(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-09
(45)【発行日】2025-01-20
(54)【発明の名称】電線配索構造
(51)【国際特許分類】
H02G 11/00 20060101AFI20250110BHJP
H02G 3/04 20060101ALI20250110BHJP
B60R 16/02 20060101ALI20250110BHJP
B60N 2/90 20180101ALI20250110BHJP
B60N 2/06 20060101ALI20250110BHJP
【FI】
H02G11/00
H02G3/04 068
B60R16/02 620A
B60N2/90
B60N2/06
(21)【出願番号】P 2021055908
(22)【出願日】2021-03-29
【審査請求日】2023-11-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】391045897
【氏名又は名称】古河AS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100182888
【氏名又は名称】西村 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100196357
【氏名又は名称】北村 吉章
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】山村 円博
【審査官】北嶋 賢二
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/188811(WO,A1)
【文献】特開2016-043902(JP,A)
【文献】特開2020-037355(JP,A)
【文献】特開2019-134626(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 11/00
H02G 3/04
B60R 16/02
B60N 2/90
B60N 2/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体に固定した固定レールの長手方向に沿って進退可能にスライド支持されたスライドシートに対して、一方の端部が車体側電線と電気的に接続され、他方の端部がシート側電線と電気的に接続された電線を配索して電気を供給する電線配索構造であって、
前記電線の少なくとも一方の端部は、固定された電線接続部で別電線と接続され、
前記電線接続部近傍の前記電線を、前記電線に作用する引っ張り力の作用方向に対して交差する曲げ方向に曲げる曲げ部が設けら
れ、
前記曲げ部が所定間隔を隔てて複数設けられ、
隣り合う前記曲げ部は、
前記電線の前記曲げ方向が互いに逆方向となるように形成された
電線配索構造。
【請求項2】
前記電線は、
導体を絶縁シートで挟み込んだ帯状の帯状電線であり、
前記曲げ部は、
前記帯状電線を厚み方向に曲げる構成である
請求項1に記載の電線配索構造。
【請求項3】
前記別電線は、
導体を絶縁被覆で被覆した断面丸型の被覆電線であり、
前記電線接続部は、
前記帯状電線の前記導体と前記被覆電線の前記導体とが接続端子を介して接続された構成である
請求項2に記載の電線配索構造。
【請求項4】
前記帯状電線を被覆するチューブ状の保護チューブが設けられた
請求項2又は請求項3に記載の電線配索構造。
【請求項5】
前記曲げ部は、
前記帯状電線の厚み以上の曲げ半径で前記帯状電線を曲げ規制する
請求項2乃至請求項4のうちいずれかに記載の電線配索構造。
【請求項6】
前記曲げ部は、
曲げられた前記帯状電線を挟み込む一対の壁部が設けられた
請求項2乃至請求項5のうちいずれかに記載の電線配索構造。
【請求項7】
前記一対の壁部のうち、少なくとも一方の壁部に、他方の壁部へ向けて立設されるとともに、帯状の前記帯状電線の幅方向に延びるリブが設けられた
請求項6に記載の電線配索構造。
【請求項8】
前記帯状電線を被覆し、前記帯状電線に固定されるとともに、前記帯状電線の長手方向に沿って連続する凹凸を有する蛇腹形状の保護チューブが設けられ、
前記リブと前記保護チューブの凹部とが係合する
請求項7に記載の電線配索構造。
【請求項9】
前記帯状電線の車体側端部が、車体側の電線接続部を介して前記車体側電線に接続されるとともに、
前記帯状電線のシート側端部が、シート側の電線接続部を介して前記シート側電線に接続され、
前記固定レールの外部に、前記車体側の電線接続部を収容するとともに、前記スライドシートの進退に伴って前記帯状電線を引出し及び収容可能な収容部を有する収容ケースが設けられた
請求項2乃至請求項8のうちいずれかに記載の電線配索構造。
【請求項10】
前記収容部において、前記帯状電線は、U字状に曲げ返して収容された
請求項9に記載の電線配索構造。
【請求項11】
前記帯状電線は、
前記収容ケースから導出されるとともに、導出された部分が前記固定レールの内部に配索され、
前記収容ケースは、
前記帯状電線が収容されるとともに、前記固定レールの内部に向かって前記帯状電線を案内する案内部が設けられた
請求項9又は請求項10に記載の電線配索構造。
【請求項12】
前記案内部は、
前記固定レールの前記長手方向に沿って、前記固定レールの内部まで直線状に延びる直線部分と、
前記収容部から前記直線部分へ向かって湾曲した湾曲部分とで形成された
請求項11に記載の電線配索構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば自動車などの車両において、車体に固定した固定レールの長手方向に沿って進退可能にスライド支持されたスライドシートに対して配索して給電するフレキシブルフラットケーブルの電線配索構造に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、自動車などの車両は、例えばスライドシートの電動化や、スライドシートへの電装品の装着により、スライドシートに対して車体側から電気を供給する給電装置を備えている。
【0003】
例えば、特許文献1には、車体に固定されたスライドレールと、スライドシートを支持するとともに、スライドレールを摺動するスライダと、スライドシートに対して電気を給電する給電装置とを備えた車両用シートが開示されている。
【0004】
この特許文献1では、スライダに固定した第1コネクタと、スライドレールの端部に固定した第2コネクタとを接続する帯状電線が、略U字状に反転した状態でスライドレールの内部に収容されている。
【0005】
ところで、特許文献1のような電線配索構造では、スライドシートの進退に伴って、帯状電線がスライドレールの長手方向に引っ張られることになる。さらに、特許文献1は、長手方向と略平行に配索された帯状電線が第2コネクタに接続されているため、帯状電線と第2コネクタとの接続箇所である電線接続部に、長手方向への引っ張り力が直接的に作用し易い。
【0006】
このため、特許文献1では、帯状電線と第2コネクタとの接続箇所である電線接続部に、長手方向への引っ張り力が直接的に作用することで、電線接続部に意図しない不具合が生じるおそれがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上述の問題に鑑み、引っ張り力による電線接続部の不具合を防止できる電線配索構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明は、車体に固定した固定レールの長手方向に沿って進退可能にスライド支持されたスライドシートに対して、一方の端部が車体側電線と電気的に接続され、他方の端部がシート側電線と電気的に接続された電線を配索して電気を供給する電線配索構造であって、前記電線の少なくとも一方の端部は、固定された電線接続部で別電線と接続され、前記電線接続部近傍の前記電線を、前記電線に作用する引っ張り力の作用方向に対して交差する曲げ方向に曲げる曲げ部が設けられ、前記曲げ部が所定間隔を隔てて複数設けられ、隣り合う前記曲げ部は、前記電線の前記曲げ方向が互いに逆方向となるように形成されたことを特徴とする。
