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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-07
(45)【発行日】2025-02-18
(54)【発明の名称】チャックテーブル及びレーザー加工装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/301 20060101AFI20250210BHJP
   H01L 21/683 20060101ALI20250210BHJP
   B23K 26/364 20140101ALI20250210BHJP
   B23K 26/08 20140101ALI20250210BHJP
   B23K 26/10 20060101ALI20250210BHJP
【FI】
H01L21/78 N
H01L21/68 P
B23K26/364
B23K26/10
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020190617
(22)【出願日】2020-11-17
(65)【公開番号】P2022079812
(43)【公開日】2022-05-27
【審査請求日】2023-09-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】100172281
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100075384
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 昂
(74)【代理人】
【識別番号】100206553
【弁理士】
【氏名又は名称】笠原 崇廣
(74)【代理人】
【識別番号】100189773
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 英哲
(74)【代理人】
【識別番号】100184055
【弁理士】
【氏名又は名称】岡野 貴之
(74)【代理人】
【識別番号】100185959
【弁理士】
【氏名又は名称】今藤 敏和
(72)【発明者】
【氏名】増田 幸容
(72)【発明者】
【氏名】森數 洋司
【審査官】湯川 洋介
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-263795(JP,A)
【文献】特開2015-080804(JP,A)
【文献】実開平01-096287(JP,U)
【文献】特開2020-120029(JP,A)
【文献】特開2018-041799(JP,A)
【文献】特開2015-213941(JP,A)
【文献】特開2009-183997(JP,A)
【文献】特開2015-018974(JP,A)
【文献】米国特許第06407844(US,B1)
【文献】中国特許出願公開第111360423(CN,A)
【文献】特開平10-305420(JP,A)
【文献】特開2010-087141(JP,A)
【文献】特開2019-036643(JP,A)
【文献】特開2019-013953(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/301
H01L 21/683
B23K 26/364
B23K 26/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加工物を吸引保持するチャックテーブルであって、
吸引源に接続される吸引路を有するベーステーブルと、
該ベーステーブルに装着され被加工物を支持する支持部材と、
該支持部材の上面を覆うように配置され該支持部材を保護する保護プレートと、を備え、
該保護プレートは、該吸引源からの吸引力を該被加工物へと伝達する複数の貫通孔を有することを特徴とするチャックテーブル。
【請求項2】
該保護プレートの空孔率は、5%以上35%以下であることを特徴とする、請求項1に記載のチャックテーブル。
【請求項3】
該ベーステーブルは、
該支持部材を吸引保持するための支持部材吸引路と、
該支持部材吸引路よりも外周側に形成され、該保護プレートの外周部を吸引保持するための保護プレート吸引路と、
該被加工物を吸引保持するための被加工物吸引路と、を有することを特徴とする、請求項1又は2に記載のチャックテーブル。
【請求項4】
該保護プレートは透明体からなることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれかに記載のチャックテーブル。
【請求項5】
該支持部材は透明体からなることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれかに記載のチャックテーブル。
【請求項6】
該保護プレートの外周部は、該保護プレートの中央部よりも厚いことを特徴とする、請求項1乃至5のいずれかに記載のチャックテーブル。
【請求項7】
該保護プレートの外周側に形成された該貫通孔の密度は、該保護プレートの中央側に形成された該貫通孔の密度よりも大きいことを特徴とする、請求項1乃至6のいずれかに記載のチャックテーブル。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれかに記載のチャックテーブルと、
該チャックテーブルによって保持された該被加工物に対してレーザービームを照射して該被加工物に加工を施すレーザービーム照射ユニットと、
該チャックテーブルと該レーザービーム照射ユニットとを相対的に移動させる移動ユニットと、を備えることを特徴とするレーザー加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被加工物を吸引保持するチャックテーブル、及び、該チャックテーブルを備えるレーザー加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
デバイスチップの製造工程では、格子状に配列された複数の分割予定ライン(ストリート)によって区画された複数の領域にそれぞれデバイスが形成されたウェーハが用いられる。このウェーハを分割予定ラインに沿って分割することにより、デバイスをそれぞれ備える複数のデバイスチップが得られる。デバイスチップは、携帯電話、パーソナルコンピュータ等の様々な電子機器に組み込まれる。
【0003】
ウェーハの分割には、切削装置が用いられる。切削装置は、被加工物を保持する保持面を有するチャックテーブルと、被加工物を切削する環状の切削ブレードが装着される切削ユニットとを備えている。ウェーハをチャックテーブルの保持面で保持し、切削ブレードを回転させてウェーハに切り込ませることにより、ウェーハが切削、分割される。
【0004】
また、近年では、レーザー加工によってウェーハを分割する技術も着目されている。例えば、レーザービームの照射によって、ウェーハに溝を分割予定ラインに沿って形成する手法が提案されている(特許文献1参照)。分割予定ラインに沿って溝が形成されたウェーハに外力を付与すると、溝が分割起点として機能し、ウェーハが分割予定ラインに沿って分割される。
【0005】
ウェーハのレーザー加工には、レーザー加工装置が用いられる。レーザー加工装置は、被加工物を保持する保持面を有するチャックテーブルと、被加工物にレーザービームを照射するレーザービーム照射ユニットとを備えている。ウェーハをチャックテーブルの保持面で保持し、レーザービーム照射ユニットからウェーハに向かってレーザービームを照射することにより、ウェーハに所定のレーザー加工が施される。
【0006】
上記の切削装置やレーザー加工装置に搭載されるチャックテーブルは、ポーラスセラミックス等の多孔質部材を用いて構成される。そして、多孔質部材の表面によってチャックテーブルの保持面が構成され、保持面は多孔質部材の内部の空孔を介して吸引源に接続される。ウェーハをチャックテーブルの保持面上に配置した状態で、吸引源の負圧を保持面に作用させると、ウェーハがチャックテーブルによって吸引保持される。
【0007】
