(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-05
(45)【発行日】2025-02-14
(54)【発明の名称】硬質相で修飾された熱可塑性ポリウレタン
(51)【国際特許分類】
C08G 18/40 20060101AFI20250206BHJP
C08G 18/44 20060101ALI20250206BHJP
C08G 18/76 20060101ALI20250206BHJP
【FI】
C08G18/40 054
C08G18/44
C08G18/76 057
(21)【出願番号】P 2021539113
(86)(22)【出願日】2020-01-03
(86)【国際出願番号】 EP2020050084
(87)【国際公開番号】W WO2020141218
(87)【国際公開日】2020-07-09
【審査請求日】2022-12-28
(32)【優先日】2019-01-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】Carl-Bosch-Strasse 38, 67056 Ludwigshafen am Rhein, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【氏名又は名称】江藤 聡明
(74)【代理人】
【識別番号】100167106
【氏名又は名称】倉脇 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100194135
【氏名又は名称】山口 修
(74)【代理人】
【識別番号】100206069
【氏名又は名称】稲垣 謙司
(72)【発明者】
【氏名】ロイ,ナバラン
(72)【発明者】
【氏名】ケムプフェルト,ディルク
(72)【発明者】
【氏名】ミューレン,オリファー
(72)【発明者】
【氏名】ベルテルス,アルフォンス
(72)【発明者】
【氏名】ハルトヴィヒ,ゼバスティアン
【審査官】大塚 龍平
(56)【参考文献】
【文献】特公昭49-023599(JP,B1)
【文献】特開昭54-090295(JP,A)
【文献】特表平09-505325(JP,A)
【文献】特開2008-169373(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 18/40
C08G 18/44
C08G 18/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)熱可塑性ポリエステル(PE-1)を50g/mol~700g/molの範囲の分子量を有する少なくとも1種のジアミン(D1)と反応させてアミド(PA-1)を含む組成物(Z1)を得る工程と、
(ii)工程(i)に従って得られた前記組成物(Z1)を、少なくとも1種のポリイソシアネートを含むイソシアネート組成物(I1)及びポリオール組成物(P1)と反応させる工程と
を含む、
熱可塑性ポリウレタン
の製造方法。
【請求項2】
前記ジアミン(D1)が一般式(I)又は(II)の化合物から選択される:
【化1】
(式中、R1及びR2は、互いに独立して、O-CH
3、CH
2CH
3、S-CH
3、NH-CH
3、N(CH
3)
2及びHからなる群から選択される)、又は
【化2】
(式中、
a)X
1=X
2=Y
1=Y
2=H、
b)X
1=X
2=Y
1=Y
2=CH
3、
c)X
1=X
2=Y
1=Y
2=イソプロピル、
d)X
1=X
2=Y
1=Y
2=C
2H
5、
e)X
1=X
2=Y
1=Y
2=ブチル、
f)X
1=X
2=Y
1=Y
2=tert-ブチル、
g)X
1=X
2=H、及びY
1=Y
2=CH
3、
h)X
1=X
2=H、及びY
1=Y
2=イソプロピル、
i)X
1=X
2=H、及びY
1=Y
2=C
2H
5、
j)X
1=X
2=H、及びY
1=Y
2=ブチル、又は
k)X
1=X
2=H、及びY
1=Y
2=tert-ブチル、
Zは、CH
2、CHCH
3、C(CH
3)
2、O及びSからなる群から選択される)、
請求項
1に記載の熱可塑性ポリウレタン
の製造方法。
【請求項3】
前記ジアミン(D1)が一般式(III)を有する:
【化3】
(式中、R1=R2=S-CH
3又はR1=R2=CH
2CH
3である)、請求項1
又は2に記載の熱可塑性ポリウレタン
の製造方法。
【請求項4】
前記ポリオール組成物(P1)が少なくとも1種のポリカーボネートポリオール(PC1)を含む、請求項1から
3のいずれか一項に記載の熱可塑性ポリウレタン
の製造方法。
【請求項5】
前記熱可塑性ポリエステル(PE-1)が1500g/mol~60000g/molの範囲の分子量を有する、請求項1から
4のいずれか一項に記載の熱可塑性ポリウレタン
の製造方法。
【請求項6】
前記熱可塑性ポリエステル(PE-1)がポリアルキレンテレフタレート及びポリ-L-乳酸からなる群から選択される、請求項1から
5のいずれか一項に記載の熱可塑性ポリウレタン
の製造方法。
【請求項7】
前記ポリエステル(PE-1)が1000g/mol~5000g/molの範囲の分子量を有する、請求項1から
6のいずれか一項に記載の熱可塑性ポリウレタン
の製造方法。
【請求項8】
前記ポリイソシアネートがメチレンジフェニルジイソシアネート及び脂肪族ジイソシアネートからなる群から選択される、請求項1から
7のいずれか一項に記載の熱可塑性ポリウレタン
の製造方法。
【請求項9】
前記熱可塑性ポリウレタンがショア45A~ショア78Dの範囲のショア硬度を有する、請求項1から
8のいずれか一項に記載の熱可塑性ポリウレタン
の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱可塑性ポリエステル(PE-1)をジアミン(D1)と反応させてアミド(PA-1)を含む組成物(Z1)を得ること、及び得られた組成物(Z1)を、少なくとも1種のポリイソシアネートを含むイソシアネート組成物(I1)及びポリオール組成物(P1)と反応させることを含む方法によって得ることができる又は得られる熱可塑性ポリウレタンに関し、ここで、ジアミン(D1)が50g/mol~700g/molの範囲の分子量を有する。本発明はさらに、このような熱可塑性ポリウレタンの製造方法に、及び本発明による熱可塑性ポリウレタンを含む成形物に関する。
【背景技術】
【0002】
熱可塑性ポリウレタンは、優れた機械的特性、高い耐摩耗性、高い弾性を持つことで、よく知られている。したがって、非常に幅広い用途に使用されている。熱可塑性ポリウレタンは、自動車分野でも広く採用されている。例えば、ハイブリッド車及び電気自動車の充電ケーブルなど、個々の用途では、高い熱安定性が求められている。自動車用途のケーブルに適用される規格は、特定の温度クラスに従って材料を分類するLV 112及びISO 6722である。
【0003】
新しい用途では、メーカーはしばしば、エンジン近辺の用途で最大150℃の温度に適した温度クラスDのケーブルを選択する。例には、エンジンのワイヤーハーネス又は変速機の接続部が含まれる。電気自動車及びハイブリッド車は、これまで慣例であった車載電気システムとの類似性が限られているワイヤーハーネス及びコンジットへの要求が特に高い。したがって、これらのケーブルは、最大1000Vの高電圧及びそれに対応する高電流の結果として、従来のケーブルよりも著しく高い温度に耐える必要がある。このケーブルは、150℃で3000時間の熱風エージングを行った後、通常の巻取り試験に耐える必要がある。
【0004】
温度クラスD(最大150℃)では、特にエチレン-テトラフルオロエチレンコポリマー(ETFE)が使用される。しかしながら、ETFEは火災時に腐食性ガスを発生させるため、これらの材料の使用がしばしば制限されている。
【0005】
特定の架橋ポリオレフィン化合物は、さらなる材料である。しかしながら、架橋ポリオレフィン化合物は、照射又は加硫による後続の架橋が必要とされるため、非常に複雑で高コストでのみ製造可能であり、耐薬品性及び低い機械的弾性の点で限界に達していることが多い。また、架橋材料は、リサイクルができず、プラグ及びグロメットを成形する際に水密性の問題を引き起こすという欠点を有する。
