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特許7622757設定変更装置、設定変更方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-20
(45)【発行日】2025-01-28
(54)【発明の名称】設定変更装置、設定変更方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04L 67/10 20220101AFI20250121BHJP
   H04L 41/082 20220101ALI20250121BHJP
【FI】
H04L67/10
H04L41/082
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022581053
(86)(22)【出願日】2021-02-09
(86)【国際出願番号】 JP2021004785
(87)【国際公開番号】W WO2022172331
(87)【国際公開日】2022-08-18
【審査請求日】2023-06-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004381
【氏名又は名称】弁理士法人ITOH
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100124844
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 隆治
(72)【発明者】
【氏名】宮本 克真
【審査官】安井 雅史
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-078839(JP,A)
【文献】国際公開第2020/235073(WO,A1)
【文献】特開2016-206940(JP,A)
【文献】特開2006-295728(JP,A)
【文献】特開2015-032301(JP,A)
【文献】特開2019-075057(JP,A)
【文献】特開2011-124807(JP,A)
【文献】特開2013-187806(JP,A)
【文献】特開2008-033836(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 12/00-12/66
H04L 41/00-69/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冗長構成に係る複数のネットワーク機器に対する設定変更の指示が入力されると、前記複数のネットワーク機器に関してソフトウェアの更新中であるかを判定する判定部と、
いずれかの前記ネットワーク機器が前記ソフトウェアの更新中である場合に、全ての前記ネットワーク機器のソフトウェアの更新が完了するまで待機して、当該ネットワーク機器に関して前記設定変更を実行する設定変更部と、
を有することを特徴とする設定変更装置。
【請求項2】
前記複数のネットワーク機器のうち、予備系の第1のネットワーク機器に対して前記ソフトウェアの更新を行った後で稼働系と予備系とを入れ替えて、新たに予備系となった第2のネットワーク機器に対して前記ソフトウェアの更新を行う更新制御部を有し、
前記更新制御部は、前記第1のネットワーク機器に対する更新の開始に伴って、前記複数のネットワーク機器に収容されるユーザについて更新中であることを示す情報を記憶部に記録し、前記第2のネットワーク機器に対する更新の完了に伴って、当該情報を前記記憶部から削除し、
前記判定部は、前記記憶部に前記情報が記憶されている場合に、前記更新中であると判定し、
前記設定変更部は、前記記憶部から前記情報が削除されるまで、前記設定変更を待機する、
ことを特徴とする請求項1記載の設定変更装置。
【請求項3】
冗長構成に係る複数のネットワーク機器に対する設定変更の指示が入力されると、前記複数のネットワーク機器に関してソフトウェアの更新中であるかを判定する判定手順と、
いずれかの前記ネットワーク機器が前記ソフトウェアの更新中である場合に、全ての前記ネットワーク機器のソフトウェアの更新が完了するまで待機して、当該ネットワーク機器に関して前記設定変更を実行する設定変更手順と、
をコンピュータが実行することを特徴とする設定変更方法。
【請求項4】
請求項1又は2記載の設定変更装置としてコンピュータを機能させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、設定変更装置、設定変更方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ルータやスイッチなど(以下、「ネットワーク機器」という。)のソフトウェアプログラム(以下、単に「ソフトウェア」という。)を更新する際、ネットワーク機器本体のソフトウェア変更や再起動が伴うため、ユーザ通信が遮断される。
