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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-24
(45)【発行日】2025-02-03
(54)【発明の名称】管継手
(51)【国際特許分類】
   F16L 19/03 20060101AFI20250127BHJP
   F16L 23/02 20060101ALI20250127BHJP
   F16L 23/036 20060101ALI20250127BHJP
   F16L 23/16 20060101ALI20250127BHJP
【FI】
F16L19/03
F16L23/02 D
F16L23/036
F16L23/16
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021036863
(22)【出願日】2021-03-09
(65)【公開番号】P2021143762
(43)【公開日】2021-09-24
【審査請求日】2024-02-26
(31)【優先権主張番号】P 2020040445
(32)【優先日】2020-03-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】390033857
【氏名又は名称】株式会社フジキン
(74)【代理人】
【識別番号】110002893
【氏名又は名称】弁理士法人KEN知財総合事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡部 庸之
(72)【発明者】
【氏名】進藤 侑也
(72)【発明者】
【氏名】原田 章弘
(72)【発明者】
【氏名】中田 知宏
【審査官】杉山 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-205408(JP,A)
【文献】特開2013-68269(JP,A)
【文献】実開平5-86086(JP,U)
【文献】特開2010-151764(JP,A)
【文献】特開2009-8192(JP,A)
【文献】特開2003-176888(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 19/03
F16L 23/02
F16L 23/036
F16L 23/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに連通する流体通路を有する第1および第2のスリーブと、前記第1および第2のスリーブの突き合わせ端面の間に介在させられる環状のガスケットと、前記第1のスリーブが挿入される貫通孔を有する雄ねじ部材と前記第2のスリーブが挿入される貫通孔を有する雌ねじ部材と、を備え、前記雄ねじ部材と前記雌ねじ部材の螺合によって前記第1および第2のスリーブが結合される管継手であって、
前記雄ねじ部材の外周表面の前記雌ねじ部材により覆われていない部分で開口し、かつ、前記雄ねじ部材と前記第1のスリーブとの間隙と接続された、前記第1および第2のスリーブと前記ガスケットとの間からのリーク流体を検知するためのリークポートを有する、管継手。
【請求項2】
前記雄ねじ部材と前記雌ねじ部材の締結時に、前記雄ねじ部材は前記第1および第2のスリーブに対して固定され、前記雌ねじ部材は前記第1および第2のスリーブに対して回転させられる、請求項1に記載の管継手。
【請求項3】
前記雄ねじ部材は、円筒状に形成された先端部が前記第2のスリーブまで延びて、前記第1のスリーブと前記第2のスリーブとの突き合わせ部の外周面を覆っており、
前記リーク流体が前記雄ねじ部材の先端部と前記第2のスリーブとの間隙を通じて前記雄ねじ部材と前記雌ねじ部材との螺合部に形成される間隙および前記第2のスリーブと前記雌ねじ部材との間隙にリークするのを阻止する環状の第1のシール部材と、
前記雄ねじ部材の前記リークポートの配置位置よりも後端部側に配置され、かつ、前記第1のスリーブと前記雄ねじ部材との間隙をシールする環状の第2のシール部材と、を有する請求項1又は2に記載の管継手。
【請求項4】
前記第2のシール部材は、前記第1のスリーブと前記雄ねじ部材との間で変形して、前記雄ねじ部材の前記第1のスリーブに対する回転を規制する仮止めの役割を果たす、請求項3に記載の管継手。
【請求項5】
前記第1のシール部材は、前記雌ねじ部材に保持され、前記雌ねじ部材の締め付けの進行に伴って前記雄ねじ部材の先端面と当該雌ねじ部材との間で圧縮されて変形し、前記第2のスリーブの突き合わせ部の外周面に密着する、請求項3又は4に記載の管継手。
