(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-27
(45)【発行日】2025-02-04
(54)【発明の名称】露光装置、露光方法、デバイス製造方法、及びデバイス
(51)【国際特許分類】
G03F 7/20 20060101AFI20250128BHJP
H01L 21/68 20060101ALI20250128BHJP
【FI】
G03F7/20 505
G03F7/20 521
H01L21/68 F
(21)【出願番号】P 2021067085
(22)【出願日】2021-04-12
【審査請求日】2024-02-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000004112
【氏名又は名称】株式会社ニコン
(74)【代理人】
【識別番号】100099793
【氏名又は名称】川北 喜十郎
(74)【代理人】
【識別番号】100154586
【氏名又は名称】藤田 正広
(74)【代理人】
【識別番号】100179280
【氏名又は名称】河村 育郎
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 陽司
【審査官】中尾 太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-058520(JP,A)
【文献】特開2014-011264(JP,A)
【文献】特開2017-215278(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/20
H01L 21/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に配列された複数の半導体チップに設けられた引出電極の上層に形成される感光層を露光する露光装置であって、
前記複数の半導体チップが一軸方向に沿って配列された前記基板を載置する基板ステージと、
前記半導体チップ上で前記一軸方向に沿って延びた電極形成領域に設けられた前記引出電極へ向けて露光光を照射する露光部と、
前記露光部が前記感光層上に露光する露光パターンを決定するパターン決定部と、
前記基板ステージ及び前記露光部を少なくとも制御する制御部とを備え、
前記パターン決定部は、前記基板上に設けられた複数の半導体チップの位置を計測して前記複数の半導体チップの位置ずれを求める計測部からの出力を用いて、前記引出電極と前記基板に対する所定位置とを結ぶ中継配線のパターンを前記露光パターンとして決定し、
前記制御部は、前記基板ステージによって前記基板を前記一軸方向の一側から他側へ移動させつつ、前記露光部によって前記中継配線のパターンを前記感光層上で前記一軸方向に延びる露光領域に露光する露光装置。
【請求項2】
前記複数の半導体チップのうちの少なくとも2つの半導体チップにおける前記電極形成領域は、前記一軸方向に延びる前記露光領域と重なる請求項1に記載の露光装置。
【請求項3】
前記露光領域を第1露光領域とするとき、
前記制御部は、
前記第1露光領域への露光の後に前記基板ステージを用いて前記複数の半導体チップが設けられた前記基板を前記一軸方向と交差する方向に移動させ、
前記前記基板ステージによって前記基板を前記一軸方向の前記他側から前記一側へ移動させつつ、前記露光部によって前記中継配線のパターンを前記感光層上で前記第1露光領域から前記交差する方向に離れた第2露光領域に露光する請求項1又は2に記載の露光装置。
【請求項4】
前記第1及び第2露光領域は、前記複数の半導体チップのそれぞれの中央部と重ならない請求項3に記載の露光装置。
【請求項5】
前記電極形成領域は、前記半導体チップの中央から前記一軸方向と交差する方向に離れて局在する請求項1~4のいずれか一項に記載の露光装置。
【請求項6】
前記パターン決定部は、複数種類の前記位置ずれと複数種類の中継配線のパターンとの対応関係を記憶する記憶部と、
前記計測部からの出力と前記対応関係とに基づいて、前記中継配線のパターンを決定する決定部とを備える請求項1~5のいずれか一項に記載の露光装置。
【請求項7】
前記記憶部は、前記複数種類の中継配線のパターンを記憶し、
前記決定部は、前記複数種類の中継配線のパターンのなかから少なくとも一つの中継配線のパターンを選択する請求項6に記載の露光装置。
【請求項8】
前記中継配線のパターンは、前記引出電極から第1位置まで延びる第1中継配線のパターンと、前記第1位置から第2位置まで延びる第2中継配線のパターンとを備える請求項6又は7に記載の露光装置。
【請求項9】
前記記憶部は、複数種類の前記第1及び第2中継配線のパターンを記憶し、
前記決定部は、前記第2位置が前記所定位置となるように、前記複数種類の前記第1及び第2中継配線のパターンのなかから少なくとも一つの第1中継配線のパターンと少なくとも一つの第2中継配線のパターンとを選択する請求項8に記載の露光装置。
【請求項10】
前記露光部は、前記露光パターンの一部に対応する光パターンを形成する光パターン形成部材を備え、
前記光パターン形成部材によって形成される光パターンは、前記基板に前記一軸方向への移動に伴って変化する請求項1~9のいずれか一項に記載の露光装置。
【請求項11】
前記中継配線のパターンは一の方向に延在したパターンである請求項1~10のいずれか一項に記載の露光装置。
【請求項12】
前記計測部は、前記基板に設けられた基板アライメントマークと前記複数の半導体チップのそれぞれに設けられたチップアライメントマークとを計測する請求項1~11のいずれか一項に記載の露光装置。
【請求項13】
前記計測部を備える請求項1~12のいずれか一項に記載の露光装置。
【請求項14】
外部に設けられた前記計測部からの出力を受信して前記パターン決定部へ伝達する受信部を備える請求項1~13のいずれか一項に記載の露光装置。
【請求項15】
外部に設けられた前記計測部を第1計測部とするとき、
前記第1計測部は、前記基板に設けられた基板アライメントマークと前記複数の半導体チップのそれぞれに設けられたチップアライメントマークとを計測し、
前記露光装置は、前記基板に設けられた前記基板アライメントマークを計測する第2計測部を備える請求項13に記載の露光装置。
【請求項16】
前記露光領域を第1露光領域とするとき、
前記制御部は、
前記第1露光領域への露光の後に前記基板ステージを用いて前記複数の半導体チップが設けられた前記基板を前記一軸方向と交差する方向に移動させつつ前記露光部によって前記中継配線のパターンを前記感光層上で前記第1露光領域と交差する第2露光領域に露光する請求項1~15のいずれか一項に記載の露光装置。
【請求項17】
前記第1及び第2露光領域は、前記複数の半導体チップのそれぞれの中央部と重ならない請求項16に記載の露光装置。
【請求項18】
前記露光部は、前記パターン決定部で決定された前記露光パターンに応じた光パターンを前記感光層上に形成する可変パターン生成部材を備える請求項1~17のいずれか一項に記載の露光装置。
【請求項19】
基板上に配列された複数の半導体チップに設けられた引出電極の上層に形成される感光層を露光する露光方法において、
請求項1~18のいずれか一項に記載の露光装置を用いて前記感光層を露光する露光方法。
【請求項20】
基板上に一軸方向に沿って配列された複数の半導体チップに設けられた引出電極の上層に形成される感光層を露光する露光方法であって、
前記基板上に設けられた複数の半導体チップの位置を計測して前記複数の半導体チップの位置ずれを求めることと、
前記複数の半導体チップ上で前記一軸方向に沿って延びた電極形成領域に設けられた前記引出電極へ向けて露光光を照射することと、
前記求められた前記複数の半導体チップの位置ずれを用いて、前記引出電極と前記基板に対する所定位置とを結ぶ中継配線のパターン
を露光パターンとして決定することと、
前記基板を前記一軸方向の一側から他側へ移動させつつ、前記中継配線のパターンを前記感光層上で前記一軸方向に延びる露光領域に露光することとを含む露光方法。
【請求項21】
前記露光領域を第1露光領域とするとき、
前記第1露光領域への露光の後に前記複数の半導体チップが設けられた前記基板を前記一軸方向と交差する方向に移動させることと、
前記基板を前記一軸方向の前記他側から前記一側へ移動させつつ、前記中継配線のパターンを前記感光層上で前記第1露光領域から前記交差する方向に離れた第2露光領域に露光することをさらに含む請求項19又は20に記載の露光方法。
【請求項22】
前記第1及び第2露光領域は、前記複数の半導体チップのそれぞれの中央部と重ならない請求項21に記載の露光方法。
【請求項23】
前記計測することは、前記基板に設けられた基板アライメントマークと前記複数の半導体チップのそれぞれに設けられたチップアライメントマークとを計測することを含む請求項19~22のいずれか一項に記載の露光方法。
【請求項24】
引出電極を備える複数の半導体チップと一端が前記引出電極に電気的に接続される中継配線と前記中継配線の他端に電気的に接続される出力配線とを備えるデバイスを製造するデバイス製造方法であって、
前記複数の半導体チップ上に感光層を形成することと、
請求項19~23のいずれか一項に記載の露光方法を用いて、前記感光層上に前記中継配線のパターンを露光することと、
前記露光された前記感
光層を現像して感光層のパターンを形成することと、
形成された前記感光層のパターンを用いて前記中継配線を形成することとを含むデバイス製造方法。
【請求項25】
前記中継配線が形成された中継配線層の上に第2の感光層を形成することと、
前記出力配線の少なくとも一部のマスクパターンを有するフォトマスクを介した露光光により前記第2の感光層に前記出力配線のパターンの少なくとも一部を露光することとを含む請求項24に記載のデバイス製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は露光装置、露光方法、デバイス製造方法、及びデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造においては、ウエハ上で半導体チップのパッケージを行うウエハレベルパッケージ技術が用いられている。また、ウエハレベルパッケージ技術においては、半導体チップのウエハに対する位置ずれに対処する必要性が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【0004】
第1の態様に従えば、
基板上に配列された複数の半導体チップに設けられた引出電極の上層に形成される感光層を露光する露光装置であって、
前記複数の半導体チップが一軸方向に沿って配列された前記基板を載置する基板ステージと、
前記半導体チップ上で前記一軸方向に沿って延びた電極形成領域に設けられた前記引出電極へ向けて露光光を照射する露光部と、
前記露光部が前記感光層上に露光する露光パターンを決定するパターン決定部と、
