(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-10
(45)【発行日】2025-01-21
(54)【発明の名称】吸収性物品用の吸収体、及び吸収性物品
(51)【国際特許分類】
A61F 13/537 20060101AFI20250114BHJP
A61F 13/53 20060101ALI20250114BHJP
A61F 13/534 20060101ALI20250114BHJP
A61F 13/535 20060101ALI20250114BHJP
A61F 13/536 20060101ALI20250114BHJP
【FI】
A61F13/537 210
A61F13/537 300
A61F13/537 320
A61F13/53 300
A61F13/534 100
A61F13/534 210
A61F13/535 200
A61F13/536 100
(21)【出願番号】P 2019223262
(22)【出願日】2019-12-10
【審査請求日】2021-06-16
【審判番号】
【審判請求日】2023-03-20
(31)【優先権主張番号】201811640417.9
(32)【優先日】2018-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】000115108
【氏名又は名称】ユニ・チャーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100139022
【氏名又は名称】小野田 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100192463
【氏名又は名称】奥野 剛規
(74)【代理人】
【識別番号】100169328
【氏名又は名称】藤本 健治
(74)【代理人】
【識別番号】100201112
【氏名又は名称】上野 美紀
(72)【発明者】
【氏名】丹下 悟
(72)【発明者】
【氏名】ガオ ジュイー
【合議体】
【審判長】神山 茂樹
【審判官】秋山 誠
【審判官】藤井 眞吾
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2010/107096(WO,A1)
【文献】特開2016-010471(JP,A)
【文献】特開2003-210523(JP,A)
【文献】特開2004-033236(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F13/534
A61F13/537
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高吸水性ポリマーを含む第1吸収層と、高吸水性ポリマーを含む第2吸収層と、それらの間に配置された、繊維を含む中間層とを備えており、厚さ方向及び平面方向を有する、吸収性物品用の吸収体であって、
前記中間層が、繊維密度が相対的に低い低繊維密度部と、繊維密度が相対的に高い高繊維密度部とを備えて
おり、
前記中間層が、相対的に坪量の高い高坪量領域と、相対的に坪量の低い低坪量領域とを備えており、前記高繊維密度部が、前記高坪量領域に配置されている、
ことを特徴とする、前記吸収体。
【請求項2】
前記高繊維密度部が、前記平面方向内の所定の方向に延びている、請求項1に記載の吸収体。
【請求項3】
前記中間層が、所定の折軸において、前記厚さ方向に折り畳まれている中間シートから構成されており、前記中間層が、前記中間シートが前記厚さ方向に重複している重複部と、前記中間シートが前記厚さ方向に重複していない非重複部とに区画されており、前記高坪量領域が、前記重複部から構成されている、請求項
1に記載の吸収体。
【請求項4】
前記高繊維密度部が、前記重複部をエンボスしているエンボス部である、請求項
3に記載の吸収体。
【請求項5】
前記中間層が、肌側面を備えており、前記中間層の内部における繊維密度が、前記肌側面における繊維密度よりも高い、請求項1~
4のいずれか一項に記載の吸収体。
【請求項6】
前記中間層が、相対的に繊維密度の低い第1面と、相対的に繊維密度の高い第2面とを備えている中間シートであって、第2面を内面として、所定の折軸において折り畳まれているものから構成されている、請求項
5に記載の吸収体。
【請求項7】
前記吸収体が、長手方向及び幅方向を有し、
第2吸収層が、前記長手方向に延びているとともに、前記吸収体の長手方向中心線を間に挟んで、前記幅方向に離間している一対のチャネルを備えており、
前記高繊維密度部が、前記厚さ方向において、前記一対のチャネルのそれぞれと重複している、
請求項1~
6のいずれか一項に記載の吸収体。
【請求項8】
液透過性シートと、液不透過性シートと、それらの間に配置された吸収体とを備える吸収性物品であって、
前記吸収体が、請求項1~
7のいずれか一項に記載の吸収体である、
前記吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、吸収性物品用の吸収体、及び吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
高吸水性ポリマーを含む第1吸収層と、高吸水性ポリマーを含む第2吸収層と、それらの間に配置された布帛層とを備えている、吸収性物品用の吸収体が知られている。
例えば、特許文献1には、吸水性樹脂及び接着剤を含有してなる吸収層が親水性不織布により挟持された構造を有する吸水シートであって、以下(1)~(2)の要件を満たす、通気性を有する基材の2層以上が接着剤により接着され積層されてなる基材層により、該吸収層が1次吸収層と2次吸収層とに分画されてなる構造を有する、吸水シート:(1)該基材層の目付量が25g/m2以上であること、及び(2)該通気性を有する基材間が0.1~50g/m2の量の接着剤で接着されていることが記載されている。
【0003】
特許文献1に記載の吸水シート(吸収体)において、基材層は、吸水性樹脂(高吸水性ポリマー)の比率が高い吸収体において、吸水性樹脂(高吸水性ポリマー)によるブロッキングを抑制するとともに、基材層が、液体を一次貯留することにより、吸水性樹脂(高吸水性ポリマー)の吸収性の遅さを補う部材である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の吸水シート(吸収体)では、1次吸収層に到達した液体が、1次吸収層に含まれる高吸水性ポリマーの周囲に留まり、厚さ方向、すなわち、着衣側に存在する基材層、次いで、2次吸収層に移行しにくいものであり、基材層が液体を一次貯留しにくいものであった。
従って、本開示は、液体の一時貯留性と、液体の厚さ方向の移行性とに優れる、吸収性物品用の吸収体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示者らは、高吸水性ポリマーを含む第1吸収層と、高吸水性ポリマーを含む第2吸収層と、それらの間に配置された、繊維を含む中間層とを備えており、厚さ方向及び平面方向を有する、吸収性物品用の吸収体であって、上記中間層が、繊維密度が相対的に低い低繊維密度部と、繊維密度が相対的に高い高繊維密度部とを備えていることを特徴とする吸収体を見出した。
【発明の効果】
【0007】
本開示の、吸収性物品用の吸収体は、液体の一時貯留性と、液体の厚さ方向の移行性とに優れる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、展開状態における、第1実施形態に従うパンツ型おむつ1の正面図である。
