(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-08
(45)【発行日】2025-01-17
(54)【発明の名称】吸収性物品、及び吸収性物品の包装体
(51)【国際特許分類】
A61F 13/42 20060101AFI20250109BHJP
A61F 13/15 20060101ALI20250109BHJP
A61F 13/47 20060101ALI20250109BHJP
A61F 13/511 20060101ALI20250109BHJP
A61F 13/56 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
A61F13/42 B
A61F13/15 220
A61F13/47 300
A61F13/511 100
A61F13/511 500
A61F13/56 110
(21)【出願番号】P 2021567769
(86)(22)【出願日】2020-12-28
(86)【国際出願番号】 JP2020049219
(87)【国際公開番号】W WO2021132724
(87)【国際公開日】2021-07-01
【審査請求日】2023-12-21
(31)【優先権主張番号】P 2019239353
(32)【優先日】2019-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000115108
【氏名又は名称】ユニ・チャーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100139022
【氏名又は名称】小野田 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100192463
【氏名又は名称】奥野 剛規
(74)【代理人】
【識別番号】100169328
【氏名又は名称】藤本 健治
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 裕哉
(72)【発明者】
【氏名】吉政 渡
(72)【発明者】
【氏名】曽我部 瑶介
(72)【発明者】
【氏名】七海 久孝
(72)【発明者】
【氏名】野本 貴志
【審査官】冨江 耕太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開平8-71101(JP,A)
【文献】特表2003-517584(JP,A)
【文献】特開2017-42471(JP,A)
【文献】特開2002-372527(JP,A)
【文献】国際公開第2005/120414(WO,A1)
【文献】特開2000-279442(JP,A)
【文献】特開2013-66517(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F13/15-13/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸収コアと、
前記吸収コアよりも肌面側に配置されている肌側シートと、
前記吸収コアよりも肌面側に配置されており且つ使用者の健康状態を検査するための検査部材と、を備え
る吸収性物品であって、
前記検査部材は、排泄物に基づいて呈色する表示部
と、前記表示部の呈色のために前記排泄物を接触させる接触部と、前記表示部と前記接触部との間に前記排泄物に含まれる成分が前記接触部から前記表示部まで移動する表示移動部とを有し、
前記肌側シートと呈色後の前記表示部との色差が0.6以上であ
り、
前記接触部及び前記表示移動部のそれぞれが、前記表示部とは異なるものであり、
前記表示移動部は、前記排泄物に含まれる成分中の検出対象である抗原と反応する標識抗体を含むとともに、前記抗原と抗原抗体反応を起こして形成された複合体を移動させ、
前記表示部は、前記複合体を補足する補足抗体を含み、前記複合体が前記補足抗体により補足されることで呈色する、吸収性物品。
【請求項2】
吸収コアと、
前記吸収コアよりも肌面側に配置されている肌側シートと、
前記吸収コアよりも肌面側に配置されており且つ使用者の健康状態を検査するための検査部材と、を備え
る吸収性物品であって、
前記検査部材は、排泄物に基づいて呈色する表示部
と、前記表示部の呈色のために前記排泄物を接触させる接触部と、前記表示部と前記接触部との間に前記排泄物に含まれる成分が前記接触部から前記表示部まで移動する表示移動部とを有し、
前記接触部及び前記表示移動部のそれぞれが、前記表示部とは異なるものであり、
前記表示移動部は、前記排泄物に含まれる成分中の検出対象である抗原と反応する標識抗体を含むとともに、前記抗原と抗原抗体反応を起こして形成された複合体を移動させ、
前記表示部は、前記複合体を補足する補足抗体を含み、前記複合体が前記補足抗体により補足されることで呈色する、吸収性物品。
【請求項3】
前記肌側シートは、前記検査部材よりも肌面側に配置される表面シートを有し
、
前記肌側シートは、周囲よりも非肌側へ凹んだ凹部を有し、
前記凹部は、前記接触部と
厚さ方向に重なっている、
請求項1又は2に記載の吸収性物品。
【請求項4】
前記凹部が、前記表示部と前記厚さ方向に重なっていない、請求項3に記載の吸収性物品。
【請求項5】
前記凹部は、前記表示移動部と前記厚さ方向に重なっていない、
請求項3又は4に記載の吸収性物品。
【請求項6】
前記吸収性物品には、前記吸収性物品を折り畳むための折り目が形成されており、
前記折り目は、前記表示部と前記厚さ方向に重ならない位置に形成されている、
請求項1~5のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項7】
前記吸収性物品には、前記吸収性物品を折り畳むための折り目が形成されており
、
前記折り目は、前記表示移動部と前記厚さ方向に重ならない位置に形成されている、
請求項1~6のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項8】
前記検査部材の
前後方向の中心が、前記吸収性物品の
前後方向の中心よりも前方に位置する、請求項1~7のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項9】
前記接触部は、前記吸収性物品の前後方向の中心よりも後方に位置する、
請求項1~8のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項10】
幅方向における前記吸収性物品の曲げを誘導する曲げ誘導部が、前記検査部材よりも前記幅方向の外側に設けられている、請求項1~9のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項11】
前記吸収性物品が、生理用ナプキン、パンティライナー、大人用失禁パッド及び尿取りパッドからなる群から選択される、請求項6~10のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項12】
前記検査部材は、前記吸収性物品の展開状態において、前記検査部材の全体が前記吸収性物品と前記厚さ方向に重なるように配置されている、請求項11に記載の吸収性物品。
【請求項13】
前記吸収コアよりも非肌面側に配置されている非肌側シートと、
前記吸収性物品を着用物品に固定するために前記非肌側シートの非肌面上に設けられる粘着部と、を有し
、
前記接触部の少なくとも一部は、厚さ方向において前記粘着部と重ならない位置に配置されている、
請求項1~12のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項14】
前記排泄物が、経血又はおりものである、請求項1~13のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項15】
