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特許7618948電子顕微鏡を用いる生命科学試料の連続微細切片からナノメートル解像度3D画像データを記録するための自動ロバスト法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-14
(45)【発行日】2025-01-22
(54)【発明の名称】電子顕微鏡を用いる生命科学試料の連続微細切片からナノメートル解像度3D画像データを記録するための自動ロバスト法
(51)【国際特許分類】
   H01J 37/22 20060101AFI20250115BHJP
   H01J 37/28 20060101ALI20250115BHJP
【FI】
H01J37/22 502H
H01J37/22 502A
H01J37/28 B
【請求項の数】 16
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020110112
(22)【出願日】2020-06-26
(65)【公開番号】P2021009840
(43)【公開日】2021-01-28
【審査請求日】2023-06-16
(31)【優先権主張番号】62/868617
(32)【優先日】2019-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】501233536
【氏名又は名称】エフ イー アイ カンパニ
【氏名又は名称原語表記】FEI COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ハロルド,フェリッペオウ
(72)【発明者】
【氏名】コディ,レヴィエン
(72)【発明者】
【氏名】ティルマン,フランケ
【審査官】後藤 慎平
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0122854(US,A1)
【文献】特開2007-299768(JP,A)
【文献】特開2014-075192(JP,A)
【文献】特開2011-076960(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01J 37/00-37/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
走査型電子顕微鏡における画像生成の方法であって、
プロセッサにより、
並んで配置された一連の試験体切片に対応するプレビュー画像のセットを得ることと、
前記プレビュー画像の見当を合わせるように、前記プレビュー画像のセットの前記プレビュー画像の各々を位置合わせするために処理することと、を含み、
前記方法は、
複数の試験体切片に対応する画像エリアを含む画像を得ることと、
前記試験体切片に対応する前記画像エリアを特定するように、前記画像を処理することと、
前記試験体切片の場所を確立することと、をさらに含み、
前記プレビュー画像の各々がそれぞれの試験体切片に対応し、
前記方法は、
前記試験体切片に対応する前記画像エリアの位置合わせに対応するステージ座標を決定することと、
選択された切片の各々の関心領域(ROI)を得ることと、前記プレビュー画像の位置合わせに基づき、前記ROIの少なくとも一部分の3次元再構成されたものを作り出すことと、をさらに含む、方法。
【請求項2】
前記プレビュー画像が、前記プレビュー画像のうちの1つ以上における少なくとも1つの特徴に基づき、見当合わせのために処理される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
さらに、各プレビュー画像が、前記プレビュー画像のセットから選択された基準プレビュー画像に基づき、見当合わせのために処理される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
試験体の関心領域(ROI)に対応する切片画像のセットを得ることをさらに含み、前記切片画像が前記プレビュー画像に対応する解像度よりも高い解像度を有し、前記切片画像が、見当が合わせられたプレビュー画像に基づき位置合わせされる、請求項1~3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
各プレビュー画像が、前記プレビュー画像のセットから選択された検索テンプレートの相関関係に基づき、見当合わせのために処理される、請求項1~4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記プレビュー画像のセットが、N個のプレビュー画像0、...、Nを含み、Nが整数であり、少なくとも1つのプレビュー画像が、前記プレビュー画像のセットから選択された検索テンプレートに基づき、見当合わせのために処理される、請求項1~5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
i番目のプレビュー画像が(i-1)番目のプレビュー画像との比較によって見当が合わせされ、iが、1よりも大きく、Nよりも小さい整数である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記プレビュー画像の見当を合わせるように、前記プレビュー画像のセットの前記プレビュー画像の各々を処理することが、前記プレビュー画像を位置合わせすること、または位置合わせに対応する画像変換を格納することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記プレビュー画像が第1の解像度に対応しており、前記見当が合わせられたプレビュー画像に基づき、第2の解像度を有する関心領域(ROI)画像のセットを得ることをさらに含み、前記第2の解像度が前記第1の解像度よりも高い、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
請求項1~9のいずれかに記載の方法を実行するシステムであって、
複数の試験体切片を含む基板の概観画像を得るように位置付けられた光学撮像素子と、
前記基板の前記概観画像を受信し、前記複数の試験体切片に対応する画像部分の位置を特定するように結合された第1の画像プロセッサと、
前記試験体切片の各々の選択した部分に対応するプレビュー画像を作り出すように構成された荷電粒子ビーム画像化システム(CPB画像化システム)と、
前記プレビュー画像を受信し、かつ前記プレビュー画像の位置合わせを決定するように結合された第2の画像プロセッサと、を備える、システム。
【請求項11】
前記CPB画像化システムが、前記試験体切片の各々に対応するROI画像を作り出し、かつ前記プレビュー画像の前記位置合わせに基づき、前記ROI画像を位置合わせするように構成されている、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記第1の画像プロセッサと前記第2の画像プロセッサとが同じ画像プロセッサである、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記光学撮像素子によって作り出された前記基板の画像が第1の解像度を有し、前記プレビュー画像が、前記第1の解像度よりも高い第2の解像度を有し、ROI画像が前記第2の解像度よりも高い第3の解像度を有する、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記第1の画像プロセッサが、切片テンプレートとの相関関係に基づき、前記複数の試験体切片に対応する画像部分の位置を特定するように結合されている、請求項12に記載のシステム。
【請求項15】
前記第2の画像プロセッサが、1つ以上の検索テンプレートとの相関関係に基づき、または特徴識別に基づき、前記プレビュー画像を位置合わせするように結合されている、請求項12に記載のシステム。
【請求項16】
