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特許7617255固体イオン伝導体化合物、それを含む固体電解質、それを含む電気化学セル、及びその製造方法
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  • 特許-固体イオン伝導体化合物、それを含む固体電解質、それを含む電気化学セル、及びその製造方法 図1
  • 特許-固体イオン伝導体化合物、それを含む固体電解質、それを含む電気化学セル、及びその製造方法 図2
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  • 特許-固体イオン伝導体化合物、それを含む固体電解質、それを含む電気化学セル、及びその製造方法 図9
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-08
(45)【発行日】2025-01-17
(54)【発明の名称】固体イオン伝導体化合物、それを含む固体電解質、それを含む電気化学セル、及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01B 1/06 20060101AFI20250109BHJP
   H01M 10/0562 20100101ALI20250109BHJP
   H01M 10/052 20100101ALI20250109BHJP
   H01M 4/62 20060101ALI20250109BHJP
   H01M 4/587 20100101ALI20250109BHJP
   H01M 4/38 20060101ALI20250109BHJP
   H01B 13/00 20060101ALI20250109BHJP
   C01B 25/14 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
H01B1/06 A
H01M10/0562
H01M10/052
H01M4/62 Z
H01M4/587
H01M4/38 Z
H01B13/00 Z
C01B25/14
【請求項の数】 29
(21)【出願番号】P 2023519535
(86)(22)【出願日】2021-06-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-11
(86)【国際出願番号】 KR2021007845
(87)【国際公開番号】W WO2022071644
(87)【国際公開日】2022-04-07
【審査請求日】2023-03-28
(31)【優先権主張番号】10-2020-0127521
(32)【優先日】2020-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】590002817
【氏名又は名称】三星エスディアイ株式会社
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG SDI Co., LTD.
【住所又は居所原語表記】150-20 Gongse-ro,Giheung-gu,Yongin-si, Gyeonggi-do, 446-902 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】セ・ボム・リュ
(72)【発明者】
【氏名】ヨン・シン・パク
(72)【発明者】
【氏名】ジュン・ファン・ク
(72)【発明者】
【氏名】ソ・ヨン・キム
(72)【発明者】
【氏名】北島 慎太郎
【審査官】神田 太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-117753(JP,A)
【文献】国際公開第2018/047565(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/098245(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01B 1/06
H01M 10/0562
H01M 10/052
H01M 4/62
H01M 4/587
H01M 4/38
H01B 13/00
C01B 25/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1で表示され、
アルジロダイト結晶構造を有する、固体イオン伝導体化合物:
LiCl(化学式1)
前記化学式1において、
Mは、Na、K、Rb、Cs、Frまたはそれらの組合わせであり、
Tは、Sc、Y、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Tc、Re、Fe、Ru、Os、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Hg、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、As、Sb、Bi、またはそれらの組合わせであり、
Xは、Br、Iまたはそれらの組合わせであり、
4<a<7、0<x<1、0y<1、0<b≦1、4<c≦5、1≦d+e<2及び1≦d/eである。
【請求項2】
0<x≦0.5である、請求項1に記載の固体イオン伝導体化合物。
【請求項3】
y<0.5である、請求項1に記載の固体イオン伝導体化合物。
【請求項4】
1.3≦d+e<2である、請求項1に記載の固体イオン伝導体化合物。
【請求項5】
1≦d/e<18である、請求項1に記載の固体イオン伝導体化合物。
【請求項6】
前記固体イオン伝導体化合物は、CuKα線を使用したXRDスペクトルで回折角2θ=29.07゜±0.5゜でのピーク強度(I)と2θ=30.09゜±0.5゜でのピーク強度(I)の比率(I/I)がI/I<0.15である、請求項1に記載の固体イオン伝導体化合物。
【請求項7】
前記I/Iは、I/I≦0.1である、請求項に記載の固体イオン伝導体化合物。
【請求項8】
前記化学式1は、下記化学式2で表示される、請求項1に記載の固体イオン伝導体化合物:
(Li1-x1M1x17+α-β(P1-y1T1y1α6-β(Cl1-e1X1e1β(化学式2)
前記化学式2において、
M1は、Na、K、Rb、Cs、Frまたはそれらの組合わせであり、
T1は、Sc、Y、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Tc、Re、Fe、Ru、Os、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Hg、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、As、Sb、Bi、またはそれらの組合わせであり、
X1は、Br、Iまたはそれらの組合わせであり、
0<x1<1、0y1<1、0<e1≦0.5、0<α≦1、0<β≦2である。
【請求項9】
M1は、Na、Kまたはそれらの組合わせである、請求項8に記載の固体イオン伝導体化合物。
【請求項10】
y1は、0<y1≦0.5であり、T1は、Geである、請求項8に記載の固体イオン伝導体化合物。
【請求項11】
X1は、Brである、請求項8に記載の固体イオン伝導体化合物。
【請求項12】
βは、1≦β≦2である、請求項8に記載の固体イオン伝導体化合物。
【請求項13】
前記化学式1は、下記化学式3で表示される、請求項1に記載の固体イオン伝導体化合物:
Li7-x2+y2-d2-e2M2x21-y2T2y26-d2-e2Cld2e2(化学式3)
前記化学式3において、
M2は、Na、K、Rb、Cs、Frまたはそれらの組合わせであり、
T2は、Sc、Y、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Tc、Re、Fe、Ru、Os、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Hg、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、As、Sb、Bi、またはそれらの組合わせであり、
X2は、Br、Iまたはそれらの組合わせであり、
0<x2<1、0y2<1、1≦d2+e2<2、d2/e2≧1である。
【請求項14】
0<x2≦0.5、0y2<0.5、1.3≦d2+e2<2である、請求項13に記載の固体イオン伝導体化合物。
【請求項15】
0.8≦d2<2及び0<e2≦0.8である、請求項13に記載の固体イオン伝導体化合物。
【請求項16】
前記固体イオン伝導体化合物は、L5.57Na0.030.9Ge0.14.5ClBr0.5 、L5.57Na0.030.9Ge0.14.5Cl0.8Br0.7、Li5.57Na0.030.8Ge0.24.5Cl1.40.1またはLi5.57Na0.030.8Si0.24.4Cl1.4Br0.2である、請求項1に記載の固体イオン伝導体化合物。
【請求項17】
前記固体イオン伝導体化合物は、ペレット密度/粉末密度の比率が85%以上である、請求項1に記載の固体イオン伝導体化合物。
【請求項18】
請求項1~17のうち、いずれか1項に記載の固体イオン伝導体化合物を含む、固体電解質。
【請求項19】
正極活物質層を含む正極層と、
負極活物質層を含む負極層と、
前記正極層と負極層との間に配置される電解質層と、を含み、
請求項1~17のうち、いずれか1項に記載の固体イオン伝導体化合物を含む、電気化学セル。
【請求項20】
前記正極活物質層が前記固体イオン伝導体化合物を含む、請求項19に記載の電気化学セル。
【請求項21】
前記固体イオン伝導体化合物は、2μm以下の平均粒径(D50)を有する、請求項20に記載の電気化学セル。
【請求項22】
前記電解質層が前記固体イオン伝導体化合物を含む、請求項19に記載の電気化学セル。
【請求項23】
前記固体イオン伝導体化合物は、5μm以下の平均粒径(D50)を有する、請求項22に記載の電気化学セル。
【請求項24】
前記正極活物質層及び前記電解質層が前記固体イオン伝導体化合物を含む、請求項19に記載の電気化学セル。
【請求項25】
前記電気化学セルが全固体二次電池である、請求項19に記載の電気化学セル。
【請求項26】
前記負極活物質層が負極活物質及びバインダー(binder)を含み、
前記負極活物質が非晶質炭素(amorphous carbon)と金(Au)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、シリコン(Si)、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、ビスマス(Bi)、錫(Sn)及び亜鉛(Zn)からなる群から選択される1つ以上との混合物である、請求項19に記載の電気化学セル。
【請求項27】
前記負極層は、負極集電体を含み、
前記負極集電体と前記負極活物質層との間に配置された金属層をさらに含み、
前記金属層は、リチウムまたはリチウム合金を含む、請求項19に記載の電気化学セル。
【請求項28】
リチウム前駆体化合物;元素Na、K、Rb、Cs、Frまたはそれらの組合わせを含む化合物;リン(P)を含む化合物;Clを含む化合物;及び元素Br及びIのうち、1つ以上を含む化合物;を接触させて混合物を提供する段階と、
前記混合物を不活性雰囲気で熱処理して固体イオン伝導体化合物を提供する段階と、を含み、
前記混合物は、元素Sc、Y、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Tc、Re、Fe、Ru、Os、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Hg、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、As、Sb、Bi、またはそれらの組合わせを含む化合物をさらに含む、固体イオン伝導体化合物の製造方法。
【請求項29】
前記熱処理が400℃~700℃の温度で1~36時間遂行される、請求項28に記載の固体イオン伝導体化合物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体イオン伝導体化合物、それを含む固体電解質、それを含むリチウム電池、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
全固体リチウム電池は、電解質として固体電解質を含む。全固体リチウム電池は、可燃性有機溶媒を含まないので、安全性に優れている。
【0003】
従来の固体電解質材料は、リチウム金属に対して十分に安定していない。また、従来の固体電解質のリチウムイオン伝導度は、液体代替物よりも低い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、新たな組成及び結晶構造を有することにより、優秀なリチウムイオン伝導度及び軟性(softness)を有する固体イオン伝導体化合物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一側面によれば、化学式1で表示され、アルジロダイト結晶構造を有する、固体イオン伝導体化合物が提供される:
LiCl(化学式1)
前記化学式1において、
Mは、Na、K、Rb、Cs、Frまたはそれらの組合わせであり、
