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特許7619364モール付きウインドシールドとカウルルーバとの連接構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-14
(45)【発行日】2025-01-22
(54)【発明の名称】モール付きウインドシールドとカウルルーバとの連接構造
(51)【国際特許分類】
   B60J 1/02 20060101AFI20250115BHJP
   B62D 25/08 20060101ALI20250115BHJP
【FI】
B60J1/02 111N
B62D25/08 H
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2022528802
(86)(22)【出願日】2021-05-28
(86)【国際出願番号】 JP2021020442
(87)【国際公開番号】W WO2021246330
(87)【国際公開日】2021-12-09
【審査請求日】2024-02-09
(31)【優先権主張番号】P 2020096183
(32)【優先日】2020-06-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000044
【氏名又は名称】AGC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】井上 貴文
【審査官】上谷 公治
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-176978(JP,A)
【文献】特開2012-111385(JP,A)
【文献】特開2015-048029(JP,A)
【文献】米国特許第6257643(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60J 1/02
B62D 25/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に取り付けられるモール付きウインドシールドとカウルルーバとの連接構造であって、
前記モール付きウインドシールドは、車外側に配置される第1ガラス板と、車内側に配置される第2ガラス板と、前記第1ガラス板および前記第2ガラス板を接合する中間膜と、を有する合わせガラスと、前記合わせガラスの下縁部に組み付けられたモールと、を備え、
前記カウルルーバは、前記車両の後端側において、車外側に露出する第1挟持部と、前記カウルルーバの車内側に形成され、前記第1挟持部と所定の間隔をおいて前記車両の後方に向かって延設される第2挟持部と、によって縦断面がU字形状となる挟持部を有し、
前記挟持部において、前記モールと前記カウルルーバとは嵌合され、
前記モールは、前記第2ガラス板の車内側面に上面が接着される第1モール部と、前記挟持部に収容され、前記第1モール部から前記車両の前方へと延設される第2モール部と、車内側面に突出する係合部と、を有し、
前記第2モール部は、前記係合部より前方に位置する前方部を有し、
前記第2挟持部は、前記係合部と係合する被係合部を有し、
前記挟持部は、前記被係合部より前方であって、前記前方部の少なくとも一部と接触する接触領域を有し、
前記第2モール部が前記挟持部に収容される前において、前記前方部の少なくとも一部の縦断面の長さは、前記接触領域の少なくとも一部における前記第1挟持部の車内側面と前記第2挟持部の車外側面との距離よりも長い、モール付きウインドシールドとカウルルーバとの連接構造。
【請求項2】
前記被係合部は、前記挟持部において、前記車両の車幅方向に沿って離間して形成される、請求項1に記載のモール付きウインドシールドとカウルルーバとの連接構造。
【請求項3】
前記係合部は、前記第2モール部の前記車両の車幅方向における長さの90%以上の長さを有する請求項1又は2に記載のモール付きウインドシールドとカウルルーバとの連接構造。
【請求項4】
前記第2挟持部は、車幅方向に連続して延びる形状を有する、請求項1から3のいずれか1項に記載のモール付きウインドシールドとカウルルーバとの連接構造。
【請求項5】
前記前方部は、少なくとも一つのリップを備える、請求項1から4のいずれか1項に記載のモール付きウインドシールドとカウルルーバとの連接構造。
【請求項6】
前記第2モール部は、前記第1ガラス板の側に突出し、前記第1挟持部と合わせガラスとの間に位置する突出部を有し、前記第1挟持部と前記突出部と前記第1ガラス板とが面一に配置される、請求項1から5のいずれいか一項に記載のモール付きウインドシールドとカウルルーバとの連接構造。
【請求項7】
前記第2モール部の前端部と、前記第1挟持部の車内側面と第2挟持部の車外側面とで形成される前記挟持部の内壁との間には空隙がある、請求項1から6のいずれか一項に記載のモール付きウインドシールドとカウルルーバとの連接構造。
【請求項8】
前記モールにおいて、前記第1モール部が金属部材で構成され、前記第2モール部が樹脂部材で構成される、請求項1から7のいずれか一項に記載のモール付きウインドシールドとカウルルーバとの連接構造。
【請求項9】
前記モールにおいて、前記第1モール部、及び前記第2モール部が樹脂部材で構成される、請求項1から7のいずれか一項に記載のモール付きウインドシールドとカウルルーバとの連接構造。
【請求項10】
前記第1モール部を構成する樹脂部材と前記第2モール部を構成する樹脂部材とが、異なる請求項9に記載のモール付きウインドシールドとカウルルーバとの連接構造。
【請求項11】
前記接触領域において、前記前方部と前記挟持部とは面接触する部位を有する、請求項1から10のいずれか一項に記載のモール付きウインドシールドとカウルルーバとの連接構造。
【請求項12】
前記接触領域において、前記前方部と前記挟持部とは線接触する部位を有する、請求項1から10のいずれか一項に記載のモール付きウインドシールドとカウルルーバとの連接構造。
【請求項13】
前記接触領域において、前記前方部が前記第1挟持部の車内側面、および前記第2挟持部の車外側面のいずれか一方に対し、押圧接触している、請求項1から12のいずれか一項に記載のモール付きウインドシールドとカウルルーバとの連接構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モール付きウインドシールドとカウルルーバとの連接構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車両のフロントウインドシールドの下端部に沿って、カウルカバーの後端部を支持するモールとも称されるカウルカバー支持部材を備え、カウルカバー支持部材に、支持部に車幅方向に間隔をおいて複数形成されたカウルカバーの前記後端係合部の後端面が当接する係止部と、支持部における係止部同士が離間した部分に形成され、カウルカバーの後端係合部と係合してカウルカバーの車幅方向の移動を規制する係合部と、を有するモール付きウインドシールドとカウルルーバとの連接構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2015/181960号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の連接構造では、カウルカバー支持部材の係合部とカウルカバーの被係合部とが係合するだけの構造であるため、車外側から車室内側に浸入する水を抑制することは難しい。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、車外側から水が浸入することを抑制できるモール付きウインドシールドとカウルルーバとの連接構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態に係るモール付きウインドシールドとカウルルーバとの連接構造は、車両に取り付けられるモール付きウインドシールドとカウルルーバとの連接構造であって、モール付きウインドシールドは、車外側に配置される第1ガラス板と、車内側に配置される第2ガラス板と、第1ガラス板および第2ガラス板を接合する中間膜と、を有する合わせガラスと、合わせガラスの下縁部に組み付けられるモールと、を備え、カウルルーバは、車両の後端側において、車外側に露出する第1挟持部と、カウルルーバの車内側に形成され、第1挟持部と所定の間隔をおいて車両の後方に向かって延設される第2挟持部と、によって縦断面がU字形状となる挟持部を有し、挟持部において、モールとカウルルーバとは嵌合され、モールは、第2ガラス板の車内側面に上面が接着される第1モール部と、挟持部に収容され、第1モール部から車両の前方へと延設される第2モール部と、車内側面に突出する係合部と、を有し、第2モール部は、係合部より前方に位置する前方部を有し、第2挟持部は、係合部と係合する被係合部を有し、挟持部は、被係合部より前方であって、前方部の少なくとも一部と接触する接触領域を有し、第2モール部が挟持部に収容される前において、前方部の少なくとも一部の縦断面の長さは、接触領域の少なくとも一部における第1挟持部の車内側面と第2挟持部の車外側面との間の距離よりも長い。
