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特許7626540外科手術用ハンドラップおよび滅菌コネクタ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-27
(45)【発行日】2025-02-07
(54)【発明の名称】外科手術用ハンドラップおよび滅菌コネクタ
(51)【国際特許分類】
   A61G 13/12 20060101AFI20250131BHJP
   A61B 46/10 20160101ALI20250131BHJP
   A61B 46/23 20160101ALI20250131BHJP
【FI】
A61G13/12 B
A61B46/10
A61B46/23
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020519976
(86)(22)【出願日】2018-11-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-01-28
(86)【国際出願番号】 US2018059190
(87)【国際公開番号】W WO2019094327
(87)【国際公開日】2019-05-16
【審査請求日】2021-11-01
【審判番号】
【審判請求日】2023-08-23
(31)【優先権主張番号】62/582,989
(32)【優先日】2017-11-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/703,126
(32)【優先日】2018-07-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502032219
【氏名又は名称】スミス アンド ネフュー インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル・ザヒナクス
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム・ディー・オーベンドルフ
(72)【発明者】
【氏名】グラハム・スミス
(72)【発明者】
【氏名】スコット・トレンヘイル
【合議体】
【審判長】小川 恭司
【審判官】中屋 裕一郎
【審判官】内田 博之
(56)【参考文献】
【文献】実開昭59-150427(JP,U)
【文献】米国特許第4966167(US,A)
【文献】米国特許第4679552(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0260638(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61G 13/12
A61B 46/10
A61B 46/23
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の腕を手足位置決め装置に取り付けて外科手術中に前記腕を牽引したままで保持するための外科手術用ハンドラップ(10)であって、前記ハンドラップが、
内側(14)および外側(16)を有する可撓性のミトン部分(12)であって、前記患者の少なくとも一方の手を開いた状態で取り囲むように構成される、ミトン部分と、
前記手のひらを開いた状態で保持するためのプレート(22)であって、当該プレートが前記手足位置決め装置に取り付けられる遠位部分(23)と、近位部分(25)とを備える、プレートと、
前記ミトン部分の前記外側の周りを包むための少なくとも一つの閉鎖可能なストラップ(20)と、を備え、
前記プレートの前記遠位部分を介して前記患者の腕に牽引が適用されると、前記プレート、前記ミトン部分、および少なくとも一つの前記ストラップが組み合わさって、前記患者の手にわたって低接触圧力を可能とし、
前記プレート(22)が、前記手のひらを開いた状態で保持するための湾曲した中心部分(24)を含み、
少なくとも一つの前記ストラップ(20)が前記プレート(22)に固定され、
前記中心部分(24)は、前記プレート(22)の前記遠位部分(23)と前記近位部分(25)との間に配置される、外科手術用ハンドラップ。
【請求項2】
前記ミトン部分(12)が、ウレタンフォームおよびポリエステル織物のうちの少なくとも一方から成る、請求項1に記載の外科手術用ハンドラップ。
