(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-14
(45)【発行日】2025-01-22
(54)【発明の名称】ガラス溶解用のヒータ
(51)【国際特許分類】
H05B 3/44 20060101AFI20250115BHJP
H05B 3/10 20060101ALI20250115BHJP
H05B 3/14 20060101ALI20250115BHJP
H05B 3/64 20060101ALI20250115BHJP
【FI】
H05B3/44
H05B3/10 A
H05B3/14 F
H05B3/64
(21)【出願番号】P 2021565529
(86)(22)【出願日】2020-12-10
(86)【国際出願番号】 JP2020046033
(87)【国際公開番号】W WO2021125040
(87)【国際公開日】2021-06-24
【審査請求日】2023-08-07
(31)【優先権主張番号】P 2019230938
(32)【優先日】2019-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000044
【氏名又は名称】AGC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】前原 輝敬
(72)【発明者】
【氏名】丹羽 章文
(72)【発明者】
【氏名】兵頭 俊太郎
(72)【発明者】
【氏名】秋田 幸仁
(72)【発明者】
【氏名】榎本 高志
(72)【発明者】
【氏名】土井 洋二
(72)【発明者】
【氏名】ポウリ ロジャー
(72)【発明者】
【氏名】キーン ローレンス
【審査官】河野 俊二
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-193130(JP,A)
【文献】特開2017-030987(JP,A)
【文献】実開平05-061992(JP,U)
【文献】実開昭62-160294(JP,U)
【文献】特開2015-078784(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 3/44
H05B 3/10
H05B 3/14
H05B 3/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス溶解用のヒータであって、
給電により熱線を放射する、カーボン(C)を含む発熱部材と、
前記発熱部材を収容する、一端が閉止された金属製の筒状部材と、
を有し、
前記発熱部材は、当該ヒータの延伸軸方向に沿って、第1の発熱部と、第2の発熱部とを有し、前記第1の発熱部は、前記第2の発熱部よりも、前記筒状部材の前記一端に近い位置に配置され、
前記第2の発熱部は、前記第1の発熱部と同じ材料で構成され、前記第1の発熱部とは異なる形状を有し、
前記第1の発熱部の前記延伸軸方向に沿った単位長さ当たりの抵抗をX(Ω/m)とし、前記第2の発熱部の前記延伸軸方向に沿った単位長さ当たりの抵抗をY(Ω/m)としたとき、
(1/30)X<Y<(1/2)X (1)式
が成り立つ、ヒータ。
【請求項2】
前記第1および第2の発熱
部は、炭素繊維強化炭素複合材料で構成される、請求項1に記載のヒータ。
【請求項3】
前記第1の発熱部は、棒状、コイル状、およびスリットを有するまたは有しない中空円筒状からなる群から選択された一つの形状を有する、請求項1または2に記載のヒータ。
【請求項4】
前記第1の発熱部および前記第2の発熱部は、相互に物理的に接するように配置される、請求項1乃至
3のいずれか一つに記載のヒータ。
【請求項5】
前記筒状部材は、白金、タングステン、イリジウム、ロジウムおよびモリブデンから選ばれる1種以上を含む材料で構成される、請求項1乃至
4のいずれか一つに記載のヒータ。
【請求項6】
前記筒状部材は、白金およびロジウムの少なくとも一つを含む材料で構成される、請求項1乃至
4のいずれか一つに記載のヒータ。
【請求項7】
さらに、前記筒状部材の外周の一部に、冷却部材を備える、請求項1乃至
6のいずれか一つに記載のヒータ。
【請求項8】
当該ヒータは、前記筒状部材の内部の雰囲気を制御できるように構成される、請求項1乃至
7のいずれか一つに記載のヒータ。
【請求項9】
前記発熱部材と前記筒状部材の間にはガスが存在する、請求項1乃至
8のいずれか一つに記載のヒータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス溶解用のヒータに関する。
【背景技術】
【0002】
ガラスの製造工程において、溶解炉内で溶融ガラスを製造する際に、しばしば、一組の電極が使用される。
【0003】
各電極は、溶解炉の底部側から、該底部を貫通するように「縦向き」に装着される。そのような配置の電極組に電流を通電させることにより、溶融ガラスを得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のガラスの溶解方法において、溶融ガラスを直接加熱する際には、溶融ガラスに挿入した電極間に交流電流を流すことで、溶融ガラスをジュール加熱する。そのため、溶解炉の底部には、電極挿入用の貫通孔が形成される。
