IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 新日本無線株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-半導体装置の製造方法 図1
  • 特許-半導体装置の製造方法 図2
  • 特許-半導体装置の製造方法 図3
  • 特許-半導体装置の製造方法 図4
  • 特許-半導体装置の製造方法 図5
  • 特許-半導体装置の製造方法 図6
  • 特許-半導体装置の製造方法 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-28
(45)【発行日】2025-02-05
(54)【発明の名称】半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H10D 84/65 20250101AFI20250129BHJP
   H10D 10/40 20250101ALI20250129BHJP
【FI】
H10D84/65 W
H10D10/40 P
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020008890
(22)【出願日】2020-01-23
(65)【公開番号】P2021118214
(43)【公開日】2021-08-10
【審査請求日】2022-11-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000191238
【氏名又は名称】日清紡マイクロデバイス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 隆信
【審査官】恩田 和彦
(56)【参考文献】
【文献】特開平01-161753(JP,A)
【文献】特開平10-074958(JP,A)
【文献】特開2014-192279(JP,A)
【文献】特開2007-220793(JP,A)
【文献】特開2003-060063(JP,A)
【文献】特開2004-207269(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10D 84/65
H10D 10/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一導電型の半導体基板の表面に形成された逆導電型の半導体層をIIL回路部として区画する一導電型の埋込層と一導電型の第1の不純物領域からなる分離領域と、前記IIL回路部の前記半導体基板と前記半導体層との間に形成された逆導電型の埋込層と、前記半導体層の表面から形成され前記逆導電型の埋込層に達する逆導電型の第1の不純物領域と、前記逆導電型の埋込層と前記逆導電型の第1の不純物領域とで囲まれた前記半導体層の表面に形成された一導電型の第2の不純物領域および一導電型の第3の不純物領域と、前記一導電型の第2の不純物領域の表面に形成された逆導電型の第2の不純物領域とを備え、少なくとも前記半導体層をエミッタ、前記一導電型の第2の不純物領域をベース、前記逆導電型の第2の不純物領域をコレクタとする第1のトランジスタと、前記一導電型の第3の不純物領域をエミッタ、前記半導体層をベース、前記一導電型の第2の不純物領域をコレクタとする第2のトランジスタとを形成する半導体装置の製造方法において、
前記逆導電型の埋込層と前記逆導電型の第1の不純物領域との接続部の不純物濃度が低く、前記一導電型の第2の不純物領域をエミッタ、少なくとも前記逆導電型の第1の不純物領域および前記逆導電型の埋込層をベース、前記分離領域をコレクタとする寄生トランジスタがオンする場合、
記逆導電型の第1の不純物領域を形成する際、形成条件は変更せず、前記寄生トランジスタのチャネル長となる、前記逆導電型の第1の不純物領域の幅を拡げる変更のみで、前記寄生トランジスタがオンする場合と比較して、前記逆導電型の埋込層と前記逆導電型の第1の不純物領域との接続部の不純物濃度を高くして前記寄生トランジスタのエミッタとベース間の不純物濃度差を大きくし、さらに、前記逆導電型の埋込層と前記逆導電型の第1の不純物領域とが重なる寸法を長くし、前記寄生トランジスタの寄生動作を抑制することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