前記検査部材が検出する検出対象が、尿中老廃物、白血球、蛋白質、ブドウ糖、ケトン体、ウロビリノーゲン、ビリルビン、尿潜血、亜硝酸塩、ステロイド、ペプチド、芳香族化合物、FSH(卵胞刺激ホルモン)、BUN(Urea nitorogen)、AlB(Albumin)、LPS(リポ多糖)、hCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)、LH(黄体刺激ホルモン)、U-ALB、CRP(C-リアクディブ・プロテイン)、ミオグロビン、CK-MB、トロポニンI、トロポニンT、ヘモグロビン、ストレップA、HBs抗体、HIV抗体、TP抗体、ロタウイルス、インフルエンザウイルス、アデノウイルス、DNA、O-157、コカイン、マリファナ及びモルヒネからなる群から選択される、請求項14に記載の吸収性物品。
【請求項16】
吸収コアと、前記吸収コアよりも肌面側に配置されている肌側シートと、前記吸収コアよりも肌面側に配置されており且つ使用者の健康状態を検査するための検査部材と、を備えた吸収性物品と、
前記吸収性物品を包装する包装部材と、を
有する吸収性物品の包装体であって、
前記検査部材は、排泄物に基づいて呈色する表示部
と、前記表示部の呈色のために前記排泄物を接触させる接触部と、前記表示部と前記接触部との間に前記排泄物に含まれる成分が前記接触部から前記表示部まで移動する表示移動部とを有し、
前記接触部及び前記表示移動部のそれぞれが、前記表示部とは異なるものであり、
前記表示移動部は、前記排泄物に含まれる成分中の検出対象である抗原と反応する標識抗体を含むとともに、前記抗原と抗原抗体反応を起こして形成された複合体を移動させ、
前記表示部は、前記複合体を補足する補足抗体を含み、前記複合体が前記補足抗体により補足されることで呈色し、
前記包装部材の剛性は、前記検査部材の剛性よりも大きい、
吸収性物品の包装体。
【請求項17】
前記肌側シートと呈色後の前記表示部との色差が0.6以上である、請求項16に記載の吸収性物品の包装体。
【請求項18】
前記吸収性物品が、請求項1~15のいずれか1項に記載の吸収性物品である、請求項16又は17に記載の吸収性物品の包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収性物品、及び吸収性物品の包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、排泄物を採取するための採取部材が肌側シートと吸収コアとの間に配置されている吸収性物品が開示されている。採取部材を吸収性物品から取り出すことで得られた排泄物を検査することで、使用者の健康状態を知ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の吸収性物品では、採取部材を吸収性物品から取り出して、排泄物を検査しなければならず、吸収性物品の使用者が健康状態を知るまでに時間が掛かっていた。
【0005】
採取部材の代わりに、使用者の健康状態を検査するための検査部材を肌側シートと吸収コアとの間に配置することで、使用者が健康状態を知るまでの時間を短縮することが想定される。使用者は、排泄物に基づいて呈色する表示部を有する検査部材を吸収性物品から取り出して、表示部を視認することで健康状態を知ることができる。
【0006】
しかしながら、検査部材よりも肌面側には肌側シートが配置されているため、表示部を視認し難く、使用者が健康状態を精度よく確認できない虞がある。一方で、検査部材を吸収性物品から取り出した場合には、表示部を視認し易くなるものの、検査部材を吸収性物品から取り出す手間が掛かったり、検査部材を取り出す際に排泄物により使用者の手が汚れたりして、使用者の健康状態を簡便に確認できない虞がある。
【0007】
そこで、使用者の健康状態を検査するための検査部材を備えた吸収性物品であって、使用者の健康状態を簡便に精度よく確認できる吸収性物品が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一態様に係る吸収性物品は、吸収コアと、前記吸収コアよりも肌面側に配置されている肌側シートと、前記吸収コアよりも肌面側に配置されており且つ使用者の健康状態を検査するための検査部材と、を備える。前記検査部材は、排泄物に基づいて呈色する表示部を有する。前記肌側シートと呈色後の前記表示部との色差が0.6以上である。
【0009】
一態様に係る包装体は、吸収コアと、前記吸収コアよりも肌面側に配置されている肌側シートと、前記吸収コアよりも肌面側に配置されており且つ使用者の健康状態を検査するための検査部材と、を備えた吸収性物品と、前記吸収性物品を包装する包装部材と、を有し、前記検査部材は、排泄物に基づいて呈色する表示部を有する吸収性物品の包装体である。前記包装部材の剛性は、前記検査部材の剛性よりも大きい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施形態に係る吸収性物品を肌面側から見た模式平面図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る吸収性物品を非肌面側から見た模式平面図である。
【
図3】
図3は、
図1におけるF3A-F3A線に沿った模式断面図である。
【
図4】
図4は、
図1におけるF3B-F3B線に沿った模式断面図である。
【
図5】
図5は、変更例1に係る吸収性物品の模式拡大断面図である。
【
図6】
図6は、変更例2に係る吸収性物品の模式拡大断面図である。
【
図7】
図7は、変更例3に係る吸収性物品の模式拡大断面図である。
【
図8】
図8は、変更例4に係る吸収性物品の模式平面図である。
【
図9】
図9は、変更例5に係る吸収性物品の模式平面図である。
【
図10】
図10は、変更例6に係る吸収性物品の模式断面図である。
【
図11】
図11は、変更例7に係る吸収性物品の模式断面図である。
【
図12】
図12は、変更例8に係る包装体200の模式斜視図である。
【
図13】
図13は、変更例8に係る包装体200が開封(展開)された状態の模式平面図である。
【
図14】
図14は、実施例に係る肌側シートの可視光透過率を示す図である。
【0011】
(1)実施形態の概要
[態様1]
吸収コアと、
前記吸収コアよりも肌面側に配置されている肌側シートと、
前記吸収コアよりも肌面側に配置されており且つ使用者の健康状態を検査するための検査部材と、を備え、
前記検査部材は、排泄物に基づいて呈色する表示部を有する吸収性物品であって、
前記肌側シートと呈色後の前記表示部との色差が0.6以上である、吸収性物品。
【0012】
上記吸収性物品により、呈色後の表示部の色が、肌側シートの色と類似し難くなり、呈色後の表示部を視認し易くできる。使用者は、検査部材を吸収性物品から取り出すことなく、表示部が呈色したか否かを把握し易くなり、使用者の健康状態を簡便に精度よく確認し易くなる。
【0013】
[態様2]
吸収コアと、
前記吸収コアよりも肌面側に配置されている肌側シートと、
前記吸収コアよりも肌面側に配置されており且つ使用者の健康状態を検査するための検査部材と、を備え、
前記検査部材は、排泄物に基づいて呈色する表示部を有する、吸収性物品。
【0014】
上記吸収性物品により、使用者は、使用者の健康状態を簡便に精度よく確認し易くなる。
【0015】
[態様3]
前記肌側シートは、前記検査部材よりも肌面側に配置される表面シートを有し、
前記検査部材は、前記表示部の呈色のために前記排泄物を接触させる接触部を有し、
前記肌側シートは、周囲よりも非肌側へ凹んだ凹部を有し、
前記凹部は、前記接触部と前記厚さ方向に重なっている、
態様1又は2に記載の吸収性物品。
【0016】
上記吸収性物品の凹部では、凹部の周囲に比べて、接触部に近い位置から排泄物が非肌面側へ向かうため、排泄物が接触部へ到達し易くなる。これにより、表示部が呈色し易くして、表示部が呈色するまでの時間を短縮できるため、使用者が、健康状態を確認し易くなる。
