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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-14
(45)【発行日】2025-01-22
(54)【発明の名称】分離方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 30/88 20060101AFI20250115BHJP
   G01N 30/26 20060101ALI20250115BHJP
【FI】
G01N30/88 X
G01N30/26 A
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2022550570
(86)(22)【出願日】2021-09-14
(86)【国際出願番号】 JP2021033805
(87)【国際公開番号】W WO2022059683
(87)【国際公開日】2022-03-24
【審査請求日】2024-02-09
(31)【優先権主張番号】P 2020155413
(32)【優先日】2020-09-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000044
【氏名又は名称】AGC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100152984
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 秀明
(74)【代理人】
【識別番号】100168985
【弁理士】
【氏名又は名称】蜂谷 浩久
(74)【代理人】
【識別番号】100148080
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 史生
(74)【代理人】
【識別番号】100149401
【弁理士】
【氏名又は名称】上西 浩史
(72)【発明者】
【氏名】大野 光
(72)【発明者】
【氏名】青山 元志
【審査官】黒田 浩一
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-035348(JP,A)
【文献】特開2020-079758(JP,A)
【文献】特開2006-022334(JP,A)
【文献】特開2021-067479(JP,A)
【文献】特開2021-009038(JP,A)
【文献】特開平06-145339(JP,A)
【文献】国際公開第2020/180968(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 30/00-30/96
B01J 20/282-20/283
B01D 15/42
C08K 5/02
C08L 29/10
C08K 3/22
C08K 3/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の式(1)で表わされる化合物と、下記の式(2)で表わされる化合物とを、これらを含む混合物から、移動相および固定相を用いるクロマトグラフィーにより分離する分離方法であって、
前記混合物をクロマトグラフィーの固定相に供給して該固定相に吸着させる工程と、
前記混合物を吸着させた固定相に対して、ハイドロフルオロオレフィン、ハイドロクロロフルオロオレフィン、クロロフルオロオレフィン、環状ハイドロフルオロオレフィン、環状ハイドロクロロフルオロオレフィン、環状クロロフルオロオレフィン、環状ハイドロフルオロカーボン、環状クロロフルオロフルオロカーボン、およびパーフルオロケトンからなる群から選択される少なくとも1種の特定溶媒を含む移動相に供給する工程と、
を有する分離方法。
A-(OX)-O-Z-(R)n1 式(1)
(R)n2-Z-(OX)-O-Z-(R)n3 式(2)
ただし、
Aは、アルキル基またはフルオロアルキル基であり、
Xは、アルキレン基、または1個以上のフッ素原子を有するフルオロアルキレン基であり、
mは、2以上の整数であり、
Zは、(n1+1)価、(n2+1)価、又は(n3+1)価の連結基であり、
Rは、-OH、-CR=CR(ただし、Rは、水素原子、フッ素原子、メチル基、またはトリフルオロメチル基であり、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子、またはフッ素原子である。)、-CH、-NH、-SH、-Ph、-F、-Cl、-Br、-I、-C≡CH、および-Nからなる群から選択されるいずれかの官能基であり、
n1は、1以上の整数であり、 n2は、1以上の整数であり、
n3は、1以上の整数である。
【請求項2】
前記式(1)および前記式(2)における、Aは、フルオロアルキル基であり、Xは、1個以上のフッ素原子を有するフルオロアルキレン基である、請求項1に記載の分離方法。
【請求項3】
前記式(1)、式(2)において、n1とn2とn3が同一の整数である、請求項1または2に記載の分離方法。
【請求項4】
前記混合物が、さらに、下記の式(3)で表される化合物を含み、式(1)で表わされる化合物と、式(2)で表わされる化合物と、式(3)で表される化合物とに分離する、請求項1~3のいずれか1項に記載の分離方法。
A-(OX)-O-A 式(3)
ただし、A、X、mは、前記式(1)、式(2)におけるものと同義である。
【請求項5】
前記特定溶媒が、塩素原子を含まない溶媒である、請求項1~4のいずれか1項に記載の分離方法。
【請求項6】
前記特定溶媒が、ハイドロフルオロオレフィン、環状ハイドロフルオロオレフィンおよび環状ハイドロフルオロカーボンからなる群から選択される少なくとも1種を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の分離方法。
【請求項7】
前記式(1)において、前記(OX)が下記構造を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の分離方法。
{(OCFm21・(OCFCFm22
ただし、m21は1以上の整数であり、m22は1以上の整数であり、m21+m22は2~500の整数である。
【請求項8】
前記式(2)において、前記(OX) が下記構造を含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の分離方法。
{(OCF m21 ・(OCF CF m22
ただし、m21は1以上の整数であり、m22は1以上の整数であり、m21+m22は2~500の整数である。
【請求項9】
前記式(3)において、前記(OX) が下記構造を含む、請求項4に記載の分離方法。
{(OCF m21 ・(OCF CF m22
ただし、m21は1以上の整数であり、m22は1以上の整数であり、m21+m22は2~500の整数である。
【請求項10】
前記固定相が、酸化アルミニウム、シリカゲル、酸化マグネシウム、アルミニウムシリケート、マグネシウムシリケート、化学修飾シリカゲル、および珪藻土からなる群から選択される、請求項1~のいずれか1項に記載の分離方法。
【請求項11】
前記クロマトグラフィーが、カラムクロマトグラフィーである、請求項1~10のいずれか1項に記載の分離方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分離方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリフルオロポリエーテル鎖と反応性シリル基とを有する含フッ素エーテル化合物は、高い潤滑性、撥水撥油性等を示す表面層を基材の表面に形成できるため、表面処理剤に好適に用いられる。含フッ素エーテル化合物を含む表面処理剤は、表面層が指で繰り返し摩擦されても撥水撥油性が低下しにくい性能(耐摩擦性)および拭き取りによって表面層に付着した指紋を容易に除去できる性能(指紋汚れ除去性)が長期間維持されることが求められる用途、例えば、タッチパネルの指で触れる面を構成する部材、メガネレンズ、ウェアラブル端末のディスプレイの表面処理剤として用いられる。
【0003】
このような含フッ素エーテル化合物の合成において、ポリフルオロポリエーテル鎖と、-OH、-CH=CH、-CH、-NH、-SH、-Ph(フェニル基)、-F、-Cl、-Br、-I、-C(CH)=CH、-C(CF)=CH、-C≡CH、-CF=CH、-CH=CHF、-CF=CHF、-CH=CF、-CF=CF、-N等の官能基とを有する含フッ素エーテル化合物は、原料化合物または中間体として重要な化合物である。
【0004】
原料化合物または中間体は一般に、より高い純度を有していることが望まれる。より高い純度を有していることによって、反応によって得られた生成物の精製が容易となり、さらに、反応において生じうる副生成物または未同定物の生成を低減することができ、より良好な性能を有する目的物を得ることができるためである。原料化合物または中間体は、通常、片末端のみに所定の官能基を有する1官能体(以下、「1官能体」ともいう。)、および、両末端に所定の官能基を有する2官能体(以下、「2官能体」ともいう。)の混合物として製造される。このため、原料化合物または中間体の混合物から、1官能体と2官能体とを、高純度に、かつ容易に分離できる方法が求められる。
【0005】
