件は、
前記バッテリの劣化モードを推定した最後の時点から現在の時点までの時間の差が閾時間以下であるか否かと、
前記最後の時点以後の前記バッテリの使用量が閾値使用量以下であるか否か、
のうち少なくとも1つを含む、請求項
7に記載のバッテリ充電方法。
【請求項9】
前記バッテリを充電するステップは、前記アップデートされたバッテリモデルに基づいて決定されたマルチ-ステップ充電方式で前記バッテリを充電する、請求項1に記載のバッテリ充電方法。
【請求項10】
前記充電程度によるバッテリ特性は、前記バッテリの充電プロファイルに基づいて決定される、請求項1に記載のバッテリ充電方法。
【請求項11】
前記バッテリモデルをアップデートするステップは、前記劣化モードによる前記バッテリの劣化要因、及び劣化程度が前記バッテリモデルの内部状態に反映されるように前記バッテリモデルをアップデートする、請求項1に記載のバッテリ充電方法。
【請求項12】
前記バッテリは、バッテリセル、バッテリモジュール、又はバッテリパックである、請求項1に記載のバッテリ充電方法。
【請求項13】
前記バッテリモデルは電気化学モデルである、請求項1に記載のバッテリ充電方法。
【請求項14】
請求項1ないし請求項
13のいずれか1項に記載の方法を実行させるためのプログラムが記録されたコンピュータで読み出し可能な記憶媒体。
【請求項15】
バッテリモデルを格納するメモリと、
バッテリの充電程度によるバッテリ特性に基づいて、前記バッテリの劣化要因及び劣化程度が反映された前記バッテリの劣化モードを推定し、前記劣化モードに基づいて前記バッテリモデルをアップデートし、前記アップデートされたバッテリモデルを用いて前記バッテリの充電を制御するプロセッサと、
を含
み、
前記充電程度によるバッテリ特性は、前記バッテリのSOC(State of Charge)に対するdQ/dVのグラフで表現され、
前記dQは電荷量変化を示し、前記dVは電圧変化を示す、バッテリ充電装置。
【請求項16】
前記プロセッサは、異なる劣化要因及び/又は異なる劣化程度を有する複数の基準バッテリのうち選択された1つ又は複数の基準バッテリの劣化モードを用いて、前記バッテリの劣化モードを推定する、請求項
15に記載のバッテリ充電装置。
【請求項17】
リチウムを含んでいるバッテリの充電プロファイルを取得するステップと、
前記充電プロファイルに基づいて前記バッテリの充電程度によるバッテリ特性を決定するステップと、
前記充電程度によるバッテリ特性に基づいて、前記バッテリにリチウムプレーティングによる劣化が発生したか否かを判定するステップと、
前記バッテリにリチウムプレーティングによる劣化が発生した場合、前記劣化が反映されるように前記バッテリの劣化モードを推定してバッテリモデルをアップデートするステップと、
前記アップデートされたバッテリモデルを用いて前記バッテリを充電するステップと、
を含
み、
前記充電程度によるバッテリ特性は、前記バッテリのSOC(State of Charge)に対するdQ/dVのグラフで表現され、
前記dQは電荷量変化を示し、前記dVは電圧変化を示す、バッテリ充電方法。
【請求項18】
前記バッテリにリチウムプレーティングによる劣化が発生したか否かを判定するステップは、異なる劣化要因及び/又は異なる劣化程度を有する複数の基準バッテリのうち、リチウムプレーティングによる劣化が主に発生した基準バッテリが、前記充電程度によるバッテリ特性と最も類似する場合、前記バッテリにリチウムプレーティングによる劣化が発生したと判定する、請求項
17に記載のバッテリ充電方法。
【請求項19】
前記バッテリモデルをアップデートするステップは、前記リチウムプレーティングによる劣化が主に発生した基準バッテリの劣化モードを用いて前記バッテリの劣化モードを推定し、前記推定された劣化モードに基づいて前記バッテリモデルをアップデートする、請求項
17に記載のバッテリ充電方法。
【請求項20】
前記バッテリを充電するステップは、前記アップデートされたバッテリモデルを用いて前記バッテリの充電条件を決定し、前記決定された充電条件を用いて前記バッテリを充電する、請求項
17に記載のバッテリ充電方法。
【請求項21】
前記バッテリモデルは電気化学モデルである、請求項
17に記載のバッテリ充電方法。
【請求項22】
前記バッテリモデルをアップデートするステップは、前記リチウムプレーティングによる
劣化、及び陽
極容量
の減少
による劣化を反映して前記電気化学モデルをアップデートする、請求項
21に記載のバッテリ充電方法。
【請求項23】
ターゲットバッテリ
の特性を、異なる劣化要因による劣化が主に発生した少なくとも2つの基準バッテリの対応する特性と比較することで、前記ターゲットバッテリの劣化モードを推定するステップと、
前記推定された劣化モードに基づいて、
アップデートされたバッテリモデルを用いて前記ターゲットバッテリを充電するステップと、
を含
み、
前記ターゲットバッテリの特性は、前記ターゲットバッテリのSOC(State of Charge)に対するdQ/dVのグラフで表現され、
前記dQは電荷量変化を示し、前記dVは電圧変化を示す、バッテリ充電方法。
【請求項24】
前記少なくとも2つの基準バッテリは、リチウムプレーティングによって主に劣化された第1基準バッテリ、及び陽極容量の減少及び陰極SEI(solid electrolyte interphase)レイヤによって主に劣化された第2基準バッテリを含む、請求項
23に記載のバッテリ充電方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下の実施形態は、バッテリ充電装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