基板ステージをさらに備え、前記第1の画像プロセッサが、前記試験体切片の画像の位置合わせに対応する基板ステージ場所を決定するように結合され、前記第2の画像プロセッサが、前記プレビュー画像の位置合わせに対応する基板ステージ場所を決定するように結合されている、請求項14に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年6月28日に出願された米国仮特許出願第62/868,617号の利益を主張し、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、走査型電子顕微鏡を使用して、複数の切片の正確に一致したサブエリアの取得に関する。
【背景技術】
【0003】
組織試料の極細構造情報は、ライフサイエンス研究においてますます重要になっている。走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)は高分解能の画像を得ることができるが、組織試料は、SEM分析に必要な二次電子または後方散乱電子を効率的に生成することができない。そのため、試料は重金属(オスミウム、鉛など)で染色された後、樹脂製ボックに埋め込まれてトリミングや切除が行われる。これらの結果として得られたブロックは、約1mmの大きさである。SEMでの画像形成は、電子が効率的にブロック内に約30nmよりも深くまで浸透しないため、ブロック表面に限られる。3D画像データを生成するためには、ブロックを連続切片に切断するか、画像化の際にブロック表面から薄い層を除去する必要がある。シリアルブロックフェース画像化またはFIB-SEMデュアルビーム画像化のような層の除去に基づくアプローチは、試料を破壊し、ユーザは、切片がイメージの再適用することができない時に、画像化の際に大規模データを取得する必要がある。いわゆるアレイトモグラフィーにおいて使用される切片に試料を切断して、各切片は必要に応じてイメージの再適用することができ、ユーザは試料破壊に関わる必要がない。市販のウルトラミクロトームは、50nmの切片を再現性よく切断することができ、次に、100~300個の連続切片は、通常は10cmウェハまたは最大10cmの面積の金属板の、導電性支持体上に置かれる。
【0004】
組織ブロック全体から高解像度の画像データを取得する必要はほとんどない。また、10×10×50nm画素解像度の解像度で記録された1mmブロックは、3ペタバイトのデータに相当し、3μsのビーム滞留時間で記録するには105日かかることは、実現可能ではない。目的体積または関心は、典型的には、1個または数個の生体細胞のサイズ、すなわち、30μm~100μmに相当する。連続切片のSEM画像化における主な障害は、試料支持体の表面上に散在している連続切片の数百の各々において、同じ30μm~100μmのエリアにナビゲートされる。SEM技術者はこの方法でナビゲートすることができるが、適切な切片の場所を特定し、切片のこれらの部分を整列させるために、数時間から数日間という非常に長い時間が必要になる可能性がある。これらの理由およびその他の理由により、代替的なアプローチが必要とされる。
【発明の概要】
【0005】
開示されているのは、高精度で、すなわち、画像化エリアの配置の切片間の変動を最小限に抑えた状態で、標本切片の選択された部分を高精度で画像化することを可能にする方法および装置である。いくつかの例では、プレビュー画像は、プレビュー画像のうちの1つ以上において少なくとも1つの特徴に基づいて見当合せのために処理される。代替的に、各プレビュー画像は、プレビュー画像のセットから選択された検索テンプレートに基づいて見当合せのために処理される。典型的な例では、ROIに関連付けられた標本画像のセットが得られ、標本画像は、プレビュー画像に関連付けられた解像度よりも高い解像度を有する。いくつかの例では、各プレビュー画像は、プレビュー画像のセットから選択された検索テンプレート画像との相関関係に基づいて見当合せのために処理される。特定の例では、プレビュー画像のセットは、N個のプレビュー画像0、...、Nを含み、ここで、Nは整数であり、少なくとも1つのプレビュー画像は、プレビュー画像のセットから選択された検索テンプレート画像に基づいて見当合せのために処理される。例えば、i番目のプレビュー画像は、(i-1)番目のプレビュー画像と比較することにより見当合せされ、ここで、iは1より大きくN未満の整数である。いくつかの実施形態では、プレビュー画像のセットのプレビュー画像の各々は、プレビュー画像を位置合わせするか、または位置合わせに関連付けられた画像変換を格納することによって見当合せされる。さらなる例では、プレビュー画像は第1の解像度に関連付けられ、第2の解像度を有するROI画像のセットは、見当が合ったプレビュー画像に基づいて取得され、第2の解像度は第1の解像度よりも高い。
【0006】
他の代替例では、複数の標本切片に関連付けられた画像エリアを含む画像が得られ、標本切片に関連付けられた画像エリアを識別するために処理される。切片の位置は、識別された画像エリアに基づいて確立され、プレビュー画像の各々は、それぞれの標本切片に関連付けられている。代表的な例では、標本切片に関連付けられた画像エリアの位置合わせに関連付けられたステージ座標が取得され、かつ格納される。典型的な例では、選択された切片の各々についてROI画像が得られ、プレビュー画像の位置合わせに基づいて、またはプレビュー画像の位置合わせに基づいて位置合わせされた高解像度画像に基づいて、ROIの少なくとも一部分の3次元再構成が生成される。
【0007】
システムは、複数の標本切片を含む基板の概観画像を取得するために配置された撮像素子を備える。第1の画像プロセッサは、概観画像を受信し、複数の標本切片に対応する画像部分の位置を特定するために結合される。荷電粒子ビーム(CPB:Charged Particle Beam)画像化システムは、各標本切片の選択された部分に対応するプレビュー画像を生成するように構成される。第2の画像プロセッサは、プレビュー画像を受信し、プレビュー画像の位置合わせを決定するために結合される。いくつかの例では、CPB画像化システムは、各標本切片に対応したROI画像を生成し、プレビュー画像の位置合わせに基づいてROI画像を位置合わせするように構成される。代表的な例では、第1の画像プロセッサと第2の画像プロセッサは同じ画像プロセッサである。他の例では、概観画像は第1の解像度を有し、プレビュー画像は第1の解像度よりも高い第2の解像度を有し、ROI画像は第2の解像度よりも高い第3の解像度を有する。いくつかの例によれば、第1の画像プロセッサは、切片テンプレートとの相関関係に基づいて、複数の標本切片に関連付けられた画像部分の位置を特定するように結合される。さらなる例では、第2の画像プロセッサは、1つ以上の検索テンプレートとの相関関係に基づいて、または特徴識別に基づいて、プレビュー画像を位置合わせするように結合される。いくつかの例では、第1の画像プロセッサは、標本切片の画像の位置合わせに対応する基板ステージ位置を決定するように結合され、第2の画像プロセッサは、プレビュー画像の位置合わせに対応する基板ステージ位置を決定するように結合される。
【0008】
方法は、プロセッサを使用して、切片テンプレートに基づいて、3D試料の複数の切片の概観画像において、3D試料標本の複数の標本切片を識別することを含み、概観画像は、第1の画像解像度に関連付けられた光学画像である。識別された複数の標本切片の画像が見当合せされ、識別された切片の画像の少なくとも選択されたセットにおける関心領域を含む絞り込み領域が選択される。絞り込み領域の各々を含むプレビュー画像が得られ、プレビュー画像は、第1の画像解像度よりも高い第2の画像解像度を有する電子ビームベース画像である。プレビュー画像は、特徴識別を用いて互いに関連して見当合せされ、ROIに関連付けられた電子ビームベース画像は、プレビュー画像のそれぞれについて取得され、電子ビームベース画像は、第2の画像解像度よりも高い第3の画像解像度を有する。見当が合ったプレビュー画像の各々に対して、ROIに関連付けられた見当が合った電子ビームベース画像が格納される。
【0009】