【0010】
上記電線は、複数の導体を並列に配置した帯状電線、あるいは複数の導体を束ねた断面丸型の電線などのことをいう。
上記電線接続部は、例えば帯状電線と断面丸型の電線とを接続する、あるいは帯状電線同士を接続する、もしくは断面丸型の電線同士を接続することをいう。
【0011】
この発明によれば、電線配索構造は、引っ張り力による電線接続部の不具合を防止することができる。
具体的には、電線接続部近傍の電線を曲げる曲げ部を設けたことにより、電線配索構造は、電線に作用する引っ張り力を曲げ部で受け止めて、電線接続部に加わる引っ張り力を軽減することができる。このため、電線配索構造は、引っ張り力による電線接続部の不具合を防止することができる。
【0012】
加えて、スライドシートの進退に伴う押し付け力が電線に作用した際、電線は、曲げ部で曲げられた部分が押し付け力を吸収することができる。このため、電線配索構造は、電線接続部近傍の電線に作用する押し付け力を軽減して、電線接続部近傍の電線が例えば座屈変形することを防止できる。
【0013】
また、前記曲げ部が所定間隔を隔てて複数設けられ、隣り合う前記曲げ部は、前記電線の前記曲げ方向が互いに逆方向となるように形成されている。
この構成によれば、電線の曲げ方向が逆方向となるように隣り合う曲げ部が形成されているため、電線配索構造は、例えば電線を略クランク状あるいは蛇腹状に曲げることができる。
【0014】
このため、電線配索構造は、電線に作用する引っ張り力を複数の曲げ部で確実に受け止めることができ、長手方向への引っ張り力が電線接続部に直接的に加わることをより抑えることができる。
これにより、電線配索構造は、電線接続部に加わる引っ張り力をより軽減することができる。
【0015】
またこの発明の態様として、前記電線は、導体を絶縁シートで挟み込んだ帯状の帯状電線であり、前記曲げ部は、前記帯状電線を厚み方向に曲げる構成であってもよい。
この構成によれば、電線配索構造は、曲げ部に沿うように帯状電線を確実に曲げることができるとともに、曲げ部と帯状電線との接触面積を確保することができる。このため、電線配索構造は、電線に作用する引っ張り力を曲げ部で確実に受け止めて、電線接続部に加わる引っ張り力を確実に軽減することができる。
【0016】
またこの発明の態様として、前記別電線は、導体を絶縁被覆で被覆した断面丸型の被覆電線であり、前記電線接続部は、前記帯状電線の前記導体と前記被覆電線の前記導体とが接続端子を介して接続された構成であってもよい。
【0017】
この構成によれば、電線配索構造は、線種の異なる帯状電線と被覆電線とを接続端子を介して容易に接続できるとともに、帯状電線と被覆電線とを直接的に接続した場合に比べて接続強度を向上することができる。
【0018】
これにより、電線配索構造は、線種の異なる帯状電線と被覆電線との接続が解除されることを、曲げ部及び接続端子の協働によって阻止することができる。このため、電線配索構造は、線種の異なる帯状電線と被覆電線とを接続した場合であっても、電線接続部の安定した接続状態を確保することができる。
【0019】
またこの発明の態様として、前記帯状電線を被覆するチューブ状の保護チューブが設けられてもよい。
この構成によれば、電線配索構造は、曲げ部との摺動による帯状電線の損傷を防止することができる。このため、電線配索構造は、帯状電線の安定した導電性を確保することができる。
【0020】
またこの発明の態様として、前記曲げ部は、前記帯状電線の厚み以上の曲げ半径で前記帯状電線を曲げ規制してもよい。
この構成によれば、電線配索構造は、帯状電線が折曲するように曲げられることを防止できるため、帯状電線の安定した導電性を確実に確保することができる。
さらに、例えば、曲げ部に湾曲した面を設けて帯状電線の曲げ半径を規制することで、電線配索構造は、曲げ部との強接触によって帯状電線が損傷することをより防止できる。
【0021】
またこの発明の態様として、前記曲げ部は、曲げられた前記帯状電線を挟み込む一対の壁部が設けられてもよい。
この構成によれば、電線配索構造は、帯状電線を確実に曲げることができるとともに、帯状電線の移動を一対の壁部によって規制することができる。このため、電線配索構造は、電線接続部に加わる引っ張り力をより確実に軽減することができる。
【0022】
またこの発明の態様として、前記一対の壁部のうち、少なくとも一方の壁部に、他方の壁部へ向けて立設されるとともに、帯状の前記帯状電線の幅方向に延びるリブが設けられてもよい。
【0023】
この構成によれば、電線配索構造は、電線接続部近傍における帯状電線の移動を一対の壁部によって確実に規制することができる。このため、電線配索構造は、引っ張り力が帯状電線に作用した際、電線接続部に加わる引っ張り力をさらに確実に軽減することができる。
【0024】
またこの発明の態様として、前記帯状電線を被覆し、前記帯状電線に固定されるとともに、前記帯状電線の長手方向に沿って連続する凹凸を有する蛇腹形状の保護チューブが設けられ、前記リブと前記保護チューブの凹部とが係合してもよい。
【0025】
この構成によれば、帯状電線に固定された保護チューブの凹部とリブとの係合によって、電線配索構造は、電線接続部近傍における帯状電線の移動をさらに確実に規制することができる。このため、電線配索構造は、引っ張り力が帯状電線に作用した際、電線接続部に加わる引っ張り力をさらに確実に軽減することができる。
【0026】
またこの発明の態様として、前記帯状電線の車体側端部が、車体側の電線接続部を介して前記車体側電線に接続されるとともに、前記帯状電線のシート側端部が、シート側の電線接続部を介して前記シート側電線に接続され、前記固定レールの外部に、前記車体側の電線接続部を収容するとともに、前記スライドシートの進退に伴って前記帯状電線を引出し及び収容可能な収容部を有する収容ケースが設けられてもよい。
【0027】
この構成によれば、電線接続部及び帯状電線が収容ケースの収容部に収容されるため、電線配索構造は、電線接続部及び帯状電線が異物との接触によって損傷する、あるいは電線接続部及び帯状電線に意図しない外力が加わって損傷することを防止できる。このため、電線配索構造は、電線接続部及び帯状電線に意図しない不具合が生じることを防止できる。
【0028】
またこの発明の態様として、前記収容部において、前記帯状電線は、U字状に曲げ返して収容されてもよい。
この構成によれば、電線配索構造は、スライドシートの進退に伴う帯状電線の引出し及び収容を容易にすることができる。
【0029】
またこの発明の態様として、前記帯状電線は、前記収容ケースから導出されるとともに、導出された部分が前記固定レールの内部に配索され、前記収容ケースは、前記帯状電線が収容されるとともに、前記固定レールの内部に向かって前記帯状電線を案内する案内部が設けられてもよい。
【0030】
この構成によれば、電線配索構造は、収容部と固定レールとの間において、帯状電線を案内部によって案内できるため、帯状電線の引出及び収容をより容易にすることができる。
【0031】
さらに、帯状電線が案内部に収容されるため、電線配索構造は、収容部と固定レールとの間において、帯状電線が異物との接触によって損傷する、あるいは帯状電線に意図しない外力が加わって損傷することを確実に防止できる。
このため、電線配索構造は、帯状電線に意図しない不具合が生じることを確実に防止できる。
