(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-09
(45)【発行日】2025-01-20
(54)【発明の名称】光学装置、光学装置のサブアセンブリ、および光学装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
H05K 1/18 20060101AFI20250110BHJP
H10H 20/85 20250101ALI20250110BHJP
H01L 23/02 20060101ALI20250110BHJP
H01L 23/20 20060101ALI20250110BHJP
【FI】
H05K1/18 S
H01L33/48
H01L23/02 F
H01L23/20
(21)【出願番号】P 2021009331
(22)【出願日】2021-01-25
【審査請求日】2023-10-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊澤 敦
(72)【発明者】
【氏名】長島 和哉
(72)【発明者】
【氏名】石川 陽三
(72)【発明者】
【氏名】稲葉 悠介
(72)【発明者】
【氏名】古川 拓也
【審査官】ゆずりは 広行
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-322049(JP,A)
【文献】実開昭58-118758(JP,U)
【文献】特開平09-283886(JP,A)
【文献】特開2004-181043(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 1/18
H01L 33/48
H01L 23/02
H01L 23/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケースと、
前記ケースを貫通し、絶縁部と導体とを有した
フレキシブル基板である配線基板と、
前記ケース内に収容されるとともに前記配線基板にフリップチップ実装された部品であって、光の出力、受光、光の特性変更のうち少なくとも一つを行う第一部品、および当該第一部品を電気的に制御する第二部品のうち、少なくとも一つの部品と、
前記ケースを貫通し、当該ケースを貫通する位置で前記配線基板を支持する支持部材と、
を備えた、光学装置。
【請求項2】
第一壁と、当該第一壁と交差した第二壁と、を有したケースと、
前記第一壁を貫通し、絶縁部と導体とを有したフレキシブル基板である配線基板と、
前記ケース内に収容されるとともに前記配線基板にフリップチップ実装された部品であって、光の出力、受光、光の特性変更のうち少なくとも一つを行う第一部品、および当該第一部品を電気的に制御する第二部品のうち、少なくとも一つの部品と、
前記第一壁を貫通し、当該第一壁を貫通する位置で前記配線基板を支持するとともに、前記部品と前記第二壁との間に介在し当該部品
と熱的に接続
されるとともに前記第二壁と熱的に接続される第一伝熱部材
と、
を備えた、光学装置。
【請求項3】
可撓性を有
するとともに、前記部品と前記第一伝熱部材との間に介在し、当該部品と熱的に接続されるとともに前記第一伝熱部材と熱的に接続される第二伝熱部材を備えた、請求項2に記載の光学装置。
【請求項4】
前記配線基板は、前記ケースに設けられた開口を貫通し、
前記光学装置は、前記開口の縁と前記配線基板とを接合する接合材を備えた、請求項1~
3のうちいずれか一つに記載の光学装置。
【請求項5】
前記配線基板は、前記ケースに設けられた開口を貫通し、
前記ケースは、前記開口の縁から突出し前記配線基板と噛み合う突起を有した、請求項1~
4のうちいずれか一つに記載の光学装置。
【請求項6】
前記配線基板は、前記ケースに設けられた開口を貫通するとともに、当該開口に圧入されている、請求項1~
4のうちいずれか一つに記載の光学装置。
【請求項7】
前記配線基板は、前記ケースに設けられた開口を貫通し、
前記配線基板と前記開口の縁との間が気密封止されている、請求項1~
6のうちいずれか一つに記載の光学装置。
【請求項8】
請求項1~7のうちいずれか一つに記載の光学装置を含むサブアセンブリであって、
前記配線基板と、
前記部品と、
を有し、
前記ケースの壁に設けられた開口を前記配線基板が貫通しかつ前記部品が前記壁に対して当該壁における前記ケースの外面とは反対側に位置された状態で、前記ケースに取付可能に構成された、光学装置のサブアセンブリ。
【請求項9】
請求項1~7のうちいずれか一つに記載の光学装置を含むサブアセンブリであって、
前記ケースの一部であり第一壁を含む第一部位と、
前記配線基板と、
前記部品と、
を有し、
前記ケースの前記第一部位とは異なる第二部位に取付可能に構成された、光学装置のサブアセンブリ。
【請求項10】
