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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-14
(45)【発行日】2025-01-22
(54)【発明の名称】電熱線付きガラス板
(51)【国際特許分類】
   C03C 27/12 20060101AFI20250115BHJP
   B60J 1/00 20060101ALI20250115BHJP
   B60S 1/02 20060101ALN20250115BHJP
   B60S 1/58 20060101ALN20250115BHJP
【FI】
C03C27/12 M
B60J1/00 J
B60S1/02 300
B60S1/58 100K
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021561195
(86)(22)【出願日】2020-10-01
(86)【国際出願番号】 JP2020037406
(87)【国際公開番号】W WO2021106365
(87)【国際公開日】2021-06-03
【審査請求日】2023-08-07
(31)【優先権主張番号】P 2019213617
(32)【優先日】2019-11-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000044
【氏名又は名称】AGC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】定金 駿介
【審査官】酒井 英夫
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/107460(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/105025(WO,A1)
【文献】特開2007-290549(JP,A)
【文献】特開2016-204249(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03C 27/12,
B32B 17/10,
B60J 1/00,1/20,
B60S 1/00-1/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報取得装置によって車外の情報を取得する情報取得領域を有するガラス板と、
前記情報取得領域に設けられた電熱線とを有し、
前記ガラス板を傾斜した状態で車体に取り付けた際に、前記情報取得領域は、前記情報取得領域の光軸の方向から見て台形の形状を有し、水平な上辺と水平な下辺を有し、
前記ガラス板のうねりに起因する筋目は、前記上辺及び前記下辺に対して平行な横方向に間隔をおいて複数並んでおり、それぞれ前記横方向に直交する縦方向に延びており、
前記電熱線は、前記情報取得領域を前記縦方向に縦断する縦断部を有し、
前記縦断部は、前記横方向に間隔をおいて複数本設けられ
前記情報取得領域は、前記横方向に、第1外側領域と中央領域と第2外側領域とをこの順番で含み、
前記第1外側領域及び前記第2外側領域に配置される前記電熱線は、前記中央領域に配置される前記電熱線に比べて、1本当たりの電気抵抗が大きい、電熱線付きガラス板。
【請求項2】
前記第1外側領域及び前記第2外側領域に配置される前記電熱線は、前記中央領域に配置される前記電熱線に比べて、横断面積が小さい、請求項に記載の電熱線付きガラス板。
【請求項3】
前記第1外側領域及び前記第2外側領域に配置される前記電熱線は、前記中央領域に配置される前記電熱線に比べて、1本当たりの長さが長い、請求項又はに記載の電熱線付きガラス板。
【請求項4】
前記情報取得領域の前記下辺の長さは、前記上辺の長さよりも長く、50mm以上400mm以下である、請求項1~3のいずれか1項に記載の電熱線付きガラス板。
【請求項5】
前記情報取得領域の内外両方における前記電熱線の合計長さに対する、前記情報取得領域の外における前記電熱線の合計長さの割合は、0%以上20%以下である、請求項1~4のいずれか1項に記載の電熱線付きガラス板。
【請求項6】
前記電熱線の一端部に第1電位を供給する第1バスバーと、前記電熱線の他端部に前記第1電位とは異なる第2電位を供給する第2バスバーとを有する、請求項1~のいずれか1項に記載の電熱線付きガラス板。
【請求項7】
前記ガラス板に対向する第2ガラス板と、
前記ガラス板と前記第2ガラス板を接着する中間膜とを有し、
前記電熱線は、前記ガラス板と前記第2ガラス板の間に設けられる、請求項1~のいずれか1項に記載の電熱線付きガラス板。
【請求項8】