前記基板ステージ及び前記露光部を少なくとも制御する制御部とを備え、
前記パターン決定部は、前記基板上に設けられた複数の半導体チップの位置を計測して前記複数の半導体チップの位置ずれを求める計測部からの出力を用いて、前記引出電極と前記基板に対する所定位置とを結ぶ中継配線のパターンを前記露光パターンとして決定し、
前記制御部は、前記基板ステージによって前記基板を前記一軸方向の一側から他側へ移動させつつ、前記露光部によって前記中継配線のパターンを前記感光層上で前記一軸方向に延びる露光領域に露光する露光装置が提供される。
【0005】
第2の態様に従えば、
基板上に一軸方向に沿って配列された複数の半導体チップに設けられた引出電極の上層に形成される感光層を露光する露光方法であって、
前記基板上に設けられた複数の半導体チップの位置を計測して前記複数の半導体チップの位置ずれを求めることと、
前記複数の半導体チップ上で前記一軸方向に沿って延びた電極形成領域に設けられた前記引出電極へ向けて露光光を照射することと、
前記求められた前記複数の半導体チップの位置ずれを用いて、前記引出電極と前記基板に対する所定位置とを結ぶ中継配線のパターンを前記露光パターンとして決定することと、
前記基板を前記一軸方向の一側から他側へ移動させつつ、前記中継配線のパターンを前記感光層上で前記一軸方向に延びる露光領域に露光することとを含む露光方法が提供される。
【0006】
第3の態様に従えば、
引出電極を備える複数の半導体チップと一端が前記引出電極に電気的に接続される中継配線と前記中継配線の他端に電気的に接続される出力配線とを備えるデバイスを製造するデバイス製造方法であって、
前記複数の半導体チップ上に感光層を形成することと、
第2の態様の露光方法を用いて、前記感光層上に前記中継配線のパターンを露光することと、
前記露光された前記感光体層を現像して感光層のパターンを形成することと、
形成された前記感光層のパターンを用いて前記中継配線を形成することとを含むデバイス製造方法が提供される。
【0007】
第4の態様に従えば、
基板と、前記基板に設けられた複数の半導体チップとを備えるデバイスであって、
第3の態様のデバイス製造方法を用いて前記複数の半導体チップ上に形成された前記中継配線層と、
前記中継配線層の上に形成された前記出力配線パターンとを備えるデバイスが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る露光システムの構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3(a)は、マーク検出系の光軸を含む面であって、Y
1方向に直交する面による計測部の要部の断面図である。
図3(b)は、マーク検出系の光軸を含む面であって、X
1方向に直交する面による計測部の要部の断面図である。
【
図4】
図4は、パターン決定部の構成を示すブロック図である。
【
図5】
図5は、パターン露光部の全体構成を示す概略図である。
【
図6】
図6は、パターン生成装置の可変成形マスクの平面図である。
【
図7】
図7は、パターン露光部が行うステップアンドスキャン方式の露光における、ウエハに対する投影領域の移動の様子を示す説明図である。
【
図8】
図8は、マスク露光部の全体構成を示す概略図である。
【
図9】
図9(a)は、本発明の実施形態に係る半導体デバイスの平面図である。
図9(b)は、
図9(a)のB-B線断面図である。
【
図10】
図10(a)は、
図9(a)のデバイスの固定層の上面図である。
図10(b)は、
図9(a)のデバイスの第1絶縁層の上面図である。
図10(c)は、
図9(a)のデバイスの第2絶縁層及び中継配線層の上面図である。
図10(d)は、
図9(a)のデバイスの第3絶縁層の上面図である。
図10(e)は、
図9(a)のデバイスの第4絶縁層及び再配線層の上面図である。
図10(f)は、
図9(a)のデバイスの第5絶縁層及び電極層の上面図である。
【
図11】
図11は、本発明の実施形態に係る半導体デバイスが備える半導体チップの上面図である。
【
図12】
図12は、本発明の実施形態に係るデバイス製造方法を示すフローチャートである。
【
図13】
図13(a)は、デバイス製造方法において用いるウエハの平面図である。
図13(b)は、ウエハの区画の1つを示す平面図である。
図13(b)においては、ウエハの1つの区画内に3つの半導体チップが、その設計位置に配置されている。
図13(c)は
図13(b)のC-C線断面図である。
【
図14】
図14は、ウエハの区画の平面図であり、半導体チップの設計位置と当該設計位置からずれた位置にある半導体チップとを示す。
【
図16】
図16は、テーブルが記憶するパターン情報の一例を示す概略図である。
【
図17】
図17(a)~
図17(g)は、中継配線形成工程において、半導体チップ上に中継配線層を形成する工程を説明するための断面図である。断面の位置は、
図13(b)のC-C線断面の位置である。
【
図18】
図18(a)~
図18(h)は、再配線形成工程において、半導体チップ上に再配線層を形成する工程を説明するための断面図である。断面の位置は、
図13(b)のC-C線断面の位置である。
【
図19】
図19は、ウエハの1区画の平面図であり、実施形態の中継配線形成工程においてパターン露光部により中継配線のパターンを露光する際の、半導体チップに対する投影領域の移動の様子を示す。
【
図20】
図20(a)は、変形例に係る粗調整テーブルが記憶する粗調整パターンの一例を示す概略図である。
図20(b)は、変形例に係る微調整テーブルが記憶する微調整パターンの一例を示す概略図である。
【
図21】
図21は、ウエハの1区画の一部の平面図であり、設計位置に対して電極配列方向に直線状にずれた位置にある半導体チップと、当該半導体チップに対応する変形例の中継配線パターンとを示す。
【
図22】
図22は、ウエハの1区画の平面図であり、変形例の中継配線形成工程においてパターン露光部により中継配線のパターンを露光する際の、半導体チップに対する投影領域の移動の様子を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<実施形態>
本発明の実施形態の露光システムES、及び露光システムESを用いるデバイス製造方法について、
図1~
図19を参照して説明する。
【0010】
[露光システムES]
図1に示す通り、実施形態の露光システムESは、計測部(第1計測部)100、パターン決定部200、パターン露光部300、マスク露光部400、及び制御部500を主に備える。
【0011】
計測部100、パターン決定部200、パターン露光部300、マスク露光部400の各々の構成について、被処理対象がウエハW0である場合を例として説明する。制御部500は、露光システムESの動作を全体的に制御する。
【0012】
[計測部100]
計測部100は、ウエハW0のアライメント計測を行う。
【0013】
図2、
図3(a)、及び
図3(b)に示す通り、計測部100は、定盤110、スライダ120、駆動システム130、計測ユニット140、第1位置計測システム150(
図3(a))、第2位置計測システム160、及び計測制御部170を主に有する。計測部100の説明においては、水平面内において互いに直交する2方向をX
1方向、Y
1方向とし、鉛直方向をZ
1方向とする。
【0014】
定盤110は、平面視矩形の直方体部材である。定盤110の上面は平坦度の高い平面であり、スライダ120の移動をガイドするガイド面として機能する。
【0015】
スライダ120は、ウエハW
0を支持して水平面内を移動する。スライダ120は、定盤110の上面に摺動可能に配置されている。スライダ120は、平面視矩形の板状であり、その上面の中央部に平面視円形の凹部121が設けられている(
図3(a)、
図3(b))。凹部121にはウエハホルダ122が設けられている。
【0016】
駆動システム130は、スライダ120をX1方向及びY1方向に移動させる。駆動システム130は、一対のリニアガイド131a、131bと、可動ステージ132とを主に有する。
【0017】
一対のリニアガイド131a、131bはそれぞれ長方体のベースであり、定盤110のX1方向の両側に1つずつ配置されている。一対のリニアガイド131a、131bはそれぞれ平面視矩形であり、長辺方向がY1方向に一致している。
【0018】
可動ステージ132は、X1方向においてスライダ120の両側に配置された第1板部材132a、第2板部材132bと、Y1方向においてスライダ120の両側に配置された第3板部材132c、第4板部材132dとを有する。第1板部材132a~第4板部材132dは、スライダ120を囲む枠状に連結されている。
【0019】
第1板部材132aの下面には、連結部材133aを介して可動子134a1が固定されている。可動子134a1は、リニアガイド131aの上面近傍に設けられた固定子134a2とともにY軸リニアモータ134aを構成する。同様に、第2板部材132bの下面には、連結部材133bを介して可動子134b1が固定されている。可動子134b1は、リニアガイド131bの上面近傍に設けられた固定子134b2とともにY軸リニアモータ134bを構成する。可動子134a1、134b1は、不図示のエアベアリングにより、固定子134a2、134b2からわずかに浮上している。
【0020】
第3板部材132cの上面には、固定子135c2が設けられている。固定子135c2は、スライダ120に固定された可動子135c1とともにXYリニアモータ135cを構成する。同様に、第4板部材132dの上面には、固定子135d2が設けられている。固定子135d2は、スライダ120に固定された可動子135d1とともにXYリニアモータ135dを構成する。可動子135c1、135d1は、不図示のエアベアリングにより、固定子135c2、135d2からわずかに浮上している。
【0021】
可動ステージ132は、Y軸リニアモータ134a、134bにより、一対のリニアガイド131a、131bに対してY1方向に移動される。スライダ120は、XYリニアモータ135c、135dにより、可動ステージ132に対して、X1方向に移動され、Y1方向に微小移動される。
【0022】
計測ユニット140は、スライダ120上の計測対象が有するマーク(一例としてアライメントマーク)を光学的に検出する。計測ユニット140は、マーク検出系141を主に有する。
【0023】
マーク検出系141として、一例としてハロゲンランプ等のブロードバンド(広帯域)光でマークを照明し、このマークの画像を画像処理することによってマーク位置を計測する画像処理方式の結像式アライメントセンサの一種であるFIA(Field Image Alignment)系を用いることができる。その他、マーク検出系141として、回折光干渉型、ビームスキャン型等の、任意のアライメント検出系を用い得る。マーク検出系141は、鏡筒141sと、鏡筒141sの内部の光軸AX1を有する光学系(不図示)を有し、スライダ120上の計測対象に対して検出光を射出する。マーク検出系141は、光学系の焦点位置を調整するアライメントオートフォーカス機能を有していてもよい。