【0003】
ネットワーク機器が2N冗長を構成する場合は、ユーザ通信を0系と1系で切り替え、Standby側のネットワーク機器のソフトウェアを更新することで、ユーザ通信を維持したままソフトウェアの更新が可能である(非特許文献1)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】Cisco Systems、"インサービスソフトウェアアップグレード(ISSU),"、[online]、インターネット<URL:https://www.cisco.com/c/ja_jp/td/docs/switches/lan/catalyst_standalones/b-in-service-software-upgrade-issu.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、サービス利用者の契機によって動的にネットワーク設定(ネットワーク機器の設定)の変更が行われるサービス(例えば、サービス利用者がWebブラウザの操作画面(ダッシュボード)でサービス加入や変更のオーダ(SO:Service order)の入力を行い、その操作を契機に、オーダに応じてネットワーク設定が変更されるサービス)では、ソフトウェア更新中にサービス利用者によるSO投入が発生した場合、ユーザ通信は維持されるが、オーケストレータからの当該SOに応じたネットワーク設定の投入において以下の課題が発生する。
【0006】
ソフトウェアの更新中のネットワーク機器に対してオーケストレータからの設定を投入できず、SOに応じた設定処理が完了しない。その結果、冗長構成の片方のネットワーク機器のみに設定が投入され、0/1系で状態不整合が発生する。
【0007】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであって、冗長構成を有するネットワーク機器群に対するソフトウェアの更新中における設定変更においてネットワーク機器間の不整合の発生を回避することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで上記課題を解決するため、設定変更装置は、冗長構成に係る複数のネットワーク機器に対する設定変更の指示が入力されると、前記複数のネットワーク機器に関してソフトウェアの更新中であるかを判定する判定部と、いずれかの前記ネットワーク機器が前記ソフトウェアの更新中である場合に、全ての前記ネットワーク機器のソフトウェアの更新が完了するまで待機して、当該ネットワーク機器に関して前記設定変更を実行する設定変更部と、を有する。

【発明の効果】
【0009】
冗長構成を有するネットワーク機器群に対するソフトウェアの更新中における設定変更においてネットワーク機器間の不整合の発生を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1の実施の形態における通信システムの構成例を示す図である。
図2】第1の実施の形態におけるユーザポータル10のハードウェア構成例を示す図である。
図3】第1の実施の形態における保守用コンソール20、ユーザポータル10及びオーケストレータ30の機能構成例を示す図である。
図4】第1の実施の形態におけるソフトウェア更新処理の処理手順の一例を説明するためのシーケンス図である。
図5】第1の実施の形態においてSOに応じて実行される処理手順の一例を説明するためのシーケンス図である。
図6】第2の実施の形態における保守用コンソール20、ユーザポータル10及びオーケストレータ30の機能構成例を示す図である。
図7】第2の実施の形態におけるソフトウェア更新処理の処理手順の一例を説明するためのシーケンス図である。
図8】第2の実施の形態においてSOに応じて実行される処理手順の一例を説明するためのシーケンス図である。
図9】第3の実施の形態における保守用コンソール20、ユーザポータル10及びオーケストレータ30の機能構成例を示す図である。
図10】第3の実施の形態におけるソフトウェア更新処理の処理手順の一例を説明するためのシーケンス図である。
図11】第3の実施の形態においてSOに応じて実行される処理手順の一例を説明するためのシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。図1は、第1の実施の形態における通信システムの構成例を示す図である。図1に示されるように、通信システムは、ユーザポータル10、保守用コンソール20、オーケストレータ30、複数のGW(gateway)40、及び1以上のUE(User Equipment)50等を含む。オーケストレータ30は、ユーザポータル10及び各GW40と通信可能である。
