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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-03
(45)【発行日】2025-02-12
(54)【発明の名称】保持パッド、及び加工装置
(51)【国際特許分類】
   B23Q 7/04 20060101AFI20250204BHJP
   B24B 41/06 20120101ALI20250204BHJP
   B24B 7/04 20060101ALI20250204BHJP
   B23Q 3/08 20060101ALI20250204BHJP
【FI】
B23Q7/04 K
B24B41/06 Z
B24B41/06 A
B24B7/04 A
B23Q3/08 A
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021032533
(22)【出願日】2021-03-02
(65)【公開番号】P2022133695
(43)【公開日】2022-09-14
【審査請求日】2024-02-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110001014
【氏名又は名称】弁理士法人東京アルパ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安藤 滋
【審査官】増山 慎也
(56)【参考文献】
【文献】実開昭61-191847(JP,U)
【文献】特開昭61-152359(JP,A)
【文献】特開2014-229828(JP,A)
【文献】特開2007-203403(JP,A)
【文献】特開2009-061568(JP,A)
【文献】特開2007-136640(JP,A)
【文献】特開平06-015565(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 7/00- 7/18
B23Q 3/08
B24B41/00-51/00
B24B 5/00- 7/30
H01L21/304-21/463
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャックテーブルが保持した複数の矩形の板状の被加工物を加工する加工装置に配設され、複数の被加工物の上面を同時に吸引保持する保持パッドであって、
該チャックテーブルは、少なくとも2つの第1被係合部を備えており、
基台と、該基台の下面に複数配置され複数の被加工物の上面をそれぞれ吸引保持する吸引面を有する吸引部と、複数配置される該吸引部と吸引源とを連通する吸引管と、該基台の下面に配置され該第1被係合部の各々に係合する少なくとも2つの係合部と、を備える保持パッド。
【請求項2】
前記吸引部は、前記基台の下面に円周状に複数配置される請求項1記載の保持パッド。
【請求項3】
矩形の板状の被加工物の下面を吸引保持する保持面を複数配置したチャックテーブルと、複数の該保持面が各々吸引保持した被加工物を加工する加工ユニットと、を備えた加工装置であって、
複数の該保持面に被加工物を搬入、又は複数の該保持面が保持している被加工物を該保持面から搬出させる搬送機構と、複数の該保持面の配置に合わせて被加工物を仮置きする仮置きテーブルと、を備え、
該搬送機構は、複数の被加工物の上面を同時に吸引保持する吸引面を複数配置した保持パッドと、該仮置きテーブルから該チャックテーブルに該保持パッドを移動させる移動機構と、を備え、
該チャックテーブルは、少なくとも2つの第1被係合部を備え、
該仮置きテーブルは、少なくとも2つの第2被係合部を備え、
該保持パッドは、該第1被係合部の各々および該第2被係合部の各々に係合する少なくとも2つの係合部を備えている、
加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の被加工物の上面を同時に吸引保持する保持パッド、及び保持パッドを備え被加工物を加工する加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記の特許文献1、特許文献2、又は特許文献3に開示されているように、チャックテーブルが保持する複数のウェーハを研削砥石で研削する研削装置は、ウェーハをチャックテーブルに搬送する搬送機構を備えており、仮置きテーブルに仮置きされた複数のウェーハを吸引保持してチャックテーブルに搬送して、チャックテーブルに吸引保持させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-247311号公報
【文献】特開2016-059993号公報
【文献】特開2016-093875号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
被加工物であるウェーハが、矩形の板状となっている場合は、被加工物の形状とチャックテーブルの保持面の形状とを一致させて各被加工物を各保持面に保持させる必要があるが、時間がかかるという問題があった。
