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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-09
(45)【発行日】2025-01-20
(54)【発明の名称】切削装置及び載置プレート
(51)【国際特許分類】
   B24B 53/00 20060101AFI20250110BHJP
   B24B 27/06 20060101ALI20250110BHJP
   B24B 53/12 20060101ALI20250110BHJP
   H01L 21/301 20060101ALI20250110BHJP
【FI】
B24B53/00 K
B24B27/06 M
B24B53/12 Z
H01L21/78 F
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020078176
(22)【出願日】2020-04-27
(65)【公開番号】P2021171881
(43)【公開日】2021-11-01
【審査請求日】2023-02-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110001014
【氏名又は名称】弁理士法人東京アルパ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石山 慎一
(72)【発明者】
【氏名】花島 聡
【審査官】山内 康明
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-204929(JP,A)
【文献】特開2021-166278(JP,A)
【文献】特開2016-000434(JP,A)
【文献】特開2001-018162(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2011-0135274(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 53/00
B24B 27/06
B24B 53/12
H01L 21/301
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
保持面に被加工物を保持するチャックテーブルを有する保持手段と、
切削ブレードが回転可能に配設され被加工物を切削する切削手段と、
該切削手段を該保持面に垂直なZ軸方向に移動させるZ軸移動手段と、
該切削ブレードの切削送り方向のX軸方向に該保持手段を移動させるX軸移動手段と、
該Z軸方向と該X軸方向とに直交するY軸方向に該Z軸移動手段を移動させるY軸移動手段と、
該チャックテーブルに隣接して該保持手段に配設され砥粒を接着して板状にしたドレッサボードを保持するサブチャックテーブルと、を備える切削装置であって、
さらに、該サブチャックテーブルに搬送される該ドレッサボードを保持するドレッサ保持ユニットと、
該ドレッサボードが仮置きされるドレッサ仮置き部と、制御手段とを備え、
該ドレッサ保持ユニットは、
該ドレッサボードを保持する保持部と、該保持部をZ軸方向に移動させる上下移動手段と、を備え、
該制御手段は、該ドレッサ保持ユニットと、該Y軸移動手段と、該X軸移動手段とを少なくとも制御し、該ドレッサ仮置き部と該サブチャックテーブルとの間で該ドレッサボードを搬送する切削装置。
【請求項2】
保持面に被加工物を保持するチャックテーブルを有する保持手段と、
切削ブレードが回転可能に配設され被加工物を切削する切削手段と、
該切削手段を該保持面に垂直なZ軸方向に移動させるZ軸移動手段と、
該切削ブレードの切削送り方向のX軸方向に該保持手段を移動させるX軸移動手段と、
該Z軸方向と該X軸方向とに直交するY軸方向に該Z軸移動手段を移動させるY軸移動手段と、
該チャックテーブルに隣接するように該保持手段に配設され砥粒を接着し板状にしたドレッサボードを保持するサブチャックテーブルと、
被加工物を複数収容可能なカセットが載置されるカセットステージと、
該カセットステージに載置された該カセットと該チャックテーブルとの間で被加工物を搬送する搬送手段と、
制御手段と、を備える切削装置であって、
さらに該ドレッサボードが載置される載置部を有し該カセットに収納可能な載置プレートと、
該搬送手段によって該カセットから該チャックテーブルに搬送され該保持面が保持した該載置プレートの該載置部に載置された該ドレッサボードを保持するドレッサ保持ユニットと、を備え、
該ドレッサ保持ユニットは、該ドレッサボードを保持する保持部と、
該保持部を該Z軸方向に移動させる上下移動手段と、を備え、
該制御手段は、
該X軸移動手段と該Y軸移動手段と該ドレッサ保持ユニットとを制御して、該サブチャックテーブルと該チャックテーブルに保持された該載置プレートの該載置部との間で該ドレッサボードを搬送する切削装置。
【請求項3】
該載置プレートは、該載置部を少なくとも2つ備え、該載置部の少なくとも1つに該ドレッサボードが載置されていて、
該制御手段は、
該カセットステージに載置された該カセットに収納されている該載置プレートを該保持面に搬入するために該搬送手段を制御する載置プレート搬入制御部と、
該保持面に保持された該載置プレートの該ドレッサボードが載置されていない該載置部に該サブチャックテーブルが保持しているドレッサボードを搬出するために該X軸移動手段と該Y軸移動手段と該ドレッサ保持ユニットとを制御するドレッサ搬出制御部と、
該保持面に保持された該載置プレートの該載置部に載置されている該ドレッサボードを該サブチャックテーブルに搬入するために該X軸移動手段と該Y軸移動手段と該ドレッサ保持ユニットとを制御するドレッサ搬入制御部と、
該保持面に保持されている該載置プレートを該保持面から搬出し該カセットステージに載置された該カセットに収納するために該搬送手段を制御する載置プレート搬出制御部と、を備える請求項2記載の切削装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、切削装置及び載置プレートに関する。
【背景技術】
【0002】
切削装置は、切削ブレードの外周の切り刃を用いて被加工物を切削している。被加工物に銅などが含まれているため、被加工物を切削加工すると、切削ブレードの切り刃に銅が付着し、切り刃が目詰まりして、切削効率が低下するという問題が有る。
【0003】
そこで、特許文献1、2に開示のように、切削ブレードを用いて砥粒を板状に形成したプリカットボード(ドレッサボード)を切削することにより切削ブレードの切れ味を復活させている。
例えば、切り刃に切削屑が付着するような軟らかい材質を切削した際は、予め設定した距離を切削したら、ドレッサボードの切削により、付着した切削屑を切り刃から除去する。
一方、硬い材質を切削した際には、切り刃の砥粒が目潰れするために切削効率が低下する。そのため、軟らかい材質の切削時と同じようにドレッサボードを切削することにより目潰れした砥粒を除去して新たな砥粒を表出させ切れ味を復活させる必要が有る。
このように、切り刃を目詰まりさせる被加工物、または切り刃を目潰れさせる被加工物を切削する際は、所定の距離を切削したらドレッサボードを切削して切削ブレードの切り刃の切れ味を復活させる必要が有る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-103341号公報