【0006】
現在、主に適用されている規格LV 112は、高温での耐加水分解性に関しても厳しい要求がある。ISO 6722では85℃及び85%の相対湿度で1000~3000時間の耐用寿命が要求されているが、LV 112では3000時間の耐用寿命が要求されている。
【0007】
ケーブルシースの残りの要件は、両方の規格でほぼ同じように規定されており、現在そのために販売されている材料の中で標準となっている。これらの要件には、耐寒性、耐媒体性、カビ発生の抑制、及び接着テープ、収縮チューブ、コネクターなどのワイヤーハーネス中のさらなる材料との適合性が含まれる。
【0008】
しかしながら、多くの用途において、良好な機械的特性を自動車用途特有の要求と組み合わせた材料は存在しない。また、多くの従来の熱可塑性ポリウレタンは、これらの応力下で分解する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、本発明は、良好な機械的特性及び高い熱安定性を示す熱可塑性ポリウレタンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、この目的は、少なくとも1種のポリイソシアネートを含むイソシアネート組成物(I1)とポリオール組成物(P1)との反応を含む方法によって得ることができる又は得られる熱可塑性ポリウレタンによって達成され、ここで、50g/mol~700g/molの範囲の分子量を有する少なくとも1種のジアミン(D1)が使用される。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明によれば、ジアミン(D1)は、例えば鎖延長剤としてそのまま方法に使用されてもよいか、又はイソシアネート組成物(I1)とポリオール組成物(P1)との反応の前に、熱可塑性ポリエステル(PE-1)と反応させてアミド(PA-1)を得てもよい。
【0012】
したがって、さらなる実施態様において、本発明は上記の熱可塑性ポリウレタンも提供し、ここで、ジアミンD1を、イソシアネート組成物(I1)とポリオール組成物(P1)との反応の前に、熱可塑性ポリエステル(PE-1)と反応させてアミド(PA-1)を得る。
【0013】
したがって、本発明によれば、この目的は、少なくとも1種のポリイソシアネートを含むイソシアネート組成物(I1)とポリオール組成物(P1)との反応を含む方法によって得ることができる又は得られる熱可塑性ポリウレタンによっても達成され、ここで、50g/mol~700g/molの範囲の分子量を有する少なくとも1種のジアミン(D1)を、イソシアネート組成物(I1)とポリオール組成物(P1)との反応の前に、熱可塑性ポリエステル(PE-1)と反応させてアミド(PA-1)を得る。
【0014】
したがって、本発明は、工程(i)及び(ii):
(i)熱可塑性ポリエステル(PE-1)をジアミン(D1)と反応させてアミド(PA-1)を含む組成物(Z1)を得る工程と、
(ii)工程(i)に従って得られた組成物(Z1)を、少なくとも1種のポリイソシアネートを含むイソシアネート組成物(I1)及びポリオール組成物(P1)と反応させる工程と
を含む方法によって得ることができる又は得られる熱可塑性ポリウレタンも提供し、
ここで、ジアミン(D1)が50g/mol~700g/molの範囲の分子量を有する。
【0015】
代替の実施態様において、本発明は、上記の熱可塑性ポリウレタンも提供し、ここで、ジアミン(D1)が鎖延長剤として使用される。
【0016】
したがって、さらなる実施態様において、本発明は、上記の熱可塑性ポリウレタンも提供し、ここで、方法が成分(a)~(c):
(a)少なくとも1種のポリイソシアネートを含むイソシアネート組成物(I1)、
(b)ポリオール組成物(P1)、及び
(c)鎖延長剤としてのジアミン(D1)、
の反応を含む。
【0017】
ジアミン(D1)が鎖延長剤として使用される場合、方法は一般的に使用される条件下で行われてもよい。特に好適な鎖延長剤は、一般式(I)又は(II)の化合物から選択されるジアミン(D1)である:
【化1】
(式中、R1及びR2は、互いに独立して、O-CH
3、CH
2CH
3、S-CH
3、NH-CH
3、N(CH
3)
2及びHからなる群から選択される)、又は
【化2】
(式中、
a)X
1=X
2=Y
1=Y
2=H、
b)X
1=X
2=Y
1=Y
2=CH
3、
c)X
1=X
2=Y
1=Y
2=イソプロピル、
d)X
1=X
2=Y
1=Y
2=C
2H
5、
e)X
1=X
2=Y
1=Y
2=ブチル、
f)X
1=X
2=Y
1=Y
2=tert-ブチル、
g)X
1=X
2=H、及びY
1=Y
2=CH
3、
h)X
1=X
2=H、及びY
1=Y
2=イソプロピル、
i)X
1=X
2=H、及びY
1=Y
2=C
2H
5、
j)X
1=X
2=H、及びY
1=Y
2=ブチル、又は
k)X
1=X
2=H、及びY
1=Y
2=tert-ブチル、
Zは、CH
2、CHCH
3、C(CH
3)
2、O及びSからなる群から選択される)。
【0018】
したがって、本発明は、少なくとも1種のポリイソシアネートを含むイソシアネート組成物(I1)とポリオール組成物(P1)との反応を含む方法によって得ることができる又は得られる熱可塑性ポリウレタンも提供し、ここで、50g/mol~700g/molの範囲の分子量を有する少なくとも1種のジアミン(D1)が、使用され、一般式(I)又は(II)の化合物から選択される:
【化3】
(式中、R1及びR2は、互いに独立して、O-CH
3、CH
2CH
3、S-CH
3、NH-CH
3、N(CH
3)
2及びHからなる群から選択される)、又は
【化4】
(式中、
a)X
1=X
2=Y
1=Y
2=H、
b)X
1=X
2=Y
1=Y
2=CH
3、
c)X
1=X
2=Y
1=Y
2=イソプロピル、
d)X
1=X
2=Y
1=Y
2=C
2H
5、
e)X
1=X
2=Y
1=Y
2=ブチル、
f)X
1=X
2=Y
1=Y
2=tert-ブチル、
g)X
1=X
2=H、及びY
1=Y
2=CH
3、
h)X
1=X
2=H、及びY
1=Y
2=イソプロピル、
i)X
1=X
2=H、及びY
1=Y
2=C
2H
5、
j)X
1=X
2=H、及びY
1=Y
2=ブチル、又は
k)X
1=X
2=H、及びY
1=Y
2=tert-ブチル、
Zは、CH
2、CHCH
3、C(CH
3)
2、O及びSからなる群から選択される)。
【0019】
一実施態様において、本発明による方法は、特に工程(i)及び(ii)を含む。工程(i)では、熱可塑性ポリエステル(PE-1)をジアミン(D1)と反応させてアミド(PA-1)を含む組成物(Z1)を得、ここで、ジアミン(D1)が50g/mol~700g/molの範囲の分子量を有する。本発明による方法の工程(ii)では、工程(i)に従って得られた組成物(Z1)を、少なくとも1種のポリイソシアネートを含むイソシアネート組成物(I1)及びポリオール組成物(P1)と反応させる。
【0020】
本発明による方法モードは、修飾された硬質相を含む熱可塑性ポリウレタンを得ることを可能にする。驚いたことには、これらの成分を段階的に反応させることで、良好な機械的特性及び高い熱安定性を示す熱可塑性ポリウレタンを得ることが可能になることが見出された。これにより、この熱可塑性ポリウレタンを特にケーブルシースとしての使用に適したものにする。本発明による熱可塑性ポリウレタンから押出成形又は射出成形によって製造された成形物がマットな表面を示すことは、ケーブルシースの分野における多くの用途にとってさらに有利である。
【0021】
工程(i)による反応は、好ましくは連続的に行われる。したがって、さらなる実施態様において、本発明は、上記の熱可塑性ポリウレタンの製造方法を提供し、ここで、工程(i)による反応が連続的に行われる。
【0022】
工程(i)によれば、熱可塑性ポリエステル(PE-1)をジアミン(D1)と反応させる。本発明の文脈において、これにより、アミドを形成する。ジアミン(D1)は、原則として、50g/mol~700g/molの範囲、好ましくは50~500g/molの範囲の分子量を有する任意の一般的に使用されるジアミンから選択されてもよい。例えば、脂肪族又は芳香族ジアミンが好適である。本発明によれば、芳香族ジアミンが好ましい。
