(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-27
(45)【発行日】2025-02-04
(54)【発明の名称】プラズマプルーム用のフィルタ
(51)【国際特許分類】
C23C 14/54 20060101AFI20250128BHJP
C23C 14/28 20060101ALI20250128BHJP
H05H 1/24 20060101ALN20250128BHJP
【FI】
C23C14/54 G
C23C14/28
H05H1/24
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021018239
(22)【出願日】2021-02-08
【審査請求日】2023-12-22
(32)【優先日】2020-02-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】592010081
【氏名又は名称】ラム リサーチ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヤン・マッテイン・デッケルス
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアーン・ヘンドリクス・アロイシウス・ベーム
(72)【発明者】
【氏名】ウィレム・コルネリス・ランベルト・ホップマン
(72)【発明者】
【氏名】イェルーン・アールデルト・フーフェル
(72)【発明者】
【氏名】ヤン・アルナウト・ヤンセンス
【審査官】若土 雅之
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第2410074(EP,A1)
【文献】特開2003-049262(JP,A)
【文献】特開2006-249558(JP,A)
【文献】特開平10-030169(JP,A)
【文献】特開平01-061389(JP,A)
【文献】特開2020-002464(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 1/00-14/58
H05H 1/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマプルームから粒子をフィルタリングするためのフィルタであって、
前記フィルタは、ハウジングと、少なくとも1つの一次ブレードと、を備え、
前記ハウジングは、前記ハウジングの壁部に配置され、前記プラズマプルームの少なくとも一部を前記ハウジングに通過させるための通過路を形成する2つの通過口を有し、
前記通過路は、前記ハウジングの一方側から前記ハウジングの反対側に延びており、
前記少なくとも1つの一次ブレードは、前記通過路の中心線に平行でかつ前記通過路の中心線から離れた回転軸から距離を隔てて配置され、前記回転軸の周りを回転可能であり、
前記少なくとも1つの一次ブレードの軌道は、前記通過路と交差し、
前記少なくとも1つの一次ブレードは、前記プラズマプルームに接触するための回転方向に向いた接触面を有し、
前記ハウジングの壁部に配置された排出口に繋がる排出路が設けられ、
前記通過路の中心線と、前記回転軸から延び、前記通過路の中心線及び前記少なくとも1つの一次ブレードの軌道を通じる径方向の線との両方に直交して延びる線は、前記排出口を通じて延びる、フィルタ。
【請求項2】
前記接触面の径方向の断面のコード線は、前記回転軸に対して0°よりも大きい角
度をなす、請求項1に記載のフィルタ。
【請求項3】
前記接触面の軸方向の断面のコード線は、前記回転軸から延び前記接触面の軸方向の断面の内側の縁を通じる径方向の線に対して0°よりも大きい角
度をなす、請求項1又は請求項2に記載のフィルタ。
【請求項4】
前記接触面は、前記少なくとも1つの一次ブレードの回転方向に向いた凹形状の面である、請求項1~3のいずれか1つに記載のフィルタ。
【請求項5】
前記回転軸は前記少なくとも1つの一次ブレードの回転軸であり、
前記ハウジング内に回転可能に配置されたディスクをさらに備え、
前記ディスクの回転軸は、前記少なくとも1つの一次ブレードの回転軸と一致し、
前記ディスクには、少なくとも1つの通過口が、前記通過路の中心線から
前記少なくとも1つの一次ブレードの前記回転軸までの距離に対応する距離を
前記ディスクの前記回転軸から隔てて配置され、
