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特許7616971アンテナ装置及びアンテナ装置の製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-08
(45)【発行日】2025-01-17
(54)【発明の名称】アンテナ装置及びアンテナ装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01Q 1/22 20060101AFI20250109BHJP
   H01Q 13/10 20060101ALI20250109BHJP
   H01P 11/00 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
H01Q1/22 Z
H01Q13/10
H01P11/00
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021140387
(22)【出願日】2021-08-30
(65)【公開番号】P2023034241
(43)【公開日】2023-03-13
【審査請求日】2023-11-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000226932
【氏名又は名称】日星電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100164471
【弁理士】
【氏名又は名称】岡野 大和
(74)【代理人】
【識別番号】100176728
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 慎吾
(72)【発明者】
【氏名】竹内 陽祐
(72)【発明者】
【氏名】笠原 久稔
(72)【発明者】
【氏名】岡村 陽介
(72)【発明者】
【氏名】高村 祐
(72)【発明者】
【氏名】望月 太貴
【審査官】麻生 哲朗
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-258514(JP,A)
【文献】特開2004-096607(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0051974(US,A1)
【文献】特開2003-342966(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 1/22
H01Q 13/10
H01P 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スリット孔が形成された金属板によって構成されている第1のアンテナ部と、
構造物に取り付けられて、前記第1のアンテナ部が該構造物に対して固定されるように、前記第1のアンテナ部を支持する支持部と、
導電性の部材を含み、一端において、前記第1のアンテナ部と電気的に接続されている接続部と、
前記第1のアンテナ部と連接して設けられ、前記金属板の法線方向に延在する側面部と、
前記側面部に連接して設けられ、前記金属板に平行な面を有する底面部と、
前記底面部における、前記第1のアンテナ部に対向する側とは反対側に取り付けられた第2のアンテナ部と、
を備え
前記支持部は、前記側面部に取り付けられているアンテナ装置。
【請求項2】
前記底面部は、金属材料によって形成されている、請求項に記載のアンテナ装置。
【請求項3】
スリット孔が形成された金属板によって構成されている第1のアンテナ部と、
構造物に取り付けられて、前記第1のアンテナ部が該構造物に対して固定されるように、前記第1のアンテナ部を支持する支持部と、
導電性の部材を含み、一端において、前記第1のアンテナ部と電気的に接続されている接続部と、
前記第1のアンテナ部と連接して設けられ、前記金属板の法線方向に延在する側面部と、
を備え
前記支持部は、前記側面部に取り付けられ、前記側面部における、前記第1のアンテナ部に連接する側とは反対側の端部から連接して外側に突出しているアンテナ装置。
【請求項4】
前記側面部は、金属材料によって形成されている、請求項からのいずれか一項に記載のアンテナ装置。
【請求項5】
スリット孔が形成された金属板によって構成されている第1のアンテナ部と、
構造物に取り付けられて、前記第1のアンテナ部が該構造物に対して固定されるように、前記第1のアンテナ部を支持する支持部と、
導電性の部材を含み、一端において、前記第1のアンテナ部と電気的に接続されている接続部と、
前記第1のアンテナ部と連接して設けられ、前記金属板の法線方向に延在する側面部と、
を備え
前記支持部は、前記側面部に取り付けられ、
前記側面部は、金属材料によって形成されているアンテナ装置。
