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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-28
(45)【発行日】2025-02-05
(54)【発明の名称】癌細胞捕集用多孔質体
(51)【国際特許分類】
   A61L 31/02 20060101AFI20250129BHJP
   A61L 31/14 20060101ALI20250129BHJP
   A61P 35/04 20060101ALI20250129BHJP
【FI】
A61L31/02
A61L31/14 400
A61P35/04
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020198470
(22)【出願日】2020-11-30
(65)【公開番号】P2022086456
(43)【公開日】2022-06-09
【審査請求日】2023-08-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000230962
【氏名又は名称】日本光電工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】504139662
【氏名又は名称】国立大学法人東海国立大学機構
(73)【特許権者】
【識別番号】519135633
【氏名又は名称】公立大学法人大阪
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】永田 鎮也
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 あかね
(72)【発明者】
【氏名】塩山 高広
(72)【発明者】
【氏名】杉本 忠則
(72)【発明者】
【氏名】篠▲崎▼ 由妃乃
(72)【発明者】
【氏名】佐津 暢一
(72)【発明者】
【氏名】大槻 主税
(72)【発明者】
【氏名】中村 仁
(72)【発明者】
【氏名】秋吉 秀保
(72)【発明者】
【氏名】西田 英高
(72)【発明者】
【氏名】三重 慧一郎
【審査官】鈴木 理文
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/002565(WO,A1)
【文献】特表2015-534847(JP,A)
【文献】日本ゴム協会誌,2015年,88(8),pp.297-302
【文献】Biomed. Mater.,2015年,10,025012,doi:10.1088/1748-6041/10/2/025012
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 31/02
A61L 31/14
A61P 35/04
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
イットリア安定化ジルコニアである生体適合性無機材料を含む、癌細胞捕集用多孔質体。
【請求項2】
連通気孔を有する、請求項1に記載の癌細胞捕集用多孔質体。
【請求項3】
気孔率が40~95%である、請求項1または2に記載の癌細胞捕集用多孔質体。
【請求項4】
平均気孔径が20~1000μmである、請求項1~のいずれか1項に記載の癌細胞捕集用多孔質体。
【請求項5】
開孔率が20~90%である、請求項1~のいずれか1項に記載の癌細胞捕集用多孔質体。
【請求項6】
前記癌細胞が転移性の癌細胞である、請求項1~のいずれか1項に記載の癌細胞捕集用多孔質体。
【請求項7】
請求項1~のいずれか1項に記載の癌細胞捕集用多孔質体を含む、癌細胞捕集用インプラント。
【請求項8】
被験体に移植して、前記被験体内で転移性の癌細胞を捕集するために用いられる、請求項に記載の癌細胞捕集用インプラント。
【請求項9】
請求項またはに記載の癌細胞捕集用インプラントを被験体(ただし、ヒトを除く)の体内に埋め込むことを含む、転移性の癌細胞を捕集する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、癌細胞捕集用多孔質体に関する。
【背景技術】
【0002】
日本人の死亡原因の第1位は、1981年以降、悪性腫瘍、いわゆる「癌」であり、現在、年間30万人以上のヒトが癌でなくなっており、年間60万人以上のヒトが新たに癌になっている。今後、日本は高齢化が進むにつれ、癌患者の人数はますます増えていくことが予測されている。
【0003】
