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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-29
(45)【発行日】2025-02-06
(54)【発明の名称】吸水性樹脂の製造方法
(51)【国際特許分類】
   F28G 3/16 20060101AFI20250130BHJP
   F28G 1/16 20060101ALI20250130BHJP
   F28D 7/16 20060101ALI20250130BHJP
   B08B 3/02 20060101ALI20250130BHJP
   B08B 9/093 20060101ALI20250130BHJP
【FI】
F28G3/16
F28G1/16 Z
F28D7/16 A
B08B3/02 F
B08B9/093
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022511765
(86)(22)【出願日】2021-03-12
(86)【国際出願番号】 JP2021010030
(87)【国際公開番号】W WO2021200031
(87)【国際公開日】2021-10-07
【審査請求日】2023-12-07
(31)【優先権主張番号】P 2020062793
(32)【優先日】2020-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000195661
【氏名又は名称】住友精化株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124039
【弁理士】
【氏名又は名称】立花 顕治
(74)【代理人】
【識別番号】100210251
【弁理士】
【氏名又は名称】大古場 ゆう子
(72)【発明者】
【氏名】白石 宣政
(72)【発明者】
【氏名】村川 陽一
(72)【発明者】
【氏名】甘庶 展之
【審査官】河野 俊二
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-204860(JP,A)
【文献】特開2013-076073(JP,A)
【文献】実開昭53-021483(JP,U)
【文献】特開2003-334471(JP,A)
【文献】特開平06-328044(JP,A)
【文献】特開平07-149805(JP,A)
【文献】特開昭58-138987(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28G 3/16
F28G 1/16
F28D 7/16
B08B 3/02
B08B 9/093
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸水性樹脂の製造方法であって、
前記吸水性樹脂の前駆体である含水ゲル状の重合体が収容される収容器に接続され、前記収容器内で発生する前記重合体を含有する気体を冷却する熱交換器の内部を洗浄する洗浄工程を含み、
前記熱交換器は、
前記気体が通り抜ける細長い通路を有し、前記気体が前記通路を通り抜ける間に放熱することにより冷却されるように構成される多数の配管と、
前記多数の配管の上方に配置され、前記多数の配管の上端の開口に連通するチャンバーと、
前記チャンバー内で洗浄液を噴射する洗浄機とを備え、
前記洗浄工程は、前記チャンバー内で前記洗浄機から前記洗浄液を噴射することにより、少なくとも前記チャンバーの内部を洗浄することを含む、
吸水性樹脂の製造方法。
【請求項2】
前記洗浄機は、少なくとも前記チャンバーの内壁面に向かって前記洗浄液を噴射するように構成される、請求項1に記載の吸水性樹脂の製造方法。
【請求項3】
前記洗浄機は、前記チャンバーの前記内壁面に含まれる少なくとも天面に向かって前記洗浄液を噴射するように構成される、請求項2に記載の吸水性樹脂の製造方法。
【請求項4】
前記洗浄機は、第1方向に延びる第1軸周りを回転しながら、前記第1方向に対し交差する第2方向に延びる第2軸周りを回転し、前記第1軸及び前記第2軸周りを回転する間に、前記洗浄液を噴射するように構成される噴射口を有する、請求項1から3のいずれかに記載の吸水性樹脂の製造方法。
【請求項5】
前記収容器は、前記吸水性樹脂の原料となるモノマーを重合する重合槽である、
請求項1から4のいずれかに記載の吸水性樹脂の製造方法。
【請求項6】
前記洗浄工程は、前記チャンバー内で前記洗浄機から前記洗浄液を噴射することにより、前記チャンバーの内壁面及び前記配管の内壁面の少なくとも一方に付着している前記重合体の塊を除去することを含む、
請求項1から5のいずれかに記載の吸水性樹脂の製造方法。
【請求項7】