【0017】
[態様4]
前記凹部が、前記表示部と前記厚さ方向に重なっていない、態様3に記載の吸収性物品。
上記吸収性物品では、凹部が、表示部と厚さ方向に重なっていないため、使用者が、吸収性物品を長時間使用した場合、使用者が激しい動きをした場合等であっても、表示部を構成する部材、成分等が、使用者の皮膚に直接触れにくくなり、使用者が安心感を得ることができる。
【0018】
[態様5]
前記検査部材が、前記表示部と、前記接触部との間に、前記排泄物に含まれる成分が前記接触部から前記表示部まで移動する表示移動部をさらに備え、
前記凹部は、前記表示移動部と前記厚さ方向に重なっていない、
態様3又は4に記載の吸収性物品。
【0019】
上記吸収性物品では、検査部材が所定の表示移動部をさらに備えているとともに、凹部が、表示移動部と厚さ方向に重なっていない。従って、表示移動部が、使用者の汗等によりその機能を阻害されにくいとともに、使用者が、吸収性物品を長時間使用した場合、使用者が激しい動きをした場合等であっても、表示移動部を構成する部材、成分等が、使用者の皮膚に直接触れにくくなり、使用者が安心感を得ることができる。
【0020】
[態様6]
前記吸収性物品には、前記吸収性物品を折り畳むための折り目が形成されており、
前記折り目は、前記表示部と前記厚さ方向に重ならない位置に形成されている、
態様1~5のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【0021】
表示部が折り曲げられる場合、表示部に折れ皺が形成されることで表示部が視認される面積が減少する虞がある。また、表示部の折れにより表示部がダメージを受けて、呈色する表示部の面積が減少したりする虞がある。
上記吸収性物品では、折り目が、表示部と厚さ方向に重ならない位置に形成されることで、表示部が折り曲げられず、呈色後の表示部の視認性の低下を抑制できる。
【0022】
[態様7]
前記吸収性物品には、前記吸収性物品を折り畳むための折り目が形成されており、
前記検査部材は、
前記表示部の呈色のために前記排泄物を接触させる接触部と、
前記排泄物に含まれる成分が前記接触部から前記表示部まで移動する表示移動部と、
を有し、
前記折り目は、前記表示移動部と前記厚さ方向に重ならない位置に形成されている、
態様1~6のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【0023】
表示移動部が折り曲げられる場合、表示移動部の折れにより表示移動部がダメージを受けて、排泄物に含まれる成分の搬送が阻害される虞がある。この場合、表示部まで移動する排泄物に含まれる成分が減少して、表示部が呈色し難くなる。
上記吸収性物品では、折り目が、表示移動部と厚さ方向に重ならない位置に形成されているので、接触部から表示部までの部分が折り曲げられず、表示部が呈色する精度を維持することができる。
【0024】
[態様8]
前記検査部材の前記前後方向の中心が、前記吸収性物品の前記前後方向の中心よりも前方に位置する、態様1~7のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【0025】
使用者が、吸収性物品又は吸収性物品が固定された着用物品を両脚に通したまま、吸収性物品を股間部から離した状態では、吸収性物品の前後方向の中心(以下、前後中心)よりも後側部分と比較して、前後中心よりも前側部分を、使用者が視認しやすい。
上記吸収性物品では、検査部材の前後方向の中心が、吸収性物品の前後方向の中心よりも前方に位置するので、使用者が、表示部が呈色したか否かを容易に把握し易くなり、使用者の健康状態を簡便に確認し易くなる。
【0026】
[態様9]
前記検査部材は、前記表示部の呈色のために前記排泄物を接触させる接触部を有し、
前記接触部は、前記吸収性物品の前後方向の中心よりも後方に位置する、
態様1~8のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【0027】
上記吸収性物品では、接触部は、吸収性物品の前後方向の中心よりも後方に位置する。従って、仰向けの寝姿勢において、使用者の排泄物(特に体液)が重力によって後方へ向かうため、排泄物が、吸収性物品の前後方向の中心よりも後方に位置する接触部へ到達し易くなる。これにより、表示部が呈色し易くなるため、使用者が、健康状態を確認し易くなる。
【0028】
[態様10]
幅方向における前記吸収性物品の曲げを誘導する曲げ誘導部が、前記検査部材よりも前記幅方向の外側に設けられている、態様1~9のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【0029】
吸収性物品は、使用者の両脚に挟まれているため、使用者が両脚の間隔を狭めることによって幅方向の内側へ向かう力が加わることがある。検査部材に力が掛かると、検査部材が変形して、検査部材の機能が低下する虞がある。
上記吸収性物品では、曲げ誘導部が、検査部材よりも幅方向の外側に設けられているので、曲げ誘導部が吸収性物品の曲げを誘導し、検査部材よりも幅方向の外側で吸収性物品が曲げられ易くなる。これにより、幅方向の内側へ向かう力が検査部材まで伝わり難くなり、検査部材の機能が低下し難くすることができる。従って、表示部が呈色する精度を維持することができ、使用者の健康状態を精度よく確認できる。
【0030】
[態様11]
前記吸収性物品が、生理用ナプキン、パンティライナー、大人用失禁パッド及び尿取りパッドからなる群から選択される、態様6~10のいずれか1項に記載の吸収性物品。
上記吸収性物品は、所定の製品群から選択されるため、態様6~10の効果がより高い。
なお、態様11は、態様1~10のいずれか1項に従属することもできる。
【0031】
[態様12]
前記検査部材は、前記吸収性物品の展開状態において、前記検査部材の全体が前記吸収性物品と前記厚さ方向に重なるように配置されている、態様11に記載の吸収性物品。
上記吸収性物品では、吸収性物品の展開状態において記検査部材の全体が吸収性物品と厚さ方向に重なるように配置されているので、検査部材が、着用者に違和感を覚えさせにくい。また、着用中に検査部材が、着衣と接触して折れ曲がりにくい。
なお、態様12は、態様1~11のいずれか1項に従属することもできる。
【0032】
[態様13]
前記吸収コアよりも非肌面側に配置されている非肌側シートと、
前記吸収性物品を着用物品に固定するために前記非肌側シートの非肌面上に設けられる粘着部と、を有し、
前記検査部材は、前記表示部の呈色のために前記排泄物を接触させる接触部を有し、
前記接触部の少なくとも一部は、厚さ方向において前記粘着部と重ならない位置に配置されている、
態様1~12のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【0033】
粘着部と厚さ方向に重ならない領域は、粘着部と厚さ方向に重なる領域と比較して、着用物品から浮き上がり易くなり、使用者の身体に近づき易い。
上記吸収性物品では、接触部の少なくとも一部を粘着部と重ならない位置に配置することで、接触部が、使用者の身体に近づいて、排泄物に接触し易くできる。これにより、表示部が呈色し易くなり、使用者が、健康状態を精度よく確認し易くなる。
【0034】
[態様14]
前記排泄物が、経血又はおりものである、態様1~13のいずれか1項に記載の吸収性物品。
上記吸収性物品では、排泄物が経血又はおりものであるため、態様13の効果をより発揮することができる。
【0035】
[態様15]
