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  • 特許-純水生成装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-10
(45)【発行日】2025-01-21
(54)【発明の名称】純水生成装置
(51)【国際特許分類】
   B01D 61/16 20060101AFI20250114BHJP
   B01D 65/02 20060101ALI20250114BHJP
   C02F 1/44 20230101ALI20250114BHJP
   C02F 1/42 20230101ALI20250114BHJP
   C02F 1/32 20230101ALI20250114BHJP
   C02F 9/00 20230101ALI20250114BHJP
【FI】
B01D61/16
B01D65/02
C02F1/44 C
C02F1/42 B
C02F1/32
C02F9/00
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2020218743
(22)【出願日】2020-12-28
(65)【公開番号】P2022103853
(43)【公開日】2022-07-08
【審査請求日】2023-10-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110003524
【氏名又は名称】弁理士法人愛宕綜合特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100113217
【弁理士】
【氏名又は名称】奥貫 佐知子
(74)【代理人】
【識別番号】100202496
【弁理士】
【氏名又は名称】鹿角 剛二
(74)【代理人】
【識別番号】100202692
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 吉文
(72)【発明者】
【氏名】柏木 宏之
【審査官】河野 隆一朗
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-286441(JP,A)
【文献】特開2009-214193(JP,A)
【文献】特開2015-096254(JP,A)
【文献】特開昭58-011090(JP,A)
【文献】特開2011-104567(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/22
B01D 61/00 - 71/82
C02F 1/44
C02F 1/42
C02F 1/32
C02F 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加工装置から排出される排水から純水を生成して該加工装置に供給する純水生成装置であって、
排水を貯水する排水タンクと、該排水タンクから送り出された排水を濾過する濾過部と、該濾過部によって生成された清水を貯水する清水タンクと、該清水タンクから送り出された清水に紫外線を照射して有機物を破壊する紫外線照射部と、該紫外線照射部から送り出された清水を純水に精製するイオン交換樹脂部と、該イオン交換樹脂部によって精製された純水を高精度に濾過する精密フィルター部と、該精密フィルター部に接続され該精密フィルター部で濾過された純水を加工装置に供給する純水供給路と、を少なくとも含み、
該純水供給路には、該純水供給路を開閉する純水供給路バルブが配設され、該精密フィルター部の底部には、排水ドレンが接続されると共に、該排水ドレンには、該排水ドレンを開閉する排水ドレンバルブが配設され、
該純水供給路バルブは、加工装置から排出される排水から純水を生成して該加工装置に供給する場合に開とされ、該精密フィルター部を洗浄する場合に閉とされるバルブであり、該排水ドレンバルブは、加工装置から排出される排水から純水を生成して該加工装置に供給する場合に閉とされ、該精密フィルター部を洗浄する場合に開とされるバルブであり、
該精密フィルター部を洗浄する場合には、該清水タンク、該紫外線照射部、該イオン交換樹脂部を経た純水を該精密フィルター部に導入しながら、該排水ドレンバルブが開とされる純水生成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排水から純水を生成する純水生成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
IC、LSI等の複数のデバイスが分割予定ラインによって区画され表面に形成されたウエーハは、研削装置によって裏面が研削され所望の厚みに形成された後、ダイシング装置によって個々のデバイスチップに分割され携帯電話、パソコン等の電気機器に利用される。
【0003】
