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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-14
(45)【発行日】2025-01-22
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/20 20060101AFI20250115BHJP
   G03G 15/20 20060101ALI20250115BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20250115BHJP
【FI】
G03G21/20
G03G15/20 555
G03G21/00 510
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021160445
(22)【出願日】2021-09-30
(65)【公開番号】P2023050379
(43)【公開日】2023-04-11
【審査請求日】2024-03-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(73)【特許権者】
【識別番号】304021417
【氏名又は名称】国立大学法人東京科学大学
(74)【代理人】
【識別番号】100098626
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 壽
(72)【発明者】
【氏名】長谷 岳誠
(72)【発明者】
【氏名】加藤 弘一
(72)【発明者】
【氏名】伏信 一慶
(72)【発明者】
【氏名】倉本 信一
【審査官】大浜 登世子
(56)【参考文献】
【文献】特開平02-077070(JP,A)
【文献】特開平02-043584(JP,A)
【文献】特開2020-020956(JP,A)
【文献】特開平04-299369(JP,A)
【文献】特開2021-060375(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0257224(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/20
G03G 15/20
G03G 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像が形成された記録シートに該画像を加熱定着させる定着手段と、
前記定着手段による定着後の記録シートを冷却する冷却手段と、
前記冷却手段の温度を調整する冷却温度制御手段とを有する画像形成装置であって、
前記記録シートが前記定着手段を通過するときの該定着手段の温度を検知する定着温度検知手段と、
前記記録シートが前記冷却手段を通過するときの該冷却手段の温度を検知する冷却温度検知手段と
前記定着温度検知手段及び前記冷却温度検知手段の検知結果に基づいて、前記記録シートの物性情報の推定を行う推定手段と、を有し、
前記冷却手段は、通過する記録シートから吸熱する吸熱部材と、該吸熱部材を空冷又は液冷する冷却部材とを含み、
前記冷却温度制御手段は、前記推定手段が推定した物性情報に基づいて、前記冷却部材の冷却能力を制御して前記冷却手段の温度を制御することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置において、
前記推定手段は、記録シートの印刷速度に基づいて、前記記録シートの物性情報の推定を行うことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の画像形成装置において、
前記定着手段の温度を制御する定着温度制御手段を有し、
前記定着温度制御手段は、前記推定手段が推定した物性情報に基づいて、前記定着手段の温度を制御することを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像形成装置において、
前記物性情報は、記録シートの坪量、厚さ及び平滑度のうちの少なくとも1つであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像形成装置において、
前記推定手段は、記録シートの光学特性を検知する光学センサの検知結果に基づいて、該記録シートの物性情報の推定を行うことを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の画像形成装置において、
前記推定手段は、物性情報が既知である学習対象記録シートが学習対象画像形成装置の定着手段を通過するときの該定着手段の温度情報と、該学習対象記録シートが該学習対象画像形成装置の冷却手段を通過するときの該冷却手段の温度情報とを含む複数の学習用データを用いて学習した推定プログラムを用いて、前記記録シートの物性情報の推定を行うことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、画像が形成された記録シートに該画像を加熱定着させる定着手段と、前記定着手段の温度を制御する定着温度制御手段とを有する画像形成装置が知られている。
【0003】
特許文献1には、用紙の厚さを測定する紙厚センサと、用紙の坪量を測定する坪量センサと、用紙の表面性(用紙の反射光量)を測定する表面性センサとを備えた電子写真方式の画像形成装置が開示されている。この画像形成装置には、これらのセンサによる検知出力に基づいて、用紙の紙種情報を判別する紙種判別エンジンが搭載されている。この紙種判別エンジンは、ユーザーにより設定された用紙の紙種情報を正解ラベルとした教師データを用いた教師あり学習により生成された学習済みモデルである。この画像形成装置は、紙種判別エンジンによって紙種情報が判別された用紙を用いて印刷する場合、その紙種情報に対応する印刷条件で印刷を実行する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、従来の画像形成装置では、上述した各種センサの検知出力に基づき、紙種判別エンジンで判別した用紙の紙種情報に対応する印刷条件で印刷しても、冷却手段の温度が用紙に適合せずに、排紙された用紙のブロッキング等の不具合が発生しやすいという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するために、本発明は、画像が形成された記録シートに該画像を加熱定着させる定着手段と、前記定着手段による定着後の記録シートを冷却する冷却手段と、前記冷却手段の温度を調整する冷却温度制御手段とを有する画像形成装置であって、前記記録シートが前記定着手段を通過するときの該定着手段の温度を検知する定着温度検知手段と、前記記録シートが前記冷却手段を通過するときの該冷却手段の温度を検知する冷却温度検知手段と、前記定着温度検知手段及び前記冷却温度検知手段の検知結果に基づいて、前記記録シートの物性情報の推定を行う推定手段と、を有し、前記冷却手段は、通過する記録シートから吸熱する吸熱部材と、該吸熱部材を空冷又は液冷する冷却部材とを含み、前記冷却温度制御手段は、前記推定手段が推定した物性情報に基づいて、前記冷却部材の冷却能力を制御して前記冷却手段の温度を制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、冷却手段の温度が記録シートに適合しないことで発生する不具合を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態に係るプリンタを示す概略構成図。
