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特許76304472,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリドンの製造のための不均一触媒プロセス
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  • 特許-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリドンの製造のための不均一触媒プロセス 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-06
(45)【発行日】2025-02-17
(54)【発明の名称】2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリドンの製造のための不均一触媒プロセス
(51)【国際特許分類】
   C07D 211/74 20060101AFI20250207BHJP
   B01J 29/08 20060101ALI20250207BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20250207BHJP
【FI】
C07D211/74
B01J29/08 Z
C07B61/00 300
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021569308
(86)(22)【出願日】2020-05-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-25
(86)【国際出願番号】 EP2020064351
(87)【国際公開番号】W WO2020239651
(87)【国際公開日】2020-12-03
【審査請求日】2023-05-22
(31)【優先権主張番号】19176452.1
(32)【優先日】2019-05-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】Carl-Bosch-Strasse 38, 67056 Ludwigshafen am Rhein, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハイド,トーマス
(72)【発明者】
【氏名】シュミット,ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】ゴルディロ ボロニオ,アルバロ
(72)【発明者】
【氏名】パルヴレスク,アンドレイ-ニコラエ
(72)【発明者】
【氏名】ミューラー,ウルリヒ
(72)【発明者】
【氏名】キューブラー,ミヒャエル
【審査官】藤田 雅也
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第00004104(EP,A2)
【文献】特表2004-525081(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第107915673(CN,A)
【文献】特開2018-87105(JP,A)
【文献】特開2017-210399(JP,A)
【文献】特開2017-202951(JP,A)
【文献】特開2014-58515(JP,A)
【文献】特開2003-252858(JP,A)
【文献】Journal of Molecular Catalysis A:Chemical,2014年06月17日,Vol.393,325-332
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D211/74-211/76
B01J 29/08- 29/16
C07B 61/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリドンの製造方法であって、
(i)FAUの骨格構造を有するゼオライト材料を含む触媒を含有する反応器を用意するステップであり、ゼオライト材料がその骨格構造中にYO2及びX2O3を含み、YがSiであり、XがB、Al、Ga、及びそれらの2つ以上の混合物からなる群から選択される三価の元素であり、ゼオライト材料のYO2とX2O3のモル比が16~80である、ステップ、
(ii)アセトン及びアンモニアを含む反応混合物を調製するステップ、
(iii)2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリドンを含む反応生成物を得るために、反応器中の触媒を(ii)で調製された反応混合物と40~250℃の範囲内の温度で接触させるステップ
を含み、
(ii)で調製され(iii)で触媒と接触させる混合物が、100wt.-%の反応混合物を基準として10wt.-%未満の水を含有する、方法。
【請求項2】
触媒の5重量%以上がゼオライト材料からなる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
触媒が粉末として及び/又は成型物として提供される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
Xが、Alである、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
ゼオライト材料が、アンモニウム型又はH型である、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
ゼオライト材料が、50~100重量%の範囲内の結晶化度を有し、結晶化度が参考例3に記載のように決定される、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
元素Yとして計算されるYO2が、ゼオライト材料の総重量を基準として35.0~47.0重量%の範囲内でゼオライト材料に含有される、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
Xとして計算されるX2O3が、ゼオライト材料の総重量を基準として1.0~4.5重量%の範囲内でゼオライト材料に含有される、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
(iii)において、触媒を(ii)で調製される反応混合物と接触させるステップが、45~200℃の範囲内の温度で行われる、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
バッチ法として又は連続法として行われる、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
(ii)で調製される反応混合物において、アセトンとアンモニアとのモル比が、5:1~25:1の範囲内である、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
触媒が成型物として提供され、成型物が、
(a)ゼオライト材料及び場合により1種以上のバインダーを含む混合物を調製するステップ、
(b)混合物を成形するステップ、
(c)場合により成形された材料をガス雰囲気中で乾燥させるステップ、並びに
(d)(b)又は(c)から得られる成形された材料をガス雰囲気中で焼成して成型物を得るステップ
を含む方法にしたがって調製される、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリドンの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリドンは工業有機化学において重要な中間体として使用される。2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリドンの調製は通常、触媒の存在下でアセトンがアンモニアにより転化される連続プロセス又は半連続プロセスにおいて、複雑な平衡の系により進行する。典型的には、アンモニウム塩が均一触媒として使用される。転化のタイプは環化縮合反応として分類することができ、それにより水が放出される。後処理の手順は通常、苛性ソーダを用いた抽出により行われ、水を除去して触媒を中和する。その後、アセトンの残りを有機相から分離し、これをその後分画する。
【0003】
Cavaniらは均一及び不均一条件の両方で2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジンオンを直接生成させるためのアセトン及びアンモニアの酸触媒縮合に関する研究を開示しており、ここではアンモニア水をアンモニア源として使用する。触媒として、選択された特徴を有するH-Yゼオライトが調べられている。2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリドンの調製の間に副生成物が形成されることが分かった。前記副生成物はジアセトンアルコール、ジアセトンアミン、メシチルオキシド、1,2,5,6-テトラヒドロ-2,2,4,6,6-ペンタメチル-ピリミジン、及び2,2,4,6-テトラメチル-2,3-ジヒドロピリジンを含有することがあり、後者はその形成が不可逆的であることが分かったので最も望ましくない副生成物である。Cavaniらによれば、水の挿入及びアンモニアの除去か、又はアセトンの存在下でのアセトンの挿入及び2-イミノプロパンの除去のいずれかによって、1,2,5,6-テトラヒドロ-2,2,4,6,6-ペンタメチル-ピリミジンは2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリドンへ変化し得る。さらに、異なるシリカとアルミナとの比(SAR=6;15;200)を有するH-Yゼオライトについて、SARが低いほど2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリドンへの選択率が増加したが、一方で望ましくない2,2,4,6-テトラメチル-2,3-ジヒドロピリジンへの選択率は、SARが15であるH-Yゼオライトにおいて最も高く、SARが6であるH-Yゼオライトにおいて最も低かったことが分かった。
