(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-09
(45)【発行日】2025-01-20
(54)【発明の名称】化学物質デリバリシステムのアンプル内の圧力揺らぎを減少させるための方法および装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/31 20060101AFI20250110BHJP
C23C 16/448 20060101ALI20250110BHJP
H01L 21/3065 20060101ALI20250110BHJP
【FI】
H01L21/31 B
C23C16/448
H01L21/302 101G
(21)【出願番号】P 2023530597
(86)(22)【出願日】2021-11-19
(86)【国際出願番号】 US2021060003
(87)【国際公開番号】W WO2022109212
(87)【国際公開日】2022-05-27
【審査請求日】2023-07-19
(32)【優先日】2020-11-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ドゥルカン, イルカー
(72)【発明者】
【氏名】ラシード, モハマド エム.
(72)【発明者】
【氏名】チョイ, ケンリック
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 達也
【審査官】原島 啓一
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-146924(JP,A)
【文献】特表2011-516724(JP,A)
【文献】国際公開第2009/038168(WO,A1)
【文献】特開平05-094949(JP,A)
【文献】特開2002-339071(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/31
H01L 21/205
H01L 21/302
H01L 21/3065
H01L 21/365
H01L 21/461
H01L 21/469
H01L 21/86
C23C 16/00-16/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセスチャンバ用の化学物質デリバリシステムであって、
キャリアガス供給部と、
第1の供給ラインを介して前記キャリアガス供給部に流体的に結合されたアンプルであって、前記アンプルが、第2の供給ラインを介して前記プロセスチャンバへ1つまたは複数のプロセスガスを供給するように構成される、アンプルと、
前記キャリアガス供給部から前記アンプルへのキャリアガスの流れを制御するために前記第1の供給ラインに沿って配置された入り口バルブと、
圧力調整ラインに沿って配置された第1の制御バルブであって、前記圧力調整ラインが、前記キャリアガス供給部と前記入り口バルブとの間のT継手位置のところで前記第1の供給ラインに流体的に結合されている、第1の制御バルブと
を備え
、前記圧力調整ラインがメタリングバルブを含む、
化学物質デリバリシステム。
【請求項2】
前記プロセスチャンバへの前記1つまたは複数のプロセスガスの流れを制御するために前記第2の供給ラインに沿って配置された出口バルブをさらに備える、請求項1に記載の化学物質デリバリシステム。
【請求項3】
前記入り口バルブと前記アンプルとの間に前記第1の供給ラインに沿って配置された入り口アイソレーションバルブ、および前記アンプルと前記出口バルブとの間に前記第2の供給ラインに沿って配置された出口アイソレーションバルブをさらに備える、請求項
2に記載の化学物質デリバリシステム。
【請求項4】
前記第2の供給ラインに沿って配置されたフィルタをさらに備える、請求項
3に記載の化学物質デリバリシステム。
【請求項5】
前記フィルタが、前記出口バルブの下流に配置される、請求項
4に記載の化学物質デリバリシステム。
【請求項6】
前記第2の供給ラインに沿って配置された真空バルブをさらに備え、前記真空バルブが前記第1の制御バルブと同じタイプのバルブである、請求項1から
5のいずれか一項に記載の化学物質デリバリシステム。
【請求項7】
プロセスチャンバ用の化学物質デリバリシステムであって、
