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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-31
(45)【発行日】2025-02-10
(54)【発明の名称】駐車経路生成装置及び駐車制御装置
(51)【国際特許分類】
   B60W 30/06 20060101AFI20250203BHJP
   B60W 40/06 20120101ALI20250203BHJP
   B60W 40/10 20120101ALI20250203BHJP
   B60W 10/20 20060101ALI20250203BHJP
   B62D 13/06 20060101ALI20250203BHJP
   B62D 6/00 20060101ALI20250203BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20250203BHJP
   G08G 1/00 20060101ALI20250203BHJP
   B62D 113/00 20060101ALN20250203BHJP
【FI】
B60W30/06
B60W40/06
B60W40/10
B60W10/20
B62D13/06
B62D6/00
G08G1/16 C
G08G1/00 A
B62D113:00
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021001950
(22)【出願日】2021-01-08
(65)【公開番号】P2022107175
(43)【公開日】2022-07-21
【審査請求日】2023-12-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000005463
【氏名又は名称】日野自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】504132881
【氏名又は名称】国立大学法人東京農工大学
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(72)【発明者】
【氏名】濱口 裕
(72)【発明者】
【氏名】ラクシンチャラーンサク ポンサトーン
【審査官】藤村 泰智
(56)【参考文献】
【文献】特表2006-516939(JP,A)
【文献】特開2018-199458(JP,A)
【文献】特開2018-176909(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0164919(US,A1)
【文献】特表2018-535867(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 30/00 ~ 60/00
B60W 10/00 ~ 10/30
G08G 1/00 ~ 1/16
B62D 13/06
B62D 6/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トラクタ及びトレーラを具備した連結車を駐車させるための駐車経路を生成する駐車経路生成装置であって、
前記連結車の現在位置を検出する位置検出部と、
前記連結車の周辺環境を検知する環境検知部と、
前記位置検出部により検出された前記連結車の現在位置を用いて、前記連結車の駐車開始位置を取得する駐車開始位置取得部と、
前記位置検出部により検出された前記連結車の現在位置を含む情報を用いて、前記連結車の駐車目標位置を設定する駐車目標位置設定部と、
前記駐車開始位置取得部により取得された前記駐車開始位置と前記駐車目標位置設定部により設定された前記駐車目標位置と前記環境検知部により検知された前記連結車の周辺環境とを用いて、前記連結車の折返し位置を設定する折返し位置設定部と、
前記駐車開始位置取得部により取得された前記駐車開始位置と前記駐車目標位置設定部により設定された前記駐車目標位置と前記折返し位置設定部により設定された前記折返し位置とに基づいて、前記駐車開始位置から前記折返し位置までの前記トレーラの第1目標経路と前記折返し位置から前記駐車目標位置までの前記トレーラの第2目標経路とを生成する目標経路生成部と、
前記目標経路生成部により生成された前記第1目標経路及び前記第2目標経路に基づいて、前記トラクタの移動経路を算出する移動経路算出部と
前記移動経路算出部により前記トラクタの移動経路が算出された後、前記連結車の幾何モデルを用いて、前記連結車を前記駐車開始位置及び前記駐車目標位置から前記折返し位置までそれぞれ前進走行で追従制御を行う車両運動シミュレーションを実施することで、前記トラクタの操舵角のデータ系列と前記トラクタ及び前記トレーラの各姿勢角のデータ系列とを算出するデータ系列算出部とを備え、
前記目標経路生成部は、前記第1目標経路として、前記駐車開始位置から前記折返し位置までの間で曲率が連続的に変化するような曲線部を有する幾何経路を生成し、前記第2目標経路として、前記折返し位置から前記駐車目標位置までの間で曲率が連続的に変化するような曲線部を有する幾何経路を生成する駐車経路生成装置。
【請求項2】
トラクタ及びトレーラを具備した連結車を駐車させるための駐車経路を生成する駐車経路生成装置であって、
前記連結車の現在位置を検出する位置検出部と、
前記連結車の周辺環境を検知する環境検知部と、
前記位置検出部により検出された前記連結車の現在位置を用いて、前記連結車の駐車開始位置を取得する駐車開始位置取得部と、
前記位置検出部により検出された前記連結車の現在位置を含む情報を用いて、前記連結車の駐車目標位置を設定する駐車目標位置設定部と、
前記駐車開始位置取得部により取得された前記駐車開始位置と前記駐車目標位置設定部により設定された前記駐車目標位置と前記環境検知部により検知された前記連結車の周辺環境とを用いて、前記連結車の折返し位置を設定する折返し位置設定部と、
前記駐車開始位置取得部により取得された前記駐車開始位置と前記駐車目標位置設定部により設定された前記駐車目標位置と前記折返し位置設定部により設定された前記折返し位置とに基づいて、前記駐車開始位置から前記折返し位置までの前記トレーラの第1目標経路と前記折返し位置から前記駐車目標位置までの前記トレーラの第2目標経路とを生成する目標経路生成部と、
前記目標経路生成部により生成された前記第1目標経路及び前記第2目標経路に基づいて、前記トラクタの移動経路を算出する移動経路算出部と、
前記トラクタと前記トレーラとの連結角を検出する連結角検出部とを備え、
前記駐車開始位置取得部は、前記連結車の現在位置と前記連結角とに基づいて、前記駐車開始位置としての前記トレーラの位置座標、方位角及び旋回曲率を取得し、
前記駐車目標位置設定部は、前記連結車の現在位置を含む情報と前記連結角とに基づいて、前記駐車目標位置としての前記トレーラの位置座標、方位角及び旋回曲率を設定し、
前記折返し位置設定部は、前記駐車開始位置と前記駐車目標位置と前記連結車の周辺環境と前記連結角とに基づいて、前記折返し位置としての前記トレーラの位置座標、方位角及び旋回曲率を設定し、
前記目標経路生成部は、前記第1目標経路として、前記駐車開始位置から前記折返し位置までの間で曲率が連続的に変化するような曲線部を有する幾何経路を生成し、前記第2目標経路として、前記折返し位置から前記駐車目標位置までの間で曲率が連続的に変化するような曲線部を有する幾何経路を生成する駐車経路生成装置。