前記第2ガラス板のうねりに起因する筋目は、前記横方向に間隔をおいて複数並んでおり、それぞれ前記縦方向に延びている、請求項に記載の電熱線付きガラス板。
【請求項9】
前記縦断部の前記横方向のピッチは、25mm以下である、請求項1~のいずれか1項に記載の電熱線付きガラス板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電熱線付きガラス板に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、合わせガラスが開示されている。この合わせガラスは、第1ガラス板と、第1ガラス板と対向配置される第2ガラス板と、第1ガラス板と第2ガラス板との間に配置される中間層とを備える。中間層は、第1バスバーと、第2バスバーと、第1バスバーと第2バスバーとを連結する複数の電熱線とを備える。電熱線は、電力の供給によって発熱し、合わせガラスの表面に付いた曇り(水滴)や氷を除去する。
【0003】
近年、車両の走行を支援すべく、種々の情報取得装置が車両に設置されている。情報取得装置は、例えば、可視光又は赤外光を受光する受光素子を含み、受光素子で車外の画像を取得する。合わせガラスは、情報取得装置によって情報を取得する情報取得領域を有する。情報取得領域には、曇りや氷を除去すべく、電熱線が設けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2017/065114号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
情報取得装置は、傾斜した状態で車体に取り付けられたガラス板を介して、車外の情報を取得する。
【0006】
従来、ガラス板のうねりに起因する筋目、及び電熱線の発熱によって生じる屈折率の分布によって、情報取得装置による情報の取得性能が低下してしまうことがあった。
【0007】
本開示の一態様は、情報取得装置による情報の取得性能を向上できる、技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様に係る電熱線付きガラス板は、情報取得装置によって車外の情報を取得する情報取得領域を有するガラス板と、前記情報取得領域に設けられた電熱線とを有する。前記ガラス板を傾斜した状態で車体に取り付けた際に、前記情報取得領域は、前記情報取得装置の光軸の方向から見て台形の形状を有し、水平な上辺と水平な下辺を有する。前記ガラス板のうねりに起因する筋目は、前記上辺及び前記下辺に対して平行な横方向に間隔をおいて複数並んでおり、それぞれ前記横方向に直交する縦方向に延びている。前記電熱線は、前記情報取得領域を前記縦方向に縦断する縦断部を有する。前記縦断部は、前記横方向に間隔をおいて複数本設けられる。前記情報取得領域は、前記横方向に、第1外側領域と中央領域と第2外側領域とをこの順番で含む。前記第1外側領域及び前記第2外側領域に配置される前記電熱線は、前記中央領域に配置される前記電熱線に比べて、1本当たりの電気抵抗が大きい。

【発明の効果】
【0009】
本開示の一態様によれば、情報取得装置による情報の取得性能を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、一実施形態に係る電熱線付きガラス板を、情報取得装置の光軸の方向から見た図である。
図2図2は、図1のII-II線に沿った断面図である。
図3図3は、図2の情報取得装置の光軸を示す斜視図である。
図4図4は、図2のIV-IV線に沿った断面図である。
図5図5は、図4の電熱線付きガラス板を通る光の伝播経路を示す断面図である。
図6図6は、図4の変形例を示す断面図である。
図7図7は、電熱線のパターンの第1例をY軸方向から見た図である。
図8図8は、電熱線のパターンの第2例をY軸方向から見た図である。
図9図9は、図8に示す情報取得領域の下辺と情報取得装置との画角との関係を示す図である。
図10図10は、電熱線のパターンの第3例をY軸方向から見た図である。
図11図11は、電熱線のパターンの第4例をY軸方向から見た図である。
図12図12は、電熱線のパターンの第5例をY軸方向から見た図である。
図13図13は、電熱線のパターンの第6例をY軸方向から見た図である。
図14図14は、電熱線のパターンの第7例をY軸方向から見た図である。
図15図15は、電熱線のパターンの第8例をY軸方向から見た図である。
図16図16は、電熱線のパターンの第9例をY軸方向から見た図である。
図17図17は、図16の情報取得領域の右辺の中点での入射面を示す斜視図である。
図18図18は、透視歪みの測定方法を示す図である。
図19図19は、参考形態に係る電熱線付きガラス板を、情報取得装置の光軸の方向から見た図である。
