(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-16
(45)【発行日】2025-01-24
(54)【発明の名称】リチウム二次電池用負極およびこれを含むリチウム二次電池
(51)【国際特許分類】
H01M 4/133 20100101AFI20250117BHJP
H01M 4/36 20060101ALI20250117BHJP
H01M 4/38 20060101ALI20250117BHJP
H01M 4/587 20100101ALI20250117BHJP
【FI】
H01M4/133
H01M4/36 B
H01M4/36 C
H01M4/36 E
H01M4/38 Z
H01M4/587
(21)【出願番号】P 2021106546
(22)【出願日】2021-06-28
【審査請求日】2021-06-28
【審判番号】
【審判請求日】2023-06-22
(31)【優先権主張番号】10-2020-0078577
(32)【優先日】2020-06-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2021-0067755
(32)【優先日】2021-05-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】590002817
【氏名又は名称】三星エスディアイ株式会社
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG SDI Co., LTD.
【住所又は居所原語表記】150-20 Gongse-ro,Giheung-gu,Yongin-si, Gyeonggi-do, 446-902 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】安 元基
(72)【発明者】
【氏名】▲ペ▼ 珠惠
(72)【発明者】
【氏名】李 俊洪
(72)【発明者】
【氏名】丁 ▲ミン▼榮
【合議体】
【審判長】岩間 直純
【審判官】須原 宏光
【審判官】篠原 功一
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第110993891(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 4/13- 4/1399
H01M 4/36- 4/62
H01M 10/05-10/0587
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電流集電体;および
前記電流集電体上に位置する負極活物質層を含み、
前記負極活物質層は前記電流集電体と隣接した第1領域および前記電流集電体と接しない第2領域を含み、
前記負極活物質層はSi系物質および炭素物質を含み、前記負極活物質層に含まれるSiの含量が前記第1領域および前記第2領域で異なり、
前記Si系物質はSi粒子および第2炭素系物質が混合されたコアおよびこのコア
の表面にコーティングされた第3炭素系物質を含む複合体であ
り、
前記第2炭素系物質は結晶性炭素であり、前記第3炭素系物質は非晶質炭素であり、
前記炭素物質は結晶性炭素であり、
前記第1領域に含まれているSiの含量は前記第2領域に含まれているSiの含量の2倍~5倍である、リチウム二次電池用負極。
【請求項2】
前記Siは前記第2領域から前記第1領域方向に増加する濃度勾配で存在するものである、請求項1に記載のリチウム二次電池用負極。
【請求項3】
前記結晶性炭素は、人造黒鉛、天然黒鉛またはこれらの組み合わせである、請求項
1または2に記載のリチウム二次電池用負極。
【請求項4】
前記第1領域の厚さは、前記負極活物質層の全体厚さに対して、1%に該当する厚さから75%に該当する厚さである、請求項1から
3のいずれか一項に記載のリチウム二次電池用負極。
【請求項5】
請求項1~
4のうちのいずれか一項による負極;
正極;および
電解質を含む、リチウム二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
リチウム二次電池用負極およびこれを含むリチウム二次電池に関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近、携帯電話、ノートパソコン、電気自動車など電池を使用する電子機構の急速な普及に伴って小型軽量でありながらも相対的に高容量である二次電池の需要が急速に増大している。特に、リチウム二次電池は軽量でありエネルギー密度が高いため携帯機器の駆動電源として脚光を浴びている。これにより、リチウム二次電池の性能向上のための研究開発が活発に行われている。
【0003】
リチウム二次電池はリチウムイオンの挿入(intercalation)および脱離(deintercalation)の可能な活物質を含む正極および負極と、電解液を含む電池であって、リチウムイオンが正極および負極で挿入/脱離される時の酸化および還元反応によって電気エネルギーを生産する。
【0004】
リチウム二次電池の正極活物質としては、リチウムコバルト酸化物、リチウムニッケル酸化物、リチウムマンガン酸化物などのような遷移金属化合物が主に使用される。負極活物質としては、天然黒鉛や人造黒鉛のような結晶質系炭素材料、または非晶質系炭素材料が使用される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一実施形態は、優れた電池性能およびサイクル寿命特性を示すリチウム二次電池用負極を提供するものである。