【0012】
UE50は、パケット通信の発着信を行うデバイスであり、通信システムにおいて提供されるサービス(以下、単に「サービス」という。)の利用者によって利用される。例えば、PCやスマートフォン、IoT(Internet of Things)デバイス等がUE50の一例である。図1において、UE50を始点とする矢印は、UE50から発信されたパケットの経路の一例を示す。UE50を介してサービスを利用する者を「ユーザ」という。なお、1人のユーザが複数のUE50を有してもよい。
【0013】
GW40は、ネットワーク上を流れるパケットを処理する装置全般であり、本実施の形態においてネットワーク機器の一例である。1つ以上のUE50のトラフィックが1つ以上のGW40又はGW40ペア(冗長構成のGW40のペア)を多段に経由する。例えば、EPC(S-GW40やP-GW40など)や5GC(UPFなど)、基地局(eNodeBやgNodeBなど)、ルータやスイッチといった、ネットワーク機器全般(L2/L3転送、ファイヤウォール、VPN接続機器、DPI、プロキシなど、ネットワーク機能を有するもの)がGW40の一例である。GW40は、物理装置であってもよいし、仮想装置であってもよい。
【0014】
なお、GW40は、GW40aのように単体構成でもよいが、GW40b及びGW40cのように冗長構成(例えば、0系1系で冗長ペアが1セット)を取っていることが望ましい。冗長構成は、2N、N+1、N+Mなどといった構成に限定されない。また、ActiveやStandbyといった状態の組み合わせも限定されない。
【0015】
ユーザポータル10は、サービス利用者からのSO(Service order)の入力を遠隔的な(ネットワークを介して)GUI(Graphical User Interface)(Webページ等)やCLI(Command Line Interface)を介して受け付けるとともに、ネットワーク設定(主に、GW40に対する設定変更)の契機となる機能部として機能するコンピュータである。SOとは、サービス加入又は変更等に関するオーダ情報をいう。後述されるように、本実施の形態において、SOは、GW40に対する設定の変更の契機となる。したがって、SOは、実質的に、GW40の設定変更の指示に相当する。
【0016】
サービス利用者とは、サービスのユーザ側において、SOの入力を行う立場に有るものをいい、サービス利用者自身がサービスのユーザであってもよいし、サービス利用者自身はオペレータ(システム保守者)等であってもよい。例えば、企業のモバイル端末を管理するサービスであれば、サービス利用者は、企業のシステム部署であり、UE50は各社員(各ユーザ)の社用スマートフォンとなり、システム部署が社用スマートフォンをユーザポータル10から一括管理することが想定される。一方、IoT向けのサービスであれば、サービス利用者自身が所有するIoT端末(UE50)を一括管理するので、UE50のユーザとサービス利用者は同一人物となることが想定される。ユーザポータル10は、受け付けたSOをオーケストレータ30に投入(送信)する。
【0017】
保守用コンソール20は、システム保守者からGW40のソフトウェアプログラム(以下、単に「ソフトウェア」という。)の更新指示の入力を受け付け、当該更新指示をオーケストレータ30へ送信する機能部として機能する装置である。更新指示の入力を受け付けるためのユーザインタフェース(GUI等)は、Webページとして提供されてもよいし、コンソ-ルにインストールされる専用のプログラムによって実現されてもよい。
【0018】
システム保守者とは、GW40のソフトウェアの更新のための操作(更新指示の入力等)を行う者をいう。なお、本実施の形態では、更新指示が保守用コンソール20を介して入力される例を示すが、システム保守者からの更新指示は、オーケストレータ30を介して入力されてもよいし、GW40に対して直接入力されてもよい。
【0019】
オーケストレータ30は、ユーザポータル10からのSOに応じて、設定変更が必要な装置(GW40)に対して設定投入(設定変更)を行うと共に、保守用コンソール20からの更新指示に応じて、GW40のソフトウェアの更新を制御する機能部として機能するコンピュータであり、GW40を操作可能な装置(Openflow Controllerなど)を含む。なお、オーケストレータ30は、rest-APIを介してGW40を制御(設定変更や更新)可能であってもよい。但し、GW40を制御可能なAPI(Application Program Interface)であれば、他のAPIが用いられてもよい。
【0020】
なお、オーケストレータ30は、ユーザポータル10と同じコンピュータを用いて実現されてもよいし、GW40がオーケストレータ30の機能を兼ねてもよい。
【0021】