請求項1~7のうちいずれか一つに記載の光学装置の製造方法であって、
前記配線基板に、
前記部品を実装したサブアセンブリを作成する工程と、
前記ケースの壁に設けられた開口を前記配線基板が貫通しかつ前記部品が前記壁に対して当該壁における前記ケースの外面とは反対側に位置された状態で、前記サブアセンブリと前記ケースとを固定する工程と、
を備えた、光学装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学装置、光学装置のサブアセンブリ、および光学装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光学装置として、ケースを貫通するフィードスルーを備えた光学装置が知られている(例えば、特許文献1)。フィードスルーは、絶縁体と、当該絶縁体を貫通する複数の端子とを有し、ケースの内側と外側との間での電気的な導通を確保するための端子のアセンブリである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の光学装置において、例えば、部品点数を減らすことができたり、光学装置をより小型化することができたりするような、改善された新規な構成の光学装置が得られれば、有益である。
【0005】
そこで、本発明の課題の一つは、例えば、改善された新規な構成の光学装置、光学装置のサブアセンブリ、および光学装置の製造方法を得ること、である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の光学装置は、例えば、ケースと、前記ケースを貫通し、絶縁部と導体とを有した配線基板と、前記ケース内に収容されるとともに前記配線基板にフリップチップ実装された部品であって、光の出力、受光、光の特性変更のうち少なくとも一つを行う第一部品、および当該第一部品を電気的に制御する第二部品のうち、少なくとも一つの部品と、を備える。
【0007】
前記光学装置は、前記配線基板としてリジッド基板を備えてもよい。
【0008】
前記光学装置は、前記配線基板としてフレキシブル基板を備えてもよい。
【0009】
前記光学装置にあっては、前記ケースは、前記配線基板が貫通する第一壁と、当該第一壁と交差した第二壁と、を有し、前記光学装置は、前記部品と前記第二壁との間に介在し当該部品と前記第二壁とを熱的に接続した伝熱部材を備えてもよい。
【0010】
前記光学装置は、前記伝熱部材として可撓性を有した伝熱部材を備えてもよい。
【0011】
前記光学装置にあっては、前記配線基板は、前記ケースに設けられた開口を貫通し、前記光学装置は、前記開口の縁と前記配線基板とを接合する接合材を備えてもよい。
【0012】
前記光学装置にあっては、前記配線基板は、前記ケースに設けられた開口を貫通し、前記ケースは、前記開口の縁から突出し前記配線基板と噛み合う突起を有してもよい。
【0013】
前記光学装置にあっては、前記配線基板は、前記ケースに設けられた開口を貫通するとともに、当該開口に圧入されていてもよい。
【0014】
前記光学装置にあっては、前記配線基板は、前記ケースに設けられた開口を貫通し、前記配線基板と前記開口の縁との間が気密封止されていてもよい。
【0015】
本発明の光学装置のサブアセンブリは、例えば、配線基板と、前記配線基板に実装された部品であって、光の出力、受光、光の特性変更のうち少なくとも一つを行う第一部品、および当該第一部品を電気的に制御する第二部品のうち、少なくとも一つの部品と、を有し、光学装置のケースの壁に設けられた開口を前記配線基板が貫通しかつ前記部品が前記壁に対して当該壁における前記ケースの外面とは反対側に位置された状態で、前記ケースに取付可能に構成される。
【0016】
本発明の光学装置のサブアセンブリは、例えば、光学部品を収容するケースの一部であり第一壁を含む第一部位と、前記第一壁を貫通した状態で当該第一壁と固定された配線基板と、前記配線基板に実装されるとともに前記第一壁に対して当該第一壁における前記ケースの外面とは反対側に位置された部品であって、光の出力、受光、光の特性変更のうち少なくとも一つを行う第一部品、および当該第一部品を電気的に制御する第二部品のうち、少なくとも一つの部品と、を有し、前記ケースの前記第一部位とは異なる第二部位に取付可能に構成される。
【0017】