【発明の効果】
【0007】
本発明のモール付きウインドシールドとカウルルーバとの連接構造によれば、車外側から車室内側に水が浸入することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本発明の第1実施形態に係る、モール付きウインドシールドとカウルルーバとの連接構造の組み立て斜視図である。
図2図2はモール付きウインドシールドとカウルルーバとの連接構造の斜視図である。
図3図3図2の3-3線に沿う第1実施形態の断面図である。
図4図4はカウルルーバの挟持部の側から見た斜視図である。
図5図5は、本発明の第2実施形態の断面図である。
図6図6は、本発明の第3実施形態の断面図である。
図7図7は、本発明の第4実施形態の断面図である。
図8図8は、本発明の第5実施形態の断面図である。
図9図9は、本発明の第6実施形態の断面図である。
図10図10は、本発明の第7実施形態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面に基づいて本発明に係るモール付きウインドシールドとカウルルーバとの連接構造の好ましい実施形態について説明する。なお、以下の図面において、同一又は類似する部材については、同一の符号を付して説明し、重複する場合にはその説明を省略する場合もある。なお、本明細書において、方向、位置を表わす「上(U)/下(D)」、「前(F)/後(R)」、「内(In)/外(Out)」及び「左(Le)/右(Ri)」が車両に取り付けられた際の方向、位置を意味する。
【0010】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態において、ウインドシールド、モール、及びカウルルーバを組み付ける前の斜視図であり、図2は,モール付きウインドシールドにカウルルーバを連接した状態のモール付きウインドシールドとカウルルーバとの連接構造の斜視図である。図3は、図2のモール付きウインドシールドとカウルルーバとの連接構造1の3-3線に沿う縦断面図である。
【0011】
図1から図3に示されるように、第1実施形態に係るモール付きウインドシールドとカウルルーバとの連接構造1は、ウインドシールド12及びモール14を備えるモール付きウインドシールド10と、カウルルーバ18とを、備える。
【0012】
図3に示されるように、ウインドシールド12は、車体の前方側の窓枠(不図示)に取り付けられるフロントガラスであり、合わせガラス20によって構成されている。すなわち、ウインドシールド12は、車外側に配置される第1ガラス板22と、車内側に配置される第2ガラス板24と、第1ガラス板22及び第2ガラス板24を接合する中間膜26と、を有する合わせガラスにより構成される。
【0013】
第1ガラス板22及び第2ガラス板24を構成する材料は、無機ガラスであっても有機ガラスであってもよい。無機ガラスとしては、例えば、ソーダライムガラス、アルミノシリケートガラス、ホウ珪酸ガラス、無アルカリガラス、石英ガラス等が特に制限なく用いられる。車外側に配置される第1ガラス板22は、耐傷付き性の観点から無機ガラスであることが好ましく、成形性の観点からソーダライムガラスであることが好ましい。第1ガラス板22及び第2ガラス板24がソーダライムガラスである場合、クリアガラス、鉄成分を所定量以上含むグリーンガラス及びUVカットグリーンガラスが好適に使用できる。
【0014】
無機ガラスは、未強化ガラス、強化ガラスの何れでもよい。未強化ガラスは、溶融ガラスを板状に成形し、徐冷したものである。強化ガラスは、未強化ガラスの表面に圧縮応力層を形成したものである。
【0015】
強化ガラスは、例えば風冷強化ガラス等の物理強化ガラス、化学強化ガラスの何れでもよい。物理強化ガラスである場合は、例えば、曲げ成形において均一に加熱したガラス板を軟化点付近の温度から急冷させる等、徐冷以外の操作により、ガラス表面とガラス内部との温度差によってガラス表面に圧縮応力層を生じさせることで、ガラス表面を強化できる。
【0016】
化学強化ガラスである場合は、例えば、曲げ成形の後、イオン交換法等によってガラス表面に圧縮応力を生じさせることでガラス表面を強化できる。又、紫外線又は赤外線を吸収するガラスを用いてもよく、更に、透明であることが好ましいが、透明性を損なわない程度に着色されたガラス板を用いてもよい。
【0017】
一方、有機ガラスの材料としては、ポリカーボネート、例えばポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン等の透明樹脂が挙げられる。
【0018】
第1ガラス板22及び第2ガラス板24の形状は、特に矩形状に限定されるものではなく、種々の形状及び曲率に加工された形状であってもよい。第1ガラス板22及び第2ガラス板24の曲げ成形には、重力成形、プレス成形、ローラー成形等が用いられる。第1ガラス板22及び第2ガラス板24の成形法についても特に限定されないが、例えば、無機ガラスの場合はフロート法等により成形されたガラス板が好ましい。
【0019】
第1ガラス板22の板厚は、最薄部が1.1mm以上3mm以下であることが好ましい。第1ガラス板22の板厚が1.1mm以上であると、耐飛び石性能等の強度が十分であり、3mm以下であると、合わせガラス20の質量が大きくなり過ぎず、車両の燃費の点で好ましい。第1ガラス板22の板厚は、最薄部が1.8mm以上2.8mm以下であることがより好ましく、1.8mm以上2.6mm以下であることが更に好ましく、1.8mm以上2.2mm以下であることが更に好ましく、1.8mm以上2.0mm以下であることが更に好ましい。
【0020】
第2ガラス板24の板厚は、0.3mm以上2.3mm以下であることが好ましい。第2ガラス板24の板厚が0.3mm以上であることによりハンドリング性がよく、2.3mm以下であることにより質量が大きくなり過ぎない。
【0021】
合わせガラス20が例えばヘッドアップディスプレイに用いられる場合、第1ガラス板22及び第2ガラス板24は一定の板厚ではなく、必要に応じて場所毎に板厚が変わっても良い。例えば、第1ガラス板22及び第2ガラス板24の何れか一方、又は両方は、フロントガラスを車両に取り付けた状態でフロントガラスの下辺から上辺に向かうにつれて板厚が厚くなる断面楔形状であってもよい。この場合、中間膜26の膜厚が一定であれば、第1ガラス板22及び第2ガラス板24の合計の楔角は、例えば、0mradより大きく1.0mrad以下の範囲で変化する。
【0022】
第1ガラス板22及び/又は第2ガラス板24の外側に撥水、紫外線や赤外線カットの機能を有する被膜や、低反射特性、低放射特性を有する被膜を設けてもよい。又、第1ガラス板22及び/又は第2ガラス板24の中間膜26と接する側に、紫外線や赤外線カット、低放射特性、可視光吸収、着色等の被膜を設けてもよい。
【0023】
第1ガラス板22及び第2ガラス板24が湾曲形状の無機ガラスである場合、第1ガラス板22及び第2ガラス板24は、フロート法による成形の後、中間膜26による接着前に、曲げ成形される。曲げ成形は、ガラス板を加熱により軟化させて行われる。曲げ成形時のガラス板の加熱温度は、大凡550℃~700℃である。
【0024】
中間膜26としては熱可塑性樹脂が多く用いられ、例えば、可塑化ポリビニルアセタール系樹脂、可塑化ポリ塩化ビニル系樹脂、飽和ポリエステル系樹脂、可塑化飽和ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、可塑化ポリウレタン系樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体系樹脂、エチレン-エチルアクリレート共重合体系樹脂、シクロオレフィンポリマー樹脂、アイオノマー樹脂等の従来からこの種の用途に用いられている熱可塑性樹脂が挙げられる。又、特許第6065221号に記載されている変性ブロック共重合体水素化物を含有する樹脂組成物も好適に使用できる。
