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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-14
(45)【発行日】2025-01-22
(54)【発明の名称】車両のスイッチ構造
(51)【国際特許分類】
   H01H 9/18 20060101AFI20250115BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20250115BHJP
   H01H 3/12 20060101ALI20250115BHJP
   H01H 3/02 20060101ALI20250115BHJP
   H01H 23/14 20060101ALI20250115BHJP
   H01H 13/14 20060101ALI20250115BHJP
【FI】
H01H9/18 Z
B60R16/02 630J
H01H3/12 A
H01H3/02 C
H01H23/14
H01H13/14 Z
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2020204850
(22)【出願日】2020-12-10
(65)【公開番号】P2022092195
(43)【公開日】2022-06-22
【審査請求日】2023-11-01
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 冨原星陽、田中由浩、新崎未奈及び三好哲史が、令和元年12月13日に、第20回計測自動制御学会システムインテグレーション部門講演会にて、「曲率が与える厚み知覚バイアスに関する基礎検討」という題目で、三好哲史、新崎未奈及び田中由浩が発明した「曲率が与える厚み知覚バイアス」について公開した。
(73)【特許権者】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】304021277
【氏名又は名称】国立大学法人 名古屋工業大学
(74)【代理人】
【識別番号】100135389
【弁理士】
【氏名又は名称】臼井 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100200609
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 智和
(72)【発明者】
【氏名】三好 哲史
(72)【発明者】
【氏名】新崎 未奈
(72)【発明者】
【氏名】田中 由浩
【審査官】荒木 崇志
(56)【参考文献】
【文献】特許第4415689(JP,B2)
【文献】実開平03-119228(JP,U)
【文献】特開2005-032538(JP,A)
【文献】特開2002-232529(JP,A)
【文献】米国特許第04180336(US,A)
【文献】国際公開第2015/104758(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2006/0146026(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 3/02
H01H 3/12
H01H 9/00 - 9/28
H01H 13/00 - 13/88
H01H 19/00 - 23/30
H01H 89/00 - 89/10
B60R 16/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の同一領域に設置され、かつ乗員の手指により操作される複数のスイッチを備え、
前記複数のスイッチは、互いに異なる信号を切り替え、かつ前記手指の動作方向が互いに等しい第1スイッチおよび第2スイッチを含み、
前記第1スイッチは、前記動作方向に屈曲した単一の第1曲率半径を有する曲面のみで構成された第1操作面を有し、
前記第2スイッチは、前記第1操作面と同じ向きに屈曲した単一の第2曲率半径を有する曲面のみで構成された第2操作面を有し、
前記第1曲率半径と前記第2曲率半径とは、互いに異なっており、
前記第1操作面は、前記動作方向において前記手指から最も近くに位置する第1頂点を含み、
前記第2操作面は、前記動作方向において前記手指から最も近くに位置する第2頂点を含み、
前記動作方向において、前記第2頂点の位置が前記第1頂点の位置に等しい、車両のスイッチ構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に車室内の同一領域に設置され、かつ車載装置の操作に用いられる複数のスイッチを備える車両のスイッチ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車両のスイッチ構造の一例が開示されている。当該スイッチ構造は、ステアリングホイールに設けられている。当該スイッチ構造は、複数のスイッチを備える。複数のスイッチのいずれかには、乗員に向けて突出する突起が設けられている。これにより、乗員の手指が突起に接触することによって、手指からの感覚のみにより複数のスイッチの弁別ができるものとなっている。したがって、当該スイッチ構造は、視認することなく複数のスイッチの弁別を図ることが可能となっている。