【請求項3】
前記ミトン部分の前記内側(14)が防滑材を含む、請求項1に記載の外科手術用ハンドラップ。
【請求項4】
前記防滑材が、SBR接合フォーム、ゴム、およびウレタンフォームのうちの一つである、請求項3に記載の外科手術用ハンドラップ。
【請求項5】
少なくとも一つの前記ストラップ(20)の端部が、前記ミトン部分に取り付けられる、請求項1に記載の外科手術用ハンドラップ。
【請求項6】
前記ハンドラップ(10)が、包帯(26)によって取り囲まれる、請求項1の外科手術用ハンドラップ。
【請求項7】
前記プレート(22)が、ポリカーボネートから成る、請求項1に記載の外科手術用ハンドラップ。
【請求項8】
前記プレート(22)が、少なくとも一つのストラップの通過のために構成された少なくとも一つのスロットを含む、請求項1に記載の外科手術用ハンドラップ。
【請求項9】
前記患者の手首の周りで固定するための、前記ミトン部分内に配置されたパッド(29)をさらに含み、前記パッドの厚さが前記ミトン部分の厚さよりも大きいように選択される、請求項1に記載の外科手術用ハンドラップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して医療手技の間に患者の手足を位置決めするために使用される装置に関連し、より具体的には、肩の外科手術中に患者の肩および腕を位置決めするために使用される装置に関連する。
【背景技術】
【0002】
肩の整形外科手術には、膝の外科手術などの他の外科手術では遭遇しない複雑さが伴う。例えば、肩の外科手術中、光源、視覚スコープ、および外科手術用ツールなどの器具のためのアクセスを提供するために、患者の肩関節を通してポートまたは切開が配置される。しかしながら、新たなポートを作り出すことなく、外科医が、手術中の四肢を回転させてそれを新たな位置に保持することによって、間接の異なる領域へのアクセスを得ることが望ましい場合がある。この転換は、手足位置決め装置に固定されている間、手および/または前腕を介して腕に牽引を適用することによって達成される。
【0003】
最大30ポンドの牽引負荷は概して、手足位置決め装置に手をしっかりと固定する必要がある。これを達成するために、手はハンドルまたはバーに添えられ、バーの上に握り拳で固定され得る。腕および手は、典型的にはスリーブを被せられるかまたはそれで覆われ、腕全体が弾性包帯で包まれる。次に、スリーブの遠位端が手足位置決め装置に取り付けられる。しかし、手を固定するこの方法は、患者の手および指の痺れをもたらし、さらには手および手首の回転の制御性が低減され得る。
【0004】
手足位置決め装置の使用に固有の別の問題として、非滅菌手足位置決め装置が通常、手術室の手術台に締め金で固定されることがある。滅菌接続は典型的に、患者の腕および手を覆っているスリーブがフックに取り付けられている間、フックがその遠位端に取り付けられた滅菌ロープを手足位置決め装置に通すことによって患者に対して行われる。しかしながら、この処置には、滅菌野外の非滅菌オペレーティングアシスタントが滅菌野内の滅菌オペレーティングアシスタントにロープを渡す必要があり、これは交差汚染の可能性をもたらす。
【発明の概要】
【0005】
本明細書では、患者の手および手首にわたり適用される牽引負荷を均一に分散させながら、患者の手を手足位置決め装置に固定する装置が記述される。手は開いた状態で柔らかいミトンの中に置かれ、解剖学的形状のプレートはミトンに取り付けられ、手のひらを支持する。次に、ストラップが患者の手首および手の周りに固定される。最後に、装置全体を弾性包帯で包み、手足位置決め装置に固定される。牽引が適用されると、プレートの形状、ミトンの構成、およびストラップが有利に組み合わされて、患者の手および手首にわたる低接触圧力が許容される。さらに本明細書において、滅菌コネクタとその遠位端を有する滅菌ドレープが記載されるが、これにより、有利なことに、滅菌オペレーティングアシスタントが本開示の外科手術用ハンドラップを手足位置決め装置に接続およびそれから切断することが可能となる。これにより、再利用可能(すなわち、オートクレーブ可能な)インターフェースの必要性を除去することにより、処置間のより速いターンオーバーが許容される。
【0006】
本開示の外科手術用ハンドラップおよび滅菌コネクタのさらなる例は、任意の好適な組み合わせで、以下のうちの一つまたは複数を含み得る。
【0007】