他の一実施形態は、前記負極を含むリチウム二次電池を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態は、電流集電体;および前記電流集電体上に位置する負極活物質層を含み、前記負極活物質層は前記電流集電体と隣接した第1領域および前記電流集電体と接しない第2領域を含み、前記負極活物質層は炭素物質およびSiを含むSi系物質を含み、前記負極活物質層に含まれるSiの含量が前記第1領域および前記第2領域で異なるものである、リチウム二次電池用負極を提供する。
【0007】
前記Siの含量は、前記第2領域から前記第1領域方向に増加する濃度勾配が存在し得る。
【0008】
一実施形態において、前記第1領域に存在するSiの含量は前記第2領域に存在するSiの含量の2倍~25倍であってもよい。
【0009】
前記炭素物質は結晶性炭素であってもよく、この結晶性炭素は人造黒鉛、天然黒鉛またはこれらの組み合わせであってもよい。
【0010】
前記Si系物質は、Si粒子および第1炭素系物質を含む複合体を含むものであってもよい。
【0011】
一実施形態において、前記Si系物質は、Si粒子および第2炭素系物質が混合されたコアおよびこのコアを囲む第3炭素系物質を含んでもよい。
【0012】
前記第1領域の厚さは、前記負極活物質層の全体厚さに対して、1%に該当する厚さであり得、最大75%に該当する厚さであり得る。
【0013】
他の一実施形態によれば、前記負極、正極、および電解質を含むリチウム二次電池を提供する。
【発明の効果】
【0014】
一実施形態による負極活物質は、優れたサイクル寿命特性を示し、優れた高温保存特性を示すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】一実施形態によるリチウム二次電池用負極の構造を概略的に示した図である。
【
図2】一実施形態によるリチウム二次電池を概略的に示した図である。
【
図3】実施例1および2と、比較例1によって製造された半電池の常温サイクル寿命特性を示すグラフである。
【
図4】実施例1および2と、比較例1によって製造された半電池の高温サイクル寿命特性を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。但し、これは例示として提示されるものであって、これによって本発明が制限されず、本発明は後述の請求項の範疇によって定義されるものである。
【0017】
一実施形態によるリチウム二次電池用負極は電流集電体およびこの電流集電体上に位置する負極活物質層を含み、この負極活物質層は前記電流集電体と隣接した第1領域および前記電流集電体と隣接しない第2領域を含むものである。前記負極活物質層は炭素物質とSiを含むSi系物質を含み、前記負極活物質層に含まれるSiの含量が前記第1領域および前記第2領域で異なるものである。
【0018】
このような負極を
図1を参照して説明すれば、一実施形態によれば、負極1は電流集電体3および負極活物質層5を含み、前記電流集電体3と隣接した第1領域5aおよび前記電流集電体3と隣接しない第2領域5bを含む。
【0019】
前記第1領域は、前記負極活物質層の全体厚さに対して1%に該当する領域~75%に該当する領域を示すことができる。一実施形態によれば、前記負極活物質層の全体厚さに対して1%に該当する領域~50%に該当する領域を示すことができる。即ち、第1領域は負極活物質層の全体厚さを100%にした時、最小1%厚さに該当する領域であってもよく、最大75%厚さに該当する領域であってもよく、一実施形態によれば、最大50%厚さに該当する領域であってもよい。
【0020】
第1領域の厚さが、負極活物質層の全体厚さを100%にした時、1%以上、75%以下の厚さであり得ることを意味する。
図1に示したaが第1領域の厚さであって、a厚さが負極活物質全体厚さ(h)に対して最小1%であってもよく、最大75%であってもよく、一実施形態によれば最大50%であってもよい。
図1に示したbは、第2領域の厚さであって、b厚さが負極活物質全体厚さ(h)に対して最小25%であってもよく、最大99%であってもよく、一実施形態によれば最大50%であってもよい。一実施形態において、第2領域は第1領域に直接接触するように形成されたものであり、第1領域は電流集電体に直接接触するように形成されたものであり得る。
【0021】
前記負極活物質層に含まれるSi含量が前記第1領域および前記第2領域で互いに異なるものであって、一例を挙げれば、前記第1領域に含まれているSi含量と前記第2領域に含まれているSi含量が互いに異なるものである。一実施形態によれば、Siは第2領域から第1領域方向に増加する濃度勾配で存在するものであって、前記第1領域に含まれているSiの含量は前記第2領域に含まれているSiの含量の2倍~25倍であり得る。即ち、前記第1領域に含まれているSi含量が前記第2領域に含まれているSi含量より2倍~25倍高くてもよい。他の一実施形態によれば、負極活物質層に含まれるSi含量は、負極活物質層全体厚さを100%にした時、第2領域の最表面から第1領域方向に25%の厚さに該当する領域ごとに5重量%~8重量%ずつ増加し得る。
【0022】
Si含量が前記条件で増加する場合、充放電時に活物質層の膨張をより効果的に抑制することができ、サイクル寿命特性を向上させることができる。
【0023】
このように、負極活物質層の第1領域および第2領域、一例を挙げれば、下部および上部領域に含まれているSiの含量が互いに異なることにより、特に第2領域でのSi含量が第1領域でのSi含量より小さいものであって、一実施形態によれば、Si含量が第2領域から第1領域方向に増加する濃度勾配を有することによって、抵抗が減少し、高率充放電特性およびサイクル寿命特性が向上できる。