【0032】
またこの発明の対応として、前記案内部は、前記固定レールの前記長手方向に沿って、前記固定レールの内部まで直線状に延びる直線部分と、前記収容部から前記直線部分へ向かって湾曲した湾曲部分とで形成されてもよい。
この構成によれば、案内部の湾曲部分によって、電線配索構造は、収容部から導出した帯状電線をよりスムーズに案内することができる。
【0033】
さらに、案内部の直線部分によって、電線配索構造は、収容部と固定レールとの間で、帯状電線が外部に露出することを抑えて、帯状電線を固定レールの内部まで確実に案内することができる。このため、電線配索構造は、帯状電線が異物との接触によって損傷する、あるいは帯状電線に意図しない外力が加わって損傷することをより確実に防止できる。
【発明の効果】
【0034】
本発明により、引っ張り力による電線接続部の不具合を防止できる電線配索構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】シートスライド機構の概略を説明する説明図。
【
図2】幅方向に沿った縦断面における固定レールの断面形状を示す断面図。
【
図3】幅方向から見た給電装置の外観を示す側面図。
【
図4】分解状態での給電装置の外観を示す分解斜視図。
【
図7】蓋体を取外した状態における給電装置を示す側面図。
【
図8】第1収容ケースのケース本体における前部の外観を示す外観斜視図。
【
図9】第2収容ケースのケース本体の外観を示す外観斜視図。
【
図10】別の実施形態におけるシートスライド機構の概略を説明する説明図。
【発明を実施するための形態】
【0036】
この発明の一実施形態を以下図面と共に説明する。
本実施形態は、自動車などの車両において、車体に固定した固定レールの長手方向に沿って進退可能にスライド支持されたスライドシートに対して配索して給電するフレキシブルフラットケーブルの電線配索構造について、
図1から
図9を用いて説明する。
【0037】
なお、
図1はシートスライド機構1の概略を説明する説明図を示し、
図2は幅方向Yに沿った縦断面における固定レール2の断面図を示し、
図3は幅方向Yから見た給電装置5の側面図を示し、
図4は分解状態での給電装置5の分解斜視図を示している。
【0038】
さらに、
図5は電線接続部の概略を説明する説明図を示し、
図6は
図3中のA-A矢視断面図を示し、
図7は蓋体82,92を取外した状態における給電装置5の側面図を示している。
加えて、
図8は第1収容ケース80のケース本体81における前部の外観斜視図を示し、
図9は第2収容ケース90のケース本体91の外観斜視図を示している。
【0039】
また、
図1中の上側を給電装置5の上方側、
図1中の下側を給電装置5の下方側として、図中の矢印Xは固定レール2の長手方向となる前後方向(以降、前後方向Xと呼ぶ)を示し、矢印Yは前後方向Xに平面視直交する方向(以降、幅方向Yと呼ぶ)を示している。
【0040】
さらに、前後方向Xにおいて、
図1中の右側から左側へ向かう方向を前方とし、
図1中の左側から右側へ向かう方向を後方とする。加えて、幅方向Yから見た状態を側面視として説明する。
【0041】
まず、シートスライド機構1は、
図1に示すように、前後方向Xに延びる左右一対の固定レール2と、固定レール2を摺動する左右一対のスライダ3と、左右のスライダ3に支持されて前後方向Xに進退可能なスライドシート4とを備えている。
【0042】
さらに、シートスライド機構1は、
図1に示すように、固定レールの長手方向、すなわち前後方向Xに沿って進退可能にスライド支持されたスライドシート4に対して、電気を給電する給電装置5を備えている。
【0043】
具体的には、一対の固定レール2は、
図1に示すように、幅方向Yに所定間隔を隔てて配置されるとともに、図示を省略した支持ブラケットを介して車両の車体に固定されている。
この固定レール2は、
図2に示すように、幅方向Yに沿った縦断面において、断面略矩形の上面における幅方向Yの中央が開口した開断面形状に形成されている。
【0044】
より詳しくは、固定レール2は、
図2に示すように、幅方向Yに所定間隔を隔てて対向する一対の外側面部2aと、外側面部2aの内側で対向する一対の内側面部2bと、外側面部2aの下端を連結する底面部2cと、外側面部2aの上端を内側面部2bの上端に連結する一対の上面部2dとで形成されている。
【0045】
このような構成のため、固定レール2には、
図2に示すように、幅方向Yの略中央に前後方向Xに延びるスリットが、一対の内側面部2bによって形成されている。
また、スライダ3は、一対の内側面部2bで形成された前後方向Xに延びる固定レール2のスリットを、前後方向Xに沿って摺動可能に構成されている。
【0046】
また、スライドシート4は、スライダ3の上部に固定され、スライダ3と一体的に前後方向Xにスライド移動可能に配置されている。このスライドシート4には、例えば電気で操作するシートリフター機構及びリクライニング機構、あるいはシートヒータなどの電装機器が内蔵されている。
【0047】
また、給電装置5は、
図1及び
図3に示すように、固定レール2と車両の床面(図示省略)との間に位置するように、一方の固定レール2の前部下方に配置されている。
この給電装置5は、
図1及び
図3に示すように、一方の端部が車体側ワイヤーハーネス6と電気的に接続され、他方の端部がシート側ワイヤーハーネス7と電気的に接続され、スライダ3のスライド移動に追従しながらスライドシート4に対して電気を供給可能に構成されている。
【0048】
なお、車体側ワイヤーハーネス6及びシート側ワイヤーハーネス7は、車体側ワイヤーハーネス6が例えば車両のバッテリや制御装置に接続され、シート側ワイヤーハーネス7がスライドシート4に設けた電装機器に接続されている。
【0049】
詳述すると、給電装置5は、
図3及び
図4に示すように、車体側ワイヤーハーネス6をシート側ワイヤーハーネス7に接続する第1コネクタ10、第1ワイヤーハーネス20、車体側電線接続部30、ケーブル配索体40、シート側電線接続部50、第2ワイヤーハーネス60、及び第2コネクタ70を備えている。
【0050】
さらに、給電装置5は、
図3及び
図4に示すように、車体側電線接続部30及びケーブル配索体40が収容される第1収容ケース80と、シート側電線接続部50及びケーブル配索体40が収容される第2収容ケース90とを備えている。
【0051】
第1ワイヤーハーネス20は、
図3及び
図4に示すように、一端側が第1コネクタ10を介して、車体側ワイヤーハーネス6に接続され、他端側が車体側電線接続部30に接続されている。この第1ワイヤーハーネス20は、導体を絶縁被覆で被覆した断面丸型の電線を複数本束ねて構成されている。
【0052】
また、車体側電線接続部30は、
図4に示すように、第1収容ケース80を介して車体に固定され、第1ワイヤーハーネス20とケーブル配索体40とを電気的に接続している。
【0053】
この車体側電線接続部30は、
図5に示すように、ケーブル配索体40を構成するフレキシブルフラットケーブル41に第1ワイヤーハーネス20を接続する接続端子31と、接続端子31を収容保持する端子ホルダ(図示省略)とで構成されている。
【0054】
より詳しくは、接続端子31は、
図5に示すように、第1ワイヤーハーネス20の被覆電線21における絶縁被覆を圧着保持する被覆圧着部31aと、被覆電線21の導体を圧着保持する導体圧着部31bと、フレキシブルフラットケーブル41が溶着される溶着部31cとで一体形成されている。
【0055】
そして、接続端子31は、
図5に示すように、ラミネートシートを部分的に除去した露出させたフレキシブルフラットケーブル41の平角導体41aと、被覆電線21が接続された接続端子31の溶着部31cとを、例えば抵抗溶接で溶着して電気的に接続している。