バッテリ充電方法は多様である。例えば、定電流-定電圧充電方法(Constant Current-Constant Voltage、CCCV)は、定電流でバッテリを充電し、バッテリ電圧が予め設定された電圧に達した場合、定電圧でバッテリを充電する。他の一例として、電流減衰(Varying current decay)充電方法は、低いSOC(State of Charge)においては高電流でバッテリを充電し、特定のSOCとなる場合、電流を次第に減らしながらバッテリを充電する。その他に、高電流から低電流に様々な段階のCC(Constant Current)で充電する方式であるマルチステップ(multi-step)充電方式と、短い時間単位でパルス電流を繰り返し印加するパルス充電方式がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
一実施形態に係るバッテリ充電装置及び方法の目的は、バッテリの劣化条件を効率よく回避しながらバッテリを充電させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
一実施形態に係るバッテリ充電方法は、バッテリの充電程度によるバッテリ特性に基づいて、前記バッテリの劣化要因及び劣化程度が反映された前記バッテリの劣化モードを推定するステップと、前記劣化モードに基づいてバッテリモデルをアップデートするステップと、前記アップデートされたバッテリモデルを用いて、前記バッテリを充電するステップとを含む。
【0005】
一実施形態に係るバッテリ充電方法において、前記バッテリの劣化モードを推定するステップは、異なる劣化要因及び/又は異なる劣化程度を有する複数の基準バッテリのうち選択された1つ又は複数の基準バッテリの劣化モードを用いて、前記バッテリの劣化モードを推定し得る。
【0006】
一実施形態に係るバッテリ充電方法において、前記バッテリの劣化モードを推定するステップは、前記バッテリの充電程度によるバッテリ特性に類似する類似程度に応じて決定された加重値を、前記選択された1つ又は複数の基準バッテリそれぞれの劣化モードに適用し、前記バッテリの劣化モードを推定し得る。
【0007】
一実施形態に係るバッテリ充電方法において、前記類似程度は、前記選択された基準バッテリそれぞれの充電程度によるバッテリ特性のグラフに示されたピーク特性が、前記バッテリの充電程度によるバッテリ特性のグラフに示されたピーク特性に類似する程度を示し得る。
【0008】
一実施形態に係るバッテリ充電方法において、前記ピーク特性は、充電程度によるバッテリ特性のグラフに示されたピークの位置、強度、FWHM(Full Width at Half Maximum)、及び形のうち少なくとも1つの特性を含み得る。
【0009】
一実施形態に係るバッテリ充電方法において、前記ピーク特性は、充電程度によるバッテリ特性のグラフに含まれているピークのうち、充電程度が最も低い部分のピークに対する特性であり得る。
【0010】
一実施形態に係るバッテリ充電方法において、前記劣化モードは、前記バッテリの劣化履歴によって前記バッテリが劣化された劣化要因と、前記劣化要因により現在の前記バッテリが劣化された劣化程度とを示し得る。
【0011】
一実施形態に係るバッテリ充電方法において、前記充電程度によるバッテリ特性は、前記バッテリの電荷量変化と電圧変化との間の比率と、前記バッテリの充電程度とに基づいたグラフに表現され得る。
【0012】
一実施形態に係るバッテリ充電方法において、前記バッテリの充電程度は、前記バッテリのSOC(State of Charge)、電圧、及び電荷量のいずれか1つを含み得る。
【0013】
一実施形態に係るバッテリ充電方法において、前記充電程度によるバッテリ特性は、SOCによるdQ/dVに該当し、前記dQは電荷量変化を示し、前記dVは電圧変化を示し得る。
【0014】
一実施形態に係るバッテリ充電方法において、前記バッテリの劣化モードを推定するステップは、劣化モードの再使用条件が満足される場合、前記バッテリに対して以前に推定された劣化モードを前記バッテリの劣化モードとして決定し得る。
【0015】
一実施形態に係るバッテリ充電方法において、前記劣化モードの前記再使用条件は、前記バッテリの劣化モードを推定した最後の時点から現在の時点までの時間の差が閾時間以下であるか否かと、前記最後の時点以後の前記バッテリの使用量が閾値使用量以下であるか否かのうち少なくとも1つを含み得る。
【0016】
一実施形態に係るバッテリ充電方法において、前記バッテリを充電するステップは、前記アップデートされたバッテリモデルに基づいて決定されたマルチ-ステップ充電方式で前記バッテリを充電し得る。
【0017】
一実施形態に係るバッテリ充電方法において、前記充電程度によるバッテリ特性は、前記バッテリの充電プロファイルに基づいて決定され得る。
【0018】
一実施形態に係るバッテリ充電方法において、前記バッテリモデルをアップデートするステップは、前記劣化モードによる前記バッテリの劣化要因、及び劣化程度が前記バッテリモデルの内部状態に反映されるように前記バッテリモデルをアップデートし得る。
【0019】
一実施形態に係るバッテリ充電方法において、前記バッテリは、バッテリセル、バッテリモジュール、又はバッテリパックであり得る。
【0020】
一実施形態に係るバッテリ充電方法において、前記バッテリモデルは電気化学モデルであり得る。
【0021】
一実施形態に係るバッテリ充電装置は、バッテリモデルを格納するメモリと、バッテリの充電程度によるバッテリ特性に基づいて、前記バッテリの劣化要因及び劣化程度が反映された前記バッテリの劣化モードを推定し、前記劣化モードに基づいて前記バッテリモデルをアップデートし、前記アップデートされたバッテリモデルを用いて前記バッテリの充電を制御するプロセッサとを含む。
【0022】