研削装置やダイシング装置では、加工水として純水が使用されることから、本出願人は、加工装置から排出され汚染された排水から純水を生成して循環させる純水生成装置を開発し、既に提案している(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2009-214193号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記した特許文献1に記載の純水生成装置は、排水を貯水する排水タンクと、該排水タンクから送り出された排水を濾過する濾過部と、該濾過部によって精製された清水を貯水する清水タンクと、該清水タンクから送り出された清水に紫外線を照射して有機物を破壊する紫外線照射部と、該紫外線照射部から送り出された清水を純水に精製するイオン交換樹脂部と、該イオン交換樹脂部によって精製された純水を濾過する精密フィルター部と、該精密フィルター部から送り出された純水を加工装置に供給する純水供給路と、を少なくとも含み、構成されている。
【0006】
しかし、許容量を超える排水が上記した純水生成装置に投入されると、該濾過部によって十分に濾過されない排水がイオン交換樹脂部を経由して精密フィルター部に至り、比較的高額な精密フィルターを頻繁に交換しなければならず、不経済であるという問題がある。
【0007】
本発明は、上記事実に鑑みなされたものであり、その主たる技術課題は、精密フィルター部を頻繁に交換しなければならないという問題が解消される純水生成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記主たる技術課題を解決するため、本発明によれば、加工装置から排出される排水から純水を生成して該加工装置に供給する純水生成装置であって、排水を貯水する排水タンクと、該排水タンクから送り出された排水を濾過する濾過部と、該濾過部によって生成された清水を貯水する清水タンクと、該清水タンクから送り出された清水に紫外線を照射して有機物を破壊する紫外線照射部と、該紫外線照射部から送り出された清水を純水に精製するイオン交換樹脂部と、該イオン交換樹脂部によって精製された純水を高精度に濾過する精密フィルター部と、該精密フィルター部に接続され該精密フィルター部で濾過された純水を加工装置に供給する純水供給路と、を少なくとも含み、該純水供給路には、該純水供給路を開閉する純水供給路バルブが配設され、該精密フィルター部の底部には、排水ドレンが接続されると共に、該排水ドレンには、該排水ドレンを開閉する排水ドレンバルブが配設され、該純水供給路バルブは、加工装置から排出される排水から純水を生成して該加工装置に供給する場合に開とされ、該精密フィルター部を洗浄する場合に閉とされるバルブであり、該排水ドレンバルブは、加工装置から排出される排水から純水を生成して該加工装置に供給する場合に閉とされ、該精密フィルター部を洗浄する場合に開とされるバルブであり、該精密フィルター部を洗浄する場合には、該清水タンク、該紫外線照射部、該イオン交換樹脂部を経た純水を該精密フィルター部に導入しながら、該排水ドレンバルブが開とされる純水生成装置が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明の純水生成装置は、排水を貯水する排水タンクと、該排水タンクから送り出された排水を濾過する濾過部と、該濾過部によって生成された清水を貯水する清水タンクと、該清水タンクから送り出された清水に紫外線を照射して有機物を破壊する紫外線照射部と、該紫外線照射部から送り出された清水を純水に精製するイオン交換樹脂部と、該イオン交換樹脂部によって精製された純水を高精度に濾過する精密フィルター部と、該精密フィルター部に接続され該精密フィルター部で濾過された純水を加工装置に供給する純水供給路と、を少なくとも含み、該純水供給路には、該純水供給路を開閉する純水供給路バルブが配設され、該精密フィルター部の底部には、排水ドレンが接続されると共に、該排水ドレンには、該排水ドレンを開閉する排水ドレンバルブが配設され、該純水供給路バルブは、加工装置から排出される排水から純水を生成して該加工装置に供給する場合に開とされ、該精密フィルター部を洗浄する場合に閉とされるバルブであり、該排水ドレンバルブは、加工装置から排出される排水から純水を生成して該加工装置に供給する場合に閉とされ、該精密フィルター部を洗浄する場合に開とされるバルブであり、該精密フィルター部を洗浄する場合には、該清水タンク、該紫外線照射部、該イオン交換樹脂部を経た純水を該精密フィルター部に導入しながら、該排水ドレンバルブが開とされることから、定期的に、又は任意のタイミングで、精密フィルター部を洗浄することができ、精密フィルター部を頻繁に交換する必要がなくなり、不経済であるという問題が解消する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態の純水生成装置、及びダイシング装置の全体斜視図である。
図2図1に示す純水生成装置に収容された概略構成を分解して示す斜視図である。
図3】(a)図2に示す精密フィルター部の通常時における使用状態を示す断面図、(b)精密フィルター部の洗浄時における使用状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に基づいて構成される純水生成装置に係る実施形態について添付図面を参照しながら、詳細に説明する。
【0012】