【請求項3】
前記第1目標経路及び前記第2目標経路である幾何経路の曲率最大値が前記トレーラの旋回曲率最大値以下であるかどうかを判断する曲率制約判定部を更に備え、
前記移動経路算出部は、前記曲率制約判定部により前記幾何経路の曲率最大値が前記旋回曲率最大値以下であると判断されたときに、前記トラクタの移動経路を算出し、
前記折返し位置設定部は、前記曲率制約判定部により前記幾何経路の曲率最大値が前記旋回曲率最大値以下でないと判断されたときは、前記折返し位置を再設定する請求項1または2記載の駐車経路生成装置。
【請求項4】
前記第1目標経路及び前記第2目標経路に基づいて、前記トレーラの車体の通過軌跡を予測すると共に、前記移動経路に基づいて、前記トラクタの車体の通過軌跡を予測する車体軌跡予測部と、
前記環境検知部により検知された前記連結車の周辺環境と前記車体軌跡予測部により予測された前記車体の通過軌跡とに基づいて、前記車体が前記連結車の周辺に存在する障害物と接触するかどうかを判断する接触判定部を更に備え、
前記折返し位置設定部は、前記接触判定部により前記連結車が前記障害物と接触すると判断されたときは、前記折返し位置を再設定する請求項1~3の何れか一項記載の駐車経路生成装置。
【請求項5】
トラクタ及びトレーラを具備した連結車を駐車させる駐車制御装置であって、
前記連結車の現在位置を検出する位置検出部と、
前記連結車の周辺環境を検知する環境検知部と、
前記位置検出部により検出された前記連結車の現在位置を用いて、前記連結車の駐車開始位置を取得する駐車開始位置取得部と、
前記位置検出部により検出された前記連結車の現在位置を含む情報を用いて、前記連結車の駐車目標位置を設定する駐車目標位置設定部と、
前記駐車開始位置取得部により取得された前記駐車開始位置と前記駐車目標位置設定部により設定された前記駐車目標位置と前記環境検知部により検知された前記連結車の周辺環境とを用いて、前記連結車の折返し位置を設定する折返し位置設定部と、
前記駐車開始位置取得部により取得された前記駐車開始位置と前記駐車目標位置設定部により設定された前記駐車目標位置と前記折返し位置設定部により設定された前記折返し位置とに基づいて、前記駐車開始位置から前記折返し位置までの前記トレーラの第1目標経路と前記折返し位置から前記駐車目標位置までの前記トレーラの第2目標経路とを生成する目標経路生成部と、
前記目標経路生成部により生成された前記第1目標経路及び前記第2目標経路に基づいて、前記トラクタの移動経路を算出する移動経路算出部と、
前記移動経路算出部により前記トラクタの移動経路が算出された後、前記連結車の幾何モデルを用いて、前記連結車を前記駐車開始位置及び前記駐車目標位置から前記折返し位置までそれぞれ前進走行で追従制御を行う車両運動シミュレーションを実施することで、前記トラクタの操舵角のデータ系列と前記トラクタ及び前記トレーラの各姿勢角のデータ系列とを算出するデータ系列算出部と、
前記目標経路生成部により生成された前記第1目標経路及び前記第2目標経路と前記移動経路算出部により算出された前記移動経路とに沿って前記連結車を前記駐車目標位置に駐車させるように、前記トラクタの操舵制御を行う追従制御部とを備え、
前記目標経路生成部は、前記第1目標経路として、前記駐車開始位置から前記折返し位置までの間で曲率が連続的に変化するような曲線部を有する幾何経路を生成し、前記第2目標経路として、前記折返し位置から前記駐車目標位置までの間で曲率が連続的に変化するような曲線部を有する幾何経路を生成し、
前記追従制御部は、前記データ系列算出部により算出された前記トラクタの操舵角のデータ系列と前記トラクタ及び前記トレーラの各姿勢角のデータ系列とに従って前記連結車を前記駐車目標位置に駐車させるように、前記トラクタの操舵制御を行う駐車制御装置。
【請求項6】
前記トラクタと前記トレーラとの連結角を検出する連結角検出部を更に備え、
前記追従制御部は、前記トラクタの操舵角のデータ系列と前記トラクタ及び前記トレーラの各姿勢角のデータ系列とに従って前記連結車を前記駐車目標位置に駐車させるように、前記トラクタの操舵のフィードフォワード制御を行うと共に、前記連結角と前記連結車の現在位置とに基づいて前記連結車を前記駐車目標位置に駐車させるように、前記トラクタの操舵のフィードバック制御を行う請求項記載の駐車制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駐車経路生成装置及び駐車制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、トラクタ及びトレーラを具備した連結車の後退駐車を支援する後退駐車支援装置が記載されている。特許文献1に記載の後退駐車支援装置は、自車位置から駐車目標位置までの駐車目標経路を作成し、連結車が駐車目標経路に沿って移動するように連結車の操舵角を設定する。このとき、駐車目標経路について、Pure Pursuit法を用いて追従制御した場合の連結車の走行軌跡が作成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-199458号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、駐車場等における連結車の後退駐車では、前進と後退との折返しが行われることが多い。しかし、上記従来技術においては、後退経路のみしか生成されない。このため、前進と後退との折返しを含むような駐車経路を自動的に生成することができない。
【0005】
本発明の目的は、前進と後退との折返しを含むような駐車経路を実環境に応じて簡易に生成することができる駐車経路生成装置及び駐車制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、トラクタ及びトレーラを具備した連結車を駐車させるための駐車経路を生成する駐車経路生成装置であって、連結車の現在位置を検出する位置検出部と、連結車の周辺環境を検知する環境検知部と、位置検出部により検出された連結車の現在位置を用いて、連結車の駐車開始位置を取得する駐車開始位置取得部と、位置検出部により検出された連結車の現在位置を含む情報を用いて、連結車の駐車目標位置を設定する駐車目標位置設定部と、駐車開始位置取得部により取得された駐車開始位置と駐車目標位置設定部により設定された駐車目標位置と環境検知部により検知された連結車の周辺環境とを用いて、連結車の折返し位置を設定する折返し位置設定部と、駐車開始位置取得部により取得された駐車開始位置と駐車目標位置設定部により設定された駐車目標位置と折返し位置設定部により設定された折返し位置とに基づいて、駐車開始位置から折返し位置までのトレーラの第1目標経路と折返し位置から駐車目標位置までのトレーラの第2目標経路とを生成する目標経路生成部と、目標経路生成部により生成された第1目標経路及び第2目標経路に基づいて、トラクタの移動経路を算出する移動経路算出部とを備え、目標経路生成部は、第1目標経路として、駐車開始位置から折返し位置までの間で曲率が連続的に変化するような曲線部を有する幾何経路を生成し、第2目標経路として、折返し位置から駐車目標位置までの間で曲率が連続的に変化するような曲線部を有する幾何経路を生成する。
【0007】
