(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-28
(45)【発行日】2025-02-05
(54)【発明の名称】硬化性官能基を有する化合物を含む段差基板被覆組成物
(51)【国際特許分類】
G03F 7/11 20060101AFI20250129BHJP
【FI】
G03F7/11 503
G03F7/11 502
(21)【出願番号】P 2023040009
(22)【出願日】2023-03-14
(62)【分割の表示】P 2019542271の分割
【原出願日】2018-09-12
【審査請求日】2023-04-07
(31)【優先権主張番号】P 2017175633
(32)【優先日】2017-09-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003986
【氏名又は名称】日産化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】弁理士法人はなぶさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲徳▼永 光
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 貴文
(72)【発明者】
【氏名】緒方 裕斗
(72)【発明者】
【氏名】橋本 佳祐
(72)【発明者】
【氏名】中島 誠
【審査官】高橋 純平
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2006/115044(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/159358(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/004-7/18
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
段差基板被覆組成物を含む段差基板であって、
上記段差基板被覆組成物は、主剤と溶剤を含み、
該主剤が下記化合物(A)、又は下記化合物(A)及び下記化合物(B)の混合物を含み、化合物(A)が下記式(A-1):
【化1】
(式中、nは1又は2の整数を示し、破線は芳香族環との結合を示し、芳香族環はポリマー骨格を構成する芳香族環であるか又はモノマーを構成する芳香族環である。)で表される部分構造を含む化合物であり、
上記芳香族環がベンゼン環、ナフタレン環、又はアントラセン環であり、上記芳香族環が含まれるポリマーはヒドロキシアリールノボラック構造を含む
ポリマーのヒドロキシル基が式(A-1)の有機基で置換されたポリマーであり、上記芳香族環が含まれるモノマーは芳香族環のヒドロキシル基が式(A-1)の有機基で置換されたモノマーであり、
上記化合物(A)が、下記式(a-1)~(a-5)のポリマー、式(a-7)~(a-12)のポリマー又は式(aa-1)~(aa-18)の化合物であり、
【化2】
【化3】
【化4】
【化5】
【化6】
【化7】
【化8】
【化9】
化合物(B)が下記式(B-1)乃至式(B-5)で表される部分構造からなる群より選ばれる少なくとも一つの部分構造を含むか、又は式(B-6)で表される部分構造
と式(B-8)で表される部分構造との組み合わせからなる部分構造を含む化合物であり、
【化10】
(式中、R
1、R
1a、R
3、R
5、R
5a、及びR
6aはそれぞれ独立して炭素原子数
1乃至10の飽和炭化水素基、炭素原子数6乃至40の芳香族炭化水素基、酸素原子、カルボニル基、イオウ原子、窒素原子、アミド基、アミノ基、又はそれらの組み合わせからなる基を示し、R
2
、R
4、及びR
6は、それぞれ独立して水素原子、炭素原子数1乃至10の飽和炭化水素基、炭素原子数2乃至10の不飽和炭化水素基、酸素原子、カルボニル基、アミド基、アミノ基、又はそれらの組み合わせからなる基を示し、R
2
、R
4、R
6は1価の基を、R
1、R
1a、R
3、R
5a、及びR
6aは2価の基を、R
5は3価の基を示し、nは1乃至10の繰り返し単位数を示し、点線は隣接原子との化学結合を示す。)
化合物(A)、又は化合物(A)と化合物(B)を含む主剤を用いる場合は、上記段差基板被覆組成物が光照射で硬化又は光照射中乃至光照射後に30℃乃至300℃の加熱で硬化され、
該組成物の固形分中の上記主剤の含有量が95質量%乃至100質量%である、段差基板。
【請求項2】
上記主剤が化合物(A)と化合物(B)の混合物である場合には、エポキシ基:ビニル基のモル比が100:1乃至1:100である請求項1に記載の段差基板。
【請求項3】
更に酸発生剤を含む請求項1又は請求項2に記載の段差基板。
【請求項4】
更に界面活性剤を含む請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の段差基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、段差を有する基板上に光架橋によって平坦化膜を形成するための段差基板被覆組成物と、その段差基板被覆組成物を用いた平坦化された積層基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体集積回路装置は微細なデザインルールに加工されるようになってきた。光リソグラフィー技術により一層微細なレジストパターンを形成するためには、露光波長を短波長化する必要がある。
【0003】
ところが、露光波長の短波長化に伴って焦点深度が低下するために、基板上に形成された被膜の平坦化性を向上させることが必要になる。すなわち微細なデザインルールを持つ半導体装置を製造するためには、基板上の平坦化技術が重要になってきている。
【0004】
これまで、平坦化膜の形成方法としては、例えばレジスト膜の下に形成されるレジスト下層膜を光硬化により形成する方法が開示されている。
【0005】
側鎖にエポキシ基、オキセタン基を有するポリマーと光カチオン重合開始剤とを含むレジスト下層膜形成組成物、又はラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有するポリマーと光ラジカル重合開始剤とを含むレジスト下層膜形成組成物が開示されている(特許文献1参照)。
【0006】
また、エポキシ基、ビニル基等のカチオン重合可能な反応性基を有するケイ素系化合物と、光カチオン重合開始剤、光ラジカル重合開始剤とを含むレジスト下層膜形成組成物が開示されている(特許文献2参照)。
【0007】
また、側鎖に架橋性官能基(例えばヒドロキシ基)を有するポリマーと架橋剤と光酸発生剤とを含有するレジスト下層膜を用いる半導体装置の製造方法が開示されている(特許文献3参照)。
【0008】
また、光架橋系のレジスト下層膜ではないが、不飽和結合を主鎖又は側鎖に有するレジスト下層膜が開示されている(特許文献4、5参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】国際公開パンフレットWO2006/115044
【文献】国際公開パンフレットWO2007/066597
【文献】国際公開パンフレットWO2008/047638
【文献】国際公開パンフレットWO2009/008446
【文献】特表2004-533637
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従来の光架橋材料では、例えばヒドロキシ基等の熱架橋形成官能基を有するポリマーと架橋剤と酸触媒(酸発生剤)とを含むレジスト下層膜形成組成物においては、基板上に形成されたパターン(例えば、ホールやトレンチ構造)に充填するように該組成物を加熱する際、架橋反応が進行して粘度上昇が生じ、その結果、パターンへの充填不良が問題になる。さらに脱ガスによる熱収縮が発生するために平坦性が損なわれることが問題になる。
【0011】
また、エポキシ基、ビニル基等のカチオン重合可能な反応性基を有するポリマーと酸発生剤とを含むレジスト下層膜形成組成物においては、光照射と加熱が行われる。その際にやはり酸発生剤の含有量が多い場合には脱ガスによる熱収縮が発生するために平坦性に問題が生ずる。
【0012】
従って、本発明の課題はパターンへの充填性が高く、脱ガスや熱収縮が発生しない塗膜形成が可能な平坦化性を有する被膜を基板上に形成するための段差基板被覆組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は第1観点として、主剤が下記化合物(A)、化合物(B)、又はそれらの混合物を含み、化合物(A)が下記式(A-1)又は式(A-2):
【化1】
(式中、nは1又は2の整数を示し、破線は芳香族環との結合を示し、芳香族環はポリマー骨格を構成する芳香族環であるか又はモノマーを構成する芳香族環である。)で表される部分構造を含む化合物であり、
化合物(B)が下記式(B-1)乃至式(B-5)で表される部分構造からなる群より選ばれる少なくとも一つの部分構造を含むか、又は式(B-6)で表される部分構造
と式(B-8)で表される部分構造との組み合わせからなる部分構造を含む化合物であり、
【化2】
(式中、R
1、R
1a、R
3、R
5、R
5a、及びR
6aはそれぞれ独立して炭素原子数1乃至10の飽和炭化水素基、炭素原子数6乃至40の芳香族炭化水素基、酸素原子、カルボニル基、イオウ原子、窒素原子、アミド基、アミノ基、又はそれらの組み合わせからなる基を示し、R
2
、R
4、及びR
6は、それぞれ独立して水素原子、炭素原子数1乃至10の飽和炭化水素基、炭素原子数2乃至10の不飽和炭化水素基、酸素原子、カルボニル基、アミド基、アミノ基、又はそれらの組み合わせからなる基を示し、R
2
、R
4、R
6は1価の基を、R
1、R
1a、R
3、R
5a、及びR
6aは2価の基を、R
5は3価の基を示し、nは1乃至10の繰り返し単位数を示し、点線は隣接原子との化学結合を示す。)
化合物(A)、化合物(B)、又はそれらの混合物を含む主剤と溶剤を含む段差基板被覆組成物であって、