よって、チャックテーブルの複数の保持面に保持した被加工物を加工する場合には、チャックテーブルの保持面の形状と被加工物の形状とを短時間で一致させ、複数の被加工物を短時間でチャックテーブルに適切に保持させるという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための本発明は、チャックテーブルが保持した複数の矩形の板状の被加工物を加工する加工装置に配設され、複数の被加工物の上面を同時に吸引保持する保持パッドであって、該チャックテーブルは、少なくとも2つの第1被係合部を備えており、基台と、該基台の下面に複数配置され複数の被加工物の上面をそれぞれ吸引保持する吸引面を有する吸引部と、複数配置される該吸引部と吸引源とを連通する吸引管と、該基台の下面に配置され該第1被係合部の各々に係合する少なくとも2つの係合部と、を備える保持パッドである。
【0006】
本発明に係る保持パッドにおいて、前記吸引部は、前記基台の下面に円周状に複数配置されると好ましい。
【0008】
また、上記課題を解決する本発明は、矩形の板状の被加工物の下面を吸引保持する保持面を複数配置したチャックテーブルと、複数の該保持面が各々吸引保持した被加工物を加工する加工ユニットと、を備えた加工装置であって、複数の該保持面に被加工物を搬入、又は複数の該保持面が保持している被加工物を該保持面から搬出させる搬送機構と、複数の該保持面の配置に合わせて被加工物を仮置きする仮置きテーブルと、を備え、該搬送機構は、複数の被加工物の上面を同時に吸引保持する吸引面を複数配置した保持パッドと、該仮置きテーブルから該チャックテーブルに該保持パッドを移動させる移動機構と、を備え、該チャックテーブルは、少なくとも2つの第1被係合部を備え、該仮置きテーブルは、少なくとも2つの第2被係合部を備え、該保持パッドは、該第1被係合部の各々および該第2被係合部の各々に係合する少なくとも2つの係合部を備えている、加工装置である。
【発明の効果】
【0009】
チャックテーブルが保持した複数の矩形の板状の被加工物を加工する加工装置に配設され、複数の被加工物の上面を同時に吸引保持する本発明に係る保持パッドは、基台と、基台の例えば下面側に複数配置され複数の被加工物の上面をそれぞれ吸引保持する吸引面を有する吸引部と、複数配置される吸引部と吸引源とを連通する吸引管と、を備えることで、複数の被加工物を同時にかつ個別に各吸引面で吸引保持して、例えばチャックテーブルへと一気に搬送できるようになるため、チャックテーブルの複数の保持面に短時間で被加工物を合わせて適切に吸引保持させることが可能となる。
【0010】
本発明に係る保持パッドにおいて、吸引部が基台の例えば下面に円周状に複数配置されることで、例えばチャックテーブルの複数の保持面がチャックテーブルの中心には形成せれていない場合や中心に位置する保持面には被加工物を吸引保持させたくない場合に、複数の被加工物を同時にかつ個別に各吸引面で吸引保持して、例えばチャックテーブルへと一気に搬送し、かつ、チャックテーブルの複数の保持面に短時間で被加工物を合わせて適切に吸引保持させること、及びチャックテーブルの中心では被加工物を吸引保持させないようにすることが可能となる。
【0011】
チャックテーブルは、第1被係合部を備え、本発明に係る保持パッドは、第1被係合部に係合する係合部が基台の下面側に配置されていることで、吸引保持した複数の被加工物を保持パッドがチャックテーブルに搬送して、チャックテーブルの第1被係合部と保持パッドの係合部とを係合させることで、チャックテーブルの保持面の形状と被加工物の形状とを短時間で一致させ、複数の被加工物を短時間でチャックテーブルに保持させることが可能となる。
【0012】
矩形の板状の被加工物の下面を吸引保持する保持面を複数配置したチャックテーブルと、複数の保持面が各々吸引保持した被加工物を加工する加工ユニットと、を備えた本発明に係る加工装置は、複数の保持面に被加工物を搬入、又は複数の保持面が保持している被加工物を保持面から搬出させる搬送機構と、複数の保持面の配置に合わせて被加工物を仮置きする仮置きテーブルと、を備え、搬送機構は、複数の被加工物の上面を同時に吸引保持する吸引面を複数配置した保持パッドと、仮置きテーブルからチャックテーブルに被加工物を吸引保持した保持パッドを移動させる移動機構と、を備え、保持パッドは、係合部を備え、チャックテーブルは、係合部に係合する第1被係合部を備え、仮置きテーブルは、係合部に係合する第2被係合部を備えることで、チャックテーブルの複数の保持面に保持した被加工物を加工する場合に、仮置きテーブルでチャックテーブルの複数の保持面に合わせて仮置きした被加工物を保持パッドで吸引保持する際に、仮置きテーブルの第2被係合部と保持パッドの係合部とを係合させることで、保持パッドが仮置きテーブルに仮置きされた複数の被加工物の位置関係を適切に維持した状態で短時間で複数の被加工物を吸引保持できる。その後、保持パッドがチャックテーブルまで移動して、チャックテーブルの第1被係合部と保持パッドの係合部とを係合させることで、チャックテーブルの複数の保持面の形状と保持パッドに保持されている複数の被加工物の形状とを短時間で一致させ、複数の被加工物を短時間でチャックテーブルに保持させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】保持パッドを備える加工装置の一例を示す斜視図である。
図2】被加工物の一例を示す斜視図である。
図3】被加工物の一例を示す断面図である。
図4】保持パッドの基台の上面側の構造の一例を説明する斜視図である。
図5】保持パッドの基台の下面側の構造の一例を説明する斜視図である。
図6】保持パッドの基台の上面側の構造の別例を説明する斜視図である。
図7】搬送機構の一例を示す斜視図である。