キャリアガス供給部と、
第1の供給ラインを介して前記キャリアガス供給部に流体的に結合されたアンプルであって、前記アンプルが、第2の供給ラインを介して前記プロセスチャンバへ1つまたは複数のプロセスガスを供給するように構成される、アンプルと、
前記キャリアガス供給部から前記アンプルへのキャリアガスの流れを制御するために前記第1の供給ラインに沿って配置された入り口バルブと、
圧力調整ラインに沿って配置された第1の制御バルブであって、前記圧力調整ラインが、前記キャリアガス供給部と前記入り口バルブとの間のT継手位置のところで前記第1の供給ラインに流体的に結合されている、第1の制御バルブと
を備え、
前記第1の供給ラインを前記第2の供給ラインに流体的に結合するバイパスライン、および前記バイパスラインに沿って配置されたバイパスバルブをさらに備える
、
化学物質デリバリシステム。
【請求項8】
前記アンプルの下流に前記第2の供給ラインに沿って配置された真空バルブをさらに備える、請求項1から
5のいずれか一項に記載の化学物質デリバリシステム。
【請求項9】
プロセスチャンバ用の化学物質デリバリシステムであって、
キャリアガス供給部と、
第1の供給ラインを介して前記キャリアガス供給部に流体的に結合されたアンプルであって、前記アンプルが、第2の供給ラインを介して前記プロセスチャンバへ1つまたは複数のプロセスガスを供給するように構成される、アンプルと、
前記キャリアガス供給部から前記アンプルへのキャリアガスの流れを制御するために前記第1の供給ラインに沿って配置された入り口バルブと、
圧力調整ラインに沿って配置された第1の制御バルブであって、前記圧力調整ラインが、前記キャリアガス供給部と前記入り口バルブとの間のT継手位置のところで前記第1の供給ラインに流体的に結合されている、第1の制御バルブと
を備え、
前記第1の供給ライン内の圧力を制御するために前記第1の供給ラインに沿って配置された圧力スイッチと、
前記圧力調整ラインに沿って配置されたメタリングバル
ブと
をさらに備え
、前記圧力調整ラインの第1の長さが、前記第1の制御バルブから前記T継手位置まで延びる、
化学物質デリバリシステム。
【請求項10】
前記圧力調整ラインの前記第1の長さが、前記圧力スイッチから前記T継手位置までの前記第1の供給ラインの第1の部分よりも長い、請求項
9に記載の化学物質デリバリシステム。
【請求項11】
前記T継手位置から前記入り口バルブまでの前記第1の供給ラインの第2の部分が、前記圧力調整ラインの前記第1の長さよりも大きい、請求項
10に記載の化学物質デリバリシステム。
【請求項12】
前記第1の供給ラインの前記第2の部分が、前記圧力調整ラインの前記第1の長さよりも多くの曲がりを含む、請求項
11に記載の化学物質デリバリシステム。
【請求項13】
前記メタリングバルブが、前記T継手位置と前記第1の制御バルブとの間に配置される、請求項
9に記載の化学物質デリバリシステム。
【請求項14】
プロセスチャンバ用のアンプル内の圧力揺らぎを減少させる方法であって、
キャリアガス供給部から第1の供給ラインを介して圧力調整ラインへキャリアガスを流すことであって、前記圧力調整ラインがT継手位置のところで前記第1の供給ラインからの前記キャリアガスの流れの向きを変える、キャリアガスを流すことと、
前記圧力調整ラインに沿って配置された第1の制御バルブを閉じることと、
アンプルへ前記キャリアガスを流すために前記T継手位置の下流に前記第1の供給ラインに沿って配置された入り口バルブを開くことと
、
前記第1の制御バルブを閉じるのに先立ってメタリングバルブを介して前記圧力調整ライン内の圧力を調整することと
を含む、圧力揺らぎを減少させる方法。
【請求項15】
前記アンプルから第2の供給ラインを介してプロセスチャンバへと1つまたは複数のプロセスガスを流すことであって、前記1つまたは複数のプロセスガスが前記キャリアガスと前記アンプル内に配置された固体前駆体の昇華した物質との混合物を含む、1つまたは複数のプロセスガスを流すことをさらに含む、請求項
14に記載の方法。
【請求項16】
約5.0ナノメートル
以上である粒子を制限するために前記第2の供給ライン内の前記1つまたは複数のプロセスガスをフィルタ処理することをさらに含む、請求項
15に記載の方法。
【請求項17】