【0024】
このような効果は、特に第1領域に含まれているSiの含量が第2領域に含まれているSiの含量の2倍~25倍である場合、より顕著であり得る。
【0025】
Si含量が第1領域および第2領域で互いに異なっても、第2領域でのSi含量が第1領域でのSi含量より高ければ、第2領域での高いSiによる抵抗増加および初期劣化によって、高率充放電特性およびサイクル寿命特性向上効果を得ることができなくて適切でない。
【0026】
前記負極活物質層でSiの含量は負極活物質層全体重量に対して1重量%~25重量%であり得る。Siの含量がこの範囲に含まれる場合、電池体積当り容量改善効果を得ることができる。
【0027】
前記炭素物質は結晶性炭素であってもよく、人造黒鉛、天然黒鉛またはこれらの組み合わせであり得る。
【0028】
前記負極活物質層で炭素物質およびSi系物質の混合比は0.1:100~2000:100重量比であり得る。負極活物質層で、炭素物質およびSi系物質の混合比が前記範囲に含まれる場合、シリコンの体積抑制効果に優れ伝導度特性に優れて適切である。
【0029】
一実施形態で、前記Si系物質は、Si粒子および第1炭素系物質を含む複合体を含むことができる。前記第1炭素系物質は非晶質炭素または結晶質炭素であり得る。前記複合体の具体的な例を挙げれば、Si粒子および第2炭素系物質が混合されたコアおよびこのコアを囲む第3炭素系物質を含むことができる。前記第2炭素系物質および前記第3炭素系物質は同一であるか互いに異なってもよく、非晶質炭素または結晶質炭素であってもよい。
【0030】
前記非晶質炭素はピッチカーボン、ソフトカーボン、ハードカーボン、メソフェーズピッチ炭化物、焼成されたコークス、炭素繊維またはこれらの組み合わせであってもよく、前記結晶質炭素は人造黒鉛、天然黒鉛またはこれらの組み合わせであってもよい。
【0031】
前記Si粒子の粒径は10nm~30μmであってもよく、一実施形態によれば、10nm~1000nm、他の一実施形態によれば20nm~150nmであってもよい。前記Si粒子の平均粒径が前記範囲に含まれる場合、充放電時に発生する体積膨張を抑制することができ、充放電時に粒子破砕による伝導性経路(conductive path)の断絶を防止することができる。
【0032】
本明細書で、粒径は粒径粒子の平均粒径であり得る。この時、平均粒径とは、累積体積で測定する粒径D50を意味することができる。このような粒径D50は、本明細書で別途の定義がない限り、粒度分布で累積体積が50体積%である粒子の直径を意味する平均粒径D50を意味する。
【0033】
平均粒径D50の測定は当業者に広く公知された方法で測定でき、例えば、粒度分析器(Particle size analyzer)で測定するか、または透過電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope)写真または走査電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope)写真で測定することもできる。他の方法としては、動的光散乱法(dynamic light-scattering)を用いた測定装置を使用して測定し、データ分析を実施してそれぞれの粒子サイズ範囲に対して粒子数をカウントした後、これから計算して平均粒径D50値を得ることができる。
【0034】
前記Si系物質がSi粒子および第1炭素系物質を含む場合、Si粒子の含量は30重量%~70重量%であってもよく、一実施形態によれば、40重量%~50重量%であってもよい。第1炭素系物質の含量は70重量%~30重量%であってもよく、一実施形態によれば、50重量%~60重量%であってもよい。Si粒子および第1炭素系物質の含量が前記範囲に含まれる場合、高容量特性を示すことができる。
【0035】
前記Si系物質がSi粒子および第2炭素系物質が混合されたコアおよびこのコアを囲む第3炭素系物質である場合、この第3炭素系物質は5nm~100nmの厚さで存在し得る。また、第3炭素系物質はSi系物質全体100重量%に対して1重量%~50重量%であってもよく、Si粒子はSi系物質全体100重量%に対して30重量%~70重量%であってもよく、第2炭素系物質はSi系物質全体100重量%に対して20重量%~69重量%であってもよい。Si粒子、第3炭素系物質および第2炭素系物質の含量が前記範囲に含まれる場合、放電容量に優れ、容量維持率が改善できて適切である。
【0036】
前記負極活物質層は前記負極活物質と共にバインダーを含み、選択的に導電材をさらに含むことができる。
【0037】
前記負極活物質の含量は、負極活物質層全体重量に対して95重量%~99重量%であり得る。
【0038】
前記バインダーの含量は、負極活物質層全体重量に対して1重量%~5重量%であり得る。また、導電材をさらに含む場合には負極活物質を90重量%~98重量%、バインダーを1重量%~5重量%、導電材を1重量%~5重量%使用することができる。
【0039】
前記バインダーは負極活物質粒子を互いによく付着させ、また負極活物質を電流集電体によく付着させる役割を果たす。前記バインダーとしては、非水系バインダー、水系バインダーまたはこれらの組み合わせを使用することができる。
【0040】
前記非水系バインダーとしては、エチレンプロピレン共重合体、ポリアクリロニトリル、ポリスチレン、ポリビニルクロリド、カルボキシル化されたポリビニルクロリド、ポリビニルフルオライド、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミドイミド、ポリイミドまたはこれらの組み合わせが挙げられる。