図8】仮置きテーブルの別例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1に示す加工装置1は、チャックテーブル3の複数の保持面342にそれぞれ吸引保持された被加工物90を加工ユニット14によって研削加工する装置であり、加工装置1のベース10上の前方(-Y方向側)は、チャックテーブル3に対して被加工物90の着脱が行われる着脱領域であり、ベース10上の後方(+Y方向側)は、加工ユニット14によってチャックテーブル3上に保持された複数枚の被加工物90の研削加工が行われる加工領域である。
なお、本発明に係る被加工物90の研削において用いられる研削装置は、加工装置1のような加工ユニット14が1軸のマニュアルタイプの研削装置に限定されず、粗研削ユニットと仕上げ研削ユニットとを備え、回転するターンテーブルで被加工物90を粗研削ユニット又は仕上げ研削ユニットの下方に位置づけ可能なフルオートタイプの2軸以上の研削装置等であってもよい。
【0015】
図2図3に示す被加工物90は、例えば、平面視矩形の板状物であり、所定の厚みの銅板901の上面902及び下面903の大部分が、所定の厚みのモールド樹脂904によって覆われている。本実施形態においては、下側のモールド樹脂904の下面を被加工物90の下面906とし、上側のモールド樹脂904の上面を被加工物90の上面907とする。
本実施形態においては、銅板901の四辺がモールド樹脂904から水平方向(X軸Y軸方向)に所定幅はみ出たはみ出し部905を備えているが、被加工物90は、モールド樹脂904の大きさと銅板901の大きさとが合致しておりはみ出し部905を備えていなくてもよい。
【0016】
図1に示すベース10上の後方側には、コラム11が立設されており、コラム11の-Y方向側の前面には、加工ユニット14を上下方向(Z軸方向)に移動させる上下動ユニット17が配設されている。
上下動ユニット17は、軸方向がZ軸方向であるボールネジ170と、ボールネジ170と平行に延在する一対のガイドレール171と、ボールネジ170に連結しボールネジ170を回動させるモータ172と、内部のナットがボールネジ170に螺合し側部が一対のガイドレール171に摺接する昇降板173とから構成され、モータ172がボールネジ170を回動させると、これに伴い昇降板173がガイドレール171にガイドされてZ軸方向に往復移動し、昇降板173に取り付けられた加工ユニット14もZ軸方向に往復移動する。
【0017】
チャックテーブル3の複数の保持面342にそれぞれ吸引保持された被加工物90を研削加工する加工ユニット14は、軸方向がZ軸方向である回転軸140と、内部に形成したエアベアリング等によって回転軸140を回転可能に支持するハウジング141と、回転軸140を回転駆動するモータ142と、回転軸140の下端に接続された円板状のマウント143と、マウント143の下面に着脱可能に装着された研削ホイール144と、ハウジング141を支持し昇降板173に接続されたホルダ145と、を備える。
【0018】
図1に示すように、研削ホイール144は、ホイール基台1443と、ホイール基台1443の底面に環状に配置された研削砥石1444と、を備える。本実施形態において、研削砥石1444は、所定のボンドでダイヤモンド砥粒等が固着されて形成されており、ホイール基台1443の下面に、略直方体形状の複数の研削砥石チップを研削砥石チップ間に所定の間隔を空けて環状に配列したセグメント砥石である。なお、研削砥石1444は、研削砥石チップ間に間隔を空けないコンテニュアス配列であってもよい。
【0019】
図1に示す回転軸140の内部には、図示しない加工液供給源に連通し加工液である研削水(純水)の通り道となる図示しない流路が、回転軸140の軸方向(Z軸方向)に貫通して設けられており、図示しない該流路は、さらにマウント143を通り、ホイール基台1443の底面において研削砥石1444と被加工物90との接触部位に向かって研削水を噴出できるように開口している。
【0020】
研削位置まで降下した状態の加工ユニット14に隣接する位置には、例えば、被加工物90の厚みを接触式にて測定する厚み測定部38が配設されている。厚み測定部38は、第1リニアゲージにより、基準面となる保持面342の高さ位置、即ち、本実施形態においては、保持面342と同一高さ位置にあるテーブル枠体33の円環状壁331の上面332の高さ位置を測定し、第2リニアゲージにより、研削される被加工物90の上面907の高さ位置を測定し、両リニアゲージの測定値の差を算出することで、被加工物90の厚みを研削中に逐次測定することができる。
なお、厚み測定部38は、非接触式のタイプであってもよい。
【0021】
ベース10の内部には、研削ホイール144が被加工物90を加工する加工位置とチャックテーブル3の保持面342に被加工物90を搬入または保持面342から被加工物90を搬出可能な搬入出位置とにチャックテーブル3を水平移動させる水平移動ユニット13が配設されている。
水平移動ユニット13は、Y軸方向の軸心を有するボールネジ130と、ボールネジ130と平行に配設された一対のガイドレール131と、ボールネジ130の一端に連結しボールネジ130を回動させるモータ132と、内部のナットがボールネジ130に螺合し底部がガイドレール131に摺接する可動板133とを備えており、モータ132がボールネジ130を回動させると、これに伴い可動板133がガイドレール131にガイドされてY軸方向に直動し、図2に示すように可動板133上にテーブル回転部80、及びチャックベース85を介して配設されたチャックテーブル3をY軸方向に移動させることができる。