図2】同プリンタにおける定着装置を示す模式図。
図3】同プリンタにおける冷却装置を示す模式図。
図4】冷却装置の他の例を示す模式図。
図5】冷却装置の更に他の例を示す模式図。
図6】実施形態における定着装置及び冷却装置の温度制御に関する制御ブロック図。
図7】実施形態における定着装置及び冷却装置の温度制御の流れを示すフローチャート。
図8】記録シートの銘柄と定着温度の目標値との関係を示すグラフ。
図9】実験例で用いる人工ニューラルネットワークの例を示す説明図。
図10】(a)は、実施例において作成した学習済みモデルに検証用データを入力し、記録シートの坪量の推定結果をプロットしたグラフ。(b)は、実施例において作成した学習済みモデルに検証用データを入力し、記録シートの厚みの推定結果をプロットしたグラフ。(c)は、実施例において作成した学習済みモデルに検証用データを入力し、記録シートの平滑度の推定結果をプロットしたグラフ。
図11】(a)は、記録シートの物性情報を含む入力値から排紙部の温度を推定する既存の推定プログラムを用いて、同学習済みモデルにより推定した記録シートの物性情報を入力したときの推定結果をプロットしたグラフ。(b)は、同既存の推定プログラムを用いて、記録シートの物性情報を入力しないときの推定結果をプロットしたグラフ。(c)は、同既存の推定プログラムを用いて、実測した記録シートの物性情報を入力したときの推定結果をプロットしたグラフ。
図12】(a)は、定着設定温度を120℃とし、45K紙を500枚連続通紙したときの各種温度センサの温度プロファイル。(b)は、定着設定温度を120℃とし、70K紙を500枚連続通紙したときの各種温度センサの温度プロファイル。(c)は、定着設定温度を160℃とし、45K紙を500枚連続通紙したときの各種温度センサの温度プロファイル。(d)は、定着設定温度を160℃とし、70K紙を500枚連続通紙したときの各種温度センサの温度プロファイル。
図13】(a)は、定着設定温度を120℃とし、PODグロスコート100紙を500枚連続通紙したときの各種温度センサの温度プロファイル。(b)は、定着設定温度を120℃とし、90K紙を500枚連続通紙したときの各種温度センサの温度プロファイル。(c)は、定着設定温度を160℃とし、PODグロスコート100紙を500枚連続通紙したときの各種温度センサの温度プロファイル。(d)は、定着設定温度を160℃とし、90K紙を500枚連続通紙したときの各種温度センサの温度プロファイル。
図14】普通紙とコート紙の表面性の差異を示す参考図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を適用した画像形成装置として、電子写真方式のプリンタの一実施形態について説明する。
まず、実施形態に係るプリンタの基本的な構成について説明する。
図1は、実施形態に係るプリンタを示す概略構成図である。同図において、プリンタ100は、内部に収容している記録シートとしての記録シートを給紙路に供給する給紙部(給紙テーブル)と、これの上に搭載されたプリンタ部とを有している。図中の符号の末尾に付されているY、M、C、Kという添え字は、イエロー,マゼンタ,シアン,ブラック(黒)用の部材であることを示している。
【0009】
プリンタ部の中央付近には、複数の支持ローラ14,15,15',16,63に掛け回されて図中時計回り方向に無端移動可能な無端状の中間転写ベルト10が設けられている。中間転写ベルト10の周方向における全域のうち、クリーニングバックアップローラに対する掛け回し箇所には、ベルトクリーニング装置17がベルトおもて面側から当接している。このベルトクリーニング装置17は、後述する二次転写ニップを通過した後の中間転写ベルト10のおもて面に残留する転写残トナーを除去するものである。
【0010】
中間転写ベルト10の周方向における全域のうち、支持ローラたる駆動ローラ14と支持ローラ15との間の領域は、ほぼ水平方向に延在している。そして、その領域の上には、タンデム画像形成部20が配設されている。タンデム画像形成部20は、ベルトおもて面に沿って配設されたイエロー,マゼンタ,シアン,ブラック用の四つの作像ユニット18Y,18M,18C,18Kをベルトおもて面に対向させている。
【0011】
タンデム画像形成部20の上には、潜像書込手段としての光書込装置21が設けられている。タンデム画像形成部20の作像ユニット18Y,18M,18C,18Kは、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色の潜像が形成される潜像担持体としてのドラム状の感光体40Y,40M,40C,40Kを有している。感光体40Y,40M,40C,40Kの表面は、帯電装置60Y,60M,60C,60Kによって一様に帯電された後(例えば-650V)、画像データに基づいて光源を駆動する光書込装置21によって光走査される。この光走査によって生じる感光体40Y,40M,40C,40Kの表面の光照射部は電位を減衰させて(例えば-50V)静電潜像となる。
【0012】
感光体40Y,40M,40C,40Kの表面に形成された静電潜像は、現像装置59Y,59M,59C,59Kによって現像されてY、M、C、Kトナー像になる。現像装置59Y,59M,59C,59Kには、必要に応じてトナーボトル50Y,50M,50C,50KからY、M、C、Kトナーが供給される。現像装置59Y,59M,59C,59K内では、Y、M、C、Kトナーと磁性キャリアとを混合したY、M、C、K現像剤が攪拌される。Y、M、C、K現像剤中のY、M、C、Kトナーは負極性に摩擦帯電する(例えば-30μC/g)。現像装置59,59M,59C,59K内には、それぞれY、M、C、K用の現像ローラが配設されている。Y、M、C、K用の現像ローラは、その周面の一部をケーシングに設けられた開口を通じて外部に露出させて、感光体40Y,40M,40C,40Kに対向させている。Y、M、C、K用の現像ローラによって汲み上げられたY、M、C、K現像剤は、ローラの回転に伴って感光体40Y,40M,40C,40Kに対向する現像領域まで搬送される。現像領域では、感光体40Y,40M,40C,40Kの静電潜像と、現像バイアス(例えば-500V)が印加される現像ローラとの間に、負極性のトナーをローラ側から潜像側に移動させる現像ポテンシャルが作用する。この現像ポテンシャルより、Y、M、C、K用の現像ローラ上のY、M、C、Kトナーが磁性キャリアから離脱して感光体40Y,40M,40C,40Kの静電潜像に転移する。これにより、感光体40Y,40M,40C,40Kの静電潜像がY、M、C、Kトナーによって現像されて、Y、M、C、Kトナー像になる。
【0013】
感光体40Y,40M,40C,40Kの下には、一次転写ローラ62Y,62M,62C,62Kが配設されており、中間転写ベルト10を感光体40Y,40M,40C,40Kに向けて押圧している。これにより、感光体40Y,40M,40C,40Kと中間転写ベルト10とが当接するY、M、C、K用の一次転写ニップが形成されている。Y、M、C、K用の一次転写ニップの周辺では、一次転写バイアスが印加される一次転写ローラ62Y,62M,62C,62Kと、感光体40Y,40M,40C,40Kの静電潜像との間に一次転写電界が形成される。