特許文献1に記載の分離方法は、ハイドロフルオロカーボン、ハイドロクロロフルオロカーボン、ハイドロフルオロエーテル、含フッ素エステル溶媒、およびフッ素原子含有芳香族溶媒からなる群から選択される1種の溶媒を移動相として用いることにより、パーフルオロ(ポリ)エーテル基含有モノアルコール化合物とパーフルオロ(ポリ)エーテル基含有ジアルコール化合物とを分離できるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】日本特許第6330960号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載の分離方法では、なかでも、HCFC-225(CFCFCHCl、CClFCFCHClF)を移動相として用いることが好ましいとしている。
しかしながら、昨今、含フッ素エーテル化合物の1官能体と2官能体との分離性能のより一層の向上が求められており、特許文献1に記載されるようなHCFC-225を移動相として使用する技術では、1官能体と2官能体との分離性能が不十分であることが明らかになった。
【0008】
本発明は、上記問題に鑑みてなされ、ポリフルオロポリエーテル鎖と所定の官能基とを有する含フッ素エーテル化合物の1官能体と2官能体などとを、収率よく、かつ、高い分離能にて分離できる方法の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、以下の態様を有する。
[1] 下記の式(1)で表わされる化合物と、下記の式(2)で表わされる化合物とを、これらを含む混合物から、移動相および固定相を用いるクロマトグラフィーにより分離する分離方法であって、
前記混合物をクロマトグラフィーの固定相に供給して該固定相に吸着させる工程と、
前記混合物を吸着させた固定相に対して、ハイドロフルオロオレフィン、ハイドロクロロフルオロオレフィン、クロロフルオロオレフィン、環状ハイドロフルオロオレフィン、環状ハイドロクロロフルオロオレフィン、環状クロロフルオロオレフィン、環状ハイドロフルオロカーボン、環状クロロフルオロフルオロカーボン、およびパーフルオロケトンからなる群から選択される少なくとも1種の特定溶媒を含む移動相に供給する工程と、
を有する分離方法。
A-(OX)-O-Z-(R)n1 式(1)
(R)n2-Z-(OX)-O-Z-(R)n3 式(2)
ただし、
Aは、アルキル基またはフルオロアルキル基であり、
Xは、アルキレン基、または1個以上のフッ素原子を有するフルオロアルキレン基であり、
mは、2以上の整数であり、
Zは、(n1+1)価、(n2+1)価、又は(n3+1)価の連結基であり、
Rは、-OH、-CR=CR(ただし、Rは、水素原子、フッ素原子、メチル基、またはトリフルオロメチル基であり、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子、またはフッ素原子である。)、-CH、-NH、-SH、-Ph、-F、-Cl、-Br、-I、-C≡CH、および-Nからなる群から選択されるいずれかの官能基であり、
n1は、1以上の整数であり、 n2は、1以上の整数であり、
n3は、1以上の整数である。
【0010】
[2] 前記式(1)および前記式(2)における、Aは、フルオロアルキル基であり、Xは、1個以上のフッ素原子を有するフルオロアルキレン基である上記[1]に記載の分離方法。
[3] 前記式(1)、式(2)において、n1とn2とn3が同一の整数である上記[1]または[2]に記載の分離方法。
[4] 前記混合物が、さらに、下記の式(3)で表される化合物を含み、式(1)で表わされる化合物と、式(2)で表わされる化合物と、式(3)で表される化合物とに分離する上記[1]~[3]のいずれかに記載の分離方法。
A-(OX)-O-A 式(3)
ただし、A、X、mは、前記式(1)、式(2)におけるものと同義である。
[5] 前記特定溶媒が、塩素原子を含まない溶媒である上記[1]~[4]のいずれかに記載の分離方法。
[6] 前記特定溶媒が、ハイドロフルオロオレフィン、環状ハイドロフルオロオレフィンおよび環状ハイドロフルオロカーボンからなる群から選択される少なくとも1種を含む上記[1]~[5]のいずれかに記載の分離方法。
【0011】
[7] 前記式(1)、式(2)、式(3)において、前記(OX)が下記構造を含む上記[1]~[6]のいずれかに記載の分離方法。
{(OCFm21・(OCFCFm22
ただし、m21は1以上の整数であり、m22は1以上の整数であり、m21+m22は2~500の整数である。
[8] 前記固定相が、酸化アルミニウム、シリカゲル、酸化マグネシウム、アルミニウムシリケート、マグネシウムシリケート、化学修飾シリカゲル、および珪藻土からなる群から選択される、上記[1]~[7]のいずれかに記載の分離方法。
[9] 前記クロマトグラフィーが、カラムクロマトグラフィーである上記[1]~[8]のいずれかに記載の分離方法。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ポリフルオロポリエーテル鎖と所定の官能基とを有する含フッ素エーテル化合物の1官能体と2官能体との分離、さらには、上記含フッ素エーテル化合物の0官能体と1官能体と2官能体との分離を、収率よく、かつ、高い分離能にて達成できる方法を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書において、式(1)で表される化合物を化合物(1)とも記す。他の式で表される化合物等もこれらに準じて記す。式(2)で表される基を基2とも記す。他の式で表される基もこれに準じて記す。
本明細書において、「アルキレン基がA基を有していてもよい」という場合、アルキレン基は、アルキレン基中の炭素-炭素原子間にA基を有していてもよいし、アルキレン基-A基-のように末端にA基を有していてもよい。
数値範囲を示す「~」は、その前後に記載された数値を下限値および上限値として含むことを意味する。
【0014】
(分離する対象混合物)
本発明の分離方法は、下記の式(1)で表される化合物と、下記の式(2)で表される化合物とを、これらを含む混合物(以下、単に、「混合物」と記載する場合がある。)から、移動相および固定相を用いるクロマトグラフィーにより分離する分離方法である。具体的には、移動相および固定相を用いるクロマトグラフィーにより、化合物(1)と化合物(2)とを分離する分離方法である。すなわち、本発明の分離方法は、化合物(1)の製造方法として好適である。また、本発明の分離方法は、化合物(2)の製造方法として好適である。
本発明では、化合物(1)は、片方の末端に官能基「R」を有するので、1官能体といい、化合物(2)は、両方の末端に官能基「R」を有するので、2官能体という。混合物に含まれる化合物(1)と化合物(2)との割合は、特に、限定されないが、たとえば、化合物(1)/化合物(2)の割合(質量基準)が20~0.05である。
【0015】
A-(OX)-O-Z-(R)n1 式(1)
(R)n2-Z-(OX)-O-Z-(R)n3 式(2)
ただし、式(1)および式(2)において、各記号の定義は以下のとおりである。
Aは、アルキル基またはフルオロアルキル基である。
Xは、アルキレン基、または1個以上のフッ素原子を有するフルオロアルキレン基であり、mは、2以上の整数である。
Zは、(n1+1)価、(n2+1)価、又は(n3+1)価の連結基である。
Rは、-OH、-CR=CR(ただし、Rは、水素原子、フッ素原子、メチル基、または、トリフルオロメチル基であり、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子、または、フッ素原子である。)、-CH、-NH、-SH、-Ph(フェニル基)-F、-Cl、-Br、-I、-C≡CH、および-Nからなる群から選択されるいずれかの官能基である。
n1は、1以上の整数であり、n2は、1以上の整数であり、n3は、1以上の整数であり、n1とn2とn3は、同一の整数を表す。
【0016】
Aのアルキル基またはフルオロアルキル基中の炭素数は、1~20が好ましく、1~10がより好ましく、1~6がさらに好ましく、1~3が特に好ましい。アルキル基またはフルオロアルキル基は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。
Aとしては、フルオロアルキル基が好ましく、ペルフルオロアルキル基がより好ましい。
【0017】
アルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基等が挙げられる。フルオロアルキル基としては、CHF-、CHF-、CFCH-、CFCHCH-等が挙げられる。
ペルフルオロアルキル基としては、CF-、CFCF-、CFCFCF-、CFCFCFCF-、CFCFCFCFCF-、CFCFCFCFCFCF-、CFCF(CF)-等が挙げられる。
ペルフルオロアルキル基としては、CF-、CFCF-、CFCFCF-が好ましい。
【0018】
Xのアルキレン基およびフルオロアルキレン基の炭素数は、1~6が好ましく、2~6がより好ましく、2~4が特に好ましい。
アルキレン基およびフルオロアルキレン基は、直鎖状、分岐鎖状および環状のいずれであってもよい。
Xのアルキレン基およびフルオロアルキレン基である場合、フルオロアルキレン基の割合は、繰り返し数mの50%以上が好ましく、80%以上がより好ましく、100%が特に好ましい。
フルオロアルキレン基におけるフッ素原子の数としては、炭素原子の数の1~2倍が好ましく、1.7~2倍がより好ましい。
フルオロアルキレン基は、フルオロアルキレン基中のすべての水素原子がフッ素原子に置換された基(ペルフルオロアルキレン基)が特に好ましい。
【0019】