一導電型の半導体基板の表面に形成された逆導電型の半導体層をIIL回路部およびバイポーラ回路部としてそれぞれ逆導電型の第1の半導体層と逆導電型の第2の半導体層とに区画する一導電型の埋込層と一導電型の第1の不純物領域からなる分離領域と、前記IIL回路部の前記半導体基板と前記第1の半導体層との間に形成された逆導電型の第1の埋込層と、前記第1の半導体層の表面から形成され前記逆導電型の第1の埋込層に達する逆導電型の第1の不純物領域と、前記逆導電型の第1の埋込層と前記逆導電型の第1の不純物領域とで囲まれた前記第1の半導体層の表面に形成された一導電型の第2の不純物領域および一導電型の第3の不純物領域と、前記一導電型の第2の不純物領域の表面に形成された逆導電型の第2の不純物領域とを備え、少なくとも前記第1の半導体層をエミッタ、前記一導電型の第2の不純物領域をベース、前記逆導電型の第2の不純物領域をコレクタとする第1のトランジスタと、前記一導電型の第3の不純物領域をエミッタ、前記第1の半導体層をベース、前記一導電型の第2の不純物領域をコレクタとする第2のトランジスタとを形成し、前記バイポーラ回路部の前記半導体基板と前記逆導電型の第2の半導体層との間に逆導電型の第2の埋込層を前記逆導電型の第1の埋込層と同時に形成し、前記第2の半導体層の表面から形成され前記逆導電型の第2の埋込層に達する逆導電型の第3の不純物領域を前記逆導電型の第1の不純物領域と同時に形成し、前記第2の半導体層の表面に一導電型の第4の不純物領域を前記一導電型の第2の不純物領域と同時に形成し、前記一導電型の第4の不純物領域の表面に逆導電型の第4の不純物領域を前記逆導電型の第2の不純物領域と同時に形成し、少なくとも前記第2の半導体層をコレクタ、前記一導電型の第4の不純物領域をベース、前記逆導電型の第4の不純物領域をエミッタとする第3のトランジスタを形成する半導体装置の製造方法において、
前記逆導電型の第1の埋込層と前記逆導電型の第1の不純物領域との接続部の不純物濃度が低く、前記一導電型の第2の不純物領域をエミッタ、少なくとも前記逆導電型の第1の不純物領域および前記逆導電型の第1の埋込層をベース、前記分離領域をコレクタとする寄生トランジスタがオンする場合、
記逆導電型の第1の不純物領域を形成する際、形成条件は変更せず、前記寄生トランジスタのチャネル長となる、前記逆導電型の第1の不純物領域の幅を拡げる変更のみで、前記寄生トランジスタがオンする場合と比較して、前記逆導電型の第1の埋込層と前記逆導電型の第1の不純物領域との接続部の不純物濃度を高くして前記寄生トランジスタのエミッタとベース間の不純物濃度差を大きくし、さらに、前記逆導電型の第1の埋込層と前記逆導電型の第1の不純物領域とが重なる寸法を長くし、前記寄生トランジスタの寄生動作を抑制することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法に関し、特にIIL素子を備えた半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
バイポーラ半導体集積回路を構成する素子としてIIL(Integrated Injection Logic)素子を含む場合、バイポーラ素子が形成されたバイポーラ回路部とIIL素子が形成されたIIL回路部は、分離領域によって分離された半導体領域にそれぞれ形成される。
【0003】
図5に示すようにIIL回路部には、複数のコレクタを有するマルチコレクタ型のnpnトランジスタTr1と、npnトランジスタTr1のベースに、ベース電流を供給するためのpnpトランジスタTr2とが形成された構造となっている。図6は、一般的なIIL回路部と、このIIL回路部と隣接するバイポーラ回路部とを分離する分離領域の断面図である。図6に示すように、p型基板1上にn型エピタキシャル層2が積層し、p型基板1とn型エピタキシャル層2との間に形成されたp型埋込層3aとn型エピタキシャル層2の表面から形成される第1のp型不純物領域3bとで形成される分離領域3により、n型エピタキシャル層2が取り囲まれ、IIL回路部が区画されている。
【0004】
このIIL回路部には、p型基板1とn型エピタキシャル層2との間にn型埋込層4が形成され、n型埋込層4に達してn型エピタキシャル層2を区画するように第1のn型不純物領域5が形成されている。この第1のn型不純物領域5によって区画されたn型エピタキシャル層2の表面には、第2のp型不純物領域が6形成され、p型不純物領域6の表面に複数の第2のn型不純物領域7が形成されている。8はn型エピタキシャル層2表面に形成された第3のp型不純物領域となる。
【0005】