【0014】
プリンタ100は、画像データを受信すると、駆動手段によって駆動ローラ14を回転駆動することで、中間転写ベルト10を図中時計回り方向に無端移動させる。同時に、プリンタ100は、作像ユニット18Y,18M,18C,18Kを駆動して感光体40Y,40M,40C,40K上にY、M、C、Kトナー像を形成する。これらのトナー像は、Y、M、C、K用の一次転写ニップで中間転写ベルト10のおもて面に重ね合わせて一次転写される。これにより、中間転写ベルト10のおもて面には四色重ね合わせトナー像が形成される。
【0015】
なお、ブラックの単色画像を中間転写ベルト10上に形成する場合には、駆動ローラ14以外の支持ローラ15,15'を移動させて、イエロー、マゼンタ、シアンの感光体40Y,40M,40Cを中間転写ベルト10から離間させることも可能である。
【0016】
Y、M、C、K用の一次転写ニップを通過した後の感光体40Y,40M,40C,40Kの表面には、中間転写ベルト10に一次転写されなかった転写残トナーが付着している。この転写残トナーは、ドラムクリーニング装置61Y,61M,61C,61Kによって感光体40Y,40M,40C,40Kの表面から除去された後、廃トナーボトルに搬送される。
【0017】
クリーニング後の感光体40Y,40M,40C,40Kの表面は、帯電装置60Y,60M,60C,60Kによって再び一様に帯電せしめられる。
【0018】
プリンタ100は、給紙部の給紙テーブル200上における給紙ローラ42の1つを選択的に回転させる。これにより、ペーパーバンク43内に多段に設けられた複数の給紙カセット44の1つから記録シートが繰り出される。そして、分離ローラ45によって記録シートが1枚ずつに分離して給紙路48に送られた後、搬送ローラ47によって搬送されてプリンタ部の給紙路48に進入する。プリンタ部の給紙路48に進入した記録シートは、レジストローラ対49のレジストニップに突き当たって止まる。
【0019】
中間転写ベルト10の下方には、二次転写装置22が配設されている。二次転写装置22は、中間転写ベルト10の周方向における全域のうち、支持ローラとしての二次転写対向ローラ16に対する掛け回し箇所に対して二次転写ローラ16'を当接させて二次転写ニップを形成している。
【0020】
レジストローラ対49は、記録シートを二次転写ニップでベルト上の四色重ね合わせトナー像に重ね合わせ得るタイミングで回転駆動を開始して記録シートを二次転写ニップに向けて送り出す。二次転写ニップ内では、二次転写電界やニップ圧の作用により、中間転写ベルト10上の四色重ね合わせトナー像が記録シートに二次転写されてフルカラー画像になる。
【0021】
二次転写ニップを通過した記録シートは、定着装置25に送られてその表面にフルカラー画像が定着せしめられる。定着装置25を通過して温度上昇した記録シートは、冷却装置26に送られて冷却され、その後、排出ローラ対56を経由して機外へと排出された後、排紙トレイ57上にスタックされる。
【0022】
なお、記録シートの両面に画像を形成する両面プリントモードにおいて、両面のうち、第1面だけにトナー像が定着せしめられた状態の記録シートは、冷却装置26を通過した後、排出ローラ対56ではなく、再送装置28に送られる。そして、記録シートは、再送装置28によって裏表を反転されながら給紙路48に再送される。その後、記録シートは、給紙路48から2次転写ニップに送られてその第2面にも4色重ね合わせトナー像が2次転写された後、定着装置25と排出ローラ対56とを経由して機外へと排出される。
【0023】
二次転写ニップを通過した中間転写ベルト10は、ベルトクリーニング装置17により、表面に付着している転写残トナーが除去された後、再びY、M、C、K用の1次転写ニップに進入する。ベルトクリーニング装置17内に収容されたトナーは、搬送手段によって廃トナーボトルに回収される。
【0024】
また、本実施形態には、定着装置25に搬送される記録シートの種類を検知するための光学センサである紙種センサ102が設けられている。紙種センサ102は、給紙部から定着装置25に至る記録シートの搬送経路中に設置した紙厚センサや紙サイズセンサを用いることができる。
【0025】
図2は、本実施形態における定着装置25を示す模式図である。
図2に示すように、定着装置25は、加熱部材としての定着ベルト25aと、加熱ローラ25bと、定着ローラ25cと、加熱ローラ25bに設けられる加熱手段としての定着ヒータ25dとを備える。また、定着装置25は、加圧部材としての加圧ローラ25eと、加圧ローラ25eに設けられる加熱手段としての加圧ヒータ25fと、加圧ローラ25eを冷却するための加圧ローラファン25gとを備える。更に、定着装置25は、定着温度検知手段としての加熱ローラ温度センサ25h、定着ローラ温度センサ25i及び加圧ローラ温度センサ25jを備える。温度センサ25h,25i,25jのうち、少なくとも定着ローラ温度センサ25iは、センサ自身の温度(補償温度)を測定する機能を有している。
【0026】
定着ローラ25c及び加熱ローラ25bには、定着ベルト25aが一定のテンションで架け渡されている。定着ベルト25aは、無端状ベルトであり、例えばニッケル、ステンレス、ポリイミドなどの基材にシリコーンゴム層(300~500μm)などの弾性層を形成した2層構造となっている。定着ローラ25cは、金属の芯金にシリコーンゴムを形成した構成となっている。加熱ローラ25bは、アルミニウム又は鉄の中空ローラであり、内部には定着ヒータ25dが設けられている。
【0027】
定着ベルト25aの温度制御は、加熱ローラ25bの定着ヒータ25dへの通電をオンオフ制御することにより行われる。なお、定着装置25における加熱手段は、ヒータ25d,25fに限らず、ランプ、電磁誘導式の加熱装置(IHヒータ)など、温度制御可能な他の加熱手段であってもよい。
【0028】
加圧ローラ25eは、定着ベルト25aの下側に位置し、定着ローラ25cに巻き付いている部分の定着ベルト25aに対して回転自在に圧接する。加圧ローラ25eは、アルミニウム又は鉄の中空ローラであり、内部には加圧ヒータ25fが設けられている。加圧ローラ25eの温度制御は、加圧ローラ25eの加圧ヒータ25fへの通電をオンオフ制御することにより行われる。
【0029】
加圧ローラ25eの加圧力は、加圧ローラ25eの軸部を定着ローラ25c側へ付勢する付勢手段としての加圧スプリングによって付与される。加圧カムの回転角を変更することにより加圧スプリングを支持する支持部材を変位させることで、加圧スプリングの圧縮量を変更することができる。したがって、加圧カムの回転角を制御することで、加圧スプリングによる付勢力を変更して加圧ローラ25eの加圧力(定着ニップのニップ圧)を変更することができる。
【0030】
加圧ローラ25eと定着ベルト25aとの圧接によって定着ニップが形成され、この定着ニップを記録シートSが通過することにより、記録シートS上のトナー像が熱と圧力とによって記録シートSに定着される。
【0031】
図3は、本実施形態における冷却装置26を示す模式図である。
図3に示すように、冷却装置26は、ヒートパイプ26aの吸熱部26b(記録シートSを冷却する冷却部)が定着後の記録シートSに接触するように配置され、ヒートパイプ26aの放熱部26cが吸熱部26bから記録シートSの側方まで延出するように配置される。冷却装置26が定着装置25の内部に配置される場合、ヒートパイプ26aの放熱部26cは定着装置25の外部に露出するように配置するのがよい。この冷却装置26には、冷却温度検知手段としての冷却装置温度センサ26hが備わっている。
