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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-10
(45)【発行日】2025-01-21
(54)【発明の名称】錠剤組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 36/9068 20060101AFI20250114BHJP
   A61K 36/17 20060101ALI20250114BHJP
   A61K 33/06 20060101ALI20250114BHJP
   A61K 36/484 20060101ALI20250114BHJP
   A61K 36/284 20060101ALI20250114BHJP
   A61K 36/725 20060101ALI20250114BHJP
   A61K 36/714 20060101ALI20250114BHJP
   A61K 47/04 20060101ALI20250114BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20250114BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20250114BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20250114BHJP
   A61P 7/10 20060101ALI20250114BHJP
【FI】
A61K36/9068
A61K36/17
A61K33/06
A61K36/484
A61K36/284
A61K36/725
A61K36/714
A61K47/04
A61K47/38
A61K47/36
A61K9/20
A61P7/10
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021061492
(22)【出願日】2021-03-31
(65)【公開番号】P2022157335
(43)【公開日】2022-10-14
【審査請求日】2023-12-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000186588
【氏名又は名称】小林製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124431
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 順也
(74)【代理人】
【識別番号】100174160
【弁理士】
【氏名又は名称】水谷 馨也
(74)【代理人】
【識別番号】100175651
【弁理士】
【氏名又は名称】迫田 恭子
(72)【発明者】
【氏名】宮島 崇広
【審査官】新熊 忠信
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2008/001672(WO,A1)
【文献】特開2006-176460(JP,A)
【文献】日本東洋医学雑誌,2011年,Vol.62別巻,p.134
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 36/00-36/9068
A61K 31/00-33/44
A61K 9/00- 9/72
A61K 47/00-47/69
A61P 7/00
A61P 29/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
越婢加朮附湯エキスを含有する錠剤組成物。
【請求項2】
前記越婢加朮附湯エキスの抽出に使用される生薬調合物が、ショウキョウ1重量部当たりブシを0.3~1重量部含む、請求項1に記載の錠剤組成物。
【請求項3】
前記越婢加朮附湯エキスの抽出に使用される生薬調合物が、ショウキョウ1重量部当たりブシを0.7~1重量部含む、請求項1に記載の錠剤組成物。
【請求項4】
前記越婢加朮附湯エキスを60~95重量%含む、請求項1~3のいずれかに記載の錠剤組成物。
【請求項5】
崩壊剤を5~40重量%含む、請求項1~4のいずれかに記載の錠剤組成物。
【請求項6】
前記崩壊剤が、軽質無水ケイ酸、カルメロースカルシウム、及び/又はデンプンである、請求項5に記載の錠剤組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、越婢加朮附湯エキス製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
越婢加朮附湯は、越婢加朮湯にブシを加えた漢方であり、越婢加朮湯証で、水腫、悪寒、小便不利等の甚だしい場合に用いられる。越婢加朮附湯は、比較的最近になって、一般用漢方製剤承認基準に追加された(非特許文献1)。
【0003】
越婢加朮附湯は、マオウ6g、セッコウ8g、ショウキョウ3g、カンゾウ2g