このような駐車経路生成装置においては、連結車の現在位置を用いて、連結車の駐車開始位置が取得され、連結車の現在位置を含む情報を用いて、連結車の駐車目標位置が設定される。また、連結車の駐車開始位置及び駐車目標位置と連結車の周辺環境とを用いて、連結車の折返し位置が設定される。このとき、連結車の周辺環境を考慮して、連結車が周辺に存在する障害物と接触しないような折返し位置が設定される。そして、連結車の駐車開始位置、駐車目標位置及び折返し位置に基づいて、駐車開始位置から折返し位置までのトレーラの第1目標経路と折返し位置から駐車目標位置までのトレーラの第2目標経路とが生成される。そして、トレーラの第1目標経路及び第2目標経路に基づいて、トラクタの移動経路が算出される。ここで、トレーラの第1目標経路として、駐車開始位置から折返し位置までの間で曲率が連続的に変化するような曲線部を有する幾何経路が生成される。トレーラの第2目標経路として、折返し位置から駐車目標位置までの間で曲率が連続的に変化するような曲線部を有する幾何経路が生成される。このため、連結車の姿勢を考慮して、駐車開始位置から駐車目標位置まで滑らかな第1目標経路及び第2目標経路が生成されることになる。これにより、前進と後退との折返しを含むような駐車経路が実環境に応じて簡易に生成される。
【0008】
駐車経路生成装置は、移動経路算出部によりトラクタの移動経路が算出された後、連結車の幾何モデルを用いて、連結車を駐車開始位置及び駐車目標位置から折返し位置までそれぞれ前進走行で追従制御を行う車両運動シミュレーションを実施することで、トラクタの操舵角のデータ系列とトラクタ及びトレーラの各姿勢角のデータ系列とを算出するデータ系列算出部を更に備えてもよい。
【0009】
このような構成では、連結車を駐車開始位置及び駐車目標位置から折返し位置までそれぞれ前進走行で追従制御を行う車両運動シミュレーションを実施することにより、連結角の安定が確保されるトラクタの操舵角のデータ系列とトラクタ及びトレーラの各姿勢角のデータ系列とを算出することができる。また、連結車を駐車目標位置に駐車させる際には、トラクタの操舵角のデータ系列とトラクタ及びトレーラの各姿勢角のデータ系列とに従って、トラクタの操舵制御を行うことにより、連結車を駐車経路に沿って駐車目標位置まで精度良く誘導することができる。
【0010】
駐車経路生成装置は、第1目標経路及び第2目標経路である幾何経路の曲率最大値がトレーラの旋回曲率最大値以下であるかどうかを判断する曲率制約判定部を更に備え、移動経路算出部は、曲率制約判定部により幾何経路の曲率最大値が旋回曲率最大値以下であると判断されたときに、トラクタの移動経路を算出し、折返し位置設定部は、曲率制約判定部により幾何経路の曲率最大値が旋回曲率最大値以下でないと判断されたときは、折返し位置を再設定してもよい。
【0011】
このような構成では、トレーラの第1目標経路及び第2目標経路である幾何経路の曲率最大値は、トラクタの最大舵角とトラクタとトレーラとの最大連結角とで決まるトレーラの旋回曲率最大値以下となる。従って、駐車開始位置から駐車目標位置まで連結車特有の複雑な挙動が考慮された第1目標経路及び第2目標経路が得られる。
【0012】
駐車経路生成装置は、第1目標経路及び第2目標経路に基づいて、トレーラの車体の通過軌跡を予測すると共に、移動経路に基づいて、トラクタの車体の通過軌跡を予測する車体軌跡予測部と、環境検知部により検知された連結車の周辺環境と車体軌跡予測部により予測された車体の通過軌跡とに基づいて、車体が連結車の周辺に存在する障害物と接触するかどうかを判断する接触判定部を更に備え、折返し位置設定部は、接触判定部により連結車が障害物と接触すると判断されたときは、折返し位置を再設定してもよい。
【0013】
このような構成では、連結車が周辺に存在する障害物と接触する可能性があるときは、連結車の折返し位置が再設定されることになる。従って、連結車の周辺に存在する障害物との接触を回避するような第1目標経路及び第2目標経路が確実に生成される。
【0014】
駐車経路生成装置は、トラクタとトレーラとの連結角を検出する連結角検出部を更に備え、駐車開始位置取得部は、連結車の現在位置と連結角とに基づいて、駐車開始位置としてのトレーラの位置座標、方位角及び旋回曲率を取得し、駐車目標位置設定部は、連結車の現在位置を含む情報と連結角とに基づいて、駐車目標位置としてのトレーラの位置座標、方位角及び旋回曲率を設定し、折返し位置設定部は、駐車開始位置と駐車目標位置と連結車の周辺環境と連結角とに基づいて、折返し位置としてのトレーラの位置座標、方位角及び旋回曲率を設定してもよい。
【0015】
このような構成では、連結車の駐車開始位置、駐車目標位置及び折返し位置として、トレーラの位置座標、方位角及び旋回曲率が得られる。従って、トレーラの第1目標経路及び第2目標経路を形成する曲線として、例えば演算負荷が少ないトライ・クロソイド曲線等を採用することができる。
【0016】
本発明の他の態様は、トラクタ及びトレーラを具備した連結車を駐車させる駐車制御装置であって、連結車の現在位置を検出する位置検出部と、連結車の周辺環境を検知する環境検知部と、位置検出部により検出された連結車の現在位置を用いて、連結車の駐車開始位置を取得する駐車開始位置取得部と、位置検出部により検出された連結車の現在位置を含む情報を用いて、連結車の駐車目標位置を設定する駐車目標位置設定部と、駐車開始位置取得部により取得された駐車開始位置と駐車目標位置設定部により設定された駐車目標位置と環境検知部により検知された連結車の周辺環境とを用いて、連結車の折返し位置を設定する折返し位置設定部と、駐車開始位置取得部により取得された駐車開始位置と駐車目標位置設定部により設定された駐車目標位置と折返し位置設定部により設定された折返し位置とに基づいて、駐車開始位置から折返し位置までのトレーラの第1目標経路と折返し位置から駐車目標位置までのトレーラの第2目標経路とを生成する目標経路生成部と、目標経路生成部により生成された第1目標経路及び第2目標経路に基づいて、トラクタの移動経路を算出する移動経路算出部と、目標経路生成部により生成された第1目標経路及び第2目標経路と移動経路算出部により算出された移動経路とに沿って連結車を駐車目標位置に駐車させるように、トラクタの操舵制御を行う追従制御部とを備え、目標経路生成部は、第1目標経路として、駐車開始位置から折返し位置までの間で曲率が連続的に変化するような曲線部を有する幾何経路を生成し、第2目標経路として、折返し位置から駐車目標位置までの間で曲率が連続的に変化するような曲線部を有する幾何経路を生成する。
【0017】
このような駐車制御装置においては、連結車の現在位置を用いて、連結車の駐車開始位置が取得され、連結車の現在位置を含む情報を用いて、連結車の駐車目標位置が設定される。また、連結車の駐車開始位置及び駐車目標位置と連結車の周辺環境とを用いて、連結車の折返し位置が設定される。このとき、連結車の周辺環境を考慮して、連結車が周辺に存在する障害物と接触しないような折返し位置が設定される。そして、連結車の駐車開始位置、駐車目標位置及び折返し位置に基づいて、駐車開始位置から折返し位置までのトレーラの第1目標経路と折返し位置から駐車目標位置までのトレーラの第2目標経路とが生成される。そして、トレーラの第1目標経路及び第2目標経路に基づいて、トラクタの移動経路が算出される。そして、トレーラの第1目標経路及び第2目標経路とトラクタの移動経路とに沿って連結車を駐車目標位置に駐車させるように、連結車の操舵制御が行われる。ここで、トレーラの第1目標経路として、駐車開始位置から折返し位置までの間で曲率が連続的に変化するような曲線部を有する幾何経路が生成される。トレーラの第2目標経路として、折返し位置から駐車目標位置までの間で曲率が連続的に変化するような曲線部を有する幾何経路が生成される。このため、連結車の姿勢を考慮して、駐車開始位置から駐車目標位置まで滑らかな第1目標経路及び第2目標経路が生成されることになる。これにより、前進と後退との折返しを含むような駐車経路が実環境に応じて簡易に生成される。