【0032】
図3の冷却装置26では、ヒートパイプ26aの放熱部26cに放熱フィン26dが設置されている。この放熱フィン26dに送風手段であるファン26eにより空気を吹き付けて空冷することにより、ヒートパイプ26aの吸熱部26bの温度を下げるように調整して冷却効率を上げることができる。
【0033】
また、周囲の影響を受けないようにする目的、あるいは、冷却効率を上げる目的で、ヒートパイプ26aの放熱部26c及び放熱フィン26dは、必要に応じてファン26eと一緒に、ダクト内に収容されてもよい。ダクトは、機外の空気をダクト内に吸気する吸気口と、ダクト内の空気を機外へ排気する排気口が備えられる。
【0034】
なお、冷却装置26の構成は、冷却部材によって記録シートSを冷却できるもので、その冷却部材の温度を制御可能なものであれば、他の構成、方式を採用してもよい。
【0035】
冷却装置の他の構成は、例えば、図4に示すようなものであってもよい。この冷却装置27は、冷却部材(吸熱部材)である冷却ローラ27aと、冷却ローラ27aに当接して冷却ニップを形成する搬送ベルト27bとを備える。また、冷却装置27は、搬送ベルト27bを張架する2つの支持ローラ27c,27dと、冷却ローラ27aのシート搬送方向上流側と下流側に配置されるガイドローラ27e,27fと、冷却温度検知手段としての冷却装置温度センサ27hとを備える。
【0036】
図4の冷却装置27は、吸熱部材冷却手段として、水などの液体あるいは気体からなる冷媒(本実施形態では冷却水を用いる)を循環させて冷却ローラ27aを冷却する液冷(水冷)タイプのものを使用する。冷却ローラ27aの温度制御は、チラー(冷却水循環装置)27gにより、循環する冷却水を冷凍機で温度調整することにより行われる。
【0037】
また、冷却装置の更に他の構成は、例えば、図5に示すように、定着後の記録シートSに近接して配置される吸熱部材としての2枚の板金29a,29bを、冷却部材として用いるものであってもよい。図5に示す冷却装置29において、2枚の板金29a,29bには、板金を冷却するためのヒートシンク29cが設置されている。このヒートシンク29cに送風手段であるファン29dにより空気を吹き付けて空冷することにより、2枚の板金29a,29bの温度を下げるように調整して冷却効率を上げることができる。この構成においても、冷却温度検知手段としての冷却装置温度センサ29hが備わっている。
【0038】
図5に示す冷却装置29では、定着装置25を通過して搬送されてきた記録シートSは、シート搬送経路を形成する板金29a,29bに近接、接触しながら搬送されることで、温度が低下する。記録シートSの通過により昇温した板金29a,29bは、ヒートシンク29cから放熱され、記録シートSの冷却効果を保持するように設計される。
【0039】
次に、本実施形態における定着装置25及び冷却装置26の温度制御について説明する。
図6は、本実施形態における定着装置25及び冷却装置26の温度制御に関する制御ブロック図である。
本実施形態における温度制御は、定着温度制御手段及び冷却温度制御手段としての紙物性推定部110及び温度制御部120によって実施される。
【0040】
紙物性推定部110には、プリンタ制御部130から、印刷ジョブ情報(印刷モード、画像情報、印刷枚数など)が入力される。また、紙物性推定部110には、本プリンタ100の定着装置25に設置された各種温度センサ25h,25i,25jのうちの少なくとも1つの温度センサの検知結果(通紙のときの定着装置25の温度情報)も入力される。また、紙物性推定部110には、本プリンタ100の冷却装置26に設置された温度センサ26hの検知結果(通紙のときの冷却装置26の温度情報)も入力される。また、紙種センサ102からの検知結果を入力してもよい。紙物性推定部110は、これらの入力情報に基づいて、記録シートSの物性値(物性情報)を推定する。
【0041】
紙物性推定部110が推定する記録シートSの物性値は、定着後の記録シートSの温度あるいは冷却後の記録シートSの温度に関係性のある物性の情報であり、具体的には、記録シートSの坪量、紙厚、銘柄(紙種)、平滑度などが挙げられる。
【0042】
本実施形態において、紙物性推定部110は、所定の推定プログラムをコンピュータで実行することにより、記録シートSの物性値を推定するものであり、この推定プログラムには、いわゆる機械学習によって作成された学習済みモデルが用いられる。この推定プログラム(学習済みモデル)の詳細については後述する。
【0043】
温度制御部120は、紙物性推定部110が推定した記録シートSの物性値から定着補正温度を算出し、定着装置25の温度が当該定着補正温度以下になるように定着装置25の温度を制御するとともに、これに合わせて冷却装置26の温度も制御する。具体的には、定着装置25の温度制御は、定着設定温度(目標定着温度)を変更して定着ヒータ25dの温度を制御することにより行う。また、冷却装置26の温度制御は、ヒートパイプ26aの放熱部26cに設けられる放熱フィン26dを送風するファン26eの風量(回転数)を制御することにより行う。
【0044】
なお、定着装置25の温度制御は、加圧ローラ25eの温度を制御することにより行ってもよい。記録シートSの定着後温度が高すぎると、定着装置25のシート搬送方向下流側における搬送部材等にトナーが付着するホットオフセットや、排紙トレイ57上にスタックされた後に後続の記録シートとくっ付いてしまうブロッキングなどの不具合が発生する。したがって、定着直後の記録シートSの温度が高い場合には、記録シートSに直接接触(未定着トナー像を介さずに接触)する加圧ローラ25eの温度を制御することが好ましい。
【0045】
ただし、冷却装置26の温度を常に最大冷却能力で冷却することは、省エネルギーの観点から好ましくなく、またファン26eの騒音の観点からも好ましくない。したがって、冷却装置26の温度を適切な温度範囲内に制御すること(すなわち、冷却能力を適切な範囲内に制御すること)が求められる。
【0046】
また、冷却装置26の温度を適切な温度範囲内に制御していても、記録シートSの定着後温度が必要以上に高いと、冷却装置26を高い冷却能力で稼働させる必要が生じ、省エネルギーの観点から好ましくなく、またファン26eの騒音の観点からも好ましくない。本実施形態においては、記録シートSの物性値(物性情報)を高精度に推定して、定着装置25の温度が安定して記録シートSの物性値に適合する定着補正温度以下になるように制御されるため、冷却装置26を高い冷却能力で稼働させる事態が抑制できる。したがって、省エネルギーの観点、ファン26eの騒音の観点からも好ましい。
【0047】
なお、記録シートSの定着後温度を検知する新たな温度センサを設ければ、記録シートSの定着後温度を直接的に取得できる。これによれば、紙物性推定部110により記録シートSの物性値を推定して当該記録シートSに適合する定着補正温度を算出することなく、定着装置25の温度を高精度に制御することが可能であり、冷却装置26の温度を適切に制御することが可能である。
【0048】