このような構造の半導体装置では、マルチコレクタ型のnpnトランジスタTr1は、n型エピタキシャル層2がエミッタ、第2のp型不純物領域6がベース、第2のn型不純物領域7がコレクタとなる。またpnpトランジスタTr2は、第2のp型不純物領域6がコレクタ、n型エピタキシャル層2がベース、第3のp型不純物領域8がエミッタとなる。この種の半導体装置は、例えば特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2007-220793号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところでこのような構造の半導体装置の製造方法において、n型埋込層4と第1のn型不純物領域5とを接続するため、n型埋込層4はp型基板1上から、第1のn型不純物領域5はn型エピタキシャル層2の表面からそれぞれ不純物を拡散させている。この深さ方向の濃度プロファイルを図7に示す。図7に示すように、第1のn型不純物領域5とn型埋込層4との接続部に相当する深さに不純物濃度が低くなる領域があることがわかる。
【0008】
この不純物濃度が低くなる領域において、その不純物濃度がある程度高い場合には、第2のp型不純物領域6がエミッタ、第1のn型不純物領域5とn型埋込層4がベース、分離領域3がコレクタとなる寄生トランジスタの寄生動作が抑制される。
【0009】
しかしながら、この種の半導体装置では、バイポーラ回路部とIIL回路部を同時に形成するのが好ましく、IIL回路部単独で不純物濃度を適宜設定することは難しかった。そこで、不純物濃度を最適化するためにバイポーラ回路部とIIL回路部をそれぞれ別々に製造すると製造コストが嵩んでしまうという問題点があった。本発明はこのような実情に鑑み、簡便で、製造コストの大幅な増加を招かずに寄生トランジスタの寄生動作を抑制するIIL回路部を形成することができる半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本願請求項1に係る発明は、一導電型の半導体基板の表面に形成された逆導電型の半導体層をIIL回路部として区画する一導電型の埋込層と一導電型の第1の不純物領域からなる分離領域と、前記IIL回路部の前記半導体基板と前記半導体層との間に形成された逆導電型の埋込層と、前記半導体層の表面から形成され前記逆導電型の埋込層に達する逆導電型の第1の不純物領域と、前記逆導電型の埋込層と前記逆導電型の第1の不純物領域とで囲まれた前記半導体層の表面に形成された一導電型の第2の不純物領域および一導電型の第3の不純物領域と、前記一導電型の第2の不純物領域の表面に形成された逆導電型の第2の不純物領域とを備え、少なくとも前記半導体層をエミッタ、前記一導電型の第2の不純物領域をベース、前記逆導電型の第2の不純物領域をコレクタとする第1のトランジスタと、前記一導電型の第3の不純物領域をエミッタ、前記半導体層をベース、前記一導電型の第2の不純物領域をコレクタとする第2のトランジスタとを形成する半導体装置の製造方法において、前記逆導電型の埋込層と前記逆導電型の第1の不純物領域との接続部の不純物濃度が低く、前記一導電型の第2の不純物領域をエミッタ、少なくとも前記逆導電型の第1の不純物領域および前記逆導電型の埋込層をベース、前記分離領域をコレクタとする寄生トランジスタがオンする場合、記逆導電型の第1の不純物領域を形成する際、形成条件は変更せず、前記寄生トランジスタのチャネル長となる、前記逆導電型の第1の不純物領域の幅を拡げる変更のみで、前記寄生トランジスタがオンする場合と比較して、前記逆導電型の埋込層と前記逆導電型の第1の不純物領域との接続部の不純物濃度を高くして前記寄生トランジスタのエミッタとベース間の不純物濃度差を大きくし、さらに、前記逆導電型の埋込層と前記逆導電型の第1の不純物領域とが重なる寸法を長くし、前記寄生トランジスタの寄生動作を抑制することを特徴とする。
【0011】
本願請求項2に係る発明は、一導電型の半導体基板の表面に形成された逆導電型の半導体層をIIL回路部およびバイポーラ回路部としてそれぞれ逆導電型の第1の半導体層と逆導電型の第2の半導体層とに区画する一導電型の埋込層と一導電型の第1の不純物領域からなる分離領域と、前記IIL回路部の前記半導体基板と前記第1の半導体層との間に形成された逆導電型の第1の埋込層と、前記第1の半導体層の表面から形成され前記逆導電型の第1の埋込層に達する逆導電型の第1の不純物領域と、前記逆導電型の第1の埋込層と前記逆導電型の第1の不純物領域とで囲まれた前記第1の半導体層の表面に形成された一導電型の第2の不純物領域および一導電型の第3の不純物領域と、前記一導電型の第2の不純物領域の表面に形成された逆導電型の第2の不純物領域とを備え、少なくとも前記第1の半導体層をエミッタ、前記一導電型の第2の不純物領域をベース、前記逆導電型の第2の不純物領域をコレクタとする第1のトランジスタと、前記一導電型の第3の不純物領域をエミッタ、前記第1の半導体層をベース、前記一導電型の第2の不純物領域をコレクタとする第2のトランジスタとを形成し、前記バイポーラ回路部の前記半導体基板と前記逆導電型の第2の半導体層との間