【0006】
これらの貫通孔の延伸方向に垂直な断面の寸法は、通常、電極の軸方向に垂直な断面の寸法に比べて、十分に大きくなるように選定される。これは、溶融ガラスの製造中に、溶融炉の材料と電極材料の熱膨張の大きさの差に起因して電極が貫通孔を形成する側壁に当接して、電極または溶解炉が破損することを防止するためである。
【0007】
しかしながら、このような寸法設計のため、溶融ガラスの製造中に、側壁と電極の間の「隙間」から、溶融ガラスが漏洩する可能性がある。これを回避するため、通常、電極の周囲には、冷却部材が設けられる。
【0008】
冷却部材の一部は、電極を溶解炉に挿入した際に、該溶解炉の底部の下面と対向するような位置に設けられる。
【0009】
このように設置された冷却部材に、空気または水のような冷媒を供給することにより、溶融ガラスの製造中に、隙間を介して落下する溶融ガラスを途中で固化させることができる。また、固化したガラス層を、隙間を塞ぐシール材として利用することができる。
【0010】
しかしながら、このような冷却部材は、ガラスの加熱効率の観点からは、あまり望ましいものではない。すなわち、このような冷却部材の存在は、溶解炉底部の溶融ガラスの温度を低下させる方向に作用する。このため、ガラスの加熱効率は低下する。
【0011】
また、電極それ自体は発熱体ではないため、そのような状況において、溶融ガラス全体に所望の温度履歴を与えるためには、溶融ガラスが対流循環できるような追加の設備が必要となる。例えば、溶解炉を大型化したり、撹拌装置を設置する必要がある。しかしながら、このような方策は、製造設備のコスト増につながる。
【0012】
本発明は、このような背景に鑑みなされたものであり、本発明では、従来に比べて溶融ガラスの加熱効率を有意に高めることが可能な、ガラス溶解用のヒータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明では、ガラス溶解用のヒータであって、
給電により熱線を放射する、カーボン(C)を含む発熱部材と、
前記発熱部材を収容する、一端が閉止された金属製の筒状部材と、
を有し、
前記発熱部材は、当該ヒータの延伸軸方向に沿って、第1の発熱部と、第2の発熱部とを有し、前記第1の発熱部は、前記第2の発熱部よりも、前記筒状部材の前記一端に近い位置に配置され、
前記第1の発熱部の前記延伸軸方向に沿った単位長さ当たりの抵抗をX(Ω/m)とし、前記第2の発熱部の前記延伸軸方向に沿った単位長さ当たりの抵抗をY(Ω/m)としたとき、
(1/30)X<Y<(1/2)X (1)式
が成り立つ、ヒータが提供される。
【発明の効果】
【0014】
本発明では、従来に比べて溶融ガラスの加熱効率を有意に高めることが可能な、ガラス溶解用のヒータを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】従来の電極が溶解炉に設置された際の様子を概略的に示した図である。
【
図2】本発明の一実施形態によるヒータの一構成例を模式的に示した図である。
【
図3】本発明の一実施形態によるヒータが溶解炉に設置された際の様子を概略的に示した図である。
【
図4】本発明の一実施形態によるヒータにおいて、第1の発熱部の別の形態を模式的に示した図である。
【
図5】本発明の別の実施形態によるヒータが溶解炉に設置された際の様子を概略的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態について説明する。
【0017】
まず、
図1を参照して、従来のガラスの溶解方法、およびその問題について説明する。
【0018】
図1には、ガラスの溶解炉1に、従来の一組の電極20が設置された際の様子が概略的に示されている。
【0019】
図1に示すように、ガラスの溶解炉1は、収容空間2に溶融ガラスMGを収容することができる構造を有する。具体的には、溶解炉1は、側部3と、該側部3に取り囲まれた底部5とを有する。底部5は、上面7および下面9を有する。上面7は、底部5の溶融ガラスMGと接する側の表面であり、下面9は、底部5の上面7とは反対の表面である。
【0020】
溶解炉1は、底部5に、上面7から下面9まで貫通する貫通孔10を有する。
【0021】
電極20は、本体22およびリード部材24で構成される。本体22は、例えば棒状の白金またはモリブデンで構成される。
【0022】
リード部材24は、本体22の一端の近傍に設置される。また、本体22の他端(「先端」と称する)26は、溶解炉1の底部5の貫通孔10を介して、収容空間2に挿入される。
【0023】
なお、通常、貫通孔10の延伸方向に垂直な断面の寸法は、電極20の本体22軸方向に垂直な断面の寸法に比べて、十分に大きくなるように選定される。
【0024】
また、
図1に示した例では、電極20は、一組しか示されていない。しかしながら、実際には、より多くの電極20の組が、溶解炉1の収容空間2内に設置される。
