IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ドクトル・ヨハネス・ハイデンハイン・ゲゼルシヤフト・ミツト・ベシユレンクテル・ハフツングの特許一覧

<>
  • 特許-誘導式角度測定機構 図1
  • 特許-誘導式角度測定機構 図2
  • 特許-誘導式角度測定機構 図3
  • 特許-誘導式角度測定機構 図4
  • 特許-誘導式角度測定機構 図5
  • 特許-誘導式角度測定機構 図6
  • 特許-誘導式角度測定機構 図7
  • 特許-誘導式角度測定機構 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-15
(45)【発行日】2025-01-23
(54)【発明の名称】誘導式角度測定機構
(51)【国際特許分類】
   G01D 5/20 20060101AFI20250116BHJP
【FI】
G01D5/20 110E
【請求項の数】 12
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021017976
(22)【出願日】2021-02-08
(65)【公開番号】P2021173749
(43)【公開日】2021-11-01
【審査請求日】2023-11-10
(31)【優先権主張番号】10 2020 205 202.6
(32)【優先日】2020-04-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390014281
【氏名又は名称】ドクトル・ヨハネス・ハイデンハイン・ゲゼルシヤフト・ミツト・ベシユレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】DR. JOHANNES HEIDENHAIN GESELLSCHAFT MIT BESCHRANKTER HAFTUNG
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100092967
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 修
(74)【代理人】
【識別番号】100220065
【弁理士】
【氏名又は名称】高梨 幸輝
(72)【発明者】
【氏名】マルティン・ホイマン
(72)【発明者】
【氏名】マルク・オリバー・ティーマン
【審査官】大森 努
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第06236199(US,B1)
【文献】特開2011-085504(JP,A)
【文献】特開2006-322927(JP,A)
【文献】特開昭53-069659(JP,A)
【文献】特開2016-125835(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0117980(US,A1)
【文献】特開2018-004630(JP,A)
【文献】特開2010-117169(JP,A)
【文献】国際公開第2008/130002(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/024830(WO,A1)
【文献】国際公開第2011/136054(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 5/00-5/62
G01B 7/00-7/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
走査要素(1)およびスケール要素(2)を備えた誘導式角度測定機構であって、
- 前記スケール要素(2)が、軸(A)の周りを取り巻いている目盛トラック(TS1)を含んでおり、前記目盛トラック(TS1)が複数の導体路群(TG)を有しており、前記導体路群(TG)が、電気的に結合しており、かつ隣接する導体路群(TG)が測定方向(U)に中心間距離(TP)を有するように測定方向(U)に並んで配置されており、
前記導体路群(TG)がそれぞれ、
第1の導体路区間(2.11)、第2の導体路区間(2.12)、第3の導体路区間(2.21)、および第4の導体路区間(2.22)を有しており、前記導体路区間(2.11、2.12;2.21、2.22)が、測定方向(U)を横切って延びており、
前記第1の導体路区間(2.11)と前記第2の導体路区間(2.12)が電気的に相互に結合しており、かつ
前記第3の導体路区間(2.21)と前記第4の導体路区間(2.22)が電気的に相互に結合しており、
1つの導体路群(TG)内では、
前記第1の導体路区間(2.11)が前記第3の導体路区間(2.21)に対向し、および
前記第4の導体路区間(2.22)が前記第2の導体路区間(2.12)に対し、それぞれ測定方向(U)に間隔(d12)をあけてずれて配置されており、
前記間隔(d12)が、4以上の自然数(M)で割った前記中心間距離(TP)に相当し、
- 前記走査要素(1)が、励磁トラック(1.3、1.4)と、少なくとも2つの受信導体路(1.11、1.12、1.13、1.14)を備えた受信トラック(1.1)とを有しており、前記受信導体路(1.11、1.12、1.13、1.14)が、正弦波形で、前記中心間距離(TP)に相当する周期長(PL)をもつ軌道を有している、誘導式角度測定機構。
