(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-20
(45)【発行日】2025-01-28
(54)【発明の名称】無線通信システム、無線通信方法及びアクセスポイント装置
(51)【国際特許分類】
H04W 72/1273 20230101AFI20250121BHJP
H04W 4/38 20180101ALI20250121BHJP
H04W 84/12 20090101ALI20250121BHJP
H04W 88/08 20090101ALI20250121BHJP
【FI】
H04W72/1273
H04W4/38
H04W84/12
H04W88/08
(21)【出願番号】P 2022550285
(86)(22)【出願日】2020-09-18
(86)【国際出願番号】 JP2020035424
(87)【国際公開番号】W WO2022059162
(87)【国際公開日】2022-03-24
【審査請求日】2023-02-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119677
【氏名又は名称】岡田 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100160495
【氏名又は名称】畑 雅明
(74)【代理人】
【識別番号】100115794
【氏名又は名称】今下 勝博
(72)【発明者】
【氏名】椎名 亮太
(72)【発明者】
【氏名】藤原 稔久
(72)【発明者】
【氏名】玉置 真也
(72)【発明者】
【氏名】谷口 友宏
(72)【発明者】
【氏名】原 一貴
【審査官】松原 徳久
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-020142(JP,A)
【文献】特開2015-029218(JP,A)
【文献】特開2007-150859(JP,A)
【文献】特開2004-200857(JP,A)
【文献】再公表特許第2006/009136(JP,A1)
【文献】特開2006-229620(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B7/24-7/26
H04L12/28
12/44-12/46
H04M3/00
3/16-3/20
3/38-3/58
7/00-7/16
11/00-11/10
H04W4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクセスポイント装置
と、
前記アクセスポイント装置へと上りパケットを定期的に送信する端末装置と、
前記アクセスポイント装置から下りパケットを受信する他の端末装置と、
を備える無線通信システムであって、
前記アクセスポイント装置は、
前記端末装置からの上りパケットの到来タイミング、IPアドレス及びポート番号を監視する到来監視部と、
前記到来監視部で得られたIPアドレス及びポート番号
の定期的な到来タイミングに基づいて、定期的に上りパケットを送信する該当端末装置からの上りパケットの将来の到来タイミングを予測する到来予測部と、
前記到来予測部の予測結果に基づいて、前記該当端末装置からの上りパケットの将来の到来タイミングを回避するように、前記該当端末装置以外の他の端末装置への下りパケットの送出タイミングを制御する送出制御部と、
を備えることを特徴とする無線通信システム。
【請求項2】
前記到来予測部は、前記該当端末装置からの上りパケットの到来タイミングの揺らぎに基づいて、前記該当端末装置からの上りパケットの将来の到来タイミングの時間幅を設定し、
前記送出制御部は、前記該当端末装置からの上りパケットの将来の到来タイミングの時間幅を回避するように、前記他の端末装置への下りパケットの送出タイミングを制御する
ことを特徴とする、請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項3】
前記到来予測部は、前記該当端末装置からの上りパケットの定期的な到来タイミングに基づいて、前記該当端末装置からの上りパケットの将来の複数回の到来タイミングを予測し、
前記送出制御部は、前記該当端末装置からの上りパケットの将来の隣接する到来タイミングを回避するように、前記他の端末装置への下りパケットの送出タイミングを制御する
ことを特徴とする、請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項4】