【文献】特快2015-164750号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
切削装置には、切削ブレードをドレッシングするためにドレッサボードを保持するサブチャックテーブルがチャックテーブルに隣接する位置に配設されている。ドレッシングによって、ドレッサボードの表面に複数の溝が形成されていくと、次第にドレッサボードの表面に未切削エリアが無くなっていく。そのため、ドレッサボードを交換する必要が有る。
従来、ドレッサボードの交換が必要になった場合には、ウェーハの切削加工を一時停止してドレッシングボードの交換要求を作業者に通知し、そして、その通知を受けた作業者がドレッサボードを交換してドレッシングを実施し、切削加工を再開しており、作業者にとっての負担が大きく、生産性を低下させる要因の一つとなっている。
そこで、切削装置には、ドレッサボードの交換時における作業者の関与度合を低下させ、ドレッシングを可能にすることによって、連続的に切削加工をするという解決すべき課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、保持面に被加工物を保持するチャックテーブルを有する保持手段と、切削ブレードが回転可能に配設され被加工物を切削する切削手段と、該切削手段を該保持面に垂直なZ軸方向に移動させるZ軸移動手段と、該切削ブレードの切削送り方向のX軸方向に該保持手段を移動させるX軸移動手段と、該Z軸方向と該X軸方向とに直交するY軸方向に該Z軸移動手段を移動させるY軸移動手段と、該チャックテーブルに隣接して該保持手段に配設され砥粒を接着して板状にしたドレッサボードを保持するサブチャックテーブルと、を備える切削装置であって、さらに、該サブチャックテーブルに搬送される該ドレッサボードを保持するドレッサ保持ユニット、該ドレッサボードが仮置きされるドレッサ仮置き部と、制御手段とを備え、該ドレッサ保持ユニットは、該ドレッサボードを保持する保持部と、該保持部をZ軸方向に移動させる上下移動手段と、を備え、該制御手段は、該ドレッサ保持ユニットと、該Y軸移動手段と、該X軸移動手段とを少なくとも制御し、該ドレッサ仮置き部と該サブチャックテーブルとの間で該ドレッサボードを搬送する切削装置である。
本発明は、保持面に被加工物を保持するチャックテーブルを有する保持手段と、切削ブレードが回転可能に配設され被加工物を切削する切削手段と、該切削手段を該保持面に垂直なZ軸方向に移動させるZ軸移動手段と、該切削ブレードの切削送り方向のX軸方向に該保持手段を移動させるX軸移動手段と、該Z軸方向と該X軸方向とに直交するY軸方向に該Z軸移動手段を移動させるY軸移動手段と、該チャックテーブルに隣接するように該保持手段に配設され砥粒を接着し板状にしたドレッサボードを保持するサブチャックテーブルと、被加工物を複数収容可能なカセットが載置されるカセットステージと、該カセットステージに載置された該カセットと該チャックテーブルとの間で被加工物を搬送する該搬送手段と、制御手段と、を備える切削装置であって、さらに該ドレッサボードが載置される載置部を有し該カセットに収納可能な載置プレートと、該搬送手段によって該カセットから該チャックテーブルに搬送され該保持面が保持した該載置プレートの該載置部に載置された該ドレッサボードを保持するドレッサ保持ユニットと、を備え、該ドレッサ保持ユニットは、該ドレッサボードを保持する保持部と、該保持部を該Z軸方向に移動させる上下移動手段と、を備え、該制御手段は、該X軸移動手段と該Y軸移動手段と該ドレッサ保持ユニットとを制御して、該サブチャックテーブルと該チャックテーブルに保持された該載置プレートの該載置部との間に該ドレッサボードを搬送する切削装置である。
上記の切削装置に備える該載置プレートは、該載置部を少なくとも2つ備え、該載置部の少なくとも1つに該ドレッサボードが載置されていて、該制御手段は、該カセットステージに載置された該カセットに収納されている該載置プレートを該保持面に搬入するために該搬送手段を制御する載置プレート搬入制御部と、該保持面に保持された該載置プレートの該ドレッサボードが載置されていない該載置部に該サブチャックテーブルが保持しているドレッサボードを搬出するために該X軸移動手段と該Y軸移動手段と該ドレッサ保持ユニットとを制御するドレッサ搬出制御部と、該保持面に保持された該載置プレートの該載置部に載置されている該ドレッサボードを該サブチャックテーブルに搬入するために該X軸移動手段と該Y軸移動手段と該ドレッサ保持ユニットとを制御するドレッサ搬入制御部と、該保持面に保持されている該載置プレートを該保持面から搬出し該カセットステージに載置された該カセットに収納するために該搬送手段を制御する載置プレート搬出制御部と、を備える切削装置であることが望ましい。
【発明の効果】
【0007】
本切削装置では、ドレッサ保持ユニットがドレッサボードをサブチャックテーブルに搬送することにより、ドレッサボードの交換のための作業の大部分に作業者を必要としなくなる。これにより、作業者の負担が軽減されるとともに、被加工物の効率的な切削加工が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】切削装置の全体を表した斜視図である。
図2】切削装置の加工領域の内部を表す斜視図である。
図3】第1ドレッサ保持ユニットの断面図である。
図4】第1ドレッサ保持ユニットを用いてドレッサボードを保持する様子を表す断面図である。
図5】ドレッサ仮置き部に第2ドレッサボードが載置されている様子を表す平面図である。
図6】ドレッサ仮置き部に載置された第2ドレッサボードを第2ドレッサ保持ユニット62に保持する様子を表す平面図である。
図7】サブチャックテーブルに保持されている第1ドレッサボードを第1ドレッサ保持ユニットに保持する様子を表す平面図である。
図8】第2ドレッサ保持ユニットに保持されている第2ドレッサボードをサブチャックテーブルに保持する様子を表す平面図である。
図9】第1ドレッサ保持ユニットに保持されている第1ドレッサボードをドレッサ仮置き部に載置する様子を表す平面図である。
図10】ドレッサ仮置き部に載置されている第1ドレッサボードを取り出すよう様子を表す平面図である。
図11】第3ドレッサ保持ユニットの断面図である。
図12】第3ドレッサ保持ユニットを用いてドレッサボードを保持する様子を表す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
1 切削装置の構成
図1に示す切削装置1は、被加工物140を切削加工する切削装置である。
被加工物140が環状のフレーム141の内側に位置付けられている状態で、フレーム141の下面と被加工物140の下面とにテープ142が貼着されることにより、ウェーハ140、フレーム141、及びテープ142が一体化されたワークユニット14が形成される。被加工物140の上面1400には、互いに直交する複数の分割予定ライン1402が形成されており、分割予定ライン1402によって区画された領域には、デバイス1401が配設されている。
以下、切削装置1の構成について説明する。
【0010】
切削装置1は、図1に示すように、Y軸方向に延設された筐体12を備えている。