癌細胞の早期発見は、最適な治療および診断のための目標の一つである。しかし、転移や拡散が生じる前に癌細胞を検出することは、困難な場合もあり、また、転移や拡散が生じた後でさえ、癌細胞が検出されないこともある。よって、癌細胞の発見および診断が遅れ、癌細胞が全身に転移していて、手術ができない、また手術しても治せない場合は、抗がん剤による化学療法や特殊な放射線療法などの治療となる。
【0004】
癌の転移のメカニズムとしては、原発巣から癌細胞の遊離、血流、リンパの流れ、また組織内の遊走に乗り標的臓器に漂着、組織への侵入、癌組織の増殖のプロセスを踏むことが知られている。癌の治療において、これらのプロセスのいずれかを阻害することが試みられている。例えば、特許文献1には、ポリカプロラクトンを含む多孔質体を用いて、循環腫瘍細胞(CTC)を捕集することで、癌の標的臓器への転移を抑制する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】米国特許出願公開第2019/0008971号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の多孔質体は、生分解性の材料であるポリカプロラクトンで作製されている。そのため、長期にわたり埋植すると、転移性の癌細胞を捕集した多孔質体が生分解され、生体内に捕集した癌細胞を放出してしまうおそれがある。
【0007】
本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、生体適合性を有し、かつ生体内での安定性を有する癌細胞捕集用多孔質体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記の課題に鑑み鋭意検討を行った。その結果、生体適合性無機材料を含む、癌細胞捕集用多孔質体によって、上記課題が解決されることを見出し、本発明の完成に至った。
【発明の効果】
【0009】
本発明では、生体適合性を有し、かつ生体内での安定性を有する癌細胞捕集用多孔質体が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施例の試験例1において、細胞接着試験の結果を示す光学顕微鏡写真である。
図2図2は、実施例の試験例1において、細胞接着試験の結果を示す走査型電子顕微鏡写真である。
図3図3は、実施例の試験例2において、細胞接着試験の結果を示す光学顕微鏡写真である(左側:癌細胞捕集用多孔質体、右側:平滑・緻密質スキャフォールド)。
図4図4は、実施例の試験例2において、細胞接着試験の結果を示す走査型電子顕微鏡写真である(左側:癌細胞捕集用多孔質体、右側:平滑・緻密質スキャフォールド)。
図5図5は、癌細胞捕集用多孔質体(上部左側)および平滑・緻密質スキャフォールド(上部右側)の光学顕微鏡写真、ならびに癌細胞捕集用多孔質体(下部左側)および平滑・緻密質スキャフォールド(下部右側)の表面粗さの測定結果を示す。
図6図6は、実施例の試験例3における手順の概略図(上側)および癌細胞捕集用多孔質体を埋設したマウスの写真(下側)である。
図7図7は、実施例の試験例4における癌細胞捕集用多孔質体を埋植した担癌マウスでの延命効果の評価結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一形態に係る実施の形態を説明する。本発明は、以下の実施の形態のみには限定されない。
【0012】
本明細書において、範囲を示す「X~Y」は「X以上Y以下」を意味する。また、特記しない限り、操作および物性等の測定は室温(20~25℃)/相対湿度40~50%RHの条件で測定する。
【0013】
<癌細胞捕集用多孔質体>
本発明の一形態は、生体適合性無機材料を含む、癌細胞捕集用多孔質体に関する。本明細書中、「癌細胞捕集用多孔質体」を単に「本形態の多孔質体」とも称する。
【0014】
本明細書において、「癌細胞捕集」とは、癌細胞が多孔質体の側面または気孔内部に癌細胞が接着することを意味する。
【0015】
本明細書において、「多孔質体」とは、多数の気孔を含む固体物質または構造体を意味する。
【0016】
本明細書において、「生体適合性」とは、長期間にわたって生体に悪影響も強い刺激も与えず、本来の機能を果たしながら生体と共存できる材料の属性を意味する。
【0017】
本形態に係る生体適合性無機材料としては、上記生体適合性を有する無機材料であれば、特に制限されない。また、結晶性、非晶質であってもよく、無機ガラスであってもよい。生体適合性無機材料を用いることにより、有害事象を抑制でき、かつ生体内での分解を抑制し、安定性を確保することができる。