開示された技術のこれらおよび他の特徴は、添付の図面を参照して以下に示される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1A】切片試料からの画像の位置合わせと見当合せの代表的な方法を示す。
図1B】切片試料からの画像の位置合わせと見当合せの代表的な方法を示す。
図2A】切片画像の位置合わせに関連した画像を示す。
図2B】切片画像の位置合わせに関連した画像を示す。
図2C】切片画像の位置合わせに関連した画像を示す。
図2D】切片画像の位置合わせに関連した画像を示す。
図2E】切片画像の位置合わせに関連した画像を示す。
図2F】切片画像の位置合わせに関連した画像を示す。
図2G】切片画像の位置合わせに関連した画像を示す。
図2H】切片画像の位置合わせに関連した画像を示す。
図2I】切片画像の位置合わせに関連した画像を示す。
図3】見当が合った画像を生成する代表的な画像化装置を示す。
図4】画像取得および処理を制御するための代表的なコンピューティング環境を示す。
図5】画像を位置合わせする方法を示す。
図6A】切片画像を位置合わせする代表的な方法を示す。
図6B】切片画像を位置合わせする代表的な方法を示す。
図6C】切片画像を位置合わせする代表的な方法を示す。
図6D】切片画像を位置合わせする代表的な方法を示す。
図6E】切片画像を位置合わせする代表的な方法を示す。
図7】3D断層撮影のための一連の画像を取得するための代表的な方法を示す。
図8A】歪みのある場合とない場合の切片画像を示す。
図8B】歪みのある場合とない場合の切片画像を示す。
図8C】テープ上に位置付けられた切片を示す。
図8D】画像化視野内の異なる切片位置で取得された切片画像に関連する切片画像アーチファクトを示す。
図8E】画像化視野内の異なる切片位置で取得された切片画像に関連する切片画像アーチファクトを示す。
図8F】画像化視野内の切片を位置合わせすることにより、切片画像のスティッチングに関連する切片画像アーチファクトを低減または除去することを示す。
図8G】画像化視野内の切片を位置合わせすることにより、切片画像のスティッチングに関連する切片画像アーチファクトを低減または除去することを示す。
図9A】リボン状の標本切片を有するプレビュー画像を使用して、画像スタック内の画像の位置合わせを示す。
図9B】リボン状の標本切片を有するプレビュー画像を使用して、画像スタック内の画像の位置合わせを示す。
図9C】リボン状の標本切片を有するプレビュー画像を使用して、画像スタック内の画像の位置合わせを示す。
図9D】リボン状の標本切片を有するプレビュー画像を使用して、画像スタック内の画像の位置合わせを示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
定義と用語
本明細書で使用されるように、「画像」とは、ディスプレイ上に提示されるか、またはユーザによって閲覧が可能にされる閲覧可能な画像、およびそのような閲覧可能な画像を生成するように適合された格納された表現を指す。このような表現の例としては、.jpg、.tiff、.bmpなどの形式のファイルを含み、ハードディスクドライブ、メモリなどのコンピュータ可読媒体に格納されているか、または別の方法で格納されている。画像は、x、yがデカルト座標である場合、強度I(x、y)などの座標の関数として、強度または他の値を格納することができる。他の表現は、デカルト座標、極座標、その他の座標を使用する3次元表現なども可能である。便利な説明のために、方法は、特定のステップのシーケンスとして説明されているが、いくつかの場合には、これらのステップは、異なる順序で実行することができ、1つ以上のステップが同時に進行中であってもよい。場合によっては、画像または画像部分は、位置合わせされる、または位置合わせ中と呼ばれる。本明細書で使用されるように、これらの用語は、切片化する前の標本の位置および向きに対応するように重なり合うように、回転および/または並進によって処理された標本切片の画像を指す。代替的に、これらの用語は、回転、並進、または切片化の前に標本の位置および向きを有する画像を生成することを可能にする他の処理、を識別するために処理された画像を指す。例えば、すべての画像が共通の座標系で指定されるように画像座標を更新することができるか、または、それぞれの画像は、自身の座標系または他の座標系に関して定義することができるが、オフセットおよび/または回転を利用して、必要に応じて画像を重ね合わせたり、その他の方法で位置合わせさせたりすることができる。いずれの場合も、画像は、その後、切片画像のスタックを介して標本の構造を決定するために使用することができる。位置合わせは、好適な画像を取得するための光学顕微鏡またはCPB顕微鏡のステージ座標を決定するために使用することができる。
【0012】
いくつかの例では、1つ以上の参照画像またはテンプレートとの相関が、画像位置合わせを決定するために使用される。固定または可変の参照またはテンプレートを使用することができる。典型的には、レイヤー画像の正確な位置合わせは、スタック内の切片画像によって異なる可能性のある参照画像を使用する。例えば、参照に関して位置合わせのために処理された画像は、後続の画像を位置合わせするための参照として使用することができる。参照画像は、少なくともスタック内の切片画像を変更することができ、または2番目、3番目、4番目、5番目、またはその他の間隔ごとに変更することができる。特徴はレイヤーからレイヤーへと追跡することができ、または、レイヤー間の相関を計算し、相関の最大値を使用して位置合わせを示すことができる。
【0013】
実施例の概要
例は、ミクロトームを使用して得られた標本の処理切片で説明されている。複数の切片が基板上に位置特定され、第1の位置合わせ手順(「大まかな位置合わせ」)が、基板の概観画像に含まれる切片画像の中から典型的にはユーザによって選択される切片テンプレートとの比較または相関に基づいて、切片を互いに対して位置付けるために使用される。第2の位置合わせ手順(「緻密な位置合わせ」)では、いくつかの切片またはすべての切片のいわゆるプレビュー画像が得られる。選択された切片からROIテンプレートが選択され、ROIテンプレートとの比較または相関関係に基づいて、第1のプレビュー画像が位置合わせされる。位置合わせされた第1のプレビュー画像に基づいて、ROIテンプレートが更新され、更新されたROIテンプレートとの比較または相関関係に基づいて、第2のプレビュー画像が位置合わせされる。このプロセスは、関心のあるすべてのプレビュー画像に対して繰り返される。その後、ROIはユーザによって選択され、位置合わせされた高解像度画像は、いくつかの切片またはすべての切片から取得することができる。下で考察される例では、概観画像は光学画像であり、その後の画像(プレビュー画像および高解像度画像)は電子ビーム画像である。しかしながら、光学画像または荷電粒子ビーム画像は、電子顕微鏡、光学顕微鏡、光走査型顕微鏡、イオンビーム画像などで生成されたものに使用することができる。
【0014】
実施例1.標本切片からのトモグラフィー画像
開示された方法および装置は、生物学的標本などの標本の3Dおよび他の画像化で使用することができる。代表的な方法100を、図1に示す。102で、標本ブロックまたは他の3D標本が取得される。次に、試料ブロックは、例えば、高精度ミクロトームを用いて104で切片化され、切片は、一般的には、標本ブロックから除去された順に基板上に配置される。シリコンウェハは便利な基板である。複数の標本切片を保持する1つ以上の基板のセットを、本明細書では「アレイトモグラフィー試料」または単に「試料」と呼ぶ。切片は、一般的には逐次的な順序付けがより便利であるが、必要に応じて切片の順序を保持するために、切片の適切な追跡を用いて任意に配置することができる。例えば、切片の順序は105に格納することができる。1mmの標本ブロックから得られた切片は、一般的には単一の基板に適合せず、10~100枚のウェハが必要になる可能性がある。ほとんどの例では、切片は、平行な軸(例えば、左から右へ)に沿って延在する行に配置され、それぞれの後続の行は、先行する行の初期切片の位置に近接する新しい行の位置から始まる。代替的に、前の行の最後の切片の近くに切片を配置することで、新しい行を開始することができ、行が完了すると左端の位置に戻る。詳細に考察されてないが、標本ブロックおよび切片は、必要に応じて、光学顕微鏡または電子ビーム顕微鏡用に染色またはラベル付けすることができる。例えば、蛍光免疫ラベルおよび重金属は、それぞれ光顕微鏡および電子ビーム顕微鏡に使用することができる。場合によっては、切片はテープ上に配置され、テープは次に基板上に配置される。基板は、光および電子ビーム画像化のための位置決めのためのステージに結合されており、特徴および画像の位置は、ステージ座標および回転に基づいて指定することができる。