【0025】
これらの中でも、透明性、耐候性、強度、接着力、耐貫通性、衝撃エネルギー吸収性、耐湿性、遮熱性、及び遮音性等の諸性能のバランスに優れることから、可塑化ポリビニルアセタール系樹脂が好適に用いられる。これらの熱可塑性樹脂は、単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。上記可塑化ポリビニルアセタール系樹脂における「可塑化」とは、可塑剤の添加により可塑化されていることを意味する。その他の可塑化樹脂についても同様である。
【0026】
但し、中間膜26に発光装置15を封入する場合、封入する物の種類によっては特定の可塑剤により劣化することがあり、その場合には、その可塑剤を実質的に含有していない樹脂を用いることが好ましい。つまり、中間膜13が可塑剤を含まないことが好ましい場合がある。可塑剤を含有していない樹脂としては、例えば、エチレン-酢酸ビニル共重合体系樹脂等が挙げられる。
【0027】
上記ポリビニルアセタール系樹脂としては、ポリビニルアルコール(PVA)とホルムアルデヒドとを反応させて得られるポリビニルホルマール樹脂、PVAとアセトアルデヒドとを反応させて得られる狭義のポリビニルアセタール系樹脂、PVAとn-ブチルアルデヒドとを反応させて得られるポリビニルブチラール樹脂(PVB)等が挙げられ、特に、透明性、耐候性、強度、接着力、耐貫通性、衝撃エネルギー吸収性、耐湿性、遮熱性、及び遮音性等の諸性能のバランスに優れることから、PVBが好適なものとして挙げられる。なお、これらのポリビニルアセタール系樹脂は、単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
【0028】
但し、中間膜26を形成する材料は、熱可塑性樹脂には限定されない。又、中間膜26は、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、発光剤等の機能性粒子を含んでもよい。又、中間膜26は、シェードバンド(可視光透過率を低下させる機能を持つ着色加工部)と呼ばれる着色部を有してもよい。着色部を形成するために用いられる着色顔料としては、プラスチック用として使用できるものであって、着色部の可視光線透過率が40%以下となるものであれば良く、特に限定されるものではないが、例えば、アゾ系、フタロシアニン系、キナクリドン系、ペリレン系、ペリノン系、ジオキサジン系、アンスラキノン系、イソインドリノ系などの有機着色顔料や、酸化物、水酸化物、硫化物、クロム酸、硫酸塩、炭酸塩、珪酸塩、燐酸塩、砒酸塩、フェロシアン化物、炭素、金属粉などの無機着色顔料等が挙げられる。これらの着色顔料は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。着色顔料の添加量は、着色部の可視光線透過率が40%以下となるものであるかぎり、目的の色調に合わせて任意で良く、特に限定されるものではない。
【0029】
中間膜26の膜厚は、最薄部で0.5mm以上であることが好ましい。中間膜26の最薄部の膜厚が0.5mm以上であると合わせガラスとして必要な耐衝撃性が十分となる。又、中間膜26の膜厚は、最厚部で3mm以下であることが好ましい。中間膜26の最厚部の膜厚が3mm以下であると、合わせガラスの質量が大きくなり過ぎない。中間膜26の膜厚の最大値は2.8mm以下がより好ましく、2.6mm以下が更に好ましい。
【0030】
合わせガラス20が例えばヘッドアップディスプレイに用いられる場合、中間膜26は一定の膜厚ではなく、必要に応じて場所毎に膜厚が変わっても良い。例えば、中間膜26は、フロントガラスを車両に取り付けた状態でフロントガラスの下辺から上辺に向かうにつれて膜厚が厚くなる断面楔形状であってもよい。この場合、第1ガラス板22及び第2ガラス板24の板厚が一定であれば、中間膜26の楔角は、例えば、0mradより大きく1.0mrad以下の範囲で変化する。
【0031】
なお、中間膜26は、3層以上の層を有していてもよい。例えば、中間膜を3層以上から形成し、両側の層を除く何れかの層のせん断弾性率を可塑剤の調整等により両側の層のせん断弾性率よりも小さくすることにより、合わせガラス20の遮音性を向上できる。この場合、両側の層のせん断弾性率は同じでもよいし、異なってもよい。
【0032】
合わせガラス20の総厚は、2.8mm以上10mm以下であることが好ましい。合わせガラス20の総厚が2.8mm以上であれば、十分な剛性を確保できる。又、合わせガラス20の総厚が10mm以下であれば、十分な透過率が得られると共にヘイズを低減できる。
【0033】
合わせガラス20を製造するには、第1ガラス板22と第2ガラス板24との間に、中間膜26を挟んで積層体とする。そして、例えば、この積層体をゴム袋やラバーチャンバー、樹脂製の袋等の中に入れ、圧力が-65~-100kPaの真空中で、温度が約70~110℃で接着する。加熱条件、温度条件、及び積層方法は、発光装置15の性質に配慮して、例えば、積層中に劣化しないように適宜選択される。
【0034】
更に、例えば、温度が100~150℃で、圧力が0.6~1.3MPaの条件で加熱加圧する圧着処理を行うことで、より耐久性の優れた合わせガラス20を得られる。但し、場合によっては工程の簡略化、並びに合わせガラス20中に封入する材料の特性を考慮して、この加熱加圧工程を使用しない場合もある。
【0035】
つまり、第1ガラス板22又は第2ガラス板24のうち、何れか一方、又は両方のガラス板が互いに弾性変形した状態で接合されている、「コールドベンド」と呼ばれる方法を使用してもよい。コールドベンドは、テープ等の仮止め手段によって固定された第1ガラス板22、第2ガラス板24及び中間膜26からなる積層体と、従来公知であるニップローラー又はゴム袋、ラバーチャンバー等の予備圧着装置及びオートクレーブを用いることで達成できる。
【0036】
第1ガラス板22と第2ガラス板24との間に、本発明の効果を損なわない範囲で、中間膜26の他に、電熱線、赤外線反射、発光、発電、調光、タッチパネル、可視光反射、散乱、加飾、吸収等の機能を持つフィルムやデバイスを有してもよい。又、合わせガラス20の表面に防曇、撥水、遮熱、低反射等の機能を有する膜を有していてもよい。又、第1ガラス板22の車外側の面や第2ガラス板24の車内側の面に遮熱、発熱等の機能を有する膜を有していてもよい。
【0037】
カウルルーバ18は、例えばポリプロピレン製の射出成形品からなる板状部材である。カウルルーバ18は、フード(不図示)とウインドシールド12との間に配置され、ウインドシールド12の下端部に沿って車両の幅方向(左右方向)に延びる。カウルルーバ18は、車両の後端側において、縦断面がU字形状となる挟持部30を有している。
【0038】
モール14は、ウインドシールド12の下縁部12Aにカウルルーバ18の挟持部30を連接するための連接部材として機能する。モール14は、ウインドシールド12の下縁部12Aに沿って、車両の幅方向に延びる。モール14は、ウインドシールド12の下縁部12Aの車内側面に両面接着テープ16(図3参照)を介して組み付けられる。
【0039】
図2に示されるように、ウインドシールド12及びモール14を備えるモール付きウインドシールド10と、カウルルーバ18とが準備される。カウルルーバ18の挟持部30において、モール14とカウルルーバ18とは嵌合され、カウルルーバ18は、モール付きウインドシールド10のモール14に連接される。これにより、モール付きウインドシールドとカウルルーバとの連接構造1が構成される。
【0040】
図3に示されるように、モール14は、第2ガラス板24の車内側面に上面が接着される第1モール部40と、カウルルーバ18の挟持部30に収容され、第1モール部40から車両の前方(F)へと延設される第2モール部42と、を備える。第2モール部42は、車内側(In)の面に突出する係合部44と、係合部44より前方(F)に位置する前方部46とを有する。
【0041】
第2ガラス板24の車内側面と第1モール部40の上面とは、両面接着テープ16を介して接着できる。両面接着テープ16に換えて、アクリル樹脂系、ウレタン樹脂系、エポキシ樹脂系などの公知の接着剤によって接着できる。
【0042】
第1実施形態では、第1モール部40は、ステンレス鋼、スチール鋼等の薄板形状の金属部材により構成される。金属部材の板厚は、例えば、0.2mm以上1.2mm以下である。第1モール部40は、その後端側において前端側に向けて折り返しされた曲部40Aを有する。曲部40Aは、いわゆるヘミング曲げと称されるものであり、曲部によって第1モール部40が補強される。第1モール部40は第2モール部42に向けて延びる。