に逆導電型の第2の埋込層を前記逆導電型の第1の埋込層と同時に形成し、前記第2の半導体層の表面から形成され前記逆導電型の第2の埋込層に達する逆導電型の第3の不純物領域を前記逆導電型の第1の不純物領域と同時に形成し、前記第2の半導体層の表面に一導電型の第4の不純物領域を前記一導電型の第2の不純物領域と同時に形成し、前記一導電型の第4の不純物領域の表面に逆導電型の第4の不純物領域を前記逆導電型の第2の不純物領域と同時に形成し、少なくとも前記第2の半導体層をコレクタ、前記一導電型の第4の不純物領域をベース、前記逆導電型の第4の不純物領域をエミッタとする第3のトランジスタを形成する半導体装置の製造方法において、前記逆導電型の第1の埋込層と前記逆導電型の第1の不純物領域との接続部の不純物濃度が低く、前記一導電型の第2の不純物領域をエミッタ、少なくとも前記逆導電型の第1の不純物領域および前記逆導電型の第1の埋込層をベース、前記分離領域をコレクタとする寄生トランジスタがオンする場合、記逆導電型の第1の不純物領域を形成する際、形成条件は変更せず、前記寄生トランジスタのチャネル長となる、前記逆導電型の第1の不純物領域の幅を拡げる変更のみで、前記寄生トランジスタがオンする場合と比較して、前記逆導電型の第1の埋込層と前記逆導電型の第1の不純物領域との接続部の不純物濃度を高くして前記寄生トランジスタのエミッタとベース間の不純物濃度差を大きくし、さらに、前記逆導電型の第1の埋込層と前記逆導電型の第1の不純物領域とが重なる寸法を長くし、前記寄生トランジスタの寄生動作を抑制することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の半導体装置の製造方法によれば、不純物領域を形成する大きさを調整することで、寄生トランジスタの寄生動作を抑制することができ、バイポーラ回路部に形成したバイポーラトランジスタに要求される特性を維持しつつ、特性の優れたIIL素子を簡便に形成することができる。また、不純物領域は、数μm程度の変更により効果が得られ、IIL回路部の専有面積が増えることによる製品コストの大幅な増加を招くこともない。
【0013】
特にバイポーラ回路部のエピタキシャル層の不純物濃度を低くすることで高耐圧のバイポーラ素子を形成することと、特性の優れたIIL素子を形成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施例の半導体装置の製造方法を説明する図である。
図2】本発明の実施例の半導体装置の製造方法を説明する図である。
図3】本発明の実施例の半導体装置の製造方法を説明する図である。
図4】本発明の実施例の半導体装置の製造方法を説明する図である。
図5】一般的なIIL回路を説明する図である。
図6】一般的なIIL回路を備えた半導体装置を説明する図である。
図7】一般的なIIL回路を備えた半導体装置の一部の濃度プロファイルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の半導体装置の製造方法は、バイポーラ素子が形成されるバイポーラ回路部とIIL素子が形成されるIIL回路部とを備える半導体装置において、IIL回路部を形成する際に好適な製造方法である。以下、実施例について詳細に説明する。
【実施例
【0016】
本発明の実施例について、IIL回路部にマルチコレクタ型のnpnトランジスタとpnpトランジスタを形成し、バイポーラ回路部にnpnトランジスタを形成する半導体装置の製造工程に従い、詳細に説明する。
【0017】
まず、p型基板1上にn型エピタキシャル層を形成する。このとき、IIL回路部とバイポーラ回路部とを分離する分離領域を構成するp型埋込層3aと、IIL回路部に第1のn型埋込層4aと、バイポーラ回路部に第2のn型埋込層4bを形成するため、p型基板1表面に所望の導電型の不純物イオンを注入しておく。n型エピタキシャル層の不純物濃度は、バイポーラ回路部に形成されるnpnトランジスタの耐圧に応じて設定され、一般的には、npnトランジスタの耐圧を高くするためにn型エピタキシャル層の不純物濃度は低く設定される。n型エピタキシャル層の成長に伴い、p型基板1に注入された不純物イオンが拡散し、p型埋込層3a、第1のn型埋込層4aおよび第2のn型埋込層4bが形成される。必要に応じて、所望の不純物イオンを注入した後エピタキシャル成長を行う工程を繰り返して埋込層を形成することも可能である。
【0018】
その後、n型エピタキシャル層の表面からp型埋込層3aに達する第1のp型不純物領域3bを形成し、p型埋込層3aと第1のp型不純物領域3bからなる分離領域3を形成する。この分離領域3により区画されたn型エピタキシャル層の一部(第1のn型エピタキシャル層2a)がIIL回路部となり、分離領域3により区画されたn型エピタキシャル層の他の一部(第2のn型エピタキシャル層2b)がバイポーラ回路部となる(図1)。
