(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-31
(45)【発行日】2025-02-10
(54)【発明の名称】処理装置、プログラム及び半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/26 20060101AFI20250203BHJP
H01L 21/31 20060101ALI20250203BHJP
【FI】
H01L21/26 T
H01L21/31 C
(21)【出願番号】P 2023508414
(86)(22)【出願日】2021-03-26
(86)【国際出願番号】 JP2021013111
(87)【国際公開番号】W WO2022201546
(87)【国際公開日】2022-09-29
【審査請求日】2023-06-09
(73)【特許権者】
【識別番号】318009126
【氏名又は名称】株式会社KOKUSAI ELECTRIC
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】末吉 雅子
(72)【発明者】
【氏名】野村 誠
(72)【発明者】
【氏名】久田 拓
【審査官】桑原 清
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-311618(JP,A)
【文献】特開2008-288282(JP,A)
【文献】特開2011-210768(JP,A)
【文献】特開平10-154739(JP,A)
【文献】特表2006-500789(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/26
H01L 21/31
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を加熱するヒータの設定値と、前記基板を加熱するランプの設定値とが基板の目標温度に対して設定された温度制御テーブルと、基板を処理するための複数のステップで構成されるプロセスレシピと、を少なくとも記憶する記憶部と、
前記プロセスレシピを実行制御することが可能な制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記プロセスレシピ内に設定された基板温度に相当する目標温度により前記温度制御テーブルを検索し、
前記基板温度に相当する目標温度に対して設定されている設定値を、前記プロセスレシピ内の
前記ヒータの温度設定値、
前記基板温度に対する前記ヒータの温度の比率である前記ヒータの温度比率、
前記ランプのパワー設定値、
前記ランプのランプレート値の少なくとも1つに設定するように制御可能な処理装置。
【請求項2】
前記制御部は、前
記基板温度に相当する目標温度が前記温度制御テーブルから抽出できない場合、前記プロセスレシピ内の
前記ヒータの温度設定値、
前記ヒータの温度比率、
前記ランプのパワー設定値、
前記ランプのランプレート値のうち少なくとも1つに0を設定する、または未設定にするように制御可能な請求項1記載の処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、前
記基板温度に相当する目標温度が前記温度制御テーブルにない場合、
前
記基板温度に最も近い基板温度に相当する目標温度により前記温度制御テーブルを検索し、
前記
基板温度に最も近い基板温度に相当する目標温度に対して設定されている設定値を、前記プロセスレシピ内の
前記ヒータの温度設定値、
前記ヒータの温度比率、
前記ランプのパワー設定値、
前記ランプのランプレート値の少なくとも1つに設定するように制御可能な請求項1記載の処理装置。
【請求項4】
前記制御部は、前
記基板温度に相当する目標温度が前記温度制御テーブルにない場合、
前
記基板温度に相当する目標温度が範囲に含まれる前記温度制御テーブル内の2点の基板温度を判定し、
前記2点の基板温度に相当する目標温度に対してそれぞれ設定されている設定値を、前記プロセスレシピ内の
前記ヒータの温度設定値、
前記ヒータの温度比率、
前記ランプのパワー設定値、
前記ランプのランプレート値の少なくとも1つについて、前記2点の基板温度に相当する目標温度に対して設定されている設定値に基づいて比例式で算出するよう制御可能な請求項1記載の処理装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記プロセスレシピ内に設定された基板温度が所定温度以上である場合、温度機能選択フラグをオンにして、少なくとも前記ランプのパワー設定値と前記
ランプのランプレート値を含むランプ制御値を設定するように制御可能な請求項1記載の処理装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記温度機能選択フラグがオンの場合、ランプ機能選択フラグをオンにすることが可能に制御可能な請求項5記載の処理装置。
【請求項7】
前記ランプ制御値は、
前記プロセスレシピ内に設定された基板温度に昇温させるときの制御値である第1制御値と、
前記プロセスレシピ内に設定された基板温度に安定させるときの制御値である第2制御値と、
を有する請求項5記載の処理装置。
【請求項8】
前記温度制御テーブルは、ヒータユニット、ランプユニット、高周波電源、マイクロ波ユニット、冷却ユニットのうち少なくとも一つのアイテムにおける設定値を含む請求項1記載の処理装置。
【請求項9】
更に、前記ランプのパワー設定値、前記
ランプのランプレート値を含むランプ制御値は、
前記プロセスレシピ内に設定された基板温度に昇温させるときの制御値である第1制御値と、
前記プロセスレシピ内に設定された基板温度に安定させるときの制御値である第2制御値と、を有し、
前記制御部は、前記複数のステップのうちの一つのステップに、前記第1制御値と前記第2制御値を設定可能なように制御可能な請求項1記載の処理装置。
【請求項10】
更に、前記ランプのパワー設定値、前記
ランプのランプレート値を含むランプ制御値は、
前記プロセスレシピ内に設定された基板温度に安定させるときの制御値である第2制御値と、を少なくとも有し、
前記制御部は、前記複数のステップのうちの昇温ステップと基板処理ステップに連続して、前記第2制御値を設定可能なように制御可能な請求項1記載の処理装置。