前記第1の制御バルブが前記入り口バルブを開くのと同時に閉じられる、請求項
14から
16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記入り口バルブを開いた後で、前記アンプルが約50トルから約200トルに加圧される、請求項
14から
16のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、全体として基板処理機器に関し、より具体的には、基板処理機器の化学物質デリバリシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
基板処理機器は、適した化学プロセスを実行するためのプロセスチャンバ、例えば、化学気相堆積(CVD)チャンバ、原子層堆積(ALD)チャンバ、エッチチャンバ、等へ1つまたは複数のプロセスガスを与えるための固体化学物質デリバリシステムを含むことがある。固体化学物質デリバリシステムは、典型的には、固体状態前駆体を含有する昇華容器、またはアンプルを含む。キャリアガスは、固体状態前駆体を昇華させてプロセスチャンバへ配送されるべき1つまたは複数のプロセスガスを形成するために、アンプルを通って流されることがある。しかしながら、キャリアガスがアンプルに導入されるときに、初期圧力スパイクが、固体状態前駆体を1つまたは複数のプロセスガスと意図せずに混合させることがあり、固体状態前駆体がアンプルからプロセスチャンバへのデリバリラインを汚染させることがある。
【0003】
したがって、発明者は、汚染を減少させるための改良した固体化学物質デリバリシステムを提供する。
【発明の概要】
【0004】
プロセスチャンバ用の化学物質デリバリシステム内の圧力揺らぎを減少させるための方法および装置が、本明細書において提供される。いくつかの実施形態では、プロセスチャンバ用の化学物質デリバリシステムは:キャリアガス供給部と、第1の供給ラインを介して上記キャリアガス供給部に流体的に結合されたアンプルであって、上記アンプルが、第2の供給ラインを介して上記プロセスチャンバへ1つまたは複数のプロセスガスを供給するように構成される、アンプルと、上記キャリアガス供給部から上記アンプルへのキャリアガスの流れを制御するために上記第1の供給ラインに沿って配置された入り口バルブと、圧力調整ラインに沿って配置された第1の制御バルブであって、上記圧力調整ラインが上記キャリアガス供給部と上記入り口バルブとの間のT継手位置のところで上記第1の供給ラインに流体的に結合されている、第1の制御バルブとを含む。
【0005】
いくつかの実施形態では、プロセスチャンバ用の化学物質デリバリシステムは:キャリアガス供給部と、第1の供給ラインを介して上記キャリアガス供給部に流体的に結合されたアンプルであって、上記アンプルが、第2の供給ラインを介して上記プロセスチャンバへ1つまたは複数のプロセスガスを供給するように構成される、アンプルと、上記第1の供給ライン内の圧力を制御するために上記第1の供給ラインに沿って配置された圧力スイッチと、上記キャリアガス供給部から上記アンプルへのキャリアガスの流れを制御するために上記第1の供給ラインに沿って配置された入り口バルブと、圧力調整ラインに沿って配置された第1の制御バルブおよびメタリングバルブであって、上記圧力調整ラインが上記キャリアガス供給部と上記入り口バルブとの間のT継手位置のところで上記第1の供給ラインに流体的に結合され、上記圧力調整ラインの第1の長さが、上記第1の制御バルブから上記T継手位置まで延びる、第1の制御バルブおよびメタリングバルブとを含む。
【0006】
いくつかの実施形態では、プロセスチャンバ用のアンプル内の圧力揺らぎを減少させる方法は:キャリアガス供給部から第1の供給ラインを介して圧力調整ラインへキャリアガスを流すことであって、上記圧力調整ラインがT継手位置のところで上記第1の供給ラインからの上記キャリアガスの上記流れの向きを変える、キャリアガスを流すことと、上記圧力調整ラインに沿って配置された第1の制御バルブを閉じることと、アンプルへ上記キャリアガスを流すために上記T継手位置の下流に上記第1の供給ラインに沿って配置された入り口バルブを開くこととを含む。
【0007】
本開示の他の実施形態およびさらなる実施形態が下記に説明される。
【0008】