【0018】
駐車制御装置は、移動経路算出部によりトラクタの移動経路が算出された後、連結車の幾何モデルを用いて、連結車を駐車開始位置及び駐車目標位置から折返し位置までそれぞれ前進走行で追従制御を行う車両運動シミュレーションを実施することで、トラクタの操舵角のデータ系列とトラクタ及びトレーラの各姿勢角のデータ系列とを算出するデータ系列算出部を更に備え、追従制御部は、データ系列算出部により算出されたトラクタの操舵角のデータ系列とトラクタ及びトレーラの各姿勢角のデータ系列とに従って連結車を駐車目標位置に駐車させるように、トラクタの操舵制御を行ってもよい。
【0019】
このような構成では、連結車を駐車開始位置及び駐車目標位置から折返し位置までそれぞれ前進走行で追従制御を行う車両運動シミュレーションを実施することにより、連結角の安定が確保されるトラクタの操舵角のデータ系列とトラクタ及びトレーラの各姿勢角のデータ系列とを算出することができる。また、連結車を駐車目標位置に駐車させる際には、トラクタの操舵角のデータ系列とトラクタ及びトレーラの各姿勢角のデータ系列とに従って、トラクタの操舵制御を行うことにより、連結車を駐車経路に沿って駐車目標位置まで精度良く誘導することができる。
【0020】
駐車制御装置は、トラクタとトレーラとの連結角を検出する連結角検出部を更に備え、追従制御部は、トラクタの操舵角のデータ系列とトラクタ及びトレーラの各姿勢角のデータ系列とに従って連結車を駐車目標位置に駐車させるように、トラクタの操舵のフィードフォワード制御を行うと共に、連結角と連結車の現在位置とに基づいて連結車を駐車目標位置に駐車させるように、トラクタの操舵のフィードバック制御を行ってもよい。
【0021】
このような構成では、トラクタの操舵角のデータ系列とトラクタ及びトレーラの各姿勢角のデータ系列とに従って、トラクタの操舵のフィードフォワード制御を行うだけでなく、トラクタとトレーラとの連結角と連結車の現在位置とに基づいて、トラクタの操舵のフィードバック制御を行うことにより、外乱等があっても、連結車を駐車経路に沿って駐車目標位置まで精度良く誘導することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、前進と後退との折返しを含むような駐車経路を実環境に応じて簡易に生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の一実施形態に係る駐車経路生成装置を備えた駐車制御装置を概略的に示すブロック図である。
図2図1に示された駐車制御装置が搭載された連結車の側面図である。
図3図2に示された連結車が駐車する様子を示す平面図である。
図4図1に示された経路生成ECUにより実行される経路生成処理の手順の詳細を示すフローチャートである。
図5図2に示された連結車をモデル化して示す概略図である。
図6】駐車開始位置から折返し位置までのトレーラの第1目標経路と折返し位置から駐車目標位置までのトレーラの第2目標経路とを示す平面図である。
図7】トライ・クロソイド曲線により得られるトレーラの第2目標経路の一例をトラクタの移動経路と共に示すグラフである。
図8】トレーラの車体及びトラクタの車体の通過軌跡の一例を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0025】
図1は、本発明の一実施形態に係る駐車経路生成装置を備えた駐車制御装置を概略的に示すブロック図である。図1において、本実施形態の駐車制御装置1は、図2及び図3に示されるように、駐車場等において連結車2を自動的に駐車させる装置である。
【0026】
連結車2は、ここではセミトレーラ式の大型トラックである。なお、連結車2は、中型トラックまたは小型トラックでもよい。連結車2は、トラクタ3と、このトラクタ3の後側に配置されたトレーラ4とを具備している。トレーラ4は、連結部5においてトラクタ3に回動可能に連結されている。
【0027】
トラクタ3は、車体6と、この車体6の前側に回転可能に支持された左右1対の前輪7と、車体6の後側に回転可能に支持された左右1対の後輪8とを有している。トラクタ3には、エンジン(図示せず)が搭載されている。トレーラ4は、車体9と、この車体9の後側に回転可能に支持された左右1対の車輪10とを有している。
【0028】
図1に戻り、駐車制御装置1は、連結車2に搭載されている。駐車制御装置1は、カーナビゲーション11と、連結角センサ12と、カメラ13と、経路生成ECU14と、駐車制御ECU15とを備えている。
【0029】
カーナビゲーション11、連結角センサ12、カメラ13及び経路生成ECU14は、本実施形態の駐車経路生成装置16を構成している。駐車経路生成装置16は、駐車制御装置1により連結車2を駐車させるための駐車経路を生成する装置である。
【0030】
駐車経路生成装置16は、図3に示されるように、駐車スペースHの横から前進し、1回の折返しを行って駐車スペースHまで後退するような駐車経路を生成する。具体的には、駐車経路生成装置16は、駐車開始位置A1から折返し位置A3まで前進した後、折返し位置A3から駐車目標位置A2まで後退するような駐車経路を生成する。駐車開始位置A1、駐車目標位置A2及び折返し位置A3については、後で詳述する。
【0031】
カーナビゲーション11は、GPS衛星から送信される電波を受信して、連結車2の現在位置を測定するGPS受信機17と、地図データを記憶する地図記憶部18と、連結車2の現在位置を地図と共に表示するディスプレイ19と、連結車2の目的地等のデータを設定入力する入力部20とを有している。
【0032】
GPS受信機17は、連結車2の現在位置を検出する位置検出部を構成している。GPS受信機17は、連結車2の現在位置として、トラクタ3の2次元座標(X,Y座標)の位置座標及び方位角を検出する。
【0033】
連結角センサ12は、トラクタ3とトレーラ4との連結角θ(図5参照)を検出するセンサ(連結角検出部)である。連結角θは、トラクタ3の前後方向に延びる仮想線L1とトレーラ4の前後方向に延びる仮想線L2とが交差する角度である。トラクタ3及びトレーラ4が同一直線上に配置されている状態では、連結角θは0度である。
【0034】
カメラ13は、連結車2の周囲を撮像する撮像部である。カメラ13は、例えばトラクタ3及びトレーラ4にそれぞれ設けられている。カメラ13は、障害物50(図3及び図6参照)の有無等といった連結車2の周辺環境を検知する環境検知部を構成している。
【0035】
障害物50としては、他の駐車車両51(図3参照)、建物の壁52(図6参照)または縁石等が挙げられる。建物の壁52がカーナビゲーション11に内蔵された地図データから分かる場合には、カーナビゲーション11の地図記憶部18も環境検知部を構成する。
【0036】