【請求項11】
前記制御部は、前記温度制御テーブル内の前記基板温度に相当する目標温度に対して設定されている設定値を、前記プロセスレシピ内の
前記ヒータの温度設定値、
前記ヒータの温度比率、
前記ランプのパワー設定値、
前記ランプのランプレート値のそれぞれに設定するように制御可能な請求項1記載の処理装置。
【請求項12】
基板を加熱するヒータの設定値と、前記基板を加熱するランプの設定値とを基板の目標温度に対して設定可能な第1温度制御テーブルと、前記ランプの設定値を基板の目標温度に対して設定可能な第2温度制御テーブルを含む温度制御テーブルと、基板を処理するための複数のステップで構成されるプロセスレシピと、を少なくとも記憶する記憶部と、
前記プロセスレシピの実行を制御可能な制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記プロセスレシピ内に設定された基板温度が所定温度未満であれば、前記第1温度制御テーブルを検索し、前記第1温度制御テーブル内の前記基板温度に相当する目標温度に対して設定されている設定値を、前記プロセスレシピ内の
前記ヒータの温度設定値、
前記基板温度に対する前記ヒータの温度の比率である前記ヒータの温度比率、の少なくとも1つに設定し、
前記プロセスレシピ内に設定された基板温度が所定温度以上であれば、前記第1温度制御テーブルと前記第2温度制御テーブルを検索し、前記第1温度制御テーブル内の前記基板温度に相当する目標温度に対して設定されている設定値を、前記プロセスレシピ内の
前記ヒータの温度設定値、
前記ヒータの温度比率、の少なくとも1つに設定し、前記第2温度制御テーブル内の前記基板温度に相当する目標温度に対して設定されている設定値を、前記プロセスレシピ内の
前記ランプのパワー設定値、
前記ランプのランプレート値の少なくとも1つに設定するように制御可能な
処理装置。
【請求項13】
基板を加熱するヒータの設定値を設定可能な第1温度制御テーブルと、前記ヒータの設定値と前記基板を加熱するランプの設定値を設定可能な第2温度制御テーブルを含む温度制御テーブルと、基板を処理するための複数のステップで構成されるプロセスレシピと、を少なくとも記憶する記憶部と、
前記プロセスレシピの実行を制御可能な制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記プロセスレシピ内に設定された基板温度が所定温度未満であれば、前記第1温度制御テーブルを選択し、前記第1温度制御テーブル内の前記基板温度に相当する目標温度に対して設定されている設定値を、前記プロセスレシピ内の
前記ヒータの温度設定値、
前記基板温度に対する前記ヒータの温度の比率である前記ヒータの温度比率、の少なくとも1つに設定し、
前記プロセスレシピ内に設定された基板温度が所定温度以上であれば、前記第2温度制御テーブルを選択し、前記第2温度制御テーブル内の前記基板温度に相当する目標温度に対して設定されている設定値を、前記プロセスレシピ内の
前記ヒータの温度設定値、
前記ヒータの温度比率、
前記ランプのパワー設定値、
前記ランプのランプレート値の少なくとも1つに設定するように制御可能な
処理装置。
【請求項14】
更に、前記プロセスレシピを編集する編集画面を備えた操作部を有し、
前記操作部は、所定の画面イベントに応じて、前記温度制御テーブルのダウンロード、前記温度制御テーブルの変更、前記温度制御テーブル内の設定値変更、前記温度制御テーブル内に設定されている温度制御モード変更、前記温度制御テーブル内に設定されている機能選択ボタン変更のうち、いずれか一つのイベントを実行するように構成されている請求項1記載の処理装置。
【請求項15】
複数の温度制御アイテムを設定してレシピを作成し、該作成されたレシピを実行することにより基板を処理する制御部を備えた基板処理装置で実行されるプログラムであって、
前記基板を加熱するヒータの設定値と、前記基板を加熱するランプの設定値とが基板の目標温度に対して設定された温度制御テーブルと、基板を処理するためのプロセスレシピと、を少なくとも記憶する手順と、
前記プロセスレシピ内に設定された基板温度に相当する目標温度により前記温度制御テーブルを検索する手順と、
前記基板温度に相当する目標温度に対して設定されている設定値を、前記プロセスレシピ内の
前記ヒータの温度設定値、
前記基板温度に対する前記ヒータの温度の比率である前記ヒータの温度比率、
前記ランプのパワー設定値、
前記ランプのランプレート値の少なくとも1つに設定する手順と、
前記プロセスレシピを実行する手順と、
をコンピュータにより前記基板処理装置に実行させるプログラム。
【請求項16】
複数の温度制御アイテムを設定してレシピを作成し、該作成されたレシピを実行することにより基板を処理する半導体装置の製造方法であって、
前記基板を加熱するヒータの設定値と、前記基板を加熱するランプの設定値とが基板の目標温度に対して設定された温度制御テーブルと、基板を処理するためのプロセスレシピと、を少なくとも記憶する工程と、
前記プロセスレシピ内に設定された基板温度に相当する目標温度により前記温度制御テーブルを検索する工程と、
前記基板温度に相当する目標温度に対して設定されている設定値を、前記プロセスレシピ内の
前記ヒータの温度設定値、
前記基板温度に対する前記ヒータの温度の比率である前記ヒータの温度比率、
前記ランプのパワー設定値、
前記ランプのランプレート値の少なくとも1つに設定する工程と、
前記プロセスレシピを実行する工程と、
を有する半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、処理装置、プログラム及び半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造工程の一工程として、基板を加熱して、窒化、酸化、アニール等の処理を行う基板処理装置がある。
【0003】
特許文献1には、サセプタのヒータとランプ加熱ユニットを併用して処理室の温度を昇温させる基板処理装置が開示されている。
【0004】
特許文献2には、抵抗加熱ヒータによって基板を加熱し、さらにランプヒータを補助ヒータとして用いる基板処理装置が開示されている。
【0005】