前記洗浄工程は、前記チャンバーの内壁面に向かって前記洗浄液を噴射することにより、前記内壁面に付着している前記重合体の塊を破砕し、脱落させることを含む、
請求項6に記載の吸水性樹脂の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸水性樹脂の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
吸水性樹脂は、原料となるモノマーを重合させて含水ゲル状の重合体を作製し、この重合体を乾燥させることにより製造することができる。そして、この重合反応中には重合熱が発生するため、重合が行われる重合槽には、重合熱を除去するべく、しばしば熱交換器が接続される。この種の熱交換器は、典型的には、重合槽から送られてくる気体を冷却し、凝縮させた後、重合槽に戻すように構成されている(特許文献1参照)。
【0003】
熱交換器に送られてくる気体には、通常、重合体が含有される。特許文献1でも指摘されているが、この重合体は、熱交換器の伝熱用の配管を詰まらせる原因となり得る。そこで、この問題に対処するために、特許文献1では、複数の伝熱用の配管の上流側に接続されるチャンバー内に、複数の貫通孔が形成された板状部材を傾斜するように取り付け、同部材の上面上の低いところで重合体を回収することにより、重合体による配管の閉塞を抑制することを提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-204860号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の方法によっても、依然として配管の閉塞を十分に防止することはできず、配管はしばしば閉塞する。そのため、定期的に熱交換器の稼働を停止し、これを分解してその内部を洗浄する作業が必要であり、非常に煩雑である。なお、同様の問題は、重合反応の終了後に、液体成分を留去するときに使用される濃縮器等、含水ゲル状の重合体が収容される収容器に接続されるその他の熱交換器においても生じ得る。
【0006】
本発明は、熱交換器の配管の閉塞を効果的に防止することができる吸水性樹脂の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1観点に係る吸水性樹脂の製造方法は、前記吸水性樹脂の前駆体である含水ゲル状の重合体が収容される収容器に接続され、前記収容器内で発生する前記重合体を含有する気体を冷却する熱交換器の内部を洗浄する洗浄工程を含む。前記熱交換器は、前記気体が通り抜ける細長い通路を有し、前記気体が前記通路を通り抜ける間に放熱することにより冷却されるように構成される多数の配管と、前記多数の配管の上方に配置され、前記多数の配管の上端の開口に連通するチャンバーと、前記チャンバー内で洗浄液を噴射する洗浄機とを備える。前記洗浄工程は、前記チャンバー内で前記洗浄機から前記洗浄液を噴射することにより、少なくとも前記チャンバーの内部を洗浄することを含む。
【0008】
第2観点に係る吸水性樹脂の製造方法は、第1観点に係る製造方法であって、前記洗浄機は、少なくとも前記チャンバーの内壁面に向かって前記洗浄液を噴射するように構成される。
【0009】
第3観点に係る吸水性樹脂の製造方法は、第2観点に係る製造方法であって、前記洗浄機は、前記チャンバーの前記内壁面に含まれる少なくとも天面に向かって前記洗浄液を噴射するように構成される。
【0010】
第4観点に係る吸水性樹脂の製造方法は、第1観点から第3観点のいずれかに係る製造方法であって、前記洗浄機は、第1方向に延びる第1軸周りを回転しながら、前記第1方向に対し交差する第2方向に延びる第2軸周りを回転し、前記第1軸及び前記第2軸周りを回転する間に、前記洗浄液を噴射するように構成される噴射口を有する。
【0011】
第5観点に係る吸水性樹脂の製造方法は、第1観点から第4観点のいずれかに係る製造方法であって、前記収容器は、前記吸水性樹脂の原料となるモノマーを重合する重合槽である。
【0012】
第6観点に係る吸水性樹脂の製造方法は、第1観点から第5観点のいずれかに係る製造方法であって、前記洗浄工程は、前記チャンバー内で前記洗浄機から前記洗浄液を噴射することにより、前記チャンバーの内壁面及び前記配管の内壁面の少なくとも一方に付着している前記重合体の塊を除去することを含む。
【0013】
第7観点に係る吸水性樹脂の製造方法は、第6観点に係る製造方法であって、前記洗浄工程は、前記チャンバーの内壁面に向かって前記洗浄液を噴射することにより、前記内壁面に付着している前記重合体の塊を破砕し、脱落させることを含む。
【発明の効果】
【0014】