【0023】
芳香族構造を有するジアミンを使用することが特に有利であることが実証されている。本発明の文脈で好ましくは使用されるのは、一般式(I)又は(II)の化合物から選択されるジアミン(D1)である:
【化5】
(式中、R1及びR2は、互いに独立して、O-CH
3、CH
2CH
3、S-CH
3、NH-CH
3、N(CH
3)
2及びHからなる群から選択される)、又は
【化6】
(式中、
a)X
1=X
2=Y
1=Y
2=H、
b)X
1=X
2=Y
1=Y
2=CH
3、
c)X
1=X
2=Y
1=Y
2=イソプロピル、
d)X
1=X
2=Y
1=Y
2=C
2H
5、
e)X
1=X
2=Y
1=Y
2=ブチル、
f)X
1=X
2=Y
1=Y
2=tert-ブチル、
g)X
1=X
2=H、及びY
1=Y
2=CH
3、
h)X
1=X
2=H、及びY
1=Y
2=イソプロピル、
i)X
1=X
2=H、及びY
1=Y
2=C
2H
5、
j)X
1=X
2=H、及びY
1=Y
2=ブチル、又は
k)X
1=X
2=H、及びY
1=Y
2=tert-ブチル、
Zは、CH
2、CHCH
3、C(CH
3)
2、O及びSからなる群から選択される)。
【0024】
したがって、さらなる実施態様において、本発明は上記の熱可塑性ポリウレタンを提供し、ここで、ジアミン(D1)が一般式(I)又は(II)の化合物から選択される:
【化7】
(式中、R1及びR2は、互いに独立して、O-CH
3、CH
2CH
3、S-CH
3、NH-CH
3、N(CH
3)
2及びHからなる群から選択される)、又は
【化8】
(式中、
a)X
1=X
2=Y
1=Y
2=H、
b)X
1=X
2=Y
1=Y
2=CH
3、
c)X
1=X
2=Y
1=Y
2=イソプロピル、
d)X
1=X
2=Y
1=Y
2=C
2H
5、
e)X
1=X
2=Y
1=Y
2=ブチル、
f)X
1=X
2=Y
1=Y
2=tert-ブチル、
g)X
1=X
2=H、及びY
1=Y
2=CH
3、
h)X
1=X
2=H、及びY
1=Y
2=イソプロピル、
i)X
1=X
2=H、及びY
1=Y
2=C
2H
5、
j)X
1=X
2=H、及びY
1=Y
2=ブチル、又は
k)X
1=X
2=H、及びY
1=Y
2=tert-ブチル、
Zは、CH
2、CHCH
3、C(CH
3)
2、O及びSからなる群から選択される)。
【0025】
本発明の文脈において、一般式(III)を有するジアミン(D1)を使用することが特に好ましい:
【化9】
(式中、R1=R2=S-CH
3又はR1=R2=CH
2CH
3である)。
【0026】
したがって、さらなる実施態様において、本発明は上記の熱可塑性ポリウレタンを提供し、ここで、ジアミン(D1)が一般式(III)を有する:
【化10】
(式中、R1=R2=S-CH
3又はR1=R2=CH
2CH
3である)。
【0027】
本発明の文脈において、上述したジアミンの混合物を使用してもよい。
【0028】
工程(i)によれば、熱可塑性ポリエステル(PE-1)が使用される。本発明に従って好適な熱可塑性ポリエステルはそれ自体が知られている。好適なポリエステルは、少なくとも1種のジカルボン酸及び少なくとも1種の好適なジヒドロキシ化合物から構成される。ポリエステルは、例えば、脂肪族若しくは芳香族ジカルボン酸、又は芳香族及び脂肪族及び/又は脂環式ジカルボン酸と、対応するエステル形成誘導体、例えばジカルボン酸無水物、有利にはアルコールラジカル中に4個以下の炭素原子を有するモノ及び/又はジエステルとの混合物を、エステル化触媒の存在下又は非存在下で、高温、例えば160℃~260℃で脂肪族ジヒドロキシ化合物と重縮合することにより製造することができる。
【0029】
本発明によれば、芳香族ジカルボン酸、例えば、ナフタレンジカルボン酸、イソフタル酸、及び特にテレフタル酸、又はこれらのジカルボン酸の混合物が好適である。本発明の文脈において、例えば4~14個の炭素原子を有する脂肪族及び/又は脂環式ジカルボン酸、例えばコハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸及び/又はシクロヘキサンジカルボン酸も好適である。
【0030】
また、本発明によれば、ポリエステル官能化ジカルボン酸、例えば乳酸をベースとするポリエステルが使用可能である。
【0031】
本発明の文脈において、脂肪族又は芳香族ジヒドロキシ化合物は、熱可塑性ポリエステル(PE-1)のさらなる合成成分として使用可能である。期待される脂肪族ジヒドロキシ化合物は、好ましくは、2~6個の炭素原子を有するアルカンジオール及び5~7個の炭素原子を有するシクロアルカンジオールである。例えば、1,2-エタンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4-シクロヘキサンジオール、又は上述したジオールの少なくとも2種の混合物が挙げられ、好ましく使用される。
【0032】
特に好適な熱可塑性ポリエステルは、ポリアルキレンテレフタレート及びポリ-L-乳酸からなる群から選択される熱可塑性ポリエステルである。
【0033】
さらなる実施態様において、本発明は上記の熱可塑性ポリウレタンも提供し、ここで、熱可塑性ポリエステル(PE-1)がポリアルキレンテレフタレート及びポリ-L-乳酸からなる群から選択される。
【0034】
本発明によれば、使用されるポリエステルの好適な分子量(Mn)範囲は、2000~100000の範囲、特に好ましくは10000~50000の範囲である。
【0035】
さらなる実施態様において、本発明は上記の熱可塑性ポリウレタンも提供し、ここで、熱可塑性ポリエステル(PE-1)が、1000g/mol~60000g/molの範囲、例えばまた1500g/mol~5000g/molの範囲の分子量を有する。
【0036】
本発明の文脈において、熱可塑性ポリエステルの質量平均分子量Mwの決定は、特に明記しない限り、GPCによってHFIP(ヘキサフルオロイソプロパノール)に溶解して行われる。分子量は、直列に配置された2つのGPCカラム(PSS-Gel;100A;5μ;300*8mm、Jordi-Gel DVB;混床;5μ;250*10mm;カラム温度60℃;流速1ml/分;RI検出器)を用いて決定される。ここでは、ポリメチルメタクリレート(EasyCal;PSS、マインツ製)を用いて校正を行い、HFIPを溶離液として使用する。
【0037】
例えば、使用されるポリエステルに基づくジアミンの割合は、5%~20%の範囲であり得る。
【0038】
工程(i)により、アミド(PA-1)を含む組成物(Z1)が得られる。本発明の文脈では、組成物(Z1)は、さらなる成分、例えば未変換の熱可塑性ポリエステル又は未変換のジアミンを含んでもよい。典型的には、組成物(Z1)は、アミド(PA-1)に加えて、未変換のポリエステル(PE-1)又は未反応のジアミンを含んでもよい混合物である。したがって、本発明によれば、アミド(PA-1)は混合物として存在し、ここで、個々の分子は、例えば、ポリエステルブロックの分布及び長さの点で異なってもよい。
【0039】
工程(i)による反応における反応条件は、好ましくは、アミド(PA-1)が遊離アミン官能価及び遊離のOH官能価を有するように選択される。
【0040】
好ましくは、組成物は、アミド(PA-1)、及び触媒又は添加剤などのさらなる成分、例えばワックス、安定剤及びフィラーを含む。添加剤は典型的に、最大5%の範囲の量で組成物中に存在する。
【0041】
工程(ii)による反応は、ジイソシアネートとアミド(PA-1)の遊離反応性基との反応を可能にする好適な条件下で行われる。本発明によれば、この反応は好適な装置で行うことができ、ここで、好適なプロセスはそれ自体が当業者に知られている。また、本発明によれば、工程(i)又は(ii)による反応を促進/改善するために、添加剤又は補助剤を使用することも可能である。特に、触媒を使用することができる。