【0024】
第1位置計測システム150は、主にヘッドHD1と、スライダ120の下面120eと、下面120eに設けられたグレーティングG1とにより構成されている。
【0025】
ヘッドHD1は、定盤110の上面の中央部に設けられた凹部110aの内部に配置されている。
【0026】
グレーティングG1は、X1方向を周期方向とする反射型の回折格子(X回折格子)と、Y1方向を周期方向とする反射型回折格子(Y回折格子)とを含む。X回折格子とY回折格子のピッチは、一例として1μmとし得る。
【0027】
ヘッドHD1は、グレーティングG1に複数のビームを照射するとともに、グレーティングG1からの回折ビームを受光する。ヘッドHD1とグレーティングG1とにより、エンコーダシステム151が構成される。エンコーダシステム151により、スライダ120のX1方向の位置、及びY1方向の位置が計測される。
【0028】
ヘッドHD1はまた、スライダ120の下面120eに4本の測長ビームを照射するとともに、下面120eからの戻りビームを受光する。ヘッドHD1とスライダ120の下面120eとにより、レーザ干渉計システム152が構成される。レーザ干渉計システム152により、スライダ120のZ1方向の位置、θX1方向の位置、及びθY1方向の位置が計測される。
【0029】
第2位置計測システム160は、主に、ヘッドHD2a、HD2bと、グレーティングG2a、G2bにより構成されている。
【0030】
ヘッドHD2aは、マーク検出系141の鏡筒141sからX1方向一方側に延びるヘッド取付部材161aの先端に設けられている。ヘッドHD2bは、マーク検出系141の鏡筒141sからX1方向他方側に延びるヘッド取付部材161bの先端に設けられている。
【0031】
グレーティングG2a、G2bは、支持部材162a、162bを介して定盤110に固定されたスケール部材163a、163bの上面に設けられている。グレーティングG2a、G2bは反射型の2次元グレーティングであり、ヘッドHD2a、HD2bと対向している。
【0032】
ヘッドHD2aとグレーティングG2aとにより、エンコーダシステム164aが構成され、ヘッドHD2bとグレーティングG2bとにより、エンコーダシステム164bが構成される。エンコーダシステム164a、164bにより、定盤110のマーク検出系141に対するX1方向、Y1方向、Z1方向、θX1方向、θY1方向、θZ1方向の位置が計測される。
【0033】
計測制御部170は、駆動システム130、計測ユニット140、第1位置計測システム150、及び第2位置計測システム160を全体的に制御して、ウエハW0に対するアライメント計測を実行する。
【0034】
上記の構成を有する計測部100として、米国特許出願公開第2019/257647号、米国特許第10684562号明細書、米国特許第10698326号明細書、米国特許第10775708号明細書、米国特許第10777441号明細書に開示された計測装置を用いてもよい。
【0035】
[パターン決定部200]
パターン決定部200は、計測部100によるアライメント計測の結果に基づいて、パターン露光部300がウエハW0の感光層に露光する露光パターンを決定する。
【0036】
図4に示す通り、パターン決定部200は、記憶部210、決定部220、及び受信部230を主に有する。
【0037】
記憶部210はパターンの決定に用いるテーブルを記憶する。決定部220は、該テーブルと計測部100の計測結果とに基づいてパターンを決定する。受信部230は計測部100からの出力を受信して決定部220に送る。
【0038】
パターン決定部200について、詳細は後述する。
【0039】
[パターン露光部300]
パターン露光部300は、パターン決定部200が決定したパターンを、ウエハW0の感光層に露光する。
【0040】
図5に示す通り、パターン露光部300は、照明系310、パターン生成装置320、投影光学系330、ステージ装置340、アライメント検出系(第2計測部)350、及びパターン露光制御部360を主に有する。パターン露光部300の説明においては、水平面内において互いに直交する2方向をX
3方向、Y
3方向とし、鉛直方向をZ
3方向とする。
【0041】
照明系310は、光源系(不図示)と、照明光学系311と、反射ミラー312とを主に有する。光源系は、一例として、固体レーザ光源(DFB半導体レーザ、ファイバレーザ等)を含む。照明光学系311は、照明条件を変更するための成形光学系、オプティカルインテグレータ、視野絞り、リレーレンズ系(いずれも不図示)を含む。
【0042】
パターン生成装置320は、ステージ装置340のステージ341(後述)に載置されたウエハW0の感光層に投影するパターンを生成する電子マスク・システムである。パターン生成装置320は、可変成形マスク321と、マスク駆動部322とを主に有する。
【0043】
図6に示すように、可変成形マスク321は、X
3-Y
3平面内にマトリックス状(2次元状、アレイ状)に配置された複数のマイクロミラー機構Mを有する。マイクロミラー機構Mの各々は、マイクロミラーM1と、マイクロミラーM1の反射面とは反対側に設けられた駆動機構M2とを有する。駆動機構M2は、マイクロミラーM1をX
3方向に延びる軸周りに回転させる。
【0044】
マスク駆動部322は、パターン露光制御部360からの制御信号に従って複数のマイクロミラー機構Mの各々の駆動機構M2を駆動し、マイクロミラーM1をオン状態(オン位置)とオフ状態(オフ位置)との間で切り替える。
【0045】
照明系310からの照明光ILがオン状態にあるマイクロミラーM1に入射した場合、照明光ILの0次回折光IL0は、投影光学系330に入射する。一方、照明系310からの照明光ILがオフ状態にあるマイクロミラーM1に入射した場合、照明光ILの0次回折光IL0は、投影光学系330から外れた非露光光路に至る。パターン生成装置320は、複数のマイクロミラーM1の各々をオン状態及びオフ状態のいずれかに設定することにより、照明光ILにパターンを与える。
【0046】
投影光学系330は、パターン生成装置320で生成されたパターンを、ステージ341に配置されたウエハW0に、投影倍率β(一例としてβ=1/200、1/400、1/500等)で縮小投影する。即ち、パターン生成装置320を介したエネルギービームにより、ウエハW0に、パターン生成装置320で生成されたパターンを露光する。投影光学系は鏡筒330sと、鏡筒330sの内部に所定の位置関係で配置された複数の光学素子(不図示)を有する。
【0047】
ステージ装置340は、ステージ(基板ステージ)341と、レーザ干渉計342と、ステージ制御部343とを主に有する。
【0048】
ステージ341は、上面中央に設けられたウエハホルダ(不図示)を介してウエハW0を保持する。ステージ341は、不図示のステージ駆動系によりX3方向、Y3方向及びZ3方向に移動可能であり、且つZ3方向に延びる軸周りに回転可能である。
【0049】
レーザ干渉計342はステージ341の端面に設けられた反射面に測長ビームを照射することにより、ステージ341のX3方向、Y3方向、θZ3方向(Z3方向に延びる軸周りの方向)の位置を、例えば0.5~1nm程度の分解能で常時検出する。
【0050】
ステージ制御部343は、パターン露光制御部360からの制御信号に従ってステージ341の移動を制御する。
【0051】
アライメント検出系(計測部、第2計測部)350は、投影光学系330の側面に配置されている。本実施形態では、ウエハW0上に形成されたストリートラインや位置検出用マーク(基板アライメントマーク)を検出する結像式アライメントセンサがアライメント検出系350として用いられている。アライメント検出系350の詳細な構成は、例えば、特開平9―219354号公報に開示されている。アライメント検出系350の検出結果は、パターン露光制御部360に供給される。
【0052】
パターン露光制御部360は、照明系310、パターン生成装置320、ステージ装置340等の動作を制御し、可変成形マスク321で逐次生成されるパターンの像を、投影光学系330を介して、ステージ341に保持されたウエハW0上に形成する。
【0053】
照明系310からの照明光ILによって可変成形マスク321が照明されると、可変成形マスク321のオン状態にあるマイクロミラーM1にて反射した照明光IL、即ち可変成形マスク321によりパターンを与えられた照明光ILが投影光学系330に入射し、該パターンの縮小像(部分倒立像)がステージ341に保持されたウエハW0上の投影領域IAに形成される。
【0054】
本実施形態においては、パターン露光制御部360は、
図7中の軌道Rtで示されるようにステップアンドスキャン方式で露光を行う。即ち、まず、ウエハW
0上の被露光領域(ショット領域)内のX
3方向の最も正側に位置する開始地点STAから、投影領域IAを-Y
3側に移動させて(即ち、ステージ341を+Y
3側に移動させて)スキャン露光(走査露光)を行う。次に、投影領域IAを-X
3側に移動させる(即ち、ステージ341を+X
3側に移動させる)ステッピング動作を行う。次に、投影領域IAを+Y側に移動させて(即ち、ステージ341を-Y
3側に移動させて)スキャン露光を行う。その後も、スキャン露光とステッピング動作を繰り返し、露光領域の全域に対する露光を行う。一度のスキャン露光により露光されるY
3方向に延びる領域を「露光領域」と呼ぶ。
【0055】
パターン露光制御部360は、スキャン露光中に、ステージ341を適切な速度で移動させつつ、これに同期して可変成形マスク321で生成したパターンをスクロールさせる(即ち、可変成形マスク321が生成するパターンの形状を変化させる)。投影領域IAのX3方向の幅は、本実施形態では0.1~0.2mm程度である。
【0056】
上記の構成を有するパターン露光部300として、米国特許第8089616号、米国特許公開第2020/00257205号に開示された露光装置を用いてもよい。
【0057】
[マスク露光部400]
マスク露光部400は、予め決定され且つレチクル(フォトマスク)に形成されたパターンを、ウエハW0の感光層に露光する。
【0058】
図8に示す通り、マスク露光部400は、照明系410、レチクルステージ装置420、投影光学系430、ウエハステージ装置440、アライメント検出系450、マスク露光制御部460を主に有する。マスク露光部400の説明においては、水平面内において互いに直交する2方向をX
4方向、Y
4方向とし、鉛直方向をZ
4方向とする。
【0059】
