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  • 特許-紫外線照射装置 図1
  • 特許-紫外線照射装置 図2
  • 特許-紫外線照射装置 図3
  • 特許-紫外線照射装置 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-06
(45)【発行日】2025-02-17
(54)【発明の名称】紫外線照射装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/301 20060101AFI20250207BHJP
   H01L 21/683 20060101ALI20250207BHJP
【FI】
H01L21/78 P
H01L21/68 N
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2020195553
(22)【出願日】2020-11-25
(65)【公開番号】P2022083916
(43)【公開日】2022-06-06
【審査請求日】2023-09-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】有賀 真也
(72)【発明者】
【氏名】藤井 雄介
【審査官】鈴木 孝章
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-278066(JP,A)
【文献】国際公開第2008/142975(WO,A1)
【文献】特開2014-053623(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/301
H01L 21/683
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円板状のウェーハに紫外線硬化型の保護テープが貼着したウェーハユニットに紫外線を照射する紫外線照射装置であって、
該ウェーハユニットを保持面で保持し、該保持面と垂直な回転軸で回転するチャックテーブルと、
該チャックテーブルに保持されたウェーハユニットに対面し、ウェーハの中心から径方向外側に向かって広がる扇形の領域を覆う基台と、該基台に配置された複数のUVLEDと、を備える紫外線光源部と、
を有し、
該基台は、該チャックテーブルの回転軸上に位置する角と、該チャックテーブルの外縁部より径方向外側に位置する円弧部分とを有する扇形状であり、
該紫外線光源部の該複数のUVLEDは、回転するウェーハユニットに照射される紫外線の積算光量が一定になるように、ウェーハの中心を起点にした渦巻き状の軌跡に対応して該基台に配置され、かつ該渦巻きに沿って隣り合うもの同士の該角を中心とした周方向の間隔が該角から該円弧部分に向かうにしたがって徐々に狭くなるように配置される、紫外線照射装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紫外線照射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスチップの製造では、表面にデバイスを形成した基板の裏面を研削して薄化した後、切削等によって個々のデバイスチップに分割する。この際、ウェーハには、研削時にデバイスを保護し、分割時に分割されたチップがバラバラにならないように保持するための保護テープが貼着されている。
【0003】
保護テープには、強力に固定されると共に、剥離時には貼着力が低減していることが望まれるため、紫外線によって糊層を硬化させることで貼着力を制御できる紫外線硬化型のUVテープが用いられることがある。UVテープは、例えば、特許文献1に開示されるような紫外線照射装置によって照射された紫外線が所定の積算光量に達すると、糊層が硬化して所定以下の貼着力になるよう設計されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2007-329300号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、紫外線の照射によってUVテープの粘着力を制御する際には、ウェーハ全面に一定の積算光量で照射することが必要とされる。しかしながら、例えば、ウェーハ全面に紫外線を同時に照射する紫外線照射装置は、多くのUVランプやUVLED等のUVライトが配置される光源を備える必要があるため、製造コストが高くなるという課題がある。また、例えば、UVライトを直線状に並べた棒状の光源でウェーハをスキャンさせる紫外線照射装置は、UVライトの仕様によっては、積算光量を達成させるためにUVライト同士の間隔を狭くする必要があるため、高温に発熱してしまうという課題がある。