、ジュツ4g、タイソウ3g、及びブシ1gからなる生薬調合物として市販されており、煎じて服用する(非特許文献2)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】一般用漢方製剤承認基準、参考資料2-2、厚生労働省医薬食品局、平成23年4月15日
【文献】越婢加朮附湯エッピカジュツブトウ お手軽煎じ薬5日分15包 むくみ 湿疹 関節炎 薬局製剤,[online],赤尾漢方薬局,[令和3年3月20日検索],インターネット<URL:https://store.shopping.yahoo.co.jp/akaokanpou/eppikajutu-kpc5.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
越婢加朮附湯は、現在、市販されている生薬混合物を煎じて服用するしかなく、エキス製剤は存在しない。さらに、越婢加朮附湯エキス製剤の製剤特性については未だ検討されていない。
【0006】
そこで本発明の目的は、製剤特性に優れた越婢加朮附湯エキス製剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、鋭意検討した結果、越婢加朮附湯エキスを製錠することで、硬度に優れた錠剤となることを見出した。しかも、越婢加朮附湯エキス錠剤の硬度は、ブシの有無を除いて生薬組成が同じである越婢加朮湯エキスを錠剤化した場合に比べて向上しており、このような硬度向上効果は、ブシと錠剤硬度との間に何らの技術的関連性も知られていないことに鑑みると予想外であった。さらに、越婢加朮附湯エキスの抽出に使用される生薬調合物において、ショウキョウに対するブシの量をさらに増やすことで、硬度をより一層向上させるとともに崩壊性を向上させることもできる場合があることも予期せず見出した。本発明は、これらの知見に基づいて、更に検討を重ねることにより完成したものである。
【0008】
即ち、本発明は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
項1. 越婢加朮附湯エキスを含有する錠剤組成物。
項2. 前記越婢加朮附湯エキスの抽出に使用される生薬調合物が、ショウキョウ1重量部当たりブシを0.3~1重量部含む、項1に記載の錠剤組成物。
項3. 前記越婢加朮附湯エキスの抽出に使用される生薬調合物が、ショウキョウ1重量部当たりブシを0.7~1重量部含む、請求項1に記載の錠剤組成物。
項4. 前記越婢加朮附湯エキスを60~95重量%含む、項1~3のいずれかに記載の錠剤組成物。
項5. 崩壊剤を5~40重量%含む、項1~4のいずれかに記載の錠剤組成物。
項6. 前記崩壊剤が、軽質無水ケイ酸、カルメロースカルシウム、及び/又はデンプンである、項5に記載の錠剤組成物。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、硬度に優れた越婢加朮附湯エキス錠剤を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の錠剤組成物は、越婢加朮附湯エキスを含有することを特徴とする。以下、本発明の錠剤組成物について詳述する。
【0011】
越婢加朮附湯の構成生薬は、マオウ、セッコウ、ジュツ、ブシ、ショウキョウ、カンゾウ、及びタイソウである。ジュツとしては、ビャクジュツ及び/又はソウジュツを用いることができ、錠剤硬度をより一層向上させる観点から、又は当該観点とともに崩壊性も向上させる観点から、好ましくはソウジュツが用いられる。ブシとしては、ブシ末及び/又は加工ブシを用いることができ、錠剤硬度をより一層向上させる観点から、又は当該観点とともに崩壊性も向上させる観点から、好ましくは加工ブシが用いられる。
【0012】
本発明で使用される越婢加朮附湯エキスの製造に供される生薬調合物における各生薬の配合量は特に限定されないが、ショウキョウ1重量部当たりのブシの含有量として、例えば0.3~1重量部が挙げられ、錠剤硬度をより一層向上させる観点から、好ましくは0.6~1重量部が挙げられる。さらに、錠剤硬度をより一層向上させるとともに崩壊性も向上させる観点から、より好ましくは0.7~1重量部、さらに好ましくは0.8~1重量部、一層好ましくは0.9~1重量部、より一層好ましくは0.95~1重量部が挙げられる。
【0013】
本発明で使用される越婢加朮附湯エキスの製造に供される生薬調合物の具体的な組成としては、例えば、マオウ4~6重量部、セッコウ8~10重量部、ジュツ3~4重量部、ブシ0.3~1重量部、ショウキョウ1重量部、カンゾウ1.5~2重量部、タイソウ3~4重量部が挙げられ;錠剤硬度をより一層向上させる観点から、又は当該観点とともに崩壊性も向上させる観点から、好ましくは、マオウ5~6重量部、セッコウ8~9重量部、ジュツ3.5~4重量部、ブシ0.6~1重量部、ショウキョウ1重量部、カンゾウ1.8~2重量部、タイソウ3~3.5重量部が挙げられ;錠剤硬度をより一層向上させるとともに崩壊性も向上させる観点から、より好ましくは、マオウ5~6重量部、セッコウ8~9重量部、ジュツ3.5~4重量部、ブシ0.7~1重量部、ショウキョウ1重量部、カンゾウ1.8~2重量部、タイソウ3~3.5重量部が挙げられ;錠剤硬度をより一層向上させるとともに崩壊性も向上させる観点から、さらに好ましくは、マオウ6重量部、セッコウ8重量部、ジュツ4重量部、ブシ0.8~1重量部(一層好ましくは0.9~1重量部、より一層好ましくは0.95~1重量部、特に好ましくは1重量部)、ショウキョウ1重量部、カンゾウ2重量部、タイソウ3重量部が挙げられる。