照明系410は、光源と、該光源に送光光学系を介して接続された照明光学系(いずれも不図示)とを有する。光源は、一例としてArFエキシマレーザ光源(波長193nm)である。照明光学系は、光源からの照明光を、レチクルステージ装置420のレチクルステージ421に保持されたレチクルR0上の照明領域IARに、ほぼ均一な照度で照射する。照明領域IARはX4方向に細長く伸びるスリット状の領域である。
【0060】
レチクルステージ装置420は、レチクルステージ421と、レチクルレーザ干渉計422とを主に有する。
【0061】
レチクルステージ421は、中央部に設けられたホルダを介してレチクルR0を保持する。レチクルステージ421は、不図示のレチクルステージ駆動系により、X4方向及びY4方向に微小駆動可能であり、且つ走査方向(Y4方向)に所定ストローク範囲で駆動可能である。
【0062】
レチクルレーザ干渉計422は、レチクルステージ421の端面に設けられた移動鏡MR1に測長ビームを照射することにより、レチクルステージ421のX4方向、Y4方向、及びθZ4方向の位置を、例えば0.25nm程度の分解能で常時検出する。
【0063】
投影光学系430は、レチクルR0に形成されたパターンを、ウエハステージ441(後述)に配置されたウエハW0に、所定の投影倍率(一例として1/4倍、1/5倍、1/8倍等)で縮小投影する。投影光学系は鏡筒430sと、鏡筒430sの内部に所定の位置関係で配置された複数の光学素子(不図示)を有する。
【0064】
ウエハステージ装置440は、ウエハステージ441と、レーザ干渉計442とを主に有する。
【0065】
ウエハステージ441は、上面中央に設けられたウエハホルダ(不図示)を介してウエハW0を保持する。ウエハステージ441は、不図示のステージ駆動系によりX4方向、及びY4方向に所定ストロークで駆動されるとともに、Z4方向、θX4方向、θY4方向、及びθZ4方向に微小駆動される。
【0066】
レーザ干渉計442はウエハステージ441の端面に設けられた移動鏡MR2に測長ビームを照射することにより、ウエハステージ441のX4方向、Y4方向、θZ4方向、θX4方向、θY4方向の位置情報を、例えば0.25nm程度の分解能で常時検出する。
【0067】
アライメント検出系450は、投影光学系430の鏡筒430sの側面に設けられている。アライメント検出系450は、ウエハに形成されたアライメントマーク等を検出する。アライメント検出系450として、画像処理方式の結像式アライメントセンサの一種であるFIA(Field Image Alignment)系を用いることができる。画像処理方式のアライメント系に代えて、或いはこれに加えて回折光干渉型のアライメント系を用いてもよい。
【0068】
マスク露光制御部460は、照明系410、レチクルステージ装置420、投影光学系430、ウエハステージ装置440を総合的に制御し、レチクルステージ装置420が保持するレチクルR0に形成されたパターンの像を、投影光学系430を介して、ウエハステージ441に保持されたウエハW0上に形成する。本実施形態のマスク露光制御部460は、ステップアンドスキャン方式で露光を行うよう各部を制御する。
【0069】
上記の構成を有するマスク露光部400として、米国特許第10684562号明細書に開示された露光装置を用いてもよい。
【0070】
[デバイス製造方法]
露光システムESを用いて半導体デバイスを製造するデバイス製造方法について、
図9、
図10に示す半導体デバイス10を製造する場合を例として説明する。
【0071】
図9(a)、
図9(b)に示す通り、半導体デバイス10は、基板11、固定層12、第1絶縁層131、第2絶縁層132、第3絶縁層133、第4絶縁層134、第5絶縁層135が下からこの順番で積層された積層構造を有する。
【0072】
基板11は、シリコンで形成された平板である。
【0073】
固定層12は、一例としてポリイミド等の絶縁材料により形成されている。
図9(b)、
図10(a)に示す通り、固定層12の内部には、半導体チップCP1、CP2、CP3が設けられている。
【0074】
半導体チップCP1~CP3は互いに同一の構成を有する。以下では互いの区別が不要である場合は単に半導体チップCPと呼ぶ。
【0075】
図11に示す通り、半導体チップCPは、平面視略正方形の基板SBと、回路CRと、8つの複数の引出電極Tと、4つのアライメントマーク(チップアライメントマーク)AMとを有する。半導体チップCPについては、
図11において4つの引出電極Tが並ぶ方向を電極配列方向(一軸方向)と呼び、基板SBの面内方向であり且つ電極配列方向と直交する方向を直交方向と呼ぶ。
【0076】
基板SBは、樹脂等で形成された平板である。
【0077】
回路CRは、基板SBの平面視中央部に設けられている。回路CRは、所定の機能を奏するよう設計され、基板SB上に設けられている。
【0078】
8つの引出電極Tはそれぞれ、回路CRを半導体チップCPの外部に接続するための電極である。8つの引出電極Tの各々は基板SB内に設けられた配線(不図示)により回路CRに接続されている。
【0079】
8つの引出電極Tはそれぞれ、基板SBの上面の、基板SBの平面視において回路CRが設けられていない領域に設けられている。8つの引出電極Tの内の4つは、回路CRの直交方向の一方側に、電極配列方向に一列に並んで設けられている。8つの引出電極Tの内の残る4つは、回路CRの直交方向の他方側に、電極配列方向に一列に並んで設けられている。
【0080】
回路CRの直交方向の一方側に画定される、4つの引出電極Tが設けられた領域を第1電極形成領域TA1と呼ぶ。回路CRの直交方向の他方側に画定される、4つの引出電極Tが設けられた領域を第2電極形成領域TA2と呼ぶ。第1、第2電極形成領域TA1、TA2はそれぞれ、電極配列方向に沿って延びる長尺の領域である。
【0081】
第1、第2電極形成領域TA1、TA2はそれぞれ基板SBの平面視において回路CRの外側の領域であり、第1、第2電極形成領域TA1、TA2に回路CRは設けられていない。第1電極形成領域TA1、第2形成領域TA2は、直交方向において回路CRを挟んでいる。
【0082】
第1、第2電極形成領域TA1、TA2は、直交方向において基板SBの中央部から離れた位置に画定されている。第1電極形成領域TA1と第2形成領域TA2とは、直交方向において互いに離間して局在している。
【0083】
本実施形態においては、引出電極Tは、半導体チップCPの直交方向において、回路CRが設けられていない領域のみに設けられている。
【0084】
4つのアライメントマークAMは、基板SBの四隅に1つずつ設けられている。アライメントマークAMの各々は十字形状のマーク、ボックス状のマーク等であってよい。
【0085】
第1絶縁層131~第5絶縁層135は、一例として二酸化ケイ素(SiO2)等の絶縁材料により形成されている。
【0086】
図9(b)、
図10(b)に示す通り、第1絶縁層131の内部には、複数のビアV1が設けられている。複数のビアV1はそれぞれ、半導体チップCP1~CP3の引出電極Tの上に設けられている。
【0087】
図9(b)、
図10(c)に示す通り、第2絶縁層132の内部には、中継配線(中継配線層)W2が設けられている。本実施形態の半導体デバイス10の中継配線W2は、複数のビアV1にそれぞれ接続された配線のセットにより構成されている(詳細後述)。中継配線W2は、ビアV1とビアV3(後述)を接続する。
【0088】
図9(b)、
図10(d)に示す通り、第3絶縁層133の内部には、複数のビアV3が設けられている。複数のビアV3はそれぞれ、中継配線W2を構成する複数の配線に接続する。
【0089】
図9(b)、
図10(e)に示す通り、第4絶縁層134の内部には、再配線(再配線層)W4が設けられている。本実施形態の半導体デバイス10の再配線W4は、出力配線(出力配線層)W41とチップ間配線(チップ間配線層)W42とを含む。
【0090】
出力配線W41は、一端がビアV3の位置にあり他端がビアV3とは異なる位置にある配線のセットにより構成されている。出力配線W41は、ビアV1、V3、及び中継配線W2とともに、半導体チップCP1~CP3と電極T10(後述)とを接続する。
【0091】
チップ間配線W42は、一端がビアV3の位置にあり他端が当該ビアV3とは異なるビアV3の位置にある配線のセットにより構成されている。チップ間配線W42は、ビアV1、V3、及び中継配線W2とともに、半導体チップCP1~CP3を互いに接続する。
【0092】
図9(b)、
図10(f)に示す通り、第5絶縁層135の内部には、複数の電極(電極層)T
10が設けられている。電極T
10は、出力配線W41を構成する複数の配線の各々の、ビアV3に接続された端部とは反対側の端部の上に設けられている。
【0093】
本実施形態のデバイス製造方法は、
図12のフローチャートに示す通り、チップ取付工程S1、誤差計測工程S2、中継配線パターン決定工程S3、中継配線形成工程S4、再配線形成工程S5、及びダイシング工程S6を主に含む。
【0094】
[チップ取付工程S1]
チップ取付工程S1においては、ウエハWを準備し、ウエハW上に複数の半導体チップを取り付ける。本実施形態では、ウエハWとして、
図13(a)に示す直径300mmのシリコンウエハを用いる。
【0095】
まず、
図13(a)に示すように、ウエハWを複数の区画SCに分ける。複数の区画SCの各々は矩形であり、ウエハW上にマトリックス状に配置される。以下の説明においては、区画SCの短辺方向、長辺方向をそれぞれ、区画SC及びウエハWのX方向、Y方向と呼ぶ。ウエハWの厚さ方向を区画SC及びウエハWのZ方向と呼ぶ。なお、ウエハWには回路パターンが形成されていてもよい。この場合、複数の区画SCは、ウエハW上の複数の回路パターン形成領域間のストリートラインで分けられていてもよい。
【0096】
次に、半導体チップCP1~CP3(
図11)を、複数の区画SCの各々に取り付ける。
【0097】
本実施形態においては、区画SC内に半導体チップCP1~CP3を、半導体チップCP1と半導体チップCP2とがX方向に並び、半導体チップCP2と半導体チップCP3とがY方向に並ぶように配置する(
図13(b))。
【0098】
半導体チップCP1~CP3の区画SCへの配置は、半導体チップCP1~CP3の電極配列方向が区画SCのY方向に一致し、半導体チップCP1~CP3の直交方向が区画SCのX方向に一致するように行う。
【0099】
図13(b)に示す状態においては、半導体チップCP1と半導体チップCP2とがX方向に並んでおり、且つ半導体チップCP1の引出電極Tと半導体チップCP2の引出電極TとがY方向において同位置にある。また、半導体チップCP2と半導体チップCP3とがY方向に並んでおり、且つ半導体チップCP2の引出電極Tと半導体チップCP3の引出電極TとがX方向において同位置にある。半導体チップCP1~CP3の電極配列方向は一致している。