しかしながら、多孔質部材の表面にはランダムな凹凸が形成されている。また、多孔質部材の表面の一部では、隣接する凹部同士が連結されてサイズの大きい溝が形成されることがある。そのため、チャックテーブルに多孔質部材を用いると、均一で平坦な保持面を形成しにくくなる。そして、保持面にランダムな凹凸を有するチャックテーブルによってウェーハを保持すると、ウェーハが保持面の凹凸に沿って不規則に変形した状態で保持される。この状態でウェーハを加工すると、ウェーハの変形や保持面の凹凸に起因して様々な加工不良が発生するおそれがある。
【0008】
例えば、ウェーハをレーザー加工装置で加工する際、ウェーハが平坦に保持されていないと、レーザービームの集光点がウェーハ内部の意図した深さに位置付けられた状態を維持したままレーザービームを走査することが困難になる。その結果、ウェーハ内部のレーザー加工が施される領域の深さ位置にばらつきが生じやすくなる。
【0009】
また、ウェーハを切削装置で加工する際、保持面にサイズの大きい溝が形成されたチャックテーブルによってウェーハを保持した状態で、ウェーハに切削ブレードを切り込ませると、ウェーハの溝と重なる領域が保持面から浮いた状態で切削ブレードと接触する。これにより、ウェーハに欠け(チッピング)等の加工不良が発生しやすくなる。
【0010】
そこで、チャックテーブルには、ウェーハを支持する支持部材として、多孔質部材以外の部材が用いられることがある。例えば特許文献2には、規則的に形成された凸部及び凹部と、凹部に連結された吸引路とを備える支持部材(保持部)を用いたチャックテーブルが開示されている。また、特許文献3には、規則的に形成された複数の細孔と、細孔と連結された吸引路とを備える支持部材(保持パッド)を用いたチャックテーブルが開示されている。
【0011】
上記のチャックテーブルは、上面の高さ位置が均一な支持部材でウェーハを支持するため、ウェーハが不規則に変形した状態で保持されることを防止できる。また、支持部材の凹部や細孔は所定の寸法、間隔で形成されるため、凹部や細孔同士が意図せず連結されてサイズの大きな溝が形成されることはなく、このような溝によってウェーハの適切な保持が阻害されることを防止できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【文献】特開平10-305420号公報
【文献】特開2006-263795号公報
【文献】特開2010-87141号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上記のように、凹部や細孔を有する支持部材がチャックテーブルに用いられる場合、支持部材の表面によってチャックテーブルの保持面が構成される。そして、加工装置でウェーハを加工すると、ウェーハの加工によって生じた屑(加工屑)等の異物がチャックテーブルの保持面に固着することがある。また、チャックテーブルへの被加工物の搬送が繰り返し実施されることにより、チャックテーブルの保持面が意図せず傷つくことがある。
【0014】
チャックテーブルの保持面に上記のような異常が生じると、被加工物が保持面で適切に保持されず、加工不良が発生するおそれがある。そのため、チャックテーブルの支持部材は、加工装置の稼働状況に応じて定期的に交換される。また、加工装置によって加工されるウェーハの形状やサイズが変更された場合にも、支持部材の交換が必要になることがある。
【0015】
しかしながら、支持部材の製造には手間とコストがかかる。具体的には、被加工物を平坦な状態で保持するためには、被加工物が支持部材上に配置された際に支持部材が容易に変形しないように、一定以上の剛性を有する支持部材を用いる必要がある。従って、支持部材としてある程度厚い部材を準備する必要があり、支持部材の材料費の負担が大きい。また、支持部材が厚いと、支持部材に凹部や細孔を形成するための加工に要する手間やコストが増大する。そのため、支持部材の交換が頻繁に行われると、交換用の支持部材を補充する作業の負担が増大する。
【0016】
本発明はかかる問題に鑑みてなされたものであり、被加工物を保持する保持面を簡易且つ安価に交換可能なチャックテーブル、及び、該チャックテーブルを備えるレーザー加工装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の一態様によれば、被加工物を吸引保持するチャックテーブルであって、吸引源に接続される吸引路を有するベーステーブルと、該ベーステーブルに装着され被加工物を支持する支持部材と、該支持部材の上面を覆うように配置され該支持部材を保護する保護プレートと、を備え、該保護プレートは、該吸引源からの吸引力を該被加工物へと伝達する複数の貫通孔を有するチャックテーブルが提供される。
【0018】
なお、好ましくは、該保護プレートの空孔率は、5%以上35%以下である。また、好ましくは、該ベーステーブルは、該支持部材を吸引保持するための支持部材吸引路と、該支持部材吸引路よりも外周側に形成され、該保護プレートの外周部を吸引保持するための保護プレート吸引路と、該被加工物を吸引保持するための被加工物吸引路と、を有する。また、好ましくは、該保護プレートは透明体からなる。また、好ましくは、該支持部材は透明体からなる。
【0019】
また、好ましくは、該保護プレートの外周部は、該保護プレートの中央部よりも厚い。また、好ましくは、該保護プレートの外周側に形成された該貫通孔の密度は、該保護プレートの中央側に形成された該貫通孔の密度よりも大きい。
【0020】
また、本発明の他の一態様によれば、上記のチャックテーブルと、該チャックテーブルによって保持された該被加工物に対してレーザービームを照射して該被加工物に加工を施すレーザービーム照射ユニットと、該チャックテーブルと該レーザービーム照射ユニットとを相対的に移動させる移動ユニットと、を備えるレーザー加工装置が提供される。
【発明の効果】
【0021】
本発明の一態様に係るチャックテーブルでは、被加工物を支持する支持部材と、支持部材を覆って保護する保護プレートとがベーステーブルに装着される。そして、ベーステーブルに接続された吸引源の吸引力が、支持部材及び保護プレートを介して被加工物に伝達される。すなわち、ベーステーブルに作用する吸引力を被加工物に伝達するための部材が、支持部材と保護プレートとに分離されている。
【0022】
上記のチャックテーブルでは、チャックテーブルの保持面で異常が発生した際は、保護プレートのみを交換すればよく、支持部材を交換する必要がない。また、保護プレートは支持部材によって支持されるため、保護プレート自体の剛性が低くても、保護プレートによって被加工物を平坦な状態で保持できる。そのため、保護プレートを薄型化し、保護プレートの材料費や保護プレートの加工に要する手間やコストを削減できる。その結果、チャックテーブルの保持面の交換を簡易且つ安価に実施することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】第1レーザー加工装置を示す斜視図である。
図2】被加工物を示す斜視図である。
図3】第1レーザー加工装置のチャックテーブルを示す分解斜視図である。
図4図4(A)は保護プレートを示す断面図であり、図4(B)はシールドトンネルが形成された保護プレートの一部を示す拡大断面図であり、図4(C)はシールドトンネルを示す斜視図である。
図5】被加工物を保持するチャックテーブルを示す断面図である。
図6】凹部が形成された保護プレートを備えるチャックテーブルを示す断面図である。
図7】複数のフレーム保持機構を備えるチャックテーブルを示す断面図である。
図8】第2レーザー加工装置を示す斜視図である。
図9】移動ユニットを示す斜視図である。
図10図10(A)は第2レーザー加工装置のチャックテーブルを示す断面図であり、図10(B)は第2レーザー加工装置のチャックテーブルを示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付図面を参照して本発明の一態様に係る実施形態を説明する。まず、本実施形態に係るチャックテーブルを搭載可能な加工装置の構成例について説明する。図1は、レーザー加工装置(第1レーザー加工装置)2を示す斜視図である。なお、図1において、X軸方向(加工送り方向、第1水平方向)とY軸方向(割り出し送り方向、第2水平方向)とは、互いに垂直な方向である。また、Z軸方向(鉛直方向、上下方向、高さ方向)は、X軸方向及びY軸方向と垂直な方向である。