前記検査部材が検出する検出対象が、尿中老廃物、白血球、蛋白質、ブドウ糖、ケトン体、ウロビリノーゲン、ビリルビン、尿潜血、亜硝酸塩、ステロイド、ペプチド、芳香族化合物、FSH(卵胞刺激ホルモン)、BUN(Urea nitorogen)、AlB(Albumin)、LPS(リポ多糖)、hCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)、LH(黄体刺激ホルモン)、U-ALB、CRP(C-リアクディブ・プロテイン)、ミオグロビン、CK-MB、トロポニンI、トロポニンT、ヘモグロビン、ストレップA、HBs抗体、HIV抗体、TP抗体、ロタウイルス、インフルエンザウイルス、アデノウイルス、DNA、O-157、コカイン、マリファナ及びモルヒネからなる群から選択される、態様14に記載の吸収性物品。
【0036】
上記吸収性物品は、検査部材が検出する検出対象が所定の群から選択されるため、態様13又は態様14の効果をより発揮することができる。
なお、態様15は、態様1~14のいずれか1項に従属することもできる。
【0037】
[態様16]
吸収コアと、前記吸収コアよりも肌面側に配置されている肌側シートと、前記吸収コアよりも肌面側に配置されており且つ使用者の健康状態を検査するための検査部材と、を備えた吸収性物品と、
前記吸収性物品を包装する包装部材と、を有し、
前記検査部材は、排泄物に基づいて呈色する表示部を有する吸収性物品の包装体であって、
前記包装部材の剛性は、前記検査部材の剛性よりも大きい、
吸収性物品の包装体。
【0038】
上記包装体では、包装部材の剛性が検査部材の剛性よりも大きいので、検査部材の剛性が低い場合であっても、包装部材の剛性により、包装体の開封前に、検査部材が曲げられ難くすることができる。これにより、開封前に検査部材が破損して、検査部材の機能が低下することを抑制できる。
【0039】
[態様17]
前記肌側シートと呈色後の前記表示部との色差が0.6以上である、態様16に記載の吸収性物品の包装体。
上記包装体では、使用者は、検査部材を吸収性物品から取り出すことなく、表示部が呈色したか否かを把握し易くなり、使用者の健康状態を簡便に精度よく確認し易くなる。
【0040】
[態様18]
前記吸収性物品が、態様1~15のいずれか1項に記載の吸収性物品である、態様16又は17に記載の吸収性物品の包装体。
上記包装体では、吸収性物品が、態様1~15のいずれか1項に記載の吸収性物品であるため、態様1~15のいずれか1項の効果を発揮することができる。
【0041】
好ましい一態様によれば、前記肌側シートは、前記検査部材よりも肌面側に配置される表面シートを有し、前記表面シートの可視光線透過率が60%以上である。これにより、使用者は、表面シートを介して、表示部の呈色後の色をより明瞭に視認することができるため、表示部が呈色したか否かをより把握し易くできる。
【0042】
好ましい一態様によれば、前記肌側シートは、前記検査部材よりも肌面側に配置される表面シートを有し、前記表面シートの坪量は、90gsm以下である。これにより、表示部の呈色後の色の視認性が、検査部材よりも肌面側に配置される表面シートに阻害され難くなり、表示部が呈色したか否かをより把握し易くできる。
【0043】
好ましい一態様によれば、前記吸収性物品は、前記吸収コアよりも非肌面側に配置されている非肌側シートと、前記吸収性物品を着用物品に固定するために前記非肌側シートの非肌面上に設けられる粘着部と、を有し、前記検査部材の少なくとも一部は、厚さ方向において前記粘着部と重なる。粘着部と厚さ方向に重なる領域は、粘着部を介して着用物品に密着する。従って、粘着部と厚さ方向に重なる領域は、粘着部と厚さ方向に重ならない領域と比較して、着用物品から浮き上がらず、使用者の身体に当たり難くなる。検査部材の少なくとも一部が粘着部と重なることで、検査部材が着用物品から離れることを低減できる。これにより、検査部材が使用者の身体から力を受け続け難くなり、検査部材の機能が低下し難くすることができる。従って、表示部が呈色する精度を維持することができ、使用者の健康状態を精度よく確認できる。
【0044】
好ましい一態様によれば、前記吸収性物品は、前記吸収コアよりも非肌面側に配置されている非肌側シートを有し、前記非肌側シートは、液不透過性及び通気性を有するシートである。非肌側シートが、通気性を有さないフィルムである場合と比較して、吸収性物品のムレを低減できる。これにより、使用者の汗により検査部材が誤反応することを低減でき、使用者が、健康状態を精度よく確認し易くなる。
【0045】
好ましい一態様によれば、厚さ方向において前記表示部と重なっている表示領域と、前記検査部材の周囲の領域である周囲領域と、が設けられており、前記吸収性物品を肌面側から視て、前記周囲領域と前記表示部が呈色した後の前記表示領域との最大の色差が0.6以上である。表示部が呈色した後の表示領域と、周囲領域との最大の色差が0.6以上であるため、使用者は、吸収性物品を肌面側から視ることで、呈色後の表示部を視認し易くできる。使用者は、検査部材を吸収性物品から取り出すことなく、表示部が呈色したか否かを把握し易くなり、使用者の健康状態を簡便に精度よく確認し易くなる。
【0046】
(2)吸収性物品の概略構成
実施形態に係る吸収性物品1について、
図1から
図14を用いて説明する。吸収性物品は、生理用ナプキン、パンティライナー、大人用失禁パッド又は尿取りパッドのような吸収性物品であってよい。以下の実施形態では、吸収性物品の一例として使い捨ての生理用ナプキンについて説明する。
【0047】
吸収性物品1は、前後方向Lと幅方向Wと厚さ方向Tとを有してよい。前後方向Lは、使用者の前側(腹側)から後側(背側)に延びる方向、又は使用者の後側から前側に延びる方向である。幅方向Wは、前後方向Lと直交する方向である。厚さ方向Tは、使用者の肌面側から非肌面側へ延びる方向(T2)、又は使用者の非肌面側から肌面側へ延びる方向(T1)である。また、厚さ方向Tは、前後方向L及び幅方向Wに直交する方向である。肌面側は、使用時に、使用者の肌に面する側に相当する。非肌面側は、使用時に、肌面側とは反対側、すなわち使用者の肌とは反対に向けられる側に相当する。
【0048】
図1に示すように、吸収性物品1は、前側域S1、後側域S2及び中央域S3を有してよい。前側域S1は、中央域S3よりも前側に位置し、後側域S2は、中央域S3よりも後側に位置する。中央域S3は、使用者の排泄口(例えば、膣口)に当接する領域を含む。吸収性物品1を前後方向Lに3等分にすることで得られる前側の領域が、前側域S1であり、後側の領域が後側域S2であり、前側域S1と後側域S2との間の中央の領域が中央域S3であってよい。吸収性物品1がウイングを有する場合には、中央域S3は、ウイングの付け根の前端縁からウイングの付け根の後端縁までの領域であってよい。なお、ウイングは、吸収性物品1の使用時に、着用物品の非肌面側に折り返される部分である。
【0049】
吸収性物品1は、吸収コア20と、肌側シート30と、非肌側シート40と、粘着部50と、検査部材60と、を有してよい。吸収コア20は、液体を吸収する吸収材料を含む。吸収材料は、例えば、パルプ及び高吸収性ポリマーの少なくとも一方により構成されてよい。
【0050】
肌側シート30は、吸収コア20よりも肌面側T1に配置される。肌側シート30は、検査部材60よりも肌面側T1に配置される表面シート31を有してよい。表面シート31は、使用者の肌に対向する。表面シート31は、複数のシートにより構成されてよく、例えば、使用者の肌に対向するトップシートと、トップシートよりも非肌面側T2に配置され、検査部材60よりも肌面側T1に配置されるシートとにより構成されてもよい。実施形態では、肌側シート30は、表面シート31によって構成される。表面シート31(肌側シート30)は、例えば、スパンレース不織布、エアスルー不織布、スパンボンド不織布、SMS不織布などにより構成されてよい。
【0051】
表面シート31の可視光透過率は、60%以上であってよい。表面シート31の可視光透過率は、好ましくは、70%以上であってよいし、さらに好ましくは、80%以上であってよい。表面シート31の坪量は、90gsm以下であってよいし、30gsm以下であってよいし、17gsm以下であってよい。表面シート31の厚さは、5mm以下であってよい。