しかしながら、このような温度センサを新たに配置することは、一般に、部品点数の削減、省スペース化に反し、高コスト化、大型化を招く。しかも、定着直後の記録シートSの温度を温度センサで検知しようとすると、定着装置25からの熱の影響でシート温度を高精度に検知することが難しい。また、本実施形態では、冷却装置26のシート搬送方向下流側は、すぐに排出ローラ対56への搬送路と再送装置28への搬送路との分岐があることから、温度センサを設置する適切なスペースを確保できない。
【0049】
そこで、本実施形態においては、紙物性推定部110により記録シートSの物性値を高精度に推定し、その推定結果に基づいて定着装置25の温度を制御するとともに、冷却装置26の温度を制御する。
【0050】
図7は、本実施形態における定着装置25及び冷却装置26の温度制御の流れを示すフローチャートである。
まず、本プリンタ100に印刷ジョブが入力されると、プリンタ制御部130は、入力された印刷ジョブ情報(印刷モード、印刷する画像情報、印刷枚数など)を受信する(S1)。印刷モードは、例えば、紙厚カテゴリー(普通紙、中厚口、厚紙など)の選択情報などが含まれる。また、画像情報には、印刷する画像データのほか、フルカラーかモノクロ、光沢設定、画質優先、速度優先などの設定データも含まれる。
【0051】
プリンタ制御部130は、入力された印刷ジョブ情報に含まれる印刷モードや画像情報に基づいて、通紙モード(定着設定温度、印刷速度など)を決定し(S2)、定着装置25の温度センサが定着可能温度に到達すると、印刷を開始する(S3)。具体的には、例えば、記録シートSの銘柄がPODグロスコート紙128g/mである場合、印刷モードは普通紙モードとなるので、定着設定温度(加熱ローラ温度センサ25hの目標温度)は160℃に決定され、印刷速度は、1分間に80枚(A4横通紙)を印刷できるように、350mm/sに決定される。
【0052】
一方で、紙物性推定部110は、プリンタ制御部130から印刷速度情報を入手する。また、紙物性推定部110は、定着装置25に設置された温度センサ25h,25i,25jから、通紙のときの温度検知結果(通紙のときの定着装置25の温度情報)を入手する。また、紙物性推定部110は、冷却装置26に設置された温度センサ26hから、通紙のときの温度検知結果(通紙のときの冷却装置26の温度情報)を入手する。そして、紙物性推定部110は、これらの情報に基づいて、記録シートSの物性値を推定(予測)し(S4)、その推定した記録シートSの物性値(物性情報)を温度制御部120へ送る。
【0053】
温度制御部120は、紙物性推定部110から入力される記録シートSの物性値(物性情報)から、トナーを適切に定着できる好適な定着補正温度を算出する(S5)。この定着補正温度の算出は、記録シート所定枚数ごと(例えば1枚ごと)に繰り返し行う。そして、このように算出した定着補正温度が現在の定着設定温度を超えていると判定したら(S6のNo)、定着設定温度を、算出した定着補正温度に変更する処理を行う(S7)。その後、この変更に伴い、冷却装置26のファン26eを最適風量となるように変更する処理行う(S8)。
【0054】
一方で、処理ステップS6において、算出した定着補正温度が現在の定着設定温度以下であると判定したら(S6のYes)、定着設定温度を変更しない(S9)。なぜなら、現在の定着設定温度は、印刷ジョブ情報に含まれる紙厚カテゴリーによって設定されているため、推定された物性値が現在の定着設定温度より高くすると、トナーのホットオフセットや排紙トレイ上でのブロッキングが悪化するおそれがあるためである。もちろん、このようなおそれが許容される場合には、算出した定着補正温度が現在の定着設定温度以下であるときも、定着設定温度を、算出した定着補正温度に変更する処理を行ってもよく、この変更に伴い、冷却装置26のファン26eを最適風量となるように変更してもよい。
【0055】
本実施形態では、以上の処理を印刷ジョブが終了するまで継続する(S10)。
【0056】
具体例を挙げて説明すると、紙物性推定部110が推定した記録シートSの物性値が、例えば、坪量については130g/mであると推定され、紙厚については140μmであると推定され、平滑度については800sと推定された場合、これらの物性値から算出される定着補正温度は、例えば155℃となる。この場合、現在の定着設定温度が160℃であるときには、その定着設定温度を155℃に変更し、冷却装置26のファン26eを駆動する駆動信号のデューティを80%から70%に引き下げる。
【0057】
次に、紙物性推定部110における記録シートSの物性値(物性情報)を推定する推定処理について説明する。
本実施形態の紙物性推定部110は、機械学習により最適化されたモデル(学習済みモデル)からなる推定プログラムをコンピュータにより実行することによって、記録シートSの物性値を推定する。ただし、紙物性推定部110は、これに限らず、他の方法(人間がプログラミングしたコンピュータプログラムを用いる方法)によって記録シートSの物性情報を推定してもよい。ただし、記録シートSの物性情報に影響を与える要因は、多岐にわたっており、しかも相互に影響し合う要因であることが多い。そのため、機械学習により作成した推定プログラム(学習済みモデル)を用いる方が、より高い確度の推定に有利である。
【0058】
また、記録シートSの物性情報の推定は、学習済みモデルによるプログラムや人間がプログラミングしたプログラムによる演算により算出する方法に限らず、当該プログラムの入力と出力との対応関係を記述したテーブルを用いる方法でもよい。例えば、作成した学習済みモデルの入力(定着装置25の温度センサ25h,25i,25jの情報、冷却装置の温度センサ26hの情報、印刷速度情報など)と、出力(記録シートSの物性情報としての坪量、厚さ、平滑度、銘柄など)との関係を記述したテーブルを予め記憶部に保存しておく。そして、そのテーブルを参照して、入力値から出力値が得られるようにする。ただし、記録シートSの物性情報を高精度に得ようとすると、テーブルに記述する入力と出力の組み合わせの数が膨大になってしまい、テーブル作成の困難などの不具合もあるため、その点は、これを防止するように数を適正にすることに留意する。
【0059】
紙物性推定部110において用いられる推定プログラムとしての学習済みモデルの作成方法について説明する。
なお、ここでは、コンピュータ装置に実行されるプログラムを例に挙げて説明するが、これは一例であり、電子演算等ができる機器等に実行されるプログラムであれば、これに限らない。また、当該コンピュータ装置や当該機器等は、画像形成装置の内部でも外部でも、どちらに備わっていてもよい。
【0060】
本実施形態における学習済みモデルは、定着装置25の温度センサ25h,25i,25jの情報と、冷却装置26の温度センサ26hの情報と、印刷速度情報とから、記録シートSの物性情報(坪量、厚さ、平滑度、銘柄)を推定する。なお、印刷速度情報は、画像形成装置の印刷速度が一定である場合には必須ではない。
【0061】
このような学習済みモデルの作成方法は、例えば、物性情報が既知である学習対象の記録シートを通紙して、プリンタ100で得られる上述した各種情報を入力値とし、当該記録シートの既知の物性情報を正解ラベルとした学習用データを多数作成する。そして、これらの学習用データを含んで構成される学習用データセットを用いて、教師あり学習によりモデルに学習をさせることにより、上述した学習済みモデルを生成する。
【0062】