前記アクセスポイント装置は、
前記他の端末装置が従属する事業者又は前記他の端末装置が利用するサービスに応じて、前記他の端末装置への下りパケットの優先送出を実行するバッファ部、
を備えることを特徴とする、請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項5】
アクセスポイント装置
と、
前記アクセスポイント装置へと上りパケットを定期的に送信する端末装置と、
前記アクセスポイント装置から下りパケットを受信する他の端末装置と、
を備える無線通信システム
における無線通信方法であって、
前記アクセスポイント装置は、
前記端末装置からの上りパケットの到来タイミング、IPアドレス及びポート番号を監視する到来監視ステップと、
前記到来監視ステップで得られたIPアドレス及びポート番号
の定期的な到来タイミングに基づいて、定期的に上りパケットを送信する該当端末装置からの上りパケットの将来の到来タイミングを予測する到来予測ステップと、
前記到来予測ステップの予測結果に基づいて、前記該当端末装置からの上りパケットの将来の到来タイミングを回避するように、前記該当端末装置以外の他の端末装置への下りパケットの送出タイミングを制御する送出制御ステップと、
を順に実行することを特徴とする無線通信方法。
【請求項6】
アクセスポイント装置
と、
前記アクセスポイント装置へと上りパケットを定期的に送信する端末装置と、
前記アクセスポイント装置から下りパケットを受信する他の端末装置と、
を備える無線通信システム
に備わる前記アクセスポイント装置であって、
前記アクセスポイント装置は、
前記端末装置からの上りパケットの到来タイミング、IPアドレス及びポート番号を監視する到来監視部と、
前記到来監視部で得られたIPアドレス及びポート番号
の定期的な到来タイミングに基づいて、定期的に上りパケットを送信する該当端末装置からの上りパケットの将来の到来タイミングを予測する到来予測部と、
前記到来予測部の予測結果に基づいて、前記該当端末装置からの上りパケットの将来の到来タイミングを回避するように、前記該当端末装置以外の他の端末装置への下りパケットの送出タイミングを制御する送出制御部と、
を備えることを特徴とするアクセスポイント装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、アクセスポイント装置を用いる無線通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、無線利用の需要からWi-Fi(登録商標)を利用するサービスが広がりつつある。そして、有線接続ではなく無線接続(例えば、Wi-Fi)を利用する監視カメラ及び環境センサ等が増えている。しかし、有線接続と比べて無線接続(特に、無線LAN)において、監視カメラ及び環境センサ等は、通信品質の高さ及び情報提供の確実性に影響を受けやすい(例えば、非特許文献1を参照)。そして、一つの無線LAN中の一台のアクセスポイント装置が、スマートフォン等のユーザ端末から監視カメラ及び環境センサ等に及ぶ多様な端末装置を収容するときには、監視カメラ及び環境センサ等は、接続端末数の突発的増加等により、通信品質の高さ及び情報提供の確実性に影響を受けやすい。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】“AT-740 製品情報”、[online]、2020年7月27日、オルタプラス、[2020年9月9日検索]、インターネット<URL:http://alterplus.jp/products/network/at740/>
【文献】I.A.Ali,M.Fleury,and M.Ghanbari,“Distortion-based slice level prioritization for real-time video over QoS-enabled wireless networks”,Advances in Multimedia,Volume 2012,Article ID 319785.
【文献】若尾佳佑、河村憲一、守山貴庸、“複数無線アクセス最適利用のための品質予測技術”、NTT技術ジャーナル、2020.4、pp.11-13.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