Tは、Sc、Y、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Tc、Re、Fe、Ru、Os、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Hg、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、As、Sb、Bi、またはそれらの組合わせであり、
Xは、Br、Iまたはそれらの組合わせであり、
4<a<7、0<x<1、0≦y<1、0<b≦1、4<c≦5、1≦d+e<2及び1≦d/eである。
【0006】
他の側面によって、前記固体イオン伝導体化合物を含む固体電解質が提供される。
【0007】
さらに他の側面によって正極活物質層を含む正極層;負極活物質層を含む負極層;及び前記正極層と負極層との間に配置される電解質層;を含み、前記固体イオン伝導体化合物を含む電気化学セルが提供される。
【0008】
さらに他の側面によって、リチウムを含む化合物;元素Na、K、Rb、Cs、Frまたはそれらの組合わせを含む化合物;リン(P)を含む化合物;及びClを含む化合物;元素Br及びIのうち、1つ以上を含む化合物;を接触させて混合物を提供する段階と、前記混合物を不活性雰囲気で熱処理して固体イオン伝導体化合物を提供する段階と、を含む、固体イオン伝導体化合物の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0009】
一側面によれば、リチウムイオン伝導度、軟性(softness)及びリチウム金属に対する安定性が向上した固体イオン伝導体化合物を含むことにより、高密度、改善された安定性及びサイクル特性を有する電気化学セルが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施例1ないし実施例6及び比較例3で製造された固体イオン伝導体化合物に対する粉末XRDスペクトルである。
図2】実施例1ないし3及び比較例1、2及び5の固体イオン伝導体化合物に係わるペレット密度/粉末密度の比率を示す棒グラフである。
図3A】実施例7及び比較例7の全固体電池の放電速度別放電容量グラフである。
図3B】実施例7及び比較例7の全固体電池の放電容量維持率グラフである。
図4】実施例5及び比較例1で製造された固体イオン伝導体化合物の大気中におけるHSの発生量変化を示すグラフである。
図5】実施例7及び比較例7の全固体電池の最初及び100サイクル後の充電及び放電曲線を示すグラフである。
図6】実施例7及び比較例7の全固体電池の510回にわたる放電による放電容量変化を示すグラフである。
図7】全固体二次電池の一具現例の概略図である。
図8】全固体二次電池の他の具現例の概略図である。
図9】全固体二次電池のさらに他の具現例の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
多様な具現例が添付図面に図示されている。しかし、本創意的思想は、様々な異なる形態に具体化され、本明細書に説明された具現例に限定されると解釈されてはならない。むしろ、これら実施例は、本開示が徹底なものであり、完全になされるように提供され、技術分野で通常の知識を有する者に、本創意的思想の範囲を十分に伝達するであろう。同じ図面符号は、同じ構成要素を指称する。
【0012】
ある構成要素が他の構成要素の「上に」あると言及されるとき、他の構成要素の真上にあるか、その間に他の構成要素が介在されうるということは、自明であろう。対照的に、構成要素が他の構成要素の「直上に」あると言及されるとき、その間に構成要素が介在しない。
【0013】
「第1」、「第2」、「第3」などの用語は、本明細書において多様な構成要素、成分、領域、層及び/または区域を説明するために使用されうるが、それら構成要素、成分、領域、層及び/または区域は、それらの用語によって制限されてはならない。それらの用語は、1つの構成要素、成分、領域、層または区域を、他の要素、成分、領域、層または区域と区別するために使用されるだけである。したがって、後述する第1構成要素、成分、領域、層または区域は、本明細書の教示を外れずに、第2構成要素、成分、領域、層または区域とも指称される。
【0014】
本明細書で使用された用語は、特定の具現例のみを説明するためであり、本創意的思想を制限するものではない。本願で使用される単数形表現は、明確に異なる内容を指示しない限り、「少なくとも1つ」を含む複数形表現を含む。「少なくとも1つ」は、単数形表現に制限されると解釈されてはならない。本明細書で使用されたように、「及び/または」の用語はリスト項目のうち、1つ以上の任意の全ての組合を含む。詳細な説明で使用された「含む。」及び/または「含む」の用語は、明示された特徴、領域、整数、段階、動作、構成要素及び/または成分の存在を特定し、1つ以上の他の特徴、領域、整数、段階、動作、構成要素、成分及び/またはそれらのグループの存在または追加を排除しない。
【0015】
「下」、「下側」、「下部」、「上」、「上側」、「上部」のような空間的に相対的な用語は、1つの構成要素または特徴の、他の構成要素または特徴に係わる関係を容易に記述するために、ここで使用されうる。空間的に相対的な用語は、図面に図示された方向に追加し、使用または作動時に装置の互いに異なる方向を含むように意図されたと理解されるであろう。例えば、図面の装置が上下反転されれば、他の構成要素または特徴の「下」または「下方」と記述された構成要素は、他の構成要素または特徴の「上」に配向される。したがって、例示的な用語「下方」は、上下方向をいずれも包括しうる。前記装置は、他の方向にも配置され(90°回転されるか、他の方向に回転されうる)、本明細書で使用される空間的に相対的な用語は、そのように解釈されうる。
【0016】
取り立てて定義されない限り、本明細書で使用される全ての用語(技術及び科学用語を含む)は、本開示が属する技術分野の通常の知識を有する者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。また、一般的に使用される辞書で定義されたような用語は、関連技術及び本開示内容の文脈内のその意味と一致する意味を有すると解釈されなければならず、理想化されるか、過度に形式的な意味と解釈されてはならないということがさらに理解されるであろう。
【0017】
例示的な具現例が理想化された具現例の概略図である断面図を参照して本明細書で説明される。このように、例えば、製造技術及び/または許容誤差のような結果として図示された形状からの変形が予想されねばならない。したがって、本明細書に記述された実施例は、本明細書に図示されたような領域の特定形状に制限されると解釈されてはならず、例えば、製造から惹起される形状の偏差を含まなければならない。例えば、扁平であると図示されるか、記述された領域は、典型的に粗いか、及び/または、非線形特徴を有しうる。さらに、鋭く図示された角は、丸くもある。したがって、図面に図示された領域は、本質的に概略的であり、その形状は、領域の正確な形状を図示するためのものではなく、本請求項の範囲を制限しようとするものではない。
【0018】
「族」は、国際純粋及び応用化学連盟(「IUPAC」)1-18族族分類システムによる元素周期律表のグループを意味する。
【0019】
特定の具現例が記述されたが、現在予想されないか、予想できない代案、修正、変形、改善及び実質的な均等物が出願人または当業者に発生しうる。したがって、出願され、修正されうる特許請求の範囲は、そのような全ての代案、修正、変形、改善及び実質的な均等物を含むものと意図される。
【0020】
以下、例示的な1つ以上の具現例による固体イオン伝導体化合物、それを含む固体電解質、それを含む電気化学セル、及び前記固体イオン伝導体化合物の製造方法についてさらに詳細に説明する。
【0021】
[固体イオン伝導体化合物]
一具現例による固体イオン伝導体化合物は、下記化学式1で表示され、アルジロダイト結晶構造を有する:
LiCl(化学式1)
前記化学式1において、
Mは、Na、K、Rb、Cs、Frまたはそれらの組合わせであり、
Tは、Sc、Y、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Tc、Re、Fe、Ru、Os、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Hg、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、As、Sb、Bi、またはそれらの組合わせであり、
Xは、Br、Iまたはそれらの組合わせであり、
4<a<7、0<x<1、0≦y<1、0<b≦1、4<c≦5、1≦d+e<2及び1≦d/eである。
【0022】
一具現例によれば、前記化学式1において、Mは、結晶内Liの一部を置換することができ、0<x≦0.5でもある。
【0023】
一具現例によれば、前記Cl及びXのハロゲン元素は、結晶内S元素の一部を置換することができる。
【0024】
前記化学式1で表示される化合物は、アルジロダイト型結晶構造を有する結晶性化合物であり、結晶構造内にLiの一部がLiよりも大径の元素Mに置換され、Cl及びX(Br及び/またはI)の2種以上のハロゲン元素がSの一部を置換することにより、ハロゲン元素の不規則性(disorder)が増加し、イオン伝導度及び軟性(softness)が向上しうる。
【0025】
結晶構造内においてLiの一部が、イオン半径のさらに大きい元素M、例えば、Naで置換されることにより、結晶格子体積が増加して結晶内リチウムイオンの移動による抵抗が減少し、結晶内元素S(酸化数-2)がハロゲン元素(酸化数-1)で置換されることにより、結晶内移動可能なリチウムイオンの比率が増加してリチウムイオン伝導度が向上する。
【0026】
既知のClを単独で含むアルジロダイト型固体電解質の場合、活物質層材料との接触性が落ちて活物質層内に空き空間が生じ、空き空間は、リチウムイオン移動の抵抗層として作用してイオン伝導度及び寿命特性の低下につながる問題点が存在した。しかし、Cl及び他の1種以上のハロゲン元素を導入した前記化学式1で表示される化合物は、軟性が増加して活物質層材料との接触性が向上して稠密な活物質層の作製が可能であり、これにより、リチウムイオン伝導度及び寿命特性となった。また、Sの一部がハロゲンに置換されることにより、大気中におけるHS有害ガスの発生量が低減する効果を有する。
【0027】
一具現例によれば、前記yは、0≦y<0.5でもある。
【0028】
前記化学式1で表示された化合物は、Pの一部がT元素に置換されることにより、水分安定性が向上する。T元素、例えば、Geは、無機元素として水分に対する安定性を有することで、大気中、化合物の構造崩壊が抑制されて保存性及び工程性が向上しうる。
【0029】
一具現例によれば、前記d+eは、1.3≦d+e<2でもある。例えば、前記d+eは、1.35≦d+e<2でもある。
【0030】
一具現例によれば、前記d/eは、1≦d/e<18でもある。例えば、前記d/eは、1≦d/e≦16でもある。
【0031】
前記dとeとの値が、前記数式を満足する場合、不純物の析出なしにイオン伝導度が向上し、サイクル特性が向上しうる。
【0032】
一具現例によれば、前記固体イオン伝導体化合物は、CuKα線を使用したXRDスペクトルにおいて回折角2θ=29.07゜±0.5゜でのピーク強度(I)と2θ=30.09゜±0.5゜でのピーク強度(I)の比率(I/I)がI/I<0.15でもある。例えば、前記I/Iは、I/I≦0.1でもある。
【0033】
前記Iピークは、アルジロダイト型結晶のメインピークであり、前記Iピークは、元素Brに起因した不純物ピークである。I/I<0.15である場合、イオン伝導度の向上を期待し、I/I≧0.15である場合、不純物がリチウムイオン移動に対する抵抗として作用してリチウムイオン伝導度が低下する。
【0034】
一具現例によれば、前記化学式1で表示される固体イオン伝導体化合物は、下記化学式2で表示されうる:
(Li1-x1M1x17+α-β(P1-y1T1y1α6-β(Cl1-e1X1e1β(化学式2)
前記化学式2において、
M1は、Na、K、Rb、Cs、Frまたはそれらの組合わせであり、
T1は、Sc、Y、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Tc、Re、Fe、Ru、Os、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Hg、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、As、Sb、Bi、またはそれらの組合わせであり、
X1は、Br、Iまたはそれらの組合わせであり、
0<x1<1、0≦y1<1、0<e1≦0.5、0<α≦1、0<β≦2である。
【0035】
前記化学式2において、M1、T1、X1は、それぞれ本願のM、T、Xの記載を参照する。
【0036】
一具現例によれば、前記M1は、Na、Kまたはそれらの組合わせを含みうる。
【0037】
一具現例によれば、前記y1は、0<y1≦0.5であり、T1は、Ge、Siまたはそれらの組合わせを含みうる。例えば、T1は、Geでもある。
【0038】
一具現例によれば、X1は、BrまたはIでもある。例えば、X1は、Brでもある。
【0039】
一具現例によれば、βとは、1≦β≦2でもある。
【0040】