一実施形態に係るバッテリ充電方法は、リチウムを含んでいるバッテリの充電プロファイルを取得するステップと、前記充電プロファイルに基づいて前記バッテリの充電程度によるバッテリ特性を決定するステップと、前記充電程度によるバッテリ特性に基づいて、前記バッテリにリチウムプレーティングによる劣化が発生したか否かを判定するステップと、前記バッテリにリチウムプレーティングによる劣化が発生した場合、前記劣化が反映されるように前記バッテリの劣化モードを推定してバッテリモデルをアップデートするステップと、前記アップデートされたバッテリモデルを用いて前記バッテリを充電するステップとを含む。
【0023】
一実施形態に係るバッテリ充電方法において、前記バッテリにリチウムプレーティングによる劣化が発生したか否かを判定するステップは、異なる劣化要因及び/又は異なる劣化程度を有する複数の基準バッテリのうち、リチウムプレーティングによる劣化が主に発生した基準バッテリが、前記充電程度によるバッテリ特性と最も類似する場合、前記バッテリにリチウムプレーティングによる劣化が発生したと判定し得る。
【0024】
一実施形態に係るバッテリ充電方法において、前記バッテリモデルをアップデートするステップは、前記リチウムプレーティングによる劣化が主に発生した基準バッテリの劣化モードを用いて前記バッテリの劣化モードを推定し、前記推定された劣化モードに基づいて前記バッテリモデルをアップデートし得る。
【0025】
一実施形態に係るバッテリ充電方法において、前記バッテリを充電するステップは、前記アップデートされたバッテリモデルを用いて前記バッテリの充電条件を決定し、前記決定された充電条件を用いて前記バッテリを充電し得る。
【0026】
一実施形態に係るバッテリ充電方法において、前記バッテリモデルは電気化学モデルであり得る。
【0027】
一実施形態に係るバッテリ充電方法において、前記バッテリモデルをアップデートするステップは、前記リチウムプレーティングによる陽極におけるリチウム容量減少を反映して前記電気化学モデルをアップデートし得る。
【0028】
一実施形態に係るバッテリ充電方法は、ターゲットバッテリの1つ以上の特性を、異なる劣化要因による劣化が主に発生した少なくとも2つの基準バッテリの対応する特性と比較することで、前記ターゲットバッテリの劣化モードを推定するステップと、前記推定された劣化モードに基づいて、決定されたバッテリモデルを用いて前記ターゲットバッテリを充電するステップとを含み得る。
【0029】
一実施形態に係るバッテリ充電方法において、前記少なくとも2つの基準バッテリは、リチウムプレーティングによって主に劣化された第1基準バッテリ、及び陽極容量の減少及び陰極SEI(solid electrolyte interphase)レイヤによって主に劣化された第2基準バッテリを含み得る。
【発明の効果】
【0030】
一実施形態に係るバッテリ充電装置及び方法によると、バッテリの現在の劣化状態のみならず、劣化履歴も反映された劣化モードに基づいてアップデートされた電気化学モデルを用いてバッテリを効率よく充電させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】一実施形態に係るバッテリ充電システムを示す図である。
【
図2】一実施形態に係るバッテリ充電方法を示す図である。
【
図3】一実施形態に係る複数の基準バッテリの充電程度によるバッテリ特性を例示的に示す図である。
【
図4】一実施形態に係る複数の基準バッテリの充電程度によるバッテリ特性を例示的に示す図である。
【
図5】一実施形態によるバッテリの劣化モードを推定する例示を示す図である。
【
図6】一実施形態によるバッテリを充電する例示を示す図である。
【
図7】他の一実施形態に係るバッテリ充電方法を示す図である。
【
図8】一実施形態によるバッテリ充電装置を示す図である。
【
図9】一実施形態に係る車両を説明するための図である。
【
図10】一実施形態に係るモバイル機器を説明するための図である。
【
図11】一実施形態に係る端末を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
実施形態に対する特定な構造的又は機能的な説明は単なる例示のための目的として開示されたものとして、様々な形態に変更される。したがって、実施形態は特定の開示形態に限定されるものではなく、本明細書の範囲は技術的思想に含まれる変更、均等物ないし代替物を含む。
【0033】
第1又は第2などの用語を複数の構成要素を説明するために用いることがあるが、このような用語は1つの構成要素を他の構成要素から区別する目的としてのみ解釈されなければならない。例えば、第1構成要素は第2構成要素と命名することができ、同様に第2構成要素は第1構成要素とも命名することができる。
【0034】
いずれかの構成要素が他の構成要素に「連結」されているか「接続」されていると言及されたときには、その他の構成要素に直接的に連結されているか又は接続されているが、中間に他の構成要素が存在し得るものと理解しなければならない。
【0035】
単数の表現は、文脈上、明白に異なる意味を有さない限り複数の表現を含む。本明細書において、「含む」又は「有する」等の用語は明細書上に記載した特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部品又はこれらを組み合わせたものが存在することを示すものであって、1つ又はそれ以上の他の特徴や数字、ステップ、動作、構成要素、部品、又はこれを組み合わせたものなどの存在又は付加の可能性を予め排除しないものとして理解しなければならない。
【0036】
また、異なるように定義されない限り、技術的であるか又は科学的な用語を含む本明細書で用いる全ての用語は、本実施形態が属する技術分野で通常の知識を有する者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。一般的に用いられる予め定義された用語は、関連技術の文脈上で有する意味と一致する意味を有するものと解釈すべきであって、本明細書で明白に定義しない限り、理想的又は過度に形式的な意味として解釈されることはない。
