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特許7618679フロログルシノール樹脂、製造方法、及びゴム組成物における使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-10
(45)【発行日】2025-01-21
(54)【発明の名称】フロログルシノール樹脂、製造方法、及びゴム組成物における使用
(51)【国際特許分類】
   C08G 8/02 20060101AFI20250114BHJP
   C08L 21/00 20060101ALI20250114BHJP
   C08L 61/16 20060101ALI20250114BHJP
【FI】
C08G8/02
C08L21/00
C08L61/16
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2022542151
(86)(22)【出願日】2021-01-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-13
(86)【国際出願番号】 US2021012237
(87)【国際公開番号】W WO2021141934
(87)【国際公開日】2021-07-15
【審査請求日】2023-09-21
(31)【優先権主張番号】62/958,789
(32)【優先日】2020-01-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519312463
【氏名又は名称】スミトモ ケミカル アドバンスト テクノロジーズ エルエルシー ディー・ビー・エー スミカ エレクトロニック マテリアルズ
(73)【特許権者】
【識別番号】000002093
【氏名又は名称】住友化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002321
【氏名又は名称】弁理士法人永井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】板橋 太門
(72)【発明者】
【氏名】信岡 俊宏
(72)【発明者】
【氏名】ウォークアップ,シー マイケル
【審査官】藤井 明子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/225614(WO,A1)
【文献】特表2001-506769(JP,A)
【文献】特開2013-151605(JP,A)
【文献】特開平02-084650(JP,A)
【文献】特開2013-151604(JP,A)
【文献】国際公開第2020/195496(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 4/00-16/06
C08L 21/00、61/16
C07B 31/00-63/04
C07C 1/00-409/44
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸触媒の存在下でのフロログルシノールとケトンとの反応生成物を含み、式(II)によって定義されるフロログルシノール単位を少なくとも1つ含む固体フロログルシノール樹脂
【化2】
式中、nは1~20の整数であり、R1及びR3は同じであっても異なっていてもよく、それぞれ二置換メチレン架橋を形成するか、又は水素原子であり、R2は水素原子であり、R4及びR5は同じであっても異なっていてもよく、アルキル基である
【請求項2】
R4及びR5が両方ともメチル基であり、形成され前記二置換メチレン架橋がイソプロピルデン架橋である、請求項に記載の固体フロログルシノール樹脂。
【請求項3】
R4がエチル基であり、R5がメチル基であり、前記形成され二置換メチレン架橋が2,2-二置換ブタン架橋である、請求項に記載の固体フロログルシノール樹脂。
【請求項4】
R4がイソプロピル基であり、R5がメチル基であり、前記形成され二置換メチレン架橋が2,2-二置換4-メチルペンタン架橋である、請求項に記載の固体フロログルシノール樹脂。
【請求項5】
前記ケトンが、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、ジエチルケトン、エチルブチルケトン、ジイソブチルケトン、メチルイソプロピルケトン、ジイソプロピルケトン、及びメチルイソブチルケトン(MIBK)からなる群から選択される、請求項に記載の固体フロログルシノール樹脂。
【請求項6】
前記ケトンが、アセトン、メチルエチルケトン及びメチルイソブチルケトンからなる群から選択される、請求項に記載の固体フロログルシノール樹脂。
【請求項7】
前記酸触媒が、無機酸である、請求項に記載の固体フロログルシノール樹脂。
【請求項8】
前記酸触媒が、酸性陽イオン交換樹脂である、請求項1に記載の固体フロログルシノール樹脂。
【請求項9】
ケトン対フロログルシノールのモル比が1:1より大きく20:1より小さい、請求項に記載の固体フロログルシノール樹脂。
【請求項10】
40重量%未満の未反応フロログルシノールを含む、請求項1~のいずれか1項に記載の固体フロログルシノール樹脂。
【請求項11】
400g/モルより大きく700g/モルより小さいMwを有する、請求項1~10のいずれか1項に記載の固体フロログルシノール樹脂。
【請求項12】
80℃を超える軟化点を有する、請求項1~11のいずれか1項に記載の固体フロログルシノール樹脂。
【請求項13】
1.5重量%未満の水を含む、請求項1~12のいずれか1項に記載の固体フロログルシノール樹脂。
【請求項14】
ポリスチレン標準を使用するGPCによる五量体以上のオリゴマー含有量が55%未満である、請求項1~13のいずれか1項に記載の固体フロログルシノール樹脂。