監視カメラ及び環境センサ等が、通信品質の高さ及び情報提供の確実性に影響を受けにくくするために、非特許文献2、3に開示された技術を適用することができる。ここで、非特許文献2では、特定パケットの優先制御技術として、MAC層のキュー制御を実行し、特定パケットを優先的に送出する、QoS制御方式802.11eが開示されている。そして、非特許文献3では、通信品質の安定化技術として、複数の無線区間の通信品質を予測し、複数の無線リソースを予測的に切り替える、品質予測技術が開示されている。
【0005】
しかし、非特許文献2では、特定パケットの優先制御技術が有効になるために、アクセスポイント装置及び端末装置の両方が優先制御規格に対応している必要がある。仮に、一台でも端末装置が優先制御規格に対応していなければ、優先制御の全体最適が乱されてしまい、意図せぬパケット衝突が生じてしまう。特に、監視カメラ及び環境センサ等からの上りパケットの増加に伴って、スマートフォン等のユーザ端末への下りパケットとの間において、意図せぬパケット衝突が生じてしまい、無線通信システム全体での帯域利用効率が低下してしまう。そして、非特許文献3では、通信品質の安定化技術は開示されているが、特定の事業者又はサービスの単位での優先制御技術は開示されていない。
【0006】
そこで、前記課題を解決するために、本開示は、アクセスポイント装置を用いる無線通信システムにおいて、いずれかの端末装置が優先制御規格に対応していなくても、監視カメラ及び環境センサ等からの上りパケットの増加に関わらず、スマートフォン等のユーザ端末への下りパケットとの間において、意図せぬパケット衝突を生じさせないことにより、無線通信システム全体での帯域利用効率を改善することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、監視カメラ及び環境センサ等からの上りパケットの定期性に着目する。そして、アクセスポイント装置は、監視カメラ及び環境センサ等からの上りパケットの定期的な到来タイミングに基づいて、監視カメラ及び環境センサ等からの上りパケットの将来の到来タイミングを予測する。さらに、アクセスポイント装置は、監視カメラ及び環境センサ等からの上りパケットの将来の到来タイミングを回避するように、スマートフォン等のユーザ端末への下りパケットの送出タイミングを制御する。
【0008】
具体的には、本開示は、アクセスポイント装置と、前記アクセスポイント装置へと上りパケットを定期的に送信する端末装置と、前記アクセスポイント装置から下りパケットを受信する他の端末装置と、を備える無線通信システムであって、前記アクセスポイント装置は、前記端末装置からの上りパケットの到来タイミングを監視する到来監視部と、前記端末装置からの上りパケットの定期的な到来タイミングに基づいて、前記端末装置からの上りパケットの将来の到来タイミングを予測する到来予測部と、前記端末装置からの上りパケットの将来の到来タイミングを回避するように、前記他の端末装置への下りパケットの送出タイミングを制御する送出制御部と、を備えることを特徴とする無線通信システムである。
【0009】
また、本開示は、アクセスポイント装置と、前記アクセスポイント装置へと上りパケットを定期的に送信する端末装置と、前記アクセスポイント装置から下りパケットを受信する他の端末装置と、を備える無線通信システムにおける無線通信方法であって、前記アクセスポイント装置は、前記端末装置からの上りパケットの到来タイミングを監視する到来監視ステップと、前記端末装置からの上りパケットの定期的な到来タイミングに基づいて、前記端末装置からの上りパケットの将来の到来タイミングを予測する到来予測ステップと、前記端末装置からの上りパケットの将来の到来タイミングを回避するように、前記他の端末装置への下りパケットの送出タイミングを制御する送出制御ステップと、を順に実行することを特徴とする無線通信方法である。
【0010】
また、本開示は、アクセスポイント装置と、前記アクセスポイント装置へと上りパケットを定期的に送信する端末装置と、前記アクセスポイント装置から下りパケットを受信する他の端末装置と、を備える無線通信システムにおけるアクセスポイント装置であって、前記端末装置からの上りパケットの到来タイミングを監視する到来監視部と、前記端末装置からの上りパケットの定期的な到来タイミングに基づいて、前記端末装置からの上りパケットの将来の到来タイミングを予測する到来予測部と、前記端末装置からの上りパケットの将来の到来タイミングを回避するように、前記他の端末装置への下りパケットの送出タイミングを制御する送出制御部と、を備えることを特徴とするアクセスポイント装置である。