切削装置1における+X方向側の領域は、ワークユニット14等の搬送が行われる搬送エリア18であり、切削装置1における-X方向側の領域は、ワークユニット14を構成する被加工物140の切削加工等が行われる加工エリア19である。加工エリア19は、筐体カバー13に覆われている。
【0011】
搬送エリア18の-Y方向側には、カセットステージ700が設けられている。カセットステージ700には、複数のワークユニット14を収容可能なカセット70を載置することができる。
【0012】
カセットステージ700には、ワークユニット14だけでなく、ワークユニット14と外形が同形状の載置プレート71も収容されている。載置プレート71は、砥粒が接着されて板状に形成されたドレッサボード15を載置させるための少なくとも2つの載置部を有している。本実施形態においては、載置プレート71は第1載置部711及び第2載置部712を有するものとする。
図1においては、載置プレート71の第1載置部711にドレッサボード15が載置されており、第2載置部712にはドレッサボード15が載置されていない様子が図示されている。
【0013】
カセットステージ700の+Y方向側には、X軸方向に延ばされたチャックテーブル20の移動経路が設けられている。チャックテーブル20の移動経路は、搬送エリア18と加工エリア19との間に跨るように形成されている。図1においては、チャックテーブル20が搬送エリア18に位置づけられている様子が示されている。
【0014】
チャックテーブル20の移動経路の+Y方向側には、検査テーブル17が配設されており、検査テーブル17の四方には、クランプ171が配設されている。切削加工後の被加工物140を検査テーブル17の上面である保持面170に載置して、フレーム141を四つのクランプ171を用いて四方から挟持することにより、ワークユニット14を検査テーブル17に保持することができる。
検査テーブル17の周りには、図示しない検査キットが配設されており、該検査キットを用いて検査テーブル17に保持された被加工物140の検査をすることが可能となっている。
【0015】
切削装置1は、カセット70からワークユニット14等を引き出すとともにワークユニット14等をカセット70に押し込む搬出入手段73を備えている。
搬出入手段73は、筐体カバー13の+X方向側の側面に、Y軸方向に延ばされて配設されたボールネジ730を備えている。ボールネジ730には、図示しないモータが接続されている。また、搬出入手段73は、ボールネジ730に平行に配設されたガイドレール731と、側部のナットがボールネジ730に螺合してガイドレール731に摺接するアーム部734とを備えている。アーム部734は、ボールネジ730から-Z方向に向かって垂下している。アーム部734の-Z方向側の端部には、挟持部735が連結されている。挟持部735は、図示しない挟持機構を有している。
【0016】
例えば、挟持部735を用いてカセット70に収容されているフレーム141を挟持してから、該モータを用いてボールネジ730を回転させることにより、アーム部734を+X方向に移動させて、挟持部735に挟持されているワークユニット14をカセット70から搬出することができる。
【0017】
また、挟持部735は、カセット70に収容されている載置プレート71を引き出すこともできる。
チャックテーブル20に隣接する位置には、挟持部735から引き出された載置プレート71が載置される2本のレール27がY軸方向に延ばされて配設されている。この2本のレール27は、互いがY軸方向に接近及び離間可能となっている。
【0018】
挟持部735を用いてカセット70内の載置プレート71を挟持し、ボールネジ730を回転させてアーム部734を+Y方向に移動させることにより、載置プレート71をレール27に載置することができる。
【0019】
切削装置1は、ワークユニット14を搬送する搬送手段72を備えている。搬送手段72は、+X方向側の側面に、Y軸方向に延ばされて配設されたボールネジ720を備えている。ボールネジ720には、モータ722が接続されている。また、搬送手段72は、ボールネジ720に平行に配設されたガイドレール721と、内部のナットがボールネジ720に螺合してガイドレール721に摺接する可動板723と、可動板723の下端に連結された連結板724とを備えている。連結板724には、搬送パッド725が連結されている。
搬送パッド725は、例えば4つの吸盤7250を備えており、吸盤7250は、図示しない吸引源等に接続されている。吸盤7250に載置プレート71が接触している状態で、該吸引源を作動させることにより、吸盤7250に載置プレート71を吸引保持することができる。
【0020】
搬送パッド725の吸盤7250に載置プレート71が吸引保持された状態で、モータ722を用いてボールネジ720を回転させて可動板723をY軸方向に移動させると、可動板723に連結板724を介して連結されている搬送パッド725、及び搬送パッド725に保持されている載置プレート71が一体的にY軸方向に移動することとなる。搬送手段72を用いることにより、載置プレート71をチャックテーブル20の保持面210に移動させることができる。
【0021】
筐体カバー13に覆われた加工エリア19には、図2に示すように、X軸方向に延設されたベース10と、ベース10の上における-X方向側に立設された門型コラム11とが配設されている。また、加工エリア19には、チャックテーブル20に保持された被加工物140を切削する第1切削手段31及び第2切削手段32を備えている。
【0022】
ベース10の上には、保持手段2をX軸方向に移動させるX軸移動手段50が配設されている。
【0023】
保持手段2は、チャックテーブル20を有している。チャックテーブル20は、円板状の吸引部21と吸引部21を支持する環状の枠体22とを備えている。吸引部21の上面は、被加工物140が保持される保持面210である。枠体22の上面220は、保持面210に面一に形成されている。
【0024】
チャックテーブル20に隣接された位置には、チャックテーブル20を四方から囲むようにして4つのクランプ23が配設されている。保持面210に被加工物140を載置して、フレーム141を四つのクランプ23を用いて四方から挟持することにより、ワークユニット14をチャックテーブル20に固定することができる。
【0025】
また、チャックテーブル20は、回転手段24に支持されている。回転手段24は図示しないモータ等を備えており、チャックテーブル20を回転させることができる。
【0026】
X軸移動手段50は、X軸方向の軸心を有するボールネジ500と、ボールネジ500に平行に配設された一対のガイドレール501と、ボールネジ500を回転させるX軸モータ502と、底部のナットがボールネジ500に螺合してガイドレール501に摺接する可動板503とを備えている。可動板503は、回転手段24を支持している。
また、ガイドレール501に隣接される位置には、保持手段2のX軸方向の水平位置を認識するためのスケール504が配設されている。
【0027】
X軸モータ502を用いてボールネジ500を回転させると、可動板503がガイドレール501に案内されてX軸方向に移動するとともに、可動板503に回転手段24を介して支持されているチャックテーブル20が、可動板503と一体的にX軸方向に移動することとなる。
【0028】