上記観点によれば、熱交換器において多数の配管の上方に配置され、多数の配管の上端の開口に連通するチャンバー内で、洗浄機を介して洗浄液が噴射される。これにより、チャンバーの内部に付着している吸水性樹脂の前駆体である含水ゲル状の重合体を除去することができ、その結果、配管の閉塞を効果的に防止することができる。また、その結果、効率的に吸水性樹脂を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】一実施形態に係る吸水性樹脂の製造装置の全体構成図。
図2】一実施形態に係る熱交換器の側方断面図。
図3】実施例1に係る洗浄効果を示すグラフ。
図4】実施例2に係る洗浄効果を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施形態に係る吸水性樹脂の製造方法について説明する。
【0017】
<1.吸水性樹脂の製造装置>
図1に、本実施形態に係る吸水性樹脂の製造方法の実施に使用される吸水性樹脂の製造装置100の全体構成図を示す。吸水性樹脂は、紙おむつや生理用品等の衛生材料、ペットシート等の日用品、食品用吸水シートやケーブル用止水材、結露防止材等の工業材料、緑化や農業、園芸用の保水剤や土壌改良剤等、様々な用途で幅広く用いられる。吸水性樹脂は、原料となるモノマーを重合させて重合体を作製することにより製造される。
【0018】
図1に示す通り、吸水性樹脂の製造装置100は、重合器1と、濃縮器2とを備える。重合器1は、吸水性樹脂の原料となるモノマーを重合させることにより、含水ゲル状の重合体を含有するスラリー(含水ゲル状の重合体を含む液)を作製する。濃縮器2は、重合器1から送られてくるスラリーから液体成分を留去することにより、スラリーを濃縮し、重合体の濃縮液を作製する。製造装置100は、乾燥機3をさらに備え、乾燥機3は、濃縮器2から送られてくる重合体の濃縮液を乾燥させる(即ち、液体成分を揮発させる)。液体成分は、逆相懸濁重合法で含水ゲル状の重合体を作製する場合、主として炭化水素分散媒及び水を含み、水溶液重合法で含水ゲル状の重合体を作製する場合、主として水を含む。
【0019】
また、図1に示す通り、製造装置100は、2つの熱交換器4A及び4Bを備える。重合器1での重合反応中には、重合熱が発生し、濃縮器2での濃縮処理中には、スラリーが加熱される。熱交換器4Aは、重合器1に接続され、重合熱を除去する。熱交換器4Bは、濃縮器2に接続され、濃縮処理中に付与される熱を除去する。
【0020】
また、図1に示す通り、製造装置100は、重合器1、濃縮器2、乾燥機3並びに熱交換器4A及び4Bの動作を制御することにより、吸水性樹脂の製造工程を制御する制御装置5をさらに有する。制御装置5は、典型的には、プログラムにより制御されるコンピュータとして実現される。
【0021】
以下、重合器1、濃縮器2、乾燥機3並びに熱交換器4A及び4Bの詳細について、これらの装置1、2、3、4A及び4Bに接続される各種装置についても適宜触れつつ、順に説明する。
【0022】
<2.各部の構成>
<2-1.重合器>
重合器1は、重合槽10を有する。重合槽10は、吸水性樹脂の原料となるモノマー、例えば、水溶性エチレン性不飽和単量体と、液体成分とが、上部に気相成分が形成されるように収容される収容器である。重合槽10内では、適宜、モノマー及び液体成分が図示されない撹拌機より攪拌され、図示されない加熱装置により加熱されることにより、モノマーの重合反応が進み、含水ゲル状の重合体が作製される。これらの撹拌機及び加熱装置は、制御装置5に接続され、その動作が制御される。以上により、重合槽10内には、吸水性樹脂の前駆体である含水ゲル状の重合体を含有するスラリーが収容される。
【0023】
重合槽10は、上部に開口11及び12を有する。上部の開口11には、配管L1の一端が接続され、配管L1の他端は、後述される熱交換器4Aの開口41に接続される。開口11からは、重合反応に伴う重合熱により加熱された気体が排出され、これが配管L1を通り、開口41を介して熱交換器4A内に流入する。配管L1には、バルブV1が取り付けられており、バルブV1の開閉は、配管L1を介しての気体の連通を制御すべく、制御装置5により制御される。
【0024】
上部のもう1つの開口12には、別の配管L2の一端が接続され、配管L2の他端は、後述される熱交換器4Aの開口42に接続される。重合槽10から熱交換器4Aへ送られた気体は、熱交換器4A内で冷却され、凝縮され、液体及び気体を含有する冷却流体となる。この冷却流体は、開口42から排出され、配管L2を通り、開口12を介して重合槽10内に流入する。以上により、重合槽10内の重合熱が除去される。配管L2には、バルブV2が取り付けられており、バルブV2の開閉は、配管L2を介しての冷却流体の連通を制御すべく、制御装置5により制御される。
【0025】
重合槽10は、下部に開口13を有する。下部の開口13には、配管L3の一端が接続され、配管L3の他端は、後述される濃縮器2の開口21に接続される。開口13からは、重合槽10内での重合反応により生成されたスラリーが排出され、これが配管L3を通り、開口21を介して濃縮器2内に流入する。配管L3には、バルブV3が取り付けられており、バルブV3の開閉は、配管L3を介してのスラリーの連通を制御すべく、制御装置5により制御される。