【0043】
第2モール部42は、オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO: Thermoplastic Olefinic Elastomer)、アルクリン(登録商標:熱可塑性エラストマー)、PVC等の軟質の樹脂部材により構成される。第2モール部42の硬度(JIS K 6253デュロメータ・タイプA硬度(以下「硬度」という))としては、例えば40度以上70度以下であることが好ましい。
【0044】
係合部44は、第2モール部42の車両の車幅方向(左右方向)における長さの90%以上の長さを有することが好ましい。係合部44は連続して90%以上であってもよいし、また、一部に離間部分、すなわち不連続部分を有して90%以上であってもよい。
【0045】
第1実施形態では、第1モール部40を構成する金属部材の一部が、第2モール部42の側に延び、車内側に向けて折り曲げられる。第1モール部40の折り曲げ部分に係合部44が形成される。第1モール部40の一部は、挟持部30に収容され、第2モール部42の一部として係合部44を構成する。
【0046】
モール14の第1モール部40は、ロールフォーミングにより連続的に形成されたロール成形品であってよい。モール14の第2モール部42は、押出成形により連続的に形成された押出成形体品であってよい。したがって、モール14は、第1モール部40をロールフォーミングにより連続的に形成し、ロールフォーミングされた第1モール部40に押出成形により第2モール部42を連続的に形成できる。すなわち、モール14は、ロール成形品である第1モール部40と押出成形品である第2モール部42と、からなる連続成形品であってよい。係合部44が車幅方向における長さの90%以上の長さを有するので、モール14はロールフォーミングと押出成形とにより連続的に製造できる。なお、第1モール部40が金属部材の場合、第1モール部40を変形することによりモール14が複雑な形状に追従できる。
【0047】
カウルルーバ18の挟持部30は、車外側に露出する第1挟持部32と、カウルルーバ18の車内側に形成され、第1挟持部32と所定の間隔をおいて車両の後方(R)に向かって延設される第2挟持部34とを備える。挟持部30は、第1挟持部32と第2挟持部34とにより、U字形状の縦断面を構成する。縦断面とは、カウルルーバ18を、車幅方向に略直交する面で切断した、断面を意味する。
【0048】
第2挟持部34は、モール14の係合部44と係合する被係合部36を有する。被係合部36は、係合部44の一部を収容可能で、第2挟持部34に形成された、複数個の貫通孔により構成される。被係合部36は、係合部44の一部を収容できれば、貫通孔ではなく、第2挟持部34に形成された溝であってもよい。
【0049】
図4に示されるように、カウルルーバ18において、第1挟持部32が車幅方向に連続して延びる形状を有する。同様に第2挟持部34が車幅方向に連続して延びる形状を有することが好ましい。したがって、挟持部30は、車幅方向に連続して延びる形状を有し、車外側から水が浸入した場合の樋としての機能を発揮できる。
【0050】
図4の拡大図に示されるように、被係合部36は、挟持部30において、車両の車幅方向に沿って離間して形成される。被係合部36は、離間して形成されるので、第2挟持部34の剛性を維持できる。隣り合う被係合部36の距離は50mm以上2000mm以下であることが好ましい。
【0051】
図4に示されるように、被係合部36は、貫通孔36Aと、貫通孔36Aに対して前後方向に形成されたリブ36Bと、により構成できる。
【0052】
次に、図3に示されるように、挟持部30は、被係合部36より前方であって、第2モール部42の前方部46の少なくとも一部と、挟持部32の車内側面と挟持部34の車外側面で接触する第1及び第2接触領域38を有する。
【0053】
第1実施形態では、前方部46は、第2モール部42の車両の車幅方向に連続して延び、カウルルーバ18の挟持部30に収容される。図3に示されるように、前方部46と第1挟持部32の車内側面とが接触し第1接触領域38が構成され、前方部46と第2挟持部34の車内側面とが接触し第2接触領域38が構成さる。
【0054】
第2モール部42が挟持部30に収容される前において、少なくとも前方部46の少なくとも一部の縦断面の長さは、第1及び第2接触領域38の少なくとも一部における第1挟持部32の車内側面と第2挟持部34の車外側面との間の距離(挟持部30の接触領域間距離とも称する。)よりも長い。第1実施形態では、前方部46は、挟持部30に収容される前は、縦断面で略四角形状を有している。
【0055】
第1及び第2接触領域38の縦断面において、挟持部30の接触領域間距離と前方部46とが上述の長さの関係を有するので、前方部46と挟持部30の第1挟持部32の車内側面と第2挟持部34の車外側面とに圧をかけることができる。したがって、第1及び第2接触領域38において、圧により前方部46と挟持部30とが接触するので、水が車外から車室内側に浸入することを抑制できる。
【0056】
図3に示されるように、第1及び第2接触領域38において、前方部46と第1挟持部32、及び前方部46と第2挟持部34とは面接触する部位を有する。面接触することで、第1及び第2接触領域38の距離が長くなり、水が車外から車室内側に浸入すること抑制する抑止力を大きくできる。前方部46は挟持部30の内壁に倣う形状に変形される。
【0057】
第2モール部42の前端部と、第1挟持部32の車内側面と第2挟持部34の車外側面とで形成される挟持部30の内壁との間には空隙Sがある。空隙Sが存在するので、仮に水が第1接触領域38を通過したとしても、挟持部30が樋として機能し、任意の場所に水を移動でき、排水できる。排水位置は、ワイパーモータほか電子部品を避けた位置に配置することが望ましい。また、排水位置は任意に設定できる。
【0058】
図3に示されるように、第2モール部42は、第1ガラス板22の側に突出し、第1挟持部32と合わせガラス20との間に位置する突出部48を有する。第1挟持部32と突出部48と第1ガラス板22とが面一に配置される。第1挟持部32と突出部48と第1ガラス板22とによりフラッシュサーフェスが構成される。面一は、完全な面一、及び略面一(±1.0mmの範囲)を含む。
【0059】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態のモール付きウインドシールドとカウルルーバとの連接構造を図5に基づいて説明する。第1実施形態と同様の構成には同様符号を付して説明を省略する場合がある。
【0060】
図5に示されるように、第2実施形態に係るモール付きウインドシールドとカウルルーバとの連接構造2は、ウインドシールド12及びモール214を備えるモール付きウインドシールド10と、カウルルーバ18とを、備える。
【0061】
ウインドシールド12は、第1実施形態と同様、第1ガラス板22、中間膜26及び第2ガラス板24から構成される合わせガラス20により構成される。
【0062】
図5に示されるように、第2実施形態は、第1実施形態とは異なる形状のモール214を備える。モール214は、第2ガラス板24の車内側面に上面が両面接着テープ16を介して接着される第1モール部240と、カウルルーバ18の挟持部30に収容され、第1モール部240から車両の前方(F)へと延設される第2モール部242と、を備える。モール214は、第1モール部240に、車内側(In)の面に突出する係合部244を有し、第2モール部242は、係合部244より前方(F)に位置する前方部246を有する。
【0063】
第2実施形態では、第1モール部240は板形状のオレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)、ポリ塩化ビニル(PVC: polyvinyl chloride)等の硬質の樹脂部材により構成される。第1モール部240の硬度としては、例えば60度以上100度以下であることが好ましい。第1モール部240の後端側は、車内側に突出する突出部240Aを有している。突出部240Aにより第1モール部240が補強される。第1モール部240は、第2モール部242に向けて延びる。
【0064】