【0025】
レーザー加工装置2は、レーザー加工装置2を構成する各構成要素を支持する基台4を備える。基台4の上面は水平方向(XY平面方向)に沿って形成され、基台4の上面上には移動ユニット(移動機構)6が設けられている。移動ユニット6は、Y軸移動ユニット(Y軸移動機構)8と、X軸移動ユニット(X軸移動機構)18と、Z軸移動ユニット(Z軸移動機構)32とを備える。
【0026】
Y軸移動ユニット8は、基台4の上面上にY軸方向に沿って配置された一対のY軸ガイドレール10を備える。一対のY軸ガイドレール10には、平板状のY軸移動テーブル12がY軸ガイドレール10に沿ってスライド可能な状態で装着されている。
【0027】
Y軸移動テーブル12の裏面(下面)側にはナット部(不図示)が設けられており、このナット部には、一対のY軸ガイドレール10の間にY軸方向に沿って配置されたY軸ボールねじ14が螺合されている。また、Y軸ボールねじ14の端部には、Y軸ボールねじ14を回転させるY軸パルスモータ16が連結されている。Y軸パルスモータ16でY軸ボールねじ14を回転させると、Y軸移動テーブル12が一対のY軸ガイドレール10に沿ってY軸方向に移動する。
【0028】
X軸移動ユニット18は、Y軸移動テーブル12の表面(上面)側にX軸方向に沿って配置された一対のX軸ガイドレール20を備える。一対のX軸ガイドレール20には、板状のX軸移動テーブル22がX軸ガイドレール20に沿ってスライド可能な状態で装着されている。
【0029】
X軸移動テーブル22の裏面(下面)側にはナット部(不図示)が設けられており、このナット部には、一対のX軸ガイドレール20の間にX軸方向に沿って配置されたX軸ボールねじ24が螺合されている。また、X軸ボールねじ24の端部には、X軸ボールねじ24を回転させるX軸パルスモータ26が連結されている。X軸パルスモータ26でX軸ボールねじ24を回転させると、X軸移動テーブル22が一対のX軸ガイドレール20に沿ってX軸方向に移動する。
【0030】
X軸移動テーブル22の表面(上面)上には、レーザー加工装置2による加工の対象となる被加工物11(図2参照)を保持するチャックテーブル(保持テーブル)28が設けられている。チャックテーブル28の上面は、水平方向(XY平面方向)に沿って形成された平坦面であり、被加工物11を保持する保持面28aを構成している。なお、チャックテーブル28の構成の詳細については後述する(図3図7参照)。また、チャックテーブル28の周囲には、被加工物11を支持する環状のフレーム19(図2参照)を把持して固定する複数のクランプ30が設けられている。
【0031】
図2は、被加工物11を示す斜視図である。例えば被加工物11は、シリコン等の半導体材料からなる円盤状のウェーハであり、互いに概ね平行な表面11a及び裏面11bを備える。被加工物11は、互いに交差するように格子状に配列された複数の分割予定ライン(ストリート)13によって、複数の矩形状の領域に区画されている。
【0032】
分割予定ライン13によって区画された領域の表面11a側にはそれぞれ、IC(Integrated Circuit)、LSI(Large Scale Integration)、LED(Light Emitting Diode)、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)等のデバイス15が形成されている。被加工物11を分割予定ライン13に沿って分割することにより、デバイス15をそれぞれ備える複数のデバイスチップが得られる。
【0033】
なお、被加工物11の種類、材質、形状、構造、大きさ等に制限はない。例えば被加工物11は、シリコン以外の半導体(GaAs、InP、GaN、SiC等)、サファイア、ガラス、セラミックス、樹脂、金属等からなる任意の形状及び大きさのウェーハであってもよい。また、デバイス15の種類、数量、形状、構造、大きさ、配置等にも制限はなく、被加工物11にはデバイス15が形成されていなくてもよい。
【0034】
被加工物11の裏面11b側には、被加工物11よりも直径が大きい円形のテープ17が貼付される。テープ17としては、円形に形成されたフィルム状の基材と、基材上に設けられた粘着層(糊層)とを有するシート等が用いられる。基材はポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタラート等の樹脂でなり、粘着層はエポキシ系、アクリル系、又はゴム系の接着剤等からなる。また、粘着層には、紫外線の照射によって硬化する紫外線硬化型の樹脂を用いてもよい。
【0035】
また、テープ17の外周部は、SUS(ステンレス鋼)等の金属からなる環状のフレーム19に貼付される。フレーム19の中央部には、被加工物11よりも直径が大きい円形の開口19aが設けられている。被加工物11をフレーム19の開口19aの内側に配置した状態で、テープ17の中央部を被加工物11の裏面11b側に貼付するとともに、テープ17の外周部をフレーム19に貼付することにより、被加工物11がテープ17を介してフレーム19によって支持される。被加工物11を加工する際には、フレーム19によって支持された状態の被加工物11がチャックテーブル28(図1参照)によって保持される。
【0036】
Y軸移動テーブル12をY軸方向に沿って移動させると、チャックテーブル28がY軸方向に沿って移動する。また、X軸移動テーブル22をX軸方向に沿って移動させると、チャックテーブル28がX軸方向に沿って移動する。さらに、チャックテーブル28にはモータ等の回転駆動源(不図示)が連結されており、回転駆動源はチャックテーブル28をZ軸方向に概ね平行な回転軸の周りで回転させる。
【0037】
基台4の後端部(Y軸移動ユニット8、X軸移動ユニット18、チャックテーブル28の後方)には、Z軸移動ユニット32が設けられている。Z軸移動ユニット32は、基台4の上面上に配置された支持構造34を備える。支持構造34は、基台4に固定された直方体状の基部34aと、基部34aの端部から上方に突出する柱状の支持部34bとを含む。支持部34bの表面(側面)は、Z軸方向に沿って平面状に形成されている。
【0038】
支持部34bの表面には、一対のZ軸ガイドレール36がZ軸方向に沿って設けられている。一対のZ軸ガイドレール36には、平板状のZ軸移動テーブル38がZ軸ガイドレール36に沿ってスライド可能な状態で装着されている。
【0039】
Z軸移動テーブル38の裏面側にはナット部(不図示)が設けられており、このナット部には、一対のZ軸ガイドレール36の間にZ軸方向に沿って配置されたZ軸ボールねじ(不図示)が螺合されている。また、Z軸ボールねじの端部には、Z軸ボールねじを回転させるZ軸パルスモータ40が連結されている。Z軸パルスモータ40でZ軸ボールねじを回転させると、Z軸移動テーブル38が一対のZ軸ガイドレール36に沿ってZ軸方向に移動する。
【0040】
Z軸移動テーブル38の表面側には、支持部材42が固定されている。支持部材42は、レーザービーム照射ユニット44の一部の構成要素を支持している。レーザービーム照射ユニット44は、チャックテーブル28によって保持された被加工物11に対してレーザービームを照射して、被加工物11にレーザー加工を施す。具体的には、レーザービーム照射ユニット44は、YAGレーザー、YVOレーザー等のレーザー発振器(不図示)と、レーザー発振器から発振されたレーザーを集光する集光器(不図示)とを備える。例えば、レーザー発振器は基台4上に配置され、集光器は支持部材42によって支持される。
【0041】
レーザービーム照射ユニット44の先端部には、チャックテーブル28によって保持された被加工物11等を撮像する撮像ユニット46が設けられている。例えば撮像ユニット46は、可視光を受光して電気信号に変換する撮像素子を備える可視光カメラや、赤外線を受光して電気信号に変換する撮像素子を備える赤外線カメラ等によって構成され、レーザービーム照射ユニット44の先端部とX軸方向において隣接するように配置される。撮像ユニット46で被加工物11を撮像することによって取得された画像に基づいて、チャックテーブル28とレーザービーム照射ユニット44との位置合わせ等が行われる。
