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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-14
(45)【発行日】2025-01-22
(54)【発明の名称】画像読取装置、及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/00 20060101AFI20250115BHJP
   H04N 1/04 20060101ALI20250115BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20250115BHJP
   B65H 15/00 20060101ALI20250115BHJP
   B65H 29/60 20060101ALI20250115BHJP
   B65H 43/08 20060101ALI20250115BHJP
   B65H 85/00 20060101ALI20250115BHJP
【FI】
H04N1/00 567R
H04N1/12 Z
G03G21/00 502
B65H15/00 E
B65H29/60 A
B65H43/08
B65H85/00
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021057706
(22)【出願日】2021-03-30
(65)【公開番号】P2022154593
(43)【公開日】2022-10-13
【審査請求日】2024-01-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】山崎 公晴
(72)【発明者】
【氏名】三ヶ尻 晋
(72)【発明者】
【氏名】牧野 英世
(72)【発明者】
【氏名】松本 到
(72)【発明者】
【氏名】中山 聡
(72)【発明者】
【氏名】海老沼 良輔
(72)【発明者】
【氏名】青柳 広太
【審査官】松永 隆志
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-090911(JP,A)
【文献】特開2019-098734(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00
H04N 1/04
G03G 21/00
B65H 15/00
B65H 29/60
B65H 43/08
B65H 85/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面、と第2面と、を有する記録媒体を搬送方向に搬送する搬送部と、
前記記録媒体に形成された画像を読み取る読取部と、
前記搬送方向における前記読取部より下流側に設けられており、前記記録媒体が搬送される方向を反転させない第1経路と、
前記搬送方向における前記読取部より下流側に設けられており、前記記録媒体が搬送される方向を反転させる第2経路と、
前記搬送方向における前記読取部の下流側において、前記記録媒体の搬送を前記第1経路と、前記第2経路と、に分岐する分岐部と、
記読取部により前記第1面及び前記第2面の各々が読み取られた読取画像に基づいて、前記第1面の読取画像と前記第2面の読取画像との差である読取誤差を補正する補正部と、
前記補正部により補正された補正画像を出力する出力部と、を有し、
前記補正部は、
前記記録媒体が、前記読取部により前記第2面を読み取られた後、前記第1経路を通る場合の前記読取誤差、並びに、
前記記録媒体が、前記読取部により前記第2面を読み取られた後、前記第2経路を通る場合の前記読取誤差を、前記第1面の読取画像と前記第2面の読取画像との差分画像であって、予め取得した互いに異なる前記差分画像を用いて補正する画像読取装置。
【請求項2】
前記搬送方向に沿った前記読取部と前記分岐部との間の距離は、前記搬送方向に沿った
前記記録媒体の長さより短い請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記記録媒体の種類又は前記画像読取装置の周囲における環境条件の少なくとも一方に対応して、前記読取誤差の補正データを格納可能な格納部を有し、
前記出力部は、前記格納部に格納されている前記補正データを用いて前記読取誤差が補正された前記補正画像を出力する請求項1又は2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記読取部は、等倍光学系又は縮小光学系の何れか一方を有する請求項1乃至3の何れ
か1項に記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記記録媒体に画像を形成する画像形成部と、
前記画像形成部の下流側に設けられている請求項1乃至4の何れか1項に記載の画像読取装置と、を有し、
前記画像形成部は、前記画像読取装置により読み取られた読取画像に基づき、画像形成を補正可能である画像形成装置。