該主剤を用いる場合は、光照射で硬化又は光照射中乃至光照射後に30℃乃至300℃の加熱で硬化される組成物であり、
化合物(B)を含む主剤を用いる場合は、光照射中乃至光照射後に30℃乃至300℃の加熱で硬化される組成物であり、
該組成物の固形分中の上記主剤の含有量が95質量%乃至100質量%である上記段差基板被覆組成物、
第2観点として、上記芳香族環がベンゼン環、ナフタレン環、又はアントラセン環である第1観点に記載の段差基板被覆組成物、
第3観点として、上記芳香族環が含まれるポリマーはヒドロキシアリールノボラック構造を含む
ポリマーのヒドロキシル基が式(A-1)又は式(A-2)の有機基で置換されたポリマーである第1観点又は第2観点に記載の段差基板被覆組成物、
第4観点として、上記芳香族環が含まれるモノマーは芳香族環のヒドロキシル基が式(A-1)又は式(A-2)の有機基で置換されたモノマーである第1観点又は第2観点に記載の段差基板被覆組成物、
第5観点として、上記主剤が化合物(A)と化合物(B)の混合物である場合には、エポキシ基:ビニル基のモル比が100:1乃至1:100である第1観点乃至第4観点のい
ずれか一つに記載の段差基板被覆組成物、
第6観点として、更に酸発生剤を含む第1観点乃至第5観点のいずれか一つに記載の段差基板被覆組成物、
第7観点として、更に界面活性剤を含む第1観点乃至第6観点のいずれか一つに記載の段差基板被覆組成物、
第8観点として、段差を有する基板に第1観点乃至第7観点のいずれか一つに記載の段差基板被覆組成物を塗布する工程(i)、及び工程(i)で塗布された組成物を露光するか又は露光中乃至露光後に加熱する工程(ii)を含む被覆基板の製造方法、
第9観点として、上記工程(i)において段差基板被覆組成物を塗布した後に該組成物を70℃乃至400℃の温度で、10秒乃至5分間加熱する工程(ia)を加える第8観点に記載の被覆基板の製造方法、
第10観点として、上記工程(ii)での露光に用いる光波長が150nm乃至248nmである第8観点又は第9観点に記載の被覆基板の製造方法、
第11観点として、上記工程(ii)での露光光量が10mJ/cm
2乃至5000mJ/cm
2である第8観点乃至第10観点のいずれか一つに記載の被覆基板の製造方法、
第12観点として、上記基板がオープンエリア(非パターンエリア)と、DENCE(密)及びISO(粗)のパターンエリアを有し、パターンのアスペクト比が0.1乃至100である第8観点乃至第11観点のいずれか一つに記載の被覆基板の製造方法、
第13観点として、上記オープンエリアと上記パターンエリアとのBias(塗布段差)が1nm乃至50nmである第8観点乃至第12観点のいずれか一つに記載の被覆基板の製造方法、
第14観点として、段差を有する基板上に第1観点乃至第7観点のいずれか一つに記載の段差基板被覆組成物により下層膜を形成する工程、その上にレジスト膜を形成する工程、次いでこれを光若しくは電子線の照射、又は光若しくは電子線の照射中乃至その後に加熱し、その後の現像によりレジストパターンを形成する工程、形成されたレジストパターンにより該下層膜をエッチングする工程、及びパターン化された下層膜により半導体基板を加工する工程を含む半導体装置の製造方法、
第15観点として、上記段差を有する基板がオープンエリア(非パターンエリア)と、DENCE(密)及びISO(粗)のパターンエリアを有し、パターンのアスペクト比が0.1乃至100である基板である第14観点に記載の半導体装置の製造方法、
第16観点として、段差基板被覆組成物により下層膜を形成する工程が
上記段差を有する基板に第1観点乃至第7観点のいずれか一つに記載の段差基板被覆組成物を塗布する工程(i)、及び工程(i)で塗布された組成物を露光するか又は露光中乃至露光後に加熱する工程(ii)を含む第14観点に記載の半導体装置の製造方法、
第17観点として、上記工程(i)において段差基板被覆組成物を塗布した後に該組成物を70℃乃至400℃の温度で、10秒乃至5分間加熱する工程(ia)を加える第16観点に記載の半導体装置の製造方法、
第18観点として、上記工程(ii)での露光に用いる光波長が150nm乃至248nmである第16観点又は第17観点に記載の半導体装置の製造方法、
第19観点として、上記工程(ii)での露光光量が10mJ/cm
2乃至5000mJ/cm
2である第16観点乃至第18観点のいずれか一つに記載の半導体装置の製造方法、
第20観点として、上記段差基板被覆組成物から得られた下層膜が1nm乃至50nmの塗布段差を有する第14観点に記載の半導体装置の製造方法、
第21観点として、段差を有する基板に第1観点乃至第7観点のいずれか一つに記載の段差基板被覆組成物により下層膜を形成する工程、その上にハードマスクを形成する工程、更にその上にレジスト膜を形成する工程、次いでこれを光若しくは電子線の照射、又は光若しくは電子線の照射中乃至その後に加熱し、その後の現像によりレジストパターンを形成する工程、形成されたレジストパターンによりハードマスクをエッチングする工程、パターン化されたハードマスクにより該下層膜をエッチングする工程、及びパターン化さ
れた下層膜により半導体基板を加工する工程を含む半導体装置の製造方法、
第22観点として、上記段差を有する基板がオープンエリア(非パターンエリア)と、DENCE(密)及びISO(粗)のパターンエリアを有し、パターンのアスペクト比が0.1乃至100である基板である第21観点に記載の半導体装置の製造方法、
第23観点として、段差基板被覆組成物により下層膜を形成する工程が
上記段差を有する基板に第1観点乃至第7観点のいずれか一つに記載の段差基板被覆組成物を塗布する工程(i)、及び工程(i)で塗布された組成物を露光するか又は露光中乃至露光後に加熱する工程(ii)を含む第21観点に記載の半導体装置の製造方法、
第24観点として、上記工程(i)において段差基板被覆組成物を塗布した後に該組成物を70℃乃至400℃の温度で、10秒乃至5分間加熱する工程(ia)を加える第23観点に記載の半導体装置の製造方法、
第25観点として、上記工程(ii)での露光に用いる光波長が150nm乃至248nmである第23観点又は第24観点に記載の半導体装置の製造方法、
第26観点として、上記工程(ii)での露光光量が10mJ/cm
2乃至5000mJ/cm
2である第23観点乃至第25観点のいずれか一つに記載の半導体装置の製造方法、及び
第27観点として、上記段差基板被覆組成物から得られた下層膜が1nm乃至50nmの塗布段差を有する第21観点に記載の半導体装置の製造方法である。
【発明の効果】
【0014】
段差基板被覆組成物は、段差基板上に塗布され、場合により更に加熱によるリフローによりパターンに充填されるが、本発明の段差基板被覆組成物は、熱架橋部位を持たないため使用の際に粘度上昇がなく、段差基板上のオープンエリア(非パターンエリア)や、DENCE(密)及びISO(粗)のパターンエリアを問わず、平坦な膜を形成することができる。そして、本発明の段差基板被覆組成物では、それに含まれるエポキシ基を有する化合物が光照射又は光照射中乃至光照射後に加熱によりエポキシ基同士の重合により光照射によってカチオン種やラジカル種によるエポキシ基又は不飽和結合同士の架橋構造が形成される。すなわち、本発明の段差基板被覆組成物は、該段差基板被覆組成物を塗布して形成された段差基板被覆膜(平坦化膜)はエポキシ基又は不飽和基に由来する二重結合、三重結合同士の反応により架橋することができる。
【0015】
従って、本発明の段差基板被覆組成物により形成された段差基板被覆膜(平坦化膜)は、熱リフロー時に架橋剤と酸触媒による架橋反応は生じず、また、その後の光架橋は脱ガスを伴わない光反応であるため熱収縮は生じない。このため、本発明の段差基板被覆組成物により、パターンへの良好な充填性と、充填後の平坦性が同時に満たされた、優れた平坦化膜を提供することができる。
【0016】
本発明において、段差基板被覆組成物の膜が光硬化性において塗布された膜底部まで十分に光硬化が完了していない場合、段差基板被覆組成物による膜の光照射後の後加熱や、上層にハードマスクやレジストを上塗りした場合に、未硬化部が流動することによって本願の段差基板被覆組成物による膜の平坦化性が悪化することがある。
【0017】
エポキシ基による架橋構造が、不飽和結合による架橋構造よりも強固な架橋構造を形成することで未硬化部の流動を防ぎ、かつ膜収縮が少ないため上層に被覆されるシリコン含有ハードマスク形成組成物を塗布した後の平坦化性悪化を抑制できると考えられる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は主剤が下記化合物(A)、化合物(B)、又はそれらの混合物を含み、化合物(A)が下記式(A-1)又は式(A-2)の部分構造を含む化合物であり、
【化3】
化合物(B)が下記式(B-1)乃至式(B-5)で表される部分構造からなる群より選ばれる少なくとも一つの部分構造を含むか、又は式(B-6)で表される部分構造
と式(B-8)で表される部分構造との組み合わせからなる部分構造を含む化合物であり、
【化4】
該主剤と溶剤を含む段差基板被覆組成物であって、
化合物(A)、又は化合物(A)と化合物(B)を含む主剤を用いる場合は、光照射で硬化又は光照射中乃至光照射後に30℃乃至300℃の加熱で硬化される組成物であり、
化合物(B)を含む主剤を用いる場合は、光照射中乃至光照射後に30℃乃至300℃の加熱で硬化される組成物であり、
該組成物の固形分中の上記主剤の含有量が95質量%乃至100質量%である上記段差基板被覆組成物である。
【0019】
式(A-1)中、nは1又は2の整数を示し、破線は芳香族環との結合を示し、芳香族
環はポリマー骨格を構成する芳香族環であるか又はモノマーを構成する芳香族環である。
【0020】
式(B-1)乃至式(B-8)中、R1、R1a、R3、R5、R5a、及びR6aはそれぞれ独立して炭素原子数1乃至10の飽和炭化水素基、炭素原子数6乃至40の芳香族炭化水素基、酸素原子、カルボニル基、イオウ原子、窒素原子、アミド基、アミノ基、又はそれらの組み合わせからなる基を示し、R2
、R4、及びR6は、それぞれ独立して水素原子、炭素原子数1乃至10の飽和炭化水素基、炭素原子数2乃至10の不飽和炭化水素基、酸素原子、カルボニル基、アミド基、アミノ基、又はそれらの組み合わせからなる基を示し、R2