【請求項6】
前記第1のシール部材は、変形により、前記雄ねじ部材の先端部と前記第2のスリーブとの間隙を通じて、前記螺合部に通ずる前記雄ねじ部材の先端部と前記雌ねじ部材との間隙と、前記第2のスリーブと前記雌ねじ部材との間隙とにリーク流体がリークするのを阻止する、請求項4又は5に記載の管継手。
【請求項7】
前記第1のシール部材は、前記雄ねじ部材の先端部と前記第2のスリーブの突き合わせ部との間に設けられている、請求項3に記載の管継手。
【請求項8】
前記第1および第2のスリーブは、突き合わせ部にフランジ部を有し、
前記雄ねじ部材は、前記第1のスリーブが挿入される小径孔部と、当該小径孔部の内径よりも大径を有し前記第1のスリーブのフランジ部を受け入れる大径孔部と、前記小径孔部と前記大径孔部との間の段差によって形成され、前記第1のスリーブのフランジ部の円環状の壁面と当接する円環状の係合面と、を有し、
前記係合面又は壁面の一部には、前記第1のスリーブと前記小径孔部との間隙と、前記フランジ部と前記大径孔部との間隙とを連通させるための溝部が形成されている、請求項1ないし3のいずれかに記載の管継手。
【請求項9】
互いに連通する流体通路を有する第1および第2のスリーブと、前記第1および第2のスリーブの突き合わせ端面の間に介在させられる環状のガスケットと、前記第1のスリーブが挿入される貫通孔を有する雄ねじ部材と前記第2のスリーブが挿入される貫通孔を有する雌ねじ部材と、を備え、前記雄ねじ部材と前記雌ねじ部材の螺合によって前記第1および第2のスリーブが結合される管継手であって、
前記雄ねじ部材の外周表面の前記雌ねじ部材により覆われていない部分に、ガスケット外周と接する空間と当該雄ねじ部材の貫通孔を経由して連通するリークポートを有する、管継手。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管継手に係り、特に、リークポートを有する管継手に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造装置等の高いクリーン度と耐薬品性、密封性が要求される各種バルブや配管等を接続する管継手として、例えば、特許文献1や特許文献2に示す継手が知られている。この管継手は、一端部にフランジ部とシール部を有する管材である第1及び第2のスリーブの前記一端部(継手側端部)同士が、環状のガスケットを介して突き合わされ、第1のスリーブのフランジ部に係合した雌ねじ部材(袋ナット)と、第2のスリーブのフランジ部に係合した雄ねじ部材(カップリング)とが互いに螺合して、2つのスリーブを結合し、シールするようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-68269号公報
【文献】特開2016-205408号公報
【文献】実開平5-86086号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような管継手において、ガスケットのシール部からのリーク流体を検知するには、例えば、袋ナットにリークポートを設けていた。しかしながら、この方法では、継手を締結する際に、スリーブに対してカップリングを固定し、袋ナットを回転させるので、リークポートの位置が一定でなく、継手の締結後のリークポートにリーク検知機構を接続する施工作業が容易ではない。
また、上記のような管継手では、袋ナットおよびカップリングを用いてスリーブ同士を結合する構造であるため、リーク流体のリーク経路が、リークポート以外にもねじ部も含めて多数存在し、リーク流体がリークポートに達する前に、リークポート以外の他のリーク経路からリーク流体が外部にリークすることがあり、リーク検知が遅くなりやすく、検知感度が低下しやすい。
例えば、特許文献3に開示された技術のように、リークポート以外のリーク経路をOリングでシールし、リーク流体をリークポートに集める方法が考えられる。しかしながら、上記のような管継手が有する多数のリーク経路にそれぞれOリングを設けるとOリングの数も増加し、複数の部品が密集する領域に複数のOリングを設ける必要があり、工数も増加する。
【0005】
本発明の目的の一つは、リークポートへのリーク検知機構の施工作業が容易で、リーク検知感度も改善された管継手を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る管継手は、互いに連通する流体通路を有する第1および第2のスリーブと、前記第1および第2のスリーブの突き合わせ端面の間に介在させられる環状のガスケットと、前記第1のスリーブが挿入される貫通孔を有する雄ねじ部材と前記第2のスリーブが挿入される貫通孔を有する雌ねじ部材と、を備え、前記雄ねじ部材と前記雌ねじ部材の螺合によって前記第1および第2のスリーブが結合される管継手であって、