【0004】
中国特許出願公開第107033066号明細書は、2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリドンの不均一触媒合成のための方法及び特別な装置に特に関する。不均一触媒として、イオン交換樹脂、モレキュラーシーブ型触媒、(ドープ)金属酸化物、(ドープ)金属水酸化物、又は固体有機スルホン酸、固体有機カルボン酸、担持金属ハロゲン化物、担持有機アンモニウム塩、若しくは固体超酸の1つ以上の複合材料のような、水に不溶性のルイス酸触媒及びアセトンが使用され得る。実施例1では、有機スルホン酸で修飾した交換樹脂を使用し、実施例2では、塩化第2鉄を担持したモレキュラーシーブ、実施例3ではナノアルミナ修飾触媒、実施例4ではナノアルミナ修飾触媒及び有機スルホン酸修飾イオン交換樹脂、実施例5ではナノアルミナ修飾触媒、及び塩化第2鉄を担持したモレキュラーシーブ触媒が使用されている。この方法は、不均一触媒を使用して、反応釜中で60~75℃において7時間、アセトンをアンモニアガスと反応させることを含み、水分離器を使用して水を反応混合物から分離する。後処理の後、粗製2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリドンを精留により精製する。開示される方法において、イオン交換樹脂又はモレキュラーシーブをルイス酸触媒として使用し得る。
【0005】
J. Tianらは2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリドンの連続合成に対するHYゼオライトの効果についての研究を開示しており、HZSM-5及びHベータゼオライトも試験した。2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリドンの合成に関して、いくつかの異なるゼオライトが開示されている。これに関して最も効果的なゼオライトは、シリカとアルミナとのモル比が11.2であるH-Yゼオライトであり、アセトンの転化率46.2%、及び2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリドンへの選択率44.1%を実現することが分かった。これとは対照的に、シリカとアルミナとのモル比が50であるH-ベータゼオライトは、アセトンの転化率15.8%、及び2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリドンへの選択率15.3%を実現した。さらに、シリカとアルミナとのモル比が50であるH-ZSM-5ゼオライトを使用すると比較的低い転化率(5.6%)しか得られず、微量の2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリドンしか生成されなかった。したがって、J. Tianらは、反応条件に関するさらなる実験について、相対的にシリカとアルミナのモル比が最も低いH-Yゼオライトの使用を検討し、他のゼオライトのいずれも検討しなかった。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【文献】F. Cavani et al. in Journal of Molecular Catalysis A: Chemical 393 (2014), 325-332
【文献】J. Tian et al. in Journal of Heterocyclic Chemistry 2015, vol. 52, p. 1377-1381
【特許文献】
【0007】
【文献】中国特許出願公開第107033066号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、副生成物の形成が避けられるか又は少なくとも軽減される、2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリドンの改善された製造方法を開発する必要性があった。
【0009】
したがって、本発明の目的は、特に2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリドンへの改善された選択率に関して、2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリドンの改善された製造方法を提供することとした。特に、長い反応時間にわたって2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリドンへの選択性が改善された方法を提供することを目的とした。したがって、特に副生成物の形成を避けるか又は少なくとも軽減することを目的とした。
【課題を解決するための手段】
【0010】
こうして、驚くことに、2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリドンの製造のための不均一プロセスにおいて特定のシリカとアルミナとのモル比を有するゼオライト材料を含む触媒を使用すると、2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリドンへの選択率が改善され、特に副生成物の形成が低減されることが分かった。さらに、また均一プロセスとは対照的に、不均一触媒は反応混合物から容易に分離され、これを必ずしも反応混合物から分離する必要がないので、不均一プロセスは単純なリサイクルを可能にする。
【0011】
さらに、きわめて予想外にも、触媒は反応中に著しい不活性化を受けないことが分かった。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】比較例1(下)のゼオライト材料と比較した、実施例1(上)によるゼオライト材料の固体27Al NMRスペクトルを示す図であり、化学シフト(ppm)を横座標に沿ってプロットし、相対強度(任意単位)を縦座標に沿って示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
したがって、本発明は、2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリドンの製造方法であって、
(i)EMT、GME、OFF、FER、HEU、MEL、MWW、RRO、TON、FAU、及びそれらの2つ以上の混合構造からなる群から選択される骨格構造を有するゼオライト材料を含む触媒を含有する反応器を用意するステップであり、ゼオライト材料がその骨格構造中にYO2及びX2O3を含み、Yが四価の元素であり、Xが三価の元素であり、ゼオライト材料のYO2とX2O3のモル比が12以上である、ステップ、
(ii)アセトン及びアンモニアを含む反応混合物を調製するステップ、
(iii)2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリドンを含む反応生成物を得るために、反応器中の触媒を(ii)で調製された反応混合物と40~250℃の範囲内の温度で接触させるステップ
を含み、
(ii)で調製され(iii)で触媒と接触させる混合物が、100wt.-%の反応混合物を基準として10wt.-%未満の水を含有する、方法に関する。
【0014】
(ii)で調製され(iii)で触媒と接触させる混合物が、100wt.-%の反応混合物を基準として、8wt.-%未満、より好ましくは6wt.-%未満、より好ましくは4wt.-%未満、より好ましくは2wt.-%未満、より好ましくは1wt.-%未満、より好ましくは0.5wt.-%未満、より好ましくは0.1wt.-%未満、より好ましくは0.05wt.-%未満、より好ましくは0.01wt.-%未満の水を含有することが好ましい。
【0015】
ゼオライト材料は、EMT、GME、FER、MWW、FAU、及びそれらの2つ以上の混合構造からなる群から、より好ましくはFER、FAU、及びそれらの混合構造からなる群から選択される骨格構造を有することが好ましく、より好ましくはゼオライト材料は骨格構造FAUを有する。
【0016】
一実施形態において、本願発明は、2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリドンの製造方法であって、
(i)FAUの骨格構造を有するゼオライト材料を含む触媒を含有する反応器を用意するステップであり、ゼオライト材料がその骨格構造中にYO2及びX2O3を含み、Yが四価の元素であり、Xが三価の元素であり、ゼオライト材料のYO2とX2O3のモル比が12以上である、ステップ、
(ii)アセトン及びアンモニアを含む反応混合物を調製するステップ、
(iii)2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリドンを含む反応生成物を得るために、反応器中の触媒を(ii)で調製された反応混合物と40~250℃の範囲内の温度で接触させるステップ
を含み、
(ii)で調製され(iii)で触媒と接触させる混合物が、100wt.-%の反応混合物を基準として10wt.-%未満の水を含有する、方法を対象とする。
【0017】
触媒の5重量%以上がゼオライト材料からなり、より好ましくは触媒の10重量%以上、より好ましくは30重量%以上、より好ましくは50重量%以上、より好ましくは70重量%以上、より好ましくは80重量%以上、より好ましくは90重量%以上、より好ましくは95~100重量%、好ましくは99~100重量%、より好ましくは99.5~100重量%がゼオライト材料からなることが好ましい。
【0018】
触媒が粉末として及び/又は成型物(molding)として、好ましくは押出し物として提供されることが好ましい。
【0019】
本発明によれば、成型物は成形プロセスから得られる3次元の実体として理解されることになる。したがって、「成型物」という用語は、「成形体(shaped body)」という用語と同義に使用される。
【0020】