、R4、R6は1価の基を、R1、R1a、R3、R5a、及びR6aは2価の基を、R5は3価の基を示し、nは1乃至10の繰り返し単位数を示し、点線は隣接原子との化学結合を示す。
【0021】
上記段差基板被覆組成物の固形分は0.1乃至70質量%、又は0.1乃至60質量%、又は0.2乃至30質量%、又は0.3乃至15質量%である。固形分は段差基板被覆組成物から溶剤を除いた全成分の含有割合である。
【0022】
上記芳香族環はベンゼン環、ナフタレン環、又はアントラセン環とすることができる。
【0023】
芳香族環が含まれるポリマーがヒドロキシアリールノボラック構造を含むポリマーのヒドロキシル基が式(A-1)の有機基又は式(A-2)の有機基で置換されたポリマーとすることができる。これらアリール基はベンゼン、ナフタレンに由来する芳香族基を用いることができる。
【0024】
【0025】
【0026】
【0027】
【0028】
式(a-1)のポリマーはDIC(株)製、商品名HP-5000、HP-5000Lとして入手することができる。
式(a-2)のポリマーはDIC(株)製、商品名HP-7200として入手することができる。
式(a-3)のポリマーは日本化薬(株)製、商品名NC-2000-Lとして入手することができる。
式(a-4)のポリマーは日本化薬(株)製、商品名NC-3000-Lとして入手することができる。
式(a-5)のポリマーは日本化薬(株)製、商品名NC-7000Lとして入手することができる。
式(a-6)のポリマーは日本化薬(株)製、商品名EPPN-201として入手することができる。
式(a-7)のポリマーは日本化薬(株)製、商品名NC-7300Lとして入手することができる。
式(a-8)のポリマーは日本化薬(株)製、商品名NC-3500として入手することができる。
式(a-9)のポリマーは日本化薬(株)製、商品名EPPN-501Hとして入手することができる。
式(a-10)のポリマーは日本化薬(株)製、商品名FAE-2500として入手することができる。
式(a-11)のポリマーは三菱化学(株)製、商品名多官能エポキシ樹脂157として入手することができる。
式(a-12)のポリマーは三菱化学(株)製、商品名多官能エポキシ樹脂1032として入手することができる。
【0029】
上記ポリマーの重量平均分子量は600乃至1000000、又は600乃至200000、又は1500乃至15000である。
【0030】
また、本発明では、芳香族環が含まれるモノマーが芳香族環のヒドロキシル基が式(A-1)の有機基又は式(A-2)の有機基で置換されたモノマーとすることができる。
【0031】
上記芳香族環のヒドロキシル基は例えばフェノールやナフトールのヒドロキシル基を挙げることができる。
【0032】
【0033】
【0034】
【0035】
【0036】
式(aa-1)のモノマー化合物はDIC(株)製、商品名HP4700、HP4710として入手することができる。
式(aa-2)のモノマー化合物はDIC(株)製、商品名HP4770として入手することができる。
式(aa-3)のモノマー化合物はAOC(株)製、商品名TEP-Gとして入手することができる。
式(aa-4)のモノマー化合物は日本化薬(株)製、商品名NC-6000として入手することができる。
式(aa-5)のモノマー化合物は日本化薬(株)製、商品名RE-810NMとして入手することができる。
式(aa-6)のモノマー化合物は三菱化学(株)製、商品名液状エポキシBis-Aタイプとして入手することができる。
式(aa-7)のモノマー化合物は三菱化学(株)製、商品名液状エポキシBis-Fタイプとして入手することができる。
式(aa-8)のモノマー化合物は三菱化学(株)製、商品名多官能エポキシ1031Sとして入手することができる。
式(aa-9)のモノマー化合物は三菱化学(株)製、商品名多官能エポキシ604として入手することができる。
式(aa-10)のモノマー化合物はアデカレジン(株)製、商品名EP-3950S/Lとして入手することができる。
式(aa-11)のモノマー化合物は三菱化学(株)製、商品名YX4000として入手することができる。
式(aa-12)のモノマー化合物は三菱化学(株)製、商品名YL6121Hとして入手することができる。
式(aa-13)のモノマー化合物は大阪ガスケミカル(株)社、商品名OGSOL-EG-200として入手することができる。
式(aa-14)のモノマー化合物はDIC(株)製、商品名EXA-1514として入手することができる。
式(aa-15)のモノマー化合物は大阪ガスケミカル(株)製、商品名PG-100として入手することができる。
式(aa-16)のモノマー化合物は2,2’-ジグリシジルオキシ-1,1’-ビナフタレンとして入手することができる。
式(aa-17)のモノマー化合物はDIC(株)製、商品名HP-4770として入手することができる。
式(aa-18)のモノマー化合物は三菱化学(株)製、商品名YX-8800として入手することができる。
【0037】
また、DIC(株)製、商品名HP-6000を用いる事ができる。
【0038】
上記芳香族環が含まれるモノマーは分子量が200乃至10000、又は200乃至2000、又は200乃至1000の範囲で使用することができる。
【0039】
上記化合物(A)はエポキシ価が150乃至350、又は150乃至300の範囲で用いる事ができる。軟化点は120℃以下の範囲のエポキシ化合物を用いる事ができる。
【0040】
本発明では主剤が化合物(A)と化合物(B)の混合物である場合には、エポキシ基:ビニル基のモル比が100:1乃至1:100、又は30:1乃至1:30、又は20:1乃至1:1であり、化合物(B)が式(B-1)乃至式(B-5)で表される部分構造からなる群より選ばれる少なくとも一つの部分構造を含むか、又は式(B-6)で表される部分構造と式(B-8)で表される部分構造との組み合わせからなる部分構造を含む化合物とすることができる。
【0041】
式(B-1)乃至式(B-8)中、R1、R1a、R3、R5、R5a、及びR6aはそれぞれ炭素原子数1乃至10の飽和炭化水素基、炭素原子数6乃至40の芳香族炭化水素基、酸素原子、カルボニル基、イオウ原子、窒素原子、アミド基、アミノ基、又はそれらの組み合わせからなる基を示し、R2
、R4、及びR6は、それぞれ水素原子、炭素原子数1乃至10の飽和炭化水素基、炭素原子数2乃至10の不飽和炭化水素基、酸素原子、カルボニル基、アミド基、アミノ基、又はそれらの組み合わせからなる基を示し、R2
、R4、R6は1価の基を、R1、R1a、R3、R5a、及びR6aは2価の基を、R5は3価の基を示し、nは1乃至10の繰り返し単位数を示し、点線は隣接原子との化学結合を示す。
【0042】
上記炭素原子数1乃至10の飽和炭化水素基としては、炭素原子数1乃至10のアルキル基であってよく、例えばメチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、シクロプロピル基、n-ブチル基、i-ブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、シクロブチル基、1-メチル-シクロプロピル基、2-メチル-シクロプロピル基、n-ペンチル基、1-メチル-n-ブチル基、2-メチル-n-ブチル基、3-メチル-n-ブチル基、1,1-ジメチル-n-プロピル基、1,2-ジメチル-n-プロピル基、2,2-ジメチル-n-プロピル基、1-エチル-n-プロピル基、シクロペンチル基、1-メチル-シクロブチル基、2-メチル-シクロブチル基、3-メチル-シクロブチル基、1,2-ジメチル-シクロプロピル基、2,3-ジメチル-シクロプロピル基、1-エチル-シクロプロピル基、2-エチル-シクロプロピル基、n-ヘキシル基、1-メチル-n-ペンチル基、2-メチル-n-ペンチル基、3-メチル-n-ペンチル基、4-メチル-n-ペンチル基、1,1-ジメチル-n-ブチル基、1,2-ジメチル-n-ブチル基、1,3-ジメチル-n-ブチル基、2,2-ジメチル-n-ブチル基、2,3-ジメチル-n-ブチル基、3,3-ジメチル-n-ブチル基、1-エチル-n-ブチル基、2-エチル
-n-ブチル基、1,1,2-トリメチル-n-プロピル基、1,2,2-トリメチル-n-プロピル基、1-エチル-1-メチル-n-プロピル基、1-エチル-2-メチル-n-プロピル基、シクロヘキシル基、1-メチル-シクロペンチル基、2-メチル-シクロペンチル基、3-メチル-シクロペンチル基、1-エチル-シクロブチル基、2-エチル-シクロブチル基、3-エチル-シクロブチル基、1,2-ジメチル-シクロブチル基、1,3-ジメチル-シクロブチル基、2,2-ジメチル-シクロブチル基、2,3-ジメチル-シクロブチル基、2,4-ジメチル-シクロブチル基、3,3-ジメチル-シクロブチル基、1-n-プロピル-シクロプロピル基、2-n-プロピル-シクロプロピル基、1-i-プロピル-シクロプロピル基、2-i-プロピル-シクロプロピル基、1,2,2-トリメチル-シクロプロピル基、1,2,3-トリメチル-シクロプロピル基、2,2,3-トリメチル-シクロプロピル基、1-エチル-2-メチル-シクロプロピル基、2-エチル-1-メチル-シクロプロピル基、2-エチル-2-メチル-シクロプロピル基及び2-エチル-3-メチル-シクロプロピル基等が挙げられる。
【0043】
上記炭素原子数1乃至10の飽和炭化水素基としてはまた、上記アルキル基から誘導される2価のアルキレン基を挙げることができる。
【0044】
上記炭素原子数2乃至10の不飽和炭化水素基としては、上記炭素原子数2以上のアルキル基に対応するアルケニル基またはアルキニル基を挙げることができる。
【0045】
上記炭素原子数6乃至40の芳香族炭化水素基としては、2価の炭素原子数6乃至40のアリーレン基であってよく、例えばフェニレン基、ビフェニレン基、ターフェニレン基、フルオレニレン基、ナフチレン基、アントリレン基、ピレニレン基、カルバゾリレン基等が例示される。
【0046】
本発明に用いられる化合物(B)は以下に例示することができる。