一具現例によれば、前記固体イオン伝導体化合物は、(Li1-x1Nax17-βPS6-β(Cl1-e1e1β、(Li1-x1Nax17-βPS6-β(Cl1-e1Bre1β、(Li1-x1x17-βPS6-β(Cl1-e1e1β、(Li1-x1x17-βPS6-β(Cl1-e1Bre1β、(Li1-x1Rbx17-βPS6-β(Cl1-e1e1β、(Li1-x1Rbx17-βPS6-β(Cl1-e1Bre1β、(Li1-x1Csx17-βPS6-β(Cl1-e1e1β、(Li1-x1Csx17-βPS6-β(Cl1-e1Bre1β、(Li1-x1Frx17-βPS6-β(Cl1-e1e1βまたは(Li1-x1Frx17-βPS6-β(Cl1-e1Bre1βであり、この際、0<x1<1,0<e1≦0.5,0<β≦2である。
【0041】
一具現例によれば、前記固体イオン伝導体化合物は、(Li1-x1Nax17+α-β(P1-y1Gey1α6-β(Cl1-e1e1β、(Li1-x1Nax17+α-β(P1-y1Gey1α6-β(Cl1-e1Bre1β、(Li1-x1x17+α-β(P1-y1Gey1α6-β(Cl1-e1e1β、(Li1-x1x17+α-β(P1-y1Gey1α6-β(Cl1-e1Bre1β、(Li1-x1Rbx17+α-β(P1-y1Gey1α6-β(Cl1-e1e1β、(Li1-x1Rbx17+α-β(P1-y1Gey1α6-β(Cl1-e1Bre1β、(Li1-x1Csx17+α-β(P1-y1Gey1α6-β(Cl1-e1e1β、(Li1-x1Csx17+α-β(P1-y1Gey1α6-β(Cl1-e1Bre1β、(Li1-x1Frx17+α-β(P1-y1Gey1α6-β(Cl1-e1e1β、(Li1-x1Frx17+α-β(P1-y1Gey1α6-β(Cl1-e1Bre1β
(Li1-x1Nax17+α-β(P1-y1Siy1α6-β(Cl1-e1e1β、(Li1-x1Nax17+α-β(P1-y1Siy1α6-β(Cl1-e1Bre1β、(Li1-x1x17+α-β(P1-y1Siy1α6-β(Cl1-e1e1β、(Li1-x1x17+α-β(P1-y1Siy1α6-β(Cl1-e1Bre1β、(Li1-x1Rbx17+α-β(P1-y1Siy1α6-β(Cl1-e1e1β、(Li1-x1Rbx17+α-β(P1-y1Siy1α6-β(Cl1-e1Bre1β、(Li1-x1Csx17+α-β(P1-y1Siy1α6-β(Cl1-e1e1β、(Li1-x1Csx17+α-β(P1-y1Siy1α6-β(Cl1-e1Bre1β、(Li1-x1Frx17+α-β(P1-y1Siy1α6-β(Cl1-e1e1β、(Li1-x1Frx17+α-β(P1-y1Siy1α6-β(Cl1-e1Bre1β、
(Li1-x1Nax17+α-β(P1-y1Scy1α6-β(Cl1-e1e1β、(Li1-x1Nax17+α-β(P1-y1Scy1α6-β(Cl1-e1Bre1β、(Li1-x1x17+α-β(P1-y1Scy1α6-β(Cl1-e1e1β、(Li1-x1x17+α-β(P1-y1Scy1α6-β(Cl1-e1Bre1β、(Li1-x1Rbx17+α-β(P1-y1Scy1α6-β(Cl1-e1e1β、(Li1-x1Rbx17+α-β(P1-y1Scy1α6-β(Cl1-e1Bre1β、(Li1-x1Csx17+α-β(P1-y1Scy1α6-β(Cl1-e1e1β、(Li1-x1Csx17+α-β(P1-y1Scy1α6-β(Cl1-e1Bre1β、(Li1-x1Frx17+α-β(P1-y1Scy1α6-β(Cl1-e1e1β、(Li1-x1Frx17+α-β(P1-y1Scy1α6-β(Cl1-e1Bre1β、
(Li1-x1Nax17+α-β(P1-y1y1α6-β(Cl1-e1e1β、(Li1-x1Nax17+α-β(P1-y1y1α6-β(Cl1-e1Bre1β、(Li1-x1x17+α-β(P1-y1y1α6-β(Cl1-e1e1β、(Li1-x1x17+α-β(P1-y1y1α6-β(Cl1-e1Bre1β、(Li1-x1Rbx17+α-β(P1-y1y1α6-β(Cl1-e1e1β、(Li1-x1Rbx17+α-β(P1-y1y1α6-β(Cl1-e1Bre1β、(Li1-x1Csx17+α-β(P1-y1y1α6-β(Cl1-e1e1β、(Li1-x1Csx17+α-β(P1-y1y1α6-β(Cl1-e1Bre1β、(Li1-x1Frx17+α-β(P1-y1y1α6-β(Cl1-e1e1β、(Li1-x1Frx17+α-β(P1-y1y1α6-β(Cl1-e1Bre1β、
(Li1-x1Nax17+α-β(P1-y1Tiy1α6-β(Cl1-e1e1β、(Li1-x1Nax17+α-β(P1-y1Tiy1α6-β(Cl1-e1Bre1β、(Li1-x1x17+α-β(P1-y1Tiy1α6-β(Cl1-e1e1β、(Li1-x1x17+α-β(P1-y1Tiy1α6-β(Cl1-e1Bre1β、(Li1-x1Rbx17+α-β(P1-y1Tiy1α6-β(Cl1-e1e1β、(Li1-x1Rbx17+α-β(P1-y1Tiy1α6-β(Cl1-e1Bre1β、(Li1-x1Csx17+α-β(P1-y1Tiy1α6-β(Cl1-e1e1β、(Li1-x1Csx17+α-β(P1-y1Tiy1α6-β(Cl1-e1Bre1β、(Li1-x1Frx17+α-β(P1-y1Tiy1α6-β(Cl1-e1e1β、(Li1-x1Frx17+α-β(P1-y1Tiy1α6-β(Cl1-e1Bre1β、
(Li1-x1Nax17+α-β(P1-y1Zry1α6-β(Cl1-e1e1β、(Li1-x1Nax17+α-β(P1-y1Zry1α6-β(Cl1-e1Bre1β、(Li1-x1x17+α-β(P1-y1Zry1α6-β(Cl1-e1e1β、(Li1-x1x17+α-β(P1-y1Zry1α6-β(Cl1-e1Bre1β、(Li1-x1Rbx17+α-β(P1-y1Zry1α6-β(Cl1-e1e1β、(Li1-x1Rbx17+α-β(P1-y1Zry1α6-β(Cl1-e1Bre1β、(Li1-x1Csx17+α-β(P1-y1Zry1α6-β(Cl1-e1e1β、(Li1-x1Csx17+α-β(P1-y1Zry1α6-β(Cl1-e1Bre1β、(Li1-x1Frx17+α-β(P1-y1Zry1α6-β(Cl1-e1e1β、(Li1-x1Frx17+α-β(P1-y1Zry1α6-β(Cl1-e1Bre1β、
(Li1-x1Nax17+α-β(P1-y1Hfy1α6-β(Cl1-e1e1β、(Li1-x1Nax17+α-β(P1-y1Hfy1α6-β(Cl1-e1Bre1β、(Li1-x1x17+α-β(P1-y1Hfy1α6-β(Cl1-e1e1β、(Li1-x1x17+α-β(P1-y1Hfy1α6-β(Cl1-e1Bre1β、(Li1-x1Rbx17+α-β(P1-y1Hfy1α6-β(Cl1-e1e1β、(Li1-x1Rbx17+α-β(P1-y1Hfy1α6-β(Cl1-e1Bre1β、(Li1-x1Csx17+α-β(P1-y1Hfy1α6-β(Cl1-e1e1β、(Li1-x1Csx17+α-β(P1-y1Hfy1α6-β(Cl1-e1Bre1β、(Li1-x1Frx17+α-β(P1-y1Hfy1α6-β(Cl1-e1e1β、(Li1-x1Frx17+α-β(P1-y1Hfy1α6-β(Cl1-e1Bre1β、
(Li1-x1Nax17+α-β(P1-y1y1α6-β(Cl1-e1e1β、(Li1-x1Nax17+α-β(P1-y1y1α6-β(Cl1-e1Bre1β、(Li1-x1x17+α-β(P1-y1y1α6-β(Cl1-e1e1β、(Li1-x1x17+α-β(P1-y1y1α6-β(Cl1-e1Bre1β、(Li1-x1Rbx17+α-β(P1-y1y1α6-β(Cl1-e1e1β、(Li1-x1Rbx17+α-β(P1-y1y1α6-β(Cl1-e1Bre1β、(Li1-x1Csx17+α-β(P1-y1y1α6-β(Cl1-e1e1β、(Li1-x1Csx17+α-β(P1-y1y1α6-β(Cl1-e1Bre1β、(Li1-x1Frx17+α-β(P1-y1y1α6-β(Cl1-e1e1β、(Li1-x1Frx17+α-β(P1-y1y1α6-β(Cl1-e1Bre1β、
(Li1-x1Nax17+α-β(P1-y1Nby1α6-β(Cl1-e1e1β、(Li1-x1Nax17+α-β(P1-y1Nby1α6-β(Cl1-e1Bre1β、(Li1-x1x17+α-β(P1-y1Nby1α6-β(Cl1-e1e1β、(Li1-x1x17+α-β(P1-y1Nby1α6-β(Cl1-e1Bre1β、(Li1-x1Rbx17+α-β(P1-y1Nby1α6-β(Cl1-e1e1β、(Li1-x1Rbx17+α-β(P1-y1Nby1α6-β(Cl1-e1Bre1β、(Li1-x1Csx17+α-β(P1-y1Nby1α6-β(Cl1-e1e1β、(Li1-x1Csx17+α-β(P1-y1Nby1α6-β(Cl1-e1Bre1β、(Li1-x1Frx17+α-β(P1-y1Nby1α6-β(Cl1-e1e1β、(Li1-x1Frx17+α-β(P1-y1Nby1α6-β(Cl1-e1Bre1β、
(Li1-x1Nax17+α-β(P1-y1Tay1α6-β(Cl1-e1e1β、(Li1-x1Nax17+α-β(P1-y1Tay1α6-β(Cl1-e1Bre1β、(Li1-x1x17+α-β(P1-y1Tay1α6-β(Cl1-e1e1β、(Li1-x1x17+α-β(P1-y1Tay1α6-β(Cl1-e1Bre1β、(Li1-x1Rbx17+α-β(P1-y1Tay1α6-β(Cl1-e1e1β、(Li1-x1Rbx17+α-β(P1-y1Tay1α6-β(Cl1-e1Bre1β、(Li1-x1Csx17+α-β(P1-y1Tay1α6-β(Cl1-e1e1β、(Li1-x1Csx17+α-β(P1-y1Tay1α6-β(Cl1-e1Bre1β、(Li1-x1Frx17+α-β(P1-y1Tay1α6-β(Cl1-e1e1β、(Li1-x1Frx17+α-β(P1-y1Tay1α6-β(Cl1-e1Bre1β、
(Li1-x1Nax17+α-β(P1-y1Cry1α6-β(Cl1-e1e1β、(Li1-x1Nax17+α-β(P1-y1Cry1α6-β(Cl1-e1Bre1β、(Li1-x1x17+α-β(P1-y1Cry1α6-β(Cl1-e1e1β、(Li1-x1x17+α-β(P1-y1Cry1α6-β(Cl1-e1Bre1β、(Li1-x1Rbx17+α-β(P1-y1Cry1α6-β(Cl1-e1e1β、(Li1-x1Rbx17+α-β(P1-y1Cry1α6-β(Cl1-e1Bre1β、(Li1-x1Csx17+α-β(P1-y1Cry1α6-β(Cl1-e1e1β、(Li1-x1Csx17+α-β(P1-y1Cry1α6-β(Cl1-e1Bre1β、(Li1-x1Frx17+α-β(P1-y1Cry1α6-β(Cl1-e1e1β、(Li1-x1Frx17+α-β(P1-y1Cry1α6-β(Cl1-e1Bre1β、
(Li1-x1Nax17+α-β(P1-y1Moy1α6-β(Cl1-e1e1β、(Li1-x1Nax17+α-β(P1-y1Moy1α6-β(Cl1-e1Bre1β、(Li1-x1x17+α-β(P1-y1Moy1α6-β(Cl1-e1e1β、(Li1-x1x17+α-β(P1-y1Moy1α6-β(Cl1-e1Bre1β、(Li1-x1Rbx17+α-β(P1-y1Moy1α6-β(Cl1-e1e1β、(Li1-x1Rbx17+α-β(P1-y1Moy1α6-β(Cl1-e1Bre1β、(Li1-x1Csx17+α-β(P1-y1Moy1α6-β(Cl1-e1e1β、(Li1-x1Csx17+α-β(P1-y1Moy1α6-β(Cl1-e1Bre1β、(Li1-x1Frx17+α-β(P1-y1Moy1α6-β(Cl1-e1e1β、(Li1-x1Frx17+α-β(P1-y1Moy1α6-β(Cl1-e1Bre1β、
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(Li1-x1Nax17+α-β(P1-y1Mny1α6-β(Cl1-e1e1β、(Li1-x1Nax17+α-β(P1-y1Mny1α6-β(Cl1-e1Bre1β、(Li1-x1x17+α-β(P1-y1Mny1α6-β(Cl1-e1e1β、(Li1-x1x17+α-β(P1-y1Mny1α6-β(Cl1-e1Bre1β、(Li1-x1Rbx17+α-β(P1-y1Mny1α6-β(Cl1-e1e1β、(Li1-x1Rbx17+α-β(P1-y1Mny1α6-β(Cl1-e1Bre1β、(Li1-x1Csx17+α-β(P1-y1Mny1α6-β(Cl1-e1e1β、(Li1-x1Csx17+α-β(P1-y1Mny1α6-β(Cl1-e1Bre1β、(Li1-x1Frx17+α-β(P1-y1Mny1α6-β(Cl1-e1e1β、(Li1-x1Frx17+α-β(P1-y1Mny1α6-β(Cl1-e1Bre1β、