【請求項6】
前記スリット孔は、広幅部と、前記広幅部に隣接して配置されている細幅部とを含み、
前記細幅部の短手方向の長さは、前記広幅部の短手方向の長さよりも短い、請求項1からのいずれか一項に記載のアンテナ装置。
【請求項7】
金属材料によって形成された、矩形状のスリット孔が形成された、矩形状の板面から、四隅の正方形の領域である正方形領域を切り取るステップと、
前記板面の辺の方向に沿って配列されている2つの前記正方形領域の間の領域である折り代領域それぞれと、前記正方形領域及び前記折り代領域とは異なる領域である中央領域との境界線を互いに同じ方向に折り曲げるステップと、
前記折り代領域それぞれにおける、前記境界線と平行な線分であって、該折り代領域を2分する線分である境界平行線を前記方向とは反対の方向に折り曲げるステップと、
前記スリット孔の側面にケーブルの一端を接続させるステップと、
を含む、アンテナ装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナ装置及びアンテナ装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
市場拡大が見込まれるIoT(Internet of Things)分野において、LPWA(Low Power Wide Area)の通信方式を用いることが知られている(非特許文献1)。LPWA、Wi-Fi(登録商標)、5G、6G等の電波は、直進性が高く、通信距離が短いため、多数のアンテナを設置することが望まれている。
【0003】
そこで、多数のアンテナの設置を実現するために、室内外を問わず、既存の構造物にアンテナを取り付けること望まれている。このとき、アンテナを構造物に取り付けることによって、構造物の美観が損なれないようにすることが要求されている。このため、目立たない外観を有し、構造物に後付けすることが可能なガラスアンテナが提供されている(非特許文献2)。
【0004】
また、特製のマンホールの鉄蓋にアンテナを内蔵させることによって、アンテナが外力により損傷を受けることを抑制しつつ、車両の障害とならないように路面に取り付ける技術も開発されている(非特許文献3)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【文献】NTT西日本、「IoT事業拡大のためのLoRaWAN(登録商標)の事業化」、NTT技術ジャーナル、2018年10月号、pp.44-47
【文献】AGC、「AGCの『窓を基地局化するガラスアンテナ』5G対応の開発が完了」、[online]、[令和3年7月5日検索]、インターネット<URL:https://www.agc.com/news/detail/1200821_2148.html>
【文献】明電舎、「管きょリアルタイム監視用マンホールアンテナ」、[online]、[令和3年7月5日検索]、インターネット<URL: https://www.meidensha.co.jp/catalog/bb/BB524-3291.pdf>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述したガラスアンテナのような脆性材料によって構成されるアンテナが、金属又は鉄筋コンクリートによって構成される構造物に取り付けられている場合、アンテナは、構造物が耐えうる外力と同等の外力に耐えることができない。このため、構造物が外力に対して損傷を受けない状況においても、アンテナは損傷を受けやすいことがある。したがって、アンテナが構造物に取り付けられる場合、該アンテナには、該アンテナが取り付けられる構造物と同等の靭性を有することが要求されている。また、アンテナが該構造物と同等の靭性を有するために、上述したような、構造物にアンテナを内蔵する手法には、高い作業負荷が発生し、高コストとなっている。
【0007】
かかる事情に鑑みてなされた本発明の目的は、高い作業負荷が発生し、高コストとなるのを抑制しつつ、構造物と同等の靭性を有することができるアンテナ装置及びアンテナ装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一実施形態に係るアンテナ装置は、スリット孔が形成された金属板によって構成されている第1のアンテナ部と、構造物に取り付けられて、前記第1のアンテナ部が該構造物に対して固定されるように、前記第1のアンテナ部を支持する支持部と、導電性の部材を含み、一端において、前記第1のアンテナ部と電気的に接続されている接続部と、を備える。
【0009】