【0042】
工程(i)による反応に適した触媒は、それ自体が当業者に知られている。触媒は、例えば10~200ppmの範囲の量で使用されてもよい。
【0043】
工程(i)による反応、工程(ii)による反応又は工程(i)及び工程(ii)による反応は特に、押出機で行うことができる。
【0044】
工程(i)による反応は、例えば、200℃~310℃の範囲、好ましくは220℃~300℃の範囲、特に220℃~280℃の範囲、より好ましくは230℃~270℃の範囲の温度で、10秒~30分、好ましくは15秒~10分の滞留時間で、例えばポリエステル及びジアミンの流動性のある軟化した、又は好ましくは溶融した状態で、特に撹拌、圧延、混練、又は好ましくは押出しによって、例えば慣用の可塑化装置、例えばミル、ニーダー又は押出機、好ましくは押出機を使用して行うことができる。
【0045】
本発明による方法は、さらなる工程、例えば温度調整工程又は成形工程を含んでもよい。
【0046】
次に、工程(ii)によれば、組成物(Z1)をイソシアネート組成物(I1)及びポリオール組成物(P1)と反応させる。
【0047】
本発明によれば、ポリオール組成物(P1)は、少なくとも1種のポリオール、特に少なくとも1種のポリカーボネートポリオール(PC1)を含む。
【0048】
好適なポリカーボネートポリオールは、それ自体が当業者に知られている。本発明の文脈では、脂肪族ポリカーボネートジオールが特に好適である。好適なポリカーボネートジオールには、例えば、アルカンジオールをベースとするポリカーボネートジオールが含まれる。好適なポリカーボネートジオールは、厳密に2官能のOH-官能性ポリカーボネートジオール、好ましくは厳密に2官能のOH-官能性脂肪族ポリカーボネートジオールである。好適なポリカーボネートジオールは、例えば、ブタンジオール、ペンタンジオール又はヘキサンジオール、特に1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、3-メチルペンタン-(1,5)-ジオール又はそれらの混合物、特に好ましくは1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール又はそれらの混合物をベースとする。本発明の文脈において、好ましくは、ブタンジオール及びヘキサンジオールをベースとするポリカーボネートジオール、ペンタンジオール及びヘキサンジオールをベースとするポリカーボネートジオール、ヘキサンジオールをベースとするポリカーボネートジオール、及びこれらのポリカーボネートジオールの2種以上の混合物を使用する。
【0049】
さらなる実施態様において、本発明は上記の熱可塑性ポリウレタンも提供し、ここで、少なくとも1種のポリカーボネートポリオール(PC1)が、ブタンジオール及びヘキサンジオールをベースとするポリカーボネートジオール、ペンタンジオール及びヘキサンジオールをベースとするポリカーボネートジオール、ヘキサンジオールをベースとするポリカーボネートジオール、及びこれらのポリカーボネートジオールの2種以上の混合物からなる群から選択される。
【0050】
使用されるポリカーボネートジオールは、好ましくはGPCによって決定される500~4000の範囲、好ましくはGPCによって決定される650~3500の範囲、より好ましくはGPCによって決定される800~3000の範囲の数平均分子量Mnを有する。
【0051】
さらなる実施態様において、本発明は上記の熱可塑性ポリウレタンも提供し、ここで、少なくとも1種のポリカーボネートポリオール(PC1)が、GPCによって決定される500~4000の範囲の数平均分子量Mnを有する。
【0052】
本発明によれば、ポリオール組成物(P1)は、さらなるポリオールを含んでもよい。好適なポリオールは、原則として当業者に知られており、例えば、「Kunststoffhandbuch[プラスチックハンドブック],第7巻,Polyurethane[ポリウレタン]」,Carl Hanser Verlag,第3版1993年,第3.1章に記載されている。特に好ましくは、ポリエステルオール又はポリエーテルオールをポリオールとして使用する。特に好ましくは、ポリエーテルポリオールを使用する。本発明に従って使用されるポリオールの数平均分子量は、好ましくは500g/mol~3000g/mol、好ましくは600g/mol~2500g/mol、特に650g/mol~2000g/molである。
【0053】
本発明によれば、好ましいポリエーテルオールは、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール及びポリテトラヒドロフランである。
【0054】
本発明によれば、ポリオール組成物は、例えば溶媒も含むことができる。好適な溶媒は、それ自体が当業者に知られている。
【0055】
本発明の文脈では、反応は、ポリオール組成物の添加剤又は補助剤、例えば酸化防止剤、UV吸収剤、UVフィルター、加水分解防止剤、ワックス、潤滑剤、可塑剤、加工助剤、核剤、フィラー、難燃剤も使用することができる。
【0056】
本発明によれば、少なくとも1種のポリイソシアネートを含む少なくとも1種のイソシアネート組成物(I1)が使用される。好ましくは、使用されるポリイソシアネートはジイソシアネートである。本発明に従って、2種以上のジイソシアネートの混合物を使用することもできる。本発明の文脈において、好ましいジイソシアネートは特に脂肪族又は芳香族ジイソシアネートである。
【0057】
好ましく使用されるイソシアネートには、脂肪族、脂環式、芳香脂肪族及び/又は芳香族イソシアネート、より好ましくは、トリ-、テトラ-、ペンタ-、ヘキサ-、ヘプタ-及び/又はオクタメチレンジイソシアネート、2-メチルペンタメチレン1,5-ジイソシアネート、2-エチルブチレン1,4-ジイソシアネート、ペンタメチレン1,5-ジイソシアネート、ブチレン1,4-ジイソシアネート、1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート、IPDI)、1,4-及び/又は1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(HXDI)、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、1-メチル-2,4-及び/又は-2,6-シクロヘキサンジイソシアネート、及び/又は4,4’-、2,4’-及び2,2’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、2,2’-、2,4’-及び/又は4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、1,5-ナフチレンジイソシアネート(NDI)、2,4-及び/又は2,6-トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3’-ジメチルジフェニルジイソシアネート、1,2-ジフェニルエタンジイソシアネート及び/又はフェニレンジイソシアネートが含まれる。特に好ましくは、4,4’-MDIを使用する。
【0058】
使用される脂肪族ジイソシアネートは、慣用の脂肪族及び/又は脂環式ジイソシアネートであり、例えば、トリ-、テトラ-、ペンタ-、ヘキサ-、ヘプタ-及び/又はオクタメチレンジイソシアネート、2-メチルペンタメチレン1,5-ジイソシアネート、2-エチルテトラメチレン1,4-ジイソシアネート、ヘキサメチレン1,6-ジイソシアネート(HDI)、ペンタメチレン1,5-ジイソシアネート、ブチレン1,4-ジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレン1,6-ジイソシアネート、1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート、IPDI)、1,4-及び/又は1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(HXDI)、シクロヘキサン1,4-ジイソシアネート、1-メチルシクロヘキサン2,4-及び/又は2,6-ジイソシアネート、メチレンジシクロヘキシル4,4’-、2,4’-及び/又は2,2’-ジイソシアネート(H12MDI)である。