【0006】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、ウェーハに照射される紫外線の積算光量が一定になるようにウェーハ全面に紫外線を照射することができる紫外線照射装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の紫外線照射装置は、円板状のウェーハに紫外線硬化型の保護テープが貼着したウェーハユニットに紫外線を照射する紫外線照射装置であって、該ウェーハユニットを保持面で保持し、該保持面と垂直な回転軸で回転するチャックテーブルと、該チャックテーブルに保持されたウェーハユニットに対面し、ウェーハの中心から径方向外側に向かって広がる扇形の領域を覆う基台と、該基台に配置された複数のUVLEDと、を備える紫外線光源部と、を有し、該基台は、該チャックテーブルの回転軸上に位置する角と、該チャックテーブルの外縁部より径方向外側に位置する円弧部分とを有する扇形状であり、該紫外線光源部の該複数のUVLEDは、回転するウェーハユニットに照射される紫外線の積算光量が一定になるように、ウェーハの中心を起点にした渦巻き状の軌跡に対応して該基台に配置され、かつ該渦巻きに沿って隣り合うもの同士の該角を中心とした周方向の間隔が該角から該円弧部分に向かうにしたがって徐々に狭くなるように配置されることを特徴とする。
【0008】
本願発明は、ウェーハに照射される紫外線の積算光量が一定になるようにウェーハ全面に紫外線を照射することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施形態に係る紫外線照射装置の照射対象であるウェーハユニットの一例を示す斜視図である。
図2図2は、実施形態に係る紫外線照射装置を模式的に一部断面で示す側面図である。
図3図3は、図2に示す紫外線照射装置の平面図である。
図4図4は、図2に示す紫外線照射装置の紫外線光源部の一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換または変更を行うことができる。
【0011】
〔実施形態〕
本発明の実施形態に係る紫外線照射装置1を図面に基づいて説明する。まず、実施形態の紫外線照射装置1の照射対象であるウェーハユニット100の構成について説明する。図1は、実施形態に係る紫外線照射装置1の照射対象であるウェーハユニット100の一例を示す斜視図である。
【0012】
図1に示すように、ウェーハユニット100は、ウェーハ110と、環状フレーム120と、保護テープ121と、を含む。ウェーハ110は、シリコン(Si)、サファイア(Al)、ガリウムヒ素(GaAs)または炭化ケイ素(SiC)等を基板111とする円板状の半導体ウェーハ、光デバイスウェーハ等のウェーハである。ウェーハ110は、基板111の表面112に形成される複数の分割予定ライン113と、格子状に交差する複数の分割予定ライン113によって区画された各領域に形成されるデバイス114とを有する。
【0013】
デバイス114は、例えば、IC(Integrated Circuit)、あるいやLSI(Large Scale Integration)等の集積回路、CCD(Charge Coupled Device)、あるいはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等のイメージセンサ、またはMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)等である。デバイス114が形成された表面112と反対側に位置するウェーハ110の裏面115は、例えば、研削装置によって仕上げ厚さまで研削される。ウェーハ110は、例えば、薄化された後、切削ブレードによる切削加工やレーザー光線によるレーザー加工等によって分割予定ライン113に沿って分割されて、個々のデバイスチップに個片化される。
【0014】
環状フレーム120は、ウェーハ110の外径より大きな開口を有する。環状フレーム120は、金属や樹脂等の材質で構成される。保護テープ121は、外周が環状フレーム120の裏面側に貼着される。ウェーハ110は、環状フレーム120の開口の所定の位置に位置決めされ、表面112が保護テープ121の表面に貼着されることによって、環状フレーム120および保護テープ121に固定される。
【0015】
保護テープ121は、紫外線によって糊層を硬化させることで貼着力を制御できる紫外線硬化型のUVテープである。なお、UVは、「ultraviolet(紫外線)」を意味する。保護テープ121は、粘着性を有し、紫外線が照射されると硬化して粘着力が低下する性質の糊層を有する。保護テープ121は、例えば、合成樹脂により構成された基材層を有し、基材層の表面および裏面の少なくともいずれかに糊層が積層される。
【0016】
次に、実施形態に係る紫外線照射装置1の構成を説明する。図2は、実施形態に係る紫外線照射装置1を模式的に一部断面で示す側面図である。図3は、図2に示す紫外線照射装置1の平面図である。図4は、図2に示す紫外線照射装置1の紫外線光源部20の一例を示す斜視図である。紫外線照射装置1は、円板状のウェーハ110に紫外線硬化型の保護テープ121が貼着したウェーハユニット100に紫外線を照射する装置である。紫外線照射装置1は、チャックテーブル10と、紫外線光源部20と、を有する。