【0052】
非肌側シート40は、吸収コア20よりも非肌面側T2に配置される。非肌側シート40は、着用物品に対向するバックシート41を有してよい。非肌側シート40は、例えば、液不透過性のフィルムによって構成されてよい。また、非肌側シート40は、例えば、開孔させたプラスチックフィルムのような、液不透過性及び通気性を有するシートであってよい。
【0053】
粘着部50は、非肌側シート40の非肌面上に設けられる。
図2及び
図3に示すように、粘着部50は、吸収コア20と厚さ方向Tに重なる領域に設けられてよいし、吸収コア20と厚さ方向Tに重ならない領域に設けられてよい。粘着部50は、ウイングに設けられてよい。吸収性物品1は、粘着部50を介して着用物品に固定される。
【0054】
検査部材60は、使用者の健康状態を検査するための部材である。検査部材60は、排泄物に基づく呈色(色の変化)によって使用者の健康状態を表示する。排泄物(検体)は、例えば、血液(経血)、尿、大便、汗、おりものなどが挙げられる。健康状態を示す項目は、例えば、体調関連(pH、鉄欠乏性貧血、腎機能、心筋梗塞、炎症・感染症、栄養状態評価など)、妊娠関連(生理周期予測、排卵予測など)、精神関連(鬱傾向、薬物など)が挙げられる。検出対象は、例えば、尿中老廃物(尿比重)、白血球、水素イオン(pH)、蛋白質、ブドウ糖、ケトン体、ウロビリノーゲン、ビリルビン、尿潜血、亜硝酸塩、ステロイド、ペプチド、芳香族化合物、FSH(卵胞刺激ホルモン)、BUN(Urea nitorogen)、AlB(Albumin)、LPS(リポ多糖)、hCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)、LH(黄体刺激ホルモン)、U-ALB、CRP(C-リアクディブ・プロテイン)、ミオグロビン、CK-MB、トロポニンI、トロポニンT、ヘモグロビン、ストレップA、HBs抗体、HIV抗体、TP抗体、ロタウイルス、インフルエンザウイルス、アデノウイルス、DNA、O-157、コカイン、マリファナ、モルヒネなどが一例として挙げられる。検出対象は、健康状態を示す項目に応じて決定される化学物質(無機物、有機物)であり、他の化学物質と反応することで、呈色を引き起こす。
【0055】
検査部材60は、排泄物に基づいて呈色する表示部62を有する。表示部62は、使用者の健康状態を表示する。表示部62は、呈色後の色によって使用者の健康状態を表示してもよく、呈色の有無によって使用者の健康状態を表示してもよい。使用者は、呈色後の色及び/又は呈色の有無を目視により判定することで健康状態を確認できる。表示部62は、排泄物に基づいて呈色する指示薬を含んでよい。
【0056】
指示薬は、排泄物に含まれる検出対象又は検出対象を由来とするもの(例えば、検出対象と抗体とが抗原抗体反応を起こして形成される複合体)と反応することにより呈色する化学物質(無機物、有機物)を含んでよい。また、指示薬は、排泄物と共に移動した抗体(検出対象と抗原抗体反応を起こす化学物質)と反応することにより呈色する化学物質(無機物、有機物)を含んでよい。
【0057】
表示部62は、検出対象が異なる複数の表示部により構成されてよい。
図1及び
図3に示すように、表示部62は、例えば、第1表示部62Aと第2表示部62Bとを有してよい。第1表示部62Aは、第2表示部62Bよりも接触部64の近くに位置する。
検査部材60は、排泄物を接触させる接触部64を有する。排泄物が接触部64に接触することで、使用者の健康状態を表示できる。
【0058】
検査部材60は、排泄物に含まれる成分(以下、排泄物成分)が移動する移動部66を有してよい。移動部66では、排泄物成分が毛細管現象により移動してよい。なお、排泄物成分は、検出対象を含んでよい。移動部66は、排泄物成分が接触部64から表示部62まで移動する表示移動部66Aと、排泄物成分が表示部62から離れる方向へ移動する終端移動部66Bと、を有してよい。表示移動部66Aは、接触部64から第1表示部62Aまでの第1表示移動部66A1と、複数の表示部62の間(実施形態では、第1表示部62Aから第2表示部62B)を排泄物が移動する第2表示移動部66A2とを有してよい。終端移動部66Bは、表示部62を通過した排泄物成分等が移動する部分である。
【0059】
健康状態を検査するために、例えば、イムノクロマト法を用いることができる。イムノクロマト法では、排泄物が接触する接触部64は、例えばパッド(サンプルパッド又は検体パッドと称されてよい)により構成されてよい。接触部64に接触した排泄物成分が表示移動部66Aを移動する。具体的には、排泄物成分は、第1表示移動部66A1から表示部62まで移動する。表示移動部66Aは、検出対象(抗原)と反応する抗体(標識抗体)を含んでよい。第1表示移動部66A1のうち抗体を含む部分は、例えばコンジュゲートパッドにより構成されてよい。第1表示移動部66A1では、排泄物成分、排泄物成分に含まれる検出対象と抗原抗体反応を起こして形成された複合体、及び、標識抗体が毛細管現象により移動してよい。これらの化学物質が移動する部分は、例えばメンブレンにより構成されてよい。表示部62は、指示薬(補足抗体)を含む領域である。第1表示部62Aは、形成された複合体を補足(結合)する補足抗体を含んでよい。第1表示部62Aは、複合体が補足抗体により補足されることで呈色する。第1表示部62Aは、テストラインと称されてよい。標識抗体及び排泄物成分は、第2表示移動部66A2を移動して、第1表示部62Aから第2表示部62Bへ到達してよい。
【0060】
第2表示部62Bは、第1表示部62Aと別の補足抗体を含んでよい。第2表示部62Bの補足抗体は、第1表示部62Aで補足された複合体と別の複合体を補足してもよいし、標識抗体を補足してよい。第2表示部62Bは、複合体又は標識抗体が補足されることで呈色する。標識抗体を補足する第2表示部62Bは、コントロールラインと称されてよい。表示部62を通過した排泄物成分(すなわち、補足抗体により補足されなかった成分)は、終端移動部66Bを移動する。終端移動部66Bは、メンブレンにより構成されてよい。また、終端移動部66Bは、表示部62を通り過ぎた排泄物成分を吸収する吸着パッドを有してよい。吸着パッドの代わりに、表示部62を通り過ぎた排泄物成分は、吸収コア20に吸収されてよい。イムノクロマト法が用いられる場合、表示部62と接触部64とは異なる位置に配置されている。従って、この場合、表示部62と接触部64とは異なる。
【0061】
また、健康状態を検査するために、例えば、試験紙法を用いることができる。試験紙法では、指示薬を含む表示部62に、排泄物(検出対象)を直接接触させることができる。従って、表示部62と接触部64とが同一のものであってよい。なお、排泄物(検出対象)を表示部62へ誘導させるために、検査部材60は、表示部62とは異なる接触部64及び移動部66(指示薬を含まない部分)を有してよい。
【0062】
検査部材60は、指示薬を保持又は含有できる部材を有していればよく、例えば、紙、不織布、織布などのいずれかの材料により構成されてよい。
【0063】
検査部材60は、前後方向Lの一方に偏ってよい。
図1に示すように、検査部材60の前後方向Lの中心CTは、吸収性物品1の前後方向Lの中心CLよりも前方に位置してよい。また、表示部62は、前後方向Lの一方に偏ってよい。表示部62は、吸収性物品1の中心CLよりも前方に位置してよく、表示部62は、中央域S3よりも前方に位置してよい。表示部62は、前側域S1に配置されてよい。これにより、表示部62が排泄口から離れた位置に配置されるため、表示部62の呈色が排泄物により視認し難くなることを抑制できる。特に、仰向けの寝姿勢では、排泄物は前側域S1に拡散し難いため、排泄物による呈色の視認性の悪化を抑制できる。また、イノクロマト法を用いた検査部材60では、排泄物が表示部62に直接接触し難くなるため、健康状態を精度よく表示できる。