第2モール部242は、第1実施形態と同様、オレフィン系熱可塑性エラストマー、アルクリン(登録商標)、ポリ塩化ビニル等の軟質の樹脂部材により構成される。第2モール部242の硬度としては、例えば40度以上70度以下であり、第1モール部240の硬度より小さい。第2実施形態では、第1モール部240を構成する樹脂部材と第2モール部242を構成する樹脂部材とが異なる。異なるとは、組成及び特性(機械的、化学的)の少なくともいずれかが異なること意味する。
【0065】
係合部244は、第2モール部242の車両の車幅方向(左右方向)における長さの90%以上の長さを有することが好ましい。係合部244は連続して90%以上であってもよいし、また、一部に離間部分、を有して90%以上であってもよい。
【0066】
第2実施形態では、第1モール部240を構成する樹脂部材の一部が、第2モール部242の側に延び、車内側に向けて突出する突出部を構成する。第1モール部240の一部は挟持部30に収容され、第1モール部240の突出部が、モール214の一部として係合部244を構成する。
【0067】
第2実施形態では、第1モール部240と第2モール部242とを同時に押出成形により連続的に成形された押出成形品であってよい。すなわち、モール214は、第1モール部240と第2モール部242と、からなる押出成形品であってよい。係合部244が車幅方向における長さの90%以上の長さを有するので、モール214は押出成形により連続的に製造できる。したがって、モール214を効率的に製造できる。
【0068】
カウルルーバ18は、第1実施形態と同様、後端側において、第1挟持部32と第2挟持部34とによって縦断面がU字形状となる挟持部30を有する。第2挟持部34は、モール214の係合部244と係合する被係合部36を有する。被係合部36は、複数個の貫通孔、複数個の溝、及び複数個の貫通孔と複数個のリブとの組み合わせであってもよい。
【0069】
図5に示されるように、挟持部30は、被係合部36より前方であって、第2モール部242の前方部246の少なくとも一部と接触する第1及び第2接触領域38を有する。
【0070】
前方部246は、第2モール部242の車両の車幅方向に連続して延び、カウルルーバ18の挟持部30に収容される。
【0071】
第2実施形態では、前方部246は、第1挟持部32の側に延び、第1挟持部32の車内側面に接触するリップ250を有する。リップ250は、前方部246の前端側から後端側に延び、前方部246における接続部分を支点に変形可能に構成されている。リップ250と第1挟持部32の車内側面とが接触し、第1接触領域38が形成される。前方部246のリップ250と反対側は、第2挟持部34の車外側面と接触して第2接触領域38が形成される。リップ250は第1挟持部32と接触して変形される。第2実施形態の前方部246は、第1実施形態の前方部46と異なる形状を有する。第2実施形態では、リップ250は、挟持部30の一方である、第1挟持部32の車内側面の一方に対して押圧接触する。
【0072】
図5に示されるように、第2モール部242が挟持部30に収容される前において、前方部246のリップ250の先端と、前方部246におけるリップ250とリップ250の反対側の位置との間の縦断面の長さは、接触領域38の少なくとも一部における第1挟持部32の車内側面と第2挟持部34の車外側面との間の距離よりも長い。
【0073】
第1及び第2接触領域38の縦断面において、挟持部30の接触領域間距離と前方部246とが上述の長さの関係を有するので、前方部246と挟持部30の第1挟持部32の車内側面と第2挟持部34の車外側面とに圧をかけることができる。したがって、第1接触領域38において、圧により前方部246と挟持部30とが接触するので、水が車外から車室内側に浸入することを抑制できる。
【0074】
図5に示されるように、接触領域38において、前方部246のリップ250と第1挟持部32の車内側面とは面接触する部位を有している。前方部246のリップ250と反対側は第2挟持部34の車外側面とは、線接触する。リップ250を含む前方部246は挟持部30の内壁に倣う形状に変形される。
【0075】
第2モール部242の前端部と、第1挟持部32の車内側面と第2挟持部34の車外側面とで形成される挟持部30の内壁との間には、第1実施形態と同様に、空隙Sがある。
【0076】
図5に示されるように、第2モール部242は、第1ガラス板22の側に突出し、第1挟持部32と合わせガラス20との間に位置する突出部248を有する。第1挟持部32と突出部248と第1ガラス板22とが面一に配置される。第1挟持部32と突出部248と第1ガラス板22とにより、第1実施形態と同様、フラッシュサーフェスが構成される。面一は、完全な面一、及び略面一を含む。
【0077】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態のモール付きウインドシールドとカウルルーバとの連接構造を図6に基づいて説明する。第1実施形態、及び第2実施形態と同様の構成には同様符号を付して説明を省略する場合がある。
【0078】
図6に示されるように、第3実施形態に係るモール付きウインドシールドとカウルルーバとの連接構造3は、ウインドシールド12及びモール314を備えるモール付きウインドシールド10と、カウルルーバ18とを、備える。
【0079】
ウインドシールド12は、第1実施形態と同様、第1ガラス板22、中間膜26及び第2ガラス板24から構成される合わせガラス20により構成される。
【0080】
図6に示されるように、第3実施形態は、第1実施形態とは異なる形状のモール314を備える。モール314は、第2ガラス板24の車内側面に上面が両面接着テープ16を介して接着される第1モール部340と、カウルルーバ18の挟持部30に収容され、第1モール部340から車両の前方(F)へと延設される第2モール部342と、を備える。モール314は、車内側(In)の面に突出する係合部344を有し、第2モール部342は、係合部344より前方(F)に位置する前方部346を有する。
【0081】
第3実施形態の第1モール部340は、第1実施形態と同様、ステンレス鋼、スチール鋼等の薄板形状の金属部材により構成される。第1モール部340は前端部に曲部340Aを有し、第2モール部342に向けて延びる。
【0082】
第2モール部342は、第1実施形態と同様、オレフィン系熱可塑性エラストマー、アルクリン(登録商標)、ポリ塩化ビニル等の軟質の樹脂部材により構成される。
【0083】
係合部344は、第2モール部342の車両の車幅方向(左右方向)における長さの90%以上の長さを有することが好ましい。
【0084】
モール314は、第1実施形態と同様、ロールフォーミングと押出成形とにより連続的に製造できる。すなわち、モール314は、ロール成形品である第1モール部340と押出成形品である第2モール部342と、からなる連続成形品であってよい。
【0085】
カウルルーバ18は、第1実施形態と同様、後端側において、第1挟持部32と第2挟持部34とによって縦断面がU字形状となる挟持部30を有する。第2挟持部34は、モール314の係合部344と係合する被係合部36を有する。被係合部36は、複数個の貫通孔、複数個の溝、及び複数個の貫通孔と複数個のリブとの組み合わせであってもよい。
【0086】
図6に示されるように、挟持部30は、被係合部36より前方であって、第2モール部342の前方部346の少なくとも一部と接触する第1及び第2接触領域38を有する。
【0087】
前方部346は、第2モール部342の車両の車幅方向に連続して延び、カウルルーバ18の挟持部30に収容される。
【0088】
第3実施形態では、前方部346は、第1挟持部32及び第2挟持部34の側に広がり、第1挟持部32の車内側面及び第2挟持部34の車外側面に接触する第1及び第2肉厚部350を有する。第1及び第2肉厚部350は、第1挟持部32の車内側面及び第2挟持部34の車外側面の各々と接触し、挟持部30の第1挟持部32及び第2挟持部34に第1及び第2接触領域38が形成される。
【0089】
図6に示されるように、第2モール部342が挟持部30に収容される前において、前方部346の第1及び第2肉厚部350の縦断面の合計長さは、第1及び第2接触領域38の少なくとも一部における第1挟持部32の車内側面と第2挟持部34の車外側面との間の距離よりも長い。第1及び第2肉厚部350の縦断面の合計長さは、第1挟持部32の側と第2挟持部34の側にそれぞれに広がる第1及び第2肉厚部350間の距離になる。
【0090】