本発明の光学装置の製造方法は、例えば、配線基板に、光の出力、受光、光の特性変更のうち少なくとも一つを行う第一部品、および当該第一部品を電気的に制御する第二部品のうち、少なくとも一つの部品を実装したサブアセンブリを作成する工程と、光学装置のケースの壁に設けられた開口を前記配線基板が貫通しかつ前記部品が前記壁に対して当該壁における前記ケースの外面とは反対側に位置された状態で、前記サブアセンブリと前記ケースとを固定する工程と、を備える。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、例えば、改善された新規な構成を備えた光学装置、光学装置のサブアセンブリ、および光学装置の製造方法を、得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、第1実施形態の光学装置の内部構成を示す例示的かつ模式的な平面図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態の光学装置の一部の例示的かつ模式的な断面図である。
【
図3】
図3は、第2実施形態の光学装置の一部の例示的かつ模式的な断面図である。
【
図4】
図4は、第3実施形態の光学装置の一部の例示的かつ模式的な断面図である。
【
図5】
図5は、第4実施形態の光学装置の一部の例示的かつ模式的な断面図である。
【
図6】
図6は、第5実施形態の光学装置の一部の例示的かつ模式的な側面図(一部断面図)である。
【
図7】
図7は、第6実施形態の光学装置の一部の例示的かつ模式的な側面図(一部断面図)である。
【
図8】
図8は、第7実施形態の光学装置の一部の例示的かつ模式的な断面図である。
【
図9】
図9は、第8実施形態の光学装置の一部の例示的かつ模式的な分解断面図であって、サブアセンブリのケースへの組み付けを示す図である。
【
図10】
図10は、第9実施形態の光学装置の一部の例示的かつ模式的な分解断面図であって、サブアセンブリのケースへの組み付けを示す図である。
【
図11】
図11は、第9実施形態の光学装置の一部の例示的かつ模式的な断面図である。
【
図12】
図12は、第10実施形態の光学装置の例示的かつ模式的な分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の例示的な実施形態が開示される。以下に示される実施形態の構成、ならびに当該構成によってもたらされる作用および結果(効果)は、一例である。本発明は、以下の実施形態に開示される構成以外によっても実現可能である。また、本発明によれば、構成によって得られる種々の効果(派生的な効果も含む)のうち少なくとも一つを得ることが可能である。
【0021】
以下に示される複数の実施形態は、同様の構成を備えている。よって、各実施形態の構成によれば、当該同様の構成に基づく同様の作用および効果が得られる。また、以下では、それら同様の構成には同様の符号が付与されるとともに、重複する説明が省略される場合がある。
【0022】
本明細書において、序数は、部材や、部位、方向等を区別するために便宜上付与されており、優先順位や順番を示すものではない。
【0023】
また、各図において、X方向を矢印Xで表し、Y方向を矢印Yで表し、Z方向を矢印Zで表す。X方向、Y方向、およびZ方向は、互いに交差するとともに互いに直交している。
【0024】
[第1実施形態]
図1は、光学装置10の内部構成を示す平面図である。
図1は、光学装置10のケース11のZ方向の端部に位置する平板状の蓋(不図示)を取り外した状態で、当該光学装置10をZ方向の反対方向に見た図である。
【0025】
図1に示されるように、光学装置10は、ケース11と、複数の部品12と、複数の外部接続ピン13と、フィードスルー14と、配線基板15と、を備えている。
【0026】
ケース11は、底壁11aと、周壁11bと、ポート11c,11dと、蓋(不図示)と、を有している。底壁11aは、略四角形状かつ板状の形状を有している。底壁11aは、Z方向と交差するとともに、X方向およびY方向に延びている。周壁11bは、底壁11aの縁から、略一定の厚さで、Z方向に延びている。周壁11bは、側壁とも称されうる。
【0027】
ケース11の蓋は、底壁11aと同様、略四角形状かつ板状の形状を有している。蓋の周縁は、周壁11bのZ方向の端縁とZ方向に重なっている。蓋の周縁と周壁11bのZ方向の端縁とが接合されることにより、ケース11内に、部品12やフレキシブル基板15等を収容する収容室Sが形成されている。収容室Sは、気密封止されてもよい。また、収容室S内には、不活性ガスが充填されてもよい。
【0028】
底壁11aは、例えば、銅タングステン(CuW)、銅モリブデン(CuMo)、酸化アルミニウム(Al2O3)等の、熱伝導率が高い材料で作られうる。また、周壁11bや蓋は、例えば、Fe-Ni-Co合金、酸化アルミニウム(Al2O3)などの熱膨張係数が低い材料で作られうる。
【0029】
ポート11c,11dは、筒状の形状を有し、周壁11bの一部から側方、
図1の例ではY方向に、突出している。ポート11c,11dのうち一方は、入力ポートであり、他方は出力ポートである。入力光ファイバは、入力ポートを貫通し、出力光ファイバは、出力ポートを貫通している。ポート11c,11dと周壁11bとの間、およびポート11c,11dと光ファイバとの間は、それぞれ気密封止される。
