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特許7621058信号生成装置及び広帯域アナログ信号生成方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-16
(45)【発行日】2025-01-24
(54)【発明の名称】信号生成装置及び広帯域アナログ信号生成方法
(51)【国際特許分類】
   H03H 17/02 20060101AFI20250117BHJP
   H03M 1/66 20060101ALI20250117BHJP
   H04B 17/29 20150101ALI20250117BHJP
【FI】
H03H17/02 613C
H03M1/66 C
H04B17/29
【請求項の数】 7
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019233418
(22)【出願日】2019-12-24
(65)【公開番号】P2020120374
(43)【公開日】2020-08-06
【審査請求日】2022-12-12
(31)【優先権主張番号】62/787,212
(32)【優先日】2018-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/588,580
(32)【優先日】2019-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】391002340
【氏名又は名称】テクトロニクス・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】TEKTRONIX,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(74)【代理人】
【識別番号】110001209
【氏名又は名称】特許業務法人山口国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】グレゴリー・エイ・マーティン
【審査官】福田 正悟
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2009/0015453(US,A1)
【文献】特開2001-267128(JP,A)
【文献】特開2004-289428(JP,A)
【文献】特開2014-187693(JP,A)
【文献】特開2001-177378(JP,A)
【文献】特開2019-197983(JP,A)
【文献】特表2008-535357(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0252786(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03H 17/02
H03M 1/66
H04B 17/29
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
デジタル信号波形を生成するデジタル信号波形生成部と、
上記デジタル信号波形を受け、該デジタル信号波形の第1周波数帯域成分を通過させる第1周波数帯域フィルタを含む第1周波数帯域信号パスと、
上記デジタル信号波形の上記第1周波数帯域成分を受け、第1周波数帯域アナログ信号を生成する第1デジタル・アナログ・コンバータと、
上記デジタル信号波形を受け、該デジタル信号波形の第2周波数帯域成分を通過させる第2周波数帯域フィルタを含む第2周波数帯域信号パスと、
上記デジタル信号波形の上記第2周波数帯域成分を受け、第2周波数帯域アナログ信号を生成する第2デジタル・アナログ・コンバータと、
上記第1周波数帯域アナログ信号と上記第2周波数帯域アナログ信号を混合し、広帯域アナログ信号を生成する混合素子と
を具え
上記混合素子が、上記第1周波数帯域フィルタ及び上記第2周波数帯域フィルタのクロスオーバー領域の周波数応答に基づいて選択される信号生成装置。
【請求項2】
上記第1周波数帯域フィルタ及び上記第2周波数帯域フィルタは、デジタル・シグナル・プロセッサ中に実装され、上記混合素子としてはダイプレクサが含まれる請求項1の信号生成装置。
【請求項3】