【
図2】
図2は、展開状態におけるパンツ型おむつ1の背面図である。
【
図3】
図3は、パンツ型おむつ1の、
図1のIII-III線に沿った断面図である。
【
図4】
図4は、吸収体14の、
図1のIII-III線に沿った断面図である。
【
図5】
図5は、吸収体14を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
具体的には、本開示は以下の態様に関する。
[態様1]
高吸水性ポリマーを含む第1吸収層と、高吸水性ポリマーを含む第2吸収層と、それらの間に配置された、繊維を含む中間層とを備えており、厚さ方向及び平面方向を有する、吸収性物品用の吸収体であって、
上記中間層が、繊維密度が相対的に低い低繊維密度部と、繊維密度が相対的に高い高繊維密度部とを備えている、
ことを特徴とする、上記吸収体。
【0010】
上記吸収体は、所定の高繊維密度部を備えている中間層を備えているので、中間層の高繊維密度部が、第1吸収層に到達し、第1吸水材の周囲に滞留する液体を引き込み、一時貯留することができる。また、中間層の高繊維密度部は、一時貯留する液体の量が増えるにつれて、一時貯留する液体を中間層の低繊維密度部に移動させ、次いで、液体を含む低繊維密度部が、第2吸収層の要求に応じて、液体を第2吸収層に移行させることができる。従って、上記吸収体は、中間層が、液体の一時貯留性に優れるとともに、液体の厚さ方向の移行性に優れる。
【0011】
[態様2]
上記高繊維密度部が、上記平面方向内の所定の方向に延びている、態様1に記載の吸収体。
【0012】
上記吸収体では、中間層が備える高繊維密度部が、平面方向内の所定の方向に延びているので、中間層の高繊維密度部が引き込み、一時貯留している液体を、中間層の平面方向内の所定の方向に拡散させることができ、次いで、平面方向に拡散した液体が、厚さ方向、すなわち、第2吸収層に移行しやすくなる。従って、上記吸収体は、液体の、厚さ方向及び平面方向の移行性に優れる。
【0013】
[態様3]
上記中間層が、相対的に坪量の高い高坪量領域と、相対的に坪量の低い低坪量領域とを備えており、上記高繊維密度部が、上記高坪量領域に配置されている、態様1又は2に記載の吸収体。
【0014】
上記吸収体では、高繊維密度部が、高坪量領域に配置されているので、高繊維密度部を構成する繊維の量が相対的に多くなり、第1吸収層に到達し、第1吸水材の周囲に滞留する液体を、高繊維密度部により引き込むことができ、次いで、液体を中間層に引き込み、一時貯留することができる。ひいては、上記吸収体が、一時貯留性に優れる。
【0015】
[態様4]
上記中間層が、所定の折軸において、上記厚さ方向に折り畳まれている中間シートから構成されており、上記中間層が、上記中間シートが上記厚さ方向に重複している重複部と、上記中間シートが上記厚さ方向に重複していない非重複部とに区画されており、上記高坪量領域が、上記重複部から構成されている、態様3に記載の吸収体。
【0016】
上記吸収体では、中間層が、折り畳まれている中間シートから構成されているとともに、中間層の高坪量領域が、重複部から構成されている。従って、上記中間層の高繊維密度部が液体を引き込んだ場合に、高坪量領域を構成する重複部が、折軸を基点として厚さ方向に拡がることができるので、中間層の高坪量領域(重複部)が、液体をより一時貯留することができ、上記吸収体が、一時貯留性に優れる。
【0017】
[態様5]
上記高繊維密度部が、上記重複部をエンボスしているエンボス部である、態様4に記載の吸収体。
【0018】
上記吸収体では、高繊維密度部が所定のエンボス部であり、重複部がエンボス部で連結されているため、上記中間層の高繊維密度部が液体を引き込み、高繊維密度部が配置されている重複部が、折軸を基点として厚さ方向に拡がる場合であっても、上記高繊維密度部(エンボス部)が、吸収体のヨレを抑制することができる。
【0019】
[態様6]
上記中間層が、肌側面を備えており、上記中間層の内部における繊維密度が、上記肌側面における繊維密度よりも高い、態様1~5のいずれか一項に記載の吸収体。
【0020】
上記吸収体では、中間層の内部における繊維密度が、中間層の肌側面における繊維密度よりも高いので、中間層が引き込んだ液体を、毛細管現象により、肌側面から中間層の内部に、次いで、着衣面に移行させやすくなり、ひいては、中間層の着衣面に移行させた液体を、第2吸収層に移行させやすくなる。従って、上記吸収体は、液体の厚さ方向の移行性に優れる。
また、中間層の、相対的に繊維密度の低い肌側面が、第1吸収層に含まれる高吸水性ポリマーを繊維間の空隙に保持することができ、高吸水性ポリマーの保持性に優れる。
【0021】
[態様7]
上記中間層が、相対的に繊維密度の低い第1面と、相対的に繊維密度の高い第2面とを備えている中間シートであって、第2面を内面として、所定の折軸において折り畳まれているものから構成されている、態様6に記載の吸収体。
【0022】
上記吸収性物品では、中間層が、相対的に繊維密度の低い第1面を外面とし、相対的に繊維密度の高い第2面を内面として折り畳まれている中間シートから構成されているため、態様6の効果に加え、中間シートが、第1吸収層の高吸水性ポリマーと、第2吸収層の高吸水性ポリマーとを繊維間の空隙に保持することができ、高吸水性ポリマーの保持性に優れる。
【0023】
[態様8]
上記吸収体が、長手方向及び幅方向を有し、
第2吸収層が、上記長手方向に延びているとともに、上記吸収体の長手方向中心線を間に挟んで、上記幅方向に離間している一対のチャネルを備えており、
上記高繊維密度部が、上記厚さ方向において、上記一対のチャネルのそれぞれと重複している、
態様1~7のいずれか一項に記載の吸収体。
【0024】
上記吸収体では、中間層の高繊維密度部が、第2吸収層の一対のチャネルと上記厚さ方向に重複している。第2吸収層に配置された一対のチャネルは、吸収体、並びに当該吸収体を含む吸収性物品が、一対のチャネルを起点として立体形状を形成する変形誘導に寄与するものである。上記吸収体では、中間層の高繊維密度部が、厚さ方向において、一対のチャネルと重複していることから、中間層の高繊維密度部が引き込んだ液体を、第2吸収層の一対のチャネルに移動させ、液体を、当該一対のチャネルを通して、第2吸収層に拡散させることができる。以上より、上記吸収体は、変形誘導性に優れるとともに、液体の厚さ方向及び平面方向の移行性に優れる。
【0025】
また、上記吸収体では、中間層の高繊維密度部が、厚さ方向において、一対のチャネルと重複していることから、吸収性物品の装着者が、第2吸収層の一対のチャネルのところで剛性差を覚えにくい。
【0026】
[態様9]
液透過性シートと、液不透過性シートと、それらの間に配置された吸収体とを備える吸収性物品であって、
上記吸収体が、態様1~8のいずれか一項に記載の吸収体である、
上記吸収性物品。
上記吸収性物品は、態様1と同様の効果を有する。
【0027】
本開示の、吸収性物品用の吸収体(以下、「本開示の吸収体」と称する場合がある)、及び吸収性物品について、以下、詳細に説明する。なお、説明の簡略化のため、吸収性物品の実施形態において、吸収体を併せて説明する。
【0028】
図1~
図5は、本開示の実施形態の1つ(以下、第1実施形態)に従う吸収性物品、具体的には、パンツ型おむつ1を説明するための図である。具体的には、
図1及び