【0018】
生体適合性無機材料としては、例えば、イットリア安定化ジルコニア、チタン、チタン合金、Ni-Ti等の形状記憶合金、シリカ、ケイ酸塩化合物、リン酸塩化合物(例えば、リン酸カルシウム化合物)、アルミナ、アルミニウム合金、コバルトクロム合金、ステンレス、ムライトなどが挙げられる。
【0019】
一実施形態において、生体適合性無機材料は、好ましくはイットリア安定化ジルコニアである。イットリア安定化ジルコニアは、イットリアおよびジルコニアの合計に対して、好ましくは1~20mol%のイットリアを含み、より好ましくは3~10mol%のイットリアを含む。
【0020】
一実施形態において、生体適合性無機材料は、好ましくはチタン、シリカ、アルミナ、コバルトクロム合金、ステンレスおよびムライトからなる群から選択される。当該コバルトクロム合金は、コバルトを主成分とし、クロム25%以上、モリブデン4%以上、並びにコバルト、ニッケル及びクロムの合計が85%以上その他添加物を主体とした金属である。
【0021】
一実施形態において、癌細胞捕集用多孔質体は、癌細胞捕集用多孔質体表面に連通気孔を有する。連通気孔は、隣接する気孔同士がお互いに連結している気孔である。そのため、癌細胞が多孔質体の気孔内部へ入り込むことにより、より多くの癌細胞が接着することができる。すなわち、より多くの癌細胞を捕集することができる。
【0022】
本形態の多孔質体の気孔内壁の表面性状は、特に制限されないが、凹凸を持ち、多孔質体の表面積を大きくする形態を有しているものが望ましい。
【0023】
本形態の多孔質体の気孔率は、特に制限されないが、例えば40~95%であり、好ましくは60~95%であり、より好ましくは80~95%である。多孔質体の気孔率は、実施例に記載の方法によって測定した値を採用する。
【0024】
本形態の多孔質体の平均気孔径は、転移性の癌細胞が入り込むことができれば、特に制限されない。多孔質体の平均気孔径は、例えば20~1000μmであり、好ましくは100~800μmであり、より好ましくは300~500μmである。多孔質体の平均気孔径は、実施例に記載の方法によって測定した値を採用する。
【0025】
本形態の多孔質体の開孔率は、特に制限されないが、例えば20~90%であり、好ましくは30~80%であり、より好ましくは35~50%である。多孔質体の開孔率は、実施例に記載の方法によって算出した値を採用する。
【0026】
本形態の多孔質体において、捕集の対象となる癌の種類は、特に制限されない。例えば、神経系の癌(例えば、脳腫瘍、頚癌);消化器系の癌(例えば、口腔癌、咽頭癌、食道癌、胃癌、肝癌、胆嚢癌、胆道癌、脾臓癌、大腸癌、小腸癌、十二指腸癌、結腸癌、結腸腺癌、直腸癌、膵臓癌、肝臓癌);筋骨格系の癌(例えば、肉腫、骨肉種、骨髄腫);泌尿器系の癌(例えば、膀胱癌、腎癌);生殖器系の癌(例えば、乳癌、子宮癌、卵巣癌、精巣癌、前立腺癌);呼吸器系の癌(例えば、肺癌);造血器系の癌(例えば、急性または慢性骨髄性白血病、急性前骨髄性白血病、急性または慢性リンパ性白血病等の白血病、悪性リンパ腫(リンパ肉腫)、血管肉腫、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、原発性骨髄線維症、血管外膜細胞腫);甲状腺癌、副甲状腺癌、舌癌、悪性黒色腫(メラノーマ)、肥満細胞腫、皮膚組織球腫、脂肪腫、毛包腫瘍、皮膚乳頭腫、皮脂腺腫、基底細胞癌などが挙げられる。
【0027】
一実施形態において、癌細胞は、転移性の癌細胞である。転移性の癌細胞は、特に限定されず、例えば上記癌由来の転移性の癌細胞であり、好ましくは乳癌、膵臓癌、肺癌、肝臓癌および脳腫瘍由来の転移性の癌細胞である。
【0028】
本形態の多孔質体の形状および大きさは、特に制限されず、使用用途、使用目的、使用部位などに応じて適宜選択することができる。多孔質体の形状としては、例えば球状、円柱状、板状、棒状、筒状、格子状(例えば、ラティス構造)などが挙げられる。
【0029】
[製造方法]
本形態の癌細胞捕集用多孔質体の製造方法は、特に制限されず、公知の多孔質セラミックスの製造方法を適宜参照することができる。
【0030】
一実施形態において、本形態の癌細胞捕集用多孔質体の製造方法は、以下の工程を含む:
(1)生体適合性無機材料、分散剤、造孔剤および分散媒を混合して、分散体を調製する工程;
(2)前記分散体を型に充填し、凍結して、凍結体を得る工程;
(3)前記凍結体を乾燥して、乾燥体を得る工程;
(4)前記乾燥体を脱脂する工程;および