【化13】
【0047】
【0048】
【0049】
【0050】
【0051】
【0052】
【0053】
【0054】
上記式(b-1)の化合物はDIC(株)製、商品名HP-4700とアクリル酸を反応させて得ることができる。
上記式(b-2)の化合物はDIC(株)製、商品名HP-5000とアクリル酸を反応させて得ることができる。
上記式(b-3)の化合物は日本化薬(株)製、商品名EPPN-501Hとアクリル酸を反応させて得ることができる。
上記式(b-4)の化合物は日本化薬(株)製、商品名NC-7000Lとアクリル酸を反応させてえることができる。
上記式(b-5)の化合物は日本化薬(株)製、商品名NC-3500にアクリル酸を反応させて得ることができる。
上記式(b-6)の化合物はDIC(株)製、商品名HP-4700にメタクリル酸を反応させて得ることができる。
上記式(b-7)の化合物はDIC(株)製、商品名HP-4700にイタコン酸モノ
メチルを反応させて得られる。
上記式(b-8)の化合物はDIC(株)製、商品名HP-4700にジアリルイソシアヌル酸を反応させて得ることができる。
上記式(b-9)の化合物はDIC(株)製、商品名HP-4700にソルビン酸を反応させて得ることができる。
上記式(b-10)の化合物はDIC(株)製、商品名HP-4700に4-ビニル安息香酸を反応させて得ることができる。
上記式(b-11)の化合物はDIC(株)製、商品名HP-4700にN-(4-ヒドロキシフェニル)メタクリルアミドを反応させて得ることができる。
上記式(b-12)の化合物は旭有機材(株)製、TEPC-BIP-Aにグリシジルメタクリレートを反応させて得ることができる。
上記式(b-13)の化合物は旭有機材(株)製、TEP-BOCPにグリシジルメタクリレートを反応させて得られる。
上記式(b-14)の化合物は2,2’-ビフェノールと2-エチルヘキシルアルデヒドの反応生成物にグリシジルメタクリレートを反応して得られる。
上記式(b-15)の化合物はモノアリルジグリシジルイソシアヌル酸と2,2-ジメチルコハク酸を反応して得られる。
上記式(b-16)の化合物はトリグリシジルイソシアヌレートとアクリル酸を反応させて得られる。
上記式(b-17)の化合物はビスフェノールAジアリルにアクリル酸グリシジルを反応させて得ることができる。
上記式(b-18)の化合物はモノアリルジグリシジルイソシアヌル酸と2,2-ジメチルコハク酸とモノアリルイソシアヌル酸を反応させて得られる。
上記式(b-19)の化合物はDIC(株)製、商品名HP-4700にプロパルギル酸を反応させて得られる。
上記式(b-20)の化合物はDIC(株)製、商品名HP-4700にアクリル酸と5-ヘキシノイック酸を反応させて得られる。
上記式(b-21)の化合物はDIC(株)製、商品名HP-4700に4-アジド安息香酸と、5-ヘキシノイック酸を反応して得られる。
上記式(b-22)の化合物はモノアリルジグリシジルイソシアヌル酸と3,3‘-ジチオプロピオン酸を反応させた後に、2-イソシアナトエチルアクリラートを反応して得られる。
上記式(b-23)の化合物はジグリシジルテレフタル酸とジメチルコハク酸を反応させた後に、2-イソシアナトエチルアクリラートを反応して得られる。
【0055】
本発明は酸発生剤を含有する事ができる。酸発生剤は光酸発生剤を用いる事ができる。
光酸発生剤としては、例えば、ビス(4-t-ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート等のオニウム塩系光酸発生剤類、フェニル-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン等のハロゲン含有化合物系光酸発生剤類、ベンゾイントシレート、N-ヒドロキシスクシンイミドトリフルオロメタンスルホネート等のスルホン酸系光酸発生剤類等が挙げられる。上記光酸発生剤は全固形分に対して、0.2乃至5質量%、又は0.4乃至5質量%、又は0.4乃至4.9質量%、又は0.4乃至4.8質量%である。
【0056】
本発明の段差基板被覆組成物は界面活性剤を含有することができる。前記界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類、ソル
ビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリオレエート、ソルビタントリステアレート等のソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類等のノニオン系界面活性剤、エフトップ〔登録商標〕EF301、同EF303、同EF352(三菱マテリアル電子化成(株)製)、メガファック〔登録商標〕F171、同F173、同R30、同R-30N、R-40、同R-40LM(DIC(株)製)、フロラードFC430、同FC431(住友スリーエム(株)製)、アサヒガード〔登録商標〕AG710、サーフロン〔登録商標〕S-382、同SC101、同SC102、同SC103、同SC104、同SC105、同SC106(旭硝子(株)製)等のフッ素系界面活性剤、オルガノシロキサンポリマーKP341(信越化学工業(株)製)を挙げることができる。これらの界面活性剤から選択された1種類を添加してもよいし、2種以上を組合せて添加することもできる。前記界面活性剤の含有割合は、本発明の段差基板被覆組成物から後述する溶剤を除いた固形分に対して、例えば0.01質量%乃至5質量%、又は0.01質量%乃至2質量%、又は0.01質量%乃至0.2質量%、又は0.01質量%乃至0.1質量%、又は0.01質量%乃至0.09質量%である。
【0057】
本発明で化合物(A)、化合物(B)、又は化合物(A)と化合物(B)を溶解させる溶剤としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコ-ルモノブチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールメチルエーテルアセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トルエン、キシレン、スチレン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、2ーヒドロキシプロピオン酸エチル、2ーヒドロキシー2ーメチルプロピオン酸エチル、エトシキ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2ーヒドロキシー3ーメチルブタン酸メチル、3ーメトキシプロピオン酸メチル、3ーメトキシプロピオン酸エチル、3ーエトキシプロピオン酸エチル、3ーエトキシプロピオン酸メチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、1-オクタノール、エチレングリコール、ヘキシレングリコール、トリメチレングリコール、1-メトキシ-2-ブタノール、シクロヘキサノール、ジアセトンアルコール、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、プロピレングリコール、ベンジルアルコール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、γ-ブチルラクトン、アセトン、メチルイソプロピルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルノーマルブチルケトン、酢酸イソプロピルケトン、酢酸ノーマルプロピル、酢酸イソブチル、メタノール、エタノール、イソプロパノール、tert-ブタノール、アリルアルコール、ノーマルプロパノール、2-メチル-2-ブタノール、イソブタノール、ノーマルブタノール、2-メチル-1-ブタノール、1-ペンタノール、2-メチル-1-ペンタノール、2-エチルヘキサノール、イソプロピルエーテル、1,4-ジオキサン、N,N-ジメチルパターンムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、ジメチルスルホキシド、N-シクロ
ヘキシル-2-ピロリジノン等を用いることができる。これらの有機溶剤は単独で、または2種以上の組合せで使用される。
【0058】
次に本発明の段差基板被覆組成物を用いた平坦化膜形成法について説明すると、精密集積回路素子の製造に使用される基板(例えばシリコン/二酸化シリコン被覆、ガラス基板、ITO基板などの透明基板)上にスピナー、コーター等の適当な塗布方法により段差基板被覆組成物を塗布後、ベーク(加熱)して露光して被膜を作成する。即ち、段差を有する基板に段差基板被覆組成物を塗布する工程(i)、及び工程(i)で塗布された組成物を露光するか又は露光中乃至露光後に、30℃乃至300℃、または100℃乃至300℃の加熱する工程(ii)を含み被覆基板が製造される。
【0059】
スピナーを用いて塗布する時、例えば回転数100乃至5000で、10乃至180秒間行って塗布することができる。
【0060】
上記基板はオープンエリア(非パターンエリア)と、DENCE(密)及びISO(粗)のパターンエリアを有し、パターンのアスペクト比が0.1乃至10、又は0.1乃至100であるものを用いることができる。
【0061】
非パターンエリアとは基板上でパターン(例えば、ホールやトレンチ構造)のない部分を示し、DENCE(密)は基板上でパターンが密集している部分を示し、ISO(粗)は基板上でパターンとパターンの間隔が広くパターンが点在している部分を示す。パターンのアスペクト比はパターンの幅に対するパターン深さの比率である。パターン深さは通常数百nm(例えば、100乃至300nm程度)であり、DENCE(密)にはパターンが数十nm(例えば30乃至80nm)程度のパターンが100nm程度の間隔で密集した場所である。ISO(粗)はパターンが数百nm(例えば200乃至1000nm程度)のパターンが点在している場所である。
【0062】