一実施形態に係るアンテナ装置の製造方法は、金属材料によって形成された、矩形状のスリット孔が形成された、矩形状の板面から、該板面の各角をそれぞれ1つの角とする正方形の領域である正方形領域を切り取るステップと、前記板面の辺の方向に沿って配列されている2つの前記正方形領域の間の領域である折り代領域それぞれと、前記正方形領域及び前記折り代領域とは異なる領域である中央領域との境界線を互いに同じ方向に折り曲げるステップと、前記折り代領域それぞれにおける、前記境界線と平行な線分である境界平行線を前記方向とは反対の方向に折り曲げるステップと、前記スリット孔にケーブルの一端を接続させるステップと、を含む。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、作業負荷を抑制しつつ、構造物と同等の靭性を有することができるアンテナ装置及びアンテナ装置の製造方法を提供することにある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1の実施形態に係るアンテナ装置の一例を示す図である。
図2図1に示すアンテナ装置が取り付けられる構造物の一例であるマンホールを説明するための図である。
図3図1に示すアンテナ装置を示す斜視図である。
図4図1に示すアンテナ装置の第1の変形例を示す図である。
図5A図1に示すアンテナ装置の第2の変形例を示す斜視図である。
図5B図5Aに示すアンテナ装置を示す上面図である。
図6】第2の実施形態に係るアンテナ装置の一例を示す斜視図である。
図7図6に示すアンテナ装置を示す斜視図である。
図8図6に示すアンテナ装置の第1の変形例を示す図である。
図9図6に示すアンテナ装置の第2の変形例を示す図である。
図10A図6に示すアンテナ装置の第3の変形例を示す図である。
図10B図10Aに示すアンテナ装置を示す側面図である。
図10C図10Aに示すアンテナ装置を示す底面図である。
図11】第3の実施形態に係るアンテナ装置の一例を示す斜視図である。
図12図11に示すアンテナ装置を製造するために用いられる金属板の一例である。
図13図11に示すアンテナ装置を製造する方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<<第1の実施形態>>
以下、本発明の第1の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0013】
<アンテナ装置の構成>
本発明の第1の実施形態に係るアンテナ装置100の構成の一例を説明する。
【0014】
図1に示すように、アンテナ装置100は、構造物STに取り付けられている。
【0015】
アンテナ装置100は、内部装置200と電気信号を送受信する。本例では、アンテナ装置100は、有線通信により、内部装置200と電気信号を送受信してもよい。
【0016】
また、アンテナ装置100は、外部装置300と無線通信により電気信号を送受信する。本例では、アンテナ装置100は、LTE(Long Term Evolution)、LoRaWAN(Long Range Wide Area Network)などの広域ネットワークにより、外部装置300と電気信号を送受信する。
【0017】
内部装置200は、アンテナ装置100から送信された電気信号を受信し、アンテナ装置100に電気信号を送信する送受信部、電気信号を制御する制御部、電源等を備える通信装置(第1の通信装置)である。内部装置200は、構造物の内部S1側に配設される。
【0018】
外部装置300は、例えば、内部装置200によって取得された各種の情報を管理するサーバ等の通信装置(第2の通信装置)である。外部装置300は、構造物の外部S2側に配設される。
【0019】
本実施形態における構造物STは、地中A内の空間を画定するための構造物である。構造物STは、例えば、図2に示すような、地中Aに埋設されたマンホール400である。構造物STは、金属、コンクリート、又はレジンコンクリート等によって形成される。
【0020】
マンホール400は、首部41と、筐体42と、鉄蓋43とを備える。首部41及び筐体42は、例えば、鉄筋コンクリートによって形成されている。首部41は、略円筒形状とすることができ、首部41によって画定される空間は、構造物STの外部S2と連通している。筐体42は、略直方体形状とすることができる。また、首部41によって画定される空間と、筐体42とによって画定される空間とは連通されている。
【0021】
鉄蓋43は、マンホール400が画定する内部S1側の空間と、外部S2側への空間との境界(マンホール400の出入口)を覆う部材である。図2の例では、鉄蓋43は、首部41における外部S2側に配設されている。また、鉄蓋43には、該鉄蓋43を貫通する穴HLが形成されている。
【0022】
図1及び図3に示すように、アンテナ装置100は、アンテナ部11と、支持部12と、接続部13とを備える。
【0023】