上記に簡単に要約され、下記でより詳細に論じられる本開示の実施形態は、添付の図面に描かれた開示の実例の実施形態の参照によって理解され得る。しかしながら、添付した図面は、開示の典型的な実施形態だけを図示し、これゆえに、開示が他の同等に有効な実施形態を認め得るために範囲を限定するように考えられるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の少なくともいくつかの実施形態によるプロセスチャンバ用の化学物質デリバリシステムの模式図である。
【
図2A】本開示の少なくともいくつかの実施形態によるアンプル圧力の圧力対時間のグラフである。
【
図2B】本開示の少なくともいくつかの実施形態によるアンプル圧力の圧力対時間のグラフである。
【
図3】プロセスチャンバ用のアンプル内の圧力揺らぎを減少させる方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
理解を容易にするために、可能な場合には、同一の参照番号が、複数の図に共通である同一の要素を示すために使用されている。図は、等尺では描かれておらず、明確さのために単純化されることがある。1つの実施形態の要素および特徴は、さらなる詳述なしに他の実施形態に有利に組み込まれることがある。
【0011】
プロセスチャンバ用の化学物質デリバリシステム内の圧力揺らぎを減少させるための方法および装置が、本明細書において提供される。化学物質デリバリシステムは、第1の供給ラインを介して化学物質デリバリシステムのアンプルへキャリアガスを供給するためのキャリアガス供給部を含む。キャリアガスは、アンプル内に配置される固体前駆体を昇華させ、アンプルから第2の供給ラインを介してプロセスチャンバへと配送される1つまたは複数のプロセスガスとしてキャリアガスと昇華した前駆体との混合物を形成するように構成される。固体化学物質デリバリシステムは、半導体基板プロセスチャンバ、例えば、堆積チャンバ(CVD、ALD、等)、エッチングチャンバ、クリーニングチャンバ、等のためのデリバリシステムであってもよい。
【0012】
化学物質デリバリシステムは、アンプルの上流の第1の供給ラインから延びる圧力調整ラインを含む。圧力調整ラインは、第1の供給ライン内の圧力を都合よく安定化させ、そのためキャリアガスがアンプルへと流れるときにアンプル内の圧力揺らぎを小さくする。アンプル内の小さな圧力揺らぎは、1つまたは複数のプロセスガスのガス状混合物へと固体前駆体を混合することを都合よく最小にし、このことが結果として、固体前駆体が第2の供給ラインを汚染することを減少させる。
【0013】
図1は、本開示の少なくともいくつかの実施形態によるプロセスチャンバ用の化学物質デリバリシステムの模式図である。化学物質デリバリシステム100は、キャリアガス供給部102を含む。キャリアガス供給部102は、いくつかの実施形態では非反応性ガスであってもよいキャリアガスを貯蔵できる。いくつかの実施形態では、キャリアガスは、アルゴンガス、窒素ガス、ヘリウムガス、水素ガス、等のうちの1つまたは複数であってもよい。化学物質デリバリシステム100は、キャリアガス供給部102からプロセスチャンバ104へとキャリアガスを配送するように構成される。他の化学物質デリバリシステムが、異なる要素および/または構成を有することがあるが、本明細書において論じる実装形態は、そのような他のシステムになお適用されてよい。
【0014】
アンプル110は、第1の供給ライン112を介してキャリアガス供給部102に流体的に結合される。アンプル110は、キャリアガスがアンプル110へと流れ込むときに昇華する固体前駆体を含むことができ、昇華した前駆体とキャリアガスとのガス状混合物をもたらす。固体前駆体は、いずれかの好適な前駆体、例えば限定しないが、四塩化ハフニウム(HfCl4)などのハロゲン化物であってもよい。アンプル110は、固体前駆体の昇華を促進させるために加熱されることがある。いくつかの実施形態では、固体前駆体は、例えば、ペレットまたは粉末を含む、粒状の形態である。アンプル110は、アンプル110から第2の供給ライン128を介してプロセスチャンバ104へ1つまたは複数のプロセスガスを供給するように構成される。プロセスチャンバ104は、中に配置された基板120を処理するための任意の適したチャンバであってもよい。プロセスチャンバ104は、第2の供給ラインからプロセスチャンバ104へと1つまたは複数のプロセスガスを分配するための1つまたは複数の開口部を有するガス分配プレート122を含むことができる。