学習用データは、多数の種類の記録シートSを単一のプリンタ100により繰り返し通紙して収集してもよい。また、学習用データは、同一機種である多数のプリンタ100から収集してもよく、その場合、市場に出回ってユーザーにより使用されている多数のプリンタ100からネットワークを介して収集してもよい。
【0063】
本実施形態では、ニューラルネットワークと呼ばれる数理モデルを用いて学習用データを入力して学習を行い、記録シートSの物性情報を推定する最適なモデル(学習済みモデル)を算出する。機械学習では、入力データに対する出力が最適になるように、アルゴリズムが自動的にモデルのパラメータを決定する。
【0064】
ここで、本実施形態における推定対象となる記録シートSの物性情報(坪量、厚さ、平滑度)は、記録シートSの温度関連物性、具体的には、記録シートSの表面性、材質、坪量、熱伝導率等の物性値、水分含有量などの環境依存値などによって、大きく影響される。これは、図8に示すように、記録シートSの銘柄の違いによって、定着温度の目標値(最適な定着温度)が異なっていることからも理解される。例えば、コート紙は、普通紙に比べて表面の粗さが小さく、アンカー効果が得られにくいため、トナーをシートに定着させるにはより多くの熱量が必要になる。また、合成紙やメタリック紙、プラスチックメディアについても、表面粗さが小さく、より多くの熱量が必要になる。同様に、表層材質、熱伝導率などの違いによっても、トナーを定着させるのに必要な熱量には差が発生する。
【0065】
また、同じ定着温度の目標値、同じ坪量の記録シートであっても、記録シートの平滑度によって定着後温度は異なる。なぜなら、定着ベルトの温度が同じでも、平滑度が異なれば定着ベルトと記録シートとの接触面積が異なり、伝熱量も異なるためである。そのため、記録シートSの種類に応じて定着温度の目標値(定着設定温度)が変更されたり、同じ定着温度の目標値でも記録シートの平滑度が異なっていたりする場合は、冷却後の記録シートSの温度も変わってくる。
【0066】
以上のことは、記録シートSの種類の違い(物性情報の違い)によって、定着装置25の温度が変わり、冷却装置26の温度が変わることを意味する。したがって、定着装置25の温度及び冷却装置26の温度を含む学習用データを用いて機械学習を行うことで、記録シートSの物性情報を高い確度で推定可能な学習済みモデルを得ることができる。
【0067】
以下、記録シートSの物性情報を推定する学習済みモデルの実施例を示す。
表1は、学習済みモデルの作成に用いたデータの一部を示している。なお、表1に示すように、No.1~No.24のデータは、学習済みモデルの作成のための学習用データ(トレーニングデータ)として用いたデータであり、No.25~No.30のデータは、検証用データ(テストデータ)として用いたデータである。
【0068】
【表1】
【0069】
本実験例では、本実施形態のプリンタと同機種の実験装置で測定された温度を使用して紙物性値を予測するために、図9に示すような人工ニューラルネットワーク(ANN)による機械学習モデルを構築した。このモデルは、相互に接続された多数のニューロンで構成されており、最初の層は入力層、最後の層は出力層、中間層は隠れ層と呼ばれる。入力情報は、人工ニューラルネットワークを介して前方に伝播される。モデルの精度を評価する際には、平均二乗誤差(MSE)を用い、決定係数Rを用いて、実測値に対する予測値の誤差を評価した。
【0070】
紙物性予測モデルを構築する際には、加熱ローラ温度センサ25h、定着ローラ温度センサ25i、加圧ローラ温度センサ25j、冷却装置温度センサ26h、線速を入力層に入力し、紙物性値(坪量、厚さ、平滑度)を出力層に入力して学習させて紙物性予測モデルを構築する。紙物性を予測する際には、紙物性予測モデルに加熱ローラ温度センサ25h、定着ローラ温度センサ25i、加圧ローラ温度センサ25j、冷却装置温度センサ26h、線速を入力層に入力し、予測された紙物性値(坪量、厚さ、平滑度)を得る。
【0071】
図10(a)~(c)は、本実施例において作成した学習済みモデルに、No.25~No.30の検証用データ(テストデータ)をそれぞれ入力したときの出力結果(推定結果)をプロットしたグラフである。
【0072】
図10(a)は、横軸に記録シートSの坪量の出力結果(推定結果)をとり、縦軸に記録シートSの既知の坪量をとったもので、同グラフ中の直線に近いプロットほど推定精度(確度)が高いことをしている。図10(a)に示すように、実施例の学習済モデルによれば、No.25~No.30のいずれの記録シートSについても、記録シートSが通過するときの定着装置25の温度(温度センサ25h,25i,25jの出力値)と、記録シートSが通過するときの冷却装置26の温度(温度センサ26hの出力値)と、線速情報(記録シートSの搬送速度:印刷速度情報)とに基づいて、当該記録シートSの物性情報としての坪量を高い確度で推定することができている。
【0073】
図10(b)は、横軸に記録シートSの厚みの出力結果(推定結果)をとり、縦軸に記録シートSの既知の厚みをとったもので、同グラフ中の直線に近いプロットほど推定精度(確度)が高いことをしている。図10(b)に示すように、実施例の学習済モデルによれば、No.25~No.30のいずれの記録シートSについても、記録シートSが通過するときの定着装置25の温度(温度センサ25h,25i,25jの出力値)と、記録シートSが通過するときの冷却装置26の温度(温度センサ26hの出力値)と、線速情報(記録シートSの搬送速度:印刷速度情報)とに基づいて、当該記録シートSの物性情報としての厚みを高い確度で推定することができている。
【0074】
図10(c)は、横軸に記録シートSの平滑度の出力結果(推定結果)をとり、縦軸に記録シートSの既知の平滑度をとったもので、同グラフ中の直線に近いプロットほど推定精度(確度)が高いことをしている。図10(c)に示すように、実施例の学習済モデルによれば、No.25~No.30のうちの1つの記録シートSを除き、記録シートSが通過するときの定着装置25の温度(温度センサ25h,25i,25jの出力値)と、記録シートSが通過するときの冷却装置26の温度(温度センサ26hの出力値)と、線速情報(記録シートSの搬送速度:印刷速度情報)とに基づいて、当該記録シートSの物性情報としての平滑度を高い確度で推定することができている。
【0075】
図11(a)は、定着装置25の温度(温度センサ25h,25i,25jの出力値)、記録紙の物性情報(坪量、厚さ、平滑度)を含む入力値から排紙部の温度(排紙トレイ57に排紙されたときの記録シートSの温度)を推定する既存の推定プログラムを用いて、排紙部の温度をプロットしたグラフである。図11(a)乃至(c)のグラフは、横軸に前記既知の推定プログラムによる排紙部温度の推定結果をとり、縦軸に排紙部温度の実測値をとったもので、同グラフ中の実線に近いプロットほど推定精度(確度)が高く、同グラフ中の破線で示す範囲は推定結果の精度を示している。
【0076】
図11(a)は、本実施例の学習済みモデルを用いて推定した記録シートSの物性情報(坪量、厚み、平滑度)の推定結果を入力したときの排紙部温度の推定結果をプロットしたものである。図11(b)は、記録シートSについての物性値情報を入力しなかったときの排紙部温度の推定結果をプロットしたものである。図11(c)は、図11(a)と同じ記録シートSについての物性情報を実測したときの実測結果を入力したときの排紙部温度の推定結果をプロットしたものである。これらのグラフを比較すると、排紙部温度の推定精度は、記録シートSの物性情報として本実施例の学習済みモデルを用いて推定結果を用いた場合は、物性情報を入力しなかった場合よりも優れており、また、記録シートSの物性情報として実測値を用いた場合と同程度の高い精度が得られている。