【0025】
図1に示すように、通常、電極20には、冷却部材12が設けられる。
【0026】
冷却部材12は、第1の部分13および第2の部分15を有する。冷却部材12の第1の部分13は、電極20を溶解炉1に挿入した際に、該溶解炉1の底部5の下面9と対向するような位置に設けられる。また、冷却部材12の第2の部分15は、溶解炉1の底部5の貫通孔10を形成する側壁11と対向するような位置に設けられる。冷却部材12には、空気または水のような冷媒が流通される。
【0027】
このような構成において、電極20のリード部材24が、外部電圧源のような給電装置28に接続される。これにより、両電極20の間に、溶融ガラスを介して電流が流れ、溶融ガラスを通電加熱することができる。その結果、溶融ガラスを所望の温度まで加熱することができる。また溶解炉1の収容空間2内には溶融ガラスMGが満たされており、溶融ガラスに挿入された電極間に交流電流を流すことにより、溶融ガラスMGがジュール加熱される。
【0028】
なお、溶解炉1の底部5に形成された貫通孔10と、電極20との間には「隙間」17が存在する。従って、溶融ガラスMGの加熱中に、この隙間17から、溶融ガラスMGが外部に漏洩する可能性がある。
【0029】
このような漏洩に対処するため、冷却部材12が使用される。すなわち、冷却部材12の第1の部分13および第2の部分15に冷媒を供給させることにより、隙間17に沿って移動する溶融ガラスMGを冷却させ、側壁11の途中で固化させることができる。また、固化したガラス層を、隙間17のシール材として、利用することができる。
【0030】
ただし、冷却部材12の第2の部分15は、溶解炉1の底部5の上面7、すなわち溶融ガラスMGから比較的近い位置に設置される。このため、冷却部材12の第2の部分15は、溶融ガラスMGの温度を低下させる方向に作用する。特に冷却部材12の第2の部分15の上方側では、溶融ガラスMGの温度を迅速に高めることが難しくなる。その結果、溶融ガラスの加熱効率が低下してしまうという問題が生じ得る。
【0031】
なお、冷却部材12の第1の部分13は、溶融ガラスMGから比較的遠い位置に設置されているため、第2の部分15に比べて、溶融ガラスMGの温度を低下させる影響は少ない。
【0032】
これに対して、本発明の一実施形態では、ガラス溶解用のヒータであって、
給電により熱線を放射する、カーボン(C)を含む発熱部材と、
前記発熱部材を収容する、一端が閉止された金属製の筒状部材と、
を有し、
前記発熱部材は、当該ヒータの延伸軸方向に沿って、第1の発熱部と、第2の発熱部とを有し、前記第1の発熱部は、前記第2の発熱部よりも、前記筒状部材の前記一端に近い位置に配置され、
前記第1の発熱部の前記延伸軸方向に沿った単位長さ当たりの抵抗をX(Ω/m)とし、前記第2の発熱部の前記延伸軸方向に沿った単位長さ当たりの抵抗をY(Ω/m)としたとき、
(1/30)X<Y<(1/2)X (1)式
が成り立つ、ヒータが提供される。
【0033】
本発明の一実施形態では、電極20の代わりに、ヒータを用いて、溶融ガラスMGが加熱される。また、本発明の一実施形態によるヒータは、発熱部材が金属製の筒状部材に収容された構成を有する。
【0034】
そのような構成では、発熱体からの熱線を利用して、輻射方式で筒状部材を加熱することができ、この加熱された筒状部材を用いて溶融ガラスMGを加熱することができる。
【0035】
また、本発明の一実施形態によるヒータでは、カーボン(C)を含む発熱部材が使用される。
【0036】
ここで、本発明の一実施形態によるヒータの発熱部材として、ヒータの発熱部材によく使用される金属(例えば、モリブデン、タングステン、タンタル、ニオブ、イリジウム、白金、およびロジウムから選ばれる1種以上を含む材料等)を使用した場合、ヒータの使用中に発熱部材が自重で変形する可能性がある。溶融ガラスMGの温度は、しばしば、1600℃以上となり、このため、発熱部材は、1800℃以上となる場合があるためである。
【0037】
しかしながら、本発明の一実施形態では、1800℃以上の高温でも変形が少ない、カーボン(C)を含む発熱部材が使用される。このため、本発明の一実施形態では、使用中の発熱部材の変形を、有意に抑制することができる。
【0038】
さらに、本発明の一実施形態によるヒータは、発熱部材が第1の発熱部および第2の発熱部を有する。
【0039】
この場合、より高温になるヒータの第1の発熱部を、溶解炉1における溶融ガラスMGの収容空間に設置し、第1の発熱部ほどは高温に至らない第2の発熱部を、溶解炉1の底部5に設けられた貫通孔10(またはその側壁11)と対面するように配置することができる。
【0040】
なお、第1の発熱部と第2の発熱部の境界は、ガラスの溶解に影響を及ぼさない限り、溶解炉1の底部5の上面7よりも、収容空間2側、または貫通孔10側に、多少ずれていてもよい。
【0041】