アンテナ部11は、スリット孔SHLが形成された金属板によって構成されている。アンテナ部11におけるスリット孔SHLの周辺に流れる電流が変化すると、該アンテナ部11の周辺における磁場が変化することにより、アンテナ部11は、電波を送信する。アンテナ部11は、アクティブアンテナとして機能することもでき、パッシブアンテナとして機能することもできる。
【0024】
図3に示すように、スリット孔SHLは、アンテナ部11を構成している金属板の面の法線方向(z軸方向)から見て矩形である。本例では、アンテナ部11は矩形であって、スリット孔SHLの短辺は、アンテナ部11の短辺に平行であり、スリット孔SHLの長辺は、アンテナ部11の長辺に平行である。
【0025】
スリット孔SHLは、外部装置300と送受信する電波の波長λに応じた大きさを有することができる。例えば、スリット孔SHLの長辺の長さx1は0.7λ以上で0.8λ以下とすることができる。また、スリット孔SHLの短辺の長さy1は0.02λ以上で0.05λ以下とすることができる。また、スリット孔SHLの高さzは波長λによらず、0.5mm以上で2.0mm以下とすることができる。
【0026】
スリット孔SHLは、該スリット孔SHLが設けられない状態で製造された金属板を切削加工することによって形成されてもよい。スリット孔SHLは、スリット孔SHLとともに金属板を成型することによって形成されてもよい。
【0027】
また、アンテナ部11が屋外に配置される場合、アンテナ部11の表面に樹脂プレートが設けられてもよい。これにより、アンテナ装置100は、アンテナ部11が屋外の物、人等に直接、接したり、風雨にさらされたりするのを抑制し、アンテナ部11が受ける損傷を低減することができる。
【0028】
支持部12は、構造物STに取り付けられて、該構造物STに対して固定されるようにアンテナ部11を支持する。支持部12は、アンテナ部11の端部に設けられた、該アンテナ部11を構成する金属板が延在する方向に突出している。図3に示す例では、支持部12は、金属板が形成する矩形の各辺の略中央部分に設けられ、該各辺と直交する方向に突出している。支持部12は、アンテナ部11と一体となって設けられていてもよいし、アンテナ部11に取り付けられることによって設けられてもよい。
【0029】
支持部12は、ネジ、接着剤貼付等を用いることによって構造物STに取り付けられる。図2に示すように、構造物STがマンホール400である例において、支持部12は、例えば、アンテナ部11が鉄蓋43の穴HLを覆うように、鉄蓋43に取り付けられてもよい。また、支持部12が、構造物STを形成する金属とは異なる種類の金属によって形成されている構成において、支持部12と構造物STとの間に、樹脂等の絶縁材料によって形成された防食層が設けられてもよい。これにより、支持部12及び構造物STにおける異種金属接合による腐食を抑制することができる。
【0030】
接続部13は、導電性の部材を含み、一端において、アンテナ部11と電気的に接続されている。また、接続部13は、他端において、内部装置200と電気的に接続されている。これにより、接続部13は、アンテナ部11と内部装置200とを電気的に接続する。
【0031】
接続部13は、同軸ケーブル131と、コネクタ132とを含んでもよい。このような構成において、同軸ケーブル131は、一端において、アンテナ部11におけるスリット孔SHLの側面に接続される。具体的には、同軸ケーブル131の内部導体及び外部導体それぞれの一端は、アンテナ部11におけるスリット孔SHLの側面に接続される。
【0032】
また、コネクタ132は、同軸ケーブル131と、ケーブルCBとを接続させる。ケーブルCBは、内部装置200に接続されたケーブル201とコネクタ202によって接続されている。
【0033】
なお、アンテナ部11は複数のスリット孔SHLを備え、複数のスリット孔SHLの側面それぞれに接続部13が接続されてもよい。これにより、1つのスリット孔SHLが形成される場合に比べて、単位時間あたりに多くの電波を送信することができ、通信速度が向上される。また、複数のスリット孔SHLの位置及び方向が適宜設計されることによって、アンテナ装置100は、鉄蓋43から送信される電気信号に基づく電波の指向性をよりよく制御することができる。これに伴い、特に無給電中継する場合に顕著に発生する電波減衰を抑制することができる。
【0034】
以上、説明したように、第1の実施形態に係るアンテナ装置100は、スリット孔SHLが形成された金属板によって構成されているアンテナ部11と、構造物STに取り付けられて、該構造物STに対して固定されるようにアンテナ部11を支持する支持部12と、導電性の部材を含み、一端において、第1のアンテナ部11と電気的に接続されている接続部13と、を備える。これにより、アンテナ装置100は、作業負荷及びコストを抑制しつつ、構造物と同等の靭性を有することができる。