【請求項2】
請求項1に記載の誘導式角度測定機構であって、前記角度測定機構は、前記走査要素(1)が少なくとも2つの励磁トラック(1.3、1.4)を有しており、前記励磁トラック(1.3、1.4)がそれぞれ少なくとも1つの導体路を含むように構成されており、前記励磁トラック(1.3、1.4)が測定方向(U)に延びており、かつ前記受信トラック(1.1)が前記励磁トラック(1.3、1.4)の間に配置されており、
前記角度測定機構が電子回路をさらに含んでおり、前記電子回路により前記励磁トラック(1.3、1.4)内で励磁電流が生成可能である、誘導式角度測定機構。
【請求項3】
請求項2に記載の誘導式角度測定機構であって、少なくとも2つの励磁トラック(1.3、1.4)内の前記励磁電流が、ある特定の時点で同方向に流れている、誘導式角度測定機構。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の誘導式角度測定であって、前記自然数(M)が6以上である、誘導式角度測定。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の誘導式角度測定機構であって、前記目盛トラック(TS1)が、導体路群(TG)をある個数(N)だけ有しており、かつ前記中心間距離(TP)が、周角を導体路群(TG)の前記個数(N)で割った値に相当する、誘導式角度測定機構。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の誘導式角度測定機構であって、1つの導体路群
(TG)の2つの直接的には隣接していない導体路区間(2.11、2.12;2.21、2.22)の測定方向(U)の間隔(d1122、d2112)が、前記中心間距離(TP)の半分に相当する、誘導式角度測定機構。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の誘導式角度測定機構であって、
前記第1の導体路区間(2.11)および前記第2の導体路区間(2.12)ならびに第1の結合導体路区間(2.13、2.23’)および第2の結合導体路区間(2.14、2.24’)が、第1の導体路(2.1)の区間であり、前記第1の導体路区間(2.11)と第2の導体路区間(2.12)が、前記第1の結合導体路区間(2.13、2.23’)および前記第2の結合導体路区間(2.14、2.24’)により、直列に電気的に相互に結合しており、かつ
前記第3の導体路区間(2.21)および前記第4の導体路区間(2.22)ならびに第3の結合導体路区間(2.23、2.23’)および第4の結合導体路区間(2.24、2.24’)が、第2の導体路(2.2)の区間であり、前記第3の導体路区間(2.21)と前記第4の導体路区間(2.22)が、前記第3の結合導体路区間(2.23、2.23’)および前記第4の結合導体路区間(2.24、2.24’)により、直列に電気的に相互に結合している、誘導式角度測定機構。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の誘導式角度測定機構であって、
前記第1の導体路区間(2.11)および前記第2の導体路区間(2.12)ならびに第1の結合導体路区間(2.13、2.23’)および第2の結合導体路区間(2.14.2.24’)が、第1の導体路(2.1)の区間であり、前記第1の導体路区間(2.11)と第2の導体路区間(2.12)が、前記第1の結合導体路区間(2.13、2.23’)および前記第2の結合導体路区間(2.14、2.24’)により、直列に電気的に相互に結合しており、かつ
前記結合導体路区間(2.13、2.14、2.23、2.24;2.23’、2.24’)が、測定方向(U)に平行な方向成分をもつ方向に延びている、誘導式角度測定機構。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の誘導式角度測定機構であって、
前記第1の導体路区間(2.11)および前記第2の導体路区間(2.12)ならびに第1の結合導体路区間(2.13、2.23’)および第2の結合導体路区間(2.14、2.24’)が、第1の導体路(2.1)の区間であり、前記第1の導体路区間(2.11)と第2の導体路区間(2.12)が、前記第1の結合導体路区間(2.13、2.23’)および前記第2の結合導体路区間(2.14、2.24’)により、直列に電気的に相互に結合しており、かつ
前記結合導体路区間(2.13、2.14、2.23、2.24;2.23’、2.24’)が測定方向(U)において、前記導体路区間(2.11、2.12;2.21、2.22)に対して径方向の内側および径方向の外側に交互に配置されている、誘導式角度測定機構。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載の誘導式角度測定機構であって、4つの導体路区間(2.11、2.12;2.21、2.22)が、測定方向(U)に300μm未満の幅を有している、誘導式角度測定機構。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載の誘導式角度測定機構であって、前記導体路群(TG)がそれぞれ第5の導体路区間(2.31)、第6の導体路区間(2.32)、第7の導体路区間(2.41)、および第8の導体路区間(2.42)を有しており、前記導体路区間(2.31、2.32;2.41、2.42)が、測定方向(U)を横切って延びており、