特許文献3には、設定画面上でランプの温度設定とヒータの温度設定が可能に構成された基板処理装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2012-231001号公報
【文献】特開2007-311618号公報
【文献】特開2008-288282号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したような基板処理装置において、基板を加熱する際に、ヒータや、ランプユニットや、高周波電源等の複数の温度制御アイテムの設定値の組み合わせの設定が必要となっている。
【0008】
本開示によれば、目標温度とするウエハ温度の指定のみで、プロセスレシピを作成して温度制御が可能となり、設定ミスが低減される。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の一態様によれば、基板を加熱するヒータの設定値と、前記基板を加熱するランプの設定値とが基板の目標温度に対して設定された温度制御テーブルと、基板を処理するための複数のステップで構成されるプロセスレシピと、を少なくとも記憶する記憶部と、前記プロセスレシピを実行する制御部と、を備え、前記制御部は、前記プロセスレシピ内に設定された基板温度に相当する目標温度により前記温度制御テーブルを検索し、前記基板温度に相当する目標温度に対して設定されている設定値を、前記プロセスレシピ内のヒータの温度設定値、ヒータの温度比率、ランプのパワー設定値、ランプレート値の少なくとも1つに設定するように構成されている技術が提供される。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、目標温度とするウエハ温度の指定のみで、プロセスレシピを作成して温度制御が可能となり、設定ミスを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本開示の一実施形態に好適に用いられる基板処理装置100を示す縦断面図である。
【
図2】本開示の一実施形態に好適に用いられる基板処理装置100のコントローラ121の概略構成図であり、コントローラの制御系をブロック図で示す図である。
【
図3】基板を加熱する際の温度制御アイテムと、各温度制御アイテムにおける設定項目の設定値の一例を示す図である。
【
図4】記憶装置又は外部記憶装置に記憶される温度制御テーブルの一例を示す図である。
【
図5】記憶装置又は外部記憶装置に記憶されるプロセスレシピの一例を示す図である。
【
図6】プロセスレシピ開始時のプロセスレシピと温度制御テーブルのダウンロード処理を説明するための図である。
【
図7】各ステップにおける温度制御動作について説明するためのフローチャートである。
【
図8】操作画面上でレシピ編集処理を行う際の手順について説明するためのフローチャートである。
【
図9】温度制御テーブルのデータ算出方法について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示の一実施形態について、図面を用いて説明する。なお、以下の説明において用いられる図面は、いずれも模式的なものであり、図面に示される、各要素の寸法の関係、各要素の比率等は、現実のものとは必ずしも一致していない。また、複数の図面の相互間においても、各要素の寸法の関係、各要素の比率等は必ずしも一致していない。
【0013】
(1)基板処理装置の構成
基板処理装置100は、処理容器203を有し、この処理容器203は、第1の容器であるドーム型の上側容器210と第2の容器である碗型の下側容器211により形成され、上側容器210は下側容器211の上に被せられている。上側容器210は酸化アルミニウム又は石英等の非金属材料で形成されており、下側容器211は例えばアルミニウムで形成されている。また、処理容器203の上面には光透過性窓部278が配設され、この光透過性窓部278に対応する処理容器203外側にランプユニット(光源)280が設けられている。また後述するヒータ一体型の基板保持具(基板保持手段)であるサセプタ217を窒化アルミニウムやセラミックス又は石英等の非金属材料で構成することによって、処理の際に膜中に取り込まれる金属汚染を低減している。
【0014】
シャワーヘッド236は、処理室(反応室)201の上部に設けられ、リング状の枠体233と、光透過性窓部278と、ガス導入口234と、バッファ室237と、開口238と、遮蔽プレート240と、ガス吹出口239とを備えている。バッファ室237は、ガス導入口234より導入されたガスを分散するための分散空間として設けられる。
【0015】
ガス導入口234には、ガスを供給するガス供給管232が接続されており、ガス供給管232は、開閉弁であるバルブ243a、流量制御器(流量制御手段)であるマスフローコントローラ241を介して図中省略の反応ガス230のガスボンベに繋がっている。シャワーヘッド236から反応ガス230が処理室201に供給され、また、サセプタ217の周囲から処理室201の底方向へ基板処理後のガスが流れるように下側容器211の側壁にガスを排気するガス排気口235が設けられている。ガス排気口235にはガスを排気するガス排気管231が接続されており、ガス排気管231は、圧力調整器であるAPC242、開閉弁であるバルブ243bを介して排気装置である真空ポンプ246に接続されている。
【0016】
供給される反応ガス230を励起させる放電機構(放電用電極)として、筒状、例えば 円筒状に形成された第1の電極である筒状電極215が設けられる。筒状電極215は処理容器203(上側容器210)の外周に設置されて処理室201内のプラズマ生成領域224を囲んでいる。筒状電極215にはインピーダンスの整合を行う整合器272を介して高周波電力を印加する高周波電源273が接続されている。
【0017】
また、筒状、例えば円筒状に形成された磁界形成機構(磁界形成手段)である筒状磁石216は筒状の永久磁石となっている。筒状磁石216は、筒状電極215の外表面の上下端近傍に配置される。上下の筒状磁石216、216は、処理室201の半径方向に沿った両端(内周端と外周端)に磁極を持ち、上下の筒状磁石216、216の磁極の向きが逆向きに設定されている。従って、内周部の磁極同士が異極となっており、これにより、筒状電極215の内周面に沿って円筒軸方向に磁力線を形成するようになっている。
【0018】