【0026】
<2-2.濃縮器>
濃縮器2は、濃縮槽20を有し、濃縮槽20は、上部に開口21、22及び23を有する。上部の開口21は、上記の通り、配管L3を介して重合槽10の開口13に接続される。濃縮槽20は、配管L3を介して重合槽10から送られてくるスラリーが、上部に気相成分が形成されるように収容される収容器である。濃縮槽20内では、適宜、スラリーが図示されない撹拌機より攪拌され、図示されない加熱装置により加熱されることにより、これに含まれる液体成分が留去され、スラリーが濃縮される。これらの撹拌機及び加熱装置は、制御装置5に接続され、その動作が制御される。以上により、濃縮槽20内には、吸水性樹脂の前駆体である含水ゲル状の重合体を含有する濃縮液が収容される。
【0027】
上部の別の1つの開口22には、別の配管L4の一端が接続され、配管L4の他端は、後述される熱交換器4Bの開口41に接続される。開口22からは、濃縮処理に伴い加熱された気体が排出され、これが配管L4を通り、開口41を介して熱交換器4B内に流入する。配管L4には、バルブV4が取り付けられており、バルブV4の開閉は、配管L4を介しての気体の連通を制御すべく、制御装置5により制御される。
【0028】
上部のさらに別の開口23には、さらに別の配管L5の一端が接続され、配管L5の他端は、後述される熱交換器4Bの開口42に接続される。濃縮槽20から熱交換器4Bへ送られた気体は、熱交換器4B内で冷却され、凝縮され、液体及び気体を含有する冷却流体となる。この冷却流体は、開口42から排出され、配管L5を通り、その油性成分が濃縮槽20内に流入する。以上により、濃縮槽20内の熱が除去される。配管L5には、バルブV5が取り付けられており、バルブV5の開閉は、配管L5を介しての冷却流体の連通を制御すべく、制御装置5により制御される。
【0029】
本実施形態では、配管L5には、油分分離装置D1が取り付けられている。油分分離装置D1は、逆相懸濁重合法で重合体を作製する際に用いられるものであり、水溶液重合法を採用する場合は用いなくてもよい。油分分離装置D1は、液体成分から油性成分(炭化水素分散媒)と水性成分とを分離する装置であり、配管L5から分岐する配管L7を介して回収器D2に接続される。油分分離装置D1で冷却流体から分離された水性成分は、濃縮槽20に戻されることなく、系外に排出され、回収器D2に回収される。これにより、濃縮槽20内のスラリーの脱水を進めることができる。一方、油分分離装置D1で冷却流体から分離された油性成分は、開口23を介して濃縮槽20内に戻される。
【0030】
なお、開口23、バルブV5及び油分分離装置D1等を除去し、熱交換器4Bの開口42から排出される冷却流体を全て系外に排出し、回収器D2で回収してもよい。この場合、適宜、濃縮槽20に油性成分を添加することが好ましい。
【0031】
濃縮槽20は、下部に開口24を有する。下部の開口24には、配管L6の一端が接続され、配管L6の他端は、後述される乾燥機3の開口31に接続される。開口24からは、濃縮槽20内での濃縮処理により生成された濃縮液が排出され、これが配管L6を通り、開口31を介して乾燥機3内に流入する。配管L6には、バルブV6が取り付けられており、バルブV6の開閉は、配管L6を介しての濃縮液の連通を制御すべく、制御装置5により制御される。
【0032】
<2-3.乾燥機>
乾燥機3は、乾燥室30を有し、乾燥室30は、上部に開口31を有する。上部の開口31は、上記の通り、配管L6を介して濃縮槽20の開口24に接続される。乾燥室30は、配管L6を介して濃縮槽20から送られてくる濃縮液を受け取り、これを図示されない加熱装置により加熱することにより、濃縮液に含まれる吸水性樹脂の重合体を乾燥させる。この加熱装置は、制御装置5に接続され、その動作が制御される。
【0033】
なお、濃縮器2及びこれに接続される熱交換器4Bを省略し、重合器1を乾燥機3に直接接続してもよい。この場合、乾燥機3が、スラリーの濃縮及び乾燥を同時に行うことになる。
【0034】
<2-4.熱交換器>
次に、図2を参照しつつ、熱交換器4A及び4Bの構造について説明する。なお、熱交換器4A及び4Bは、同様の構造を有するため、以下、これらを区別せずに、熱交換器4と呼び、その構造をまとめて説明する。
【0035】