上記第1周波数帯域フィルタ及び上記第2周波数帯域フィルタとしては、デジタル・シグナル・プロセッサ中の、合算した応答が1となる整合したフィルタが含まれ、上記混合素子としては、ディスクリート・アナログ・フィルタが含まれる請求項1の信号生成装置。
【請求項4】
上記第1周波数帯域信号パスは、上記第1デジタル・アナログ・コンバータの帯域幅をサポートするように設定されたサンプリング・レートを有するダウン・サンプリング・フィルタを有する請求項1の信号生成装置。
【請求項5】
上記第1周波数帯域フィルタが第1パターン・メモリから構成され、上記第2周波数帯域フィルタが第2パターン・メモリから構成される請求項1の信号生成装置。
【請求項6】
広帯域アナログ信号を生成する方法であって、
デジタル波形を生成する処理と、
上記デジタル波形を少なくとも第1周波数帯域信号と第2周波数帯域信号に分割する処理と、
上記第1周波数帯域信号を第1周波数帯域アナログ信号に変換する処理と、
上記第2周波数帯域信号を第2周波数帯域アナログ信号に変換する処理と、
上記広帯域アナログ信号を生成するように上記第1周波数帯域アナログ信号を上記第2周波数帯域アナログ信号と混合する処理と
を具え
上記デジタル波形を上記第1周波数帯域信号と上記第2周波数帯域信号に分割する処理が、第1周波数帯域フィルタを上記デジタル波形に適用して上記第1周波数帯域信号を生成する処理と、第2周波数帯域フィルタを上記デジタル波形に適用して上記第2周波数帯域信号を生成する処理とを有し、
上記第1周波数帯域アナログ信号を上記第2周波数帯域アナログ信号と混合する処理が、上記第1周波数帯域フィルタ及び上記第2周波数帯域フィルタのクロスオーバー領域の周波数応答に基づいて選択される混合素子によって行われる広帯域アナログ信号生成方法。
【請求項7】
上記デジタル波形を生成する処理が、パターン・メモリにアクセスしてデジタル波形を読み出す処理を含む請求項の広帯域アナログ信号生成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の信号パスを用いた信号生成装置及び信号生成方法に関し、特に、信号生成装置及び広帯域信号を生成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
広帯域信号源は、DC及び低周波数から非常に高い周波数に及ぶスペクトル成分を有する信号を生成する。PCIe(Peripheral Component Interface Express)及びイーサネットのような高速シリアル規格では、規格の新しいバージョンごとに、より高い周波数が必要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-183989号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
デジタル・アナログ・コンバータ(DAC)や全周波数レンジに及ぶ増幅回路のような信号パスのコンポーネントの設計には、多くの課題がある。高周波数での性能に最適化されたコンポーネントは、低周波数では最適な特性を持たない場合があり、DC及び低周波数で広いダイナミック・レンジをサポートするコンポーネントを、広帯域幅もサポートするように拡張することは困難な場合がある。
【0005】
開示された装置及び方法の実施形態は、従来技術における欠点に取り組むものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願で説明するように、本発明の実施形態は、信号生成装置のための分割(スプリット)信号パスに関する。デジタル広帯域信号生成装置が、広帯域信号を生成する。本願で使用される「広帯域」とは、定常状態(つまり、DC)信号から、ギガ・ヘルツのレンジの周波数ような非常に高い周波数まで広がる信号を意味する。
【0007】
この実施形態は、低周波数帯域と高周波数帯域のような、少なくとも2つの周波数帯域間に信号を分割するが、このとき、低周波数帯域と高周波帯域の差は、信号をどのアプリケーションのために生成するかによって決まる。システムは、2つ以上の周波数帯域を有していても良い。低周波数帯域の場合、低周波数帯域には、DC信号に加えて、いくら低い周波数まで広がった信号を含む。高周波数帯域には、低周波数帯域の信号よりも高い周波数の信号が含まれる。システムには、3つ以上の周波数帯域があっても良い。
【0008】