図2は、それぞれ、展開状態におけるパンツ型おむつ1の正面図及び背面図である。
図3は、パンツ型おむつ1の、
図1のIII-III線に沿った断面図である。
図4は、吸収体14の、
図1のIII-III線に沿った断面図である。
図5は、吸収体14を説明するための図であり、
図5(a)は、平面図であり、
図5(b)は、
図5(a)におけるVb-Vb線に沿った断面図である。なお、図面は模式図であり、特に、
図3~
図5は、理解のため、厚さ方向Tの厚さが実際よりも厚く描写されている。
【0029】
パンツ型おむつ1は、
図1に示す状態において、互いに直交する長手方向L、幅方向W及び厚さ方向Tを有し、幅方向Wの中心を通り長手方向Lに延びる長手方向中心線CLと、長手方向Lの中心を通り幅方向Wに延びる幅方向中心線CWとを有する。長手方向中心線CLに近づく向き及び側を、それぞれ、幅方向Wの内向き及び内側とし、遠ざかる向き及び側を、それぞれ、幅方向Wの外向き及び外側とする。幅方向中心線CWに近づく向き及び側を、それぞれ、長手方向Lの内向き及び内側とし、遠ざかる向き及び側を、それぞれ、長手方向Lの外向き及び外側とする。
【0030】
また、長手方向Lにおける、装着者の腹部に対応するパンツ型おむつ1の端縁(腹側の端縁)に向かう側を長手方向Lの前側ともいい、装着者の背中に対応するパンツ型おむつ1の端縁(背側の端縁)に向かう側を長手方向Lの後側ともいう。
「平面視」は、長手方向L及び幅方向Wを含む平面に展開した状態のパンツ型おむつ1を厚さ方向Tの上方側から見ることをいい、「平面形状」は、平面視で把握される形状をいう。
【0031】
「平面方向」は、幅方向W及び長手方向Lを含む面と平行な任意の方向である。
「肌側」及び「非肌側」は、パンツ型おむつ1が装着者に装着された場合に、厚さ方向Tにおいて相対的に装着者の肌面に近くなる側及び遠くなる側をそれぞれ意味する。
これら定義はパンツ型おむつ1だけでなく、パンツ型おむつ1の吸収体、並びにそれらに配置された各資材に、共通して用いられる。
【0032】
なお、部材、構造、形状等(以下、「部材等」と称する)が長手方向Lに沿うとは、部材等が長手方向Lに平行な場合だけでなく、部材等の長手方向Lの成分Dxが、部材等の幅方向Wの成分Dyよりも大きい場合(Dx>Dy)も含んでいる。同様に、部材等が幅方向Wに沿うとは、部材等が幅方向Wに平行な場合だけでなく、部材等の幅方向Wの成分Dyが、部材等の長手方向Lの成分Dxよりも大きい場合(Dy>Dx)も含んでいる。曲線、曲面等(以下、「曲線等」と称する)の形状を有する部材等に関しては、曲線等上の各点の接線について、部材等を上記のように評価する。
【0033】
図1及び
図2に示すように、パンツ型おむつ1は、お互いに直交する平面方向Pと、厚さ方向Tを有し、平面方向Pは、パンツ型おむつ1の長手方向L及び幅方向Wを含む。
パンツ型おむつ1は、長手方向Lにおいて、腹側部(腹側ウエストベルト)2と、背側部(背側ウエストベルト)3と、腹側部2と背側部3との間に位置する吸収性本体10とを備える。第1実施形態では、パンツ型おむつ1は、腹側部2と背側部3との間に位置する股間部4を更に備える。腹側部2は、装着者の腹部に当接する部分である。背側部3は、装着者の尻部又は背部に当接する部分である。吸収性本体10は装着者の股間に当接する部分であり、長手方向Lの一端部が腹側部2に、他端部が背側部3にそれぞれ積層される。股間部4は、吸収性本体10を非肌側から支持する部分である。
【0034】
腹側部2の幅方向Wの両端部2a、2aと、背側部3の幅方向Wの両端部3a、3aとが、それぞれ、長手方向Lに沿って接合されることで、パンツ型おむつ1が形成される。パンツ型おむつ1では、腹側部2における長手方向Lの外側の端部2eと背側部3における長手方向Lの外側の端部3eとにより装着者の腰が通るウエスト開口部が画定される。また、パンツ型おむつ1では、股間部4における幅方向Wの両側の側部5e、5eにより装着者の脚が通る一対のレッグ開口部が画定される。なお、腹側部(腹側ウエストベルト)2及び背側部(背側ウエストベルト)3は、両端部2a、2aと両端部3a、3aとが接合する長手方向Lの範囲で画定される部分といえる。
【0035】
第1実施形態では、
図1及び
図2に示す状態で、腹側部2及び背側部3のそれぞれは、概ね幅方向Wに拡がる矩形形状を有し、長手方向Lに互いに離間している。股間部4は、腹側部2と背側部3との間に位置し、幅方向Wの両側縁が幅方向Wの内向きに窪んでいる。腹側部2、股間部4及び背側部3は互いに一体的に形成される。別の実施形態(図示されず)では、腹側部2、股間部4及び背側部3は互いに別個に形成される。更に、別の実施形態(図示されず)では、パンツ型おむつ1は、腹側部2及び背側部3を備え、股間部4を備えない。
【0036】
第1実施形態では、腹側部2、背側部3及び股間部4は、液不透過性のカバーシート(シート部材)5を備えている。カバーシート5は、肌側に位置するカバーシート5aと非肌側に位置するカバーシート5bとを含む。カバーシート5aとカバーシート5bとは、厚さ方向Tに積層されており、接着剤等で互いに接合されている。カバーシート5bの長手方向Lの両端部は、カバーシート5aの長手方向Lの両端部を覆うように、肌側に折り返されている。腹側部2及び背側部3における折り返しの位置のカバーシート5bが、それぞれ腹側部2の端部2e及び背側部3の端部3eを構成している。
【0037】
第1実施形態では、腹側部2及び背側部3は、カバーシート5aとカバーシート5bとの間に、それぞれウェストギャザー用の複数の弾性部材6a、6b及び複数の弾性部材7a、7bを備える。複数の弾性部材6a、6bは、それぞれ、腹側部2の長手方向Lの外側及び内側に配置されている。複数の弾性部材6aは、長手方向中心線CLを挟んで両側のそれぞれの所定領域において、幅方向Wに沿って、長手方向Lに互いに間隔を空けて配置されている。所定領域は、端部2aから吸収性本体10における幅方向Wの対向する端縁の内側の部分までの領域である。複数の弾性部材6bは、幅方向Wに沿って、一方の端部2aから他方の端部2aまで延びており、長手方向Lに互いに間隔を空けて配置されている。同様に、複数の弾性部材7a、7bは、それぞれ背側部3の長手方向Lの外側及び内側に配置されている。
【0038】
複数の弾性部材7aは、長手方向中心線CLを挟んで両側のそれぞれの所定領域において、幅方向Wに沿って、長手方向Lに互いに間隔を空けて配置されている。所定領域は、端部3aから吸収性本体10における幅方向Wの対向する端縁の内側の部分までの領域である。複数の弾性部材7bは、幅方向Wに沿って、一方の端部3aから他方の端部3aまで延びており、長手方向Lに互いに間隔を空けて配置されている。複数の弾性部材6a、6b、7a、7bは、ウエスト開口部を伸縮させるものであり、糸ゴムに例示される。腹側部(腹側ウエストベルト)2及び背側部(背側ウエストベルト)3は、複数の弾性部材6a、6b、7a、7bが配置された長手方向Lの範囲で画定される部分ともいえる。
【0039】
第1実施形態では、パンツ型おむつ1は、股間部4から背側部3及び腹側部2にレッグギャザー用の複数の弾性部材8を備える。複数の弾性部材8は、主に股間部4における幅方向Wの両端部を長手方向Lに沿って延設されている。複数の弾性部材8は、一対のレッグ開口部をそれぞれ伸縮させるものであり、糸ゴムに例示される。
【0040】