【0056】
また、複数のケーブル配索体40は、
図4に示すように、略帯状の電線であって、一端が固定された車体側電線接続部30を介して第1ワイヤーハーネス20に接続され、他端がシート側電線接続部50を介して第2ワイヤーハーネス60に接続されている。
【0057】
このケーブル配索体40は、
図6に示すように、複数枚のフレキシブルフラットケーブル41と、複数枚のフレキシブルフラットケーブル41を一体的に被覆する保護チューブ42とで構成されている。なお、複数枚のフレキシブルフラットケーブル41は、フレキシブルフラットケーブル41の厚み方向に積層するとともに、粘着テープで束ねられている。
【0058】
具体的には、フレキシブルフラットケーブル41は、
図5に示すように、所定方向に延びる断面略矩形の平角導体41aを幅方向Yに並置するとともに、並置された複数の平角導体41aを絶縁シートであるラミネートシートで挟み込んで形成されている。このフレキシブルフラットケーブル41は、前後方向Xへのスライダ3の移動距離よりも長く形成されている。
【0059】
また、保護チューブ42は、
図6及び
図7に示すように、ケーブル配索体40を覆うチューブ状の保護部材である。この保護チューブ42は、
図4及び
図7に示すように、ケーブル配索体40の車体側電線接続部30近傍からシート側電線接続部50近傍に至る範囲を被覆するとともに、その端部が例えば粘着テープなどを用いてフレキシブルフラットケーブル41に固定されている。
なお、詳細な図示を省略するが、保護チューブ42は、ケーブル配索体40の長手方向に沿って連続する凹凸を有する蛇腹形状に形成されている。
【0060】
このようなケーブル配索体40は、
図4及び
図7に示すように、第1収容ケース80の内部において、車体側電線接続部30から前後方向Xと略平行に第1収容ケース80の上部を通って後方へ向けて配索されている。さらに、ケーブル配索体40は、反転部40aを介して後方下方へ略半円状に折り返されたのち、前後方向Xと略平行に第1収容ケース80の下部を通って前方へ向けて配索されている。
【0061】
そして、ケーブル配索体40は、車体側電線接続部30の前方で前方上方へ略半円状に折り返されて第1収容ケース80から導出され、固定レール2の内部を介して前後方向Xと略平行に第2収容ケース90の内部に配索されている。
【0062】
このため、ケーブル配索体40には、前後方向Xと略平行に第1収容ケース80の上部を通る部分に対して、スライドシート4の進退に伴う引っ張り力が前方から後方へ向けて作用する。さらに、ケーブル配索体40には、前後方向Xと略平行に固定レール2の内部を通る部分に対して、スライドシート4の進退に伴う引っ張り力が後方から前方へ向けて作用する。
【0063】
また、シート側電線接続部50は、
図3及び
図4に示すように、ケーブル配索体40と第2ワイヤーハーネス60とを電気的に接続するとともに、第2収容ケース90を介してスライダ3に連結されている。
なお、シート側電線接続部50は、上述した車体側電線接続部30と同じ構成のため、その詳細な説明を省略する。
【0064】
また、第2ワイヤーハーネス60は、
図3及び
図4に示すように、一端側がシート側電線接続部50に接続され、他端側が第2コネクタ70を介してシート側ワイヤーハーネス7に接続されている。この第2ワイヤーハーネス60は、導体を絶縁被覆で被覆した断面丸型の電線を複数本束ねて構成されている。
【0065】
また、第1収容ケース80は、
図1及び
図3に示すように、幅方向Yに厚みを有する内部中空の箱状であって、固定レール2の下方において、固定レール2を支持する支持ブラケットを介して、車体に固定されている。
【0066】
なお、第1収容ケース80は、
図3に示すように、前部及び後部にそれぞれ側面視略半円状の突出した部分を有するとともに、側面視略半円状の前部と後部とを側面視略矩形の部分で連結した形状に形成されている。
【0067】
この第1収容ケース80は、
図4及び
図6に示すように、ケーブル配索体40の配索経路を規制するケース本体81と、ケース本体81の開口を覆う蓋体82とを、ケーブル配索体40を挟んで幅方向Yに組付けて構成している。
【0068】
そして、第1収容ケース80は、
図3及び
図4に示すように、ケース本体81と蓋体82とを組付けることで、ケーブル配索体40を略U字状にして収容する収容部83と、収容部83からのケーブル配索体40の引出し、及び収容部83へのケーブル配索体40の収容を案内する案内部84とを構成している。
【0069】
具体的には、第1収容ケース80の収容部83は、
図3及び
図6に示すように、第1収容ケース80の後部における側面視略半円状の部分と、側面視略半円状の部分から前方へ延びる側面視略矩形の部分とで構成されている。
【0070】
一方、案内部84は、
図3に示すように、収容部83の前端から前方上方へ向けて湾曲する湾曲部分84aと、湾曲部分84aの前端から後方へ向かって延びるともに、固定レール2の内部に配置される直線部分84bとで構成されている。
【0071】
なお、案内部84の湾曲部分84aは、
図3に示すように、その内部空間が直線部分84bへ向かうほど漸次小さくなるように形成されている。
さらに、案内部84の直線部分84bは、
図2及び
図3に示すように、固定レール2の内側面部2bの間に配置され、案内部84から導出されたケーブル配索体40が、第2収容ケース90へ向かって内側面部2bの間を通るようにしている。
【0072】
また、第2収容ケース90は、
図1及び
図3に示すように、幅方向Yに厚みを有する内部中空の箱状であって、固定レール2の内側面部2bの間に配置されている。さらに、第2収容ケース90は、その前端がスライダ3に連結され、スライドシート4のスライド移動に追従して、固定レール2を前後方向Xにスライド移動可能に構成されている。
【0073】
この第2収容ケース90は、
図4及び
図7に示すように、ケーブル配索体40の配索経路を規制するケース本体91と、ケース本体91の開口を覆う蓋体92とを、ケーブル配索体40を挟んで幅方向Yに組付けて構成している。
【0074】
引き続き、上述した構成の給電装置5のうち、第1収容ケース80のケース本体81、及び第2収容ケース90のケース本体91について、さらに詳述する。
まず、第1収容ケース80のケース本体81は、
図4及び
図6に示すように、幅方向Yに厚みを有して、蓋体82に対向する板状の主面部811と、主面部811の縁端に沿うように蓋体82へ向けて立設された外壁部812とで構成されている。
【0075】
さらに、第1収容ケース80のケース本体81には、
図7及び
図8に示すように、ケーブル配索体40の引出し及び収納を案内する案内壁部813と、車体側電線接続部30の位置を規制する規制突起814とが、蓋体82へ向けて主面部811に立設されている。
【0076】
加えて、第1収容ケース80のケース本体81には、
図7及び
図8に示すように、車体側電線接続部30近傍のケーブル配索体40を所望される曲げ方向に曲げる第1曲げ部815及び第2曲げ部816が、蓋体82へ向けて主面部811に立設されている。
【0077】
具体的には、案内壁部813は、
図7に示すように、側面視において、案内部84に対応する下側の外壁部812に対して、ケーブル配索体40の厚みよりも広い間隔を隔てた位置に立設されている。この案内壁部813は、案内部84に対応する下側の外壁部812と略平行な湾曲形状に形成されている。
【0078】
また、規制突起814は、
図7に示すように、案内壁部813の後端近傍よりも上方の位置において、車体側電線接続部30の四隅を支持するように主面部811に突設されている。そして、規制突起814は、蓋体82に設けた規制突起(図示省略)とで、第1収容ケース80の内部における車体側電線接続部30の位置を規制している。