溶解炉1に対して、本発明の一実施形態によるヒータをこのように配置した場合、溶解炉1の底部5における貫通孔10(またはその側壁11)の温度が上昇しすぎることなく適度な温度にできる。このため、冷却部材12の第2の部分15を全く使用しなくても、あるいは冷却部材12の第2の部分15による冷却能を低下させても、あるいは冷却部材12の第2の部分15の長さを短くし溶解炉1の収容部2からの距離を大きくしても、隙間17において、溶融ガラスMGを有意な長さにわたって溶融ガラスMGを隙間17に沿って移動させ、ヒータ表面を保護して固化させることが可能になる。
【0042】
その結果、本発明の一実施形態では、冷却部材12の第2の部分15の上部において、溶融ガラスMGが冷え易く、加熱され難いという問題を軽減することができる。すなわち、溶融ガラスMGの製造過程において、加熱効率を有意に高めることができる。
【0043】
また、従来の電極20において、本体22がモリブデンで構成される場合、高温酸化の問題が生じ得る。すなわち、貫通孔11と対面する部分において、本体22が露出すると、高温の空気で本体22が酸化され、電極が劣化してしまうという問題が生じ得る。
【0044】
これに対して、本発明の一実施形態では、前述の効果により、溶融ガラスMGを隙間17に沿って移動させ、ヒータの表面を固化したガラスで被覆することができる。従って、本発明の一実施形態では、筒状部材として、モリブデンのような高温空気で酸化されやすい材料も使用することができる。
【0045】
(本発明の一実施形態によるガラス溶解用のヒータ)
次に、
図2を参照して、本発明の一実施形態によるヒータの一構成例について説明する。
【0046】
図2には、本発明の一実施形態によるヒータの構造の一例を模式的に示す。
図2には、概して、本発明の一実施形態によるヒータの延伸軸に沿った断面が示されている。ただし、後述する発熱部材120の部分は、明確化のため、非断面の形態で描かれている。
【0047】
図2に示すように、本発明の一実施形態によるヒータ(以下、「第1のヒータ」と称する)100は、第1のヒータ端部102Aから第2のヒータ端部102Bまで延伸する、略棒状の形態を有する。
【0048】
第1のヒータ端部102Aは、蓋部材170によって閉止される。また、第2のヒータ端部102Bは、後述する筒状部材130の閉止端によって閉止される。従って、第1のヒータ100の内部には、外界と遮断された内部空間110が形成される。
【0049】
内部空間110は、第1のヒータ100に設置されたガス供給手段および/またはガス排出手段(図示されていない)等により、所望の雰囲気に制御することができる。特に、内部空間110は、第1のヒータ100の使用中に、内部空間110に収容されている各種部材が酸化することを抑制するため、非酸化性ガス雰囲気にされることが好ましい。例えば、使用の際、内部空間110には、アルゴンのような不活性ガスが充填されても良い。
【0050】
再度
図2を参照すると、第1のヒータ100は、発熱部材120および筒状部材130を有する。
【0051】
発熱部材120は、内部空間110に収容される。一方、筒状部材130は、前述の蓋部材170とともに、第1のヒータ100の内部空間110を区画する部材であり、筒状部材130により、内部空間110に収容された各部材が保護される。筒状部材130は、一端が閉止されており、この閉止端は、第1のヒータ100における第2のヒータ端部102Bに対応する。
【0052】
筒状部材130は、耐熱性を有する金属で構成される。
【0053】
発熱部材120は、通電によって発熱する発熱体として機能する。発熱部材120は、導電性材料で構成され、カーボン(C)を含む。
【0054】
発熱部材120は、電気的に相互に接続された、第1の発熱部122および第2の発熱部124を有する。第1の発熱部122は、第2の発熱部124よりも、第2のヒータ端部102Bに近い位置に配置される。
【0055】
図2からは視認されにくいが、発熱部材120の第1の発熱部122は、その一端、すなわち第2の発熱部と接続された端部とは反対の端部で、第1のリード線180Aと電気的に接続されている。また、第2の発熱部124は、その一端、すなわち第1の発熱部と接続された端部とは反対の端部で、第2のリード線180Bと、電気的に接続されている。
【0056】
第1のリード線180Aは、蓋部材170に設けられた第1の開口172Aから、内部空間110の外部に導出される。同様に、第2のリード線180Bは、蓋部材170に設けられた第2の開口172Bから、内部空間110の外部に導出される。第1のリード線180Aが蓋部材170と接触することを防止するため、蓋部材170の第1の開口172Aには、第1の絶縁部材175Aが装着されている。同様に、第2のリード線180Bが蓋部材170と接触することを防止するため、蓋部材170の第2の開口172Bには、第2の絶縁部材175Bが装着されている。
【0057】
ここで、第1のヒータ100では、第1の発熱部122において、第1のヒータ100の延伸軸方向に沿った単位長さ当たりの抵抗をX(Ω/m)とし、第2の発熱部124において、第1のヒータ100の延伸軸方向に沿った単位長さ当たりの抵抗をY(Ω/m)としたとき、