ここで、段差基板被覆膜(平坦化膜)の膜厚としては0.01μm乃至3.0μmが好ましい。また工程(ia)として、塗布後に加熱することができ、その条件としては70℃乃至400℃、又は100℃乃至250℃で10秒乃至5分間、又は30秒乃至2分間である。この加熱により段差基板被覆組成物がリフローして平坦な段差基板被覆膜(平坦化膜)が形成される。
【0063】
工程(ii)において露光光は、近紫外線、遠紫外線、又は極端紫外線(例えば、EUV、波長13.5nm)等の化学線であり、例えば248nm(KrFレーザー光)、193nm(ArFレーザー光)、172nm(キセノンエキシマ光)、157nm(F2レーザー光)等の波長の光が用いられる。また、露光波長は150nm乃至248nmの紫外光を用いることができ、そして172nmの波長を好ましく用いることができる。
【0064】
この露光により段差基板被覆膜(平坦化膜)の架橋が行われる。工程(ii)において露光光量が10mJ/cm2乃至3000mJ/cm2、又は10mJ/cm2乃至5000mJ/cm2とすることができる。この範囲の露光光量で光反応が生じ、架橋が形成され、溶剤耐性を生じるものである。
【0065】
この様に形成された段差基板被覆膜(平坦化膜)は、オープンエリアとパターンエリアとのBias(塗布段差)はゼロであることが望ましいが、1nm乃至50nm、又は1nm乃至25nmの範囲となるように平坦化することができる。オープンエリアとDENCEエリアのBiasは15nm乃至20nm程度であり、オープンエリアとISOエリアのBiasは1nm乃至10nm程度である。
【0066】
本発明により得られた段差基板被覆膜(平坦化膜)は、その上にレジスト膜を被覆し、リソグラフィーによりレジスト膜を露光と現像してレジストパターンを形成し、そのレジストパターンに従って基板加工を行うことができる。その場合、段差基板被覆膜(平坦化膜)はレジスト下層膜であり、段差基板被覆組成物はレジスト下層膜形成組成物でもある。
【0067】
レジスト下層膜上にレジストを塗布し、所定のマスクを通して光又は電子線の照射を行い、現像、リンス、乾燥することにより良好なレジストパターンを得ることができる。必要に応じて光又は電子線の照射後加熱(PEB:Post Exposure Bake)を行うこともできる。そして、レジスト膜が前記工程により現像除去された部分のレジスト下層膜をドライエッチングにより除去し、所望のパターンを基板上に形成することができる。
【0068】
本発明に用いられるレジストとはフォトレジストや電子線レジストである。
【0069】
本発明におけるリソグラフィー用レジスト下層膜の上部に塗布されるフォトレジストとしてはネガ型、ポジ型いずれも使用でき、ノボラック樹脂と1,2-ナフトキノンジアジドスルホン酸エステルとからなるポジ型フォトレジスト、酸により分解してアルカリ溶解速度を上昇させる基を有するバインダーと光酸発生剤からなる化学増幅型フォトレジスト、アルカリ可溶性バインダーと酸により分解してフォトレジストのアルカリ溶解速度を上昇させる低分子化合物と光酸発生剤からなる化学増幅型フォトレジスト、酸により分解してアルカリ溶解速度を上昇させる基を有するバインダーと酸により分解してフォトレジストのアルカリ溶解速度を上昇させる低分子化合物と光酸発生剤からなる化学増幅型フォトレジスト、骨格にSi原子を有するフォトレジスト等があり、例えば、ロームアンドハース社製、商品名APEX-Eが挙げられる。
【0070】
また本発明におけるリソグラフィー用レジスト下層膜の上部に塗布される電子線レジストとしては、例えば主鎖にSi-Si結合を含み末端に芳香族環を含んだ樹脂と電子線の照射により酸を発生する酸発生剤から成る組成物、又は水酸基がN-カルボキシアミンを含む有機基で置換されたポリ(p-ヒドロキシスチレン)と電子線の照射により酸を発生する酸発生剤から成る組成物等が挙げられる。後者の電子線レジスト組成物では、電子線照射によって酸発生剤から生じた酸がポリマー側鎖のN-カルボキシアミノキシ基と反応し、ポリマー側鎖が水酸基に分解しアルカリ可溶性を示しアルカリ現像液に溶解し、レジストパターンを形成するものである。この電子線の照射により酸を発生する酸発生剤は1,1-ビス[p-クロロフェニル]-2,2,2-トリクロロエタン、1,1-ビス[p-メトキシフェニル]-2,2,2-トリクロロエタン、1,1-ビス[p-クロロフェニル]-2,2-ジクロロエタン、2-クロロ-6-(トリクロロメチル)ピリジン等のハロゲン化有機化合物、トリフェニルスルフォニウム塩、ジフェニルヨウドニウム塩等のオニウム塩、ニトロベンジルトシレート、ジニトロベンジルトシレート等のスルホン酸エステルが挙げられる。
【0071】
上記フォトレジストの露光光は、近紫外線、遠紫外線、又は極端紫外線(例えば、EUV、波長13.5nm)等の化学線であり、例えば248nm(KrFレーザー光)、193nm(ArFレーザー光)、172nm等の波長の光が用いられる。光照射には、レジスト膜中の光酸発生剤から酸を発生させることができる方法であれば、特に制限なく使用することができ、露光光量1乃至5000mJ/cm2、または10乃至5000mJ/cm2、または10乃至1000mJ/cm2による。
【0072】
また電子線レジストの電子線照射は、例えば電子線照射装置を用い照射することができる。
【0073】
本発明のリソグラフィー用レジスト下層膜形成組成物を使用して形成したレジスト下層膜を有するレジスト膜の現像液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア水等の無機アルカリ類、エチルアミン、n-プロピルアミン等の第一アミン類、ジエチルアミン、ジーn-ブチルアミン等の第二アミン類、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン等の第三アミン類、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルコールアミン類、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、コリン等の第4級アンモニウム塩、ピロール、ピペリジン等の環状アミン類、等のアルカリ類の水溶液を使用することができる。さらに、上記アルカリ類の水溶液にイソプロピルアルコール等のアルコール類、ノニオン系等の界面活性剤を適当量添加して使用することもできる。これらの中で好ましい現像液は第四級アンモニウム塩、さらに好ましくはテトラメチルアンモニウムヒドロキシド及びコリンである。
【0074】
また、現像液としては有機溶剤を用いることができる。例えば、酢酸メチル、酢酸ブチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸アミル、酢酸イソアミル、メトキシ酢酸エチル、エトキシ酢酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、2-メトキシブチルアセテート、3-メトキシブチルアセテート、4-メトキシブチルアセテート、3-メチル-3-メトキシブチルアセテート、3-エチル-3-メトキシブチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、2-エトキシブチルアセテート、4-エトキシブチルアセテート、4-プロポキシブチルアセテート、2-メトキシペンチルアセテート、3-メトキシペンチルアセテート、4-メトキシペンチルアセテート、2-メチル-3-メトキシペンチルアセテート、3-メチル-3-メトキシペンチルアセテート、3-メチル-4-メトキシペンチルアセテート、4-メチル-4-メトキシペンチルアセテート、プロピレングリコールジアセテート、蟻酸メチル、蟻酸エチル、蟻酸ブチル、蟻酸プロピル、乳酸エチル、乳酸ブチル、乳酸プロピル、炭酸エチル、炭酸プロピル、炭酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、ピルビン酸ブチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、プロピオン酸イソプロピル、2-ヒドロキシプロピオン酸メチル、2-ヒドロキシプロピオン酸エチル、メチル-3-メトキシプロピオネート、エチル-3-メトキシプロピオネート、エチル-3-エトキシプロピオネート、プロピル-3-メトキシプロピオネート等を例として挙げることができる。さらに、これらの現像液に界面活性剤などを加えることもできる。現像の条件としては、温度5乃至50℃、時間10乃至600秒から適宜選択される。
【0075】
本発明では、半導体基板にレジスト下層膜形成組成物により該レジスト下層膜を形成する工程、その上にレジスト膜を形成する工程、次いでこれを光又は電子線照射と現像によりレジストパターンを形成する工程、レジストパターンにより該レジスト下層膜をエッチングする工程、及びパターン化されたレジスト下層膜により半導体基板を加工する工程を経て半導体装置を製造することができる。
【0076】
今後、レジストパターンの微細化が進行すると、解像度の問題やレジストパターンが現像後に倒れるという問題が生じ、レジストの薄膜化が望まれてくる。そのため、基板加工
に充分なレジストパターン膜厚を得ることが難しく、レジストパターンだけではなく、レジスト膜と加工する半導体基板との間に作成されるレジスト下層膜にも基板加工時のマスクとしての機能を持たせるプロセスが必要になってきた。このようなプロセス用のレジスト下層膜として従来の高エッチレート性レジスト下層膜とは異なり、レジスト膜に近いドライエッチング速度の選択比を持つリソグラフィー用レジスト下層膜、レジスト膜に比べて小さいドライエッチング速度の選択比を持つリソグラフィー用レジスト下層膜や半導体基板に比べて小さいドライエッチング速度の選択比を持つリソグラフィー用レジスト下層膜が要求されるようになってきている。また、このようなレジスト下層膜には反射防止能を付与することも可能であり、従来の反射防止膜の機能を併せ持つことができる。
【0077】
一方、微細なレジストパターンを得るために、レジスト下層膜ドライエッチング時にレジストパターンとレジスト下層膜をレジスト現像時のパターン幅より細くするプロセスも使用され始めている。このようなプロセス用のレジスト下層膜として従来の高エッチレート性反射防止膜とは異なり、レジスト膜に近いドライエッチング速度の選択比を持つレジスト下層膜が要求されるようになってきている。また、このようなレジスト下層膜には反射防止能を付与することも可能であり、従来の反射防止膜の機能を併せ持つことができる。