【0030】
部品12は、収容室S内、すなわちケース11内に、収容されている。少なくとも一つの部品12は、配線基板15にフリップチップ実装される。他の部品12は、底壁11a上、あるいは底壁11a上に設けられた冷却機構(不図示)上に、取り付けられてもよい。この場合、当該他の部品12は、配線基板15の導体配線あるいは外部接続ピン13と、例えば、バンプや、フレキシブルプリント配線板の導体、ボンディングワイヤのような不図示の別の導体を介して、電気的に接続される。
【0031】
部品12は、それぞれ、ケース11外から通電され、すなわちケース11外からの電力の供給を受ける。また、部品12は、それぞれ、光の出力、受光(検出)、並びに光の強度や、波長、変調周波数、偏波状態、干渉状態のような特性の変更を行う第一部品、または少なくとも一つの第一部品の作動を電気的に制御する第二部品である。すなわち、部品12は、電気的に作動する光学部品や、電気部品である。第一部品としての部品12は、例えば、チップオンサブマウント(発光ユニット)、波長検出器である波長ロッカ、受光器であるフォトダイオード、フォトダイオードアレイ、変調器、変調器ドライバ、コヒーレントミキサ、トランスインピーダンスアンプ、ヒータ(加熱機構)、TEC(thermoelectric cooler、冷却機構)等である。また、第二部品としての部品12は、例えば、コントローラである。コントローラは、コンピュータであって、他の電気部品や電子部品の作動を制御する集積回路である。なお、収容室S内には、例えば、レンズや、ミラー、ビームコンバイナ、ビームスプリッタ、光アイソレータのような、電気的に作動しない光学部品(不図示)も収容されている。
【0032】
外部接続ピン13は、フィードスルー14に取り付けられている。複数の外部接続ピン13は、いずれもX方向に延びるとともに、Y方向に隙間を空けて並んでいる。また、本実施形態では、複数の外部接続ピン13がY方向に並ぶ一つのアレイが、周壁11bのうちX方向の端部に位置しY方向に延びる部位(側壁)に沿って設けられるとともに、複数の外部接続ピン13がY方向に並ぶもう一つのアレイが、周壁11bのうちX方向の反対方向の端部に位置しY方向に延びる部位(側壁)に沿って設けられている。外部接続ピン13は、例えば、銅系金属やアルミニウム系金属のような導電性の高い金属材料で、作られうる。銅系金属は、銅や銅合金であり、アルミニウム系金属は、アルミニウムやアルミニウム合金である。外部接続ピン13には、それぞれ、外部配線(不図示)の導体が機械的かつ電気的に接続される。
【0033】
フィードスルー14は、導体と絶縁部とを有し、ケース11の周壁11bを貫通している。フィードスルー14の導体は、例えば、銅系金属のような導電性の高い金属材料で、作られうる。フィードスルー14の導体は、それぞれ、電気的に接続される外部接続ピン13とともに、外部接続導体を構成している。また、フィードスルー14の絶縁部は、例えば、セラミックのような絶縁体で、作られうる。フィードスルー14とケース11との間の境界は、気密封止される。
【0034】
配線基板15は、周壁11bを貫通し、ケース11の内側と外側との間で伸びている。配線基板15は、四角形状かつ板状の形状を有し、Z方向と交差するとともに、X方向およびY方向に延びている。本実施形態では、配線基板15は、ケース11の周壁11bのうちY方向の端部に位置する部位を、Y方向に貫通している。周壁11bは、第一壁の一例である。
【0035】
配線基板15は、絶縁層と複数の導体配線とを有した、プリント配線基板である。絶縁層は、例えば、セラミックや、ガラス、合成樹脂材料、あるいはそれらの混合材料のような絶縁体で作られている。また、導体配線は、例えば、銅系金属のような導電性の高い金属材料で作られている。配線基板15は、本実施形態ではリジッド基板である。ただし、これには限定されず、配線基板15は、フレキシブル基板であってもよいし、リジッドフレキシブル基板であってもよい。
【0036】
図2は、光学装置10のX方向と交差した断面における断面図であって、一部部品の側面図を含んでいる。
図2に示されるように、光学装置10は、伝熱部材18を備えている。
【0037】
配線基板15は、ケース11の周壁11bに設けられた開口11b1を貫通している。開口11b1は、周壁11bをY方向に貫通した貫通孔であり、X方向に延びたスリット状の形状を有している。開口11b1と配線基板15との間には、接合材16が介在している。接合材16は、開口11b1の縁と配線基板15との間を接合している。開口11b1の縁と配線基板15との間の隙間は、接合材16によって気密封止されている。
【0038】