【0041】
前記水系バインダーとしては、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、アクリレーテッドスチレン-ブタジエンゴム(ABR)、アクリロニトリル-ブタジエンゴム、アクリルゴム、ブチルゴム、フッ素ゴム、エチレンオキシドを含むポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリプロピレン、ポリエピクロロヒドリン、ポリホスファゼン、エチレンプロピレンジエン共重合体、ポリビニルピリジン、クロロスルホン化ポリエチレン、ラテックス、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリビニルアルコールまたはこれらの組み合わせであり得る。
【0042】
前記負極バインダーとして水系バインダーを使用する場合、粘性を付与できるセルロース系化合物を増粘剤としてさらに含むことができる。このセルロース系化合物としてはカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、またはこれらのアルカリ金属塩などを1種以上混合して使用することができる。前記アルカリ金属としてはNa、KまたはLiを使用することができる。このような増粘剤使用含量は負極活物質100重量部に対して0.1重量部~3重量部であり得る。
【0043】
前記導電材は電極に導電性を付与するために使用されるものであって、構成される電池において、化学変化を引き起こさず電子伝導性材料であればいずれのものでも使用可能である。導電材の例として天然黒鉛、人造黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、炭素繊維などの炭素系物質;銅、ニッケル、アルミニウム、銀などの金属粉末または金属繊維などの金属系物質;ポリフェニレン誘導体などの導電性ポリマー;またはこれらの混合物を含む導電性材料を使用することができる。
【0044】
前記電流集電体としては、銅箔、ニッケル箔、ステンレス鋼箔、チタン箔、ニッケル発泡体(foam)、銅発泡体、伝導性金属がコーティングされたポリマー基材、およびこれらの組み合わせからなる群より選択されるものを使用することができる。
【0045】
以下、一実施形態による負極は以下の工程で製造することができる。
Siの含量が互いに異なる負極活物質層組成物を2個以上、例えば2個以上、4個以下に製造することができる。2個以上の負極活物質組成物はSi含量以外には同一の組成を有するものであって、前記負極活物質層組成物は負極活物質、バインダーおよび選択的に導電材を含み、また溶媒を含む。この時、負極活物質は炭素物質とSiを含むSi系物質を含み、炭素物質とSi系物質の混合比は0.1:100~2000:100重量比であり得る。
【0046】
負極活物質層組成物を2個製造する場合、第1負極活物質層組成物で、Siの含量は第1負極活物質層組成物の固形分全体100重量%に対して10重量%~25重量%であってもよく、第2負極活物質層組成物でSiの含量は第2負極活物質層組成物の固形分全体100重量%に対して1重量%~15重量%であり得る。
【0047】
また、負極活物質層組成物を3個以上製造する場合、負極活物質層組成物でSiの含量が負極活物質層組成物の固形分全体100重量%に対して最小1重量%、最大25重量%範囲内で、5重量%~8重量%ずつ増加するように製造することができる。
【0048】
電流集電体にSi含量が異なる負極活物質層組成物を同時に塗布し、例えば、第1負極活物質層組成物および第2負極活物質層組成物を同時に塗布し、この時、第1負極活物質層組成物が電流集電体に直接塗布されるように実施することができる。即ち、Si含量の高い負極活物質層組成物が電流集電体に直接塗布されるように実施することができる。その次に、乾燥および圧延を実施して負極活物質層を形成する。
【0049】
このように、Si含量の異なる負極活物質層組成物を同時に塗布することによって、負極活物質層の第1領域および第2領域でSi含量の異なる負極活物質層が形成できる。また、この時の負極活物質層は、Si含量が濃度勾配で存在し得る。このような濃度勾配で存在する負極活物質層を、Si含量の異なる負極活物質組成物を二つ使用する場合には、乾燥工程の条件を適切に調節してSi含量が濃度勾配で存在する負極活物質層を形成することもできる。また、塗布工程で、活物質層組成物の固形分含量および使用する機械の油圧を調節することによって第1領域および第2領域の厚さを調節することができる。
【0050】
前記圧延工程は、当該分野で一般に使用される条件で実施することができる。
他の一実施形態は、前記負極、正極および電解液を含むリチウム二次電池を提供する。
前記正極は、電流集電体およびこの電流集電体に形成される正極活物質層を含む。
【0051】