【0015】
基板上に配置されたままの切片(すなわち、試料)は、カメラなどの光学画像化デバイス108で画像化され、1つ以上の概観画像が得られる。以下では便宜上、単一の基板および単一の概観画像のみが必要であると想定している。概観画像は、通常はセクションを保持する基板表面の平面内のx軸およびy軸を有する座標系内のxy座標として、切片を識別し、関連する位置を取得するために、110で処理される。ステージの位置(および向き)は、各々のセクションに割り当てられ、111で記録される。切片は、ユーザ定義のテンプレートと、例えば、テンプレートとの光学画像の相互相関を使用した概観画像と、を使用して検出することができる。テンプレートは通常、概観画像の切片画像の中から選択され、本明細書では「切片テンプレート」と呼ばれる。1つ以上の概観画像の複数の部分は、切片をより迅速に識別して配置することができるように、並行して相互相関を用いて処理することができる。約2μm/画素の画像解像度が使用されるため、画像またはその一部分を相関演算で使用することができるが、高解像度画像では、連続した画像間の差異が大きすぎて相互相関がうまくいかない場合がある。特定の切片の画像を識別して、すべての切片の場所の切片テンプレートとして使用することができる。
【0016】
切片が位置特定されて順序付けられた状態で、切片プレビュー画像(通常は電子ビームを使用して)が112で得られる。プレビュー画像は、関心領域(ROI)を含む切片の部分に関連付けられている。いくつかの例では、プレビュー画像は、切片画像上に提供されるユーザのアウトラインに基づいて取得され、そのような選択のためにグラフィカルユーザインターフェースを提供することができる。プレビュー画像は通常、セクション全体をカバーし、切片テンプレートで定義されたサイズに1%、5%、または10%を加えたものだが、他のサイズを使用することもできる。これらのプレビュー画像は通常、切片の場所で使用される解像度よりも優れた解像度(例えば、1μm/画素以上の解像度)で取得される。プレビュー画像は、画像内の歪み、画像間の可変倍率などの可変的なアーチファクトを示すことができる。その結果、通常、ステージ位置では、プレビュー画像の様々な場所にあるROIの切片の完全な、または満足のいくスタック位置合わせが提供されない。しかしながら、各ROIに好適な場所は、各ROIの画像部分の中の画像部分とそれに近接する画像部分を位置合わせさせることができるように、処理中に更新することができる検索テンプレートを使用して、特徴ベースの画像位置合わせまたは画像相関を使用して取得することができる。検索テンプレートは通常、第1のプレビュー画像の少なくとも一部分として選択される。114で、プレビュー画像は、検索テンプレートを使用して1つのプレビュー画像から次のプレビュー画像への画像特徴を追跡することによって位置合わせされる。いくつかの例では、追跡に使用される特徴は、標本の変動性に対応するために1つ以上のプレビュー画像が位置合わせされた後に更新され、各プレビュー画像が処理された後に検索テンプレートが更新される。いくつかの例では、選択されたプレビュー画像は、1つ以上の他のプレビュー画像との相互相関のための検索テンプレートとして使用される。処理中に、必要に応じて検索テンプレートを更新することができる。各ROIは通常、画像の歪みや他の画像アーチファクトのために、独立した特徴ベースの位置合わせまたは他の位置合わせを必要とするが、十分に近接したROIは、そうではない場合がある。許容可能な近さの程度は、画像アーチファクトの大きさと近接性の関数である可能性があり、各ROIに対して専用の特徴ベースの位置合わせを使用して、各ROIを位置合わせすることは、より便利であり得る。116では、プレビュー画像の位置合わせおよび登録値を取得し、115では、通常はコンピュータ可読媒体に格納することができる。
【0017】
画像スタックが位置合わせされると、高解像度画像(例えば、2nm/画素)を118で取得し、120で3D再構成に使用することができる。いくつかの例では、プレビュー画像の位置合わせは、通常、最初のプレビュー画像よりも高い解像度を有する追加のプレビュー画像を取得して処理することによって、繰り返され得る。追加のROIが調査される場合、処理は112に戻り、追加のROIに関連付けられた好適なプレビュー画像が得られ、処理される。この例では、切片は以前に位置特定されており、関連する方法のステップは不要である。
【0018】
実施例2.画像の位置合わせのプレビュー
図1Bは、プレビュー画像または他の画像部分を使用する画像スタック位置合わせの代表的な方法150を示す。説明を簡単にするために、図1Bは、切片0、1、2、…、Nの画像スタックを参照して考察されており、ここで、Nは整数であり、切片0は最上位の切片である。152では、プレビュー画像のセットを受信し、154では、検索テンプレートが選択され、通常、0番目の切片(または他の切片)のプレビュー画像が選択される。156では、i番目の層のプレビュー画像が選択され、158では、通常、相互相関を使用して、検索テンプレートと比較され、位置合わせされる。160では、登録座標は、通常、後続の位置合わせのためのステージ座標として格納される。162では、追加のプレビュー画像を位置合わせするかどうかが決定され、位置合わせする場合には、154で、更新された検索テンプレートが選択される。いくつかの例では、更新された検索テンプレートは、以前に位置合わせして使用されたi番目の画像であるが、他の例では、初期の参照画像(0番目の画像)が使用される。他の例では、2、5、10、20、50、または100枚の画像を処理した後に、異なる更新された検索テンプレートが選択されるか、またはごく最近使用されたプレビュー画像が選択されることができる。切片スタックを介して更新された検索テンプレートを変化させることで、スタック全体で変化する画像特徴が存在する場合でも登録を維持することができる。いくつかの例では、最初に選択された更新された検索テンプレートのみが適切であり、いずれのプレビュー画像も使用することができる。より一般的には、更新された検索テンプレートを切片から切片へと継続的に更新することで、漸進的に変化する生物学的構造の場合でも、何百もの切片にわたる登録が可能になる。位置合わせが完了すると、プレビュー画像のROI部分を使用して、最終的な高解像度画像を取得し、対象となるボリューム領域の3D画像を確立することができる。
【0019】
スタックの位置合わせはスタック内から進めることができ、上部または下部の切片から始める必要はない。例えば、k番目のプレビュー画像は、更新された検索テンプレートとして選択されることができ、(k-1)番目と(k+1)番目のプレビュー画像を位置合わせして、好みに応じて検索テンプレートを更新することができる。プレビュー画像は連続して処理することができ、または、好みに応じて複数のプレビュー画像を並行して処理することができる。
【0020】
関心のある試料部分は、通常、試験体ブロックの選択された部分を通ってのみ延在している。このような例では、すべての切片および切片のすべてのエリアに対応する画像は不要である。ユーザは、グラフィカルユーザインターフェースを使用して、任意の切片と関心のあるエリアを便利に選択することができる。
【0021】
実施例3.代表的な試験体処理