熱交換器4は、重合槽10又は濃縮槽20内で発生する、吸水性樹脂の前駆体である含水ゲル状の重合体を含有する気体を冷却する装置である。熱交換器4は、ケーシング40を有する。ケーシング40は、円筒状の胴部401と、胴部401の上端に連続するドーム状の上部チャンバー402と、胴部401の下端に連続する逆ドーム状の下部チャンバー403とを有する。胴部401の内部空間と、上部チャンバー402の内部空間とは、隔壁404により仕切られており、互いに分離されている。同様に、胴部401の内部空間と、下部チャンバー403の内部空間とは、隔壁405により仕切られており、互いに分離されている。
【0036】
上部チャンバー402の壁面部には、その内外を連通させる開口41が形成されている。この開口41は、上記の通り、配管L1を介して重合槽10の開口11に、又は配管L4を介して濃縮槽20の開口22に接続されている。従って、上部チャンバー402内には、開口41を介して、重合槽10又は濃縮槽20から含水ゲル状の重合体を含有する気体が導入される。
【0037】
胴部401内には、上下方向に細長く延びる多数の配管60が配置される。これらの配管60は、それぞれ、上部の隔壁404に形成されている多数の開口と、下部の隔壁405に形成されている多数の開口との間を延びる。従って、上部チャンバー402は、多数の配管60の上方に配置され、多数の配管60の上端の開口に連通する。また、下部チャンバー403は、多数の配管60の下方に配置され、多数の配管60の下端の開口に連通する。
【0038】
多数の配管60は、各々、細長い通路を画定する。重合槽10又は濃縮槽20から送られてきた気体は、上部チャンバー402内に導入された後、上部チャンバー402内からこれらの通路内に導入される。そして、以上の気体は、これらの通路を通り抜ける間に放熱し、冷却され、それにより凝縮され、液体及び気体を含有する冷却流体となる。その後、冷却流体は、下部チャンバー403内に導入される。
【0039】
下部チャンバー403の最下部には、その内外を連通させる開口42が形成されている。この開口42は、上記の通り、配管L2を介して重合槽10の開口12に、又は配管L5を介して濃縮槽20の開口23に接続されている。従って、下部チャンバー403からは、開口42を介して、重合槽10又は濃縮槽20へと冷却流体が排出される。
【0040】
胴部401の壁面部には、その内外を連通させる開口43及び44が形成されている。これらの開口43及び44は、胴部401の上部及び下部に分かれて配置されている。また、胴部401内には、上下方向に所定の間隔を空けて、多数の案内板45が配置されている。案内板45には、多数の開口が形成されており、多数の配管60は、これらの開口にそれぞれ挿入される。
【0041】
開口43及び44の一方は、胴部401内に熱交換流体を導入する導入口となり、他方は、胴部401内から熱交換流体を排出する排出口となる。熱交換流体の種類は、特に限定されないが、例えば、水や空気である。図2の例では、下部の開口44が導入口であり、上部の開口43が排出口であり、熱交換流体の流れが矢印A1で示されている。開口43及び44の一方である導入口を介して胴部401内に導入された熱交換流体は、胴部401内を多数の案内板45に案内されて折れ曲がりながら、開口43及び44の他方である排出口に向かって進み、排出口を介して胴部401内から排出される。熱交換流体は、胴部401内を導入口から排出口に向かって流れる間、多数の配管60と接触するため、熱交換流体と配管60内を流れる気体との間で効率的な熱交換が実現され、同気体の凝縮が促される。
【0042】
以上の通り、熱交換器4に送られてくる気体には、重合体が含有されている。そして、この重合体が、仮に熱交換器4の配管60の内部に過剰に入り込み、付着し、配管60が閉塞するようであれば、定期的に熱交換器4の稼働を停止し、これを分解してその内部を洗浄する煩雑な作業が必要となる。本実施形態では、配管60の閉塞を効果的に防止するべく、上部チャンバー402内に洗浄機7が配置される。洗浄機7は、上部チャンバー402内で洗浄液を噴射することにより、熱交換器4の内部(主として、上部チャンバー402の内部)を洗浄する装置である。
【0043】
ところで、本発明者らの発見によると、配管60の閉塞は、配管60の内壁面に重合体が直接付着することよりも、上部チャンバー402の内壁面(特に天面)に重合体が付着することでより発生し易くなることが分かった。すなわち、上部チャンバー402の内壁面、特に天面に重合体が付着し、これが成長して大きな塊になると、その後、これが脱落したときに、配管60を閉塞させることになる。同じことは、上部の隔壁404の上面に重合体が付着する場合についても言える。
【0044】
以上より、本発明者らは、上部チャンバー402の内部の洗浄を行うこと、より好ましくは少なくとも上部チャンバー402の内壁面に向かって洗浄液を噴射する(内壁面の洗浄を行う)ことが、配管60の閉塞の防止に効果的であることを発見した。なお、上部チャンバー402の内部とは、上部チャンバー402の内部空間を画定する面であり、本実施形態では、上部チャンバー402の内壁面及び上部の隔壁404の上面を含む面である。