例において、本開示の外科手術用ハンドラップは、内側および外側を有する可撓性のミトン部分を含む。ミトン部分は、患者の少なくとも一方の手を開いた状態で封入するように構成される。ハンドラップはまた、手のひらを開いた状態で支持するための解剖学的形状のプレート、およびミトン部分の外側の周りを包むための少なくとも一つの閉鎖可能なストラップを含む。患者の腕に牽引が適用されると、プレート、ミトン部分、および少なくとも一つのストラップが組み合わさって、患者の手にわたって低接触圧力を可能とする。
【0008】
さらなる例において、ミトン部分は、ウレタンフォームおよびポリエステル織物のうちの少なくとも一つから成る。例において、ミトン部分の内側は、SBR接合フォーム、ゴム、およびウレタンフォームのうちの一つであり得る防滑材料を含む。例において、少なくとも一つのストラップの端部はミトン部分に取り付けられる。その他の例において、少なくとも一つのストラップは自由浮動している。さらなる例において、少なくとも一つのストラップはプレートに固定され、ハンドラップは包帯内に封入される。例において、プレートはポリカーボネートプレートで作製される。例において、プレートは、手足位置決め装置に取り付けるように構成された遠位部分、および手のひらを開いた状態で支持する湾曲した中心部分を有する。例において、プレートは、少なくとも一つのストラップの通過のために構成された少なくとも一つのスロットを含む。さらなる例において、患者の手首の周りで固定するために、ミトン部分内にパッドが配置される。パッドの厚さは、ミトン部分の厚さよりも大きいように選択される。
【0009】
例において、本開示の滅菌コネクタは、滅菌ハンドラップの支持部材に連結するように構成された遠位端にT型継手、および手足位置決め装置の受け部と嵌合するように構成された近位端にシャフトを含む。コネクタは、滅菌カバーの遠位端で可撓性のダム部分に取り付けられ、カバーは手足位置決め装置の少なくとも一部分を覆うように構成される。例において、コネクタはポリマーまたは金属で作製される。例において、カバーは透明な、ポリエチレンプラスチックで作製される。例において、可撓性のダム部分はゴムで作製される。例において、カバーの近位端は、手足位置決め装置の少なくとも一部分を覆うために開放されている。例において、カバーは伸縮式で折り畳まれるように構成される。例において、コネクタは、締まりばめの可撓性のダム部分に取り付けられる。その他の例では、コネクタはカバーの遠位端に取り付けられる。
【0010】
これらおよびその他の特徴および利点は、以下の詳細な説明および関連する図面のレビューから明らかであろう。前述の一般的説明および以下の詳細な説明はともに、説明するためのものであり、特許請求の範囲の態様は限定されないことが理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本開示は、以下の図に関連して、詳細な説明を参照して更に十分に理解されるであろう。
図1A図1Aは、従来技術の外科手術用ハンドラップを示す。
図1B図1Bは、従来技術の外科手術用ハンドラップを示す。
図1C図1Cは、典型的な牽引負荷の下で手および手首にわたる圧力分布を示す。
図2図2は、本開示のハンドラップの例示的なミトン部分の破断図である。
図3A図3Aは、本開示のハンドラップの例示的な手のひら支持プレートを示す。
図3B図3Bは、本開示のハンドラップの例示的な手首サポートを示す。
図4図4は、本開示のハンドラップの例示的な巻き方を示す。
図5A図5Aは、本開示のハンドラップに対し牽引を適用するための手足位置決め装置の概略図である。
図5B図5Bは、図5Aの手足位置決め装置に本開示のハンドラップを接続するための例示的な滅菌コネクタおよびドレープを示す。
図5C図5Cは、図5Aの手足位置決め装置に本開示のハンドラップを接続するための例示的な滅菌コネクタおよびドレープを示す。
図5D図5Dは、図5Aの手足位置決め装置に本開示のハンドラップを接続するための例示的な滅菌コネクタおよびドレープを示す。
図5E図5Eは、図5Aの手足位置決め装置に本開示のハンドラップを接続するための例示的な滅菌コネクタおよびドレープを示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下の説明では、異なる例で示されているかどうかにかかわらず、同一の構成要素には同一の参照番号が与えられている。明瞭かつ簡潔な方法で例を説明するために、図面は必ずしも縮尺ではない場合があり、ある特定の特徴が何らかの概略的形態で示され得る。一例に関して記述および/または図示された特徴は、一つまたは複数の他の例、および/または、他の例の特徴と組み合わせて、または、その代わりに、同一の方法または類似の方法で使用されてもよい。