【0035】
<第1の変形例>
上述した第1の実施形態において、アンテナ装置100の接続部13は、ケーブルCBコネクタ202、及びケーブル201を介して、内部装置200に接続されているが、これに限られない。図4に示すように、アンテナ装置100の接続部13は、ケーブルCB及びコネクタ202を介して、アンテナ203に接続されていてもよい。これにより、アンテナ装置100がアンテナ203と有線通信により電気信号を送受信し、アンテナ203が無線通信により電気信号を内部装置200と送受信する。
【0036】
アンテナ203は、指向性アンテナであることが好ましく、誘電体によって構成される内部基板及び内部基板上に設けられる指向性の導電パターンを含んでもよい。内部基板は、方形状であることが好ましい。指向性アンテナは、例えば、パッチアンテナ等とすることができる。
【0037】
<第2の変形例>
上述した第1の実施形態において、スリット孔SHLは、矩形であったが、これに限られない。図5A及び図5Bに示すように、スリット孔SHLは、矩形でなくてもよい。例えば、スリット孔SHLは、広幅部SHL1と、広幅部SHL1に隣接して配置されている細幅部SHL2とを含んでもよい。細幅部SHL2の短手方向の長さは、広幅部SHL1の短手方向の長さよりも短い。細幅部SHL2の短手方向(y軸方向)の長さは、広幅部SHL1の短手方向(y軸方向)の長さよりも短い。これにより、インピーダンス整合をとることができる。
【0038】
図5A及び図5Bに示す例では、スリット孔SHLは、2つの広幅部SHL1と、1つの細幅部SHL2とを含んでいる。2つの広幅部SHL1のうちの一の広幅部SHL1は、細幅部SHL2のx軸方向の一方の端部に隣接して配置されている。また、他の広幅部SHL1は、細幅部SHL2のx軸方向の他方の端部に隣接して配置されている。ここで、2つの広幅部SHL1及び1つの細幅部SHL2は、x軸方向に延在する辺の一方が1つの直線上にあるように配置されている。
【0039】
さらに、x軸方向における細幅部SHL2の長さx2の1/2の長さは、第1のアンテナ部11によって送信される電波の波長の1/8以下とすることができる。これにより、給電点近傍での電界が弱くなり、給電点から離れて位置する、スリット孔SHLの端部での電界が強くなるため、アンテナ装置100は、放射効率を高めることができる。
【0040】
<第3の変形例>
上述した第1の実施形態において、接続部13は、コネクタ132を含んだが、この限りではない。接続部13は、コネクタ132を含まなくてもよく、このような構成において、同軸ケーブル131の他端は、内部装置200またはアンテナ203に直接接続されてもよい。
【0041】
<<第2の実施形態>>
以下、本発明の第2の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0042】
<アンテナ装置の構成>
本発明の第2の実施形態に係るアンテナ装置100-1の構成の一例を説明する。第2の実施形態において、第1の実施形態と同一の構成については同じ符号を付し、説明を省略する。
【0043】
図6に示すように、アンテナ装置100-1は、アンテナ部11と、支持部12-1と、接続部13と、筐体部14を備える。
【0044】
筐体部14は、アンテナ部11、及びスリット孔SHLを覆う仮想面とともに閉空間を形成する。筐体部14は、側面部141と、底面部142とを含む。
【0045】
図6及び図7に示すように、側面部141は、アンテナ部11と連接して設けられ、アンテナ部11を構成する金属板の法線方向に延在する。すなわち、側面部141は、上述した閉空間の側面を画定する。本例では、側面部141は、アンテナ部11を形成する金属板の法線方向に直交する方向を法線方向とする4つの面によって形成されている。また、側面部141を形成する4つの面それぞれは、長方形であり、該長方形の一辺が、アンテナ部11を形成する金属板に連接するように設けられている。側面部141は、金属材料によって形成されてもよい。
【0046】
底面部142は、側面部143に連接して設けられ、アンテナ部11を構成する金属板に平行な面を有する。すなわち、底面部142は、上述した閉空間の底面を画定する。上述した例において、底面部142を形成する面は、長方形であり、該長方形の各辺が、側面部141を形成する4つの面それぞれにおける、アンテナ部11とは反対側の辺に連接するように設けられている。底面部142は、金属材料によって形成されてもよい。
【0047】
支持部12-1は、第1の実施形態の支持部12と同様に、構造物STに対してアンテナ部11を支持する。支持部12-1は、第1の実施形態の支持部12とは異なり、筐体部14の4つの側面部141それぞれに設けられ、該表面の法線方向に突出している。支持部12-1は、側面部141と一体となって設けられていてもよいし、側面部141に取り付けられることによって設けられていてもよい。