(5)脱脂した乾燥体を焼結する工程。
【0031】
工程(1)では、生体適合性無機材料、分散剤、造孔剤および分散媒を混合して、分散体を調製する。
【0032】
生体適合性無機材料としては、上記生体適合性無機材料の粉末を使用することができる。生体適合性無機材料の含有量は、分散体の全質量に対して、例えば20~50質量%であり、好ましくは30~40質量%である。
【0033】
生体適合性無機材料の粉末の平均粒径は、例えば0.01~5μmであり、好ましくは0.01~0.1μmである。平均粒径は、レーザー回折式粒子径分布測定装置を用いて測定することができる。
【0034】
分散剤は、生体適合性無機材料の分散に寄与するだけではなく、連通気孔を形成するためにも用いられる。分散剤としては、水溶性高分子を使用することができる。このような水溶性高分子としては、例えば多糖類およびその誘導体、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸またはポリメタクリル酸のナトリウム塩、ポリエチレングリコールなどが挙げられる。水溶性ポリマーは、本発明の効果をより発揮するとの観点から、多糖類であることが好ましい。
【0035】
多糖類の例としては、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アガロース、メチルセルロース、セルロースエーテル、ヒドロキシエチルセルロース、変性デンプン、デキストラン、アルギン酸、アルギン酸ナトリウムなどが挙げられる。多糖類は、より好ましくはヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アガロース、メチルセルロース、セルロースエーテルおよびヒドロキシエチルセルロースから選択され、特に好ましくはヒドロキシプロピルセルロースである。
【0036】
分散剤の含有量は、分散体の全質量に対して、例えば0.5~5質量%であり、より好ましく1~3質量%である。
【0037】
造孔剤は、気孔を生成させる機能を有する。造孔剤としては、例えば樹脂ビーズを使用することができる。樹脂ビーズとしては、アクリル製、ウレタン製などの樹脂ビーズが挙げられる。
【0038】
造孔剤の形状は、特に制限されないが、好ましくは球状である。
【0039】
造孔剤の大きさは、特に制限されず、所望の気孔が得られるように、適宜選択することができる。
【0040】
造孔剤の含有量は、分散体の全質量に対して、例えば30~60質量%であり、好ましくは35~50質量%である。
【0041】
分散媒は、好ましくは水である。水としては、例えば水道水、蒸留水、イオン交換水、純水、超純水などを使用することができる。なかでも、不純物が少ないとの観点から、分散媒は、好ましくは純水または超純水である。また、分散媒として水に無機塩を含有したものであってもよい。
【0042】
分散媒の含有量は、分散体の全質量に対して、例えば15~40質量%であり、好ましくは20~30質量%である。
【0043】
生体適合性無機材料、分散剤、造孔剤および分散媒を混合する方法は、特に制限されず、分散体中で生体適合性無機材料および造孔剤がよく分散するように、従来公知の知見を適宜参照することができる。例えば、生体適合性無機材料、分散剤および分散媒を撹拌混合して、生体適合性無機材料が均一に分散されたスラリーを調製する。撹拌混合の際、必要に応じて加熱してもよい。その後、調製したスラリーに造孔剤を添加し、混和することにより分散体を調製することができる。
【0044】
生体適合性無機材料、分散剤、造孔剤および分散媒の混合比(質量比)を調整することにより、気孔率、開孔率、平均気孔径などを制御することができる。
【0045】
工程(2)では、工程(1)で調製した分散体を型に充填し、凍結して、凍結体を得る。
【0046】
型の形状、大きさなどは、特に制限されず、多孔質体の用途に応じて、適宜選択することができる。
【0047】
型の材質は、特に制限されず、アルミナ、ステンレス鋼、鉄、銅、アルミニウム、プラスチック、紙などを使用できる。
【0048】
型に充填した分散体を凍結することで、氷の結晶が成長し、氷の結晶による組織構造が形成される。これにより、生体適合性無機材料と分散剤溶液の部分と氷の結晶の部分とからなる凍結体を得ることができる。
【0049】
凍結温度は、使用する分散媒に応じて、適宜選択することができる。凍結温度は、例えば-10℃以下であり、好ましくは-30℃以下である。
【0050】
工程(3)では、工程(2)で得られた凍結体を乾燥して、乾燥体を得る。凍結体を乾燥(例えば、凍結乾燥、真空乾燥)させることにより、氷の結晶が昇華して消失し、代わりに気孔が形成される。