【0014】
本発明で使用される越婢加朮附湯エキスは、前記生薬調合物を公知の手法で抽出することによって得ることができる。前記生薬調合物を抽出する方法については、例えば、前記生薬調合物に対して、約10~20倍量、好ましくは13~18倍量の水を加え、80~100℃程度、好ましくは95~100℃で0.5~3時間程度、好ましくは0.5~1.5時間撹拌して抽出する方法が挙げられる。抽出後に、遠心分離、濾過等の固液分離に供して固形分を除去し、必要に応じて、濃縮処理や乾燥処理に供することによって越婢加朮附湯エキスが得られる。
【0015】
越婢加朮附湯エキスをエキス末として得るには、固形分を除去した抽出液を、必要に応じて濃縮した後に、スプレードライ、減圧濃縮乾燥、凍結乾燥等の乾燥処理に供すればよい。また、乾燥処理(特に、スプレードライによる乾燥処理)に供する際に、必要に応じて抽出液に、賦形剤を添加してもよい。
【0016】
本発明の錠剤組成物における越婢加朮附湯エキスの含有量としては特に限定されないが、60~95重量%が挙げられる。本発明の錠剤組成物は、越婢加朮附湯のエキス自体が、ブシを含む生薬調合物から得ることで錠剤硬度を向上させる機能を果たすため、一般的な漢方エキス錠剤と異なり、越婢加朮附湯のエキス自体の含有量が多くても、高い硬度を備えることができる。従って、本発明の錠剤組成物における越婢加朮附湯エキスの好適な例としては、70~95重量%、より好ましくは72~95重量%、さらに好ましくは74~95重量%、一層好ましくは76~95重量%、より一層好ましくは78~95重量%が挙げられる。
【0017】
他の成分
本発明の錠剤組成物は、本発明の効果を妨げない範囲で、越婢加朮附湯エキス以外の他の成分として、添加剤及び/又は基剤を含むことができる。
【0018】
添加剤及び基剤としては、薬学的に許容されることを限度として特に制限されないが、例えば、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、等張化剤、可塑剤、分散剤、乳化剤、溶解補助剤、湿潤化剤、安定化剤、懸濁化剤、粘着剤、コーティング剤、光沢化剤、水、油脂類、ロウ類、炭化水素類、脂肪酸類、高級アルコール類、エステル類、水溶性高分子、界面活性剤、金属石鹸、低級アルコール類、多価アルコール、pH調整剤、緩衝剤、酸化防止剤、紫外線防止剤、防腐剤、矯味剤、香料、粉体、増粘剤、色素、キレート剤等が挙げられる。これらの添加剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。また、これらの添加剤及び基剤の含有量については、錠剤として成形できることを限度として、使用する添加剤及び基剤の種類等に応じて適宜設定される。
【0019】
これらの添加剤及び基剤の中でも、好ましくは、崩壊剤(例えば、軽質無水ケイ酸、合成ケイ酸アルミニウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、無水リン酸水素カルシウム、カルメロース、カルメロースナトリウム、カルメロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、低置換カルボキシメチルスターチ、結晶セルロース、デンプン、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスポピドン等)、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、合成ハイドロタルサイト等が挙げられる。これらのうち、錠剤硬度をより一層向上させる観点から、又は当該観点とともに崩壊性も向上させる観点から、より好ましくは、軽質無水ケイ酸、カルメロースカルシウム、デンプン、及びステアリン酸マグネシウムが挙げられる。
【0020】
本発明の錠剤組成物は、崩壊性を損なうことなく高硬度の錠剤を形成できるため、崩壊剤の使用量が少なくても効果的に高硬度の錠剤を形成できる。このような観点から、崩壊剤の好適な使用量としては、例えば5~40重量%、好ましくは5~30重量%、より好ましくは5~25重量%、さらに好ましくは5~20重量%が挙げられる。優れた硬度と崩壊性とを両立させる観点から、崩壊剤の一層好適な使用量としては、10~20重量%、より一層好ましくは15~20重量%、特に好ましくは17~20重量%が挙げられる。
【0021】