第1実施形態では、吸収性本体10は、略矩形の形状を有し、液透過性シート12と、液不透過性シート13と、液透過性シート12及び液不透過性シート13の間に配置されており、尿等の液体を吸収し、保持する吸収体14とを含む。液透過性シート12として、例えば、液透過性の不織布、織布、液透過孔が形成された合成樹脂フィルム、並びにそれらの複合シート等が挙げられる。液不透過性シート13として、例えば、液不透過性の不織布、合成樹脂フィルム、並びにそれらの複合シート、例えば、SMS不織布等が挙げられる。
【0041】
第1実施形態では、吸収体14は、液体を吸収し、保持する吸収コアと、吸収コアを内包するコアラップとを含む。吸収体14の詳細は、後述される。吸収体14と、液透過性シート12及び液不透過性シート13とは、それぞれ、接着剤により接合され、液透過性シート12と液不透過性シート13とはそれらの周縁部分において接着剤により接合されている。接着剤としては、パンツ型おむつで公知の材料、例えば、ホットメルト接着剤が挙げられる。吸収性本体10の形状は、長手方向Lに長い形状ならば上記例に限定されず、例えば、角が丸い矩形形状、短辺が外側に凸曲線の矩形形状、砂時計形状等が挙げられる。また、別の実施形態では、液不透過性シート13が省略され、吸収体14の非肌側の面及び液透過性シート12の周縁部分の非肌側の面がカバーシート5に接合されている。
【0042】
第1実施形態では、吸収性本体10は、肌側の表面において、幅方向Wの両側に位置し、長手方向Lに延びる一対のサイドシート17、17を含む。各サイドシート17は、防漏壁16と、固定領域15、15とを有する。固定領域15、15は、サイドシート17における長手方向Lの前側及び後側の端部に位置し、吸収性本体10の肌側の表面に固定される。防漏壁16は、サイドシート17における長手方向Lの前側及び後側の固定領域15、15の間に位置し、それらに隣接しており、吸収性本体10の肌側の表面に幅方向Wの外側の端縁を固定され、幅方向Wの内側の端縁を非固定とされている。防漏壁16及び固定領域15、15は、例えば、サイドシート17の幅方向Wの内側の部分で形成され、サイドシート17の幅方向Wの外側の部分は吸収性本体10に固定されている。
【0043】
一対の防漏壁16、16は、吸収性本体10における肌側の幅方向Wの両端部に、互いに向かい合うように配置され、長手方向Lに沿って連続的に延在する。各防漏壁16は、幅方向Wの内側の端部に、長手方向Lに沿って延びる2本の弾性部材61を含む。弾性部材61は、糸ゴムに例示される。一対の防漏壁16、16の各々は、疎水性シート、例えば、疎水性不織布で形成される。別の実施形態では、一対の防漏壁16、16の各々は、親水性シート、例えば、親水性不織布で形成される。
【0044】
次に、
図1~
図5を参照して、吸収体14について説明する。吸収体14は、肌側に配置された第1吸収層41と、非肌側に配置された第2吸収層42と、第1吸収層41及び第2吸収層42の間に配置された中間層43とを備える。吸収体14は、長手方向Lに延びる略矩形の平面形状を有する。
【0045】
第1実施形態では、第1吸収層41は、液透過性を有するシートで形成された第1基材44と、第1基材44よりも中間層43側に配置され、吸水性ポリマーを含む吸水材を有する第1吸水材45とを含む。第1吸収層41は、吸収コア部分として第1吸水材45を有し、コアラップとして第1基材44(及び中間層43)を有すると見ることができる。第1吸水材45は、第1基材44の中間層43側の表面と、中間層43の第1基材44側の表面との少なくとも一方に塗布された接着剤により、第1基材44及び中間層43の少なくとも一方に固定されている。
【0046】
第1吸水材45の吸水材は、第1吸収層41内に概ね均一の坪量で配置されている。第1吸水材45は、略矩形の平面形状を有する。第1基材44は、略矩形の平面形状を有し、平面視で第1吸水材45を肌側から覆っており、第1基材44の周縁部分は第1吸水材45の周囲からやや外側に延在する。
【0047】
第1実施形態では、第2吸収層42は、保水性及び液拡散性を有するシートで形成された第2基材46と、第2基材46よりも中間層43側に配置され、吸水性ポリマーを含む吸水材を有する第2吸水材47とを含む。第2吸収層42は、吸収コア部分として第2吸水材47を有し、コアラップとして第2基材46(及び中間層43)を有すると見ることができる。第2吸水材47は、第2基材46の中間層43側の表面と、中間層43の第2基材46側の表面との少なくとも一方に塗布された接着剤により、第2基材46及び中間層43の少なくとも一方に固定される。第2吸水材47の吸水材は、一対のチャネル48、48(後述)を除き、第2吸収層42内に概ね均一の坪量で配置されている。
【0048】
第2吸水材47は、第1吸水材45よりも幅方向W及び長手方向Lに一回り大きい略矩形の平面形状を有する。第2基材46は、略矩形の平面形状を有し、平面視で第2吸水材47を非肌側から覆っており、第2基材46の周縁部分は第2吸水材47の周囲からやや外側に延在する。第2基材46の幅方向Wの両端部は、第2吸水材47の両側面を覆いつつ、第1基材44の幅方向Wの両端部における肌側の表面を覆う。すなわち、第1吸収層41の幅方向Wの端部における肌側の表面において、第2基材46の幅方向Wの端部と、第1基材44の幅方向Wの端部とが重ね合わされて接合されている。
【0049】
第2基材46の幅方向Wの両端部が、第2吸水材47の幅方向Wの側面を覆い、第1基材44の幅方向Wの側面を更に覆うことにより、第2吸水材47が幅方向Wにおいて第2吸収層42に封入され、第1吸水材45が幅方向Wにおいて第1吸収層41に封入される。
【0050】
第1実施形態では、吸収体14の長手方向Lの両端部では、第1基材44、中間層43及び第2基材46が厚さ方向Tに積層され、接合されている。それにより、第1吸水材45が長手方向Lにおいて第1基材44と中間層43とにより第1吸収層41に封入され、第2吸水材47が長手方向Lにおいて第2基材46と中間層43とにより第2吸収層42に封入されている。
【0051】
第1実施形態では、中間層43は、平面視において、略矩形の平面形状を有し、相対的に坪量の低い低坪量領域LBと、相対的に坪量の高い、一対の高坪量領域HBとを備えている。具体的には、中間層43は、幅方向Wの両端に配置された、一対の高坪量領域HBと、幅方向Wの中央に配置された低坪量領域LBとを備えている。
【0052】
中間層43は、液透過性を有する、単一の中間シート43S(具体的には、芯鞘型複合繊維を含むエアスルー不織布)から構成されている。中間シート43Sは、2つの折軸103及び折軸104を備えており、展開状態において、2つの折軸103及び折軸104の内側に配置される第1シート部分43aと、2つの折軸103及び折軸104の外側に配置される、一対の第2シート部分43b、43bとに区画される。中間層43は、単一の中間シート43Sを、長手方向Lに延びる2つの折軸103及び折軸104により、厚さ方向T、具体的には、第2吸収層42側に折り畳むことにより形成されている。
【0053】
中間層43では、単一の中間シート43Sが、2つの折軸103及び折軸104により折り畳まれており、平面方向Pにおいて、一対の第2シート部分43b、43bが、第1シート部分43aの幅方向Wの両側部に配置されており、そして厚さ方向Tにおいて、一対の第2シート部分43b、43bが、第2吸収層42側に配置されている。第1シート部分43aと、一対の第2シート部分43b、43bのそれぞれとが、厚さ方向Tに重複している部分が、中間層43の、一対の重複部OPを構成し、そして第1シート部分43aの、一対の第2シート部分43b、43bと、厚さ方向Tに重複していない部分が、非重複部NPを構成している。一対の重複部OPのそれぞれは、一対の高坪量領域HBのそれぞれと一致し、そして非重複部NPは、低坪量領域LBと一致している。