【0079】
また、第1曲げ部815は、
図7に示すように、車体側電線接続部30の下方において、前後方向Xに配索されたケーブル配索体40を上方へ向けて曲げ規制している。より詳しくは、第1曲げ部815は、第1収容ケース80の上部を通るケーブル配索体40に作用する引っ張り力の作用方向(前方から後方)に対して交差する曲げ方向(上方)に、車体側電線接続部30から前後方向Xに沿って配索されたケーブル配索体40を曲げるように形成されている。
【0080】
この第1曲げ部815は、
図7に示すように、車体側電線接続部30の下方でケーブル配索体40の上下方向の位置を規制する案内壁部813と、車体側電線接続部30の後方でケーブル配索体40の前後方向Xの位置を規制する一対の第1壁部817とで構成されている。
【0081】
具体的には、一対の第1壁部817は、
図7及び
図8に示すように、前後方向Xに厚みを有する板状であって、ケーブル配索体40の厚みよりも僅かに広い間隔を隔てて前後方向Xに対向配置されている。
【0082】
この一対の第1壁部817のうち、前方の第1壁部817は、
図7に示すように、収容部83に対応する上側の外壁部812に上端が連結されている。さらに、前方の第1壁部817は、フレキシブルフラットケーブル41の厚みよりも大きい曲げ半径でケーブル配索体40を曲げ規制可能な間隔を案内壁部813との間に確保できる上下方向の長さで形成されている。
【0083】
一方、後方の第1壁部817の前面には、
図7及び
図8に示すように、保護チューブ42の蛇腹部分の谷部分が係合するとともに、前方の第1壁部817とで曲げられたケーブル配索体40を挟持する3つのリブ817aが、上下方向に所定間隔を隔てて突設されている。
【0084】
具体的には、3つのリブ817aは、
図7及び
図8に示すように、前方の第1壁部817へ向けて突出するとともに、幅方向Yへ延びるように突設されている。なお、3つのリブ817aは、保護チューブ42が係合するように、保護チューブ42の蛇腹部分の谷部分と略同じ間隔を隔てて形成されている。
【0085】
また、第2曲げ部816は、
図7に示すように、第1曲げ部815によって上方へ曲げられたケーブル配索体40を、後方へ向けて曲げ規制している。より詳しくは、第2曲げ部816は、第1収容ケース80の上部を通るケーブル配索体40に作用する引っ張り力の作用方向(前方から後方)に対して交差する曲げ方向(下方向)に、前後方向Xと略平行に第1収容ケース80の上部を通るケーブル配索体40を曲げるように形成されている。
【0086】
この第2曲げ部816は、
図7に示すように、ケーブル配索体40の前後方向Xの位置を規制する一対の第1壁部817と、一対の第1壁部817の後方でケーブル配索体40の上下方向の位置を規制する一対の第2壁部818とで構成されている。
【0087】
具体的には、一対の第2壁部818は、
図7に示すように、上下方向に厚みを有する板状であって、ケーブル配索体40の厚みよりも僅かに広い間隔を隔てて上下方向に対向配置されている。
【0088】
この一対の第2壁部818のうち、上側の第2壁部818は、
図7及び
図8に示すように、収容部83に対応する上側の外壁部812で構成されている。
一方、下側の第2壁部818は、
図7及び
図8に示すように、外壁部812と略平行な板状であって、その前端が後方の第1壁部817の上端に連結されている。
なお、後方の第1壁部817と下側の第2壁部818との隅部816aは、フレキシブルフラットケーブル41の厚みよりも大きい曲げ半径でケーブル配索体40を曲げ規制可能な曲げ半径で面取りされている。
【0089】
さらに、下側の第2壁部818の上面には、
図7及び
図8に示すように、保護チューブ42の蛇腹部分の谷部分が係合するとともに、ケース本体81の外壁部812である上側の第2壁部818とでケーブル配索体40を挟持する2つのリブ818aが、前後方向Xに所定間隔を隔てて突設されている。
具体的には、2つのリブ818aは、
図7及び
図8に示すように、上側の第2壁部818へ向けて突出するとともに、幅方向Yへ延びるように突設されている。
【0090】
なお、2つのリブ818aは、保護チューブ42が係合するように、保護チューブ42の蛇腹部分の谷部分と略同じ間隔を隔てて形成されている。
このような構成の第1収容ケース80により、ケーブル配索体40は、
図7に示すように、車体側電線接続部30の近傍が第1収容ケース80の内部でクランク状に配索されている。
【0091】
次に、第2収容ケース90のケース本体91は、
図7に示すように、ケーブル配索体40、シート側電線接続部50、第2ワイヤーハーネス60を、前方から後方へ向けてこの順番で収容している。なお、第2収容ケース90の内部において、ケーブル配索体40は、シート側電線接続部50から前方へ向けて配索されている。
【0092】
この第2収容ケース90のケース本体91は、
図7及び
図9に示すように、幅方向Yに厚みを有して、蓋体92に対向する板状の主面部911と、主面部911の前端縁に沿って蓋体92へ向けて立設された前壁部912と、主面部911の上端縁に沿って蓋体92へ向けて立設された上壁部913とを備えている。
【0093】
さらに、この第2収容ケース90のケース本体91は、
図7及び
図9に示すように、主面部911の後端縁に沿って蓋体92へ向けて立設された後壁部914と、主面部911の下端縁に沿って蓋体92へ向けて立設された下壁部915とを備えている。
【0094】
加えて、第2収容ケース90のケース本体91は、
図7及び
図9に示すように、シート側電線接続部50近傍のケーブル配索体40を所望される曲げ方向に曲げる第1曲げ部916及び第2曲げ部917が、蓋体92へ向けて主面部911に立設されている。
【0095】
詳述すると、第1曲げ部916は、
図7に示すように、シート側電線接続部50の前方において、前後方向Xに配索されるケーブル配索体40を下方へ向けて曲げ規制している。より詳しくは、第1曲げ部916は、固定レール2の内部を通るケーブル配索体40に作用する引っ張り力の作用方向(後方から前方)に対して交差する曲げ方向(下方向)に、シート側電線接続部50から前方へ向けて配索されたケーブル配索体40を曲げるように形成されている。
【0096】
この第1曲げ部916は、
図7に示すように、シート側電線接続部50の前方でケーブル配索体40の上下方向の位置を規制する上壁部913と、上壁部913の下方でケーブル配索体40の前後方向Xの位置を規制する一対の第1壁部918とで構成されている。
具体的には、一対の第1壁部918は、
図7に示すように、前後方向Xに厚みを有する板状であって、ケーブル配索体40の厚みよりも僅かに広い間隔を隔てて前後方向Xに対向配置されている。
この一対の第1壁部918のうち、前方の第1壁部918は、
図7及び
図9に示すように、ケース本体91の前壁部912で構成されている。
【0097】
さらに、前方の第1壁部918(前壁部912)の後面には、
図7及び
図9に示すように、保護チューブ42の蛇腹部分の谷部分が係合するとともに、後方の第1壁部918とでケーブル配索体40を挟持する2つのリブ918aが、上下方向に所定間隔を隔てて突設されている。
【0098】
具体的には、2つのリブ918aは、
図7及び
図9に示すように、後方の第1壁部918へ向けて突出するとともに、幅方向Yへ延びるように突設されている。なお、2つのリブ918aは、保護チューブ42が係合するように、保護チューブ42の蛇腹部分の谷部分と略同じ間隔を隔てて形成されている。
【0099】
一方、後方の第1壁部918は、