保持手段2は、チャックテーブル20に隣接されるように配設された第1サブチャックテーブル251及び第2サブチャックテーブル252を備えている。可動板503の上には、2本の支柱26が立設されており、支柱26の上には、第1サブチャックテーブル251及び第2サブチャックテーブル252がそれぞれ支持されている。第1サブチャックテーブル251及び第2サブチャックテーブル252は矩形状を有している。
【0029】
門型コラム11の+X方向側かつ-Y方向側には、第1切削手段31を昇降可能に支持する第1Z軸移動手段41が配設されている。
【0030】
第1Z軸移動手段41は、Z軸方向の軸心を有するボールネジ410と、ボールネジ410に平行に配設されたガイドレール411と、ボールネジ410を回動させるZ軸モータ412と、側部のナットがボールネジ410に螺合してガイドレール411に摺接する昇降板413とを備えている。昇降板413には、スピンドルハウジング311が連結されている。
また、ガイドレール411に隣接する位置には、昇降板413の高さ位置を認識するためのスケール414が配設されている。昇降板413の高さ位置を認識することによって、昇降板に連結された第1切削手段31等の高さ位置を認識することが可能となっている。
【0031】
Z軸モータ412を用いてボールネジ410を回転させることにより、昇降板413がガイドレール411に案内されてZ軸方向に移動するとともに、昇降板413に連結されているスピンドルハウジング311がZ軸方向に移動する構成となっている。
【0032】
第1切削手段31は、切削ブレード310とスピンドルハウジング311とを備えている。スピンドルハウジング311の内部には図示しないスピンドルが配設されており、切削ブレード310は該スピンドルに装着されている。該スピンドルは、図示しないモータ等に連結されている。該スピンドルが該モータにより駆動されて回転すると、該スピンドルに連結されている切削ブレード310が回転することとなる。
【0033】
第1切削手段31の切削ブレード310に隣接する位置には、撮像手段33が配設されている。撮像手段33は例えばカメラであり、チャックテーブル20の保持面210に保持されたウェーハ140に予め形成されている分割予定ライン1402を撮像することができる。
【0034】
門型コラム11の+X方向側かつ+Y方向側には、第2切削手段32を昇降可能に支持する第2Z軸移動手段42が配設されている。
【0035】
第2Z軸移動手段42は第1Z軸移動手段41と同様に構成されている。第2Z軸移動手段42は、Z軸方向の軸心を有するボールネジ420と、ボールネジ420に平行に配設されたガイドレール421と、ボールネジ420を回動させるZ軸モータ422と、側部のナットがボールネジ420に螺合してガイドレール421に摺接する昇降板423とを備えている。昇降板423には、スピンドルハウジング321が連結されている。
また、ガイドレール421に隣接する位置には、昇降板423の高さ位置を認識するためのスケール424が配設されている。昇降板423の高さ位置を認識することによって、昇降板に連結された第2切削手段32の高さ位置を認識することが可能となっている。
【0036】
Z軸モータ422を用いてボールネジ420を回転させると、昇降板423がガイドレール421に案内されてZ軸方向に移動し、これに伴って昇降板423に連結されているスピンドルハウジング321がZ軸方向に移動する構成となっている。
【0037】
第2切削手段32は第1切削手段31と同様に構成されている。すなわち、第2切削手段32は、切削ブレード320とスピンドルハウジング321とを備えている。スピンドルハウジング321の内部には図示しないスピンドルが配設されており、切削ブレード320は該スピンドルに回転可能に装着されている。該スピンドルは、図示しないモータ等に連結されている。該スピンドルが該モータにより駆動されて回転すると、該スピンドルに装着された切削ブレード320が回転する。
【0038】
門型コラム11には、第1切削手段31をY軸方向に移動させる第1Y軸移動手段51と、第2切削手段32をY軸方向に移動させる第2Y軸移動手段52とが配設されている。
【0039】
第1Y軸移動手段51は、Y軸方向の軸心を有するボールネジ510と、ボールネジ510を回動させる図示しないY軸モータ(図示せず)と、ボールネジ510に平行に配設されたガイドレール511と、側部のナットがボールネジ510に螺合しガイドレール511に摺接するスライド板513とを備えている。スライド板513は、第1Z軸移動手段41を支持している。
また、ガイドレール511に隣接する位置には、第1Z軸移動手段41、及び第2Z軸移動手段のY軸方向の水平位置を認識するためのスケール514が配設されている。
【0040】
該Y軸モータを用いてボールネジ510を回転させるとスライド板513がガイドレール511に案内されてY軸方向に移動し、これに伴ってスライド板513に支持されている第1Z軸移動手段41及び第1Z軸移動手段41の昇降板413に支持されている第1切削手段31が一体的にY軸方向に移動することとなる。
【0041】
第2Y軸移動手段52は、第1Y軸移動手段51と同様に構成されている。すなわち、第2Y軸移動手段52は、Y軸方向の軸心を有するボールネジ520と、ボールネジ520を回動させるY軸モータ522と、ボールネジ520に平行に配設されたガイドレール521と、側部のナットがボールネジ520に螺合しガイドレール521に摺接するスライド板523とを備えている。
【0042】
Y軸モータ522を用いてボールネジ520を回転させるとスライド板523がガイドレール521に案内されてY軸方向に移動し、これに伴ってスライド板523に支持されている第2Z軸移動手段42及び第2Z軸移動手段42の昇降板423に支持されている第2切削手段32が一体的にY軸方向に移動することとなる。
【0043】
第1切削手段31に隣接する位置には、第1ドレッサ保持ユニット61が配設されている。第1ドレッサ保持ユニット61は、ドレッサボード15を保持する第1保持部610と、第1保持部610をZ軸方向に移動させる上下移動手段611とを備えている。
【0044】
第1保持部610は、図3に示すように、軸部616を介して上下移動手段611に連結されている。軸部616の内部には、Z軸方向に延ばされた吸引路67が、軸部616の上下面を貫通するようにして形成されている。また、第1保持部610の内部には、吸引路67に接続された連通路68が形成されている。連通路68は、複数の分岐路680に分岐されている。
第1保持部610の下面619には、複数の分岐路680に貫通されて形成された吸引孔6190が設けられている。
吸引路67には、吸引源614が接続されている。吸引源614を作動して吸引力を発揮すると、生み出された吸引力が吸引路67、連通路68、及び分岐路680を通じて吸引孔6190に伝達されることとなる。
【0045】
また、第1保持部610の下面619の外周部分には、環状のシール部618が、その一部が下面619から突出した状態で埋設されている。シール部618は、例えばドレッシングにより複数の溝が形成されたドレッサボードを第1保持部610の下面619に吸引保持可能にするパッキンである。
【0046】
上下移動手段611は、図2に示した第1Z軸移動手段41の昇降板413の+X方向側の側面に配設されたシリンダ612と、シリンダ612に収容されたピストン613とを有するシリンダ機構であり、第1保持部610はピストン613の下端に連結されている。