経路生成ECU14は、CPU、RAM、ROM及び入出力インターフェース等により構成されている。経路生成ECU14は、カーナビゲーション11の情報、連結角センサ12の検出値及びカメラ13の撮像画像を入力し、連結車2の駐車経路の生成に関する処理を実行し、連結車2の駐車経路を含むデータを駐車制御ECU15に出力する。
【0037】
経路生成ECU14は、駐車開始位置取得部21と、駐車目標位置設定部22と、折返し位置設定部23と、目標経路生成部24と、曲率制約判定部25と、移動経路算出部26と、車体軌跡予測部27と、接触判定部28と、データ系列算出部29と、データ出力部30とを有している。
【0038】
駐車開始位置取得部21は、カーナビゲーション11のGPS受信機17により検出された連結車2の現在位置を用いて、連結車2の駐車開始位置A1(図3参照)を取得する。具体的には、駐車開始位置取得部21は、連結車2の現在位置と、連結角センサ12により検出されたトラクタ3とトレーラ4との連結角θとに基づいて、連結車2の駐車開始位置A1を取得する。駐車開始位置取得部21は、連結車2の駐車開始位置A1として、トレーラ4の位置座標、方位角及び旋回曲率を取得する。
【0039】
駐車目標位置設定部22は、GPS受信機17により検出された連結車2の現在位置を含むカーナビゲーション11の情報を用いて、連結車2の駐車目標位置A2(図3参照)を設定する。具体的には、駐車目標位置設定部22は、連結車2の現在位置を含むカーナビゲーション11の情報と、連結角センサ12により検出されたトラクタ3とトレーラ4との連結角θと、カメラ13の撮像画像とに基づいて、連結車2の駐車目標位置A2を設定する。駐車目標位置設定部22は、連結車2の駐車目標位置A2として、トレーラ4の位置座標、方位角及び旋回曲率を取得する。
【0040】
折返し位置設定部23は、駐車開始位置取得部21により取得された連結車2の駐車開始位置A1と駐車目標位置設定部22により設定された連結車2の駐車目標位置A2とカメラ13により検知された連結車2の周辺環境とを用いて、連結車2の折返し位置A3(図3参照)を設定する。具体的には、折返し位置設定部23は、連結車2の駐車開始位置A1及び駐車目標位置A2と、連結角センサ12により検出されたトラクタ3とトレーラ4との連結角θと、カメラ13の撮像画像とに基づいて、連結車2の折返し位置A3を設定する。折返し位置A3は、前進から後退に切り換わる位置である。折返し位置設定部23は、連結車2の折返し位置A3として、トレーラ4の位置座標、方位角及び旋回曲率を取得する。
【0041】
目標経路生成部24は、駐車開始位置取得部21により取得された連結車2の駐車開始位置A1と、駐車目標位置設定部22により設定された連結車2の駐車目標位置A2と、折返し位置設定部23により設定された連結車2の折返し位置A3とに基づいて、トレーラ4の第1目標経路R1及び第2目標経路R2(図6参照)を生成する。第1目標経路R1は、駐車開始位置A1から折返し位置A3までのトレーラ4の目標経路である。第2目標経路R2は、折返し位置A3から駐車目標位置A2までのトレーラ4の目標経路である。
【0042】
目標経路生成部24は、トレーラ4の第1目標経路R1として、連結車2の駐車開始位置A1から折返し位置A3までの間で曲率が連続的に変化するような曲線部を有する幾何経路を生成する。目標経路生成部24は、トレーラ4の第2目標経路R2として、連結車2の折返し位置A3から駐車目標位置A2までの間で曲率が連続的に変化するような曲線部を有する幾何経路を生成する。
【0043】
曲率制約判定部25は、目標経路生成部24により生成されたトレーラ4の第1目標経路R1及び第2目標経路R2である幾何経路が車両構造に基づくトレーラ4の旋回曲率最大値の制約を満たしているかどうかを判定する。具体的には、曲率制約判定部25は、トレーラ4の第1目標経路R1及び第2目標経路R2である幾何経路の曲率最大値がトレーラ4の旋回曲率最大値以下であるかどうかを判断する。
【0044】
移動経路算出部26は、曲率制約判定部25により幾何経路の曲率最大値がトレーラ4の旋回曲率最大値以下であると判断されたときに、目標経路生成部24により生成されたトレーラ4の第1目標経路R1及び第2目標経路R2に基づいて、連結車2の駐車開始位置A1から駐車目標位置A2までのトラクタ3の移動経路Qを算出する。
【0045】
車体軌跡予測部27は、目標経路生成部24により生成されたトレーラ4の第1目標経路R1及び第2目標経路R2に基づいて、トレーラ4の車体9の通過軌跡を予測すると共に、移動経路算出部26により算出されたトラクタ3の移動経路Qに基づいて、トラクタ3の車体6の通過軌跡を予測する。
【0046】
接触判定部28は、カーナビゲーション11の情報と、カメラ13の撮像画像と、車体軌跡予測部27により予測されたトレーラ4の車体9及びトラクタ3の車体6の通過軌跡とに基づいて、車体6,9が障害物50(図3及び図6参照)と接触するかどうかを判断する。カーナビゲーション11の情報及びカメラ13の撮像画像は、環境検知部の検知データに相当する。
【0047】
データ系列算出部29は、移動経路算出部26によりトラクタ3の移動経路Qが算出された後、連結車2の幾何モデルを用いて、連結車2を駐車開始位置A1及び駐車目標位置A2から折返し位置A3までそれぞれ前進走行で追従制御を行う車両運動シミュレーションを実施することで、トラクタ3の操舵角のデータ系列とトラクタ3及びトレーラ4の各姿勢角のデータ系列とを算出する。なお、データ系列は、履歴データである。
【0048】
データ出力部30は、接触判定部28により車体6,9が障害物50と接触しないと判断されたときに、トレーラ4の第1目標経路R1及び第2目標経路R2とトラクタ3の移動経路Qとを駐車経路データとして駐車制御ECU15に出力すると共に、トラクタ3の操舵角のデータ系列とトラクタ3及びトレーラ4の各姿勢角のデータ系列とを駐車制御ECU15に出力する。
【0049】
図4は、経路生成ECU14により実行される経路生成処理の手順の詳細を示すフローチャートである。本処理は、連結車2の運転者によって駐車支援の開始が指示されると、実行される。このとき、運転者は、連結車2の駐車目標位置候補をカーナビゲーション11の入力部20により設定入力してもよい。
【0050】
図4において、経路生成ECU14は、まずGPS受信機17を含むカーナビゲーション11の情報及び連結角センサ12の検出値に基づいて、連結車2の駐車開始位置A1としてのトレーラ4の位置座標、方位角及び旋回曲率を取得する(手順S101)。
【0051】
トレーラ4の位置座標は、例えば図5に示されるように、トレーラ4の後軸中心O2の位置座標(X2,Y2)である。トレーラ4の後軸中心O2は、図3に示されるように、トレーラ4の後側に配置された左右1対の車輪10に連結された車軸10aの軸方向(トレーラ4の車幅方向)の中心である。トレーラ4の方位角は、トレーラ4のヨー角Ψ2に相当する。なお、トラクタ3の方位角は、トラクタ3のヨー角Ψ1に相当する。
【0052】
また、連結車2の定常旋回を仮定する条件下では、トレーラ4の旋回曲率は、トラクタ3に対するトレーラ4の連結角と一意に対応する。このため、トラクタ3とトレーラ4との連結角θは、トレーラ4の旋回曲率を入力とする代数式で求められる。従って、トレーラ4の旋回曲率は、トラクタ3とトレーラ4との連結角θから得られる。トラクタ3とトレーラ4との連結角θが0度である状態では、トレーラ4の旋回曲率は0である。なお、図5では、連結車2がモデル化して示されている。