図1には、周知のダイシング装置1に、本実施形態の純水生成装置20を適用した例が示されている。
【0013】
ダイシング装置1は、略直方体状の装置ハウジング2を備え、被加工物であるウエーハ12を保持するチャックテーブル機構3と、チャックテーブル機構3に保持されたウエーハ12を切削する切削ブレード41を備えた切削手段4と、を含み構成されている。ダイシング装置1は、複数のウエーハ12を収容するカセット5(2点鎖線で示す)と、カセット5に収容されたウエーハ12を搬出して仮置きする仮置きテーブル6と、仮置きテーブル6にウエーハ12を搬出する搬出入手段7と、仮置きテーブル6に搬出されたウエーハ12をチャックテーブル機構3上に旋回して搬送する搬送手段8と、切削手段4により切削加工されたウエーハを洗浄する洗浄手段9(詳細は省略している)と、切削加工されたウエーハ12をチャックテーブル機構3から洗浄手段9へ搬送する洗浄搬送手段10と、チャックテーブル機構3上のウエーハ12を撮像する撮像手段11と、図示を省略する制御手段と、を備えている。カセット5は、図示しない昇降手段によって上下に移動可能に配設されたカセットテーブル5a上に載置されており、カセット5からウエーハ12を搬出入手段7によって搬出する際には、カセット5の高さが適宜調整される。
【0014】
装置ハウジング2内には、チャックテーブル機構3と切削手段4とを相対的に加工送りする手段であって、チャックテーブル機構3に配設されたチャックテーブル30を切削送り方向である矢印Xで示すX軸方向に移動させるX軸送り手段(図示は省略する)と、切削手段4をX軸方向と直交する矢印Yで示すY軸方向に移動させるY軸送り手段(図示は省略する)と、切削手段4を該X軸方向及びY軸方向と直交する矢印Zで示すZ軸方向に移動させるZ軸送り手段(図示は省略する)とが配設されている。また、切削手段4には、チャックテーブル30に吸引保持されたウエーハを切削する際に、純水である加工水(切削水)を切削部位に供給する切削水供給ノズル42が配設されている。
【0015】
切削供給ノズル42から供給される切削水は、切削加工が実施される際に切削加工位置に供給された後、ダイシング装置1に配設された図示を省略する回収路によって回収され、装置ハウジング2から排水L1として、経路101を介して隣接して配設される純水生成装置20に送られる。純水生成装置20に送られた排水L1は、純水生成装置20によって純水L8に精製されて、経路108を介して、再びダイシング装置1に切削水として導入される。
【0016】
純水生成装置20について、図1に加え、図2を参照しながら、より具体的に説明する。図2には、純水生成装置20のハウジング20Aの内部に収容される概略構成の斜視図が示されている。
【0017】
純水生成装置20は、図2に示すように、ダイシング装置1から経路101を介して排出された排水L1を貯水する排水タンク21と、排水タンク21から、ポンプP1の作用により経路102を経由して排出された排水L2を濾過して精製する濾過部22と、濾過部22によって精製され経路103を経由して送られた清水L3を貯水する清水タンク23と、清水タンク23から経路104上に配設されたポンプP2の作用により送り出された清水L4に紫外線を照射し、清水L4に含まれる有機物を破壊する紫外線照射部24と、紫外線照射部24によって生成され経路105を介して送られた清水L5から純水L6を生成するイオン交換樹脂部25と、イオン交換樹脂部25で精製され経路106を介して送られた純水L6内に残存する有機物が破壊された後の不純物等を除去する精密フィルター部26と、を少なくとも備えている。さらに、本実施形態では、上記構成に加え、精密フィルター部26によって濾過され、経路107を介して排出された純水L7を貯水する純水貯水タンク27と、該純水貯水タンク27に貯水された純水を切削水として適切な温度に調整して純水L8とし、経路108を介してダイシング装置1に供給する温度コントローラ28とを備えている。なお、純水貯水タンク27、温度コントローラ28は、必要に応じて任意に設定される構成であり、経路107、108が、本実施形態の精密フィルター部26で濾過された後の純水をダイシング装置1に供給する純水供給路を形成する。
【0018】
図示の実施形態では、濾過部22は、第1濾過フィルター221、第2濾過フィルター222を備え、純水生成装置20の作動を止めることなく濾過部22の作動を継続することができるように、流路切換弁V1を備えている。一方の濾過フィルターの目詰まりが検出された場合には、流路切換弁V1を作動して、経路102から導かれる排水L2の流れを目詰まりしていない他方の濾過フィルターに導き、目詰まりが検出された濾過フィルターを新たな濾過フィルターに交換する。なお、濾過部22の濾過フィルターの目詰まりは、経路102上に配設された圧力センサM1によって経路102内の圧力を検出することで判定することが可能である。イオン交換樹脂部25は、第1イオン交換樹脂部251、第2イオン交換樹脂部252を備え、純水生成装置20の作動を止めることなくイオン交換樹脂部25の作動を継続することができるように、流路切換弁V2を備えている。例えば、第2イオン交換樹脂部252の消耗が検出される場合には、流路切換弁V2を作動することにより、経路105から導かれる清水L5を、消耗していない第1イオン交換樹脂部251に導き、その間、第2イオン交換樹脂部252を新しいイオン交換樹脂に交換する。なお、イオン交換樹脂の消耗の度合いは、経路106を流れる純水L6の比抵抗値を検出する比抵抗値センサM2によって検出される検出値に基づいて判定することが可能である。