【0042】
Z軸移動テーブル38をZ軸方向に沿って移動させると、レーザービーム照射ユニット44及び撮像ユニット46がZ軸方向に移動する。これにより、レーザービーム照射ユニット44から照射されるレーザービームの集光点の高さ位置の調整や、撮像ユニット46のピント合わせ等が行われる。そして、Y軸移動ユニット8、X軸移動ユニット18、及びZ軸移動ユニット32によって、チャックテーブル28と、レーザービーム照射ユニット44及び撮像ユニット46とを相対的に移動させる移動ユニット6が構成される。
【0043】
レーザー加工装置2を構成する各構成要素(移動ユニット6、チャックテーブル28、クランプ30、レーザービーム照射ユニット44、撮像ユニット46等)は、制御ユニット(制御部)48に接続されている。制御ユニット48は、レーザー加工装置2の構成要素の動作を制御する制御信号を生成し、レーザー加工装置2の稼働を制御する。
【0044】
例えば、制御ユニット48はコンピュータによって構成され、レーザー加工装置2の稼働に必要な各種の演算を行う演算部と、各種の情報(データ、プログラム等)が記憶される記憶部とを含む。演算部は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサを含んで構成され、記憶部は、主記憶装置、補助記憶装置等を構成する各種のメモリを含んで構成される。
【0045】
レーザー加工装置2によって被加工物11(図2参照)を加工する際には、まず、被加工物11がチャックテーブル28によって保持される。具体的には、被加工物11は、裏面11b側(テープ17側)が保持面28aに対面するように、チャックテーブル28上に配置される。また、フレーム19がクランプ30によって固定される。この状態で、保持面28aに負圧を作用させると、被加工物11がテープ17を介してチャックテーブル28によって吸引保持される。
【0046】
次に、レーザービーム照射ユニット44から被加工物11に向かってレーザービームが照射され、被加工物11にレーザー加工が施される。例えば、レーザービームの波長は、レーザービームの少なくとも一部が被加工物11に吸収されるように設定される。また、レーザービームの他の照射条件(パワー、スポット径、繰り返し周波数等)は、被加工物11のレーザービームが照射された領域がアブレーション加工によって加工されるように適宜設定される。
【0047】
レーザービームの集光点を被加工物11の表面11a又は内部に位置付けた状態で、チャックテーブル28をX軸方向に沿って移動させると、被加工物11に対して吸収性を有するレーザービームが分割予定ライン13に沿って照射される。その結果、被加工物11には、分割予定ライン13に沿って線状の溝(レーザー加工溝)が形成される。
【0048】
例えば、全ての分割予定ライン13に沿って被加工物11の表面11aから裏面11bに至る溝を形成することにより、被加工物11が分割予定ライン13に沿って分割される。また、全ての分割予定ライン13に沿って深さが被加工物11の厚さ未満の溝を被加工物11の表面11a側に形成した後、被加工物11の裏面11b側を研削して溝を被加工物11の裏面11bで露出させることにより、被加工物11が分割予定ライン13に沿って分割される。これにより、デバイス15をそれぞれ備える複数のデバイスチップが製造される。
【0049】
上記のように、レーザービーム照射ユニット44によって被加工物11にレーザー加工が施される際には、被加工物11がチャックテーブル28によって保持される。図3は、被加工物11を保持するチャックテーブル28を示す分解斜視図である。
【0050】
チャックテーブル28は、ガラス、セラミックス、金属、樹脂等からなる円柱状のベーステーブル(基台)60を備える。ベーステーブル60の上面60a側の中央部には、円柱状の第1溝(第1凹部)62が設けられている。第1溝62は、円形の底面62aと、環状の側面(側壁)62bとを備える。また、第1溝62の底面62a側の中央部には、第1溝62よりも直径が小さい円柱状の第2溝(第2凹部)64が設けられている。第2溝64は、円形の底面64aと、環状の側面(側壁)64bとを備える。
【0051】
第2溝64の底面64a側には、第3溝(第3凹部)66が形成されている。例えば第3溝66は、同心円状に形成された複数の環状の溝66aと、ベーステーブル60の径方向に沿って直線状に形成された複数の溝66bとを含む。複数の溝66bは、第2溝64の側面64bの一端側から他端側に向かって互いに交差するように形成され、第2溝64の中央部において連結されている。また、複数の溝66bはそれぞれ、複数の溝66aと交差し、交差領域において溝66aと連結されている。
【0052】
また、ベーステーブル60は、吸引源に接続される複数の吸引路を有する。具体的には、ベーステーブル60は、ベーステーブル60の上面60aで開口する複数の吸引路(保護プレート吸引路)68と、第1溝62の底面62aで開口する複数の吸引路(被加工物吸引路)70と、第3溝66の底面で開口する複数の吸引路(支持部材吸引路)72とを備える。
【0053】
吸引路68は、吸引路70よりもベーステーブル60の外周側に形成されている。また、吸引路70は、吸引路72よりもベーステーブル60の外周側に形成されている。例えば、吸引路68,70,72はそれぞれ、ベーステーブル60の周方向に沿って概ね等間隔に配列される。なお、図3には、吸引路68,70,72をそれぞれ4個ずつ有するベーステーブル60を示しているが、吸引路68,70,72の数及び配置に制限はない。
【0054】
ベーステーブル60には、被加工物11(図2参照)を支持する支持部材74が装着される。例えば支持部材74は、厚さ7mm程度の円盤状に形成される。また、支持部材74の上面74a側には、溝(凹部)76が形成されている。例えば溝76は、同心円状に形成された複数の環状の第1溝76aと、支持部材74の径方向に沿って直線状に形成された複数の第2溝76bとを含む。
【0055】
複数の第2溝76bは、支持部材74の一端側から他端側に向かって互いに交差するように形成され、支持部材74の中央部において連結されている。なお、第2溝76bの両端は、支持部材74の側面(外周面)で露出している。また、複数の第2溝76bはそれぞれ、複数の第1溝76aと交差し、交差領域において第1溝76aと連結されている。
【0056】
支持部材74は、その直径がベーステーブル60の第2溝64の直径と概ね等しくなるように形成され、第2溝64に嵌め込まれる。このとき、第2溝64の底面64aが、支持部材74の下面側を支持する支持面として機能する。また、支持部材74の厚さは、ベーステーブル60の上面60aと第2溝64の底面64aとの高さの差と概ね等しい。そのため、支持部材74が第2溝64に挿入されると、ベーステーブル60の上面60aと支持部材74の上面74aとが概ね同一平面上に配置される。
【0057】
なお、支持部材74の材質に制限はない。例えば支持部材74は、ガラス(石英ガラス、ホウケイ酸ガラス、ソーダ石灰ガラス、無アルカリガラス等)、サファイア、フッ化カルシウム、フッ化リチウム、フッ化マグネシウム等の透明体からなる。また、支持部材74として、ソーダ石灰ガラスより融点が低い低融点ガラスを用いることもできる。また、溝76の形状、サイズ、数、位置、間隔等にも制限はない。
【0058】
ベーステーブル60に装着された支持部材74上には、支持部材74を保護する保護プレート78が配置される。例えば保護プレート78は、円盤状に形成され、互いに概ね平行な上面(表面)78a及び下面(裏面)78bを備える。保護プレート78は、その直径がベーステーブル60の第1溝62の直径よりも大きくなるように形成され、ベーステーブル60の上面60a及び支持部材74の上面74aを覆うように配置される。
【0059】
図4(A)は、保護プレート78を示す断面図である。保護プレート78は、保護プレート78の中央を含む円形の中央部(中央領域)78cと、保護プレート78の外周縁を含み中央部78cを囲む環状の外周部(外周領域)78dとを有する。
【0060】