第1及び第2接触領域38の縦断面において、挟持部30の接触領域間距離と前方部346とが上述の長さの関係を有するので、前方部346と挟持部30の第1挟持部32の車内側面と第2挟持部34の車外側面とに圧をかけることができる。したがって、第1接触領域38において、圧により前方部346と挟持部30とが接触するので、水が車外から車室内側に浸入することを抑制できる。
【0091】
図6に示されるように、第1及び第2接触領域38において、前方部346の2つの肉厚部350は、挟持部30の第1挟持部32及び第2挟持部34のそれぞれに面接触する部位を有している。また、第3実施形態において、モール314は、挟持部30に圧入され、第1挟持部32の車内側面と第2挟持部34の車外側面とに押圧接触する。2つの第1及び第2肉厚部350を含む前方部346は挟持部30の内壁に倣う形状に変形される。
【0092】
第2モール部342の前端部と、第1挟持部32の車内側面と第2挟持部34の車外側面とで形成される挟持部30の内壁との間には、第1実施形態と同様に、空隙Sがある。
【0093】
図6に示されるように、第2モール部342は、第1ガラス板22の側に突出し、第1挟持部32と合わせガラス20との間に位置する突出部348を有する。第1挟持部32と突出部348と第1ガラス板22とが面一に配置される。第1挟持部32と突出部348と第1ガラス板22とにより、第1実施形態と同様、フラッシュサーフェスが構成される。面一は、完全な面一、及び略面一を含む。
【0094】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態のモール付きウインドシールドとカウルルーバとの連接構造を図7に基づいて説明する。第1実施形態から第3実施形態と同様の構成には同様符号を付して説明を省略する場合がある。
【0095】
図7に示されるように、第4実施形態に係るモール付きウインドシールドとカウルルーバとの連接構造4は、ウインドシールド12及びモール414を備えるモール付きウインドシールド10と、カウルルーバ18とを、備える。
【0096】
ウインドシールド12は、第1実施形態と同様、第1ガラス板22、中間膜26及び第2ガラス板24から構成される合わせガラス20により構成される。
【0097】
図7に示されるように、第4実施形態は、第1実施形態とは異なる形状のモール414を備える。モール414は、第2ガラス板24の車内側面に上面が両面接着テープ16を介して接着される第1モール部440と、カウルルーバ18の挟持部30に収容され、第1モール部440から車両の前方(F)へと延設される第2モール部442と、を備える。モール414は、第1モール部440に、車内側(In)の面に突出する係合部444を有し、第2モール部442は、係合部444より前方(F)に位置する前方部446とを有する。
【0098】
第4実施形態の第1モール部440は、第2実施形態と同様、オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)、ポリ塩化ビニル(PVC: polyvinyl chloride)等の硬質の樹脂部材により構成される。第1モール部440の後端側は、車内側に突出する突出部440Aを有している。第1モール部440は、第2モール部442に向けて延びる。
【0099】
第2モール部442は、第3実施形態と同様、オレフィン系熱可塑性エラストマー、アルクリン(登録商標)、ポリ塩化ビニル等の軟質の樹脂部材により構成される。
【0100】
係合部444は、第2モール部442の車両の車幅方向(左右方向)における長さの90%以上の長さを有することが好ましい。第2実施形態と同様、第1モール部440の突出部が第2モール部442の一部として係合部444を構成する。
【0101】
モール414は、第2実施形態と同様、押出成形により連続的に製造された押出成形品であってよい。すなわち、モール414は、第1モール部440と第2モール部442と、からなる押出成形品であってよい。したがって、モール414を効率的に製造できる。
【0102】
カウルルーバ18は、第1実施形態と同様、後端側において、第1挟持部32と第2挟持部34とによって縦断面がU字形状となる挟持部30を有する。第2挟持部34は、モール414の係合部444と係合する被係合部36を有する。
【0103】
図7に示されるように、挟持部30は、被係合部36より前方であって、第2モール部442の前方部446の少なくとも一部と接触する第1及び第2接触領域38を有する。
【0104】
前方部446は、第2モール部442の車両の車幅方向に連続して延び、カウルルーバ18の挟持部30に収容される。
【0105】
第4実施形態では、第3実施形態と同様、前方部446は、第1挟持部32及び第2挟持部34の側に広がり、第1挟持部32の車内側面及び第2挟持部34の車外側面に接触する第1及び第2肉厚部450を有する。第1及び第2肉厚部450は、第1挟持部32の車内側面及び第2挟持部34の車外側面の各々と接触し、挟持部30の第1挟持部32及び第2挟持部34のそれぞれに第1及び第2接触領域38が形成される。
【0106】
図7に示されるように、第4実施形態は第3実施形態と同様、第2モール部442が挟持部30に収容される前において、前方部446の第1及び第2肉厚部450の縦断面の合計長さは、第1及び第2接触領域38の少なくとも一部における第1挟持部32の車内側面と第2挟持部34の車外側面との間の距離よりも長い。第1及び第2肉厚部450の縦断面の合計長さは、第1挟持部32の側と第2挟持部34の側にそれぞれに広がる第1及び第2肉厚部450間の距離になる。
【0107】
第1及び第2接触領域38の縦断面において、挟持部30の接触領域間距離と前方部446とが上述の長さの関係を有するので、前方部446と挟持部30の第1挟持部32の車内側面と第2挟持部34の車外側面とに圧をかけることができる。したがって、第1接触領域38において、圧により前方部446と挟持部30とが接触するので、水が車外から車室内側に浸入することを抑制できる。
【0108】
図7に示されるように、第1及び第2接触領域38において、前方部446の2つの肉厚部450は挟持部30の第1挟持部32及び第2挟持部34のそれぞれに面接触する部位を有している。また、第4実施形態において、モール414は、挟持部30に圧入され、第1挟持部32の車内側面と第2挟持部34の車外側面とに押圧接触する。2つの第1及び第2肉厚部450を含む前方部446は挟持部30の内壁に倣う形状に変形される。
【0109】
第2モール部442の前端部と、第1挟持部32の車内側面と第2挟持部34の車外側面とで形成される挟持部30の内壁との間には、第1実施形態と同様に、空隙Sがある。
【0110】
図7に示されるように、第2モール部442は、第1ガラス板22の側に突出し、第1挟持部32と合わせガラス20との間に位置する突出部448を有する。第1挟持部32と突出部448と第1ガラス板22とが面一に配置される。第1挟持部32と突出部448と第1ガラス板22とにより、第3実施形態と同様、フラッシュサーフェスが構成される。面一は、完全な面一、及び略面一を含む。
【0111】
(第5実施形態)
次に、本発明の第5実施形態のモール付きウインドシールドとカウルルーバとの連接構造を図8に基づいて説明する。第1実施形態から第4実施形態と同様の構成には同様符号を付して説明を省略する場合がある。
【0112】
図8に示されるように、第5実施形態に係るモール付きウインドシールドとカウルルーバとの連接構造5は、ウインドシールド12及びモール514を備えるモール付きウインドシールド10と、カウルルーバ18とを、備える。
【0113】
ウインドシールド12は、第1実施形態と同様、第1ガラス板22、中間膜26及び第2ガラス板24から構成される合わせガラス20により構成される。
【0114】
図8に示されるように、第5実施形態は、第1実施形態とは異なる形状のモール514を備える。モール514は、第2ガラス板24の車内側面に上面が両面接着テープ16を介して接着される第1モール部540と、カウルルーバ18の挟持部30に収容され、第1モール部540から車両の前方(F)へと延設される第2モール部542と、を備える。モール514は、車内側(In)の面に突出する係合部544を有し、第2モール部542は、係合部544より前方(F)に位置する前方部546とを有する。
【0115】
第5実施形態の第1モール部540は、第1実施形態と同様、薄板形状のステンレス鋼、スチール鋼等の金属部材により構成される。第1モール部540は前端部に曲部540Aを有し、第2モール部42に向けて延びる。
【0116】
第2モール部542は、第1実施形態と同様、オレフィン系熱可塑性エラストマー、アルクリン(登録商標)、ポリ塩化ビニル等の軟質の樹脂部材により構成される。