前記第5の導体路区間(2.31)と前記第6の導体路区間(2.32)が電気的に相互に結合しており、かつ
前記第7の導体路区間(2.41)と前記第8の導体路区間(2.42)が電気的に相互に結合しており、
1つの導体路群(TG)内では、
前記第1の導体路区間(2.11)が前記第5の導体路区間(2.31)に対し、測定方向(U)に間隔(d13)をあけてずれて配置されており、かつ
前記第3の導体路区間(2.21)が前記第7の導体路区間(2.41)に対し、測定方向(U)に間隔(d24)をあけてずれて配置されており、
前記それぞれの間隔(d13、d24)が、6以上の自然数(M)で割った前記中心間距離(TP)に相当する、誘導式角度測定機構。
【請求項12】
請求項11に記載の誘導式角度測定機構であって、前記第1の導体路区間(2.11)と前記第5の導体路区間(2.31)との間の前記間隔(d13)が、前記第3の導体路区間(2.21)と前記第7の導体路区間(2.41)との間の前記間隔(d24)と同じ大きさである、誘導式角度測定機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1に記載の相対角度位置を決定するための誘導式角度測定機構に関する。
【背景技術】
【0002】
誘導式角度測定機構は、例えば2つの互いに対して相対的に回転可能な機械部分の角度位置を決定するための角度測定機器として使用される。誘導式角度測定機構ではしばしば、励磁トラックと、例えば導体路の形態での受信トラックとが、共通のたいていは多層のプリント基板上に施されており、このプリント基板が、例えば角度測定機器の固定子と固定的に結合している。このプリント基板に対向してスケール要素が存在しており、このスケール要素上には目盛構造が施されており、かつスケール要素は角度測定機器の回転子と回転不能に結合されている。励磁トラックに、時間と共に交番する励磁電流が印加されると、受信トラック内で、回転子と固定子の相対回転中に角度位置に依存する信号が生成される。この信号はその後、評価電子機器内でさらに処理される。
【0003】
このような誘導式角度測定機構はしばしば、電気駆動装置のための測定機器として、相応の機械部分の相対運動または相対位置の決定に用いられる。この場合には、後続電子機器の生成された角度位置値が、駆動装置の制御のために、相応のインターフェイス構成を介して供給される。
【0004】
本出願人のEP2329225B1では、平均値を出すことにより、とりわけ第3次の、低くされた高調振動または高調波を有する比較的厳密な測定結果が達成される誘導式角度測定機構が説明されている。
【0005】
EP0909955A2からは、回転子要素に短絡配線を有する誘導式角度センサが知られており、短絡配線は受信コイルによって走査可能であり、この受信コイルは、比較的長い真っ直ぐ延びる区間を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】EP2329225B1
【文献】EP0909955A2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の基礎となる課題は、受信導体路によって受信された信号から高調波をフィルタ除去することにより、相対角度位置の正確な測定が可能な誘導式角度測定機構を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題は本発明により、請求項1の特徴によって解決される。
この誘導式角度測定機構は、走査要素およびスケール要素を備えている。スケール要素は、軸の周りを取り巻いている目盛トラックを含んでおり、この目盛トラックは複数の導体路群を有しており、これらの導体路群は、電気的に結合しており、かつ隣接する導体路群が測定方向に中心間距離を有するように測定方向に並んで配置されている。導体路群はそれぞれ、第1の導体路区間、第2の導体路区間、第3の導体路区間、および第4の導体路区間を有している。この4つの導体路区間は、測定方向を横切って、つまり測定方向に直交する方向成分をもって延びている。測定方向はしばしば、軸に対する、つまり軸の周りを回っている周方向に相当する。第1の導体路区間と第2の導体路区間が電気的に相互に結合している。同様に第3の導体路区間と第4の導体路区間が電気的に相互に結合している。1つの導体路群内では、第1の導体路区間が第3の導体路区間に対し、測定方向に間隔をあけてずれて配置されている。加えて1つの導体路群内では、第4の導体路区間が第2の導体路区間に対し、(同じ)間隔をあけてずれて配置されている。この間隔は、4以上の自然数Mで割った中心間距離に相当するよう寸法決定されている。走査要素は、励磁トラックと、少なくとも2つの受信導体路を備えた受信トラックとを有しており、この受信導体路は、正弦波形で周りを取り巻いており空間的に周期的で、中心間距離に相当する周期長をもつ軌道を有している。
【0009】