【請求項15】
a.加硫可能なゴム;
b.硬化剤;及び
c.請求項1~14のいずれか1項に記載の固体フロログルシノール樹脂
を含む、加硫可能なゴム組成物。
【請求項16】
請求項15に記載の加硫可能な組成物から調製された加硫ゴム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体フロログルシノール樹脂及びその製造方法に関する。このような固体フロログルシノール樹脂は、加硫可能なゴム組成物に有用であり得る。
【背景技術】
【0002】
レゾルシノールとホルムアルデヒドとの反応生成物として形成される、RF樹脂又はレゾルシノール樹脂とも呼ばれるレゾルシノール-ホルムアルデヒド樹脂は、ゴム配合を含む様々な用途に広く使用されている。ゴム配合物の調製において、ゴムと補強材料との間の接着特性並びにタイヤ、ベルト及びホース製品などの物品の動的特性などのゴム特性を高めるために、固体RF樹脂が長い間使用されてきた。
【0003】
レゾルシノール樹脂は、一般に、10~20%の未反応又は遊離レゾルシノールを有する。遊離レゾルシノールの量は、重要な特性のバランスをとる際の重要な因子であり得る。しかしながら、遊離レゾルシノールの存在は問題となり得る。例えば、遊離レゾルシノールはゴム混合中に揮発する可能性があり、そのような揮発はしばしば発煙と呼ばれ、それによってゴム混合プロセスにさらなる問題を引き起こす。さらに、遊離レゾルシノールの存在は、レゾルシノール性樹脂の吸湿性に寄与し、これは、貯蔵及び取り扱いの問題を引き起こす。
【0004】
ホルムアルデヒドは、長年にわたりレゾルシノール-ホルムアルデヒド樹脂を製造するために使用されてきた。その広範な使用、毒性及び揮発性を考慮すると、ホルムアルデヒドは潜在的な健康及び環境問題を呈する。2011年に、米国国立毒性学プログラム(US National Toxicology Program)によって、ホルムアルデヒドはヒト発癌物質であることが知られていると説明された。
【0005】
したがって、レゾルシノール及びホルムアルデヒド(又は他のアルデヒド)を使用しない環境に優しい接着剤を作製する必要性が存在する。残念なことに、レゾルシノール及びホルムアルデヒドを含まないこれまでに知られている全ての従来技術の接着性樹脂は、一般に、不十分なゴム性能及び/又は加工上の問題をもたらす低い反応性を有することが見出されている。例えば、樹脂の軟化点が悪影響を受け、使用や加工が困難になる場合がある。すなわち、軟化点が高すぎるとゴム配合物との混合が困難になり、一方、軟化点が低すぎると取り扱い上の問題が生じる。そのため、反応性と軟化点の競合要因をバランスさせる必要がある。
【0006】
水性接着剤組成物におけるフロログルシノールの使用は、当技術分野で周知である。例えば、米国特許出願公開第2014/0235125号明細書では、水性接着剤組成物は、フェノール/アルデヒド樹脂及び不飽和エラストマーラテックスを含むことが記載されている。フェノール/アルデヒド樹脂は、少なくとも2つのアルデヒド官能基を有し少なくとも1つの芳香核を含む少なくとも芳香族ポリアルデヒド、及びフロログルシノールに基づく。
【0007】
米国特許出願公開第2019/0119535号明細書では、水性接着剤組成物は、熱硬化性樹脂及び不飽和エラストマーラテックスを含む。熱硬化性樹脂は、少なくとも2つの官能基(1つはヒドロキシメチル官能基であり、もう1つはアルデヒド官能基又はヒドロキシメチル官能基)を有する芳香族化合物を含んでいてもよい。一般に、フロログルシノールは両方の参考文献に開示されているが、両方の組成物は水性であり(固体ではない)、好ましくはアルデヒドを含有する(ケトンではない)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】米国特許出願公開第2014/0235125号明細書
【文献】米国特許出願公開第2019/0119535号明細書
【発明の概要】
【0009】
本発明の少なくとも1つの態様は、フロログルシノール化合物、好ましくはフロログルシノールとケトンとの反応生成物を含む固体フロログルシノール樹脂を提供する。様々な実施形態において、ケトンは、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、エチルブチルケトン、ジイソブチルケトン、メチルイソプロピルケトン、ジイソプロピルケトン、及びメチルイソブチルケトンからなる群から選択されてもよい。他の実施形態では、ケトンは、アセトン、メチルエチルケトン、及びメチルイソブチルケトンからなる群から選択されてもよい。少なくとも1つの実施形態において、ケトンはアセトンである。別の実施形態では、ケトンはメチルエチルケトンである。さらに別の実施形態では、ケトンはメチルイソブチルケトンである。
【0010】
固体フロログルシノール樹脂を製造するために、フロログルシノール化合物を酸触媒の存在下でケトンと反応させる。少なくとも1つの実施形態では、酸触媒は、無機酸、酸性陽イオン交換樹脂、及びそれらの組み合わせから選択される。少なくとも1つの実施形態において、無機酸はチオグリコール酸である。少なくとも別の実施形態において、酸性陽イオン交換樹脂は、硫酸又は塩酸を含む。
【0011】
本発明のさらに他の態様は、加硫可能なゴム;硬化剤;及び、フロログルシノール化合物とケトンとの反応生成物を含む固体フロログルシノール樹脂を含む、加硫可能なゴム組成物を提供する。さらに、有利には、本発明の加硫ゴム組成物は、従来の製品と比較して、加硫時の硬化時間に影響を与えることなく、接着性、硬度、及び動的特性などの有利なゴム特性を示すことが理解されよう。
【0012】