【0022】
チャックテーブル3は、その下方に配設されたテーブル回転部80により回転可能である。テーブル回転部80は、チャックテーブル3の下面側に接続されZ軸方向に延在しチャックベース85によって図示しないベアリング等を介して回転可能に支持された回転軸800と、回転軸800を回転させるモータ801と、該モータ801の回転角度を検知してチャックテーブル3の回転角度を装置の各構成の全体的な制御を行う制御部19に送るエンコーダ802と、を備えている。
なお、テーブル回転部80はプーリー機構等であってもよい。
【0023】
矩形の板状の被加工物90の下面906を吸引保持する保持面342を複数配置したチャックテーブル3は、カバー39に囲繞されており、研削中に被加工物90に供給された研削水はカバー39及びカバー39に連結されY軸方向に伸縮する蛇腹カバー390の上面を流れて、チャックテーブル3の移動経路脇に配設された図示しない排水口からベース10内に配設された図示しないウォータケースに流下する。
【0024】
チャックテーブル3は、例えば、平面視円形状のテーブル枠体33を備えており、テーブル枠体33の上面の外周側領域には所定の高さの円環状壁331が立設されており、円環状壁331の上面332は、複数の保持面342がそれぞれ保持した被加工物90よりも外側に位置し高さ測定がなされる環状の被測定面となる。
【0025】
テーブル枠体33の上面には、テーブル枠体33の上面の中心を基準として複数(例えば、5つ)の吸引保持部34が縦横に等間隔を空けて配設されている。なお、複数の吸引保持部34の数は本実施形態に限定されるものではない。
例えばステンレス等からなる吸引保持部34は、平面視で被加工物90の銅板901と合同、又は相似形で銅板901よりも少しだけ大きな矩形に形成されており、その上面が被加工物90を吸引保持する保持面342となる。なお、吸引保持部34はポーラス部材で構成されていてもよい。
【0026】
保持面342には、矩形環状の吸引溝343と、吸引保持部34の中心を通過して吸引溝343に連通する吸引溝345が形成されている。そして、吸引保持部34の回転中心には吸引溝345と連通すると共に図示しない真空発生装置等の吸引源に連通する吸引路346の一端が開口している。そして、図示しない吸引源が生み出す吸引力は、吸引路346、吸引溝345、吸引溝343を通り、保持面342に伝達される。
【0027】
本実施形態におけるチャックテーブル3は、図1に示す第1被係合部36を備えている。第1被係合部36は、例えば、後述する図4図5に示す保持パッド2の係合部26である位置決めピンが進入する第1位置決め穴であるが、保持パッド2の係合部26が位置決め穴である場合には、第1被係合部36が第1位置決めピンであってもよい。
例えば、第1被係合部36は、テーブル枠体33の上面の中心を中心として180度間隔を空けてテーブル枠体33の上面の外周側の領域に二か所形成されている。なお、第1被係合部36の配設個数は2つに限定されるものではない。
【0028】
加工装置1は、チャックテーブル3の複数の保持面342にそれぞれ被加工物90を搬入、又は複数の保持面342が保持している被加工物90を保持面342から搬出させる図7に示す搬送機構16を備えている。そして、搬送機構16は、複数の被加工物90の上面907を同時に吸引保持する吸引面210(図5参照)を複数配置した保持パッド2と、後述する図1に示す仮置きテーブル4からチャックテーブル3に保持パッド2を移動させる移動機構5と、を備える。
【0029】
複数の被加工物90の上面907をそれぞれ同時に吸引保持する図4図5に示す複数の吸引面210を備える保持パッド2は、例えば、平面視矩形の板状に形成された基台20と、基台20の例えば下面側に複数配置され複数の被加工物90の上面907をそれぞれ吸引保持する吸引面210を有する吸引部21と、複数配置される吸引部21と吸引源29とを連通する吸引管291と、を備えている。
なお、図5は、図4に示す保持パッド2を上下反転させた状態を示している。
【0030】
図5に示すように、基台20の下面200は平坦面となっており、該下面200に下面200の中心を基準として複数(例えば、5つ)の吸引部21が縦横に等間隔を空けて十字状に配設されている。各吸引部21の並び方、及びその間隔は図1に示すチャックテーブル3の吸引保持部34の並び方、及び間隔と合致している。
なお、例えばチャックテーブル3の複数の保持面342がチャックテーブル3の中心領域には形成されておらず、例えば、チャックテーブル3の中心を中心とする仮想的な円に4つの保持面342が等間隔空けて円周状に形成されている場合や、図1に示すチャックテーブル3の5つの保持面342の内の中心の保持面342には被加工物90を吸引保持させない場合には、吸引部21は基台20の下面200に下面200の中心を中心として円周状に4つの吸引部21が等間隔空けて形成されていてもよい。この吸引部21の並びは、チャックテーブル3の中心には被加工物90を吸引保持させない場合の並び方である。なお、チャックテーブル3の中心に被加工物90を吸引保持させない場合には、図5に示す5つの吸引部21の中央の吸引部21にのみ吸引力を伝達させないことにして、下面200に円周状に並ぶ4つの吸引部21としてもよい。この場合には、例えば、中央の吸引部21に連通する吸引管291に開閉バルブを備えてもよい。
【0031】