(OX)の具体例としては、-OCH-、-OCHF-、-OCFCHF-、-OCHFCF-、-OCFCH-、-OCHCF-、-OCFCFCHF-、-OCHFCFCF-、-OCFCFCH-、-OCHCFCF-、-OCFCFCFCH-、-OCHCFCFCF-、-OCFCFCFCFCH-、-OCHCFCFCFCF-、-OCFCFCFCFCFCH-、-OCHCFCFCFCFCF-、-OCF-、-OCFCF-、-OCFCFCF-、-OCF(CF)CF-、-OCFCFCFCF-、-OCF(CF)CFCF-、-OCFCFCFCFCF-、-OCFCFCFCFCFCF-、-O-cycloC-、-O-cycloC-、-O-cycloC10-が挙げられる。
ここで、-cycloC-は、ペルフルオロシクロブタンジイル基を意味し、その具体例としては、ペルフルオロシクロブタン-1,2-ジイル基が挙げられる。-cycloC-は、ペルフルオロシクロペンタンジイル基を意味し、その具体例としては、ペルフルオロシクロペンタン-1,3-ジイル基が挙げられる。-cycloC10-は、ペルフルオロシクロヘキサンジイル基を意味し、その具体例としては、ペルフルオロシクロヘキサン-1,4-ジイル基が挙げられる。
【0020】
(OX)の繰り返し数mは、2以上の整数であり、2~200の整数が好ましく、5~150の整数がより好ましく、5~100の整数がさらに好ましく、10~50の整数が特に好ましい。
【0021】
主鎖繰り返し構造である(OX)は、1種のみの(OX)を含んでいてもよく、2種以上の(OX)を含んでいてもよい。2種以上の(OX)の結合順序は限定されず、ランダム、交互、ブロックに配置されてもよい。
2種以上の(OX)を含むとは、化合物中において、炭素数の異なる2種以上の(OX)が存在すること、水素原子数が異なる2種以上の(OX)が存在すること、水素原子の位置が異なる2種以上の(OX)が存在すること、および/または、炭素数が同一であっても側鎖の有無や側鎖の種類(側鎖の数や側鎖の炭素数等)が異なる2種以上の(OX)が存在することをいう。
2種以上の(OX)の配置については、たとえば、{(OCFm21・(OCFCFm22}で表される構造は、m21個の(OCF)とm22個の(OCFCF)とがランダムに配置されていることを表す。また、(OCFCF-OCFCFCFCFm25で表される構造は、m25個の(OCFCF)とm25個の(OCFCFCFCF)とが交互に配置されていることを表す。
【0022】
(OX)としては、[(OCHma(2-ma)m11・(OCmb(4-mb)m12・(OCmc(6-mc)m13・(OCmd(8-md)m14・(OCme(10-me)m15・(OCmf(12-mf)m16・(O-cycloCmg(6-mg)m17・(O-cycloCmh(8-mh)m18・(O-cycloCmi(10-mi)m19]が好ましい。
ここで、-cycloCmg(6-mg)は、フルオロシクロブタンジイル基を表し、フルオロシクロブタン-1,2-ジイル基が好ましい。-cycloCmh(8-mh)は、フルオロシクロペンタンジイル基を表し、フルオロシクロペンタン-1,3-ジイル基が好ましい。-cycloCmi(10-mi)は、フルオロシクロヘキサンジイル基を表し、フルオロシクロヘキサン-1,4-ジイル基が好ましい。
maは0または1であり、mbは0~3の整数であり、mcは0~5の整数であり、mdは0~7の整数であり、meは0~9の整数であり、mfは0~11の整数であり、mgは0~5の整数であり、mhは0~7の整数であり、miは0~9の整数である。
m11、m12、m13、m14、m15、m16、m17、m18およびm19は、それぞれ独立に、0以上の整数であり、100以下が好ましい。
m11+m12+m13+m14+m15+m16+m17+m18+m19は2以上の整数であり、2~200の整数が好ましく、5~150の整数がより好ましく、5~100の整数がさらに好ましく、10~50の整数が特に好ましい。
なかでも、m12は2以上の整数が好ましく、2~200の整数が特に好ましい。
また、Cmc(6-mc)、Cmd(8-md)、Cme(10-me)およびCmf(12-mf)は、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよく、直鎖状が好ましい。
【0023】
なお、m11個の(OCHma(2-ma))、m12個の(OCmb(4-mb))、m13個の(OCmc(6-mc))、m14個の(OCmd(8-md))、m15個の(OCme(10-me))、m16個の(OCmf(12-mf))、m17個の(O-cycloCmg(6-mg))、m18個の(O-cycloCmh(8-mh))、m19個の(O-cycloCmi(10-mi))の結合順序は限定されない。
m11が2以上の場合、複数の(OCHma(2-ma))は同一であっても異なっていてもよい。
m12が2以上の場合、複数の(OCmb(4-mb))は同一であっても異なっていてもよい。
m13が2以上の場合、複数の(OCmc(6-mc))は同一であっても異なっていてもよい。
m14が2以上の場合、複数の(OCmd(8-md))は同一であっても異なっていてもよい。
m15が2以上の場合、複数の(OCme(10-me))は同一であっても異なっていてもよい。
m16が2以上の場合、複数の(OCmf(12-mf))は同一であっても異なっていてもよい。
m17が2以上の場合、複数の(O-cycloCmg(6-mg))は同一であっても異なっていてもよい。
m18が2以上の場合、複数の(O-cycloCmh(8-mh))は同一であっても異なっていてもよい。
m19が2以上の場合、複数の(O-cycloCmi(10-mi))は同一であっても異なっていてもよい。
【0024】
(OX)は、下記のいずれかの構造を有するものが好ましい。
{(OCFm21・(OCFCFm22}、
(OCFCFm23
(OCFCFCFm24
(OCFCF-OCFCFCFCFm25
{(OCFCFCFCFCFm26・(OCFm27}、
{(OCFCFCFCFCFm26・(OCFCFm27}、
{(OCFCFCFCFCFCFm26・(OCFm27}、
{(OCFCFCFCFCFCFm26・(OCFCFm27}、
(OCFCFCFCFCF-OCFm28
(OCFCFCFCFCF-OCFCFm28
(OCFCFCFCFCFCF-OCFm28
(OCFCFCFCFCFCF-OCFCFm28
(OCF-OCFCFCFCFCFm28
(OCF-OCFCFCFCFCFCFm28
(OCFCF-OCFCFCFCFCFm28
(OCFCF-OCFCFCFCFCFCFm28
ただし、m21は1以上の整数であり、m22は1以上の整数であり、m21+m22は2~500の整数であり、m23およびm24はそれぞれ独立に、2~500の整数であり、m25は、1~250の整数であり、m26およびm27はそれぞれ独立に、1以上の整数であり、m26+m27は、2~500の整数であり、m28は、1~250の整数である。
【0025】
(OX)は、下記のいずれかの構造であるのがより好ましい。
{(OCFm21・(OCFCFm22}、
(OCFCFCFm24
(OCFCF{(OCFm21・(OCFCFm22-2}、
(OCFCF-OCFCFCFCFm25-1OCFCF
(OCFCFCFCFCF-OCFm28
(OCFCFCFCFCFCF-OCFm28
(OCFCF-OCFCFCFCFCFm28-1OCFCF
(OCFCF-OCFCFCFCFCFCFm28-1OCFCF
ただし、m22-2、m25-1およびm28-1については、1以上の整数となるように、m22、m25およびm28の数が選択される。
これらの中でも、(OX)は、{(OCFm21・(OCFCFm22}である場合が、混合物から、化合物(1)と化合物(2)とをより高純度に分離できるので好ましい。
{(OCFm21・(OCFCFm22}において、m22/m21は、0.1~10が好ましく、0.2~5.0がより好ましく、0.2~2.0がさらに好ましく、0.2~1.5が特に好ましく、0.2~0.85が最も好ましい。
【0026】
(OX)の数平均分子量は、1,000~20,000が好ましく、2,000~15,000がより好ましく、2,500~10,000が特に好ましい。
【0027】
Zは、(n1+1)価、(n2+1)価、又は(n3+1)価の連結基である。n1、n2およびn3はそれぞれ独立に1~10の整数である。よって、Zとしては、2~11価の連結基が挙げられる。
Zは、C、N、Si、環構造および(n1+1)価、(n2+1)価、又は(n3+1)価のオルガノポリシロキサン残基からなる群から選ばれる少なくとも1種の分岐点(以下、「分岐点P」と記す。)を有することが好ましい。
【0028】
環構造としては、3~8員環の脂肪族環、3~8員環の芳香族環、3~8員環のヘテロ環、およびこれらの環のうちの2つ以上からなる縮合環からなる群から選ばれる1種が好ましく、下式に挙げられる環構造が特に好ましい。
環構造は、ハロゲン原子、アルキル基(炭素-炭素原子間にエーテル性酸素原子を含んでいてもよい。)、シクロアルキル基、アルケニル基、アリル基、アルコキシ基、オキソ基(=O)等の置換基を有してもよい。
【0029】
【化1】
【0030】
(n1+1)価、(n2+1)価、又は(n3+1)価のオルガノポリシロキサン残基の具体例としては、下記の基が挙げられる。
ただし、下式におけるRは、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、またはフェニル基である。Rのアルキル基およびアルコキシ基の炭素数は、1~10が好ましく、1が特に好ましい。
【0031】
【化2】
【0032】
Zは、アルキレン基、フルオロアルキレン基、ヒドロキシアルキレン基、アルコキシアルキレン基、カルボニル基、アミド結合、エーテル結合、チオエーテル結合、ウレア結合、ウレタン結合、カーボネート結合、エステル結合、-SONR-、-Si(R-、-OSi(R-、-Si(CH-Ph-Si(CH-および2価のオルガノポリシロキサン残基からなる群から選択される1種以上を含む基を有していてもよい。