図7及び
図9に示すように、前壁部912と略平行な板状に形成されている。この後方の第1壁部918は、
図7及び
図9に示すように、ケース本体91の上壁部913に対して下方に所定間隔を隔てた位置から、下壁部915と略同じ上下方向の位置まで延びる上下方向の長さで形成されている。
【0100】
なお、後方の第1壁部918と上壁部913との間は、ケーブル配索体40の厚みよりも大きい曲げ半径でケーブル配索体40を曲げ規制可能な間隔を確保している。
【0101】
また、第2曲げ部917は、
図7に示すように、第1曲げ部916によって曲げられたケーブル配索体40を前方へ向けて曲げ規制している。より詳しくは、第2曲げ部917は、固定レール2の内部を通るケーブル配索体40に作用する引っ張り力の作用方向(後方から前方)に対して交差する曲げ方向(上方向)に、固定レール2の内部を通るケーブル配索体40を曲げるように形成されている。
【0102】
この第2曲げ部917は、
図7に示すように、ケーブル配索体40の前後方向Xの位置を規制する一対の第1壁部918と、第1壁部918の下方で前後方向Xに沿って配索されたケーブル配索体40の上下方向の位置を規制する一対の第2壁部919とで構成されている。
【0103】
詳述すると、一対の第2壁部919は、
図7に示すように、第2収容ケース90の前端下部に設けられ、ケーブル配索体40を第2収容ケース90の内部に案内する案内部として形成されている。この一対の第2壁部919は、上下方向に厚みを有する板状であって、ケーブル配索体40の厚みに略同じ間隔を隔てて上下方向に対向配置されている。
【0104】
具体的には、一対の第2壁部919は、
図7及び
図9に示すように、上側の第2壁部919が前壁部912の下端から前方へ向けて延設して形成され、下側の第2壁部919が下壁部915から下方へ延設された先端を、前方へ向けて延設して形成されている。
【0105】
なお、上側の第2壁部919と前壁部912との隅部917aは、フレキシブルフラットケーブル41の厚みよりも大きい曲げ半径でケーブル配索体40を曲げ規制可能な曲げ半径で面取りされている。
このような構成の第2収容ケース90により、ケーブル配索体40は、
図7に示すように、シート側電線接続部50の近傍が第2収容ケース90の内部でクランク状に配索されている。
【0106】
以上のように、本実施形態の電線配索構造は、車体に固定した固定レール2の前後方向Xに沿って進退可能にスライド支持されたスライドシート4に対して、一方の端部が車体側ワイヤーハーネス6と電気的に接続され、他方の端部がシート側ワイヤーハーネス7と電気的に接続されたケーブル配索体40を配索して電気を供給している。
【0107】
この電線配索構造は、ケーブル配索体40の一方の端部が、固定された車体側電線接続部30で第1ワイヤーハーネス20と接続され、ケーブル配索体40の他方の端部が、固定されたシート側電線接続部50で第2ワイヤーハーネス60と接続されたものである。
【0108】
そして、第1収容ケース80において、電線配索構造は、車体側電線接続部30近傍のケーブル配索体40を、ケーブル配索体40に作用する引っ張り力の作用方向(前後方向X)に対して交差する曲げ方向(上下方向)に曲げる曲げ部(第1曲げ部815及び第2曲げ部816)が設けられたものである。
これによれば、電線配索構造は、引っ張り力による車体側電線接続部30の不具合を防止することができる。
【0109】
具体的には、車体側電線接続部30近傍のケーブル配索体40を曲げる曲げ部(第1曲げ部815及び第2曲げ部816)を設けたことにより、電線配索構造は、ケーブル配索体40に作用する引っ張り力を曲げ部で受け止めて、車体側電線接続部30に加わる引っ張り力を軽減することができる。このため、電線配索構造は、引っ張り力による車体側電線接続部30の不具合を防止することができる。
【0110】
加えて、スライドシート4の進退に伴う押し付け力がケーブル配索体40に作用した際、ケーブル配索体40は、曲げ部で曲げられた部分が押し付け力を吸収することができる。このため、電線配索構造は、車体側電線接続部30近傍のケーブル配索体40に作用する押し付け力を軽減して、車体側電線接続部30近傍のケーブル配索体40が例えば座屈変形することを防止できる。
【0111】
また、第2収容ケース90において、電線配索構造は、シート側電線接続部50近傍のケーブル配索体40を、ケーブル配索体40に作用する引っ張り力の作用方向(前後方向X)に対して交差する曲げ方向(上下方向)に曲げる曲げ部(第1曲げ部916及び第2曲げ部917)が設けられたものである。
これによれば、電線配索構造は、第1収容ケース80の場合と同様に、引っ張り力によるシート側電線接続部50の不具合を防止することができる。
【0112】
また、曲げ部が所定間隔を隔てて複数設けられ、第1収容ケース80の第1曲げ部815は、引っ張り力の作用方向(前後方向X)に対するケーブル配索体40の曲げ方向が上方となるように形成されたものである。一方、第1収容ケース80の第2曲げ部816は、引っ張り力の作用方向(前後方向X)に対するケーブル配索体40の曲げ方向が下方となるように形成されたものである。
【0113】
この構成によれば、ケーブル配索体40の曲げ方向が逆方向となるように第1曲げ部815及び第2曲げ部816が形成されているため、電線配索構造は、ケーブル配索体40を略クランク状に曲げることができる。
【0114】
このため、電線配索構造は、ケーブル配索体40に作用する引っ張り力を第1曲げ部815及び第2曲げ部816で確実に受け止めることができ、前後方向Xへの引っ張り力が車体側電線接続部30に直接的に加わることをより抑えることができる。
これにより、電線配索構造は、車体側電線接続部30に加わる引っ張り力をより軽減することができる。
【0115】
また、第2収容ケース90の第1曲げ部916は、引っ張り力の作用方向(前後方向X)に対するケーブル配索体40の曲げ方向が下方となるように形成されたものである。一方、第2収容ケース90の第2曲げ部917は、引っ張り力の作用方向(前後方向X)に対するケーブル配索体40の曲げ方向が上方となるように形成されたものである。
【0116】
この構成によれば、電線配索構造は、第1収容ケース80と同様に、ケーブル配索体40に作用する引っ張り力を第1曲げ部916及び第2曲げ部917で確実に受け止めることができる。
【0117】
このため、電線配索構造は、前後方向Xへの引っ張り力がシート側電線接続部50に直接的に加わることをより抑えることができる。
これにより、電線配索構造は、シート側電線接続部50に加わる引っ張り力をより軽減することができる。
【0118】
また、ケーブル配索体40は、導体を絶縁シートで挟み込んだ帯状のフレキシブルフラットケーブル41の積層体である。そして、曲げ部(第1曲げ部815,916及び第2曲げ部816,917)は、フレキシブルフラットケーブル41を厚み方向に曲げる構成である。
【0119】
この構成によれば、電線配索構造は、曲げ部に沿うようにケーブル配索体40を確実に曲げることができるとともに、曲げ部とケーブル配索体40との接触面積を確保することができる。
【0120】
このため、電線配索構造は、ケーブル配索体40に作用する引っ張り力を曲げ部で確実に受け止めて、車体側電線接続部30及びシート側電線接続部50のそれぞれに加わる引っ張り力を確実に軽減することができる。
【0121】
また、第1ワイヤーハーネス20は、導体を絶縁被覆で被覆した断面丸型の被覆電線21で構成されたものである。そして、車体側電線接続部30は、フレキシブルフラットケーブル41の平角導体41aと被覆電線21の導体とが接続端子31を介して接続された構成である。
【0122】