(1/30)X<Y<(1/2)X (1)式
が成り立つ。
【0058】
以降、単位長さ当たりの抵抗XおよびYを、それぞれ、単に「抵抗X」および「抵抗Y」と称する。
【0059】
このため、第1のヒータ100の使用中、第1の発熱部122は、第2の発熱部124に比べて、より高い温度に到達することができる。
【0060】
なお、本願において、第1の発熱部122の抵抗Xは、全長にわたって一定である必要はなく、±25%未満の範囲で増減してもよい。第2の発熱部124の抵抗Yについても、同様のことが言える。
【0061】
また、第1の発熱部122と第2の発熱部124の間に、両者の間の抵抗、すなわち抵抗Xよりも小さく、抵抗Yよりも大きい抵抗を示す部分(以下、「遷移領域」という)が存在してもよい。そのような抵抗変化は、例えば、遷移領域において、第1の発熱部122と接する部分から、第2の発熱部124と接する部分まで、断面積が徐々に大きくなるような形態などで生じ得る。そのような構成の場合、第1の発熱部122と第2の発熱部124の間の「境界」は、遷移領域内のXとYの中間の抵抗値を示す部分として定められる。
【0062】
また、第1の発熱部122と第2の発熱部124との間の遷移領域の単位長さ当たりの抵抗は、Yよりも小さくてもよい。そのような抵抗変化は、例えば、個別に製作された第1の発熱部122と第2の発熱部とを、剛性の高い肉厚の接合部材を介して接合する場合などで生じ得る。
【0063】
そのような構成の場合、第1の発熱部122と第2の発熱部124の間の「境界」は、接合部材の軸方向の中間位置として定められる。
【0064】
<抵抗XおよびYの算出方法>
ここで、抵抗XおよびYの算出方法について説明する。
【0065】
第1の発熱部122の単位長さあたりの抵抗Xと第2の発熱部124の単位長さあたりの抵抗Yは、汎用の熱流体解析ソフトSTAR-CCM+(SIEMENS社製)により求められる。第1の発熱部122の単位長さあたりの抵抗Xを例に具体的に説明する。
1.STL形式の発熱部材120の形状データをSTAR-CCM+に取り込む。
2.発熱部材120に用いられる部材の材質の電気伝導度等の物性値を入力する。このとき電気伝導度は室温の値を用い、温度依存性を持たせていない。
3.リード線に接続される発熱部材の両端子部に任意の電流Iを流す条件で計算を実行し、発熱部材120の出力分布N(W/m2)を求める。
4.発熱部材120の軸方向に垂直で、距離Lとなる2面を設定する。その2面で挟まれた領域の出力分布Nを積分して前記領域の出力P(W)が得られる。この際、1面は発熱部材120の上端を横切る面として、もう1面は第1の発熱部122と第2の発熱部124の境界を横切る面とすることで第1の発熱部122の出力Pが得られる。
5.出力Pを電流I2で割ることで前記領域の抵抗Rが得られる。
6.抵抗Rを距離Lで割ることで単位長さあたりの抵抗Xが求められる。
【0066】
第2の発熱部124の単位長さあたりの抵抗Yも、1面は発熱部材120の下端を横切る面として、もう1面は第1の発熱部122と第2の発熱部124の境界を横切る面として、領域を区切り、同様の方法で求めることができる。
【0067】
次に、
図3を参照して、このような構成を有する第1のヒータ100の動作について説明する。
【0068】
図3には、ガラスの溶解炉1に、第1のヒータ100を設置した際の様子が概略的に示されている。なお、溶解炉1の構成は、前述の
図1を参照して既に説明した。従って、ここでは、本発明の一実施形態に関連する事項を除き、溶解炉1の構成の詳細な説明は省略する。
【0069】
なお、
図3に示した例では、
図1における冷却部材12の第1の部分13は、第1のヒータ100ではなく、溶解炉1の底部5に取り付けられていることに留意する必要がある。また、
図3に示した例では、
図1における冷却部材12の第2の部分15は除去されている。
【0070】
図3に示すように、第1のヒータ100を使用する際には、まず、溶解炉1に、第1のヒータ100が設置される。第1のヒータ100は、第2のヒータ端部102Bの側が、溶解炉1の底部5の貫通孔10を介して、収容空間2に挿入されるようにして、「縦向き」に設置される。
【0071】
次に、溶解炉1の収容空間2内にガラス原料が供給される。
【0072】
その後、給電装置(
図3には示されていない)を用いて、第1のヒータ100の第1のリード線180Aおよび第2のリード線180Bに電流が供給される。これにより、発熱部材120が抵抗加熱され、この輻射により筒状部材130が加熱される。また、筒状部材130からの熱により、溶融ガラスMGが加熱される。
【0073】
ここで、溶解炉1の底部5に形成された貫通孔10と第1のヒータ100との間には、隙間17が存在する。このため、従来のガラス溶解方法では、溶融ガラスMGが漏洩することを抑制するため、冷却部材12が使用されてきた(
図1参照)。
【0074】
しかしながら、第1のヒータ100を使用した場合、従来から使用されている冷却部材12による炉底部の溶融ガラスの温度低下を抑えることができる。