【0003】
しかし、複数のスイッチのいずれかに突起を設けることは、道路運送車両の保安基準の細目を定める告示(平成14年国土交通省告示第619号)」の内部突起にかかる基準を満たす必要がある。突起の形状が尖ったものであると、乗員に対する安全性が低下するためである。当該基準により、突起の形状に制約(たとえば突起の曲率半径を2.5mm以上に設定)が生じる。したがって、この制約によって、複数のスイッチの弁別性が低下することが懸念される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2005-32538号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、乗員に対する安全性を確保しつつ、視認することなく複数のスイッチの弁別を図ることが可能な車両のスイッチ構造を提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によって提供される車両のスイッチ構造は、車両の同一領域に設置され、かつ乗員の手指により操作される複数のスイッチを備え、前記複数のスイッチは、互いに異なる信号を切り替え、かつ前記手指の動作方向が互いに等しい第1スイッチおよび第2スイッチを含み、前記第1スイッチは、前記動作方向に屈曲した曲面をなす第1操作面を有し、前記第2スイッチは、前記第1操作面と同じ向きに屈曲した曲面をなす第2操作面を有し、前記第1操作面および前記第2操作面の曲率が互いに異なり、前記第1操作面は、前記動作方向において前記手指から最も近くに位置する第1頂点を含み、前記第2操作面は、前記動作方向において前記手指から最も近くに位置する第2頂点を含み、前記動作方向において、前記第2頂点の位置が前記第1頂点の位置に等しいことを特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
本発明にかかる車両のスイッチ構造によれば、視認することなく複数のスイッチの弁別を図ることが可能となる。
【0008】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面に基づき以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1実施形態および第2実施形態にかかる車両のスイッチ構造が適用されたステアリングホイールの正面図である。
図2】本発明の第1実施形態にかかる車両のスイッチ構造の断面図であり、かつ図1のII-II線に沿う断面図である。
図3】車両用スイッチに関するモニタリング調査結果の主成分分析の散布図である。
図4】本発明の第2実施形態にかかる車両のスイッチ構造の断面図であり、かつ図1のIV-IV線に沿う断面図である。
図5】本発明の第3実施形態にかかる車両のスイッチ構造の平面図である。
図6図5に示す車両のスイッチ構造の右側面図である。
図7図6のVII-VII線に沿う断面図である。
図8】本発明の第4実施形態にかかる車両のスイッチ構造の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明を実施するための形態について、添付図面に基づいて説明する。
【0011】
〔第1実施形態〕
図1図3に基づき、本発明の第1実施形態にかかる車両のスイッチ構造(以下「スイッチ構造A10」という。)について説明する。スイッチ構造A10は、複数のスイッチ20を備える。複数のスイッチ20は、車両の同一領域に設置され、かつ乗員の手指30により操作される。複数のスイッチ20は、車載装置の操作に用いられる。
【0012】
図1に示すように、ステアリングホイール11は、リム部111、パッド部112、および複数のスポーク部113を有する。リム部111とパッド部112とは、複数のスポーク部113によって連結されている。パッド部112は、ステアリングシャフト(図示略)に連結されている。したがって、リム部111をステアリングシャフトの中心軸回りに回転させることにより、車両の操舵が可能となる。
【0013】
図1に示すように、スイッチ構造A10においては、複数のスイッチ20は、複数のスポーク部113のうちいずれかに設置されている。したがって、スイッチ構造A10においては、スポーク部113が先述の「車両の同一領域」に相当する。
【0014】