【0015】
第1の供給ライン112は、キャリアガスの流れまたは圧力を制御するための1つまたは複数の制御バルブを含む。例えば、第1の供給ライン112は、キャリアガスの質量流量を制御するためにキャリアガス供給部102の下流に配置された質量流量コントローラ108を含む。いくつかの実施形態では、圧力計106が、第1の供給ライン112内の圧力を制御するために第1の供給ライン112に沿って配置される。圧力計106は、アンプル110の上流に配置される。いくつかの実施形態では、圧力計106は、質量流量コントローラ108から下流に配置される。
【0016】
入り口バルブ116が、キャリアガス供給部102からアンプル110へのキャリアガスの流れを制御するために第1の供給ライン112に沿って配置される。いくつかの実施形態では、入り口アイソレーションバルブ124が、入り口バルブ116とアンプル110との間に第1の供給ライン112に沿って配置される。いくつかの実施形態では、バイパスライン140は、第1の供給ライン112を第2の供給ライン128に流体的に結合する。いくつかの実施形態では、バイパスバルブ132は、キャリアガスがアンプル110を通って流れることなくキャリアガス供給部102からプロセスチャンバ104へ流れるために、バイパスライン140に沿って配置される。いくつかの実施形態では、バイパスライン140は、入り口バルブ116と入り口アイソレーションバルブ124との間に配置される。入り口アイソレーションバルブ124は、通常は開であってよい。入り口アイソレーションバルブ124は、バイパスライン140を通る流れが望まれるときに閉じられることがある。
【0017】
圧力調整ライン136は、キャリアガス供給部102と入り口バルブ116との間に配置されたT継手位置150のところで第1の供給ライン112に流体的に結合される。いくつかの実施形態では、T継手位置150とは反対の圧力調整ライン136の端部は、化学物質デリバリシステム100のフォアライン144に結合される。フォアライン144は、真空ポンプ148に結合される。第1の制御バルブ114は、圧力調整ライン136に沿って配置される。第1の制御バルブ114は、速い応答を有する任意の適した開/閉バルブである。速い応答時間(すなわち、約100ミリ秒以下)を有する第1の制御バルブ114は、第1の制御バルブ114が閉じられそして入り口バルブ116および入り口アイソレーションバルブ124が開かれるときにアンプル110内の圧力揺らぎを都合よく最小にする。いくつかの実施形態では、第1の制御バルブ114は、オハイオ州、ソロンのSwagelok(登録商標)から市販されている原子層堆積(ALD)バルブである。
【0018】
いくつかの実施形態では、メタリングバルブ138が、圧力調整ライン136に沿って配置される。メタリングバルブ138は、一般に、圧力調整ライン136内の導通率を制御するための可変オリフィスバルブである。メタリングバルブ138は、第1の制御バルブ114の上流に配置されても下流に配置されてもよい。いくつかの実施形態では、メタリングバルブ138は、手動バルブであってもよい。いくつかの実施形態では、第1の制御バルブ114は、メタリングバルブ138よりも速い応答時間を有する。いくつかの実施形態では、固定オリフィスバルブが、メタリングバルブ138の代わりに使用されることがある。
【0019】
圧力調整ライン136の第1の長さ152は、第1の制御バルブ114からT継手位置150まで延びる。いくつかの実施形態では、圧力調整ライン136の第2の長さ160は、第1の制御バルブ114からフォアライン144まで延びる。第1の供給ライン112の第1の部分154は、圧力計106からT継手位置150まで延びる。第1の供給ライン112の第2の部分158は、T継手位置150から入り口バルブ116まで延びる。いくつかの実施形態では、メタリングバルブ138は、キャリアガスの流れが圧力調整ラインからアンプル110へと切り替えられるときにアンプル110内の圧力揺らぎを最小にするために圧力調整ライン136の第1の長さ152内の導通率を第1の供給ライン112の第2の部分158内の導通率に調和させるように都合よく構成される。