【請求項6】
前記出力部は、前記画像形成部によって所定枚数の前記記録媒体に画像を形成する前に、前記読取部により読み取られた複数の前記記録媒体の読取画像に基づいて前記読取誤差が補正された前記補正画像を出力する請求項5に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取装置、及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プリンタ等の画像形成装置では、記録媒体に対し、理想的に形成された画像に対する実際に形成された画像のずれ量を検出するために、記録媒体に形成された画像を画像形成後に画像読取装置により読み取る構成が知られている。
【0003】
この画像読取装置では、記録媒体の搬送方向における画像読取部の下流側に、記録媒体の搬送を分岐する分岐部が設けられている場合に、搬送されている記録媒体が分岐部近傍でスキューすることにより、記録媒体に対する画像の読取誤差が生じる場合がある。読取誤差があると、記録媒体に形成されている画像のずれ量を正確に検出できない。
【0004】
画像読取装置による読取誤差を抑制するために、画像読取装置の出荷時に、分岐部近傍における記録媒体のスキュー測定結果に基づく補正データを画像読取装置に格納しておき、画像を読み取る際に格納された補正データを参照して、読取誤差を補正する構成が知られている。
【0005】
また、用紙等の記録媒体の搬送を制御するために、両面経路中における用紙の先後端エッジの検出結果に基づいて、表面に画像が形成された用紙の先端エッジの回転ずれ角度と、用紙の先後端エッジ間の平行度のずれ量と、を算出し、回転ずれ角度及び平行度ずれ角度に基づいて、曲がり補正方法を選択する構成が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の構成では、画像読取装置の出荷後に画像読取装置の構成部が位置ずれしたり、記録媒体の種類に応じて補正データが異なったりすると、読取誤差を正確に補正できなくなる懸念があった。
【0007】
また、特許文献1の構成は、記録媒体の搬送方向における読取部の下流側に記録媒体の搬送を分岐する分岐部が設けられているものではないため、上記の読取誤差を補正できない。
【0008】
本発明は、記録媒体の搬送方向における画像読取部の下流側に、記録媒体の搬送を分岐する分岐部が設けられている場合に、記録媒体に形成されている画像の読取誤差を正確に補正することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様に係る画像読取装置は、第1面、と第2面と、を有する記録媒体を搬送方向に搬送する搬送部と、前記記録媒体に形成された画像を読み取る読取部と、前記搬送方向における前記読取部より下流側に設けられており、前記記録媒体が搬送される方向を反転させない第1経路と、前記搬送方向における前記読取部より下流側に設けられており、前記記録媒体が搬送される方向を反転させる第2経路と、前記搬送方向における前記読取部の下流側において、前記記録媒体の搬送を前記第1経路と、前記第2経路と、に分岐する分岐部と、記読取部により前記第1面及び前記第2面の各々が読み取られた読取画像に基づいて、前記第1面の読取画像と前記第2面の読取画像との差である読取誤差を補正する補正部と、前記補正部により補正された補正画像を出力する出力部と、を有し、前記補正部は、前記記録媒体が、前記読取部により前記第2面を読み取られた後、前記第1経路を通る場合の前記読取誤差、並びに、前記記録媒体が、前記読取部により前記第2面を読み取られた後、前記第2経路を通る場合の前記読取誤差を、前記第1面の読取画像と前記第2面の読取画像との差分画像であって、予め取得した互いに異なる前記差分画像を用いて補正する
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、記録媒体の搬送方向における画像読取部の下流側に、記録媒体の搬送を分岐する分岐部が設けられている場合に、記録媒体に形成されている画像の読取誤差を正確に補正できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態に係る画像形成システムの構成例を示す図である。
図2】実施形態に係る情報処理装置のハードウェア構成例の図である。
図3】実施形態に係る画像形成装置のハードウェア構成例の図である。
図4】第1実施形態に係る画像形成装置の構成例を示す図である。
図5】第1実施形態に係る読取部と搬送経路の配置例の図である。
図6】実施形態に係る画像形成装置の処理部の機能構成例の図である。
図7】用紙の搬送例を示す図であり、図7(a)は非反転パスの図、図7(b)は反転パスの図である。
図8】読取誤差例を示す図である。
図9】読取誤差の補正例を示す第1図である。
図10】読取誤差の補正例を示す第2図である。
図11】反転パスにおける読取誤差の取得タイミング例の図である。