図2に示すように、複数のスイッチ20は、第1スイッチ201および第2スイッチ202を含む。第2スイッチ202は、第1スイッチ201に隣接している。第1スイッチ201および第2スイッチ202は、互いに異なる信号(主に電気信号)を切り替え、かつ手指30の動作方向X(以下「動作方向X」という。)が互いに等しい。スイッチ構造A10においては、第1スイッチ201および第2スイッチ202は、互いに分離された押し込み型となっている。すなわち、スイッチ構造A10においては、手指30により第1スイッチ201および第2スイッチ202を動作方向Xにかつ個別に押し込むことによって、第1スイッチ201および第2スイッチ202の各々が操作される。したがって、第1スイッチ201および第2スイッチ202の各々のストローク方向は、動作方向Xに等しい。
【0015】
図2に示すように、第1スイッチ201は、第1操作面21を有する。手指30により第1スイッチ201を操作する際、第1操作面21に手指30が接触する。第1スイッチ201は、動作方向Xのうち手指30が位置する側に向けて凸状をなしている。第1操作面21は、動作方向Xに屈曲した曲面をなす。スイッチ構造A10においては、第1操作面21は、動作方向Xのうち手指30に近づく側に向けて凸状の曲面をなす。第1操作面21は、曲率半径r1の曲面をなす。当該曲面は、円柱面および球面を含む。第1操作面21は、第1頂点21Aを含む。第1頂点21Aは、動作方向Xにおいて手指30から最も近くに位置する。スイッチ構造A10においては、動作方向Xに沿って視て、第1頂点21Aは、第1操作面21の中央に位置する。
【0016】
図2に示すように、第2スイッチ202は、第2操作面22を有する。手指30により第2スイッチ202を操作する際、第2操作面22に手指30が接触する。第2操作面22は、第1スイッチ201の第1操作面21と同じ向きに屈曲した曲面をなす。スイッチ構造A10においては、第2操作面22は、動作方向Xのうち手指30に近づく側に向けて凸状の曲面をなす。第2操作面22は、曲率半径r2の曲面をなす。当該曲面は、円柱面および球面を含む。曲率半径r2は、第1操作面21の曲率半径r1よりも大である。したがって、第2操作面22の曲率は、第1操作面21の曲率よりも小である。第2操作面22は、第2頂点22Aを含む。第2頂点22Aは、動作方向Xにおいて手指30から最も近くに位置する。スイッチ構造A10においては、動作方向Xに沿って視て、第1頂点21Aは、第1操作面21の中央に位置する。
【0017】
図2に示すように、第1スイッチ201の第1操作面21と、第2スイッチ202の第2操作面22とは、曲率が互いに異なったものとなっている。さらに動作方向Xにおいて、第2操作面22の第2頂点22Aの位置が、第1操作面21の第1頂点21Aの位置に等しい。ここで、ステアリングホイール11のスポーク部113は、乗員に対向する表面11Aを有する。先述の内部突起にかかる基準の対象外となる突出量(突出量3.2mm未満)の範囲内であれば、第1スイッチ201および第2スイッチ202が表面11Aから乗員側に突出してもよい。
【0018】
次に、スイッチ構造A10の作用効果について説明する。
【0019】
スイッチ構造A10は、第1操作面21を有する第1スイッチ201と、第2操作面22を有する第2スイッチ202とを備える。第1操作面21は、動作方向Xに屈曲した曲面をなす。第2操作面22は、第1操作面21と同じ向きに屈曲した曲面をなす。第1操作面21および第2操作面22の曲率は互いに異なる。さらに動作方向Xにおいて、第2操作面22の第2頂点22Aの位置が、第1操作面21の第1頂点21Aの位置に等しい。
【0020】
図3は、車両用スイッチに関するモニタリング調査結果の主成分分析の散布図である。本調査は、目隠し状態の7名のモニターに対して17種類の車両用スイッチを手指で触れてもらい、その際の手指からの感覚をモニタリングしたものである。当該車両用スイッチのストローク量は、いずれも同一である。図3に示す第1主成分および第2主成分の各々の値がともに正の方向に大になるほど、「スイッチのストローク量をより大きく感じる。」や「スイッチがより厚く感じる。」といった感覚をモニターが覚えることが確認された。図3に示す17種類の車両用スイッチのうち、スイッチS1の曲率は、スイッチS2の曲率よりも大に設定されている。図3によれば、スイッチS2よりもスイッチS1の方が、第1主成分および第2主成分の各々の値がともに正の方向に大である。したがって、スイッチS1は、スイッチS2よりもスイッチのストローク量を大きく感じる構成であることや、スイッチ2よりもスイッチの厚みを感じる構成であることがいえる。
【0021】
図3に示す主成分分析から、第1スイッチ201の第1操作面21の曲率が、第2スイッチ202の第2操作面22の曲率と異なることによって、第1スイッチ201および第2スイッチ202のいずれかに突起を設けることなく、第1スイッチ201と第2スイッチ202を手指30からの感覚のみにより弁別できるものとなる。したがって、スイッチ構造A10によれば、視認することなく複数のスイッチ20の弁別を図ることが可能である。
【0022】