前記少なくとも1つの一次ブレードが、前記ディスクの上部において、前記ディスクの前記少なくとも1つの通過口に隣接し、前記ディスクの回転方向に見たときに前記ディスクの前記少なくとも1つの通過口の後を追うように配置されている、
請求項1~4のいずれか1つに記載のフィルタ。
【請求項6】
前記ディスク上に、円筒形の壁が前記回転軸と同心状に配置され、
前記少なくとも1つの一次ブレードは、前記円筒形の壁の外側に接続している、
請求項5に記載のフィルタ。
【請求項7】
前記回転軸の周りを回転可能であ
るように配置された二次ブレードをさらに備えている、請求項1~6のいずれか1つに記載のフィルタ。
【請求項8】
前記少なくとも1つの一次ブレードの長手方向の軸と、前記回転軸から前記少なくとも1つの一次ブレードの基端部に延びる径方向の線との間の角度は、前記少なくとも1つの一次ブレードのそれぞれの後を追う前記二次ブレードの長手方向の軸と、前記回転軸から前記二次ブレードの基端部に延びる径方向の線との間の角度よりも小さい、請求項7に記載のフィルタ。
【請求項9】
複数の補助ブレードが、前記回転軸から距離を隔てて、前記回転軸の周りを回転可能に配置され、
前記複数の補助ブレードは、前記軌道に沿って、前記少なくとも1つの一次ブレードから距離を隔てて分布している、
請求項1~8のいずれか1つに記載のフィルタ。
【請求項10】
前記ハウジングの壁部に配置された補助排出口に繋がる補助排出路と、
前記回転軸と前記補助排出路との間に圧力差を発生させる吸引手段と、
をさらに有する、請求項9に記載のフィルタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラズマプルームから粒子をフィルタリングするためのフィルタに関する。
【0002】
本発明に係るフィルタは、
ハウジングと、少なくとも1つの一次ブレードと、を備え、
前記ハウジングは、前記ハウジングの壁部に配置され、プラズマプルームの少なくとも一部を前記ハウジングに通過させるための通過路を形成する2つの通過口を有し、
前記通過路は、前記ハウジングの一方側から前記ハウジングの反対側に延びており、
前記少なくとも1つの一次ブレードは、前記通過路の中心線に平行でかつ前記通過路の中心線から離れた回転軸から距離を隔てて配置され、前記回転軸の周りを回転可能であり、
前記少なくとも1つの一次ブレードの軌道は、前記通過路と交差し、
前記少なくとも1つの一次ブレードは、前記プラズマプルームに接触するための回転方向に向いた接触面を有する。
【背景技術】
【0003】
このようなフィルタは、例えば、欧州特許第2410074号明細書によって知られている。レーザパルスをターゲット材料に向けることによりプラズマプルームが発生すると、ターゲット材料のプラズマがターゲットの表面から出る。大量のエネルギがターゲット材料に投入されるので、大量の熱が局所的に発生する。その熱は、ターゲット材料から脱離する粒子を発生させる。このような不要な粒子は、フィルタリングが適用されていない場合に、プラズマプルームの後を追い、基板に堆積する。その結果、基板に得られる層は、最適以下の品質を有する。したがって、プラズマのみが基板に堆積するように、プラズマプルームから不要な粒子をフィルタリングすることが望まれている。
【0004】
欧州特許第2410074号明細書では、ケージのようなハウジングを備え、プラズマプルームから粒子をフィルタリングするフィルタが開示されている。ハウジングは、閉鎖された上面と、周囲に沿って配置された支柱によって上面から間隔を空けられ、閉鎖された底面とを有し、結果として開放された側面を有している。上面及び底面の両方は、プラズマプルームの少なくとも一部を通過させるための通過路を形成する通過口を有している。ハウジングの内部には、複数の回転可能な羽根から成る回転可能なディスクが配置されている。羽根は、典型的にはレーザをターゲット材料にパルス照射することによるプラズマプルームの発生と同時に回転する。羽根から成る回転可能なディスクは、プラズマプルームが通過路を通過するときに、プラズマプルームの後端部を払う。
【0005】
欧州特許第2410074号明細書では、回転可能なディスク又は羽根がプラズマプルーム中の不要な粒子を捉えることが示唆されている。このことは、部分的には正しいかもしれない。しかし、出願人は、このようなフィルタリング装置を最適化するために、不要な粒子を実質的にビー玉のように振る舞うものとして考え、不要な粒子を回転可能なディスク又は羽根によって単に跳ね返し、空間に分散させる方が良いことを見出している。欧州特許第2410074号明細書に記載のフィルタでは、開放構造を有するハウジングが使用されているので、不要な粒子は、単にフィルタのハウジングの外側に跳ね返されるのみである。フィルタのハウジングの外側には、典型的に基板が配置されており、基板には、今まで通りに不要な粒子が堆積する。