【0019】
イオン交換樹脂部25によって生成された純水L6は、経路106を介して精密フィルター部26に送られる。精密フィルター部26において不純物が捕集され、純水L6内に残存する不純物が除去された純水L7が生成される。なお、精密フィルター部26の目詰まりは、経路106上に配設された圧力センサM3によって圧力を検出することで判定することが可能である。
【0020】
清水タンク23には、図2に示すように、経路109が接続されており、経路109上には、排水バルブV3が配設されている。清水タンク23内を清掃する際には、排水バルブV3を開放することで、清水タンク23内に貯水された清水L3を経路109に流し、経路109に接続された排水経路111を介して、純水生成装置20の外部に排出することができる。
【0021】
精密フィルター部26について、図3(a)を参照しながら、さらに詳細に説明する。図3(a)は、精密フィルター部26の外面を構成する円筒状のフィルターケース261の縦断面を示すと共に、フィルターケース261内に収容された精密フィルター262を示している。精密フィルター262は、例えばポリプロピレン、ポリウレタン等から形成することができ、濾過部22に配設された第1濾過フィルター221、第2濾過フィルター222よりも目が細かく、濾過部22よりも微細な不純物Dをより高精度に濾過するフィルターであって、該フィルターケース261の軸中心にあって長手方向に延在するように形成された棒状のフィルターである。精密フィルター部26の上端には、経路106と経路107とが接続され、経路106を介して導入される純水L6は、フィルターケース261と精密フィルター262の外周との間の空間S1に導かれる。また、純水L6が空間S1側から精密フィルター262を通過して濾過され精製された純水L7は、精密フィルター262の中心を経由して精密フィルター262の上端から純水供給経路を構成する経路107に排出される。精密フィルター部26の底部、すなわち、フィルターケース261の底部263には、排水ドレン110が接続されており、該排水ドレン110は、上記した排水経路111に接続されている。経路107上には、純水供給路バルブV4が配設され、排水ドレン110には排水ドレンバルブV5が配設されている。
【0022】
図1に示すように、純水生成装置20には、図示を省略する制御装置と一体的に構成された操作パネル30が配設されている。該制御装置は、コンピュータによって構成され、上記したポンプP1~P3、流路切換弁V1、V2、排水バルブV3、純水供給路バルブV4、及び排水ドレンバルブV5が接続されている。操作パネル30は、純水生成装置20の作動状態を示す表示手段、操作ボタン等を備えている。オペレータが該操作ボタンを操作することで、オペレータの指示が該制御装置に送られ、該制御装置からの指示信号により、ポンプP1~P3、流路切換弁V1、V2、排水バルブV3、純水供給路バルブV4、及び排水ドレンバルブV5等の作動が制御される。なお、後述するように純水供給路バルブV4、及び排水ドレンバルブV5は手動によって操作することも可能である。
【0023】
本実施形態の純水生成装置20、及び該純水生成装置20が適用されたダイシング装置1は、概ね上記したとおりの構成を備えており、以下に、純水生成装置20の機能、作用について説明する。
【0024】
本実施形態において加工される被加工物は、図1に示すように、例えば、略円板形状のウエーハ12であって、複数のデバイスが分割予定ラインによって区画され表面に形成されたものであり、粘着テープTを介して環状のフレームFに支持されている。ダイシング装置1において、上記したウエーハ12に対する切削加工を実施する通常時においては、上記した搬出入手段7、搬送手段8等を作動して、カセット5からウエーハ12を搬送して、チャックテーブル30の保持面に載置する。次いで、図示を省略する吸引手段を作動することにより、チャックテーブル30の保持面に対して吸引負圧を供給して、ウエーハ12をチャックテーブル30に吸引保持し、チャックテーブル30の外周に配設されたクランプ32によって固定する。チャックテーブル30にウエーハ12を保持したならば、図示を省略するX軸送り手段を作動して、チャックテーブル30を上記した撮像手段11の直下に位置付けてウエーハ12を撮像し、該分割予定ライン等の加工位置を検出するアライメント工程を実施する。次いで、該アライメント工程により検出したウエーハ12の加工位置情報に基づいて、チャックテーブル30を切削手段4の直下に位置付け、切削水供給ノズル42から純水生成装置20から供給された切削水を噴出させながら、X軸送り手段と共に、上記したY軸送り手段及びZ軸送り手段を作動して切削手段4の切削ブレード41によってウエーハ12の該分割予定ラインを切削して、ウエーハ12を個々のデバイスチップに分割する。