【0048】
アンテナ部11を構成する金属板の面は、構造物STに形成された穴HLの断面よりも僅かに小さくてもよい。例えば、第1のアンテナ部11のx軸方向の長さは、穴HLのx軸方向の長さより1mm程度、小さく、アンテナ部11のy軸方向の長さは、穴HLのy軸方向の長さより1mm程度、小さい。このため、アンテナ部11を穴HLにスムーズにはめ込むことができ、アンテナ装置100-1を構造物STに容易に取り付けることができる。
【0049】
以上、説明したように、第2の実施形態に係るアンテナ装置100-1は、アンテナ部11と連接して設けられ、金属板の法線方向に延在する側面部141をさらに備え、支持部12-1は、側面部141に取り付けられている。これにより、支持部12-1を、構造物STの内部S1側の表面に取り付けることができる。また、第1の実施形態のアンテナ装置100とは異なり、外部S2側における不要な凸部を減少させることができ、これにより、利用者の安全性が向上する。
【0050】
また、第2の実施形態に係るアンテナ装置100-1において、側面部141は、金属材料によって形成されていてもよい。これにより、側面部141の内側に配設された接続部13は金属によって覆われる。したがって、接続部13に作用する外乱を抑制することができる。
【0051】
また、第2の実施形態に係るアンテナ装置100-1において、底面部142は、金属材料によって形成されていてもよい。これにより、底面部142と、アンテナ部11との間に配設された接続部13は金属によって覆われる。したがって、接続部13に作用する外乱を抑制することができる。
【0052】
<第1の変形例>
上述した第2の実施形態において、アンテナ装置100-1の接続部13は、ケーブルCB及びコネクタ202を介して、内部装置200に接続されているが、これに限られない。図8に示すように、アンテナ装置100-1の接続部13は、ケーブルCB及びコネクタ202を介して、アンテナ203に接続されていてもよい。これにより、アンテナ装置100-1がアンテナ203と有線通信により電気信号を送受信し、アンテナ203が無線通信により電気信号を内部装置200と送受信する。
【0053】
<第2の変形例>
図9に示すように、アンテナ装置100-1は、アンテナ部(第1のアンテナ部)11とは別のアンテナである第2のアンテナ部15をさらに備えてもよい。第2のアンテナ部15は、底面部142における、アンテナ部11に対向する側とは反対側の面に取り付けられている。このような構成において、アンテナ装置100-1の接続部13は、コネクタ132を含んでもよいし、含まなくてもよい。接続部13がコネクタ132を含まない構成においては、同軸ケーブル131の一端は、アンテナ部11に接続され、同軸ケーブル131の他端は、第2のアンテナ部15に接続される。接続部13がコネクタ132を含む構成においては、アンテナ部11は、コネクタ132を介して第2のアンテナ部15に接続されていてもよい。また、底面部142が金属材料によって形成されている構成においては、同軸ケーブル131の他端は、底面部142に接続され、底面部142を介して第2のアンテナ部15に接続されてもよい。これにより、第2のアンテナ部15が内部装置200から無線通信により電波を受信すると、第1のアンテナ部11は、同軸ケーブル131を介して該電波に基づく電気信号を受信し、該電気信号に基づく電波を外部装置300に送信する。同様にして、第1のアンテナ部11が外部装置300から無線通信により電波を受信すると、第2のアンテナ部15は、同軸ケーブル131を介して該電波に基づく電気信号を受信し、該電気信号に基づく電波を内部装置200に送信する。したがって、アンテナ装置100-1は、無電源の中継アンテナとして機能することができる。
【0054】
第2のアンテナ部15は、誘電体上に導電パターンを設けたパッチアンテナとすることができる。このような構成において、底面部142を接地することによって、接地のための部材を別途設ける必要がなくなり、アンテナ装置100-1を小型化することができる。
【0055】
また、底面部142は、第1のアンテナ部11から第2のアンテナ部15までの距離が、スリット孔SHLの長辺の長さx1の1/2以上となるように設けられてよい。これにより、第1のアンテナ部11と、第2のアンテナ部15との干渉が低減される。ただし、干渉を低減するための構成をさらに設けることによって、あるいは、干渉がアンテナの使用に問題ないレベルであれば、第1のアンテナ部11から第2のアンテナ部15までの距離は、長さx1の1/2未満となるように設けられてもよい。
【0056】
<第3の変形例>