【0020】
本明細書において説明する複数のライン各々における導通率は、ライン長さおよび曲がりの数の因子であり得る。いくつかの実施形態では、第1の供給ライン112の第1の部分154は、長さ約25.0インチから約35.0インチである。いくつかの実施形態では、第1の部分154には、約3個から約8個の曲がりがある。いくつかの実施形態では、第1の供給ライン112の第2の部分158は、長さ約30.0インチから約40.0インチである。いくつかの実施形態では、第2の部分158には、約7個から約15個の曲がりがある。いくつかの実施形態では、第1の長さ152は、約28.0インチから約40.0インチの長さである。いくつかの実施形態では、第1の長さ152には、約5個から約12個の曲がりがある。いくつかの実施形態では、圧力調整ライン136の第1の長さ152は、第1の供給ライン112の第1の部分154よりも長い。いくつかの実施形態では、第1の供給ライン112の第2の部分158は、圧力調整ライン136の第1の部分154よりも長い。いくつかの実施形態では、第1の供給ライン112の第2の部分158は、圧力調整ライン136の第1の長さ152よりも多くの曲がりを含む。いくつかの実施形態では、第2の長さ160は、約10.0インチから約20.0インチである。
【0021】
出口バルブ118は、プロセスチャンバ104への1つまたは複数のプロセスガスの流れを制御するために第2の供給ライン128に沿って配置される。いくつかの実施形態では、出口アイソレーションバルブ126が、アンプル110と出口バルブ118との間の第2の供給ライン128に沿って配置される。バイパスライン140は、出口バルブ118と出口アイソレーションバルブ126との間で第1の供給ライン112から第2の供給ライン128へと延びることができる。出口アイソレーションバルブ126は、通常は開であってよい。出口アイソレーションバルブ126は、バイパスライン140を通る流れが望まれるときに閉じられることがある。
【0022】
いくつかの実施形態では、フィルタ130は、第2の供給ライン128に沿って配置される。いくつかの実施形態では、フィルタ130は、出口バルブ118の下流に配置される。フィルタ130は、一般に、汚染物、例えば、固体前駆体を集め、そして汚染物がプロセスチャンバ104へ入ることを防止するように構成される。いくつかの実施形態では、フィルタ130は、約5ナノメートル以上の粒子をフィルタで取り除くことができる。
【0023】
第2の供給ラインに沿って配置された真空バルブを備え、ここでは真空バルブは、第1の制御バルブと同じタイプのバルブである。
【0024】
いくつかの実施形態では、真空バルブ134は、アンプル110の下流で第2の供給ライン128に沿って配置される。真空バルブ134は、第2の供給ライン128を選択的に真空引きするためにフォアライン144に結合される。いくつかの実施形態では、真空バルブ134は、第1の制御バルブ114と同じタイプのバルブである。真空バルブ134は、真空バルブ134がプロセスチャンバ104への流れをフォアライン144に切り替えるときにアンプル内の圧力揺らぎを最小にするために、有利には高速応答バルブである。
【0025】
いくつかの実施形態では、第2の制御バルブ190が、出口バルブ118とプロセスチャンバ104との間に配置される。第2の制御バルブ190は、一般に、第2の制御バルブ190を通る1つまたは複数のプロセスガスの流れが正確に制御され得るように高速応答バルブである。いくつかの実施形態では、第2の制御バルブ190は、1つまたは複数のプロセスガスをプロセスチャンバ104へパルスで送るように構成される。第2の制御バルブ190は、真空バルブ134または第1の制御バルブ114のうちの少なくとも1つと同じタイプのバルブであってもよい。いくつかの実施形態では、第2の制御バルブ190は、真空バルブ134とプロセスチャンバ104との間に配置される。
【0026】
図2Aは、本開示の少なくともいくつかの実施形態によるアンプル圧力の圧力対時間のグラフ200を描いている。
図2Aは、圧力調整ライン(すなわち、圧力調整ライン136)を含まない化学物質デリバリシステムに関する例示的な圧力対時間のグラフを描いている。t