【0011】
これらの構成によれば、監視カメラ及び環境センサ等からの上りパケットについて、スマートフォン等のユーザ端末への下りパケットと比べて、優先制御を実行することができる。そして、監視カメラ及び環境センサ等からの上りパケットと、スマートフォン等のユーザ端末への下りパケットと、の間のパケット衝突を防止することができる。よって、無線通信システム全体での帯域利用効率を改善することができる。さらに、アクセスポイント装置及び端末装置の無線通信方式及び優先制御規格に手を加えず/依存せず、アクセスポイント装置のソフトウェア制御を用いて、本開示の発明を実現することができる。
【0012】
また、本開示は、前記到来予測部は、前記端末装置からの上りパケットの到来タイミングの揺らぎに基づいて、前記端末装置からの上りパケットの将来の到来タイミングの時間幅を設定し、前記送出制御部は、前記端末装置からの上りパケットの将来の到来タイミングの時間幅を回避するように、前記他の端末装置への下りパケットの送出タイミングを制御することを特徴とする無線通信システムである。
【0013】
この構成によれば、監視カメラ及び環境センサ等からの上りパケットの到来タイミングの揺らぎをさらに考慮したうえで、当該揺らぎを除く期間において、スマートフォン等のユーザ端末への下りパケットの送出タイミングを制御することができる。
【0014】
また、本開示は、前記到来予測部は、前記端末装置からの上りパケットの定期的な到来タイミングに基づいて、前記端末装置からの上りパケットの将来の複数回の到来タイミングを予測し、前記送出制御部は、前記端末装置からの上りパケットの将来の隣接する到来タイミングを回避するように、前記他の端末装置への下りパケットの送出タイミングを制御することを特徴とする無線通信システムである。
【0015】
この構成によれば、監視カメラ及び環境センサ等からの上りパケットの到来タイミングの間隔をさらに考慮したうえで、当該間隔にほぼ等しい期間において、スマートフォン等のユーザ端末への下りパケットの送出タイミングを制御することができる。
【0016】
また、本開示は、前記アクセスポイント装置は、前記他の端末装置が従属する事業者又は前記他の端末装置が利用するサービスに応じて、前記他の端末装置への下りパケットの優先送出を実行するバッファ部、を備えることを特徴とする無線通信システムである。
【0017】
この構成によれば、特定の事業者又はサービスの単位(監視カメラ及び環境センサ等と、スマートフォン等のユーザ端末と、の単位)での優先制御を実行することができる。
【発明の効果】
【0018】
このように、本開示は、アクセスポイント装置を用いる無線通信システムにおいて、いずれかの端末装置が優先制御規格に対応していなくても、監視カメラ及び環境センサ等からの上りパケットの増加に関わらず、スマートフォン等のユーザ端末への下りパケットとの間において、意図せぬパケット衝突を生じさせないことにより、無線通信システム全体での帯域利用効率を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本開示の第1実施形態の無線通信システムの構成を示す図である。
【
図2】本開示の第1実施形態の無線通信システムの処理を示す図である。
【
図3】本開示の第2実施形態の無線通信システムの構成を示す図である。
【
図4】本開示の第2実施形態の無線通信システムの処理を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
添付の図面を参照して本開示の実施形態を説明する。以下に説明する実施形態は本開示の実施の例であり、本開示は以下の実施形態に制限されるものではない。
【0021】
(本開示の第1実施形態の無線通信システム)
本開示の第1実施形態の無線通信システムの構成を
図1に示す。本開示の第1実施形態の無線通信システムの処理を
図2に示す。無線通信システムSは、アクセスポイント装置1、端末装置2-1、2-2、2-3及び制御サーバ3を備える。
【0022】
アクセスポイント装置1は、送受信部11、到来監視部12、到来予測部13、送出制御部14及びバッファ部15を備え、コンピュータ及び
図2に示した優先制御プログラムによっても実現することができる。