【0059】
さらなる実施態様において、本発明は上記の熱可塑性ポリウレタンも提供し、ここで、ポリイソシアネートがメチレンジフェニルジイソシアネート及び脂肪族ジイソシアネート及びジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)からなる群から選択される。
【0060】
本発明によれば、イソシアネート組成物は、純粋な形態で、又はジイソシアネート及び少なくとも1種の溶媒を含む組成物の形態で使用することができる。好適な溶媒は、当業者に知られている。好適な例は、酢酸エチル、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン及び炭化水素などの非反応性溶媒である。
【0061】
本発明によれば、工程(ii)による反応中に、さらなる投入材料、例えば触媒、又は補助物質及び添加物質を添加することができる。
【0062】
イソシアネート反応性化合物のNCO基とヒドロキシル基との反応を特に促進する触媒は、例えば3級アミン、特にトリエチルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、N-メチルモルホリン、N,N’-ジメチルピペラジン、2-(ジメチルアミノエトキシ)エタノール、ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンである;別の好ましい実施態様において、これらは、有機金属化合物、例えばチタン酸エステル、鉄化合物、好ましくは鉄(III)アセチルアセトナート、スズ化合物、好ましくはスズジアセテート、スズジオクトエート、スズジラウレート、又は脂肪族カルボン酸のジアルキルスズ塩、好ましくはジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジラウレート、又はビスマスが好ましくは2又は3、特に3の酸化状態であるビスマス塩である。カルボン酸の塩が好ましい。使用されるカルボン酸は、好ましくは6~14個の炭素原子を有する、特に好ましくは8~12個の炭素原子を有するカルボン酸である。好適なビスマス塩の例として、ビスマス(III)ネオデカノエート、ビスマス2-エチルヘキサノエート及びビスマスオクタノエートが挙げられる。
【0063】
触媒は好ましくは、イソシアネート反応性化合物(b)100質量部に対して、0.0001~0.1質量部の量で使用される。好ましくは、スズ触媒、特にスズジオクトエートを使用する。
【0064】
触媒は、一般に3ppm~2000ppm、好ましくは10ppm~1200ppm、より好ましくは20ppm~1000ppm、最も好ましくは30ppm~800ppmの量で使用される。
【0065】
触媒に加えて、工程(ii)による反応には、通常の補助剤を添加することもできる。例には、表面活性物質、フィラー、さらに難燃剤、核剤、酸化安定剤、潤滑及び脱型助剤、染料及び顔料、任意に、例えば加水分解、光、熱、変色に対する安定剤、無機及び/又は有機フィラー、補強剤及び可塑剤が含まれる。好適な補助物質及び添加物質は、例えば、Kunststoffhandbuch,第7巻,Vieweg及びHoechtlen編集,Carl Hanser Verlag,Munich 1966年(103~113頁)に見出すことができる。
【0066】
本発明によれば、熱可塑性ポリウレタンが得られる。本発明による熱可塑性ポリウレタンの性質は広い範囲内で変化することができる。好ましくは、熱可塑性ポリウレタンは、45A~78Dの範囲のショア硬度、好ましくは80A~70Dの範囲のショア硬度、特に好ましくは70A~64Dの範囲、より好ましくは70A~98Aの範囲のショア硬度を有する。
【0067】
さらなる実施態様において、本発明は上記の熱可塑性ポリウレタンも提供し、ここで、熱可塑性ポリウレタンがショア45A~ショア78Dの範囲のショア硬度を有する。
【0068】
さらなる態様において、本発明は、少なくとも1種のポリイソシアネートを含むイソシアネート組成物(I1)とポリオール組成物(P1)との反応を含む熱可塑性ポリウレタンの製造方法も提供し、ここで、50g/mol~700g/molの範囲の分子量を有するジアミン(D1)が使用される。
【0069】
したがって、本発明は、少なくとも1種のポリイソシアネートを含むイソシアネート組成物(I1)とポリオール組成物(P1)との反応を含む熱可塑性ポリウレタンの製造方法も提供し、ここで、イソシアネート組成物(I1)とポリオール組成物(P1)との反応の前に、50g/mol~700g/molの範囲の分子量を有する少なくとも1種のジアミン(D1)を熱可塑性ポリエステル(PE-1)と反応させてアミド(PA-1)を得る。
【0070】
特に、本発明は、工程(i)及び(ii)、
(i)熱可塑性ポリエステル(PE-1)をジアミン(D1)と反応させてアミド(PA-1)を含む組成物(Z1)を得る工程と、
(ii)工程(i)に従って得られた組成物(Z1)を、少なくとも1種のポリイソシアネートを含むイソシアネート組成物(I1)及びポリオール組成物(P1)と反応させる工程と
を含む熱可塑性ポリウレタンの製造方法にも関し、
ここで、ジアミン(D1)が50g/mol~700g/molの範囲の分子量を有する。
【0071】
したがって、本発明はさらに、少なくとも1種のポリイソシアネートを含むイソシアネート組成物(I1)とポリオール組成物(P1)との反応を含む熱可塑性ポリウレタンの製造方法を提供し、当該方法が、工程(i)及び(ii):
(i)熱可塑性ポリエステル(PE-1)をジアミン(D1)と反応させてアミド(PA-1)を含む組成物(Z1)を得る工程と、
(ii)工程(i)に従って得られた組成物(Z1)を、少なくとも1種のポリイソシアネートを含むイソシアネート組成物(I1)及びポリオール組成物(P1)と反応させる工程と
を含み、
ジアミン(D1)が50g/mol~700g/molの範囲の分子量を有する。
【0072】
代替の実施態様において、本発明は、成分(a)~(c):
(a)少なくとも1種のポリイソシアネートを含むイソシアネート組成物(I1)、
(b)ポリオール組成物(P1)、及び
(c)鎖延長剤としてのジアミン(D1)、
の反応を含む熱可塑性ポリウレタンの製造方法に関する。
【0073】
好ましい実施形態に関して、前述の内容を参照する。
【0074】
本発明はさらに、本発明による熱可塑性ポリウレタンを含む組成物を提供する。本発明の文脈において、この組成物は、さらなる成分、例えばフィラー、ガラス繊維、可塑剤又は難燃剤を含んでもよい。この組成物は、1種以上の上述した成分を含んでもよい。
【0075】
本発明はさらに、本明細書に記載の本発明による熱可塑性ポリウレタンの、コーティング、減衰要素、ベローズ、フィルム又は繊維、成形物、建物及び輸送用の床材、不織布、好ましくはシール、ホイール/ローラー、靴底、ホース、ケーブル、ケーブルコネクタ、ケーブルシース、クッション、ラミネート、プロファイル、ベルト、サドル、フォーム、プラグコネクタ、トレーリングケーブル(trailing cable)、太陽電池モジュール、自動車トリムの製造への使用方法を提供する。ケーブルシースの製造への使用方法が好ましい。好ましくは、製造は、ペレット材料から、射出成形、カレンダー加工、粉末焼結又は押出成形により、及び/又は本発明による組成物のさらなる発泡により行われる。
【0076】
さらなる態様において、本発明は、本明細書に記載の熱可塑性ポリウレタン、又は本明細書に記載の方法によって得ることができる又は得られる熱可塑性ポリウレタンを含む成形物も提供する。本発明による成形物は、例えばフィルム、成形品、ホイール/ローラー、繊維、自動車用トリム、ホース、ケーブルプラグ、ベローズ、トレーリングケーブル、ケーブルシース、シール、ベルト又は減衰要素であり得る。
【0077】
良好な機械的特性及び良好な熱的特性のために、本発明による熱可塑性ポリウレタン及び本発明による組成物は、特に、フィルム、成形品、ホイール/ローラー、繊維、自動車用トリム、ホース、ケーブルプラグ、ベローズ、トレーリングケーブル、ケーブルシース、シール、ベルト又は減衰要素の製造に適している。