【0054】
中間層43では、一対の高坪量領域HB(一対の重複部OP)において、第1シート部分43aと、第2シート部分43bとが、長手方向Lに沿って延びる、一対のエンボス部43cにより接合されている。
【0055】
中間層43では、一対のエンボス部43cおける複合繊維の繊維密度が、一対のエンボス部43c以外の部分の複合繊維の繊維密度よりも高い。
換言すると、中間層43は、一対のエンボス部43cから構成される、一対の高繊維密度部HDと、一対のエンボス部43c以外の部分から構成される、3つの低繊維密度部LDとに区画される。
【0056】
一対の高繊維密度部HDは、長手方向Lに延設され、長手方向中心線CLを挟んで幅方向Wの両側に所定間隔で並んでいる。
一対の高繊維密度部HDは、第1吸収層41に到達した液体が、第1吸収層41の第1吸水材45の周囲に滞留する傾向があるところ、第1吸水材45の周囲に滞留する液体を、毛細管現象により、一対の高繊維密度部HD(一対のエンボス部43c)に、ひいては中間層43に引き込むことができる。
【0057】
また、一対の高繊維密度部HDのそれぞれは、長手方向Lに延びているので、一対の高繊維密度部HDに引き込んだ液体を、中間層43内の長手方向Lに拡散させやすくなる。次いで、中間層43内を長手方向Lに拡散した液体は、第2吸収層42に移行しやすくなる。
【0058】
一対の高繊維密度部HDは、上述の一対の高坪量領域HB(一対の重複部OP)に配置されている。従って、高繊維密度部HDを構成する複合繊維の量が相対的に多くなり、第1吸水材45の周囲に滞留する液体を、毛細管現象により、一対の高繊維密度部HD(一対のエンボス部43c)に引き込むことができ、次いで、液体を、中間層43に引き込み、一次貯留することができる。
【0059】
中間層43では、中間シート43Sが、エアスルー不織布を形成する際にネット(載置面)に接していたネット面(図示せず)と、ネットと反対側の非ネット面(図示せず)とを備えている。ネット面は、非ネット面よりも繊維密度が相対的に高い。中間シート43Sは、ネット面を内側にして折り畳まれているので、中間層43では、中間層43の内部における繊維密度が、肌側面における繊維密度よりも高くなるように構成されている。
【0060】
従って、中間層43が引き込んだ液体を、毛細管現象により、その肌側面から内部に、次いで、着衣面(図示せず)に移行させやすくなり、ひいては、中間層43の着衣面に移行させた液体を、第2吸収層42に移行させやすくなる。また、中間層43の、相対的に繊維密度の低い肌側面(非ネット面)が、第1吸収層41に含まれる第1吸水材45を保持することができ、高吸水性ポリマーの保持性に優れる。
【0061】
一対の高坪量領域HBは、一対の重複部OPにより構成されており、一対の重複部OPでは、第1シート部分43aと、第2シート部分43bとが、厚さ方向Tに積層されている。第1シート部分43aと、第2シート部分43bとは、一対のエンボス部43cと、2つの折軸103及び折軸104と以外において連結されていないため、中間層43の一対の高繊維密度部HDが液体を引き込んだ場合に、一対の高坪量領域HBを構成する、一対の重複部OPが、2つの折軸103及び折軸104と、一対のエンボス部43cとを基点として厚さ方向Tに拡がることができるので、中間層43の一対の高坪量領域HB(一対の重複部OP)が、液体をより一時貯留することができる。
【0062】
一対の高繊維密度部HDは、1シート部分43aと、第2シート部分43bとをエンボスしているエンボス部43cから構成されており、エンボス部43cにおいて、1シート部分43aと、第2シート部分43bとは連結されている。
従って、中間層43の、一対の高繊維密度部HDが液体を引き込み、一対の高繊維密度部HDが配置されている一対の重複部OPが、2つの折軸103及び折軸104を基点として厚さ方向Tに拡がる場合であっても、一対の高繊維密度部HD(エンボス部43c)が、吸収体14のヨレを抑制することができる。
【0063】
中間層43では、幅方向Wの両端縁が、第1基材44及び第2基材46の幅方向Wの両端部に挟持されており且つそれらに接合されているとともに、長手方向Lの両端縁が、第1基材44及び第2基材46の長手方向Lの両端部に挟持されており且つそれらに接合されている。
【0064】
吸収体14は、長手方向Lに沿って延びる一対のチャネル48,48を有する。一対のチャネル48,48は、第2吸収層42に配置されているとともに、長手方向Lに延設され、長手方向中心線CLを挟んで幅方向Wの両側に所定間隔で並んだ帯状の領域である。チャネル48は、第2吸収層42の、長手方向Lの少なくとも中央部に、幅方向中心線CWを跨ぐように配置されている。
【0065】
一対のチャネル48,48のそれぞれは、一対のチャネル48,48のそれぞれの周囲の領域と比較して、第2吸水材47の坪量が少ない領域である。一対のチャネル48,48のそれぞれは、第2基材46が中間層43側へ窪むように、すなわち第2吸水材47が中間層43側へ窪むように形成されている。
【0066】
一対のチャネル48,48のそれぞれは、中間層43の、一対の高坪量領域HB(一対の重複部OP)と厚さ方向Tに重複するように配置されている。
また、一対のチャネル48,48は、一対のエンボス部43cと、厚さ方向Tに重複するように配置されており、換言すると、一対の高繊維密度部HDのそれぞれが、厚さ方向Tにおいて、一対のチャネル48,48のそれぞれと重複している。それにより、中間層43の一対の高繊維密度部HDが引き込んだ液体を、第2吸収層42の一対のチャネル48,48に移動させ、液体を、一対のチャネル48,48を通して、第2吸収層42に拡散させることができる。
【0067】
第1吸水材45及び第2吸水材47は、高吸水性ポリマー(Super Absorbent Polymer;SAP)を含む。第1吸水材45及び第2吸水材47のそれぞれの高吸水性ポリマーの坪量は、パンツ型おむつ1に要求される吸収性能に応じて適宜調整され得るが、例えば、それぞれ10~500g/m2が挙げられ、好ましくは100~400g/m2である。
【0068】
第1吸水材45及び第2吸水材47の坪量は、一方が他方よりも多くてもよく、同等でもよい。ただし、同等とは、一方が他方の±30%の範囲をいう。第1吸水材45及び第2吸水材47は、吸水性繊維(例えば、パルプ繊維)のような親水性繊維を更に有してもよい。第1吸水材45及び第2吸水材47における高吸水性ポリマーの割合は、例えば、80~100質量%が挙げられ、好ましくは90~100質量%であり、より好ましくは95~100質量%である。
したがって、第1吸水材45及び第2吸水材47は高吸水性ポリマーを主成分として含むということができ、吸収体14はいわゆるSAPシートということができる。
【0069】
ただし、吸収体14(第1吸水材45及び第2吸水材47だけでなく、接着剤、第1基材44、中間層43及び第2基材46を含む)における高吸水性ポリマーの割合としては、例えば40~80質量%が挙げられ、好ましくは50~80質量%であり、より好ましくは60~80質量%である。
【0070】
第1実施形態では、第1吸水材45及び第2吸水材47のそれぞれは、高吸水性ポリマーのみから構成され、親水性繊維を含まない。
【0071】