図2に示した優先制御プログラムは、記録媒体に記録することもでき、ネットワークを通じて提供することもできる。
【0023】
端末装置2-1、2-2は、スマートフォン等のユーザ端末であり、主としてアクセスポイント装置1から下りパケットを受信する。端末装置2-3は、監視カメラ及び環境センサ等であり、主としてアクセスポイント装置1へと上りパケットを定期的に送信する。
【0024】
制御サーバ3は、以下に説明する制御ポリシを、アクセスポイント装置1の到来監視部12、到来予測部13、送出制御部14及びバッファ部15に配信する。
【0025】
送受信部11は、端末装置2-3(監視カメラ及び環境センサ等)から上りパケットU-3を定期的に受信し、アクセスポイント装置1の上位装置へと上りパケットを定期的に送信する。そして、アクセスポイント装置1の上位装置から下りパケットを受信し、端末装置2-1、2-2(スマートフォン等のユーザ端末)へと下りパケットD-1、D-2を送信する。ここで、無線通信方式(Wi-Fi等)は特に限定されず、Wi-Fiの詳細規格(a/b/g/n/ac/ax等)も特に限定されない。
【0026】
到来監視部12は、端末装置2-3(監視カメラ及び環境センサ等)からの上りパケットU-3の到来タイミング、IPアドレス及びポート番号等を監視する。
【0027】
到来予測部13は、端末装置2-3(監視カメラ及び環境センサ等)からの上りパケットU-3の定期的な到来タイミングに基づいて、端末装置2-3(監視カメラ及び環境センサ等)からの上りパケットU-3の将来の到来タイミングtk、tk+1を予測する。
【0028】
送出制御部14は、端末装置2-3(監視カメラ及び環境センサ等)からの上りパケットU-3の将来の到来タイミングtk、tk+1を回避するように、端末装置2-1、2-2(スマートフォン等のユーザ端末)への下りパケットD-1、D-2の送出タイミングtk<t<tk+1を制御する。バッファ部15は、当該送出タイミングtk<t<tk+1に基づいて、端末装置2-1、2-2(スマートフォン等のユーザ端末)への下りパケットD-1、D-2について、キューイング/バッファリング/パケット廃棄を実行する。
【0029】
つまり、端末装置2-3(監視カメラ及び環境センサ等)からの上りパケットU-3について、端末装置2-1、2-2(スマートフォン等のユーザ端末)への下りパケットD-1、D-2と比べて、優先制御を実行することができる。そして、端末装置2-3(監視カメラ及び環境センサ等)からの上りパケットU-3と、端末装置2-1、2-2(スマートフォン等のユーザ端末)への下りパケットD-1、D-2と、の間のパケット衝突を防止することができる。よって、無線通信システムS全体での帯域利用効率を改善することができる。さらに、アクセスポイント装置1及び端末装置2-1、2-2、2-3の無線通信方式及び優先制御規格に手を加えず/依存せず、アクセスポイント装置1のソフトウェア制御を用いて、本開示の発明を実現することができる。
【0030】
到来予測部13は、端末装置2-3(監視カメラ及び環境センサ等)からの上りパケットU-3の到来タイミングの揺らぎΔtに基づいて、端末装置2-3(監視カメラ及び環境センサ等)からの上りパケットU-3の将来の到来タイミングの時間幅tk-Δt/2≦t≦tk+Δt/2、tk+1-Δt/2≦t≦tk+1+Δt/2を設定してもよい。
【0031】
送出制御部14は、端末装置2-3(監視カメラ及び環境センサ等)からの上りパケットU-3の将来の到来タイミングの時間幅t
k-Δt/2≦t≦t
k+Δt/2、t
k+1-Δt/2≦t≦t
k+1+Δt/2を回避するように、端末装置2-1、2-2(スマートフォン等のユーザ端末)への下りパケットD-1、D-2の送出タイミングt
k+Δt/2<t<t
k+1-Δt/2(期間Δξ=t
k+1-t
k-Δt)を制御してもよい。バッファ部15は、当該送出タイミングt
k+Δt/2<t<t
k+1-Δt/2(期間Δξ=t
k+1-t
k-Δt)に基づいて、端末装置2-1、2-2(スマートフォン等のユーザ端末)への下りパケットD-1、D-2について、キューイング/バッファリング/パケット廃棄を実行してもよい。
図2では、バッファ部15は、端末装置2-1、2-2(スマートフォン等のユーザ端末)への下りパケットD-1、D-2を、当該到来タイミングの時間幅t
k-Δt/2≦t≦t
k+Δt/2に格納し、待ち時間を経て、当該送出タイミングt
k+Δt/2<t<t
k+1-Δt/2(期間Δξ=t