【0100】
半導体チップCP2の第1電極形成領域TA1と半導体チップCP3の第1電極形成領域TA1とはY方向に沿って一直線状に並び、半導体チップCP2の第2電極形成領域TA2と半導体チップCP3の第2電極形成領域TA2とはY方向に沿って一直線状に並ぶ。このように、複数の半導体チップCPの第1電極形成領域TA1又は第2電極形成領域TA2を一直線状に並べることで、パターン露光部300による露光においては、Y3軸方向に延びる露光領域(一度のスキャン露光で露光される領域)と複数の半導体チップCPの第1電極形成領域TA1又は第2電極形成領域TA2とを重ねることが出来る。これによりパターン露光部300による露光を効率よく行うことができる(詳細後述)。
【0101】
以下の説明において、
図13(b)のように配置された半導体チップCP1~CP3の位置を「設計位置」と呼ぶ。
【0102】
ウエハWの区画SCの各々に半導体チップCP1~CP3を配置した後、樹脂により固定層12を形成し、半導体チップCP1~CP3をウエハWに固定する。固定層12の上面と半導体チップCP1~CP3の上面とは面一であってもよい(
図13(c))。
【0103】
本明細書において、チップ取付工程S1の完了時点で得られる、ウエハWに半導体チップCPを固定層12により取り付けた状態のものをデバイスと捉えてもよい。
【0104】
[誤差計測工程S2]
チップ取付工程S1においてウエハWに半導体チップCP1~CP3を取り付ける際に、半導体チップCP1~CP3が設計位置(
図13(b))からずれて固定されることが多い。半導体チップCP1~CP3の設計位置に対する位置ずれは例えば、樹脂を硬化させて固定層12を形成する際の樹脂の不均一収縮等により生じる。
【0105】
図14に位置ずれの一例を示す。
図14において、半導体チップCP1~CP3の設計位置を点線で示し、半導体チップCP1~CP3の実際の位置を実線で示す。半導体チップCP1は設計位置に対して-X方向及び-Y方向にシフトしている。半導体チップCP2は設計位置に対して+X方向及び-Y方向にシフトしている。半導体チップCP3については、設計位置に対するずれは生じていない。
【0106】
誤差計測工程S2においては、計測部100により、各区画SCの半導体チップCP1~CP3の、設計位置に対するX方向のずれ量ΔX、Y方向のずれ量ΔY、及びZ方向に延びる軸周りの回転方向のずれ量Δθを計測する。以下、X方向のずれ量ΔX、Y方向のずれ量ΔY、及びZ方向に延びる軸周りの回転方向のずれ量Δθの組合せを位置ずれ情報DIと呼ぶ。
【0107】
まず、計測部100のスライダ120のウエハホルダ122にウエハWを設置する。この時、ウエハWのX方向、Y方向を計測部100のX1方向、Y1方向に一致させる。
【0108】
次に、計測部100のマーク検出系141により、ウエハWのアライメントマーク(基板アライメントマーク)(不図示)及び半導体チップCP1~CP3のアライメントマーク(チップアライメントマーク)AMを検出する。
【0109】
ウエハW上の各区画SCの位置、及び各区画SCにおける半導体チップCP1~CP3の設計位置は既知であるため、ウエハWのアライメントマークを検出することで、半導体チップCP1~CP3の設計位置を求めることができる。また、半導体チップCP1~CP3の各々は、四隅に配置された4つのアライメントマークAMを有するため、これらの検出に基づいて、半導体チップCP1~CP3の各々の実際の位置を求めることが出来る。
【0110】
したがって、ウエハWのアライメントマークの検出結果と、半導体チップCP1~CP3の各々のアライメントマークAMの検出結果に基づいて、半導体チップCP1~CP3の各々の位置ずれ情報DIを算出することができる。位置ずれ情報DIの算出は、例えば計測部100の計測制御部170により行う。
【0111】
計測制御部170は、求めた位置ずれ情報DIをパターン決定部200に出力する。
【0112】
[中継配線パターン決定工程S3]
中継配線パターン決定工程S3においては、パターン決定部200が、区画SCごとに、中継配線W2のパターンを決定する。
【0113】
本実施形態のデバイス製造方法において中継配線W2を形成する理由は次の通りである。
【0114】
本実施形態のデバイス製造方法においては、後述する再配線形成工程S5において、再配線W4(
図10(e))のパターンをマスク露光部400による露光を用いて形成する。ここで、再配線W4のパターンは設計位置(
図13(b))に配置された半導体チップCP1~CP3を基準に設計されている。したがって、例えば
図14に示すように半導体チップCP1~CP3の実際の位置が設計位置に対してずれていると、半導体チップCP1~CP3の引出電極Tと再配線W4との間に断絶等の接続不良が生じ得る。
【0115】
そのため、本実施形態のデバイス製造方法においては、実際の位置にある半導体チップCP1~CP3の引出電極Tの位置と、設計位置にある半導体チップCP1~CP3の引出電極Tの位置との間に延びる直線状の配線のセットにより構成される中継配線W2(
図10(c))を形成する。これにより、半導体チップCP1~CP3の実際の位置が設計位置に対してずれている場合であっても、半導体チップCP1~CP3と再配線W4とは中継配線W2を介して良好に接続される。
【0116】
ここで、中継配線W2のパターンは、半導体チップCPの設計位置に対する位置ずれの態様に応じて様々である。したがって、中継配線パターン決定工程S3では、半導体チップCP1~CP3の各々について、誤差計測工程S2で取得した位置ずれ情報DIに基づいて中継配線W2のパターンを決定する。
【0117】
中継配線W2のパターンは、具体的には例えば、次のようにして決定される。
【0118】
まず、パターン決定部200の決定部220が、受信部230を介して、計測部100の計測制御部170から、半導体チップCP1~CP3の各々の位置ずれ情報DIを受け取る。
【0119】
次に、決定部220は、半導体チップCP1~CP3の各々について、受け取った位置ずれ情報DIと、記憶部210に記憶されたテーブルTBとに基づいて、中継配線W2のパターンを決定する。
【0120】
テーブルTBには、多種類の位置ずれ情報DIと、多種類のパターン情報PIとが対応付けて記憶されている。多種類のパターン情報PIの各々は、対応する位置ずれ情報DIに適した中継配線W2のパターンを含む。即ちテーブルTBには、半導体チップCPが有し得る様々な種類の位置ずれと、当該位置ずれを有する半導体チップCPに対して形成すべき中継配線W2のパターンとが対応付けて記憶されている。
【0121】
具体的には例えば、
図15に示すテーブルTB1には、-100[nm]と+100[nm]の間の10nm刻みの所定の値であるずれ量ΔX及びずれ量ΔYと、+100[μrad]であるずれ量Δθとの様々な組合せについて、対応するパターン情報PIが記憶されている。
【0122】
同様に、
図15に示すテーブルTB2には、-100[nm]と+100[nm]の間の10nm刻みの所定の値であるずれ量ΔX及びずれ量ΔYと、-90[μrad]であるずれ量Δθとの様々な組合せについて、対応するパターン情報PIが記憶されている。
図15に示すテーブルTB3には、-100[nm]と+100[nm]の間の10nm刻みの所定の値であるずれ量ΔX及びずれ量ΔYと、-100[μrad]であるずれ量Δθとの様々な組合せについて、対応するパターン情報PIが記憶されている。
【0123】
テーブルTBには、テーブルTB1~TB3の他にも、ずれ量ΔX、ずれ量ΔY、ずれ量Δθの様々な組合せについて対応するパターン情報PIを記憶する複数のテーブルが含まれる。
【0124】
多種類のパターン情報PIの各々は、実際の位置にある半導体チップCPの8つの引出電極Tと、設計位置にある半導体チップCPの8つの引出電極Tとの間に延びる、8つのパターンPTを含む(
図16)。
【0125】
図16に示すパターン情報PIは、ずれ量ΔXが-50[nm]、ずれ量ΔYが-50[nm]、ずれ量Δθが0[μrad]である位置ずれ情報DIに対応するパターン情報PIである。このパターン情報PIに含まれる8つのパターンPTはそれぞれ、略正方形の第1端部PT1、略正方形の第2端部PT2、及び第1端部PT1と第2端部PT2との間に延びる直線部PT3とを含む。
【0126】
第1端部PT1の中心CT1は、第2端部PT2の中心CT2に対して、X方向に50[nm]、Y方向に50[nm]だけ離間している。即ち、パターンPTはそれぞれ、実際の位置にある半導体チップCPの引出電極Tの位置に第1端部PT1を形成した場合、設計位置にある半導体チップCPの電極Tの位置に第2端部PT2が位置するように設計されている。
【0127】
複数のパターン情報PIの間では、含まれるパターンPTの直線部PT3の長さ(配線長)及び延在方向の少なくとも一方が異なっている。ずれ量Δθが0[μrad]である位置ずれ情報DIに対応するパターン情報PIにおいては、
図16に示すように、8つのパターンPTの直線部PT3の長さ及び延在方向は同一である。これに対し、ずれ量Δθが0[μrad]ではない位置ずれ情報DIに対応するパターン情報PIにおいては、8つのパターンPTの直線部PT3の長さ及び延在方向は同一ではない。
【0128】
ずれ量ΔX、ずれ量ΔY、ずれ量Δθがいずれもゼロであるか、無視できる程度に小さい場合は、第1端部PT1のみを有し第2端部PT2及び直線部PT3を有さない略正方形のパターンの組合せが選択される。
【0129】
決定部220は、半導体チップCP1~CP3の各々について、計測部100から受けとった位置ずれ情報DIに含まれるずれ量ΔX、ずれ量ΔY、ずれ量Δθを読み取り、その組合せに対応するパターン情報PIをテーブルTBから選択する。そして、選択したパターン情報PIにより示されるパターンを、当該半導体チップのための中継配線W2のパターンとして決定する。
【0130】
決定部220は、決定したパターンを露光パターンとしてパターン露光部300に送る。
【0131】
[中継配線形成工程S4]
中継配線形成工程S4においては、中継配線パターン決定工程S3において決定したパターンを有する中継配線W2を各区画SCの半導体チップCP1~CP3の上に形成する。中継配線W2は、具体的には例えば、次の手順で形成される。
【0132】
(1)固定層12(
図17(a))の上に第1絶縁層131を形成し、第1絶縁層131の上に第1感光層141を形成する(
図17(b))。尚、固定層12が半導体チップCPの上部を覆っている場合には、固定層12が第1絶縁層131の機能を果たすため、第1絶縁層131を形成せずに、固定層12の上に第1感光層を形成してもよい。
【0133】
(2)パターン露光部300を用いて、パターン生成装置320で生成したビアV1(