【0045】
また、本発明者らは、洗浄される上部チャンバー402の内壁面は、少なくとも天面を含むことが好ましいことを発見し、さらに、上部チャンバー402の内部(好ましくは上部チャンバー402の内壁面、より好ましくは上部チャンバー402の内壁面に含まれる天面)のみならず、配管60の内部の洗浄を行うことで、配管60の閉塞をさらに効果的に防止できることを発見した。この点、本実施形態の洗浄機7は、上部チャンバー402の天面を含む内壁面及び上部の隔壁404の上面のみならず、配管60の内部を効果的に洗浄することができる。
【0046】
洗浄機7は、ノズル70と、上下方向に延びる第1軸71と、水平方向に延びる第2軸72と、第1軸71を回転駆動する第1モーター73と、第2軸72を回転駆動する第2モーター74とを有する。第1モーター73は、平面視において上部チャンバー402の天面の中央部に固定されるとともに、第1軸71の上部を回転可能に受け取り、第1軸71を上下方向に平行な軸周りで回転駆動させる。第2モーター74は、第1軸71の下部に固定されるとともに、第2軸72の一端を回転可能に受け取り、第2軸72を水平方向に平行な軸周りで回転駆動させる。ノズル70は、第2軸72の他端に固定されている。
【0047】
本実施形態では、ノズル70は、上部チャンバー402内に配置され、2つの噴出口701及び702を有する。これらの噴出口701及び702は、いずれも、第2軸72に交差する(本実施形態では、直交する)方向に開口している。また、これらの噴出口701及び702は、第2軸72を基準として180°離れた位置に配置され、逆方向に開口している。第1モーター73及び第2モーター74は、制御装置5に接続されており、第1モーター73及び第2モーター74の駆動、すなわち、第1軸71及び第2軸72の回転動作は、制御装置5により制御される。
【0048】
制御装置5は、熱交換器4の内部を洗浄する洗浄工程の実行時には、第1モーター73及び第2モーター74を同時に駆動させる。これにより、ノズル70に含まれる噴出口701及び702は、第1軸71周りを回転しながら、第2軸72周りを回転する。以下、第1軸71周りの回転を、「公転」、第2軸72周りの回転を、「自転」と呼ぶことがある。
【0049】
図2に矢印A2で示す通り、第1軸71及び第2軸72の内部には、洗浄液が流れる通路が形成されている。洗浄工程では、この通路内に、図示されないポンプから洗浄液が供給され、これがノズル70内に流入し、噴出口701及び702を介して噴射される。このポンプは、制御装置5に接続され、制御装置5により洗浄液の吐出のタイミング及び吐出圧が制御される。洗浄液の種類は、特に限定されないが、好ましくは、水である。
【0050】
以上より、洗浄工程では、噴出口701及び702が公転しながら自転し、この間に、洗浄液を噴射する。その結果、上部チャンバー402内では、洗浄液が噴出口701及び702から三次元的にありとあらゆる方向に噴射される。洗浄液は、上部チャンバー402の内壁面の天面及び側面を含む全面に向かって噴射され、全面に衝突し、全面に付着した重合体を除去することができる。また、洗浄液は、ノズル70の下方、すなわち、上部の隔壁404の上面及び配管60内に向かっても噴射され、上部の隔壁404の上面及び配管60の内壁面に付着した重合体を除去することもできる。
【0051】
洗浄液の流量の下限は、好ましくは50L/minであり、より好ましくは60L/minであり、さらに好ましくは70L/minである。また、洗浄液の流量の上限は、好ましくは250L/minであり、より好ましくは200L/minであり、さらに好ましくは180L/minである。洗浄液の吐出圧の下限は、好ましくは0.2MPaGであり、より好ましくは3.0MPaGであり、さらに好ましくは5.0MPaGである。洗浄液の吐出圧の上限は、好ましくは15MPaGであり、より好ましくは10MPaGであり、さらに好ましくは8MPaGである。洗浄液の流量及び吐出圧が上記範囲にあれば、洗浄液の使用量を効果的に抑えつつ、上部チャンバー402の内部に付着した重合体の塊を効率よく破砕し、脱落させることができる。
【0052】
<3.吸水性樹脂の製造方法>
以下、以上の製造装置100を使用した吸水性樹脂の製造方法について、一例として逆相懸濁重合法を挙げて、説明する。
【0053】
製造装置100を使用した吸水性樹脂の製造時の各工程は、主として制御装置5により制御される。まず、重合槽10内に、吸水性樹脂の原料となるモノマーと、液体成分(炭化水素分散媒)とが収容される。制御装置5は、バルブV1及びV2を開状態にし、重合槽10と熱交換器4A内とを連通させた状態で、重合器1に含まれる撹拌機及び加熱装置を駆動する。これにより、重合槽10内では重合反応が進み、重合熱により加熱された含水ゲル状の重合体を含有する気体が、配管L1を介して熱交換器4Aに送られる。同気体は、熱交換器4Aの上部チャンバー402を通り抜け、さらに配管60を通り抜ける間に冷却され、冷却流体となった後、配管L2を介して重合槽10に戻される。以上のようにして、重合槽10内では、含水ゲル状の重合体を含有するスラリーが作製される。