【0053】
続いて、経路生成ECU14は、GPS受信機17を含むカーナビゲーション11の情報、連結角センサ12の検出値及びカメラ13の撮像画像に基づいて、連結車2の駐車目標位置A2としてのトレーラ4の位置座標、方位角及び旋回曲率を設定する(手順S102)。
【0054】
続いて、経路生成ECU14は、連結車2の駐車開始位置A1及び駐車目標位置A2、連結角センサ12の検出値及びカメラ13の撮像画像に基づいて、連結車2の折返し位置A3としてのトレーラ4の位置座標、方位角及び旋回曲率を設定する(手順S103)。このとき、経路生成ECU14は、連結車2の駐車開始位置A1及び駐車目標位置A2から、連結車2の折返し位置A3の候補となるエリアを算出し、そのエリア内において障害物50に接触しないような折返し位置A3を設定する。
【0055】
続いて、経路生成ECU14は、連結車2の駐車開始位置A1、駐車目標位置A2及び折返し位置A3に基づいて、トレーラ4の後軸中心O2の第1目標経路R1及び第2目標経路R2を生成する(手順S104)。トレーラ4の後軸中心O2の第1目標経路R1は、図6に示されるように、連結車2の駐車開始位置A1から折返し位置A3までの間で曲率が連続的に変化するような曲線部を有する幾何経路である。トレーラ4の後軸中心O2の第2目標経路R2は、図6に示されるように、連結車2の折返し位置A3から駐車目標位置A2までの間で曲率が連続的に変化するような曲線部を有する幾何経路である。曲率が連続的に変化するような曲線としては、トライ・クロソイド曲線が採用される。
【0056】
トライ・クロソイド曲線は、曲率の急激な変化が生じない曲線である。トライ・クロソイド曲線は、例えば曲率変化率が一定な曲線である。トライ・クロソイド曲線は、3本の経路長が等しいクロソイド曲線を組み合わせることにより、初期及び終端の曲線及び位置を任意に指定することが可能な滑らかな曲線である。トライ・クロソイド曲線は、2変数の非線形方程式を数値的に解くことで簡単に求められる。なお、トライ・クロソイド曲線については、日本機械学会論文集(Vol.85,No.878,2019)の「クロソイド曲線による初期と終端の曲率が指定可能な経路生成手法」に詳細に記載されている。
【0057】
図7は、トライ・クロソイド曲線により得られるトレーラ4の後軸中心O2の第2目標経路R2の一例を示すグラフである。なお、図7は、セミトレーラ式の連結車の経路生成についてのシミュレーション結果を示している。
【0058】
図7において、トライ・クロソイド曲線で与えられるトレーラ4の第2目標経路R2の一端は、連結車2の折返し位置A3におけるトレーラ4の位置を表している。トライ・クロソイド曲線で与えられる第2目標経路Rの他端は、連結車2の駐車目標位置A2におけるトレーラ4の位置を表している。折返し位置A3では、位置座標は(Xa,Ya)であり、方位角は0度であり、旋回曲率は0である。駐車目標位置A2では、位置座標は(Xb,Yb)であり、方位角は90度であり、旋回曲率は0である。また、第2目標経路R2の駐車目標位置A2側の端部は直線部であり、第2目標経路R2の他の部分は曲線部となっている。なお、第2目標経路R2は、全体的に曲線状であってもよい。
【0059】
続いて、経路生成ECU14は、トレーラ4の後軸中心O2の第1目標経路R1及び第2目標経路R2である幾何経路の曲率最大値がトレーラ4の旋回曲率最大値以下であるかどうかを判断する(手順S105)。トレーラ4の旋回曲率最大値は、連結車2の車両構造上の最大舵角及び最大連結角に応じて予め決まっている。なお、連結車2の舵角は、トラクタ3の前輪7の舵角δ(図5参照)である。
【0060】
経路生成ECU14は、トレーラ4の後軸中心O2の第1目標経路R1及び第2目標経路R2である幾何経路の曲率最大値がトレーラ4の旋回曲率最大値以下でないと判断したときは、上記の手順S103を再度実行し、連結車2の折返し位置A3を再設定する。
【0061】
経路生成ECU14は、トレーラ4の後軸中心O2の第1目標経路R1及び第2目標経路R2である幾何経路の曲率最大値がトレーラ4の旋回曲率最大値以下であると判断したときは、トレーラ4の後軸中心O2の第1目標経路R1及び第2目標経路R2とトレーラ4の車体9の寸法とに基づいて、トラクタ3の後軸中心O1の移動経路Qを算出する(手順S106)。
【0062】
このとき、経路生成ECU14は、連結車2の定常旋回を仮定したうえで、トレーラ4の後軸中心O2の第1目標経路R1及び第2目標経路R2の曲率からトラクタ3とトレーラ4との連結角θを代数式で求め、トラクタ3の後軸中心O1の移動経路Qをトレーラ4の位置に対する相対関係から代数的に求める。トレーラ4の後軸中心O2の第1目標経路R1及び第2目標経路R2である幾何経路としては、曲率が連続変化する値が用いられるので、連結車2の定常旋回を仮定して連結角θを求めても差し支えなく、また得られる連結角θも連続変化する値である。このため、一般的に微分方程式で表される複雑な連結車ダイナミクスを解くことなく、トレーラ4とトラクタ3とのスムーズな相対挙動が近似的に表現される。
【0063】
トラクタ3の後軸中心O1は、図3に示されるように、トラクタ3の左右1対の後輪8に連結された車軸8aの軸方向(トラクタ3の車幅方向)の中心である。なお、トラクタ3の左右1対の前輪7には、車軸7aが連結されている。また、トラクタ3の後軸中心O1の位置座標は、(X1,Y1)である(図5参照)。
【0064】
図7に示されるシミュレーションでは、トライ・クロソイド曲線で与えられるトレーラ4の後軸中心O2の第2目標経路R2から、トラクタ3の後軸中心O1の移動経路Qが得られる。移動経路Qは、トレーラ4の後軸中心O2の第2目標経路R2に応じた特徴的な曲線となっている。
【0065】
続いて、経路生成ECU14は、トレーラ4の後軸中心O2の第1目標経路R1及び第2目標経路R2とトレーラ4の車体9の形状及び寸法とに基づいて、トレーラ4の車体9の通過軌跡を予測すると共に、トラクタ3の後軸中心O1の移動経路Qとトラクタ3の車体6の形状及び寸法とに基づいて、トラクタ3の車体6の通過軌跡を予測する(手順S107)。
【0066】
図8は、トレーラ4の車体9及びトラクタ3の車体6の通過軌跡の一例を示すグラフであり、図7に示されるグラフに対応している。図8において、トレーラ4の車体9の通過軌跡B1は、図7に示されるトレーラ4の後軸中心O2の第2目標経路R2を基準として、幾何的に求められる。トラクタ3の車体6の通過軌跡B2は、図7に示されるトラクタ3の後軸中心O1の移動経路Qを基準として、幾何的に求められる。
【0067】
続いて、経路生成ECU14は、カーナビゲーション11の情報及びカメラ13の撮像画像に基づいて、連結車2の車体6,9が周囲の障害物50(図6参照)と接触しないかどうかを判断する(手順S108)。経路生成ECU14は、連結車2の車体6,9が周囲の障害物50と接触すると判断したときは、上記の手順S103を再度実行し、連結車2の折返し位置A3を再設定する。
【0068】