【0078】
本発明では基板上に本発明のレジスト下層膜を成膜した後、レジスト下層膜上に直接、または必要に応じて1層乃至数層の塗膜材料をレジスト下層膜上に成膜した後、レジストを塗布することができる。これによりレジスト膜のパターン幅が狭くなり、パターン倒れを防ぐ為にレジスト膜を薄く被覆した場合でも、適切なエッチングガスを選択することにより基板の加工が可能になる。
【0079】
即ち、半導体基板にレジスト下層膜形成組成物により該レジスト下層膜を形成する工程、その上にケイ素成分等を含有する塗膜材料によるハードマスク又は蒸着によるハードマスク(例えば、窒化酸化ケイ素)を形成する工程、更にその上にレジスト膜を形成する工程、光又は電子線の照射と現像によりレジストパターンを形成する工程、レジストパターンによりハードマスクをハロゲン系ガスでエッチングする工程、パターン化されたハードマスクにより該レジスト下層膜を酸素系ガス又は水素系ガスでエッチングする工程、及びパターン化されたレジスト下層膜によりハロゲン系ガスで半導体基板を加工する工程を経て半導体装置を製造することができる。
【0080】
本発明のリソグラフィー用レジスト下層膜形成組成物は、反射防止膜としての効果を考慮した場合、光吸収部位が骨格に取りこまれているため、加熱乾燥時にフォトレジスト中への拡散物がなく、また、光吸収部位は十分に大きな吸光性能を有しているため反射光防止効果が高い。
【0081】
本発明のリソグラフィー用レジスト下層膜形成組成物は、熱安定性が高く、焼成時の分解物による上層膜への汚染が防げ、また、焼成工程の温度マージンに余裕を持たせることができるものである。
【0082】
さらに、本発明のリソグラフィー用レジスト下層膜形成組成物は、プロセス条件によっては、光の反射を防止する機能と、更には基板とフォトレジストとの相互作用の防止或いはフォトレジストに用いられる材料又はフォトレジストへの露光時に生成する物質の基板への悪作用を防ぐ機能とを有する膜としての使用が可能である。
【実施例】
【0083】
(合成例1)
二口フラスコにジフェニルアミン(関東化学株式会社製)6.84g、3-ヒドロキシ
ジフェニルアミン(東京化成工業株式会社製)7.49g、エチルヘキシルアルデヒド(東京化成工業株式会社製)10.36g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート25.0g、メタンスルホン酸(東京化成工業株式会社製)0.31gを入れた。その後120℃まで加熱し、約5時間還流撹拌した。反応終了後、テトラヒドロフラン(関東化学株式会社製)20gで希釈し、メタノール(関東化学株式会社製)、超純水、30%アンモニア水(関東化学株式会社製)の混合溶媒に対してポリマー溶液を滴下することで、再沈殿させた。得られた沈殿物を吸引ろ過後、ろ物を60℃で一晩減圧乾燥した。そして、化合物13樹脂を23.8g得た。得られたポリマーは式(C-1)に相当した。GPCによりポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは10,200であった。
【0084】
【0085】
(合成例2)
エポキシ基含有ベンゼン縮合環式化合物(製品名:EPICLON HP-4700、エポキシ価:165g/eq.、DIC(株)製、式(aa-1))10.00g、アクリル酸4.37g、エチルトリフェニルホスホニウムブロマイド0.56g、ヒドロキノン0.03gにプロピレングリコールモノメチルエーテル34.91gを加え、窒素雰囲気下、100℃で21時間加熱撹拌した。得られた溶液に陽イオン交換樹脂(製品名:ダウエックス〔登録商標〕550A、ムロマチテクノス(株))15g、陰イオン交換樹脂(製品名:アンバーライト〔登録商標〕15JWET、オルガノ(株))15gを加えて、室温で4時間イオン交換処理した。イオン交換樹脂を分離後、化合物(E)溶液が得られた。得られた化合物(B)は式(b-1)に相当し、GPCによりポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは1400であった。
【0086】
(合成例3)
エポキシ基含有ベンゼン縮合環式化合物(製品名:EPICLON HP-6000、エポキシ価:239g/eq.、DIC(株)製)14.00g、アクリル酸4.24g、エチルトリフェニルホスホニウムブロマイド0.54g、ヒドロキノン0.03gにプロピレングリコールモノメチルエーテル43.89gを加え、窒素雰囲気下、100℃で22時間加熱撹拌した。得られた溶液に陽イオン交換樹脂(製品名:ダウエックス〔登録商標〕550A、ムロマチテクノス(株))19g、陰イオン交換樹脂(製品名:アンバーライト〔登録商標〕15JWET、オルガノ(株))19gを加えて、室温で4時間イオン交換処理した。イオン交換樹脂を分離後、化合物(B)に相当する溶液が得られた。得られた化合物は、GPCによりポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは800であった。
【0087】
(合成例4)
エポキシ基含有ベンゼン縮合環式化合物(製品名:EPICLON HP-4700、エポキシ価:162g/eq.、DIC(株)製、式(aa-1)9.00g、N-(4
-ヒドロキシフェニル)メタクリルアミド9.84g、エチルトリフェニルホスホニウムブロマイド1.04g、ヒドロキノン0.02gにプロピレングリコールモノメチルエーテル45.22gを加え、窒素雰囲気下、100℃で25時間加熱撹拌した。得られた溶液に陽イオン交換樹脂(製品名:ダウエックス〔登録商標〕550A、ムロマチテクノ(株))20g、陰イオン交換樹脂(製品名:アンバーライト〔登録商標〕15JWET、オルガノ(株))20gを加えて、室温で4時間イオン交換処理した。イオン交換樹脂を分離後、化合物(A)溶液が得られた。得られた化合物(B)は式(b-11)に相当し、GPCによりポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは1900であった。残留エポキシ基は存在しなかった。
【0088】
(合成例5)
エポキシ基含有ベンゼン縮合環式化合物(製品名:RE-810NM、エポキシ価:221g/eq.、日本化薬(株)製、式(aa―5)14.00g、アクリル酸4.56g、エチルトリフェニルホスホニウムブロマイド0.59g、ヒドロキノン0.03gにプロピレングリコールモノメチルエーテル44.77gを加え、窒素雰囲気下、100℃で22時間加熱撹拌した。得られた溶液に陽イオン交換樹脂(製品名:ダウエックス〔登録商標〕550A、ムロマチテクノス(株))19g、陰イオン交換樹脂(製品名:アンバーライト〔登録商標〕15JWET、オルガノ(株))19gを加えて、室温で4時間イオン交換処理した。イオン交換樹脂を分離後、化合物(B)溶液が得られた。得られた化合物(B)は式(b-17)に相当し、GPCによりポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは900であった。残留エポキシ基は存在しなかった。
【0089】
(実施例1)
商品名EPPN-201(日本化薬株式会社製、式(a-6))2gをシクロキサノン18gに溶解させた。その後、口径0.1μmのポリテトラフルオロエチレン製マイクロフィルターにて濾過し、レジスト下層膜形成組成物の溶液を調製した。
【0090】
(実施例2)
商品名EPPN-501H(日本化薬株式会社製、式(a-9))2gをプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート18gに溶解させた。その後、口径0.1μmのポリテトラフルオロエチレン製マイクロフィルターにて濾過し、レジスト下層膜形成組成物の溶液を調製した。
【0091】
(実施例3)
商品名1032H60(三菱化学株式会社製、式(a-12))2gをプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート18gに溶解させた。その後、口径0.1μmのポリテトラフルオロエチレン製マイクロフィルターにて濾過し、レジスト下層膜形成組成物の溶液を調製した。
【0092】
(実施例4)
商品名157S70(三菱化学株式会社製、式(a-11))2gをプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート18gに溶解させた。その後、口径0.1μmのポリテトラフルオロエチレン製マイクロフィルターにて濾過し、レジスト下層膜形成組成物の溶液を調製した。
【0093】
(実施例5)
商品名HP-4700(DIC株式会社、式(aa-1))2gをプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート18gに溶解させた。その後、口径0.1μmのポリテトラフルオロエチレン製マイクロフィルターにて濾過し、レジスト下層膜形成組成物の溶液を調製した。
【0094】
(実施例6)
商品名HP-7200HHH(DIC株式会社、式(a-2))2gをプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート18gに溶解させた。その後、口径0.1μmのポリテトラフルオロエチレン製マイクロフィルターにて濾過し、レジスト下層膜形成組成物の溶液を調製した。
【0095】
(実施例7)
商品名NC-3000-L(日本化薬株式会社製、式(a-4))2gをプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート18gに溶解させた。その後、口径0.1μmのポリテトラフルオロエチレン製マイクロフィルターにて濾過し、レジスト下層膜形成組成物の溶液を調製した。
【0096】
(実施例8)