上下移動手段611は、例えば図示しないエア源に接続されている。該エア源からシリンダ612の内部にエアを供給することにより、ピストン613をシリンダ612から-Z方向に突出させることができる。該エア源からシリンダ612の内部に供給するエアの供給量を制御して、ピストン613をZ軸方向に昇降させることにより、第1保持部610を昇降させることができる。
【0047】
第1ドレッサ保持ユニット61を用いてドレッサボード15を保持する際には、第1保持部610をドレッサボード15の直下に位置づけてから、上下移動手段611を用いて第1保持部610を下降させて、図4に示すように、第1保持部610の下面619をドレッサボード15の上面に接触させる。そして、第1保持部610の下面619がドレッサボード15に接触している状態で吸引源614を作動させて、吸引孔6190に吸引力を伝達することにより、第1保持部610にドレッサボード15を吸引保持することができる。
【0048】
第1保持部610の下面619をドレッサボード15に接触させると、第1保持部610に埋設されているシール部618の下面がドレッサボード15の上面に接触し、シール部618がドレッサボード15の上面から+Z方向に押圧されて押し縮められるとともに、シール部618の下面にドレッサボード15の上面が密着する。したがって、ドレッサボード15の上面にドレッシングによる切削溝が形成されている場合には、シール部618の下面が切削溝に密着し、エアのリークを防ぐ。
【0049】
図2に示すように、第1ドレッサ保持ユニット61の-Y方向側には、第2ドレッサ保持ユニット62が配設されている。
第2ドレッサ保持ユニット62は、第1ドレッサ保持ユニット61と同様に構成されている。第2ドレッサ保持ユニット62は、ドレッサボード15を保持する第2保持部620と、第2保持部620をZ軸方向に移動させる上下移動手段621とを備えている。
【0050】
上下移動手段621は、第1Z軸移動手段41の昇降板413の+X方向側の側面に配設されたシリンダ622と、シリンダ622に収容されたピストン623とを有するシリンダ機構であり、第2保持部620はピストン623の下端に連結されている。
上下移動手段621は、例えば図示しないエア源に接続されている。該エア源からシリンダ622の内部にエアを供給することにより、ピストン623をシリンダ622から-Z方向に突出させることができる。該エア源からシリンダ622の内部に供給するエアの供給量を制御して、ピストン623をZ軸方向に昇降させることにより、第2保持部620を昇降させることができる。
【0051】
第2ドレッサ保持ユニット62の-Y方向側には、ドレッサ仮置き部63が配設されている。ドレッサ仮置き部63は、その上面630にドレッサボード15を仮置きするための矩形状の仮置きテーブルであり、ベース10の上における-Y方向側に立設された支柱631に支持されている。
【0052】
また、図1に示すように、筐体カバー13の+X方向側の側面には、ドレッサ仮置き部アクセス扉632が設けられている。ドレッサ仮置き部アクセス扉632を開くことにより、筐体カバー13に覆われた加工エリア19の内外の空間が連通され、ドレッサボード15をドレッサ仮置き部63の上面630に載置することができるようになる。
【0053】
切削装置1は、切削装置1の各種の機構を制御する制御手段64を備えている。制御手段64は、カセットステージ700に載置されたカセット70に収納されている載置プレート71を保持面210に搬入するために搬送手段72及び搬出入手段73を制御する載置プレート搬入制御部641を備えている。
【0054】
また、制御手段64は、保持面210に保持された載置プレート71の第1載置部711及び第2載置部712のうち、ドレッサボードが載置されていない側の載置部に、サブチャックテーブル251又は252に保持されているドレッサボードを搬出するために、X軸移動手段50と第1Y軸移動手段51と第1ドレッサ保持ユニット61とを制御するドレッサ搬出制御部642を備えている。
【0055】
また、制御手段64は、保持面210に保持された載置プレート71の第1載置部711または第2載置部712に載置されているドレッサボードをサブチャックテーブル251又は252に搬入するためにX軸移動手段50と第1Y軸移動手段51と第1ドレッサ保持ユニット61とを制御するドレッサ搬入制御部643を備えている。
【0056】
制御手段64は、保持面210に保持されている載置プレート71をカセットステージ700に載置されたカセット70に収納するために搬送手段72及び搬出入手段73を制御する載置プレート搬出制御部644を備えている。
【0057】
制御手段64は、検査テーブル17に載置された載置プレート71を保持面210に搬入するために該搬送手段を制御する第2載置プレート搬入制御部651を備えている。
【0058】
制御手段64は、保持面210に保持された載置プレート71のドレッサボード15が載置されていない側の載置部に、第1サブチャックテーブル251に保持されているドレッサボードを搬出するためにX軸移動手段50と第1Y軸移動手段51と第1ドレッサ保持ユニット61とを制御する第2ドレッサ搬出制御部652を備えている。
【0059】
制御手段64は、保持面210に保持された載置プレート71の載置部711、712に載置されているドレッサボード15を第1サブチャックテーブル251に搬入するためにX軸移動手段50と第1Y軸移動手段51と第1ドレッサ保持ユニット61とを制御する第2ドレッサ搬入制御部653を備えている。
【0060】
制御手段64は、保持面210に保持されている載置プレート71をカセットステージ700に載置されたカセット70に収納するために搬送手段72及び搬出入手段73を制御する第2載置プレート搬出制御部654を備えている。
【0061】
2 切削装置の動作
(被加工物の切削加工)
上記の切削装置1を用いた被加工物140の切削加工の際の切削装置1の動作について、以下に説明する。
【0062】
まず、図1に示した搬出入手段73を用いてカセット70に収容されているワークユニット14を1枚引き出してレール27に載置し、その後、搬送手段72がワークユニット14を保持し、レール27が離間してからワークユニット14を下降させてチャックテーブル20に搬送し、被加工物140を保持面210に載置する。そして、4つのクランプ23を用いてフレーム141を把持して固定する。また、保持面210を吸引源に連通させテープ142を吸引保持する。これにより、被加工物140が保持面210に保持される。
【0063】
次に、図2に示したX軸移動手段50を用いてチャックテーブル20を-X方向に移動させて、ワークユニット14を搬送エリア18から加工エリア19に移動させる。これにより、チャックテーブル20に保持されている被加工物140が撮像手段33の下方に位置付けられる。
【0064】
被加工物140を撮像手段33の下方に位置付けた後、撮像手段33を用いて分割予定ライン1402を撮像する。そして、撮像された分割予定ライン1402の画像に基づいて、第1Y軸移動手段51や第2Y軸移動手段52を用いて第1切削手段31や第2切削手段32をY軸方向に適宜移動させて、分割予定ライン1402に対する第1切削手段31や第2切削手段32のY軸方向の位置合わせを行う。
【0065】