前記雄ねじ部材の外周表面の前記雌ねじ部材により覆われていない部分で開口し、かつ、前記雄ねじ部材と前記第1のスリーブとの間隙と接続された、前記第1および第2のスリーブと前記ガスケットとの間からのリーク流体を検知するためのリークポートを有する。
前記雄ねじ部材と前記雌ねじ部材の締結時には、前記雄ねじ部材は前記第1および第2のスリーブに対して固定され、前記雌ねじ部材は前記第1および第2のスリーブに対して回転させられる。この時、好適には、前記第2のシール部材は、前記第1のスリーブと前記雄ねじ部材との間で変形して、前記雄ねじ部材の前記第1のスリーブに対する回転を規制する仮止めの役割を果たす。
【0007】
好適には、前記雄ねじ部材は、円筒状に形成された先端部が前記第2のスリーブまで延びて、前記第1のスリーブと前記第2のスリーブとの突き合わせ部の外周面を覆っており、
前記リーク流体が前記雄ねじ部材の先端部と前記第2のスリーブとの間隙を通じて前記雄ねじ部材と前記雌ねじ部材との螺合部に形成される間隙および前記第2のスリーブと前記雌ねじ部材との間隙にリークするのを阻止する環状の第1のシール部材と、
前記雄ねじ部材の前記リークポートの配置位置よりも後端部(第2のスリーブとは逆方向)側に配置され、かつ、前記第1のスリーブと前記雄ねじ部材との間隙をシールする環状の第2のシール部材と、を有する、構成を採用できる。
【0008】
さらに好適には、前記第1のシール部材は、前記雌ねじ部材に保持され、前記雌ねじ部材の締め付けの進行に伴って前記雄ねじ部材の先端面と当該雌ねじ部材との間で圧縮されて変形し、前記第2のスリーブの突き合わせ部外周面に密着する、構成を採用できる。
さらに好適には、前記第1のシール部材は、変形により、前記雄ねじ部材の先端部と前記第2のスリーブとの間隙を通じて、前記螺合部に通ずる前記雄ねじ部材の先端部と前記雌ねじ部材との間隙と、前記第2のスリーブと前記雌ねじ部材との間隙とにリーク流体がリークするのを阻止する、構成を採用できる。
【0009】
代替的には、前記第1のシール部材は、前記雄ねじ部材の先端部と前記第2のスリーブの突き合わせ部との間に設けられている、構成を採用できる。
【0010】
好適には、前記第1および第2のスリーブは、突き合わせ部にフランジ部を有し、
前記雄ねじ部材は、前記第1のスリーブが挿入される小径孔部と、当該小径孔部の内径よりも大径を有し前記第1のスリーブのフランジ部を受け入れる大径孔部と、前記小径孔部と前記大径孔部との間の段差によって形成され、前記第1のスリーブのフランジ部の円環状の壁面と当接する円環状の係合面と、を有し、
前記係合面又は壁面の一部には、前記第1のスリーブと前記小径孔部との間隙と、前記フランジ部と前記大径孔部との間隙とを連通させるための溝部が形成されている、構成を採用できる。
また、本発明の管継手は、互いに連通する流体通路を有する第1および第2のスリーブと、前記第1および第2のスリーブの突き合わせ端面の間に介在させられる環状のガスケットと、前記第1のスリーブが挿入される貫通孔を有する雄ねじ部材と前記第2のスリーブが挿入される貫通孔を有する雌ねじ部材と、を備え、前記雄ねじ部材と前記雌ねじ部材の螺合によって前記第1および第2のスリーブが結合される管継手であって、
前記雄ねじ部材の外周表面の前記雌ねじ部材により覆われていない部分に、ガスケット外周と接する空間と当該雄ねじ部材の貫通孔を経由して連通するリークポートを有する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、検知感度が改善され、リークポートへのリーク検知機構の施工作業が容易で、リーク検知感度も改善された管継手が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係る管継手の縦断面図。
図2図1の管継手の締結前の状態を示す縦断面図。
図3A】雄ねじ部材の縦断面図。
図3B】雄ねじ部材の右側面図。
図4】本発明の実施形態に係る管継手の変形例を示す縦断面図。
図5】本発明の実施形態に係る管継手のさらに他の変形例を示す縦断面図。
図6】本発明の実施形態に係る管継手のさらに他の変形例を示す縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る管継手を示す縦断面図である。