Yが、Si、Sn、Ti、Zr、Ge、及びそれらの2つ以上の混合物からなる群から選択されることが好ましく、好ましくはYがSi及び/又はTiであり、より好ましくはYがSiである。
【0021】
Xが、B、Al、Ga、In、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、及びそれらの2つ以上の混合物からなる群から、好ましくはB、Al、Ga、In、及びそれらの2つ以上の混合物からなる群から選択されることが好ましく、好ましくはXがAl及び/又はBであり、より好ましくはXがAlである。
【0022】
別の実施形態において、本願発明は、2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリドンの製造方法であって、
(i)FAUの骨格構造を有するゼオライト材料を含む触媒を含有する反応器を用意するステップであり、ゼオライト材料がその骨格構造中にYO2及びX2O3を含み、Yが四価の元素であり、Xが三価の元素であり、ゼオライト材料のYO2とX2O3のモル比が16~175である、ステップ、
(ii)アセトン及びアンモニアを含む反応混合物を調製するステップ、
(iii)2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリドンを含む反応生成物を得るために、反応器中の触媒を(ii)で調製された反応混合物と40~250℃の範囲内の温度で接触させるステップ
を含み、
(ii)で調製され(iii)で触媒と接触させる混合物が、100wt.-%の反応混合物を基準として10wt.-%未満の水を含有する、方法を対象とする。
【0023】
ゼオライト材料中に含まれるYO2及びX2O3のYO2とX2O3とのモル比に関して、特定の制約は適用されない。ゼオライト材料のYO2とX2O3とのモル比が、13以上、より好ましくは13~300の範囲内、好ましくは14~250の範囲内、より好ましくは15~200の範囲内、より好ましくはFNMRからの範囲内、より好ましくは17~150の範囲内、より好ましくは18~125の範囲内、より好ましくは19~100の範囲内、より好ましくは20~90の範囲内、より好ましくは21~80の範囲内、より好ましくは22~70の範囲内、より好ましくは22.5~60の範囲内、より好ましくは23~50の範囲内、より好ましくは23.5~45の範囲内、より好ましくは24~40の範囲内、より好ましくは24.5~37の範囲内、より好ましくは25~35の範囲内、より好ましくは25~30の範囲内であることが好ましい。
【0024】
上記で開示されるように、ゼオライト材料がFAU骨格構造型を有することが好ましい。ゼオライト材料がFAU骨格構造型を有する場合、ゼオライト材料は、
Li-LSX、ゼオライトX、ゼオライトY、ECR-30、ZSM-20、LZ-210、SAPO-37、US-Y、CSZ-1、ZSM-3、フォージャサイト、及びそれらの2つ以上の混合物からなる群から、
より好ましくはゼオライトX、ゼオライトY、ECR-30、ZSM-20、LZ-210、US-Y、CSZ-1、ZSM-3、フォージャサイト、及びそれらの2つ以上の混合物からなる群から、
より好ましくはゼオライトX、ゼオライトY、ZSM-20、ZSM-3、フォージャサイト、及びそれらの2つ以上の混合物からなる群から、
より好ましくはゼオライトX、ゼオライトY、フォージャサイト、及びそれらの2つ以上の混合物からなる群から
選択されるFAU型骨格構造を有する1種以上のゼオライトを含有し、
より好ましくはFAU型骨格構造を有する1種以上のゼオライトがゼオライトX及び/又はゼオライトY、好ましくはゼオライトYを含み、
より好ましくはFAU型骨格構造を有する1種以上のゼオライトがゼオライトX及び/又はゼオライトY、好ましくはゼオライトYであることが特に好ましい。
【0025】
ゼオライト材料はアンモニウム型又はH型、より好ましくはH型であることが好ましい。
【0026】
ゼオライト材料の化学的又は物理的性質に関して、特定の制約は適用されない。ゼオライト材料が、好ましくはアンモニアの温度プログラム式脱着(NH3-TPD)[参考例2にしたがう]により決定した場合に、190~550℃の範囲内の温度で0.100~4.000mmol/gの範囲内の酸部位の濃度、より好ましくは205~400℃の範囲内の温度で0.200~2.000mmol/gの範囲内の酸部位の濃度、より好ましくは250~290℃の範囲内の温度で0.250~1.000mmol/gの範囲内の酸部位の濃度、より好ましくは350~375℃の範囲内の温度で0.300~0.800mmol/gの範囲内の酸部位の濃度、より好ましくは360~366℃の範囲内の温度で0.400~0.700mmol/gの範囲内の酸部位の濃度を含むことが好ましい。
【0027】
アンモニアの温度プログラム式脱着(NH3-TPD)は、熱伝導度検出器を有する自動化学吸着分析ユニット(Micromeritics AutoChem II 2920)において行われる。オンライン質量分析計(Pfeiffer Vacuum製のOmniStar QMG200)を使用して、脱着された種の連続分析を実行する。試料(0.1g)を石英管へ導入し、下記のプログラムを使用して分析する。石英管内の試料のすぐ上にあるNi/Cr/Ni熱電対によって温度を測定する。分析にあたって、純度5.0のHeを使用する。いずれの測定の前にも、キャリブレーションのためにブランク試料を分析する。
【0028】
1. 調製: 記録の開始、毎秒1回の測定。25℃及び30cm3/分のHe流量(室温(約25℃)及び1atm)にて10分待機、20K/分の加熱速度で600℃まで加熱、10分間維持。He流(30cm3/分)下で20K/分の冷却速度(炉の傾斜温度)において100℃まで冷却、He流(30cm3/分)下で3K/分の冷却速度(試料の傾斜温度)において100℃まで冷却。
2. NH3による飽和: 記録の開始、毎秒1回の測定。ガス流を100℃、He中の10% NH3(75cm3/分; 100℃、及び1atm)の混合物へ変更、30分間維持。
3. 過剰物の除去: 記録の開始、毎秒1回の測定。ガス流を100℃、75cm3/分(100℃及び1atm)のHe流へ変更、60分間維持。
4. NH3-TPD: 記録の開始、毎秒1回の測定。He流(流量: 30cm3/分)下で10K/分の加熱速度で600℃まで加熱、30分間維持。
5. 測定の終了。
【0029】
脱着したアンモニアをオンライン質量分析計により測定し、それにより熱伝導度検出器からのシグナルが脱着したアンモニアにより生じることを実証した。これはアンモニアの脱着をモニタリングするためにアンモニアからのm/z=16のシグナルを利用することを含んだ。吸着されたアンモニアの量(試料1gあたりのmmol)は、Micromeriticsソフトウェアにより水平のベースラインを有するTPDシグナルを積分することによって確かめられる。
【0030】
さらに、ゼオライト材料が、好ましくは参考例2によるアンモニアの温度プログラム式脱着(NH3-TPD)により決定した場合に、175~210℃の範囲内の温度で0.050~0.600mmol/gの範囲内の酸部位の濃度、より好ましくは185~200℃の範囲内の温度で0.140~0.530mmol/gの範囲内の酸部位の濃度を含むことが好ましい。
【0031】
さらに、ゼオライト材料が、好ましくは参考例2によるアンモニアの温度プログラム式脱着(NH3-TPD)により決定した場合に、475~625℃の範囲内の温度で0.010~0.090mmol/gの範囲内の酸部位の濃度、より好ましくは500~600℃の範囲内の温度で0.030~0.060mmol/gの範囲内の酸部位の濃度を含むことが好ましい。
【0032】
ゼオライト材料が、50~100重量%の、より好ましくは75~100重量%、より好ましくは80~100重量%、より好ましくは90~100重量%の範囲内の結晶化度を有することが好ましく、結晶化度は好ましくは参考例3に記載のように決定される。
【0033】
ゼオライト材料が、50~100重量%、より好ましくは75~100重量%、より好ましくは80~100重量%、より好ましくは90~100重量%の範囲内の結晶化度を有することが好ましく、結晶化度は好ましくは、40kV及び40mAで作動する銅アノードX線管を用いて操作されるLYNXEYE検出器を備えた回折計(D8 Advance Series II、Bruker AXS GmbH)を使用した、粉末X線回折(PXRD)により決定される。配置はBragg-Brentano型であり、空気散乱は空気散乱シールドを使用して低減される。試料の結晶化度は、Bruker AXS GmbH、Karlsruheにより供給されるソフトウェアDIFFRAC.EVAを使用して決定される。相組成は、Bruker AXS GmbH、Karlsruheにより供給されるモデリングソフトウェアDIFFRAC.TOPASを使用して、生データに対して計算される。同定される相の結晶構造、装置パラメーター、及び個々の相の結晶子サイズを使用して回折パターンをシミュレートする。これを、バックグラウンド強度をモデリングする関数に加えてデータに対してフィッティングする。試料をモルタル中で均質化させ、次いでBragg-Brentano配置データ収集のためのBruker AXS GmbHにより供給される標準フラット試料ホルダーに押し込む。試料粉末を圧縮及び平坦化するためのガラスプレートを使用して、平坦な表面を得る。可変の発散スリットを0.1°の角度にセットして、2~70°の2θの角度範囲から、0.02°の2θのステップサイズでデータを収集する。結晶質含量は全散乱強度に対する結晶性シグナルの強度を表す。
【0034】
ゼオライト材料が、4.0~7.0マイクロメートルの範囲内、より好ましくは4.5~6.5マイクロメートルの範囲内、より好ましくは5.0~6.0マイクロメートルの範囲内のDv50値によって特徴付けられる体積基準の粒径分布を有することが好ましい。
【0035】
ゼオライト材料に含有される元素Yとして計算されるYO2の含量に関して、特定の制約は適用されない。元素Yとして計算されるYO2は、ゼオライト材料の総重量を基準として35.0~47.0重量%の範囲内、より好ましくは38.5~43.5重量%の範囲内、より好ましくは40.0~42.0重量%の範囲内でゼオライト材料に含有されることが好ましい。