【0019】
次に、第1のn型エピタキシャル層2aの表面から第1のn型埋込層4aに達する第1のn型不純物領域5aを形成して第1のn型エピタキシャル層2aの一部を区画する。同時に、第2のn型エピタキシャル層2bの表面から第2のn型埋込層4bに達する第3のn型不純物領域5bを形成する(図2)。
【0020】
第1のn型エピタキシャル層2aの表面に第2のp型不純物領域6aと第3のp型不純物領域8aを形成する。同時に、第2のn型エピタキシャル層2bの表面に第4のp型不純物領域6bを形成する。次に第2のp型不純物領域6aの表面に第2のn型不純物領域7aを形成する。同時に、第4のp型不純物領域6bの表面に第4のn型不純物領域7bを形成する(図3)。ここでIIL回路部に形成される第2のp型不純物領域6aは、npnトランジスタのベースとなり、このベースからエミッタ(第1のn型不純物領域5a)への注入効率を増加させるため、近接あるいは接触させて配置するのが好ましい。
【0021】
従来例で説明したように第1のn型不純物領域5aと第1のn型埋込層4aのそれぞれの領域の接続部に相当する深さの不純物濃度が低下すると、第2のn型不純物領域7aをコレクタ、第2のp型不純物領域6aをベース、第1のn型エピタキシャル層2aをエミッタとする通常のnpnトランジスタとともに、第2のp型不純物領域6aをエミッタ、第1のn型エピタキシャル層2a、第1のn型不純物領域5aおよび第1の埋込層4aをベース、分離領域3Aをコレクタとするpnp寄生トランジスタがオンし、寄生動作が抑制できなくなる。
【0022】
この種の半導体装置では、バイポーラ回路部とIIL回路部を同時に形成することで製造コストの削減を図っているため、第1のn型不純物領域5aと第1のn型埋込層4aとの接続部に相当する深さの不純物濃度を上げるためにIIL回路部の第1のn型不純物領域5aとバイポーラ回路部の第3のn型不純物領域5bを別工程で形成することは避けたいところである。
【0023】
そこで本実施例では、n型エピタキシャル層等の不純物濃度や厚さ等の条件によって、第1のn型不純物領域5aと第1のn型埋込層4aの接続部の不純物濃度が低下することによって寄生トランジスタがオンしてしまう場合に、第1のn型不純物領域5aの幅(寄生トランジスタのチャネル長に相当)を拡げて、接続部近傍の不純物濃度を高くする。
【0024】
図4は、第1のn型不純物領域5aを形成する際に、形成条件を同一とし、使用するマスク幅の寸法のみを変更したときに接続部の最も低い不純物濃度を示している。図4に示すように第1のn型不純物領域5aの幅を拡げることで接続部の不純物濃度を上げることができる。また不純物濃度が一定となった後は、第1のn型不純物領域5aと第1のn型埋込層4aとが重なる寸法が増すことになる。つまり、マスク幅を拡げることで寄生トランジスタのエミッタとベース間の不純物濃度差を大きくし、さらにその長さを長くすることで寄生トランジスタの寄生動作を抑制している。その結果、寄生トランジスタの寄与をなくし、特性の優れたIIL素子を形成することが可能となる。
【0025】
図4に示す例では、第1のn型不純物領域の幅を5μm以上とすることで、安定してIIL回路部の寄生トランジスタによると考えられるリーク電流の減少が確認できた。
【0026】
一方バイポーラ回路部のnpnトランジスタは、所望の耐圧が得られるように第2のn型エピタキシャル層2b不純物濃度が設定されているため、所望の特性を得ることができる。
【0027】
以上本発明の実施例について説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものでないことは言うまでもない。例えば、IIL素子とバイポーラ素子としてnpnトランジスタを同時に形成する例について説明したが、これに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0028】
1:p型基板、2:n型エピタキシャル層、2a:第1のn型エピタキシャル層、2b:第2のn型エピタキシャル層、3:分離領域、3a:p型埋込層、3b:第1のp型不純物領域、4:n型埋込層、4a:第1のn型埋込層、4b:第2のn型埋込層、5、5a:第1のn型不純物領域、5b:第3のn型不純物領域、6、6a:第2のp型不純物領域、6b:第4のp型不純物領域、7、7a:第2のn型不純物領域、7b:第4のn型不純物領域、8、8a:第3のp型不純物領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7