図20図20は、参考形態に係る電熱線付きガラス板を通る光の伝播経路を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施形態について図面を参照して説明する。なお、各図面において同一の又は対応する構成には同一の符号を付し、説明を省略することがある。また、各図面において、X軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向は互いに垂直な方向である。明細書中、数値範囲を示す「~」は、その前後に記載された数値を下限値及び上限値として含むことを意味する。
【0012】
図2に示すように、合わせガラス1は、第1ガラス板2、第1ガラス板2に対向する第2ガラス板3、及び第1ガラス板2と第2ガラス板3とを接着する中間膜4を有する。第1ガラス板2は第2ガラス板3よりも車外側に設けられ、第2ガラス板3は第1ガラス板2よりも車内側に設けられる。なお、第2ガラス板3は、本実施形態では第1ガラス板2よりも車内側に設けられるが、第1ガラス板2よりも車外側に設けられてもよい。また、合わせガラス1を構成するガラス板の枚数は3枚以上でもよい。合わせガラス1を構成するガラス板の枚数が3枚以上の場合は、中間膜の枚数は2枚以上でもよい。合わせガラス1を構成するガラス板の枚数が3枚である場合、車内側のガラス板の厚みが、車外側のガラス板の厚み及び中間のガラス板の厚みよりも小さいことが好ましい。
【0013】
第1ガラス板2は、無機ガラス及び有機ガラスのいずれでもよい。無機ガラスとしては、例えばソーダライムガラス、アルミノシリケートガラス等が挙げられる。また、無機ガラスは、未強化ガラス、強化ガラスのいずれでもよい。未強化ガラスは、溶融ガラスを板状に成形し、徐冷したものである。強化ガラスは、未強化ガラスの表面に圧縮応力層を形成したものである。強化ガラスは、物理強化ガラス(例えば風冷強化ガラス)、化学強化ガラスのいずれでもよい。一方、有機ガラスとしては、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン等の透明樹脂が挙げられる。アクリル樹脂は、例えばポリメチルメタクリレートである。なお、第2ガラス板3も、第1ガラス板2と同様に、無機ガラス及び有機ガラスのいずれでもよい。
【0014】
第1ガラス板2は、車外側に向けて凸に形成される。第1ガラス板2の曲げ成形としては、重力成形、またはプレス成形等が用いられる。第1ガラス板2が物理強化ガラスである場合は、曲げ成形において均一に加熱したガラス板を軟化点付近の温度から急冷し、ガラス表面とガラス内部との温度差によってガラス表面に圧縮応力を生じさせることで、ガラス表面を強化してもよい。第1ガラス板2が化学強化ガラスである場合は、曲げ成形の後、イオン交換法等によってガラス表面に圧縮応力を生じさせることでガラス表面を強化してもよい。なお、第2ガラス板3も、第1ガラス板2と同様に、車外側に向けて凸に形成される。
【0015】
第1ガラス板2は、第2ガラス板3よりも車外側に設けられるので、飛び石による傷の発生を抑制すべく、1.8mm以上の厚みを有する。第1ガラス板2の厚みは、軽量性及び成形性の観点から、3.0mm以下である。なお、第1ガラス板2の厚みは、一定であってもよいし、位置に応じて変化してもよい。
【0016】
第2ガラス板3は、第1ガラス板2よりも車内側に設けられるので、第1ガラス板2よりも薄くてもよい。第2ガラス板3の厚みは、ハンドリング性の観点から、0.3mm以上である。また、第2ガラス板3の厚みは、軽量性及び成形性の観点から、2.3mm以下である。なお、第2ガラス板3の厚みは、一定であってもよいし、位置に応じて変化してもよい。
【0017】
中間膜4は、一般的な樹脂、例えばポリビニルブチラール樹脂(PVB)、エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)、ウレタン、アイオノマー樹脂等の熱可塑性樹脂により形成される。中間膜4は、加熱されると、接着性を発現する。中間膜4は、単層構造、及び複数層構造のいずれでもよい。例えば、中間膜4は、遮音層、有色透明層、紫外線カット層、及び赤外線カット層などから選ばれる1つ以上を有してもよい。
【0018】
中間膜4の厚みは、接着性の観点から、0.5mm以上である。また、中間膜4の厚みは、軽量性及び取扱い性の観点から、3mm以下である。中間膜4の厚みは、一定であってもよいし、位置に応じて変化してもよい。例えば、ヘッドアップディスプレイの画像が合わせガラス1に投影される場合、二重像の発生を抑制すべく、中間膜4の厚みは下側から上側に向うほど厚くなる。中間膜4はくさび形に形成され、そのくさび角度は例えば1.0mrad以下である。
【0019】