その後、スピンドルハウジング311の内部に収容されている図示しないスピンドルに連結されている図示しないモータ等を用いて、第1切削手段31、及び第2切削手段32に備える切削ブレード310及び320をそれぞれ回転させる。
【0066】
そして、切削ブレード310、及び320が回転している状態で、第1Z軸移動手段41及び第2Z軸移動手段42を用いて第1切削手段31を-Z方向に移動させて、回転する切削ブレード310、及び320を被加工物140の分割予定ライン1402に当接させるとともに、X軸移動手段50を用いてチャックテーブル20に保持されている被加工物140を-X方向に移動させる。これにより、被加工物140と切削ブレード310とがX軸方向に相対移動して、被加工物140の分割予定ライン1402に沿って被加工物140が切削される。
【0067】
1つの分割予定ライン1402の切削を行った後、例えば、隣り合う分割予定ライン1402の間隔の分だけ第1Y軸移動手段51及び第2Y軸移動手段52を用いて第1切削手段31及び第2切削手段32をY軸方向に移動させて、同様に分割予定ライン1402に対して切削ブレード30を切り込ませることにより、隣り合う分割予定ライン1402を切削加工する。
【0068】
このようにして、被加工物140に形成されている同一方向の分割予定ライン1402を全て切削した後に、例えば、回転手段24を用いてチャックテーブル20を例えば90度回転させてから、同様に切削加工を行うことによって、被加工物140の全ての分割予定ライン1402に対して切削加工を行う。これにより、被加工物140に形成されているすべての分割予定ライン1402が切削される。
【0069】
被加工物140の切削加工を行った後、X軸移動手段50を用いてチャックテーブル20を+X方向に移動させて、チャックテーブル20に保持されているワークユニット14を図1に示した搬送エリア18に位置づける。
そして、搬送手段72を用いてワークユニット14をチャックテーブル20から検査テーブル17に搬送し、検査テーブル17の保持面170に被加工物140保持する。そして、被加工物140が適切に切削加工されたどうか検査する。
なお、検査テーブル17の上方には、保持面170に保持された被加工物140の上面を撮像するカメラが配置されている。
【0070】
被加工物140の検査を行った後、搬送手段72及び搬出入手段73によって被加工物14をカセット70に収容する。その後、搬出入手段73を用いてカセット70に収容されているまだ被加工物140が切削加工されていないワークユニット14を引き出し、同様に切削加工していく。これにより、複数の被加工物140を連続して切削加工することができる。
【0071】
(切削ブレードのドレッシング)
上記のように、切削装置1を用いて複数の被加工物140を切削加工していくと、図2に示した第1切削手段31の切削ブレード310及び第2切削手段の切削ブレード320の切り刃に目つぶれが生じて切削効率が低下する。そこで、切削ブレードを用いて図5に示す第1ドレッサボード151を切削して切削ブレードをドレッシングすることにより、切り刃に生じている目つぶれを解消して切削ブレードの切れ味を取り戻す。
以下、切削装置1に備える第1切削手段31の切削ブレード310のドレッシングを行う際の切削装置1の動作について説明する。
【0072】
切削ブレード310をドレッシングする際には、まず、第1サブチャックテーブル251の上に第1ドレッサボード151が保持されている状態で、切削ブレード310と第1ドレッサボード151とのY軸方向の位置合わせを行う。該位置合わせの際の切削装置1の動作は、上記の第1切削手段31とチャックテーブル20に保持された被加工物140とのY軸方向の位置合わせの際の切削装置1の動作と同様である。
すなわち、撮像手段33のカメラ等を用いて第1サブチャックテーブル251に保持されている第1ドレッサボード151を撮像し、撮像された画像に基づいて、第1切削手段31をY軸方向に移動させる。
これにより、切削ブレード310が切削ブレード310のドレッシングを開始するためのY軸位置に位置づけられる。
なお、撮像手段33を用いなくてもよい。第1サブチャックテーブル251のY軸方向の位置と、第1ドレッサボード151の大きさを記憶していて、第1切削手段31をY軸方向に移動させる。また、ドレッシングの終了時に切削ブレード310のY軸方向の位置を記憶していて、次回のドレッシングを開始するY軸位置に切削ブレード310を位置づけてもよい。
【0073】
その後、切削ブレード310が回転している状態で、第1Z軸移動手段41を用いて第1切削手段31を-Z方向に移動させて、回転する切削ブレード310を第1ドレッサボード151に当接させるとともに、X軸移動手段50を用いて第1ドレッサボード151を-X方向に移動させる。これにより、第1ドレッサボード151と切削ブレード310とがX軸方向に相対移動して第1ドレッサボード151が切削され、切削ブレード310がドレッシングされる。
【0074】
第2切削手段32の切削ブレード320のドレッシングも同様に行われる。
切削ブレード310及び320のドレッシングは、例えば所定の枚数の被加工物140を切削加工する毎に行われるものとする。
【0075】
(ドレッサボードの交換)
例えば、所定の枚数の被加工物140を切削加工する毎に、第1ドレッサボード151に切削ブレード310及び320を切り込ませると、第1ドレッサボード151の上面に複数の溝が形成されていき、次第に第1ドレッサボード151の上面に未切削の領域がなくなっていく。
そこで、例えば、第1サブチャックテーブル251に保持されている第1ドレッサボード151を用いて切削ブレード310を所定の回数だけドレッシングした後、第1ドレッサボード151を未使用の第2ドレッサボード152に交換する。
以下、第1サブチャックテーブル251に保持されている第1ドレッサボード151を第2ドレッサボード152に交換する際の切削装置1の動作について説明する。
【0076】
まず、図1に示したドレッサ仮置き部アクセス扉632を開いて、図5に示すように、ドレッサ仮置き部63の上面630に第2ドレッサボード152を仮置きする。この作業は、オペレータ等により手動で行われる。
【0077】
その後、図2に示したX軸移動手段50を用いて可動板503を-X方向に移動させて、可動板503に支持されている第1サブチャックテーブル251を、第1ドレッサ保持ユニット61及び第2ドレッサ保持ユニット62のY軸方向の水平移動の移動経路の下方に位置づける。
【0078】
そして、第1Y軸移動手段51を用いて第1Z軸移動手段41を-Y方向に移動させる。これにより、第1Z軸移動手段41に支持されている第1ドレッサ保持ユニット61及び第2ドレッサ保持ユニット62が一体的に-Y方向に移動して、図6に示すように、第2ドレッサ保持ユニット62の第2保持部620が、ドレッサ仮置き部63に仮置きされている第2ドレッサボード152の上方に位置付けられる。
【0079】
第2ドレッサボード152の上方に第2ドレッサ保持ユニット62の第2保持部620が位置付けられている状態で、図2に示した上下移動手段621を用いて第2保持部620を-Z方向に下降させて、第2保持部620の下面を第2ドレッサボード152に接触させる。そして、第2保持部620に接続されている図示しない吸引源を作動させて、第2保持部620が第2ドレッサボード152を保持する。その後、上下移動手段621を用いて第2保持部620を+Z方向に上昇させる。
【0080】