ただし、Rは、水素原子、炭素数1~6のアルキル基またはフェニル基であり、Phは、フェニレン基である。Rのアルキル基の炭素数は、化合物を製造しやすい点から、1~3が好ましく、1~2が特に好ましい。
また、Zを構成する各結合または基は、式(1)の場合、いずれの末端がA側に配置されていてもよい。たとえば、アミド結合は、炭素原子がA側に配置されていてもよく、窒素原子がA側に配置されていてもよい。他の結合や基についても同様である。
【0033】
2価のオルガノポリシロキサン残基の具体例としては、下式の基が挙げられる。ただし、下式におけるRは、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、またはフェニル基である。Rのアルキル基およびアルコキシ基の炭素数は、1~10が好ましく、1が特に好ましい。
【0034】
【化3】
【0035】
Zは、-C(O)NR-、-C(O)-、-C(O)O-、-NR-および-O-からなる群から選ばれる少なくとも1種の結合を有することも好ましく、-C(O)NR-を有することが、化合物(1)および化合物(2)をより高純度に分離できるので特に好ましい。
【0036】
Zとしては、2個以上の2価の炭化水素基と1個以上の分岐点Pとの組み合わせ、または2個以上の2価の炭化水素基と1個以上の分岐点Pと1個以上の結合Bとの組み合わせが挙げられる。
2価の炭化水素基の具体例としては、2価の脂肪族炭化水素基(アルキレン基、シクロアルキレン基等)、2価の芳香族炭化水素基(フェニレン基等)が挙げられる。2価の炭化水素基の炭素数は、1~10が好ましく、1~6がより好ましく、1~4が特に好ましい。
【0037】
式(1)におけるZは、下記する、基g2-1(ただし、d1+d3=1(つまり、d1またはd3が0である。)、n1=d2+d4、d2+d4≧1である。)、基g2-2(ただし、e1=1、n1=e2、e2≧1である。)、基g2-3(ただし、n1=2である。)、基g2-4(ただし、h1=1、n1=h2、h2≧1である。)、基g2-5(ただし、i1=1、n1=i2、i2≧1である。)、基g2-6(ただし、n1=1である。)、基g2-7(ただし、n1=i3+1、i3≧1である。)、基g2-8(ただし、n1=i4、i4≧1である。)、または、基g2-9(ただし、n1=i5、i5≧1である。)であってもよい。
【0038】
式(2)におけるZは、それぞれ独立に、下記する、基g2-1(ただし、n2=d2+d4、n3=d2+d4である。)、基g2-2(ただし、e1=1、n2=e2、n3=e2である。)、基g2-3(ただし、n2=2、n3=2である。)、基g2-4(ただし、h1=1、n2=h2、n3=h2である。)、基g2-5(ただし、i1=1、n2=i2、n3=i2である。)、基g2-6(ただし、n2=1、n3=1である。)、基g2-7(ただし、n2=i3+1、n3=i3+1である。)、基g2-8(ただし、n2=i4、n3=i4である。)、または、基g2-9(ただし、n2=i5、n3=i5である。)であってもよい。
【0039】
【化4】
【0040】
(-A-)e1C(Re24-e1-e2(-Q22-)e2 式(g2-2)
-A-N(-Q23-) 式(g2-3)
(-A-)h1(-Q24-)h2 式(g2-4)
(-A-)i1Si(Re34-i1-i2(-Q25-)i2 式(g2-5)
-A-Q26- 式(g2-6)
-A-CH(-Q22-)-Si(Re33-i3(-Q25-)i3 式(g2-7)
-A-[CHC(Re4)(-Q27-)]i4-Re5 式(g2-8)
-A-Z(-Q28-)i5 式(g2-9)
【0041】
ただし、式(g2-1)~式(g2-9)においては、Aが(OX)側に接続し、Q22、Q23、Q24、Q25、Q26、Q27およびQ28がR側に接続する。
【0042】
は、単結合、アルキレン基、炭素数2以上のアルキレン基の炭素-炭素原子間に-C(O)NR-、-C(O)-、-OC(O)-、-OC(O)O-、-NHC(O)O-、-NHC(O)NR-、-O-、-SONR-または-N(R)SO-を有する基、または、アルキレン基のAに接続しない側(A側とは反対側)の末端に-C(O)NR-、-C(O)-、-OC(O)-、-OC(O)O-、-NHC(O)O-、-NHC(O)NR-、-O-、-SONR-または-N(R)SO-を有する基であり、各式中、Aが2以上存在する場合、2以上のAは同一であっても異なっていてもよい。アルキレン基の水素原子は、フッ素原子に置換されていてもよい。
11は、単結合、-O-、アルキレン基、または、炭素数2以上のアルキレン基の炭素-炭素原子間に-C(O)NR-、-C(O)-、-NR-もしくは-O-を有する基である。
22は、アルキレン基、炭素数2以上のアルキレン基の炭素-炭素原子間に-C(O)NR-、-C(O)-、-NR-または-O-を有する基、アルキレン基のA側の末端に-C(O)NR-、-C(O)-、-NR-または-O-を有する基、または炭素数2以上のアルキレン基の炭素-炭素原子間に-C(O)NR-、-C(O)-、-NR-または-O-を有しかつA側の末端に-C(O)NR-、-C(O)-、-NR-または-O-を有する基であり、各式中、Q22が2以上存在する場合、2以上のQ22は同一であっても異なっていてもよい。
23は、アルキレン基、または、炭素数2以上のアルキレン基の炭素-炭素原子間に-C(O)NR-、-C(O)-、-NR-または-O-を有する基であり、2個のQ23は同一であっても異なっていてもよい。
24は、アルキレン基、または、炭素数2以上のアルキレン基の炭素-炭素原子間に-C(O)NR-、-C(O)-、-NR-または-O-を有する基であり、各式中、Q24が2以上存在する場合、2以上のQ24は同一であっても異なっていてもよい。
25は、アルキレン基、または、炭素数2以上のアルキレン基の炭素-炭素原子間に-C(O)NR-、-C(O)-、-NR-または-O-を有する基であり、各式中、Q25が2以上存在する場合、2以上のQ25は同一であっても異なっていてもよい。
26は、アルキレン基、または、炭素数2以上のアルキレン基の炭素-炭素原子間に-C(O)NR-、-C(O)-、-NR-または-O-を有する基である。
は、水素原子、炭素数1~6のアルキル基またはフェニル基である。
27は、単結合またはアルキレン基である。
28は、アルキレン基、または、炭素数2以上のアルキレン基の炭素原子-炭素原子間にエーテル性酸素原子もしくは2価のオルガノポリシロキサン残基を有する基である。
【0043】
は、Aが直接結合する炭素原子または窒素原子を有し、かつQ24が直接結合する炭素原子または窒素原子を有するh1+h2価の環構造を有する基である。
【0044】
e1は、水素原子またはアルキル基であり、各式中、Re1が2以上存在する場合、2以上のRe1は同一であっても異なっていてもよい。
e2は、水素原子、水酸基、アルキル基またはアシルオキシ基である。
e3は、アルキル基である。
e4は、水素原子またはアルキル基であり、化合物を製造しやすい点から、水素原子が好ましい。各式中、Re4を2以上存在する場合、2以上のRe4は同一であっても異なっていてもよい。
e5は、水素原子またはハロゲン原子であり、化合物を製造しやすい点から、水素原子が好ましい。
【0045】
d1は、0~3の整数であり、1または2が好ましい。d2は、0~3の整数であり、1または2が好ましい。d1+d2は、1~3の整数である。
d3は、0~3の整数であり、0または1が好ましい。d4は、0~3の整数であり、2または3が好ましい。d3+d4は、1~3の整数である。
d1+d3は、1である。
d2+d4は、式(1)のZにおいては1~5の整数であり、4または5が好ましく、式(2)のZにおいては、1~5の整数であり、3~5の整数が好ましく、4または5が特に好ましい。
e1+e2は、3または4である。e1は1である。e2は、式(1)のZにおいては1~3であり、2または3が好ましく、式(2)のZにおいては1~3であり、2または3が好ましい。
h1は1である。h2は、1以上の整数(2または3が好ましい)である。
i1+i2は、2~4(3または4が好ましい)である。i1は1である。i2は、1~3の整数(2または3が好ましい)である。
i3は、0~3の整数であり、1~3が好ましく、2または3が特に好ましい。
i4は、式(1)のZにおいては1以上(2~10の整数が好ましく、2~6の整数が特に好ましい)であり、式(2)のZにおいては1以上(1~10の整数が好ましく、1~6の整数が特に好ましい)である。
i5は、1以上(2~7の整数が好ましい)である。
【0046】
22、Q23、Q24、Q25、Q26、Q27、Q28のアルキレン基の炭素数は、1~10が好ましく、1~6がより好ましく、1~4が特に好ましい。ただし、炭素-炭素原子間に特定の結合を有する場合のアルキレン基の炭素数の下限値は2である。
【0047】
における環構造としては、上述した環構造が挙げられ、好ましい形態も同様である。なお、Zにおける環構造にはAやQ24が直接結合するため、環構造にたとえばアルキレン基が連結して、そのアルキレン基にAやQ24が連結することはない。
は、(i5+1)価のオルガノポリシロキサン残基であり、下記のいずれかの基が好ましい。ただし、下式におけるRは、アルキル基(好ましくは炭素数1~10)、または、フェニル基である。
【0048】
【化5】
【0049】
e1、Re2、Re3またはRe4のアルキル基の炭素数は、1~10が好ましく、1~6がより好ましく、1~3がさらに好ましく、1~2が特に好ましい。