図12】用紙種類及び環境条件に対応した補正データ例の図であり、図12(a)は一般設定紙の場合の図、図12(b)はユーザ設定紙の場合の図である。
図13】第2実施形態に係る画像形成装置の等倍光学系の図である。
図14】第2実施形態に係る画像形成装置の縮小光学系の図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。各図面において、同一構成部には同一符号を付し、重複した説明を適宜省略する。
【0013】
以下では、画像読取装置を有する画像形成システムを一例として実施形態を説明する。この画像形成システムは、例えば、所望の画像を大量枚数の用紙等の印刷媒体に印刷する商用印刷用の画像形成システムである。
【0014】
なお、以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するための画像読取装置及び画像形成装置を例示するものであって、本発明を以下に示す実施形態に限定するものではない。以下に記載されている構成部品の形状、その相対的配置、パラメータの値等は特定的な記載がない限り、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、例示することを意図したものである。また図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため、誇張している場合がある。また、実施形態の用語における印刷、画像形成、及び印字は何れも同義とする。
【0015】
<画像形成システム100の全体構成例>
まず図1は、画像形成システム100の構成の一例を説明する図である。図1に示すように、画像形成システム100は、クライアントPC(Personal Computer)101と、DFE(Digital Front End)102と、画像形成装置103と、管理サーバ104とを有する。これらはインターネット等を介して相互に通信可能に接続されている。
【0016】
クライアントPC101は、ユーザが印刷したい印刷ジョブを作成し、DFE102又は管理サーバ104へ印刷ジョブを送信する。液晶ディスプレイである表示部や、マウスやキーボード等の入力装置を備えている。
【0017】
DFE102は、クライアントPC101又は管理サーバ104から印刷ジョブを受け取り、受け取った印刷ジョブに基づいて、RIP(Raster Image Processor)エンジンにより描画データを作成し、画像形成装置103へ描画データを送信する。
【0018】
画像形成装置103は、DFE102から受け取った描画データに基づいて、記録媒体に画像形成を行う。管理サーバ104は、クライアントPC101から受け取った印刷ジョブを管理する。また、DFE102からの要求により、印刷ジョブをDFE102へ送信する。なお、画像形成システム100には、複数の画像形成装置や複数のクライアントPCが通信可能に接続されてもよい。
【0019】
<DFE102のハードウェア構成例>
次に図2は、DFE102のハードウェア構成の一例を説明するブロック図である。図2に示すように、DFE102は、CPU(Central Processing Unit)201と、ROM(Read Only Memory)202と、RAM(Random Access Memory)203と、HDD(Hard Disk)/SSD(Solid State Drive)204と、I/F(Interface)205とを有する。
【0020】
これらのうち、CPU201は、RAM203を作業領域として使用し、ROM202に格納されているプログラムを実行することで、DFE102全体の動作を制御する。
【0021】
HDD/SSD204は、記憶部として使用され、予め設定された設定値を格納している。HDD/SSD204に格納されている情報は、CPU201が読み出しプログラム実行時に使用することもある。
【0022】
I/F205は、DFE102と、クライアントPC101、画像形成装置103及び管理サーバ104とを通信可能にするインターフェースである。
【0023】
<画像形成装置103のハードウェア構成例>
次に図3は、画像形成装置103のハードウェア構成の一例を説明するブロック図である。図3に示すように、画像形成装置103は、CPU301と、ROM302と、RAM303と、HDD/SSD304と、I/F305と、画像形成部306と、読取部307とを有する。
【0024】
これらのうち、CPU301は、RAM303を作業領域として使用し、ROM302に格納されているプログラムを実行することで、画像形成装置103全体の動作を制御する。
【0025】
HDD/SSD304は、記憶部として使用され、予め設定された設定値を格納している。HDD/SSD304に格納されている情報は、CPU301が読み出しプログラム実行時に使用することもある。
【0026】