【0036】
ゼオライト材料に含有されるXとして計算されるX2O3の含量に関して、特定の制約は適用されない。Xとして計算されるX2O3は、ゼオライト材料の総重量を基準として1.0~4.5重量%の範囲内、より好ましくは2.2~3.7重量%の範囲内、より好ましくは2.9~3.3重量%の範囲内でゼオライト材料に含有されることが好ましい。
【0037】
ゼオライト材料が、好ましくは参考例1に記載のように決定される、380m2/g以上、より好ましくは650m2/g以上、より好ましくは700~800m2/gの範囲内のBET比表面積を有することが好ましい。
【0038】
ゼオライト材料が、好ましくはDIN 66131に開示される方法に準拠して77Kでの窒素物理吸着により決定される、380m2/g以上、より好ましくは650m2/g以上、より好ましくは700~800m2/gの範囲内のBET比表面積を有することが好ましい。
【0039】
ゼオライト材料が、好ましくは参考例1に記載のように決定される、500m2/g以上、より好ましくは800m2/g以上、より好ましくは810~1100m2/gの範囲内のラングミュア比表面積を有することが好ましい。
【0040】
上記で開示されるように、XがAlを含む(好ましくはAlである)ことが好ましい。XがAlを含む(好ましくはAlである)場合、好ましくは参考例4に記載のように決定される、ゼオライト材料の固体27Al NMRが、80~40ppmの範囲内のピーク及び40~15ppmの範囲内のピークを示し、ここで、80~40ppmの範囲内のピークのピーク積分と40~15ppmの範囲内のピークのピーク積分との比が、少なくとも3:1、より好ましくは少なくとも7:1、より好ましくは少なくとも10:1であることが好ましい。
【0041】
上記で開示されるように、XがAlを含む(好ましくはAlである)ことが好ましい。XがAlを含む(好ましくはAlである)場合、好ましくは27Al固体核磁気共鳴(NMR)により決定される、ゼオライト材料の固体27Al NMRが、80~40ppmの範囲内のピーク及び40~15ppmの範囲内のピークを示し、80~40ppmの範囲内のピークのピーク積分と40~15ppmの範囲内のピークのピーク積分との比が、少なくとも3:1、より好ましくは少なくとも7:1、より好ましくは少なくとも10:1であることが好ましい。
【0042】
27Al固体核磁気共鳴(NMR)は、充填前の62%の相対湿度での少なくとも60時間の試料の保存; Vespelのキャップを有する3.2mmのZrO2ローターへの試料の充填、14.1テスラのマグネットを有するBruker Avance Neo分光計、15kHz(ω/2π)マジック角スピニング、AlCl3溶液(1%、H2O中)における、0.92μs、15°パルスに相当するワンパルス高周波励起;自由誘導減衰の10ms取得、異種核1H高周波デカップリングなし、0.5秒のリサイクル遅延を伴う少なくとも5120スキャンの平均、ノイズ抑制のための10Hzの指数関数的ラインブロードニングを使用したフーリエ変換、Bruker Topspin 3.0におけるマニュアル整相及びベースライン補正により行われる。Pure Appl. Chem.、80巻、1号、59~84ページ、2008にしたがい、二次標準物質として37.77ppmに13Cメチレン共鳴を有するアダマンタンを使用して、絶対化学シフトスケールにおいて0.26056859の周波数比であるD2O中、1.1mol/kgのAl(NO3)3を基準としてスペクトルを参照する。
【0043】
さらにXがAlを含む(好ましくはAlである)場合、好ましくは参考例4に記載のように決定される、ゼオライト材料の固体27Al NMRが、80~40ppmの範囲内のピーク及び15~-20ppmの範囲内のピークを示し、80~40ppmの範囲内のピークのピーク積分と15~-20ppmの範囲内のピークのピーク積分との比が少なくとも3:1、より好ましくは少なくとも7:1、より好ましくは少なくとも10:1であることが好ましい。
【0044】
ゼオライト材料が、好ましくは参考例1に記載のように決定される、0.180~0.390ml/gの範囲内の、より好ましくは0.220~0.350ml/gの範囲内の、より好ましくは0.260~0.310ml/gの範囲内のミクロ細孔体積を有することが好ましい。
【0045】
ゼオライト材料が、好ましくは参考例1に記載のように決定される、4.0~18.0nmの範囲内の、より好ましくは5.5~8.0nmの範囲内の、より好ましくは6.6~7.3nmの範囲内の平均細孔径を有することが好ましい。
【0046】
ゼオライト材料が、好ましくは参考例1に記載のように決定される、1.5~5.5nmの範囲内の、より好ましくは2.0~3.5nmの範囲内の、より好ましくは2.4~2.8nmの範囲内の平均細孔幅を有することが好ましい。
【0047】
(i)で用意されるゼオライト材料が焼成ゼオライト材料であり、300~900℃の範囲内の、より好ましくは400~700℃の範囲内の、より好ましくは450~650℃の範囲内の、より好ましくは500~600℃の範囲内の温度で焼成されていることが好ましい。
【0048】
焼成しようとする成型物の前駆体の質量に応じて、焼成の時間を調整するべきである。ゼオライト材料は、0.5~24時間、より好ましくは1~15時間、より好ましくは2~12時間、より好ましくは2.5~9時間、より好ましくは3~7時間、より好ましくは3.5~6.5時間、より好ましくは4~6時間の時間焼成されていることが好ましい。
【0049】
さらなる工程に関して、特定の制約は適用されない。触媒を(ii)の反応混合物と接触させる前に、触媒をアセトンで洗浄することが好ましい。触媒を(ii)の反応混合物と接触させる前に、触媒を最初にアセトンと接触させることが好ましい。
【0050】
(iii)において、触媒を(ii)で調製される反応混合物と接触させるステップが行われる温度に関して、特定の制約は適用されない。(iii)において、触媒を(ii)で調製される反応混合物と接触させるステップは、45~200℃、より好ましくは50~150℃、より好ましくは55~120℃、より好ましくは60~100℃の範囲内、より好ましくは65~90℃の範囲内、より好ましくは70~80℃の範囲内の温度で行われることが好ましい。
【0051】
(iii)において、触媒を(ii)で調製される反応混合物と接触させるステップが行われる圧力に関して、特定の制約は適用されない。(iii)において、触媒を(ii)で調製される反応混合物と接触させるステップは、1~200bar(abs)の範囲内、より好ましくは20~150bar(abs)の範囲内、より好ましくは30~100bar(abs)の範囲内、より好ましくは45~80bar(abs)の範囲内、より好ましくは50~70bar(abs)の範囲内、より好ましくは55~65bar(abs)の範囲内の圧力で行われることが好ましい。
【0052】
上記で開示されるように、(iii)において、触媒を(ii)で調製される反応混合物と接触させるステップが行われる圧力に関して、特定の制約は適用されない。(iii)において、触媒を(ii)で調製される反応混合物と接触させるステップは、1~30bar(abs)の範囲内、より好ましくは1~20bar(abs)の範囲内、より好ましくは1~15bar(abs)の範囲内、より好ましくは1~10bar(abs)の範囲内、より好ましくは1~5bar(abs)の範囲内、より好ましくは1~3bar(abs)の範囲内の圧力で行われることが好ましい。
【0053】
この方法はバッチ法として又は連続法として行われるのが好ましい。この方法は連続法として行われるのが特に好ましい。
【0054】
上記で開示されるように、この方法は連続法として行われるのが好ましい。この方法が連続法として行われる場合、(iii)における接触させるステップが、0.01~1000ml/(g・h)、より好ましくは0.05~500ml/(g・h)、より好ましくは0.1~250ml/(g・h)、より好ましくは0.3~100ml/(g・h)、より好ましくは0.5~10ml/(g・h)、より好ましくは1~5ml/(g・h)、より好ましくは1.2~4ml/(g・h)、より好ましくは1.5~3ml/(g・h)、より好ましくは1.8~2.5ml/(g・h)、より好ましくは2.0~2.2ml/(g・h)の範囲内の液体空間速度(liquid hourly space velocity)(LHSV)で行われるのが好ましい。
【0055】
上記で開示されるように、この方法はさらなる工程を含んでいてもよい。この方法は、
(iv)反応生成物から2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリドンを分離して2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリドン及び残留混合物を得るステップ、
(v)(ii)の反応混合物中の残留混合物の少なくとも一部をリサイクルするステップ
をさらに含むことが好ましく、好ましくは(iv)の後かつ(v)の前に2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリドンの沸点よりも高い沸点を有する化合物が残留混合物から分離される。
【0056】
(ii)で調製される反応混合物中のアセトンとアンモニアとのモル比に関して、特定の制約は適用されない。(ii)で調製される反応混合物において、アセトンとアンモニアとのモル比が、5:1~25:1の、より好ましくは7:1~22:1の、より好ましくは10:1~19:1の、より好ましくは13:1~16:1の範囲内、より好ましくは14.0:1.0~14.7:1.0の範囲内、より好ましくは14.2:1.0~14.5:1.0の範囲内であることが好ましい。
【0057】