【0077】
図12(a)は、定着設定温度を120℃とし、45K紙を500枚連続通紙したときの冷却装置温度センサ26h、加熱ローラ温度センサ25h、定着ローラ温度センサ25i、加圧ローラ温度センサ25jの温度プロファイルである。
図12(b)は、定着設定温度を120℃とし、70K紙を500枚連続通紙したときの冷却装置温度センサ26h、加熱ローラ温度センサ25h、定着ローラ温度センサ25i、加圧ローラ温度センサ25jの温度プロファイルである。
図12(c)は、定着設定温度を160℃とし、45K紙を500枚連続通紙したときの冷却装置温度センサ26h、加熱ローラ温度センサ25h、定着ローラ温度センサ25i、加圧ローラ温度センサ25jの温度プロファイルである。
図12(d)は、定着設定温度を160℃とし、70K紙を500枚連続通紙したときの冷却装置温度センサ26h、加熱ローラ温度センサ25h、定着ローラ温度センサ25i、加圧ローラ温度センサ25jの温度プロファイルである。
【0078】
45K紙と70K紙は平滑度がほぼ同じ記録シートであるが、坪量が異なるため、紙の熱容量が異なっている。そのため、記録シートの厚みが薄いほど、記録シートの温度が高くなり、45K紙の方が70K紙よりも冷却装置26の温度(ヒートパイプ26aの温度)が高くなっている。また、定着ローラ25cから定着ベルト25aを介して加圧ローラ25eへの伝熱量も、記録シートの厚みが薄いほど増えるため、加圧ローラ25eの温度は、記録シートの厚みが薄いほど高くなる。その結果、45K紙の方が70K紙よりも加圧ローラ25eの温度が高くなっている。本実施形態における記録シートの物性情報を推定する学習済みモデルは、このような冷却装置26の温度や定着装置25の温度(加圧ローラ温度)の違いを、坪量の差、紙厚の差に反映して推定処理をしていると考えられる。
【0079】
図13(a)は、定着設定温度を120℃とし、PODグロスコート100紙を500枚連続通紙したときの冷却装置温度センサ26h、加熱ローラ温度センサ25h、定着ローラ温度センサ25i、加圧ローラ温度センサ25jの温度プロファイルである。
図13(b)は、定着設定温度を120℃とし、90K紙を500枚連続通紙したときの冷却装置温度センサ26h、加熱ローラ温度センサ25h、定着ローラ温度センサ25i、加圧ローラ温度センサ25jの温度プロファイルである。
図13(c)は、定着設定温度を160℃とし、PODグロスコート100紙を500枚連続通紙したときの冷却装置温度センサ26h、加熱ローラ温度センサ25h、定着ローラ温度センサ25i、加圧ローラ温度センサ25jの温度プロファイルである。
図13(d)は、定着設定温度を160℃とし、90K紙を500枚連続通紙したときの冷却装置温度センサ26h、加熱ローラ温度センサ25h、定着ローラ温度センサ25i、加圧ローラ温度センサ25jの温度プロファイルである。
【0080】
PODグロスコート100紙と90K紙は坪量がほぼ同じ記録シートであるが、平滑度が異なっている。この場合、紙の熱容量がほぼ同じだが、表面粗さの違いによって定着装置25の定着ベルト25aや冷却装置26のヒートパイプ26aとの接触熱抵抗が異なる。そのため、記録シートの平滑度が高いほど、記録シートの温度が高くなり、PODグロスコート100紙の方が90K紙よりも冷却装置26の温度(ヒートパイプ26aの温度)が高くなっている。ただし、定着ローラ25cから定着ベルト25aを介して加圧ローラ25eへの伝熱量は、記録シートの厚みがほぼ同じであるため、加圧ローラ25eの温度には違いが出ていない。本実施形態における記録シートの物性情報を推定する学習済みモデルは、このように冷却装置26の温度が違い、定着装置25の温度(加圧ローラ温度)が同一であることを、平滑度の差に反映して推定処理をしていると考えられる。
【0081】
なお、参考までに、普通紙とコート紙の表面性の差異を、図14に示す。
【0082】
以上に説明したものは一例であり、次の態様毎に特有の効果を奏する。
[第1態様]
第1態様は、画像が形成された記録シートSに該画像を加熱定着させる定着手段(例えば定着装置25)と、前記定着手段の温度を制御する定着温度制御手段(例えば、紙物性推定部110、温度制御部120)とを有する画像形成装置(例えばプリンタ100)であって、前記定着手段による定着後の記録シートを冷却する冷却手段(例えば冷却装置26)と、前記記録シートが前記定着手段を通過するときの該定着手段の温度を検知する定着温度検知手段(例えば、加熱ローラ温度センサ25h、定着ローラ温度センサ25i、加圧ローラ温度センサ25j)と、前記記録シートが前記冷却手段を通過するときの該冷却手段の温度を検知する冷却温度検知手段(冷却装置温度センサ26h)とを有し、前記定着温度制御手段は、前記定着温度検知手段及び前記冷却温度検知手段の検知結果に基づいて、前記定着手段の温度を制御することを特徴とするものである。
従来の画像形成装置では、印刷される前の用紙(記録シート)の厚さ、坪量、表面性を各種センサにより測定(検知)した結果に基づいて当該用紙の紙種情報を判別し、その判別結果に対応する印刷条件により当該用紙への印刷を実行する。しかしながら、このように印刷前の用紙の厚さ、坪量、表面性という物性情報をセンサによって直接的に得る方法では、センサの測定バラツキ、同一種類間における用紙の個体差などが原因で、センサの検知出力から記録シートの物性情報を高い精度で得ることが難しい。そのため、機械学習によって作成された学習済みモデルである紙種判別エンジンを用いても、このように精度の低いセンサの検知出力を入力としているため、紙種情報の判別結果を高い精度で得ることが困難である。その結果、印刷対象となる記録シートの種類に適合した印刷条件によって印刷を実行できないケースが起こり得る。特に、定着手段の温度を用紙に適合する温度となるように制御しようとする場合、用紙の紙種情報の判別結果の精度が悪いと、定着手段の温度が用紙に適合せず、定着温度が高すぎて用紙のブロッキングが発生したり、定着温度が低すぎて定着不良が発生したりするなどの不具合が起こりやすい。
本発明者らは、研究の結果、記録シート通過の際の定着手段の温度の検知結果と、定着後の記録シートを冷却する冷却手段の記録シート通過の際の温度の検知結果とを用いて、記録シートの物性情報を精度よく推定できるという知見を得た。より詳しくは、これらの検知結果を用いることで、当該記録シートに適した定着手段の温度に関わる記録シートの物性情報を高精度に推定できるという知見を得た。この結果、定着温度検知手段及び冷却温度検知手段の検知結果に基づいて定着手段の温度を制御するという本態様によれば、画像形成される記録シートに適合した温度となるように定着手段の温度を精度よく制御することができ、上述した不具合を解消することが可能となる。
【0083】
[第2態様]
第2態様は、第1態様において、前記冷却手段の温度を調整する冷却温度制御手段(例えば、紙物性推定部110、温度制御部120)を有し、前記冷却温度制御手段は、前記定着温度検知手段及び前記冷却温度検知手段の検知結果に基づいて、前記冷却手段の温度を制御することを特徴とするものである。