保護プレート78の中央部78cには、保護プレート78を厚さ方向に貫通する複数の貫通孔80が設けられている。例えば貫通孔80は、保護プレート78の上面78a及び下面78bで露出する円柱状に形成される。一方、保護プレート78の外周部78dには、貫通孔80が形成されていない。
【0061】
なお、保護プレート78の材質に制限はない。例えば保護プレート78は、ガラス(石英ガラス、ホウケイ酸ガラス、ソーダ石灰ガラス、無アルカリガラス等)、サファイア、フッ化カルシウム、フッ化リチウム、フッ化マグネシウム等の透明体からなる。また、保護プレート78として、ソーダ石灰ガラスより融点が低い低融点ガラスを用いることもできる。
【0062】
特に、支持部材74及び保護プレート78には石英ガラス以外のガラス(ホウケイ酸ガラス、ソーダ石灰ガラス、無アルカリガラス等)を用いることが好ましい。この場合、支持部材74及び保護プレート78の材料費を抑えつつ、支持部材74及び保護プレート78の加工(溝76及び貫通孔80の形成等)を容易に実施できる。
【0063】
また、貫通孔80のサイズ、数、位置、間隔等にも制限はない。例えば、貫通孔80の直径は500μm以下、好ましくは100μm以下に設定される。より具体的には、貫通孔80の直径は5μm以上40μm以下、好ましくは10μm以上15μm以下に設定できる。また、貫通孔80の形状にも制限はない。例えば、貫通孔80は四角柱状に形成してもよい。この場合、貫通孔80の幅は、500μm以下、好ましくは100μm以下に設定される。より具体的には、貫通孔80の幅は5μm以上40μm以下、好ましくは10μm以上15μm以下に設定できる。
【0064】
また、貫通孔80の形成方法にも制限はない。例えば、レーザービームの照射によって、保護プレート78にシールドトンネルと称されるフィラメント状の細孔が形成される。図4(B)はシールドトンネル82が形成された保護プレート78の一部を示す拡大断面図であり、図4(C)はシールドトンネル82を示す斜視図である。
【0065】
レーザービームの集光点を保護プレート78の内部に位置付けた状態で、レーザービームを保護プレート78に照射しつつ走査すると、複数のシールドトンネル82がレーザービームの走査方向に沿って所定の間隔で形成される。シールドトンネル82は、保護プレート78の厚さ方向に沿って形成された細孔82aと、細孔82aを囲む非晶質領域82bとを含む。
【0066】
シールドトンネル82はそれぞれ、保護プレート78の厚さ方向全域に渡って形成される。その結果、保護プレート78の上面78a及び下面78bで露出する複数の細孔82aが形成される。また、隣接するシールドトンネル82の非晶質領域82b同士は、互いに結合される。
【0067】
レーザービームの照射条件は、保護プレート78にシールドトンネル82が適切に形成されるように適宜設定される。例えば、保護プレート78がガラス(ホウケイ酸ガラス)からなる場合には、レーザービームの照射条件は以下のように設定できる。
光源 :YAGパルスレーザー
波長 :1064nm
エネルギー :40μJ
繰り返し周波数 :10kHz
加工送り速度 :100mm/s
【0068】
シールドトンネル82は、保護プレート78の中央部78cの全域に渡って所定の間隔で形成される。そして、シールドトンネル82の細孔82aが、保護プレート78の貫通孔80(図4(A)参照)として利用される。ただし、貫通孔80の形成方法に制限はない。
【0069】
例えば、保護プレート78にエッチングを施すことにより、所望のサイズの貫通孔80を所望の間隔で形成することもできる。この場合、保護プレート78としてガラスセラミックス(結晶化ガラス)からなる部材を用い、選択エッチングによって保護プレート78を加工して貫通孔80を形成してもよい。また、保護プレート78にエッチングを施す前に、貫通孔80が形成される領域(中央部78c)にイオンドープ等の処理を施すことにより、該領域において部分的にエッチングが進行しやすくしてもよい。
【0070】
また、保護プレート78の材料を所定の金型に流し込んで焼成することにより、保護プレート78を製造してもよい。この場合、金型の内部には、貫通孔80に対応する複数の柱状部材(凸部)が設けられる。この金型を用いて保護プレート78の材料を焼成すると、複数の貫通孔80を備える保護プレート78が製造される。
【0071】
上記の通り、保護プレート78は、板状の部材に複数の貫通孔80を形成するだけで容易に製造できる。そのため、保護プレート78の構造及び製造工程は極めて単純であり、保護プレート78の製造に要する手間とコストも小さい。
【0072】
なお、保護プレート78は、支持部材74よりも薄く形成されることが好ましい。例えば、保護プレート78の厚さは0.2mm以上0.3mm以下に設定される。保護プレート78が薄いと、保護プレート78の材料費が低減されるとともに、保護プレート78を貫通する貫通孔80の形成が容易になる。
【0073】
図3に示すように、保護プレート78は、中央部78cが支持部材74の上面74aを覆い、外周部78dがベーステーブル60の上面60aを覆うように、ベーステーブル60及び支持部材74上に配置される。これにより、保護プレート78が支持部材74によって支持されるとともに、ベーステーブル60に設けられた複数の吸引路68が保護プレート78によって覆われる。なお、保護プレート78によって複数の吸引路68を覆うことが可能であれば、保護プレート78の直径に制限はない。そのため、保護プレート78の寸法は自由度が高い。
【0074】
そして、被加工物11(図2参照)が保護プレート78上に配置される。すなわち、被加工物11は、保護プレート78を介して支持部材74によって支持される。そして、保護プレート78の上面78aが、チャックテーブル28の保持面28a(図1参照)に相当する。
【0075】
図5は、被加工物11を保持するチャックテーブル28を示す断面図である。ベーステーブル60に設けられた吸引路68,70,72はそれぞれ、吸引源に接続されている。具体的には、吸引路68は、保護プレート78の外周部78dを吸引保持するための吸引路であり、バルブ84aを介して吸引源86aに接続されている。また、吸引路70は、被加工物11を吸引保持するための吸引路であり、バルブ84bを介して吸引源86bに接続されている。また、吸引路72は、支持部材74を吸引保持するための吸引路であり、バルブ84cを介して吸引源86cに接続されている。
【0076】
バルブ84a,84b,84cとしては、例えば電磁バルブが用いられ、制御ユニット48(図1参照)によってバルブ84a,84b,84cの開閉が制御される。また、吸引源86a,86b,86cとしては、例えばエジェクタが用いられ、制御ユニット48によって吸引源86a,86b,86cの動作が制御される。
【0077】
ベーステーブル60の第2溝64に支持部材74を嵌め込んだ状態でバルブ84cを開くと、吸引源86cの吸引力(負圧)がベーステーブル60の内部(第3溝66)に作用する。これにより、支持部材74がベーステーブル60の内部で吸引保持され、ベーステーブル60に固定される。
【0078】
また、ベーステーブル60及び支持部材74上に保護プレート78を配置した状態でバルブ84aを開くと、貫通孔80が形成されていない保護プレート78の外周部78dに吸引源86aの吸引力(負圧)が作用する。これにより、保護プレート78がベーステーブル60及び支持部材74上で吸引保持され、ベーステーブル60に固定される。
【0079】
被加工物11は、ベーステーブル60に固定された保護プレート78上に、テープ17を介して配置される。また、被加工物11を支持するフレーム19が、複数のクランプ30によって把持される。
【0080】
この状態でバルブ84bを開くと、支持部材74及び保護プレート78によって覆われているベーステーブル60の第1溝62が、吸引源86bの吸引力(負圧)によって減圧される。また、第1溝62と連結されている支持部材74の溝76の内部も同様に減圧される。その結果、第1溝62又は溝76と重畳する領域に配置されている貫通孔80を介して、保護プレート78の上面78aに吸引力が作用する。すなわち、貫通孔80は、吸引源86bからの吸引力を被加工物11へと伝達する流路として機能する。これにより、被加工物11がテープ17を介してチャックテーブル28によって吸引保持される。