【0025】
ここで、切削水供給ノズル42から噴出された切削水は、切削加工によって生じた切削屑等を含む排水L1となり、ダイシング装置1内に形成された図示を省略する回収路に流出する。該回収路に流出した排水L1は、ダイシング装置1から、経路101を介して、純水生成装置20に送られて、上記排水タンク21に貯水される。図2に基づき説明したように、排水タンク21に貯水された排水L1は、濾過部22、清水タンク23、紫外線照射部24、イオン交換樹脂部25を経て純水L6とされ、該純水L6は、精密フィルター部26に導入される。ここで、図3(a)に示すように、該純水供給路バルブV4は、ダイシング装置1から排出される排水L1から純水L7を生成して該ダイシング装置1に供給する場合には開とされるバルブであり、このとき、該排水ドレンバルブV5は閉とされるバルブである。よって、ダイシング装置1から排水が排出され、純水生成装置20において純水が生成される通常時においては、紫外線照射部24において有機物が破壊されて生成された不純物D等を含む純水L6が、精密フィルター部26の精密フィルター262によって高精度に濾過されて純水L7となって経路107から排出される。精密フィルター部26から排出された純水L7は、上記した純水貯水タンク27に一時的に貯水されると共に、温度コントローラ28によって適宜の温度調整が施されて、経路108を介して、ダイシング装置1に再び投入される。
【0026】
上記したように、精密フィルター部26によって純水L7が高精度に濾過されることにより、精密フィルター部26に配設された精密フィルター262には、不純物Dが蓄積する。よって、本実施形態の純水生成装置20においては、定期的(例えば1日に1度程度)に、又は任意のタイミングで、精密フィルター部26に配設された精密フィルター262を洗浄する洗浄モードが実施される。図3(b)に、該洗浄モードにおける精密フィルター部26、純水供給路バルブV4、及び排水ドレンバルブV5の状態を示す。図3(b)に示すように、純水供給路バルブV4は、精密フィルター部26を洗浄する洗浄モードが実施される場合に閉とされるバルブであり、排水ドレンバルブV5は、該洗浄モードが実施される場合に開とされるバルブである。そして、該洗浄モードが実施され精密フィルター部26が洗浄される洗浄時においては、ダイシング装置1を作動させることなく、上記したポンプP2を作動して、清水タンク23、紫外線照射部24、イオン交換樹脂部25を経た不純物Dを殆ど含まない純水L6を、経路106を介して精密フィルター部26に導入する。なお、この洗浄モードを実施する場合、及び清水タンク23を清掃した後には、図2に示すように、濾過部22を介して清浄な水W(水道水でよい)を投入して、清水タンク23の貯水量を補填する。
【0027】
図3(b)に示すように、経路106を介して精密フィルター部26に投入された純水L6は、精密フィルター部26内の空間S1を流れ、精密フィルター262の表面に付着した不純物Dを落としながら、底部に接続された排水ドレン110に導かれ、不純物Dを含む排水L10として排出される。この洗浄モードの動作を所定時間実施することで、精密フィルター262の表面に付着した不純物Dが取り除かれて、精密フィルター262の目詰まり具合が改善される。
【0028】
上記した実施形態により、定期的、又は任意のタイミングで精密フィルター部26の洗浄を実施することができ、精密フィルター部26を頻繁に交換する必要がなくなり、不経済であるという問題が解消する。
【0029】
なお、上記した実施形態では、純水供給路バルブV4、排水ドレンバルブV5は、図示を省略する制御装置によって出力される指示信号によって動作するように説明したが、本発明はこれに限定されず、純水供給路バルブV4、排水ドレンバルブV5が、オペレータによる操作によって開閉されるものであってもよい。
【0030】
また、上記した実施形態では、本実施形態の純水生成装置20を、ダイシング装置1に適用した例を示したが、本発明はこれに限定されず、純水を加工水として使用するその他の加工装置、例えば、研削装置、研磨装置等にも適用することができる。
【符号の説明】
【0031】
1:ダイシング装置
2:装置ハウジング
3:チャックテーブル機構
30:チャックテーブル
32:クランプ
4:切削手段
41:切削ブレード
42:切削水供給ノズル
5:カセット
6:仮置きテーブル
7:搬出入手段
8:搬送手段
9:洗浄手段
10:洗浄搬送手段
11:撮像手段
20:純水生成装置
20A:ハウジング
21:排水タンク
22:濾過部
221:第1濾過フィルター
222:第2濾過フィルター
23:清水タンク
24:紫外線照射部
25:イオン交換樹脂部
26:精密フィルター部
262:精密フィルター
27:純水貯水タンク
28:温度コントローラ
30:操作パネル
101~109:経路
110:排水ドレン
111:排水経路
V1、V2:流路切換弁
V3:排水バルブ
V4:純水供給路バルブ
V5:排水ドレンバルブ
P1~P3:ポンプ
図1
図2
図3