上記高吸水性ポリマーは、その90~100質量%が150~500μmの粒径を有する高吸水性ポリマー粒子から構成されることが好ましい。上記粒径を有する高吸水性ポリマー粒子は、粒径が小さく均一であるので、接着剤に保持されやすい。高吸水性ポリマー粒子の粒径は、JIS R 6002:1998に記載のふるい分け試験方法に準拠して測定される。
【0072】
上記接着剤としては、高吸水性ポリマーを固定できる接着剤であれば特に限定はなく、例えば、ホットメルト接着剤が挙げられる。接着剤の塗布のパターンとしては、特に制限はないが、例えば、連続的又は間欠的なオメガパターン、スパイラルパターン、ラインパターンが挙げられる。接着剤の坪量は、吸収体14の液体吸収性が著しく低下しないように適宜調整され得るが、例えば、各層ごとに3~50g/m2が挙げられる。ただし、各層は、第1吸水材45と第1基材44との間の接着剤の層、第1吸水材45と中間層43との間の接着剤の層、第2吸水材47と第2基材46との間の接着剤の層、及び第2吸水材47と中間層43との間の接着剤の層を意味する。
【0073】
第1基材44としては、液透過性を有するシートであれば特に制限はない。第1基材44としては、例えば、合成繊維を含む液透過性の不織布、親水性の不織布、それらの積層不織布が挙げられ、中でも透水性が高い不織布が好ましい。第1基材44としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)のようなポリオレフィン繊維、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)のようなポリエステル繊維、又はそれらの組み合わせから形成されるスパンボンド不織布、エアスルー不織布等が挙げられる。
上記合成繊維は、公知の方法で親水化処理されていることが好ましい。
【0074】
上記液透過性を有するシートは、例えば、パルプ繊維、レーヨン繊維等の親水性繊維を、親水性バインダで被覆したエアレイド不織布、上記親水性繊維と、上記合成繊維とを組み合わせた不織布、例えば、スパンレース不織布であることができる。第1実施形態では、液透過性、液保持性を有するパルプ繊維を親水性バインダで被覆したエアレイド不織布が用いられている。
【0075】
なお、第1基材44は、上記不織布のうちの1種又は複数種の不織布を、複数層、積層してあるものであってもよい。
第1基材44の坪量としては、例えば、10~100g/m2が挙げられ、好ましくは20~80g/m2である。第1基材44の厚さは、例えば、0.1~5mmが挙げられ、好ましくは0.15~3mmである。
【0076】
第2基材46としては、保水性及び液拡散性を有するシートであれば特に制限はない。第2基材46としては、例えば、ポリアミド繊維のような合成繊維、レーヨン繊維、アセテート繊維等の再生繊維、綿、絹、麻、パルプ(セルロース)繊維等の天然繊維、又はそれらの組み合わせから形成される不織布が挙げられる。具体的には、第2基材46としては、例えば、ナイロンを含むスパンボンド不織布、レーヨン繊維及び/又はパルプ繊維を含むスパンレース不織布等が挙げられる。レーヨン繊維及び/又はパルプ繊維を含むスパンレース不織布は、ポリオレフィン繊維及び/又はポリエステル繊維を含んでいてもよい。第1実施形態では、液保持性、液拡散性を有する、レーヨン繊維及びパルプ繊維を含むスパンレース不織布が用いられている。
【0077】
なお、第2基材46は、上記不織布のうちの1種から構成されてもよく、そして上記不織布を、複数層、積層してあるものであってもよい。
第2基材46の坪量としては、例えば、10~200g/m2が挙げられ、好ましくは35~150g/m2である。第2基材46の厚さは、例えば、0.1~5mmが挙げられ、好ましくは0.15~3mmである。
【0078】
中間層43(中間シート43S)としては、例えば、第1基材44と同様のシートが挙げられる。中間層43の坪量としては、例えば、10~100g/m2が挙げられ、好ましくは15~80g/m2である。中間層43の厚さは、例えば、0.1~5mmが挙げられ、好ましくは0.15~3mmである。
【0079】
第1実施形態では、
図5に示すように、吸収体14は、長手方向Lに沿って並んだ、背側領域BAと、腹側領域FAと、股間領域MAとを備える。ただし、背側領域BAは、吸収体14における背側部3と厚さ方向Tに重なる領域である。また、腹側領域FAは、吸収体14における腹側部2と厚さ方向Tに重なる領域である。股間領域MAは、吸収体14における背側領域BAと腹側領域FAとの間に位置する領域、すなわち股間部4と厚さ方向Tに重なる領域である。したがって、吸収体14は、長手方向Lに沿って、背側部3と重なる背側領域BAと、腹側部2と重なる腹側領域FAと、股間部4と重なる股間領域MAとに区画される。
【0080】
第1実施形態では、吸収体14は、SAP高坪量領域14aと、SAP低坪量領域14bと、SAP非配置領域14cとを含む。SAP高坪量領域14aは、高吸水性ポリマーの坪量が相対的に高い領域であり、第1吸収層41と第2吸収層42とが厚さ方向Tに重なった領域である。SAP低坪量領域14bは、高吸水性ポリマーの坪量が相対的に低い領域であり、厚さ方向Tに第1吸収層41が存在せず、第2吸収層42のみ存在する領域である。SAP非配置領域14cは、高吸水性ポリマーを含まない領域であり、厚さ方向Tに第1吸収層41及び第2吸収層42が存在しない領域である。ただし、高吸水性ポリマーを含まないとは、高吸水性ポリマーは存在するがその坪量が非常に少ない場合を含む。「非常に少ない」とは、高吸水性ポリマーの坪量がSAP高坪量領域14aの高吸水性ポリマーの坪量の5%以下の場合をいう。
【0081】
したがって、吸収体14では、背側領域BAは、SAP高坪量領域14aとしての背側SAP高坪量領域BAaと、SAP低坪量領域14bとしての背側SAP低坪量領域BAbと、SAP非配置領域14cとしての背側SAP非配置領域BAcとを備えている。また、吸収体14では、腹側領域FAは、SAP高坪量領域14aとしての腹側SAP高坪量領域FAaと、SAP非配置領域14cとしての腹側SAP非配置領域FAcとを備えており、腹側SAP低坪量領域FAbを備えていない。股間領域MAは、SAP高坪量領域14aのみを有している。
したがって、背側SAP高坪量領域BAa及び腹側SAP高坪量領域FAaの高吸水性ポリマーの坪量は、股間領域MAの高吸水性ポリマーの坪量と同等である。なお、「同等」とは、一方が他方の0.7~1.3倍(±30%)の範囲にあることをいう。
【0082】
第2吸収層42は、平面視で、長手方向Lの後側の端部に、第1吸収層41の端縁よりも外側に突出した突出部を含む。当該突出部は、背側SAP低坪量領域BAbを含んでおり、突出部は、背側SAP低坪量領域BAbと同一である。第2吸収層42は、中間層43に覆われており、したがって、突出部、すなわち背側SAP低坪量領域BAbは、肌側を中間層43及び第1基材44で覆われている。
【0083】
吸収体14では、長手方向Lにおいて、背側SAP高坪量領域BAaの長さをda2とし、背側SAP低坪量領域BAbの長さをdb2とし、背側SAP非配置領域BAcの長さをdc2とすると、db2>dc2>da2である。すなわち、背側領域BAでは、背側SAP低坪量領域BAbの長さを相対的に長くして、全体として高吸水性ポリマーの坪量を低く抑えつつ、長手方向Lの後側の部分まで高吸水性ポリマーを配置している。量は少ないが背側へ流れる液体の伝え漏れを抑えやすくすることができる。