e2のアシルオキシ基のアルキル基部分の炭素数は、1~10が好ましく、1~6がより好ましく、1~3がさらに好ましく、1~2が特に好ましい。
h1は、1~6が好ましく、1~4がより好ましく、1または2がさらに好ましく、1が特に好ましい。
h2は、2~6が好ましく、2~4がより好ましく、2または3が特に好ましい。
【0050】
式(1)のZの他の形態としては、下記する、基g3-1(ただし、d1+d3=1(つまり、d1またはd3が0である。)、n1=d2×r1+d4×r1である。)、基g3-2(ただし、e1=1、n1=e2×r1である。)、基g3-3(ただし、n1=2×r1である。)、基g3-4(ただし、h1=1、n1=h2×r1である。)、基g3-5(ただし、i1=1、n1=i2×r1である。)、基g3-6(ただし、g1=r1である。)、基g3-7(ただし、n1=r1×(i3+1)である。)、基g3-8(ただし、n1=r1×i4である。)、基g3-9(ただし、n1=r1×i5である。)が挙げられる。
式(2)のZの他の形態としては、基g3-1(ただし、n2=d2×r1+d4×r1、n3=d2×r1+d4×r1である。)、基g3-2(ただし、n2=e2×r1、n3=e2×r1である。)、基g3-3(ただし、n2=2×r1、n3=2×r1である。)、基g3-4(ただし、n2=h2×r1、n3=h2×r1である。)、基g3-5(ただし、n2=i2×r1、n3=i2×r1である。)、基g3-6(ただし、n2=r1、n3=r1である。)、基g3-7(ただし、n2=r1×(i3+1)、n3=r1×(i3+1)である。)、基g3-8(ただし、n2=r1×i4、n3=r1×i4である。)、基g3-9(ただし、n2=r1×i5、n3=r1×i5である。)が挙げられる。
【0051】
【化6】
【0052】
(-A-)e1C(Re24-e1-e2(-Q22-Ge2 式(g3-2)
-A-N(-Q23-G 式(g3-3)
(-A-)h1(-Q24-Gh2 式(g3-4)
(-A-)i1Si(Re34-I1-I2(-Q25-Gi2 式(g3-5)
-A-Q26-G 式(g3-6)
-A-CH(-Q22-G)-Si(Re33-i3(-Q25-Gi3 式(g3-7)
-A-[CHC(Re4)(-Q27-G)]i4-Re5 式(g3-8)
-A-Z(-Q28-Gi5 式(g3-9)
【0053】
ただし、式(g3-1)~式(g3-9)においては、Aが(OX)側に接続し、GがA側に接続する。
【0054】
は、基g3であり、各式中、Gが2以上存在する場合、2以上のGは同一であっても異なっていてもよい。G以外の符号は、式(g2-1)~式(g2-9)における符号と同じである。
-Si(R3-r1(-Q-)r1 式(g3)
ただし、式(g3)においては、SiがQ22、Q23、Q24、Q25、Q26、Q27およびQ28側に接続し、QがA側に接続する。Rは、アルキル基である。Qは、アルキレン基、または、炭素数2以上のアルキレン基の炭素-炭素原子間に-C(O)NR-、-C(O)-、-NR-または-O-を有する基であり、2以上のQは同一であっても異なっていてもよい。r1は、2または3である。Rは、水素原子、炭素数1~6のアルキル基またはフェニル基である。
【0055】
のアルキレン基の炭素数は、1~10が好ましく、1~6がより好ましく、1~4が特に好ましい。ただし、炭素-炭素原子間に特定の結合を有する場合のアルキレン基の炭素数の下限値は2である。
のアルキル基の炭素数は、1~10が好ましく、1~6がより好ましく、1~3がさらに好ましく、1~2が特に好ましい。
のアルキル基の炭素数は、1~10が好ましく、1~6がより好ましく、1~3がさらに好ましく、1~2が特に好ましい。
のアルコキシ基の炭素数は、1~10が好ましく、1~6がより好ましく、1~3がさらに好ましく、1~2が特に好ましい。
pは、0または1が好ましい。
【0056】
Rは、-OH、-CR=CR、-CH、-NH、-SH、-Ph(フェニル基)、-F、-Cl、-Br、-I、-C≡CH、および、-Nから選択されるいずれかの官能基である。
は、水素原子、フッ素原子、メチル基、または、トリフルオロメチル基であり、
およびRは、それぞれ独立に、水素原子、または、フッ素原子である。
-CR=CRで表される基の具体例としては、-CH=CH、-C(CH)=CH、-C(CF)=CH、-CF=CH、-CH=CHF、-CF=CHF、-CH=CF、-CF=CFが挙げられる。
Rとしては、-OH、-NHが、化合物(1)と化合物(2)とをより高純度に分離できるので好ましい。
【0057】
化合物(1)の片末端の官能基Rの個数を示すn1、化合物(2)の一方の末端の官能基Rの個数を示すn2、他方の末端の官能基Rの個数を示すn3は、いずれも1~10の整数を表し、いずれも同一の整数を表すことが好ましい。
n1、n2およびn3は1が好ましい。
【0058】
式(1)および式(2)中のZとしては、-O-、-C(O)O-もしくは-C(O)-を有していてもよいアルキレン基、または、基g2-2が好ましい。アルキレン基の水素原子は、フッ素原子またはヒドロキシ基に置換されていてもよい。上記アルキレン基の炭素数は、1~10が好ましく、1~6がより好ましい。
なお、-O-、-C(O)O-または-C(O)-を有していてもよいアルキレン基の具体例としては、-アルキレン基-C(O)O-、-アルキレン基-C(O)-が挙げられる。
式(1)および式(2)中の-O-Z-(R)n1、-O-Z-(R)n2、および-O-Z-(R)n3の好ましい具体例としては、-O-(CFn4-CHOH、-O-(CFn4-C(OH)(CHCH=CH、-O-(CFn4-COOCH、-O-(CFn4-CHOC(=O)C(CHCH=CH、-O-(CFn4-CONHC(=O)HC(CHCH=CH、-O-(CFn4-CONH、-O-(CFn4-CHNHCOC(CHCH=CHが挙げられる。n4は、1以上の整数であり、1~6が好ましく、1~3が特に好ましい。
【0059】
(クロマトグラフィーによる分離方法)
本発明の分離方法におけるクロマトグラフィーは、固定相と移動相とを用いる限り特に限定されず既知のものが使用でき、例えば、カラムクロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィーが挙げられる。好ましくはカラムクロマトグラフィー、特に好ましくはフラッシュカラムクロマトグラフィー、または高速液体クロマトグラフィー(HPLC)が用いられる。
【0060】
(固定相)
固定相としては、酸化アルミニウム、シリカゲル、酸化マグネシウム、アルミニウムシリケート、マグネシウムシリケート、化学修飾シリカゲルおよび珪藻土からなる群から選択されることが好ましい。
【0061】
固定相としては、シリカゲルがより好ましい。シリカゲルの具体例としては、非修飾シリカゲル、アミノ基含有シリカゲル、シアノ基含有シリカゲルが挙げられる。
【0062】
シリカゲルは、市販品を用いることができる。市販のシリカゲルとしては、例えば、クロマトレックス PSQ-100B(富士シリシア化学社製品名)、Wakogel C-200(和光純薬工業社製品名)、115111シリカゲル60(Merck社製品名)が挙げられる。
【0063】
用いる固定相の量は、分離する化合物、用いる移動相およびクロマトグラフィーの種類等に応じて適宜選択される。好ましくは、分離する混合物に対し、質量で同量以上の量を使用する。また、分離する化合物の分子量が比較的小さい場合は、より多くの量の固定相を用いることが好ましい。
【0064】
(移動相)
移動相は、以下に示す特定溶媒を含む。
特定溶媒としては、(非環状)ハイドロフルオロオレフィン(以下、HFOともいう。)、(非環状)ハイドロクロロフルオロオレフィン(以下、HCFOともいう。)、(非環状)クロロフルオロオレフィン(以下、CFOともいう。)、環状ハイドロフルオロオレフィン(以下、環状HFOともいう。)、環状ハイドロクロロフルオロオレフィン(以下、環状HCFOともいう。)、環状クロロフルオロオレフィン(以下、環状CFOともいう。)、環状ハイドロフルオロカーボン(以下、環状HFCともいう。)、環状ハイドロクロロフルオロカーボン(以下、環状HCFCともいう。)、環状クロロフルオロカーボン(以下、CFCともいう。)、パーフルオロケトン(以下、PFKともいう。)が挙げられる。これらのうち、1種を使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0065】
HFOとしては、例えば、CFCHCF=CH、CFCH=CHCF(E)、CFCH=CHCF(Z)が挙げられる。
【0066】
HCFOとしては、例えば、CFCF=CCl、CFClCF=CF、CHFCF=CHCl、CFCH=CHCl(Z)、CFCH=CHCl(E)、CClFCF=CHCl、CHFCFCFCF=CHClが挙げられる。
CFOとしては、例えば、CFCF=CCl、CFClCF=CFが挙げられる。
【0067】
環状CFOとしては、例えば、下記式で表されるものが挙げられる。
【化7】
【0068】
環状HFCとしては、例えば、下記式で表されるものが挙げられる。
【化8】
【0069】
PFKとしては、例えば、CFCFCOCF(CF、(CFCFCOCF(CF、CFCFCFOCFCFCOCF(CFが挙げられる。
【0070】
特定溶媒としては、塩素原子を含まないものが地球環境に悪影響を及ぼさないため好ましい。具体的には、HFO、環状HFO、環状HFC、またはPFKが好ましい。