【0013】
本明細書および請求項において使用される場合、本発明を説明および定義する目的のために、「約」および「実質的に」という用語は、任意の定量的比較、値、測定、またはその他の表現に起因しうる不確実性の固有の程度を表すのに使用される。「約」および「実質的に」という用語はまた、本明細書において、問題における主題の基本的機能の変化をもたらすことなく、定量的表現が指定された参照から変化し得る程度を表すのに使用される。「備える」、「含む」、および/またはそれぞれの複数形は非限定であり、列挙された部品を含み、列挙されていないさらなる部品を含み得る。「および/または」は非限定であり、列挙された部品および列挙された部品の組み合わせのうちの一つまたは複数を含む。
【0014】
図1Aおよび図1Bは、患者の腕2および手4を手足位置決め装置に取り付けるための従来技術の外科手術用ハンドラップを示す。典型的には、図1Aに示すように、手足位置決め装置に固定される前に、患者の手4はハンドルまたはバー6に添えられ、握り拳で固定される。腕2および手4の部分は、可撓性のスリーブ8を被せられるかまたはそれに覆われ、ストラップ5で固定される。次に、図1Bに示すように、腕2全体が弾性包帯9で包まれる。包帯9の遠位端は、ロープ7および図5Aに示す手足位置決め装置などの手足位置決め装置上の一連のプーリーを介して錘に取り付けられる。しかしながら、手4を固定するこの方法は、患者の手4および指1の痺れにつながるおそれがある。図1Cは、手4および腕2がこの方法で手足位置決め装置に取り付けられた時の、牽引負荷下の患者の指1および手首3にわたる高接触圧力ポイントを示す。このような高接触圧力ポイントは、手4および指1の痺れにつながりうる。
【0015】
ここで図2を参照すると、本開示の例示的外科手術用ハンドラップ10の破断図が示される。図2に示すように、ハンドラップ10は、内側14および外側16を有する可撓性のミトン部分12を含み得る。ミトン部分12は、ウレタンフォームおよびポリエステル織物を含むが、これに限定されない、様々な可撓性のプラスチックまたは布材料で作製され得る。ミトン部分12は、少なくとも患者の手4を開いた状態で封入するように構成され、これは有利なことに、外科的処置の間、患者の手4および指1で痺れが発生する可能性を低減させる。例において、手4の手のひらに隣接したミトン部分12の内側14は、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)接合フォーム、ゴム、またはウレタンフォームなどの防滑材を含む。手4は、ミトン部分12の外側16の周りに巻かれた少なくとも一つの閉鎖可能な(Velcro(登録商標)ストラップなどの)ストラップ20によってミトン部分12内に固定される。例えば、ストラップ20は、患者の手4および手首3に隣接したミトン部分12の周りに巻かれ得る。ストラップ20は、一方の端部でミトン部分12に固定されてもよく、またはそれらは自由浮動していてもよい。ストラップ20は、ミトン部分12内で、手4および手首3をしっかりと保持するために使用されるが、手4および手首3の回転または移動のいずれかにおける実質的な動きを妨げるほどにはきつくない。
【0016】
手4がいったんミトン部分12内に固定されると、ミトン部分12は、図3Aにより詳細に示される解剖学的形状のプレート22に取り付けられ得る。プレート22は、手4のひらを開いた状態で支持するように構成される。例において、プレート22は、ポリカーボネートプレートなど、放射線を用いた滅菌に対して適度な強度および耐性を有する材料から成る。特に、プレート22は、手のひらを開いた状態で保持するように構成される限り、さまざまなサイズおよび形状を取り得る。図3Aの例では、プレートは、手足位置決め装置に取り付けられるように構成された遠位部分23を有する。プレート22はまた、手4の指1を支持する湾曲した形状である中心部分24を含む。最後に、プレート22は近位部分25を含む。