配線基板15は、絶縁層15aと、導体配線15bとを有している。本実施形態では、導体配線15bは、絶縁層15aの少なくともZ方向の反対方向の端部に位置する面において露出している。絶縁層15aは、絶縁部の一例であり、導体配線15bは、導体の一例である。
【0039】
配線基板15は、リジッド基板である。配線基板15は、例えば、片面基板であってもよいし、両面基板や、多層基板、ビルドアップ基板等であってもよい。
【0040】
部品12は、配線基板15と底壁11aとの間に位置し、当該配線基板15にフリップチップ実装されている。すなわち、部品12の配線基板15と向かい合う面12aに設けられた電極12cと、導体配線15bのパッドとが、接合材17を介して機械的かつ電気的に接続されている。接合材17は、バンプやボールのような導体であり、例えば、はんだボールである。
【0041】
配線基板15は、ケース11の底壁11aからZ方向に離れている。配線基板15に実装された部品12と底壁11aとの間には、伝熱部材18,19が介在している。これら伝熱部材18,19を介して、部品12と底壁11aとが熱的に接続されている。これにより、部品12の作動によって生じた熱を、伝熱部材18,19および底壁11aを介して光学装置10の外に逃がすことができる。底壁11aは、周壁11bと交差しており、第二壁の一例である。
【0042】
伝熱部材18は、熱伝導性の高い銅系材料のような金属材料で作られたブロックであり、放熱ブロックとも称されうる。伝熱部材18は、底壁11aと、溶接や、接着等によって、略密着した状態で接合されている。伝熱部材18は、底壁11aと熱的に接続されている。
【0043】
伝熱部材19は、部品12の面12aとは反対側の面12bと、伝熱部材18の底壁11aとは反対側の面18aとの間に、介在している。伝熱部材19は、例えば、熱伝導性の高い接着剤である。この場合、伝熱部材19は、固化される前の流動性を有した状態で部品12と伝熱部材18との間に介在することにより、部品12と伝熱部材18との間の隙間のばらつきを吸収することができる。また、伝熱部材19は、熱伝導シートであってもよい。熱伝導シートは、熱伝導性を有するとともに、可撓性および柔軟性を有し、変形可能である。この場合、伝熱部材19の変形により、部品12と伝熱部材18との間の隙間のばらつきを吸収することができる。
【0044】
また、伝熱部材18は、周壁11bとも略密着している。すなわち、本実施形態では、部品12は、伝熱部材18,19を介して、周壁11bとも熱的に接続されている。これにより、部品12が底壁11aだけに熱的に接続される場合よりも、部品12の作動によって生じた熱を、光学装置10の外に、より逃がしやすくなる。
【0045】
配線基板15の導体配線15bは、ケース11外の外部基板20の導体配線20bと接合材21を介して電気的に接続されている。外部基板20は、絶縁層20aと導体配線20bとを有した配線基板であり、リジッド基板やフレキシブル基板である。外部基板20は、例えば、RF信号のような比較的高周波の電気信号を伝送するためのトランシーバー基板であってもよい。この場合、導体配線20b、接合材21、および配線基板15の導体配線15bでは、比較的高周波の電気信号が伝送される。
【0046】
また、外部接続ピン13と
図2には不図示の別の部品12との間では、フィードスルー14内の導体と別の導体とを介して、例えば、直流の電力あるいは比較的低周波の電気信号が伝送される。
【0047】
以上、説明したように、本実施形態では、部品12がフリップチップ実装された配線基板15が、ケース11の周壁11bを貫通している。配線基板15は、フィードスルーあるいはインターフェイス基板とケース11内(収容室S内)に配置される配線基板とを統合したものであると言える。このような統合により、例えば、光学装置10の部品点数を削減できたり、光学装置10をより小型化できたりといった利点が得られる。なお、
図1に示される一つの配線基板15と二つのフィードスルー14とを一つの配線基板に統合して置き換えてもよい。
【0048】
また、本実施形態では、配線基板15は、リジッド基板である。このような構成によれば、例えば、光学装置10の組み立て時等において配線基板15をより容易に取り扱うことができるという利点が得られる。
【0049】
[第2実施形態]
図3は、第2実施形態の光学装置10AのX方向と交差した断面における断面図であって、一部部品の側面図を含んでいる。
図3に示されるように、光学装置10Aは、配線基板15Aを支持する支持部材22を備えている。支持部材22は、周壁11bに設けられた開口11b1を貫通している。すなわち、支持部材22は、ケース11内に収容された部位と、ケース11外に露出する部位と、を有している。支持部材22は、底壁11aと、溶接や、接着等によって、略密着した状態で接合されている。配線基板15Aと支持部材22との間に、接合材16が介在している。
【0050】