処理室201の底側中央には、基板であるウエハ200を保持するための基板保持具(基板保持手段)としてサセプタ217が配置されている。サセプタ217は、例えば窒化アルミニウムやセラミックス、又は石英等の非金属材料で形成され、内部に加熱機構(加熱手段)としてのヒータ217bが一体的に埋め込まれており、ウエハ200を加熱できるようになっている。ヒータ217bは、電力が印加されてウエハ200を加熱できるように構成されている。ヒータ217bは、サセプタ217にウエハ200を載置して加熱する第1の加熱装置として構成されている。
【0019】
また、サセプタ217の内部には、さらにインピーダンスを変化させるための電極である第2の電極も装備されており、この第2の電極がインピーダンス可変機構274を介して接地されている。インピーダンス可変機構274は、コイルや可変コンデンサから構成され、コイルのパターン数や可変コンデンサの容量値を制御することによって、上記電極及びサセプタ217を介してウエハ200の電位を制御できるようになっている。
【0020】
ウエハ200をマグネトロン型プラズマ源でのマグネトロン放電により処理するための処理炉202は、少なくとも処理室201、処理容器203、サセプタ217、筒状電極215、筒状磁石216、シャワーヘッド236、及び排気口235から構成されており、処理室201でウエハ200をプラズマ処理することが可能となっている。
【0021】
筒状電極215及び筒状磁石216の周囲には、この筒状電極215及び筒状磁石216で形成される電界や磁界を外部環境や他処理炉等の装置に悪影響を及ぼさないように、電界や磁界を有効に遮蔽する遮蔽板223が設けられている。
【0022】
サセプタ217は下側容器211と絶縁され、サセプタ217を昇降させるサセプタ昇降機構(昇降手段)268が設けられている。またサセプタ217には貫通孔217aが設けられ、下側容器211底面にはウエハ200を突上げるためのウエハ突上げピン266が少なくとも3箇所に設けられている。そして、サセプタ昇降機構268によりサセプ タ217が下降させられた時にはウエハ突上げピン266がサセプタ217と非接触な状態で貫通孔217aを突き抜けるような位置関係となるよう、貫通孔217a及びウエハ突上げピン266が配置される。
【0023】
また、下側容器211の側壁には仕切弁となるゲートバルブ244が設けられ、開いている時には図中省略の搬送機構(搬送手段)により処理室201に対してウエハ200を搬入、または搬出することができ、閉まっている時には処理室201を気密に閉じることができる。
【0024】
次にランプユニット280の周辺構造を説明する。
ランプユニット280は、枠体233上に配設され、少なくとも1つ(本実施形態においては4つ)の加熱ランプを有する。光透過性窓部278は、円柱状に形成されており、不図示のシール部材を介して枠体233に支持されている。この光透過性窓部278は、ランプユニット280から照射された光や熱を透過させる透過性部材から構成されている。ランプユニット280は、ウエハ200を処理容器203の外側から加熱する第2の加熱装置として構成されている。
【0025】
また、枠体233内には、冷却手段としての冷却路(不図示)が設けられている。この冷却路に冷却媒体(例えば冷却水)を流通させることにより、シール部材周辺の環境温度を低下させるように構成されている。
【0026】
(2)制御部の構成
図2に示すように、制御部(制御手段)であるコントローラ121は、CPU(Central Processing Unit)121a、RAM(Random Access Memory)121b、記憶装置121c、I/Oポート121dを備えたコンピュータとして構成されている。RAM121b、記憶部である記憶装置121c、I/Oポート121dは、内部バス121eを介して、CPU121aとデータ交換可能なように構成されている。コントローラ121には、例えばタッチパネル等として構成された入出力装置402が接続されている。
【0027】
記憶装置121cは、例えばフラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)等で構成されている。記憶装置121c内には、基板処理装置の動作を制御する制御プログラムや、所定の処理手順(以後、ステップともいう)や条件等が記載されたレシピ等が、読み出し可能に格納されている。主に、複数のステップで構成されるプロセスレシピは、所定の処理における各ステップをコントローラ121に実行させ、所定の結果を得ることができるように組み合わされたものであり、プログラムとして機能する。以下、プロセスレシピを含むレシピや制御プログラム等を総称して、単に、プログラムともいう。また、以後、プロセスレシピを、単に、レシピともいう。本明細書においてプログラムという言葉を用いた場合は、レシピ単体のみを含む場合、制御プログラム単体のみを含む場合、または、それらの両方を含む場合がある。RAM121bは、CPU121aによって読み出されたプログラムやデータ等が一時的に保持されるメモリ領域(ワークエリア)として構成されている。
【0028】
I/Oポート121dは、上述のバルブ243a,243b、マスフローコントローラ241、APC242、真空ポンプ246、整合器272、高周波電源273、ヒータ217b、サセプタ昇降機構268、インピーダンス可変機構274、ゲートバルブ244、ランプユニット280等に接続されている。
【0029】
CPU121aは、記憶装置121cから制御プログラムを読み出して実行すると共に、入出力装置402からの操作コマンドの入力等に応じて記憶装置121cからプロセスレシピを読み出すように構成されている。
図1に示すように、CPU121aは、読み出したプロセスレシピの内容に沿うように、I/Oポート121dおよび信号線Aを通じてAPC242、バルブ243b、真空ポンプ246を、信号線Bを通じてサセプタ昇降機構268を、信号線Cを通じてゲートバルブ244を、信号線Dを通じて整合器272、高周波電源273を、信号線Eを通じてマスフローコントローラ241、バルブ243aを、さらに信号線Fを通じてヒータ217b、インピーダンス可変機構274、ランプユニット280をそれぞれ制御するよう構成されている。
【0030】