k+1-t
k-Δt)に送出する。
【0032】
つまり、端末装置2-3(監視カメラ及び環境センサ等)からの上りパケットU-3の到来タイミングの揺らぎをさらに考慮したうえで、当該揺らぎを除く期間において、端末装置2-1、2-2(スマートフォン等のユーザ端末)への下りパケットD-1、D-2の送出タイミングを制御することができる。そして、端末装置2-3(監視カメラ及び環境センサ等)からの上りパケットU-3の到来タイミングの間隔をさらに考慮したうえで、当該間隔にほぼ等しい期間において、端末装置2-1、2-2(スマートフォン等のユーザ端末)への下りパケットD-1、D-2の送出タイミングを制御することができる。
【0033】
(本開示の第2実施形態の無線通信システム)
本開示の第2実施形態の無線通信システムの構成を
図3に示す。本開示の第2実施形態の無線通信システムの処理を
図4に示す。以下では、本開示の第2実施形態が、本開示の第1実施形態と比べて、相違する部分について、主として説明する。
【0034】
端末装置2-1(スマートフォン等のユーザ端末)が従属する事業者、又は、当該端末装置2-1が利用するサービスは、#1であるとする。端末装置2-2(スマートフォン等のユーザ端末)が従属する事業者、又は、当該端末装置2-2が利用するサービスは、#2であるとする。端末装置2-3(監視カメラ及び環境センサ等)が従属する事業者、又は、当該端末装置2-3が利用するサービスは、#3であるとする。
【0035】
アクセスポイント装置1は、端末装置2-1、2-2、2-3に対応する仮想処理部16-1、16-2、16-3を備え、コンピュータ及び
図4に示した優先制御プログラムによっても実現することができる。
図4に示した優先制御プログラムは、記録媒体に記録することもでき、ネットワークを通じて提供することもできる。
【0036】
制御サーバ3は、以下に説明する制御ポリシを、アクセスポイント装置1の到来監視部12、到来予測部13、送出制御部14及びバッファ部15に配信する。
【0037】
仮想処理部16-1、16-2、16-3は、VM又はコンテナ等であり、事業者/サービス#1、#2、#3について、個別のAPP処理を実行する。
【0038】
バッファ部15は、端末装置2-1、2-2(スマートフォン等のユーザ端末)が従属する事業者、又は、当該端末装置2-1、2-2が利用するサービスに応じて、当該端末装置2-1、2-2への下りパケットD-1、D-2の優先送出を実行する。
【0039】
端末装置2-1(スマートフォン等のユーザ端末)について、下り通信の優先度は、中程度に設定されている。端末装置2-2(スマートフォン等のユーザ端末)について、下り通信の優先度は、最も高く設定されている。端末装置2-3(監視カメラ及び環境センサ等)について、下り通信の優先度は、最も低く設定されている。
【0040】
第1実施形態の
図2では、バッファ部15は、端末装置2-1、2-2(スマートフォン等のユーザ端末)への下りパケットD-1、D-2を、上記到来タイミングの時間幅t
k-Δt/2≦t≦t
k+Δt/2にこの順序で格納し、下り通信の優先度に関わらず、上記送出タイミングt
k+Δt/2<t<t
k+1-Δt/2にこの順序で送出する。
【0041】
第2実施形態の
図4では、バッファ部15は、端末装置2-1、2-2(スマートフォン等のユーザ端末)への下りパケットD-1、D-2を、上記到来タイミングの時間幅t
k-Δt/2≦t≦t
k+Δt/2にこの順序で格納し、下り通信の優先度に基づいて、上記送出タイミングt
k+Δt/2<t<t
k+1-Δt/2に逆の順序で送出する。
【0042】
つまり、特定の事業者又はサービスの単位(監視カメラ及び環境センサ等と、スマートフォン等のユーザ端末と、の単位)での優先制御を実行することができる。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本開示の無線通信システム、無線通信方法及びアクセスポイント装置は、監視カメラ及び環境センサ等と、スマートフォン等のユーザ端末と、を収容することができる。
【符号の説明】
【0044】
S:無線通信システム
1:アクセスポイント装置
2-1、2-2、2-3:端末装置
3:制御サーバ
11:送受信部
12:到来監視部
13:到来予測部
14:送出制御部
15:バッファ部
16-1、16-2、16-3:仮想処理部
U-3:上りパケット
D-1、D-2:下りパケット