(Li1-x1Nax17+α-β(P1-y1Tcy1α6-β(Cl1-e1e1β、(Li1-x1Nax17+α-β(P1-y1Tcy1α6-β(Cl1-e1Bre1β、(Li1-x1x17+α-β(P1-y1Tcy1α6-β(Cl1-e1e1β、(Li1-x1x17+α-β(P1-y1Tcy1α6-β(Cl1-e1Bre1β、(Li1-x1Rbx17+α-β(P1-y1Tcy1α6-β(Cl1-e1e1β、(Li1-x1Rbx17+α-β(P1-y1Tcy1α6-β(Cl1-e1Bre1β、(Li1-x1Csx17+α-β(P1-y1Tcy1α6-β(Cl1-e1e1β、(Li1-x1Csx17+α-β(P1-y1Tcy1α6-β(Cl1-e1Bre1β、(Li1-x1Frx17+α-β(P1-y1Tcy1α6-β(Cl1-e1e1β、(Li1-x1Frx17+α-β(P1-y1Tcy1α6-β(Cl1-e1Bre1β、
(Li1-x1Nax17+α-β(P1-y1Rey1α6-β(Cl1-e1e1β、(Li1-x1Nax17+α-β(P1-y1Rey1α6-β(Cl1-e1Bre1β、(Li1-x1x17+α-β(P1-y1Rey1α6-β(Cl1-e1e1β、(Li1-x1x17+α-β(P1-y1Rey1α6-β(Cl1-e1Bre1β、(Li1-x1Rbx17+α-β(P1-y1Rey1α6-β(Cl1-e1e1β、(Li1-x1Rbx17+α-β(P1-y1Rey1α6-β(Cl1-e1Bre1β、(Li1-x1Csx17+α-β(P1-y1Rey1α6-β(Cl1-e1e1β、(Li1-x1Csx17+α-β(P1-y1Rey1α6-β(Cl1-e1Bre1β、(Li1-x1Frx17+α-β(P1-y1Rey1α6-β(Cl1-e1e1β、(Li1-x1Frx17+α-β(P1-y1Rey1α6-β(Cl1-e1Bre1β、
(Li1-x1Nax17+α-β(P1-y1Fey1α6-β(Cl1-e1e1β、(Li1-x1Nax17+α-β(P1-y1Fey1α6-β(Cl1-e1Bre1β、(Li1-x1x17+α-β(P1-y1Fey1α6-β(Cl1-e1e1β、(Li1-x1x17+α-β(P1-y1Fey1α6-β(Cl1-e1Bre1β、(Li1-x1Rbx17+α-β(P1-y1Fey1α6-β(Cl1-e1e1β、(Li1-x1Rbx17+α-β(P1-y1Fey1α6-β(Cl1-e1Bre1β、(Li1-x1Csx17+α-β(P1-y1Fey1α6-β(Cl1-e1e1β、(Li1-x1Csx17+α-β(P1-y1Fey1α6-β(Cl1-e1Bre1β、(Li1-x1Frx17+α-β(P1-y1Fey1α6-β(Cl1-e1e1β、(Li1-x1Frx17+α-β(P1-y1Fey1α6-β(Cl1-e1Bre1β、
(Li1-x1Nax17+α-β(P1-y1Ruy1α6-β(Cl1-e1e1β、(Li1-x1Nax17+α-β(P1-y1Ruy1α6-β(Cl1-e1Bre1β、(Li1-x1x17+α-β(P1-y1Ruy1α6-β(Cl1-e1e1β、(Li1-x1x17+α-β(P1-y1Ruy1α6-β(Cl1-e1Bre1β、(Li1-x1Rbx17+α-β(P1-y1Ruy1α6-β(Cl1-e1e1β、(Li1-x1Rbx17+α-β(P1-y1Ruy1α6-β(Cl1-e1Bre1β、(Li1-x1Csx17+α-β(P1-y1Ruy1α6-β(Cl1-e1e1β、(Li1-x1Csx17+α-β(P1-y1Ruy1α6-β(Cl1-e1Bre1β、(Li1-x1Frx17+α-β(P1-y1Ruy1α6-β(Cl1-e1e1β、(Li1-x1Frx17+α-β(P1-y1Ruy1α6-β(Cl1-e1Bre1β、
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(Li1-x1Nax17+α-β(P1-y1Sny1α6-β(Cl1-e1e1β、(Li1-x1Nax17+α-β(P1-y1Sny1α6-β(Cl1-e1Bre1β、(Li1-x1x17+α-β(P1-y1Sny1α6-β(Cl1-e1e1β、(Li1-x1x17+α-β(P1-y1Sny1α6-β(Cl1-e1Bre1β、(Li1-x1Rbx17+α-β(P1-y1Sny1α6-β(Cl1-e1e1β、(Li1-x1Rbx17+α-β(P1-y1Sny1α6-β(Cl1-e1Bre1β、(Li1-x1Csx17+α-β(P1-y1Sny1α6-β(Cl1-e1e1β、(Li1-x1Csx17+α-β(P1-y1Sny1α6-β(Cl1-e1Bre1β、(Li1-x1Frx17+α-β(P1-y1Sny1α6-β(Cl1-e1e1β、(Li1-x1Frx17+α-β(P1-y1Sny1α6-β(Cl1-e1Bre1β、
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(Li1-x1Nax17+α-β(P1-y1Biy1α6-β(Cl1-e1e1β、(Li1-x1Nax17+α-β(P1-y1Biy1α6-β(Cl1-e1Bre1β、(Li1-x1x17+α-β(P1-y1Biy1α6-β(Cl1-e1e1β、(Li1-x1x17+α-β(P1-y1Biy1α6-β(Cl1-e1Bre1β、(Li1-x1Rbx17+α-β(P1-y1Biy1α6-β(Cl1-e1e1β、(Li1-x1Rbx17+α-β(P1-y1Biy1α6-β(Cl1-e1Bre1β、(Li1-x1Csx17+α-β(P1-y1Biy1α6-β(Cl1-e1e1β、(Li1-x1Csx17+α-β(P1-y1Biy1α6-β(Cl1-e1Bre1β、(Li1-x1Frx17+α-β(P1-y1Biy1α6-β(Cl1-e1e1β、または(Li1-x1Frx17+α-β(P1-y1Biy1α6-β(Cl1-e1Bre1βであり、この際、0<x1<1,0≦y1<1,0<e1≦0.5,0<α≦1,0<β≦2である。
【0042】
一具現例によれば、前記化学式1で表示される固体イオン伝導体化合物は、下記化学式3で表示されうる:
Li7-x2+y2-d2-e2M2x21-y2T2y26-d2-e2Cld2e2(化学式3)
前記化学式3において、
M2は、Na、K、Rb、Cs、Frまたはそれらの組合わせであり、
T2は、Sc、Y、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Tc、Re、Fe、Ru、Os、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Hg、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、As、Sb、Bi、またはそれらの組合わせであり、
X2は、Br、Iまたはそれらの組合わせであり、
0<x2<1、0≦y2<1、1≦d2+e2<2、d2/e2≧1である。
【0043】
前記化学式3において、M2、T2、X2それぞれは、本願のM、T及びXの記載を参照する。
【0044】
一具現例によれば、前記x2、y2及びd2+e2は、それぞれ0<x2≦0.5、0≦y2<0.5、1.3≦d2+e2<2でもある。
【0045】
一具現例によれば、前記d2及びe2は、それぞれ0.8≦d2<2及び0<e2≦0.8でもある。
【0046】
一具現例によれば、前記固体イオン伝導体化合物は、Li5.6Na0.05PS4.65Cl1.250.1、Li5.47Na0.03PS4.5Cl1.40.1、Li5.47Na0.03PS4.5Cl1.4Br0.1、Li5.37Na0.03PS4.4Cl1.4Br0.2、Li5.57Na0.030.9Ge0.14.5ClBr0.5、Li5.37Na0.03PS4.4Cl0.8Br0.8、Li5.35Na0.05PS4.4Cl1.50.1、Li5.47Na0.03PS4.5Cl1.3Br0.2、Li5.56Na0.04PS4.6Cl1.3Br0.1、Li5.57Na0.030.9Ge0.14.5Cl0.8Br0.7、Li5.57Na0.030.8Ge0.24.5Cl1.40.1またはLi5.57Na0.030.8Si0.24.4Cl1.4Br0.2でもある。
【0047】
前記固体イオン伝導体化合物は、向上したリチウムイオン伝導度を提供する。化学式1で表示された固体イオン伝導体化合物は、常温で、例えば、約25℃で3.4mS/cm以上、4.0mS/cm以上、4.5mS/cm以上、5.0mS/cm以上、または5.5mS/cm以上のイオン伝導度を提供する。また、前記固体イオン伝導体化合物は、常温で、例えば、約25℃で3.4mS/cm~8.0mS/cm、4.0mS/cm~8.0mS/cm、4.5mS/cm~8.0mS/cm、5.0mS/cm~8.0mS/cm、3.4mS/cm~7.9mS/cm、3.4mS/cm~7.8mS/cm、3.4mS/cm~7.7mS/cmのイオン伝導度を提供する。
【0048】
一具現例によれば、前記固体イオン伝導体化合物は、ペレット密度/粉末密度の比率が85%以上でもある。
【0049】
ここで、ペレット密度は、前記固体イオン伝導体化合物粉体をペレットに作った後、4ton/cmの力で2分間プレスした後、密度を測定して得て、粉末密度は、当業界に知られた密度関数理論(density functional theory)を用いて計算して得た。
【0050】
[固体電解質]
他の一具現例による固体電解質は、上述した化学式1で表示される固体イオン伝導体化合物を含む。固体電解質は、そのような固体イオン伝導体化合物を含むことにより、高いイオン伝導度、高い化学的安定性及びHSの有害ガス放出量の減少効果を有する。化学式1で表示される固体イオン伝導体化合物を含む固体電解質は、空気に対する改善された安定性を提供し、リチウム金属に対する電気化学的安定性を提供することができる。したがって、化学式1で表示される固体イオン伝導体化合物は、例えば、電気化学セルの固体電解質として使用されうる。
【0051】
固体電解質は、化学式1で表示される固体イオン伝導体化合物以外に、従来の一般的な固体電解質をさらに含みうる。例えば、従来の一般的な硫化物系固体電解質及び/または酸化物系固体電解質をさらに含みうる。追加して含まれる従来の固体イオン伝導体化合物は、例えば、LiO-Al-TiO-P(LATP)、LISICON(Lithium SuperIonic Conductor)、LIPON(Li3-yPO4-x,0<y<3,0<x<4)、Thio-LISICON(Li3.25Ge0.250.75)、LiS、LiS-P、LiS-SiS、LiS-GeS、LiS-B及びLiS-Alなどでもあるが、必ずしもそれらに限定されず、当該技術分野で使用可能なものであれば、いずれも使用可能である。
【0052】
固体電解質は、粉末または成形物の形態でもある。成形物形態の固体電解質は、例えば、ペレット、シート、薄膜などの形態でもあるが、必ずしもそれらに限定されず、使用される用途によって多様な形態を有することができる。
【0053】
[電気化学セル]
他の一具現例による電気化学セルは、正極活物質層を含む正極層;負極活物質層を含む負極層;正極層と負極層との間に配置される電解質層;及び前述した固体イオン伝導体化合物を含む。
【0054】
一具現例によれば、前記正極活物質層が前記固体イオン伝導体化合物を含みうる。この際、前記固体イオン伝導体化合物は、2μm以下の平均粒径D50を有することができる。ここで、前記D50は、蓄積粒子サイズ分布で50体積%に該当する粒子の直径を意味する。前記正極活物質層に含まれる前記固体イオン伝導体化合物の平均粒径が2μmを超過する場合、粒子の稠密なパッキングが困難であり、セル充放電時に容量特性が低下する。
【0055】
一具現例によれば、前記電解質層が前記固体イオン伝導体化合物を含みうる。この際、前記固体イオン伝導体化合物は、5μm以下の平均粒径D50を有することができる。前記電解質層内に固体イオン伝導体化合物の平均粒径が5μm以下であることから、電解質層の密度及び均一度が向上して電解質層内にピンホール(pinhole)などの欠陥の発生が抑制され、その結果、セルの寿命特性が向上する。
【0056】
一具現例によれば、前記正極活物質層及び前記電解質層が前記固体イオン伝導体化合物を含みうる。
【0057】
前記電気化学セルは、前記固体イオン伝導体化合物を含むことにより、電気化学セルのリチウムイオン伝導性及び化学的安定性が向上する。
【0058】
電気化学セルは、例えば、全固体二次電池、液体電解質含有二次電池、または、リチウム空気電池でもあるが、必ずしもそれらに限定されず、当該技術分野で使用可能な電気化学セルであれば、いずれも使用可能である。
【0059】
以下、全固体二次電池についてさらに具体的に説明する。
【0060】
[全固体二次電池:第1タイプ]
全固体二次電池は、前述した固体イオン伝導体化合物を含みうる。
【0061】
全固体二次電池は、例えば、正極活物質層を含む正極層;負極活物質層を含む負極層;及び正極層と負極層との間に配置される電解質層;を含み、正極活物質層及び/または電解質層が前述した固体イオン伝導体化合物を含みうる。
【0062】
一具現例による全固体二次電池は、次のように準備されうる。
【0063】
(固体電解質層)
まず、固体電解質層が設けられる。
【0064】
固体電解質層は、前述した固体イオン伝導体化合物とバインダーとを混合及び乾燥して製造するか、化学式1で表示される固体イオン伝導体化合物の粉末を一定の形態に1ton~10tonの圧力で圧延して製造しうる。前述した固体イオン伝導体化合物が固体電解質として使用される。
【0065】
固体電解質の平均粒径は、例えば、0.5μm~20μmでもある。固体電解質が、そのような平均粒径を有することにより、焼結体形成過程で結着性が向上して固体電解質粒子のイオン伝導度及び寿命特性が向上しうる。
【0066】