【0037】
以下、実施形態を添付する図面を参照しながら詳細に説明する。添付の図面を参照して説明することにおいて、図面符号に関係なく、同じ構成要素は同じ参照符号を付し、これに対する重複する説明は省略することにする。
【0038】
図1は、一実施形態に係るバッテリ充電システムを示す図である。
【0039】
図1を参照すると、一実施形態に係るバッテリ充電システム100は、バッテリ充電装置110及びバッテリ120を含む。
【0040】
バッテリ120は、バッテリセル、バッテリモジュール又はバッテリパックに該当する。
【0041】
バッテリ充電装置110は、バッテリモデルを用いてバッテリ120を充電する。例えば、バッテリ充電装置110は、バッテリモデルをベースにバッテリ内部状態を推定し、充電劣化を最小化しようとするマルチ-ステップ充電方式でバッテリ120を急速充電することができる。ここで、バッテリモデルは、バッテリ120の電位、イオン濃度分布などのような内部の物理現象をモデリングし、バッテリ120の状態情報を推定する電気化学モデル(electrochemical model)であってもよい。また、バッテリ内部状態は、バッテリの陽極リチウムイオン濃度分布、陰極リチウムイオン濃度分布、及び/又は電解質リチウムイオン濃度分布を含み、活物質は、バッテリの陽極及び陰極を含む。
【0042】
バッテリ120を繰り返し使用すれば、次第に劣化が加重されるが、バッテリ120の使用履歴によりバッテリ120の劣化状態が変わることがある。したがって、バッテリ120の反復使用により減少したSOH(State of Health)のみならず、バッテリ120の使用履歴によって変わり得る劣化モードが反映されるよう、バッテリモデルがアップデートされ得る。劣化モードの反映されていないバッテリモデルを利用すれば、急速充電の際に充電制限条件を決定するためのバッテリモデルの内部状態が不正確に推定され、これによって、劣化条件を回避することができず、急激な劣化発生によりバッテリの寿命が減少するおそれがある。
【0043】
一実施形態に係る劣化モードは、バッテリ120の劣化履歴によってバッテリ120が劣化された劣化要因及び劣化原因により、現在のバッテリ120が劣化された劣化程度を反映することができる。劣化要因は、バッテリモデルに反映され得る任意の劣化因子を含み、例えば、陽極容量の減少、陰極容量の減少、リチウムイオン損失、電極表面抵抗増加、電極拡散性(diffusivity)の変化などを含んでもよい。一般的に、バッテリは、様々な劣化要因が複合的に適用されて劣化される。劣化程度は、SOHを示す。
【0044】
図2は、一実施形態に係るバッテリ充電方法を示す図である。
【0045】
図2を参照すると、一実施形態に係るバッテリ充電装置に備えられたプロセッサで実行されるバッテリ充電方法が示されている。
【0046】
ステップS210において、バッテリ充電装置は、バッテリの充電程度によるバッテリ特性に基づいて、バッテリの劣化要因及び劣化程度の反映されたバッテリの劣化モードを推定する。ここで、バッテリの充電程度によるバッテリ特性は、バッテリの電荷量変化と電圧変化との間の比率、及びバッテリの充電程度に基づいたグラフに表現される。バッテリの充電程度は、バッテリのSOC、電圧(V)、及び電荷量(Q)のいずれか1つを含む。例えば、充電程度によるバッテリ特性は、SOCによるdQ/dVに該当し、dQは電荷量変化を示し、dVは電圧変化を示す。充電程度によるバッテリ特性は、バッテリの充電プロファイルに基づいて決定されることができる。
【0047】
バッテリ充電装置は、異なる劣化要因及び/又は異なる劣化程度を有する複数の基準バッテリのうち選択された1つ又は複数の基準バッテリの劣化モードを用いて、バッテリの劣化モードを推定することができる。ここで、複数の基準バッテリが選択されれば、基準バッテリそれぞれの劣化モードに加重値が適用され、バッテリの劣化モードが推定され、加重値は、バッテリの充電程度によるバッテリ特性に類似する類似程度に応じて決定される。詳しい説明は、
図3~
図5を参照して後述する。
【0048】
ステップS220において、バッテリ充電装置は、劣化モードに基づいてバッテリモデルをアップデートする。バッテリ充電装置は、劣化モードによるバッテリの劣化要因及び劣化程度がバッテリモデルの内部状態に反映されるようにバッテリモデルをアップデートする。
【0049】
ステップS230において、バッテリ充電装置は、アップデートされたバッテリモデルを用いてバッテリを充電する。バッテリ充電装置は、アップデートされた電気化学モデルに基づいて決定されたマルチ-ステップ充電方式によりバッテリを充電することができる。
【0050】
図3及び
図4は、一実施形態に係る複数の基準バッテリの充電程度によるバッテリ特性を例示的に示す図である。
【0051】
先に説明したように、バッテリの劣化モードを推定するとき、1つ又は複数の基準バッテリの劣化モードを用いてもよい。そのために、複数の基準バッテリの充電程度によるバッテリ特性と劣化モードがデータベースに予め格納され得る。
【0052】
複数の基準バッテリは、異なる劣化要因による劣化及び/又は現在の異なる劣化程度を有し得る。そのため、複数の基準バッテリは、互いに異なる充電程度によるバッテリ特性と劣化モードを有する。
【0053】
バッテリ充電装置は、複数の基準バッテリのうち充電しようとするバッテリと、類似の充電程度によるバッテリ特性を有する1つ又は複数の基準バッテリを選択する。ここで、類似程度は、充電程度によるバッテリ特性のグラフに示されたピーク特性に基づいて決定される。ピーク特性については
図3及び
図4を参照して説明する。
【0054】