さらに図2に示すように、動作方向Xにおいて、第2操作面22の第2頂点22Aの位置が、第1操作面21の第1頂点21Aの位置に等しい。これにより、スイッチ構造A10においては、動作方向Xにおけるステアリングホイール11のスポーク部113の表面11Aに対して先述の内部突起にかかる基準の対象外となる突出量の範囲内となるように、動作方向Xにおける第1頂点21Aおよび第2頂点22Aの位置の設定がしやすくなる。したがって、乗員に対する安全性が確保される。
【0023】
スイッチ構造A10によれば、複数のスイッチ20の各々のストローク量を抑えた場合であっても、手指30からの感覚のみにより複数のスイッチ20の弁別を図ることができる。さらに、複数のスイッチ20の各々が曲率を持つため、複数のスイッチ20の各々の体積を縮小することができる。これらのことは、スイッチ構造A10のコスト縮減に寄与する。
【0024】
〔第2実施形態〕
図4に基づき、本発明の第2実施形態にかかる車両のスイッチ構造A20(以下「スイッチ構造A20」という。)について説明する。本図において、先述したスイッチ構造A10と同一または類似の要素には同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
【0025】
スイッチ構造A20は、第1スイッチ201および第2スイッチ202の構成が、スイッチ構造A10の当該構成と異なる。図1に示すように、スイッチ構造A20は、スイッチ構造A10と同じくステアリングホイール11のスポーク部113に設置されている。したがって、スイッチ構造A20においては、スポーク部113が先述の「車両の同一領域」に相当する。
【0026】
図4に示すように、スイッチ構造A20においては、第1スイッチ201および第2スイッチ202は、これらが一体となったシーソー型となっている。スイッチ構造A20においては、手指30により第1スイッチ201および第2スイッチ202のいずれかを動作方向Xに押し込むと、一体となった第1スイッチ201および第2スイッチ202が支点23を回転軸として動作方向Xに揺動する。これにより、第1スイッチ201および第2スイッチ202の各々が操作される。したがって、第1スイッチ201および第2スイッチ202の各々のストローク方向は、動作方向Xに等しい。
【0027】
次に、スイッチ構造A20の作用効果について説明する。
【0028】
スイッチ構造A20は、第1操作面21を有する第1スイッチ201と、第2操作面22を有する第2スイッチ202とを備える。第1操作面21は、動作方向Xに屈曲した曲面をなす。第2操作面22は、第1操作面21と同じ向きに屈曲した曲面をなす。第1操作面21および第2操作面22の曲率は互いに異なる。さらに動作方向Xにおいて、第2操作面22の第2頂点22Aの位置が、第1操作面21の第1頂点21Aの位置に等しい。したがって、スイッチ構造A20によっても、乗員に対する安全性を確保しつつ、視認することなく複数のスイッチの弁別を図ることが可能である。
【0029】
〔第3実施形態〕
図5図7に基づき、本発明の第3実施形態にかかる車両のスイッチ構造A30(以下「スイッチ構造A30」という。)について説明する。本図において、先述したスイッチ構造A10と同一または類似の要素には同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
【0030】
スイッチ構造A30は、第1スイッチ201および第2スイッチ202の構成が、スイッチ構造A10の当該構成と異なる。図5に示すように、スイッチ構造A30は、内装部材12に配置されている。内装部材12は、たとえばドアトリムに設けられた乗員の肘掛け部である。したがって、スイッチ構造A30においては、内装部材12が先述の「車両の同一領域」に相当する。
【0031】
図5および図7に示すように、スイッチ構造A30においては、複数のスイッチ20は、互いに隣り合っている。複数のスイッチ20の各々は、基部24およびつまみ部25を有するシーソー型である。基部24は、内装部材12に収納され、かつ内装部材12の表面12Aと面一である。なお、表面12Aは、図6に示す突出方向Yを向く。つまみ部25は、基部24から図6に示す突出方向Yに突出している。複数のスイッチ20の各々のつまみ部25には、動作方向Xにおいて互いに反対側に位置する第1スイッチ201および第2スイッチ202が設けられている。さらに複数のスイッチ20が互いに隣り合う方向において、一方のスイッチ20の第1スイッチ201の隣に、他方のスイッチ20の第2スイッチ202が位置する。スイッチ構造A30においては、第1スイッチ201の第1操作面21と、第2スイッチ202の第2操作面22との各々は、動作方向Xのうち手指30が位置する側に向けて凸状の曲面をなす。スイッチ構造A30においては、当該曲面は球面であるが、これを円柱面としてもよい。
【0032】
図6に示すように、スイッチ構造A30においては、複数のスイッチ20のいずれかのつまみ部25を手指30により動作方向Xに移動させると、当該スイッチ20の基部24が支点23を回転軸として突出方向Yに揺動する。これにより、複数のスイッチ20を個別に操作することができる。したがって、複数のスイッチ20の各々のストローク方向は、突出方向Yに等しい。