図10Aに示すように、アンテナ部11に形成されているスリット孔SHLは、第1の実施形態の第3の変形例と同様に、広幅部SHL1と、細幅部SHL2と含んでいてもよい。
【0057】
また、図10Aに示す例では、支持部12-1の長さは、該支持部12-1に連接する側面部141の長さと略同一である。図10Aにおいては、アンテナ部11に対してy軸方向に突出する支持部12-1は、「支持部121」と表され、アンテナ部11に対してx軸方向に突出する支持部12-1は、「支持部122」と表されている。
【0058】
支持部121のx軸方向における長さx3は、アンテナ部11のx軸方向の長さと同じであり、本例では119mmである。また、支持部122のy軸方向の長さy3は、アンテナ部11のy軸方向の長さと同じであり、本例では49mmである。これにより、支持部12-1におけるアンテナ部11側の辺に平行な方向での長さが該辺の長さより短い構成に比べて、支持部12-1は、構造物STに強固に取り付けられる。したがって、支持部12-1は、構造物STに対してアンテナ部11をより強固に支持することができる。
【0059】
なお、図10Aに示すように、支持部121のy軸方向における長さy4、及び支持部121のx軸方向における長さx4は、14mmである。また、本例では、図10Bに示すように、側面部141のz軸方向の長さz2は、55mmであり、第2のアンテナ部15のz軸方向の長さz3は、5.5mmである。また、z軸方向における、第1のアンテナ部11側の端部から支持部12-1までの長さz4は、8mmである。さらに、本例では、図10Cに示すように、第2のアンテナ部15のx軸方向の長さx5は、44mmであり、y軸方向の長さy5は、46mmである。
【0060】
また、第1の実施形態の第3の変形例は、第2の実施形態に適用されてもよい。
【0061】
<<第3の実施形態>>
以下、本発明の第3の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0062】
<アンテナ装置の構成>
本発明の第3の実施形態に係るアンテナ装置100-2の構成の一例を説明する。第3の実施形態において、第1の実施形態又は第2の実施形態と同一の構成については同じ符号を付し、説明を省略する。
【0063】
図11に示すように、アンテナ装置100-2は、アンテナ部11と、支持部12-2と、接続部13と、筐体部14-2とを備える。
【0064】
筐体部14-2は、第2の実施形態の筐体部14と同様に側面部141を含む。筐体部14-2は、第2の実施形態の筐体部14とは異なり、底面部142を含まない。
【0065】
支持部12-2は、第1の実施形態の支持部12及び第2の実施形態の支持部12-1とは異なり、側面部141における第1のアンテナ部11に連接する側とは反対側の端部に連接されている。具体的には、支持部12-2は、側面部141における第1のアンテナ部11側とは反対側の辺を、一辺とする矩形の形状を有しており、側面部141が形成する面の法線方向の外側に突出している。なお、支持部12-2は、側面部141と一体となって設けられていてもよいし、側面部141に取り付けられることによって設けられていてもよい。
【0066】
<アンテナ装置の製造方法>
ここで、第3の実施形態に係るアンテナ装置100-2を製造する工程について、図12及び図13を参照して説明する。図12は、第3の実施形態に係るアンテナ装置100-2を製造する工程の一例を示すフローチャートである。図12を参照して説明するアンテナ装置100-2を製造する工程は、第1の実施形態に係るアンテナ装置100-2の製造方法の一例に相当する。
【0067】
図13に示すように、ステップS1において、矩形状のスリット孔SHLが形成された、矩形状の金属板MP(図12参照)から、四隅の正方形の領域である正方形領域MP1を切り取る。金属板MPには、該板面の長手方向に延在するスリット孔SHLが設けられている。正方形領域MP1は、該金属板MPの各角をそれぞれ1つの角とする正方形の領域である。正方形の辺の長さLsqは、板面の短辺の長さy6からスリット孔SHLの短辺の長さy1を差し引いた長さ(y6-y1)の1/2より短い。正方形の辺の長さLsqは、本方法によって製造されるアンテナ装置100-2におけるアンテナ部11の大きさに基づいて、適宜決定されてよい。
【0068】
なお、ステップS1を実行する前に、スリット孔SHLが形成されていない金属板MPを切削加工することによってスリット孔SHLを形成してもよい。
【0069】