【0117】
係合部544は、第2モール部542の車両の車幅方向(左右方向)における長さの90%以上の長さを有することが好ましい。
【0118】
モール514は、第1実施形態と同様、ロールフォーミングと押出成形とにより連続的に製造できる。すなわち、モール514は、ロール成形品である第1モール部540と押出成形品である第2モール部542と、からなる連続成形品であってよい。
【0119】
カウルルーバ18は、第1実施形態と同様、後端側において、第1挟持部32と第2挟持部34とによって縦断面がU字形状となる挟持部30を有する。第2挟持部34は、モール514の係合部544と係合する被係合部36を有する。被係合部36は、複数個の貫通孔、複数個の溝、及び複数個の貫通孔と複数個のリブとの組み合わせであってもよい。
【0120】
図8に示されるように、挟持部30は、被係合部36より前方であって、第2モール部542の前方部546の少なくとも一部と接触する第1及び第2接触領域38を有する。
【0121】
前方部546は、第2モール部542の車両の車幅方向に連続して延び、カウルルーバ18の挟持部30に収容される。
【0122】
第5実施形態では、前方部546は、第1挟持部32及び第2挟持部34の側に広がり、第1挟持部32の車内側面及び第2挟持部34の車外内面の各々に接触する第1及び第2リップ550を有する。それぞれのリップ550は、前方部546の前端側から後端側に延び、前方部546における接続部分を支点に変形可能に構成されている。第1及び第2リップ550と第1挟持部32の車内側面及び第2挟持部34の車外側面の各々とが接触し、第1及び第2リップ550が変形し、挟持部30の第1挟持部32及び第2挟持部34のそれぞれに第1及び第2接触領域38が形成される。
【0123】
図8に示されるように、第2モール部542が挟持部30に収容される前において、前方部546の第1及び第2リップ550の縦断面の合計長さは、第1及び第2接触領域38の少なくとも一部における第1挟持部32の車内側面と第2挟持部34の車外側面との間の距離よりも長い。第1及び第2リップ550の縦断面の合計長さは、第1挟持部32の側と第2挟持部34の側にそれぞれに広がる2つの第1及び第2リップ550の後端部の間の距離になる。
【0124】
第1及び第2接触領域38の縦断面において、挟持部30の接触領域間距離と前方部546とが上述の長さの関係を有するので、前方部546と挟持部30の第1挟持部32の車内側面と第2挟持部34の車外側面とに圧をかけることができる。したがって、第1及び第2接触領域38において、圧により前方部546と挟持部30とが接触するので、水が車外から車室内側に浸入することを抑制できる。
【0125】
図8に示されるように、第1及び第2接触領域38において、前方部546の2つの第1及び第2リップ550は挟持部30の第1挟持部32及び第2挟持部34のそれぞれに面接触する部位を有している。第1及び第2リップ550を含む前方部546は挟持部30の内壁に倣う形状に変形される。
【0126】
第2モール部542の前端部と、第1挟持部32の車内側面と第2挟持部34の車外側面とで形成される挟持部30の内壁との間には、第1実施形態と同様に、空隙Sがある。
【0127】
図8に示されるように、第2モール部542は、第1ガラス板22の側に突出し、第1挟持部32と合わせガラス20との間に位置する突出部548を有する。第1挟持部32と突出部548と第1ガラス板22とが面一に配置される。第1挟持部32と突出部548と第1ガラス板22とにより、第1実施形態と同様、フラッシュサーフェスが構成される。面一は、完全な面一、及び略面一を含む。
【0128】
(第6実施形態)
次に、本発明の第6実施形態のモール付きウインドシールドとカウルルーバとの連接構造を図9に基づいて説明する。第1実施形態から第5実施形態と同様の構成には同様符号を付して説明を省略する場合がある。
【0129】
図9に示されるように、第6実施形態に係るモール付きウインドシールドとカウルルーバとの連接構造6は、ウインドシールド12及びモール614を備えるモール付きウインドシールド10と、カウルルーバ18とを、備える。
【0130】
ウインドシールド12は、第1実施形態と同様、第1ガラス板22、中間膜26及び第2ガラス板24から構成される合わせガラス20により構成される。
【0131】
図9に示されるように、第6実施形態は、第1実施形態とは異なる形状のモール614を備える。モール614は、第2ガラス板24の車内側面に上面が両面接着テープ16を介して接着される第1モール部640と、カウルルーバ18の挟持部30に収容され、第1モール部640から車両の前方(F)へと延設される第2モール部642と、を備える。モール614は、第1モール部640に、車内側(In)の面に突出する係合部644を有し、第2モール部642は、係合部644より前方(F)に位置する前方部646を有する。
【0132】
第6実施形態の第1モール部640は、第4実施形態と同様、オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)、ポリ塩化ビニル(PVC: polyvinyl chloride)等の硬質の樹脂部材により構成される。第1モール部640の後端側は、車内側に突出する突出部640Aを有している。第1モール部640は、第2モール部642に向けて延びる。
【0133】
第2モール部642は、第5実施形態と同様、オレフィン系熱可塑性エラストマー、アルクリン(登録商標)、ポリ塩化ビニル等の軟質の樹脂部材により構成される。
【0134】
係合部644は、第2モール部642の車両の車幅方向(左右方向)における長さの90%以上の長さを有することが好ましい。第2実施形態と同様、第1モール部640の突出部が、モール614の一部として係合部644を構成する。
【0135】
モール614は、第4実施形態と同様、押出成形により連続的に製造された押出成形品であってよい。すなわち、モール614は、第1モール部640と第2モール部642と、からなる押出成形品であってよい。したがって、モール614を効率的に製造できる。
【0136】
カウルルーバ18は、第1実施形態と同様、後端側において、第1挟持部32と第2挟持部34とによって縦断面がU字形状となる挟持部30を有する。第2挟持部34は、モール614の係合部644と係合する被係合部36を有する。被係合部36は、複数個の貫通孔、複数個の溝、及び複数個の貫通孔と複数個のリブとの組み合わせであってもよい。
【0137】
図9に示されるように、挟持部30は、被係合部36より前方であって、第2モール部642の前方部646の少なくとも一部と接触する第1及び第2接触領域38を有する。
【0138】
前方部646は、第2モール部642の車両の車幅方向に連続して延び、カウルルーバ18の挟持部30に収容される。第6実施形態では、第5実施形態と同様、前方部646は、第1挟持部32及び第2挟持部34の側に広がり、第1挟持部32の車内側面及び第2挟持部34の車外内面に接触する第1及び第2リップ650を有する。それぞれのリップ650は、前方部646の前端側から後端側に延び、前方部646における接続部分を支点に変形可能に構成されている。第1及び第2リップ650は、第1挟持部32の車内側面及び第2挟持部34の車外側面の各々と接触して、第1及び第2リップ650が変形し、挟持部30の第1挟持部32及び第2挟持部34のそれぞれに第1及び第2接触領域38が形成される。
【0139】
図9に示されるように、第2モール部642が挟持部30に収容される前において、前方部646の第1及び第2リップ650の縦断面の合計長さは、第1及び第2接触領域38の少なくとも一部における第1挟持部32の車内側面と第2挟持部34の車外側面との間の距離よりも長い。
【0140】
接触領域38の縦断面において、挟持部30の接触領域間距離と前方部646とが上述の長さの関係を有するので、前方部646と挟持部30の第1挟持部32の車内側面と第2挟持部34の車外側面とに圧をかけることができる。したがって、第1及び第2接触領域38において、圧により前方部646と挟持部30とが接触するので、水が車外から車室内側に浸入することを抑制できる。
【0141】
図9に示されるように、第1及び第2接触領域38において、前方部646の2つのリップ550は挟持部30のそれぞれに面接触する部位を有している。第1及び第2リップ650を含む前方部646は挟持部30の内壁に倣う形状に変形される。
【0142】