一般に、本発明は、式(I)によって定義される複数のフロログルシノール単位を含む固体フロログルシノール樹脂を提供することが理解されよう。
【化1】
式中、R1、R2及びR3の少なくとも1つは、第2のフロログルシノール単位と結合して二置換メチレン架橋を形成し、R1、R2及びR3の第2のものは水素原子であるか、又は第3のフロログルシノール単位と結合して別の二置換メチレン架橋を形成し、R1、R2及びR3の第3のものは水素原子である。
【0013】
より詳細には、本発明はまた、さらに式(II)によって定義される上記の固体フロログルシノール樹脂も提供する。
【化2】
式中、nは1~20の整数であり、左側の第1のフロログルシノール単位中のR1は、2位で二置換メチレン架橋で置換されており、右側の第2のフロログルシノール単位中のR3は、6位で同じ二置換メチレン架橋で置換されており、式中、左側の第1のフロログルシノール単位上のR3及び右側の第2のフロログルシノール単位上のR1は、別々の二置換メチレン架橋を形成するか、又は水素原子であり得、R2は水素原子であり、式中、R4及びR5は同じであっても異なっていてもよく、アルキル基である。
【0014】
上記の樹脂に基づくいくつかの実施形態では、固体フロログルシノール樹脂は、両方ともメチル基であるR4及びR5を有してもよく、形成される二置換メチレン架橋は、イソプロピルデン架橋である。上記の樹脂に基づく他の実施形態では、R4はエチル基であってよく、R5はメチル基であってよく、形成される二置換メチレン架橋は、2,2-二置換ブタン架橋である。上記の樹脂に基づくさらに他の実施形態では、R4はイソプロピル基であってよく、R5はメチル基であってよく、形成される二置換メチレン架橋は、2,2-二置換4-メチルペンタン架橋である。
【0015】
本発明のさらに別の態様は、酸触媒の存在下でのフロログルシノールとケトンとの反応生成物を含む固体フロログルシノール樹脂を提供することである。このような樹脂の場合、ケトン(ktone)は、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、ジエチルケトン、エチルブチルケトン、ジイソブチルケトン、メチルイソプロピルケトン、ジイソプロピルケトン、及びメチルイソブチルケトン(MIBK)からなる群から選択されてもよい。いくつかの実施形態では、ケトンは、アセトン、メチルエチルケトン、及びメチルイソブチルケトンからなる群から選択されてもよい。いくつかの実施形態では、酸触媒は、無機酸及び酸性陽イオン交換樹脂からなる群から選択される。
【0016】
上記の樹脂に基づく1つ又は複数の実施形態では、ケトン対フロログルシノールのモル比は、1:1より大きく20:1より小さくてもよい。上記の樹脂に基づく1つ又は複数の実施形態では、樹脂は、40重量%未満の未反応フロログルシノールを含んでもよい。上記の樹脂に基づく1つ又は複数の実施形態では、樹脂は、400g/モルより大きく700g/モルより小さい重量平均分子量(Mw)を有してもよい。上記の樹脂に基づく1つ又は複数の実施形態では、樹脂は、80℃を超える軟化点を有してもよい。上記の樹脂に基づく1つ又は複数の実施形態では、樹脂は、1.5重量%未満の水を含んでもよい。上記の樹脂に基づく1つ又は複数の実施形態では、樹脂は、ポリスチレン標準を使用するGPCに従って55%未満の五量体以上のオリゴマー含有量を有してもよい。
【0017】
本発明のさらに別の態様は、加硫可能なゴム、硬化剤、及び上述のような固体フロログルシノール樹脂を含む加硫可能なゴム組成物を提供することである。さらに別の態様では、上記の加硫可能な組成物から調製された加硫ゴムが提供され得る。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、少なくとも部分的には、加硫可能なゴム組成物に配合されたときに固体RF樹脂を置き換えることができる固体フロログルシノール樹脂の発見に基づく。そのような固体フロログルシノール樹脂は、レゾルシノール又はホルムアルデヒドなどのアルデヒドを使用しない。代わりに、固体フロログルシノール樹脂は、一般に式(I)によって定義される複数のフロログルシノール単位を含む。
【化3】
式中、R1、R2及びR3の少なくとも1つは、第2のフロログルシノール単位と結合して二置換メチレン架橋を形成し、R1、R2及びR3の第2のものは水素原子であるか、又は第3のフロログルシノール単位と結合して別の二置換メチレン架橋を形成し、R1、R2及びR3の第3のものは水素原子である。式(I)で使用される構造は、R1、R2又はR3の二置換メチレン架橋(複数可)が芳香環上の2、4又は6位に結合することができるという事実を表すことを意図している。また、R1、R2又はR3の水素原子も2、4又は6位に位置する。当業者は、ヒドロキシル基に結合していない芳香環内の任意の炭素原子が、R1、R2、又はR3に結合でき、水素原子を含むか、二置換メチレン架橋の一部であることを理解するであろう。
【0019】
一般に、二置換メチレン架橋は、メチレン架橋から延びる少なくとも2つのC1~C10アルキル基を有するメチレン架橋を含む。別の実施形態では、メチレン架橋は、そこから延びる少なくとも2つのC1~C5アルキル基を含む。さらに別の実施形態では、メチレン架橋は、そこから延びる少なくとも2つのC1~C4アルキル基を含む。さらに別の実施形態では、メチレン架橋は、そこから延びる少なくとも2つのC1~C3アルキル基を含む。さらに、さらなる別の実施形態では、メチレン架橋は、そこから延びる少なくとも2つのC1~C2アルキル基を含む。
【0020】
より詳細には、本発明のフロログルシノール樹脂は、式(II)に示されるように記載され得る。
【化4】