【0078】
したがって、本発明は、本明細書に記載の熱可塑性ポリウレタン又は本明細書に記載の組成物を含むフィルム、成形品、ホイール/ローラー、繊維、自動車用トリム、ホース、ケーブルプラグ、ベローズ、トレーリングケーブル、ケーブルシース、シール、ベルト又は減衰要素も提供する。
【0079】
さらなる実施態様において、本発明は本明細書に記載の成形物も提供し、ここで、当該成形物が、フィルム、成形品、ホイール/ローラー、繊維、自動車用トリム、ホース、ケーブルプラグ、ベローズ、トレーリングケーブル、ケーブルシース、シール、ベルト又は減衰要素から選択される。
【0080】
本発明のさらなる実施態様が、特許請求の範囲及び実施例に見ることができる。上で述べられ、以下で解明された本発明による主題/製造方法/使用方法の特徴は、本発明の範囲から逸脱することなく、各場合に指定された組み合わせだけでなく、他の組み合わせでも使用できることが理解されるであろう。したがって、例えば、好ましい特徴と特に好ましい特徴との組み合わせ、又はさらに特徴のない特徴と特に好ましい特徴などの組み合わせも、この組み合わせが明示的に言及されていなくても、暗黙的に理解される。
【0081】
本発明の例示的な実施態様が以下に記載されているが、決して本発明の限定を意図するものではない。本発明は、特に、以下の従属関係の参照、及び、それゆえ、以下に明記された組み合わせから結果として生じる実施態様も包含する。
【0082】
1.少なくとも1種のポリイソシアネートを含むイソシアネート組成物(I1)とポリオール組成物(P1)との反応を含む方法によって得ることができる又は得られる熱可塑性ポリウレタンであって、
50g/mol~700g/molの範囲の分子量を有する少なくとも1種のジアミン(D1)が使用される、熱可塑性ポリウレタン。
【0083】
2.前記イソシアネート組成物(I1)と前記ポリオール組成物(P1)との反応の前に、前記ジアミンD1を熱可塑性ポリエステル(PE-1)と反応させてアミド(PA-1)を得る、実施態様1に記載の熱可塑性ポリウレタン。
【0084】
3.前記方法が、工程(i)及び(ii):
(i)熱可塑性ポリエステル(PE-1)をジアミン(D1)と反応させてアミド(PA-1)を含む組成物(Z1)を得る工程と、
(ii)工程(i)に従って得られた前記組成物(Z1)を、少なくとも1種のポリイソシアネートを含むイソシアネート組成物(I1)及びポリオール組成物(P1)と反応させる工程と
を含み、
前記ジアミン(D1)が50g/mol~700g/molの範囲の分子量を有する、実施態様1又は2に記載の熱可塑性ポリウレタン。
【0085】
4.前記ジアミン(D1)が鎖延長剤として使用される、実施態様1に記載の熱可塑性ポリウレタン。
【0086】
5.前記方法が、成分(a)~(c):
(a)少なくとも1種のポリイソシアネートを含む前記イソシアネート組成物(I1)、
(b)前記ポリオール組成物(P1)、及び
(c)鎖延長剤としての前記ジアミン(D1)、
の反応を含む、実施態様4に記載の熱可塑性ポリウレタン。
【0087】
6.前記ジアミン(D1)が一般式(I)又は(II)の化合物から選択される:
【化11】
(式中、R1及びR2は、互いに独立して、O-CH
3、CH
2CH
3、S-CH
3、NH-CH
3、N(CH
3)
2及びHからなる群から選択される)、又は
【化12】
(式中、
a)X
1=X
2=Y
1=Y
2=H、
b)X
1=X
2=Y
1=Y
2=CH
3、
c)X
1=X
2=Y
1=Y
2=イソプロピル、
d)X
1=X
2=Y
1=Y
2=C
2H
5、
e)X
1=X
2=Y
1=Y
2=ブチル、
f)X
1=X
2=Y
1=Y
2=tert-ブチル、
g)X
1=X
2=H、及びY
1=Y
2=CH
3、
h)X
1=X
2=H、及びY
1=Y
2=イソプロピル、
i)X
1=X
2=H、及びY
1=Y
2=C
2H
5、
j)X
1=X
2=H、及びY
1=Y
2=ブチル、又は
k)X
1=X
2=H、及びY
1=Y
2=tert-ブチル、
Zは、CH
2、CHCH
3、C(CH
3)
2、O及びSからなる群から選択される)、実施態様1から5のいずれか一項に記載の熱可塑性ポリウレタン。
【0088】
7.前記ジアミン(D1)が一般式(III)を有する:
【化13】
(式中、R1=R2=S-CH
3又はR1=R2=CH
2CH
3である)、実施態様1から6のいずれか一項に記載の熱可塑性ポリウレタン。
【0089】
8.前記ポリオール組成物(P1)が少なくとも1種のポリカーボネートポリオール(PC1)を含む、実施態様1から7のいずれか一項に記載の熱可塑性ポリウレタン。
【0090】
9.前記熱可塑性ポリエステル(PE-1)が1500g/mol~60000g/molの範囲の分子量を有する、実施態様1から8のいずれか一項に記載の熱可塑性ポリウレタン。
【0091】
10.前記熱可塑性ポリエステル(PE-1)がポリアルキレンテレフタレート及びポリ-L-乳酸からなる群から選択される、実施態様1から9のいずれか一項に記載の熱可塑性ポリウレタン。
【0092】
11.前記ポリエステル(PE-1)が1000g/mol~5000g/molの範囲の分子量を有する、実施態様1から10のいずれか一項に記載の熱可塑性ポリウレタン。
【0093】
12.前記ポリイソシアネートがメチレンジフェニルジイソシアネート及び脂肪族ジイソシアネートからなる群から選択される、実施態様1から11のいずれか一項に記載の熱可塑性ポリウレタン。
【0094】
13.ショア45A~ショア78Dの範囲のショア硬度を有する、実施態様1から12のいずれか一項に記載の熱可塑性ポリウレタン。
【0095】
14.少なくとも1種のポリイソシアネートを含むイソシアネート組成物(I1)とポリオール組成物(P1)との反応を含む熱可塑性ポリウレタンの製造方法であって、50g/mol~700g/molの範囲の分子量を有する少なくとも1種のジアミン(D1)が使用される、熱可塑性ポリウレタンの製造方法。
【0096】
15.工程(i)及び(ii):
(i)熱可塑性ポリエステル(PE-1)をジアミン(D1)と反応させてアミド(PA-1)を含む組成物(Z1)を得る工程と、
(ii)工程(i)に従って得られた前記組成物(Z1)を、少なくとも1種のポリイソシアネートを含むイソシアネート組成物(I1)及びポリオール組成物(P1)と反応させる工程と
を含み、
前記ジアミン(D1)が50g/mol~700g/molの範囲の分子量を有する、実施態様14に記載の熱可塑性ポリウレタンの製造方法。
【0097】
16.成分(a)~(c):
(a)少なくとも1種のポリイソシアネートを含む前記イソシアネート組成物(I1)、
(b)前記ポリオール組成物(P1)、及び
(c)鎖延長剤としての前記ジアミン(D1)、
の反応を含む、実施態様14に記載の熱可塑性ポリウレタンの製造方法。
【0098】
17.前記ジアミン(D1)が鎖延長剤として使用される、実施態様14から16のいずれか一項に記載の方法。
【0099】
18.前記ジアミン(D1)が一般式(I)又は(II)の化合物から選択される:
【化14】
(式中、R1及びR2は、互いに独立して、O-CH
3、CH
2CH
3、S-CH
3、NH-CH
3、N(CH
3)
2及びHからなる群から選択される)、又は
【化15】
(式中、
a)X
1=X
2=Y
1=Y
2=H、
b)X
1=X
2=Y
1=Y
2=CH
3、
c)X
1=X
2=Y
1=Y
2=イソプロピル、
d)X
1=X
2=Y
1=Y
2=C
2H
5、
e)X
1=X
2=Y
1=Y
2=ブチル、
f)X
1=X
2=Y
1=Y
2=tert-ブチル、
g)X
1=X
2=H、及びY
1=Y
2=CH
3、
h)X
1=X
2=H、及びY
1=Y
2=イソプロピル、
i)X
1=X
2=H、及びY
1=Y
2=C
2H
5、
j)X
1=X
2=H、及びY
1=Y
2=ブチル、又は
k)X
1=X
2=H、及びY
1=Y
2=tert-ブチル、
Zは、CH
2、CHCH
3、C(CH
3)