冷却手段の温度を記録シートに適合する温度となるように制御しようとする場合、記録シートの物性情報の判別精度が悪いと、冷却手段の温度が記録シートに適合せず、冷却装置の温度が高すぎて用紙のブロッキングが発生したり、冷却装置の温度が低すぎて省エネルギー化に反したり騒音が発生したりするなどの不具合が起こりやすい。
上述したとおり、記録シート通過の際の定着手段の温度の検知結果と、定着後の記録シートを冷却する冷却手段の記録シート通過の際の温度の検知結果とを用いて、記録シの物性情報を精度よく推定できるという知見を得た。この結果、定着温度検知手段及び冷却温度検知手段の検知結果に基づいて冷却手段の温度を制御するという本態様によれば、画像形成される記録シートに適合した温度となるように冷却手段の温度を精度よく制御することができ、上述した不具合を解消することが可能となる。
【0084】
[第3態様]
第3態様は、画像が形成された記録シートに該画像を加熱定着させる定着手段(例えば定着装置25)と、前記定着手段による定着後の記録シートを冷却する冷却手段(例えば冷却装置26)と、前記冷却手段の温度を調整する冷却温度制御手段(例えば、紙物性推定部110、温度制御部120)とを有する画像形成装置(例えばプリンタ100)であって、前記記録シートが前記定着手段を通過するときの該定着手段の温度を検知する定着温度検知手段(例えば、加熱ローラ温度センサ25h、定着ローラ温度センサ25i、加圧ローラ温度センサ25j)と、前記記録シートが前記冷却手段を通過するときの該冷却手段の温度を検知する冷却温度検知手段(冷却装置温度センサ26h)とを有し、前記冷却温度制御手段は、前記定着温度検知手段及び前記冷却温度検知手段の検知結果に基づいて、前記冷却手段の温度を制御することを特徴とするものである。
冷却手段の温度を記録シートに適合する温度となるように制御しようとする場合、記録シートの物性情報の判別精度が悪いと、冷却手段の温度が記録シートに適合せず、冷却装置の温度が高すぎて用紙のブロッキングが発生したり、冷却装置の温度が低すぎて省エネルギー化に反したり騒音が発生したりするなどの不具合が起こりやすい。
上述したとおり、記録シート通過の際の定着手段の温度の検知結果と、定着後の記録シートを冷却する冷却手段の記録シート通過の際温度の検知結果とを用いて、記録シートの物性情報を精度よく推定できるという知見を得た。この結果、定着温度検知手段及び冷却温度検知手段の検知結果に基づいて冷却手段の温度を制御するという本態様によれば、画像形成される記録シートに適合した温度となるように冷却手段の温度を精度よく制御することができ、上述した不具合を解消することが可能となる。
【0085】
[第4態様]
第4態様は、第2又は第3態様のいずれかにおいて、前記冷却手段は、通過する記録シートから吸熱する吸熱部材(例えば、ヒートパイプ26a、冷却ローラ27a、板金29a,29b)と、該吸熱部材を空冷又は液冷する冷却部材(例えば、放熱フィン26d及びファン26e、チラー27g、ヒートシンク29c及びファン29d)とを含み、前記冷却温度制御手段は、前記冷却部材の冷却能力を制御して前記冷却手段の温度を制御することを特徴とするものである。
これによれば、冷却手段の温度制御が容易である。
【0086】
[第5態様]
第5態様は、第4態様において、前記吸熱部材は、ヒートパイプであることを特徴とするものである。
これによれば、記録シートを高い冷却能力で冷却することが可能である。
【0087】
[第6態様]
第6態様は、第4態様において、前記吸熱部材は、通過する記録シートをガイドするガイド部材であることを特徴とするものである。
これによれば、比較的簡易な構成で記録シートを冷却できる。
【0088】
[第7態様]
画像が形成された記録シートに該画像を加熱定着させる定着手段(例えば定着装置25)と、前記定着手段による定着後の記録シートを冷却する冷却手段(例えば冷却装置26)とを備える画像形成装置(例えばプリンタ100)によって画像が記録される記録シートの物性情報を推定する推定装置(例えば紙物性推定部110)であって、記録シートが前記定着手段を通過するときの該定着手段の温度情報と、該記録シートが前記冷却手段を通過するときの該冷却手段の温度情報とに基づいて、該記録シートの物性情報の推定を行うことを特徴とするものである。
本態様によれば、上述したとおり、記録シート通過の際の定着手段の温度の検知結果と、定着後の記録シートを冷却する冷却手段の記録シート通過の際の温度の検知結果とを用いて、記録シートの物性情報を精度よく推定できる。
【0089】
[第8態様]
第8態様は、第7態様において、前記物性情報は、記録シートの坪量、厚さ及び平滑度のうちの少なくとも1つであることを特徴とするものである。
これによれば、定着装置の温度や冷却装置の温度を記録シートに適合するように制御するにあたって有用な記録シートの物性情報を得ることができる。
【0090】
[第9態様]
第9態様は、第7又は第8態様において、記録シートの光学特性を検知する光学センサの検知結果にも基づいて、該記録シートの物性情報の推定を行うことを特徴とするものである。
これによれば、より高精度に記録シートの物性情報を得ることができる。
【0091】
[第10態様]
第10態様は、第7乃至第9態様のいずれかにおいて、物性情報が既知である学習対象記録シートが学習対象画像形成装置の定着手段を通過するときの該定着手段の温度情報と、該学習対象記録シートが該学習対象画像形成装置の冷却手段を通過するときの該冷却手段の温度情報とを含む複数の学習用データを用いて学習した推定プログラムを用いて、前記推定を行うことを特徴とするものである。
本態様によれば、記録シートSの物性情報が定着手段の温度及び冷却手段の温度に影響を与える要因が多岐にわたり、その要因が相互に影響し合うような場合であっても、高い確度で記録シートの物性情報の推定が可能となる。
【符号の説明】
【0092】
10 :中間転写ベルト
16 :二次転写対向ローラ
17 :ベルトクリーニング装置
18 :作像ユニット
20 :タンデム画像形成部
21 :光書込装置
22 :二次転写装置
25 :定着装置
25a :定着ベルト
25b :加熱ローラ
25c :定着ローラ
25d :定着ヒータ
25e :加圧ローラ
25f :加圧ヒータ
25g :加圧ローラファン
25h :加熱ローラ温度センサ
25i :定着ローラ温度センサ
25j :加圧ローラ温度センサ
26 :冷却装置
26a :ヒートパイプ
26b :吸熱部
26c :放熱部
26d :放熱フィン
26e :ファン
26h :冷却装置温度センサ
27 :冷却装置
27a :冷却ローラ
27b :搬送ベルト
27c,27d:支持ローラ
27e,27f:ガイドローラ
27g :チラー
27h :冷却装置温度センサ
28 :再送装置
29 :冷却装置
29a,29b:板金
29c :ヒートシンク
29d :ファン
29h :冷却装置温度センサ
40 :感光体
42 :給紙ローラ
49 :レジストローラ対
50 :トナーボトル
56 :排出ローラ対
57 :排紙トレイ
59 :現像装置
60 :帯電装置
61 :ドラムクリーニング装置
62 :一次転写ローラ
100 :プリンタ
110 :紙物性推定部
120 :温度制御部
130 :プリンタ制御部
S :記録シート
【先行技術文献】
【特許文献】
【0093】
【文献】特開2021-060375号公報
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