【0006】
欧州特許第2410074号明細書に記載のハウジングを単に閉鎖すると、粒子は、回転しているディスク又は羽根によって跳ね回る。跳ね返った粒子の一部は、新たなプラズマプルームが通過路を通過するときにプラズマプルームと共に運ばれ、基板に到達する。そのため、フィルタリング特性が悪化する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明の目的は、前述の欠点を低減又はさらに解消し、プラズマプルームからの粒子のフィルタリングが改善されたフィルタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、前述のフィルタを備えた本発明によって達成される。フィルタは、ハウジングの壁部に配置された排出口に繋がる排出路を特徴とする。通過路の中心線と、回転軸から延び、通過路の中心線及び少なくとも1つの一次ブレードの軌道を通じる径方向の線との両方に直交して延びる線は、排出口を通じて延びる。
【0009】
本発明に係るフィルタには、排出路が設けられる。粒子は、排出路に沿って排出され得る。一次ブレードがプラズマプルームの後を追う粒子の雲を通るときに、粒子は、少なくとも1つの一次ブレードの接触面によって、より確実に排出路及びハウジングの排出口に向かう。
【0010】
本発明に係るフィルタの好適な実施形態では、接触面の径方向の断面のコード線(cord line)は、回転軸に対して0°よりも大きい角度、好ましくは15°よりも大きい角度をなす。コード線は、プラズマプルームの発生源から遠く離れている場合よりも、プラズマプルームの発生源に近いほど、接触面がより多くの粒子の後を追う(trail)ように配置される。このことにより、最も速い粒子が接触面の源から遠く離れた部分によって捉えられる一方で、プラズマプルーム中の遅い粒子又は遅れた粒子は、接触面のより後端部によってより確実に捉えられる。
【0011】
本発明に係るフィルタのさらに好適な実施形態では、接触面の軸方向の断面のコード線は、回転軸から延び接触面の軸方向の断面の内側の縁を通じる径方向の線に対して0°よりも大きい角度、好ましくは15°よりも大きい角度をなす。
【0012】
径方向の線に対する角度によって、粒子を排出口に向けることができる。接触面の軸方向の断面のコード線の角度は、径方向に沿って変化することがより好ましい。プラズマプルームがターゲット表面に発生すると、プラズマ及び不要な粒子は、拡大するプラズマプルームが増大するように、全方向に向かって出発する。変化する角度は、粒子の様々な方向をより考慮に入れる。
【0013】
本発明に係るフィルタのさらに好適な実施形態では、接触面は、少なくとも1つの一次ブレードの回転方向に向いた凹形状の面である。
【0014】
ブレードに平坦な面のみが用いられる場合、粒子は、平坦な面に衝突したときに、拡大するプラズマプルームによってさらに飛散する。凹形状の面によれば、粒子の方向をより集中させ、粒子を排出路に沿って排出させることができる。そのために、凹面は、径方向及び回転軸の方向の両方で変化する方向を有する。
【0015】
一般的に、0°よりも大きい角度が定義される場合には、そのような角度は、0°及び180°の範囲内であるとみなされる。また同時に、0°よりも小さい角度は、0°及び-180°の範囲内であるとみなされる。したがって、例えば、-5°の角度は、360°を足すことにより、355°に等しい角度であるように0°よりも大きい角度としてみなされるべきではない。
【0016】
凹面の形状がプラズマプルームの速度、プラズマプルームの後を追う粒子、及びブレードの回転速度等のプロセスパラメータに依存することは、当業者にとって明らかである。
【0017】
本発明に係るフィルタの好適な実施形態は、ハウジング内に回転可能に配置されたディスクをさらに備えている。ディスクの回転軸は、少なくとも1つの一次ブレードの回転軸と一致している。ディスクには、少なくとも1つの通過口が、回転軸から通過路の中心線までの距離に対応する距離を回転軸から隔てて配置されている。少なくとも1つの一次ブレードは、ディスクの上部において、ディスクの少なくとも1つの通過口に隣接し、ディスクの回転方向に見たときにディスクの少なくとも1つの通過口の後を追うように配置されている。