式中、nは1~20の整数であり、左側のフロログルシノール単位中のR1は、示されるように2位で二置換メチレン架橋により置換されており、右側のフロログルシノール単位中のR3は、6位で置換されている。左側のR3及び右側のR1はまた、本明細書で示されるのと同じ二置換メチレン架橋であってもよく、又は水素原子であってもよく、R2は、示されるこの実施形態では水素原子であってもよい。R4及びR5は、同一でも異なっていてもよく、アルキル基である。一実施形態では、R4及びR5は両方ともメチル基であってもよく、形成される二置換メチレン架橋はイソプロピルデン架橋である。別の実施形態では、R4はエチル基であってよく、R5はメチル基であってよく、形成される二置換メチレン架橋は、2,2-二置換ブタン架橋である。さらに別の実施形態では、R4はイソプロピル基であってよく、R5はメチル基であってよく、形成される二置換メチレン架橋は、2,2-二置換4-メチルペンタン架橋である。いくつかの実施形態では、nは1~8の整数であり、他の実施形態では、nは1~5の整数である。
【0021】
上記で示唆されるように、本発明の態様は、フロログルシノール樹脂の固体の性質から利益を得る。したがって、本発明のフロログルシノール樹脂は、フロログルシノール樹脂内に存在する水の非存在又は限られた量によって特徴付けることができる。1つ又は複数の実施形態において、本発明の固体フロログルシノール樹脂は、固体樹脂の総重量に対して3重量%未満、他の実施形態では2重量%未満、他の実施形態では1重量%未満、他の実施形態では0.5重量%未満、他の実施形態では0.25重量%未満、他の実施形態では0.10重量%未満の水を含んでいる。1つ又は複数の実施形態において、本発明のフロログルシノール樹脂は、水を実質的に含まず、これは、そうでなければ樹脂又はその使用にかなりの影響を及ぼすであろう水の量又はそれ未満を指す。特定の実施形態において、本発明のフロログルシノール樹脂は水を含まない。当業者が理解するように、樹脂中の水の量は、カールフィッシャー(Karl Fischer)滴定法を含むがこれらに限定されない様々な方法によって決定することができる。特定の実施形態では、水の量は、ASTM E 203の修正版を使用して決定され、この方法は、注入隔壁をストッパに置き換えることによって修正され、粉砕樹脂はこのポートを介して添加される。
【0022】
本発明の固体フロログルシノール樹脂は、低分子量を特徴とする。当業者が理解するように、フロログルシノール樹脂の分子量は、いくつかの方法を使用して決定することができ、分子量は、典型的には、重量平均分子量(Mw)又は数平均分子量(Mn)に関して報告される。固体フロログルシノール樹脂の分子量を決定するための有用な技術には、ポリスチレン標準(GPC)又は気相浸透圧測定法を使用するゲル浸透クロマトグラフィが含まれる。
【0023】
1つ又は複数の実施形態において、本発明の固体フロログルシノール樹脂組成物は、重量平均分子量(Mw)によって特徴付けることができ、それはポリスチレン標準を使用してGPCによって決定することができる。1つ又は複数の実施形態において、樹脂のMwは、270g/モルより大きく、他の実施形態では290g/モルより大きく、他の実施形態では310g/モルより大きく、他の実施形態では350g/モルより大きく、他の実施形態では400g/モルより大きい。これら又は他の実施形態において、樹脂のMwは、900g/モル未満であり、他の実施形態では800g/モル未満であり、他の実施形態では700g/モル未満である。これら又は他の実施形態において、本発明の固体フロログルシノール樹脂は、約270~約900g/モル、他の実施形態では約310~約900g/モル、他の実施形態では約350~約800g/モル、他の実施形態では約400~約700g/モルのMwを特徴とし得る。
【0024】
1つ又は複数の実施形態において、本発明の固体フロログルシノール樹脂組成物は、90℃を超える、他の実施形態では100℃を超える、他の実施形態では110℃を超える、他の実施形態では120℃を超える、他の実施形態では130℃を超える、他の実施形態では140℃を超える、他の実施形態では160℃を超える、及び他の実施形態では180℃を超える軟化点を特徴とし得る。これら又は他の実施形態では、本発明の固体フロログルシノール樹脂は、約80℃~約180℃、他の実施形態では約95℃~約140℃、他の実施形態では約100℃~約130℃の軟化点を特徴とし得る。樹脂の軟化点は、その全体が参照により本明細書に組み込まれるASTM E 28及びASTM D 6090の最新版を参照して、以下の方法に従って決定することができる。この方法は、Mettler軟化点装置を使用することができ、これは、制御ユニットモデルFP-90又は同等物、炉モデルFP-83又は同等物、及びカートリッジ・アセンブリ、タイマー、磁器蒸発皿(直径約3インチ(7.62cm))、及びホットプレートを含むことができる。この方法は、0.257インチ(1.958cm)の開口部(Fドリル)まで穿孔されたピッチタイプのカップ、及び440ステンレス鋼ボール(直径0.2500インチ(0.4896cm)、カップを通過しなければならない)を使用することができる。装置は、ASTM D 6090に従って較正されてもよい。樹脂サンプル(約15グラム)は、磁器又はアルミニウム蒸発皿で、ホットプレートの表面上で600~650°F(316~343℃)で約4分間溶融することができる。溶融後、サンプルは、少なくとも溶融樹脂の温度に予熱されたカップに注ぐことができる。カップに注がれる樹脂サンプルの量は、固化後、過剰分を加熱されたスパチュラ又はパテナイフで除去できるような量でなければならない。次いで、サンプルをデシケータ内で室温に冷却し、次いで、ボールが樹脂の上に載るようにカートリッジを組み立てることができる。次いで、組み立てられたカートリッジを炉に入れ、炉は、85℃又は予想される軟化点よりも10~15℃下に予め設定することができる。加熱速度は1℃/分に設定することができる。次いで、カートリッジを所定の位置にロックされるまで回転させることができる。30秒後、軟化点装置の操作を開始することができ、それにより、軟化点測定が完了する。