この装置を使って、受信導体路により、妨害または干渉する高調波(又は、倍音)成分を実質的には有さない信号が生成可能であり、この正弦波形の受信導体路は真っ直ぐな区間を有さない。
【0010】
通常は、走査要素とスケール要素は互いに対向して配置されており、かつ軸方向または径方向に延びている空隙によって互いから離隔している。受信導体路はしばしば、互いに対して位相ずれ(例えば90°の位相ずれ)を有するように配置されている。
【0011】
この誘導式角度測定機構は、走査要素が2つの励磁トラックを有しており、この励磁トラックがそれぞれ少なくとも1つの導体路を含むように構成されることが有利であり、この励磁トラックは測定方向に延びており、つまり測定方向に沿って延びている。これに加え、受信トラックは励磁トラックの間に配置されている。角度測定機構は電子回路をさらに含んでおり、この電子回路により励磁トラック内で励磁電流が生成可能である。少なくとも2つの励磁トラック内の励磁電流が、ある特定の時点で同方向に流れていることが有利である。
【0012】
本発明のさらなる形態では、自然数Mが6以上である。
以下では、中心間距離および導体路区間の間隔を、角度で、つまり度もしくは周角の一部分でかまたは弧度(ラジアン)で提示する。
【0013】
1つの導体路群とは、以下ではとりわけスケール要素上の一領域のことであり、この領域内では、中心間距離TPに相当する広がりをもつ測定方向の一区間にわたって、当該区間が中心間距離TPまたはその整数倍の角度を回転した場合と一致する導体路区間の軌道が、とりわけ導体路全体の軌道が存在している。したがってスケール要素は、中心間距離TPに相当する周期で周期的に繰り返し配置された区間、詳しくは導体路群を有している。導体路群は、電気的に直列に相互に結合されており、したがって電気的に閉じた目盛トラックが存在しており、とりわけ導体路群は、特に継目なく形成された導体路の部分領域であり得る。
【0014】
導体路群は、その中にある導体路区間の軌道が、径方向に延びる対称軸に対して軸対称であるように形成され得る。
スケール要素は、4つの導体路区間が軸に対してそれぞれ径方向の方向成分をもつ方向に延びているように形成されることが有利である。
【0015】
目盛トラックが、個数Nの導体路群を有することが有利であり、その際、中心間距離TPは、周角を導体路群の個数Nで割った値に相当し、つまりTP=360°/Nである。同じ意味で、この考察は弧度でも実施でき、その場合、TP=2π/Nである。
【0016】
本発明の有利な一形態によれば、1つの導体路群内の2つの直接的には隣接していない導体路区間の測定方向の間隔は、中心間距離の半分に相当する。とりわけ、1つの導体路群内では、第1の導体路区間が第4の導体路区間に対し、測定方向に中心間距離の半分に相当する間隔をあけてずれて配置されている。加えて1つの導体路群内では、第3の導体路区間が第2の導体路区間に対し、中心間距離の半分に相当する間隔をあけてずれて配置されている。
【0017】
有利なのは、第1の導体路区間および第2の導体路区間ならびに第1の結合導体路区間および第2の結合導体路区間が、第1の導体路の区間であることである。さらに、第1の導体路区間と第2の導体路区間は、第1の結合導体路区間および第2の結合導体路区間により、直列に電気的に相互に結合している。第3の導体路区間および第4の導体路区間ならびに第3の結合導体路区間および第4の結合導体路区間は、第2の導体路の区間であり、この第3の導体路区間と第4の導体路区間は、第3の結合導体路区間および第4の結合導体路区間により、直列に電気的に相互に結合している。
【0018】
結合導体路区間が、測定方向に平行な方向成分をもつ方向に延びていることが有利である。
4つの導体路区間が平らな面に配置されることが有利である。
【0019】
本発明のさらなる形態では、結合導体路区間は測定方向において、導体路区間に対して径方向の内側および径方向の外側に交互に配置されている。
その代わりに導体路区間は、周りを取り巻いている面、例えば円筒体の側面にも配置され得る。この場合には、4つの導体路区間は、((回転)軸に対して)軸方向の方向成分をもつ方向に延びている。この場合、スケール要素が湾曲面を有しており、この湾曲面に目盛トラックが配置されている。この場合、導体路群は、その中にある導体路区間の軌道が、(回転)軸に平行に延びる対称軸に対して軸対称であるように形成され得る。
【0020】
本発明のさらなる一形態によれば、4つの導体路区間が、測定方向に300μm未満、とりわけ200μm未満、または150μm未満の幅を有している。
本発明のさらなる形態では、導体路群が、4つの導体路区間に加えて、それぞれ第5の導体路区間、第6の導体路区間、第7の導体路区間、および第8の導体路区間を有している。第5の導体路区間と第6の導体路区間が電気的に相互に結合している。同様に第7の導体路区間と第8の導体路区間が電気的に相互に結合している。1つの導体路群内では、第1の導体路区間が第5の導体路区間に対し、測定方向に間隔をあけてずれて配置されており、かつ第3の導体路区間が第7の導体路区間に対し、測定方向に間隔をあけてずれて配置されている。このそれぞれの間隔は、6以上の自然数Mで割った中心間距離に相当する。
【0021】
第1の導体路区間と第5の導体路区間との間の間隔が、第3の導体路区間と第7の導体路区間との間の間隔と同じ大きさであることが有利である。