前記正極活物質としては、リチウムの可逆的なインターカレーションおよびデインターカレーションの可能な化合物(リチエイテッドインターカレーション化合物)を使用することができる。具体的には、コバルト、マンガン、ニッケル、およびこれらの組み合わせから選択される金属とリチウムとの複合酸化物のうちの1種以上のものを使用することができる。より具体的な例としては、下記化学式のうちのいずれか一つで表される化合物を使用することができる。LiaA1-bXbD2(0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5);LiaA1-bXbO2-cDc(0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05);LiaE1-bXbO2-cDc(0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05);LiaE2-bXbO4-cDc(0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05);LiaNi1-b-cCobXcDα(0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.5、0<α≦2);LiaNi1-b-cCobXcO2-αTα(0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.5、0<α<2);LiaNi1-b-cCobXcO2-αT2(0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.5、0<α<2);LiaNi1-b-cMnbXcDα(0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.5、0<α≦2);LiaNi1-b-cMnbXcO2-αTα(0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.5、0<α<2);LiaNi1-b-cMnbXcO2-αT2(0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.5、0<α<2);LiaNibEcGdO2(0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.9、0≦c≦0.5、0.001≦d≦0.1);LiaNibCocMndGeO2(0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.9、0≦c≦0.5、0≦d≦0.5、0≦e≦0.1);LiaNibCocAldGeO2(0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.9、0≦c≦0.5、0≦d≦0.5、0≦e≦0.1);LiaNibCocMndGeO2(0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.9、0≦c≦0.5、0≦d≦0.5、0.001≦e≦0.1);LiaNiGbO2(0.90≦a≦1.8、0.001≦b≦0.1);LiaCoGbO2(0.90≦a≦1.8、0.001≦b≦0.1);LiaMn1-bGbO2(0.90≦a≦1.8、0.001≦b≦0.1);LiaMn2GbO4(0.90≦a≦1.8、0.001≦b≦0.1);LiaMn1-gGgPO4(0.90≦a≦1.8、0≦g≦0.5);QO2;QS2;LiQS2;V2O5;LiV2O5;LiZO2;LiNiVO4;Li(3-f)J2(PO4)3(0≦f≦2);Li(3-f)Fe2(PO4)3(0≦f≦2);LiaFePO4(0.90≦a≦1.8)
【0052】
上記化学式において、AはNi、Co、Mn、およびこれらの組み合わせからなる群より選択され;XはAl、Ni、Co、Mn、Cr、Fe、Mg、Sr、V、希土類元素およびこれらの組み合わせからなる群より選択され;DはO、F、S、P、およびこれらの組み合わせからなる群より選択され;EはCo、Mn、およびこれらの組み合わせからなる群より選択され;TはF、S、P、およびこれらの組み合わせからなる群より選択され;GはAl、Cr、Mn、Fe、Mg、La、Ce、Sr、V、およびこれらの組み合わせからなる群より選択され;QはTi、Mo、Mn、およびこれらの組み合わせからなる群より選択され;ZはCr、V、Fe、Sc、Y、およびこれらの組み合わせからなる群より選択され;JはV、Cr、Mn、Co、Ni、Cu、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される。
【0053】
もちろん、この化合物表面にコーティング層を有するものも使用することができ、または、前記化合物とコーティング層を有する化合物を混合して使用することもできる。このコーティング層はコーティング元素のオキシド、コーティング元素のヒドロキシド、コーティング元素のオキシヒドロキシド、コーティング元素のオキシカーボネートおよびコーティング元素のヒドロキシカーボネートからなる群より選択される少なくとも一つのコーティング元素化合物を含むことができる。これらコーティング層を成す化合物は非晶質または結晶質であり得る。前記コーティング層に含まれるコーティング元素としてはMg、Al、Co、K、Na、Ca、Si、Ti、V、Sn、Ge、Ga、B、As、Zrまたはこれらの混合物を使用することができる。コーティング層形成工程は前記化合物にこのような元素を使用して正極活物質の物性に悪影響を与えない方法(例えば、スプレーコーティング、浸漬法など)でコーティングすることができればいかなるコーティング方法を使用してもよく、これについては当該分野に従事する人々によく理解できる内容であるので、詳しい説明は省略する。
【0054】
前記正極で、前記正極活物質の含量は正極活物質層全体重量に対して90重量%~98重量%であり得る。
【0055】
一実施形態において、前記正極活物質層はバインダーおよび導電材をさらに含むことができる。この時、前記バインダーおよび導電材の含量は、正極活物質層全体重量に対してそれぞれ1重量%~5重量%であり得る。