2、O及びSからなる群から選択される)、実施態様14から17のいずれか一項に記載の方法。
【0100】
19.前記ジアミン(D1)が一般式(III)を有する:
【化16】
(式中、R1=R2=S-CH
3又はR1=R2=CH
2CH
3である)、実施態様14から18のいずれか一項に記載の方法。
【0101】
20.前記ポリオール組成物(P1)が少なくとも1種のポリカーボネートポリオール(PC1)を含む、実施態様14から19のいずれか一項に記載の方法。
【0102】
21.前記熱可塑性ポリエステル(PE-1)が1500g/mol~60000g/molの範囲の分子量を有する、実施態様14から20のいずれか一項に記載の方法。
【0103】
22.前記熱可塑性ポリエステル(PE-1)がポリアルキレンテレフタレート及びポリ-L-乳酸からなる群から選択される、実施態様14から21のいずれか一項に記載の方法。
【0104】
23.前記ポリエステル(PE-1)が1000g/mol~5000g/molの範囲の分子量を有する、実施態様14から22のいずれか一項に記載の方法。
【0105】
24.前記ポリイソシアネートがメチレンジフェニルジイソシアネート及び脂肪族ジイソシアネートからなる群から選択される、実施態様14から23のいずれか一項に記載の方法。
【0106】
25.前記熱可塑性ポリウレタンがショア45A~ショア78Dの範囲のショア硬度を有する、実施態様14から24のいずれか一項に記載の方法。
【0107】
26.実施態様1から13のいずれか一項に記載の熱可塑性ポリウレタン、又は実施態様14から25のいずれか一項に記載の方法によって得ることができる又は得られる熱可塑性ポリウレタンを含む、成形物。
【0108】
27.フィルム、成形品、ホイール/ローラー、繊維、自動車用トリム、ホース、ケーブルプラグ、ベローズ、トレーリングケーブル、ケーブルシース、シール、ベルト又は減衰要素から選択される、実施態様26に記載の成形物。
【0109】
28.工程(i)及び(ii):
(i)熱可塑性ポリエステル(PE-1)をジアミン(D1)と反応させてアミド(PA-1)を含む組成物(Z1)を得る工程と、
(ii)工程(i)に従って得られた前記組成物(Z1)を、少なくとも1種のポリイソシアネートを含むイソシアネート組成物(I1)及びポリオール組成物(P1)と反応させる工程と
を含む方法によって得ることができる又は得られる熱可塑性ポリウレタンであって、
前記ジアミン(D1)が、50g/mol~700g/molの範囲の分子量を有し、かつ、一般式(III)を有する:
【化17】
(式中、R1=R2=S-CH
3又はR1=R2=CH
2CH
3である)、熱可塑性ポリウレタン。
【0110】
29.前記ポリオール組成物(P1)が少なくとも1種のポリカーボネートポリオール(PC1)を含む、実施態様28に記載の熱可塑性ポリウレタン。
【0111】
30.前記熱可塑性ポリエステル(PE-1)が1500g/mol~60000g/molの範囲の分子量を有する、実施態様28又は29に記載の熱可塑性ポリウレタン。
【0112】
31.前記熱可塑性ポリエステル(PE-1)がポリアルキレンテレフタレート及びポリ-L-乳酸からなる群から選択される、実施態様28から30のいずれか一項に記載の熱可塑性ポリウレタン。
【0113】
32.前記ポリエステル(PE-1)が1000g/mol~5000g/molの範囲の分子量を有する、実施態様28から31のいずれか一項に記載の熱可塑性ポリウレタン。
【0114】
33.前記ポリイソシアネートがメチレンジフェニルジイソシアネート及び脂肪族ジイソシアネートからなる群から選択される、実施態様28から32のいずれか一項に記載の熱可塑性ポリウレタン。
【0115】
34.ショア45A~ショア78Dの範囲のショア硬度を有する、実施態様28から33のいずれか一項に記載の熱可塑性ポリウレタン。
【0116】
35.工程(i)及び(ii):
(i)熱可塑性ポリエステル(PE-1)をジアミン(D1)と反応させてアミド(PA-1)を含む組成物(Z1)を得る工程と、
(ii)工程(i)に従って得られた前記組成物(Z1)を、少なくとも1種のポリイソシアネートを含むイソシアネート組成物(I1)及びポリオール組成物(P1)と反応させる工程と
を含む熱可塑性ポリウレタンの製造方法であって、
前記ジアミン(D1)が、50g/mol~700g/molの範囲の分子量を有し、かつ、一般式(III)を有する:
【化18】
(式中、R1=R2=S-CH
3又はR1=R2=CH
2CH
3である)、方法。
【0117】
36.実施態様28から34のいずれか一項に記載の熱可塑性ポリウレタン、又は実施態様35に記載の方法によって得ることができる又は得られる熱可塑性ポリウレタンを含む、成形物。
【0118】
37.フィルム、成形品、ホイール/ローラー、繊維、自動車用トリム、ホース、ケーブルプラグ、ベローズ、トレーリングケーブル、ケーブルシース、シール、ベルト又は減衰要素から選択される、実施態様36に記載の成形物。
【0119】
38.少なくとも1種のポリイソシアネートを含むイソシアネート組成物(I1)とポリオール組成物(P1)との反応を含む方法によって得ることができる又は得られる熱可塑性ポリウレタンであって、
前記イソシアネート組成物(I1)と前記ポリオール組成物(P1)との反応の前に、50g/mol~700g/molの範囲の分子量を有する少なくとも1種のジアミン(D1)を熱可塑性ポリエステル(PE-1)と反応させてアミド(PA-1)を得る、熱可塑性ポリウレタン。
【0120】
39.前記方法が、工程(i)及び(ii):
(i)熱可塑性ポリエステル(PE-1)をジアミン(D1)と反応させてアミド(PA-1)を含む組成物(Z1)を得る工程と、
(ii)工程(i)に従って得られた組成物(Z1)を、少なくとも1種のポリイソシアネートを含むイソシアネート組成物(I1)及びポリオール組成物(P1)と反応させる工程と
を含み、
前記ジアミン(D1)が50g/mol~700g/molの範囲の分子量を有する、実施態様38に記載の熱可塑性ポリウレタン。
【0121】
40.前記ジアミン(D1)が一般式(I)又は(II)の化合物から選択される:
【化19】
(式中、R1及びR2は、互いに独立して、O-CH
3、CH
2CH
3、S-CH
3、NH-CH
3、N(CH
3)
2及びHからなる群から選択される)、又は
【化20】
(式中、
a)X
1=X
2=Y
1=Y
2=H、
b)X
1=X
2=Y
1=Y
2=CH
3、
c)X
1=X
2=Y
1=Y
2=イソプロピル、
d)X
1=X
2=Y
1=Y
2=C
2H
5、
e)X
1=X
2=Y
1=Y
2=ブチル、
f)X
1=X
2=Y
1=Y
2=tert-ブチル、
g)X
1=X
2=H、及びY
1=Y
2=CH
3、
h)X
1=X
2=H、及びY
1=Y
2=イソプロピル、
i)X
1=X
2=H、及びY
1=Y
2=C
2H
5、
j)X
1=X
2=H、及びY
1=Y
2=ブチル、又は
k)X
1=X
2=H、及びY
1=Y
2=tert-ブチル、
Zは、CH
2、CHCH
3、C(CH
3)
2、O及びSからなる群から選択される)、実施態様38又は39に記載の熱可塑性ポリウレタン。
【0122】
41.前記ジアミン(D1)が一般式(III)を有する:
【化21】
(式中、R1=R2=S-CH
3又はR1=R2=CH
2CH
3である)、実施態様38から40のいずれか一項に記載の熱可塑性ポリウレタン。
【0123】
42.前記ポリオール組成物(P1)が少なくとも1種のポリカーボネートポリオール(PC1)を含む、実施態様38から41のいずれか一項に記載の熱可塑性ポリウレタン。
【0124】
43.前記熱可塑性ポリエステル(PE-1)が1500g/mol~60000g/molの範囲の分子量を有する、実施態様38から42のいずれか一項に記載の熱可塑性ポリウレタン。
【0125】
44.前記熱可塑性ポリエステル(PE-1)がポリアルキレンテレフタレート及びポリ-L-乳酸からなる群から選択される、実施態様38から43のいずれか一項に記載の熱可塑性ポリウレタン。
【0126】