とりわけ、4つの導体路区間が平らな面に配置される場合、少なくとも2つの受信導体路が平らな面に配置されることが有利であり、これに関してはとりわけ、少なくとも2つの受信導体路の面が、4つの導体路区間の面に対して軸方向にずれて配置されている。
【0022】
本発明の有利な形成形態は従属請求項から読み取られる。
本発明による誘導式角度測定機構のさらなる詳細および利点は、添付の図に基づく複数の例示的実施形態の以下の説明から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】第1の例示的実施形態による走査要素の平面図である。
図2】第1の例示的実施形態によるスケール要素の平面図である。
図3】第1の例示的実施形態によるスケール要素の詳細図である。
図4】第2の例示的実施形態によるスケール要素の詳細図である。
図5】第3の例示的実施形態によるスケール要素の詳細図である。
図6】第4の例示的実施形態によるスケール要素の詳細図である。
図7】第5の例示的実施形態による走査要素の平面図である。
図8】第5の例示的実施形態によるスケール要素の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明が、走査要素1(図1)と、相対的に軸Aの周りを回転可能なスケール要素2(図2)またはスケールとの間の角度位置φを捕捉するために決定された角度測定機構に基づいて説明され、これに関し、軸Aは、図ではそれぞれの図平面に直交して方向づけられている。したがって測定方向Uとして周方向が定義され得る。
【0025】
走査要素1は、複数の層を有するプリント基板として実施されており、かつスケール要素2の走査に用いられる。図1に示した走査要素1は、受信トラック1.1内に配置された4つの受信導体路1.11、1.12、1.13、1.14と、励磁トラック1.3、1.4とを有している。とりわけ、受信導体路1.11、1.12、1.13、1.14は、励磁トラック1.3、1.4の径方向の間に配置されている。これに加え、受信導体路1.11、1.12、1.13、1.14は、貫通ビアを有する異なる平面で延びており、これにより交点で望ましくない短絡が回避される。示した例示的実施形態では、プリント基板構造内で少なくとも2つの層が設けられている。受信導体路1.11、1.12、1.13、1.14は、実質的に正弦波形にまたは正弦波状に形成された、空間的に周期的な軌道を有している。これに関し、関連する正弦波線の(図1の受信導体路1.11、1.12、1.13、1.14上の矢印によって示された)横座標xは、軸Aの周りの円形の線に沿って延びている。ここで紹介している例示的実施形態では、受信導体路1.11、1.12、1.13、1.14の各々が、正弦波周期全体を16回(16・2πもしくは16・360°)経て延びており、または周りを取り巻いている横座標xが、16・2πもしくは16・360°もしくは16・PLの長さを有している。受信導体路1.11、1.12、1.13、1.14は、互いに対して相対的に測定方向Uに沿ってずれている。ここで紹介している例示的実施形態では、隣接する受信導体路1.11、1.12、1.13、1.14は互いに対し、正弦波周期全体の1/8(横座標xに対してはπ/4または45°)ずれて配置されている。受信導体路1.11、1.12、1.13、1.14は、最終的に90°移相した信号をもたらし得るように電気的に接続されている。ここで紹介している例示的実施形態では、受信導体路1.11、1.12、1.13、1.14はそれぞれ、円形の線に沿って16回の周期を有しており、したがって受信導体路1.11、1.12、1.13、1.14の各々は、22.5°の周期長PLを有している。以下では、周方向または測定方向Uにおける長さを角度寸法によって提示する。
【0026】
図2では、スケール要素2が平面図で示されている。スケール要素2は、図示した例示的実施形態ではエポキシ樹脂から製造された基材から成っており、かつ基材上では、目盛トラックTS1内に第1の導体路2.1および第2の導体路2.2が配置されている。第1の導体路2.1および第2の導体路2.2の材料として、示した例では銅が、基材上に施された。導体路2.1および第2の導体路2.2はそれぞれ150μmの幅を有している。
【0027】
目盛トラックTS1は、軸Aを中心としており、かつ軸Aの周りを測定方向Uに取り巻いて配置されている。第1の導体路2.1および第2の導体路2.2は、蛇行状の軌道を有しており、かつ継目がない。
【0028】
目盛トラックTS1(つまり帰属の第1の導体路2.1および第2の導体路2.2)は、いわゆる導体路群TGに区分され得る。ここで紹介している例示的実施形態では、目盛トラックTS1が全部で16個の導体路群TGを含んでおり、導体路群TGの中心間距離TPは22.5°(360°/16)または弧度では0.39(2π/16)である。したがって、ここで紹介している例示的実施形態では、スケール要素2上の中心間距離TPは走査要素1上の周期長PLに相当する。
【0029】
PL=TP
導体路群TGは、目盛トラックTS1上にある区間であって、この区間は中心間距離TPに相当する角度間隔にわたって延びている。隣接する導体路群TGでは、それらの1つを軸Aの周りで中心間距離TPに相当する分だけ回転させたとすると、第1の導体路2.1および第2の導体路2.2の軌道が一致するようになっている。