本願での説明は、低周波数帯域と高周波数帯域の観点から帯域について説明するが、その特定の実施形態に帯域を限定する意図はなく、必然的に含意されるものでもない。信号を低周波数信号と高周波数信号に分割することで、各信号範囲に合わせてコンポーネントの設計を最適化できる。例えば、高周波数信号パス中のコンポーネントは、高い周波数及び帯域幅でのAC動作に最適化され、低周波数信号パス中のコンポーネントは、低周波数及びDC信号成分に対して最適化されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、分割(スプリット)信号パスを有する装置の実施形態を示す。
図2図2は、フィルタ応答の実施形態を示す。
図3図3は、フィルタ応答の実施形態を示す。
図4図4は、受動混合素子の実施形態を示す。
図5図5は、受動混合素子の実施形態を示す。
図6図6は、受動混合素子の実施形態を示す。
図7図7は、受動混合素子の実施形態を示す。
図8図8は、パターン・メモリを用いた分割パスの実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、信号生成装置10を示す。本願で使用されるように、「装置」という用語は、必要な要素を含むパッケージを意味する。装置は、さまざまな方法で構成できる。例えば、図1の全ての要素は、1つのデジタル・シグナル・プロセッサ上に含まれてもよい。これに代えて、図1の全ての要素は、信号生成部12及び低周波数デジタル・アナログ・コンバータ(DAC)22を除き、1つのデジタル・シグナル・プロセッサ上に含まれても良い。これらのコンポーネントはパッケージに含まれる場合があるが、ASICやDSPような同じ集積回路の一部ではないことがある。同様に、この装置は、少なくとも一部が、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)などとして実装されても良い。
【0011】
信号生成部12は、典型的には、デジタル信号波形源を含むであろう。オプションのチャンネル補正フィルタ14は、高周波数及び低周波数信号パスに共通する信号パスのコンポーネントの特性を補償するように、信号の特性上の問題を除去してもよい。別のチャンネル補正フィルタが、低周波数及び高周波数パスにあっても良い。これらのフィルタは、高周波数信号パス、低周波数信号パスを含む信号パス上のコンポーネントの特性、信号源の出力端子を通る共通出力信号、及び信号源の出力端子に続くチャンネルに関する所望の送信等化応答(transmitter equalization response)を補償しても良い。例えば、これらフィルタは、プリエンファシス・フィルタであってもよい。
【0012】
最初に生成された信号は、それぞれ所定の周波数レンジを有する2つの信号パスに分割(スプリット)される。図1では、ローパス・フィルタ16は、生成された信号の低周波数成分を分離して、低周波数パスが信号の低周波数成分で動作できるようにする。これには、また、間引きフィルタ18があっても良く、これは、サンプル・レートと低周波数DAC22の帯域幅とが整合するように、信号をダウン・サンプリングする。間引きフィルタ18は、低周波数DAC22に適した所望のサンプル・レートに達するまでサンプルを廃棄することにより、ローパス・フィルタ16内に実装されても良い。
【0013】
更に、もう1つの別のオプションのチャンネル補正フィルタ20のような他のコンポーネントが、低周波数信号パス内にあってもよい。次いで、低周波数DAC22は、信号の低周波数成分を低周波数アナログ信号に変換する。これは、最終的には、混合素子(combining element)40で高周波数アナログ信号と混合され、次いで、出力ピン又はコネクタ42に供給される。低周波数パスには、オプションの増幅器24のような他のコンポーネントが含まれてもよい。
【0014】
低周波数パスと同様に、高周波数パスは、高周波数信号成分を分離するハイパス・フィルタ26を有する。このパスには、オプションのチャンネル補正フィルタ30があってもよい。高周波数DAC32は、高周波数DACの周波数レンジをカバーするために必要なサンプル・レートで、デジタル信号を高周波数アナログ信号に変換する。次いで、得られた高周波数アナログ信号は、混合素子40で低周波数アナログ信号と混合される。高周波数パスには、更に、オプションの増幅器34があっても良い。