図2A~2Iは、試験体処理およびROI画像の位置合わせを示す。図2Aは、代表的な試料切片206のような試料切片を保持する代表的なテープストリップ204のような一連のテープストリップを支持する基板202の画像200を示す。12個のテープストリップが示されているが、より多くまたはより少なく使用することができ、試料切片は、基板202上に直接置くことができる。複数のこのような基板は、試験体のすべての切片を保持するために必要とされる場合がある。画像200は概観画像であり、概観画像200の特定の画像部分208が選択され、単一の切片の画像210を含む。画像部分208は、通常は、概観画像200との切片テンプレートの相関関係を使用して、他の切片を識別して位置を特定する際に切片テンプレートとして使用するために選択され、次に、相関係数の大きな値に対応する相対的な変位が識別され、切片画像の場所が確立されるように座標が取得される。
【0022】
図2Bは、切片220、221がさらに図2Cに示されている、フレーム209などのフレームによって示されているように識別されている複数の切片の画像を含む画像部分212を示す。これらの切片の各々の画像は、2次元xy座標系の関連する座標軸を用いて示される。例えば、図2D~2Eに示されるように、切片220、221は、それぞれの座標軸230、231に対応している。この例では、切片寸法は約1mm×0.5mmであり、それぞれの座標軸230、231に対する画像化領域240、241の位置が回転角rと共に示されている。画像化領域は、一般に、選択された切片のみにおいて必要とされ、切片は、図2F~2Gに示されるように、関心のあるすべての切片を通って延在するトレース250で都合よく選択することができる。切片の選択は、表示された基板の画像上にトレース250を描画する方法や、コンピュータベースのポインティングデバイスを使用して切片を描画する方法など、様々な方法で行うことができる。カーソル256は、トレース250を確立する際に使用することができ、マウス、トラックパッド、キーボード、または他のデバイスのためのコンピュータ実行可能命令を介して操作することができる。
【0023】
選択された切片は識別され、互いに対して指定された場所にあるが、一般的に関心領域(ROI:Region Of Interest)にうまく位置合わせされない。位置合わせおよび見当合せは、倍率誤差、回転エ誤差、広い視野で取得されたタイル張りのSEM概観画像の非線形歪み、切片の境界での不一致によって制限され、切片は、スタックにおいて十分な位置合わせと配置をすることができない。図2H~2Iに示すように、切片220の一部分260が選択され、エリア261のプレビュー画像262が取得される。プレビュー画像262およびエリア261は、関心のある試験体の特徴を含むROIを含むように選択される。プレビュー画像262は通常、概観画像などの以前の画像よりも高解像度の画像である。他の選択された切片のためのROIを含むプレビュー画像も同様に取得することができ、その後、プレビュー画像は、上で考察されたように相関関係または他のプロセスを使用して位置合わせされる。プレビュー画像ベースの位置合わせでは、初期または以前に位置合わせされたプレビュー画像またはその一部分を検索テンプレートとして使用することができ、検索テンプレートは各プレビュー画像を処理した後に更新される。各切片からのプレビュー画像は位置合わせされることができ、通常は、トレース250で示されたプレビュー画像のみが位置合わせされるが、いくつかの例では、数百のそのようなプレビュー画像が選択される。
【0024】
プレビュー画像の位置合わせの後、プレビュー画像は、ROIの3D画像を生成するのに使用するために提供されることができる。代替的に、この位置合わせにより、より高解像度の画像を取得することができ、基板ステージを、切片を好適に配置するために使用することができる。必要に応じて、これらの追加の画像も位置合わせすることができる。いずれの場合も、結果の画像スタックにより、オペレーターの介入を最小限に抑えて3D再構成が可能になる。
【0025】
いくつかの例では、ユーザがROIを囲むエリアを指定し、線形角度(例えば、xy座標)と回転角度の両方が検索テンプレートと一致するように調整される。例えば、ROIは検索テンプレートとして第1の切片から選択され、第2の切片の対応する部分は、適切な並進と回転を適用して一致するように位置合わせされる。第1の切片と第2の切片を位置合わせした状態で、第2の切片の画像中のROI周辺の画像部分を選択して、第3の切片の処理に使用する。このプロセスは、関心のあるすべての切片が処理されるまで続く。いくつかの例では、画像は調整されないが、好適なxyオフセットおよび回転角度は、その後の画像処理で使用するために保存される。上で考察されたように、切片の他のエリアは、異なるオフセットおよび回転を必要とし、画像は、複数のエリアのために取得され、処理され、位置合わせされ、格納されることができる。
【0026】
実施例4.画像化システム
図3を参照すると、画像化システム300は、それぞれ、イオンビーム源304、イオンビーム305を生み出す電子ビーム源306、および電ビーム307に結合されているシステムコントローラ302を含む。それぞれのスキャナ312、314は、試験体320に対して、それぞれ、走査式イオンビーム313および走査式電子ビーム315を向けるように置かれている。用途によっては、画像は走査式電子ビーム315に基づいて得られ、試験体修正に走査式イオンビーム313が使用される。しかしながら、走査式イオンビーム313および走査式電子ビーム315のいずれか1つでも、その両方でも、画像を得ることができる。場合によっては、画像化システムは、電子ビーム源およびイオンビーム源のうちの1つのみを含む。多くの生体試験体では、電子ビームのみが必要とされる。
【0027】
試験体320は、ステージコントローラ324に結合されているステージ322に固定され、ステージコントローラ324は、システムコントローラに302に結合されている。ステージ322は、通常、システムコントローラ302により導かれるのに応じて1つ以上の並進、回転、または傾きをもたらすことができる。走査式イオンビーム313または走査式電子ビーム315に反応するビーム326が、1つ以上のアナログ-デジタル変換回路(ADC:Analog-to―Digital Convertor)、デジタル-アナログ変換回路(DAC:Digital-to-Analog Convertor)、増幅器、ならびに検出器328の制御および検出器328に関連する信号の処理(増幅、デジタル化、バッファリング)用のバッファを含み得るシステム電子機器330に結合されている電子またはイオン検出器328に向けられる。他の例では、システム電子機器によってさらに処理される電気信号を生み出す光子検出器が使用される。ほとんどの実用例では、少なくとも1つのADCを使用して、画像などの1つ以上の有形のコンピュータ可読媒体(画像記憶域332として示す)に格納され得る、デジタル化検出器信号を生み出す。他の例では、画像記憶域は、有線または無線のネットワーク接続などの通信接続を介して遠く隔たっている。ビーム326は、走査式イオンビーム313、走査式電子ビーム315、二次電子、イオン、または中性原子の散乱部分であり得る。カメラなどの光学撮像素子351が、試験体320の画像を作り出すように、例えば、複数の基板切片を表す基板画像を作り出すように結合される。上述の通り、このような画像は、電荷粒子ビーム(CPB:Charged Particle Beam)を使用したさらなる(通常、より高い解像度の)画像化の対象の切片の各々を特定し、位置特定し、位置合わせするように処理され得る。
【0028】