上記で開示されるように、この方法はバッチ法として行われてもよい。この方法がバッチ法として行われる場合、(iii)における接触させるステップが0.1~24時間の範囲内、より好ましくは0.5~20時間の範囲内、より好ましくは1~15時間の範囲内、より好ましくは3~10時間の範囲内、より好ましくは4~8時間の範囲内、より好ましくは5~7時間の範囲内の時間行われることが好ましい。
【0058】
上記で開示されるように、触媒は成型物として提供されてもよい。触媒が成型物として提供される場合、成型物は、
(a)ゼオライト材料及び場合により1種以上のバインダーを含む混合物を調製するステップ、
(b)好ましくは押出しにより混合物を成形して、成形された材料を得るステップ、
(c)場合により成形された材料をガス雰囲気中で乾燥させるステップ、
(d)(b)又は(c)から得られる成形された材料をガス雰囲気中で焼成して成型物を得るステップ
を含む方法にしたがって調製されることが好ましい。
【0059】
上記で開示されるように、この方法が(a)、(b)、(c)、及び(d)を含む場合、混合物が1種以上のバインダーを含み、1種以上のバインダーが、アルミナ、シリカ、シリカ-アルミナ、グラファイト、多糖、糖アルコール、及び合成ポリマーの1つ以上、より好ましくはアルミナ、シリカ、シリカ-アルミナ、グラファイト、糖アルコール、合成ポリマー、セルロース、改質セルロース、及びデンプンの1つ以上、より好ましくはシリカ、アルミナ、シリカ-アルミナ、グラファイト、糖アルコール、合成ポリマー、微結晶セルロース、セルロースエーテル、より好ましくはグラファイト、ソルビトール、マンニトール、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、及びカルボキシメチルセルロースナトリウムであることが好ましい。
【0060】
上記で開示されるように、この方法が(a)、(b)、(c)、及び(d)を含む場合、さらに、(a)による混合物において、ゼオライト材料に対する1種以上のバインダーの重量比が1:10~1:30の範囲内、より好ましくは1:15~1:25の範囲内であることが好ましい。
【0061】
上記で開示されるように、この方法が(a)、(b)、(c)、及び(d)を含む場合、さらに、この方法は、好ましくは、90~150℃の範囲内の温度を有するガス雰囲気中で、より好ましくは110~130℃の範囲内の温度で行われ、好ましくは10~15時間、より好ましくは11~13時間行われる(c)による乾燥させるステップを含む。
【0062】
上記で開示されるように、この方法が(a)、(b)、(c)、及び(d)を含む場合、さらに、(d)のガス雰囲気が、400~600℃の範囲内、より好ましくは450~550℃の範囲内の温度を有し、好ましくは焼成が3~7時間、より好ましくは4~6時間行われることが好ましい。
【0063】
上記で開示されるように、この方法が(a)、(b)、(c)、及び(d)を含む場合、さらに、(c)及び(d)の1つ以上におけるガス雰囲気が、窒素、酸素、及びアルゴンの1つ以上、好ましくは窒素を含むことが好ましい。
【0064】
本発明の意味の範囲内で、相対湿度の特定の値は、相対湿度における前記の特定の値を示す雰囲気に関して、原則的にその値が、相対湿度における前記の値を示す任意の適切な雰囲気、例えば空気又は不活性ガス(例えば窒素、アルゴン、又はそれらの混合物)の雰囲気に関連するように特に制限するものではない。しかし本発明よれば、特定の相対湿度は、空気、窒素、アルゴン、及びそれらの2つ以上の混合物からなる群の中で選択される雰囲気の相対湿度を指すことが好ましく、より好ましくは特定の相対湿度は前記レベルの相対湿度を示す窒素及び/又はアルゴンの雰囲気を指し、より好ましくは相対湿度において前記特定のレベルを示す窒素の雰囲気を指す。
【0065】
本発明によれば、成型物は成形プロセスから得られる3次元の実体と理解されることになる;したがって、「成型物」という用語は、「成形体」という用語と同義に使用される。
【0066】
bar(abs)という単位は105Paの絶対圧力を指し、オングストロームという単位は、10-10mの長さを指す。
【0067】
以下の一連の実施形態、並びに記載されるような従属及び後方参照から生じる実施形態の組合せによって、本発明をさらに説明する。特に、実施形態の範囲が言及される各々の場合において、例えば「実施形態1から4のいずれか1つの方法」などの用語の文脈において、この範囲内のあらゆる実施形態は当業者に対して明確に開示されることを意図しており、すなわちこの用語の表現は「実施形態1、2、3、及び4のいずれか1つの方法」と同義であるものとして当業者が理解するべきであることに注意する。さらに、以下の一連の実施形態は保護の程度を決定する一連の特許請求の範囲ではなく、本発明の一般的及び好ましい態様を対象とする説明の適切に構成された部分を表すことに明確に注意する。
【0068】
1. 2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリドンの製造方法であって、
(i)EMT、GME、OFF、FER、HEU、MEL、MWW、RRO、TON、FAU、及びそれらの2つ以上の混合構造からなる群から選択される骨格構造を有するゼオライト材料を含む触媒を含有する反応器を用意するステップであり、ゼオライト材料がその骨格構造中にYO2及びX2O3を含み、Yが四価の元素であり、Xが三価の元素であり、ゼオライト材料のYO2とX2O3のモル比が12以上である、ステップ、
(ii)アセトン及びアンモニアを含む反応混合物を調製するステップ、
(iii)2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリドンを含む反応生成物を得るために、反応器中の触媒を(ii)で調製された反応混合物と40~250℃の範囲内の温度で接触させるステップ
を含み、
(ii)で調製され(iii)で触媒と接触させる混合物が、100wt.-%の反応混合物を基準として10wt.-%未満の水を含有する、好ましくは100wt.-%の反応混合物を基準として8wt.-%未満、より好ましくは6wt.-%未満、より好ましくは4wt.-%未満、より好ましくは2wt.-%未満、より好ましくは1wt.-%未満、より好ましくは0.5wt.-%未満、より好ましくは0.1wt.-%未満、より好ましくは0.05wt.-%未満、より好ましくは0.01wt.-%未満の水を含有する、方法。
【0069】
2. ゼオライト材料が、EMT、GME、FER、MWW、FAU、及びそれらの2つ以上の混合構造からなる群から、好ましくはFER、FAU、及びそれらの混合構造からなる群から選択される骨格構造を有し、より好ましくは骨格構造FAUを有する、実施形態1に記載の方法。
【0070】
3. 触媒の5重量%以上がゼオライト材料からなり、好ましくは触媒の10重量%以上、より好ましくは30重量%以上、より好ましくは50重量%以上、より好ましくは70重量%以上、より好ましくは80重量%以上、より好ましくは90重量%以上、より好ましくは95~100重量%、好ましくは99~100重量%、より好ましくは99.5~100重量%がゼオライト材料からなる、実施形態1又は2に記載の方法。
【0071】
4. 触媒が粉末として及び/又は成型物として、好ましくは押出し物として提供される、実施形態1から3のいずれか1つに記載の方法。
【0072】
5. Yが、Si、Sn、Ti、Zr、Ge、及びそれらの2つ以上の混合物からなる群から選択され、好ましくはYがSi及び/又はTiであり、より好ましくはYがSiである、実施形態1から4のいずれか1つに記載の方法。
【0073】
6. Xが、B、Al、Ga、In、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、及びそれらの2つ以上の混合物からなる群から、好ましくはB、Al、Ga、In、及びそれらの2つ以上の混合物からなる群から選択され、好ましくはXがAl及び/又はBであり、より好ましくはXがAlである、実施形態1から5のいずれか1つに記載の方法。
【0074】
7. ゼオライト材料のYO2とX2O3のモル比が、13以上、好ましくは13~300の範囲内、好ましくは14~250の範囲内、より好ましくは15~200の範囲内、より好ましくは16~175の範囲内、より好ましくは17~150の範囲内、より好ましくは18~125の範囲内、より好ましくは19~100の範囲内、より好ましくは20~90の範囲内、より好ましくは21~80の範囲内、より好ましくは22~70の範囲内、より好ましくは22.5~60の範囲内、より好ましくは23~50の範囲内、より好ましくは23.5~45の範囲内、より好ましくは24~40の範囲内、より好ましくは24.5~37の範囲内、より好ましくは25~35の範囲内、より好ましくは25~30の範囲内である、実施形態1から6のいずれか1つに記載の方法。
【0075】
8. 2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリドンの製造方法であって、
(i)FAUの骨格構造を有するゼオライト材料を含む触媒を含有する反応器を用意するステップであり、ゼオライト材料がその骨格構造中にYO2及びX2O3を含み、Yが四価の元素であり、Xが三価の元素であり、ゼオライト材料のYO2とX2O3のモル比が16~175である、ステップ、
(ii)アセトン及びアンモニアを含む反応混合物を調製するステップ、
(iii)2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリドンを含む反応生成物を得るために、反応器中の触媒を(ii)で調製された反応混合物と40~250℃の範囲内の温度で接触させるステップ
を含み、
(ii)で調製され(iii)で触媒と接触させる混合物が、100wt.-%の反応混合物を基準として10wt.-%未満の水を含有する、実施形態1から7のいずれか1つに記載の方法。
【0076】
9. ゼオライト材料がFAU骨格構造型を有し、好ましくはゼオライト材料が、
Li-LSX、ゼオライトX、ゼオライトY、ECR-30、ZSM-20、LZ-210、SAPO-37、US-Y、CSZ-1、ZSM-3、フォージャサイト、及びそれらの2つ以上の混合物からなる群から、