固体電解質層の厚さは、10μm~200μmでもある。固体電解質層が、そのような厚さを有することにより、リチウムイオンの十分な移動速度が保証され、結果として、高いイオン伝導度が得られる。
【0067】
固体電解質層は、前述した固体イオン伝導体化合物以外に従来の硫化物系固体電解質及び/または酸化物系固体電解質などの固体電解質をさらに含みうる。
【0068】
従来の硫化物(sulfide)系固体電解質は、例えば、硫化リチウム、硫化ケイ素、硫化リン、硫化ホウ素またはそれらの組合わせを含みうる。従来の硫化物系固体電解質粒子は、LiS,P,SiS,GeS,Bまたはそれらの組合わせを含みうる。従来の硫化物系固体電解質粒子は、LiSまたは、Pでもある。従来の硫化物系固体電解質粒子は、他の無機化合物に比べて高いリチウムイオン伝導度を有すると知られている。例えば、従来の硫化物系固体電解質は、LiS及びPを含む。従来の硫化物系固体電解質を構成する硫化物固体電解質材料がLiS-Pを含む場合、LiS:Pの混合モル比は、例えば、約50:50~約90:10の範囲でもある。また、LiPO、ハロゲン、ハロゲン化合物、Li2+2xZn1-xGeO(“LISICON”),Li3+yPO4-xx(“LIPON”),Li3.25Ge0.250.75(“ThioLISICON”),LiO-Al-TiO-P5(“LATP”)などをLiS-P、SiS、GeS、B、またはそれらの組合わせの無機固体電解質に添加して製造された無機固体電解質が、従来の硫化物固体電解質として使用されうる。従来の硫化物固体電解質材料の非制限的な例は、LiS-P;LiS-P-LiX(Xは、ハロゲン元素);LiS-P-LiO;LiS-P-LiO-LiI;LiS-SiS;LiS-SiS-LiI;LiS-SiS-LiBr;LiS-SiS-LiCl;LiS-SiS-B-LiI;LiS-SiS-P-LiI;LiS-B;LiS-P-Z(m及びnは、正の数であり、Zは、Ge、ZnまたはGである);LiS-GeS;LiS-SiS-LiPO;及びLiS-SiS-LiMO(前記式において、p及びqは、正の数であり、Mは、P、Si、Ge、B、Al、GaまたはInである)を含む。これと関連して、従来の硫化物系固体電解質材料は、硫化物系固体電解質物質の原料開始物質(例えば、LiS、Pなど)を溶融急冷法(melt quenching method)、機械的ミリング法などによって処理することで製造されうる。また、焼成(calcinations)工程が前記処理後に遂行されうる。
【0069】
固体電解質層に含まれるバインダーは、例えば、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ポリテトラフルオロエチレン(polytetrafluoroethylene)、ポリフッ化ビニリデン(polyvinylidene fluoride)、ポリエチレン(polyethylene)、ポリビニルアルコール(Polyvinyl alcohol)、またはそれらに限定されず、当該技術分野においてバインダーとして使用するものであれば、いずれも使用可能である。固体電解質層のバインダーは、正極層と負極層のバインダーと同種であるか、異なってもいる。
【0070】
(正極層)
次いで、正極層が設けられる。
【0071】
正極層は、集電体上に正極活物質を含む正極活物質層を形成させて製造しうる。正極活物質の平均粒径は、例えば、2μm~10μmでもある。
【0072】
正極活物質は、二次電池で通用されるものであれば、制限なしにいずれも使用可能である。例えば、リチウム遷移金属酸化物、遷移金属硫化物などでもある。例えば、コバルト、マンガン、ニッケル、及びそれらの組合わせから選択される金属とリチウムとの複合酸化物のうち、1種以上のものを使用し、その具体例としては、Li1-b (前記式において、0.90≦a≦1.8及び0≦b≦0.5である);Li1-b 2-c (前記式において、0.90≦a≦1.8,0≦b≦0.5,0≦c≦0.05である);LiE2-b 4-c (前記式において、0≦b≦0.5,0≦c≦0.05である);LiNi1-b-cCo α(前記式において、0.90≦a≦1.8,0≦b≦0.5,0≦c≦0.05,0<α≦2である);LiNi1-b-cCo 2-α α(前記式において、0.90≦a≦1.8,0≦b≦0.5,0≦c≦0.05,0<α<2である);LiNi1-b-cCo 2-α α(前記式において、0.90≦a≦1.8,0≦b≦0.5,0≦c≦0.05,0<α<2である);LiNi1-b-cMn α(前記式において、0.90≦a≦1.8,0≦b≦0.5,0≦c≦0.05,0<α≦2である);LiNi1-b-cMn 2-α α(前記式において、0.90≦a≦1.8,0≦b≦0.5,0≦c≦0.05,0<α<2である);LiNi1-b-cMn 2-α (前記式において、0.90≦a≦1.8,0≦b≦0.5,0≦c≦0.05,0<α<2である);LiNi(前記式において、0.90≦a≦1.8,0≦b≦0.9,0≦c≦0.5,0.001≦d≦0.1である);LiNiCoMnGeO(前記式において、0.90≦a≦1.8,0≦b≦0.9,0≦c≦0.5,0≦d≦0.5,0.001≦e≦0.1である);LiNiG(前記式において、0.90≦a≦1.8,0.001≦b≦0.1である);LiCoG(前記式において、0.90≦a≦1.8,0.001≦b≦0.1である);LiMnG(前記式において、0.90≦a≦1.8,0.001≦b≦0.1である);LiMn(前記式において、0.90≦a≦1.8,0.001≦b≦0.1である);QO;QS;LiQS;V;LiV;LiIO;LiNiVO;Li(3-f)(PO(0≦f≦2);Li(3-f)Fe(PO(0≦f≦2);LiFePOの化学式のうち、いずれか1つで表現される化合物を使用しうる。前記化学式において、Aは、Ni、Co、Mn、またはそれらの組合わせであり、Bは、Al、Ni、Co、Mn、Cr、Fe、Mg、Sr、V、希土類元素またはそれらの組合わせであり、Dは、O、F、S、P、またはそれらの組合わせであり、Eは、Co、Mn、またはそれらの組合わせであり、Fは、F、S、P、またはそれらの組合わせであり、Gは、Al、Cr、Mn、Fe、Mg、La、Ce、Sr、V、またはそれらの組合わせであり、Qは、Ti、Mo、Mn、またはそれらの組合わせであり、Iは、Cr、V、Fe、Sc、Y、またはそれらの組合わせであり、Jは、V、Cr、Mn、Co、Ni、Cu、またはそれらの組合わせである。例えば、LiCoO、LiMn2x(x=1,2)、LiNi1-xMn2x(0<x<1)、Ni1-x-yCoMn(0≦x≦0.5,0≦y≦0.5)、Ni1-x-yCoAl(0≦x≦0.5,0≦y≦0.5)、LiFePO、TiS、FeS、TiS、FeSなどである。
【0073】
このような化合物表面にコーティング層が付け加えられた化合物の使用も可能であり、上述した化合物とコーティング層が付け加えられた化合物の混合物の使用も可能である。そのような化合物の表面に付加されるコーティング層は、例えば、コーティング元素のオキシド、ヒドロキシド、コーティング元素のオキシヒドロキシド、コーティング元素のオキシカーボネート、またはコーティング元素のヒドロキシカーボネートのコーティング元素化合物を含む。そのようなコーティング層を成す化合物は、非晶質または、結晶質である。コーティング層に含まれるコーティング元素としては、Mg、Al、Co、K、Na、Ca、Si、Ti、V、Sn、Ge、Ga、B、As、Zrまたはそれらの混合物である。コーティング層の形成方法は、正極活物質の物性に悪影響を与えない範囲内で選択される。コーティング方法は、例えば、スプレーコーティング、浸漬法などである。具体的なコーティング方法は、当業者によく理解されうる内容なので、詳細な説明は、省略する。
【0074】
正極活物質は、例えば、上述したリチウム遷移金属酸化物のうち、層状岩塩型(layered rock salt type)構造を有する遷移金属酸化物のリチウム塩を含む。「層状岩塩型構造」は、例えば、立方晶岩塩型(cubic rock salt type)構造の<111>方向に酸素原子層と金属原子層が互いに規則的に配され、これにより、それぞれの原子層が2次元平面を形成している構造である。「立方晶岩塩型構造」は、結晶構造の一種である塩化ナトリウム型(NaCl type)構造を示し、具体的に、陽イオン及び陰イオンがそれぞれ形成する面心立方格子(face centered cubic lattice, fcc)が互いに単位格子(unit lattice)のリッジ(ridge)の1/2ほどずれて配置された構造を示す。そのような層状岩塩型構造を有するリチウム遷移金属酸化物は、例えば、LiNiCoAl(NCA)またはLiNiCoMn(NCM)(0<x<1,0<y<1,0<z<1,x+y+z=1)などの三元系リチウム遷移金属酸化物である。正極活物質が層状岩塩型構造を有する三元系リチウム遷移金属酸化物を含む場合、全固体二次電池1のエネルギー(energy)密度及び熱安定性がさらに向上する。
【0075】
正極活物質は、上述したように被覆層によって覆われてもいる。被覆層は、全固体二次電池の正極活物質の被覆層として公知されたものであれば、いずれも使用可能である。被覆層は、例えば、LiO-ZrO(LZO)などである。
【0076】
正極活物質が、例えば、NCAまたはNCMなどの三元系リチウム遷移金属酸化物であり、ニッケル(Ni)を含む場合、全固体二次電池の容量密度を上昇させて充電状態で正極活物質の金属溶出の減少が可能である。結果的に、全固体二次電池の充電状態でのサイクル(cycle)特性が向上する。
【0077】
正極活物質の形状は、例えば、真球、楕円球状などの粒子形状である。正極活物質の粒径は、特に制限されず、従来の全固体二次電池の正極活物質に適用可能な範囲である。正極層の正極活物質の含量も特に制限されず、従来の全固体二次電池の正極層に適用可能な範囲である。正極活物質層で正極活物質の含量は、例えば、50~95重量%でもある。
【0078】
正極活物質層は、前述した固体イオン伝導体化合物をさらに含みうる。例えば、正極活物質層と固体電解質層とが同時に前述した固体イオン伝導体化合物を含みうる。例えば、正極活物質層が前述した固体イオン伝導体化合物を含む場合に、固体電解質層は、前述した固体イオン伝導体化合物を含まないものでもある。
【0079】
正極活物質層は、バインダーを含む。バインダーは、例えば、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ポリテトラフルオロエチレン(polytetrafluoroethylene)、ポリフッ化ビニリデン(polyvinylidene fluoride)、ポリエチレン(polyethylene)などである。
【0080】
正極活物質層は、導電材を含む。導電材は、例えば、黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェン(Ketjen)ブラック、炭素繊維、金属粉末などである。
【0081】
正極活物質層は、上述した正極活物質、固体電解質、バインダー、導電材以外に、例えば、フィラー(filler)、コーティング剤、分散剤、イオン導電助剤などの添加剤をさらに含みうる。
【0082】
正極活物質層が含むフィラー、コーティング剤、分散剤、イオン導電助剤などとしては、一般的に全固体二次電池の電極に使用される公知の材料を使用しうる。
【0083】
正極集電体は、例えば、アルミニウム(Al)、インジウム(In)、銅(Cu)、マグネシウム(Mg)、ステンレススチール、チタン(Ti)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、亜鉛(Zn)、ゲルマニウム(Ge)、リチウム(Li)またはそれらの合金からなる板状体(plate)またはフォイル(foil)などを使用する。正極集電体は、省略可能である。
【0084】
正極集電体は、金属基材の一面または両面上に配置されるカーボン層をさらに含みうる。金属基材上にカーボン層が追加して配置されることにより、金属基材の金属が、正極層が含む固体電解質によって腐食されることを防止し、正極活物質層と正極集電体との界面抵抗を減少させうる。カーボン層の厚さは、例えば、1μm~5μmでもある。カーボン層の厚さが過度に薄ければ、金属基材と固体電解質との接触を完全に遮断し難い。カーボン層の厚さが過度に厚ければ、全固体二次電池のエネルギー密度が低下しうる。カーボン層は、非晶質炭素、結晶質炭素などを含みうる。
【0085】
(負極層)
次いで、負極層が設けられる。
【0086】
負極層は、正極活物質の代わりに、負極活物質が使用されるということを除き、正極層と同様の方法で製造されうる。負極層は、負極集電体上に負極活物質を含む負極活物質層を形成させて製造することができる。
【0087】
負極活物質層が前述した固体イオン伝導体化合物をさらに含みうる。
【0088】
負極活物質は、リチウム金属、リチウム金属合金、またはそれらの組合わせでもある。
【0089】