この構成によれば、電線配索構造は、フレキシブルフラットケーブル41と被覆電線21とを接続端子31を介して容易に接続できるとともに、フレキシブルフラットケーブル41と被覆電線21とを直接的に接続した場合に比べて接続強度を向上することができる。
【0123】
これにより、電線配索構造は、フレキシブルフラットケーブル41と被覆電線21との接続が解除されることを、曲げ部(第1曲げ部815及び第2曲げ部816)及び接続端子31の協働によって阻止することができる。
【0124】
このため、電線配索構造は、線種の異なるフレキシブルフラットケーブル41と被覆電線21とを接続した場合であっても、車体側電線接続部30の安定した接続状態を確保することができる。
【0125】
また、第2ワイヤーハーネス60は、導体を絶縁被覆で被覆した断面丸型の被覆電線21で構成されたものである。そして、シート側電線接続部50は、フレキシブルフラットケーブル41の平角導体41aと被覆電線の導体とが接続端子を介して接続された構成である。
この構成によれば、電線配索構造は、上述の車体側電線接続部30と同様に、シート側電線接続部50の安定した接続状態を確保することができる。
【0126】
また、電線配索構造は、フレキシブルフラットケーブル41を被覆するチューブ状の保護チューブ42が設けられたものである。
この構成によれば、電線配索構造は、曲げ部(第1曲げ部815,916及び第2曲げ部816,917)との摺動によるフレキシブルフラットケーブル41の損傷を防止することができる。このため、電線配索構造は、フレキシブルフラットケーブル41の安定した導電性を確保することができる。
【0127】
また、第2曲げ部816,917は、フレキシブルフラットケーブル41の厚み以上の曲げ半径でケーブル配索体40を曲げ規制したものである。
この構成によれば、電線配索構造は、ケーブル配索体40が折曲するように曲げられることを防止できるため、ケーブル配索体40の安定した導電性を確実に確保することができる。
【0128】
さらに、第2曲げ部816,917に湾曲した面を設けてケーブル配索体40の曲げ半径を規制することで、電線配索構造は、第2曲げ部816,917との強接触によってケーブル配索体40が損傷することをより防止できる。
【0129】
また、第1収容ケース80において、第1曲げ部815は、曲げられたケーブル配索体40を挟み込む一対の第1壁部817が設けられたものである。
【0130】
この構成によれば、電線配索構造は、ケーブル配索体40を確実に曲げることができるとともに、ケーブル配索体40の移動を第1壁部817によって規制することができる。このため、電線配索構造は、車体側電線接続部30に加わる引っ張り力をより確実に軽減することができる。
【0131】
また、第1収容ケース80において、第2曲げ部816は、曲げられたケーブル配索体40を挟み込む一対の第1壁部817及び一対の第2壁部818が設けられたものである。
この構成によれば、電線配索構造は、第1曲げ部815と同様に、車体側電線接続部30に加わる引っ張り力をより確実に軽減することができる。
【0132】
また、第2収容ケース90において、第1曲げ部916は、曲げられたケーブル配索体40を挟み込む一対の第1壁部918が設けられたものである。さらに、第2曲げ部917は、曲げられたケーブル配索体40を挟み込む一対の第1壁部918及び第2壁部919が設けられたものである。
この構成によれば、電線配索構造は、第1収容ケース80と同様に、シート側電線接続部50に加わる引っ張り力をより確実に軽減することができる。
【0133】
また、第1収容ケース80は、後方の第1壁部817に、前方の第1壁部817へ向けて立設されるとともに、幅方向Yに延びるリブ817aが設けられ、下方の第2壁部818に、上方の第2壁部818へ向けて立設されるとともに、幅方向Yに延びるリブ818aが設けられたものである。
【0134】
この構成によれば、電線配索構造は、車体側電線接続部30近傍におけるケーブル配索体40の移動を第1壁部817及び第2壁部818によって確実に規制することができる。このため、電線配索構造は、引っ張り力がケーブル配索体40に作用した際、車体側電線接続部30に加わる引っ張り力をさらに確実に軽減することができる。
【0135】
また、第2収容ケース90は、前方の第1壁部918に、後方の第1壁部918へ向けて立設されるとともに、幅方向Yに延びるリブ918aが設けられたものである。
この構成によれば、電線配索構造は、シート側電線接続部50近傍におけるケーブル配索体40の移動を第1壁部918によって確実に規制することができる。このため、電線配索構造は、引っ張り力がケーブル配索体40に作用した際、シート側電線接続部50に加わる引っ張り力をさらに確実に軽減することができる。
【0136】
また、電線配索構造は、フレキシブルフラットケーブル41を被覆し、フレキシブルフラットケーブル41に固定されるとともに、ケーブル配索体40の長手方向に沿って連続する凹凸を有する蛇腹形状の保護チューブ42が設けられている。
そして、電線配索構造は、第1収容ケース80のリブ817a,818aと、保護チューブ42の谷部分とが係合するものである。
【0137】
この構成によれば、フレキシブルフラットケーブル41に固定された保護チューブ42の谷部分とリブ817a,818aとの係合によって、電線配索構造は、車体側電線接続部30近傍におけるケーブル配索体40の移動をさらに確実に規制することができる。このため、電線配索構造は、引っ張り力がケーブル配索体40に作用した際、車体側電線接続部30に加わる引っ張り力をさらに確実に軽減することができる。
【0138】
また、電線配索構造は、第2収容ケース90のリブ918aと、保護チューブ42の谷部分とが係合するものである。
この構成によれば、フレキシブルフラットケーブル41に固定された保護チューブ42の谷部分とリブ918aとの係合によって、電線配索構造は、シート側電線接続部50近傍におけるケーブル配索体40の移動をさらに確実に規制することができる。このため、電線配索構造は、引っ張り力がケーブル配索体40に作用した際、シート側電線接続部50に加わる引っ張り力をさらに確実に軽減することができる。
【0139】
また、電線配索構造は、ケーブル配索体40の車体側端部が、車体側電線接続部30を介して車体側ワイヤーハーネス6に接続されるとともに、ケーブル配索体40のシート側端部が、シート側電線接続部50を介してシート側ワイヤーハーネス7に接続されたものである。
【0140】
さらに、電線配索構造は、固定レール2の外部に、車体側電線接続部30を収容するとともに、スライドシート4の進退に伴ってケーブル配索体40を引出し及び収容可能な収容部83を有する第1収容ケース80が設けられたものである。
【0141】
この構成によれば、車体側電線接続部30及びケーブル配索体40が第1収容ケース80の収容部83に収容されるため、電線配索構造は、車体側電線接続部30及びケーブル配索体40が異物との接触によって損傷する、あるいは車体側電線接続部30及びケーブル配索体40に意図しない外力が加わって損傷することを防止できる。このため、電線配索構造は、車体側電線接続部30及びケーブル配索体40に意図しない不具合が生じることを防止できる。
【0142】
また、収容部83において、ケーブル配索体40は、U字状に曲げ返して収容されたものである。
この構成によれば、電線配索構造は、スライドシート4の進退に伴うケーブル配索体40の引出し及び収容を容易にすることができる。
【0143】
また、ケーブル配索体40は、第1収容ケース80から導出されるとともに、導出された部分が固定レール2の内部に配索されている。
そして、第1収容ケース80は、ケーブル配索体40が収容されるとともに、固定レール2の内部に向かってケーブル配索体40を案内する案内部84が設けられたものである。