【0081】
なお、保護プレート78の全体の体積に対する複数の貫通孔80の体積の比率(保護プレート78の空孔率)は、被加工物11に十分な吸引力が作用し、且つ、保護プレート78の機械的強度が一定以上に維持されるように設定される。例えば、保護プレート78の空孔率は5%以上35%以下に設定される。
【0082】
その後、図1に示すレーザービーム照射ユニット44から被加工物11に向かってレーザービームが照射され、被加工物11にレーザー加工が施される。そして、被加工物11の加工が完了すると、バルブ84bが閉じて被加工物11の吸引が解除され、被加工物11がチャックテーブル28上から搬送される。
【0083】
なお、被加工物11がチャックテーブル28によって保持された際、テープ17の材質によっては、テープ17が保護プレート78の上面78aに強く密着することがある。また、被加工物11にレーザー加工を施す際、レーザービームが被加工物11の外周縁の外側に位置するテープ17の一部にも照射されてテープ17が溶融し、テープ17が保護プレート78の上面78aに接着することがある。このような場合、被加工物11が保護プレート78から離れにくくなり、被加工物11をチャックテーブル28上から適切に搬送することが困難になるおそれがある。
【0084】
そこで、保護プレート78の外周側に形成された貫通孔80の密度は、保護プレート78の中央側に形成された貫通孔80の密度よりも大きいことが好ましい。これにより、被加工物11の外周部近傍においてテープ17と保護プレート78との接触面積を低減することができる。その結果、被加工物11をチャックテーブル28上から搬送する際にテープ17が保護プレート78から離れやすくなり、被加工物11が適切に搬送される。
【0085】
具体的には、保護プレート78の中央から一定以内の距離に位置する領域(第1領域)に存在する貫通孔80の径よりも、第1領域の外側の領域(第2領域)に存在する貫通孔80の径が大きくなるように、複数の貫通孔80が形成される。この場合、例えば、第1領域に形成される貫通孔80の径は100μm未満に設定でき、第2領域に形成される貫通孔80の径は100μm以上500μm以下に設定できる。
【0086】
なお、レーザービーム照射ユニット44によって被加工物11を加工すると、被加工物11の加工によって生じた屑(加工屑)等の異物が付着する。例えば、被加工物11の加工中、レーザービームが被加工物11だけでなくテープ17にも照射されてテープ17が溶融し、溶融物が保持面28aに付着することがある。また、レーザービームが被加工物11又はテープ17を介して保持面28aに照射され、保持面28aが意図せず加工されることがある。さらに、被加工物11のチャックテーブル28への搬送が繰り返し実施されることにより、保持面28aが意図せず傷つくことがある。そして、チャックテーブル28の保持面28aにこのような不都合が生じた際には、保持面28aを構成する部材を交換する必要がある。
【0087】
ここで、本実施形態に係るチャックテーブル28では、ベーステーブル60に作用する吸引力を被加工物11に伝達するための部材が、支持部材74と保護プレート78とに分離されている。そのため、チャックテーブル28の保持面28aで異常が発生した際は、保護プレート78のみを交換すればよく、支持部材74を交換する必要がない。また、保護プレート78は支持部材74によって支持されるため、保護プレート78自体の剛性が低くても、保護プレート78によって被加工物11を平坦な状態で保持できる。そのため、保護プレート78を薄型化し、保護プレート78の材料費や保護プレート78の加工に要する手間やコストを削減できる。その結果、チャックテーブル28の保持面28aの交換を簡易且つ安価に実施することが可能となる。
【0088】
保護プレート78の交換は、バルブ84aの開閉を制御することによって簡易に実施できる。具体的には、まず、バルブ84cを開いたままバルブ84aを閉じる。これにより、支持部材74の吸引保持が維持されたまま、使用済みの保護プレート78の吸引が解除される。そして、使用済みの保護プレート78をベーステーブル60から取り外し、交換用の保護プレート78(未使用の保護プレート78)をベーステーブル60上に配置した後、再度バルブ84aを開く。その結果、交換用の保護プレート78が吸引保持され、ベーステーブル60に固定される。
【0089】
なお、上記では保護プレート78が平板状である例について説明したが、保護プレート78の形状に制限はない。例えば保護プレート78は、中央部78cに凹部を有し、外周部78dが中央部78cよりも厚くなるように形成されていてもよい。
【0090】
図6は、凹部78eが形成された保護プレート78を備えるチャックテーブル28を示す断面図である。図6に示す保護プレート78の中央部78cの下面78b側には、円柱状の凹部78eが設けられている。なお、凹部78eの直径は支持部材74の直径以上である。また、図6に示す支持部材74は、上面74aがベーステーブル60の上面60aから突出するように形成されている。
【0091】
保護プレート78は、支持部材74の上面74a側が凹部78eに嵌め込まれるように、支持部材74上に配置される。なお、ベーステーブル60の上面60aと支持部材74の上面74aとの高さの差(支持部材74の突出量)は、凹部78eの深さと概ね同一に設定されている。そのため、保護プレート78が支持部材74上に配置されると、保護プレート78の中央部78c(凹部78eの底面)が支持部材74によって支持されるとともに、保護プレート78の外周部78dがベーステーブル60の上面60aによって支持される。
【0092】
保護プレート78の中央部78cに凹部78eが形成されると、中央部78cが薄化され、中央部78cに複数の貫通孔80を形成しやすくなる。一方、保護プレート78の外周部78dには凹部78eが形成されないため、外周部78dは厚い状態に維持される。そのため、厚い外周部78dによって保護プレート78の剛性が維持され、保護プレート78が変形しにくくなる。すなわち、外周部78dは保護プレート78を補強する補強部として機能する。これにより、保護プレート78を取り扱う際に、保護プレート78が変形して損傷することを防止できる。
【0093】
また、チャックテーブル28の構成の細部は適宜変更できる。例えばチャックテーブル28は、被加工物11を支持しているフレーム19を吸引保持する機構を備えていてもよい。この場合には、複数のクランプ30(図1及び図5参照)を省略できる。
【0094】
図7は、複数のフレーム保持機構(フレーム保持部)90を備えるチャックテーブル28を示す断面図である。ベーステーブル60の側面(外周面)には、フレーム19を保持する複数のフレーム保持機構90が固定されている。例えば、4個のフレーム保持機構90が、ベーステーブル60の周方向に沿って概ね等間隔に配置される。
【0095】
フレーム保持機構90は、ベーステーブル60に固定された基台92と、基台92上に設けられた吸引パッド94とを備える。例えば吸引パッド94は、ゴム、樹脂等からなる。また、吸引パッド94の上面は、水平方向に沿って形成され、フレーム19を吸引保持する保持面94aを構成している。保持面94aは、吸引パッド94の内部に形成された流路(不図示)、電磁バルブ等のバルブ96を介して、エジェクタ等の吸引源98に接続されている。
【0096】
被加工物11がチャックテーブル28上に配置されると、フレーム19が複数の吸引パッド94の保持面94a上に配置される。この状態でバルブ96を開くと、吸引源98の吸引力(負圧)が保持面94aに作用し、フレーム19が複数の吸引パッド94によって吸引保持される。
【0097】
なお、吸引路68と吸引路72とは、共通のバルブ(バルブ84a又はバルブ84cの一方)を介して、共通の吸引源(吸引源86a又は吸引源86cの一方)に接続されていてもよい。この場合、支持部材74の吸引保持と保護プレート78の吸引保持とが、同じタイミングで連動して行われる。また、吸引路70と吸引パッド94とは、共通のバルブ(バルブ84b又はバルブ96の一方)を介して、共通の吸引源(吸引源86b又は吸引源98の一方)に接続されていてもよい。この場合、被加工物11及びテープ17の吸引保持とフレーム19の吸引保持とが、同じタイミングで連動して行われる。