負極活物質層は、リチウム金属、リチウム金属合金、またはそれらの組合わせ以外に、従来の負極活物質をさらに含みうる。従来の負極活物質は、例えば、リチウムと合金可能な金属、遷移金属酸化物、非遷移金属酸化物及び炭素系材料からなる群から選択された1つ以上を含みうる。リチウムと合金可能な金属は、例えば、Ag、Si、Sn、Al、Ge、Pb、Bi、Sb、Si-Y合金(前記Yは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、13族元素、14族元素、遷移金属、希土類元素またはそれらの組み合わせ元素であり、Siではない)、Sn-Y合金(前記Yは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、13族元素、14族元素、遷移金属、希土類元素またはそれらの組み合わせ元素であり、Snではない)などでもある。前記元素Yとしては、Mg、Ca、Sr、Ba、Ra、Sc、Y、Ti、Zr、Hf、Rf、V、Nb、Ta、Db、Cr、Mo、W、Sg、Tc、Re、Bh、Fe、Pb、Ru、Os、Hs、Rh、Ir、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、B、Al、Ga、Sn、In、Ti、Ge、P、As、Sb、Bi、S、Se、Te、Po、またはそれらの組合わせでもある。遷移金属酸化物は、例えば、リチウムチタン酸化物、バナジウム酸化物、リチウムバナジウム酸化物などでもある。非遷移金属酸化物は、例えば、SnO、SiOx(0<x<2)などでもある。炭素系材料は、例えば、結晶質炭素、非晶質炭素またはそれらの混合物でもある。結晶質炭素は、無定形、板状、鱗片状(flake)、球状または繊維状の天然黒鉛または人造黒鉛のような黒鉛でもあり、前記非晶質炭素は、ソフトカーボン(soft carbon:低温焼成炭素)またはハードカーボン(hard carbon)、メソ相ピッチ(mesophase pitch)炭化物、焼成されたコークスなどでもある。
【0090】
図7を参照すれば、一具現例による全固体二次電池40は、固体電解質層30と固体電解質層30の一面に配置された正極層10、固体電解質層30の他面に配置された負極層20を含む。正極層30は、固体電解質層30と接する正極活物質層12及び正極活物質層12と接する正極集電体11を含み、負極層20は、固体電解質層30と接する負極活物質層22及び負極活物質層22と接する負極集電体21を含む。全固体二次電池40は、例えば、固体電解質層30の両面に正極活物質層12及び負極活物質層22を形成させ、正極活物質層12及び負極活物質層22上に正極集電体11及び負極集電体21をそれぞれ形成させて完成される。または、全固体二次電池40は、例えば、負極集電体21上に負極活物質層22、固体電解質層30、正極活物質層12、正極集電体11を順次に積層させて完成される。
【0091】
[全固体二次電池:第2タイプ]
図8及び図9を参照すれば、全固体二次電池1は、例えば、正極集電体11上に配置された正極活物質層12を含む正極層10;負極集電体21上に配置された負極活物質層22を含む負極層20;及び正極層10と負極層20との間に配置される電解質層30を含み、正極活物質層12及び/または電解質層30が前述した固体イオン伝導体化合物を含みうる。
【0092】
他の一具現例による全固体二次電池は、次のように準備されうる。
【0093】
正極層及び固体電解質層は、上述した全固体二次電池と同様に製造される。
【0094】
(負極層)
次いで、負極層が設けられる。
【0095】
図8及び図9を参照すれば、負極層20は、負極集電体21及び負極集電体上に配置された負極活物質層22を含み、負極活物質層22は、例えば、負極活物質及びバインダーを含む。
【0096】
負極活物質層22が含む負極活物質は、例えば、粒子状を有する。粒子状を有する負極活物質の平均粒径は、例えば、4μm以下、3μm以下、2μm以下、1μm以下、または900nm以下である。粒子状を有する負極活物質の平均粒径は、例えば、10nm~4μm以下、10nm~3μm以下、10nm~2μm以下、10nm~1μm以下、または、10nm~900nm以下である。負極活物質が、そのような範囲の平均粒径を有することにより、充放電時にリチウムの可逆的な吸蔵(absorbing)及び/または放出(desorbing)がさらに容易でもある。負極活物質の平均粒径は、例えば、レーザー式粒度分布計を使用して測定したメジアン(median)直径D50である。
【0097】
負極活物質層22が含む負極活物質は、例えば、炭素系負極活物質及び金属または半金属負極活物質のうち、選択された1つ以上を含む。
【0098】
炭素系負極活物質は、特に非晶質炭素(amorphous carbon)である。非晶質炭素は、例えば、カーボンブラック(carbon black)(CB)、アセチレンブラック(acetylene black)(AB)、ファーネスブラック(furnace black)(FB)、ケッチェンブラック(ketjen black)(KB)、グラフェン(graphene)などであるが、必ずしもそれらに限定されず、当該技術分野において非晶質炭素に分類されるものであれば、いずれも使用可能である。非晶質炭素は、結晶性を有さないか、結晶性が非常に低い炭素であって、結晶性炭素または黒鉛系炭素とに区分される。
【0099】
金属または半金属負極活物質は、金(Au)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、シリコン(Si)、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、ビスマス(Bi)、錫(Sn)及び亜鉛(Zn)からなる群から選択される1つ以上を含むが、必ずしもそれらに限定されず、当該技術分野でリチウムと合金または化合物を形成する金属負極活物質または半金属負極活物質として使用するものであれば、いずれも使用可能である。例えば、ニッケル(Ni)は、リチウムと合金を形成しないので、金属負極活物質ではない。
【0100】
負極活物質層22は、そのような負極活物質のうち、一種の負極活物質を含むか、複数の互いに異なる負極活物質の混合物を含む。例えば、負極活物質層22は、非晶質炭素のみを含むか、金(Au)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、シリコン(Si)、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、ビスマス(Bi)、錫(Sn)及び亜鉛(Zn)からなる群から選択される1つ以上を含む。または、負極活物質層22は、非晶質炭素と金(Au)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、シリコン(Si)、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、ビスマス(Bi)、錫(Sn)及び亜鉛(Zn)からなる群から選択される1つ以上との混合物を含む。非晶質炭素と金などの混合物の混合比は、重量比として、例えば、10:1~1:2、5:1~1:1、または4:1~2:1であるが、必ずしもそのような範囲に限定されず、要求される全固体二次電池1の特性によって選択される。負極活物質が、そのような組成を有することにより、全固体二次電池1のサイクル特性がさらに向上する。
【0101】
負極活物質層22が含む負極活物質は、例えば、非晶質炭素からなる第1粒子及び金属または半金属からなる第2粒子の混合物を含む。金属または半金属は、例えば、例えば、金(Au)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、シリコン(Si)、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、ビスマス(Bi)、錫(Sn)及び亜鉛(Zn)などを含む。半金属は、あるいは半導体である。第2粒子の含量は、混合物の総重量を基準に8~60重量%、10~50重量%、15~40重量%、または、20~30重量%である。第2粒子が、そのような範囲の含量を有することにより、例えば、全固体二次電池1のサイクル特性がさらに向上する。
【0102】
負極活物質層22の含むバインダーは、例えば、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、ポリテトラフルオロエチレン(polytetrafluoroethylene)、ポリフッ化ビニリデン(polyvinylidene fluoride)、ポリエチレン(polyethylene)、ビニリデンフルオリド/ヘキサフルオロプロピレンコポリマー、ポリアクリロニトリル、ポリメチルメタクリレートなどであるが、必ずしもそれらに限定されず、当該技術分野においてバインダーとして使用するものであれば、いずれも使用可能である。バインダーは、単独または複数の互いに異なるバインダーで構成されうる。
【0103】
負極活物質層22がバインダーを含むことにより、負極活物質層22が負極集電体21上に安定化される。また、充放電過程で負極活物質層22の体積変化及び/または相対的な位置変更にもかかわらず、負極活物質層22のクラックが抑制される。例えば、負極活物質層22がバインダーを含まない場合、負極活物質層22が負極集電体21から容易に分離されうる。負極集電体21から負極活物質層22が離脱することにより、負極集電体21が露出された部分で、負極集電体21が固体電解質層30と接触することにより、短絡の発生可能性が増加する。負極活物質層22は、例えば、負極活物質層22を構成する材料が分散されたスラリーを負極集電体21上に塗布し、乾燥して作製される。バインダーを負極活物質層22に含めることにより、スラリー中に負極活物質の安定した分散が可能である。例えば、スクリーン印刷法でスラリーを負極集電体21上に塗布する場合、スクリーンの詰まり(例えば、負極活物質の凝集体による詰まり)を抑制しうる。
【0104】
負極活物質層22は、従来の全固体二次電池1に使用される添加剤、例えば、フィラー、コーティング剤、分散剤、イオン導電助剤などをさらに含みうる。
【0105】
負極活物質層22の厚さは、例えば、正極活物質層12厚さの50%以下、40%以下、30%以下、20%以下、10%以下、または5%以下である。負極活物質層22の厚さは、例えば、1μm~20μm、2μm~10μm、または、3μm~7μmである。負極活物質層22の厚さが過度に薄ければ、負極活物質層22と負極集電体21との間に形成されるリチウムデンドライトが負極活物質層22を崩壊させて全固体二次電池1のサイクル特性が向上し難い。負極活物質層22の厚さが過度に増加すれば、全固体二次電池1のエネルギー密度が低下して負極活物質層22による全固体二次電池1の内部抵抗が増加して全固体二次電池1のサイクル特性が向上し難い。
【0106】
負極活物質層22の厚さが減少すれば、例えば、負極活物質層22の充電容量も減少する。負極活物質層22の充電容量は、例えば、正極活物質層12の充電容量に比べて50%以下、40%以下、30%以下、20%以下、10%以下、5%以下、または2%以下である。負極活物質層22の充電容量は、例えば、正極活物質層12の充電容量に比べて0.1%~50%、0.1%~40%、0.1%~30%、0.1%~20%、0.1%~10%、0.1%~5%、または、0.1%~2%である。負極活物質層22の充電容量が過度に小さければ、負極活物質層22の厚さが非常に薄くなるので、繰り返される充放電過程で負極活物質層22と負極集電体21との間に形成されるリチウムデンドライトが負極活物質層22を崩壊させて全固体二次電池1のサイクル特性が向上し難い。負極活物質層22の充電容量が過度に増加すれば、全固体二次電池1のエネルギー密度が低下して負極活物質層22による全固体二次電池1の内部抵抗が増加して全固体二次電池1のサイクル特性が向上し難い。
【0107】
正極活物質層12の充電容量は、正極活物質の充電容量密度(mAh/g)に正極活物質層12のうち、正極活物質の質量を乗算して得られる。正極活物質が複数種使用される場合、正極活物質ごとに充電容量密度質量値を計算し、その値の総和が正極活物質層12の充電容量である。負極活物質層22の充電容量も同様の方法で計算される。すなわち、負極活物質層22の充電容量は、負極活物質の充電容量密度(mAh/g)に負極活物質層22のうち、負極活物質の質量を乗算して得られる。負極活物質が複数種使用される場合、負極活物質ごとに充電容量密度質量値を計算し、その値の総和が負極活物質層22の容量である。ここで、正極活物質及び負極活物質の充電容量密度は、リチウム金属を相対電極として使用した全固体半電池(half-cell)を用いて推定された容量である。全固体半電池(half-cell)を用いた充電容量測定によって正極活物質層12と負極活物質層22の充電容量が直接測定される。測定された充電容量をそれぞれ活物質の質量で除算すれば、充電容量密度が得られる。または、正極活物質層12と負極活物質層22の充電容量は、1サイクル目の充電時に測定される初期充電容量でもある。
【0108】
図9を参照すれば、全固体二次電池1aは、例えば、負極集電体21と負極活物質層22との間に配置される金属層23をさらに含みうる。金属層23は、リチウムまたはリチウム合金を含む。したがって、金属層23は、例えば、リチウム貯蔵庫(reservoir)として作用する。リチウム合金は、例えば、Li-Al合金、Li-Sn合金、Li-In合金、Li-Ag合金、Li-Au合金、Li-Zn合金、Li-Ge合金、Li-Si合金などであるが、それらに限定されず、当該技術分野においてリチウム合金として使用するものであれば、いずれも使用可能である。金属層23は、そのような合金のうち、1つまたはリチウムからなりうるか、複数種の合金からなる。
【0109】