【0025】
フロログルシノール化合物と共に使用されるケトンに応じて、公知のRF樹脂で示されるメチレン架橋構造と同様に架橋構造が発現される。より詳細には、ケトンをフロログルシノールなどのフロログルシノール化合物と組み合わせると、二置換メチレン架橋構造及び比較的低分子量を有する固体フロログルシノール樹脂が製造される。重要なことに、この新しいフロログルシノール樹脂は、レゾルシノール及びホルムアルデヒドを使用しない。
【0026】
より具体的には、1つ又は複数の実施形態において、本発明のフロログルシノール樹脂は、一般に、酸触媒の存在下でフロログルシノール化合物をケトンと反応させることによって調製される。すなわち、フロログルシノール樹脂は、酸触媒の存在下でのフロログルシノールとケトンとの反応生成物を含む。当業者が認識するように、上記のように、フロログルシノール化合物には、三価フェノール又は1,3,5-ジヒドロキシベンゼンとも呼ばれるフロログルシノール、又は遊離フロログルシノールが含まれるが、これらに限定されない。フロログルシノールの化学式は、以下の式(III)に示される。
【化5】
【0027】
ケトン対フロログルシノールのモル比は、1:1から20:1まで変化し得る。いくつかの他の実施形態では、モル比は、1:1より大きく20:1未満まで変化し得る。他の実施形態では、モル比は、1.5:1から16:1まで変化してもよく、他の実施形態では、モル比は、1.5:1超から15:1未満まで変化してもよい。さらに他の実施形態では、モル比は、2:1から16:1まで変化してもよく、他の実施形態では、モル比は、2:1超から15:1未満まで変化してもよい。さらに他の実施形態では、ケトン対フロログルシノールのモル比は、約1.5:1から約10:1まで、他の実施形態では約1.5:1から約8:1まで、さらに他の実施形態では約2:1から約6:1まで変化してもよい。
【0028】
1つ又は複数の実施形態において、ケトンは、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、エチルブチルケトン、ジイソブチルケトン、メチルイソプロピルケトン、ジイソプロピルケトン、及びメチルイソブチルケトンからなる群から選択されてもよい。特定の実施形態では、ケトンはアセトンである。他の実施形態では、ケトンはメチルエチルケトンであり、さらに他の実施形態では、ケトンはメチルイソブチルケトンである。
【0029】
フロログルシノールとケトンとの縮合反応は、触媒の存在下で行ってもよい。有用な触媒には、従来の酸触媒が含まれる。好適な酸触媒の例としては、リン酸、塩酸、及び硫酸などの無機酸、並びに酸性陽イオン交換樹脂などの酸性イオン交換樹脂が挙げられる。他の触媒も同様に使用することができる。そのような触媒としては、例えばチオグリコール酸などの無機酸触媒が挙げられる。
【0030】
本発明の態様によれば、フロログルシノール(又はフロログルシノール化合物)とケトンとの反応は、有機溶媒の存在下で行われる。好適な有機溶媒の例としては、極性溶媒及び非極性溶媒が挙げられる。1つ又は複数の実施形態において、溶媒は、アセトン、メチルイソブチルケトン(MIBK)、メチルtert-ブチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、酢酸エチル、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n-プロパノール、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド及びテトラヒドロフラン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ペンタン、ヘキサン、トルエン及びキシレンから選択されてもよい。一実施形態では、アセトン及びトルエンが好ましく使用される。
【0031】
1つ又は複数の実施形態において、反応(樹脂の形成)は、10~150℃の温度範囲で行われてもよく、他の実施形態において、約25~約130℃の温度範囲で行われてもよい。一実施形態において、反応温度は30℃を超え、別の実施形態において、反応温度は40℃を超え、別の実施形態において、反応温度は50℃を超え、他の実施形態において、反応温度は60℃を超える。
【0032】
1つ又は複数の実施形態において、フロログルシノール化合物とアルデヒド又はケトンとの反応は、閾値量の有機溶媒の存在下で行われる。具体的には、反応中に存在する量又は有機溶媒は、反応(すなわち、初期混合物中)に投入されたフロログルシノールの量を参照して記載することができる。1つ又は複数の実施形態において、反応が起こる初期混合物は、フロログルシノール100重量部あたり、30重量部を超える、他の実施形態において50重量部を超える、他の実施形態において70重量部を超える有機溶媒を含む。これら又は他の実施形態では、反応が起こる混合物(アルデヒド添加前)は、レゾルシノール100重量部あたり、500重量部未満、他の実施形態において400重量部未満、他の実施形態において300重量部未満の有機溶媒を含む。1つ又は複数の実施形態において、反応が起こる混合物は、レゾルシノール100重量部あたり、約30~約500、他の実施形態において約50~約400、他の実施形態において約70~約300重量の有機溶媒を含む。
【0033】