商品名NC3500(日本化薬株式会社製、式(a-8))2gをプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート18gに溶解させた。その後、口径0.1μmのポリテトラフルオロエチレン製マイクロフィルターにて濾過し、レジスト下層膜形成組成物の溶液を調製した。
【0097】
(実施例9)
商品名NC-6000(日本化薬株式会社製、式(aa-4))2gをプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート18gに溶解させた。その後、口径0.1μmのポリテトラフルオロエチレン製マイクロフィルターにて濾過し、レジスト下層膜形成組成物の溶液を調製した。
【0098】
(実施例10)
商品名NC-7300L(日本化薬株式会社製、式(a-7))2gをプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート18gに溶解させた。その後、口径0.1μmのポリテトラフルオロエチレン製マイクロフィルターにて濾過し、レジスト下層膜形成組成物の溶液を調製した。
【0099】
(実施例11)
商品名1031S(三菱化学株式会社製、式(aa-8))2gをプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート18gに溶解させた。その後、口径0.1μmのポリテトラフルオロエチレン製マイクロフィルターにて濾過し、レジスト下層膜形成組成物の溶液を調製した。
【0100】
(実施例12)
商品名NC-7000L(日本化薬株式会社製、式(a-5))2gをプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート18gに溶解させた。その後、口径0.1μmのポリテトラフルオロエチレン製マイクロフィルターにて濾過し、レジスト下層膜形成組成物の溶液を調製した。
【0101】
(実施例13)
22.82質量%の商品名HP-4700(DIC株式会社製、式(aa-1))を含むプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート3.72g、2質量%のTPS-TF(東洋合成株式会社製、光酸発生剤)を含むプロピレングリコールモノメチルエーテル2.14g、1重量%の界面活性剤(DIC(株)製、品名:メガファック〔商品名〕R-40、フッ素系界面活性剤)を含むプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液0.08g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート3.38g、
プロピレングリコールモノメチルエーテル0.63gを混合した。その後、口径0.1μmのポリテトラフルオロエチレン製マイクロフィルターにて濾過し、レジスト下層膜形成組成物の溶液を調製した。
【0102】
(実施例14)
22.45質量%の商品名NC-7300-L(日本化薬株式会社製、式(a-7))を含むプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート3.81g、2質量%のTPS-TF(東洋合成株式会社製、光酸発生剤)を含むプロピレングリコールモノメチルエーテル2.14g、1重量%の界面活性剤(DIC(株)製、品名:メガファック〔商品名〕R-40、フッ素系界面活性剤)を含むプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液0.08g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート3.33g、プロピレングリコールモノメチルエーテル0.63gを混合した。その後、口径0.1μmのポリテトラフルオロエチレン製マイクロフィルターにて濾過し、レジスト下層膜形成組成物の溶液を調製した。
【0103】
(実施例15)
29.78質量%の商品名1031S(三菱化学株式会社製、式(aa-8))を含むプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート0.59g、合成例2で得た樹脂溶液(固形分は25.02質量%)2.10g、1重量%の界面活性剤(DIC(株)製、品名:メガファック〔商品名〕R-40、フッ素系界面活性剤)を含むプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液0.03g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート3.96g、プロピレングリコールモノメチルエーテル0.32gを混合した。その後、口径0.1μmのポリテトラフルオロエチレン製マイクロフィルターにて濾過し、レジスト下層膜形成組成物の溶液を調製した。
【0104】
(実施例16)
29.78質量%の商品名1031S(三菱化学株式会社製、式(aa-8))を含むプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート1.17g、合成例2で得た樹脂溶液(固形分は25.02質量%)1.40g、1重量%の界面活性剤(DIC(株)製、品名:メガファック〔商品名〕R-40、フッ素系界面活性剤)を含むプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液0.07g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート3.52g、プロピレングリコールモノメチルエーテル0.84gを混合した。その後、口径0.1μmのポリテトラフルオロエチレン製マイクロフィルターにて濾過し、レジスト下層膜形成組成物の溶液を調製した。
【0105】
(実施例17)
29.83質量%の商品名157S70(三菱化学株式会社製、式(a-11))を含むプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート2.34g、合成例2で得た樹脂溶液(固形分は25.02質量%)0.93g、1重量%の界面活性剤(DIC(株)製、品名:メガファック〔商品名〕R-40、フッ素系界面活性剤)を含むプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液0.14g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート2.63g、プロピレングリコールモノメチルエーテル1.19gを混合した。その後、口径0.1μmのポリテトラフルオロエチレン製マイクロフィルターにて濾過し、レジスト下層膜形成組成物の溶液を調製した。
【0106】
(実施例18)
29.78質量%の商品名1031S(三菱化学株式会社製、式(aa-8))を含むプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート2.35g、合成例2で得た樹脂溶液(固形分は25.02質量%)0.93g、1重量%の界面活性剤(DIC(株)製、品名:メガファック〔商品名〕R-40、フッ素系界面活性剤)を含むプロピレングリコ
ールモノメチルエーテルアセテート溶液0.14g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート2.62g、プロピレングリコールモノメチルエーテル1.20gを混合した。その後、口径0.1μmのポリテトラフルオロエチレン製マイクロフィルターにて濾過し、レジスト下層膜形成組成物の溶液を調製した。
【0107】
(実施例19)
合成例4で得た樹脂溶液(式b-11)、固形分は23.75質量%)2.94g、及び合成例5で得た樹脂溶液(式b-17)、固形分は22.81質量%)3.07gに界面活性剤(DIC(株)製、品名:メガファック〔商品名〕R-40、フッ素系界面活性剤)0.001g、プロピレングリコールモノメチルエーテル8.41g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート5.58gを加え段差基板被覆のための有機下層膜形成組成物の溶液を調製した。
【0108】
(比較例1)
合成例1で得た樹脂をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに溶解後、イオン交換を経て樹脂溶液(固形分は30.1質量%)を得た。この樹脂溶液1.41gに1質量%界面活性剤(DIC(株)製、メガファックR-40)含有プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート0.04g、PL-LI(みどり化学(株)製)0.13g、2質量%ピリジニウムp-ヒドロキシベンゼンスルホナート含有プロピレングリコールモノメチルエーテル0.32g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート3.48g、プロピレングリコールモノメチルエーテル1.62gを加え、口径0.1μmのポリテトラフルオロエチレン製マイクロフィルターにて濾過して、レジスト下層膜形成組成物の溶液を調製した。
【0109】
(比較例2)
合成例2で得た樹脂溶液(固形分は25.02質量%)4.19gに界面活性剤(DIC(株)製、品名:メガファック〔商品名〕R-40、フッ素系界面活性剤)0.001g、プロピレングリコールモノメチルエーテル6.62g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート4.19gを加え、口径0.1μmのポリテトラフルオロエチレン製マイクロフィルターにて濾過し、レジスト下層膜形成組成物の溶液を調製した。
【0110】
(比較例3)
合成例3で得た樹脂溶液(固形分は25.80質量%)8.13gに界面活性剤(DIC(株)製、品名:メガファック〔商品名〕R-40、フッ素系界面活性剤)0.002g、プロピレングリコールモノメチルエーテル13.50g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート8.37gを加え、口径0.1μmのポリテトラフルオロエチレン製マイクロフィルターにて濾過し、レジスト下層膜形成組成物の溶液を調製した。