【0017】
チャックテーブル10は、ウェーハ110の裏面115側を保持面11で保持する。保持面11は、ポーラスセラミック等から形成された円盤形状である。保持面11は、実施形態において、水平方向と平行な平面である。保持面11は、例えば、真空吸引経路を介して真空吸引源と接続している。チャックテーブル10は、保持面11上に載置されたウェーハ110を吸引保持する。チャックテーブル10の周囲には、ウェーハ110を支持する環状フレーム120を挟持するクランプ部が複数配置されていてもよい。
【0018】
チャックテーブル10は、回転ユニット12により保持面11と垂直な回転軸13回りに回転自在である。回転ユニット12は、紫外線照射装置1の装置本体2に対して、チャックテーブル10を回転軸13回りに回転させる。ウェーハユニット100は、ウェーハ110の中心116が回転軸13に一致するように保持される。
【0019】
紫外線光源部20は、チャックテーブル10の保持面11に保持されたウェーハユニット100に対して紫外線を照射する。紫外線光源部20は、装置本体2から立設した柱3に設置される。紫外線光源部20は、基台21と、複数のUVLED22と、複数の放熱孔23と、を備える。なお、LEDは、「Light Emitting Diode(発光ダイオード)」を意味する。
【0020】
基台21は、装置本体2から立設した柱3に支持される略水平姿勢の板形状である。基台21は、チャックテーブル10に保持されたウェーハユニット100に対面し、ウェーハ110の中心116から径方向外側に向かって広がる扇形の領域117を覆う。基台21は、実施形態において、平面視で角24が約90°の扇形状である。基台21は、平面視において、角24がウェーハ110の中心116、すなわちチャックテーブル10の回転軸13上に位置し、円弧部分25がチャックテーブル10の外縁部より径方向外側に位置して、柱3に支持される。
【0021】
複数のUVLED22は、基台21に配置される。より詳しくは、UVLED22は、チャックテーブル10に保持されたウェーハユニット100のウェーハ110に紫外線を照射するように、チャックテーブル10に対面する基台21の下面側に配置される。複数のUVLED22は、回転ユニット12によって回転するチャックテーブル10上のウェーハユニット100に照射される紫外線の積算光量が一定になるように、平面視において、ウェーハ110の中心116を起点にした渦巻き状の軌跡に対応して基台21に配置される。複数のUVLED22は、回転ユニット12によって回転するチャックテーブル10上のウェーハユニット100に照射される紫外線の積算光量が一定になるように、前述した渦巻きに沿って隣り合うもの同士の間隔26が、角24から円弧部分25に向かうにしたがって徐々に狭くなるように配置される。
【0022】
放熱孔23は、基台21のUVLED22が配置されていない部分に形成される貫通孔である。放熱孔23は、基台21を軽量化するとともにUVLED22による紫外線の照射によって発生する熱を外部に放出するための孔である。複数の放熱孔23は、実施形態において、UVLED22の渦巻き状の軌跡の径方向外側に沿って設けられる。なお、基台21のUVLED22が配置されている面(下面)とは反対側の面(上面)に、ヒートシンクが設けられてもよい。これにより、放熱効果をさらに向上させることができる。
【0023】
以上説明したように、実施形態に係る紫外線照射装置1は、チャックテーブル10に保持されたウェーハユニット100に対面し、ウェーハ110の中心116から径方向外側に向かって広がる扇形の領域117を覆う基台21と、基台21に配置された複数のUVLED22と、を備える紫外線光源部20を有している。すなわち、複数のUVLED22は、ウェーハ110の中心116から径方向外側に向かって広がる扇形の領域117に対して紫外線を照射できるように配置され、ウェーハ110が回転することによって、ウェーハ110の全面に順次紫外線を照射する。これにより、少ないUVLED22でも効率的にウェーハ110の全面に紫外線を照射することができる。
【0024】
また、紫外線光源部20の複数のUVLED22は、回転するウェーハユニット100に照射される紫外線の積算光量が一定になるように、ウェーハ110の中心116を起点にした渦巻き状の軌跡に対応して基台21に配置される。このように、UVLED22同士の間隔26を空けつつ、扇形の領域にUVLED22を配置することによって、ウェーハ110を回転させる際に周速が異なるウェーハ110の中心116付近と外周付近とでも同様の積算光量で紫外線を照射できるという効果を奏する。
【0025】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0026】
1 紫外線照射装置
10 チャックテーブル
11 保持面
13 回転軸
20 紫外線光源部
21 基台
22 UVLED
100 ウェーハユニット
110 ウェーハ
116 中心
117 領域
121 保護テープ
図1
図2
図3
図4