当業者は、使用すべき酸触媒の適切なレベルを容易に決定することができる。混合物に導入される酸触媒の量は、最初に存在するフロログルシノールの量を参照して説明される。1つ又は複数の実施形態において、反応が起こる初期混合物は、フロログルシノール100重量部あたり、0.1重量部を超える、他の実施形態において0.2重量部を超える、他の実施形態において0.5重量部を超える、他の実施形態において1重量部を超える、他の実施形態において2重量部を超える、他の実施形態において5重量部を超える無機触媒を含む。これら又は他の実施形態において、反応が起こる混合物は、フロログルシノール100重量部あたり、50重量部未満、他の実施形態において40重量部未満、他の実施形態において30重量部未満の無機触媒を含む。1つ又は複数の実施形態において、反応が起こる混合物は、フロログルシノール100重量部あたり、約0.1~約50重量部、他の実施形態において約1~約40重量部、他の実施形態において約5~約30重量部の無機触媒を含む。
【0034】
1つ又は複数の実施形態において、反応が起こる初期混合物は、フロログルシノール100重量部あたり、10重量部を超える、他の実施形態において25重量部を超える、他の実施形態において50重量部を超える酸性陽イオン交換触媒を含む。これら又は他の実施形態において、反応が起こる混合物は、フロログルシノール100重量部あたり、500重量部未満、他の実施形態において400重量部未満、他の実施形態において200重量部未満の無機触媒を含む。1つ又は複数の実施形態において、反応が起こる混合物は、フロログルシノール100重量部あたり、約10~約500重量部、他の実施形態において約25~約400重量部、他の実施形態において約50~約200重量部の酸性陽イオン交換触媒を含む。
【0035】
当業者は、反応において酸触媒との共触媒として使用されるべき任意のチオール又はスルフィドの適切なレベルを容易に決定することができる。共触媒は、酸性触媒及びフロログルシノール化合物を一緒に使用することによって反応速度を向上させる。1つ又は複数の実施形態において、共触媒は、硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、メルカプトエタノール、亜ジチオン酸ナトリウム、チオグリコール酸、硫化ナトリウム及びエタンチオールからなる群から選択され得る。特定の実施形態では、共触媒はチオグリコール酸である。
【0036】
混合物に導入される共触媒の量は、最初に存在するフロログルシノールの量を参照して説明される。1つ又は複数の実施形態において、反応が起こる初期混合物は、フロログルシノール100重量部あたり、0.01重量部を超える、他の実施形態において0.5重量部を超える、他の実施形態において1重量部を超える無機触媒を含む。これら又は他の実施形態において、反応が起こる混合物は、フロログルシノール100重量部あたり、30重量部未満、他の実施形態において20重量部未満、他の実施形態において10重量部未満の無機触媒を含む。1つ又は複数の実施形態において、反応が起こる混合物は、フロログルシノール100重量部あたり、約0.01~約30、他の実施形態において約0.5~約20、他の実施形態において約1~約10重量部の無機触媒を含む。
【0037】
特定のフロログルシノール樹脂の製造に目を向けると、アセトンをフロログルシノールなどのフロログルシノール化合物と組み合わせると、イソプロピルデン架橋構造及び比較的低い分子量を有するフロログルシノール樹脂が製造されることが理解されよう。反応を以下のスキームIにより詳細に示す。
【化6】
各イソプロピルデン架橋構造は、置換基としてメチル基を有する二置換メチレン架橋であることが理解されよう。
【0038】
同様に、メチルエチルケトンを使用し、フロログルシノールなどのフロログルシノール化合物と組み合わせると、2,2-二置換ブタン架橋構造を有するフロログルシノール樹脂が生成される。反応を以下のスキームIIにより詳細に示す。
【化7】
各2,2-二置換ブタン架橋構造は、置換基としてメチレン架橋から延びる1つのメチル基及び1つのエチル基を有する二置換メチレン架橋であることが理解されよう。
【0039】
さらに、メチルイソブチルケトンを使用し、フロログルシノールなどのフロログルシノール化合物と組み合わせると、2,2-イソプロピル、4-メチルペンタン架橋構造を有するフロログルシノール樹脂が製造される。反応を以下のスキームIIIにより詳細に示す。
【化8】
各2,2-二置換4-メチルペンタン架橋構造は、置換基としてメチレン架橋から延びる1つのメチル基及び1つのイソプロピル基を有する二置換メチレン架橋であることが理解されよう。
【0040】
溶媒を除去すると、得られる生成物は固体フロログルシノール樹脂である。重要なことに、加硫可能なゴム組成物に配合すると、これらの固体フロログルシノール樹脂は、とりわけ、硬化ゴムの物理的特性(例えば、ショアA硬度)及び硬化ゴムの動的特性(例えば、より高いG’)の改善を含む予想外の結果を生じ、レゾルシノールを含まない代替樹脂ではこれまで見られなかった十分な硬化時間などの適切な加工特性を有することが分かった。
【0041】
上記で示唆したように、本発明のフロログルシノール樹脂は、加硫可能なゴム組成物に有用である。本発明のフロログルシノール樹脂の使用に加えて、加硫可能な組成物は、それ以外の点では本質的に従来のものであり得る。したがって、ゴム組成物は、加硫可能なゴム、硬化剤、充填剤及び本発明のフロログルシノール樹脂を含んでもよい。
【0042】
本発明のゴム組成物に関して、ゴム組成物は、任意の天然ゴム、合成ゴム又はそれらの組み合わせを含み得るゴム成分を含んでもよい。合成ゴムの例には、スチレンブタジエン共重合体、ポリイソプレン、ポリブタジエン、アクリロニトリルブタジエンスチレン、ポリクロロプレン、ポリイソブチレン、エチレン-プロピレン共重合体及びエチレン-プロピレン-ジエンゴムが含まれるが、これらに限定されない。
【0043】