45.前記ポリエステル(PE-1)が1000g/mol~5000g/molの範囲の分子量を有する、実施態様38から44のいずれか一項に記載の熱可塑性ポリウレタン。
【0127】
46.前記ポリイソシアネートがメチレンジフェニルジイソシアネート及び脂肪族ジイソシアネートからなる群から選択される、実施態様38から45のいずれか一項に記載の熱可塑性ポリウレタン。
【0128】
47.ショア45A~ショア78Dの範囲のショア硬度を有する、実施態様38から46のいずれか一項に記載の熱可塑性ポリウレタン。
【0129】
48.少なくとも1種のポリイソシアネートを含むイソシアネート組成物(I1)とポリオール組成物(P1)との反応を含む熱可塑性ポリウレタンの製造方法であって、
前記イソシアネート組成物(I1)と前記ポリオール組成物(P1)との反応の前に、50g/mol~700g/molの範囲の分子量を有する少なくとも1種のジアミン(D1)を熱可塑性ポリエステル(PE-1)と反応させてアミド(PA-1)を得る、熱可塑性ポリウレタンの製造方法。
【0130】
49.工程(i)及び(ii):
(i)熱可塑性ポリエステル(PE-1)をジアミン(D1)と反応させてアミド(PA-1)を含む組成物(Z1)を得る工程と、
(ii)工程(i)に従って得られた組成物(Z1)を、少なくとも1種のポリイソシアネートを含むイソシアネート組成物(I1)及びポリオール組成物(P1)と反応させる工程と
を含み、
前記ジアミン(D1)が50g/mol~700g/molの範囲の分子量を有する、実施態様48に記載の少なくとも1種のポリイソシアネートを含むイソシアネート組成物(I1)とポリオール組成物(P1)との反応を含む熱可塑性ポリウレタンの製造方法。
【0131】
50.実施態様38から47のいずれか一項に記載の熱可塑性ポリウレタン、又は実施態様48又は49に記載の方法によって得ることができる又は得られる熱可塑性ポリウレタンを含む、成形物。
【0132】
51.フィルム、成形品、ホイール/ローラー、繊維、自動車用トリム、ホース、ケーブルプラグ、ベローズ、トレーリングケーブル、ケーブルシース、シール、ベルト又は減衰要素から選択される、実施態様50に記載の成形物。
【0133】
以下の実施例は、本発明を説明するのに役立つが、本発明の主題に関しては決して限定するものではない。
【実施例】
【0134】
1.投入材料
PCポリオール:ポリカーボネートポリオール
E1195A:標準TPU(ベンチマーク)、Elastollan 1195 A、熱可塑性ポリエーテルをベースとするポリウレタン、BASFポリウレタンから入手可能
785A HPM:標準HPM TPU(ベンチマーク)、Elastollan 785 A HPM、熱可塑性ポリエーテルをベースとするポリウレタン、BASFポリウレタンから入手可能
Ethacure 300:ジメチルチオトルエンジアミン(E300)
Ethacure 100:ジエチルトルエンジアミン(E100)。
【0135】
2.一般的な製造例
2.1 EP1419188B1に記載されている方法に従って、セルフクリーニング式二軸押出機を用いて反応性押出によって、合成を行った。スクリュー長さのスクリュー直径に対する比が48の二軸押出機は、少なくとも40秒、好ましくは60秒超の滞留時間を達成した。アミド交換反応及びそれに続く鎖合成の後に得られたポリマー溶融物を、水中又はストランドペレット化によってペレット材料に加工した。
【0136】
2.2 様々なサンプルの機械的特性を調べた。ワンショットプロセスで又はプレポリマープロセスによって、熱可塑性ポリウレタン及びジメチルチオトルエンジアミン/ジエチルチオトルエンジアミンを含む組成物を製造した。
【0137】
ワンショットプロセスは、すべての成分(ジイソシアネート(a)、ポリオール(b)、鎖延長剤(c)及び触媒(e))を押出機の第1ゾーンで使用することを含んだ。200rpmで、温度を150℃~230℃の範囲に調整した。成分を混合し、少なくとも40秒、好ましくは少なくとも60秒反応させた後、ストランド造粒又は水中ペレット化によって、ポリマー溶融物からペレット材料を得た。
【0138】
セミプレポリマープロセスは、最初にジイソシアネート(a)、ポリオール(b)、鎖延長剤(c)及び触媒(e)を押出機の第1ゾーンで使用することを含んだ。これらの投入材料を混合して予備反応させた後、第3ゾーン又は第5ゾーンでさらなる鎖延長剤を添加した。少なくとも40秒、好ましくは少なくとも60秒反応させた後、ストランドペレット化又は水中ペレット化によって、ポリマー溶融物からペレット材料を得た。
【0139】
2.3 エージングのための条件
対流式オーブン中で、適切な温度で、SI試験試料を所定の時間保存した。熱処理後、それを取り出し、室温まで冷却した。このようにして処理した試料に、機械的試験を行った。
【0140】
エージングに関する試験は、異なる硬質セグメントの割合を有し、ジメチルチオトルエンジアミン又はジエチルトルエンジアミンを使用して製造した本発明による熱可塑性ポリウレタンが、180℃、190℃及び200℃で6時間貯蔵した後に寸法的に安定であり、材料の可撓性も保持していたことを示す。さらに、150℃で3000時間保存した後でも、その元の破断伸びの50%超を保持していた。したがって、この材料は、自動車分野での用途におけるT4規格の要件を満たしている。
【0141】
3.実施例
3.1 48Dの処理長(12バレル)を備えたCoperion社製のZSK58 MC二軸押出機で、以下に特定する実施例の製造を行った。歯車ポンプによって、溶融物を押出機から排出した。濾過した後、ポリマー溶融物を水中ペレット化によって処理し、60~90℃の加熱された流動床で0.03%未満の含水量になるまで連続的に乾燥させた。
【0142】
BASF SE社製のポリブチレンテレフタレートUltradur B4500を第1ゾーンに計量供給した。PBTが溶融したら、アミド交換反応のための試薬、例えばEtacure 100、及び任意に触媒を第3ゾーンに供給した。アミド交換反応が完了したら、ジイソシアネート及びポリオールなどのさらなる反応成分を第5ゾーンで添加した。さらなる添加剤を第8ゾーンで添加した。220~230℃の溶融物の温度で、溶融物の排出及び水中ペレット化を行った。
【0143】
供給部であるゾーン1のバレル温度は150℃であった。250~300℃の温度で、ゾーン2~5での溶融及びエステル交換反応を行った。240~210℃のバレル温度で、ゾーン6~12でのポリマーの合成を行った。スクリューの速度は180~240rpmであった。スループットは180~220kg/hの範囲であった。
【0144】
3.2 組成物
実施例1:BDOを有するE1195A
実施例2:ポリカーボネートポリオールHPM TPU+E100,(97A)
実施例3:BDOを有する785A HPM TPU
実施例4:ポリカーボネートポリオールHPM TPU+E100,(92A)
実施例5:E100を有する脂肪族HPM,(86A)
実施例6:ポリカーボネートポリオール芳香族TPU+E300。
【0145】
4.結果
4.1 ケーブル用途のエージング特性の概要(クラスD)
【0146】
【0147】
4.2 ケーブル用途のエージング特性の概要(クラスE、240℃、6時間)
【0148】
【0149】
5.貯蔵後の結果
5.1 150℃で3000時間貯蔵
【0150】
【0151】
5.2 175℃、85%のR.H.で10日間貯蔵
【0152】
【0153】
5.3 200℃で6時間貯蔵
【0154】
【0155】
5.4 85℃、85%のR.H.で3000時間貯蔵
【0156】
【0157】
6.以下の特定された方法によって、得られたポリウレタンの以下の特性を決定した:
ショア硬度:DIN ISO 7619-1
引張強度及び破断伸び:DIN 53504
耐引裂性:DIN ISO 34-1,B(b)
摩耗測定:DIN ISO 4649
密度:DIN EN ISO 1183-1,A
圧縮セット:DIN ISO 815。
【0158】
引用文献
Kunststoffhandbuch,第7巻,Vieweg及びHoechtlen編集,Carl Hanser Verlag,Munich 1966年(103~113頁)
EP 1 419 188 B1