また、本実施形態では、配線基板15Aは、フレキシブル基板である。このような構成によれば、例えば、収容室S内における配線基板15Aのレイアウトの自由度を高めることができたり、配線基板15Aの撓み(曲げ)により各部品の寸法ばらつきを吸収できたりといった利点が得られる。
【0051】
[第3実施形態]
図4は、第3実施形態の光学装置10BのX方向と交差した断面における断面図であって、一部部品の側面図を含んでいる。
図4に示されるように、光学装置10Bでは、伝熱部材18Bが、配線基板15Aを支持するとともに、周壁11bに設けられた開口11b1を貫通している。伝熱部材18Bは、ケース11内に収容された部位と、ケース11外に露出した放熱部18bと、を有している。放熱部18bは、例えば、複数のフィンや、複数のピン、凹凸構造等を有している。このような構成によれば、表面積がより大きい放熱部18bによって伝熱部材18Bからの放熱性を高めることができるため、部品12の作動によって生じた熱を、光学装置10Bの外に、より逃がしやすくなる。
【0052】
また、伝熱部材18Bは、伝熱部材19を介して、部品12のY方向の反対方向の端部に位置する側面とも熱的に接続されている。このような構成によれば、例えば、伝熱部材18Bが部品12の複数の面と熱的に接続されている分、部品12から伝熱部材18Bへの伝熱量を増やすことができるため、部品12の作動によって生じた熱を、光学装置10Bの外に、より一層逃がしやすくなる。
【0053】
[第4実施形態]
図5は、第4実施形態の光学装置10CのX方向と交差した断面における断面図であって、一部部品の側面図を含んでいる。
図5に示されるように、光学装置10Cでは、開口11b1は、周壁11bのZ方向の端部とケース11の蓋としての頂壁11eとの間の境界部分に設けられている。この場合、開口11b1は、周壁11bのZ方向の端部に設けられた切欠と、頂壁11eとの間に形成することができる。このように、開口11b1は、ケース11を構成する二つの部材の境界に設けることができる。このような構成によれば、例えば、周壁11bの端部の形成において切欠を形成することができるため、周壁11bに別途開口11b1を設ける場合に比べて、ケース11ひいては光学装置10Cの製造の手間およびコストを低減することができるという利点が得られる。
【0054】
また、配線基板15Aは、導体配線15bと電気的に接続され当該配線基板15Aを厚さ方向に貫通する貫通導体15cを有してもよい。貫通導体15cは、導体部の一例であり、導体配線とも称されうる。なお、配線基板15Aは、収容室S内に位置した貫通導体15cを有してもよい。貫通導体15cを有した構成によれば、例えば、配線基板15Aの部品12が実装されている側とは反対側において、導体配線15bと他の導体や部品12とを接続することができるので、収容室S内で部品12や導体をより効率良くレイアウトすることができる。
【0055】
[第5実施形態]
図6は、第5実施形態の光学装置10DのY方向に見た側面図であって、配線基板15Dの側面図を含んでいる。
図6に示されるように、本実施形態では、開口11b1の縁に、開口11b1の内側に向けて突出する爪状の突起11fが設けられている。配線基板15Dは、突起11fと噛み合うことにより、Y方向に位置決めされている。突起11fは、配線基板15Dと、当該配線基板15Dの内側に食い込む状態で噛み合ってよいし、配線基板15Dの表面に設けられた凹部や段差(不図示)と当接した状態で噛み合ってもよい。このような構成によれば、例えば、ケース11に対して配線基板15Dをより容易に位置決めしたり固定したりすることができる。
【0056】
また、本実施形態では、開口11b1の縁と配線基板15Dとの間には隙間gが設けられている。収容室Sについて気密封止の必要が無い場合、隙間gはあいたままでもよい。また、上記実施形態のように、隙間gは、接合材16(
図1~5参照)等によって埋められてもよい。
【0057】
また、配線基板15Dの表面には、少なくとも開口11b1を貫通する部位において、絶縁層15aの周囲を取り囲む導体配線15bの外部導体15b2が設けられている。外部導体15b2は、光学装置10Dのグラウンド端子(不図示)と電気的に接続されたグラウンド導体であってもよい。また、絶縁層15aの内部には、導体配線15bの内部導体15b1が設けられている。内部導体15b1は、絶縁層15aによって取り囲まれている。
【0058】
このような構成によれば、例えば、絶縁層15aによって内部導体15b1の絶縁性を確保しやすくなったり、外部導体15b2によって内部導体15b1の耐ノイズ性を高めることができたり、といった利点が得られる。また、外部導体15b2および周壁11bの双方が金属材料で作られている場合にあっては、隙間gを埋める接合材16として、例えば、はんだのような、外部導体15b2および周壁11bの双方に対して親和性の高い接合材を採用することができる。この場合には、例えば、接合材16によってより容易にあるいはより確実に隙間gを埋めることができる、という利点が得られる。