例えばSUS等からなる図5に示す吸引部21は、平面視で被加工物90の銅板901と合同、又は相似形で銅板901よりも少しだけ大きな矩形に形成されており、図5においては上側に向けた状態で示している下面が被加工物90を吸引保持する吸引面210となる。なお、吸引部21はポーラス部材等で構成されていてもよい。
【0032】
吸引面210には、矩形環状の吸引溝212と、吸引部21の中心を通過して吸引溝212に連通する吸引溝215が形成されている。そして、吸引部21の回転中心には吸引溝215と連通すると共に図4に示す吸引源29に連通する吸引管291の一端が開口している。そして、吸引源29が生み出す吸引力は、吸引管291、吸引溝215、吸引溝212を通り、吸引面210に伝達される。
【0033】
吸引部21の吸引面に一端が開口する複数の吸引管291は、例えば、基台20の内部で一本の流路に合流して、継手等を介して図4に示す基台20の上面に配設されたエジェクター297に他端側が接続されている。またエジェクター297はエア供給配管296を介して圧縮エアを送出可能なエア源295に連通しており、エア供給配管296上には、エア源295とエジェクター297との連通/非連通を切り換える供給バルブ294が配設されている。このように、本実施形態においては、エジェクター297とエア源295とにより吸引源29が形成されており、エア源295からエジェクター297に供給されてエジェクター297内部を高速で流れるエアによって吸引力を生み出し、該吸引力を吸引管291に伝達する。
【0034】
本実施形態における保持パッド2は、図5に示す係合部26を備えている。係合部26は、例えば、図1に示すチャックテーブル3の第1位置決め穴である第1被係合部36、及び後述する仮置きテーブル4の第2位置決め穴である第2被係合部46に進入可能な位置決めピンである。なお、チャックテーブル3の第1被係合部36が第1位置決めピンであり、また、仮置きテーブル4の第2被係合部46が第2位置決めピンである場合には、係合部26が位置決め穴であってもよい。
例えば、係合部26は、保持パッド2の基台20の下面200の中心を中心として180度間隔を空けて下面200の外周側の領域に二か所形成されている。なお、係合部26の配設個数は2つに限定されるものではない。
【0035】
保持パッド2の吸引源は、図4に示す吸引源29に限定されず、図6に示す吸引源27であってもよい。図6に示す吸引源27は、例えば、バキュームポンプ等であって、吸引源27には、樹脂チューブ又は金属配管等の第1吸引管271が連通している。図6に示す第1吸引管271の下端側には、上下と下部とを切り離し可能な脱着継手272が接続されている。また、脱着継手272には、第2吸引管274が連通しており、第2吸引管274は、図示しない継手等を介して、保持パッド2の基台20の上面側から保持パッド2の吸引管291に連通している。また、第2吸引管274には、吸引源27との連通と非連通とを切り換えるゲートバルブ等の吸引バルブ276が配設されている。
例えば、保持パッド2の基台20の上面には、作業者が把持することが可能な取っ手24が取り付けられている。
【0036】
図7に示す移動機構5は、例えば図1図7に示すベース10上にチャックテーブル3の移動経路を跨ぐように配設された門型コラム109の前面(-Y方向側面)に配設されている。そして、移動機構5は、保持パッド2をX軸方向に直動させるX軸移動ユニット50と、保持パッド2をZ軸方向に上下動させる昇降ユニット52とを備えている。
【0037】
図7に示すX軸移動ユニット50は、モータ502によりボールネジ500を回動させることで、一対のガイドレール503上を可動板501を摺動させて、可動板501に配設された保持パッド2をX軸方向に往復移動させる。
【0038】
可動板501に配設された昇降ユニット52は、モータ522によりボールネジ520を回動させることで、Z軸方向(鉛直方向)に延びる一対のガイドレール523上を摺動する可動板521に配設された保持パッド2を、Z軸方向に往復移動させる。保持パッド2は、可動板521上に根元側の一端が固定されたアーム部524の先端側下面に基台20の上面が接続されている。
【0039】
なお、保持パッド2が、例えば図6に示す吸引源27及び脱着継手272を備えている場合には、移動機構5の代わりに、作業者が保持パッド2を仮置きテーブル4からチャックテーブル3に移動させてもよい。
【0040】
図1図7に示すように、本実施形態における加工装置1は、チャックテーブル3の複数の保持面342の配置に合わせて被加工物90を仮置きする仮置きテーブル4を有している。本実施形態において、仮置きテーブル4は、例えば、ベース10上の着脱領域におけるチャックテーブル3の移動経路脇に配置されている。
【0041】
仮置きテーブル4は、例えば、例えば、平面視矩形状のテーブル基台43を備えており、テーブル基台43の上面には、テーブル基台43の上面の中心を基準として複数(例えば、5つ)の仮置き部44が縦横に等間隔を空けて配設されている。なお、複数の仮置き部44の数は本実施形態に限定されるものではない。各仮置き部44の並び方、及びその間隔は図1に示すチャックテーブル3の吸引保持部34の並び方、及び間隔、並びに図5に示す保持パッド2の吸引部21の並び方、及び間隔と合致している。
例えばSUS等からなる仮置き部44は、平面視で被加工物90の銅板901と合同、又は相似形で銅板901よりも少しだけ大きな矩形に形成されており、その上面が被加工物90を吸引保持する吸引面442となる。なお、仮置き部44の上面は吸引面ではなく、被加工物90を載置のみする載置面となっていてもよい。なお、仮置き部44はポーラス部材で構成されていてもよい。