ゴム組成物はまた、そのような組成物に使用される通常の添加剤の1つ又は複数を含んでもよい。このような添加剤の例としては、カーボンブラック、コバルト塩、ステアリン酸、シリカ、ケイ酸、硫黄、過酸化物、酸化亜鉛、充填剤、酸化防止剤及び軟化油が挙げられる。
【0044】
本発明の態様は、加硫可能な組成物中の本発明の固体フロログルシノール樹脂の量又は充填量に関する。1つ又は複数の実施形態において、本発明の加硫可能な組成物は、ゴム100重量部あたり、0.5重量部を超える、他の実施形態において1.0重量部を超える、他の実施形態において1.5重量部を超える、他の実施形態において2.0重量部を超える、固体フロログルシノール樹脂を含む。これら又は他の実施形態において、本発明の加硫可能な組成物は、ゴム100重量部あたり、7.0重量部未満、他の実施形態において6.0重量部未満、他の実施形態において5.0重量部未満、他の実施形態において4.0重量部未満の固体フロログルシノール樹脂を含む。1つ又は複数の実施形態において、本発明の加硫可能な組成物は、ゴム100重量部あたり、約0.5~約7.0重量部、他の実施形態において約1.0~約6.0重量部、他の実施形態において約1.5~約5.0重量部、他の実施形態において約2.0~約4.5重量部のフロログルシノール樹脂を含む。
【0045】
ゴム組成物はまた、1つ又は複数のメチレンドナー成分を含んでもよい。メチレンドナー成分は、加硫中の加熱時にホルムアルデヒドを生成する任意の化合物である。そのような化合物の例は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第3,751,331号明細書に記載されている。好ましいメチレンドナー化合物は、ヘキサメチレンテトラミン、ジ-メチロールメラミン、トリ-メチロールメラミン、テトラ-メチロールメラミン、ペンタ-メチロールメラミン、ヘキサ-メチロールメラミン、及びそれらの混合物である。メチロールメラミンは、ヘキサメトキシメチロールメラミンなど、完全又は部分的にエーテル化又はエステル化されていてもよい。メチレンドナーは、ゴム100部あたり約0.1~15部、又は他の実施形態ではゴム100部あたり0.1~10部の濃度で存在してもよい。メチレンドナー対固体フロログルシノール樹脂の比は、1:10~10:1であり得る。
【0046】
理解されるように、ゴム成分、添加剤、補強材料及びメチレンドナー化合物は公知である。また、組成物を加硫する方法は公知である。本発明の改良は、固体フロログルシノール樹脂に関する。
【0047】
ゴム組成物は、このような組成物を調製及び使用する従来の様式で調製及び使用される。すなわち、組成物は、固体混合によって調製することができる。
【0048】
上記に照らして、本発明に従って製造されたゴム組成物は、様々なゴム用途又はゴム製品に使用され得ることが理解されよう。本発明の未硬化及び硬化ゴム組成物は、タイヤ用途に使用されてもよく、又はタイヤトレッド、ベルトスキムストック、側壁、ビード化合物、カーカス、又はタイヤの他の領域などのタイヤの部分を調製するために使用されてもよい。他の用途には、エンジンマウント及びブッシングに有用なゴム製品が含まれる。本発明の未硬化及び硬化ゴム組成物を使用することができる、又は使用して調製することができる用途のさらに他の例としては、ホース、空気式ベルト、及びコンベヤベルトなどの技術的又は機械的ゴム製品が挙げられる。
【実施例
【0049】
本発明の実施を実証するために、以下の実施例を調製し、試験した。しかしながら、実施例は、本発明の範囲を限定するものと見なされるべきではない。特許請求の範囲は、本発明を定義するのに役立つ。略語PGは、「フロログルシノール」を意味する。
【0050】
PG樹脂実施例1.
25.2gのフロログルシノール、47.0gのアセトン、50.4gのトルエン、1.1gのチオグリコール酸及び1.2gの98%硫酸をフラスコに入れ、80℃に加熱した。反応混合物を約80℃で9時間維持した。次いで、3.8gの水酸化ナトリウム(25%溶液)を添加した。次いで、溶媒を155℃まで真空蒸留によって除去した。155℃の温度に達したら、真空を解除し、樹脂をフラスコから排出した。
【0051】
PG樹脂実施例2.
30.3gのフロログルシノール、69.7gのアセトン、1.3gのチオグリコール酸及び20.0gの酸性陽イオン交換触媒(DIAION PK212LH、三菱ケミカル株式会社)をフラスコに入れ、70℃に加熱した。反応混合物を約70℃で22時間維持した。次いで、0.8gの水酸化ナトリウム(25%溶液)を添加した。次いで、溶媒を155℃まで真空蒸留によって除去した。155℃の温度に達したら、真空を解除し、樹脂をフラスコから排出した。
【0052】
PG樹脂実施例3.
25.2gのフロログルシノール、24.4gのアセトン、63.1gのトルエン、1.1gのチオグリコール酸及び20.0gの酸性陽イオン交換触媒(DIAION PK212LH、三菱ケミカル株式会社)をフラスコに入れ、82℃に加熱した。反応混合物を約82℃で22時間維持した。次いで、1.2gの水酸化ナトリウム(25%溶液)を添加した。次いで、溶媒を155℃まで真空蒸留によって除去した。155℃の温度に達したら、真空を解除し、樹脂をフラスコから排出した。
【0053】
PG樹脂実施例4.
80.0gのフロログルシノール、114.3gのアセトン及び63.5gの酸性陽イオン交換触媒(DIAION PK212LH、三菱ケミカル株式会社)をフラスコに入れ、70℃に加熱した。反応混合物を約70℃で24時間維持した。次いで、0.1gの水酸化ナトリウム(25%溶液)を添加した。次いで、溶媒を155℃まで真空蒸留によって除去した。155℃の温度に達したら、真空を解除し、樹脂をフラスコから排出した。
【0054】
PG樹脂実施例5.