【0084】
吸収体14では、長手方向Lにおいて、腹側SAP高坪量領域FAaの長さをda1とし、腹側SAP非配置領域FAcの長さをdc1とすると、da1>dc1である。すなわち、腹側領域FAでは、腹側SAP高坪量領域FAaの長さを相対的に長くして、全体として高吸水性ポリマーの坪量を高くして、長手方向Lの前側の端部まで高吸水性ポリマーを配置している。それにより、排泄量の多い腹側での液体を的確に吸収しやすくすることができる。
【0085】
吸収体14では、長手方向Lにおいて、dc2>dc1である。背側SAP非配置領域BAcの長さを相対的に長くして、排泄量の少ない背側領域BAでの高吸水性ポリマーの使用量を低く抑えつつ、腹側SAP非配置領域FAcの長さを相対的に短くして、排泄量の多い腹側領域FAでの液体を的確に吸収しやすくすることができる。
【0086】
なお、別の実施形態では、吸収体14では、長手方向Lにおいて、da2+db2>da1である。この場合、背側領域BAにおいて長手方向Lに、より後側の部分まで高吸水性ポリマーを配置することで、量は少ないが背側へ流れる液体の伝え漏れをより抑え易くすることができる。
【0087】
次に、吸収体14の製造方法について説明する。
まず、第2基材46用シートを長手方向Lに移動させつつ、ホットメルト接着剤を第2基材46用シートの上に塗布する。次いで、高吸水性ポリマー供給装置から高吸水性ポリマーを、ホットメルト接着剤を塗布された第2基材46用シートにおける幅方向Wの両端部分及び中央部分の上に、それぞれ長手方向Lに沿って散布する。その際、両端部分と中央部分との間の領域(チャネルに相当)には、少量の高吸水性ポリマーが移行する。次いで、両面にホットメルト接着剤が塗布された中間層43用シートを、第2基材46用シート上の高吸水性ポリマーの上に積層する。
【0088】
次いで、その積層物を長手方向Lに移動させつつ、他の高吸水性ポリマー供給装置から高吸水性ポリマーを、ホットメルト接着剤を塗布された中間層43用シートにおける幅方向Wの中央部分の上に長手方向Lに沿って散布する。次いで、中間層43用シート上の高吸水性ポリマーの上に、ホットメルト接着剤を塗布した第1基材44用シートを、ホットメルト接着剤を高吸水性ポリマー側にして積層する。そして、第2基材46用シートにおける幅方向Wの両側部を、第1基材44用シートにおける幅方向Wの両側部の上に折り返して、積層物を得る。その後、一対のプレスロールに積層物を通過させる、すなわちプレスすることにより、積層物の厚さを調整して、吸収体14を得る。
【0089】
次に、上記吸収体14を用いたパンツ型おむつの製造方法について説明する。
上記のように作製した吸収体14の上面(第1基材44の表面)に、液透過性シート12を貼り付け、吸収体14の下面(第2基材46の表面)に液不透過性シート13を貼り付けて、積層体を得る。次いで、防漏壁16付きサイドシート17を、積層体の幅方向Wの両側に取り付け、吸収性本体10を得る。その後、吸収性本体10をカバーシート5(弾性部材6、7、8を含む)上に貼り付け、腹側部2の幅方向Wの両端部2a、2aと背側部3の幅方向Wの両端部3a、3aとを接合する。それにより、パンツ型おむつ1が製造される。
【0090】
本開示の吸収体を含む吸収性物品は、特に制限されず、例えば、使い捨ておむつ、失禁パッド、使い捨てショーツ、生理用ナプキン、ショーツ型生理用ナプキン、パンティーライナー、産褥パッド、母乳パッド、痔用パッド、汗取りパッド、褥瘡シート(ドレッシングシート)、ペット用オムツ、ペット用シート等が挙げられる。
【0091】
本開示の吸収体では、中間層は、繊維を含み、そして繊維密度が相対的に低い低繊維密度部と、繊維密度が相対的に高い高繊維密度部とを備えている。それにより、中間層の高繊維密度部が、第1吸収層に到達し、第1吸水材の周囲に滞留する液体を引き込むことができる。
【0092】
上記高繊維密度部は、低繊維密度部よりも、好ましくは1.2倍以上、より好ましくは1.5倍以上、さらに好ましくは2.0倍以上、そしてさらにいっそう好ましくは3.0倍以上高い繊維密度を有する。上述の効果の観点からである。また、上記高繊維密度部は、低繊維密度部よりも、好ましくは50倍以下、より好ましくは40倍以下、さらに好ましくは30倍以下で高い繊維密度を有する。装着者が、高繊維密度部に硬さを覚えないようにするためである。
【0093】
なお、上記高繊維密度部及び低繊維密度部が、同一の坪量を有する場合には、上記高繊維密度部は、低繊維密度部よりも、好ましくは1/1.2倍(約0.83倍)以下、より好ましくは1/1.5倍(約0.67倍)以下、さらに好ましくは1/2.0倍(0.5倍)以下、そしてさらにいっそう好ましくは1/3.0倍以下の高さを有する。上述の効果の観点からである。また、上記高繊維密度部は、低繊維密度部よりも、好ましくは1/50倍(0.020倍)以上、より好ましくは1/40倍(0.025倍)以上、さらに好ましくは1/30倍(約0.033倍)以上の厚さを有する。装着者が、高繊維密度部に硬さを覚えないようにするためである。
【0094】
上記高繊維密度部の厚さと、低繊維密度部の厚さとは、三次元計測X線CT装置(ヤマト科学(株)製 TDM-1000-IS/SP)にて測定される。具体的には、三次元計測X線CT装置を用いてスキャンした画像から、所望の密度部(高繊維密度部又は低繊維密度部)の厚さを任意で20点測定し、平均することにより決定される。
【0095】
上記高繊維密度部は、平面方向内の所定の方向に延びていることが好ましく、吸収体の長手方向に延びていることが好ましい。中間層の高繊維密度部が引き込んだ液体を、中間層の平面方向内の所定の方向、特に長手方向に拡散させることができ、次いで、平面方向に拡散した液体が、厚さ方向、すなわち、第2吸収層に移行しやすくなるからである。
【0096】
本開示の吸収体では、中間層が、平面方向において、相対的に坪量の低い低坪量領域と、相対的に坪量の高い高坪量領域とを備えていることができる。その場合には、上記高繊維密度部が、高坪量領域に配置されていることがより好ましい。高繊維密度部を構成する繊維の量が相対的に多くなり、第1吸収層に到達し、第1吸水材の周囲に滞留する液体を、高繊維密度部により引き込むことができ、次いで、液体を中間層に引き込み、一時貯留することができるからである。
【0097】
本開示の吸収体では、中間層が、所定の折軸において、吸収体の厚さ方向に折り畳まれている中間シートから構成され、中間層が、中間シートが吸収体の厚さ方向に重複している重複部と、中間シートが吸収体の厚さ方向に重複していない非重複部とに区画されることができる。その場合には、上記高坪量領域が、重複部又は非重複部から構成されることができ、重複部から構成されることが好ましい。高坪量領域が重複部から構成されることにより、上記中間層の高繊維密度部が液体を引き込んだ場合に、高坪量領域を構成する重複部が、折軸を基点として厚さ方向に拡がることができるので、中間層の高坪量領域(重複部)が、液体をより一時貯留することができる。
なお、重複部が厚さ方向に拡がることができる観点からは、重複部を構成する中間シートの部分が、高坪量領域を除き、お互いに固定されていないことが好ましい。
【0098】
本開示の吸収体では、高繊維密度部及び低繊維密度部を備える中間層(中間シート)は、特に制限されず、当技術分野の公知のものを採用することができる。例えば、高繊維密度部と、低繊維密度部とを有する不織布は、特開2008-138340号、特開2008-144322号、特開2008-264084号、特開2008-266813号等の記載に従って製造することができる。