【0015】
このように、各パスは、広い帯域レンジ中の周波数レンジ全体をカバーする必要があるコンポーネントを展開するのではなく、信号のもっと狭い帯域に最適化される。例えば、低周波数パスと低周波数パス中のコンポーネントは、DC信号を含む低周波数信号に最適化でき、高周波数パスと高周波数パス中のコンポーネントは、広帯域幅のAC信号に最適化できる。
【0016】
混合素子40の選択は、フィルタ16、26の構造に依存することがある。例えば、ローパス・フィルタ16及びハイパス・フィルタ26は、図2に示すようなフィルタ応答を有するように設計されても良い。ローパス・フィルタ応答44とハイパス・フィルタ応答46は、オーバーラップ(重複)する。クロスオーバー周波数48は、基準点となるが、これは、52と54でのカットオフ遷移が、統合した出力周波数応答に影響を与えないように、クロスオーバ周波数から特定の「距離」を有しなければならないためである。また、これらの応答は、HLF(z)+HHF(z)=1の形で、合計が1になるよう設計される。これにより、両方の帯域間の遷移を補償するための、更なる等化処理又はアナログ・フィルタ処理の必要がなくなる。この場合では、ローパス・フィルタとハイパス・フィルタの両方が、帯域間のクロスオーバー周波数において、-6dBの減衰を有するであろう。
【0017】
対照的に、図3は、図2の応答と比べて、フィルタ応答の形状が大きく異なっている。図3では、これらフィルタのクロスオーバー領域が大幅に広くなっている。この実施形態では、これらの帯域間に、より多くのオーバーラップ(重複)があり、混合素子又は他のアナログ信号パスのコンポーネントは、これら帯域間を遷移するクロスオーバー領域において、出力信号が滑らかな応答を有するように、低周波数帯域と高周波数帯域の周波数レンジを減少させる必要がある。
【0018】
図4~7は、異なるタイプの混合素子40:ダイプレクサ(diplexer:図4);バイアス・ティー(図5);2つの異なる抵抗性混合器(図6及び7)を示している。ローパス・フィルタ16とハイパス・フィルタ26は、典型的には、上述のデジタル・シグナル・プロセッサ(DSP)に実装されることになろう。また、DSPのローパス・フィルタ及びハイパス・フィルタと組み合わせて、低周波数及び高周波数信号パスにおいて使用されるアナログ・フィルタがあっても良い。
【0019】
図4は、ダイプレクサ60の実施形態を示す。ダイプレクサ60は、内部にローパス及びハイパスのフィルタ、62及び64を有する。これは、高周波数アナログ信号63をハイパス・フィルタ62で、低周波数アナログ信号65をローパス・フィルタ64で受ける。次いで、これら2つのフィルタ処理された信号が、共通の接続点42に送られる。この例では、これらフィルタは、DSPフィルタに関する図3に示すような応答を持ち、ダイプレクサ・アナログ・フィルタは、帯域間のクロスオーバー周波数で-6dB減衰して、合計1に一致せるようにする。ダイプレクサ形式の混合素子40は、厳密にはDSPフィルタを必要としないが、これらがあると、DSPローパス・フィルタを使用して間引きし、低周波数帯域のサンプル・レートを低減することで、より低いレートのDACを利用可能としたり、DSPハイパス・フィルタが、高サンプル・レートDAC中に低周波数成分が生じないようにして、エレクトロマイグレーション(electro-migration)、ノイズその他の考慮すべきものに対して、出力信号の性能を最適化した設計を可能にする、といった効果がある。
【0020】
図5は、バイアス・ティーを示し、高周波(HF)アナログ信号に接続されたコンデンサ66と低周波(LF)アナログ信号に接続されたコイル(inductor)68から構成されるディスクリート・アナログLCフィルタの一例である。この混合器(combiner)は、典型的には、図2のような応答を持つDSPローパス及びハイパス・フィルタを使用することになろう。
【0021】