図3には、一実施形態による10℃、1C劣化セルの充電程度によるバッテリ特性を示したグラフの例示が示され、この場合、リチウムプレーティング(Li plating)による劣化が主な要因であると推定される。
図4には、一実施形態による25℃、1C劣化セルの充電程度によるバッテリ特性を示したグラフの例示が示され、この場合に陽極容量の減少及び陰極SEI(solid electrolyte interphase)レイヤによる劣化が主な要因であると推定される。
【0055】
図3及び
図4に例示的に示されたグラフを参照すると、劣化された温度が同一であっても、SOHに応じて異なるグラフが示され、同じSOHを有していても劣化された温度によって異なるグラフが示されることが分かる。特に、グラフに含まれているピークのうち、SOCの最も低い部分(言い換えれば、初期SOC)310,410のピークにおいて、異なる特性が明らかに示されている。言い換えれば、グラフに示される最初のピークで最も明確な特性の差が発生し得る。
【0056】
一実施形態に係るピーク特性は、グラフに示されたピークの位置、強度、FWHM、及び形のうち少なくとも1つの特性を含んでいる。ピークの位置は、ピークが発生したSOC値を示す。例えば、
図3において、SOHが変化するにつれてピークの位置(言い換えれば、ピークが発生したSOC)がシフトされることが確認された。一方、
図4において、SOHが変化するにつれてピーク位置のシフトが相対的に小さいことが確認された。また、ピークの強度は、該当ピークがどれ程鋭く形成されているかが示される。例えば、
図3又は
図4において、SOHが低くなるにつれてピークの強度が相対的に弱くなることが分かる。また、ピークのFWHMは、ピークの最大値の半分となる2つの変数値の差として示すことができる。例えば、ピークが薄くて鋭いほど、ピークのFWHMは小さい。また、ピークの形は、ピークが形成された形態を示す。例えば、ピークが鋭く上昇してから湾曲に下降したり、反対にピークが湾曲に上昇してから鋭く下降したりするなどの形状があり得る。
【0057】
図3及び
図4に示された充電程度によるバッテリ特性は、dQ/dV vs.SOCのグラフのように示されているが、これは説明の便宜のためのもので、これに実施形態が制限されることなく、y軸のdQ/dVの代わりに、dV/dQが適用されてもよく、x軸のSOCの代わりに、電圧(V)又は電荷量(Q)が適用されてもよい。
【0058】
図5は、一実施形態によるバッテリの劣化モードを推定する例示を示す図である。
【0059】
図5を参照すると、一実施形態による、充電程度によるバッテリ特性が充電しようとするターゲットバッテリに類似する1つ又は複数の基準バッテリの劣化モードを用いてターゲットバッテリの劣化モードを決定する例示が示されている。
【0060】
図5に例示的に示されているグラフ510は、ターゲットバッテリの充電程度によるバッテリ特性を示し、グラフ521は、第1基準バッテリの充電程度によるバッテリ特性を示し、グラフ522は、第2基準バッテリの充電程度によるバッテリ特性を示す。
【0061】
データベース520は、複数の基準バッテリそれぞれの充電程度によるバッテリ特性と劣化モードを格納する。バッテリ充電装置は、充電程度によるバッテリ特性がターゲットバッテリに類似する1つ又は複数の基準バッテリをデータベース520で識別することができる。例えば、バッテリ充電装置は、充電程度によるバッテリ特性が、ターゲットバッテリと閾値の類似度以上に類似する1つ又は複数の基準バッテリを識別してもよい。又は、バッテリ充電装置は、充電程度によるバッテリ特性が、ターゲットバッテリと最も類似するn個の基準バッテリを識別してもよい。その他にも、充電程度によるバッテリ特性が、ターゲットバッテリに類似する1つ又は複数の基準バッテリを識別してもよい、という様々な実施形態が制限されることなく適用できる。
【0062】
そして、バッテリ充電装置は、類似程度に応じて決定された加重値を識別された1つ又は複数の基準バッテリそれぞれの劣化モードに適用し、ターゲットバッテリの劣化モードを推定することができる。類似程度は、識別された基準バッテリそれぞれの充電程度によるバッテリ特性のグラフに示されているピーク特性が、ターゲットバッテリの充電程度によるバッテリ特性のグラフに示されているピーク特性に類似している程度を示す。
【0063】
説明の便宜のために、
図5に示すデータベース520内の複数の基準バッテリのうち、第1基準バッテリと第2基準バッテリが識別された場合を仮定する。また、第1基準バッテリ及び第2基準バッテリは、様々な劣化要因(例えば、リチウムプレーティング、陽極容量の減少、及び陰極SEIレイヤなど)によって劣化されたバッテリであって、例えば、第1基準バッテリは、主にリチウムプレーティングにより劣化されたバッテリであり、第2基準バッテリは、主に陽極容量の減少及び陰極SEIレイヤによって劣化されたバッテリである場合を仮定する。
【0064】
バッテリ充電装置は、ターゲットバッテリのグラフ510と第1基準バッテリのグラフ521との間の第1類似度を決定する。ここで、先に説明したピーク特性の類似程度に基づいて第1類似度が決定され得る。同様に、バッテリ充電装置は、ターゲットバッテリのグラフ510と第2基準バッテリのグラフ522との間の第2類似度を決定する。
【0065】
そして、バッテリ充電装置は、第1類似度に基づいて第1基準バッテリの第1劣化モードに適用する第1加重値を決定し、同様に、第2類似度に基づいて第2基準バッテリの第2劣化モードに適用する第2加重値を決定する。例えば、類似度が高いほど加重値が高く決定されることで、高い類似度を有する基準バッテリの劣化モードが、より高い比重でターゲットバッテリの劣化モードに反映され得る。
【0066】
そして、バッテリ充電装置は、第1加重値が適用された第1劣化モードと第2加重値が適用された第2劣化モードに基づいて、充電しようとするバッテリの劣化モードを推定し、このように推定された劣化モードに基づいてバッテリモデルをアップデートすることができる。