I/F305は、画像形成装置103と、DEF102、クライアントPC101及び管理サーバ104とを通信可能にするインターフェースである。
【0027】
画像形成部306は、用紙に画像を形成する印刷エンジンである。読取部307は用紙に形成された画像を読み取る。
【0028】
[第1実施形態]
<画像形成装置103の構成例>
次に図4は、第1実施形態に係る画像形成装置103の構成の一例を説明する図である。図4に示すように、画像形成装置103は、タンデム式の電子写真方式の感光体ドラム403K,403C,403M,403Yと、中間転写ベルト402と、二次転写ローラ404と、給紙部500と、搬送ローラ対401と、定着ローラ405と、インラインセンサ406と、搬送経路408と、を有する。また搬送経路408は、反転パス407と、非反転パス409と、分岐部410と、を有する。インラインセンサ406は、読取部307の一部を構成している。
【0029】
給紙部500は、給紙トレイ501と、ピックアップローラ502と、給紙ローラ503とを有する。給紙トレイ501は複数の用紙を重ね合わされて収容している。記録媒体としては、記録紙(転写紙)等の用紙が挙げられるが、これに限定されるものではなく、画像を形成(記録)可能な媒体であれば、コート紙、厚紙、OHP(Overhead Projector)シート、プラスチックフィルム、プリプレグ、及び銅箔等であってもよい。
【0030】
給紙部500は、給紙トレイ501に積載して収容される用紙を最上部から順にピックアップローラ502で拾い上げ、拾い上げた用紙を、一対のローラである給紙ローラ503を用いて搬送ローラ対401に供給する。なお給紙部500は、他に搬送用のローラを有する構成であってもよい。
【0031】
画像形成部306は、感光体ドラム403K,403C,403M,403Y、中間転写ベルト402、二次転写ローラ404及び定着ローラ405を含む。
【0032】
画像形成装置103は、無端状移動手段である中間転写ベルト402に沿って各色の感光体ドラム403Y、403M、403C、403K(以降、総じて感光体ドラム403とする)が並べられた構成を備える、いわゆるタンデムタイプの画像形成装置である。給紙部500から給紙され、搬送ローラ対401により搬送される用紙に転写するための中間転写画像が形成される中間転写ベルト402に沿って、この中間転写ベルト402の搬送方向の上流側から順に、感光体ドラム403Y、403M、403C、403Kが配列している。搬送ローラ対401は、用紙を搬送方向Aに搬送する搬送部の一例である。
【0033】
画像形成装置103は、各色の感光体ドラム403の表面においてトナーにより現像された各色のトナー像を担持し、担持したトナー像を中間転写ベルト402に重ね合わせて転写し、中間転写ベルト402上にフルカラーの画像を形成する。
【0034】
画像形成装置103は、図中に破線で示す用紙の搬送経路408と最も接近する位置で、搬送経路408上を搬送されてきた用紙の紙面上に、中間転写ベルト402上に形成されたフルカラー画像を二次転写ローラ404の機能により転写する。
【0035】
紙面上に画像が形成された用紙は更に搬送され、定着ローラ405にて画像が定着(画像形成)される。定着ローラ405は、用紙に画像を熱定着させる定着部である。定着ローラ405は、フルカラーのトナー像が転写された用紙を加熱及び加圧することで、フルカラーのトナー像を用紙に定着させる。定着ローラ405は、内蔵するハロゲンヒータ等のヒータにより発熱し、用紙を加熱できる。
【0036】
用紙の搬送方向Aにおける定着ローラ405の下流側には、インラインセンサ406が設けられている。インラインセンサ406は、用紙上に定着された画像を読み取り、読取画像を得る。インラインセンサ406は、表面に画像形成が行われた後に表面を読み取り、裏面に画像形成が行われた後に裏面を読み取る。ここで、記録媒体の表面は第1面に対応し、裏面は第2面に対応する。
【0037】
インラインセンサ406は、受光した光強度に応じた電気信号を出力する画素が一次元アレイ状に配列されたCCD(Charge Coupled Device)ラインセンサである。画素の配列方向は、用紙の搬送方向に交差している。また、インラインセンサ406は、赤色の光(R)を受光する画素アレイと、緑色の光(G)を受光する画素アレイと、青色の光(B)を受光する画素アレイとを含んでいる。なお、以下では、赤をR、緑をG、青をBとそれぞれ表記する場合がある。
【0038】
インラインセンサ406は、各色の画素アレイによって、用紙に形成された画像による反射光の光強度に応じた電気信号を出力する。画像形成装置103は、インラインセンサ406による読取画像の各色の光強度(濃度)を、色情報として画像の色の補正に用いる。
【0039】
インラインセンサ406は、それぞれ用紙に光を照射する光源を備えてもよい。光源から用紙に光を照射することで、インラインセンサ406による読み取りの明るさを確保できる。また、インラインセンサ406は、CCDに代えて、CMOS(Complementary metal-oxide-semiconductor)やPD(Photo Diode)アレイ等で構成されてもよい。