【0064】
また、接触部64は、前後方向Lの一方に偏ってよい。接触部64は、吸収性物品1の中心CLよりも前方に位置してよい。接触部64は、股下域(図示せず)に配置されてよい。接触部64に排泄物が接触し易くなるため、表示部が呈色し易くなり、使用者が、健康状態を確認し易くなる。接触部64は、表示部62よりも前後方向Lの内側に位置してよい。
【0065】
図3に示すように、検査部材60の少なくとも一部は、厚さ方向Tにおいて粘着部50と重なってよい。表示部62、接触部64、移動部66の少なくともいずれかが粘着部50と重なってよい。
図2に示すように、検査部材60の全てが、厚さ方向Tにおいて粘着部50と重なってよい。これにより、検査部材60が着用物品に対して固定されるため、吸収性物品1を着用した使用者の動きによる検査部材60の位置ズレが起こり難くなる。これにより、検査部材60の位置ズレにより排泄物が到達し難くなることを抑制でき、健康状態を精度よく表示できる。
【0066】
肌側シート30と呈色後の表示部62の色差ΔEは、0.6以上である。また、肌側シート30と呈色後の表示部62との色差ΔEは、好ましくは1.2以上、より好ましくは3.0以上、さらに好ましくは5.0以上、そしてさらにいっそう好ましくは7.0以上である。また、
図1及び
図3に示すように、厚さ方向Tにおいて表示部62と重なっている表示領域IRと、検査部材60の周囲の領域である周囲領域SRと、が設けられてよい。例えば、吸収性物品1がパンティライナーである場合、周囲領域SRは、検査部材60から、例えば50mm以内の領域である。吸収性物品1を肌面側T1から視て、周囲領域SRと表示部62が呈色した後の表示領域IRとの最大の色差ΔEが0.6以上であってよい。周囲領域SRと、呈色後の表示領域IRとの最大の色差ΔEは、好ましくは1.2以上、より好ましくは3.0以上、さらに好ましくは5.0以上、そしてさらにいっそう好ましくは7.0以上である。
【0067】
呈色後の表示部62と検査部材60のうち表示部62に隣接する部分との色差ΔEは、0.6以上であってよい。また、呈色後の表示部62と、吸収性物品1に排泄される対象となる排泄物との色差ΔEは、0.6以上であってよい。また、呈色後の表示部62と、吸収性物品1に排泄される対象となる排泄物との色差ΔEは、好ましくは1.2以上、より好ましくは3.0以上、さらに好ましくは5.0以上、そしてさらにいっそう好ましくは7.0以上である。例えば、吸収性物品1がナプキン又はライナーである場合、排泄物は血液(経血)又はおりものである。一般的に血液の色はおりものよりも濃いため、呈色後の表示部62と血液(経血)との色差ΔEが上述の範囲にある指示薬を表示部62が含んでいてよい。また、吸収性物品1が使い捨ておむつである場合、排泄物は便又は尿である。検出すべき排泄物が尿である場合には、呈色後の表示部62と尿との色差ΔEが上述の範囲にある指示薬を表示部62が含んでいてよい。
【0068】
また、呈色後の表示部62の色(の波長)に応じて、肌側シート30が選択されてよい。例えば、呈色後の表示部62の色が橙(590~620nm)又は赤(620~750nm)である場合、590~750nmの全ての範囲における可視光透過率が所定値(例えば、60%)以上である肌側シート30が用いられてよい。呈色後の表示部62の色が緑色(495~570nm)又は黄色(570~590)である場合、495~590nmの全ての範囲における可視光透過率が所定値(例えば、60%)以上である肌側シート30が用いられてよい。呈色後の表示部62の色が紫色(380~450nm)又は青色(450~495)である場合、380~495nmの全ての範囲における可視光透過率が所定値(例えば、60%)以上である肌側シート30が用いられてよい。
【0069】
色差ΔEは、測定対象となる2点(2つの領域)について測色器を用いて測色を行い、JIS Z 8781-4:2013及びJIS Z 8730:2009に規定されるCIE1976(L*a*b*)色空間に基づいて数値化した値を比較することによって求めることができる。具体的に、測定対象たる2点間のL*値の差をΔL*、a*の差をΔa*、b*値の差をΔb*とするときに、色差ΔEは、次の式:
ΔE=[(ΔL*)2+(Δa*)2+(Δb*)2]1/2
によって求められる。
上記測色器としては、X-Rite社製のeXactベーシック(製品番号:NGHXRB2BJ)が挙げられる。
【0070】
以上のように、実施形態に係る吸収性物品1では、肌側シート30と呈色後の表示部62の色差が0.6以上であるため、呈色後の表示部62の色が、肌側シート30の色と類似し難くなり、呈色後の表示部62を視認し易くできる。使用者は、検査部材60を吸収性物品1から取り出すことなく、表示部62が呈色したか否かを把握し易くなり、使用者の健康状態を簡便に精度よく確認し易くなる。
【0071】
また、表面シート31の可視光透過率が60%以上であってよい。これにより、使用者は、表面シートを介して、表示部の呈色後の色をより明瞭に視認することができるため、表示部が呈色したか否かをより把握し易くできる。
【0072】
また、表面シート31の坪量が90gsm以下であり、表面シート31の厚さが5mm以下であってよい。これにより、表示部62の呈色後の色の視認性が、検査部材60よりも肌面側T1に配置される表面シート31に阻害され難くなり、表示部62が呈色したか否かをより把握し易くできる。
【0073】
また、検査部材60の前後方向Lの中心CTは、吸収性物品1の前後方向Lの中心CLよりも前方に位置してよい。使用者が、吸収性物品1が固定された着用物品を両脚に通したまま、吸収性物品1を股間部から離した状態では、使用者は、吸収性物品1の中心CLよりも後側部分と比較して、中心CLよりも前側部分を視認しやすい。従って、使用者は、中心CLよりも前方に配置されている検査部材60を視認し易くなる。これにより、表示部62が呈色したか否かを容易に把握し易くなり、使用者の健康状態を簡便に確認し易くなる。
【0074】
また、検査部材60の少なくとも一部は、厚さ方向Tにおいて粘着部50と重なってよい。粘着部50と厚さ方向Tに重なる領域は、粘着部50を介して着用物品に密着する。従って、粘着部50と厚さ方向Tに重なる領域は、粘着部50と厚さ方向Tに重ならない領域と比較して、着用物品から浮き上がらず、使用者の身体に当たり難くなる。検査部材60の少なくとも一部が粘着部50と重なることで、検査部材60が着用物品から離れることを低減できる。これにより、検査部材60が使用者の身体から力を受け続け難くなり、検査部材60の機能が低下し難くすることができる。従って、表示部62が呈色する精度を維持することができ、使用者の健康状態を精度よく確認できる。
【0075】
また、非肌側シート40は、液不透過性及び通気性を有するシートであってよい。非肌側シート40が、通気性を有さないフィルムである場合と比較して、吸収性物品1のムレを低減できる。これにより、使用者の汗により検査部材60が誤反応することを低減でき、使用者が、健康状態を精度よく確認し易くなる。
【0076】
また、周囲領域SRと表示部62が呈色した後の表示領域IRとの最大の色差ΔEが0.6以上であってよい。これにより、使用者は、吸収性物品1を肌面側から視ることで、呈色後の表示部62を視認し易くできる。使用者は、検査部材60を吸収性物品1から取り出すことなく、表示部62が呈色したか否かを把握し易くなり、使用者の健康状態を簡便に精度よく確認し易くなる。
【0077】
(4)変更例
変更例に係る吸収性物品1について、
図5から
図13を用いて説明する。なお、以下において、既出の説明と同様の内容は、説明を省略する。
【0078】
変更例1に係る吸収性物品1について、
図5を用いて説明する。