【0056】
前記バインダーは正極活物質粒子を互いによく付着させ、また正極活物質を電流集電体によく付着させる役割を果たす。バインダーの代表的な例としては、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ジアセチルセルロース、ポリビニルクロリド、カルボキシル化されたポリビニルクロリド、ポリビニルフルオライド、エチレンオキシドを含むポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド、ポリエチレン、ポリプロピレン、スチレン-ブタジエンゴム、アクリレーテッドスチレン-ブタジエンゴム、エポキシ樹脂、ナイロンなどを使用することができるが、これに限定されるのではない。
【0057】
前記導電材は電極に導電性を付与するために使用されるものであって、構成される電池において、化学変化を引き起こさず電子伝導性材料であればいずれのものでも使用可能である。導電材の例として、天然黒鉛、人造黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、炭素繊維などの炭素系物質;銅、ニッケル、アルミニウム、銀などの金属粉末または金属繊維などの金属系物質;ポリフェニレン誘導体などの導電性ポリマー;またはこれらの混合物を含む導電性材料が挙げられる。
【0058】
前記電流集電体としてはAlを使用することができるが、これに限定されるのではない。
【0059】
前記電解液は、非水性有機溶媒およびリチウム塩を含む。
前記非水性有機溶媒は、電池の電気化学的反応に関与するイオンが移動できる媒質役割を果たす。
【0060】
前記非水性有機溶媒としては、カーボネート系、エステル系、エーテル系、ケトン系、アルコール系、または非プロトン性溶媒を使用することができる。
【0061】
前記カーボネート系溶媒としては、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジプロピルカーボネート(DPC)、メチルプロピルカーボネート(MPC)、エチルプロピルカーボネート(EPC)、メチルエチルカーボネート(MEC)、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)などが使用できる。前記エステル系溶媒としては、メチルアセテート、エチルアセテート、n-プロピルアセテート、t-ブチルアセテート、メチルプロピオネート、エチルプロピオネート、デカノリド(decanolide)、メバロノラクトン(mevalonolactone)、カプロラクトン(caprolactone)などが使用できる。前記エーテル系溶媒としては、ジブチルエーテル、テトラグライム、ジグライム、ジメトキシエタン、2-メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロフランなどが使用できる。また、前記ケトン系溶媒としては、シクロヘキサノンなどが使用できる。また、前記アルコール系溶媒としてはエチルアルコール、イソプロピルアルコールなどが使用でき、前記非プロトン性溶媒としてはR-CN(Rは炭素数2~20の直鎖状、分枝状、または環構造の炭化水素基であり、二重結合芳香環またはエーテル結合を含むことができる)などのニトリル類、ジメチルホルムアミドなどのアミド類、1,3-ジオキソランなどのジオキソラン類、スルホラン(sulfolane)類などが使用できる。
【0062】
前記有機溶媒は単独で、または一つ以上混合して使用することができ、一つ以上混合して使用する場合の混合比率は目的とする電池性能によって適切に調節することができ、これは当該分野に従事する人々には広く理解できる。
【0063】
また、前記カーボネート系溶媒の場合、環状(cyclic)カーボネートと鎖状(chain)カーボネートを混合して使用することがよい。この場合、環状カーボネートと鎖状カーボネートは1:1~1:9の体積比で混合して使用することが電解液の性能が優れるように示される。
【0064】
前記有機溶媒は、前記カーボネート系溶媒に芳香族炭化水素系有機溶媒をさらに含むこともできる。この時、前記カーボネート系溶媒と芳香族炭化水素系有機溶媒は1:1~30:1の体積比で混合できる。
【0065】
前記芳香族炭化水素系有機溶媒としては、下記化学式1の芳香族炭化水素系化合物が使用できる。
【0066】
【0067】
(上記化学式1中、R1~R6は互いに同一であるか異なり、水素、ハロゲン、炭素数1~10のアルキル基、ハロアルキル基およびこれらの組み合わせからなる群より選択されるものである。)
【0068】
前記芳香族炭化水素系有機溶媒の具体的な例としては、ベンゼン、フルオロベンゼン、1,2-ジフルオロベンゼン、1,3-ジフルオロベンゼン、1,4-ジフルオロベンゼン、1,2,3-トリフルオロベンゼン、1,2,4-トリフルオロベンゼン、クロロベンゼン、1,2-ジクロロベンゼン、1,3-ジクロロベンゼン、1,4-ジクロロベンゼン、1,2,3-トリクロロベンゼン、1,2,4-トリクロロベンゼン、ヨードベンゼン、1,2-ジヨードベンゼン、1,3-ジヨードベンゼン、1,4-ジヨードベンゼン、1,2,3-トリヨードベンゼン、1,2,4-トリヨードベンゼン、トルエン、フルオロトルエン、2,3-ジフルオロトルエン、2,4-ジフルオロトルエン、2,5-ジフルオロトルエン、2,3,4-トリフルオロトルエン、2,3,5-トリフルオロトルエン、クロロトルエン、2,3-ジクロロトルエン、2,4-ジクロロトルエン、2,5-ジクロロトルエン、2,3,4-トリクロロトルエン、2,3,5-トリクロロトルエン、ヨードトルエン、2,3-ジヨードトルエン、2,4-ジヨードトルエン、2,5-ジヨードトルエン、2,3,4-トリヨードトルエン、2,3,5-トリヨードトルエン、キシレン、およびこれらの組み合わせからなる群より選択されるものである。