近位部分25は、一つ以上のスロット27を含んでもよく、それを介してストラップ20が通過し、ミトン部分12を患者の手首3の近くのプレート22に取り付け得る。神経損傷につながりうる手首の尺側および橈骨側に対する滑りおよび圧力を軽減させるために、ハンドラップ10は、図3Bに示す通り、患者の手首の周りを包むミトン部分12内に追加的なパッド29を備え得る。例において、パッドはフォームパッドであってもよく、手首の周りに巻かれたストラップ31によって手首に固定されてもよい。パッド29の厚さは、ミトン部分12の厚さよりも大きいように選択される。最後に、ハンドラップ10は、図4に示す通り、弾性包帯26で包まれる。また、患者の手4が、ミトン部分12を使用することなくプレート22に固定され得ることも、本開示で意図される。
【0017】
ここで図5Aを参照すると、手足位置決め装置28が示され、その構成要素部分は以下でより詳細に説明される。図5Aでは、患者30は、標準的な手術台32の上に横たわり、外科手術の準備が整った状態で示される。手術される腕2の前腕は、本開示のハンドラップ10内に包まれる。次に、ハンドラップ10の遠位端は、一連のロープ42および手足位置決め装置28上のプーリー44を介して錘40に取り付けられる。有利には、手足位置決め装置28によってハンドラップ10に牽引が適用されると、プレート22の形状、ミトン部分12の構成、およびストラップ20が組み合わされて、患者30の手4および手首3にわたる低接触圧力が許容される。例において、手足位置決め装置の様々な構成要素は、構成要素を長くするまたは短くするための伸縮式またはその他の機能、および/または構成要素を昇降させるための高さ調整機能を含み得る。
【0018】
図5Bに示すように、ハンドラップ10がいったんプレート22に固定されると、プレート22の遠位部分23は、図5Cにより詳細に示される本開示の例示的な滅菌コネクタ34によって手足位置決め装置28に接続される。滅菌コネクタ34は、ポリマー、金属またはその他の適切な材料で作製されてもよく、使用後に廃棄されることが意図されている。図5Cに示すように、滅菌コネクタ34は、その遠位端にT型継手36およびその近位端にキー付きシャフト38を有する。T型継手36は、手足位置決め装置28のプレート22の遠位部分23に連結するように構成される。シャフト38は、図5Dに示す通り、手足位置決め装置28の遠位端に永久的に取り付けられた受け部40と嵌合するように構成される。
【0019】
また図5Dに示す通り、滅菌コネクタ34に取り付けられているのは、滅菌ドレープまたはカバー44の可撓性のダム部分42である。例において、カバー44の近位端は、カバー44が手足位置決め装置28の少なくとも一部分を覆うように構成されるように開放されている。カバー44は、滅菌し得る様々な異なる材料から製造されてもよく、またポリエチレンプラスチックなどのラテックスフリーであることが好ましい。例において、カバー44は、プラスチック材料の予め形成された管状シートから、または長軸方向の縫い目によって管に形成されたプラスチック材料の複数シートから形成されてもよい。カバー44の寸法および構成は、カバー44が覆うように設計された手足位置決め装置またはその他の装置のタイプおよび構造に応じて変化することが理解されよう。ダム部分42は、音波溶接または接着剤などの適切な方法でカバー44に取り付けられる。ダム部分42は、ゴムなどの任意の数の可撓性の、防滑材から製造され得る。例において、滅菌コネクタ34は、ゴムの弾性性質により、締まりばめのダム部分42内に保持される。図5Eに示すように、使用時に、カバー44は、伸縮式で折り畳まれ、手足位置決め装置28の受け部40への挿入を容易にするため、滅菌コネクタ34のシャフト38の視覚化を可能にし得る。
【0020】
他の例では、図示されていないが、T型継手36およびシャフト38の形状は、異なる用途に適合するように変更され得る。例えば、シャフト38は、T型継手36対して対称的となるように再構成され得る。他の例において、滅菌コネクタ34は、締付けまたは接着されるか、または締付リングによって保持され得る。さらに、ダム部分42は除去することができ、カバー44が滅菌コネクタ34に直接取り付けられることを可能にする。有利には、本開示の滅菌コネクタ34により、滅菌オペレータは、非滅菌オペレータを必要とすることなく、滅菌ハンドラップ10を滅菌野の手足位置決め装置28に取り付けることができる。これにより、再利用可能(すなわち、オートクレーブ可能な)インターフェースの必要性を除去することにより、処置間のより速いターンオーバーが許容される。