好ましくはゼオライトX、ゼオライトY、ECR-30、ZSM-20、LZ-210、US-Y、CSZ-1、ZSM-3、フォージャサイト、及びそれらの2つ以上の混合物からなる群から、
より好ましくはゼオライトX、ゼオライトY、ZSM-20、ZSM-3、フォージャサイト、及びそれらの2つ以上の混合物からなる群から、
より好ましくはゼオライトX、ゼオライトY、フォージャサイト、及びそれらの2つ以上の混合物からなる群から
選択されるFAU型骨格構造を有する1種以上のゼオライトを含有し、
より好ましくはFAU型骨格構造を有する1種以上のゼオライトがゼオライトX及び/又はゼオライトY、好ましくはゼオライトYを含み、
より好ましくはFAU型骨格構造を有する1種以上のゼオライトがゼオライトX及び/又はゼオライトY、好ましくはゼオライトYである、
実施形態1から8のいずれか1つに記載の方法。
【0077】
10. ゼオライト材料がアンモニウム型又はH型、より好ましくはH型である、実施形態1から9のいずれか1つに記載の方法。
【0078】
11. ゼオライト材料が、好ましくは参考例2によるアンモニアの温度プログラム式脱着(NH3-TPD)により決定した場合に、190~550℃の範囲内の温度で0.100~4.000mmol/gの範囲内の酸部位の濃度、より好ましくは205~400℃の範囲内の温度で0.200~2.000mmol/gの範囲内の酸部位の濃度、より好ましくは250~290℃の範囲内の温度で0.250~1.000mmol/gの範囲内の酸部位の濃度、より好ましくは350~375℃の範囲内の温度で0.300~0.800mmol/gの範囲内の酸部位の濃度、より好ましくは360~366℃の範囲内の温度で0.400~0.700mmol/gの範囲内の酸部位の濃度を含む、実施形態1から10のいずれか1つに記載の方法。
【0079】
12. ゼオライト材料が、好ましくは参考例2によるアンモニアの温度プログラム式脱着(NH3-TPD)により決定した場合に、175~210℃の範囲内の温度で0.050~0.600mmol/gの範囲内の酸部位の濃度、好ましくは185~200℃の範囲内の温度で0.140~0.530mmol/gの範囲内の酸部位の濃度を含む、実施形態1から11のいずれか1つに記載の方法。
【0080】
13. ゼオライト材料が、好ましくは参考例2によるアンモニアの温度プログラム式脱着(NH3-TPD)により決定した場合に、475~625℃の範囲内の温度で0.010~0.090mmol/gの範囲内の酸部位の濃度、好ましくは500~600℃の範囲内の温度で0.030~0.060mmol/gの範囲内の酸部位の濃度を含む、実施形態1から12のいずれか1つに記載の方法。
【0081】
14. ゼオライト材料が、50~100重量%、好ましくは75~100重量%、より好ましくは80~100重量%、より好ましくは90~100重量%の範囲内の結晶化度を有し、結晶化度が好ましくは参考例3に記載のように決定される、実施形態1から13のいずれか1つに記載の方法。
【0082】
15. ゼオライト材料が、4.0~7.0マイクロメートルの範囲内、好ましくは4.5~6.5マイクロメートルの範囲内、より好ましくは5.0~6.0マイクロメートルの範囲内のDv50値によって特徴付けられる体積基準の粒径分布を有する、実施形態1から14のいずれか1つに記載の方法。
【0083】
16. 元素Yとして計算されるYO2が、ゼオライト材料の総重量を基準として35.0~47.0重量%の範囲内、好ましくは38.5~43.5重量%の範囲内、より好ましくは40.0~42.0重量%の範囲内でゼオライト材料に含有される、実施形態1から15のいずれか1つに記載の方法。
【0084】
17. Xとして計算されるX2O3が、ゼオライト材料の総重量を基準として1.0~4.5重量%の範囲内、好ましくは2.2~3.7重量%の範囲内、より好ましくは2.9~3.3重量%の範囲内でゼオライト材料に含有される、実施形態1から16のいずれか1つに記載の方法。
【0085】
18. ゼオライト材料が、好ましくは参考例1に記載のように決定される、380m2/g以上、好ましくは650m2/g以上、より好ましくは700~800m2/gの範囲内のBET比表面積を有する、実施形態1から17のいずれか1つに記載の方法。
【0086】
19. ゼオライト材料が、好ましくは参考例1に記載のように決定される、500m2/g以上、好ましくは800m2/g以上、より好ましくは810~1100m2/gの範囲内のラングミュア比表面積を有する、実施形態1から18のいずれか1つに記載の方法。
【0087】
20. XがAlであり、好ましくは参考例4に記載のように決定される、ゼオライト材料の固体27Al NMRが80~40ppmの範囲内のピーク及び40~15ppmの範囲内のピークを示し、80~40ppmの範囲内のピークのピーク積分と40~15ppmの範囲内のピークのピーク積分との比が、少なくとも3:1、より好ましくは少なくとも7:1、より好ましくは少なくとも10:1である、実施形態1から19のいずれか1つに記載の方法。
【0088】
21. XがAlであり、好ましくは参考例4に記載のように決定される、ゼオライト材料の固体27AlNMRが80~40ppmの範囲内のピーク及び15~-20ppmの範囲内のピークを示し、80~40ppmの範囲内のピークのピーク積分と15~-20ppmの範囲内のピークのピーク積分との比が少なくとも3:1、好ましくは少なくとも7:1、より好ましくは少なくとも10:1である、実施形態1から20のいずれか1つに記載の方法。
【0089】
22. ゼオライト材料が、好ましくは参考例1に記載のように決定される、0.180~0.390ml/g、好ましくは0.220~0.350ml/g、より好ましくは0.260~0.310ml/gの範囲内のミクロ細孔体積を有する、実施形態1から21のいずれか1つに記載の方法。
【0090】
23. ゼオライト材料が、好ましくは参考例1に記載のように決定される、4.0~18.0nm、好ましくは5.5~8.0nm、より好ましくは6.6~7.3nmの範囲内の平均細孔径を有する、実施形態1から22のいずれか1つに記載の方法。
【0091】
24. ゼオライト材料が、好ましくは参考例1に記載のように決定される、1.5~5.5nm、好ましくは2.0~3.5nm、より好ましくは2.4~2.8nmの範囲内の平均細孔幅を有する、実施形態1から23のいずれか1つに記載の方法。
【0092】
25. (i)で用意されるゼオライト材料が焼成ゼオライト材料であり、ゼオライト材料が300~900℃、好ましくは400~700℃、より好ましくは450~650℃、より好ましくは500~600℃の範囲内の温度で焼成されている、実施形態1から24のいずれか1つに記載の方法。
【0093】
26. ゼオライト材料が、0.5~24時間、好ましくは1~15時間、より好ましくは2~12時間、より好ましくは2.5~9時間、より好ましくは3~7時間、より好ましくは3.5~6.5時間、より好ましくは4~6時間の時間焼成されている、実施形態25の方法。
【0094】
27. 触媒を(ii)の反応混合物と接触させる前に、触媒を最初にアセトンと接触させる、実施形態1から26のいずれか1つに記載の方法。
【0095】
28. (iii)において、触媒を(ii)で調製される反応混合物と接触させるステップが、45~200℃の範囲内、好ましくは50~150℃、より好ましくは55~120℃、より好ましくは60~100℃、より好ましくは65~90℃の範囲内、より好ましくは70~80℃の範囲内の温度で行われる、実施形態1から27のいずれか1つに記載の方法。
【0096】
29. (iii)において、触媒を(ii)で調製される反応混合物と接触させるステップが、1~200bar(abs)の範囲内、好ましくは20~150bar(abs)の範囲内、より好ましくは30~100bar(abs)の範囲内、より好ましくは45~80bar(abs)の範囲内、より好ましくは50~70の範囲内、より好ましくは55~65bar(abs)の範囲内の圧力で行われる、実施形態1から28のいずれか1つに記載の方法。
【0097】
30. (iii)において、触媒を(ii)で調製される反応混合物と接触させるステップが、1~30bar(abs)の範囲内、好ましくは1~20bar(abs)の範囲内、より好ましくは1~15bar(abs)の範囲内、より好ましくは1~10bar(abs)の範囲内、より好ましくは1~5の範囲内、より好ましくは1~3bar(abs)の範囲内の圧力で行われる、実施形態1から28のいずれか1つに記載の方法。
【0098】
31. バッチ法として又は連続法として行われる、好ましくは連続法として行われる、実施形態1から30のいずれか1つに記載の方法。
【0099】
32. 連続法として行われ、(iii)における接触させるステップが、0.01~1000ml/(g・h)、好ましくは0.05~500ml/(g・h)、より好ましくは0.1~250ml/(g・h)、より好ましくは0.3~100ml/(g・h)、より好ましくは0.5~10ml/(g・h)、より好ましくは1~5ml/(g・h)、より好ましくは1.2~4ml/(g・h)、より好ましくは1.5~3ml/(g・h)、より好ましくは1.8~2.5ml/(g・h)、より好ましくは2.0~2.2ml/(g・h)の範囲内の液体空間速度(LHSV)で行われる、実施形態1から31のいずれか1つに記載の方法。
【0100】
33. (iv)反応生成物から2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリドンを分離して2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリドン及び残留混合物を得るステップ、
(v)(ii)の反応混合物中の残留混合物の少なくとも一部をリサイクルするステップ
をさらに含み、好ましくは(iv)の後かつ(v)の前に2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリドンの沸点よりも高い沸点を有する化合物を残留混合物から分離する、実施形態1から32のいずれか1つに記載の方法。