【0075】
以下、この効果について説明する。
【0076】
前述のように、第1のヒータ100において、発熱部材120は、第1のヒータ100の延伸軸方向に沿って、第1の発熱部122と、第2の発熱部124とを有する。また、第1の発熱部122は、第1のヒータ100の内部空間110において、第2の発熱部124よりも第2のヒータ端部102Bに近い位置に設置される。
【0077】
従って、第1のヒータ100を溶解炉1に設置した際に、第1のヒータ100は、第1の発熱部122の高さ位置が溶解炉1の収容空間2に対応し、第2の発熱部124の高さ位置が溶解炉1の貫通孔10に対応するようにして、溶解炉1に対して配置することができる。すなわち、第1の発熱部122が収容空間2に入り、第2の発熱部124が貫通孔10と対向するようにして、溶解炉1に対して第1のヒータ100を設置することができる。
【0078】
また、第1の発熱部122と第2の発熱部124の間には、前述の(1)式の関係が成立する。このため、第1の発熱部122では、第2の発熱部124に比べて、より多くの熱を筒状部材130に向かって提供することができる。
【0079】
従って、筒状部材130は、第1の発熱部122に対応する位置では、外部に向かってより多くの熱エネルギーを提供することができる一方、第2の発熱部124に対応する位置では、外部に向かって提供される熱量を抑制することができる。その結果、隙間17の温度を、収容空間2に比べて有意に抑制することができる。
【0080】
また、この場合、収容空間2から隙間17を通って移動する溶融ガラスMGは、その途中で固化されるため、隙間17をガラス層で封止することが可能となる。
【0081】
このように、第1のヒータ100を使用した場合、従来から使用されている冷却部材12による溶融ガラスの温度低下を抑えることができる。
【0082】
従って、第1のヒータ100を使用した場合、溶融ガラスを製造する際の加熱効率を有意に高めることが可能となる。
【0083】
また、単に従来の電極に代えてヒータを使用した場合、溶解炉1の底部5の温度が高くなりすぎ、底部5の部材の侵食が促進される可能性がある。しかしながら、第1のヒータ100では、第2の発熱部124は、第1の発熱部122ほど高温にはならない。従って、第1のヒータ100では、溶解炉1の底部5の侵食を、有意に抑制することができる。
【0084】
(第1のヒータ100の構成部材)
次に、本発明の一実施形態によるヒータに含まれる各構成部材について、より詳しく説明する。なお、ここでは、明確化のため、第1のヒータ100を例に、各構成部材について説明する。従って、各部材を参照する際には、
図2に示した参照符号を使用する。
【0085】
(第1のヒータ100)
第1のヒータ100の外形の形状は、特に限られない。第1のヒータ100は、例えば、略円柱状または略角柱状の形態を有しても良い。また、第1のヒータ100の延伸軸方向に垂直な断面は、略円形、略楕円形、略三角形、略四角形(台形を含む)、またはその他の多角形であっても良い。
【0086】
なお、以下の説明では、一例として、第1のヒータ100の断面は、略円形であると仮定する。
【0087】
(内部空間110および蓋部材170)
発熱部材120が収容される内部空間110は、第1のヒータ100の使用中、低い酸素分圧を有することが好ましい。
【0088】
このため、内部空間110には、還元性ガスおよび/または不活性ガスのような非酸化性のガスが充填されても良い。還元性ガスとしては水素が使用でき、不活性ガスとしてはアルゴン、ヘリウム、ネオン、クリプトン、キセノン、ラドン、および窒素から選ばれる1種以上などが使用できる。
【0089】
これに加えて、またはこれとは別に、内部空間110は、第1のヒータ100の使用状態において、略大気圧となるように調節されても良い。
【0090】
そのような環境を実現するため、蓋部材170には、内部空間110と連通された1または2以上のポートが提供されても良い。これらのポートを介して、内部空間110に気体を充填したり、内部空間110から気体を排気したりすることができる。
【0091】
蓋部材170は、内部空間110の環境を適正に維持することができる限り、その構成は特に限られない。従って、ここでは、蓋部材170に関する説明を省略する。
【0092】
(発熱部材120)
発熱部材120は、第1の発熱部122および第2の発熱部124を有する。第1の発熱部122および第2の発熱部124は、いずれも、カーボン(C)を含む材料で構成することができる。
【0093】
カーボン(C)を含む材料には、例えば、グラファイト、および炭素繊維強化炭素複合材料(Carbon Fiber Reinforced Carbon Composite:CCコンポジット)などが含まれる。
【0094】
このような炭素材料は、2000℃以上の高温でも変形が少ないという特徴を有する。このため、カーボンを含む材料で発熱部材120を構成することにより、第1のヒータ100の使用中に、発熱部材120が自重で変形するという問題を有意に抑制できる。