図5に示すように、肌側シート30は、周囲よりも非肌面側T2へ凹んだ凹部40pを有してよい。凹部40pにおける肌側シート30の厚さは、5mm以下であってよい。凹部40pにおける肌側シート30の密度は、18g/cm
3以下であってよい。また、肌側シート30は、周囲よりも肌面側T1へ突出した凸部40qを有してよい。凹部40pと凸部40qとが前後方向Lに交互に並んでよい。凹部40p及び凸部40qは、幅方向Wに延びてよい。肌側シート30は、例えば、スパンレース不織布を用いて製造された凹凸シートであってよい。
【0079】
凹部40pは、接触部64と厚さ方向Tに重なってよい。凹部40pでは、凹部40pの周囲に比べて、接触部64に近い位置から排泄物が非肌面側T2へ向かうため、排泄物が接触部64へ到達し易くなる。これにより、表示部62が呈色し易くして、表示部62が呈色するまでの時間を短縮できるため、使用者が、健康状態を確認し易くなる。
【0080】
凹部40pは、表示部62と厚さ方向Tに重なってよい。凹部40pでは、肌側シート30の厚さが薄いため、呈色後の表示部62の色が視認し易くなる。これにより、表示部62が呈色したか否かを把握し易くなる。
【0081】
変更例2に係る吸収性物品1について、
図6を用いて説明する。凹部40pと凸部40qとが幅方向Wに交互に並んでよい。凹部40p及び凸部40qは、前後方向Lに延びてよい。凹部40pは、表示部62と厚さ方向Tに重なってよい。複数の表示部62が前後方向Lに並ぶ場合に、凹部40pが複数の表示部62を跨がって延びることができる。これにより、凹部40pでは、肌側シート30の厚さが薄いため、呈色後の複数の表示部62の色が視認し易くなる。これにより、表示部62が呈色したか否かを把握し易くなる。なお、凹部40pは、接触部64と厚さ方向Tに重なってよい。
【0082】
変更例3に係る吸収性物品1について、
図7を用いて説明する。凹部40pは、肌側シート30が厚さ方向Tに圧搾されることにより形成されてよい。圧搾により形成された凹部40pは、接触部64と厚さ方向Tに重なってよい。接触部64に近い位置から排泄物が非肌面側T2へ向かうため、排泄物が接触部64へ到達し易くなる。加えて、圧搾により、凹部40pにおける肌側シート30の密度が高くなるため、毛細管現象により排泄物を引き込み易くなる。その結果、排泄物が接触部64へ到達し易くなる。これにより、表示部62が呈色するまでの時間を短縮できるため、使用者が、健康状態を確認し易くなる。
【0083】
変更例4に係る吸収性物品1について、
図8を用いて説明する。検査部材60の前後方向Lの中心CTは、吸収性物品1の中心CLよりも後方に位置してよい。また、表示部62は、吸収性物品1の中心CLよりも後方に位置してよく、表示部62は、中央域S3よりも後方に位置してよい。表示部62は、後側域S2に配置されてよい。これにより、表示部62が排泄口から離れた位置に配置されるため、表示部62の呈色が排泄物により視認し難くなることを抑制できる。
【0084】
また、接触部64は、吸収性物品1の中心CLよりも後方に位置してよい。接触部64は、股下域(図示せず)に配置されてよい。接触部64は、表示部62よりも前後方向Lの内側に位置してよい。接触部64に排泄物が接触し易くなるため、表示部が呈色し易くなり、使用者が、健康状態を確認し易くなる。接触部64は、表示部62よりも前後方向Lの内側に位置してよい。特に、仰向けの寝姿勢では、使用者の排泄物(特に体液)が重力によって後方へ向かうため、排泄物が、吸収性物品の前後方向の中心よりも後方に位置する接触部64へ到達し易くなる。これにより、表示部62が呈色し易くなるため、使用者が、健康状態を確認し易くなる。また、検体が尿以外である場合に、着用者の前側にある尿の排泄口から接触部64が遠くに位置するため、拡散し易い尿により検査部材60が誤反応することを低減でき、使用者が、健康状態を精度よく確認し易くなる。
【0085】
変更例5に係る吸収性物品1について、
図9を用いて説明する。吸収性物品1は、幅方向Wにおける吸収性物品1の曲げを誘導する曲げ誘導部80が、検査部材60よりも幅方向Wの外側に設けられてよい。曲げ誘導部80は、吸収性物品1の外周に沿って少なくとも肌側シート30と非肌側シート40とが厚さ方向Tに圧搾された第1曲げ誘導部81を有してよい。曲げ誘導部80は、検査部材60の幅方向Wの両外側で前後方向Lに延びる第2曲げ誘導部82を有してよい。第2曲げ誘導部82は、吸収コア20が厚さ方向Tに貫通されたスリットであってよいし、少なくとも吸収コア20が厚さ方向Tに圧搾された圧搾部であってよい。第2曲げ誘導部82の前端縁は、検査部材60の前端縁よりも前方に位置してよく、第2曲げ誘導部82の後端縁は、検査部材60の後端縁よりも後方に位置してよい。
【0086】
吸収性物品1は、使用者の両脚に挟まれているため、使用者が両脚の間隔を狭めることによって幅方向Wの内側へ向かう力が加わることがある。検査部材60に力が掛かると、検査部材60が変形して、検査部材60の機能が低下する虞がある。曲げ誘導部80が吸収性物品1の曲げを誘導することで、検査部材60よりも幅方向Wの外側で吸収性物品1が曲げられ易くなる。これにより、幅方向Wの内側へ向かう力が検査部材60まで伝わり難くなり、検査部材60の機能が低下し難くすることができる。従って、表示部62が呈色する精度を維持することができ、使用者の健康状態を精度よく確認できる。
【0087】
変更例6に係る吸収性物品1について、
図10を用いて説明する。接触部64の少なくとも一部は、厚さ方向Tにおいて粘着部50と重ならない位置に配置されてよい。
図10に示すように、接触部64の全てが粘着部50と重ならなくてよい。粘着部50と厚さ方向Tに重ならない領域は、粘着部50と厚さ方向Tに重なる領域と比較して、着用物品から浮き上がり易くなり、使用者の身体に近づき易い。接触部64の少なくとも一部を粘着部50と重ならない位置に配置することで、接触部64が、使用者の身体に近づいて、排泄物に接触し易くできる。これにより、表示部62が呈色し易くなり、使用者が、健康状態を精度よく確認し易くなる。
【0088】
変更例7に係る吸収性物品1について、
図11を用いて説明する。肌側シート30は、検査部材60と吸収コア20との間に配置される中間シート32を有してよい。検査部材60は、表面シート31と中間シート32との間に配置されてよい。中間シート32は、着色されたシートであってよい。中間シート32は、セカンドシートであってよいし、吸収コア20を覆うコアラップであってよい。中間シート32と呈色後の表示部62との色差ΔEは、0.6以上であってよい。これにより、使用者は、吸収性物品を肌面側から視ることで、呈色後の表示部を視認し易くできる。
【0089】
変更例8に係る吸収性物品1について、
図12及び
図13を用いて説明する。包装体200は、検査部材60を有する吸収性物品1と、吸収性物品1を個別に包装する包装部材100と、を有する。包装部材100は、吸収性物品1を個別に包装する包装シートであってよい。吸収性物品1の使用時に包装部材100が外されることにより、吸収性物品1が露出し、使用可能となる。包装部材100の剛性は、検査部材60の剛性よりも大きい。検査部材60の剛性が低い場合であっても、包装部材100の剛性により、包装体200の開封前に、検査部材60が曲げられ難くすることができる。これにより、開封前に検査部材60が破損して、検査部材60の機能が低下することを抑制できる。なお、各部材の剛性は、例えば、KES純曲げ試験器を用いて測定することができる。
【0090】
図12に示すように包装部材100は、吸収性物品1と共に折り目FLを基点として折り畳まれてよい。
図12及び
図13では、吸収性物品1及び包装部材100には、折り目FLとして、第1折り目FL1と第2折り目FL2が形成されている。第1折り目FL1は、検査部材60よりも前後方向Lの外側に形成されており、第2折り目FL2は、検査部材60よりも前後方向Lの外側に形成されている。
【0091】