【0101】
34. (ii)で調製される反応混合物において、アセトンとアンモニアとのモル比が、5:1~25:1の範囲内、好ましくは7:1~22:1の範囲内、より好ましくは10:1~19:1の範囲内、より好ましくは13:1~16:1の範囲内、より好ましくは14.0:1.0~14.7:1.0の範囲内、より好ましくは14.2:1.0~14.5:1.0の範囲内である、実施形態1から33のいずれか1つに記載の方法。
【0102】
35. バッチ法として行われ、(iii)における接触させるステップが0.1~24時間の範囲内、好ましくは0.5~20時間の範囲内、より好ましくは1~15時間の範囲内、より好ましくは3~10時間の範囲内、より好ましくは4~8時間の範囲内、より好ましくは5~7時間の範囲内の時間行われる、実施形態1から34のいずれか1つに記載の方法。
【0103】
36. 触媒が成型物として提供され、成型物が、
(a)ゼオライト材料及び場合により1種以上のバインダーを含む混合物を調製するステップ、
(b)好ましくは押出しにより混合物を成形して、成形された材料を得るステップ、
(c)場合により成形された材料をガス雰囲気中で乾燥させるステップ
(d)(b)又は(c)から得られる成形された材料をガス雰囲気中で焼成して成型物を得るステップ
を含む方法にしたがって調製される、実施形態1から35のいずれか1つに記載の方法。
【0104】
37. 混合物が1種以上のバインダーを含み、1種以上のバインダーが、アルミナ、シリカ、シリカ-アルミナ、グラファイト、多糖、糖アルコール、及び合成ポリマーの1つ以上、好ましくはアルミナ、シリカ、シリカ-アルミナ、グラファイト、糖アルコール、合成ポリマー、セルロース、改質セルロース、及びデンプンの1つ以上、より好ましくはシリカ、アルミナ、シリカ-アルミナ、グラファイト、糖アルコール、合成ポリマー、微結晶セルロース、セルロースエーテル、より好ましくはグラファイト、ソルビトール、マンニトール、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、及びカルボキシメチルセルロースナトリウムである、実施形態36の方法。
【0105】
38. (a)による混合物において、ゼオライト材料に対する1種以上のバインダーの重量比が1:10~1:30の範囲内、より好ましくは1:15~1:25の範囲内である、実施形態36又は37の方法。
【0106】
39. (c)による乾燥するステップを含み、乾燥するステップが、90~150℃の範囲内の温度を有するガス雰囲気中で、好ましくは110~130℃の範囲内の温度で行われ、好ましくは10~15時間、より好ましくは11~13時間行われる、実施形態36から38のいずれか1つに記載の方法。
【0107】
40. (d)のガス雰囲気が、400~600℃の範囲内、好ましくは450~550℃の範囲内の温度を有し、好ましくは焼成が3~7時間、より好ましくは4~6時間行われる、実施形態36から39のいずれか1つに記載の方法。
【0108】
41. (c)及び(d)の1つ以上におけるガス雰囲気が、窒素、酸素、及びアルゴンの1つ以上、好ましくは窒素を含む、実施形態36から40のいずれか1つに記載の方法。
【実施例
【0109】
参考例1
BET比表面積、ラングミュア比表面積、ミクロ細孔体積、平均細孔幅、及び平均細孔径(N2)の決定
BET比表面積、ラングミュア比表面積、ミクロ細孔体積、平均細孔幅、及び平均細孔径(N2)を、DIN 66131で開示される方法にしたがって、77Kでの窒素物理吸着により決定した。
【0110】
参考例2
酸部位の決定:アンモニアの温度プログラム式脱着(NH3-TPD)
アンモニアの温度プログラム式脱着(NH3-TPD)は、熱伝導度検出器を有する自動化学吸着分析ユニット(Micromeritics AutoChem II 2920)において行った。オンライン質量分析計(Pfeiffer Vacuum製のOmniStar QMG200)を使用して、脱着した種の連続分析を実施した。試料(0.1g)を石英管へ導入し、以下に記載されるプログラムを使用して分析した。石英管内の試料のすぐ上にあるNi/Cr/Ni熱電対によって温度を測定した。分析にあたって、純度5.0のHeを使用した。いずれの測定の前にも、キャリブレーションのためにブランク試料を分析した。
【0111】
1. 調製: 記録の開始、毎秒1回の測定。25℃及び30cm3/分のHe流量(室温(約25℃)及び1atm)にて10分待機、20K/分の加熱速度で600℃まで加熱、10分間維持。He流(30cm3/分)下で20K/minの冷却速度(炉の傾斜温度)において100℃まで冷却、He流(30cm3/分)下で3K/分の冷却速度(試料の傾斜温度)において100℃まで冷却。
2. NH3による飽和: 記録の開始、毎秒1回の測定。ガス流を100℃、He中の10% NH3(75cm3 /分、100℃、及び1atm)の混合物へ変更、30分間維持。
3. 過剰物の除去: 記録の開始、毎秒1回の測定。ガス流を100℃、75cm3/分(100℃及び1atm)のHe流へ変更、60分間維持。
4. NH3-TPD: 記録の開始、毎秒1回の測定。He流(流量:30cm3/分)下で10K/分の加熱速度で600℃まで加熱、30分間維持。
5. 測定の終了。
【0112】
脱着したアンモニアをオンライン質量分析計により測定し、それにより熱伝導度検出器からのシグナルが脱着したアンモニアにより生じることを実証した。これはアンモニアの脱着をモニタリングするためにアンモニアからのm/z=16のシグナルを利用することを含んだ。吸着されたアンモニアの量(試料1gあたりのmmol)は、Micromeriticsソフトウェアにより水平のベースラインを有するTPDシグナルを積分することによって確かめられる。
【0113】
参考例3
粉末X線回折及び結晶化度の決定
40kV及び40mAで作動する銅アノードX線管を用いて操作されるLYNXEYE検出器を備えた回折計(D8 Advance Series II、Bruker AXS GmbH)を使用して、粉末X線回折(PXRD)データを収集した。配置はBragg-Brentano型であり、空気散乱は空気散乱シールドを使用して低減した。
【0114】
結晶化度の計算: 試料の結晶化度は、Bruker AXS GmbH、Karlsruheにより供給されるソフトウェアDIFFRAC.EVAを使用して決定した。この方法はユーザーマニュアルの121ページに記載されている。計算のためにデフォルトのパラメーターを使用した。
【0115】
相組成の計算: 相組成は、Bruker AXS GmbH、Karlsruheにより供給されるモデリングソフトウェアDIFFRAC.TOPASを使用して、生データに対して計算された。同定される相の結晶構造、装置パラメーター、及び個々の相の結晶子サイズを使用して回折パターンをシミュレートした。これを、バックグラウンド強度をモデリングする関数に加えてデータに対してフィッティングした。
【0116】
データ収集: 試料をモルタル中で均質化させ、次いでBragg-Brentano配置データ収集のためにBruker AXS GmbHにより供給される標準フラット試料ホルダーに押し込んだ。試料粉末を圧縮及び平坦化するためのガラスプレートを使用して、平坦な表面を得た。可変の発散スリットを0.1°の角度にセットして、2~70°の2θの角度範囲から、0.02°の2θのステップサイズでデータを収集した。結晶質含量は全散乱強度に対する結晶性シグナルの強度を表す。(DIFFRAC.EVA用ユーザーマニュアル、Bruker AXS GmbH、Karlsruhe)。
【0117】
参考例4
固体27Al NMRの決定
27Al固体核磁気共鳴(NMR)は、以下のデバイス、手順、及びパラメーターを使用して行った: 充填前の62%の相対湿度での少なくとも60時間の試料の保存; Vespelのキャップを有する3.2mmのZrO2ローターへの試料の充填、14.1テスラのマグネットを有するBruker Avance Neo分光計、15kHz(ω/2π)マジック角スピニング、AlCl3溶液(1%、H2O中)における、0.92μs、15°パルスに相当するワンパルス高周波励起;自由誘導減衰の10ms取得、異種核1H高周波デカップリングなし、0.5秒のリサイクル遅延を伴う少なくとも5120スキャンの平均、ノイズ抑制のための10Hzの指数関数的ラインブロードニングを使用したフーリエ変換、Bruker Topspin 3.0におけるマニュアル整相及びベースライン補正。Pure Appl. Chem.、80巻、1号、59~84頁、2008にしたがい、二次標準物質として37.77ppmに13Cメチレン共鳴を有するアダマンタンを使用して、絶対化学シフトスケールにおいて0.26056859の周波数比であるD2O中、1.1mol/kgのAl(NO3)3を基準としてスペクトルを参照した。
【0118】
参考例5
試験されたゼオライト材料の特性
【0119】
【表1】
【0120】
【表2】
【0121】
実施例1
触媒試験-バッチモード
触媒1及び4、並びに比較触媒1及び3を2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリドンの製造のための触媒としてバッチモードで試験した。各試験において、40g(4g/g)の量の触媒を使用した。温度を65℃に設定した。各試験を6時間行い、それによって、加熱を開始する前に1時間にわたりアンモニアを添加した。2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリドン、2,2,4,6-テトラメチル-2,3-ジヒドロピリジン、1,2,5,6-テトラヒドロ-2,2,4,6,6-ペンタメチル-ピリミジン、及びアセトンの含量を決定するために、反応生成物をガスクロマトグラフィーで分析した。こうして、ガスクロマトグラフィー測定による結果を面積%で示す。
【0122】