図10(b))のパターンを第1感光層141に投影する。パターン露光部300による走査露光は、走査方向を半導体チップCP1~CP3の電極配列方向に一致させて行う。そして、ビアV1のパターンが露光された位置の第1感光層141及び第1絶縁層131を除去し(
図17(c))、残る第1感光層141も除去した後、第1絶縁層131に残された凹部に導体(一例として銅)を埋め込む(
図17(d))。これにより、第1絶縁層131の内部にビアV1が形成される。
【0134】
ビアV1は実際の位置にある半導体チップCP1~CP3の引出電極Tの位置に形成される。ビアV1の位置は、誤差計測工程S2の計測結果に基づいて決定し得る。
【0135】
(3)第1絶縁層131の上に第2絶縁層132を形成し、第2絶縁層132の上に第2感光層142を形成する(
図17(e))。
【0136】
(4)パターン露光部300を用いて、パターン生成装置320で生成した中継配線W2(
図10(c))のパターン(即ち、中継パターン決定工程S3で決定したパターン)を第2感光層142に投影する。パターン露光部300による走査露光は、走査方向を半導体チップCP1~CP3の電極配列方向(ウエハWのY方向)に一致させて行う。そして、中継配線W2のパターンが露光された位置の第2感光層142及び第2絶縁層132を除去し(
図17(f))、残る第2感光層142も除去した後、第2絶縁層132に残された凹部に導体を埋め込む(
図17(g))。これにより、第2絶縁層132の内部に中継配線(中継配線層)W2が形成される。尚、ビアV1が形成された第1絶縁層131の上に第2絶縁層132を形成する前に、第1絶縁層131の平坦化処理(例えばCMP)を行ってもよく、中継配線W2が形成された第2絶縁層132の平坦化処理を行ってもよい。また、ビアV1が形成される前の第1絶縁層131の平坦化処理を行ってもよい。
【0137】
[再配線形成工程S5]
再配線形成工程S5においては、予め決定されたパターンを有する再配線W4、及び電極T10を、各区画SCの中継配線W2の上に形成する。再配線W4は、具体的には例えば、次の手順で形成される。
【0138】
(1)第2絶縁層132の上に第3絶縁層133を形成し、第3絶縁層133の上に第3感光層143を形成する。そして、マスク露光部400を用いて、レチクル(フォトマスク)に予め形成されたビアV3(
図10(d))のパターンを第3感光層143に投影し、ビアV3のパターンが露光された位置の第3感光層143及び第3絶縁層133を除去する(
図18(a))。残る第3感光層143も除去した後、第3絶縁層133に残された凹部に導体を埋め込む(
図18(b))。これにより、第3絶縁層133の内部にビアV3が形成される。ビアV3は設計位置にある半導体チップCP1~CP3の引出電極の位置に形成される。ここで、第3絶縁層133の形成後に平坦化処理を行ってもよい。
【0139】
(2)第3絶縁層133の上に第4絶縁層134を形成し、第4絶縁層134の上に第4感光層144を形成する(
図18(c))。なお、第4絶縁層134の形成後に平坦化処理を行ってもよい。
【0140】
(3)マスク露光部400を用いて、レチクル(フォトマスク)に予め形成された再配線W4(
図10(e))のパターン(マスクパターン)を第4感光層144に投影する。そして、再配線W4のパターンが露光された位置の第4感光層144及び第4絶縁層134を除去し(
図18(d))、残る第4感光層144も除去した後、第4絶縁層134に残された凹部に導体を埋め込む(
図18(e))。これにより、第4絶縁層134の内部に再配線(再配線層)W4が形成される。
【0141】
(4)第4絶縁層134の上に第5絶縁層135を形成し、第5絶縁層135の上に第5感光層145を形成する(
図18(f))。
【0142】
(5)マスク露光部400を用いて、レチクルに形成された電極T
10(
図10(f))のパターンを第5感光層145に投影する。そして、電極T
10のパターンが露光された位置の第5感光層145及び第5絶縁層135を除去し(
図18(g))、残る第5感光層145も除去した後、第5絶縁層135に残された凹部に導体を埋め込む(
図18(h))。これにより、第5絶縁層135の内部に電極T
10が形成される。
【0143】
[ダイシング工程S6]
ダイシング工程S6においては、ウエハWを区画SCごとに分断する。これにより、複数(本実施形態では86個)の半導体デバイス10が形成される。区画SCを単位として切断されたウエハWの各部が、半導体デバイス10の基板11となる。
【0144】
本実施形態の露光システムES、及びこれを用いるデバイス製造方法の効果を次にまとめる。
【0145】
本実施形態の露光システムESは、中継配線W2のパターンを決定するパターン決定部200、及びパターン決定部200が決定したパターンを有する中継配線W2を形成するパターン露光部300を備える。また、本実施形態のデバイス製造方法は、パターン決定部200を用いて中継配線W2のパターンを決定する中継配線パターン決定工程S3、及び決定したパターンを有する中継配線W2をパターン露光部300を用いて形成する中継配線形成工程S3を含む。
【0146】
したがって、ウエハW上に配置された半導体チップCP1~CP3の位置が設計位置に対してずれている場合であっても、設計位置にある半導体チップCP1~CP3と接続されるよう設計された再配線W4と設計位置からずれた位置にある半導体チップCP1~CP3とを中継配線W2により中継して(電気的に接続して)、良好に接続することができる。
【0147】
このように、設計位置に対してずれた位置にある半導体チップと再配線との接続を行う方法として、特許文献1のように、半導体チップの位置ずれに基づいて再配線自体のパターンを再設計することが考えられる。しかしながら、再配線自体のパターンを、様々な態様であり得る半導体チップの位置ずれに応じて都度再設計すると、多大な処理時間を要してしまう。
【0148】
これに対し、本実施形態は、再配線自体のパターンは変更せず、設計位置に対してずれた位置にある半導体チップの引出電極と再配線とを中継する中継配線を形成する。したがって再配線のパターンを再設計する必要がなく、高スループットでデバイスを製造することが出来る。
【0149】
また、本実施形態の露光システムES、及びこれを用いるデバイス製造方法では、再配線自体のパターンは変更しないため、再配線の形成を、再配線のパターンが予め形成されたレチクル(フォトマスク)を用いて、マスク露光機400により行うことが出来る。したがって、再設計した再配線をパターン露光機を用いて形成する特許文献1の方法に比べて、高スループットでデバイスを製造することが出来る。
【0150】
更に、本実施形態の露光システムES、及びこれを用いるデバイス製造方法では、中継配線W2のパターンの決定に、多種類の位置ずれ情報DIと多種類のパターン情報PIとの対応を記憶したテーブルTBを用いる。したがって、半導体チップCPの位置ずれ情報DIを取得した後、複雑な処理を要することなく、テーブルTBを参照して迅速に中継配線W2のパターンを決定することができる。
【0151】
本実施形態の露光システムES、及びこれを用いるデバイス製造方法においては、半導体チップCP1~CP3の各々の引出電極Tは、回路CRの外側において電極配列方向に延びる第1、第2電極形成領域TA1、TA2のみに設けられている。また、半導体チップCP1~CP3は、ウエハW上の区画SCにおいて、電極配列方向が互いに一致するように配置されている。更に、半導体チップCP2と半導体チップCP3とは、半導体チップCP2の第1電極形成領域TA1と半導体チップCP3の第1電極形成領域TA1とが一直線上に並び、且つ半導体チップCP2の第2電極形成領域TA2と半導体チップCP3の第2電極形成領域TA2とが一直線上に並ぶように配置されている。
【0152】
したがって、中継配線形成工程S4において、中継配線W2やビアV1、V3を形成する際には、区画SCのX方向の全域を露光する必要がなく、半導体チップCP1~CP3の第1、第2電極形成領域TA1、TA2が存在する一部の領域を露光するだけで足りる。
【0153】
この点は、中継配線形成工程S4における露光がパターン露光部300で行われる点を考慮すれば、特に有利である。即ち、パターン露光部300の投影領域IAのX方向(非スキャン方向)の幅は一般に0.1~0.2mm程度であり小さい。したがって、半導体チップの電極が区画SCのX方向の全域に存在している場合は、ステップアンドスキャン方式の露光において、非常に多くのスキャン露光及びステッピング動作を行う必要が生じる。
【0154】
これに対し、本実施形態の露光システムES、及びこれを用いるデバイス製造方法においては、
図19に示すように、半導体チップCP2、CP3の第1電極形成領域TA1と重なる第1露光領域EA1、半導体チップCP2、CP3の第2電極形成領域TA2と重なる第2露光領域EA2、半導体チップCP1の第1電極形成領域TA1と重なる第3露光領域EA3、及び半導体チップCP1の第2電極形成領域TA2と重なる第4露光領域EA4について露光を行えば足りる。したがって、例えば、
図19の軌道Rt2で示されるように、開始地点STA2からスキャン露光を開始して、4回のスキャン露光と3回のステップ動作で1つの区画SCに対する露光を終えることができる。
【0155】
このように、本実施形態の露光システムES、及びこれを用いるデバイス製造方法では、区画SCのX方向において、半導体チップCP1~CP3の引出電極Tが一部の領域に局在している。したがって、中継配線形成工程S4におけるパターン露光部300による露光を効率よく行うことができ、デバイス製造のスループットを高めることができる。
【0156】
<変形例>
上記実施形態において、次の変形態様を用いることもできる。
【0157】
上記実施形態においては、半導体チップCP1~CP3は互いに同一の構成を有しているが、これには限られない。半導体チップCP1~CP3は互いに異なる構成であってもよい。また、半導体チップCP1~CP3における引出電極Tの数及び配置も任意である。第1電極形成領域TA1及び/又は第2電極形成領域TA2において、電極配列方向に並ぶ引出電極Tの列が、直交方向に並んで複数列設けられていてもよい。また、半導体チップCPが有するアライメントマークAMの数及び配置は、必要な位置ずれ情報DIが得られるよう、任意に設定し得る。
【0158】
区画SCに配置される半導体チップの数、及び区画SCに配置される半導体チップの配置、配列は任意である。ただし、複数の半導体チップを配置する場合であって、各半導体チップが所定方向に並ぶ引出電極を有する場合は、当該所定方向が一致するように複数の半導体チップを配置することでパターン露光部300によるスキャン露光の回数を減らすことができる。また、複数の半導体チップの電極形成領域が一直線上に並ぶように複数の半導体チップを並べることで、パターン露光部300によるスキャン露光の回数を更に減らすことができる。
【0159】