【0040】
インラインセンサ406により画像が読み取られた後の用紙は、搬送方向Aにおける下流側に設けられている分岐部410に到達する。用紙の搬送を非反転パス409と、反転パス407と、に分岐する分岐部410において、用紙は何れかの経路に分けられて搬送される。
【0041】
非反転パス409は、搬送方向Aにおける読取部307の下流側に設けられており、用紙が搬送される方向を反転させない第1経路の一例である。
【0042】
反転パス407は、搬送方向Aにおける読取部307の下流側に設けられており、用紙が搬送される方向を反転させる第2経路の一例である。画像形成装置103は、例えば用紙に両面印刷を行う場合に、用紙の表面に画像形成を行った後、搬送経路408中の反転パス407に用紙を搬送し、用紙の表裏が反転されたのち、再度二次転写ローラ404の位置まで搬送する。
【0043】
上記に示した構成のうち、搬送ローラ対401、インラインセンサ406、非反転パス409、反転パス407及び分岐部410は、画像読取装置600の一部を構成している。
【0044】
次に図5は、読取部307と搬送経路408の配置の一例を説明する図である。図5に示すように、読取部307は、インラインセンサ406と、ガラス71と、レボルバ72と、を有する。読取部307は、読取位置を通過する用紙Pの通紙動作に合わせて、用紙幅方向に延在する1ライン分の画像の読取動作を繰り返し行うことで、用紙Pに形成された画像を2次元画像として読み取る。
【0045】
インラインセンサ406は、読取位置を通過する用紙Pに光を照射する光源と、1画素ごとに光電変換する複数の撮像素子を用紙Pの幅方向に一次元状に並べて配置されたラインイメージセンサと、を含んでいる。撮像素子は、読取位置において用紙P上の画像の読取動作を行う光学式センサである。
【0046】
レボルバ72は、インラインセンサ406に向き合って設けられており、画像の読取時に用紙Pに照射される照射光を反射する。またレボルバ72は、用紙Pの色等に合わせて背景色を切り替え可能である。
【0047】
ガラス71は、インラインセンサ406とレボルバ72との間において、レボルバ72と向き合って設けられており、光源から照射される光及び照射された光がレボルバ72や用紙Pにより反射されて戻る反射光を透過する。ガラス71は、インラインセンサ406により用紙Pを読み取る際に、ガラス71とレボルバ72の間を通過する用紙Pのばたつきを防止する。
【0048】
また、用紙Pのばたつきを極力抑えるために、読取部307の上流側に上流読取搬送ローラ412が配置されており、読取部307の下流側に下流読取搬送ローラ413が配置されている。
【0049】
読取部307により読み取られた後の用紙Pは、分岐部410において分岐され、矢印11方向又は矢印12方向の何れか一方に搬送される。矢印11方向に進んだ用紙Pは、下流読取搬送ローラ413による駆動によって非反転パス409を搬送される。矢印12方向に進んだ用紙Pは、反転搬送ローラ414及び415による駆動によって反転パス407を搬送される。
【0050】
ここで、距離D1は、搬送方向Aに沿った読取部307と分岐部410との間の距離を示し、距離D2は、搬送方向Aに沿った用紙Pの長さを示している。本実施形態では、例えば、距離D1は距離D2より短くなっている。
【0051】
画像形成システム100のユーザは、印刷物を基本フェースダウン(印刷面が下)で出力することが多い。例えば、片面印刷時にフェースダウンで出力するためには反転パス407が使用される。両面印刷時には、用紙Pの表面に画像形成された後には反転パス407が使用され、裏面に画像形成された後には非反転パス409が使用される。
【0052】
なお、図5では、光源が一体になっているコンタクトイメージセンサ等のインラインセンサを図示しているが、光源とインラインセンサが別体になっている縮小光学系においても実施形態を適用できる。
【0053】
<処理部700の機能構成例>
次に図6は、処理部700の機能構成の一例を示すブロック図である。図6に示すように、処理部700は、補正部701と、格納部702と、出力部703と、を有する。補正部701の機能は、図3のROM302又はHDD/SSD304等に記憶されたプログラムをCPU301が実行することにより実現される。格納部702の機能は、HDD/SSD304等により実現される。出力部703の機能は、I/F305等により実現される。また、処理部700は画像読取装置600の一部を構成している。
【0054】
補正部701は、用紙の表面及び裏面の各々が読取部307により読み取られた表面読取画像Im1及び裏面読取画像Im2に基づいて、裏面読取画像Im2に対する表面読取画像Im1の読取誤差を補正する。
【0055】