図2は、本発明の実施の形態におけるユーザポータル10のハードウェア構成例を示す図である。図2のユーザポータル10は、それぞれバスBで相互に接続されているドライブ装置100、補助記憶装置102、メモリ装置103、CPU104、及びインタフェース装置105等を有する。
【0022】
ユーザポータル10での処理を実現するプログラムは、CD-ROM等の記録媒体101によって提供される。プログラムを記憶した記録媒体101がドライブ装置100にセットされると、プログラムが記録媒体101からドライブ装置100を介して補助記憶装置102にインストールされる。但し、プログラムのインストールは必ずしも記録媒体101より行う必要はなく、ネットワークを介して他のコンピュータよりダウンロードするようにしてもよい。補助記憶装置102は、インストールされたプログラムを格納すると共に、必要なファイルやデータ等を格納する。
【0023】
メモリ装置103は、プログラムの起動指示があった場合に、補助記憶装置102からプログラムを読み出して格納する。CPU104は、メモリ装置103に格納されたプログラムに従ってユーザポータル10に係る機能を実行する。インタフェース装置105は、ネットワークに接続するためのインタフェースとして用いられる。
【0024】
なお、オーケストレータ30、保守用コンソール20及びGW40も図2に示されるハードウェア構成を有してもよい。
【0025】
図3は、第1の実施の形態における保守用コンソール20、ユーザポータル10及びオーケストレータ30の機能構成例を示す図である。図3において、保守用コンソール20は、更新指示受付部21を有する。更新指示受付部21は、保守用コンソール20にインストールされた1以上のプログラムが、保守用コンソール20のCPUに実行させる処理により実現される。
【0026】
ユーザポータル10は、オーダ受付部11、判定部12及びオーダ送信部13を有する。これら各部は、コンソ-ルにインストールされた1以上のプログラムが、CPU104に実行させる処理により実現される。ユーザポータル10は、また、更新情報記憶部121を利用する。更新情報記憶部121は、例えば、補助記憶装置102、又はコンソ-ルにネットワークを介して接続可能な記憶装置等を用いて実現可能である。
【0027】
オーケストレータ30は、更新制御部31、オーダ受信部32及び設定変更部33を有する。これら各部は、オーケストレータ30にインストールされた1以上のプログラムが、オーケストレータ30のCPUに実行させる処理により実現される。オーケストレータ30は、また、顧客情報記憶部321を利用する。顧客情報記憶部321は、例えば、オーケストレータ30が有する補助記憶装置、又はオーケストレータ30にネットワークを介して接続可能な記憶装置等を用いて実現可能である。
【0028】
以下、第1の実施の形態において実行される処理手順について説明する。図4は、第1の実施の形態におけるソフトウェア更新処理の処理手順の一例を説明するためのシーケンス図である。
【0029】
ステップS110において、保守用コンソール20の更新指示受付部21は、ソフトウェアの更新指示をシステム保守者から受け付ける。当該更新指示には、更新対象のGW40を(以下、「対象GW40」という。)示す情報(以下、「GW情報」という。)が含まれる。続いて、更新指示受付部21は、当該更新指示をオーケストレータ30へ送信する(S120)。
【0030】
オーケストレータ30の更新制御部31は、当該更新指示を受信すると、対象GW40に収容されるユーザ(以下、「対象ユーザ」という。)のユーザ情報(ユーザID)を顧客情報記憶部321から取得する(S130、S140)。すなわち、顧客情報記憶部321には、各ユーザがいずれのGW40に収容されるのかを示す情報(ユーザIDとGW40のIDとの対応情報)が記憶されている。したがって、更新制御部31は、当該更新指示に含まれるGW情報に対応するユーザ情報を顧客情報記憶部321から取得する。
【0031】
続いて、更新制御部31は、対象ユーザのユーザIDに対応付けて、対象ユーザが収容されるGW40のステータスがソフトウェアの更新中であることを示す更新情報(ユーザID,ステータス)を更新情報記憶部121へ記録する(S150)。ステータスとは、GW40に対するソフトウェアの更新状況を示す情報をいい、その値は「更新中」又は「更新完了」である。ステップS150では、ステータスとして「更新中」が記録される。
【0032】
続いて、更新制御部31は、対象GW40(ここでは、GW40b及びGW40cのペアであるとする)についてソフトウェアの更新の制御を実行する。但し、稼働系であるGW40bにはユーザのトラフィックが流れているので、直ちに更新を行うと通信断が発生してしまう。
【0033】