【0054】
重合器1での処理が終了すると、制御装置5は、重合器1に含まれる撹拌機及び加熱装置の駆動を停止し、バルブV3を開状態にする。これにより、重合槽10内のスラリーが、濃縮槽20に送られる。制御装置5は、重合槽10内のスラリーが濃縮槽20内に全て送られた後に、バルブV3を閉状態に戻す。さらに、制御装置5は、バルブV4及びV5を開状態にし、濃縮槽20と熱交換器4B内とを連通させた状態で、濃縮器2に含まれる撹拌機及び加熱装置を駆動する。これにより、濃縮槽20内ではスラリーの濃縮が進み、加熱された含水ゲル状の重合体を含有する気体が、配管L4を介して熱交換器4Bに送られる。同気体は、熱交換器4Bの上部チャンバー402を通り抜け、さらに配管60を通り抜ける間に冷却され、冷却流体となった後、冷却流体に含まれる油性成分が配管L5を介して濃縮槽20に戻される。以上のようにして、濃縮槽20内では、スラリーの濃縮液が作製される。
【0055】
濃縮器2での処理が終了すると、制御装置5は、濃縮器2に含まれる撹拌機及び加熱装置の駆動を停止し、バルブV6を開状態にする。これにより、濃縮槽20内の濃縮液が、乾燥室30に送られる。制御装置5は、濃縮槽20内の濃縮液が乾燥室30内に全て送られた後に、バルブV6を閉状態に戻す。さらに、制御装置5は、乾燥機3に含まれる加熱装置を駆動する。これにより、乾燥室30内では、濃縮液に含まれる重合体の乾燥が進む。以上のようにして、乾燥室30内では、乾燥した吸水性樹脂が製造される。
【0056】
また、重合器1での処理が終了した後、その後の濃縮処理又は乾燥処理と並行して、或いはこれらの処理の終了後に、熱交換器4Aの内部の洗浄工程が実行される。制御装置5は、洗浄機7に含まれる第1モーター73、第2モーター74及びポンプを同時に駆動し、上部チャンバー402内でノズル70を公転及び自転させながら、噴出口701及び702から洗浄液を噴射させることにより、上部チャンバー402の内部及び配管60の内部を洗浄する。このとき、ノズル70の公転及び自転に伴い、噴出口701及び702から噴射された洗浄液は、上部チャンバー402の天面及び側面を含む内壁面の全面及び上部の隔壁404の上面に対し直接勢いよく散布され、その水圧により、上部チャンバー402の内壁面及び上部の隔壁404の上面に付着している重合体を除去する。これにより、上部チャンバー402の内部に付着していた重合体の塊は破砕され、上部チャンバー402の内部から脱落する。
【0057】
同様に、ノズル70の公転及び自転に伴い、噴出口701及び702から噴射された洗浄液は、配管60の内部に対しても直接勢いよく散布され、その水圧により、配管60の内壁面に付着している重合体を除去する。これにより、配管60の内壁面に付着していた重合体の塊も破砕され、配管60の内壁面から脱落する。これにより、上部チャンバー402の内部及び配管60の内部からは、重合体が除去され、除去された重合体は、洗浄液とともに配管60内を通り抜け、下部チャンバー403に回収される。下部チャンバー403に回収された重合体を含有する洗浄液は、適宜開口42を介して系外に排出される。
【0058】
また、濃縮器2での処理が終了した後、その後の乾燥処理と並行して、或いは乾燥処理の終了後に、熱交換器4Bの内部の洗浄工程が実行される。この洗浄工程は、上述した熱交換器4Aの内部の洗浄工程と同様に実行されるため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0059】
以上の洗浄工程では、配管60の内部及び上部チャンバー402の内部に付着している重合体を効果的に除去することができる。その結果、配管60の閉塞を効果的に防止することができる。また、その結果、効率的に吸水性樹脂を製造することができる。
【0060】
<4.変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、種々の変更が可能である。例えば、以下の変更が可能である。
【0061】
<4-1>
第1軸71は、上下方向に延びていなくてもよいし、第2軸72は、水平方向に延びていなくてもよい。また、第1軸71と第2軸72とは、洗浄液を様々な方向に噴射する観点からは、交差していることが好ましいが、直交していなくてもよい。
【0062】
<4-2>
上記実施形態では、洗浄機7におけるノズル70の駆動方式は、電動駆動式としたが、水流駆動式としてもよい。
【0063】
<4-3>