また、格納部702は、用紙の種類又は画像形成装置103の周囲における環境条件の少なくとも一方に対応して、補正部701により取得された読取誤差の補正データを格納可能である。補正部701は、格納部702に格納されている補正データを用いて読取誤差を補正することもできる。
【0056】
出力部703は、補正部701により表面読取画像Im1が補正された補正画像Im1'を画像形成部306等に出力できる。
【0057】
<読取誤差例>
次に図7及び図8を参照して、読取部307による読取誤差について説明する。図7は、用紙の搬送の一例を示す図であり、図7(a)は非反転パス409を示す図、図7(b)は反転パス407を示す図である。また、図8は、読取画像Imの一例を示す図であり、図8(a)は非反転パス409の場合の図、図8(b)は反転パスの場合図である。
【0058】
図7は、搬送される用紙Pを平面視しており、用紙Pが搬送されるに従って、用紙Pとインラインセンサ406との位置関係が時間変化する様子を示している。白抜き矢印は時間の経過を示している。
【0059】
反転パス407では、非反転パス409と比較して、搬送時に用紙Pにかかる摺動負荷が大きいため、読取部307による読取中に用紙Pがスキュー(回転)する場合がある。そのため、読取中に用紙Pの先端が反転パス407へ搬送されると、図8に示すように、理想的な読取画像Im0に対して、読取画像Imに読取誤差Ex及びEyが生じる。
【0060】
読取誤差Exは主走査方向における読取誤差であり、読取誤差Eyは副走査方向における読取誤差である。また画像先端Imfは、読取部307による読取時において最初に読み取られた読取画像Imの先端であり、画像後端Imbは、読取部307による読取時において最後に読み取られた読取画像Imの後端である。読取中に用紙Pの先端が反転パス407に入り、その後、徐々にスキューすることで、画像後端Imb側に進むにつれて、読取誤差Ex及びEyが徐々に大きくなる。
【0061】
このような読取誤差Ex及びEyは、搬送時に用紙Pにかかる摺動負荷に起因するものであるため、用紙Pのコシや表面性、坪量等応じて異なるものとなる。
【0062】
<読取誤差の補正例>
次に、図9及び図10を参照して、補正部701により行われる読取誤差Ex及びEyの補正処理について説明する。図9及び図10は、読取誤差Ex及びEyの補正の一例を説明する図であり、図9は第1図、図10は第2図である。なお、図10は、読取誤差Eyの取り扱いをさらに詳細に説明するものである。
【0063】
ここで、画像形成装置103は、画像形成装置103に用紙Pを通紙する前に、用紙Pに形成される画像の位置を調整する自動レジスト調整機能を有する。自動レジスト調整を行う場合には、用紙Pの表面と裏面を各々読み取るが、同じ用紙Pを読み取るため、非反転パス409において裏面を読み取る際には、反転パス407において表面を読み取る時に対して用紙Pの先端と後端が逆になる。従って、自動レジスト調整における表面読取画像と裏面読取画像の差分が反転パス407における読取誤差に対応する。
【0064】
そのため、図9に示すように、補正部701は、表面読取画像Im1及び裏面読取画像Im2を読取部307から取得後、裏面読取画像Im2を上下反転させる。その後、表面読取画像Im1から裏面読取画像Im2を画像差分処理して差分画像ΔImを取得する。その後、表面読取画像Im1に差分画像ΔImを反映させることで、反転パス407で用紙Pを搬送させることによる読取誤差Ex及びEyを補正した補正画像Im1'が得られる。
【0065】
なお、補正部701による補正処理により、反転パス407で用紙Pを搬送させることに伴う読取誤差Ex及びEyだけでなく、定着後の用紙伸縮による読取誤差や、搬送速度差による読取誤差等の他の読取誤差も合わせて補正できる。
【0066】
また、非反転パス409においても、反転パス407ほど大きくはないが、読取中の用紙Pのスキューによる読取誤差が発生する場合がある。非反転パス409での読取誤差をα、反転パス407での読取誤差と非反転パス409での読取誤差の差をβ、反転パス407での読取誤差をγとすると、以下の(1)式に示す関係がある。
γ=α+β ・・・ (1)
【0067】
これらのうち、読取誤差γは、反転パス407を通紙した際に読み取られた読取画像の補正に使用される補正データに対応し、読取誤差の差βは、用紙の種類ごとに異なる補正データに対応し、読取誤差αが画像形成装置ごとの固有値に対応する。
【0068】
図10において、位置Ydcは、表面読取画像Im1における画像後端Imb1における一方の角部Cの副走査方向における反転パス407時の読取位置であり、理想的な位置を位置Ycとすると、以下の(2)式に示す関係がある。
Ydc=Yc+α+β ・・・ (2)
【0069】
同様に非反転パス409で読取られた角部Cの読取位置を位置Yucとすると、位置Yucに対しては、以下の(3)式に示す関係がある。
Yuc=Yc+α ・・・ (3)
【0070】