そこで、更新制御部31は、まず、予備系のGW40cからソフトウェアの更新を開始する(S160)。GW40cの更新が完了すると(S170)、更新制御部31は、冗長切替操作を実行して稼働系と予備系とを入れ替える(S180、S190)。すなわち、GW40bが予備系となり、GW40cが稼働系となる。その結果、GW40cにユーザトラフィックを流れるようになる。
【0034】
続いて、更新制御部31は、新たに予備系となったGW40bについてソフトウェアの更新の制御を開始する(S200)。GW40bのソフトウェアの更新が完了(すなわち、冗長構成の全てのGW40の更新が完了)すると(S210)、更新制御部31は、再び冗長切替操作を実行ことで、GW40bを稼働系に戻し、GW40cを予備系に戻す(S220、S230)。但し、再度の冗長切替操作は必須ではなく、GW40bを予備系、GW40cを稼働系としたまま運用が続けられてもよい。この点は、第2及び第3の実施の形態でも同様である。
【0035】
続いて、更新制御部31は、対象ユーザに関する更新が完了したことを示す更新情報を更新情報記憶部121に記録する(S240)。すなわち、更新制御部31は、対象ユーザのユーザIDに対応付けられて更新情報記憶部121に記憶されているステータスを「更新完了」に更新する。このようなステータスの更新は、対象ユーザについて更新中であることを示す情報の削除に相当する。
【0036】
続いて、更新制御部31は、更新の完了を示す応答を保守用コンソール20の更新指示受付部21へ送信する(S250)。更新指示受付部21は、当該応答を受信すると更新の完了をシステム保守者へ通知する(S260)。
【0037】
図5は、第1の実施の形態においてSOに応じて実行される処理手順の一例を説明するためのシーケンス図である。
【0038】
ステップS501において、ユーザポータル10のオーダ受付部11は、サービス利用者からSOの入力を受け付ける。SOには、サービスに関して変更対象となるユーザ(以下、「対象ユーザ」という。)のユーザIDが含まれる。
【0039】
続いて、判定部12は、更新情報記憶部121を参照し、対象ユーザが収容されるGW40がソフトウェアの更新中であるか否かを判定する(S502、S503)。すなわち、判定部12は、対象ユーザのユーザIDに対応付けられて「更新中」を示すステータスが更新情報記憶部121に記憶されていれば、対象ユーザについて更新中であると判定する。
【0040】
対象ユーザについて更新中でない場合、ステップS511~S517が実行される。
【0041】
ステップS511において、オーダ送信部13は、入力されたSOをオーケストレータ30へ送信する。オーケストレータ30のオーダ受信部32が当該SOを受信すると、設定変更部33は、当該SOに含まれているユーザIDに対応するGW40(ここでは、GW40b及びGW40cのペア)に対して当該SOに応じた設定を投入することで、これらのGW40について設定変更を行う(S512~S515)。なお、当該SOに含まれているユーザIDに対応するGW40は、顧客情報記憶部321を参照することで特定可能である。該当する全てのGW40について設定変更が完了すると、設定変更部33は、ユーザポータル10に対して、設定変更の完了を示す応答を送信する(S516)。ユーザポータル10のオーダ送信部13は、当該応答を受信すると、SOに応じた設定変更の完了をサービス利用者に通知する(S517)。
【0042】
一方、対象ユーザについて更新中である場合、ステップS521~S529が実行される。
【0043】
ステップS521において、判定部12は、SOに応じた設定変更の完了、又は「メンテナンス中のため反映に時間がかかる」等の旨をサービス利用者へ通知する。続いて、オーダ送信部13は、更新情報記憶部121を繰り返し(例えば、一定時間ごとに)参照することで、対象ユーザに関する更新の完了を待機する(S522、S523)。オーダ送信部13は、対象ユーザに対するステータスが「更新完了」に変化すると、当該更新の完了を検知する。オーダ送信部13によって当該更新の完了が検知されると、ステップS524~S529において、ステップS511~S516と同様の処理が実行される。
【0044】
上述したように、第1の実施の形態によれば、ソフトウェアの更新処理中であってもSOに応じた設定変更は継続することができる。したがって、冗長構成を有するネットワーク機器群(GW40群)に対するソフトウェアの更新中における設定変更においてネットワーク機器間(GW40間)の不整合の発生を回避すること
次に、第2の実施の形態について説明する。第2の実施の形態では第1の実施の形態と異なる点について説明する。第2の実施の形態において特に言及されない点については、第1の実施の形態と同様でもよい。
【0045】
図6は、第2の実施の形態における保守用コンソール20、ユーザポータル10及びオーケストレータ30の機能構成例を示す図である。図6中、図3と同一部分には同一符号を付し、その説明は省略する。