【0051】
工程(4)では、工程(3)で得られた乾燥体を脱脂する。本工程により、乾燥体から分散媒、造孔剤などの有機成分を除去する。具体的には、使用する生体適合性無機材料の種類に応じて、あらかじめ定められた温度条件下で有機成分を分解して除去する。脱脂温度としては、例えば300~900℃である。脱脂時間は、有機成分を分解により除去できるように、適宜調整することができる。
【0052】
工程(5)では、脱脂した乾燥体を焼結する。焼結温度、焼結時間、焼結雰囲気などは、使用する生体適合性無機材料、気孔率などに応じて、適宜調整することができる。焼結温度は、例えば生体適合性無機材料としてイットリア安定化ジルコニアを使用する場合、1000~1700℃であり、生体適合性無機材料としてアルミナを使用する場合、1000~1700℃である。
【0053】
このようにして、本発明に係る多孔質体を製造することができる。
【0054】
[用途]
本形態の癌細胞捕集用多孔質体は、治療、治療補助、検査、診断などの癌に関する用途に使用することができる。特に、本形態の癌細胞捕集用多孔質体は、治療または治療の補助用途に好適である。具体的には、本形態の癌細胞捕集用多孔質体を被験体の体内に埋め込み、転移性の癌細胞を捕集するために使用することができる。
【0055】
本発明者らは、本形態の多孔質体に癌細胞が接着することを見出した(後述の試験例1および2)。そして、本形態の多孔質体をマウスに移植する実験により、多孔質体に起因する有害事象が生じないことを確認した(後述の試験例3)。さらに、本形態の多孔質体を埋植した担癌マウスにおいて、原発巣を摘出した後、延命効果が得られることを確認した(後述の試験例4)。
【0056】
本発明の一実施形態は、生体適合性無機材料を含み、被験体に移植するための癌捕集用多孔質体に関する。
【0057】
また、本発明の一実施形態は、癌細胞を捕集するため、好ましくは被験体に移植して癌細胞を捕集するための多孔質体の使用であって、前記多孔質体は、生体適合性無機材料を含む、使用に関する。
【0058】
本明細書において、「被験体」としては、例えば哺乳類、鳥類などであり、好ましく癌に罹患したまたは癌の罹患が疑われる哺乳類および鳥類である。ここで、哺乳類は、ヒト、サル、ゴリラ、チンパンジー、オランウータン等の霊長類、ならびにマウス、ラット、ハムスター、モルモット、ウサギ、イヌ、ネコ、ブタ、ウシ、ウマ、ヒツジ、ラクダ、ヤギなどの非ヒト哺乳動物双方を包含する。鳥類としては、ニワトリ、ウズラ、ハトなどが挙げられる。これらのうち、好ましくはヒト、ハムスター、モルモット、ウサギ、イヌ、ネコ、ブタであり、より好ましくはヒト、またはイヌ、ネコ、ウサギ等のペット動物である。
【0059】
本形態の癌捕集用多孔質体を移植(埋設)する部位は、特に制限されないが、好ましくは皮下、筋肉内、腹腔内、または腫瘤摘出部位である。また、癌捕集用多孔質体は、被験体の1以上の部位に移植することができる。
【0060】
<癌細胞捕集用インプラント>
上述のとおり、本形態の癌細胞捕集用多孔質体は、被験体に移植して使用することができる。よって、本発明の一実施形態は、上述の癌細胞捕集用多孔質体を含む、癌細胞捕集用インプラントに関する。
【0061】
癌細胞捕集用インプラントは、好ましくは被験体に移植して、前記被験体内で転移性の癌細胞を捕集するために用いられる。
【0062】
本明細書において、「インプラント」とは、外科的方法または低侵襲性の方法によって被験体に移植される器具、より具体的には完全にまたは部分的に被験体の体内に埋め込まれる器具を意味する。
【0063】
一実施形態において、癌細胞捕集用インプラントは上述の癌細胞捕集用多孔質体からなる。
【0064】
本実施形態の癌細胞捕集用インプラントを移植する部位は、特に制限されないが、好ましくは皮下、筋肉内、腹腔内、または腫瘤摘出部位である。また、癌捕集用インプラントは、被験体の1以上の部位に移植することができる。
【0065】
癌細胞捕集用インプラントは、癌細胞捕集用多孔質体に加えて、薬剤をさらに含んでもよい。本明細書において、「薬剤」とは、治療目的で使用可能な任意の化合物を意味する。
【0066】
薬剤としては、例えばタンパク質医薬品、アルキル化剤、抗生物質、代謝拮抗剤、ホルモン剤、プラチナ製剤、トポイソメラーゼ阻害剤、微小管阻害剤、血管新生阻害剤などが挙げられる。
【0067】