【0098】
また、本実施形態に係るチャックテーブルが搭載される加工装置は、上記のレーザー加工装置2(図1参照)に限られない。図8は、レーザー加工装置2とは構造が異なるレーザー加工装置(第2レーザー加工装置)100を示す斜視図である。なお、図8において、X軸方向(加工送り方向、第1水平方向)とY軸方向(割り出し送り方向、第2水平方向)とは、互いに垂直な方向である。また、Z軸方向(鉛直方向、上下方向、高さ方向)は、X軸方向及びY軸方向と垂直な方向である。
【0099】
レーザー加工装置100は、レーザー加工装置100を構成する各構成要素を支持する基台102を備える。基台102の上面は水平方向(XY平面方向)に沿って形成され、基台102の後端部には直方体状の支持構造104がZ軸方向に沿って配置されている。また、基台102の上面上には、移動ユニット(移動機構)106が設けられている。移動ユニット106は、Y軸移動ユニット(Y軸移動機構)108と、X軸移動ユニット(X軸移動機構)118とを備える。
【0100】
Y軸移動ユニット108、X軸移動ユニット118の構成はそれぞれ、レーザー加工装置2(図1参照)のY軸移動ユニット8、X軸移動ユニット18と同様である。具体的には、Y軸移動ユニット108は、一対のY軸ガイドレール110、Y軸移動テーブル112、Y軸ボールねじ114、Y軸パルスモータ116を備える。また、X軸移動ユニット118は、一対のX軸ガイドレール120、X軸移動テーブル122、X軸ボールねじ124、X軸パルスモータ126を備える。
【0101】
X軸移動テーブル122の表面(上面)上には、レーザー加工装置100による加工の対象となる被加工物11(図2参照)を保持するチャックテーブル(保持テーブル)128が設けられている。チャックテーブル128の上面は、被加工物11を保持する保持面128aを構成する。なお、チャックテーブル128の構造の詳細については後述する(図10(A)及び図10(B)参照)。
【0102】
また、チャックテーブル128の周囲には、被加工物11を支持する環状のフレーム19(図2参照)を把持して固定する複数のクランプ130が設けられている。なお、クランプ130の代わりに、フレーム19を吸引保持するフレーム保持機構(図7のフレーム保持機構90参照)を用いてもよい。
【0103】
Y軸移動テーブル112をY軸方向に沿って移動させると、チャックテーブル128がY軸方向に沿って移動する。また、X軸移動テーブル122をX軸方向に沿って移動させると、チャックテーブル128がX軸方向に沿って移動する。
【0104】
チャックテーブル128の下側には、回転ユニット(回転機構)132が設けられている。回転ユニット132は、移動ユニット106のX軸移動テーブル122上に設けられており、チャックテーブル128の下端側は回転ユニット132に連結されている。回転ユニット132は、モータ等の回転駆動源を備え、チャックテーブル128をZ軸方向に概ね平行な回転軸の周りで回転させる。これにより、チャックテーブル128の水平方向における角度(向き)が制御される。
【0105】
また、レーザー加工装置100は、支持構造104の前面側から前方に向かって突出する柱状の支持アーム134を備える。支持アーム134の先端部には、チャックテーブル128によって保持された被加工物11に対してレーザービームを照射するレーザービーム照射ユニット136が固定されている。なお、レーザービーム照射ユニット136は、レーザー加工装置2のレーザービーム照射ユニット44(図1参照)と同様に構成できる。
【0106】
支持アーム134の先端部のレーザービーム照射ユニット136に隣接する位置には、チャックテーブル128によって保持された被加工物11を上側から撮像する撮像ユニット138が固定されている。撮像ユニット138は、例えば可視光カメラや赤外線カメラ等によって構成される。
【0107】
なお、支持アーム134には、支持アーム134をZ軸方向に沿って移動させる移動ユニット(移動機構、不図示)が接続されていてもよい。この場合、レーザービーム照射ユニット136及び撮像ユニット138の高さ位置が移動ユニットによって制御される。
【0108】
支持アーム134の下方には、支持構造104の前面側に固定された移動ユニット(移動機構)140が設けられている。図9は、移動ユニット140を示す斜視図である。移動ユニット140は、Z軸方向に沿って配置された一対のZ軸ガイドレール142を備える。一対のZ軸ガイドレール142には、平板状のZ軸移動プレート144がZ軸ガイドレール142に沿ってスライド可能な状態で装着されている。
【0109】
Z軸移動プレート144の裏面側にはナット部(不図示)が設けられており、このナット部には、一対のZ軸ガイドレール142の間にZ軸方向に沿って配置されたZ軸ボールネジ146が螺合されている。また、Z軸ボールネジ146の端部には、Z軸ボールネジ146を回転させるZ軸パルスモータ148が連結されている。Z軸パルスモータ148でZ軸ボールネジ146を回転させると、Z軸移動プレート144が一対のZ軸ガイドレール142に沿ってZ軸方向に移動する。
【0110】
Z軸移動プレート144の前面側には、Z軸移動プレート144から前方に突出する柱状の支持アーム150が固定されている。また、支持アーム150の先端部(前端部)の上面側には、チャックテーブル128によって保持された被加工物11を下側から撮像する撮像ユニット152が設けられている。
【0111】
例えば撮像ユニット152は、互いに倍率が異なる一対のカメラ152a,152bを備える。撮像ユニット152は、一対のカメラ152a,152bの一方を用いて撮像を行ってもよいし、両方を用いて撮像を行ってもよい。カメラ152a,152bとしては、例えば可視光カメラや赤外線カメラが用いられる。
【0112】
移動ユニット140は、撮像ユニット152をZ軸方向に沿って移動させる。これにより、撮像ユニット152の高さ位置が制御され、カメラ152a,152bのピント合わせや撮像範囲の調節が行われる。
【0113】
レーザー加工装置100を構成する各構成要素(移動ユニット106、チャックテーブル128、クランプ130、回転ユニット132、レーザービーム照射ユニット136、撮像ユニット138、移動ユニット140、撮像ユニット152等)は、制御ユニット(制御部)154に接続されている。制御ユニット154は、レーザー加工装置100の構成要素の動作を制御する制御信号を生成し、レーザー加工装置100の稼働を制御する。例えば制御ユニット154は、レーザー加工装置2の制御ユニット48(図1参照)と同様にコンピュータによって構成される。
【0114】
レーザー加工装置100は、チャックテーブル128の上方に設けられた撮像ユニット138と、チャックテーブル128の下方に設けられた撮像ユニット152とによって、チャックテーブル128で保持された被加工物11を撮像できる。そして、撮像ユニット138によって被加工物11の上面側の画像が取得され、撮像ユニット152によって被加工物11の下面側の画像が取得される。
【0115】
図10(A)はチャックテーブル128を示す断面図であり、図10(B)はチャックテーブル128を示す平面図である。なお、チャックテーブル128の構成は、以下で説明する事項を除いて、チャックテーブル28(図3図7参照)と同様である。
【0116】
チャックテーブル128は、テープ17を介して被加工物11を保持する。なお、図10(A)においては、テープ17が被加工物11の表面11a側(デバイス15側、図2参照)に貼付されており、被加工物11は、表面11a側がチャックテーブル128に対面するように配置されている。
【0117】
チャックテーブル128は、チャックテーブル28(図3及び図5参照)と同様、支持部材74及び保護プレート78を備える。ただし、支持部材74及び保護プレート78は透明体からなる。また、チャックテーブル128は、ベーステーブル60(図3及び図5参照)と一部構成が異なるベーステーブル60Aを備える。
【0118】