【0018】
回転ディスクは、プラズマプルームの通過後に通過路が閉鎖され、プラズマプルームからフィルタリングされる必要がある粒子が少なくとも1つの一次ブレードによって排出路に向かって払われ得るように、通過路に対するシャッタを提供する。
【0019】
本発明に係るフィルタの別の実施形態では、回転軸の方向に見たときに一次ブレードとディスクの通過口との間に重なりがあれば、ディスクの回転軸は、少なくとも1つの一次ブレードの回転軸と平行でかつ少なくとも1つの一次ブレードの回転軸から離れていてもよい。
【0020】
本発明に係るフィルタのさらに好適な実施形態では、ディスク上に、円筒形の壁が回転軸と同心状に配置されている。少なくとも1つの一次ブレードは、円筒形の壁の外側に接続している。
【0021】
通過路の閉鎖後に粒子がより制限されるように、円筒形の壁が径方向の内側に境界を提供し、ハウジングが径方向の外側に境界を提供する。円筒形の壁及びハウジングの壁部は、粒子が一次ブレードから誤った方向に跳ね返された場合にも、粒子を排出口に向け直すことに寄与し得る。
【0022】
本発明に係るフィルタのさらに別の実施形態は、回転軸の周りを回転可能であり、少なくとも1つの一次ブレードのそれぞれの後を追うように配置された二次ブレードをさらに備えている。
【0023】
各一次ブレードの後ろに二次ブレードを配置することにより、一次ブレードによって捉えられない粒子も、二次ブレードによって捉えられ得る。このことは、プラズマの発生に対して相対的に遅いか又は遅れており、相対的に大きな距離を隔ててプラズマプルームを追う粒子に特に関連する。これらの粒子は、一次ブレードが通過路を通るときには、通過路に到達していない。そのため、これらの粒子は、一次ブレードの後ろではあるが二次ブレードの前で通過路に進入する。二次ブレードは、遅い粒子又は遅れた粒子を排出口に向かって跳ね返す。
【0024】
少なくとも1つの一次ブレードの長手方向の軸と、回転軸から少なくとも1つの一次ブレードの基端部に延びる径方向の線との間の角度は、少なくとも1つの一次ブレードのそれぞれの後を追う二次ブレードの長手方向の軸と、回転軸から二次ブレードの基端部に延びる径方向の線との間の角度よりも小さいことが好ましい。
【0025】
二次ブレードは、一次ブレードのすぐ後ろに配置され、一次ブレードによって跳ね返される粒子よりも実質的に遅い粒子を跳ね返す。そのため、二次ブレードの角度は、遅い粒子を排出口に向けるために誘導するために、典型的に異なる必要がある。
【0026】
本発明に係るフィルタのさらに別の実施形態では、複数の補助ブレードが、回転軸から距離を隔てて、前記回転軸の周りを回転可能に配置されている。複数の補助ブレードは、軌道に沿って、少なくとも1つの一次ブレードから距離を隔てて分布している。
【0027】
複数の補助ブレードを設けることにより、ハウジング内にファンが提供される。ファンは、残存した粒子を排出路の方向に付勢する。
【0028】
本発明に係るフィルタの好適な実施形態は、ハウジングの壁部に配置された補助排出口に繋がる補助排出路と、回転軸と補助排出路との間に圧力差を発生させる吸引手段と、をさらに有している。
【0029】
回転軸、すなわちハウジングの中心部と補助排出路との間に圧力差を設けることにより、排出路に向かう流れが引き起こされる。この流れは、ハウジング内の圧力を維持するのに有利である。流れは、径方向におけるブレードの内側に注入口を設けることにより、計画され(designed)得る。
【図面の簡単な説明】
【0030】
本発明のこれらの特徴及び他の特徴は、添付の図面と共に説明される。
【0031】
【
図1】
図1は、本発明に係るフィルタの実施形態の概略斜視図であり、PLD装置に配置されたフィルタを示す図である。
【
図3】
図3は、
図1のフィルタにおける羽根を有するディスクの斜視図である。
【
図4】
図4は、本発明に係るフィルタの平断面図であり、フィルタが第1の状態にある図である。
【
図5】
図5は、本発明に係るフィルタの平断面図であり、フィルタが第2の状態にある図である。
【
図6A】
図6Aは、
図5に示す凹面を有する一次ブレードの軸方向に見た平面拡大図である。
【
図6B】
図6Bは、
図5に示す凹面を有する一次ブレードの径方向に見た断面拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1は、本発明に係るフィルタの第1実施形態の概略図である。フィルタ1は、上部に設けられた通過口3と、下部に設けられた通過口4(