【0046】
図6において、ユーザポータル10は、判定部12を有さない。ユーザポータル10は、また、更新情報記憶部121を利用しない。
【0047】
一方、オーケストレータ30は、更に、判定部34を有する。判定部34は、オーケストレータ30にインストールされた1以上のプログラムが、オーケストレータ30のCPUに実行させる処理により実現される。オーケストレータ30は、また、更新情報記憶部322を利用する。更新情報記憶部322は、例えば、オーケストレータ30が有する補助記憶装置、又はオーケストレータ30にネットワークを介して接続可能な記憶装置等を用いて実現可能である。
【0048】
図7は、第2の実施の形態におけるソフトウェア更新処理の処理手順の一例を説明するためのシーケンス図である。図3中、図4と同一ステップには同一ステップ番号を付し、その説明は省略する。
【0049】
図7では、ステップS150がステップS150aに置き換わる。また、ステップS190とステップS200との間にステップS191及びS192が実行される。更に、ステップS240がステップS240aに置き換わる。
【0050】
ステップS150aにおいて、更新制御部31は、対象GW40のうち予備系のGW40(ここでは、GW40c)のIDと、当該GW40に対するソフトウェア更新のステータスとを対応付けて更新情報記憶部322へ記録する。ステップS150aでは、ステータスとして「更新中」が記録される。
【0051】
すなわち、第1の実施の形態における更新情報記憶部121には、ユーザ別に(ユーザ単位で)ステータスが記憶されたが、第2の実施の形態における更新情報記憶部322には、GW40別に(GW40単位で)ステータスが記憶される。そのため、第2の実施の形態では、GW40別にステータス管理が可能となる。
【0052】
予備系のGW40cについてソフトウェアの更新が完了し(S160、S170)、冗長切替操作によって、GW40bが予備系に切り替わると(S180、S190)、更新制御部31は、GW40cに対するステータスを「更新完了」に変更する(S191)と共に、GW40bのステータスが「更新中」であることを示す更新情報を更新情報記憶部322に記録する(S192)。すなわち、GW40cについてソフトウェアの更新中であることを示す情報が削除され、GW40bについてソフトウェアの更新中であることを示す情報が記録される。
【0053】
GW40bについてソフトウェアの更新が完了し(S200、S210)、冗長切替操作によって、GW40bが稼働系に切り替わると(S220、S230)、更新制御部31は、GW40bに対するステータスを「更新完了」に変更する(S240a)。すなわち、GW40bについてソフトウェアの更新中であることを示す情報が削除される。
【0054】
図8は、第2の実施の形態においてSOに応じて実行される処理手順の一例を説明するためのシーケンス図である。図8中、図5と同一ステップには同一ステップ番号を付し、その説明は適宜省略する。
【0055】
ユーザポータル10のオーダ受付部11がSOの入力を受け付けると(S501)、オーダ送信部13は、当該SOをオーケストレータ30へ送信する(S511)。
【0056】
オーケストレータ30のオーダ受信部32が当該SOを受信すると、判定部34は、更新情報記憶部322を参照し、対象ユーザが収容される各GW40(以下、「対象GW40」という。)がソフトウェアの更新中であるか否かを判定する(S601、S602)。各対象GW40は、顧客情報記憶部321を参照することで特定可能である。すなわち、判定部34は、「更新中」を示すステータスに対応付けられて更新情報記憶部322にIDが記憶されている対象GW40を更新中であると判定する。
【0057】
いずれの対象GW40も更新中でない場合、ステップS512~S517が実行される。
【0058】
一方、いずれかの対象GW40が更新中である場合、ステップS611~S618が実行される。ここでは、予備系であるGW40cが更新中であり、稼働系であるGW40bが更新中でなかったとする。この場合、更新中でないGW40bについて設定変更が行われ、GW40cについては更新の完了後に設定変更が行われる。
【0059】
具体的には、設定変更部33は、まず、GW40bについて設定変更を行う(S611、S612)。続いて、ステップS516及びS517と同様の処理が実行される(S613、S614)。
【0060】
続いて、設定変更部33は、更新情報記憶部322を繰り返し(例えば、一定時間ごとに)参照することで、GW40cに関する更新の完了を待機する(S615、S616)。設定変更部33は、GW40cに対するステータスが「更新完了」に変化すると、当該更新の完了を検知する。設定変更部33は、当該更新の完了を検知すると、GW40cについて設定変更を行う(S617、S618)。