経路生成ECU14は、連結車2の車体6,9が周囲の障害物50と接触しないと判断したときは、連結車2の簡易幾何モデルを用いて、連結車2を駐車開始位置A1から折返し位置A3まで第1目標経路R1及び移動経路Qに沿って前進走行で追従制御を行うと共に、連結車2を駐車目標位置A2から折返し位置A3まで第2目標経路R2及び移動経路Qに沿って前進走行で追従制御を行う車両運動シミュレーションを実施することで、トラクタ3の操舵角のデータ系列とトラクタ3及びトレーラ4の各姿勢角のデータ系列とを算出する(手順S109)。なお、トラクタ3の操舵角は、トラクタ3の前輪7の舵角δに相当する。このとき、経路生成ECU14は、例えばトラクタ3の移動経路Qである幾何経路に対し、経路追従制御手法を用いて追従制御を行う車両運動シミュレーションを実施してもよい。
【0069】
実際の駐車では、連結車2を折返し位置A3から駐車目標位置A2まで後退させる。ただし、エンジン等の動力源は、トラクタ3に搭載されており、トレーラ4には搭載されていない。従って、連結車2を後退させる際には、トラクタ3がトレーラ4を押して走行することになるため、トラクタ3とトレーラ4との連結角θの挙動は不安定である。このため、追従制御を行う場合には、制御器の数値パラメータの調整が複雑にならざるを得ない。
【0070】
一方、連結車2を前進させる際には、トラクタ3がトレーラ4を引っ張って走行することになるため、トラクタ3とトレーラ4との連結角θの挙動は安定である。このため、追従制御に使用される数値パラメータを比較的簡単に設定することができる。また、上記の手順S105において、目標経路である幾何経路の曲率最大値が連結車2の旋回曲最大値以下であることが確保されているため、車両運動シミュレーション上では、連結車2の前進走行を逆再生させても、連結車2の前進走行時と同じ軌跡が得られる。
【0071】
そこで、本車両運動シミュレーションでは、折返し位置A3と駐車目標位置A2との間でも、駐車目標位置A2を出発点とし、折返し位置A3を到着点とする前進走行シミュレーションが実施される。
【0072】
続いて、経路生成ECU14は、トレーラ4の後軸中心O2の第1目標経路R1及び第2目標経路R2とトラクタ3の後軸中心O1の移動経路Qとを駐車経路データとして駐車制御ECU15に出力すると共に、トラクタ3の操舵角のデータ系列とトラクタ3及びトレーラ4の各姿勢角のデータ系列とを駐車制御ECU15に出力する(手順S110)。
【0073】
ここで、駐車開始位置取得部21は、手順S101を実行する。駐車目標位置設定部22は、手順S102を実行する。折返し位置設定部23は、手順S103を実行する。目標経路生成部24は、手順S104を実行する。曲率制約判定部25は、手順S105を実行する。移動経路算出部26は、手順S106を実行する。車体軌跡予測部27は、手順S107を実行する。接触判定部28は、手順S108を実行する。データ系列算出部29は、手順S109を実行する。データ出力部30は、手順S110を実行する。
【0074】
図1に戻り、駐車制御ECU15は、CPU、RAM、ROM及び入出力インターフェース等により構成されている。駐車制御ECU15は、経路生成ECU14からの駐車経路データ及びデータ系列とカーナビゲーション11の情報と連結角センサ12の検出値とを入力し、連結車2の自動駐車に関する処理を実行する。
【0075】
駐車制御ECU15は、記憶部31と、追従制御部32とを有している。記憶部31は、経路生成ECU14のデータ出力部30から出力された駐車経路データ及びデータ系列を記憶する。
【0076】
追従制御部32は、記憶部31に記憶された駐車経路データ及びデータ系列に従って連結車2を駐車目標位置A2に駐車させるように、連結車2の操舵制御及び速度制御を行う。追従制御部32は、トラクタ3の後軸中心O1の移動経路Q及びトレーラ4の後軸中心O2の第1目標経路R1及び第2目標経路R2に沿って連結車2を追従走行させるように、連結車2の操舵制御及び速度制御を行う。追従制御部32は、連結車2の操舵制御においては連結車2のステアリングを制御し、連結車2の速度制御においてはアクセル及びブレーキを制御する。
【0077】
このとき、追従制御部32は、トラクタ3の操舵角のデータ系列とトラクタ3及びトレーラ4の各姿勢角のデータ系列とに従って、連結車2を駐車目標位置A2に駐車させるように、トラクタ3の操舵のフィードフォワード制御を行う。つまり、追従制御部32は、トラクタ3の操舵角のデータ系列とトラクタ3及びトレーラ4の各姿勢角のデータ系列とを目標値として、トラクタ3の操舵のフィードフォワード制御を行う。また、追従制御部32は、連結角センサ12により検出されたトラクタ3とトレーラ4との連結角θとGPS受信機17により検出された連結車2の現在位置とに基づいて、連結車2を駐車目標位置A2に駐車させるように、トラクタ3の操舵のフィードバック制御を行う。
【0078】
追従制御部32は、例えばトライ・クロソイド曲線で与えられたトレーラ4の目標経路上に仮想的に目標姿勢の車両を考え、その目標値に対する実車両の相対誤差を状態量として0に近づけるような追従制御を行う。誤差状態量を0に近づけるような追従制御としては、例えばLQ制御が挙げられる。
【0079】
以上のように本実施形態にあっては、連結車2の現在位置を用いて、連結車2の駐車開始位置A1が取得され、連結車2の現在位置を含む情報を用いて、連結車2の駐車目標位置A2が設定される。また、連結車2の駐車開始位置A1及び駐車目標位置A2と連結車2の周辺環境とを用いて、連結車2の折返し位置A3が設定される。このとき、連結車2の周辺環境を考慮して、連結車2が周辺に存在する障害物50と接触しないような折返し位置A3が設定される。そして、連結車2の駐車開始位置A1、駐車目標位置A2及び折返し位置A3に基づいて、駐車開始位置A1から折返し位置A3までのトレーラ4の第1目標経路R1と折返し位置A3から駐車目標位置A2までのトレーラ4の第2目標経路R2とが生成される。そして、トレーラ4の第1目標経路R1及び第2目標経路R2に基づいて、トラクタ3の移動経路Qが算出される。そして、トレーラ4の第1目標経路R1及び第2目標経路R2とトラクタ3の移動経路Qとに沿って連結車2を駐車目標位置A2に駐車させるように、連結車2の操舵制御が行われる。ここで、トレーラ4の第1目標経路R1として、連結車2の駐車開始位置A1から折返し位置A3までの間で曲率が連続的に変化するような曲線部を有する幾何経路が生成される。トレーラ4の第2目標経路R2として、連結車2の折返し位置A3から駐車目標位置A2までの間で曲率が連続的に変化するような曲線部を有する幾何経路が生成される。このため、連結車2の姿勢を考慮して、駐車開始位置A1から駐車目標位置A2まで滑らかな第1目標経路R1及び第2目標経路R2が生成されることになる。これにより、前進と後退との折返しを含むような駐車経路が実環境に応じて簡易に生成される。また、車両パラメータに応じた事前のオフライン演算が不要となるため、トレーラ4の繋ぎ替え等の車両パラメータの変更への対応を容易に行うことができる。その結果、量産車両への導入を安価に実現することが可能となる。
【0080】
また、本実施形態では、連結車2の駐車開始位置A1から駐車目標位置A2まで滑らかな駐車経路が生成されることになる。このような駐車経路に対して例えば経路曲率をフィードフォワード情報として利用する操舵制御を組み合わせることで、駐車経路に対して連結車2の逸脱量が少ない経路追従制御を実現することができる。また、例えばトレーラ4の第1目標経路R1及び第2目標経路R2の値を代数式へ代入演算することで、トレーラ4の車体9及びトラクタ3の車体6の通過軌跡を容易に予測することができる。従って、演算処理を簡素化しつつ、連結車2の周囲に存在する障害物50との接触を回避するような駐車経路を生成することができる。