合わせガラス1は、中間膜4を介して第1ガラス板2と第2ガラス板3とを重ね合わせ、重合体を作製し、作製した重合体をオートクレーブ等によって加圧、加熱処理し、得られる。重合体の作製前に、第1ガラス板2及び第2ガラス板3は、熱処理され、曲げ成形される。なお、合わせガラス1の製造方法は、一般的なものであればよく、オートクレーブ等での加圧、加熱処理を含まなくてもよい。
【0020】
合わせガラス1は、例えば車両のフロントガラスとして用いられる。この場合、合わせガラス1の周縁部には、合わせガラス1と車体を接着する接着剤が塗布される。接着剤は、例えばウレタンである。接着剤の紫外線による劣化を抑制すべく、合わせガラス1の周縁部には遮光膜5が形成される。遮光膜5は、例えば、黒色セラミックスのペーストを焼成し、形成される。黒色セラミックスのペーストは、第1ガラス板2又は第2ガラス板3に塗布され、第1ガラス板2又は第2ガラス板3の曲げ成形と同時に、焼成される。
【0021】
遮光膜5は、例えば合わせガラス1の第1面11、第2面12、第3面13、及び第4面14のうち、第2面12と第4面14の両方に形成される。第1面11は、第1ガラス板2の車外側に向けた主面である。第2面12は、第1ガラス板2の車内側に向けた主面である。第3面13は、第2ガラス板3の車外側に向けた主面である。第4面14は、第2ガラス板3の車内側に向けた主面である。なお、遮光膜5は、第2面12と第4面14の一方のみに形成されてもよい。
【0022】
合わせガラス1は、第1ガラス板2、第2ガラス板3、中間膜4及び遮光膜5の他に、例えば、撥水層、紫外線カット層、赤外線カット層、断熱層、及び有色透明層などから選ばれる1つ以上を有してもよい。断熱層は、放射伝熱を抑制する機能を有する。有色透明層は、可視光の透過率を下げる防眩機能を有する。これらの機能層の配置は、合わせガラス1の外部でもよいし、内部でもよい。
【0023】
なお、合わせガラス1は、本実施形態では、車両のフロントガラスとして用いられるが、リヤガラス又はサイドガラスとして用いられてもよい。リヤガラス及びサイドガラスは、第1ガラス板2を有すればよく、第2ガラス板3及び中間膜4を有しなくてもよい。つまり、リヤガラス及びサイドガラスは、合わせガラス1ではなく、単板ガラスであってもよい。
【0024】
第1ガラス板2は、情報取得領域21を有する。情報取得領域21は、情報取得装置9によって車外の情報を取得する領域である。情報取得装置9は、例えば、可視光又は赤外光を受光する受光素子を含み、受光素子で車外の画像を取得する。情報取得装置9は、例えば可視光カメラ又は赤外線カメラ等のカメラ、又はLiDAR(Light Imaging Detection and Ranging)である。LiDARは、レーザ光を照射し、対象物からの反射光を受光し、対象物までの距離及び方向を測定する。LiDARは、情報取得領域21の全体にて、レーザ光を走査する。
【0025】
第1ガラス板2は、上記の通り、情報取得領域21を有する。情報取得領域21は、例えば遮光膜5の開口部であり、四方を遮光膜5で囲まれる。なお、情報取得領域21は三方(上方及び左右側方)のみを遮光膜5で囲まれていてもよく、情報取得領域21の下方は開放されていてもよい。
【0026】
第2ガラス板3も、第1ガラス板2と同様に、情報取得領域31を有する。第1ガラス板2の情報取得領域21と、第2ガラス板3の情報取得領域31とは、一致する。そこで、以下、第1ガラス板2の情報取得領域21について説明し、第2ガラス板3の情報取得領域31の説明を省略する。
【0027】
図2に示すように、第1ガラス板2などは傾斜した状態で車体に取り付けられる。その状態で、情報取得領域21は、情報取得装置9の光軸9Aの方向から見て、図1に示すように台形の形状を有し、水平な上辺22と水平な下辺23を有する。なお、図1に示す台形の形状は、数学的な意味での台形の他に、一部に曲線を含む形状、上辺22及び下辺23が10°以下の交角で交わる形状を含む。上辺22及び下辺23に対して平行なX軸方向が横方向であり、横方向に直交するZ軸方向が縦方向である。なお、Y軸方向は、厚み方向である。Y軸方向正側が車内側、Y軸方向負側が車外側である。情報取得装置9がレーザ光を走査する場合、走査する全方向の平均方向が光軸9Aである。
【0028】
図3に示すように、情報取得装置9は、情報取得装置9よりも車外側であって、情報取得装置9の光軸9Aに直交する断面にて、光軸9Aを中心9Bとする矩形状の領域9C全体から光を受光する。光軸9Aの方向から見て、第1ガラス板2の情報取得領域21が台形であるのは、第1ガラス板2が傾斜した状態で車体に取り付けられるからである。下辺23の長さは、上辺22の長さよりも長い。
【0029】