【0021】
本開示はその好ましい実施形態の参照により特に示され、記述されてきたが、当業者は、添付の請求項により定義される本出願の趣旨および範囲から逸脱することなく、その中に形態や詳細において様々な変更を行うことができることを理解するであろう。そのような変形は、本出願の範囲に含まれることが意図されている。このように、本出願の実施形態の前述の説明は、制限することを意図しておらず、むしろ、添付の特許請求によって全範囲が伝えられる。
[付記項1]
患者の腕を手足位置決め装置に取り付けるための外科手術用ハンドラップであって、前記ハンドラップが、
内側および外側を有する可撓性のミトン部分であって、前記患者の少なくとも一方の手を開いた状態で封入するように構成される、ミトン部分と、
前記手のひらを開いた状態で支持するための解剖学的形状のプレートと、
前記ミトン部分の前記外側の周りを包むための少なくとも一つの閉鎖可能なストラップと、
前記患者の腕に牽引が適用されると、前記プレート、前記ミトン部分、および前記少なくとも一つのストラップが組み合わさって、前記患者の手にわたり低接触圧力を可能とする、外科手術用ハンドラップ。
[付記項2]
前記ミトン部分が、ウレタンフォームおよびポリエステル織物のうちの少なくとも一つから成る、付記項1に記載の外科手術用ハンドラップ。
[付記項3]
前記ミトン部分の前記内側が防滑材を含む、付記項1に記載の外科手術用ハンドラップ。
[付記項4]
前記防滑材が、SBR接合フォーム、ゴム、およびウレタンフォームのうちの一つである、付記項3に記載の外科手術用ハンドラップ。
[付記項5]
前記少なくとも一つのストラップの端部が前記ミトン部分に取り付けられる、付記項1に記載の外科手術用ハンドラップ。
[付記項6]
前記少なくとも一つのストラップが自由浮動している、付記項1に記載の外科手術用ハンドラップ。
[付記項7]
前記少なくとも一つのストラップが前記プレートに固定される、付記項1に記載の外科手術用ハンドラップ。
[付記項8]
前記ハンドラップが包帯内に封入される、付記項1の外科手術用ハンドラップ。
[付記項9]
前記プレートがポリカーボネートから成る、付記項1に記載の外科手術用ハンドラップ。
[付記項10]
前記プレートが、前記手足位置決め装置に取り付けるように構成された遠位部分を含む、付記項1に記載の外科手術用ハンドラップ。
[付記項11]
前記プレートが、前記手のひらを開いた状態で支持するための湾曲した中心部分を含む、付記項1に記載の外科手術用ハンドラップ。
[付記項12]
前記プレートが少なくとも一つのストラップの通過のために構成された少なくとも一つのスロットを含む、付記項1に記載の外科手術用ハンドラップ。
[付記項13]
前記患者の手首の周りで固定するための、前記ミトン部分内に配置されたパッドをさらに含み、前記パッドの厚さが前記ミトン部分の厚さよりも大きいように選択される、付記項1に記載の外科手術用ハンドラップ。
[付記項14]
外科手術用ハンドラップを手足位置決め装置に取り付けるための滅菌コネクタであって、前記コネクタが、
滅菌ハンドラップの支持部材に連結するように構成された遠位端のT型継手と、
前記手足位置決め装置の受け部と嵌合するように構成された近位端のシャフトと、を含み、
前記コネクタが、滅菌カバーの遠位端で可撓性のダム部分に取り付けられ、前記カバーが、前記手足位置決め装置の少なくとも一部分を覆うように構成される、滅菌コネクタ。
[付記項15]
前記コネクタがポリマーまたは金属から成る、付記項14に記載のコネクタ。
[付記項16]
前記カバーが透明な、ポリエチレンプラスチックから成る、付記項14に記載のコネクタ。
[付記項17]
前記可撓性のダム部分がゴムから成る、付記項14に記載のコネクタ。
[付記項18]
前記カバーの近位端が、前記手足位置決め装置の少なくとも一部分を覆うために開放されている、付記項14に記載のコネクタ。
[付記項19]
前記カバーが、伸縮式で折り畳まれるように構成される、付記項14に記載のコネクタ。
[付記項20]
前記コネクタが、締まりばめの前記可撓性のダム部分に取り付けられる、付記項14に記載のコネクタ。
図1A
図1B
図1C
図2
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E