コントローラ121は、記憶部である外部記憶装置403に格納された上述のプログラムを、コンピュータにインストールすることにより構成することができる。外部記憶装置403は、例えば、USBメモリ等の半導体メモリ等を含む。記憶装置121cや外部記憶装置403は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体として構成されている。以下、これらを総称して、単に、記録媒体ともいう。本開示において記録媒体という言葉を用いた場合は、記憶装置121c単体のみを含む場合、外部記憶装置403単体のみを含む場合、または、それらの両方を含む場合がある。なお、コンピュータへのプログラムの提供は、外部記憶装置403を用いず、インターネットや専用回線等の通信手段を用いて行ってもよい。
【0031】
(3)基板処理工程
次に上記のような構成の基板処理装置を用いて、半導体デバイスの製造工程の一工程として、ウエハ200表面に対し、又はウエハ200上に形成された下地膜の表面に対し所定の処理を施す方法について説明する。尚、以下の説明において、基板処理装置100を構成する各部の動作はコントローラ121により制御される。
【0032】
ウエハ200は処理炉202を構成する処理室201の外部からウエハを搬送する図中省略の搬送機構によって処理室201に搬入され、サセプタ217上に搬送される。この搬送動作の詳細は次の通りである。サセプタ217が基板搬送位置まで下降し、ウエハ突上げピン266の先端がサセプタ217の貫通孔217aを通過する。このときサセプタ217表面よりも所定の高さ分だけ突き上げピン266が突き出された状態となる。次に、下側容器211に設けられたゲートバルブ244が開かれ、図中省略の搬送機構によってウエハ200をウエハ突上げピン266の先端に載置する。搬送機構が処理室201外へ退避すると、ゲートバルブ244が閉じられる。サセプタ217がサセプタ昇降機構268により上昇すると、サセプタ217上面にウエハ200を載置することができ、更にウエハ200を処理する位置まで上昇する。
【0033】
サセプタ217に埋め込まれたヒータ217bは予め加熱され、必要に応じてランプユニット280も加熱されて、搬入されたウエハ200を所定の処理温度であるウエハ温度(基板温度)に加熱する。真空ポンプ246、及びAPC242を用いて処理室201の圧力を所定の圧力に維持する。
【0034】
ウエハ200の温度がウエハ温度に達し、安定化したら、ガス導入口234から遮蔽プレート240のガス噴出孔239を介して、反応ガスを処理室201に配置されているウエ ハ200の上面(処理面)に向けて導入する。このときのガス流量は所定の流量とする。同時に筒状電極215に高周波電源273から整合器272を介して高周波電力を印加する。印加する電力は、所定の出力値を投入する。このときインピーダンス可変機構274は予め所望のインピーダンス値となるように制御しておく。
【0035】
筒状磁石216、216の磁界の影響を受けてマグネトロン放電が発生し、ウエハ200の上方空間に電荷をトラップしてプラズマ生成領域224に高密度プラズマが生成され る。そして、生成された高密度プラズマにより、サセプタ217上のウエハ200の表面にプラズマ処理が施される。プラズマ処理が終わったウエハ200は、図示略の搬送機構を用いて、基板搬入と逆の手順で処理室201外へ搬送される。
【0036】
(4)制御部による温度制御
次に、本開示の一実施形態におけるコントローラ121による温度制御について説明する。本開示では、コントローラ121が、上述した基板処理工程においてプロセスレシピを実行する際に、記憶装置121c又は外部記憶装置403に格納された温度制御テーブルにおけるヒータ217bの設定値とランプユニット280の設定値を用いてウエハ温度を制御するよう構成されている。
【0037】
ここで、ウエハ200を処理する際のウエハ温度は、例えば
図3に示すように、ヒータやランプユニットや高周波電源やマイクロ波発生器やチラー等の複数の温度制御アイテムの複数の設定項目における設定値によって影響される。
【0038】
本開示において、記憶装置121c又は外部記憶装置403には、ウエハ200の目標温度であるウエハ温度に対して、ウエハ200を加熱するヒータ217bの複数の設定項目における設定値と、ウエハ200を加熱するランプユニット280の複数の設定項目における設定値と、を関連付けた温度制御テーブルと、上述した基板処理工程においてウエハ200を処理するための複数のステップで構成されるプロセスレシピが記憶されている。
図4は、温度制御テーブルの一例を示し、
図5は、プロセスレシピの一例を示している。
【0039】
図4に示すように、温度制御テーブルは、プロセスレシピの各ステップに設定する際の目標温度となるウエハ温度(℃)に対して、ヒータ217bを制御するヒータ制御値であるヒータ217bの温度設定値(℃)と、ヒータ217bの入力側と出力側のパワー比率である温度比率と、ランプユニット280を制御するランプ制御値であるランプユニット280を昇温させるときの昇温工程の昇温時間(秒)と、ランプユニット280の昇温工程のパワー設定値(%)と、ランプユニット280の昇温工程のランプレート(%/秒)と、ランプユニット280を昇温後に設定されたウエハ温度に安定させるときのプロセス工程のパワー設定値(%)と、ランプユニット280のプロセス工程のランプレート(%/秒)と、を対応づけて(関連付けて)設定されたものである。すなわち、ランプ制御値は、プロセスレシピ内に設定されたウエハ温度に昇温させるときの制御値である第1制御値と、プロセスレシピ内に設定されたウエハ温度に安定させるときの制御値である第2制御値と、を有する。また、第1制御値と第2制御値は、1つの目標温度であるウエハ温度に対して設定可能であり、プロセスレシピの複数のステップのうちの一つのステップに、第1制御値と第2制御値を設定可能に構成されている。これにより、ヒータ217bとランプユニット280によってウエハ200の温度制御を行うことができ、ウエハ200を所望の温度に安定させて、ウエハを処理することができる。
【0040】
図5に示すように、プロセスレシピは、各ステップにおけるイベント名、イベント時間、ウエハ温度、高周波電源のオンオフとパワー設定値(W)、ランプユニット280の制御モード、サセプタ217の位置、ガスの流量、処理圧力等がそれぞれ対応づけて格納されている。
【0041】