システムコントローラ302は、切片識別336、相関および特徴位置合わせ340、ROIおよびプレビュー画像エリアの選択338、概観画像の格納および取得339、検索テンプレートの選択および更新341などの画像処理のための実行可能命令を格納するメモリ335に結合されて、処理対象であり、また対象の切片を表す目に見える跡を画定する切片を選択することを含む様々な機能をGUI342に与える。画像(CPBおよび光学の両方)は、メモリ部分332に格納され得る。ステージ座標(回転を含む)も、同様にメモリ部分332に格納され得る。システムコントローラ302は、画像取得パラメータを設定し、ステージコントローラ324と通信状態にある。試験体画像(プレビュー画像、切片画像、基板画像、概観画像など)がディスプレイ352上に提示され得、メモリ335からの、または1つ以上のユーザ入力デバイス350を用いてユーザによって提供される内部格納値を使用して、システム制御および画像化パラメータが明示され得る。
【0029】
図3のレイアウトが、便宜上の図示であり、様々なビーム源、光学カメラ352、およびCPB検出器の実際の位置合わせが示されていないことが分かるであろう。デュアルビーム(イオン/電子)システムが示されているが、一方でも両方でも使用することができ、電子顕微鏡などの多くの実用例では、画像化には、電子ビームのみが使用される。
【0030】
実施例5.代表的なコンピューティング環境
図4および以下の考察は、開示された技術が実装されることができる例示的なコンピューティング環境の簡潔で一般的な説明を提供することを意図している。特に、このコンピューティング環境のいくつかまたはすべての部分を上記の方法および装置で使用して、例えば、切片画像、プレビュー画像、および画像記憶域を特定し、位置合わせするように、ビーム走査および画像処理を制御することができる。必須ではないが、開示された技術は、パーソナルコンピュータ(PC)によって実行されるプログラムモジュールなどのコンピュータ実行可能命令の一般的なコンテキストで記述される。一般に、プログラムモジュールは、特定のタスクを実行するまたは特定の抽象データ型を実施するルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、データ構造などを含む。また、開示された技術は、ハンドヘルドデバイス、タブレット、マルチプロセッサシステム、マイクロプロセッサベースのまたはプログラム可能な家電製品、ネットワークPC、ミニコンピュータ、メインフレームコンピュータなどを含む、他のコンピュータシステム構成で実装され得る。開示された技術はまた、タスクが通信ネットワークを介してリンクされているリモート処理デバイスによって実行される分散型コンピュータ環境においても実行することができる。分散型コンピュータ環境では、プログラムモジュールは、ローカルおよびリモートメモリ記憶デバイスの両方に位置特定されることができる。場合によっては、このような処理は、SEMにおいてもたらされる。本開示のシステムは、画像取得を制御し、ユーザインターフェースを提供する役割を果たすことができると共に、画像プロセッサとして働くこともできる。
【0031】
図4を参照すると、開示された技術を実施する例示的なシステムは、1つ以上の処理ユニット402、システムメモリ404およびシステムメモリ404を含む様々なシステムコンポーネントと1つ以上の処理ユニット402を連結するシステムバス406を含み、例示的な従来のPC400の形態である、汎用コンピューティングデバイスを含む。システムバス406は、任意のバスアーキテクチャを使用する、メモリバスまたはメモリコントローラ、周辺バス、およびローカルバスを含む数種のバス構造物のどれであってもよい。例示的なシステムメモリ404は、読取専用メモリ(ROM)408およびランダムアクセスメモリ(RAM)410を含む。ROM408には、PC400内の要素間の情報の転送を助ける基本ルーチンを包有する基本入出力システム(BIOS)412が記憶されている。
【0032】
例示的なPC400は、さらに、ハードディスクから読み書きするためのハードディスクドライブ、取り外し可能な磁気ディスクから読み書きするための磁気ディスクドライブ、および取り外し可能な光ディスク(CD-ROMや他の光媒体など)から読み書きするための光ディスクドライブなどの1つ以上の記憶デバイス430を含む。このような記憶デバイスは、それぞれ、ハードディスクドライブインターフェース、磁気ディスクドライブインターフェース、および光学ドライブインターフェースによってシステムバス406に接続することができる。ドライブおよび関連するコンピュータ可読媒体は、PC400用のコンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュール、および他のデータの不揮発性記憶を提供する。他のコンピュータ可読媒体は、磁気カセット、フラッシュメモリカード、デジタルビデオディスク、CD、DVD、RAM、ROMなどのような、PCによってアクセス可能なデータを記憶することができ、例示的な動作環境において使用が可能である。
【0033】
複数のプログラムモジュールは、オペレーティングシステム、1つ以上のアプリケーションプログラム、他のプログラムモジュール、およびプログラムデータを含む記憶デバイス430に記憶されることができる。ユーザは、キーボードおよびマウスなどのポインティングデバイスなどの1つ以上の入力デバイス440を介して、コマンドおよび情報をPC400に入力することができる。例えば、ユーザは、コマンドを入力して、画像取得を始める、または、例えば、帯電領域の位置を特定するのにオプティカルフローを使用するか、もしくはイメージ差を使用するかを選択することができる。他の入力デバイスは、デジタルカメラ、マイクロフォン、ジョイスティック、ゲームパッド、衛星放送受信機、スキャナなどを含むことができる。これらおよび他の入力デバイスは、システムバス406に結合されているシリアルポートインターフェースを通して、1つ以上の処理ユニット402に接続されていることが多いが、パラレルポート、ゲームポート、ユニバーサルシリアルバス(USB:Universal Serial Bus)、または有線もしくは無線のネットワーク接続などの他のインターフェースによって接続されていることもある。モニタ446または他のタイプの表示デバイスも、ビデオアダプタなどのインターフェースを介してシステムバス406に接続され、例えば、1つ以上の切片画像(すなわち、切片を特定し、その位置を特定する際に使用される画像)、プレビュー画像、ROI画像、あるいは生画像、または位置合わせ後の画像もしくは位置合わせに必要な並進および回転の表示値を有する画像などの処理済み画像を表示することができる。モニタ446を使用して、処理対象の切片を選択することもでき、または特定の画像の位置合わせと、相関、特徴識別、およびプレビューエリア選択または他の画像選択などの位置合わせ手順を選択することもできる。スピーカおよびプリンタ(図示せず)などの他の周辺出力デバイスが含められてもよい。
【0034】
PC400は、リモートコンピュータ460などの1つ以上のリモートコンピュータへの論理接続を使用してネットワーク環境で動作することができる。いくつかの例では、1つ以上のネットワークまたは通信接続450が含まれる。リモートコンピュータ460は、他のPC、サーバ、ルータ、ネットワークPC、またはピアデバイスまたは他の共通ネットワークノードであってもよく、典型的には、PC400に関して上述した要素の多くまたはすべてを含むが、図4には記憶デバイス462のみ図示されている。パーソナルコンピュータ400および、またはリモートコンピュータ460は、論理ローカルエリアネットワーク(LAN)およびワイドエリアネットワーク(WAN)に接続することができる。そのようなネットワーキング環境は、オフィス、企業規模のコンピュータネットワーク、イントラネット、およびインターネットでは通常である。いくつかの例では、位置が合わせられた画像のスタックが、3D画像再構成または他の処理のためにリモートシステムに送信される。
【0035】
図4に示すように、メモリ490(または、このメモリもしくは他のメモリの一部分)は、1回分、フレーム時間、ビーム電流、走査速度、および画像処理を確立するために、画像取得のためのプロセッサ実行可能命令を格納する。さらに、メモリ490は、相互相関の設定、画像回転および並進などの画像位置合わせ、基準画像およびROIの選択、位置合わせ用のステージ座標の記録のためのプロセッサ実行可能命令を含む。いくつかの例では、プロセッサ実行可能命令は、切片識別、プレピュー画像の処理、および追加の画像の取得を示す表示画像を作り出す。