【0069】
前記電解質は、電池寿命を向上させるために、ビニレンカーボネートまたは下記化学式2のエチレンカーボネート系化合物を寿命向上添加剤としてさらに含むこともできる。
【0070】
【0071】
(上記化学式2中、R7およびR8は互いに同一であるか異なり、水素、ハロゲン基、シアノ基(CN)、ニトロ基(NO2)およびフッ素化された炭素数1~5のアルキル基からなる群より選択され、前記R7とR8のうちの少なくとも一つはハロゲン基、シアノ基(CN)、ニトロ基(NO2)およびフッ素化された炭素数1~5のアルキル基からなる群より選択されるが、ただR7およびR8が全て水素ではない。)
【0072】
前記エチレンカーボネート系化合物の代表的な例としては、ジフルオロエチレンカーボネート、クロロエチレンカーボネート、ジクロロエチレンカーボネート、ブロモエチレンカーボネート、ジブロモエチレンカーボネート、ニトロエチレンカーボネート、シアノエチレンカーボネートまたはフルオロエチレンカーボネートなどが挙げられる。このような寿命向上添加剤をさらに使用する場合、その使用量は適切に調節することができる。
【0073】
前記リチウム塩は有機溶媒に溶解されて、電池内でリチウムイオンの供給源として作用して基本的なリチウム二次電池の作動を可能にし、正極と負極の間のリチウムイオンの移動を促進する役割を果たす物質である。このようなリチウム塩の代表的な例としては、LiPF6、LiBF4、LiSbF6、LiAsF6、LiN(SO2C2F5)2、Li(CF3SO2)2N、LiN(SO3C2F5)2、Li(FSO2)2N(リチウムビスフルオロスルホニルイミド(lithium bis(fluorosulfonyl)imide:LiFSI)、LiC4F9SO3、LiClO4、LiAlO2、LiAlCl4、LiN(CxF2x+1SO2)(CyF2y+1SO2)(ここで、xおよびyは自然数であり、例えば、1~20の整数である)、LiCl、LiIおよびLiB(C2O4)2(リチウムビスオキサレートボレート(lithium bis(oxalato)borate:LiBOB)からなる群より選択される一つまたは二つ以上を支持(supporting)電解塩として含む。リチウム塩の濃度は0.1M~2.0M範囲内で使用することがよい。リチウム塩の濃度が前記範囲に含まれれば、電解質が適切な伝導度および粘度を有するので優れた電解質性能を示すことができ、リチウムイオンが効果的に移動できる。
【0074】
リチウム二次電池の種類によって正極と負極の間にセパレータが存在し得る。このようなセパレータとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニリデンフルオライドまたはこれらの2層以上の多層膜が使用でき、ポリエチレン/ポリプロピレンの2層セパレータ、ポリエチレン/ポリプロピレン/ポリエチレンの3層セパレータ、ポリプロピレン/ポリエチレン/ポリプロピレンの3層セパレータなどのような混合多層膜が使用できるのはもちろんである。
【0075】
図2に本発明の一実施形態によるリチウム二次電池の分解斜視図を示した。一実施形態によるリチウム二次電池は角型のものを例として説明するが、本発明がこれに制限されるわけではなく、円筒型、パウチ型など多様な形態の電池に適用できる。
【0076】
図2を参照すれば、一実施形態によるリチウム二次電池100は、正極10と負極20の間にセパレータ30を介して巻き取られた電極組立体40と、前記電極組立体40が内蔵されるケース50を含むことができる。前記正極10、前記負極20、および前記セパレータ30は電解液(図示せず)に含浸されていてもよい。
【0077】
以下、本発明の実施例および比較例を記載する。しかし、下記の実施例は本発明の一実施例に過ぎず、本発明が下記の実施例に限定されるのではない。
【実施例】
【0078】
実施例1
人造黒鉛87.5重量%、Si系物質10重量%、カルボキシメチルセルロース1.0重量%、およびスチレン-ブタジエンゴム1.5重量%を純水中で混合して第1負極活物質スラリーを製造した。この時、前記Si系物質として人造黒鉛およびシリコン粒子を含むコアおよび前記コアの表面にソフトカーボンがコーティングされた形態のSi-炭素複合体を使用した。前記ソフトカーボンコーティング層の厚さは20nmであり、前記シリコン粒子の平均粒径D50は100nmであった。
【0079】
人造黒鉛92.5重量%、Si系物質5重量%、カルボキシメチルセルロース1.0重量%およびスチレン-ブタジエンゴム1.5重量%を純水中で混合して第2負極活物質スラリーを製造した。この時、Si系物質として人造黒鉛およびシリコン粒子を含むコアおよび前記コアの表面にソフトカーボンがコーティングされた形態のSi-炭素複合体を使用した。前記ソフトカーボンコーティング層の厚さは20nmであり、前記シリコン粒子の平均粒径D50は100nmであった。
【0080】
銅箔電流集電体に前記第1負極活物質層スラリーおよび第2負極活物質層スラリーを同時に塗布し、乾燥および圧延を実施して負極活物質層を形成して、最終的に負極を製造した。前記負極活物質層で、負極活物質層全体厚さに対して50%に該当する、前記電流集電体と隣接する領域を第1領域に、残り50%に該当し、電流集電体と接しない領域を第2領域に分類した。製造された負極活物質層で、前記第1領域に存在するSiの含量は前記第2領域に存在するSiの含量の2倍高く形成された。また、全体負極活物質層で、Siの含量は負極活物質層全体重量に対して、7.5重量%であった。