図6は、プロセスレシピ開始時のプロセスレシピと温度制御テーブルのダウンロード処理について示した図である。
【0042】
操作部601は、編集画面を備え、プロセスレシピの編集や温度制御テーブルの編集を行うことが可能に構成されている。また、操作部601は、コントローラ121へ送信するよう構成されている。また、操作部601は、操作画面上に、プロセスレシピの実行状態等を表示するよう構成されている。
【0043】
また、コントローラ121は、プロセスレシピや温度制御テーブルのダウンロードを要求したり、ヒータ217bやランプユニット280や高周波電源273等の複数の温度制御アイテムと通信を行うように構成されている。
【0044】
先ず、操作部601において、レシピの開始操作が入力されると、コントローラ121へ通知される。そして、コントローラ121から操作部601へプロセスレシピと温度制御テーブルのダウンロード要求が送信される。これにより、操作部601からコントローラ121へプロセスレシピと温度制御テーブルがダウンロードされ、コントローラ121が温度制御テーブルを用いてプロセスレシピを制御することが可能となる。
【0045】
次に、プロセスレシピの各ステップにおけるコントローラ121のランプ加熱を用いた温度制御動作S100について
図7を用いて説明する。
【0046】
コントローラ121は、プロセスレシピの各ステップ(イベント)を開始する際に、プロセスレシピ内の温度機能選択フラグがオンであるか否かを判定する(S101)。
【0047】
そして、コントローラ121は、温度機能選択フラグがオンである場合には、温度制御モードがウエハ温度設定か否かを判定する(S102)。
【0048】
そして、コントローラ121は、温度制御モードがウエハ温度設定である場合には、そのプロセスレシピ内に設定されたウエハ温度に相当する目標温度により温度制御テーブル内を検索し(S103)、プロセスレシピのウエハ温度に一致するデータである目標温度が、温度制御テーブル内にあるか否かを判定する(S104)。
【0049】
そして、温度制御テーブルに一致するデータがない場合には処理を終了し、一致するデータがある場合には、一致したウエハ温度に相当する目標温度に対して設定されている設定値を、プロセスレシピ内のヒータ217bの温度設定値、ヒータ217bの温度比率、ランプユニット280において昇温設定されている場合には、ランプユニット280の昇温工程におけるランプユニット280のパワー設定値、ランプレート値の少なくとも1つに設定して(S105)、プロセスレシピの所定ステップを実行する。
【0050】
具体的には、
図5におけるプロセスレシピのステップNo.1~No.5、No.9において、ランプユニット280のパワー設定値0、ランプレート0によりランプ制御無しの設定となっているため、コントローラ121は、ヒータ217bのみを制御し、このステップNo.1~No.5、No.9の温度制御を実行する。
【0051】
また、
図5におけるプロセスレシピ内のステップNo.6において、ステップNo.6に設定されたウエハ温度800℃に相当する目標温度により
図4の温度制御テーブルを検索し、
図4の温度制御テーブルのNo.7におけるウエハ温度800℃に対して設定されている、ヒータ217bの温度設定値927℃、ヒータ217bの温度比率0.57、ランプユニット280の昇温時間40秒、ランプユニット280の昇温工程におけるパワー設定値74%、ランプユニット280の昇温工程におけるランプレート10%/秒、ランプユニット280のプロセス工程におけるパワー設定値64%、ランプユニット280のプロセス工程におけるランプレート0.2%/秒を取得する。
【0052】
そして、コントローラ121は、
図4の温度制御テーブルから取得したウエハ温度800℃に対して設定されている、ヒータ217bの温度設定値927℃、ヒータ217bの温度比率0.57、ランプユニット280の昇温時間40秒、ランプユニット280の昇温工程におけるパワー設定値74%、ランプユニット280の昇温工程におけるランプレート10%/秒を設定してヒータ217bとランプユニット280を制御し、ステップNo.6のイベントを実行する。ランプユニット280の昇温開始40秒後に、ランプユニット280のプロセス工程におけるパワー設定値64%、ランプユニット280のプロセス工程におけるランプレート0.2%/秒によりヒータ217bとランプユニット280を制御し、ステップNo.7のイベントを実行する。ステップNo.7のイベントは、高周波電源をオンにしてプラズマを生成するステップであり、次のステップNo.8でウエハ200を処理する前に、このプラズマを安定化するステップである。
【0053】
そして、コントローラ121は、温度が800℃に安定したら、ステップNo.7で設定されたランプユニット280におけるプロセス工程におけるランプユニット280のパワー設定値、ランプレート値により、ヒータ217bとランプユニット280を制御して、ステップNo.8のイベントを実行する。ステップNo.8のイベントは、ウエハ200を処理するステップである。
【0054】
すなわち、コントローラ121は、温度制御テーブル内のウエハ温度に相当する目標温度に対して設定されている設定値を、プロセスレシピ内のヒータ217bの温度設定値、ヒータ217bの温度比率、ランプユニット280のパワー設定値、ランプレート値のそれぞれに設定するように構成されている。これにより、目標温度とするウエハ温度の指定のみで、プロセスレシピを作成して温度制御が可能となり、設定ミスが低減される。
【0055】
なお、
図4に示した温度制御テーブルを用いた場合、プロセスレシピの各ステップに設定する際のウエハ温度が700℃以下の場合には、ヒータ制御値のみを設定してヒータ217bのみを制御し、700℃より高い場合には、ヒータ制御値に加えてランプ制御値を設定してヒータ217bとランプユニット280を制御する。各ステップに設定する際のウエハ温度が700℃以下の場合に、ヒータ217bに加えてランプユニット280を用いてウエハ200を加熱すると、急昇温となり、ウエハ200の反りや、ウエハ200の破損が発生してしまう場合がある。よって、温度制御テーブルにおいて、各ステップに設定する際のウエハ温度が700℃より高い場合に、ヒータ217bの設定値に加えてランプユニット280の設定値を用いるように制御することにより、設定ミスによるウエハ200の反りや破損等を防止することができる。