【0036】
実施例6.切片画像位置合わせの代表的な方法
図5は、複数の試験体切片の選択部分の位置が合わせられた画像のセットを作り出すための方法500を示す。502では、複数の切片画像を含む基板画像(通常、光学画像)が得られ、表示され、また502において、位置特定された切片画像(通常、SEM画像)が得られ、表示される。506では、プレビュー画像が得られ、508において、1つ以上の切片画像から絞り込み領域が選択される。510では、画像位置が絞り込まれ、512において、位置が合わせられた画像が格納されるかまたは出力される。代替的に、各画像に対して、該当する並進および回転が格納され得、位置が合っていない画像が、これらの並進および回転と共に、出力され得る。場合によっては、方法500は、ほとんどユーザ入力を必要とせず、ROIの選択の後に進む。
【0037】
実施例7.試料調製およびトモグラフィー処理
図6A~6Eには、代表的な方法600が示されている。図6Aを参照すると、602において、動物生検または組織生検が行われ、604において、画像化用に、試料が調製される。生検組織は、2 mm 未満のブロックにトリミングされる。さらに、このブロックは、化学固定、重金属染色、ならびに樹脂含浸および樹脂硬化のうちのいくつかまたはすべてを受け、直列切片化に向けてトリミングされる。典型的な樹脂ブロックは、前面の表面積が0.5~2mmで、厚さが0.5~2mmである。606で、樹脂ブロックが、ウルトラミクロトームを用いて、40~100nm厚の切片に直列的に切片化される。切片は、テープ、ガラス板、またはウェハなどの基板上に集められる。テープが使用される場合、1つまたはいくつかの長さのテープがウェハ上または金属板上に接着される。基板上の切片のこの集まりは、「アレイトモグラフィー試料」または単に「試料」と呼ばれる。場合によっては、この集まりは、複数の基板上に及ぶことがあり、そのすべてが、アレイトモグラフィー試料に含まれ得る。次に、試料は、610において、図6B~6Dに関連して以下でさらに考察されるような放置データ取得に向けて調製され、670において、高解像度画像が得られる。
【0038】
上記610で使用されたものなどのデータ取得準備の方法620が、図6Bに示されている。622では、試料が顕微鏡試験体ステージ上に置かれ、624では、試料上の全切片の座標が決定される。切片座標の決定については、図6Cに関連して以下でさらに考察される。切片座標が得られた後、ROIの座標626で、全切片または選択された切片の座標が得られる。628では、選択された切片に対して、画像化領域が作り出される。場合によっては、アレイトモグラフィフィー試料全体の光学画像がSEMにおいて記録される。この画像は、大まかな解像度で切片のすべてまたは大半を示し、概観画像の取得対象のエリアを画定するのに使用され得る。
【0039】
図6Cを参照すると、切片座標を決定する方法630は、632で、試料の光学画像を得ることを含む。この画像を使用して、636において、概観画像が得られる試料エリアを画定することができる。概観画像は、複数の切片を表し、単一の画像または画像モザイクであり得る。基板全体が妥当な時間内で画像化され得るように、概観画像の解像度は、同程度に粗く、すなわち1~2μm画素サイズである。画像個数と切片個数との相関関係は、全く必要ではない。1つの画像がいくつかの切片を表すことがあり、または、切片をただ1つ表すのに、複数の画像が必要になることもある。これは、顕微鏡の最大視野および切片のサイズによって決まる。場合によっては、SEM以外の様々な手段によって概観画像が取得される。このような概観画像をインポートした後、インポートされた画像内の切片位置がアレイトモグラフィー試料における同じ切片のステージ座標に対応するように、概観画像を位置合わせする必要がある。これは、SEM画像とインポートされた画像の両方に見られる2つまたは3つの目印を手作業で一致させる位置合わせによって、達成され得る。
【0040】
概観画像は、以下のように使用される。636では、概観画像から、ユーザによって選択されたエリア(通常、長方形)が選ばれる。選択されたエリアは、切片テンプレートとしての役割を果たすように、概観画像からコピーされる。自動手順において、638では、切片テンプレートが概観画像と相関され、概観画像内の切片場所を決定する。640では、概観画像内の一致場所が、ステージ座標系内の位置に移され、すなわち、各切片のステージ位置が格納される。格納された位置のうちの1つにステージを移動させることにより、顕微鏡画像化システム(「極片」)下でそれぞれの切片が中央になる。自動手順によって見付けられなかった切片があれば、ユーザがそれらに印を付けることによって、概観画像に加えることができる。誤って認めた切片があれば(すなわち、非切片)、誤検出として注釈を付け、見付けられた切片のリストから削除することができる。
【0041】
図6Dは、全切片にわたってROIの座標を決定する方法650を示す。652では、切片プレビュー画像が取得される。切片プレビュー画像は、通常、概観画像と同じかそれよりも高い解像度を有する。いくつかの例では、200~800nmの画素サイズが使用される。654では、切片プレビュー画像が選択され、656では、選択された切片プレピュー画像が第1の切片のものであるかどうかが判断される。第1の切片のものであれば、ROIは、例えば、コンピュータポインティングデバイスを使用して、表示デバイス上に概要を示すことによって、第1の切片プレビュー画像で注釈が付けられ、658において検索テンプレートとして格納される。660では、次の切片プレビュー画像における検索テンプレートと一致するものが確認され、662では、関連の位置および角度が格納され、かつ/またはステージ座標に変換される。664では、さらに切片が処理されるべきであると判断されると、654では、次の切片プレビュー画像が選択され、666では、それまでに見極められた切片プレビュー画像内の一致場所に検索テンプレートが更新される。各切片プレビュー画像が検索テンプレートと一致するように処理されるたびに、この切片プレビュー画像の一致エリアが検索テンプレートに設定される。このようにして、一致エリアの検索がステップごとに絞り込まれる。
【0042】
全切片が上で考察されたような位置合わせのために処理されると、図6Eに示す方法680を使用して、画像が得られる。682では、切片のうちのいずれかにおいて、画像化領域がユーザによって画定され、他の切片では、対応する領域が選択される。684では、画像化領域の画像が得られる。典型的な例では、画素解像度は、5~50nmであり、視野は、30μm~100μmである。切片の各々に対するステージ座標が得られているので、ユーザ介入なしで、方法680がプロセッサによって実行され得る。図6A~6Eでは、画像化領域が1つだけ使用されているが、他の例では、2つ以上の画像化領域が位置合わせされ得る。さらに、ステージの動きを最小限に抑えることができる。
【0043】
実施例8.切片の位置特定、位置合わせ、および高解像度画像化
図7を参照すると、典型的な方法700は、通常、ユーザ特定の切片画像に基づく相関関係を使用して、試料の切片の位置を特定する第1の位置合わせを行うこと702を含む。これは、便宜上、大まかな位置合わせと呼ばれることがある。704において、位置特定された切片の選択された部分を含むプレビュー画像を使用して、位置特定された切片が位置合わせされる。プレビュー画像のROIが、他のプレビュー画像を位置合わせするのに、検索テンプレートとして使用され、検索テンプレートは、直近に位置合わせされたプレビュー画像を使用して更新される。これは、便宜上、緻密な位置合わせと呼ばれることがある。706では、ROIの少なくとも一部の画像の位置合わせされたまたは位置合わせ可能なスタックを形成する、3Dトモグラフィー再構成に好適な最終画像(高解像度画像)が得られる。