【0059】
[第6実施形態]
図7は、第6実施形態の光学装置10EのY方向に見た側面図であって、配線基板15Dの側面図を含んでいる。
図7に示されるように、本実施形態では、開口11b1に配線基板15Dが圧入されている。このような構成によれば、例えば、接合材16や突起11fが不要となる分、光学装置10Eの部品点数を低減できたり、製造の手間やコストを低減できたりといった利点が得られる。
【0060】
[第7実施形態]
図8は、第7実施形態の光学装置10FのY方向に見た側面図であって、配線基板15Fの側面図を含んでいる。
図8に示されるように、本実施形態では、配線基板15Fは、互いに結合された二つの配線基板15-1,15-2を有している。配線基板15-1,15-2は、いずれも、少なくとも開口11b1内に位置する部位において、絶縁層15aの厚さ方向(Z方向)の両側に、外部導体15b2を有している。配線基板15-1,15-2は、Z方向に隣り合う外部導体15b2同士が導電性を有した接合材24によって機械的かつ電気的に接続されることにより、一体化されている。接合材24は、例えば、はんだのような、外部導体15b2に対する親和性が高い材料で作られる。また、開口11b1の縁と配線基板15Fとは、接合材16を介して接合されている。この場合、接合材16と接合材24とは、同じ材料で作られてもよい。なお、配線基板15-1,15-2の結合工程は、開口11b1において行われてもよい。このような構成によれば、例えば、接合材16,24を介して、開口11b1の縁と配線基板15Fとの間の気密封止を、より容易にあるいはより確実に行うことができる、という利点が得られる。
【0061】
[第8実施形態]
図9は、第8実施形態の光学装置10G(10)のY方向に見た分解断面図であって、配線基板15の側面図を含んでおり、サブアセンブリ100Gとケース11とが組み立てられる前の状態を示している。本実施形態の光学装置10Gは、第1実施形態の光学装置10と同じ構成要素を備えている。
【0062】
本実施形態では、まずは、配線基板15に部品12が実装されることにより、サブアセンブリ100Gが作成される。この際、部品12は、配線基板15に、例えばフリップチップ実装される。サブアセンブリ100Gは、ケース11の周壁11bに取付可能に構成されている。
【0063】
次に、
図9に示されるように、サブアセンブリ100Gの状態で、配線基板15がケース11の周壁11bの開口11b1に挿入され、所定の位置関係となった時点で、サブアセンブリ100Gが、接合材16や伝熱部材19等によって、ケース11と固定される。当該所定の位置関係において、部品12は、周壁11bに対してケース11の外面11b2とは反対側に位置される。これにより、サブアセンブリ100Gは、ケース11の一部と一体化され、その後、当該ケース11の一部と他の一部とが組み立てられる。このような構成によれば、例えば、ケース11外で配線基板15に部品12を実装することができるので、ケース11内で配線基板15に部品12を実装する場合に比べて、より容易に、より迅速に、あるいはより確実に部品12を実装することができる。周壁11bは、ケース11の壁の一例である。
【0064】
サブアセンブリ100Gがケース11の周壁11bに取付可能に構成されるとは、配線基板15が周壁11bに設けられた開口11b1を貫通した状態で、配線基板15、部品12、ケース11(周壁11b)が、光学装置10(10G)における所定の位置関係となる構成であることを意味する。
【0065】
[第9実施形態]
図10は、第9実施形態の光学装置10HのY方向に見た分解断面図であって、配線基板15の側面図を含んでおり、サブアセンブリ100Hとケース11とが組み立てられる前の状態を示している。また、
図11は、光学装置10HのY方向に見た断面図であって、サブアセンブリ100Hとケース11とが組み立てられた後の状態を示している。
【0066】
本実施形態でも、まずは、配線基板15に部品12が実装される。この際、部品12は、配線基板15に、例えばフリップチップ実装される。さらに、当該配線基板15が周壁11bの一部である第一部位11b-1に設けられた開口11b1を貫通し、所定の位置関係となった時点で、配線基板15と第一部位11b-1とが接合材16等によって一体化され、これにより、
図10に示されるサブアセンブリ100Hが作成される。すなわち、本実施形態のサブアセンブリ100Hは、配線基板15および部品12に加えて、ケース11の壁の一部を含んでいる。当該所定の位置関係において、部品12は、第一部位11b-1に対してケース11の外面11b2とは反対側に位置される。第一部位11b-1は、第一壁の一例である。