【0061】
上述したように、第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0062】
また、第1の実施の形態では、冗長構成の両GW40の更新が完了するまで設定変更を待機する必要があったが、第2の実施の形態では、先行して更新中でないGW40から設定変更することができるため、両GW40の更新を待たずにSOに応じた設定変更を即時的に反映することができる。
【0063】
次に、第3の実施の形態について説明する。第3の実施の形態では第1又は第2の実施の形態と異なる点について説明する。第3の実施の形態において特に言及されない点については、第1又は第2の実施の形態と同様でもよい。
【0064】
図9は、第3の実施の形態における保守用コンソール20、ユーザポータル10及びオーケストレータ30の機能構成例を示す図である。図9中、図6と同一部分には同一符号を付し、その説明は省略する。図9に示されるように、第3の実施の形態では、更新情報記憶部322は利用されない。
【0065】
図10は、第3の実施の形態におけるソフトウェア更新処理の処理手順の一例を説明するためのシーケンス図である。図10中、図7と同一ステップには同一ステップ番号を付し、その説明は省略する。
【0066】
図9において説明したように、第3の実施の形態では更新情報記憶部322は利用されない。したがって、図10には、図7において更新情報記憶部322に対する記録処理(S150a、S191、S192、S240a)が除外された処理手順が示されている。
【0067】
図11は、第3の実施の形態においてSOに応じて実行される処理手順の一例を説明するためのシーケンス図である。図11中、図8と同一ステップには同一ステップ番号を付し、その説明は適宜省略する。
【0068】
第3の実施の形態において、設定変更部33は、投機的に各対象GW40について設定変更を試行する(S512~S513)。このタイミングにおいてGW40cがソフトウェアの更新中であったとする。この場合、GW40cからは、設定変更に対する正常応答が無いか、更新中であることを示す応答が返信される。判定部34は、正常応答の有無、又は更新中であることを示す応答に基づいて、各対象GW40が更新中であるか否かを判定する。正常応答とは、設定変更が完了したことを示す応答をいう。
【0069】
ステップS516の実行後、設定変更部33は、一定時間待機した後(S711)、設定変更が完了していないGW40cに対する設定変更を再実行する(S712)。設定変更部33は、応答が無い場合、又は更新中であることを示す応答が返信された場合(S713)、ステップS711以降を繰り返す。その後、GW40cの更新が完了すると、GW40cの設定変更は成功する(S714、S715)。すなわち、設定変更部33は、GW40cに対する設定変更が成功するまで当該設定変更を繰り返す。
【0070】
上述したように、第3の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0071】
また、第3の実施の形態では、更新情報記憶部121又は更新情報記憶部322が不要であるため、機能構成を簡素化することができる。
【0072】
但し、ソフトウェア更新中でない場合であっても、GW40そのものやネットワークの障害発生時においては、更新中と誤認される可能性があるため、ステップS711以降の繰り返しについては、タイムアウトなどの時間や回数に制限が設けられることが望ましい。
【0073】
なお、本実施の形態において、ユーザポータル10及びオーケストレータ30は、設定変更装置の一例である。更新情報記憶部121又は更新情報記憶部322は、記憶部の一例である。
【0074】
以上、本発明の実施の形態について詳述したが、本発明は斯かる特定の実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0075】
10 ユーザポータル
11 オーダ受付部
12 判定部
13 オーダ送信部
20 保守用コンソール
21 更新指示受付部
30 オーケストレータ
31 更新制御部
32 オーダ受信部
33 設定変更部
34 判定部
40 GW
50 UE
100 ドライブ装置
101 記録媒体
102 補助記憶装置
103 メモリ装置
104 CPU
105 インタフェース装置
121 更新情報記憶部
321 顧客情報記憶部
322 更新情報記憶部
B バス
図1
図2
図3
図4
図5
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図8
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図10
図11