ステップS1を実行することにより、折り代領域MP2と、中央領域MP3とによって構成される金属板が形成される。折り代領域MP2は、金属板MPの辺の方向に沿って配列されている2つの正方形領域MP1の間の領域である。図12に示す例では、折り代領域MP2は、正方形領域MP11と正方形領域MP12との間の領域である折り代領域MP21と、正方形領域MP13と正方形領域MP14との間の領域である折り代領域MP23と、正方形領域MP11と正方形領域MP14との間の領域である折り代領域MP24と、正方形領域MP12と正方形領域MP13との間の領域である折り代領域MP22とを含んでいる。中央領域MP3は、金属板MPにおける、正方形領域MP1及び折り代領域MP2とは異なる領域である。
【0070】
ステップS2において、折り代領域MP2それぞれと中央領域MP3との境界線LN1を互いに同じ方向に折り曲げる。例えば、境界線LN1を互いに同じ方向に90度、折り曲げてもよい。
【0071】
ステップS3において、折り代領域MP2それぞれの境界平行線LN2をステップS2における方向とは反対の方向に折り曲げる。このとき、境界平行線LN2を90度、折り曲げてもよい。境界平行線LN2は、折り代領域MP2それぞれにおける、境界線LN1と平行な線分であって、該折り代領域MP2を2分する線分である。
【0072】
ステップS4において、スリット孔SHLに接続部13を接続させる。具体的には、スリット孔SHLの側面にケーブルの一端を接続させる。さらに、ケーブルの他端をコネクタ132に接続させてもよい。
【0073】
なお、第3の実施形態におけるアンテナ装置100-2の接続部13はコネクタ132を含まなくてもよく、このような構成において、ステップS4において、ケーブルの他端をコネクタ132に接続させる処理を実行しない。なお、接続部13がコネクタ132を含む構成においては、アンテナ装置100-2を内部装置200に容易に接続させることができる。接続部13がコネクタ132を含まない構成においては、同軸ケーブル131の他端を内部装置200にはんだ付け等により直接接続させてもよい。
【0074】
以上、説明したように、第3の実施形態に係るアンテナ装置100-2において、支持部12-2は、側面部141における第1のアンテナ部11に連接する側とは反対側の端部に設けられている。これにより、アンテナ装置100-2は、金属板MPを用いて容易に製造することができるとともに、構造物への取り付けにおける作業負荷を抑制しつつ、構造物と同等の靭性を有することができる。
【0075】
また、第3の実施形態に係るアンテナ装置100-2の製造方法は、金属材料によって形成された矩形状の金属板MPから、該金属板MPの各角をそれぞれ1つの角とする正方形の領域である正方形領域MP1を切り取るステップと、金属板MPの辺の方向に沿って配列されている2つの正方形の間の領域である折り代領域MP2それぞれと、正方形領域MP1及び折り代領域MP2とは異なる領域である中央領域MP3との境界線LN1を互いに同じ方向に折り曲げるステップと、折り代領域MP2それぞれにおける、境界線LN1と平行な線分であって、該折り代領域MP2を2分する線分である境界平行線LN2を、境界線LN1を折り曲げた方向とは反対の方向に折り曲げるステップと、を含む。これにより、構造物への取り付けにおける作業負荷を抑制しつつ、構造物と同等の靭性を有することができるアンテナ装置100-2を容易に製造することができる。
【0076】
なお、第1の実施形態の第1から第3の変形例、並びに第2の実施形態の第1の変形例及び第3の変形例は、第3の実施形態に適用されてもよい。
【0077】
本発明は上記の実施形態及び変形例に限定されるものではない。例えば、上述の各種の処理は、記載にしたがって時系列に実行されるのみならず、処理を実行する装置の処理能力あるいは必要に応じて並列的にあるいは個別に実行されてもよい。その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
【0078】
上述の実施形態は代表的な例として説明したが、本開示の趣旨及び範囲内で、多くの変更及び置換ができることは当業者に明らかである。したがって、本発明は、上述の実施形態によって制限するものと解するべきではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。
【符号の説明】
【0079】
11 アンテナ部(第1のアンテナ部)
12、12-1、12-2 支持部
13 接続部
14、14-2 筐体部
15 第2のアンテナ部
41 首部
42 筐体
43 鉄蓋
100、100-1、100-2 アンテナ装置
121、122 支持部
131 同軸ケーブル
132 コネクタ
141 側面部
142 底面部
200 内部装置
201 同軸ケーブル
202 コネクタ
203 アンテナ
300 外部装置
400 マンホール
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図10C
図11
図12
図13