図6では、混合素子40は、抵抗器70、72及び74からなる抵抗性回路網から構成される。図7は、本願で抵抗性ブリッジ・ハイブリッドと呼ぶ混合素子40を示し、抵抗器76、78及び80を含む。ポートP1は、コネクタ42などの出力ポートであり、P2及びP3は、高周波数又は低周波数のどちらかの入力ポートであり、この回路をパワー・スプリッタ/デバイダとして使用する従来の手法と逆のものである。これらの抵抗性混合器(図6及び7)の両方は、周波数レンジ全体にわたって、これら信号を混合する。これらの抵抗性混合器は、典型的には、図2のような応答を有するDSPローパス及びハイパス・フィルタを利用することになろう。これらの抵抗性混合器の両方の挿入損失は、高周波数及び低周波数パスが電力でバランスが取れている場合、周波数レンジ全体にわたって約-6dBであろう。しかし、例えば、高周波数帯域パスで挿入損失が少なく、低周波数帯域パスで損失が大きいと、これがアンバランスになることもあり得る。この余分な損失は、抵抗性混合器の前に、もっと増幅をすることで克服できる。図4及び5に示したものと同様の実施形態は、挿入損失が最小限である。
【0022】
図7は、差動信号伝送(differential signaling)を利用する実施形態を示していることに注意する必要がある。先の実施形態は、全て差動信号伝送(差動シグナリング)を利用することができ、また、図7の実施形態は、シングルエンド信号伝送を利用することもできる。
【0023】
低周波数及びDC信号に最適化された低周波数パスと、AC及び高周波数信号用に最適化された高周波数パスに加えて、分割パス・アーキテクチャは、他にもいくつかの利点を提供する。例えば、低周波数信号パスは、高周波数パスでサポートできるものと比較して、より大きな利得及びオフセットのレンジをサポートできる。低周波数DACは、より高いサンプル・レートと周波数をカバーする必要がないため、分解能が高く、直線性が向上し、性能の特性が向上する可能性がある。高周波数帯域信号パスで現実的に実装できるものに比較して、低周波数帯域信号パスに、より高い信号忠実性能(signal fidelity performance)という特性があると、結果として得られる信号源(ソース)出力に関するいくつかのシステム性能特性を向上させることができる。
【0024】
混合器とフィルタの選択に応じて、この手法は、望ましいものよりも、複雑な回路とハードウェアとすることができる。実施形態によっては、特定の構成要素の代わりに、パターン・メモリを使用できる。例えば、図1に戻ると、信号生成部12は、パターン・メモリとすることができ、これは、最終的に出力アナログ信号となるデジタル出力波形を提供する。パターン・メモリは、フィルタの前に各パスに1つずつ、別々の高周波数パターン・メモリ及び低周波数パターン・メモリの形で実装することもできる。しかし、回路の複雑さを軽減したい場合には、ハイパス・フィルタとローパス・フィルタの代わりに、複数のパターン・メモリを使用しても良い。こうした実施形態の一例を図8に示す。
【0025】
図8では、波形及びフィルタ90は、ソフトウェアで、データとして事前に算出されており、フィルタ及び波形発生部の必要性を排除している。この実施形態では、パターン・メモリが、デジタル信号波形生成部と、ハイパス及びローパス・フィルタになる。ソフトウェアで予め算出された波形生成及びフィルタ用のデータは、低周波数パターン・メモリ94及び高周波パターン・メモリ96にロードされる。低周波数DAC22及び高周波数DAC32は、同期コントローラ92に従って、パターン・メモリにアクセスして最終的な高周波数及び低周波数アナログ信号を出力し、これらは、混合素子40で混合されて、ピン又はコネクタ42において出力される。
【0026】
先の説明では、2つの信号パス、高周波数パスと低周波数パスに焦点を当ててきた。しかし、上述のように、周波数は、複数のパスに分割することもできる。例えば、上述した高周波数パスを2つに分割することによって、「中間」周波数パス用のコンポーネントを最適化し、構造をもっと精密に調整可能とすることが望ましい場合もある。2つの周波数帯域に限定することは、意図されておらず、必然的に含意されるものでもない。
【0027】
実施例
開示技術の実施例を以下に示す。この技術の実施形態は、後述の実施例の1つ以上、そして、任意の組み合わせを含んでいても良い。
【0028】