図4に示すように、第1ガラス板2は、横方向にうねりを有する。このうねりは、溶融ガラスを板状に成形する際に形成される。溶融ガラスを板状に成形する方法としては、例えばフロート法が用いられる。フロート法では、溶融ガラスを溶融金属の液面の上に連続的に供給し、水平な液面の上で溶融ガラスを流動させながら帯板状に成形する。帯板状のガラスは、流動方向にはうねりを有しないが、幅方向にはうねりを有する。うねりは、波である。
【0030】
図4において、Aは波の腹であり、Bは波の節である。波が、筋目29(図1参照)として視認される。筋目29はうねりに起因するものであり、筋目29のピッチP1はうねりの周期に一致する。うねりの周期は、例えば5mm~50mmである。うねりの振幅は、0.1μm~5μmである。うねりの周期及び振幅は、市販の表面粗さ測定機で測定可能である。
【0031】
第1ガラス板2は、横方向にうねりを有し、縦方向にうねりを有しない。それゆえ、図1に示すように、第1ガラス板2の筋目29は、横方向に間隔をおいて複数並んでおり、それぞれ縦方向に延びている。それゆえ、図5に示すように、光線Lの入射位置と出射位置とでうねりの位相差が小さく、光線Lの出射方向のばらつきが小さい。
【0032】
一方、参考形態によれば、図19に示すように、第1ガラス板2の筋目29は、縦方向に間隔をおいて複数並んでおり、それぞれ横方向に延びている。これは、第1ガラス板2が縦方向にうねりを有し、横方向にうねりを有しないことを表す。それゆえ、図20に示すように、光線Lの入射位置と出射位置とでうねりの位相差が大きく、光線Lの出射方向のばらつきが大きい。出射方向のばらつきは、屈折の影響である。
【0033】
本実施形態によれば、上記の通り、参考形態に比べて光線Lの出射方向のばらつきを低減できるので、透視歪みの大きさを小さくできる。透視歪みは、ガラスを透かして見る透視像が歪む現象である。透視歪みの大きさは、日本工業規格JIS R3212:2015の透視歪み試験(5.12)に準拠して測定される。
【0034】
なお、第2ガラス板3の筋目も、第1ガラス板2の筋目29と同様に、幅方向に間隔をおいて複数並んでおり、それぞれ縦方向に延びていてよい。透視歪みをより低減できる。第2ガラス板3の筋目が縦方向に延びている場合、第1ガラス板2の筋目29は横方向に延びていてもよい。第1ガラス板2の筋目29と第2ガラス板3の筋目の少なくとも1つが縦方向に延びていればよい。なお、窓ガラスは、上記の通り、合わせガラス1ではなく、単板ガラスであってもよく、その場合、第2ガラス板3及び中間膜4を有しなくてもよい。
【0035】
合わせガラス1は、電熱線付きガラス板であって、情報取得領域21に設けられる電熱線6を有する。電熱線6の材料は、導電性材料であれば特に限定されないが、例えば金、銀、銅、アルミニウム、スズ、鉄、ニッケル、クロム、及びタングステンからなる群から選択される純金属、この群から選択される1つ以上の金属を含む合金、カーボン、又はグラフェンである。
【0036】
電熱線6は、電力の供給によって発熱し、情報取得領域21に付いた曇りや氷を除去する。電熱線6は、例えば、第1ガラス板2と第2ガラス板3の間に設けられ、中間膜4と第2ガラス板3の間に設けられることが好ましく、第2ガラス板3の車内側の面に設けられるのが特に好ましい。
【0037】
また、電熱線6は、基材フィルムに支持された状態で、第1ガラス板2と第2ガラス板3との間に配置されていてもよい。基材フィルムによって、電熱線6のハンドリング性が向上する。基材フィルムは、透明樹脂で形成され、例えば、中間膜4と同様の材料で形成される。但し、基材フィルムの材料は、加熱によってガラスとの接着性を発現するものではなくてもよく、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)等であってもよい。この場合、基材フィルムと第1ガラス板2、もしくは第2ガラス板3との間に、接着層が配置されてもよい。
【0038】
電熱線6は、合わせガラス1の第4面14の車内側に配置されてもよい。また、電熱線6は、基材フィルムに支持された状態で、合わせガラス1の第4面14の車内側に配置されてもよい。なお、上記の通り、窓ガラスが合わせガラス1ではなく単板ガラスである場合、電熱線6は第1ガラス板2の車内側に配置される。
【0039】
電熱線6は、図7等に示すように、情報取得領域21を縦方向に縦断する縦断部61を有する。縦断部61は、横方向に間隔をおいて複数本設けられ、それぞれ縦方向に延びている。縦断部61は、筋目29と平行に設けられる。なお、詳しくは後述するが、縦断部61は、情報取得領域21を縦方向に縦断していればよく、筋目29に対して斜めに設けられてもよい。
【0040】
縦断部61は、直線であってもよいが、光芒の発生を抑制すべく、図7等に示すように正弦曲線などの波線であってよい。光芒とは、筋状の光が視認される現象であり、光の回折及び干渉によって生じる現象である。隣り合う複数の縦断部61の位相がずれていると、光芒の発生をより抑制できる。