【0056】
また、ランプユニット280は、加熱を開始してから目標温度に到達するまでに一定の昇温時間が必要となる。このため、コントローラ121は、各ステップに設定する際のウエハ温度が700℃より高い場合であって、ランプユニット280をプロセスレシピ内に設定されたウエハ温度に昇温させるときにおいては、ランプユニット280の昇温工程における各設定項目における設定値を設定し、ランプユニット280をプロセスレシピ内に設定されたウエハ温度に安定させるときにおいては、ランプユニット280のプロセス工程における各設定項目における設定値を設定して、各ステップを実行する。
【0057】
次に、操作部601が操作画面(編集画面ともいう)上でレシピ編集処理S200を行う際の手順について、
図8を用いて説明する。
【0058】
操作部601は、所定の画面イベントに応じて、温度制御テーブルのダウンロード、温度制御テーブルの変更、温度制御テーブル内の設定値変更、温度制御テーブル内に設定されている温度制御モード変更、温度制御テーブル内に設定されている機能選択ボタン変更のうち、いずれか一つのイベントを実行するように構成されている。これにより、ユーザが操作画面上で現在の設定値を確認しながら操作を行うことができる。
【0059】
例えば、操作部601は、温度制御テーブルがOKである場合(S201)に、OKで終了したイベント(ステップ)を受信し、温度制御テーブルを再ロードする(S202)。
【0060】
そして、操作部601は、ロードした温度制御テーブルがOKであるか否かを判定する(S203)。
【0061】
そして、操作部601は、プロセスレシピ内に設定されたウエハ温度に相当する目標温度により温度制御テーブルを検索し、プロセスレシピ内に設定されたウエハ温度に相当する目標温度が、温度制御テーブル内に一致するデータがあるか否かを判定する(S204)。
【0062】
そして、温度制御テーブル内に一致するデータがない場合には、コントローラ121は、プロセスレシピのヒータ217bの温度設定値、温度比率、ランプユニット280のパワー設定値、ランプレート値のうち少なくとも1つを0(未設定)にする(S205)。すなわち、コントローラ121により、プロセスレシピ内に設定されたウエハ温度に相当する目標温度が温度制御テーブルから抽出できない場合、プロセスレシピ内のヒータ217bの温度設定値、ヒータ217bの温度比率、ランプユニット280のパワー設定値、ランプレート値のうち少なくとも1つに0を設定する、または未設定にする。そして、コントローラ121は、レシピ編集処理(S200)を終了させる。これにより、目標温度とするウエハ温度の指定のみで、プロセスレシピを作成する際に、取り急ぎ0を設定したり、未設定としておくことにより、設定待ち状態となり、設定ミスが低減される。
【0063】
なお、温度制御テーブル内に一致するデータがない場合に、コントローラ121は、プロセスレシピ内に設定されたウエハ温度に最も近いウエハ温度に相当する目標温度により温度制御テーブルを検索し、最も近いウエハ温度に相当する目標温度に対して設定されている設定値を、プロセスレシピ内のヒータ217bの温度設定値、ヒータ217bの温度比率、ランプユニット280のパワー設定値、ランプレート値の少なくとも1つに設定するようにしてもよい。これにより、目標温度とするウエハ温度が温度制御テーブル内にない場合であっても、プロセスレシピを作成して温度制御が可能となり、設定ミスが低減される。
【0064】
そして、温度制御テーブル内に一致するデータがある場合には、コントローラ121は、プロセスレシピのウエハ温度に相当する目標温度に対して設定されている設定値を、プロセスレシピ内のヒータ217bの温度設定値、ヒータ217bの温度比率、ランプユニット280のパワー設定値、ランプレート値の少なくとも1つに設定する(S206)。これにより、目標温度とするウエハ温度の指定のみで、プロセスレシピを作成して温度制御が可能となり、設定ミスが低減される。
【0065】
そして、コントローラ―121は、プロセスレシピ内に設定されたウエハ温度が所定温度以上である場合、温度機能選択フラグをオンにする(S207)。温度機能選択フラグがオンにされることにより、操作部601は、ランプ機能選択フラグをオンにすることが可能となる。これにより、温度機能選択フラグがオンの場合に、ランプ制御値を設定することが可能となり、ランプユニット280の照射タイミングを制御することができる。そして、ランプ機能選択フラグをオンにすることにより、ランプユニット280のパワー設定値、ランプレート値を含むランプ制御値が設定される。これにより、ウエハ温度が所定温度以上である場合に、ランプ制御値を設定することが可能となり、的確なタイミングによりランプユニット280を制御することができる。
【0066】
そして、温度制御モードがウエハ温度設定か否かを判定する(S208)。
【0067】
そして、温度制御モードがウエハ温度設定である場合には、ランプ機能選択をオンにして、制御モードをオンにして、ウエハ温度設定の制御モードにより制御可能とされる(S209)。
【0068】
また、温度制御モードがウエハ温度設定でない場合には、ランプ機能選択をオフにして、制御モードをオフにする(S210)。
【0069】
次に、温度制御テーブルのデータ算出方法について、
図9を用いて説明する。温度制御テーブルのデータ算出方法として、1点検知と2点検知がある。
【0070】
1点検知では、コントローラ121は、
図9に示すように、プロセスレシピにおけるウエハ温度として600℃を設定した場合は、温度制御テーブルからウエハ温度600℃に対応するヒータ217bの温度設定値609℃と温度比率0.440を取得する。また、プロセスレシピに設定されたウエハ温度に相当する目標温度が温度制御テーブルにない場合は、エラーとする。
【0071】
また、2点検知では、コントローラ121は、
図9に示すように、プロセスレシピにおけるウエハ温度として600℃を設定した場合は、温度制御テーブルからウエハ温度600℃に対応するヒータ217bの温度設定値609℃と温度比率0.440を取得する。また、コントローラ121は、プロセスレシピ内に設定されたウエハ温度に相当する目標温度が温度制御テーブルにない場合、プロセスレシピ内に設定されたウエハ温度に相当する目標温度が範囲に含まれる温度制御テーブル内の2点のウエハ温度を判定する。具体的には、プロセスレシピにおけるウエハ温度として630℃を設定した場合は、温度制御テーブルからウエハ温度620℃と640℃を検出し、ウエハ温度として、620℃と640℃の2点を判定する。