【0044】
実施例9.予備位置合わせ
上で考察されたように、画像位置合わせを使用して、位置が合わせられた画像のスタックを得る。予備段階中、すなわち高解像度画像を記録する前に、画像位置合わせが使用される。したがって、取得された画像スタックは、特に絞り込みが行われたROIの周りで、すでにある程度うまく位置が合っている。それにより、残りの位置誤差は、比較的小さく、例えば<10μmである。記録の後に、もう一回のスタック位置合わせが必要になるが、ずれ量は、<10μmである。それに対し、低精度画像化領域配置で高解像度画像を取得し、スタック位置合わせを行うと、位置決め誤差は、通常>100μmである。この手法では、全切片においてROIが確実に取り込まれるように、記録された画像のサイズに、>100μmのボーダーを加える必要があるであろう。これは、画像化時間の劇的な増加につながる可能性がある。上述のように、本開示の手法では、取得された画像スタックは、ROIの周りでうまく位置が合っており、このようなボーダーは、必要ではない。
【0045】
例えば、40μm×40μmの四角、4nm/画素の望ましい解像度であるROIの場合、理想的な画像サイズは、10,000×10,000画素である。+/-10μmの画像化エリア位置決め誤差の場合、全切片においてROIを取り込むのに必要とされる画像サイズは、ROIサイズ+2×10μm、または60μm×60μmの可能性がある。これにより、記録する画像サイズは、15,000×15,000画素であり、画像化時間の増加は、15,000/10,000=2.25である。+/-100μmの画像化エリア位置決め誤差の場合、全切片においてROIを取り込むのに必要とされる画像サイズは、ROIサイズ+2×100μm=240μm×240μmの可能性がある。これにより、記録する画像サイズは、60,000×60,000画素であり、画像化時間の増加は、60,000/10,000=36である。したがって、大きなボーダーを必要とすることによって、画像取得時間が大幅に増加する可能性があることが明らかである。
【0046】
実施例10.切片位置合わせおよび歪み
図8A~8Fは、画像位置合わせの有無に関わらず、テープに置かれた画像切片の処理を示し、視野におけるピンクッション歪みの影響を表す。画像回転、可変倍率、ピント誤差、および他の画像収差などの他の画像アーチファクトは、同じように補正され得、歪みは、都合の良い例示として表される。先で考察されたように、このような画像アーチファクトは、試験体の切片に基づく画像スタックにおける、また切片の完全画像を形成するように、1つの切片の画像をつなぎ合わせる際の位置ずれにつながる可能性がある。図8Aおよび8Bは、画像化視野800、820に対応している名目上四角い視野で得られた代表的な画像812、832を示す。(画像化視野は、器具によって画像化された通りの実際の器具視野を指す)。画像化視野800は、意図した視野であり、画像化欠陥はないが、画像化視野820は、ピンクッション歪みを呈する。これらの例では、切片寸法は、対応する視野寸法とほぼ同じである。図8Aでは、重なりエリア810を有する画像化視野800A、800Bを使用して、試験体切片808が画像化される。重なりエリア810に対応する画像部分は、位置が合い、視野800A、800Bで得られた画像を正確につなぎ合わせて、画像812を作り出すことができる。したがって、このような画像化視野では、視野内の様々な場所にある切片に対応する画像をつなぎ合わせることができる。図8Bでは、重なりエリア830を有する歪んだ画像化視野820A、820Bを使用して、試験体切片828が画像化される。重なりエリアでは、画像化視野が歪んでおり、画像化視野820A、802Bの対応する部分では、歪みが異なる。重なりエリア830に対応する画像部分を合成することができるが、正確な位置合せはない。画像化視野820A、820Bに対応する合成画像は、切片画像832を作り出すが、位置合わせが不正確であるか、またはつなぎ合わせた画像のうちの1つまたは両方の部分がなくなっている可能性があるエラー領域834を有する。したがって、このような歪んだ画像化視野では、視野内の様々な場所にある切片に対応する画像は、難なくつなぎ合わせられることはない。複数の視野内に別々に置かれた切片の画像には、このスティッチングの難しさがある。
【0047】
図8Cは、テープ838に置かれた代表的な切片842A~842Eなどの一連の切片を示す。図8Dに示すように、切片842A~842Eは、歪んだ画像化視野840A~840Hにおいて、様々なそれぞれの重なりエリア843~849を含む状態で画像化されている。この例では、各切片は、2つの視野において完全に画像化されている。切片寸法は、1~2mmの高さ、2~3mmの長さであり得、視野にかろうじて収まることが多い。この切片配置は、通常、切断プロセス時に切片がテープ838に置かれることによりもたらされる。各切片は、画像化視野840A~840H内の2つの場所で切片の画像をつなぎ合わせるだけで、ほぼ完全に画像化される。隣接する画像は、重なりエリア843~849に対応している。これらの重なりエリアは、画像欠陥に対応しており、画像欠陥は、スティッチング精度を制限し、スティチングを損なう図8Eに示すようなオフセットエリア853~858内の画像部分をもたらす。例えば、切片842Aの画像852Aは、視野840A、840Bにそれぞれ対応する部分850A、850Bと、重なりエリア843に対応しているオフセットエリア853内の部分とを含む。図8Gを参照すると、プレビュー画像および位置合わせを使用して、切片842A~842Eを中央に置くことができるか、それとも視野に対して、図8Fに示すような単一の視野内で位置合わせすることができる。歪んだ画像化視野840は、歪みを含む可能性があるが、図8Gに示すように、スティッチングエラーに対応する重なりエリアを欠いた画像871~875を作り出す。
【0048】
図9A~9Dは、隣接する切片に接触する代表的な切片912A~912Dなどの16個の試験体切片を含む代表的なスタック900の位置合わせを示す。このような切片配置は、切片リボンと呼ばれることがあり、テープを用いず、試験体の切断でもたらされ得る。このような切片は、例えば、1:3、1:4、または1:5のアスペクト比を有することがあり、切片は、図8Cに示すようなテープで作り出される切片よりも長く、その切片ほど高くないことがある。図9Aに示すように、切片は、画像化視野902Aおよび902Bで画像化され、そこでは、各視野は、4つの異なる切片を画像化する(少なくとも部分的に)。画像化視野902A~902Dにおける歪みは、様々な画像化視野からの画像部分をつなぎ合わせるのを損なうオフセット領域903、905、907に対応している。プレビュー画像を使用すると、すべての切片画像が視野においてほぼ同じ位置を有し、図9Cおよび図9Dに示すような画像スティッチングを必要としない、位置が合わせられた画像スタック920が作り出される。例えば、切片912A~912Dの代表的な画像952A~952Dは、単一の視野において共通の位置合わせを有し、スティッチングを必要としない。この例では、切片縁が接触しているので、切片912Bの画像952Bも、切片912A、912Cに対応している画像部分961、962を含む。他の切片画像も、同じように、隣接する切片に対応する部分を含み得る。特定の切片の位置合わせを行う際、隣接する切片の一部分ではなく、意図した切片の一部分を使用する必要がある。
【0049】
開示された技術の原理が適用され得る多くの可能な実施形態を考えると、図示の実施形態が好ましい例にすぎないことが分かるはずである。添付の特許請求の範囲の範囲および趣旨内のすべてを本発明として特許請求する。
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図2G
図2H
図2I
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図7
図8A
図8B
図8C
図8D
図8E
図8F
図8G
図9A
図9B
図9C
図9D