管継手1は、一端部が突き合わされて互いに連通する流体通路を有する管材からなる2つのスリーブ10(10A,10B)と、スリーブ10A,10Bの突き合わせ端面の間に介在させられる環状のガスケット20と、スリーブ10Aの外周に嵌め合わされた略円筒状の雄ねじ部材30と、スリーブ10Bの外周に嵌め合わされた略円筒状の雌ねじ部材40と、雌ねじ部材40に保持された環状のシール部材50と、雄ねじ部材30に保持された環状のシール部材60とを有する。
【0014】
スリーブ10は、内部が流体通路となっており、突き合わせ端部にフランジ部11が設けられ、突き合わせ端面にはスリーブ10の軸方向に円環状に突出し、ガスケット20に当接してシールするシール部10tが形成されている。スリーブ10は、例えば、SUS316Lのステンレス鋼等の金属で形成されている。
スリーブ10A、10Bの突き合わせ部にそれぞれ形成された凹部12には、ガスケット20およびこれを保持するリテーナ80が収容され、リテーナ80はスリーブ10A側の凹部12に装着されている。
【0015】
ガスケット20は、ニッケル合金等の金属製で、スリーブ10A,10Bのシール部10tの間で押圧されて塑性変形することで、スリーブ10Aおよびスリーブ10Bとガスケット20の間はシールされる。
【0016】
雄ねじ部材30は、図3Aおよび図3Bにも示すように、円筒状に形成された金属製の部材であり、内部には、スリーブ10Aがる小径孔部31と小径孔部31の内径よりも大径でスリーブ10Aのフランジ部11を受け入れる大径孔部32とが形成されている。小径孔部31と大径孔部32との間の段差によって形成される円環状の係合面35は、スリーブ10Aのフランジ部11の後端側の円環状の壁面11aと当接する。係合面35には、周方向の一部に円弧状の溝35aが形成されている。この溝35aは、後述するように、リーク流体の流路を確保するために設けられている。
雄ねじ部材30の外周面には、雄ねじ37が形成され、この雄ねじ37の先端側(図3において右側)、円筒状に形成された先端部34が形成されている。先端部34は、図1に示すように、スリーブ10B(のフランジ部11の外周面)まで延びて、スリーブ10Aとスリーブ10Bとの突き合わせ部の外周面を覆っている。先端部34の円環状の先端面30aは、後述するように、スリーブ10Bに保持されたシール部材50を押圧する。
雄ねじ部材30の外周面の後端面30b側には、工具が係合する六角形状の工具係合部36が形成されている。工具係合部36には、外周表面で開口し小径孔部31に連通するリークポート38が形成されている。リークポート38は図1においてはリーク検知機構(図示せず)を取り付けるために内側にネジが形成されている。
雄ねじ部材30の小径孔部31の後端面30b側には、シール部材60が装着される溝部33が形成されている。
なお、シール部材60はスリーブ10Aに設けられた溝部に装着されてもよい。
【0017】
図1に戻って、雌ねじ部材40は、いわゆる袋ナットであり、円筒状に形成され、後端部41の中心部にはスリーブ10Bの外周面が挿入される貫通孔42が形成され、後端部41とスリーブ10Bのフランジ部11との間には供回り防止部材70(好適にはワッシャ、ベアリング)が設けられている。雌ねじ部材40の内周面には、後端部41と隣接する位置にシール部材50を装着するための溝44が形成され、さらに、後端部41と逆側には雄ねじ部材30の雄ねじ37と螺合する雌ねじ43が形成されている。
【0018】
シール部材50は、樹脂で形成され、図2に示すように、管継手1が締結される前は、溝に装着された部分以外は変形していない。なお、雄ねじ部材30と雌ねじ部材40の締結時に、雄ねじ部材30はスリーブ10A,10Bに対して固定され、雌ねじ部材40はスリーブに10A,10B対して回転させられる。スリーブ10A,10Bの突き合わせ部と反対側の端部は、図示しないチューブに溶接等によって接続されている。
シール部材50は、雌ねじ部材40の締め付けの進行に伴って雄ねじ部材30の先端面30aと雌ねじ部材40の後端部41の壁面との間で圧縮されて変形し、図1に示したように、R形状に湾曲した内周面がスリーブ10Bのフランジ部11の外周面に密着する。
【0019】
シール部材60は、樹脂で形成され、弾性変形した状態でスリーブ10Aの外周面に嵌合している。シール部材60が変形してスリーブ10Aの外周面に密着することにより、シール部材60は、雄ねじ部材30のスリーブ10Aに対する回転を規制する仮止めの役割を果たす。このシール部材60により、雌ねじ部材40の締め付け時に、雄ねじ部材30がスリーブ10Aに対して回転するのを阻止することができる。