表3に示す結果から推測することができるように、SARが25及び20であるゼオライト材料を含む触媒1及び4はそれぞれ、SARが5.2であるゼオライト材料を含む比較触媒3よりも、2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリドンへのより高い転化率を示す。特に、2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリドンの相対量は、6時間の全体の試験時間にわたって、比較触媒3よりも触媒1及び4において高い。
【0123】
さらに、表3において分かるように、触媒1及び4の両方、並びに比較触媒3における望ましくない副生成物2,2,4,6-テトラメチル-2,3-ジヒドロピリジンのガスクロマトグラフィーにより決定される相対量は、比較的低いレベルである。要するに、触媒1及び4は特に2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリドンへの転化に関してより活性の高い触媒であることが表3から理解することができる。
【0124】
表3に示す結果から推測することができるように、触媒1及び4はすべての比較触媒1、及び3~6と比較してより優れた触媒性能を示す。特に、2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリドンの相対量は触媒1及び4において大幅に高く、それによって望ましくない副生成物2,2,4,6-テトラメチル-2,3-ジヒドロピリジンの相対量は比較触媒4よりも大幅に低く、比較触媒1と同等である。1,2,5,6-テトラヒドロ-2,2,4,6,6-ペンタメチル-ピリミジンの相対量は触媒1及び4において大幅に低く、アセトンの全体の転化率もすべての比較触媒1、及び3~6と比較して触媒1及び4においてより高いことが、表3においてさらに理解することができる。
【0125】
さらに、2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリドン:2,2,4,6-テトラメチル-2,3-ジヒドロピリジンの比は、比較触媒1、及び3~6と比較して触媒1及び4において大幅に高いことが表3において理解することができる。
【0126】
それに加えて、MFI骨格構造を有しシリカとアルミナとのモル比(SAR)が30であるゼオライト材料を含む比較触媒6が、触媒1及び4と比較して全体としてより劣った性能を示すことが表3から推測できる。
【0127】
【表3】
【0128】
試験されたゼオライト材料の特徴は上記の表1及び2に記載されている。
【0129】
実施例2
触媒試験-連続モード
触媒2及び比較触媒2を、2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリドンの製造のための触媒として連続モードで試験した。1mの長さ及び8mmの直径を有する反応器を使用した。反応器壁の温度を70℃、液体空間速度を1.71ml/gh、及び圧力を約55barに設定した(単相)。供給流はアセトン及びアンモニアを14.3:1.0のモル比で含有した。各試験を6時間行った。平均滞留時間は約60~74分であることが分かった。
【0130】
連続モードでの触媒試験において、それぞれの触媒は成形体として用いた。この趣旨で、1250gのそれぞれのゼオライト材料、1180mlの脱イオン水、及び62.5gのWalocel(商標)(Walocel MW 15000 GB、Wolff Cellulosics GmbH & Co. KG、ドイツ)をニーダへ供給し、10分間混練した。成形のために、混練した塊状物を190bar(abs)の圧力で押出しして直径が1.5mmである円形の断面を有するストランドを得た。次いでストランドを120℃で12時間乾燥させ、500℃で5時間焼成した。2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリドン、2,2,4,6-テトラメチル-2,3-ジヒドロピリジン、1,2,5,6-テトラヒドロ-2,2,4,6,6-ペンタメチル-ピリミジン、及びアセトンの含量を決定するために、反応生成物をガスクロマトグラフィーで分析した。こうして、ガスクロマトグラフィー測定による結果を面積%で示す。
【0131】
表4に示される結果から推測できるように、触媒2は、連続モードにおいても、比較触媒2と比較してより高い2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリドンへの転化率を示す。表4において分かるように、2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリドン:2,2,4,6-テトラメチル-2,3-ジヒドロピリジンの比は、比較触媒2においてよりも触媒2において高い。この知見はいっそう驚くべきことである。なぜなら上記で論じたように先行技術のCavaniらは、所望の2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリドンの調製に関して最良の結果を示し、最小の望ましくない副生成物2,2,4,6-テトラメチル-2,3-ジヒドロピリジンを生成することから、特にSARが6で比較的低いH-Yゼオライトの使用を提案しているためである。それと比較して、CavaniらによりJournal of Molecular Catalysis A: Chemical 393 (2014)、325~332において試験された、SARが15であるH-Yゼオライトは、2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリドンの調製に関して、及び前記副生成物に関して、比較的劣った性能を示した。同様に、J. TianらはJournal of Heterocyclic Chemistry 2015、52巻、1377~1381ページにおいて、上記で論じたように、シリカとアルミナとのモル比が11.2であるH-Yゼオライトが2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリドンの調製において最も効果的であったことを見出した。明らかに、J. Tianは、さらなる実験に関して、特に適用される反応条件のアセトン最適化に関して、比較的低いSARを有するゼオライトが最も有望であると見なした。それとは対照的に、特に本発明による限られた含量の水のみを許容するプロセスモードを考慮すると、FAU骨格構造型を有するゼオライト材料を含む本発明の方法は驚くことに、比較的高いシリカとアルミナとの比を有するゼオライト材料に対しても技術的効果を示す。
【0132】
試験されたゼオライト材料の特徴は上記の表1及び2に記載されている。
【0133】
【表4】
本開示の態様として、以下のものを挙げることができる。
[1]
2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリドンの製造方法であって、
(i)FAUの骨格構造を有するゼオライト材料を含む触媒を含有する反応器を用意するステップであり、ゼオライト材料がその骨格構造中にYO 2 及びX 2 O 3 を含み、Yが四価の元素であり、Xが三価の元素であり、ゼオライト材料のYO 2 とX 2 O 3 のモル比が16~175である、ステップ、
(ii)アセトン及びアンモニアを含む反応混合物を調製するステップ、
(iii)2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリドンを含む反応生成物を得るために、反応器中の触媒を(ii)で調製された反応混合物と40~250℃の範囲内の温度で接触させるステップ
を含み、
(ii)で調製され(iii)で触媒と接触させる混合物が、100wt.-%の反応混合物を基準として10wt.-%未満の水を含有する、方法。
[2]
触媒の5重量%以上がゼオライト材料からなる、態様1に記載の方法。
[3]
触媒が粉末として及び/又は成型物として提供される、態様1又は2に記載の方法。
[4]
Yが、Si、Sn、Ti、Zr、Ge、及びそれらの2つ以上の混合物からなる群から選択される、態様1から3のいずれか一つに記載の方法。
[5]
Xが、B、Al、Ga、In、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、及びそれらの2つ以上の混合物からなる群から選択される、態様1から4のいずれか一つに記載の方法。
[6]
ゼオライト材料が、アンモニウム型又はH型である、態様1から5のいずれか一つに記載の方法。
[7]
ゼオライト材料が、50~100重量%の範囲内の結晶化度を有し、結晶化度が参考例3に記載のように決定される、態様1から6のいずれか一つに記載の方法。
[8]
元素Yとして計算されるYO 2 が、ゼオライト材料の総重量を基準として35.0~47.0重量%の範囲内でゼオライト材料に含有される、態様1から7のいずれか一つに記載の方法。
[9]
Xとして計算されるX 2 O 3 が、ゼオライト材料の総重量を基準として1.0~4.5重量%の範囲内でゼオライト材料に含有される、態様1から8のいずれか一つに記載の方法。
[10]
(iii)において、触媒を(ii)で調製される反応混合物と接触させるステップが、45~200℃の範囲内の温度で行われる、態様1から9のいずれか一つに記載の方法。
[11]
バッチ法として又は連続法として行われる、態様1から10のいずれか一つに記載の方法。
[12]
(ii)で調製される反応混合物において、アセトンとアンモニアとのモル比が、5:1~25:1の範囲内である、態様1から11のいずれか一つに記載の方法。
[13]
触媒が成型物として提供され、成型物が、
(a)ゼオライト材料及び場合により1種以上のバインダーを含む混合物を調製するステップ、
(b)混合物を成形するステップ、
(c)場合により成形された材料をガス雰囲気中で乾燥させるステップ、並びに
(d)(b)又は(c)から得られる成形された材料をガス雰囲気中で焼成して成型物を得るステップ
を含む方法にしたがって調製される、態様1から12のいずれか一つに記載の方法。
図1