【0030】
図3では、1つの導体路群TGが詳細に示されている。1つの導体路群TGは、径方向の線Rの間で周方向に延びており、径方向の線Rの間隔も22.5°(2・TP/2)である。このような導体路群TGは、紹介している例示的実施形態では、第1の導体路区間2.11、第2の導体路区間2.12、第3の導体路区間2.21、および第4の導体路区間2.22を有しており、この4つの導体路区間2.11、2.12;2.21、2.22は、測定方向Uを横切って、つまり軸Aに対して径方向に延びており、かつそれぞれ150μmの幅を有している。図3では、導体路区間2.11、2.12;2.21、2.22の幅が、少し錐状に、軸Aに向かって減少していく幅で示されている。この形状の場合、幅150μmは、導体路区間2.11、2.12;2.21、2.22の最大幅のことである。4つの導体路区間2.11、2.12;2.21、2.22は、2つの導体路区間ペアP1112、P2122に割り当てられ得る。したがって第1の導体路2.1は、導体路区間ペアP1112に割り当てられた2つの径方向の導体路区間2.11、2.12、すなわち、第1の導体路区間2.11および第2の導体路区間2.12を有している。第2の導体路2.2は、導体路区間ペアP2122に割り当てられた2つの径方向の導体路区間2.21、2.22(ここでは第3の導体路区間2.21および第4の導体路区間2.22)を有している。第1の導体路2.1および第2の導体路2.2は、結合導体路区間2.13、2.14、2.23、2.24をさらに有しており、この結合導体路区間2.13、2.14、2.23、2.24は、ここで紹介している例示的実施形態では、周方向または測定方向Uに延びており、かつ1つの導体路区間ペアP1112、P2122内の径方向の導体路区間2.11、2.12;2.21、2.22を電気的に相互に結合している。とりわけ、第1の導体路2.1は第1の結合導体路区間2.13および第2の結合導体路区間2.14を含んでおり、したがって第1の導体路区間2.11と第2の導体路区間2.12は、第1および第2の結合導体路区間2.13、2.14により、直列に電気的に相互に結合している。同様に第2の導体路2.2は第3の結合導体路区間2.23および第4の結合導体路区間2.24を含んでいる。第3の結合導体路区間2.23および第4の結合導体路区間2.24により、第3の導体路区間2.21と第4の導体路区間2.22が直列に電気的に相互に結合している。
【0031】
つまり目盛トラックTS1は、非導電性目盛領域が間に配置された導電性導体路区間2.11、2.12;2.21、2.22の周期的シーケンスから成っている。1つの同じ導体路2.1、2.2に属する導体路区間2.11、2.12;2.21、2.22は、直列接続で相互に電気的に結合している。
【0032】
異なる導体路区間ペアP1112、P2122に属する径方向の導体路区間2.11、2.12;2.21、2.22はそれぞれ、周方向に間隔d12をあけてずれて配置されている。それゆえにつまり、第1の導体路2.1の直接的に隣接する2つの径方向の導体路区間2.11、2.12は、第2の導体路2.2の2つの径方向の導体路区間2.21、2.22に対し、それぞれ周方向に間隔d12をあけてずれて配置されている。つまり1つの導体路群TG内では、第1の導体路区間2.11が第3の導体路区間2.21に対し、および第4の導体路区間2.22が第2の導体路区間2.12に対し、それぞれ測定方向Uに間隔d12をあけてずれて配置されている。間隔d12は、ここで紹介している例示的実施形態では、1/6TPである。したがって間隔d12は、自然数M、ここではM=6で割った中心間距離TPに相当する。
【0033】
d12=TP/6
第1の導体路2.1の第1の導体路区間2.11は、第4の導体路区間2.22に対し、すなわち、第1の導体路区間2.11に対して直接的には隣接せずに配置されておりかつ第2の導体路2.2に属している第4の導体路区間2.22に対し、測定方向Uに間隔d1122をあけてずれて配置されている。同様に第2の導体路2.2の第3の導体路区間2.21は、第2の導体路区間2.12に対し、すなわち、第3の導体路区間2.21に対して直接的には隣接せずに配置されておりかつ第1の導体路2.1に属している第2の導体路区間2.12に対し、測定方向Uに間隔d2112をあけてずれて配置されている。これに関し、間隔d1122も間隔d2112も、中心間距離TPの半分に相当する。
【0034】
d1122=d2112=TP/2
径方向の線Rの間で、導体路区間2.11、2.12;2.21、2.22は、真ん中の径方向に延びる対称軸に対して軸対称に配置されている。結合導体路区間2.13、2.14、2.23、2.24も、径方向の線Rの間で軸対称に配置されている。
【0035】