【0042】
吸引面442には、矩形環状の吸引溝443と、仮置き部44の中心を通過して吸引溝443に連通する吸引溝445が形成されている。そして、仮置き部44の回転中心には吸引溝445と連通すると共に図示しない真空発生装置等の吸引源に連通する吸引路446の一端が開口している。そして、図示しない吸引源が生み出す吸引力は、吸引路446、吸引溝445、吸引溝443を通り、吸引面442に伝達される。
【0043】
仮置きテーブル4は、図1図7に示す第2被係合部46を備えている。第2被係合部46は、例えば、図4に示す保持パッド2の係合部26である位置決めピンが進入する第2位置決め穴であるが、保持パッド2の係合部26が位置決め穴である場合には、第2被係合部46が第2位置決めピンであってもよい。
例えば、第2被係合部46は、テーブル基台43の上面の中心を中心として180度間隔を空けてテーブル基台43の上面の外周側の領域に二か所形成されている。なお、第2被係合部46の配設個数は2つに限定されるものではない。
【0044】
仮置きテーブル4は、仮置き部44に代えて、図8に示す仮置き部47を備えていてもよい。例えば、図3においては、被加工物90が仮置き部47に仮置きされている。図8に示すように、例えば、テーブル基台43の上面の中心を基準として複数(例えば、5つ)の仮置き部47が縦横に等間隔を空けて配設されている。
【0045】
仮置き部47は、平面視で被加工物90の銅板901と合同、又は相似形で銅板901よりも少しだけ大きな矩形に形成されており、その上面に被加工物90の矩形のモールド樹脂904が僅かにクリアランスを設けて嵌合する凹状の凹み470が形成されている。そして、被加工物90は、例えばモールド樹脂904が凹み470に収容されるとともに、銅板901のはみ出し部905が凹み470の外側において仮置き部47の環状上面471によって支持されて仮置きされた状態になる。
【0046】
図1に示すように、加工装置1は、上記のように説明した加工装置1の各構成要素を制御可能な制御部19を備えている。CPU及びメモリ等の記憶素子等で構成される制御部19は、例えば、上下動ユニット17、加工ユニット14、水平移動ユニット13、及びテーブル回転部80のエンコーダ802、及び図7に示す搬送機構16等に電気的に接続されている。
【0047】
以下に、図1に示す加工装置1を用いて、被加工物90を研削する場合について説明する。例えば、作業者が、被加工物90を、仮置きテーブル4の仮置き部44の吸引面442に互いの中心を略合致させ、かつ、仮置き部44の形と被加工物90の形とを略合致させた状態で載置する。そして、仮置き部44上で被加工物90が吸引保持される。このようにして、作業者によって、5つの仮置き部44のそれぞれに被加工物90が適切に仮置きされる。
【0048】
例えば、仮置きテーブル4が図8に示す仮置き部47を備えている場合には、作業者が、図3に示すようにモールド樹脂904を凹み470に収容するとともに、はみ出し部905を環状上面471に載置することで、被加工物90が仮置きされた状態になる。
【0049】
仮置きテーブル4に5つの被加工物90が適切に仮置きされると、図1図7に示す制御部19による移動機構5のX軸移動ユニット50の制御の下で、X軸移動ユニット50によって保持パッド2が-X方向に移動し、仮置きテーブル4の直上で保持パッド2の位置決めピンである2つの係合部26が仮置きテーブル4の第2位置決め穴である2つの第2被係合部46に進入可能な位置に位置付けされる。次いで、制御部19による昇降ユニット52の制御の下で、保持パッド2が下降するとともに、保持パッド2の係合部26が仮置きテーブル4の第2被係合部46に進入する。なお、係合部26と第2被係合部46とに対応する光センサなどを設けて、該光センサによって係合部26が第2被係合部46に進入できないことが検知された場合等には、保持パッド2と仮置きテーブル4との水平面内における位置合わせが適切行われていないものとして、制御部19によるX軸移動ユニット50の制御によって、保持パッド2の位置調整が行われてもよい。
【0050】
保持パッド2が下降することで、仮置きテーブル4の5つの仮置き部44(又は、図8に示す仮置き部47)に仮置きされている被加工物90の上面907に、保持パッド2の図5に示す吸引部21の吸引面210が、互いの形及び中心を略合致させた状態で接触する。その後、図7に示すエア源295からエジェクター297に供給されてエジェクター297内部を高速で流れるエアによって生み出された吸引力が各吸引面210に伝達されることで、5つの被加工物90がそれぞれ吸引面210によって適切に仮置きされた位置関係を維持した状態で吸引保持される。
【0051】
上記保持パッド2による被加工物90の仮置きテーブル4における吸引保持と並行して、図1に示す制御部19による水平移動ユニット13の制御の下で、チャックテーブル3が着脱領域の所定位置まで-Y方向に移動する。また、チャックテーブル3の回転角度を認識しているエンコーダ802から検知信号を受けた制御部19が、テーブル回転部80のモータ801を制御してチャックテーブル3を所定角度回転させて、チャックテーブル3の第1被係合部36の位置を保持パッド2の係合部26の位置に合わせる。即ち、例えば、チャックテーブル3が所定角度回転して、1つの第1被係合部36が+Y方向側に位置して、かつ、もう1つの第1被係合部36が-Y方向側に位置する。
【0052】