【0041】
電熱線6が発熱すると、中間膜4などの温度が高くなり、屈折率が低くなる。複数の縦断部61が横方向に間隔をおいて並ぶので、屈折率の低い部分と屈折率の高い部分とが横方向に並ぶ。屈折率が横方向に変動することは、透視歪みの観点からは、うねりが横方向に生じることと等価である。
【0042】
本実施形態によれば、屈折率が横方向に変動するので、屈折率が縦方向に変動する場合に比べて、透視歪みの大きさを小さくできる。横方向のうねりは、縦方向のうねりに比べて、屈折の影響を抑制でき、透視歪みの大きさを低減できるからである。
【0043】
図4に示すように、縦断部61の横方向のピッチP2は、好ましくは25mm以下である。P2が25mm以下であれば、中間膜4の温められ方が均一に近づき、屈折率差が小さくなり、透視歪みの大きさが小さくなる。P2は、より好ましくは10mm以下であり、更に好ましくは5mm以下であり、特に好ましく2.5mm以下である。
【0044】
P2は筋目29の横方向のピッチP1の半値(P1/2)であってもよく、縦断部61が第1ガラス板2のうねりの腹A又は節Bに配置されてもよい。P2がP1の半値であれば、図4に示すように第1ガラス板2のうねりの位相と第2ガラス板3のうねりの位相とが一致する場合に、節Bに縦断部61を配置できる。例えばY軸方向に平行な光線Lは、節Bでは斜めに入射するので屈折するのに対し、腹Aでは垂直に入射するので屈折しない。電熱線6の通電時に、節Bの温度が高いので、節Bの屈折率が小さく、節Bでの屈折量が小さく、透視歪みの大きさが小さい。
【0045】
また、P2がP1の半値であれば、図6に示すように第1ガラス板2のうねりの位相と第2ガラス板3のうねりの位相とがπ(半波長分)ずれる場合に、腹Aに縦断部61を配置できる。腹Aは、凸レンズ又は凹レンズになるので、レンズ効果によって平行光を集光するか発散する。電熱線6の通電時に、腹Aの温度が高いので、腹Aの屈折率が小さく、レンズの屈折量が小さく、透視歪みの大きさが小さい。
【0046】
図7に示すように、合わせガラス1は、電熱線6の一端部に第1電位を供給する第1バスバー7と、電熱線6の他端部に第1電位とは異なる第2電位を供給する第2バスバー8とを有する。第1電位と第2電位とは、どちらが高くてもよい。第1バスバー7及び第2バスバー8は、銅又はアルミニウム等で形成され、半田等の導電性接着剤で電熱線6と接続され、電熱線6に電圧を供給し、電熱線6に電流を供給する。第1バスバー7及び第2バスバー8は、電熱線6と同じ素材で半田等の導電性接着剤を介さず一体形成されていてもよい。
【0047】
第1バスバー7及び第2バスバー8に電気的に接続される複数本の電熱線6は、同一の長さを有し、同一の電気抵抗を有する。複数本の電熱線6が同一の長さを有するとは、複数本の電熱線6のそれぞれの長さの最大値と最小値との差の大きさが、平均値の5%以下であることをいう。複数本の電熱線6に、同一の電圧及び同一の電流を供給でき、同一の電力(電圧と電流の積)を供給できる。従って、加熱ムラを低減できる。
【0048】
なお、電熱線6のパターンは、図7に示すパターンには限定されない。以下、図8図16を参照して、電熱線6のパターンについて説明する。
【0049】
図8に示す電熱線6は、図7に示す電熱線6と同様に横方向に間隔をおいて複数本設けられるが、図7に示す電熱線6よりも広い範囲に亘って配置される。情報取得領域21の下辺23の長さが長いからである。下辺23の長さは、例えば50mm以上である。下辺23の長さが50mm以上であれば、図9に示すように情報取得装置9の画角γが大きいので、情報取得領域21の横方向両端付近にて、光線Lの入射角が大きく、屈折の影響が大きい。従って、本開示の技術を適用する効果が顕著に得られる。下辺23の長さは、好ましくは70mm以上、より好ましくは100mm以上、更に好ましくは150mm以上、更に好ましくは200mm以上、特に好ましくは300mm以上である。下辺23の長さは、好ましくは400mm以下である。
【0050】
図10に示す電熱線6は、3本であって、それぞれ、情報取得領域21の横方向全体に亘ってジグザグに設けられる。なお、電熱線6の本数は、3本には限定されず、複数本であればよい。複数本の電熱線6は、それぞれ、縦断部61の他に、U字状の折返し部62を有する。折返し部62は、他の折返し部62と干渉しないように、他の折返し部62とは異なる曲率半径を有し、他の折返し部62を迂回し、複数本の縦断部61の上端同士、又は下端同士を電気的に接続する。電熱線6が情報取得領域21の横方向全体に亘ってジグザグに設けられるので、情報取得領域21の左端又は右端に第1バスバー7及び第2バスバー8を設ければよく、第1バスバー7及び第2バスバー8の横方向の長さを短縮できる。