図2参照)とを有するハウジング2を備えている。ハウジング2には、排出路5と、補助排出路6とが設けられている。
【0033】
フィルタ1の通過口3の上方には、ターゲット材料7が配置されている。ターゲット材料7にレーザ光線8をパルス照射すると、プラズマプルーム9が発生する。このプラズマプルーム9は、通過口3から進入し、そこで不要な粒子がフィルタリングされる。このことにより、フィルタリングされたプラズマプルーム10が通過口4を介してフィルタ1から出て行く。その後、フィルタリングされたプラズマプルーム10は、基板11に堆積する。
【0034】
図2に示すように、フィルタ1のハウジング2内には、ディスク12が回転可能に配置されている。ディスク12の上部には、凹面を有する一次ブレード13が通過口14の近傍に設けられている。通過口14は、ハウジング2の通過口3,4と整列して中心線15を有する通過路を形成しているときに、プラズマプルーム9が通過することを可能にする。
【0035】
形成された通過路をプラズマプルーム9が通過するとき、凹面を有する一次ブレード13は、プラズマプルーム9の最後の部分を通り、不要な粒子をD方向に排出口及び当該排出口に繋がる排出路5に向かって跳ね返す。
【0036】
図3は、フィルタ1のハウジング2内において、回転軸16の周りに回転可能に配置されたディスク12の斜視図である。ディスク12には、互いに反対側に配置された2つの通過口14が設けられている。凹面を有する一次ブレード13は、各通過口14の後を追っている(trailed)。各一次ブレード13のすぐ後ろには、遅すぎて一次ブレード13に衝突し得ない粒子を排出路5に向かって跳ね返すために、二次ブレード17が配置されている。さらに、ディスク12の上部には、複数の補助ブレード18が配置されている。
【0037】
一次ブレード13、二次ブレード17、及び補助ブレード18の径方向における内側には、円筒形の壁19が配置されている。円筒形の壁19は、ハウジング2と共に、プラズマプルーム9の不要な粒子のためのより制限された空間を提供する。
【0038】
図4は、本発明のフィルタ1の平断面図である。ハウジング2は、排出路5が繋がる排出口20を有している。この排出口20は、通過路の中心線15と、回転軸16から延びて通過路の中心線15を通じる径方向の線22との両方に対して直交して延びる線21に配置されている。
【0039】
また、ハウジング2は、補助排出路6が繋がる補助排出口23を有している。この補助排出口23は、通過路の中心線15と、回転軸16から延びて通過路の中心線15を通じる径方向の線22との両方に対して直交して延びる線24に配置されている。
【0040】
図5は、再び本発明のフィルタ1の平断面図である。この
図5より、回転軸16から一次ブレード13の基端部に延びる径方向の線25が一次ブレード13の長手方向の軸26に対して角度α1をなすことが明らかである。回転軸16から二次ブレード17の基端部に延びる径方向の線27は、二次ブレード17の長手方向の軸28に対して角度α2をなす。回転軸16から補助ブレード18の基端部に延びる径方向の線29は、補助ブレード18の長手方向の軸
50に対して角度α3をなす。
【0041】
既に上述したように、一次ブレード13は、一次ブレード13に衝突したプラズマプルーム9からの粒子を、排出口20及び排出路5に向かって束51に収束する凹面を有する。さらに、回転軸16の周りのフィルタ1の中心部と補助排出路6との間には、圧力差が生じる。その圧力差は、ハウジング内の圧力を維持するために中心部からハウジング2の外側に向かって流れる気流Lを生じる。
【0042】
図6A及び
図6Bは、
図5に示す凹面を有する一次ブレード13の軸方向に見た平面拡大図及び径方向に見た断面拡大図である。凹面13は、凹面13の下縁部30から上縁部31に向かって湾曲するとともに、径方向にも湾曲している。
【0043】
下縁部30のコード線(cord line)32は、コード線32の最も内側の縁と交差する径方向の線33に対して角度α1をなす。上縁部31のコード線35は、コード線35の最も内側の縁と交差する径方向の線34に対して角度β2をなす。角度α1及び角度β2の両方は、0°よりも大きく、好ましくは15°よりも大きい。
【0044】
図6Bは、径方向に見た凹面13の断面図である。コード線36は、回転軸16に対して角度β3をなす。また、この角度β3は、0°よりも大きく、好ましくは15°よりも大きい。