タンパク質医薬品としては、例えばペプチド、酵素、構造タンパク質、レセプター、サイトカイン、ケモカイン、造血因子、成長因子などが挙げられる。具体例としては、IL-1、IL-4、IL-8、IL-10、IL-13、IL-17、CCL2、CCL5、CCL9、CCL18、CCL19、CCL20、CCL21、CCL25、CCL27、CCR4、CCR5、CCR7/CCL21、CCR9、CCR10、CCL18、CCL2/MCP-1、MIP-1α/CCL3、CXCL1、CXCL2、CXCL3、CXCL4、CXCL5、CXCL8、CXCL12/SDF-1α、CXCR2、CXCR3、CXCR4、CXCR7、エリスロポエチン(EPO)、CCL5/RANTES、肝細胞増殖因子アクチベーター(HGFA)、インスリン様増殖因子-1(IGF-1)、シクロオキシゲナーゼ-2(COX-2)、CXCL14、プロスタグランジンE2、血小板由来増殖因子、血管内皮増殖因子(VEGF)などが挙げられる。
【0068】
アルキル化剤としては、例えば、マスタード類、ニトロソ尿素類、トリアゼン類、およびエチレンイミンなどが挙げられる。より具体的には、シクロホスファミド、イホスファミド、ブスルファン、メルファラン、ナイトロジェンマスタード、クロラムブシル、グルフォスファミド、マフォスファミド、エストラムスチン、ニムスチン、ラニムスチン、カルムスチン、ロムスチン、セムスチン、ストレプトゾシン、プロカルバジン、ダカルバジン、テモゾロミド、チオテパ、ヘキサメチルメラミン、トラベクテジン、アパジコン、アルトレタミン、ベンダムスチン、ミトラクトールなどが挙げられる。
【0069】
抗生物質としては、例えばアントラサイクリン系抗生物質(例えば、ドキソルビシン(アドリアマイシン)、ダウノルビシン、ピラルビシン、エピルビシン、イダルビシン、アクラルビシン、アムルビシン、ゾルビシン、バルルビシン、リポソーマルドキソルビシン、ピクサントロン、およびミトキサントロンなど)、マイトマイシンC、ブレオマイシン、ペプロマイシン、アクチノマイシンD、ジノスタチンスチマラマーなどが挙げられる。
【0070】
代謝拮抗剤としては、例えば、ピリミジン類似体、プリン類似体、葉酸類似体、リボヌクレオチドリダクターゼ阻害剤、およびDNAポリメラーゼ阻害剤などが挙げられる。より具体的には、フルオロウラシル(5-FU)、テガフール、テガフール・ウラシル配合剤、テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤、ドキシフルリジン、カペシタビン、カルモフール、シタラビン、シタラビンオクホスファート、エノシタビン、ゲムシタビン、アザシチジン、デシタビン、フロクスウリジン、エチニルシチジン、6-メルカプトプリン、フルダラビン、ペントスタチン、ネララビン、6-チオグアニン、クラドリビン、クロファラビン、メトトレキサート、ペメトレキセド、ラルチトレキセド、ノラトレキセド、プララトレキサート、トリメトレキサート、イダトレキサート、ヒドロキシカルバミドなどが挙げられる。
【0071】
ホルモン剤としては、例えば抗エストロゲン薬、アロマターゼ阻害剤、プロゲステロン誘導体、抗アンドロゲン薬、副腎皮質ホルモン剤、LHRH(黄体ホルモン放出ホルモン)アゴニストなどが挙げられる。より具体的には、タモキシフェン、トレミフェン、ラロキシフェン、フルベストラント、アナストロゾール、エキセメスタン、レトロゾール、アミノグルテチミド、ホルメスタン、ボロゾール、メチルテストステロン、メドロキシプロゲステロン、メゲストロール、ゲストノロン、メピチオスタン、フルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、フィナステリド、クロルマジノン、エストラムスチン、ジエチルスチルベストロール、エチニルエストラジオール、ホスフェストロール、リン酸ポリエストラジオール、プレドニゾロン、デキサメタゾン、ミトタン、ゴセレリン、リュープロレリン、ブセレリン、トリプトレリンなどが挙げられる。
【0072】
プラチナ製剤としては、例えばシスプラチン、カルボプラチン、ネダプラチン、オキサリプラチン(Ox)、サトラプラチン、ミリプラチン、ロバプラチン、スピロプラチン、テトラプラチン、オルマプラチン、イプロプラチンなどが挙げられる。
【0073】
トポイソメラーゼ阻害剤としては、トポイソメラーゼI阻害剤、トポイソメラーゼII阻害剤などが挙げられる。より具体的には、トポテカン、イリノテカン、エキサテカン、ノギテカン、上記のアントラサイクリン系抗生物質、エトポシド、テニポシド、ゾブゾキサンなどが挙げられる。
【0074】