さらに、本発明の錠剤組成物において、崩壊剤として、軽質無水ケイ酸、カルメロースカルシウム、及びデンプンが用いられる場合、これらの配合重量比率(軽質無水ケイ酸:カルメロースカルシウム:デンプン)としては、優れた硬度及び/又は崩壊性を得る観点から、好ましくは、[1~3]:[0.6~1]:1、より好ましくは[1.5~2.5]:[0.7~0.9]:1、さらに好ましくは[1.8~2.2]:[0.75~0.85]:1が挙げられる。
【0022】
また、本発明の錠剤組成物は、越婢加朮附湯エキスの他に、必要に応じて、他の栄養成分や薬理成分を含有していてもよい。このような栄養成分や薬理成分としては、薬学的に許容されることを限度として特に制限されないが、例えば、制酸剤、健胃剤、消化剤、整腸剤、鎮痙剤、粘膜修復剤、抗炎症剤、収れん剤、鎮吐剤、鎮咳剤、去痰剤、消炎酵素剤、鎮静催眠剤、抗ヒスタミン剤、カフェイン類、強心利尿剤、抗菌剤、血管収縮剤、血管拡張剤、局所麻酔剤、生薬エキス、ビタミン類、メントール類等が挙げられる。これらの栄養成分や薬理成分は、1種単独で使用してもよいし、複数種を組み合わせて使用してもよい。また、これらの成分の含有量については、使用する成分の種類等に応じて適宜設定される。
【0023】
製剤形態
本発明の錠剤組成物は、錠剤として成形される。錠剤の形状及び大きさ等は特に限定されない。錠剤形状としては、丸型、楕円型、三角型、四角型等が挙げられる。丸型錠の場合にあっては、直径6~12mm、好ましくは8~10mmが挙げられる。一錠当たりの重量としては、200~600mg、好ましくは300~400mgが挙げられる。
【0024】
本発明の錠剤組成物から製造される錠剤は、素錠(裸錠)であってもよいし、薬剤の安定化、及び矯味や矯臭等の目的で表面にコーティングを施したコーティング錠であってもよい。コーティング錠としては、糖衣錠や、水溶性、腸溶性または胃溶性の高分子基剤を含むフィルムで被覆したフィルムコーティング剤(胃溶錠、腸溶錠)が挙げられる。本発明の錠剤組成物は、錠剤の硬度に優れているため、素錠であっても物理的に安定である。本発明の錠剤組成物から製造される素錠の硬度としては、180N以上、好ましくは185N以上、より好ましくは200N以上、さらに好ましくは210N以上、一層好ましくは220N以上、一層好ましくは230N以上、特に好ましくは235N以上が挙げられる。当該硬度の上限としては特に限定されず、例えば250N以下、245N以下又は240N以下が挙げられる。
【0025】
製造方法
本発明の錠剤組成物は、越婢加朮附湯エキス、並びに必要に応じて添加される添加剤、基剤、及び薬理成分を用いて、医薬分野で採用されている通常の製剤化手法に従って製造することができる。好ましくは、本発明の錠剤組成物の製造方法は、越婢加朮附湯エキス、又は必要に応じ添加剤、基材、他の栄養成分、及び/又は他の薬理成分と混合した越婢加朮附湯エキス混合物を造粒する造粒工程、及び造粒物を打錠する打錠工程を含む。打錠工程における打錠圧としては、例えば4~20kN、好ましくは6~20kN、より好ましくは8~15kNが挙げられる。本発明の錠剤組成物は錠剤硬度に優れるため、比較的小さな打錠圧でも効果的に高硬度の錠剤を形成することができる。このような観点から、打錠工程における打錠圧の好適な例としては、8~13kN、より好ましくは8~11kN、さらに好ましくは8~10kNが挙げられる。
【0026】
用途
本発明の錠剤組成物は、錠剤に成形される用途で用いられ、さらに、本発明の錠剤組成物から製造される錠剤は、越婢加朮附湯エキスの効能が期待される用途であればどのような用途で用いられてもよい。
【実施例
【0027】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0028】
試験例
1.越婢加朮附湯エキス末の製造
原料生薬として、表1に示す組成の生薬調合物(表中、ブシとして加工ブシを用いた。)を用い、常水15倍重量を用いて約100℃で1時間加熱抽出し、熱時固液分離及びろ過して抽出液を得た。抽出液を減圧下で濃縮し、スプレードライヤーを用いて乾燥し、越婢加朮附湯エキス末(比較例1については越婢加朮湯エキス末)を得た。なお、スプレードライヤーによる乾燥は、抽出液を回転数10000rpmのアトマイザーに落下させ、150℃の空気の熱風を供給することによって行った。
【0029】
【表1】
【0030】
2.錠剤組成物の製造
上記1で得た越婢加朮附湯エキス末と、表2に示す成分とを表中の組成で混合し、造粒した後、9kNの打圧で打錠することで錠剤(素錠、重さ360mg、直径9.5mm)を作製した。
【0031】
3.硬度及び崩壊性
製造した錠剤(素錠)について、ロードセル式錠剤硬度計(破断動作速度0.5mm/分)で硬度(N)を測定し、また、日本薬局方(第十七改正)記載の崩壊試験法に従って崩壊性(分)を評価した。崩壊時間は錠剤3個の平均値とした。結果を表2に示す。
【0032】
【表2】
【0033】
表2から明らかなとおり、越婢加朮附湯エキスを含む錠剤は、硬度の向上が認められた(実施例1~3)。中でも、越婢加朮附湯エキスの製造に用いた生薬調合物中、ショウキョウに対するブシの配合重量比を所定比以上とした場合は、硬度の向上とともに崩壊性の向上も認められ(実施例1,2)、特に優れた錠剤特性が備わったことが分かった。