【0067】
例えば、バッテリモデルは、充電しようとするバッテリに発生したリチウムプレーティング、陽極容量の減少、及び陰極SEIレイヤによる劣化が反映されるようにアップデートされ得る。もし、第1基準バッテリの第1劣化モードに適用される第1加重値が0.7であり、第2基準バッテリの第2劣化モードに適用される第2加重値が0.3であれば、バッテリモデルに反映させるリチウムプレーティングによる劣化は、第1基準バッテリに発生したリチウムプレーティングの劣化を示した第1劣化モードに0.7を適用し、第2基準バッテリに発生したリチウムプレーティングの劣化を示した第2劣化モードに0.3を適用することで決定される。また、バッテリモデルに反映させる陽極容量の減少及び陰極SEIレイヤによる劣化は、第1基準バッテリに発生した陽極容量の減少及び陰極SEIレイヤの劣化を示した第1劣化モードに0.7を適用し、第2基準バッテリに発生した陽極容量の減少及び陰極SEIレイヤの劣化を示した第2劣化モードに0.3を適用することで決定される。
【0068】
このように、充電しようとするターゲットバッテリの劣化モードを充電程度によるバッテリ特性が類似の1つ又は複数の既存バッテリの劣化モードに基づいて推定することで、ターゲットバッテリの充電プロファイルで導き出された充電程度によるバッテリ特性のみを有しても、ターゲットバッテリが過去にどのような劣化要因によってどのような履歴で劣化され、現在の劣化状態はどうかをバッテリモデルに反映することができ、劣化条件を効率よく回避しながら急速充電を行うことができる。
【0069】
図6は、一実施形態によるバッテリを充電する例示を示す図である。
【0070】
図6を参照すると、一実施形態によるバッテリ充電装置がバッテリを充電するフローチャートが示されている。
【0071】
ステップS601において、バッテリ充電装置は、劣化モードの再使用条件が満足されているか否かを判定する。例えば、再使用条件は、バッテリの劣化モードを推定した最後の時点から現在の時点までの時間の差が閾時間以下であるか否か、及び最後の時点以後のバッテリの使用量が、閾値使用量以下であるか否かのうち少なくとも1つを含んでもよい。言い換えれば、劣化モードを推定した最後の時点と現在の時点との間の差が大きくないか、及び/又は、最後の時点以後の該当バッテリを多く使用しないものであれば、その間にバッテリの劣化状態が実質的に進行したと見難いため、以前に推定した劣化モードをそのまま利用することがある。
【0072】
もし、劣化モードの再使用条件が満足されれば、ステップS605が引き続き実行され、以前の劣化モードがバッテリモデルに適用され、ステップS602~S604が省略される。反対に、劣化モードの再使用条件が満足されなければ、ステップS602が引き続き実行される。
【0073】
ステップS602において、バッテリ充電装置は、充電プロファイルを分析するための充電電流をバッテリに印加する。
【0074】
ステップS603において、バッテリ充電装置は、充電プロファイルを分析してバッテリの劣化モードを推定する。例えば、バッテリ充電装置は、充電プロファイルを分析してバッテリの充電程度によるバッテリ特性を決定し、決定された充電程度によるバッテリ特性を用いて、バッテリの劣化モードを推定することができる。詳しい内容は、上記の説明が適用され得るため、より詳細な説明は省略する。
【0075】
ステップS604において、バッテリ充電装置は、推定された劣化モードに基づいてバッテリモデルをアップデートする。
【0076】
ステップS606において、バッテリ充電装置は、アップデートされたバッテリモデルを用いてバッテリのSOC及び内部状態を推定する。ここで、内部状態は、バッテリの陰極過電位(anode overpotential)、陽極過電位(cathode overpotential)、陰極表面リチウムイオン濃度、陽極表面リチウムイオン濃度、セル電圧条件、充電状態、及び温度などを含んでもよい。
【0077】
ステップS607において、バッテリ充電装置は、充電電流及び充電制限条件を決定する。ここで、充電制限条件は、マルチ-ステップの充電方式により、バッテリの劣化が防止される範囲内でバッテリを充電させるためにバッテリの充電を複数の充電ステップに分類するための条件であって、例えば、バッテリの充電時間、電圧、電流、温度、及び内部状態のうち少なくとも1つに対する充電制限条件が設定されてもよい。充電電流は、各充電ステップにおいてバッテリを充電するための電流であって、A、mA、C-rateなどに表現される。
【0078】
ステップS608において、バッテリ充電装置は、充電ステップNを「1」に設定する。
【0079】
ステップS609において、バッテリ充電装置は、定電流に該当する充電電流INでバッテリを充電する。
【0080】
ステップS610において、バッテリ充電装置は、バッテリの電流、電圧、及び温度のうち少なくとも1つを測定し、測定された値及び電気化学モデルに基づいてバッテリの内部状態を推定する。
【0081】
ステップS611において、バッテリ充電装置は、ステップS607で決めた充電制限条件に達するか否かを判定する。例えば、バッテリ充電装置は、バッテリの充電時間、電圧、電流、温度などの測定値、及び/又はバッテリの内部状態などの推定値が充電制限条件に達するか否かを判定する。もし、充電制限条件に達しなければ、ステップS609が次に実行される。反対に、充電制限条件に達すると、ステップS612が次に実行される。
【0082】
ステップS612において、バッテリ充電装置は、充電ステップNを1だけ増加させる。
【0083】
ステップS613において、バッテリ充電装置は、充電ステップNが予め決定した最後の充電ステップNFを超過するか否かを判定する。もし、最後の充電ステップNFが超過しなければ、ステップS609が次に実行される。反対に、最後の充電ステップNFが超過すれば、バッテリの充電動作は終了される。