微小管阻害剤としては、例えばビンカアルカロイドおよびタキサン化合物などが挙げられる。より具体的には、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビンデシン、ビノレルビン、ビンフルニン、モノメチルアウリスタチンE、エポチロンB、エリブリン、パクリタキセル(タキソール)、ドセタキセル(DTX)、カバジタキセルなどが挙げられる。
【0075】
血管新生阻害剤としては、例えば、抗VEGF抗体などのVEGF(血管内皮増殖因子)阻害剤、チロシンキナーゼ阻害剤等の血管新生シグナル阻害剤、MMP(マトリックスメタロプロテアーゼ)阻害剤などが挙げられる。より具体的には、ベバシズマブ、アフリベルセプト、MV833、セツキシマブ、ペガプタニブ、パゾパニブ、CBO-P11、スニチニブ、ソラフェニブ、ラニビズマブ、バタラニブ、アキシチニブ、ザクティマ、NX1838、アンジオザイム、セマキサニブ、レスタウルチニブ、TSU-68、ZD4190、テムシロリムス、アンジオスタチン、エンドスタチン、TNP-470、CP-547632、CPE-7055、KRN633、AEE788、IMC-1211B、PTC-299、E7820、レンバチニブ、マリマスタット、ネオバスタット、プリノマスタット、メタスタット、BMS-275291、MMI270、S-3304、ビタキシン、オロチン酸カルボキシアミドトリアゾール、サリドマイド、ゲニステイン、インターフェロンα、およびインターロイキン12などが挙げられる。
【0076】
<転移性の癌細胞を捕集する方法>
本発明の一形態は、上述の癌細胞捕集用インプラントを被験体の体内に埋め込むことを含む、転移性の癌細胞を捕集する方法に関する。
【0077】
本形態に関する各要件は、上述の癌細胞捕集用多孔質体および癌細胞捕集用インプラントと同様であるため、説明を省略する。
【実施例
【0078】
以下、実施例を用いて本発明の実施形態をより詳細に説明するが、本発明の技術的範囲が下記の実施例に限定されるわけではない。
【0079】
<癌細胞捕集用多孔質体の作製:実施例>
超純水5gとヒドロキシプロピルセルロース0.5gとの混合液に、イットリア安定化ジルコニア粉末(TZ3Y、東ソー株式会社)12.1gを添加して、ホットプレートスターラーを用いて加熱撹拌した(60~70℃)。撹拌後、樹脂ビーズ(S-40、積水化成品工業株式会社)15gを添加して、混和した。この混和物をアルミナ環(管)(直径9.0mm、厚さ2.7mm)に充填し、-30℃で凍結した後、凍結乾燥装置で24時間乾燥した。大気雰囲気下の電気炉にて800℃で2時間脱脂(1℃/min昇温)した後、電気炉にて1400℃で6時間焼成(5℃/min昇温)して、癌細胞捕集用多孔質体(多孔質スキャフォールド、直径6.7mm、厚さ2.1mm)を作製した。
【0080】
(気孔率の測定)
作製した癌細胞捕集用多孔質体の体積(直径および厚さの実測より計算)と重量とを求め、癌細胞捕集用多孔質体の重量とイットリア安定化ジルコニアの比重から算出される同体積の緻密体の重量との比から気孔率を算出した。
【0081】
作製した癌細胞捕集用多孔質体の気孔率は、85%であった。
【0082】
(平均気孔径の算出)
電子顕微鏡(Scanning Electron Microscopy;SEM)画像から観察される気孔の直径を測定し、これらの測定値から平均気孔径を算出した。
【0083】
作製した癌細胞捕集用多孔質体の平均気孔径は、400μmであった。
【0084】
(開孔率の算出)
電子顕微鏡(Scanning Electron Microscopy;SEM)画像から開口部の面積を測定し、単位面積当たりの開口部の面積割合を開孔率とした。
【0085】
作製した癌細胞捕集用多孔質体の開孔率は、50%であった。
【0086】
<平滑・緻密質スキャフォールドの作製:比較例>
イットリア安定化ジルコニア粉末(TZ3Y、東ソー株式会社)0.8gを直径17.5mmΦのプレス治具に詰めて一軸加圧成形(200Mpa、1min)した後、冷間等方圧加圧(200Mpa、1min)を行った。大気雰囲気下の電気炉にて1400℃で1時間焼成(5℃/min昇温)して、平滑・緻密質スキャフォールド(直径13.5mm、厚さ1.2±0.2mm)を作製した。
【0087】
<細胞懸濁液の調製>
マウス乳腺癌由来4T1細胞を培養培地(10%FBS入りRPMI1640)で培養して、細胞懸濁液を調製した。
【0088】
<試験例>
1.in vitroにおける癌細胞捕集用多孔質体への細胞接着の評価