折り目FLは、表示部62と厚さ方向Tに重ならない位置に形成されてよい。表示部62が折り曲げられる場合、表示部62に折れ皺が形成されることで表示部62が視認される面積が減少する虞がある。また、表示部62の折れにより表示部62がダメージを受けて、呈色する表示部62の面積が減少したりする虞がある。折り目FLが、表示部62と厚さ方向Tに重ならない位置に形成されることで、表示部62が折り曲げられず、呈色後の表示部62の視認性の低下を抑制できる。
【0092】
また、折り目FLは、表示移動部66Aと厚さ方向Tに重ならない位置に形成されてよい。表示移動部が折り曲げられる場合、表示部の折れにより表示部がダメージを受けて、排泄物に含まれる成分の搬送が阻害される虞がある。この場合、表示部まで移動する排泄物に含まれる成分が減少して、表示部が呈色し難くなる。折り目が、表示移動部と厚さ方向に重ならない位置に形成されることで、接触部から表示部までの部分が折り曲げられず、表示部が呈色する精度を維持することができる。
【0093】
(5)実施例
実施例について、
図14を用いて説明する。実施例1から6に係る吸収性物品1について、以下の評価を行った。
図14は、可視光透過率の測定結果を示す。
図14の縦軸は、可視光透過率(%)を示し、横軸は、測定に用いた光線の波長(nm)を示す。
【0094】
(5.1)可視光透過率
実施例1から6に係る吸収性物品1の肌側シート30(表面シート31)の可視光透過率を、分光光度計(日本分光(株) V-570)を用いて測定した。具体的には、30mm×30mmにカットされた各実施例の肌側シート30を用いて可視透過率を測定した。以下において、可視光線の波長の範囲は、380nmから750nmとしている。測定条件は、以下の通りである。
【0095】
・測光モード:Abs
・レスポンス:Medium
・バンド幅:2.0nm
・近赤外:8.0nm
・走査速度:1000nm/min
・開始波長:830nm
・終了波長:350nm
・データ取り込間隔:1.0nm
実施例1では、坪量が17gsmのSMS不織布を肌側シート30として用いた。実施例2では、坪量が17gsmのエアスルー不織布を肌側シート30として用いた。実施例3では、坪量が17gsmのスパンボンド不織布を肌側シート30として用いた。実施例4では、坪量が30gsmのスパンボンド不織布を肌側シート30として用いた。実施例5では、コットンを原料とし、坪量が30gsmのスパンレース不織布を肌側シート30として用いた。実施例6では、坪量が30gsmのエアスルー不織布を肌側シート30として用いた。
【0096】
図14に示すように、実施例1から5では、可視光透過率が60%以上であった。実施例6では、393nm以上の波長を有する可視光透過率が60%以上であった。実施例1から4では、可視光透過率が70%以上であった。実施例1及び2では、可視光透過率が80%以上であった。
【0097】
(5.2)視認性
次に、実施例1から6の吸収性物品1について、視認性を評価した。実施形態と同様に、肌側シート30と吸収コア20との間に、呈色後の表示部62を有する検査部材60が配置されている。各実施例では、肌側シート30を除いて同じ構成である。
【0098】
いずれの実施例においても、表示部62の色を視認することができた。色差ΔEが1.2以上であれば、通常容易に色差を認めることができるため、いずれの実施例でも、肌側シート30と呈色後の表示部62との色差が0.6以上であることが分かった。実施例1から4では、表示部62の色が視認し易く、特に実施例1及び2では、表示部62の色が明瞭に視認できた。
【0099】
なお、実施例1は、476nm以下の波長を有する可視光線において、実施例3よりも可視光透過率が高く、実施例3は、477nm以上の波長を有する可視光において、実施例1よりも可視光透過率が高かった。このため、呈色後の表示部62の色の波長が476nm以下(紫~青)である場合、実施例1が特に好ましく、呈色後の表示部62の色の波長が477nm以上(緑~赤)である場合、実施例3が特に好ましいことが分かった。同様に、実施例5は、623nm以下の波長を有する可視光線において、実施例6よりも可視光透過率が高く、実施例6は、624nm以上の波長を有する可視光において、実施例5よりも可視光透過率が高かった。このため、呈色後の表示部62の色の波長が623nm以下(紫~橙)である場合、実施例5が特に好ましく、呈色後の表示部62の色の波長が626nm以上(赤)である場合、実施例6が特に好ましいことが分かった。また、実施例4では、肌側シート30の坪量が30gsmであるにも関わらず、可視光透過率が70%以上であり、385nm以上の波長を有する可視光透過率は、75%以上であることが分かった。
【0100】
(6)その他実施形態
上述の実施形態及び変更例は、例示説明を目的とするものであり、他の態様により本発明が実施されてよい。例えば、検査部材60は、肌側シート30よりも肌面側T1に配置されてよい。これにより、使用者が、呈色後の表示部62の色を直接視認し易くなる。使用者は、検査部材60を吸収性物品1から取り出すことなく、表示部62が呈色したか否かを把握し易くなり、使用者の健康状態を簡便に精度よく確認し易くなる。
【0101】
検査部材60は、円形状であってよい。この場合、例えば、検査部材60の外周側に接触部64が配置され、検査部材60の中心側に表示部62が配置されてよい。これにより、接触部64が、表示部62よりも、平面方向に拡散する排泄物に接触し易くできる。
【0102】
また、吸収性物品1は、複数の検査部材60を有してよい。複数の検査部材60は、幅方向Wに間隔を空けて配置されてよい。検査部材60が接触部64に接触する機会が増加するため、使用時に検査結果をより得られ易くできる。
【0103】
また、吸収性物品1は、冷感剤を含んでよい。例えば、冷感剤は、皮膚の神経にある受容体活性化チャネル(TRPM8)に作用するものとして、メントール(例えば、l-メントール)、植物(例えば、ミント、ユーカリ、ナツメグ)由来の精油等であってよいし、気化熱により周囲の温度を下げるものとして、アルコール、例えば、メタノール及びエタノールであってよい。これにより、使用者の汗により検査部材60が誤反応することを低減できる。
【0104】
包装体200では、吸収性物品1が折り畳まれずに包装部材100に包装されていてもよい。吸収性物品1は、折り畳むための折り目FLが形成されなくてよい。包装部材100の内部は密閉されてよい。包装部材100を破断することにより、吸収性物品1が取り出されてよい。包装部材100には、1の吸収性物品1が包装されてよいし、複数の吸収性物品1(例えば、2又は3の吸収性物品1)が包装されていてよい。
【0105】
上述では、肌側シート30と、呈色後の表示部62との色差ΔEは、2.5以上であってよい。周囲領域SRと呈色後の表示領域IRとの最大の色差ΔEは、2.5以上であってよい。これにより、使用者が呈色後の表示部62を容易に視認できる。また、呈色後の表示部62と、吸収性物品1に排泄される対象となる排泄物との色差ΔEは、1.2以上であってよいし、2.5以上であってよい。これにより、肌側シート30が排泄物で汚れた場合であっても、使用者が呈色後の表示部62を容易に視認できる。
【0106】
上述の実施形態、各変更例及びその他実施形態に係る吸収性物品1に係る構成は、適宜組み合わせることが可能であることに留意すべきである。本発明が本明細書中に説明した内容に限定されるものではない。特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。
【符号の説明】
【0107】
1 :吸収性物品
20 :吸収コア
30 :肌側シート
31 :表面シート
40 :非肌側シート
40p :凹部
50 :粘着部
60 :検査部材
62 :表示部
64 :接触部
66A :表示移動部
80 :曲げ誘導部
100 :包装部材
200 :包装体
IR :表示領域
SR :周囲領域