【0095】
また、これにより、第1のヒータ100は、
図2に示したような「縦向き」で使用することができる。
【0096】
ここで、第1の発熱部122および第2の発熱部124は、前述の(1)式を満たすように構成される。
【0097】
換言すれば、前述の(1)式を満たすため、第2の発熱部124は、第1の発熱部122とは異なる材料、および/または異なる形状を有してもよい。
【0098】
第1の発熱部122の形状は、特に限られない。第1の発熱部122は、例えば、
図2に示したような周期スリットを有する円管形状を有してもよい。あるいは、第1の発熱部122は、コイル状、ロッド状(非中空)、板状、または管状(中空)等であっても良い。
【0099】
【0100】
図4では、第1の発熱部122は、中空の略円筒状の導電体に、第1のヒータ100の延伸軸方向に沿って、複数のスリットを設けた構成を有する。各スリットは、第1の方向(例えば、
図4における上側)、および第1の方向とは反対の第2の方向(例えば、
図4における下側)から、交互に設けられる。
【0101】
同様に、第2の発熱部124の形状は、特に限られない。第2の発熱部124は、例えば、
図4に示したような管状(中空)形状に、第1のヒータ100の延伸軸方向に沿って少数のスリット(
図4では2本)が設けられた形状を有してもよい。
【0102】
あるいは、第2の発熱部124は、コイル状、ロッド状(非中空)、または板状等であっても良い。また、第1の発熱部122と第2の発熱部124がらせん状に周期的なスリットを有する円筒形状の場合、第1の発熱部122と第2の発熱部124は、異なる周期で設けられたスリットを有しても良い。あるいは、第1の発熱部122と第2の発熱部124が第1のヒータ100の延伸軸方向に沿った複数のスリットを有する円筒形状の場合、
図4に示すように、第1の発熱部122と第2の発熱部124は、異なる周期のスリットを有しても良い。あるいは、第1の発熱部122と第2の発熱部124の形状は、異なる形状であっても良い。
【0103】
あるいは、第1の発熱部122および第2の発熱部124は、いずれもコイル状に構成されてもよい。コイル状の第1の発熱部122とコイル状の第2の発熱部124の間で、前述の(1)式を満たすように、コイルの巻き数および/または太さを変化させてもよい。
【0104】
一方、材質に関しては、例えば、第1の発熱部122を第1の炭素含有量(C1)のCCコンポジットで構成し、第2の発熱部124を、第2の炭素含有量(C2)のCCコンポジットで構成してもよい。適正なC1およびC2を選定し、C1<C2とすることにより、前述の(1)式を満たす第1の発熱部122および第2の発熱部124を構成することができる。
【0105】
これに加えて、またはこれとは別に、例えば、第1の発熱部122を第1の多孔度(ポロシティ)(P1)のCCコンポジットで構成し、第2の発熱部124を、第2の多孔度(ポロシティ)(P2)のCCコンポジットで構成してもよい。適正なP1およびP2を選定し、P1>P2とすることにより、前述の(1)式を満たす第1の発熱部122および第2の発熱部124を構成することができる。
【0106】
この他にも、第1の発熱部122および第2の発熱部124として、各種組み合わせがあり得ることは、本願明細書の記載を精査した当業者には明らかである。
【0107】
前述の(1)式のように、冷却部材による炉底部の温度低下を補償するため、第1の発熱部122における前記抵抗X(Ω/m)および第2の発熱部124における前記抵抗Y(Ω/m)は、(1/30)X<Yを満たす。両者の関係は、(1/20)X<Yであることが好ましく、(1/10)X<Yであることがより好ましい。
【0108】
一方、前記抵抗X(Ω/m)および前記抵抗Y(Ω/m)は、炉底部の侵食を抑制するため、Y<(1/2)Xを満たす。両者の関係は、Y<(1/3)Xであることが好ましく、Y<(1/4)Xであることがより好ましい。
【0109】
第1のヒータ100の使用中の第1の発熱部122の温度は、溶融するガラスの種類によっても変化するが、例えば800℃~2000℃の範囲である。第1の発熱部122の温度は、900℃~1800℃の範囲であってもよい。
【0110】
一方、第1のヒータ100の使用中の第2の発熱部124の温度は、第1の発熱部122の温度よりも100℃以上低い。第2の発熱部124の温度は、第1の発熱部122の温度よりも200℃以上低いことが好ましく、300℃以上低いことが好ましい。
【0111】
(筒状部材130)
筒状部材130は、前述のように、一端が封止された筒状の金属で構成される。筒状部材130は、例えば、白金、タングステン、イリジウム、ロジウム、およびモリブデンから選ばれる1種以上を含む材料で構成されても良い。
【0112】
ここで、モリブデンおよびタングステンなど、一部の耐熱金属は、所定の温度域において、耐酸化性が著しく低下することが知られている。例えば、モリブデンは、約400℃以上の温度範囲、タングステンは、約500℃以上の温度範囲において、耐酸化性が大きく低下する。また、この「危険な」温度領域は、ガラス溶解用ヒータの筒状部材において、おおよそ、溶解炉1の底部5の側壁11と対面する部分が晒される温度領域に対応する。