また、特定溶媒としては、HFO、HCFO、CFO、環状HFO、環状HCFO、環状CFO、環状HFC、環状HCFC、または環状CFCが、化合物(1)と化合物(2)とをより高純度に分離できるので好ましく、HFO、CFO、環状HFO、環状CFO、環状HFC、または環状CFCがより好ましく、HFO、環状HFO、または環状HFCが特に好ましい。
【0071】
移動相は、特定溶媒以外に他の溶媒を含んでいてもよい。他の溶媒としては、炭化水素、エーテル、ケトン、エステル、塩素化炭化水素、含フッ素エーテル等が挙げられる。
炭化水素としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられる。
エーテルとしては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等が挙げられる。
ケトンとしては、アセトン、2-ブタノン等が挙げられる。
エステルとしては、酢酸エチル等が挙げられる。
塩素化炭化水素としては、塩化メチレン等が挙げられる。
含フッ素エーテルとしては、CFCHOCFCFH、エチルノナフルオロブチルエーテル、エチルノナフルオロイソブチルエーテル、1,1,1,2,2,3,4,5,5,5-デカフルオロ-3-メトキシ-4-トリフルオロメチル-ペンタン等が挙げられる。
上記他の溶媒は特定溶媒と混合して単相として使用してもよく、特定溶媒と他の溶媒とを組み合わせてグラジエント溶出法として用いてもよい。
【0072】
本発明の分離方法は、混合物を固定相に吸着させる工程を有する。混合物を固定相に吸着させる方法は、特に限定されず、クロマトグラフィーにおいて通常行う方法であってよい。
クロマトグラフィーとして、カラムクロマトグラフィーを用いる場合、混合物を直接に、または溶媒と混合して、カラム中に充填された固定相の上に供給し、混合物を固定相に吸着させる。この場合、用いる溶媒は、好ましくは移動相として用いる特定溶媒である。
【0073】
次に、混合物が吸着された固定相に、特定溶媒を含む移動相を通過させる工程を行う。クロマトグラフィーとして、カラムクロマトグラフィーを用いる場合、カラムの上部から移動相としての溶媒を注入し、混合物が吸着された固定相に、特定溶媒を含む移動相を通過させる。
【0074】
特定溶媒を含む移動相を通過させると、固定相に吸着させた混合物のうち、1官能体の化合物(1)が先に溶出する。そのため、混合物中の化合物(1)が分離できる。クロマトグラフィーとして、カラムクロマトグラフィーを用いる場合、カラムの底部から得られたフラクションを採取すれば、高純度の化合物(1)が得られる。
【0075】
次に、特定溶媒を含む移動相をさらに通過させると、固定相に吸着させた混合物のうち、2官能体の化合物(2)が溶出する。そのため、混合物中の化合物(2)が分離できる。カラムの底部から得られたフラクションを採取すれば、高純度の化合物(2)が得られる。
なお、化合物(2)を溶出させるために、移動相に使用される特定溶媒の種類を変更してもよい。
【0076】
本発明の分離方法において、化合物を分離する際の固定相の温度は、-10℃~100℃が好ましく、5℃~50℃がより好ましく、10℃~40℃がさらに好ましい。固定相の温度は、室温(25℃)の場合が多い。
【0077】
本発明の分離方法において、化合物(1)および化合物(2)を含む混合物は、さらに、下記の0官能体の化合物(3)を含んでいてもよい。
A-(OX)-O-A 式(3)
ただし、A、X、mは、式(1)、式(2)におけるのと同様である。
混合物が、化合物(3)を含む場合、混合物中に含まれる化合物(1)と化合物(2)と化合物(3)との割合は、特に、限定されないが、たとえば、化合物(1)/化合物(2)/化合物(3)の割合(質量基準)は1~95/1~95/1~95である。
【0078】
混合物がさらに化合物(3)を含む場合、固定相に吸着させた混合物のうち、1官能体の化合物(1)が溶出する前に、0官能体の化合物(3)が溶出する。そのため、混合物中の化合物(3)が分離できる。
【0079】
本発明の分離方法において、クロマトグラフィーとして、カラムクロマトグラフィーを用いる場合、例えば、窒素、アルゴン等の不活性ガスによりカラム内を加圧して行うことが好ましい。加圧の際の圧力(ゲージ圧)は、0.1MPa~1.0MPaであるのが好ましく、0.1MPa~0.5MPaであるのが特に好ましい。
【実施例
【0080】
以下、例を挙げて本発明を詳細に説明する。例1~例32は実施例であり、例33~例37は比較例である。ただし、本発明はこれらの例に限定されない。なお、後述する表1における各成分の含有量(%)は、質量基準を示す。
また、実施例で使用した含フッ素化合物の構造は以下に示すとおりである。
CF CF O-CF CF CF CF O)
0官能体:CF-O-(CFCFO-CFCFCFCFO)x1-CF
1官能体:CF-O-(CFCFO-CFCFCFCFO)x2-CFCFOCFCFCF-X
2官能体:X-CFCFCFOCFCF-(CFCFOCFCFCFCFO)x3-CFCFOCFCFCF-X
Xは末端官能基であり、X以外の構造の質量平均分子量は4800、繰り返し単位:x1、x2=14.5である。
CF O) (CF CF O)
0官能体:CF-O-(CFO)・(CFCFO)-CF
1官能体:CF-O-(CFO)・(CFCFO)-X
2官能体 X-(CFO)・(CFCFO)-X
Xは末端官能基であり、X以外の構造の質量平均分子量は4500、繰り返し単位:n=25、m=22である。
【0081】
[含フッ素化合物の合成]
[合成例1]
合成例1-1
国際公開第2013/121984号の実施例7に記載の方法で下記の化合物(A-1)を得た。
CFO-(CFCFHO-CFCFCFCHO)a1-H : A-1
繰り返し単位:a1=14.5
【0082】
合成例1-2
200mLの3つ口フラスコ内にて化合物(A-1)の30gと、48%KOH溶液の1gと、水の1.1gと、tert-ブチルアルコールの0.55gとを80℃で10分間混合した。得られた混合液に、パーフルオロプロピルビニルエーテルの2.4gを滴下して80℃で4時間混合した。混合液を室温まで冷却した後、AC-2000(C13H:AGC社製)の60gを投入し、さらに氷浴中で2N塩酸を6.5g滴下して投入した。混合液を200mLの分液ロートに移液した後、1時間静置した。下相を抜き出して、新たな200mLの分液ロートに投入し、水の87gを投入し、攪拌した。1時間静置後、下相を回収し、濃縮することで下記の化合物(A-2)を得た。
CFO-(CFCFHO-CFCFCFCHO)a2-CFCFCF : A-2
繰り返し単位a2=14.5
【0083】
合成例1-3
オートクレーブ(ニッケル製、内容積500mL)を用意し、オートクレーブのガス出口に、0℃に保持した冷却器、NaFペレット充填層、および-10℃に保持した冷却器を直列に設置した。また、-10℃に保持した冷却器から凝集した液をオートクレーブに戻す液体返送ラインを設置した。
上記オートクレーブにR-113(CFClCFCl)の312gを投入し、25℃に保持しながら撹拌した。オートクレーブに窒素ガスを25℃で1時間吹き込んだ後、20%フッ素ガスを、25℃、流速2.0L/時間で1時間吹き込んだ。次いで、20%フッ素ガスを同じ流速で吹き込みながら、オートクレーブに、化合物(A-2)の8.4gをR-113の84gに溶解した溶液を、3.6時間かけて注入した。
次いで、20%フッ素ガスを同じ流速で吹き込みながら、オートクレーブの内圧を0.15MPa(ゲージ圧)まで加圧した。そのオートクレーブ内に、R-113中に0.015g/mLのベンゼンを含むベンゼン溶液の9mLを、25℃から40℃にまで加熱しながら注入し、オートクレーブのベンゼン溶液注入口を閉めた。15分間撹拌した後、再びベンゼン溶液の6mLを、40℃を保持しながら注入し、注入口を閉めた。同様の操作をさらに3回繰り返した。ベンゼンの注入総量は0.33gであった。
さらに、オートクレーブ内に、20%フッ素ガスを同じ流速で吹き込みながら、1時間撹拌を続けた。次いで、オートクレーブ内の圧力を大気圧にして、窒素ガスを1時間吹き込んだ。オートクレーブの内容物をエバポレータで濃縮し、下記の0官能体の化合物(A-3)の8.8gを得た。
CFO-(CFCFO-CFCFCFCFO)a3-CFCFO-CFCFCF-CF-O-CFCFCF : A-3
繰り返し単位a3=14.5
【0084】
合成例1-4
国際公開第2013/121984号の実施例7に記載の方法で下記の1官能体の化合物(B-1)を得た。
CFO-(CFCFO-CFCFCFCFO)b1-CFCFO-CFCFCF-CHOH : (B-1)
繰り返し単位b1=14.5
【0085】
合成例1-5
200mLのナスフラスコに、HOCHCFCFCHOHの16.2g、および炭酸カリウムの13.8gを入れ、120℃で撹拌し、合成例1-1で得た化合物(A-1)の278gを加えて120℃で2時間撹拌した。ナスフラスコ内を25℃にし、AC-2000および塩酸をそれぞれ50g入れ、分液し、有機相を濃縮した。得られた反応粗液をシリカゲルカラムクロマトグラフィにて精製し、下記の化合物(C-1)の117.7gを得た。
【化9】
繰り返し単位x1+x2=13.5
【0086】
合成例1-6
50mLのナスフラスコに、化合物(C-1)の20g、フッ化ナトリウムの粉末7.1g、AC-2000の20g、およびCFCFCFOCF(CF)COFの20gを加えた。次いで、窒素雰囲気下、混合液を50℃で24時間撹拌した。ナスフラスコ内を25℃にした後、ろ過でフッ化ナトリウム粉末を除去した。過剰のCFCFCFOCF(CF)COFとAC-2000を減圧留去し、下記の化合物(C-2)の24gを得た。
【化10】
繰り返し単位x1+x2=13.5
【0087】
合成例1-7