第2モール部642の前端部と、第1挟持部32の車内側面と第2挟持部34の車外側面とで形成される挟持部30の内壁との間には、第1実施形態と同様に、空隙Sがある。
【0143】
図9に示されるように、第2モール部642は、第1ガラス板22の側に突出し、第1挟持部32と合わせガラス20との間に位置する突出部648を有する。第1挟持部32と突出部648と第1ガラス板22とが面一に配置される。第1挟持部32と突出部648と第1ガラス板22とにより、第1実施形態と同様、フラッシュサーフェスが構成される。面一は、完全な面一、及び略面一を含む。
【0144】
(第7実施形態)
次に、本発明の第7実施形態のモール付きウインドシールドとカウルルーバとの連接構造を図10に基づいて説明する。第1実施形態から第6実施形態と同様の構成には同様符号を付して説明を省略する場合がある。
【0145】
図10に示されるように、第7実施形態に係るモール付きウインドシールドとカウルルーバとの連接構造7は、ウインドシールド12及びモール714を備えるモール付きウインドシールド10と、カウルルーバ18とを、備える。
【0146】
ウインドシールド12は、第1実施形態と同様、第1ガラス板22、中間膜26及び第2ガラス板24から構成される合わせガラス20により構成される。
【0147】
図10に示されるように、第7実施形態は、第1実施形態とは異なる形状のモール714を備える。モール714は、第2ガラス板24の車内側面に上面が両面接着テープ16を介して接着される第1モール部740と、カウルルーバ18の挟持部30に収容され、第1モール部740から車両の前方(F)へと延設される第2モール部742と、を備える。モール714は、車内側(In)の面に突出する係合部744と、第1モール部740から、ウインドシールド12の端部に沿うように車外側に突出する立壁部745と、を第1モール部740に有し、第2モール部742は、係合部744より前方(F)に位置する前方部746を有する。
【0148】
第7実施形態の第1モール部740は、第4実施形態、第6実施形態と同様、オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)、ポリ塩化ビニル(PVC: polyvinyl chloride)等の硬質の樹脂部材により構成される。第1モール部740の後端側は、車内側に突出する突出部740Aを有している。第1モール部740は、第2モール部742に向けて延びる。さらに、第1モール部740は、ウインドシールド12の前端の端面に沿うように、車外側に突出する立壁部745を有する。第7実施形態の第1モール部740が、硬質の樹脂部材からなる立壁部745を有することで、モール714の剛性を高めることが出来る。
【0149】
第2モール部742は、第6実施形態と同様、オレフィン系熱可塑性エラストマー、アルクリン(登録商標)、ポリ塩化ビニル等の軟質の樹脂部材により構成される。
【0150】
係合部744は、第2モール部742の車両の車幅方向(左右方向)における長さの90%以上の長さを有することが好ましい。第2実施形態と同様、第1モール部740の突出部がモール714の一部として係合部744を構成する。
【0151】
モール714は、第4実施形態、第6実施形態と同様、押出成形により連続的に製造された押出成形品であってよい。すなわち、モール714は、第1モール部740と第2モール部742と、からなる押出成形品であってよい。したがって、モール714を効率的に製造できる。
【0152】
カウルルーバ18は、第1実施形態と同様、後端側において、第1挟持部32と第2挟持部34とによって縦断面がU字形状となる挟持部30を有する。第2挟持部34は、モール714の係合部744と係合する被係合部36を有する。被係合部36は、複数個の貫通孔、複数個の溝、及び複数個の貫通孔と複数個のリブとの組み合わせであってもよい。さらに、第2挟持部34の後端側は、車内側に突出するガイド部34Aを有している。第2挟持部34の後端側に、車内側に突出するガイド部34Aを有することで、カウルルーバ18の挟持部30にモール714を差し込みやすくなる。
【0153】
図10に示されるように、挟持部30は、被係合部36より前方であって、第2モール部742の前方部746の少なくとも一部と接触する第1及び第2接触領域38を有する。
【0154】
図10に示されるように、第2モール部742が挟持部30に収容される前において、前方部746のリップ750の縦断面の長さは、第1及び第2接触領域38の少なくとも一部における第1挟持部32の車内側面と第2挟持部34の車外側面との間の距離よりも長い。
【0155】
接触領域38の縦断面において、挟持部30の接触領域間距離と前方部746とが上述の長さの関係を有するので、前方部746と挟持部30の第1挟持部32の車内側面と第2挟持部34の車外側面とに圧をかけることができる。したがって、第1及び第2接触領域38において、圧により前方部746と挟持部30とが接触するので、水が車外から車室内側に浸入することを抑制できる。
【0156】
前方部746は、第2モール部742の車両の車幅方向に連続して延び、カウルルーバ18の挟持部30に収容される。第7実施形態では、第2実施形態と同様、前方部746のリップ750と第1挟持部32の車内側面とは面接触する部位を有している。前方部746のリップ750と反対側は第2挟持部34の車外側面とは、線接触する。リップ750を含む前方部746は挟持部30の内壁に倣う形状に変形される。
【0157】
図10に示されるように、第1及び第2接触領域38において、前方部746のリップ750と第1挟持部32の車内側面とは面接触する部位を有している。前方部746のリップ750と反対側は第2挟持部34の車外側面とは、線接触する。リップ750を含む前方部746は挟持部30の内壁に倣う形状に変形される。
【0158】
第2モール部742の前端部と、第1挟持部32の車内側面と第2挟持部34の車外側面とで形成される挟持部30の内壁との間には、第1実施形態と同様に、空隙Sがある。
【0159】
図10に示されるように、第2モール部742は、第1ガラス板22の側に突出し、第1挟持部32と合わせガラス20との間に位置する突出部748を有する。第1挟持部32と突出部748と第1ガラス板22とが面一に配置される。第1挟持部32と突出部748と第1ガラス板22とにより、第1実施形態と同様、フラッシュサーフェスが構成される。面一は、完全な面一、及び略面一を含む。
【0160】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、以上の例には限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変形を行うことができる。
なお、2020年6月2日に出願された日本国特願2020-096183号の明細書、特許請求の範囲、図面及び要約書の全内容をここに引用し、本発明の明細書の開示として、取り入れるものである。
【符号の説明】
【0161】
1,2,3,4,5,6 モール付きウインドシールドとカウルルーバとの連接構造、10 モール付きウインドシールド、12 ウインドシールド、14 モール、16 両面接着テープ、18 カウルルーバ、20 合わせガラス、22 第1ガラス板、24 第2ガラス板、26 中間膜、30 挟持部、32 第1挟持部、34 第2挟持部、34A ガイド部、36 被係合部、38 接触領域、40 第1モール部、40A 曲部、42 第2モール部、44 係合部、46 前方部、48 突出部、240 第1モール部、240A 突出部、242 第2モール部、244 係合部、246 前方部、248 突出部、250 リップ、340 第1モール部、340A 曲部、342 第2モール部、344 係合部、346 前方部、348 突出部、350 肉厚部、440 第1モール部、440A 突出部、442 第2モール部、444 係合部、446 前方部、448 突出部、450 肉厚部、540 第1モール部、540A 曲部、542 第2モール部、544 係合部、546 前方部、548 突出部、550 リップ、640 第1モール部、640A 突出部、642 第2モール部、644 係合部、646 前方部、648 突出部、650 リップ、740 第1モール部、740A 突出部、742 第2モール部、744 係合部、745 立壁部、746 前方部、748 突出部、750 リップ、S 空隙
図1
図2
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図10