【0113】
従って、モリブデンおよびタングステンなどの金属を、ガラス溶解用ヒータの筒状部材として適用した場合、側壁11と対面する部分において、相応の大気酸化が進行する可能性が考えられる。
【0114】
しかしながら、第1のヒータ100では、前述の効果により、溶解炉1の底部5の側壁11と第1のヒータ100との間の隙間17は、溶融ガラスMGおよび溶融ガラスMGが固化して形成されたガラス層でシールされる。換言すれば、筒状部材130の、側壁11と対面する部分は、ガラス層で覆われ、大気との接触が抑制される。また、第1のヒータ100では、第2の発熱部124による加熱により、溶融ガラスMGは隙間17に入り込んだ際にすぐに固まらず、隙間17の奥まで入り込み、溶解炉1の底部5の下面9の近くまで筒状部材130をガラス層でシールできる。このため、
図5に示すように、筒状部材130のまわりに冷却部材12の第2の部分15を設けた場合、第2の部分15を収容空間2から遠い位置に設置できる。これにより、筒状部材130の酸化を十分に防ぐとともに、収容空間2内の溶融ガラスMGの温度の低下を防ぐことが可能になる。
【0115】
従って、第1のヒータ100では、筒状部材130として、モリブデンおよびタングステンを含む金属を使用しても、側壁11と対面する部分における酸化を有意に抑制することができる。
【0116】
筒状部材130の開放端は、蓋部材170とフランジ接続されるような形状、例えば、
図2に示すようなツバ部139を有することが好ましい。ツバ部139を、蓋部材170とフランジ接続することにより、内部空間110を適正に密閉することができる。
【0117】
ツバ部139と蓋部材170との間には、耐熱ゴムからなるOリングまたは金属性ガスケットを設置しても良い。
【0118】
(第1のリード線180A、および第2のリード線180B)
第1のリード線180Aおよび第2のリード線180Bは、導電性を有する材料で構成される。
【0119】
ここで、第1のリード線180Aにおける、第1のヒータ100の延伸軸方向に沿った単位長さ当たりの抵抗をZ1(Ω/m)としたとき、Z1は、前記第1の発熱部122の単位長さ当たりの抵抗Xの30分の1以下にすぎない。
【0120】
同様に、第2のリード線180Bにおける、第1のヒータ100の延伸軸方向に沿った単位長さ当たりの抵抗をZ2(Ω/m)としたとき、Z2は、前記第1の発熱部122の単位長さ当たりの抵抗Xの30分の1以下にすぎない。
【0121】
従って、前記(1)式から、第1のリード線180Aおよび第2のリード線180Bが、「第2の発熱部124」に相当しないことは明らかである。
【0122】
第1のリード線180Aおよび第2のリード線180Bは、第1のヒータ100の使用中でも、到達温度は、最大400℃以下である。
【0123】
(第1の絶縁部材175A、第2の絶縁部材175B)
第1の絶縁部材175Aは、絶縁材料で構成される。また、第1の絶縁部材175Aには、蓋部材170の第1の開口172Aと、第1のリード線180Aとの間の隙間を適正に封止する、シール機能も必要である。
【0124】
そのようなシール機能を有する絶縁部材は、当業者には良く知られている。
【0125】
第2の絶縁部材175Bについても、同様のことが言える。
【0126】
なお、
図1に示した第1の絶縁部材175Aおよび第2の絶縁部材175Bの構成は、単なる一例に過ぎない。第1のリード線180Aおよび第2のリード線180Bを、適正に外部に取り出すことができる限り、これらの構成が特に限られないことは当業者には明らかである。
【0127】
以上、第1のヒータ100を参照して、本発明の一実施形態によるヒータの構成について説明した。
【0128】
しかしながら、本発明の一実施形態によるヒータが、その他の構成を有し得ることは、当業者には明らかである。例えば、本発明の一実施形態によるヒータにおいて、発熱部材は、2つに限られず、3つ以上の発熱部を有してもよい。その他にも、各種変更が可能である。
【0129】
本願は、2019年12月20日に出願した日本国特許出願第2019-230938号に基づく優先権を主張するものであり、同日本国出願の全内容を本願に参照により援用する。
【符号の説明】
【0130】
1 溶解炉
2 収容空間
3 側部
5 底部
7 上面
9 下面
10 貫通孔
11 側壁
12 冷却部材
13 第1の部分
15 第2の部分
17 隙間
20 電極
22 本体
24 リード部材
26 先端
28 給電装置
100 第1のヒータ
102A 第1のヒータ端部
102B 第2のヒータ端部
110 内部空間
120 発熱部材
122 第1の発熱部
124 第2の発熱部
130 筒状部材
139 ツバ部
170 蓋部材
172A 第1の開口
172B 第2の開口
175A 第1の絶縁部材
175B 第2の絶縁部材
180A 第1のリード線
180B 第2のリード線
MG 溶融ガラス