500mLの金属製反応器に、ClCFCFClCFOCFCFCl(以下、「CFE-419」と記す。)の250mLを入れ、窒素ガスをバブリングした後、窒素ガスで希釈された20体積%のフッ素ガスをバブリングした。上記の化合物(C-2)のCFE-419溶液(濃度:10%、化合物(C-2):24g)を6時間かけて投入した。フッ素ガスの導入速度(mol/時間)と化合物(C-2)中の水素原子の導入速度(mol/時間)との比は2:1になるように制御した。化合物(C-2)の投入が終わった後、ベンゼンのCFE-419溶液(濃度:0.1%、ベンゼン:0.1g)を断続的に投入した。ベンゼンの投入が終わった後、フッ素ガスをバブリングし、最後に窒素ガスで反応器内を充分に置換した。溶媒を留去し、下記の化合物(C-3)の25.3gを得た。
【化11】
繰り返し単位x=14.5
【0088】
合成例1-8
50mLのナスフラスコに、化合物(C-3)の25.3g、およびフッ化ナトリウムの2.2g、AC-2000の25mLを入れ氷浴中で混合液を撹拌した。得られた混合液にメタノールの1.7gを入れ、25℃で1時間撹拌した。混合液をろ過した後、ろ液をシリカゲルカラムクロマトグラフィにて精製した。下記の化合物(C-4)の15gを得た。
【化12】
繰り返し単位x=14.5
【0089】
合成例1-9
50mLの2つ口ナスフラスコ内にて、水素化アルミニウムリチウムの0.04gをTHF(テトラヒドロフラン)の1.6gに懸濁させた。混合液を氷浴で冷却しながら、上記の化合物(C-4)の6.1gをAC-6000(C13:AGC社製)の6.0gで希釈した溶液をゆっくりと滴下した。その後、氷浴を取り外し、室温までゆっくり昇温しながら撹拌を続けた。室温で12時間撹拌後、液性が酸性になるまで塩酸水溶液を滴下した。AK-225の15mLを添加し、水で1回、飽和食塩水で1回洗浄し、有機相を回収した。回収した有機相をエバポレータで濃縮し、下記の2官能体の化合物(C-5)の5.9gを得た。
HO-CH-CFCFCFO-(CFCFO-CFCFCFCFO)c5-CFCFO-CFCFCF-CHOH : C-5
繰り返し単位x=14.5
【0090】
合成例1-10
0官能体の化合物(A-3)を5g、1官能体の化合物(B-1)を86g、および2官能体の化合物(C-5)を9g混合して、例1~16、35~37のサンプル混合物とした。
【0091】
[合成例2]
合成例2-1
Fomblin M(ソルベイソレクシス社製品名)をシリカゲルカラムクロマトグラフィで精製して、下記の0官能体の化合物(D-1)を得た
CF-O-(CFO)・(CFCFO)-CF : D-1
繰り返し単位n=25,m=22
【0092】
合成例2-2
国際公開第2017/038830号の実施例の例1に記載の方法(具体的には、例1-1~例1-4)に記載の方法にしたがって下記の化合物E-1を得た。
CFCFCFOCFCFOCFCF[(OCF・(OCFCF]OCFC(=O)OCH : E-1
繰り返し単位 n=25、m=21
次いで、300ccの3つ口丸底フラスコに水素化ホウ素ナトリウム粉末の2.4gを取り入れ、AC-2000(AGC社製品名)を15g加えた。氷浴で冷却しながら攪拌し、窒素雰囲気下、内温が10℃を超えないように上記の化合物E-1を30g、メタノールを4g、AC-2000を60g混合した溶液を滴下漏斗からゆっくり滴下した。全量滴下した後、更にメタノールを4g滴下した。その後、10℃で1時間攪拌した。再び氷浴で冷却し、液性が酸性になるまで塩酸水溶液を滴下した。反応終了後、塩酸溶液で1回、水で1回洗浄し、有機相を回収した。
回収した有機相をエバポレータで濃縮した。回収した濃縮液を減圧留去し、カラム精製を行い下記の化合物E-2を24g得た。
CFCFCFOCFCFOCFCF[(OCF・(OCFCF]OCF-CH-OH : E-2
繰り返し単位 n=25、m=21
【0093】
合成例2-3
Fomblin D4000(ソルベイソレクシス社製品名)をシリカゲルカラムクロマトグラフィで精製して下記の2官能体の化合物(F-1)を得た。
HOCH-(CFO){(CFO)・(CFCFO)}-CF-CHOH : F-1
繰り返し単位n=25,m=22
【0094】
合成例2-4
0官能体の化合物(D-1)を15g、1官能体の化合物(E-2)を55g、および2官能体の化合物(F-1)を30g混合して、例17~例25の混合物とした。
【0095】
合成例2-5
0官能体の化合物(D-1)を5g、1官能体の化合物(E-2)を86g、および2官能体の化合物(F-1)を9g混合して、例32の混合物とした。
【0096】
[合成例3]
合成例3-1
国際公開第2013/121984号の実施例6に記載の方法で下記の化合物(G-1)を得た。
CF-O-(CFCFO-CFCFCFCFO)g1-CFCFOCFCFCFC(=O)OCH : G-1
繰リ返シ単位g1=14.5
【0097】
合成例3-2
ジムロート、滴下ロート、温度計、および磁気撹拌子を備えた300mLの4つ口フラスコに化合物G-1を40g、アリルマグネシウムブロミドのジエチルエーテル溶液(ブロモ基濃度0.05mol/100g)を25g、1,3-ビストリフルオロメチルベンゼン40g、およびテトラヒドロフラン13gを仕込み、フラスコ内部を窒素置換した。得られた混合液を撹拌しながら内温60℃で6時間反応させ、室温(20℃)まで冷却した。その後、混合液を塩酸水(12N塩酸6g、水54gを混合した塩酸水)をはった分液ロートにゆっくりと加え、30分撹拌させた後、下層を回収した。回収液を、110℃/1mmHgの条件で溶媒成分を除去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィで精製を行い下記の1官能体の化合物(G-2)を35g得た。
CFO-(CFCFO-CFCFCFCFO)g2CFCFOCFCFCFC(OH)(CHCH=CH : G-2
繰り返し単位g2=14.5
【0098】
合成例3-3
ジムロート、滴下ロート、温度計、および磁気撹拌子を備えた300mLの4つ口フラスコに化合物(C-4)を40g、アリルマグネシウムブロミドのジエチルエーテル溶液(ブロモ基濃度0.05mol/100g)を50g、1,3-ビストリフルオロメチルベンゼン40g、およびテトラヒドロフラン13gを仕込み、フラスコ内部を窒素置換した。得られた混合液を撹拌しながら内温60℃で6時間反応させ、室温(20℃)まで冷却した。その後、混合液を塩酸水(12N塩酸6g、水54gを混合した塩酸水)をはった分液ロートにゆっくりと加え、30分撹拌させた後、下層を回収した。回収液を、110℃/1mmHgの条件で溶媒成分を除去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィで精製を行い下記の2官能体の化合物(H-1)の35gを得た。
【化13】
繰り返し単位x=14.5
【0099】
合成例3-4
上記の0官能体の化合物(A-3)を5g、および上記の1官能体の化合物(G-2)を86g、および上記の2官能体の化合物(H-1)を9g混合して、例26のサンプル混合液とした。
【0100】
[合成例4]
合成例4-1
上記の0官能体の化合物A-3を5g、上記の1官能体の化合物(G-1)を86g、および上記の2官能体の化合物(C-4)を9g混合して例27のサンプル混合物とした。
【0101】
[合成例5]
合成例5-1
200ccのナスフラスコにHO(C=O)C(CHCH=CHを0.67g、ジクロロメタンを33mL、およびオキサリルクロリドを0.67mL加えて氷冷下で攪拌し、その後DMF(N,N-ジメチルホルムアミド)を0.0393g添加した。その後、混合液を室温で攪拌後、濃縮し、Cl(C=O)C(CHCH=CHの0.6gを得た。
別途50ccのナスフラスコに化合物B-1を7g、AC-6000を7g、トリエチルアミンを0.4g、およびN,N-ジメチル-4-アミノピリジンを0.2g加え、さらに上記Cl(C=O)C(CHCH=CHを0.6g加えて、混合液を30℃で攪拌した。得られた混合液をシリカゲルカラムクロマトグラフィで精製し、下記の1官能体の化合物(I-1)を5.8g得た。
CFO(CFCFOCFCFCFCFO)i1CFCFOCFCFCF-CHO(C=O)C(CHCH=CH : I-1
繰り返し単位i1=14.5
【0102】
合成例5-2
200ccのナスフラスコにHO(C=O)C(CHCH=CHを0.67g、ジクロロメタンを33mL、およびオキサリルクロリドを0.67mL加えて氷冷下で攪拌し、その後DMF(N,N-ジメチルホルムアミド)を0.0393g添加した。その後、混合液を室温で攪拌後、濃縮し、Cl(C=O)C(CHCH=CHの0.6gを得た。
【0103】
合成例5-3
別途50ccのナスフラスコに化合物C-5を3.5g、AC-6000を7g、トリエチルアミンを0.4g、およびN,N-ジメチル-4-アミノピリジンを0.2g加え、上記Cl(C=O)C(CHCH=CHを0.6g加えて、30℃で混合液を攪拌した。得られた混合液をシリカゲルカラムクロマトグラフィで精製し、下記の2官能体の化合物(J-1)を2.4g得た。
【化14】
繰り返し単位x=14.5(合成例8-4)
【0104】
合成例5-4
0官能体の化合物(A-3)を5g、1官能体の化合物(I-1)を86g、および2官能体の化合物(J-1)を9g混合して例28のサンプル混合物とした。
【0105】
[合成例6]
合成例6-1
国際公開第2017/038830号の実施例11に記載の方法で下記の1官能体の化合物(K-1)を得た
CF-O-(CFCFO-CFCFCFCFO)k1(CFCFO)-CFCFCF-C(O)NH-CH-C(CHCH=CH : K-1
繰り返し単位k1=14.5
【0106】
合成例6-2