【0081】
また、本実施形態では、連結車2の幾何モデルを用いて、連結車2を駐車開始位置A1及び駐車目標位置A2から折返し位置A3までそれぞれ前進走行で追従制御を行う車両運動シミュレーションを実施することにより、連結角θの安定が確保されるトラクタ3の操舵角のデータ系列とトラクタ3及びトレーラ4の各姿勢角のデータ系列とを算出することができる。また、連結車2を駐車目標位置A2に駐車させる際には、トラクタ3の操舵角のデータ系列とトラクタ3及びトレーラ4の各姿勢角のデータ系列とに従って、トラクタ3の操舵制御を行うことにより、連結車2を駐車経路に沿って駐車目標位置A2まで精度良く誘導することができる。
【0082】
また、本実施形態では、トラクタ3の操舵角のデータ系列とトラクタ3及びトレーラ4の各姿勢角のデータ系列とに従って、トラクタ3の操舵のフィードフォワード制御を行うだけでなく、トラクタ3とトレーラ4との連結角θと連結車2の現在位置とに基づいて、トラクタ3の操舵のフィードバック制御を行うことにより、外乱等があっても、連結車2を駐車経路に沿って駐車目標位置A2まで精度良く誘導することができる。
【0083】
また、本実施形態では、トレーラ4の第1目標経路R1及び第2目標経路R2である幾何経路の曲率最大値がトレーラ4の旋回曲率最大値以下であると判断されたときに、トラクタ3の移動経路Qが算出され、幾何経路の曲率最大値がトレーラ4の旋回曲率最大値以下でないと判断されたときは、連結車2の折返し位置A3が再設定される。このため、トレーラ4の第1目標経路R1及び第2目標経路R2である幾何経路の曲率最大値は、トラクタ3の最大舵角とトラクタ3とトレーラ4との最大連結角とで決まるトレーラ4の旋回曲率最大値以下となる。従って、駐車開始位置A1から駐車目標位置A2まで連結車2特有の複雑な挙動が考慮された第1目標経路R1及び第2目標経路R2が得られる。
【0084】
また、本実施形態では、トレーラ4の第1目標経路R1及び第2目標経路R2に基づいて、トレーラ4の車体9の通過軌跡が予測されると共に、トラクタ3の移動経路Qに基づいて、トラクタ3の車体6の通過軌跡が予測される。そして、カメラ13の撮像画像と車体6,9の通過軌跡とに基づいて、車体6,9が障害物50と接触するかどうかが判断され、車体6,9が障害物50と接触すると判断されたときは、連結車2の折返し位置A3が再設定される。従って、連結車2の周囲に存在する障害物50との接触を回避するような第1目標経路R1及び第2目標経路R2が確実に生成される。
【0085】
また、本実施形態では、連結車2の駐車開始位置A1、駐車目標位置A2及び折返し位置A3として、トレーラ4の位置座標、方位角及び旋回曲率が得られる。従って、トレーラ4の第1目標経路R1及び第2目標経路R2を形成する曲線として、例えば演算負荷が少ないトライ・クロソイド曲線等を採用することができる。
【0086】
なお、本発明は、上記実施形態には限定されない。例えば上記実施形態では、カーナビゲーション11のGPS受信機17によって連結車2の現在位置が測定されているが、連結車2の現在位置を検出する位置検出部としては、特にGPS受信機17には限られない。例えば、連結車2の周囲にレーザを照射し、レーザの反射光を受光するレーザセンサのデータを利用したレーザSLAM手法を用いて、連結車2の現在位置を推定してもよいし、或いはカメラの撮像画像を利用したVisual SLAM手法を用いて、連結車2の現在位置を推定してもよい。
【0087】
また、上記実施形態では、カメラ13を使用して、連結車2の周辺環境が検知されているが、特にその形態には限られず、カメラ13に代えて又はカメラ13と共にレーザセンサ及びレーダセンサ等を使用して、連結車2の周辺環境を検知してもよい。
【0088】
また、上記実施形態では、トレーラ4の後軸中心O2の第1目標経路R1及び第2目標経路R2が生成され、トラクタ3の後軸中心O1の移動経路Qが算出されているが、特にそのような形態には限られない。トレーラ4の第1目標経路R1及び第2目標経路R2としては、トレーラ4の任意の点(例えば車体9の中心点)の目標経路を生成してもよい。トラクタ3の移動経路Qとしては、トラクタ3の任意の点(例えば車体6の中心点)の移動経路を算出してもよい。
【0089】
また、上記実施形態では、トライ・クロソイド曲線を採用して、トレーラ4の第1目標経路R1及び第2目標経路R2が生成されているが、特にその形態には限られない。トレーラ4の第1目標経路R1としては、連結車2の駐車開始位置A1から折返し位置A3までの間で曲率が連続的に変化するような曲線を採用すればよい。トレーラ4の第2目標経路R2としては、連結車2の折返し位置A3から駐車目標位置A2までの間で曲率が連続的に変化するような曲線を採用すればよい。そのような曲線としては、例えばBiarc曲線、Clothoid曲線、Bezier曲線及びSpline曲線等が挙げられる。
【0090】
また、上記実施形態では、トレーラ4の第1目標経路R1及び第2目標経路R2である幾何経路の曲率最大値がトレーラ4の旋回曲率最大値以下でないと判断されたとき、または連結車2が周辺に存在する障害物50と接触すると判断されたときは、連結車2の折返し位置A3が再設定されているが、折返し位置A3の再設定を一定回数繰り返し行っても、判断制約の条件を満たさないときは、与えられた駐車目標位置A2への連結車2の誘導は不可であるとして、ドライバに対して駐車目標位置A2または駐車開始位置A1を変更するように通知してもよい。
【0091】
また、上記実施形態では、トレーラ4の第1目標経路R1及び第2目標経路R2である幾何経路の曲率最大値がトレーラ4の旋回曲率最大値以下でないと判断されたときは、連結車2の折返し位置A3が再設定されているが、折返し位置A3と共に駐車目標位置A2を再設定してもよい。連結車2が周辺に存在する障害物50と接触すると判断されたときも、同様である。
【0092】
また、上記実施形態では、連結車2は、セミトレーラ式のトラックであるが、本発明は、フルトレーラ式のトラックにも適用可能である。また、本発明は、特にトラックには限られず、バス等の連結車にも適用可能である。
【0093】
また、上記実施形態の駐車経路生成装置16は、自動運転により連結車2を駐車させる駐車制御装置1に具備されているが、本発明は、特にその形態には限られず、駐車支援システムを利用して連結車2の駐車を手動運転で実施するような場合にも適用可能である。
【符号の説明】
【0094】
1…駐車制御装置、2…連結車、3…トラクタ、4…トレーラ、6…車体、9…車体、12…連結角センサ(連結角検出部)、13…カメラ(環境検知部)、16…駐車経路生成装置、17…GPS受信機(位置検出部)、21…駐車開始位置取得部、22…駐車目標位置設定部、23…折返し位置設定部、24…目標経路生成部、25…曲率制約判定部、26…移動経路算出部、27…車体軌跡予測部、28…接触判定部、29…データ系列算出部、32…追従制御部、50…障害物、A1…駐車開始位置、A2…駐車目標位置、A3…折返し位置、R1…第1目標経路、R2…第2目標経路。
図1
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図8