0において、入り口バルブ116が開かれ、そしてキャリアガスがアンプル110の中へと流される。圧力調整ライン136がないと、アンプル110内の圧力は、平均圧力210に安定する前にピーク圧力202まで上昇することがある。第1の圧力差205は、ピーク圧力202と平均圧力210との間の圧力の差である。
【0027】
図2Bは、本開示の少なくともいくつかの実施形態によるアンプル圧力の圧力対時間のグラフ201を描いている。
図2Bは、圧力調整ライン136を含む化学物質デリバリシステム100に関する例示的な圧力対時間のグラフを描いている。t
0において、入り口バルブ116が開かれ、そしてキャリアガスがアンプル110の中へと流される。アンプル110内の圧力は、平均圧力230に安定する前にピーク圧力220で開始してもよい。第2の圧力差240は、ピーク圧力220と平均圧力230との間の圧力の差である。あるいは、アンプル110内の圧力は、初期下側圧力250で開始してもよく、平均圧力260まで上昇してもよい。第3の圧力差270は、平均圧力260と初期下側圧力250との間の圧力の差である。
【0028】
圧力調整ライン136を用いると、入り口バルブ116の下流の第1の供給ライン112内の圧力は、平均圧力260に近づきそして平均圧力260になり、アンプル110内の圧力をより迅速に安定化させ、その圧力揺らぎをより小さくする。第2の圧力差240および第3の圧力差270は、都合のよいことに第1の圧力差205よりも小さく、第2の供給ライン128内の汚染を少なくする。
【0029】
図3は、プロセスチャンバ(すなわち、プロセスチャンバ104)用のアンプル(すなわち、アンプル110)内の圧力揺らぎを減少させる方法300のフローチャートを描いている。302において、方法300は、キャリアガス供給部(すなわち、キャリアガス供給部102)から第1の供給ライン(すなわち、第1の供給ライン112)を介して圧力調整ライン(すなわち、圧力調整ライン136)へとキャリアガスを流すことを含み、そこでは、圧力調整ラインがT継手位置(すなわち、T継手位置150)のところで第1の供給ラインからのキャリアガスの流れの向きを変える。圧力調整ラインは、メタリングバルブ(すなわち、メタリングバルブ138)または第1の制御バルブ(すなわち、第1の制御バルブ114)のうちの少なくとも一方を含む。圧力調整ラインは、フォアライン(すなわち、フォアライン144)に結合されることがある。
【0030】
304において、圧力調整ラインに沿って配置された第1の制御バルブが閉じられる。いくつかの実施形態では、圧力調整ライン内の圧力が、第1の制御バルブを閉じるのに先立ってメタリングバルブを介して調整される。いくつかの実施形態では、圧力調整ライン内の圧力は、約50トルから約200トルに設定される。いくつかの実施形態では、第1の制御バルブの応答時間は、約100ミリ秒未満である。
【0031】
306において、アンプルへキャリアガスを流すためにT継手位置の下流に第1の供給ラインに沿って配置された入り口バルブ(すなわち、入り口バルブ116)が開かれる。いくつかの実施形態では、入り口バルブを開いた後で、アンプルは、約50トルから約200トルに加圧される。いくつかの実施形態では、第1の制御バルブは、アンプル内の圧力揺らぎを都合よく減少させるために入り口バルブを開くのと同時に閉じられる。
【0032】
いくつかの実施形態では、キャリアガスまたはキャリアガスとアンプル内のいずれかの他のガスとの混合物を含む1つまたは複数のプロセスガスが、アンプルから第2の供給ライン(すなわち、第2の供給ライン128)を介してプロセスチャンバへと流される。いくつかの実施形態では、1つまたは複数のプロセスガスは、キャリアガスとアンプル内に配置された固体前駆体の昇華した物質との混合物を含む。いくつかの実施形態では、1つまたは複数のプロセスガスは、約5.0ナノメートル以上である粒子を制限するためにフィルタ(すなわち、フィルタ130)を介して第2の供給ライン内でフィルタ処理される。いくつかの実施形態では、第2の供給ラインは、真空バルブ(すなわち、真空バルブ134)を介してパージされることがある。
【0033】
前述は本開示の実施形態に向けられているが、開示の他の実施形態およびさらなる実施形態が、本開示の基本的な範囲から逸脱せずに考案され得る。