【0072】
そして、温度制御テーブルにおけるウエハ温度620℃に対応するヒータ217bの温度設定値618℃と、ウエハ温度640℃に対応するヒータ217bの温度設定値639℃と、に基づいて比例式を用いてヒータ217bの温度設定値628.5℃を算出する。また、ウエハ温度620℃に対応するヒータ217bの温度比率0.500と、ウエハ温度640℃に対応するヒータ217bの温度比率0.490と、に基づいて比例式を用いて温度比率0.495を算出する。
【0073】
つまり、コントローラ121は、プロセスレシピ内に設定されたウエハ温度に相当する目標温度が温度制御テーブルにない場合、プロセスレシピ内に設定されたウエハ温度に相当する目標温度が範囲に含まれる温度制御テーブル内の2点のウエハ温度を判定し、判定された2点のウエハ温度に相当する目標温度に対してそれぞれ設定されている設定値を、プロセスレシピ内のヒータ217bの温度設定値、ヒータ217bの温度比率、ランプユニット280のパワー設定値、ランプレート値の少なくとも1つについて、2点のウエハ温度に相当する目標温度に対して設定されている設定値に基づいて比例式で算出して設定するよう構成されている。これにより、目標温度とするウエハ温度が温度制御テーブル内にない場合であっても、プロセスレシピを作成して温度制御が可能となり、設定ミスが低減される。また、所定の温度制御テーブルが検索できるので、編集エラーとなって編集が不可能になりプロセスレシピを作成できなくなることが極めて少なくなる。よって、装置稼働率の低下を抑制することができる。
【0074】
なお、上記実施形態では、温度制御テーブルに、ヒータ217bと、ランプユニット280における設定値を有する構成について説明したが、これに限らず、高周波電源、マイクロ波ユニット、冷却ユニット等の温度制御アイテムにおける設定値を含んでもよい。これにより、複数の温度制御アイテムを用いて温度制御を行うことが可能となる。
【0075】
また、上記実施形態では、ランプユニット280におけるランプ制御値として、プロセスレシピ内に設定されたウエハ温度を昇温させるときの制御値である第1制御値と、プロセスレシピ内に設定されたウエハ温度に安定させるときの制御値である第2制御値と、を有する構成について説明したが、これに限らず、第2制御値のみを用いるようにしてもよく、その場合、コントローラ121は、複数のステップのうちの昇温工程と基板処理工程(プロセス工程ともいう)に連続して、第2制御値を設定可能に構成されている。これにより、ヒータ217bとランプユニット280によってウエハ200の温度制御を行うことができ、ウエハ200を所望の温度に安定させて、ウエハを処理することができる。
【0076】
また、上記実施形態では、ヒータ217bの設定値とランプユニット280の設定値をウエハの目標温度に対して設定可能な温度制御テーブルを用いる構成について説明したが、これに限らず、ヒータ217bの設定値と、ランプユニット280の設定値をウエハの目標温度に対して設定可能な第1温度制御テーブルと、ランプユニット280の設定値をウエハの目標温度に対して設定可能な第2温度制御テーブルを含む温度制御テーブルを用いるようにしてもよい。この場合、コントローラ121は、プロセスレシピ内に設定されたウエハ温度が所定温度未満であれば、第1温度制御テーブルを検索し、第1温度制御テーブル内のウエハ温度に相当する目標温度に対して設定されている設定値を、プロセスレシピ内のヒータ217bの温度設定値、ヒータ217bの温度比率、の少なくとも1つに設定する。そして、プロセスレシピ内に設定されたウエハ温度が所定温度以上であれば、第1温度制御テーブルと第2温度制御テーブルを検索し、第1温度制御テーブル内のウエハ温度に相当する目標温度に対して設定されている設定値を、プロセスレシピ内のヒータ217bの温度設定値、ヒータ217bの温度比率、の少なくとも1つに設定し、第2温度制御テーブル内のウエハ温度に相当する目標温度に対して設定されている設定値を、プロセスレシピ内のランプユニット280のパワー設定値、ランプレート値の少なくとも1つに設定する。この場合であっても目標温度とするウエハ温度の指定のみで、プロセスレシピを作成して温度制御が可能となり、設定ミスが低減される。
【0077】
また、ウエハを加熱するヒータ217bの設定値を設定可能な第1温度制御テーブルと、ヒータ217bの設定値とランプユニット280の設定値を設定可能な第2温度制御テーブルを含む温度制御テーブルを用いても良い。この場合であっても目標温度とするウエハ温度の指定のみで、プロセスレシピを作成して温度制御が可能となり、設定ミスが低減される。
【0078】
この場合、コントローラ121は、プロセスレシピ内に設定されたウエハ温度が所定温度未満であれば、第1温度制御テーブルを選択し、第1温度制御テーブル内の前記基板温度に相当する目標温度に対して設定されている設定値を、プロセスレシピ内のヒータの温度設定値、ヒータの温度比率、の少なくとも1つに設定する。
【0079】
また、コントローラ121は、プロセスレシピ内に設定されたウエハ温度が所定温度以上であれば、第2温度制御テーブルを選択し、第2温度制御テーブル内のウエハ温度に相当する目標温度に対して設定されている設定値を、プロセスレシピ内のヒータ217bの温度設定値、ヒータ217bの温度比率、ランプユニット280のパワー設定値、ランプレート値の少なくとも1つに設定する。
【0080】
尚、本開示の実施形態に於ける基板処理装置10は、半導体を製造する半導体製造装置だけではなく、LCD装置の様なガラス基板を処理する装置でも適用可能である。又、露光装置、リソグラフィ装置、塗布装置、プラズマを利用した処理装置等の各種基板処理装置にも適用可能であるのは言う迄もない。
【0081】
以上、本開示の種々の典型的な実施形態を説明してきたが、本開示はそれらの実施形態に限定されず、適宜組み合わせて用いることもできる。
【符号の説明】
【0082】
100 基板処理装置
121 コントローラ(制御部)
200 ウエハ(基板)