上記実施形態においては、誤差計測工程S2を計測部100を用いて行っているが、これには限られない。例えば、パターン露光装置300のアライメント系350を用いて誤差計測工程S2を行ってもよい。この場合は、露光システムESから計測部100を省いてもよい。
【0160】
上記実施形態のパターン決定部200においては、記憶部210はテーブルTBを記憶し、決定部220は、テーブルTBから1つのパターン情報PIを選択して中継配線W2のパターンを決定する。
【0161】
しかしながらこれには限られず、記憶部210はテーブルTBに代えて粗調整テーブルと微調整テーブルを記憶してもよく、決定部220は、粗調整テーブルから選択した1つのパターン情報と微調整テーブルから選択した1つのパターン情報とを組み合わせて中継配線W2のパターンを決定してもよい。
【0162】
この場合は例えば、粗調整テーブルは多種類の位置ずれ情報DIと多種類の粗調整パターン情報との対応を記憶し、微調整テーブルは多種類の位置ずれ情報DIと多種類の微調整パターン情報との対応を記憶する。
【0163】
粗調整パターン情報の各々が含む8つの粗調整パターンPTR(第1中継配線のパターン)(
図20(a))は、略正方形の第1端部PTR1、略正方形の第2端部PTR2、及び第1端部PTR1と第2端部PTR2との間に延びる直線部PTR3とを含む。
【0164】
微調整パターン情報の各々が含む8つの微調整パターンPTF(第2中継配線のパターン)(
図20(b))は、略正方形の第1端部PTF1、略正方形の第2端部PTF2、及び第1端部PTF1と第2端部PTF2との間に延びる直線部PTF3とを含む。
【0165】
粗調整パターンPTRの直線部PTR3は、微調整パターンPTFの直線部PTF3よりも長くてもよい。粗調整パターンPTRの直線部PTR3は、微調整パターンPTFの直線部PTF3よりも長さの調整幅が広くてもよい。一例として、多種類の粗調整パターンPTRの直線部PTR3の長さは10μm~12μm程度の幅に収まっており、多種類の微調整パターンPTFの直線部PTF3の長さは10μm~10.2μm程度の幅に収まっている。
【0166】
決定された中継配線W2のパターンにおいては、粗調整パターンPTRの第1端部PTR1が半導体チップCPの引出電極Tの位置に形成され、粗調整パターンPTRの第2端部PTR2が出力配線W4からわずかに離間した位置(第1位置)に配置される。そして、微調整パターンPTFの第1端部PTF1が粗調整パターンPTRの第2端部PTR2の位置に形成され微調整パターンPTFの第2端部PTF2が再配線W4に接続する位置(第2位置)に形成される。中継配線W2の粗調整パターンPTRに基づいて形成される部分と微調整パターンPTFに基づいて形成される部分とは、同一の絶縁層内に一層の配線層として形成されてもよく、それぞれ異なる絶縁層内に形成されてもよい。
【0167】
このように、テーブルTBを粗調整テーブルと微調整テーブルに分けることで、記憶部210に記憶すべき情報量を少なくすることが出来る。例えばテーブルTBを用いる場合に100種類の位置ずれ情報DIに対応して100種類のパターン情報PIを記憶する必要があるとする。この場合、微調整テーブルと粗調整テーブルを用いれば、粗調整テーブルに10種類の粗調整パターン情報を、微調整テーブルに10種類の微調整パターン情報をそれぞれ記憶させ、これを掛け合わせることで100種類パターン情報を提供できる。即ち、計20種類のパターン情報を記憶するのみで足りる。
【0168】
上記実施形態においては、再配線W4のパターン、及び中継配線W2のパターンを決定するためのパターン情報PIは、半導体チップCPに位置ずれがない場合、或いは位置ずれが無視できる程度に小さい場合には、中継配線W2のパターンとして、X方向にもY方向にも延びない点状のパターンが選択されるよう設計されている。
【0169】
しかしながら、これには限られず、再配線W4のパターン及びパターン情報PIを、半導体チップCPに位置ずれがない場合に、半導体チップCPの電極配列方向に交差する方向に延びる直線状のパターンが選択されるように設計してもよい。
【0170】
これにより、例えば
図21に示すように、半導体チップCPの実際の位置(
図21の実線)が半導体チップCPの設計位置(
図21の点線)から電極配列方向に大きくずれた場合でも、パターンPT同士の短絡を生じることなく、中継配線W2を形成することができる。
【0171】
上記実施形態のテーブルTBにおいて、1種類のパターン情報PIに対応させる位置ずれ情報DIの数は任意である。中継配線W2は、必ずしもパターンPTの第1端部PT1の中心部に半導体チップCPの端部Tが位置するように形成される必要はなく、半導体チップCPの端部Tが第1端部PT1に電気的に接続されるように形成されれば足りる。したがって、1種類のパターン情報PIにより、類似する複数種類の位置ずれ状態をカバーすることができる。
【0172】
上記実施形態のテーブルTBは、ずれ量ΔX、ずれ量ΔYについては10[nm]ごとに異なるパターン情報PIが対応し、ずれ量Δθについては10[μrad]ごとに異なるパターン情報PIが対応するように構成されている。これよりも大きい周期で対応するパターン情報PIが変わるよう構成してもよく、これよりも小さい周期で対応するパターン情報PIが変わるよう構成してもよい。
【0173】
上記実施形態において、パターン決定部200は、記憶部210が記憶するテーブルTBを用いて中継配線W2のパターンを決定するが、これには限られない。パターン決定部200は、テーブルTBを用いることなく中継配線W2のパターンを決定してもよい。具体的には例えば、位置ずれ情報DIに基づいて、所定の計算処理により中継配線W2のパターンを導出してもよい。
【0174】
半導体チップCP1~CP3は、電極配列方向に沿って並ぶ引出電極Tに加えて、電極配列方向における回路CRの両側に、直交方向に並ぶ引出電極Tを更に備えてもよい。
【0175】
このような半導体チップCP1~CP3に対してパターン露光部300により中継配線W2のパターンを露光する場合は、まずウエハWのY方向がパターン露光部300のY
3方向に一致するようにウエハWをステージ341に設置する。そして、
図22に示すように、開始地点STA3から経路Rt3に沿ったステップアンドスキャン方式の露光を行い、第1露光領域EA1、第2露光領域EA2、第3露光領域EA3、第4露光領域EA4を露光する。これにより、半導体チップCP1~CP3の電極配列方向に並ぶ引出電極Tに接続される中継配線W2を形成するための露光がなされる。
【0176】
次に、まずウエハWをZ方向に延びる軸周りに90°回転させて、ウエハWのX方向がパターン露光部300のY
3方向に一致するようにウエハWをステージ341に設置する。そして、
図22に示すように、開始地点STA4から経路Rt4に沿ったステップアンドスキャン方式の露光を行い、第5露光領域EA5、第6露光領域EA6、第7露光領域EA7、第8露光領域EA8を露光する。これにより、半導体チップCP1~CP3の直交方向に並ぶ引出電極Tに接続される中継配線W2を形成するための露光がなされる。
【0177】
直交方向に並ぶ電極Tに対する露光を、電極配列方向(ウエハWのY方向)に沿ったスキャン露光により行う場合は、直交方向(ウエハWのX方向)における電極Tの存在領域が広いため、スキャン露光の回数が増えてしまう。しかしながら、ウエハWを回転させて走査方向を変えることで、露光を効率よく行うことが出来る。
【0178】
上記実施形態では、パターン決定部200はパターン露光装置300、マスク露光部400から分離して設けられているがこれには限られない。パターン決定部200は、パターン露光装置300又はマスク露光部400の一部として設けられていてもよい。また、パターン決定部200を備えるパターン露光装置300又はパターン決定部200を備えるマスク露光部400を、露光システムESから独立した露光装置として構成してもよい。
【0179】
上記実施形態では、再配線W4のパターンの全てをマスク露光装置400で露光しているが、これには限られない。レチクル(フォトマスク)には、再配線W4(出力配線W41、及び/又はチップ間配線W42)のパターンの少なくとも一部のみを形成し、再配線W4のパターンの少なくとも一部のみをマスク露光装置400で露光してもよい。残るパターンはパターン露光装置300で露光してもよい。
【0180】
上記実施形態では、中継配線形成工程S4において、パターン露光部300を用いて中継配線W2のパターンを露光しているがこれには限られない。中継配線形成工程S4において、マスク露光部400を用いて中継配線W2のパターンを露光してもよい。
【0181】
上記実施形態では、再配線形成工程S5において、マスク露光部400を用いて再配線W4のパターンを露光しているがこれには限られない。再配線形成工程S5において、パターン露光部300を用いて再配線W4のパターンを露光してもよい。
【0182】
中継配線W2は、必ずしも半導体チップCPの引出電極Tと再配線W4とを接続する配線でなくてもよい。中継配線W2は、引出電極TとウエハWに対する所定位置とを結ぶ配線であってよく、中継配線W2のパターンはそのような配線のパターンであってよい。この場合、パターンPTの第2端部PT2や、微調整パターンPTFの第2端部PTF2は、当該所定位置に形成される。
【0183】
上記実施形態においてはウエハWの複数の区画SCの各々に複数の半導体チップCP1~CP3を取り付けたが、複数の区画SCの各々に1つの半導体チップを取り付けてもよい。この場合、一つの区画SCに取り付けられる半導体チップの電極配列方向と、その一つの区画のY方向側に位置する別の区画に取り付けられる半導体チップの電極配列方向とが同じY方向に一致するように、半導体チップを区画SCに配置すればよい。
【0184】
上記実施形態においてはシリコン製のウエハWを用いているがこれには限られない。シリコン製のウエハWに代えて、ガラス、樹脂等により形成される任意の基板を用いて良い。また、上記実施形態においては、円形基板を用いているが、例えば角形基板を用いても良い。
【0185】
本発明の特徴を維持する限り、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の形態についても、本発明の範囲内に含まれる。
【0186】
(付記)
上述した複数の実施形態またはその変形例は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
【0187】
(第1項)
引出電極を備える複数の半導体チップと一端が前記引出電極に電気的に接続される中継配線と前記中継配線の他端に電気的に接続される出力配線とを備えるデバイスを製造するデバイス製造方法であって、
基板上に設けられた前記複数の半導体チップの位置を計測して、前記複数の半導体チップの設計位置からの位置ずれを求めることと、