金属層23の厚さは、特に制限されないが、例えば、1μm~1000μm、1μm~500μm、1μm~200μm、1μm~150μm、1μm~100μm、または1μm~50μmである。金属層23の厚さが過度に薄ければ、金属層23によるリチウム貯蔵庫(reservoir)役割を遂行し難い。金属層23の厚さが過度に厚ければ、全固体二次電池1の質量及び体積が増加し、むしろサイクル特性の低下可能性がある。金属層23は、例えば、そのような範囲の厚さを有する金属箔でもある。
【0110】
全固体二次電池1aにおける金属層23は、例えば、全固体二次電池1の組立前に負極集電体21と負極活物質層22との間に配置されるか、全固体二次電池1の組立後に充電によって負極集電体21(21、21a、21b)と負極活物質層22との間に析出される。全固体二次電池1aの組立前に負極集電体21と負極活物質層22との間に金属層23が配置される場合、金属層23がリチウムを含む金属層なので、リチウム貯蔵庫(reservoir)として作用する。例えば、全固体二次電池1aの組立前に負極集電体21と負極活物質層22との間にリチウム箔が配置される。これにより、金属層23を含む全固体二次電池1aのサイクル特性がさらに向上する。全固体二次電池1aの組立後に充電によって金属層23が析出される場合、全固体二次電池1aの組立時に、金属層23を含まないので、全固体二次電池1aのエネルギー密度が増加する。例えば、全固体二次電池1の充電時、負極活物質層22の充電容量を超過して充電する。すなわち、負極活物質層22を過充電する。充電初期には、負極活物質層22にリチウムを吸蔵される。負極活物質層22が含む負極活物質は、正極層10から移動して来たリチウムイオンと合金または化合物を形成する。負極活物質層22の容量を超過して充電すれば、例えば、負極活物質層22の背面、すなわち、負極集電体21と負極活物質層22との間にリチウムが析出され、析出されたリチウムによって金属層23に該当する金属層が形成される。金属層23は、主にリチウム(すなわち、金属リチウム)で構成される金属層である。そのような結果は、例えば、負極活物質層22に含まれる負極活物質がリチウムと合金または化合物を形成する物質で構成されることにより得られる。放電時には、負極活物質層22及び金属層23、すなわち、金属層のリチウムがイオン化されて正極層10方向に移動する。したがって、全固体二次電池1aでリチウムを負極活物質として使用しうる。また、負極活物質層22が金属層23を被覆するために、金属層23の保護層の役割を行うと共に、リチウムデンドライト(dendrite)の析出成長を抑制する役割を遂行する。したがって、全固体二次電池1aの短絡及び容量低下を抑制し、結果として、全固体二次電池1aのサイクル特性を向上させる。また、全固体二次電池1aの組立後に充電によって金属層23が配置される場合、負極集電体21と負極活物質層22及びそれらの間の領域は、例えば、全固体二次電池1aの初期状態または放電後状態においてリチウム(Li)を含まないLi-フリー(free)領域である。
【0111】
負極集電体21は、例えば、リチウムと反応しない、すなわち、合金及び化合物をいずれも形成しない材料で構成される。負極集電体21を構成する材料は、例えば、銅(Cu)、ステンレススチール、チタン(Ti)、鉄(Fe)、コバルト(Co)及びニッケル(Ni)などであるが、必ずしもそれらに限定されず、当該技術分野で電極集電体として使用するものであれば、いずれも使用可能である。負極集電体21は、上述した金属のうち、1種で構成されるか、2種以上の金属の合金または被覆材料で構成されうる。負極集電体21は、例えば、板状または箔状(foil)である。
【0112】
全固体二次電池1は、例えば、負極集電体21上にリチウムと合金を形成する元素を含む薄膜(thin film)をさらに含みうる。薄膜は、負極集電体21と前記負極活物質層22の間に配置される。薄膜は、例えば、リチウムと合金を形成する元素を含む。リチウムと合金を形成する元素は、例えば、金、銀、亜鉛、錫、インジウム、ケイ素、アルミニウム、ビスマスなどであるが、必ずしもそれらに限定されず、当該技術分野でリチウムと合金を形成する元素であれば、いずれも使用可能である。薄膜は、それらの金属のうち、1つで構成されるか、複数種の金属の合金で構成される。薄膜が負極集電体21上に配置されることにより、例えば、薄膜24と負極活物質層22との間に析出される金属層23の析出形態がさらに平坦化され、全固体二次電池1のサイクル特性がさらに向上しうる。
【0113】
薄膜の厚さは、例えば、1nm~800nm、10nm~700nm、50nm~600nm、または、100nm~500nmである。薄膜の厚さが1nm未満になる場合、薄膜による機能が発揮され難い。薄膜の厚さが過度に厚ければ、薄膜自体がリチウムを吸蔵し、負極でリチウムの析出量が減少して全固体電池のエネルギー密度が低下し、全固体二次電池1のサイクル特性が低下しうる。薄膜は、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、メッキ法などによって負極集電体21、21a、21b上に配置されうるが、必ずしもそのような方法に限定されず、当該技術分野で薄膜を形成する方法であれば、いずれも使用可能である。
【0114】
他の一側面による具現例による固体イオン伝導体化合物の製造方法は、リチウム前駆体化合物;元素Na、K、Rb、Cs、Frまたはそれらの組合わせを含む化合物;リン(P)を含む化合物;及びClを含む化合物;元素Br及びIのうち、1つ以上を含む化合物;を接触させて混合物を提供する段階;及び前記混合物を不活性雰囲気で熱処理して固体イオン伝導体化合物を提供する段階;を含む。前記固体イオン伝導体化合物は、前述した固体イオン伝導体化合物である。
【0115】
前記リチウム前駆体化合物は、リチウム硫化物を含むことができる。例えば、リチウム前駆体化合物は、LiSでもある。
【0116】
前記元素Na、K、Rb、Cs、Frまたはそれらの組合わせを含む化合物は、元素Na、K、Rb、Cs、Frまたはそれらの組合わせのハロゲン化物、硫化物でもある。例えば、前記元素Na、K、Rb、Cs、Frまたはそれらの組合わせを含む化合物は、NaCl、KCl、NaBr、KI、NaS、KS、RbSなどでもある。
【0117】
前記Pを含む化合物は、リン硫化物を含む。例えば、Pなどでもある。
【0118】
前記Clを含む化合物は、例えば、LiClでもある。
【0119】
前記元素Br及びIのうち、1つ以上を含む化合物は、例えば、LiBrまたは、LiIでもある。
【0120】
一具現例によれば、前記混合物は、元素Sc、Y、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Tc、Re、Fe、Ru、Os、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Hg、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、As、Sb、Bi、またはそれらの組合わせを含む化合物をさらに含み、例えば、前記元素のうち、1つ以上の元素の硫化物を含む。例えば、前記混合物は、GeSなどを含みうる。
【0121】
このような化合物は、適量、例えば、化学量論的量で出発物質を接触させて混合物を形成し、前記混合物を熱処理することで製造されうる。接触は、例えば、ボールミリングのようなミリングまたは粉砕を含む。
【0122】
化学量論的組成で混合された前駆体の混合物は、不活性雰囲気で熱処理して固体イオン伝導体化合物を製造することができる。
【0123】
熱処理は、例えば、400~700℃、400~650℃、400~600℃、400~550℃、または400~500℃で遂行されうる。熱処理時間は、例えば、1~36時間、2~30時間、4~24時間、10~24時間、または、16~24時間でもある。不活性雰囲気は、不活性気体を含む雰囲気である。不活性気体は、例えば、窒素、アルゴンなどであるが、必ずしもそれらに限定されず、当該技術分野において不活性ガスとして使用するものであれば、いずれも使用可能である。
【0124】
以下の実施例及び比較例を介して本創意的思想がさらに詳細に説明される。但し、実施例は、本創意的思想を例示するためのものであって、それらによってのみ本創意的思想の範囲が限定されるものではない。
【0125】
(固体イオン伝導体化合物の製造)
実施例1:Li 5.6 Na 0.05 PS 4.65 Cl 1.25 0.1
Ar雰囲気のグローブボックス(glove box)内でリチウム前駆体であるLiS、リン(P)前駆体であるP、ナトリウム(Na)前駆体であるNaS、塩素(Cl)前駆体であるLiCl、及びヨウ素(I)前駆体であるLiIを、所望の組成であるLi5.6Na0.05PS4.65Cl1.250.1が得られるように化学量論的比率で組み合わせた後、ジルコニア(YSZ)ボールを含むAr雰囲気の遊星ボールミル(planetary ball mill)で100rpmで1時間粉砕及び混合した後、次いで800rpmで30分間粉砕及び混合して混合物を得た。得られた混合物を単軸圧力(uniaxial pressure)でプレス(press)して厚さ約10mm及び直径約13mmのペレット(pellet)を準備した。準備されたペレットを金箔で覆った後、カーボンルツボに入れ、カーボンルツボを石英ガラス管を用いて真空封入した。真空封入されたペレットを電気炉を用いて常温から500℃まで1.0℃/分で昇温した後、500℃で12時間熱処理した後、1.0℃/分で室温まで冷却して固体イオン伝導体化合物を製造した。
【0126】
製造された固体イオン伝導体化合物の組成は、Li5.6Na0.05PS4.65Cl1.250.1(Liサイトのうち、置換されたNa比率:0.01、Sサイトのうち、置換された総ハロゲン元素の比率:1.35、(Cl:I=12.5:1))であった。
【0127】
実施例2:Li 5.47 Na 0.03 PS 4.5 Cl 1.4 0.1
Liサイトのうち、置換されたNaの比率が0.03になり、Sサイトのうち、置換された総ハロゲン元素の比率が1.5(Cl:I=14:1)になるように出発物質の化学量論的混合比を変更したことを除き、実施例1と同様の方法を実施してLi5.47Na0.03PS4.5Cl1.40.1(Liサイトのうち、置換されたNaの比率:0.03、Sサイトのうち、置換された総ハロゲン元素の比率:1.5(Cl:I=14:1))組成の固体イオン伝導体化合物を製造した。
【0128】
実施例3:Li 5.47 Na 0.03 PS 4.5 Cl 1.4 Br 0.1
Liサイトのうち、置換されたNaの比率が0.03になり、ヨウ素(I)前駆体の代わりに、ブローム(Br)前駆体であるLiBrを使用し、Sサイトのうち、置換された総ハロゲン元素の比率が1.5(Cl:Br=14:1)になるように、出発物質の化学量論的混合比を変更したことを除き、実施例1と同様の方法を実施してLi5.47Na0.03PS4.5Cl1.4Br0.1(Liサイトのうち、置換されたNaの比率:0.03、Sサイトのうち、置換された総ハロゲン元素の比率:1.5(Cl:Br=14:1))組成の固体イオン伝導体化合物を製造した。
【0129】
実施例4:Li 5.37 Na 0.03 PS 4.4 Cl 1.4 Br 0.2
Liサイトのうち、置換されたNaの比率が0.03になり、ヨウ素(I)前駆体の代わりに、ブローム(Br)前駆体であるLiBrを使用し、Sサイトのうち、置換された総ハロゲン元素の比率が1.6(Cl:Br=7:1)になるように、出発物質の化学量論的混合比を変更したことを除き、実施例1と同様の方法を実施してLi5.37Na0.03PS4.4Cl1.4Br0.2(Liサイトのうち、置換されたNaの比率:0.03、Sサイトのうち、置換された総ハロゲン元素の比率:1.6(Cl:Br=7:1))組成の固体イオン伝導体化合物を製造した。
【0130】
実施例5:Li 5.57 Na 0.03 0.9 Ge 0.1 4.5 ClBr 0.5
Ar雰囲気のグローブボックス(glove box)内でリチウム前駆体であるLiS、リン(P)前駆体であるP、ナトリウム(Na)前駆体であるNaS、ゲルマニウム(Ge)前駆体であるGeS、塩素(Cl)前駆体であるLiCl、及びブローム(Br)前駆体であるLiBrを、所望の組成であるLi5.57Na0.030.9Ge0.14.5ClBr0.5が得られるように化学量論的比率で組み合わせた後、ジルコニア(YSZ)ボールを含むAr雰囲気の遊星ボールミル(planetary ball mill)で100rpmで1時間粉砕及び混合した後、次いで800rpmで30分間粉砕及び混合して混合物を得た。得られた混合物を単軸圧力(uniaxial pressure)でプレス(press)して厚さ約10mm及び直径約13mmのペレット(pellet)を準備した。準備されたペレットを金箔で覆った後、カーボンルツボに入れてカーボンルツボを石英ガラス管を用いて真空封入した。真空封入されたペレットを電気炉を用いて常温から500℃まで1.0℃/分で昇温した後、500℃で12時間熱処理した後、1.0℃/分で室温まで冷却して固体イオン伝導体化合物を製造した。
【0131】
製造された固体イオン伝導体化合物の組成は、Li5.57Na0.030.9Ge0.14.5ClBr0.5(Liサイトのうち、置換されたNa比率:0.03、Pサイトのうち、置換されたGeの比率:0.1、Sサイトのうち、置換された総ハロゲン元素の比率:1.5、(Cl:Br=2:1))であった。
【0132】