【0020】
管継手1においては、リーク流体が侵入し得る複数の間隙G1~G6が形成される。
間隙G1は、雄ねじ部材30の大径孔部32の内周面とスリーブ10Bのフランジ部11の外周面との間に形成される。
間隙G2は、雄ねじ部材30の先端部34の外周面と雌ねじ部材40の内周面との間に形成される。
間隙G3は、間隙G2と連通しており、雄ねじ部材30の雄ねじ37と雌ねじ部材40の雌ねじ43との螺合部に形成される。
間隙G4は、スリーブ10Bの外周面と雌ねじ部材40の貫通孔42の内周面との間に形成される。
間隙G5は、スリーブ10Aのフランジ部11の外周面と雄ねじ部材30の大径孔部32の内周面との間に形成される。
間隙G6は、スリーブ10Aの外周面と雄ねじ部材30の小径孔部31の内周面との間に形成される。
【0021】
シール部材50が存在しない場合、間隙G1~G4は連通している。シール部材50は、変形することで、間隙G1および間隙G2をシールし、間隙G1を通じてリーク流体が間隙G2,G3および間隙G4に漏れるのを阻止する。
【0022】
間隙G5と間隙G6とは、雄ねじ部材30の係合面35の溝35aを通じて連通している。
雄ねじ部材30の係合面35は、管継手1が締結されると、壁面11aと密に接触するため、間隙G5と間隙G6との間の連通が遮断される可能性があるが、雄ねじ部材30の係合面35の溝35aが存在することで、間隙G5と間隙G6との連通が確保される。
【0023】
ガスケット20の外周にリークしたリーク流体は、間隙G1がシール部材50でシールされているので、間隙G5にのみ流出し、溝35aおよび間隙G6を通じてリークポート38に集まる。リークポート38にリーク検知機構を設ければ、高感度でリークを検知することができる。
【0024】
本実施形態によれば、回転させない雄ねじ部材30にリークポート38を設けたので、リークポート38へのリーク検知機構の施工作業が容易となる。加えて、リークポート38以外に流体が漏れる経路が存在しないので、リーク検知感度も改善できる。
【0025】
図4に本発明の管継手の変形例を示す。なお、図4の構成要素のうち上記実施形態と同様の構成要素には同一の符号を使用している。
管継手1Bは、上記したシール部材50の代わりに、シール部材50Bをスリーブ10Bのフランジ部11の外周面と雄ねじ部材30の先端部34の内周面との間に設けて、間隙G1をシールしている。このような構成によれば、リーク流体が間隙G1を通じて、間隙G2,G3およびG4に流出するのを阻止できる。
【0026】
図5に本発明の管継手のさらに他の変形例を示す。なお、図5の構成要素のうち上記実施形態と同様の構成要素には同一の符号を使用している。
管継手1Cは、雄ねじ部材30の工具係合部36に設けられたリークポート38の代わりに、工具係合部36より前方で雌ねじ部材40により覆われていない位置にリークポート38bが形成されている。
【0027】
図6に本発明の管継手のさらに他の変形例を示す。なお、図6の構成要素のうち図1に示した管継手1と同様の構成要素には同一の符号を使用している。
管継手1Dと図1に示した管継手1とで異なる点は、管継手1Dはシール部材60がスリーブ10Aに形成された溝10rに設けられていることである。
この構成によれば、溝10rにシール部材60を装着することなく、雄ねじ部材30にスリーブ10Aを挿入した状態で、スリーブ10Aの図示しない端部と図示しないチューブとを溶接で接続し、その後に、溝10rにシール部材60を装着できる。この結果、シール部材60が溶接による熱の影響を受けるのを避けることができる。
【0028】
本発明は上記実施の形態に制限されるものではなく、本発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。
【符号の説明】
【0029】
1,1B,1C,1D :管継手
10,10A,10B :スリーブ
10t :シール部
10r :溝
11 :フランジ部
11a :壁面
12 :凹部
20 :ガスケット
30 :雄ねじ部材
30a :先端面
30b :後端面
31 :小径孔部(貫通孔)
32 :大径孔部
33 :溝部
34 :先端部
35 :係合面
35a :溝
36 :工具係合部
37 :雄ねじ
38,38b :リークポート
40 :雌ねじ部材
41 :後端部
42 :貫通孔
43 :雌ねじ
44 :溝
50,50B,60 :シール部材
70 :供回り防止部材
80 :リテーナ
G1-G6 :間隙

図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6