【0084】
その他にも、実施形態により、他の充電終了イベントによってバッテリの充電が終了してもよい。一例として、バッテリ充電装置は、バッテリの電圧が閾値電圧に達する場合、バッテリの充電を終了する。閾値電圧は、例えば、4V~4.2V以内であってもよい。異なる一例として、バッテリ充電装置は、バッテリの電圧が閾値電圧に達する場合、バッテリを一定の電圧に充電し、その間にバッテリの電流が終了電流(termination current)(例えば、0.05C-rate)に達する場合、バッテリの充電を終了する。
【0085】
図7は、他の一実施形態に係るバッテリ充電方法を示す図である。
【0086】
図7を参照すると、バッテリ充電装置に備えられたプロセッサで実行されるバッテリ充電方法が示されている。
【0087】
ステップS710において、バッテリ充電装置は、リチウムを含んでいるバッテリの充電プロファイルを取得する。
【0088】
ステップS720において、バッテリ充電装置は、充電プロファイルに基づいてバッテリの充電程度によるバッテリ特性を決定する。
【0089】
ステップS730において、バッテリ充電装置は、充電程度によるバッテリ特性に基づいて、バッテリにリチウムプレーティングによる劣化が発生したか否かを判定する。バッテリ充電装置は、異なる劣化要因及び/又は異なる劣化程度を有する複数の基準バッテリのうち、リチウムプレーティングによる劣化が主に発生した基準バッテリが、充電程度によるバッテリ特性と最も類似する場合、バッテリにリチウムプレーティングによる劣化が発生したと判定する。
【0090】
ステップS740において、バッテリ充電装置は、バッテリにリチウムプレーティングによる劣化が発生した場合、劣化が反映されるようにバッテリの劣化モードを推定し、バッテリモデルをアップデートする。バッテリ充電装置は、リチウムプレーティングによる劣化が主に発生した基準バッテリの劣化モードを用いてバッテリの劣化モードを推定し、推定された劣化モードに基づいてバッテリモデルをアップデートする。
【0091】
ステップS750において、バッテリ充電装置は、アップデートされたバッテリモデルを用いてバッテリを充電する。バッテリ充電装置は、アップデートされたバッテリモデルを用いてバッテリの充電条件を決定し、決定された充電条件を用いてバッテリを充電する。
【0092】
図7に示された各ステップには、
図1~
図6を参照して前述した事項も適用し得るため、より詳細な説明は省略する。
【0093】
図8は、一実施形態によるバッテリ充電装置を示す図である。
【0094】
図8を参照すると、一実施形態に係るバッテリ充電装置800は、メモリ810及びプロセッサ820を含む。メモリ810及びプロセッサ820は、バス830を介して通信する。バッテリ充電装置800は、バッテリを含む様々な電子装置(例えば、車両、端末、歩行補助装置など)に搭載される。
【0095】
メモリ810は、コンピュータで読出し可能な命令語を含んでもよい。プロセッサ820は、メモリ810に格納された命令語がプロセッサ820で実行されることで、先に言及した動作を行うことができる。メモリ810は、揮発性メモリ又は不揮発性メモリであってもよい。
【0096】
プロセッサ820は、命令語、あるいはプログラムを実行したり、バッテリ充電装置800を制御する装置である。プロセッサ820は、バッテリの充電程度によるバッテリ特性に基づいて、バッテリの劣化要因及び劣化程度の反映されたバッテリの劣化モードを推定し、劣化モードに基づいてバッテリモデルをアップデートし、アップデートされたバッテリモデルを用いてバッテリの充電を制御することができる。
【0097】
その他に、バッテリ充電装置800に関しては上述した動作を処理することができる。
【0098】
図9は、一実施形態に係る車両を説明するための図である。
【0099】
図9を参照すると、車両900はバッテリパック910を含む。車両900は、バッテリパック910を電源として用いる車両である。車両900は、例えば、電気自動車又はハイブリッド自動車であり得る。
【0100】
バッテリパック910は、バッテリ管理システム(Battery Management System、BMS)及びバッテリセル(又はバッテリモジュール)を含む。BMSは、バッテリパック910に異常が発生したかをモニタリングし、バッテリパック910が過充電又は過放電されないようにする。また、BMSは、バッテリパック910の温度が第1温度(一例として、40℃)を超過したり、第2温度(一例として、-10℃)未満であれば、バッテリパック910に対して熱制御を行うことができる。また、BMSは、セルバランシングを行ってバッテリパック910内のバッテリセル間の充電状態が均等になるようにする。
【0101】
実施形態によれば、車両900はバッテリ充電装置を含む。バッテリ充電装置はバッテリパック910(又は、バッテリパック910内のバッテリセル)の劣化要因及び劣化程度が反映された劣化モードに基づいてバッテリモデルをアップデートし、アップデートされたバッテリモデルを用いてバッテリパック910(又は、バッテリパック910内のバッテリセル)を充電する。
【0102】
図1~
図8を参照して記述された事項は、
図9を参照して記述された事項に適用し得るため、詳細な説明は省略する。
【0103】
図10は、一実施形態に係るモバイル機器を説明するための図である。
【0104】
図10を参照すると、モバイル機器1000は、バッテリパック1010を含む。モバイル機器1000は、バッテリパック1010を電源として用いる装置である。モバイル機器1000は携帯用端末であって、例えば、スマートフォンであってもよい。バッテリパック1010は、BMS及びバッテリセル(又は、バッテリモジュール)を含む。
【0105】