実施例6:Li 5.37 Na 0.03 PS 4.4 Cl 0.8 Br 0.8
Liサイトのうち、置換されたNaの比率が0.03になり、ヨウ素(I)前駆体の代わりに、ブローム(Br)前駆体であるLiBrを使用し、Sサイトのうち、置換された総ハロゲン元素の比率が1.6(Cl:Br=1:1)になるように出発物質の化学量論的混合比を変更したことを除き、実施例1と同様の方法を実施してLi5.37Na0.03PS4.4Cl0.8Br0.8(Liサイトのうち、置換されたNaの比率:0.03、Sサイトのうち、置換された総ハロゲン元素の比率:1.6(Cl:Br=1:1))組成の固体イオン伝導体化合物を製造した。
【0133】
比較例1:Li PS Cl
所望の組成であるLiPSClが得られるようにNaS及びLiIを添加せず、出発物質の化学量論的な混合比を変更したことを除き、実施例1と同様の方法で固体イオン伝導体化合物を製造した。
【0134】
製造された固体イオン伝導体化合物の組成は、LiPSClであった。
【0135】
比較例2:Li 5.4 PS 4.4 Cl 1.6
所望の組成であるLi5.4PS4.4Cl1.6が得られるようにNaS及びLiIを添加せず、出発物質の化学量論的な混合比を変更したことを除き、実施例1と同様の方法で固体イオン伝導体化合物を製造した。
【0136】
製造された固体イオン伝導体化合物の組成は、Li5.4PS4.4Cl1.6であった。
【0137】
比較例3:Li 5.37 Na 0.03 PS 4.4 Cl 0.2 Br 1.4
所望の組成であるLi5.37Na0.03PS4.4Cl0.2Br1.4が得られるように、LiIの代わりに、LiBrを使用して出発物質の化学量論的な混合比を変更したことを除き、実施例1と同様の方法で固体イオン伝導体化合物を製造した。
【0138】
製造された固体イオン伝導体化合物の組成は、Li5.37Na0.03PS4.4Cl0.2Br1.4であった。
【0139】
比較例4:Li 5.37 Na 0.03 PS 4.4 Cl 1.6
所望の組成であるLi5.37Na0.03PS4.4Cl1.6が得られるように、LiIを添加せず、出発物質の化学量論的な混合比を変更したことを除き、実施例1と同様の方法で固体イオン伝導体化合物を製造した。
【0140】
製造された固体イオン伝導体化合物の組成は、Li5.37Na0.03PS4.4Cl1.6であった。
【0141】
比較例5:Li 5.4 PS 4.4 Cl 1.4 Br 0.2
所望の組成であるLi5.4PS4.4Cl1.4Br0.2が得られるようにNaSを添加せず、LiIの代わりに、LiBrを添加して出発物質の化学量論的な混合比を変更したことを除き、実施例1と同様の方法で固体イオン伝導体化合物を製造した。
【0142】
製造された固体イオン伝導体化合物の組成は、Li5.4PS4.4Cl1.4Br0.2であった。
【0143】
実施例7:全固体二次電池製造
(正極層製造)
実施例1によって製造された固体イオン伝導体化合物をポットミルで150rpmで15時間粉砕して平均粒径(D50)1~2μmの正極用固体電解質を形成した。前記正極用固体電解質と大粒正極活物質LiNi0.8Co0.15Al0.05(NCA)(D50=14μm)、小粒正極活物質LiNi0.8Co0.15Al0.05(NCA)(D50=5μm)、導電材であるカーボンナノ繊維及びバインダーであるポリテトラフルオロエチレンを混合した混合物にキシレンを追加して正極層組成物を得て、それを混合(kneading)してシート状に成形して正極シートを製造した。大粒正極活物質と小粒正極活物質の混合重量比は、3:1であり、正極活物質、導電材、バインダー、固体電解質の混合重量比は、84:0.2:1.0:14.8である。前記正極シートを18μm厚さのアルミ箔の正極集電体に圧着し、バッチタイプのオイルチャンバに入れ、500mPaの圧力を加える静水圧加圧(warm isostactic press)工程を遂行して圧縮された正極層を形成した。
【0144】
(電解質層製造)
実施例1によって製造された固体イオン伝導体化合物をポットミルで150rpmで8時間粉砕して平均粒径(D50)3~4μmの粉末を形成し、前記電解質粉末にバインダーであるアクリル系樹脂を98.5:1.5の重量比で添加して混合物を準備した。前記混合物に溶媒であるIBIBを付加して撹拌して電解質層形成用組成物を製造した。固体電解質層形成用組成物をポリエチレン不織布上に載置し、ブレードを動かし、空気中で25℃で12時間乾燥し、かつ70℃で2時間真空乾燥してポリエチレン不織布上に形成されたシート状の固体電解質層を形成した
【0145】
(負極層製造)
負極集電体としてSUS箔(厚さ:10μm)を準備した。負極活物質として銀(一次粒径:60nm)とカーボンブラック粉末(一次粒径:35nm)を25:75の重量比で混合して準備した。容器に前記銀(一次粒径:60nm)とカーボンブラック粉末(一次粒径:35nm)と共に、ポリビニリデンフルオリドバインダーを負極層を基準として7重量%をN-メチルピロリドン(NMP)に入れ、撹拌して負極層形成用スラリーを製造した。前記負極層形成用スラリーを、前記SUS箔にブレードコータ(blade coater)を用いて塗布し、空気中で80℃温度で20分間乾燥し、かつ100℃で12時間真空乾燥して負極層を作製した。
【0146】
(全固体二次電池の製造)
前記過程によって得た正極層、電解質層及び負極層を順次に積層し、それを85℃、500MPa圧力で約30分間静水圧プレスを実施して全固体二次電池を準備した。
【0147】
実施例8~12
実施例1で製造された固体電解質粉末の代わりに、実施例2~6で製造された固体電解質粉末をそれぞれ使用したことを除き、実施例7と同様の方法で全固体二次電池を製造した。
【0148】
比較例6ないし10
実施例1で製造された固体イオン伝導体化合物粉末の代わりに、比較例1ないし5で製造された固体電解質粉末をそれぞれ使用したことを除き、実施例7と同様の方法で全固体二次電池を製造した。
【0149】
評価例1:イオン伝導度評価
実施例1ないし6及び比較例1ないし5で製造された固体イオン伝導体化合物をめのう乳鉢(agate mortar)でもって粉砕して粉末を準備した後、粉末200mgを4ton/cmの圧力で2分間プレスして厚さ約0.900mm及び直径約13mmのペレット(pellet)試片を準備した。準備された試片の両面に、厚さ50μm及び直径13mmのインジウム(In)電極をそれぞれ配置して対称セル(symmetry cell)を準備した。対称セルの準備は、Ar雰囲気のグローブボックスで進められた。
【0150】
インジウム電極が両面に配置された試片に対してインピーダンス分析器(Material Mates 7260 impedance analyzer)を使用して2-プローブ(probe)法でペレットのインピーダンスを測定した。周波数範囲は、0.1Hz~1MHz、振幅電圧は、10mVであった。Ar雰囲気の25℃で測定した。インピーダンス測定結果に対するナイキストプロット(Nyguist plot)の円弧(arc)から抵抗値を求めて試片の面積と厚さを考慮してイオン伝導度を計算した。
【0151】
イオン伝導度測定結果を表1に示した。
【0152】
【表1】
【0153】
前記表1に示されたように、本願実施例1ないし6は、3.4mS/cm以上のイオン伝導度を示すので、全固体電池の固体電解質として好適に使用可能であるということが分かる。
【0154】
評価例2:結晶構造評価
実施例1ないし6及び比較例3で製造した固体イオン伝導体化合物を、めのう乳鉢(agate mortar)でもって粉砕して粉末を準備した後、粉末XRDスペクトルを測定し、その結果を図1に示した。
【0155】
図1を参照すれば、2θ=29.07゜±0.5゜でのピーク強度をIと定義し、2θ=30.09゜±0.5゜でのピーク強度をIと定義する場合、I/Iの値を計算して下記表2に示した。
【0156】
【表2】
【0157】
図1及び表2を参照すれば、ClとBrとの比率が1:1を超過し、Brのモル分率がClのモル分率より大きくなる場合(比較例3)、不純物の比率が急上昇することを確認した。
【0158】
評価例3:軟性(softness)評価
実施例1ないし3及び比較例1、2、4及び5の固体イオン伝導体化合物を、めのう乳鉢(agate mortar)でもって粉砕して粉末を準備した後、粉末密度(ρ)及びペレット密度(ρ)の比率を計算し、図2に示した。
【0159】
前記粉末密度は、第1原理計算ソフトウェアVASPを通じて得られた最も安定した構造から計算した理論値であり、前記ペレット密度は、前記粉末200mgを直径13mmペレットに加工した後、4ton/cmの圧力で2分間プレスした後、厚さを測定し、ペレット重さ(200mg)を体積(π(13mm/2)×測定厚さ)で割る方式で測定した。
【0160】
図2を参照すれば、NaとCl及び(BrまたはI)を含む実施例1ないし3の固体イオン伝導体化合物は、Naを含まず、Clのみを含むか(比較例1及び2)、Naを含み1種のハロゲン元素を含む場合(比較例4)、及びCl及びBrのみを含む場合(比較例5)に比べて向上したペレット密度/粉末密度の比率を有することを確認した。
【0161】
ペレット密度/粉末密度の比率が高いということは、固体イオン伝導体化合物と異なる全固体電池の材料との接触性に優れるという点を示唆するものなので、Naのみを含んだり、Clのみを含んだり、2種ハロゲン(Cl及びBr)を含んだりする場合に比べて、Na及びCl及び(BrまたはI)を含むことが優秀な軟性を提供するという点を確認した。
【0162】
評価例4:高率特性評価
実施例7及び比較例7で製造された全固体二次電池の高率特性を次の充放電試験によって評価した。充放電試験は、全固体二次電池を45℃のチャンバに入れて遂行した。各全固体二次電池に対し、充電は、0.1Cの定電流及び4.25V定電圧で0.05C電流値になるまで充電した。次いで、電池電圧が2.5Vになるまで0.05Cの定電流で放電を実施して2.5Vまで放電を実施した。以後、0.1C、0.1C、0.1C、及び0.33Cの定電流4.25V定電圧で充電した後、それぞれ0.1C、0.33C、1C及び0.33Cの定電流で放電を実施して放電容量の変化を観察した。
【0163】
実施例7及び比較例7で製造された全固体二次電池の放電速度別放電容量及び放電容量保持率をそれぞれ図3A及び図3Bに示した。
【0164】
実施例7の全固体二次電池は、0.33C基準放電容量(177mAh/g)が比較例7の全固体二次電池の放電容量(168mAh/g)対比で、約5%増加したことが分かる。
【0165】
また、実施例7の全固体二次電池は、1C/0.33C放電容量平均具現率が92%であり、比較例7の全固体二次電池が74%であることと比べるとき、率特性(Rate Capability)が向上した。
【0166】
評価例5:水分安定性評価
実施例5及び比較例1で製造された固体イオン伝導体化合物をめのう乳鉢(agate mortar)でもって粉砕して粉末(D50≒18μm)30mgを準備した後、それを19℃、RH 60%の空気雰囲気のチャンバに配置した後、0~300分の間チャンバ内におけるHSガスの発生量を測定した。
【0167】
測定した結果値を図4及び下記表3に示した。
【0168】
【表3】
【0169】
図4及び表3を参照すれば、実施例5の固体イオン伝導体化合物は、Cl及びBrの異種ハロゲン元素及びGeの導入により、水分に対する安定性が向上し、結晶内S元素の副反応によって発生するHS発生量が顕著に減少したことを確認した。実施例5の固体イオン伝導体化合物は、比較例1の固体イオン伝導体化合物に比べ、300分後に発生したHSガスの比率が約48%減少されることを確認した。
【0170】
評価例6:寿命特性評価
実施例7及び比較例7で製造された全固体二次電池の充放電試験は、全固体二次電池を45℃のチャンバに入れて遂行した。
【0171】
第1サイクルは、電池電圧が4.25Vになるまで0.33Cの定電流及び4.25V定電圧で0.05C電流値になるまで充電した。次いで、電池電圧が2.5Vになるまで0.33Cの定電流で放電を実施した。
【0172】
以後、510回にわたって同一い充電及び放電サイクルを進め、最初及び100サイクルでの充放電曲線を記録し、各サイクルの放電容量を測定してそれぞれ図5及び図6に示した。
【0173】
図5を参照すれば100サイクル以後にも、実施例7の全固体二次電池は安定した充放電特性を有することを確認し、比較例7の全固体二次電池は、100サイクル後、電圧降下が確認され、内部抵抗が増加することを確認することができる。
【0174】
図6を参照すれば、実施例7の全固体二次電池は、510回以上の充放電にも、80%以上の容量保持率を示すことを確認し、比較例7の全固体二次電池は、150回サイクルにおいて、電池が短絡されることを確認した。
【0175】
したがって、実施例7の全固体二次電池は、安定した充放電特性及び優秀な寿命特性を有することを確認した。
【0176】
以上、図面及び実施例を参照し、本発明による望ましい具現例が説明されたが、それらは、例示的なものに過ぎず、当該技術分野で通常の知識を有する者であれば、それらにより、多様な変形及び均等な他の具現例が可能であるという点を理解するであろう。したがって、本発明の保護範囲は、特許請求の範囲によって決定されねばならない。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9