ベーステーブル60Aは、ベーステーブル60と同様、上面60a、第1溝62、第2溝64、吸引路68,70,72を備える。ただし、ベーステーブル60Aには第3溝66(図3及び図5参照)が設けられておらず、支持部材74は第2溝64の底面によって支持されている。また、吸引路72は第2溝64の底面で開口するように形成されている。そして、支持部材74は、バルブ84c及び吸引路72を介して支持部材74の下面側に作用する吸引源86cの吸引力によって、ベーステーブル60Aに固定される。
【0119】
ベーステーブル60Aの下面側には、ベーステーブル60Aを支持するテーブル支持部材160が接続されている。テーブル支持部材160は、ベーステーブル60Aの一部のみと重畳するように配置されており、ベーステーブル60Aの一部を支持している。例えば、テーブル支持部材160の上面は扇形に形成されており、ベーステーブル60Aの中央部から外周部に至る扇形の領域を支持している。また、テーブル支持部材160の下端側は、回転ユニット132(図8参照)に連結されている。
【0120】
ベーステーブル60Aの下側には、ベーステーブル60Aと重畳し、且つ、テーブル支持部材160とは重畳しない領域(空間)162が確保されている。また、ベーステーブル60Aのうち領域162と重畳する領域には、第2溝64の底面からベーステーブル60Aの下面まで貫通する開口164が形成されている。そして、開口164の内部では、支持部材74の下面側が下方に露出している。
【0121】
移動ユニット106(図8参照)によってチャックテーブル128の位置を制御することにより、撮像ユニット152がベーステーブル60Aの開口164の直下に位置付けられる。そして、撮像ユニット152は、ベーステーブル60Aの開口164と、透明体からなる支持部材74及び保護プレート78とを介して、被加工物11の表面11a側を撮像する。
【0122】
なお、支持部材74及び保護プレート78の材質は、撮像ユニット152の種類に応じて適宜選択される。例えば、撮像ユニット152が可視光カメラで構成されている場合、支持部材74及び保護プレート78は可視光が透過する部材によって構成される。また、撮像ユニット152が赤外線カメラで構成されている場合、支持部材74及び保護プレート78は赤外線が透過する部材によって構成される。
【0123】
上記のチャックテーブル128を用いると、被加工物11の表面11a側がチャックテーブル128によって保持されている場合にも、被加工物11の表面11a側に形成されているデバイス15(図2参照)等のパターンを撮像できる。これにより、被加工物11の表面11a側のパターンを基準として、被加工物11とレーザービーム照射ユニット136との位置合わせ等を実施できる。
【0124】
なお、支持部材74のうちベーステーブル60Aの開口164と重なる領域には、溝76が設けられていないことが好ましい(図10(A)参照)。また、保護プレート78のうちベーステーブル60Aの開口164と重なる複数の領域78f(図10(A)及び図10(B)参照)には、貫通孔80が設けられていないことが好ましい。これにより、撮像ユニット152で被加工物11を撮像する際、溝76や貫通孔80によって撮像が妨げられることを回避し、鮮明な被加工物11の画像を取得することが可能となる。
【0125】
ただし、保護プレート78のうちベーステーブル60Aの開口164と重なる領域に貫通孔80が規則的に設けられている場合には、撮像ユニット152によって取得された画像に対して画像処理を施すことにより、貫通孔80が表示されない画像、又は、貫通孔80が目立たない画像を生成することができる。また、保護プレート78のうちベーステーブル60Aの開口164と重なる領域に貫通孔80が存在していても、貫通孔80のサイズが撮像ユニット152の画素サイズよりも小さい場合には、撮像ユニット152によって取得された画像に貫通孔80が写り込みにくいため、被加工物11の表面11a側のパターンを観察可能である場合がある。
【0126】
また、上記ではレーザー加工装置2,100に搭載されたチャックテーブル28,128について説明したが、本実施形態に係るチャックテーブルはレーザー加工装置以外の加工装置に搭載することもできる。他の加工装置の例としては、環状の切削ブレードで被加工物11を切削する切削ユニットを備える切削装置等が挙げられる。
【0127】
例えば、本実施形態に係るチャックテーブルを備えた切削装置によって、被加工物11が分割予定ライン13(図2参照)に沿って分割される。これにより、デバイス15(図2参照)をそれぞれ備える複数のデバイスチップが製造される。
【0128】
なお、加工装置によって被加工物11が分割される場合には、保護プレート78に形成される複数の貫通孔80(図4(A)参照)は、各デバイス15(図2参照)に少なくとも1本の貫通孔80が重畳するように配列されることが好ましい。これにより、被加工物11が複数のデバイスチップに分割された後も、各デバイスチップを貫通孔80によって吸引でき、デバイスチップの配置を維持することができる。
【0129】
その他、上記実施形態に係る構造、方法等は、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施できる。
【符号の説明】
【0130】
11 被加工物
11a 表面
11b 裏面
13 分割予定ライン(ストリート)
15 デバイス
17 テープ
19 フレーム
19a 開口
2 レーザー加工装置(第1レーザー加工装置)
4 基台
6 移動ユニット(移動機構)
8 Y軸移動ユニット(Y軸移動機構)
10 Y軸ガイドレール
12 Y軸移動テーブル
14 Y軸ボールねじ
16 Y軸パルスモータ
18 X軸移動ユニット(X軸移動機構)
20 X軸ガイドレール
22 X軸移動テーブル
24 X軸ボールねじ
26 X軸パルスモータ
28 チャックテーブル(保持テーブル)
28a 保持面
30 クランプ
32 Z軸移動ユニット(Z軸移動機構)
34 支持構造
34a 基部
34b 支持部
36 Z軸ガイドレール
38 Z軸移動テーブル
40 Z軸パルスモータ
42 支持部材
44 レーザービーム照射ユニット
46 撮像ユニット
48 制御ユニット(制御部)
60,60A ベーステーブル(基台)
60a 上面
62 第1溝(第1凹部)
62a 底面
62b 側面(側壁)
64 第2溝(第2凹部)
64a 底面
64b 側面(側壁)
66 第3溝(第3凹部)
66a,66b 溝
68 吸引路(保護プレート吸引路)
70 吸引路(支持部材吸引路)
72 吸引路(被加工物吸引路)
74 支持部材
74a 上面
76 溝(凹部)
76a 第1溝
76b 第2溝
78 保護プレート
78a 上面(表面)
78b 下面(裏面)
78c 中央部(中央領域)
78d 外周部(外周領域)
78e 凹部
78f 領域
80 貫通孔
82 シールドトンネル
82a 細孔
82b 非晶質領域
84a,84b,84c バルブ
86a,86b,86c 吸引源
90 フレーム保持機構(フレーム保持部)
92 基台
94 吸引パッド
94a 保持面
96 バルブ
98 吸引源
100 レーザー加工装置(第2レーザー加工装置)
102 基台
104 支持構造
106 移動ユニット(移動機構)
108 Y軸移動ユニット(Y軸移動機構)
110 Y軸ガイドレール
112 Y軸移動テーブル
114 Y軸ボールねじ
116 Y軸パルスモータ
118 X軸移動ユニット(X軸移動機構)
120 X軸ガイドレール
122 X軸移動テーブル
124 X軸ボールねじ
126 X軸パルスモータ
128 チャックテーブル(保持テーブル)
128a 保持面
130 クランプ
132 回転ユニット(回転機構)
134 支持アーム
136 レーザービーム照射ユニット
138 撮像ユニット
140 移動ユニット(移動機構)
142 Z軸ガイドレール
144 Z軸移動プレート
146 Z軸ボールネジ
148 Z軸パルスモータ
150 支持アーム
152 撮像ユニット
152a,152b カメラ
154 制御ユニット(制御部)
160 テーブル支持部材
162 領域(空間)
164 開口
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10