実施形態によれば、モバイル機器1000はバッテリ充電装置を含む。バッテリ充電装置は、バッテリパック1010(又は、バッテリパック1010内のバッテリセル)の劣化要因及び劣化程度が反映された劣化モードに基づいてバッテリモデルをアップデートし、アップデートされたバッテリモデルを用いてバッテリパック1010(又は、バッテリパック1010内のバッテリセル)を充電する。
【0106】
図1~
図9を参照して記述された事項は、
図10を参照して記述された事項に適用し得るため、詳細な説明は省略する。
【0107】
図11は、一実施形態に係る端末を説明するための図である。
【0108】
図11を参照すると、端末1110は、バッテリ充電装置110及びバッテリ120を含む。端末1110は、スマートフォン、ノート型パソコン、タブレットPC、又は、ウェアラブルデバイスのような移動端末であってもよいが、これらに制限されることはない。
【0109】
バッテリ充電装置110は、IC(Integrated Circuit)形態であってもよいが、これらに制限されることはない。
【0110】
バッテリ充電装置110は、パワーソース1120から有線又は無線で電力を受け取ることができ、該当電力に基づいてバッテリ120を充電する。バッテリ充電装置110は、バッテリ120の劣化要因及び劣化程度が反映された劣化モードに基づいてバッテリモデルをアップデートし、アップデートされたバッテリモデルを用いてバッテリ120を充電する。
【0111】
図1~
図10を参照して記述された事項は、
図11を参照して記述された事項に適用し得るため、詳細な説明は省略する。
【0112】
以上述した実施形態は、ハードウェア構成要素、ソフトウェア構成要素、又はハードウェア構成要素及びソフトウェア構成要素の組み合せで具現化される。例えば、本実施形態で説明した装置及び構成要素は、例えば、プロセッサ、コントローラ、ALU(arithmetic logic unit)、デジタル信号プロセッサ(digital signal processor)、マイクロコンピュータ、FPA(field programmable array)、PLU(programmable logic unit)、マイクロプロセッサー、又は命令(instruction)を実行して応答する異なる装置のように、1つ以上の汎用コンピュータ又は特殊目的コンピュータを用いて具現化される。処理装置は、オペレーティングシステム(OS)及びオペレーティングシステム上で実行される1つ以上のソフトウェアアプリケーションを実行する。また、処理装置は、ソフトウェアの実行に応答してデータをアクセス、格納、操作、処理、及び生成する。理解の便宜のために、処理装置は1つが使用されるものとして説明する場合もあるが、当技術分野で通常の知識を有する者は、処理装置が複数の処理要素(processing element)及び/又は複数の類型の処理要素を含むことが把握する。例えば、処理装置は、複数のプロセッサ又は1つのプロセッサ及び1つのコントローラを含む。また、並列プロセッサ(parallel processor)のような、他の処理構成も可能である。
【0113】
ソフトウェアは、コンピュータプログラム、コード、命令、又はそのうちの一つ以上の組合せを含み、希望の通りに動作するよう処理装置を構成したり、独立的又は結合的に処理装置を命令することができる。ソフトウェア及び/又はデータは、処理装置によって解釈されたり処理装置に命令又はデータを提供するために、いずれかの類型の機械、構成要素、物理的装置、仮想装置、コンピュータ記憶媒体又は装置、又は送信される信号波に永久的又は一時的に具体化することができる。ソフトウェアはネットワークに連結されたコンピュータシステム上に分散され、分散した方法で格納されたり実行され得る。ソフトウェア及びデータは一つ以上のコンピュータで読出し可能な記録媒体に格納され得る。
【0114】
本実施形態による方法は、様々なコンピュータ手段を介して実施されるプログラム命令の形態で具現化され、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録される。記録媒体は、プログラム命令、データファイル、データ構造などを単独又は組み合せて含む。記録媒体及びプログラム命令は、本発明の目的のために特別に設計して構成されたものでもよく、コンピュータソフトウェア分野の技術を有する当業者にとって公知のものであり使用可能なものであってもよい。コンピュータ読み取り可能な記録媒体の例として、ハードディスク、フロッピー(登録商標)ディスク及び磁気テープのような磁気媒体、CD-ROM、DVDのような光記録媒体、フロプティカルディスクのような磁気-光媒体、及びROM、RAM、フラッシュメモリなどのようなプログラム命令を保存して実行するように特別に構成されたハードウェア装置を含む。プログラム命令の例としては、コンパイラによって生成されるような機械語コードだけでなく、インタプリタなどを用いてコンピュータによって実行される高級言語コードを含む。ハードウェア装置は、本発明に示す動作を実行するために1つ以上のソフトウェアモジュールとして作動するように構成してもよく、その逆も同様である。
【0115】
上述したように実施形態をたとえ限定された図面によって説明したが、当技術分野で通常の知識を有する者であれば、上記の説明に基づいて様々な技術的な修正及び変形を適用することができる。例えば、説明された技術が説明された方法と異なる順で実行されるし、及び/又は説明されたシステム、構造、装置、回路などの構成要素が説明された方法と異なる形態で結合又は組み合わせてもよいし、他の構成要素又は均等物によって置き換え又は置換されたとしても適切な結果を達成することができる。
【0116】
したがって、本発明の範囲は、開示された実施形態に限定されて定められるものではなく、特許請求の範囲及び特許請求の範囲と均等なものなどによって定められるものである。