上記実施形態では、配管60の内部及び上部チャンバー402の内部(上部チャンバー402の内壁面及び上部の隔壁404の上面)の両者に対し、ノズル70から噴射される洗浄液が直接散布され、これにより両者に付着した重合体が除去されるように構成された。しかしながら、上部チャンバー402の内部に対してのみ、ノズル70から噴射される洗浄液が直接散布され、これに付着した重合体が除去されるように構成されてもよい。また、洗浄対象である上部チャンバー402の内部は、上部チャンバー402の天面を含んでいなくてもよい。つまり、洗浄対象である上部チャンバー402の内部は、上部チャンバー402の側面のみであってもよく、上部の隔壁404の上面のみであってもよく、両者のみであってもよい。
【0064】
例えば、上部チャンバー402の天面にシャワーノズルを取り付け、ここから洗浄液を下方に向けて散布すれば、配管60の内部及び上部の隔壁404の上面を洗浄することができる。また、シャワーノズルから噴射される洗浄液の流量、吐出圧、及び噴射角度を調整することにより、上部チャンバー402の内壁面に含まれる側面をさらに洗浄することもできる。上記実施形態で用いた洗浄機7とこのシャワーノズルは併用することもできる。
【実施例
【0065】
以下、本発明の実施例1及び2について説明するが、本発明は、以下の実施例1及び2に限定されない。
【0066】
<実施例1>
上記実施形態に係る製造装置100と同様の製造装置を用意し、これを使用して上記実施形態に係る製造方法で吸水性樹脂を製造した。すなわち、重合器でモノマーを重合し、その後、スラリーを全て濃縮器に排出する一連の工程を約350回実施した。また、スラリーを濃縮器に排出する度に、重合器に接続される熱交換器の洗浄工程を実施した。ただし、以上の350回の工程のうち、168回目~243回目については、洗浄工程を停止した。洗浄工程では、洗浄液の流量を73L/minとし、洗浄液の吐出圧を6.3MPaGとした。洗浄機としては、水流駆動式の装置(株式会社スギノマシン製の自動回転ノズルユニット「JRN-080PG」)を使用した。
【0067】
以上の重合反応中の重合槽及びこれに連通する熱交換器の内部の圧力を、重合槽内に取り付けた圧力計で計測した。このときの圧力(重合反応中の圧力の最大値)の計測結果を図3に示す。図3の横軸は、重合工程からその後のスラリーの排出工程及び熱交換器の洗浄工程までを含む、一連の工程の実施回数である。同図には、洗浄工程の停止期間も示している。
【0068】
熱交換器の配管が詰まると、重合槽及びこれに連通する熱交換器の内部の圧力が上昇する。従って、図3の圧力は、熱交換器の洗浄状態を示していると言える。以上の結果から分かる通り、350回の重合工程を経ても、圧力はさほど上昇しなかった。また、洗浄工程を停止すると、圧力が上昇し、その後、洗浄工程を実行するようになると、圧力は再度低下した。以上より、実施例1に係る洗浄工程の洗浄効果の高さが確認された。
【0069】
<実施例2>
実施例1に係る製造装置において、重合器に接続される熱交換器内の洗浄機を取り外し、代わりに上記変形例4-3に記載したように、洗浄液を下方に向けて散布するタイプのシャワーノズル(霧のいけうち社製のノズル「JJXP150」)を上部チャンバーの天面に取り付けた。そして、この製造装置を使用して、実施例1と同様に、重合器でモノマーを重合し、その後、スラリーを全て濃縮器に排出する一連の工程を約350回実施した。また、スラリーを濃縮器に排出する度に、重合器に接続される熱交換器の洗浄工程を実施した。洗浄工程では、洗浄液の流量を167L/minとし、洗浄液の吐出圧を0.3MPaGとした。
【0070】
以上の重合反応中の重合槽及びこれに連通する熱交換器の内部の圧力(重合反応中の圧力の最大値)を、重合槽内に取り付けた圧力計で計測した結果を図4に示す。図4の横軸も、重合工程からその後のスラリーの排出工程及び熱交換器の洗浄工程までを含む、一連の工程の実施回数である。
【0071】
以上の結果から分かる通り、200回以上の重合工程を経ても、圧力はさほど上昇しなかった。また、通常、30kPaG~40kPaG程度になると、熱交換器を分解しての洗浄が必要になり得るが、300回以上の重合工程を経ても、このような基準値以下であった。以上より、上部チャンバーの天面を洗浄した実施例1に係る洗浄工程には及ばぬものの、上部チャンバーの天面を洗浄しなかった実施例2に係る洗浄工程も、その洗浄効果の高さが確認された。
【符号の説明】
【0072】
100 吸水性樹脂の製造装置
1 重合器
10 重合槽
2 濃縮器
20 濃縮槽
3 乾燥機
30 乾燥室
4(4A、4B) 熱交換器
40 ケーシング
401 胴部
402 上部チャンバー
403 下部チャンバー
60 配管
7 洗浄機
70 ノズル
701、702 噴出口
71 第1軸
72 第2軸
73 第1モーター
74 第2モーター
図1
図2
図3
図4