組み立てられた状態では、走査要素1とスケール要素2は軸方向に向かい合っており、したがって軸Aは両方の要素の中心点を通って延びており、かつスケール要素2と走査要素1が相対的に回転すると、受信導体路1.11、1.12、1.13、1.14内で、それぞれの角度位置に依存する信号が誘導効果によって生成可能である。相応の信号が形成されるための前提条件は、励磁トラック1.3、1.4が、走査される目盛トラックTS1の領域内で、時間と共に変化する電磁励起場を生成することである。図示した例示的実施形態では、励磁トラック1.3、1.4が、平行平面で、電流を通す複数の個別導体路として形成されている。走査要素1は、例えばASICチップを含む電子回路を有している。走査要素1のこの電子回路は、評価要素としてだけでなく、励磁コントロール要素としても働き、この励磁コントロール要素のコントロール下で励磁電流が生成され、励磁電流はその後、励磁トラック1.3、1.4または個別導体路を流れる。したがって両方の励磁トラック1.3、1.4は、1つの同じ励磁コントロール要素によって通電される。
【0036】
励磁トラック1.3、1.4にどれも同方向で励磁電流が流れると、それぞれの励磁トラック1.3、1.4の周りに管状または円筒形に方向づけられた電磁場が形成される。この生じている電磁場の力線は、同心円の形態で励磁トラック1.3、1.4の周りを延びており、この力線の方向は、既知のように励磁トラック1.3、1.4内の電流方向に依存している。これに関し、励磁トラック1.3、1.4の電流方向I13、I14(図1)または励磁トラック1.3、1.4の相応の接続は、同方向に選択されるべきであり、したがって受信トラック1.1の領域内の力線は逆方向に方向づけられている。励磁トラック1.3、1.4内の電流フローにより、スケール要素2の第1の導体路2.1および第2の導体路2.2内でそれぞれ電流が誘導され、この誘導された電流はそれぞれ電流方向I21、I22(図2)を有している。スケール要素2の第1の導体路2.1内の電流方向I21および第2の導体路2.2内の電流方向I22は互いに対して平行(ただし、反対方向すなわち逆平行ではない)である。励磁電流は交流なので、電流方向I13、I14;I21、I22に関連する考察は、1つの同じ時点にしか当てはまらない。
【0037】
第1の導体路2.1および第2の導体路2.2は、蛇行状に、互いに入り組んで延びている。とりわけ、当該導体路区間2.11、2.12;2.21、2.22の間隔d12、d1122、d2112の寸法決定により、受信導体路1.11、1.12、1.13、1.14の正弦波形の軌道と関連して、ここで紹介している例示的実施形態では、受信導体路1.11、1.12、1.13、1.14によって生成される信号はほとんど第3調波(又は、倍音)を有しておらず、かつ偶数次調波を実際的には有していない。これにより、角度位置値の決定に関して補間誤差が最小化される。
【0038】
図4に基づいて、本発明のさらなる一実施形態(第2の例示的実施形態)を説明する。この実施形態は、それぞれ平行な軌道をもつ結合導体路区間2.13、2.14、2.23、2.24(図3)の代わりに、ここでは全誘導電流が流れ得る一体的な結合導体路区間2.23’、2.24’が設けられている点で、第1の例示的実施形態とは実質的に異なっている。
【0039】
図5の第3の例示的実施形態によれば、目盛トラックTS1が、第1の導体路2.1および第2の導体路2.2だけでなく第3の導体路2.3および第4の導体路2.4も含み得る。それに応じてこの例示的実施形態では、測定方向Uを横切って、つまり軸Aに対して径方向に延びている8つの導体路区間2.11、2.12;2.21、2.22;2.31、2.32;2.41、2.42が存在している。それゆえにここでは、導体路群TGは、追加的にそれぞれ第5の導体路区間2.31、第6の導体路区間2.32、第7の導体路区間2.41、および第8の導体路区間2.42を有している。
【0040】
この場合、1つの導体路群TG内では、第1の導体路区間2.11が第5の導体路区間2.31に対し、測定方向Uに間隔d13をあけてずれて配置されている。加えて第3の導体路区間2.21が第7の導体路区間2.41に対し、測定方向Uに間隔d24をあけてずれて配置されている。
【0041】
図3の第1の例示的実施形態に対して付加された導体路区間2.31、2.32;2.41、2.42も、2つの導体路区間ペアP3132、P4142に割り当てられ得る。したがって第3の導体路2.3は、導体路区間ペアP3132に割り当てられた2つの径方向の導体路区間2.31、2.32を有しており、かつ第4の導体路2.4は、導体路区間ペアP4142に割り当てられた2つの径方向の導体路区間2.41、2.42を有している。第3の導体路2.3および第4の導体路2.4も、結合導体路区間2.33、2.34、2.43、2.44をさらに有しており、この結合導体路区間2.33、2.34、2.43、2.44は、ここで紹介している例示的実施形態では、周方向に延びており、かつ1つの導体路区間ペアP3132、P4142内の径方向の導体路区間2.31、2.32;2.41、2.42を電気的に相互に結合している。つまり目盛トラックTS1は、この例示的実施形態でも、非導電性目盛領域が間に配置された導電性導体路区間2.11、2.12;2.21、2.22;2.31、2.32;2.41、2.42の周期的シーケンス(配列)から成っている。第1の導体路2.1および第2の導体路2.2の導体路区間2.11、2.21の間隔または導体路区間2.12、2.22の間隔d12は、この例示的実施形態でも、1/6TP(自然数M=6)である。したがって、