【0081】
前記負極、リチウム金属対極および電解液を使用して、通常の方法で半電池を製造した。前記電解液としては、電解質として1.5M LiPF6が溶解されたエチレンカーボネートおよびエチルメチルカーボネートおよびジメチルカーボネート(30:50:20体積比)を使用した。
【0082】
実施例2
人造黒鉛83.5重量%、Si系物質14重量%、カルボキシメチルセルロース1.0重量%、およびスチレン-ブタジエンゴム1.5重量%を純水中で混合して第1負極活物質スラリーを製造した。この時、Si系物質として人造黒鉛およびシリコン粒子を含むコアおよび前記コアの表面にソフトカーボンがコーティングされた形態のSi-炭素複合体を使用した。前記ソフトカーボンコーティング層の厚さは20nmであり、前記シリコン粒子の平均粒径D50は100nmであった。
【0083】
人造黒鉛96.5重量%、Si系物質1重量%、カルボキシメチルセルロース1.0重量%、およびスチレン-ブタジエンゴム1.5重量%を純水中で混合して第2負極活物質スラリーを製造した。この時、Si系物質として人造黒鉛およびシリコン粒子を含むコアおよび前記コアの表面にソフトカーボンがコーティングされた形態のSi-炭素複合体を使用した。前記ソフトカーボンコーティング層の厚さは20nmであり、前記シリコン粒子の平均粒径D50は100nmであった。
【0084】
銅箔電流集電体に前記第1負極活物質スラリーおよび前記第2負極活物質スラリーを同時に塗布し、乾燥および圧延を実施し、この時、乾燥工程を前記第2領域で前記第1領域方向にSi含量が増加する濃度勾配が得られるに十分な条件に調節して、濃度勾配を有する負極活物質層を形成した。
【0085】
この時、前記濃度勾配は前記第2領域の最表面から第1領域方向に25%の厚さに該当する領域ごとにSi含量が6重量%ずつ増加するものであり、前記第1領域に存在するSi平均含量は前記第2領域に存在するSi平均含量の5倍高く形成された。
前記負極を用いたことを除いては、前記実施例1と同様に実施して半電池を製造した。
【0086】
(比較例1)
人造黒鉛82.5重量%、Si系物質15重量%、カルボキシメチルセルロース1.0重量%およびスチレン-ブタジエンゴム1.5重量%を純水中で混合して第1負極活物質スラリーを製造した。この時、Si系物質として人造黒鉛およびシリコン粒子を含むコアおよび前記コアの表面にソフトカーボンがコーティングされた形態のSi-炭素複合体を使用した。前記ソフトカーボンコーティング層の厚さは20nmであり、前記シリコン粒子の平均粒径D50は100nmであった。
【0087】
人造黒鉛82.5重量%、Si系物質15重量%、カルボキシメチルセルロース1.0重量%およびスチレン-ブタジエンゴム1.5重量%を純水中で混合して第2負極活物質スラリーを製造した。この時、Si系物質として人造黒鉛およびシリコン粒子を含むコアおよび前記コアの表面にソフトカーボンがコーティングされた形態のSi-炭素複合体を使用した。前記ソフトカーボンコーティング層の厚さは20nmであり、前記シリコン粒子の平均粒径D50は100nmであった。
【0088】
銅箔電流集電体に前記第1負極活物質層スラリーおよび前記第2負極活物質スラリーを塗布し、乾燥および圧延を実施して負極活物質層を形成して、最終的に負極を製造した。前記負極活物質層で、負極活物質層全体厚さに対して50%に該当する、前記電流集電体と隣接する領域を第1領域に、残り50%に該当し、電流集電体と接しない領域を第2領域に分類した。製造された負極活物質層で、前記第1領域に存在するSiの含量は前記第2領域に存在するSiの含量と同一であった。
前記負極を用いたことを除いては、前記実施例1と同様に実施して半電池を製造した。
【0089】
実験例1)常温サイクル寿命特性評価
前記実施例1および2と前記比較例1によって製造された半電池を常温(25℃)で0.5C充電および0.5C放電の充放電を200回実施した。初回放電容量に対する200回目の放電容量の比(%)を求めて、その結果を
図3に示した。
【0090】
図3に示したように、負極活物質層が電流集電体と接する第1領域と、電流集電体と接しない第2領域を有し、前記第1領域に存在するSi含量が第2領域に存在するSi含量より2倍または5倍高い場合、常温サイクル寿命特性が優れるのが分かる。
【0091】
実験例2)高温サイクル寿命特性評価
前記実施例1および2と前記比較例1によって製造された半電池を高温(45℃)で0.5C充電および0.5C放電の充放電を200回実施した。初回放電容量に対する200回目の放電容量の比(%)を求めて、その結果を
図4に示した。
【0092】
図4に示したように、負極活物質層が電流集電体と接する第1領域と、電流集電体と接しない第2領域を有し、前記第1領域に存在するSi含量が第2領域に存在するSi含量より2倍または5倍高い場合、高温サイクル寿命特性が優れるのが分かる。
【0093】
以上を通じて本発明の好ましい実施例について説明したが、本発明はこれに限定されるのではなく、特許請求の範囲と発明の詳細な説明および添付した図面の範囲内で多様に変形して実施することが可能であり、これも本発明の範囲に属するのは当然である。
【符号の説明】
【0094】
1 負極
3 電流集電体
5 負極活物質層
5a 第1領域
5b 第2領域
10 正極
20 負極
30 セパレータ
40 電極組立体
50 ケース
100 リチウム二次電池