理想的には非反転パス409でも反転パス407でも、読取誤差αがあったとしても同じ値になるため、非反転パス409と反転パス407との間での読取誤差の差βは、以下の(4)式により取得される。
Ydc-Yuc=β ・・・ (4)
【0071】
なお、読取誤差αは、正確に画像位置を計測できる計測装置により別途で位置Ycを計測後、補正部701により使用される。
【0072】
このようにして読取誤差の差βを取得することにより、反転パス407において取得された位置Ydcを以下の(5)式に代入する。これにより、読取誤差の差βを正確に補正した位置rYdcを取得できる。
Ydc-β=Yc+α=rYdc ・・・ (5)
【0073】
画像後端Imb1における他方の角部Dの読取位置であって、副走査方向における反転パス407時の読取位置Yddにおいても、同様にして、読取誤差Eyを正確に補正した位置rYddを取得できる。
【0074】
次に図11は、反転パス407における読取誤差Ex及びEyを取得するタイミングの一例を示す図である。画像形成装置103内で画像形成された後に、読取部307により、用紙Pと、用紙Pに形成されている画像と、を読取ることで、用紙Pに対する画像の位置情報を取得する。
【0075】
上述したように、画像形成装置103は、自動レジスト調整機能を有しており、数枚の用紙Pに形成されている画像を読取部307により読取ることで、適切な画像位置を取得できる。
【0076】
図11に示すように、自動レジスト調整においては、各用紙Pは表面の読取時と裏面の読取時で合計2回同じ用紙Pを読み取るタイミングがある。この際に、両面印刷時に必ず反転パス407を通り、裏面への画像形成後に非反転パス409を通るように制御することで、反転パス407における読取誤差Ex及びEyを取得できる。その後の画像形成時に、読取誤差Ex及びEyを補正することにより、正確な読取画像を得ることができる。
【0077】
また、画像形成装置103に印刷ジョブが送信されると、印刷ジョブにおいて指定されている所定枚数の用紙Pに画像形成が行われるが、印刷ジョブが実行される前に、読取誤差Ex及びEyの補正が行われることが好ましい。
【0078】
次に図12は、用紙の種類及び環境条件に対応した補正データの一例を示す図であり、図12(a)は一般設定紙の場合の図、図12(b)はユーザ設定紙の場合の図である。図12(a)及び図12(b)に示すテーブルは、格納部702に格納されている。
【0079】
一般設定での通紙において自動レジスト調整した際に、図12のテーブルにおける該当箇所に読取誤差Ex及びEyが補正データとして格納される。これにより、次回以降、同じ設定で通紙する際に、格納部702を参照して補正データを取得し、補正に使用できる。また、画像形成装置103の構成部における一部の位置ずれ等により、読取誤差Ex及びEyがずれていた場合には、自動レジスト調整を行うことにより、読取誤差Ex及びEyを再度取得して、格納部702に格納することもできる。
【0080】
また、用紙Pの搬送誤差は用紙Pの剛性によって異なる場合があり、用紙Pの剛性は温湿度の影響を受ける。例えばLL(温度低、湿度低)環境では用紙Pの剛性が高くなり、HH(温度高、湿度高)環境では用紙Pの剛性が低くなる。従って、同じ紙種でも温度及び湿度ごとで異なる補正データを格納しておくこともできる。
【0081】
ユーザ設定紙の場合でも同様である。自動レジスト調整を行っていない用紙では、自動レジスト調整を行うことにより読取誤差Ex及びEyが取得され、補正データとして格納部702により格納される。
【0082】
<画像読取装置600及び画像形成装置103の作用効果>
以上説明したように、本実施形態に係る画像読取装置600は、表面(第1面)、と裏面(第2面)と、を有する用紙P(記録媒体)を搬送方向Aに搬送する搬送ローラ対(搬送部)と、用紙Pに形成された画像を読み取る読取部307と、を有する。また、搬送方向Aにおける読取部307より下流側に設けられており、用紙Pが搬送される方向を反転させない非反転パス409(第1経路)と、搬送方向Aにおける読取部307より下流側に設けられており、用紙Pが搬送される方向を反転させる反転パス407(第2経路)と、を有する。さらに、搬送方向Aにおける読取部307部の下流側において用紙Pの搬送を非反転パス409と、反転パス407と、に分岐する分岐部410と、表面の読取画像に対する裏面の読取画像の読取誤差Ex及びEyが、読取部307により表面及び裏面の各々が読み取られた読取画像に基づいて補正された補正画像Im1'を出力する出力部703と、を有する。
【0083】
この構成により、用紙Pの搬送方向Aにおける読取部307の下流側に、用紙Pの搬送を分岐する分岐部410が設けられている場合に、用紙Pに形成されている画像の読取誤差Ex及びEyを正確に補正できる。
【0084】