図1に示す各仮置き部44による被加工物90の吸引保持が解除され、さらに、図7に示す制御部19による移動機構5の昇降ユニット52及びX軸移動ユニット50の制御の下で、5つの被加工物90を5つの吸引面210でそれぞれ吸引保持した保持パッド2が、仮置きテーブル4より上昇した後+X方向に移動し、着脱領域に位置付けされたチャックテーブル3の直上で保持パッド2の位置決めピンである2つの係合部26がチャックテーブル3の第1位置決め穴である2つの第1被係合部36に進入可能な位置に位置付けされる。なお、保持パッド2の5つの吸引面210に対しては、エア源295からエジェクター297に供給されてエジェクター297内部を高速で流れるエアによって生み出された吸引力が伝達され続けている。
【0053】
次いで、制御部19による昇降ユニット52の制御の下で、保持パッド2が下降するとともに、保持パッド2の係合部26がチャックテーブル3の第1被係合部36に進入する。なお、係合部26が第1被係合部36に進入できない場合には、保持パッド2とチャックテーブル3との水平面内における位置合わせが適切行われていないものとして、制御部19によるX軸移動ユニット50、水平移動ユニット13、又はテーブル回転部80の制御によって、保持パッド2とチャックテーブル3との位置調整がなされてもよい。
【0054】
保持パッド2が下降することで、チャックテーブル3の5つの吸引保持部34の保持面342に、保持パッド2が保持する5つの被加工物90のそれぞれの下面906が、互いの形及び中心を略合致させた状態で接触する。そして、保持面342に図示しない吸引源から吸引力が伝達されることで、チャックテーブル3が5つの保持面342で5つの被加工物90を適切に吸引保持する。また、保持パッド2が上昇して、被加工物90から離脱する。
なお、チャックテーブル3の5つの保持面342の内の中心の保持面342には被加工物90を吸引保持させない場合には、図5に示す5つの吸引部21の中央の吸引部21にのみ吸引力を伝達させないことにして、下面200に円周状に90度間隔を空けて並ぶ4つの吸引部21で吸引保持した被加工物90をチャックテーブル3に搬送してもよい。
【0055】
なお、保持パッド2が、例えば図6に示す吸引源27を備えている場合には、移動機構5の代わりに、作業者による保持パッド2の移動によって、上記のような仮置きテーブル4に仮置きされた被加工物90の保持パッド2による吸引保持、及び仮置きテーブル4からチャックテーブル3への被加工物90の移動が行われてもよい。
【0056】
この場合における保持パッド2による被加工物90の吸引保持、及び仮置きテーブル4からチャックテーブル3への被加工物90の保持パッド2による移動について、特に詳しく説明する。
仮置きテーブル4の5つの仮置き部44(又は、図8に示す仮置き部47)に仮置きされている被加工物90の上面907に、作業者によって移動される保持パッド2の図5に示す吸引部21の吸引面210が、互いの形及び中心を略合致させた状態で接触する。上記位置合わせは、保持パッド2の係合部26を、仮置きテーブル4の第2被係合部46に進入させることで、正しく実施される。その後、図6に示す吸引源27が生み出す吸引力が各吸引面210に伝達されることで、5つの被加工物90がそれぞれ吸引面210によって仮置きされた位置関係を維持した状態で吸引保持される。
【0057】
被加工物90を保持パッド2が吸引保持した後、開いていた状態の図6に示す吸引バルブ276が閉じられることで、吸引バルブ276から被加工物90を吸引保持した各吸引面210までの吸引流路が真空状態を維持する。したがって、脱着継手272が上下に切り離されて、吸引源27から離れた保持パッド2は、被加工物90を吸引保持した状態を維持できるとともに、作業者によって自由に移動可能となる。
【0058】
作業者が保持パッド2の取っ手24を把持して、5つの被加工物90を5つの吸引面210でそれぞれ吸引保持した状態の保持パッド2を、例えば着脱領域に位置付けされたチャックテーブル3の直上まで移動させる。そして、保持パッド2を下降させるとともに、保持パッド2の係合部26をチャックテーブル3の第1被係合部36に進入させる。チャックテーブル3の5つの吸引保持部34の保持面342に、保持パッド2が保持する5つの被加工物90のそれぞれの下面906が、互いの形及び中心を略合致させた状態で接触する。そして、保持面342に図示しない吸引源から吸引力が伝達されることで、チャックテーブル3が5つの保持面342で5つの被加工物90を適切に吸引保持する。次いで、例えば作業者が、吸引バルブ276を再び開くことで、脱着継手272が大気開放されて、保持パッド2による5つの被加工物90の吸引保持が解除される。そして、作業者が保持パッド2を上昇させて、チャックテーブル3に吸引保持された被加工物90から離脱させる。
【0059】
上記のように、複数の被加工物90の上面907を同時に吸引保持する本発明に係る保持パッド2は、基台20と、基台20の例えば下面200側に複数配置され複数の被加工物90の上面907をそれぞれ吸引保持する吸引面210を有する吸引部21と、複数配置される吸引部21と例えば吸引源29とを連通する吸引管291と、を備えることで、複数の被加工物90を同時にかつ個別に各吸引面210で吸引保持して、チャックテーブル3へと一気に搬送できるようになるため、チャックテーブル3の複数の保持面342に短時間で被加工物90を形を合わせて適切に吸引保持させることが可能となる。
【0060】