実施例1は、信号生成装置であって、デジタル信号波形を生成するデジタル信号波形生成部と、上記デジタル信号波形を受け、該デジタル信号波形の第1周波数帯域成分を通過させる第1周波数帯域フィルタを含む第1周波数帯域信号パスと、上記デジタル信号波形の上記第1周波数帯域成分を受け、第1周波数帯域アナログ信号を生成する第1デジタル・アナログ・コンバータと、上記デジタル信号波形を受け、該デジタル信号波形の第2周波数帯域成分を通過させる第2周波数帯域フィルタを含む第2周波数帯域信号パスと、上記デジタル信号波形の上記第2周波数帯域成分を受け、第2周波数帯域アナログ信号を生成する第2デジタル・アナログ・コンバータと、上記第1周波数帯域アナログ信号と上記第2周波数帯域アナログ信号を混合し、広帯域アナログ信号を生成する混合素子とを具えている。
【0029】
実施例2は、実施例1の信号生成装置であって、上記デジタル信号波形生成部と、上記第1周波数帯域信号パス及び上記第2周波数帯域信号パスとの間に、全帯域補正フィルタを更に具えている。
【0030】
実施例3は、実施例1又は2のいずれかの信号生成装置であって、上記第1周波数帯域フィルタと上記第1デジタル・アナログ・コンバータとの間に、第1周波数帯域チャンネル補正フィルタを更に具えている。
【0031】
実施例4は、実施例1~3のいずれかの信号生成装置であって、上記第2周波数帯域フィルタと上記第2デジタル・アナログ・コンバータとの間に、第2周波数帯域チャンネル補正フィルタを更に具えている。
【0032】
実施例5は、実施例1~4のいずれかの信号生成装置であって、このとき、上記第1周波数帯域フィルタ及び上記第2周波数帯域フィルタは、オーバーラップ通過帯域を有し、デジタル・シグナル・プロセッサ中に実装され、上記混合素子はダイプレクサから構成される。
【0033】
実施例6は、実施例1~5のいずれかの信号生成装置であって、上記第1周波数帯域フィルタ及び上記第2周波数帯域フィルタとしては、デジタル・シグナル・プロセッサ中の、合算した応答が1となる整合したフィルタが含まれ、混合素子はディスクリート・アナログ・フィルタから構成される。
【0034】
実施例7は、実施例1~6のいずれかの信号生成装置であって、上記第1周波数帯域フィルタ及び上記第2周波数帯域フィルタとしては、デジタル・シグナル・プロセッサ中の、合算した応答が1となる整合したフィルタが含まれ、混合素子はバイアス・ティーから構成される。
【0035】
実施例8は、実施例1~7のいずれかの信号生成装置であって、上記第1周波数帯域フィルタ及び上記第2周波数帯域フィルタとしては、デジタル・シグナル・プロセッサ中の、合算した応答が1となる整合したフィルタが含まれ、混合素子は、抵抗性混合器又はブリッジから構成される。
【0036】
実施例9は、実施例1~8のいずれかの信号生成装置であって、このとき、上記第1周波数帯域信号パスは、上記第1デジタル・アナログ・コンバータと上記混合素子との間に、増幅器を有する。
【0037】
実施例10は、実施例1~9のいずれかの信号生成装置であって、このとき、上記第2周波数帯域信号パスは、上記第2デジタル・アナログ・コンバータと混合素子との間に、増幅器を有する。
【0038】
実施例11は、実施例1~10のいずれかの信号生成装置であって、このとき、上記第1周波数帯域信号パスは、上記第1デジタル・アナログ・コンバータの帯域幅をサポートするように設定されたサンプリング・レートを有するダウン・サンプリング・フィルタを有する。
【0039】
実施例12は、実施例11の信号生成装置であって、このとき、上記第1周波数帯域フィルタと上記ダウン・サンプリングフィルタは、同じフィルタ中に実装される。
【0040】
実施例13は、実施例1~11のいずれかの信号生成装置であって、第3周波数帯域信号パスを更に具えている。
【0041】
実施例1は、実施例1~11及び13のいずれかの信号生成装置であって、このとき、上記第1周波数帯域フィルタが第1パターン・メモリから構成され、上記第2周波数帯域フィルタが第2パターン・メモリから構成される。
【0042】
実施例15は、広帯域アナログ信号を生成する方法であって、デジタル波形を生成する処理と、上記デジタル波形を少なくとも第1周波数帯域信号と第2周波数帯域信号に分割する処理と、上記第1周波数帯域信号を第1周波数帯域アナログ信号に変換する処理と、上記第2周波数帯域信号を第2周波数帯域アナログ信号に変換する処理と、上記第1周波数帯域アナログ信号を上記第2周波数帯域アナログ信号と混合して、上記広帯域アナログ信号を生成する処理とを具えている。
【0043】