特に、搬送方向Aに沿った読取部307と分岐部410との間の距離が、搬送方向Aにおける用紙Pの長さより短い場合には、読取部307による読取中に、用紙Pに対する摺動負荷が大きい反転パス407に用紙Pの一部が入り込むため、用紙Pがスキューして読取誤差Ex及びEyが生じやすい。この場合にもEx及びEyを好適に補正できる。但し、搬送方向Aに沿った読取部307と分岐部410との間の距離が搬送方向Aにおける用紙Pの長さより短くなくても、同様の効果が得られる。
【0085】
また本実施形態では、用紙Pの種類、又は画像読取装置600の周囲における環境条件の少なくとも一方に対応して、補正部701により取得された読取誤差Ex及びEyの補正データを格納可能な格納部702を有する。補正部701は、格納部702に格納されている補正データを用いて読取誤差Ex及びEyを補正する。
【0086】
これにより、補正データを取得した場合と同じ設定で通紙する際には、格納部702を参照して補正データを取得し、補正に使用でき、補正データを取得する手間及び時間を省略できる。
【0087】
また、本実施形態に係る画像形成装置103は、用紙Pに画像を形成する画像形成部306と、画像形成部306の下流側に設けられている画像読取装置600と、を有する。そして画像形成部306は、画像読取装置600で読み取られた読取画像に基づいて、画像形成を補正可能である。これにより、用紙Pに形成されている画像のずれ量を正確に検出し、画像形成を補正できるため、用紙Pに形成する画像の品質を向上させることができる。
【0088】
また、本実施形態では、補正部701は、画像形成部306によって所定枚数の用紙Pに画像を形成する前に、読取部307により読み取られた複数の用紙Pの読取画像に基づき、読取誤差Ex及びEyを補正する。これにより、印刷ジョブにおいて指定された所定枚数の用紙Pの各々に対して形成される画像の品質を向上させることができる。
【0089】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態に係る画像形成装置103aは、定着後に用紙冷却ユニット450が設けられている。図13は、読取部307が等倍光学系を有する場合の構成の一例を示す図、図14は読取部307が縮小光学系308を有する場合の構成の一例を示す図である。
【0090】
図13及び図14に示すように、定着後に用紙冷却ユニット450が設けられている構成においても、上述した実施形態を適用し、同様の効果を得ることができる。 また、読取部307は、等倍光学系又は縮小光学系の何れか一方を有することができる。
【0091】
以上、実施形態を説明したが、本発明は、具体的に開示された上記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。
【0092】
また、上述した実施形態では、電子写真方式の画像形成装置を備える画像形成システムについて説明したが、インクジェット方式等の他方式の画像形成装置を備える画像形成システムにも適用可能である。
【0093】
また、実施形態の説明で用いた序数、数量等の数字は、全て本発明の技術を具体的に説明するために例示するものであり、本発明は例示された数字に制限されない。また、構成要素間の接続関係は、本発明の技術を具体的に説明するために例示するものであり、本発明の機能を実現する接続関係はこれに限定されない。
【0094】
また、機能ブロック図におけるブロックの分割は一例であり、複数のブロックを一つのブロックとして実現する、一つのブロックを複数に分割する、及び/又は、一部の機能を他のブロックに移してもよい。また、類似する機能を有する複数のブロックの機能を単一のハードウェア又はソフトウェアが並列又は時分割に処理してもよい。
【0095】
また、上記で説明した実施形態の各機能は、一又は複数の処理回路によって実現することが可能である。ここで、本明細書における「処理回路」とは、電子回路により実装されるプロセッサのようにソフトウェアによって各機能を実行するようプログラミングされたプロセッサや、上記で説明した各機能を実行するよう設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(digital signal processor)、FPGA(field programmable gate array)や従来の回路モジュール等のデバイスを含むものとする。
【符号の説明】
【0096】
71 ガラス
72 レボルバ
100 画像形成システム
103 画像形成装置
306 画像形成部
307 読取部
401 搬送ローラ対(搬送部の一例)
406 インラインセンサ
407 反転パス(第2経路の一例)
408 搬送経路
409 非反転パス(第1経路の一例)
410 分岐部
600 画像読取装置
701 補正部
702 格納部
703 出力部
A 搬送方向
D1、D2 距離
Im1 表面読取画像
Im2 裏面読取画像
【先行技術文献】
【特許文献】
【0097】
【文献】特開2019-085215号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14