【0099】
また、高繊維密度部及び低繊維密度部を備える中間層(中間シート)は、坪量の異なる凸部(例えば、畝部)と、凹部(例えば、溝部)とを有する不織布、具体的には、高繊維密度部を構成する凸部(例えば、畝部)と、低繊維密度部を構成する凹部(例えば、溝部)とを備える不織布が挙げられる。そのような不織布は、特開2008-002034号、同2008-023311号等の記載に従って製造することができる。
【0100】
さらに、高繊維密度部及び低繊維密度部を備える中間層(中間シート)は、不織布をギア延伸することによっても形成することができる。
さらに、高繊維密度部及び低繊維密度部を備える中間層(中間シート)は、折り畳まれている中間シート、又は折り畳まれていない中間シートを、厚さ方向に圧縮、例えば、エンボス(エンボス部)することによっても形成することができる。
【0101】
本開示の吸収体では、中間層の厚さ方向の繊維密度は、任意であることができ、例えば、肌側が低繊維密度で有り、着衣側が高繊維密度で有ることができ、そして肌側及び着衣側が低繊維密度で有り、そして内部が高繊維密度であることができる。
本開示の吸収体では、中間層が肌側面を備え、中間層の内部における繊維密度が、肌側面における繊維密度よりも高いことができる。それにより、中間層が引き込んだ液体を、毛細管現象により、肌側面から中間層の内部に、次いで、着衣面に移行させやすくなり、ひいては、中間層の着衣面に移行させた液体を、第2吸収層に移行させやすくなる。
【0102】
本開示の吸収体では、中間層が、相対的に繊維密度の低い第1面と、相対的に繊維密度の高い第2面とを備えている中間シートから構成されることができ、中間シートが、繊維密度の低い第1面が肌側となるように、そして繊維密度の高い第2面が着衣側となるように配置されていてもよい。それにより、中間層に到達した液体を、毛細管現象により、第2吸収層に移行させやすくなる。
【0103】
また、本開示の吸収体では、中間層が、相対的に繊維密度の低い第1面と、相対的に繊維密度の高い第2面とを備えている中間シートであって、第2面を内面として、所定の折軸において折り畳まれているものから構成されていることができる。それにより、中間層に到達した液体を、毛細管現象により、第2吸収層に移行させやすくなるとともに、中間シートが、第1吸収層の高吸水性ポリマーと、第2吸収層の高吸水性ポリマーとを保持することができる。
【0104】
相対的に繊維密度の低い第1面と、相対的に繊維密度の高い第2面とを備えている中間シートは、例えば、ネット上で製造される不織布等が挙げられる。例えば、エアスルー不織布は、ウェブをネットに載せ、構成繊維を融着させ、不織布を形成する。その際に、ネットに接していたネット面は、相対的に繊維密度が高く、第2面を構成し、ネットに接していなかった非ネット面は、相対的に繊維密度が低く、第1面を構成する。
【0105】
本開示の吸収体では、中間層を構成する中間シートが、液不透過性シート側に折り畳まれていることができる。それにより、中間層の、液透過性シート側に隣接するシート部材と、中間層との間に空隙が生じにくく、液透過性シートに到達した液体を、中間シートが、上記シート部材から受け取りやすくなる。
【0106】
本開示の吸収体では、第1吸収層及び第2吸収層のそれぞれは、高吸水性ポリマーを含む。上記高吸水性ポリマーとしては、特に制限されず、当技術分野で公知のものが含まれ、例えば、デンプン系、セルロース系、合成ポリマー系の高吸水性ポリマーが挙げられる。デンプン系又はセルロース系の高吸水性ポリマーとしては、例えば、デンプン-アクリル酸(塩)グラフト共重合体、デンプン-アクリロニトリル共重合体のケン化物、ナトリウムカルボキシメチルセルロースの架橋物等が挙げられ、合成ポリマー系の高吸水性ポリマーとしては、例えば、ポリアクリル酸塩系、ポリスルホン酸塩系、無水マレイン酸塩系、ポリアクリルアミド系、ポリビニルアルコール系、ポリエチレンオキシド系、ポリアスパラギン酸塩系、ポリグルタミン酸塩系、ポリアルギン酸塩系、デンプン系、セルロース系等の高吸水性ポリマー(SAP,Super absorbent Polymer)等が挙げられ、ポリアクリル酸塩系(特に、ポリアクリル酸ナトリウム系)の高吸水性ポリマーが好ましい。
【0107】
本開示の吸収体では、第1吸収層及び第2吸収層のそれぞれは、高吸水性ポリマーを主体とするものであれば、特に制限されず、親水性繊維、例えば、パルプ繊維をさらに含んでもよい。上記吸収体は、平面視において、その形状は特に限定されるものではなく、例えば、短辺が円弧状に突出した長方形、角丸長方形、楕円、砂時計が挙げられる。上記吸収体の厚さは、例えば、0.5~20mmが挙げられ、好ましくは1~10mmである。
【0108】
本開示の吸収体では、チャネルを備えていることができる。上記チャネルは、第1吸収層及び/又は第2吸収層に配置されることができる。それにより、吸収性物品を着用する際に、吸収体、ひいては吸収性物品を変形誘導させやすくなる。当該観点から、上記チャネルは、長手方向に沿って延びていることが好ましく、長手方向中心線を間に挟んで、一対のチャネルが、長手方向に沿って延びていることがより好ましい。
また、上記チャネル(一対のチャネル)は、第2吸収層に配置されることが好ましい。吸収性物品の変形誘導のしやすさの観点からである。
【0109】
上記一対のチャネルは、平面視において、例えば、一対のチャネルの間隔が、吸収体の長手方向に沿って一定であるように配置されていてもよく、そして一対のチャネルの間隔が、例えば、吸収性物品の長手方向の中央付近において狭く、長手方向の両外側に向かうに連れて拡がるように配置されていてもよい。
【0110】
上記チャネル(一対のチャネル)は、第2吸収層に配置されるとともに、上記チャネル(一対のチャネル)は、中間層の高繊維密度部と、吸収体の厚さ方向に重複するように配置されることができる。それにより、中間層の高繊維密度部が引き込んだ液体を、第2吸収層のチャネルに移動させ、液体を、当該チャネルを通して、第2吸収層に拡散させることができる。
【0111】
本開示の吸収体では、上記チャネル(一対のチャネル)は、上記チャネルが配置される吸収層、すなわち、第1吸収層及び/又は第2吸収層の周囲の領域と比較して、吸収コアの坪量が少ない領域を意味する。上記チャネル(一対のチャネル)は、上記チャネルが配置される吸収層、すなわち、第1吸収層及び/又は第2吸収層のにおける周囲の領域と比較して、好ましくは70質量%以下、より好ましくは50質量%以下、そしてさらに好ましくは30質量%以下の坪量を有し、0質量%の坪量を有してもよい。チャネルを変更誘導の起点とする観点からである。
【符号の説明】
【0112】
1 パンツ型おむつ
2 腹側部(腹側ウエストベルト)
3 背側部(背側ウエストベルト)
4 股間部
5,5a,5b カバーシート
10 吸収性本体
12 液透過性シート
13 液不透過性シート
14 吸収体
41 第1吸収層
42 第2吸収層
43 中間層
43S 中間シート
43a 第1シート部分
43b 第2シート部分
43c エンボス部
44 第1基材
45 第1吸水材
46 第2基材
47 第2吸水材
48 チャネル
103,104 折軸
L 長手方向
W 幅方向
T 厚さ方向
CL 長手方向中心線
CW 幅方向中心線
LB 低坪量領域
HB 高坪量領域
OP 重複部
NP 非重複部
HD 高繊維密度部
LD 低繊維密度部