実施例16は、実施例15の方法であって、上記デジタル波形を上記第1周波数帯域信号と上記第2周波数帯域信号に分割する処理が、第1周波数帯域フィルタを上記デジタル波形に適用して上記第1周波数帯域信号を生成する処理と、第2周波数帯域フィルタを上記デジタル波形に適用して上記第2周波数帯域信号を生成する処理とを有している。
【0044】
実施例17は、実施例15又は実施例16のいずれかの方法であって、このとき、上記デジタル波形を生成する処理が、パターン・メモリにアクセスして上記デジタル波形を読み出す処理を含む。
【0045】
実施例18は、実施例15~17のいずれかの方法であって、上記デジタル波形を生成する処理と、上記第1周波数帯域信号を第1周波数帯域アナログ信号に変換する処理が、第1パターン・メモリにアクセスして上記第1周波数帯域アナログ信号を得る処理を含み、上記第2周波数帯域信号を第2周波数帯域アナログ信号に変換する処理が、第2パターン・メモリにアクセスして上記第2周波数帯域アナログ信号を得る処理を含む。
【0046】
実施例19は、実施例18の方法であって、更に、上記第1パターン・メモリにアクセスする処理と、上記第2パターン・メモリにアクセスする処理とが同期することを具えている。
【0047】
実施例20は、実施例15~18のいずれかの方法であって、上記デジタル波形を少なくとも第1周波数帯域信号と第2周波数帯域信号に分割する処理が、上記デジタル波形を少なくとも第3周波数帯域信号に分割する処理を含んでいる。
【0048】
開示された主題の上述のバージョンは、記述したか又は当業者には明らかであろう多くの効果を有する。それでも、開示された装置、システム又は方法の全てのバージョンにおいて、これらの効果又は特徴の全てが要求されるわけではない。
【0049】
加えて、本願の記述は、特定の特徴に言及している。本明細書における開示には、これらの特定の特徴の全ての可能な組み合わせが含まれると理解すべきである。ある特定の特徴が特定の態様又は実施例の状況において開示される場合、その特徴は、可能である限り、他の態様及び実施例の状況においても利用できる。
【0050】
また、本願において、2つ以上の定義されたステップ又は工程を有する方法に言及する場合、これら定義されたステップ又は工程は、状況的にそれらの可能性を排除しない限り、任意の順序で又は同時に実行しても良い。
【0051】
更に、用語「を具える(comprises)」及びその文法的に等価なものは、本願において、他のコンポーネント(components)、機能(features)、ステップ、処理(processes)、工程(operations)などがオプションで存在することを示すのに使用される。例えば、コンポーネントA、B及びC「を具える(comprising)」又は「何かが」コンポーネントA、B及びC「を具える(which comprises)」という条件は、コンポーネントA、B及びCだけを含んでも良いし、又は、コンポーネントA、B及びCと共に1つ以上の他のコンポーネントを含んでいても良い。
【0052】
説明の都合上、本発明の具体的な実施形態を図示し、説明してきたが、本発明の要旨と範囲から離れることなく、種々の変更が可能なことが理解できよう。従って、本発明は、添付の特許請求の範囲を除いて限定されるべきではない。
【符号の説明】
【0053】
10 信号生成装置
12 信号生成部
14 オプションのチャンネル補正フィルタ
16 ローパス・フィルタ
18 間引きフィルタ
20 オプションのチャンネル補正フィルタ
22 低周波数DAC
24 オプションの増幅器
26 ハイパス・フィルタ
30 オプションのチャンネル補正フィルタ
32 高周波数DAC
34 オプションの増幅器
40 混合素子
42 出力ピン又はコネクタ
60 ダイプレクサ
62 ローパス・フィルタ
63 高周波アナログ信号
64 ハイパス・フィルタ
65 低周波アナログ信号
66 高周波アナログ信号用コンデンサ
68 低周波アナログ信号用コイル
70 抵抗器
72 抵抗器
74 抵抗器
76 抵抗器
78 抵抗器
80 抵抗器
90 ソフトウェアによる波形及びフィルタ・データ生成部
92 同期コントローラ
94 低周波数メモリ
96 高周波数メモリ
P1 出力ポート
P2 入力ポート
P3 入力ポート
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8