前記位置ずれに基づいて、前記中継配線のパターンを決定することを含むデバイス製造方法。
【0188】
(第2項)
前記複数の半導体チップの上に感光層を形成することと、
パターン形成装置を介したエネルギービームにより、前記感光層に、前記決定した中継配線のパターンを露光することを更に含む第1項に記載のデバイス製造方法。
【0189】
(第3項)
前記露光された前記感光層を用いて前記中継配線を形成することと、
前記中継配線の上に前記感光層とは異なる感光層を形成することと、
前記出力配線の少なくとも一部のマスクパターンを有するマスクを介した露光光により、異なる前記感光層に、前記出力配線のパターンを露光することを更に含む第2項に記載のデバイス製造方法。
【0190】
(第4項)
前記複数の半導体チップが配列される一軸方向の一側から他側へ前記基板を移動させつつ、前記中継配線のパターンを前記感光層上で前記一軸方向に延びる露光領域に露光することをさらに含む第2項又は第3項に記載のデバイス製造方法。
【0191】
(第5項)
前記露光領域を第1露光領域とするとき、
前記第1露光領域への露光の後に前記複数の半導体チップが設けられた前記基板を前記一軸方向と交差する方向に移動させることと、
前記基板を前記一軸方向の前記他側から前記一側へ移動させつつ、前記中継配線のパターンを前記感光層上で前記第1露光領域から前記交差する方向に離れた第2露光領域に露光することとをさらに含む第4項に記載のデバイス製造方法。
【0192】
(第6項)
前記引出電極は、前記半導体チップ上で前記一軸方向に沿って延びた電極形成領域に設けられている第1項~第5項のいずれか一項に記載のデバイス製造方法。
【0193】
(第7項)
前記基板を準備することと、
前記基板上の複数の区画に前記複数の半導体チップを取り付けることと
をさらに含む第1項~第6項のいずれか一項に記載のデバイス製造方法。
【0194】
(第8項)
前記複数の区画に前記基板を分断することをさらに含む第7項に記載のデバイス製造方法。
【0195】
(第9項)
前記中継配線の他端は、前記基板に対して所定位置に位置する第1項~第8項のいずれか一項に記載のデバイス製造方法。
【0196】
(第10項)
前記中継配線のパターンの決定は、前記位置ずれに基づいて、予め記憶された複数の配線パターンから少なくとも1つの配線パターンを選択することを含む第1項~第9項のいずれか一項に記載のデバイス製造方法。
【0197】
(第11項)
前記複数の配線パターンはそれぞれ直線状のパターンであり、前記複数の配線パターンの配線長及び延在方向の少なくとも一方が互いに異なる第10項に記載のデバイス製造方法。
【0198】
(第12項)
前記予め記憶された複数の配線パターンは、
複数の第1配線パターンと、
複数の第2配線パターンであって、各々の配線長が前記複数の第1配線パターンの各々の配線長よりも短い第2配線パターンとを含み、
前記予め記憶された複数の配線パターンから少なくとも1つの配線パターンを選択することは、前記複数の第1配線パターンの1つと前記複数の第2配線パターンの1つとを選択することを含む第10項又は第11項に記載のデバイス製造方法。
【0199】
(第13項)
前記複数の半導体チップの各々は、中央部に設けられた回路と、前記回路に電気的に接続され且つ第1方向において前記回路の外側に設けられた複数の前記引出電極とを有し、
前記複数の半導体チップの各々において、前記複数の引出電極は前記第1方向と交差する第2方向に並んでいる第1項~第12項のいずれか一項に記載のデバイス製造方法。
【0200】
(第14項)
前記複数の半導体チップが前記設計位置に位置するとき、前記複数の半導体チップの各々の前記複数の引出電極の並ぶ方向が互いに一致する第13項に記載のデバイス製造方法。
【0201】
(第15項)
前記中継配線のパターンの決定は、前記位置ずれに基づいて、予め記憶された複数の配線パターンから少なくとも1つの配線パターンを選択することを含み、
前記位置ずれがない場合に、前記少なくとも1つの配線パターンとして前記第2方向に交差する方向に延びるパターンを選択する第14項に記載のデバイス製造方法。
【0202】
(第16項)
前記複数の半導体チップの各々は、前記複数の半導体チップの中央部に設けられた回路を備え、
前記引出電極は、前記回路に電気的に接続され且つ第1方向において前記回路の外側に前記第1方向と交差する第2方向に沿って設けられた複数の第1引出電極と、前記回路に電気的に接続され且つ前記第2方向において前記回路の外側に前記第1方向に沿って設けられた複数の第2引出電極とを有し、
前記複数の半導体チップが前記設計位置に位置するとき、前記複数の半導体チップの各々の前記第2引出電極が並ぶ方向が互いに一致し、
パターン形成装置を介したエネルギービームにより、前記感光層に、前記決定した中継配線のパターンを露光することは、
前記複数の半導体チップの第1方向に沿って前記エネルギービームを走査露光することと、
前記複数の半導体チップの第2方向に沿って前記エネルギービームを走査露光することを含む第2項又は第3項に記載のデバイス製造方法。
【0203】
(第17項)
基板上に設けられた複数の半導体チップの位置を計測する計測部と、
前記計測された位置に基づいて前記複数の半導体チップの設計位置からの位置ずれを求め、該位置ずれに基づいて前記複数の半導体チップと出力配線とを中継する中継配線のパターンを決定するパターン決定部と、
パターン形成装置を介したエネルギービームにより前記複数の半導体チップの上に前記決定された中継配線のパターンを露光するパターン露光部とを備える露光システム。
【0204】
(第18項)
前記出力配線の少なくとも一部のマスクパターンを有するマスクを介した露光光により、露光された前記中継配線のパターンを用いて形成される前記中継配線の上に前記出力配線のパターンを露光するマスク露光部を更に備える第17項に記載の露光システム。
【0205】
(第19項)
前記パターン決定部が、
複数種類の前記位置ずれと複数の配線パターンとの対応関係を記憶する記憶部と、
前記位置ずれと前記対応関係とに基づいて前記中継配線のパターンを決定する決定部とを有する第11項又は第12項に記載の露光システム。
【0206】
(第19項)
前記パターン決定部が、
複数種類の前記位置ずれと複数の第1配線パターンとの第1対応関係、及び複数種類の前記位置ずれと複数の第2配線パターンとの第2対応関係を記憶する記憶部と、
前記位置ずれ、第1対応関係、及び第2対応関係に基づいて前記中継配線のパターンを決定する決定部とを有し、
前記複数の第2配線パターンの各々の配線長が前記複数の第1配線パターンの各々の配線長よりも短く、
前記決定部は、前記位置ずれと第1対応関係とに基づいて選択した複数の第1配線パターンの1つと、前記位置ずれと第2対応関係とに基づいて選択した複数の第2配線パターンの1つとに基づいて前記中継配線のパターンを決定する第11項又は第12項に記載の露光システム。
【0207】
(第20項)
前記パターン露光部が前記パターン決定部を備える第17項~第19項のいずれか一項に記載の露光システム。
【0208】
(第21項)
基板上に設けられた複数の半導体チップを露光する露光装置であって、
前記複数の半導体チップの設計位置からの位置ずれに基づいて前記複数の半導体チップと出力配線とを中継する中継配線のパターンを決定するパターン決定部と、
前記パターン決定部からの出力を用いて設定されたパターン形成装置を介したエネルギービームにより前記複数の半導体チップの上に前記決定された中継配線のパターンを露光する露光部とを備える露光装置。
【0209】
(第22項)
前記パターン決定部が、
複数種類の前記位置ずれと複数の配線パターンとの対応関係を記憶する記憶部と、
前記位置ずれと前記対応関係とに基づいて前記中継配線のパターンを決定する決定部とを有する第21項に記載の露光装置。
【0210】
(第23項)
前記パターン決定部が、
複数種類の前記位置ずれと複数の第1配線パターンとの第1対応関係、及び複数種類の前記位置ずれと複数の第2配線パターンとの第2対応関係を記憶する記憶部と、
前記位置ずれ、第1対応関係、及び第2対応関係に基づいて前記中継配線のパターンを決定する決定部とを有し、
前記複数の第2配線パターンの各々の配線長が前記複数の第1配線パターンの各々の配線長よりも短く、
前記決定部は、前記位置ずれと第1対応関係とに基づいて選択した複数の第1配線パターンの1つと、前記位置ずれと第2対応関係とに基づいて選択した複数の第2配線パターンの1つとに基づいて前記中継配線のパターンを決定する第21項又は第22項に記載の露光装置。
【0211】
(第24項)
基板と、
前記基板に設けられた複数の半導体チップとを備えるデバイスであって、
前記複数の半導体チップの各々は、中央部に設けられた回路と、前記回路に電気的に接続され且つ前記回路の外側に一方向に配列された複数の電極とを有し、
前記複数の半導体チップは、前記複数の半導体チップの各々の前記複数の電極が配列された前記一方向が互いに一致又は略一致するように前記ウエハに固定されているデバイス。
【0212】
(第25項)
前記複数の電極は、前記回路の外側のみに設けられている第24項に記載のデバイス。
【0213】
(第26項)
前記複数の半導体チップのうちの少なくとも2つが前記基板上の第1区画に設けられ、前記複数の半導体チップのうちの前記少なくとも2つとは異なる少なくとも2つの前記半導体チップが前記基板上の前記第1区画とは異なる第2区画に設けられている第24項又は第25項に記載のデバイス。
【0214】
(第27項)
前記第1及び第2区画の各々において前記少なくとも2つの半導体チップが前記一方向に並んでいる第26項に記載のデバイス。
【0215】
(第28項)
前記複数の半導体チップを前記基板に固定する固定層を更に備え、
前記固定層の上面と前記複数の半導体チップの上面とが面一である第24項~第27項のいずれか一項に記載のデバイス。
【0216】
(第29項)
前記複数の半導体チップの上方に設けられた出力配線層を更に備え、
前記出力配線層が、前記区画ごとに、前記少なくとも2つの半導体チップを接続する出力配線を有する26項~第28項のいずれか一項に記載のデバイス。
【0217】
(第30項)
前記複数の半導体チップの上方且つ前記出力配線層の下方に設けられた中継配線層を更に備え、
前記中継配線層が、前記複数の領域ごとに、前記少なくとも2つの半導体チップと前記出力配線パターンとを電気的に中継する中継配線を有する第29項に記載のデバイス。
【符号の説明】
【0218】
10 半導体デバイス
100 計測部
200 パターン決定部
300 パターン露光部
320 パターン生成装置
400 マスク露光部
CP1、CP2、CP3 半導体チップ
T 引出電極
TA1 第1電極形成領域
TA2 第2電極形成領域
W2 中継配線(中継配線層)
W4 再配線(再配線層)
W41 出力配線(出力配線層)
W42 チップ間配線(チップ間配線層)