80.0gのフロログルシノール、114.3gのアセトン及び63.5gの酸性陽イオン交換触媒(DIAION PK212LH、三菱ケミカル株式会社)をフラスコに入れ、70℃に加熱した。反応混合物を約70℃で5時間維持した。次いで、0.1gの水酸化ナトリウム(25%溶液)を添加した。次いで、溶媒を155℃まで真空蒸留によって除去した。155℃の温度に達したら、真空を解除し、樹脂をフラスコから排出した。
【0055】
PG樹脂実施例6.
25.2gのフロログルシノール、44.7gのメチルエチルケトン及び20.0gの酸性陽イオン交換触媒(DIAION PK212LH、三菱ケミカル株式会社)をフラスコに入れ、80℃に加熱した。反応混合物を約80℃で24時間維持した。次いで、0.1gの水酸化ナトリウム(25%溶液)を添加した。次いで、溶媒を155℃まで真空蒸留によって除去した。155℃の温度に達したら、真空を解除し、樹脂をフラスコから排出した。
【0056】
PG樹脂実施例7.
50.0gのフロログルシノール、72.6gのメチルエチルケトン及び40.0gの酸性陽イオン交換触媒(DIAION PK212LH、三菱ケミカル株式会社)をフラスコに入れ、85℃に加熱した。反応混合物を約85℃で24時間維持した。次いで、0.1gの水酸化ナトリウム(25%溶液)を添加した。次いで、溶媒を155℃まで真空蒸留によって除去した。155℃の温度に達したら、真空を解除し、樹脂をフラスコから排出した。
【0057】
PG樹脂実施例8.
50.0gのフロログルシノール、57.0gのメチルエチルケトン及び40.0gの酸性陽イオン交換触媒(DIAION PK212LH、三菱ケミカル株式会社)をフラスコに入れ、85℃に加熱した。反応混合物を約85℃で24時間維持した。次いで、0.1gの水酸化ナトリウム(25%溶液)を添加した。次いで、溶媒を155℃まで真空蒸留によって除去した。155℃の温度に達したら、真空を解除し、樹脂をフラスコから排出した。
【0058】
PG樹脂実施例9.
25.2gのフロログルシノール、61.2gのメチルイソブチルケトン及び20.0gの酸性陽イオン交換触媒(DIAION PK212LH、三菱ケミカル株式会社)をフラスコに入れ、117℃に加熱した。反応混合物を約117℃で22時間維持した。次いで、0.1gの水酸化ナトリウム(25%溶液)を添加した。次いで、溶媒を155℃まで真空蒸留によって除去した。155℃の温度に達したら、真空を解除し、樹脂をフラスコから排出した。
【0059】
以下の表1は、フロログルシノール樹脂の形成に使用される成分の一般的な説明を提供する。これらの実施例では、硫酸(H2SO4)又は陽イオン交換触媒のいずれかが酸触媒として使用され、実施例のいくつかはチオグリコール酸などの共触媒をさらに使用したことが理解されよう。
【0060】
【表1】
【0061】
上記独自に調製された固体フロログルシノール樹脂によって提供される改善の完全な分析を提供するために、商品名PENACOLITE(登録商標)RESIN B-19-SCで住友化学から入手可能なレゾルシノールホルムアルデヒド樹脂を比較RF樹脂として提供したことを理解されたい。したがって、実施例及び表1に記載のフロログルシノール樹脂、並びに表1にも提供される比較RF樹脂を含むゴム配合物を、表2に示すゴム組成物に従って調製した。
【0062】
【表2】
【0063】
次いで、5つのフロログルシノール樹脂の各々を含有するゴム組成物を、表1にも示される比較RF樹脂(実施例6-比較例)を含有するゴム組成物に対して試験した。次いで、ゴム組成物を、本質的に同じ特性及びゴム性能特性について試験した。
【0064】
固体フロログルシノール樹脂の様々な物理的特性及び化学分析を以下の表3に提供する。樹脂特性を評価する際に、樹脂の軟化点を上記の手順を用いて決定し、分子量及びオリゴマー分布をGPC分析によって決定したことが理解されよう。以下に示す加硫ゴムの調製に基づく得られたゴム性能も表3に示す。T’90は、ASTM D-5289に従って、Alpha Technologies MDRレオメータ(MDR 2000)を用いて150℃、0.5°arc及び1.6Hzで測定されたことが理解されよう。MDR 2000レオメトリー試験データから得られたパラメータに従って、ゴム配合物を150℃、10トンの圧力で硬化させた。化合物ヒステリシス又は熱蓄積の指標であるG’及びtanδは、TA Instrumentsレオメータ(ARES)を用いて、1Hz及び60℃で2.0%ねじり剪断歪みで測定し、ASTM D-2240に従ってショアA硬度を測定した。劣化なしの引き抜き力及び湿度劣化(21日間、85℃/90RH)をASTM D-2229に従って測定した。
【0065】
【表3】
【0066】
本発明のフロログルシノール樹脂と比較例のものとを比較すると、本発明のフロログルシノール樹脂は、硬化ゴム配合物の機械的特性を改善し、従来のレゾルシノールホルムアルデヒド樹脂と比較してより良好な接着特性を提供することが理解されよう。
【0067】
さらに、本発明のフロログルシノール樹脂は、比較例よりもMwの範囲が著しく少ない。本発明では、Mwが400g/モルより大きく700g/モルよりも小さく、一方で比較例では、Mwは700g/molより大きい。
【0068】
本発明の範囲及び主旨から逸脱しない様々な修正及び変更が当業者には明らかになるであろう。本発明は、本明細書に記載の例示的な実施形態に型どおりに限定されるべきではない。