また、加工装置1は、例えばチャックテーブル3の複数の保持面342の配置に合わせて被加工物90を仮置きする仮置きテーブル4を有し、仮置きテーブル4は、第2被係合部46を備え、チャックテーブル3は、第1被係合部36を備え、本発明に係る保持パッド2は、第2被係合部46に係合し、また第1被係合部36にも係合する係合部26が基台20の下面200側に配置されていることで、例えば仮置きテーブル4でチャックテーブル3の複数の保持面342に合わせて仮置きした被加工物90を保持パッド2で吸引保持する際に、仮置きテーブル4の第2被係合部46と保持パッド2の係合部26とを係合させることで、保持パッド2が仮置きテーブル4に仮置きされた複数の被加工物90の位置関係を適切に維持した状態で短時間で複数の被加工物90を吸引保持できる。その後、吸引保持した複数の被加工物90を保持パッド2がチャックテーブル3に搬送して、チャックテーブル3の第1被係合部36と保持パッド2の係合部26とを係合させることで、チャックテーブル3の複数の保持面342の形状と複数の被加工物90の形状とをそれぞれ短時間で一致させ、複数の被加工物90を短時間でチャックテーブル3に保持させることが可能となる。
【0061】
図1に示す水平移動ユニット13が、5つの被加工物90を吸引保持したチャックテーブル3を着脱領域から加工領域へと+Y方向へ移動させる。被加工物90を保持したチャックテーブル3が加工ユニット14の下方まで移動して、研削砥石1444の回転軌跡がチャックテーブル3の回転中心を通るように位置合わせされる。
【0062】
次いで、加工ユニット14が上下動ユニット17により所定の研削送り速度で-Z方向へと送られ、所定の回転速度で回転する研削ホイール144の研削砥石1444が被加工物90の上面907に当接することで研削加工が行われる。また、チャックテーブル3が所定の回転速度で回転することに伴い5つの保持面342上にそれぞれ保持された5つの被加工物90も回転するので、各被加工物90の上面907の全面が研削される。研削加工中は、研削水を例えば加工ユニット14内部の流路を通して研削砥石1444と被加工物90との接触部位に対して供給して、接触部位を冷却・洗浄する。
【0063】
そして、厚み測定部38によって被加工物90の厚み測定がなされつつ、5つの被加工物90が所望の厚みまで研削される。その後、例えば、着脱領域に移動したチャックテーブル3から保持パッド2によって研削後の5つの被加工物90が一気に吸引保持されて搬出される。
【0064】
上記のように、矩形の板状の被加工物90の下面906を吸引保持する保持面342を複数配置したチャックテーブル3と、複数の保持面342が各々吸引保持した被加工物90を加工する加工ユニット14と、を備えた本発明に係る加工装置1は、複数の保持面342に被加工物90を搬入、又は複数の保持面342が保持している被加工物90を保持面342から搬出させる搬送機構16と、複数の保持面342の配置に合わせて被加工物90を仮置きする仮置きテーブル4と、を備え、搬送機構16は、複数の被加工物90の上面907を同時に吸引保持する吸引面210を複数配置した保持パッド2と、仮置きテーブル4からチャックテーブル3に被加工物90を吸引保持した保持パッド2を移動させる移動機構5と、を備え、保持パッド2は、係合部26を備え、チャックテーブル3は、係合部26に係合する第1被係合部36を備え、仮置きテーブル4は、係合部26に係合する第2被係合部46を備えることで、チャックテーブル3の複数の保持面342に保持した被加工物90を加工する場合に、チャックテーブル3の保持面342の形状と被加工物90の形状とを短時間で一致させ、複数の被加工物90を短時間でチャックテーブル3に保持させることが可能となる。
【0065】
本発明に係る保持パッド2、及び加工装置1は上記実施形態に限定されず、その技術的思想の範囲内において種々異なる形態にて実施されてよいことは言うまでもない。また、加工装置1を用いた被加工物90の研削加工も上記実施形態に限定されず、本発明の効果を発揮できる範囲内で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0066】
90:被加工物 901:銅板 902:銅板の上面 903:銅板の下面 904:モールド樹脂 905:はみ出し部 906:被加工物の下面 907:被加工物の上面
1:加工装置10:ベース 11:コラム
17:上下動ユニット 14:加工ユニット 13:水平移動ユニット
80:テーブル回転部 800:回転軸 801:モータ 802:エンコーダ
85:チャックベース
3:チャックテーブル
33:テーブル枠体 331:環状壁 332:環状壁の上面
34:吸引保持部 342:保持面 343、345:吸引溝 346:吸引路
36:第1被係合部
39:カバー 390:蛇腹カバー
16:搬送機構
2:保持パッド 20:基台 200:基台の下面
21:吸引部 210:吸引面 215、212:吸引溝
29:吸引源 291:吸引管 297:エジェクター 296:エア供給配管 295:エア源 294:供給バルブ 26:係合部
27:吸引源 271:第1吸引管 272:脱着継手 274:第2吸引管 276:吸引バルブ 24:取っ手
5:移動機構 50:X軸移動ユニット 52:昇降ユニット
4:仮置きテーブル 43:テーブル基台 44:仮置き部 442:吸引面
446、443:吸引溝 446:吸引路 46:第2被係合部
47:仮置き部 470:凹み
19:制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8