【0111】
(溶剤耐性試験)
比較例2~比較例3及び実施例1~実施例19で調製されたレジスト下層膜形成組成物を、それぞれスピンコーターを用いてシリコンウェハー上に塗布した。ホットプレート上で100℃乃至240℃、60秒間または90秒間加熱し、膜厚150nmのレジスト下層膜を形成した。溶剤耐性は焼成後の塗布膜をプロピレングリコールモノメチルエーテルとプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートの7対3の混合溶剤に1分間浸漬し、スピンドライ後に100℃で60秒間焼成し、膜厚を測定することで残膜率を算出した(表1)。
【0112】
【0113】
上記の結果から熱を加えたのみの場合、溶剤耐性を得られないことを確認した。従って、パターン塗布後に熱を加えた際に十分な流動性を確保でき、平坦化性を確保できる。
【0114】
(光硬化試験)
比較例2~比較例3及び実施例1~実施例19で調製されたレジスト下層膜形成組成物を、それぞれスピンコーターを用いてシリコンウェハー上に塗布した。ホットプレート上で100℃乃至240℃、60秒間または90秒間加熱し、膜厚150nmのレジスト下層膜を形成した。このレジスト下層膜をウシオ電機(株)製、UV照射ユニット(波長172nm)を用いた紫外線照射装置により、500mJ/cm2の紫外線照射を行い、光照射(紫外線照射)での溶剤耐性を確認した。溶剤耐性は紫外線照射後の塗布膜をプロピレングリコールモノメチルエーテルとプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートの7対3の混合溶剤に1分間浸漬し、スピンドライ後に100℃で1分間ベークし、膜厚を測定した。また、同時に光照照射前後の膜収縮率も算出した(表2)。なお、NGは光照射後に膜荒れが生じ、正確な膜厚を測定できなかったサンプルである。
【0115】
【0116】
上記の結果から熱のみでは硬化性を得られなかった材料が光を照射することで、硬化性を発現することを確認した。また、実施例13と実施例14は焼成のみまたは光照射のみで硬化性を得られないことを確認した。
【0117】
上記の手法で十分な光硬化性を確認できなかった実施例5、実施例7、実施例10、実施例12の光硬化性を向上させるため、同様の実験手法を用いて光照射時の光照射量を増加させる方法と光照射時に熱を加える方法にて、光硬化性を確認した(表3)。実施例5、実施例7、実施例10、実施例12では、それら組成物の光照射量や光照射時温度を変化させたものである。
【0118】
【0119】
上記の結果から光に対して感度の低い材料は、光照射時の光照射量を増加させる方法及び光照射時に熱を加える方法にて感度を高めることが可能であり、光硬化性を発現させることができる。
【0120】
実施例13及び実施例14に172nmの光を照射後、120℃90秒間焼成し硬化性を確認した。
【0121】
【0122】
上記の結果から光に対して感度の低い材料は光酸発生剤を使用して酸を発生させた後、低温焼成することにより光硬化性で十分な硬化性の得られない材料の硬化性を補うことができる。
【0123】
(段差基板への平坦化性及び埋め込み性評価-1)
段差基板への平坦化性評価として、200nm膜厚のSiO2基板で、トレンチ幅50nm、ピッチ100nmのデンスパターンエリア(DENSE)とパターンが形成されていないオープンエリア(OPEN)の被覆膜厚の比較を行った。また、DENSEエリアを観察することで埋め込み性を評価した。比較例1~比較例3及び実施例2~実施例18で調製されたレジスト下層膜形成組成物を上記基板上に塗布後、100℃で60秒間また
は240℃で90秒間焼成して約150nmのレジスト下層膜を形成した。このレジスト下層膜をウシオ電機(株)製、UV照射ユニット(波長172nm)を用いた紫外線照射装置により、500mJ/cm2または1000mJ/cm2の紫外線照射を行い、必要に応じて光照射時または光照射後に熱を加えた。この基板の平坦化性を日立ハイテクノロジーズ(株)製走査型電子顕微鏡(S-4800)を用いて観察し、段差基板のデンスエリア(パターン部)とオープンエリア(パターンなし部)との膜厚差(デンスエリアとオープンエリアとの塗布段差でありバイアスと呼ぶ)を測定することで平坦化性を評価した。ここで、平坦化性とは、パターンが存在する部分(デンスエリア(パターン部))と、パターンが存在しない部分(オープンエリア(パターンなし部))とで、その上部に存在する塗布された被覆物の膜厚差(Iso-denseバイアス)が小さいことを意味する(表5)。
【0124】
【0125】
(段差基板への平坦化性及び埋め込み性評価-2)
段差基板への平坦化性評価として、200nm膜厚のSiO2基板で、トレンチ幅50nm、ピッチ100nmのデンスパターンエリア(DENSE)とパターンが形成されていないオープンエリア(OPEN)の被覆膜厚の比較を行った。また、DENSEエリアを観察することで埋め込み性を評価した。実施例19で調製されたレジスト下層膜形成組成物を上記基板上に塗布後、170℃で60秒間または240℃で90秒間焼成して約150nmのレジスト下層膜を形成した。このレジスト下層膜をウシオ電機(株)製、UV照射ユニット(波長172nm)を用いた紫外線照射装置により、500mJ/cm2または1000mJ/cm2の紫外線照射を行った。この基板の平坦化性を日立ハイテクノロジーズ(株)製走査型電子顕微鏡(S-4800)を用いて観察し、段差基板のデンスエリア(パターン部)とオープンエリア(パターンなし部)との膜厚差(デンスエリアとオープンエリアとの塗布段差でありバイアスと呼ぶ)を測定することで平坦化性を評価し
た。ここで、平坦化性とは、パターンが存在する部分(デンスエリア(パターン部))と、パターンが存在しない部分(オープンエリア(パターンなし部))とで、その上部に存在する塗布された被覆物の膜厚差(Iso-denseバイアス)が小さいことを意味する(表5-1)。
【0126】
【0127】
(上層膜塗布時の平坦化性及び埋め込み性評価-1)
上層膜塗布時の平坦化性評価として、200nm膜厚のSiO2基板で、800nmトレンチエリア(TRENCH)とパターンが形成されていないオープンエリア(OPEN)の被覆膜厚の比較を行った。また、トレンチ幅50nm、ピッチ100nmのデンスパターンエリア(DENSE)にて埋め込み性を確認した。比較例2~3及び実施例2、実施例3、実施例4、実施例8、実施例11、実施例13~18で調製されたレジスト下層膜形成組成物を上記基板上に塗布後、240℃で90秒間焼成して約150nmのレジスト下層膜を形成した。このレジスト下層膜をウシオ電機(株)製、UV照射ユニット(波長172nm)を用いた紫外線照射装置により、500mJ/cm2の紫外線照射を行った。更に上層に塗布型シリコン材料をスピンコートし215℃60秒間焼成し、約30nmの無機膜を形成した。この基板の平坦化性を日立ハイテクノロジーズ(株)製走査型電子顕微鏡(S-4800)を用いて観察し、段差基板のトレンチエリア(パターン部)とオープンエリア(パターンなし部)との膜厚差(トレンチエリアとオープンエリアとの塗布段差でありバイアスと呼ぶ)を測定することで平坦化性を評価した。ここで、平坦化性とは、パターンが存在する部分(トレンチエリア(パターン部))と、パターンが存在しない部分(オープンエリア(パターンなし部))とで、その上部に存在する塗布された被覆物の膜厚差(Iso-denseバイアス:塗布段差nm)が小さいことを意味する(表6)。
埋め込み性はボイドがなく埋め込めた場合を(〇)、ボイドが発生した場合を(×)とした。
【0128】
【0129】
(上層膜塗布時の平坦化性及び埋め込み性評価-2)
上層膜塗布時の平坦化性評価として、200nm膜厚のSiO2基板で、800nmトレンチエリア(TRENCH)とパターンが形成されていないオープンエリア(OPEN)の被覆膜厚の比較を行った。また、トレンチ幅50nm、ピッチ100nmのデンスパターンエリア(DENSE)にて埋め込み性を確認した。比較例4及び実施例19で調製されたレジスト下層膜形成組成物を上記基板上に塗布後、240℃で90秒間焼成して約150nmのレジスト下層膜を形成した。このレジスト下層膜を下記光照射時の温度で加熱しながらウシオ電機(株)製、UV照射ユニット(波長172nm)を用いた紫外線照射装置により、500mJ/cm2の紫外線照射を行った。更に上層に塗布型シリコン材料をスピンコートし215℃ 60秒間焼成し、約30nmの無機膜を形成した。この基板の平坦化性を日立ハイテクノロジーズ(株)製走査型電子顕微鏡(S-4800)を用いて観察し、段差基板のトレンチエリア(パターン部)とオープンエリア(パターンなし部)との膜厚差(トレンチエリアとオープンエリアとの塗布段差でありバイアスと呼ぶ)を測定することで平坦化性を評価した。ここで、平坦化性とは、パターンが存在する部分(トレンチエリア(パターン部))と、パターンが存在しない部分(オープンエリア(パターンなし部))とで、その上部に存在する塗布された被覆物の膜厚差(Iso-denseバイアス:塗布段差nm)が小さいことを意味する(表6-1)。
埋め込み性はボイドがなく埋め込めた場合を(〇)、ボイドが発生した場合を(×)とした。
比較例4、比較例5、及び実施例19-1は、実施例19で用いた組成物を光照射時の温度を変更したものである。
【0130】
【0131】
トレンチエリアとオープンアリアの塗布段差(nm)、及びデンスエリアとオープンエリアの塗布段差(nm)は、50nm未満が好ましく、又は40nm以下、又は30nm以下にする事が好ましい。
【0132】
光照射中乃至光照射後に加熱を行う場合、光照射中の加熱と、光照射後の加熱(例えばレジスト下層膜上にシリコン系無機膜を上塗りする場合。)が該当するが、光照射中乃至光照射後の工程を通じてその加熱範囲内で行われる事が好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0133】
パターンへの充填性が高く、脱ガスや熱収縮が発生しない塗膜形成が可能な平坦化性を有する被膜を基板上に形成するための段差基板被覆組成物として利用することができる。