【0051】
図10に示すU字状の折返し部62の代わりに、図11に示す水平部63が設けられてもよい。水平部63は、複数本の縦断部61の上端同士、又は下端同士に同じ電位を供給する。U字状の折返し部62の代わりに、図11に示す水平部63を設けることで、電熱線6の情報取得領域21の外にはみ出す部分の長さを短縮できる。従って、無駄な電力を削減できる。
【0052】
図12に示す電熱線6は、1本であって、情報取得領域21の横方向全体に亘ってジグザグに設けられる。電熱線6は、それぞれ、縦断部61の他に、U字状の折返し部62を有する。折返し部62は、隣り合う2本の縦断部61の上端同士、又は下端同士を電気的に接続する。電熱線6の本数が1本であれば、折返し部62は別の折返し部62を迂回しなくて済む。それゆえ、折返し部62の長さを短縮でき、電熱線6の情報取得領域の外にはみ出す部分の長さを短縮できる。従って、無駄な電力を削減できる。
【0053】
情報取得領域21の内外両方における電熱線6の合計長さに対する、情報取得領域21の外における電熱線6の合計長さの割合は、0%以上20%以下であることが好ましい。該割合が20%以下であれば、無駄な電力を最小化できる。該割合は、15%以下であることがより好ましく、10%以下であることが特に好ましい。
【0054】
図13に示す電熱線6は、横方向に間隔をおいて複数本設けられ、横方向位置に応じた電気抵抗を有する。情報取得領域21は、横方向に、第1外側領域21aと中央領域21bと第2外側領域21cとをこの順番で含む。第1外側領域21a及び第2外側領域21cでは、中央領域21bに比べて、光線Lの入射角が大きくなるので、屈折の影響を受けやすい。
【0055】
そこで、第1外側領域21a及び第2外側領域21cに配置される電熱線6は、中央領域21bに配置される電熱線6に比べて、1本当たりの電気抵抗が大きい。電圧が同一であれば、電気抵抗が大きいほど、発熱量が小さい。従って、第1外側領域21a及び第2外側領域21cでは、中央領域21bに比べて、温度変化が小さく、温度変化による屈折量の変化を低減できる。
【0056】
図13に示す第1外側領域21a及び第2外側領域21cに配置される電熱線6は、中央領域21bに配置される電熱線6に比べて、横断面積が小さい。横断面積とは、縦方向に直交する断面での面積である。横断面積が小さいほど、電気抵抗が大きい。第1外側領域21a及び第2外側領域21cに配置される電熱線6は、中央領域21bに配置される電熱線6に比べて、線幅及び厚みの少なくとも1つ(図13では線幅)が小さい。
【0057】
情報取得領域21は3つの領域21a、21b、21cに分けられるので、第1バスバー7及び第2バスバー8は図13に示すように3つずつ設けられてもよい。なお、第1バスバー7及び第2バスバー8の本数は、3つずつには限定されず、例えば図14に示すように5つずつでもよいし、7つずつ以上でもよく、更に1つずつでもよい。
【0058】
図15に示す第1外側領域21a及び第2外側領域21cに配置される電熱線6は、中央領域21bに配置される電熱線6に比べて、1本当たりの長さが長くてもよい。1本当たりの長さが長いほど、1本当たりの電気抵抗が大きい。なお、図15に示す電熱線6は、折返し部62を有するが、折返し部62の代わりに、図11に示す水平部63を有してもよい。
【0059】
ところで、情報取得領域21の上辺22から下辺23に向うほど、図2から明らかなように光線Lの入射角αが大きくなるので、屈折の影響を受けやすい。
【0060】
そこで、情報取得領域21の上辺22から下辺23に向うほど、図16に示すように、電熱線6の縦断部61の横方向のピッチが大きくなる。縦断部61の横方向のピッチが大きいほど、温度変化が小さく、温度変化による屈折量の変化を低減できる。
【0061】
図16に示す縦断部61は、情報取得領域21の横方向中央では縦方向に延びており、また、情報取得領域21の横方向端の近傍では縦方向に対して傾いている。縦断部61は、情報取得領域21の左辺24の近傍では左辺24に対して平行であり、情報取得領域21の右辺25の近傍では右辺25に対して平行である。このように電熱線6を配置することで、図17に示すように、例えば情報取得領域21の右辺25の近傍における電熱線6の全体は、情報取得領域21の右辺25の近傍に入射する光線Lの入射面LAの面内に含まれる。つまり、入射面LAと第1ガラス板2の交線は、右辺25にほぼ一致する。その結果、温度変化による屈折量の変化を低減できる。
【0062】
縦断部61は、上記の通り、情報取得領域21の横方向端の近傍では縦方向に対して傾斜している。その傾斜角βは、例えば15°以上、好ましくは20°以上、より好ましくは30°以上、更に好ましくは40°以上、また更に好ましくは50°であり、特に好ましくは60°である。傾斜角βは、70°以下である。なお、縦断部61が正弦曲線である場合、その振幅の中心線と縦線とのなす角が傾斜角βである。