【0144】
この構成によれば、電線配索構造は、収容部83と固定レール2との間において、ケーブル配索体40を案内部84によって案内できるため、ケーブル配索体40の引出及び収容をより容易にすることができる。
【0145】
さらに、ケーブル配索体40が案内部84に収容されるため、電線配索構造は、収容部83と固定レール2との間において、ケーブル配索体40が異物との接触によって損傷する、あるいはケーブル配索体40に意図しない外力が加わって損傷することを確実に防止できる。
このため、電線配索構造は、ケーブル配索体40に意図しない不具合が生じることを確実に防止できる。
【0146】
また、案内部84は、前後方向Xに沿って固定レール2の内部まで直線状に延びる直線部分84bと、収容部83から直線部分84bへ向かって湾曲した湾曲部分84aとで形成されたものである。
この構成によれば、案内部84の湾曲部分84aによって、電線配索構造は、収容部83から導出したケーブル配索体40をよりスムーズに案内することができる。
【0147】
さらに、案内部84の直線部分84bによって、電線配索構造は、収容部83と固定レール2との間で、ケーブル配索体40が外部に露出することを抑えて、ケーブル配索体40を固定レール2の内部まで確実に案内することができる。このため、電線配索構造は、ケーブル配索体40が異物との接触によって損傷する、あるいはケーブル配索体40に意図しない外力が加わって損傷することをより確実に防止できる。
【0148】
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、
この発明の長手方向は、実施形態の前後方向Xに対応し、
以下同様に、
車体側電線は、車体側ワイヤーハーネス6に対応し、
シート側電線は、シート側ワイヤーハーネス7に対応し、
電線は、ケーブル配索体40に対応し、
電線接続部及び車体側の電線接続部は、車体側電線接続部30に対応し、
電線接続部及びシート側の電線接続部は、シート側電線接続部50に対応し、
別電線は、第1ワイヤーハーネス20及び第2ワイヤーハーネス60に対応し、
作用方向は、前方から後方または後方から前方に対応し、
曲げ方向は、上方または下方に対応し、
曲げ部は、第1曲げ部815,916、及び第2曲げ部816,917に対応し、
帯状電線は、フレキシブルフラットケーブル41に対応し、
一対の壁部は、第1壁部817,918、及び第2壁部818,919に対応し、
収容ケースは、第1収容ケース80に対応するが、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
【0149】
例えば、上述した実施形態において、給電装置5を固定レール2の下方に配置したシートスライド機構1としが、これに限定せず、別の実施形態におけるシートスライド機構1の概略を説明する説明図を示す
図10のように、固定レール2の幅方向Yに隣接して給電装置8を配置してもよい。
【0150】
さらに、給電装置8の第1収容ケース9を、
図10に示すように、厚み方向が上下方向となるように配置してもよい。この際、第1収容ケース9の内部において、フレキシブルフラットケーブルは、平角導体の並列方向が上下方向となるように配置されるものとする。
【0151】
なお、詳細な図示を省略するが、給電装置8における第1収容ケース9は、収容部の上面が固定レール2の上面よりも下方に位置し、案内部の上面が収容部から固定レールにかけて漸次、螺旋状に上方へ向かう傾斜面で形成されている。
【0152】
また、一方の固定レール2の下方に給電装置5を配置したが、これに限定せず、他方の固定レール2の下方に給電装置5を配置してもよい。あるいは、左右の固定レール2の下方にそれぞれ給電装置5を配置してもよい。
【0153】
また、車体側電線接続部30とシート側電線接続部50とをケーブル配索体40で接続したが、これに限定せず、車体側電線接続部30とシート側電線接続部50とを電気的に接続可能であれば、適宜の電線であってもよい。なお、適宜の電線としては、例えば一枚のフレキシブルフラットケーブル、断面丸形の被覆電線で構成されたフラットケーブル、あるいは被覆電線を束ねたワイヤーハーネスであってもよい。
【0154】
また、ケーブル配索体40を保持した第2収容ケース90が、固定レール2のスリットを前後方向Xに進退する構成としたが、これに限定せず、固定レール2とは別体で設けられるとともに、固定レール2に隣接して配置したケースの開口を、第2収容ケースが前後方向Xに進退する構成であってもよい。
【0155】
また、第1ワイヤーハーネス20及び第2ワイヤーハーネス60を、複数の被覆電線21で構成したが、これに限定せず、接続端子31を介してケーブル配索体40と接続可能であれば、第1ワイヤーハーネスまたは/および第2ワイヤーハーネスをフレキシブルフラットケーブルなどで構成してもよい。
【0156】
また、車体側電線接続部30において、フレキシブルフラットケーブル41と第1ワイヤーハーネス20とを、被覆圧着部31a及び導体圧着部31bを有する接続端子31を介して接続したが、これに限定しない。
【0157】
例えば、フレキシブルフラットケーブル41と第1ワイヤーハーネス20とをバスバーを介して接続してもよい。この場合、フレキシブルフラットケーブル41の平角導体41a及び第1ワイヤーハーネス20の導体をバスバーに溶接して接続する。
同様に、シート側電線接続部50において、フレキシブルフラットケーブル41と第2ワイヤーハーネス60とを、バスバーを介して接続してもよい。
【0158】
また、第1収容ケース80に2つの曲げ部(第1曲げ部815及び第2曲げ部816)を設け、第2収容ケース90に2つの曲げ部(第1曲げ部916及び第2曲げ部917)を設けたが、これに限定しない。例えば、1つの曲げ部、または3つ以上の曲げ部が設けられた収容ケースであってもよい。
【0159】
また、第1収容ケース80において、一対の第1壁部817と一対の第2壁部818とで構成された第2曲げ部816としたが、これに限定せず、例えば第1壁部817と第2壁部818との隅部816aである面取り部分で構成された曲げ部であってもよい。あるいは、一対の第1壁部817と上方の第2壁部818(上方の外壁部812)とで構成された曲げ部であってもよい。
【0160】
同様に、第2収容ケース90において、一対の第1壁部918と一対の第2壁部919とで構成された第2曲げ部917としたが、これに限定せず、例えば第1壁部918と第2壁部919との隅部917aである面取り部分で構成された曲げ部であってもよい。あるいは、一対の第1壁部918と下方の第2壁部919とで構成された曲げ部であってもよい。
【0161】
また、リブ817a,918aが一方の第1壁部817,918に設けられた構成としたが、これに限定せず、リブが他方の第1壁部817,918にも設けられた構成であってもよい。同様に、リブ818aが一方の第2壁部818に設けられた構成としたが、これに限定せず、リブが他方の第2壁部818にも設けられた構成であってもよい。
【符号の説明】
【0162】
2…固定レール
4…スライドシート
6…車体側ワイヤーハーネス
7…シート側ワイヤーハーネス
20…第1ワイヤーハーネス
21…被覆電線
30…車体側電線接続部
31…接続端子
40…ケーブル配索体
41…フレキシブルフラットケーブル
42…保護チューブ
50…シート側電線接続部
60…第2ワイヤーハーネス
80…第1収容ケース
83…収容部
84…案内部
84a…湾曲部分
84b…直線部分
815,916…第1曲げ部
816,917…第2曲げ部
817,918…第1壁部
818,919…第2壁部
817a,818a,918a…リブ
X…前後方向