次に、第1Y軸移動手段51を用いて第1Z軸移動手段41を+Y方向に移動させて、図7に示すように、第1ドレッサ保持ユニット61の第1保持部610を第1サブチャックテーブル251に保持されている第1ドレッサボード151の上方に位置づける。そして、図2に示した上下移動手段611を用いて第1保持部610を-Z方向に下降させて、第1保持部610の下面を第1ドレッサボード151に接触させる。そして、第1保持部610に接続されている図示しない吸引源を作動させて、第1保持部610に第1ドレッサボード151を保持する。
【0081】
さらに、第1Y軸移動手段51を用いて第1Z軸移動手段41を+Y方向に移動させて、図8に示すように、第2ドレッサ保持ユニット62の第2保持部620に保持されている第2ドレッサボード152を、第1サブチャックテーブル251の上方に位置づける。
【0082】
そして、図2に示した上下移動手段621を用いて第2保持部620を-Z方向に下降させるとともに、第2保持部620に作用している吸引力を取り除いて第1サブチャックテーブル251に第2ドレッサボード152を載置し、吸引力を作用させる。
【0083】
その後、第1Y軸移動手段51を用いて第1Z軸移動手段41を-Y方向に移動させて、図9に示すように、第1ドレッサ保持ユニット61に保持されている第1ドレッサボード151をドレッサ仮置き部63の上方に位置づける。
そして、図2に示した上下移動手段611を用いて第1保持部610を-Z方向に下降させるとともに、第1保持部610に作用している吸引力を取り除いてドレッサ仮置き部63に第1ドレッサボード151を仮置きする。
【0084】
最後に、図10に示すように、ドレッサ仮置き部アクセス扉632を開いて、ドレッサ仮置き部63に仮置きされている第1ドレッサボード151を切削装置1の外部へと回収する。
【0085】
以上のように、切削装置1におけるドレッサボードの交換では、ドレッサボードの交換のための作業の大部分に作業者を必要としないため、切削ブレード310及び320のドレッシングと、被加工物140の連続加工とを行うことができる。これにより、被加工物140の効率的な切削加工が可能となる。
【0086】
ドレッサボードの交換は、上記のようにドレッサ仮置き部63と第1サブチャックテーブル251との間で、第1ドレッサボード151及び第2ドレッサボード152を搬送して交換するという構成にかえて、図1に示した載置プレート71をチャックテーブル20に保持して、第1サブチャックテーブル251と、チャックテーブル20に保持された載置プレート71との間において、第1ドレッサボード151及び第2ドレッサボード152を搬送して交換するという構成でもよい。
【0087】
かかる交換の際には、まず、載置プレート搬入制御部641により搬送手段72等を制御して、カセット70に収納されている載置プレート71を保持面210に搬入する。
【0088】
具体的には、搬出入手段73を用いてカセット70に収納されている載置プレート71を引き出して、レール27に載置する。載置プレート71の第1載置部711には第2ドレッサボード152が載置されているものとする。
【0089】
載置プレート71をレール27に引き出した後、レール27を離間させ、搬送手段72を用いてレール27に載置されている載置プレート71をチャックテーブル20の保持面210の上に移動させる。そして、チャックテーブル20に接続されている図示しない吸引源を作動させて保持面210を吸引する。これにより、載置プレート71が保持面210に保持される。
載置プレート71は、Y軸方向に第1載置部711と第2載置部712とが並ぶように保持面210に保持させている。
【0090】
次に、ドレッサ搬出制御部642により、図2に示したX軸移動手段50、第1Y軸移動手段51、及び第1ドレッサ保持ユニット61を制御して、保持面210に保持された載置プレート71のドレッサボードが載置されていない第2載置部712に、第1サブチャックテーブル251に保持されている第1ドレッサボード151を搬出する。
【0091】
具体的には、まず、X軸移動手段50と第1Y軸移動手段51とを制御して、第1サブチャックテーブル251に保持された第1ドレッサボード151の直上に第1保持部610を位置付ける。
次いで、上下移動手段611を制御して、第1保持部610を下降させて、第1保持部610に第1ドレッサボード151を保持してから、第1保持部610を上昇させる。
【0092】
さらに、X軸移動手段50と第1Y軸移動手段51とを制御して、第1ドレッサボード151が保持されている第1保持部610を、チャックテーブル20上の載置プレート71のドレッサボードが載置されていない側の第2載置部712の直上に位置付ける。
【0093】
そして、上下移動手段611を制御して、第1保持部610を下降させるとともに、第1保持部610に保持されている第1ドレッサボード151を第2載置部712に載置する。こうして、第1ドレッサボード151が、第1サブチャックテーブル251から搬出されて、チャックテーブル20に保持されている載置プレート71の第2載置部712に載置される。
【0094】
次に、ドレッサ搬入制御部643により、第1Y軸移動手段51、及び第1ドレッサ保持ユニット61を制御して、保持面210に保持された載置プレート71の第1載置部711に載置されている第2ドレッサボード152を第1サブチャックテーブル251に搬入する。
【0095】
具体的には、まず、第1Y軸移動手段51を制御して、第1ドレッサ保持ユニット61の第1保持部610を、チャックテーブル20に保持された載置プレート71の第1載置部711に載置されている第2ドレッサボード152の直上に、位置付ける。
【0096】
次いで、上下移動手段611を制御して、第1保持部610を下降させて、第1保持部610に第2ドレッサボード152を保持してから、第1保持部610を上昇させる。
【0097】
さらに、第1Y軸移動手段51を制御して、第2ドレッサボード152が保持された第1保持部610を、第1サブチャックテーブル251の直上に位置付ける。
【0098】
そして、上下移動手段611を制御して、第1保持部610を下降させるとともに、第1保持部610に保持されている第2ドレッサボード152を第1保持部610から離反させて、第1サブチャックテーブル251に載置する。
【0099】
上記のように、チャックテーブル20の保持面210に載置プレート71を保持して、載置プレート71に載置された第2ドレッサボード152と、第1サブチャックテーブル251に保持されている第1ドレッサボード151とを交換することにより、ドレッサボードの交換を自動化することができる。これにより、被加工物140の連続加工が可能となる。
【0100】
ドレッサボードの交換は、一旦、第2ドレッサボード152が載置されている載置プレート71を検査テーブル17に載置してから、検査テーブル17からチャックテーブル20の保持面210に搬送した後、上記と同様にして第1サブチャックテーブル251と、チャックテーブル20に保持された載置プレート71の第1載置部711、及び第2載置部712との間において、第1ドレッサボード151、及び第2ドレッサボード152を搬送するという構成でもよい。
なお、検査テーブル17に搬入した第2ドレッサボード152の上面をカメラで撮像し、第1ドレッサボード151がドレッシング可能か否かを検査する。