1.0×10cells/mLの細胞懸濁液をΦ35mmの培養皿に2mL播種した。滅菌済みの癌細胞捕集用多孔質体を細胞懸濁液中に浸漬した。その後、37℃、5%(v/v)CO環境で2時間インキュベートした後、癌細胞捕集用多孔質体を別の培養皿に移し、培養培地(10%FBS入りRPMI1640)を2mL添加した。37℃、5%(v/v)CO環境で1週間培養した。培養後、光学顕微鏡(倍率:100倍)にて細胞接着の様子を観察した。また、培養後の癌細胞捕集用多孔質体を固定・凍結乾燥後、走査型電子顕微鏡(倍率:1000倍)にて観察した。結果を図1および2に示す。
【0089】
図1に示すように、癌細胞捕集用多孔質体の側面に癌細胞が多量に接着することが分かる。また、図2に示すように、癌細胞捕集用多孔質体の断面(内部)に癌細胞が仮足を延ばして接着することが分かる。
【0090】
2.細胞接着における多孔質面の必要性の評価
滅菌済みの癌細胞捕集用多孔質体または平滑・緻密質スキャフォールドの上に1.0×10cells/mLの細胞懸濁液を500μL滴下した。その後、37℃、5%(v/v)CO環境で2時間インキュベートした後、癌細胞捕集用多孔質体または平滑・緻密質スキャフォールドを別の培養皿に移し、培養培地(10%FBS入りRPMI1640)を2mL添加した。37℃、5%(v/v)CO環境で1週間培養した。培養後、光学顕微鏡(倍率:100倍)にて細胞接着の様子を観察した。また、培養後の癌細胞捕集用多孔質体または平滑・緻密質スキャフォールドを固定・凍結乾燥後、走査型電子顕微鏡(倍率:1000倍)にて観察した。結果を図3および4に示す。
【0091】
また、試験前の癌細胞捕集用多孔質体および平滑・緻密質スキャフォールドの表面を光学顕微鏡(倍率:100倍)にて観察し、さらに表面粗さを実体顕微鏡(キーエンス株式会社製)を用いて測定した。結果を図5に示す。
【0092】
図3に示すように、癌細胞捕集用多孔質体の側面に癌細胞が多量に接着することが分かる。一方、平滑・緻密質スキャフォールドの側面には、癌細胞がほぼ接着しないことが分かる。
【0093】
また、図4に示すように、癌細胞捕集用多孔質体の断面(内部)に癌細胞が多量に接着することが分かる。一方、平滑・緻密質スキャフォールドの側面には、癌細胞がほぼ接着しないことが分かる。
【0094】
図5に示すように、癌細胞捕集用多孔質体は多孔を有するため表面が粗面であり、一方平滑・緻密質スキャフォールドは緻密および平滑面を有することが分かる。よって、図3~5より、細胞接着には、多孔および粗面を有することが有効であることが分かる。
【0095】
3.In vivoにおけるマウスへの埋植安全性評価
全身麻酔した8週齢のマウス(BALB/c、日本エスエルシー株式会社より購入)の背面を図6に従い剃毛した。メスを用いて最後肋骨縁より頭側1cm部分を短軸に沿って1.5cm切開した。切開線より尾側へ皮下を剥離し、スキャフォールドを切開部から挿入し留置した後、切開部を縫合。反対側についても同様に実施した。最長2か月埋植状態を観察し、マウスの健康状態に異常がないこと、および埋植部位に異常がないことを目視にて確認した。
【0096】
なお、マウスを用いた動物実験に関しては、大阪府立大学動物実験規程第8条、第9条および第11条の規定に基づき実施した(承認番号:動物実験19-165号)。
【0097】
4.癌細胞捕集用多孔質体を埋植した担癌マウスでの延命効果の評価
上記3と同様にして、マウスに癌細胞捕集用多孔質体を埋植した。埋植1か月後に以下の手順で癌細胞を移植した。
【0098】
(1)全身麻酔をしたマウスの腹部を剃毛した;
(2)右後肢付け根から体軸側に約5cm移動した部分を長軸に沿って1cm切開した;
(3)切開部から第4乳腺脂肪組織を露出した;
(4)乳腺脂肪部にツベルクリンシリンジに充填したマウス乳腺癌由来4T1細胞懸濁液を注入した;
(5)乳腺脂肪を皮下に戻し縫合した。
【0099】
がん細胞移植10日後に手順(2)同様に全身麻酔したマウス乳腺部を切開し原発巣を摘出した後、縫合した。
【0100】
マウスの健康状態を観察しながら飼育し、コントロール(非スキャフォールド埋植)群との生存期間を比較した(各群n=20、原発巣摘出日=0日)。ただし、原発巣での再増殖が見られたマウスについて、分析から除外した。
【0101】
結果を図7に示す。図7中、Zr群は、癌細胞捕集用多孔質体を埋植したマウス群であり、Mock群は、コントロール群である。
【0102】
図7に示すように、実施例の癌細胞捕集用多孔質体を埋植することにより、担癌マウスでの延命効果を得られることが分かる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7