d12=TP/6
である。
【0042】
さらに、第1の導体路2.1または第3の導体路2.3の導体路区間2.11、2.31の間隔d13または導体路区間2.12、2.32の間隔d13は、1/10TP(自然数M=10)であり、したがって、
d13=TP/10
である。
【0043】
さらにd24=d13、つまり
d24=TP/10
である。
【0044】
これに加えて第3の例示的実施形態でも、1つの導体路群TGの2つの直接的には隣接していない導体路区間2.11、2.12;2.21、2.22;2.31、2.32;2.41、2.42は、それぞれ中心間距離TPの半分に相当する間隔を有している。
【0045】
第3の導体路2.3の第5の導体路区間2.31は、第4の導体路区間2.22に対し、すなわち、第5の導体路区間2.31に対して直接的には隣接せずに配置されておりかつ第2の導体路2.2に属している第4の導体路区間2.22に対し、測定方向Uに間隔TP/2をあけてずれて配置されている。同じことが、例えば第2の導体路区間2.12と第7の導体路区間2.41にも当てはまる(間隔TP/2)。
【0046】
すべての導体路2.1~2.4は蛇行状に延びており、かつ互いに入り組んでいる。ここで紹介している例示的実施形態では、受信導体路1.11、1.12、1.13、1.14によって生成される信号から、第3調波だけでなく第5調波も、およびすべての偶数次調波がフィルタリングされる。
【0047】
図6では、スケール要素2の代替的な一形態(第4の例示的実施形態)が示されている。そこでは第1の例示的実施形態に倣って2つの導体路2.1、2.2が設けられており、この場合、第1の導体路2.1および第2の導体路2.2は、電気的に互いに分離した導体として形成されているのではなく、つまり電気的に純粋に並列に配置されているのではなく、直列に接続されている。このためにスケール要素2のプリント基板の2つの平面上にまたは第2の銅層を使って、結合導体路2.5、2.6が配置されている。結合導体路2.5、2.6は、マイクロビア(極小径の接続穴)を使って両方の導体路2.1、2.2を、それらが直列に相互に結合するように結合している。この配置は、とりわけ導体路2.1、2.2内で異なる電流が流れ得ることを阻止するという利点を有している。このような効果(異なる大きさの電流)は、高調波フィルタリングまたは調波のフィルタリングを制限し得る。
【0048】
第5の例示的実施形態が、図7および図8に示されている。図7によれば、ここでは走査要素1が追加的にもう1つのさらなる内側の受信トラック1.2を含んでおり、内側の受信トラック1.2は、4つの受信導体路1.21、1.22、1.23、1.24を含んでいる。受信導体路1.21、1.22、1.23、1.24は、実質的に正弦波形にまたは正弦波状に形成された、空間的に周期的な軌道を有しており、これに関し、正弦波線の横座標は、軸Aの周りの円形の線に沿って延びている。受信導体路1.21、1.22、1.23、1.24は、第1の例示的実施形態に倣って配置されており、つまり互いに対して相対的に45°ずれており、したがって相応の電気接続の場合、90°移相した信号をもたらし得る。内側の受信トラック1.2の受信導体路1.21、1.22、1.23、1.24はそれぞれ、円形の線に沿って3回の周期を有している。
【0049】
そのうえ第5の例示的実施形態による走査要素1は、複数の励磁導線または励磁導体路を含むさらなる励磁トラック1.5を含んでいる。励磁トラック1.5の電流方向は、励磁トラック1.3、1.4の電流方向に対して反対の方向に選択されるべきである。
【0050】
図8に示しているように、第5の例示的実施形態によるスケール要素2は、さらなる内側の目盛トラックTS2を含んでいる。内側の目盛トラックTS2は、図示した実施形態では、導電性材料、ここでは銅が施された目盛領域2.7から成っている。目盛領域2.7の間には、導電性材料は配置されていない。
【0051】
受信トラック1.1により、相対角度位置に関する比較的高分解の角度位置値が生成可能であり、その一方でさらなる受信トラック1.2により、比較的粗い角度位置値が生成可能である。電子回路内で、細かい角度位置値と比較的粗い角度位置値との関連付けが行われ、その結果として高分解の絶対角度位置値が回路によって生成される。
【符号の説明】
【0052】
1 走査要素
1.1 受信トラック
1.11、1.12、1.13、1.14 受信導体路
1.3、1.4 励磁トラック
2 スケール要素
2.1 第1の導体路
2.11 第1の導体路区間
2.12 第2の導体路区間
2.13、2.23’ 第1の結合導体路区間
2.14、2.24’ 第2の結合導体路区間
2.2 第2の導体路
2.21 第3の導体路区間
2.22 第4の導体路区間
2.23、2.23’ 第3の結合導体路区間
2.24、2.24’ 第4の結合導体路区間
2.31 第5の導体路区間
2.32 第6の導体路区間
2.41 第7の導体路区間
2.42 第8の導体路区間
A 軸
d12、d1122、d2112、d13、d24 間隔
PL 周期長
TG 導体路群
TP 中心間距離
TS1 目盛トラック
U 測定方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8