なお、検査テーブル17の保持面170に保持された載置プレート71の第2ドレッサボード152の上面を洗浄する洗浄ノズルを備えて、洗浄ノズルから洗浄水を噴射させ、チャックテーブル20の保持面210に載置プレート71を搬入する前に載置プレート71に載置されている第2ドレッサボード152を洗浄してもよい。
また、チャックテーブル20の保持面210から搬出し検査テーブル17の保持面170に保持された載置プレート71の第1ドレッサボード151に洗浄ノズルから洗浄水を噴射させ洗浄してもよい。
【0101】
かかる構成においては、まず、搬出入手段73及び搬送手段72によって図1に示したカセット70から載置プレート71を引き出して、検査テーブル17の保持面170に載置する。
【0102】
そして、第2載置プレート搬入制御部651により、搬送手段72を制御して検査テーブル17に載置されている載置プレート71を保持面210に搬入する。
【0103】
次いで、第2ドレッサ搬出制御部652により、X軸移動手段50と第1Y軸移動手段51と第1ドレッサ保持ユニット61とを制御して、保持面210に保持された載置プレート71の第1載置部711に載置されている第2ドレッサボード152を第1サブチャックテーブル251に搬入する。
【0104】
その後、第2載置プレート搬出制御部654により、搬送手段72を制御して、保持面210に保持されている載置プレート71をカセットステージ700に載置されたカセット70に収納する。
【0105】
なお、切削装置1は、第1ドレッサ保持ユニット61にかえて、図11に示す第3ドレッサ保持ユニット9を備えるものであってもよい。
【0106】
第3ドレッサ保持ユニット9は、第3保持部91と、第3保持部91をZ軸方向に移動させる上下移動手段93とを備えている。上下移動手段93は、図2に示した第1ドレッサ保持ユニット61に備える上下移動手段611と同様の構成を有しているため、説明を省略する。
第3保持部91は、図11に示すように、上下移動手段93に連結された連結部材911と、連結部材911の下端に配設された支持板910と、支持板910の両端に配設された把持部90とを備えている。把持部90は、かぎ爪状を有しており、回転軸95を軸にして回転自在である。また、各々の把持部90の上部側面には、錘94が配設されている。
【0107】
各々の錘94が自重によって略下向きに下降すると、錘94の荷重を受けて把持部90が回転軸95を軸にして支持板910の中心に向けて回転して、向かい合う把持部90の爪900が接近することとなる。錘94が自重によって把持部90の上部側面における下限の位置まで下がった状態においては、支持板910と把持部90とは互いに直交している状態にあるものとする。
【0108】
かかる状態で、例えば、第3ドレッサ保持ユニット9の第3保持部91を、ドレッサ仮置き部63に保持されているドレッサボード15の上方に位置付けてから、上下移動手段93を用いて第3保持部91を-Z方向に下降させていくと、図11に示すように、ドレッサボード15の側面によって爪900の先端が外側へと押されて、把持部90が回転軸95を軸にして支持板910の中心から離れる方向にやや回転する。そして、その状態で、上下移動手段93を用いて第3保持部91をやや上昇させると、図12に示すように、ドレッサボード15が把持部90の爪900に引っ掛けられて把持される。
ドレッサボード15が把持部90に把持されている状態で、上下移動手段93を用いて第3保持部91を+Z方向に上昇させることにより、ドレッサボード15を搬送することができる。
【0109】
なお、図2に示した切削装置1は、第1切削手段31及び第2切削手段32を備え、これに対応して第1サブチャックテーブル251及びサブチャックテーブル252を備える構成としたが、切削手段は1つのみでもよく、その場合は、サブチャックテーブルも1つのみでよい。
【0110】
また、第1ドレッサ保持ユニット61又は第2ドレッサ保持ユニット62は、第1切削手段31とともにY軸方向に移動する構成としたが、第1切削手段31及び第2切削手段32とは別に、独立してY軸方向に移動する構成としてもよい。もっとも、本実施形態のように、第1ドレッサ保持ユニット61及び第2ドレッサ保持ユニット62をY軸方向に移動させるための機構が、いずれかの切削手段をY軸方向に移動させるための機構を兼ねることにより、装置構成が複雑化するのを回避することができる。
【符号の説明】
【0111】
1:切削装置 10:ベース 11:門型コラム 12:筐体 13:筐体カバー
14:ワークユニット
140:被加工物 140:ウェーハ 141:フレーム 142:テープ
1400:上面 1401:デバイス 1402:分割予定ライン
15:ドレッサボード 151:第1ドレッサボード 152:第2ドレッサボード
17:検査テーブル 170:保持面 171:クランプ
18:搬送エリア 19:加工エリア
2:保持手段 20:チャックテーブル 21:吸引部 210:保持面 22:枠体
220:枠体の上面 23:クランプ 24:回転手段
251:第1サブチャックテーブル 252:第2サブチャックテーブル
26:支柱 27:レール
31:第1切削手段 310:切削ブレード 311:スピンドルハウジング
32:第2切削手段 320:切削ブレード 321:スピンドルハウジング
33:撮像手段
41:第1Z軸移動手段 410:ボールネジ 411:ガイドレール
412:Z軸モータ 413:昇降板 414:スケール
42:第2Z軸移動手段 420:ボールネジ 421:ガイドレール
422:Z軸モータ 423:昇降板 424:スケール
50:X軸移動手段 500:ボールネジ 501:ガイドレール
502:X軸モータ 503:可動板 504:スケール
51:第1Y軸移動手段 510:ボールネジ
511:ガイドレール 513:スライド板
52:第2Y軸移動手段 520:ボールネジ 521:ガイドレール
522:Y軸モータ 523:スライド板 524:スケール
61:第1ドレッサ保持ユニット 610:第1保持部 611:上下移動手段
612:シリンダ 613:ピストン 614:吸引源 616:軸部
67:吸引路 68:連通路 680:分岐路 618:シール部 619:下面
6190:吸引孔
62:第2ドレッサ保持ユニット 620:第2保持部 621:上下移動手段
622:シリンダ 623:ピストン
63:ドレッサ仮置き部 630:上面 631:支持柱
700:カセットステージ 70:カセット 71:載置プレート
710:上面 711:第1載置部 712:第2載置部
72:搬送手段 720:ボールネジ 721:ガイドレール 722:モータ
723:可動板 724:連結板 725:搬送パッド 7250:吸盤
73:搬出入手段 730:ボールネジ 731:ガイドレール
734:アーム部 735:引き出し具
9:第3ドレッサ保持ユニット 91:第3保持部 910:支持板
911:連結部材 90:把持部 900:爪 93:上下移動手段
94:錘 95:回転軸
64:制御手段 641:載置プレート搬入制御部 642:ドレッサ搬出制御部
643:ドレッサ搬入制御部 644:載置プレート搬出制御部
651:第2載置プレート搬入制御部 652:第2ドレッサ搬出制御部
653:第2ドレッサ搬入制御部 654:第2載置プレート搬出制御部
図1
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図12