50mLのナスフラスコに、化合物(C-4)の15g、HNCHC(CHCH=CHの3.2g、およびAC-2000の15mLを入れ、0℃で混合液を24時間撹拌した。混合液をシリカゲルカラムクロマトグラフィにて精製した。下記の2官能体の化合物(L-1)の11.2gを得た。
【化15】
繰り返し単位x=14.5
【0107】
合成例6-3
0官能体の化合物(A-3)を5g、1官能体の化合物(K-1)を86g、および2官能体の化合物(L-1)を9g混合して例29のサンプル混合物とした。
【0108】
[合成例7]
合成例7-1
100ccの耐圧反応器に化合物G-1を15g、アサヒクリンAK-225(AGC社製品名)を50g、2.0Mアンモニア-メタノール溶液を7.5g入れ、室温で混合液を6時間攪拌した。その後、混合液から溶媒を留去し、目的の1官能体の化合物(M-1)を14.8g得た。
CF(OCFCFOCFCFCFCFm1OCFCFOCFCFCF-C(=O)NH : M-1
繰り返し単位m1=14.5
【0109】
合成例7-2
100ccの耐圧反応器に化合物C-4を15g、アサヒクリンAK-225(AGC社製品名)を50g、および2.0Mアンモニア-メタノール溶液を15g入れ、室温で混合液を6時間攪拌した。その後、混合液から溶媒を留去し、目的の2官能体の化合物(N-1)を14.8g得た。
【化16】
繰り返し単位x=14.5
【0110】
合成例7-3
上記の0官能体の化合物(A-3)を5g、上記の1官能体の化合物(M-1)を86g、および上記の2官能体の化合物(N-1)を9g混合して例30のサンプル混合物とした。
【0111】
[合成例8]
合成例8-1
300ccのナスフラスコに化合物M-1を15g、AK-225を75g、およびジエチルエーテルを30g加え、氷浴下で攪拌した。その後、得られた混合液に水素化リチウムアルミニウムを0.31gゆっくり加え、室温で20時間攪拌した。その後、混合液に硫酸ナトリウム飽和水溶液を0.3cc加え析出した固体をセライト濾過で取り除いた。得られた濾液を濃縮後、シリカゲルカラムクロマトグラフィで精製し、目的の化合物(O-1)を6.8g得た。
CF(OCFCFOCFCFCFCFo1OCFCFOCFCFCF-CHNH : O-1
繰り返し単位o1=14.5
【0112】
合成例8-2
別途50ccのナスフラスコに化合物(A-3)の3.0g、およびトリエチルアミンの0.35mLを加え、合成例5-1で合成したCl(C=O)C(CHCH=CHの0.45gと1,3-ビストリフルオロメチルベンゼン2mLを添加した。混合液を1時間攪拌し、溶媒を留去した。得られた粗体をシリカゲルカラムクロマトグラフィで精製し、目的の1官能体の化合物(O-2)を1.7g得た。
CF(OCFCFOCFCFCFCFo2OCFCFOCFCFCF-CHNH(C=O)C(CHCH=CH : O-2
繰り返し単位o2=14.5
【0113】
合成例8-3
300ccのナスフラスコに化合物(N-1)を15g、AK-225を75g、およびジエチルエーテルを30g加え、氷浴下で攪拌した。その後、混合液に水素化リチウムアルミニウムを0.62gゆっくり加え、室温で20時間攪拌した。その後、混合液に硫酸ナトリウム飽和水溶液を0.6cc加え析出した固体をセライト濾過で取り除いた。得られた濾液を濃縮後、シリカゲルカラムクロマトグラフィで精製し、目的の化合物(P-1)を6.8g得た。
【化17】
繰り返し単位x=14.5
【0114】
合成例8-4
別途50ccのナスフラスコに化合物(P-1)の3.0g、およびトリエチルアミンの0.7mLを加え、合成例5-3で合成したCl(C=O)C(CHCH=CHの0.45gと1,3-ビストリフルオロメチルベンゼン2mLを添加した。1時間攪拌し、溶媒を留去した。得られた粗体をシリカゲルカラムクロマトグラフィで精製し、下記の2官能体の化合物(P-2)を1.7g得た。
化合物X8-6のNMRスペクトル;
【0115】
【化18】
【0116】
合成例8-5
0官能体の化合物(A-3)を5g、1官能体の化合物(O-2)を86g、および2官能体の化合物(P-2)を9g混合して例31のサンプル混合物とした。
【0117】
合成例9-1
300mLのナスフラスコに、化合物(F-1)の100g、および炭酸セシウムの14.9g、1,3-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼンの100gを入れ、p-トルエンスルホン酸プロピルの6.4gを加えた。窒素雰囲気下、80℃で8時間攪拌した。希塩酸溶液で洗浄し、有機層を回収し、エバポレータで濃縮することによって得た粗体をシリカゲルクロマトグラフィで精製し、下記する、0官能体の化合物(Q-1)、1官能体の化合物(Q-2)、および2官能体の化合物(F-1)をそれぞれ15.2g、55.3g、29.5g含む混合物を得た。
CHCHCHOCH-(CFO){(CFO)(CFCFO)}-CF-CHOCHCHCH : (Q-1)
HOCH-(CFO){(CFO)(CFCFO)}-CF-CHOCHCHCH : (Q-2)
HOCH-(CFO){(CFO)・(CFCFO)}-CF-CHOH : (F-1)
【0118】
(分離方法)
上記で調製した例1~37のサンプル混合物をカラムクロマトグラフ法で分離した。
直径2cm、高さ70cmのカラム中に移動相として使用する溶媒(200g)とシリカゲル(50g)の混合物を入れ、次いで移動相として使用する溶媒を200g流して固定相を調製した。
その後、上記例1~37のサンプル混合物(10g)と移動相として使用する溶媒(5g)との混合物をカラムトップの固定相に吸着させた。次いで、カラム上部より、移動相としての溶媒をN圧(ゲージ圧)0.1MPaで押し流し、1000gの溶液を第1留分として回収した。この回収物を濃縮して高速液体クロマトグラフィー(HPLC、島津社製を用いて分析した。さらに、先に移動相として使用した溶媒とアセトンを質量比で1対1に混合した溶媒を押し流し、500gの溶液を第2留分として回収した。これを濃縮してHPLCを用いて分析した。
【0119】
上記の移動相として使用した特定溶媒は以下に示すとおりである。
溶媒1:CFCF=CCl (CFO)
溶媒2:CFClCF=CF (CFO)
溶媒3:CFHCF=CHCl (HCFO)
溶媒4:CFCH=CHCl(Z) (HCFO)
溶媒5:CFCH=CHCl(E) (HCFO)
溶媒6:CClFCF=CHCl (HCFO)
溶媒7:CHFCFCFCF=CHCl (HCFO)
溶媒8:CFCHCF=CH (HFO)
溶媒9:CFCH=CHCF(E) (HFO)
溶媒10:CFCH=CHCF(Z) (HFO)
【0120】
溶媒11:下記式の化合物(環状HFC)
【化19】
溶媒12:下記式の化合物(環状CFO)
【0121】
【化20】
溶媒13:下記式の化合物(環状CFO)
【化21】
【0122】
溶媒14:CFCFCOCF(CF (PFK)
溶媒15:(CFCFCOCF(CF (PFK)
溶媒16:CFCFCFOCFCFCOCF(CF (PFK)
溶媒17:CFCF=CCl (CFO)の95wt%およびヘキサン (炭化水素(HC))の5wt%の混合液
溶媒18:C14 (パーフルオロカーボン(PFC))
溶媒19:ヘキサン (炭化水素(HC))
溶媒20:アサヒクリンAK-225(AGC社製品名、ハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC))
【0123】
上記例1~37のサンプル混合物についての分離における要点、及びそれぞれで得られる結果を下記の表1~3に示す。なお、表3中の収率は、仕込み質量(分離前の各成分)に対する各留分の回収率(質量%)を示すものである。
【0124】
【表1】
【0125】
【表2】
【0126】
【表3】
【0127】
表1~3に示すとおり、移動相として、CFO、HCFO、HFO、環状HFC、環状CFO、またはPFKを用いた例1~34は、含フッ素化合物の収率が高く、かつ第1留分で1官能体を高純度で分離でき、第2留分で2官能体を高純度で分離できた。
なかでも、CFO、HCFO、HFO、環状HFC、または環状CFOを用いた例1~13、17~25が、第1留分の1官能体の純度が高く、第2留分の2官能体の純度が高い。CFO、HFO、環状HFC、または環状CFOを用いた例1、2、8~13、17、18、24~25が、第1留分の1官能体の純度がより高く、第2留分の2官能体の純度がより高い。HFO、または環状HFCを用いた例8~11、24、25が、第1留分の1官能体の純度がさらに高く、第2留分の2官能体の純度がさらに高い。
CFOとHCの混合溶媒を用いた例33は、第1留分の1官能体を高純度で分離できるが収率は低下した。
【0128】
含フッ素化合物の主鎖に着目すると、主鎖が(CFO)・(CFCFO)のFomblin系の含フッ素化合物を用いた例17~25、32、34が、第1留分での1官能体の分離能が高く、第2留分での2官能体の分離能が高い。
含フッ素化合物の-O-Z-(R)に着目すると、-O-(CF-CHOHの例1~25、32~37、-O-(CF-CONHCHC(CHCH=CHの例29、-O-(CF-CONHの例30、-O-(CF-CHNHCOC(CHCH=CHの例31が、第1留分の1官能体の純度が高く、第2留分の2官能体の純度が高い。Aがアルキル基の例34は、Aがパーフルオロアルキル基の例17と比べて第1留分の1官能体の純度、収率がやや低くなった。
【0129】
なお、2020年9月16日に出願された日本特許出願2020-155413号の明細書、特許請求の範囲、及び要約書の全内容をここに引用し、本発明の明細書の開示として、取り入れるものである。