【0063】
上記の通り、情報取得領域21の上辺22から下辺23に向うほど、図16に示すように、電熱線6の縦断部61の横方向のピッチが大きくなる。それゆえ、情報取得領域21の上辺22から下辺23に向うほど、縦断部61の密度が疎になる。
【0064】
そこで、図16に示す電熱線6の横断面積は、情報取得領域21の上辺22から下辺23に向うほど、小さくなってもよい。横断面積が小さいほど、単位長さ当たりの電気抵抗が大きく、発熱量が大きい。従って、加熱ムラを低減できる。
【実施例
【0065】
例1~例10では、表1に示すように、第1ガラス板2及び第2ガラス板3の筋目方向と電熱線6のパターンを設定した以外、同じ条件で合わせガラス1を作製し、合わせガラス1の透視歪みの大きさを測定した。合わせガラス1の大きさは、情報取得領域21の大きさと同一であって、縦300mm、横300mmであった。第1ガラス板2の厚み、及び第2ガラス板3の厚みは、いずれも、2mmであった。中間膜4の厚みは0.76mmであった。電熱線6の線径は20μmであった。情報取得領域21の上辺22での、電熱線6の縦断部61の横方向のピッチP1は3mmであった。例9と例10ではいずれも電熱線6のパターンが図16のパターンであったが、例9では電熱線6の横断面積が一定であったのに対し、例10では情報取得領域21の上辺22から下辺23に向うほど、電熱線6の横断面積が小さかった。例1が比較例、例2~例10が実施例である。
【0066】
【表1】
表1に示す透視歪みの大きさは、日本工業規格JIS R3212:2015の透視歪み試験(5.12)に準拠し、図18に示す試験装置100を用いて測定した。試験装置100は、投影機101と、支持台102と、スクリーン103とを有する。投影機101は、傾斜した状態の合わせガラス1を透して、複数の真円が千鳥配置された水玉パターンの像をスクリーン103に投影する。支持台102は、合わせガラス1を傾斜した状態で支持する。合わせガラス1とスクリーン103の距離は4mであった。また、合わせガラス1の傾斜角θは、25°であった。
【0067】
透視歪みの大きさは、真円からの歪みの最大量を計測し、角度の単位である「分」に換算して求めた。評価の「◎」は透視歪みの大きさが1.5分以下であることを、評価の「〇」は透視歪みの大きさが1.5分よりも大きく、2.0分以下であることを、評価の「×」は透視歪みの大きさが2.0分よりも大きいことを表す。透視歪みの大きさは、情報取得領域21の横方向中央と横方向端の両方で測定し、非通電時と通電時の両方で測定した。
【0068】
表1において、L0は、情報取得領域21の内外両方における電熱線6の合計長さであり、後述のL1とL2の和である。L1は、情報取得領域21の内における電熱線6の合計の長さである。一方、L2は、情報取得領域21の外における電熱線6の合計の長さである。評価の「◎」はL0に対するL2の割合が20%以下であることを、評価の「〇」はL0に対するL2の割合が20%よりも大きいことを表す。
【0069】
表1から明らかなように、例2~例10では、例1とは異なり、第1ガラス板2及び第2ガラス板3の筋目方向が縦方向であったので、通電時の透視歪みの大きさが2.0以下であった。また、例7~例10によれば、情報取得領域21の横方向端での、通電時の透視歪みの大きさが、小さく、1.5以下であった。更に、例4、例5、及び例8~例10によれば、L0に対するL2の割合が20%以下であり、無駄な電力が少なかった。
【0070】
以上、本開示に係る電熱線付きガラス板について説明したが、本開示は上記実施形態等に限定されない。特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更、修正、置換、付加、削除、及び組み合わせが可能である。それらについても当然に本開示の技術的範囲に属する。
【0071】
例えば、L0に対するL2の割合は、好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下である。
【0072】
本出願は、2019年11月26日に日本国特許庁に出願された特願2019-213617号に基づく優先権を主張するものであり、特願2019-213617号の全内容を本出願に援用する。
【符号の説明】
【0073】
1 合わせガラス
2 第1ガラス板
3 第2ガラス板
4 中間膜
5 遮光膜
6 電熱線
61 縦断部
62 折返し部
63 水平部
7 第1バスバー
8 第2バスバー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20