【0067】
次に、
図10,11に示されるように、当該サブアセンブリ100Hの状態で、周壁11bの第一部位11b-1と周壁11bの第二部位11b-2とが溶接部11gにおける溶接等により接合され、サブアセンブリ100Hとケース11の第一部位11b-1を除く部位とが一体化される。第一部位11b-1と第二部位11b-2とは互いに取付可能に構成されている。本実施形態では、一例として、第一部位11b-1と第二部位11b-2との間の境界部分には、凹凸等による嵌合構造が設けられている。これにより、サブアセンブリ100Hとケース11の第一部位11b-1を除く部位とを一体化する工程において、より容易に、より迅速に、あるいはより確実に第一部位11b-1と第二部位11b-2との所定の位置関係が得られる。本実施形態によっても、例えば、上記第8実施形態と同様に、より容易に、より迅速に、あるいはより確実に部品12を配線基板15に実装することができるという利点が得られる。なお、取付可能な構成は、第一部位11b-1と第二部位11b-2とが一体的に繋がってケース11となる構成であればよく、嵌合構造を必須とするものではない。
【0068】
[第10実施形態]
図12は、第10実施形態の光学装置10Iの分解斜視図である。
図12に示されるように、本実施形態では、サブアセンブリ100Iは、周壁11bの一部である側壁と、部品12(
図12には不図示)がフリップチップ実装された配線基板15Iと、を有している。また、ケース11は、底壁11aと、サブアセンブリ100Iに含まれない周壁11bとを有した第一分割体11-1と、蓋としての頂壁11eを含む第二分割体11-2と、を有している。サブアセンブリ100Iの周壁11bは、第一分割体11-1または第二分割体11-2に含まれる底壁11a、周壁11b、および頂壁11eと、取付可能に構成されている。ここで、取付可能な構成は、互いの壁同士が一体的に繋がってケース11となる構成であればよく、嵌合構造等を必須とするものではない。
【0069】
サブアセンブリ100Iと、第一分割体11-1と、第二分割体11-2とを接合することにより、光学装置10Iが得られる。本実施形態では、サブアセンブリ100Iに含まれる周壁11bの一部が、第一壁および第一部位の一例であり、第一分割体11-1または第二分割体11-2に含まれる底壁11a、周壁11b、および頂壁11eが、第二部位の一例である。
【0070】
本実施形態では、サブアセンブリ100Iと、第一分割体11-1と、第二分割体11-2とを組み立てる際に、ケース11の底壁11aのエッジ11h、周壁11bのエッジ11h、および頂壁11eのエッジ11h同士が互いに突き合わせられる部位を、線状に溶接することにより、光学装置10Iを構成することができる。線状の溶接としては、ローラシーム溶接やレーザ溶接のような、種々の溶接方法を採用することができる。このような構成によれば、例えば、部品12を配線基板15Iにより容易にあるいはより確実に実装することができるとともに、光学装置10Iをより容易に作成することができる。
【0071】
以上、本発明の実施形態が例示されたが、上記実施形態は一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。上記実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、組み合わせ、変更を行うことができる。また、各構成や、形状、等のスペック(構造や、種類、方向、型式、大きさ、長さ、幅、厚さ、高さ、数、配置、位置、材質等)は、適宜に変更して実施することができる。
【0072】
例えば、第一部位は、ケースの複数の壁を含んでもよいし、第二部位も、ケースの複数の壁を含んでもよい。
【符号の説明】
【0073】
10,10A~10I…光学装置
11…ケース
11-1…第一分割体
11-2…第二分割体
11a…底壁(第二壁)
11b…周壁(第一壁、壁)
11b1…開口
11b2…外面
11b-1…第一部位(第一壁、壁)
11b-2…第二部位
11c…ポート
11d…ポート
11e…頂壁(蓋)
11f…突起
11g…溶接部
11h…エッジ
12…部品(第一部品、第二部品)
12a,12b…面
12c…電極
13…外部接続ピン(外部接続導体)
14…フィードスルー
15,15A,15D,15F,15I…配線基板
15-1,15-2…配線基板
15a…絶縁層
15b…導体配線
15b1…内部導体
15b2…外部導体
15c…貫通導体
16…接合材
17…接合材
18,18B…伝熱部材
18a…面
18b…放熱部
19…伝熱部材
20…外部基板
20a…絶縁層
20b…導体配線
21…接合材
22…支持部材
24…接合材
100G~100I…サブアセンブリ
g…隙間
S…収容室
X…方向
Y…方向
Z…方向