【0033】
図7に示すように、動作方向Xの一方側において、一方のスイッチ20の第1操作面21(第1スイッチ201)の第1頂点21Aと、他方のスイッチ20の第2操作面22(第2スイッチ202)の第2頂点22Aとは、仮想平面P1の位置に揃ったものとなっている。さらに動作方向Xの他方側において、一方のスイッチ20の第2操作面22の第2頂点22Aと、他方のスイッチ20の第1操作面21の第1頂点21Aとは、仮想平面P2の位置に揃ったものとなっている。
【0034】
次に、スイッチ構造A30の作用効果について説明する。
【0035】
スイッチ構造A30は、第1操作面21を有する第1スイッチ201と、第2操作面22を有する第2スイッチ202とを備える。第1操作面21は、動作方向Xに屈曲した曲面をなす。第2操作面22は、第1操作面21と同じ向きに屈曲した曲面をなす。第1操作面21および第2操作面22の曲率は互いに異なる。さらに動作方向Xにおいて、第2操作面22の第2頂点22Aの位置が、第1操作面21の第1頂点21Aの位置に等しい。したがって、スイッチ構造A30によっても、乗員に対する安全性を確保しつつ、視認することなく複数のスイッチの弁別を図ることが可能である。
【0036】
〔第4実施形態〕
図8に基づき、本発明の第4実施形態にかかる車両のスイッチ構造A40(以下「スイッチ構造A40」という。)について説明する。本図において、先述したスイッチ構造A10と同一または類似の要素には同一の符号を付して、重複する説明を省略する。ここで、図8の断面位置は、スイッチ構造A10を示す図2の断面位置に等しい。
【0037】
スイッチ構造A40は、第1スイッチ201の第1操作面21と、第2スイッチ202の第2操作面22との構成が、スイッチ構造A10の当該構成と異なる。スイッチ構造A40は、スイッチ構造A10と同じくステアリングホイール11のスポーク部113に設置されている。したがって、スイッチ構造A40においては、スポーク部113が先述の「車両の同一領域」に相当する。
【0038】
図8に示すように、スイッチ構造A40においては、第1スイッチ201の第1操作面21は、動作方向Xのうち手指30から遠ざかる側に向けて凹状の曲面をなす。したがって、第1操作面21が屈曲する向きは、スイッチ構造A10の第1操作面21が屈曲する向きの反対側である。動作方向Xに沿って視て、第1操作面21の第1頂点21Aは、第1操作面21の周縁に位置する。
【0039】
図8に示すように、第2スイッチ202の第2操作面22は、動作方向Xのうち手指30から遠ざかる側に向けて凹状の曲面をなす。したがって、第2操作面22が屈曲する向きは、第1操作面21が屈曲する向きと同一であり、かつスイッチ構造A10の第2操作面22が屈曲する向きの反対側である。動作方向Xに沿って視て、第2操作面22の第2頂点22Aは、第2操作面22の周縁に位置する。
【0040】
図8に示すように、動作方向Xにおける第1頂点21Aおよび第2頂点22Aの位置は、先述の内部突起にかかる基準の対象外となる突出量の範囲内であれば、第1スイッチ201および第2スイッチ202がステアリングホイール11のスポーク部113の表面11Aから乗員側に突出してもよい。
【0041】
次に、スイッチ構造A40の作用効果について説明する。
【0042】
スイッチ構造A40は、第1操作面21を有する第1スイッチ201と、第2操作面22を有する第2スイッチ202とを備える。第1操作面21は、動作方向Xに屈曲した曲面をなす。第2操作面22は、第1操作面21と同じ向きに屈曲した曲面をなす。第1操作面21および第2操作面22の曲率は互いに異なる。さらに動作方向Xにおいて、第2操作面22の第2頂点22Aの位置が、第1操作面21の第1頂点21Aの位置に等しい。したがって、スイッチ構造A40によっても、乗員に対する安全性を確保しつつ、視認することなく複数のスイッチの弁別を図ることが可能である。
【0043】
本発明は、先述した実施形態に限定されるものではない。本発明は、インストルメントパネル、コンソールおよびカーナビゲーションなど、車両のあらゆる部材および装置に適用することが可能である。さらに本発明の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【符号の説明】
【0044】
A10,A20,A30,A40:スイッチ構造
11:ステアリングホイール
11A:表面
111:リム部
112:パッド部
113:スポーク部
12:内装部材
12A:表面
20:スイッチ
201:第1スイッチ
202:第2スイッチ
21:第1操作面
21A:第1頂点
22:第2操作面
22A:第2頂点
23:支点
24:基部
25:つまみ部
30:手指
r1,r2:曲率半径
X:動作方向
Y:突出方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8